3/11日経ビジネスオンライン 福島香織『中国「新常態」という異常事態 改革開放を超える大転換か、経済崩壊のシグナルか』記事について

日本の企業内でもありますが、出世のために自分を売るというのは如何なものかと感じます。それでも自分がその後、納得して生きれれば良いでしょう。でも国を売っても平然としていられる人は信じることができません。まあ、そういう人は国を売っているという自覚すらないのでしょう。郎咸平の習へのゴマスリも見事なものです。共産党一党独裁ですから、自由主義諸国と感覚は違います。何せ財産没収だけでなく、生命の危険さえあります。逮捕状なしで拘引されて、闇に紛れて粛清なんて常にありの世界ですから。以前農村人口は全体の8割いましたのが5割に減ったと言われております。そんなに簡単に職業移動ができるわけありません。勿論職業選択の自由が今はありますが、昔は国が指定(単位と言います)していました。档案(共産党がつける内申書)に悪く書かれましたら、今でも良い就職先にはありつけません。簡単に移動できないという意味は、農民はまともな教育を受けてないので工場勤務するには難しいという事です。ですから3割も農村人口が減ったというのは土地を強制収用(共産中国では土地は国のもの、使用権しかありません)したものの行き場がなく、出稼ぎか流民になったと思われます。4億人も農業人口が減るのは考えにくいので、農村戸籍の若者が農業に就いてない状況を言うのかも知れません。

中間所得層が13億の全人口の中で2億人まで増えたそうです。国民を豊かにすることは国としてあるべき姿と思いますが、中国の価値観とは何かを問わざるをえません。第二次大戦後も他国を侵略し、今でも他国の領土を掠め取ろうとしています。「騙す人が賢く騙される人は馬鹿(日本語のできる中国人から聞いた中国人の基本的価値観)」、「平気で嘘を言う(南京虐殺・従軍慰安婦・個人レベルでも)」「賄賂社会(総ての階層で)」「人権・宗教弾圧(土地強制収用・法輪功)」「契約遵守は自分の都合に合わせて」「他人のものは自分のもの(内蒙古、チベット、ウイグル、南シナ海、尖閣等々他国の領土を侵略)」が中国の実態です。これが世界を指導する理念かどうか?日本を歴史で非難する前に、自分の胸に手を当てて考えてみた方が良い。「自由、民主、基本的人権、法治」の方が遙かに人類の理念として相応しいと思います「建設者としての中国」は欧米的価値観から離れて自分が新たな価値観を創設しようとしているのでしょうが、傲慢・自己中の面目躍如です。上述のような価値観になれば世界は暗黒になります。でも英国はAIIBに参加するとのこと。アメリカが非難しましたが当然のこと。まあ、イギリスはアヘン戦争を起こした負い目があるのかも。それとも基軸通貨をアメリカに奪われた恨みを晴らそうとしているのか。エリザベス女王が元首でない李克強と面会した時から、共産中国に屈服したとは思っていましたが。ロスチャイルドが命令したのですかね?

溺れかけている中国・韓国に助けを出してはなりません。両民族とも恩を仇で返す民族ですから。

記事

中国の国会にあたる全国人民代表大会が3月5日から開幕し、李克強首相は政府活動報告で、中国の経済成長率目標を7%前後に引き下げ、「中国の経済状況が新常態(ニューノーマル)に入った」と位置付けた。この首相の新常態宣言は、鄧小平の改革開放以来の30年の中国の高度経済成長に終わりを告げる「低成長宣言」と受け取る向きもあれば、鄧小平の改革開放以来続いてきた経済構造を痛み覚悟で転換するというシグナルと受け取る向きもある。左派経済学者の郎咸平などは、「習総書記の語る『新常態』は鄧小平の南巡講話以上の影響力」とも言っていたが、果たして「新常態」とは、どういう状況をいうのだろうか。そして、その「新常態」とはいつまで続くのだろうか。

新状態に適応し、戦略上の平常心を保て

 習近平が最初に「新常態」という言葉を使ったのは2014年5月の河南視察旅行中の発言だ。「中国の発展は依然重要な戦略的チャンスの時期にあり、我々は自信を強化し、目下の中国経済発展の段階的特徴から出発して新常態に適応し、戦略上の平常心を保ち続けなければならない」。

 この新常態の理念について、さらに具体的に説明されたのはその年の11月のAPEC商工サミットでの「発展の持久を求め、アジア太平洋の夢をともに築こう」という演説の中で、「新常態は中国のさらなる発展のチャンスをもたらすものなのだ」と発言。新常態の六つの特徴とは、【1】高速成長から中高速成長への転換 【2】経済構造の不断のレベルアップ 【3】経済の牽引力を投資駆動からイノベーション駆動へ転換 【4】中国経済の新常態の出現 【5】中国政治の新常態の出現 【6】中国社会建設の新常態の出現、とした。

 この新常態が中国の発展にもたらす状況として、四つ挙げられている。

 【1】経済成長は緩やかに減速するが、たとえ7%前後に落ちても、その経済規模総量にしろ成長率にしろ、全世界の中で上位に入る。【2】成長動力が多元化し、各種のリスクに対応する能力がつくようになる。新型工業化、情報化、農村の都会化、農業の現代化などにより、成長に伴う各種の悩みを緩和できる。【3】経済構造のレベルアップにより、消費の経済成長の貢献度は投資を超え、サービス産業の占める割合は第二次産業を超える。ハイテク産業と装備製造業の成長速度が工業の平均的成長速度を上回り、GDP単位あたりのエネルギー消費が下降し効率化する。【4】政府の「簡政放権」(認可などの手続きの簡略化、権力の干渉の減少)により、市場が活性化し、企業登録制度改革により新企業数が増加する。

さらに、新常態には九つの特徴があるという。

 【1】模倣型横並び消費(みんなが持っているから買う、人気の少数商品が市場を席巻するような消費)の段階が終わり、個性化、多様化消費が主流となる。【2】基礎インフラの相互連携による新技術、新産品、新業態、新ビジネスモデルの投資機会が続々とできる。【3】低コストが売りの業態からハイレベル品質が売りの業態に転換し、大規模な企業の海外進出が同時に起きる。【4】新興産業、サービス業、マイクロビジネスがさらに突出し、生産小型化、知能化、専業化が産業組織の新たな特徴となる。【5】人口高齢化が進むことで農業の余剰人口が減少し、低賃金労働に頼る経済成長から人の能力資質、技術進歩に頼る経済成長に転換する。【6】単純な質と量による市場競争から、差異化を主とした競争に転向する。【7】エコ・省エネ型の低炭素循環型経済の発展方式を推進しなければならない。【8】経済リスクはおおむねコントロールできるが、ハイレバレッジとバブル化がもたらすリスクの解消にはしばらくかかる。【9】生産過剰問題はすでに緩和しているが、市場メカニズム作用の発揮を通じて未来型産業の発展方向を探らねばならない。

常態化した経済構造と政治・社会を変える

 要するに、中国は改革開放以後、常態化していた経済構造を変えていくつもりだ、ということである。また、その転換の際には、今までと違う異常事態が起こるだろうが、それは新常態として受け入れよ、ということである。

 この「新常態」と、党規約にいずれ盛り込まれるのではないかと言われている、習近平の政治理念を表す「四つの全面」(全面的なややゆとりある(小康)社会の建設、全面的な改革の深化、全面的な法治、厳格な規約に従った全面的な党の統治)とセットで考えると、習近平反腐敗キャンペーンに見られる、従来の共産党秩序を無視した元政治局常務委員や退役上将の党籍剥奪や、軍区指令への異例な若手抜擢や、大学教育での「西側価値観」排除指示といった政治・社会における異常事態も、この「新常態」につながると考えるべきだろう。

この「新常態」について、左派経済学者の郎咸平はブログでこう解説する。

 「中国のGDP成長速度は2015年7.1%にまで落ち込むだろう。…経済の冷え込み、通貨緊縮のリスクは年初にすでに露見している。…現政権が打ち出した“新常態”とは中国経済、社会の直面する問題を解決する根本的な方法論だ。…今年に推進される行政、国有企業、金融、不動産市場に対する改革について深く分析すれば、“新常態”と“旧制度”の本質的違いがはっきりするだろう」

 「1992年の鄧小平の南巡講話は、社会主義市場経済体制に一連の改革をもたらし、中国を大きく変えた。“下海(個人企業)ブーム”“出稼ぎブーム”“創業ブーム”などの改変により無数の人々の運命が変えられた。しかし、新常態が国家と個人に与える影響力は、当時の南巡講話をはるかに超えることだろう」

建設者になれば中国的価値観が世界に受け入れられる

 郎咸平が指摘するその具体的影響力とは、こうだ。

 【1】公務員や国有企業幹部による創業ブームが起きる。“簡政放権”と反腐敗キャンペーンによって、市場と権力の癒着が断ち切られると、そこにぶら下がっていた官僚・国有企業幹部は頭を切り替えねばならない。おそらくは、彼らの間で、それまで地方行政が握っていた権利業務を代行するような新ビジネスが生まれるのではないか。

 【2】権力と市場の切り離しに成功すれば、正常な市場経済国家に変わっていく。

 【3】市場経済化が国家の体制改革の先鞭をつけるかもしれない。市場経済の本質は、自由、平等、公開の原則にのっとった競争メカニズム。国家は公権力と私権利のメカニズムをどのように処理していかねばならないか問われることになる。この公権力と私権利の関係調整こそ、政治体制改革といえないか。“新常態”は経済改革にみえて、その本質は政治体制改革である。

 【4】国際経済の枠組みにおける中国の役割が参与者から新たな国際経済秩序の建設者に転換する。鄧小平の改革開放は、中国をグローバル経済に参加させ、WTO(世界貿易機関)加盟を実現させた。だが、それはあくまで、グローバル経済の一員になったというだけ。“新常態”に基づく外交・経済政策の骨子として打ち出されている“一帯一路”(中央アジアからロシアに向かうシルクロード経済帯と南シナ海からインド洋に向かう21世紀海のシルクロード経済帯を中国が中心となって開発していく構想)によって、中国は国際経済の枠組み秩序を主導的に建設する役割を担う可能性がある。

 【5】新常態は中国的文化的価値観を国際社会の価値観に融合させることができる。中国が国際社会において経済包囲網、軍事包囲網、エネルギー包囲網などの脅威にさらされ、特に米国がアジアリバランス政策を打ち出してから中国はほとんど友達がいない。これは中国的価値観が国際価値観基準と大きく違うためである。だが(国際経済秩序の参与者から建設者に転向できれば)中国的価値観が国際社会に受け入れられるようになる。

郎咸平の解説は、習近平政権の期待している効果をわかりやすくまとめているという意味で、非常に参考になった。現地の消息筋から聞く話では、習近平が目指しているのは鄧小平を超えること、G2という米中二大国家による国際秩序の形成(あるいは米国もしのぐ影響力を発揮する国家になること)という。「中国の夢・中華民族の復興」を掲げる習近平の野望シナリオの具体策が「新常態」にあると言えそうだ。

 もっとも、以上のことは言うが易し、為すが難しであることは言うまでもない。問題はこの新常態宣言によって生じる中国の負の面である。

「世界の工場」の終焉、厳しい生活が常態に

 まず予想されるのはエネルギー料金の高騰。これは中国石油を含めた石油産業や石炭業界の整理再編が進められるに伴って、低く抑えられた国内のエネルギー料金が値上がりするだろうし、実際、タクシーや地下鉄料金の値上がりは始まっている。エネルギー料金の値上げは物価上昇を加速させるだろう。バブル崩壊、一部金融機関の破たんもやむなし、という声は中国の元官僚や専門家からも聞こえる。江沢民、胡錦濤政権時代に銀行の破産は絶対ありえなかったが、これからは、それが新常態になる。

 今年早々、中国広東省で松下、東芝、シチズン系の日系資本の入った工場が相次いで撤退し、中国の労働市場に動揺を与えていることが報道されているが、この傾向は日系資本だけでなく、マイクロソフトやノキア、ネスレといった外資の労働集約型工場全体に言えることであり、これが中国の実質失業率に大きく影響している。改革開放以来続いていた「世界の工場」という常態もいよいよ終わりを告げる。庶民の暮らしぶりについて言えば、間違いなく厳しいものに変わっていき、それが「ニューノーマルなのだ、文句言うな」と強制的に受け入れさせられる、ということでもある。

 ニューヨーク在住の華人コラムニスト北風は「ボイスオブアメリカ」の取材で「“新常態”なんていうのは庶民の目をくらませる共産党の政治用語にすぎない」と批判している。「中国の直面する負の局面を婉曲に表現して、表面上だけ大衆からの批判・反発を避けようとしているのだ。典型的な共産党言語のニセ文法」と。

「おぼれかけている」中国にどう対するか

 過去にも「失業」という言葉を使うと反発が強いので「下崗」(一時休職)という言葉を造ったりしてきたが、それと同じというわけだ。そう考えると「新常態宣言」とは、中国の経済衰退宣言、社会不安定期突入宣言ともいえる。

 鄧小平は改革開放推進の際に、『石をなでながら河を渡る』と言う表現で、市場経済と計画経済、社会主義と資本主義の矛盾に関わる先鋭的論争を回避したが、今の中国の状態は、川底の石を確かめながら前に進むどころか、とうに川底に足がつかない河の深みにはまっておぼれかけている。その現状について、「新常態」(おぼれかけている)だと追認した。

 この深みにはまった中国は独自の泳法でもって自力で河を泳ぎ切ってこちらの岸につくのか、それとも引き返して元の岸に戻るのか。もちろん途中でぶくぶくと沈む可能性だってある。それを周辺国として、どう眺めるかが、問われるかもしれない。手助けしたほうがいいか。手助けしても感謝されるどころか、岸にたどりついた相手に、いきなり殴り倒されることもあるわけだが