田村秀男産経記者によると「IMFは人民元をハードカレンシーにする」(2/25【国際政治経済学入門】いずれ霧散 危ういチャイナマネー)とのこと。リッパート大使襲撃事件で韓国がどういう態度を取るのか。米中の狭間にあって身動きがとれない様子がありありです。アメリカを外す行動を取れば間違いなく駐韓米軍は撤退、日本・グアムに兵力配置されるでしょう。中国人民元がハードカレンシーになったとしても、世界各国が人民元で貿易決済するとは思えません。今まで、$とユーロで決済してきた国が人民元に替えるインセンテイブがあるかどうかです。確かに中国との貿易は人民元でも良いのでしょうが、アメリカ・欧州は人民元にせず、自国通貨(含むユーロ)のままと思います。アフリカはどう出るかは分かりません。中東は$かユーロでしょう。
先述のとおり、中国が韓国にスワップを大きくして信用供与すればAIIB加入は必至でしょう。完全に中国の属国となり、先祖返りとなります。アメリカはこの時点で裏切り行為とみなすでしょう。韓国防衛の必要性はなくなります。
中国・韓国とも一歩一歩破滅に近づいているように小生には見えるのですが。
記事
日本のドルに恋々とするな
真田 幸光(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部・研究科教授(学部長・研究科長)/1957年東京生まれ。慶応義塾大学法学部卒。81年、東京銀行入行。韓国・延世大学留学を経てソウル、香港に勤務。97年にドレスナー銀行、98年に愛知淑徳大学に移った。97年のアジア通貨危機当時はソウルと東京で活躍。2008年の韓国の通貨危機の際には、97年危機の経験と欧米金融界に豊富な人脈を生かし「米国のスワップだけでウォン売りは止まらない」といち早く見切った。
—日韓の2国間スワップが2月23日をもってすべて終了しました(「『目下の日本』からドルは借りない」参照)。
真田:韓国は金融面でも中国頼みで生き残ることを決意したと思います。少なくとも国際金融界はそう見なしたでしょう。
—韓国の2国間スワップの相手から日本が消えたうえ、中国とのスワップが総枠の70%を占めるようになりました(表参照)。中国頼みとの判断は、ここからですか?
韓国の通貨スワップ(2015年2月現在) |
相手国 |
規模 |
締結・ 延長日 |
満期 |
中国 |
3600億元/64兆ウォン(約560億ドル) |
2014年 10月11日 |
2017年 10月10日 |
UAE |
200億デイロルハム/5.8兆ウォン(約54億ドル) |
2013年 10月13日 |
2016年 10月12日 |
マレーシア |
150億リングット/5兆ウォン(約47億ドル) |
2013年 10月20日 |
2016年 10月19日 |
豪州 |
50億豪ドル/5兆ウォン(約45億ドル) |
2014年 2月23日 |
2017年 2月22日 |
インドネシア |
115兆ルピア/10.7兆ウォン(約100億ドル) |
2014年 3月6日 |
2017年 3月5日 |
CMI<注> |
384億ドル |
2014年 7月17日 |
|
<注>CMI(チェンマイ・イニシアティブ)はIMF融資とリンクしない場合は20%まで。 資料:ソウル新聞「韓国の経済体力は十分」(2015年2月17日)
真田:そうです。ことに問題は、韓国が「お前のドルなんか借りないよ」と日本にケンカを売る形でスワップを終了させたことです。最後の2国間スワップとなったのは、チェンマイ・イニシアティブ(CMI)の枠組みの中の100億ドルでした。
CMIは1997年の通貨危機に苦しんだアジア各国がつくったセーフティネット。アジア協力の象徴なのです。各国が見守る中、韓国は協力の枠組みの一部である、日本からの100億ドルを蹴り飛ばしてみせたのです。
鈴置:韓国各紙は「日本など相手にするな。欧米と結べばよい」と書いています。例えば、朝鮮日報(韓国語版)の2月18日付社説の見出しは「韓日通貨スワップ、恋々とせずに米・EUチャネルを開け」でした。
仲間外れの韓国
—「恋々とするな」とは?
鈴置:韓国の金融界は日本とのスワップを続けたかったのでしょう。でも、今の韓国社会は「日本ごときに頭を下げられない」との空気が支配しています。当然、「卑日」路線の朴槿恵(パク・クンヘ)政権も延長を要請しなかったわけです。
そこで朝鮮日報は金融界など「恋々とする勢力」に対し「米・EU」という代案を提示したうえ「日本、日本と未練がましいことを言うな」と叱ったのでしょう。
真田:「米・EU」が韓国を助けるかは甚だ疑問です。韓国は外貨不足の国ですから、国際金融市場では常にドルの借り手です。超短期のドル資金の融通――1日間で決済するので「オーバーナイト」と呼びます。ギリシャ問題などを抱える欧州の金融機関には、この「オーバーナイト」のドルを韓国に貸す余裕はありません。
一方、米国。その余裕があったとしても、韓国の現在のリスク要因を考えれば、簡単に貸すとは思えません。
韓国は日常的な取引でさえ仲間外れにされているのに、いざという時の信用供与を「米・EU」に頼めるのか――。韓国紙の主張は絵に描いた餅に終わる可能性が大です。
スポンサーは中国しかいない
—では、オーバーナイトのドルを誰が韓国に貸しているのですか?
真田:邦銀――つまり日本が中心となっていると思われます。その日本に韓国はケンカを売った。そこで国際金融筋は「韓国はいざという時に助けてくれる“スポンサー”を日本以外に確保したな」と見なしたのです。
もちろん新たなスポンサーは、先ほど申し上げたように「米・EU」ではありません。それは中国しかありえないのです。
今後、韓国の金融機関が外貨不足で困った時は、中国の銀行が貸すことになるのでしょう。あるいは国全体がピンチに陥った時には、中国政府にスワップを発動して助けてもらうことになるでしょう。
その過程で、韓国は次第に人民元経済圏に組み込まれていくと思います。そもそも韓国の貿易総額の25%は中国との取引が占めます。
この実態に金融が追い付く形で、貿易はドルではなく人民元で決済されるようになっていくと見られます。
「次の危機」を待つ中国
鈴置:中韓の間ではすでに、通貨スワップを生かして人民元と韓国ウォンで貿易決済する仕組み――つまり米ドルを使わずに取引する仕組みができています。民間企業も活用し始めました(「通貨の命綱を中国に託した韓国」参照)。
それに韓国が困った時、中国は「助けてほしいのなら、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加しろ」と要求する可能性が極めて高い。
AIIBは、日本と米国が主導するアジア開発銀行(ADB)に対抗して中国が計画したものです。米国は中国のアジア支配の道具として警戒し、韓国に参加しないよう強く求めています(「日本の無力化狙う韓国の『衛星外交』」)。
中国は韓国を米国から引きはがして自分の陣営に取り込むべく「韓国の次の危機」を待っているでしょう。
真田:私も、韓国が困った際には中国はAIIB加盟を救済の条件に付けると思います。今でさえ、相当強力に要求しているのです。いざという時に韓国が「NO」と言うのは難しい。
韓国の歴史認識は誤りだ
—日韓スワップの終了とは「日韓」を超え「米中」の問題なのですね。
真田:その通りです。このコラムがずうっと指摘してきたように韓国は米国から離れ、どんどん中国陣営に引き込まれています。今回の事件はその一幕なのです(「米中星取表」参照)。
米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求をのんだか
(○は要求をのませた国、―はまだ勝負がつかない案件、△は現時点での優勢を示す。2015年3月4日現在)
案件 |
米国 |
中国 |
状況 |
日本の集団的自衛権 の行使容認 |
● |
○ |
2014年7月の会談で朴大統領は習近平主席と「各国が憂慮」で意見が一致 |
米国主導の MDへの参加 |
● |
○ |
中国の威嚇に屈し参加せず。代わりに「韓国型MD」を採用へ |
在韓米軍への THAAD配備 |
― |
― |
韓国国防相は一度は賛成したが、中国の反対で後退 |
日韓軍事情報保護協定 |
▼ |
△ |
中国の圧力で署名直前に拒否。米も入り「北朝鮮の核・ミサイル」に限定したうえ覚書に格下げ |
米韓合同軍事演習 の中断 |
○ |
● |
中国が公式の場で中断を要求したが、予定通り実施 |
CICAへの 正式参加(注1) |
● |
○ |
正式会員として上海会議に参加。朴大統領は習主席に「成功をお祝い」 |
CICAでの 反米宣言支持 |
○ |
● |
2014年の上海会議では賛同せず。米国の圧力の結果か |
AIIBへの 加盟 (注2) |
△ |
▼ |
米国の反対で2014年7月の中韓首脳会談では表明見送り、継続協議に |
FTAAP (注3) |
● |
○ |
2014年のAPECで朴大統領「積極的に支持」 |
(注1)中国はCICA(アジア信頼醸成措置会議)を、米国をアジアから締め出す組織として活用。 (注2)中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)を、米国と日本が力を持つADB(アジア開発銀行)への対抗馬として育てる計画。 (注3)米国が主導するTPP(環太平洋経済連携協定)を牽制するため、中国が掲げる。
鈴置さんが小説『朝鮮半島201Z年』で予測した通り、韓国は日本よりも先に中国と自由貿易協定(FTA)を結びました。そして、これまた予言通りに日本とのスワップは打ち切って中国頼みになりました。
韓国はミサイル防衛(MD)に関しても、中国から睨まれると動けなくなっています。貿易→金融→軍事の順に着々と中国に取り込まれているのです。
—今後、韓国が金融面で困った時に日本は助けないのですか?
真田:容易には助けないと思います。日本の金融界には「恩を仇で返された」との思いが強いからです。韓国人は、あるいは韓国メディアは「1997年の通貨危機は日本のために起きた」と主張します。
でも、それは全くの誤りです。あの時は、欧米の金融機関が韓国から撤収する中、最後まで邦銀がドルを貸し続けたのです。韓国の歴史認識は完全に誤っています。
恩を仇で返す国は助けない
鈴置:当時、真田先生は東京三菱銀行で韓国を担当しておられました。私も日経新聞のデスクとしてアジアをカバーしていました。
あの頃は、韓国人の中でも分かった人は「日本は最後まで面倒を見てくれた」と語っていました。1998年と思いますが、危機の原因を追及した韓国国会でも、それを前提にした質問があったそうです。
でも今やそんなことを語る人はいない。韓国では日本が悪者でなければならないからです。当時をよく知るはずの記者も「日本の貸しはがしが危機の引き金となった」と書きます。
真田:米欧が貸しはがす中、我々は最後まで引かなかった。「日本が引き金になった」とは言いがかりも甚だしい。これだけは記録に留めていただきたい。邦銀の担当者は本店を説得し、欧米が逃げた後も最後まで韓国にドルをつないだのです。
韓国が国際通貨基金(IMF)に救済を申請した後でも、KDB(韓国産業銀行)とIBK(中小企業銀行)へは日本輸出入銀行がドルを融資しました。我々、邦銀の韓国担当者が走り回った結果です。
それなのに「我が国の通貨危機は日本が起こした」と世界で吹聴する韓国。そんな国を助ける気になるでしょうか?
麻生太郎財務相が2014年10月に「韓国から申し出があれば、スワップの延長を検討する」と国会で答弁したのも、恩を仇で返す国への不信感が背景にあったと思います。
米国が禁じた日韓スワップ
—結局、1997年の危機で最後には邦銀も韓国から引きました。なぜですか?
真田:米国です。日本には永田町(政界)を含め「韓国を助けよう」という合意があった。欧米のヘッジファンドがウォンを売り浴びせる中でも、です。
でも「韓国救済は国際的なスキームの中でやる」という米国の指示に従わざるを得なかったのです。「国際的なスキーム」とは要はIMFによる救済です。
鈴置:韓国のドル不足がどうしようもなくなってIMFに救済を申請したのが1997年11月21日。その直前のある日、私は朝刊番デスクでした。
夕方「韓国銀行から日本銀行に対し、ドルを貸してくれ、と要請があった」との情報に接しました。スワップです。
もちろん日本は応じるつもりでした。あの頃は、旧植民地の韓国が困ったら助けるのが当然、というのが永田町に限らず、日本の空気だったのです。
グリーンスパンの“嘘”
しかしその晩、いくらたっても「日銀がスワップに応諾した」との確報が回ってこないのです。変だなと思って担当部に聞きにいったところ「日銀が米国に報告したら『スワップはダメだ』との厳しい回答だった」。
驚きました。要は「韓国はIMFに行かせるつもりだ。日本は余計なことをするんじゃない」とのお達しなのですから。
米連邦準備委員会(FRB)議長だったアラン・グリーンスパン(Alan Greenspan)氏の回顧録『波乱の時代(上)』の274ページに以下の記述があります。
- 11月、日本銀行の幹部から電話があり「韓国経済が崩壊しかねない」と警告された。日本の銀行が韓国への信認を失い、数百億ドルの融資の更新を撤回しようとしているとの説明だった。
私の体験に照らせば、グリーンスパン元議長は半分しか語っていません。「韓国危機に関し日本から報告があった」とは書いても「米国が日本の対韓スワップを止めた」というくだりはないのです。止めたのはFRBではなく、米財務省なのかもしれませんが。
真田:本当に止めたのは、ペンタゴン(国防総省)、あるいはホワイトハウスかもしれません。米韓関係は相当に悪化していましたから。
「打ち切り」を米国には報告したか
鈴置:そうでした。北朝鮮の核開発にどう対応するかで米韓は対立していました。貿易摩擦も深化していました。
金泳三(キム・ヨンサム)政権(1993―1998年)は日本との関係も悪かったのですが、クリントン政権(1993―2001年)からも睨まれていました。
もっとも、米国を怒らせているのに当時の韓国紙は「極めて良好な韓米関係」と書いていました。今と同じです。
さてその米国に関連、質問です。今回の日韓スワップ打ち切りについて、日本は米国に事前に説明していたのでしょうか。
真田:韓国のドル離れ、米国離れにつながる極めて重要な案件ですから、報告していたと思います。ただ「打ち切る」ではなく「韓国の求めがあれば続ける」といった表現だったろうと想像します。
鈴置:それに対し、米国は何と答えたのでしょうか。
真田:何か言ったとしたら、韓国に対してだったでしょう。もっとも「日本とのスワップを続けろ」と米国が要求したとしても、韓国は米国の“警告”を無視したわけですが
チキンゲームを戦う米韓
—韓国は強気ですね。
真田:韓国は米国に対しては「中国カード」を使えると考えているフシがあります。いざという時は「中国に人民元スワップを発動してもらう」と言えば、米国がドルを貸してくれる、と計算していると思います。
鈴置:そこの、米韓の心理的なすれ違いに注目すべきですね。韓国は「中国側に行くぞ」と脅せば米国が言うことを聞くと考えている。なぜなら「米国は自分を手放せないはずだから」です。
一方、米国は「そんなに中国が好きなら、そっちへ行け」と放り出せば、韓国は戻ってくると信じている。「韓国は自力で国を守れないから」です。
先生が指摘されたMD、ことに終末高高度防衛ミサイル(THAAD=サード)の韓国配備の問題でもそうですが、米韓はチキンゲームを始めています。
中国の怒りを避けようと韓国は「配備計画など米国から聞かされていない」と言い張る。「THAADで追い詰められた韓国が中国側に行ったら大変」と米国が思うはず、と考えているからです。
これに対し米国は「もう、韓国と相談を始めている」などと“勇み足の発言”をしては「米中どちらの味方なのか」はっきりするよう、韓国に迫っています。
金融を武器にする米国
真田:そこが分析のポイントです。ただ、米国のハラが読みづらい。韓国を脅せば戻ってくると計算しているのか、あるいは「戻ってくればよし、戻ってこなくてもよし」と達観しているのか――。
レームダック化したこともあり、オバマ政権は朝鮮半島に関し思考停止した感があります。問題は肝心の、米国を本当に動かしている金融と軍事の2つのパワーセクターが、この半島をどうしようとしているのか、迷っているように見えることです。
鈴置:ことに米国の金融界がどう動くかが注目ですね。ウクライナ問題でもそうですが、最近の米国は軍事力での勝負を避け、金融力で相手を圧倒しようとします。
そして仮に米国が「朝鮮半島を捨てる」時も、単に捨てるのではなく中国と交渉するための「カード」にするのだろうと思います。
—近未来小説『朝鮮半島201Z年』では米中が話し合って、半島全体を中立化しました。
鈴置:厳密には、米国が中国に騙されたふりをして中立化をのむ――という展開読みです。『中国という蟻地獄に落ちた韓国』のエピローグに、架空の日米首脳会談を入れました。ここに種明かしがしてあります。
中韓密約で逆転ホームラン?
真田:『朝鮮半島201Z年』は、日本にとってワーストシナリオです。そうなっては困りますが、今やそうなってもおかしくないと思います。
以下は国際金融界に流れている噂です。習近平―朴槿恵の密約説、ともいうべき話です。証拠は全くないのですけれど。
- 習近平主席は「南北首脳会談を強力に後押しする」と朴槿恵大統領に約束した。南北和解という大金星を挙げたい朴槿恵政権は、外交常識を超えて中国の言うことを聞くようになった……。
内政でも失点続き、外交でもその迷走が次第に批判され始めた朴槿恵政権は、ここで逆転満塁ホームランを打つ必要があります。もし南北首脳会談を開いたうえ、核問題で何らかの進展があれば、指導力は一気に浮揚します。
父親も演じた和解劇
鈴置:確かに韓国でも、そうした噂を信じる人が増えています。北朝鮮に核を放棄させるには、在韓米軍撤収や米韓同盟の破棄など、韓国側の相当に思い切った、国の針路を変えるほどの譲歩が必要でしょう。そうした超大型の取引はトップ交渉するしかありません。
大統領の父親の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領も、北朝鮮との秘密交渉の末1972年に南北の和解をうたった「7・4声明」を発表しました。当時は米中が和解に動いていまして、大状況は今と反対の方向でした。
しかし、朝鮮半島に限れば構造は似ています。ベトナム戦争の手じまいを急ぐ米国が、韓国からも軍を引き始めていたのです。
「7・4声明」は米国から見捨てられるとの国民の不安を解消するために朴正煕政権が打った、大興業だったのです。
もっとも、現実には南北の対立は解けませんでした。それどころか南北の政権ともに「非常時」を名分として独裁体制を強化したのです。
朴槿恵大統領がそうするかはともかく、国民は「安全保障をめぐる環境は1972年と似てきた。お父さんと同じように、南北和解劇を演じるかもしれない」と考えるものです。朴槿恵大統領も「統一は大当たりだ」などと唐突に、思わせぶりな発言をしたりしますしね。
それに中国とすれば、首脳会談という南北の和解劇が実現しなくとも、その期待を朴槿恵政権に持たせる間は韓国を金縛りにできる。
米国も韓国から離れたい
真田:「中韓密約」は米国にとっても必ずしも悪い話ではありません。米国も韓国を泳がせつつ、裏で中国と大きな絵を描いている可能性があると私は思うのです。
鈴置:1971年のニクソンショック――突然の米中和解がそうでした。韓国だけではなく日本も寝耳に水でした。
そして今後、米国が「カード」として使うであろう在韓米軍の撤収など安い代価です。北朝鮮の核問題解決に向け何らかのメドが立つのですから。代価というか、そもそも米国だって在韓米軍を撤収したいのです。
—大きな見取り図で読むと面白いですね。話を戻します。「離米従中」の引き金となる「韓国の次の通貨危機」つまり、ウォンの売り浴びせは起きるのでしょうか。
鈴置:韓国は外貨準備を世界7位の3600億ドルにまで増やしたと豪語しています。1997年の通貨危機当時と比べ約18倍です(グラフ参照)。
韓国の外貨準備はあてにならない
真田:少々の外貨準備では防波堤になりません。ロシアだって韓国以上の外貨準備を持っていましたが2014年、通貨ルーブルは価値が半値になるまで売り込まれたのです。
投機をする側にとって中途半端な外貨準備は、売り浴びせたローカル通貨を買い取ってくれる宝の山にしか見えないのです。
基本的な問題は韓国がまだドル不足の国であり、ホットマネーが大量に入り込んでいることです。何らかの拍子にこれが一気に流れ出る懸念が常にあるのです。
ギリシャ危機はとりあえず遠のきましたが、いつ再発するか分かりません。米国の金融緩和もいずれ終了します。それが韓国にとって、そして北東アジアにとって大きな節目になるかもしれません。
本当は、今こそ日韓は協力すべきなのです。日本にとって韓国はけしからん国になりました。でも、ケンカをしても得にはなりません。韓国だって同じことです。極東の安定のためには日韓がいい関係を維持する必要があります。
ただ、こうは言っても日韓関係が良くなることはまず、ないでしょうね。韓国人は本質的に日本が嫌いなのですから。