3/10宮崎正弘氏メルマガ『中国の「大国幻想」が世界のメディアにファンタジー的仮説を溢れさせている  人民元は米ドルに替わる基軸通貨? 中国の金備蓄が三万トン?』記事について

3/9分の真田幸光氏の記事の解説にも書きましたが、人民元はまだハードカレンシーにもなっていないのに、基軸通貨など百年早いと思われます。習近平の焦りの為せる業でしょう。南京虐殺・従軍慰安婦同様プロパガンダです。企業が良くやるペイドパブのようなものです。人を騙すのが天才的な民族を豊かにすれば、こうなることは見えています。

AIIBには経済の主役たる日米欧は入らないでしょう。アジアのインフラ投資ですから。しかもADBもあることですし。韓国が入りそうですが、今度のリッパート事件でアメリカがどう出るかです。「二股外交」の矛盾が極限まできた感じです。朝鮮半島が中国の属国になれば、アメリカも「慰安婦問題」で日本を非難してきましたが、沙汰やみとなり、アジアの主役として復活させるような気がします。地政学的に言って、中国から地図を見ると日本と台湾は太平洋進出時の障碍物になります。日本は正しく「不沈空母」です。沖縄基地は第二次大戦時のアメリカの戦利品とも言われ、那覇市を中心に半径2000Kmの円を描くと東アジアの主要都市は網羅されます。地政学的に最重要戦略拠点をそんなに簡単にアメリカが手放すハズはありません。(その分日本の自立化が遅れるので痛し痒しですが。現実の中国の脅威を考えますとルトワックの言う多国間で同盟し、中国を封じ込めるしかない。それでも日本はもっと軍事予算を増やし、中国に対抗していかなければなりません。抑止力としての核も持つ必要があります)

記事

プラウダ(英語版)によれば、米ドルに替わって世界通貨の位置を狙う中国は、通貨スワップ取引を通じて人民元の市場を拡大してきたが、最近では英国が人民元建て国債を発行し、またマクドナルドが人民元建て社債をだして話題を呼んだように、「いよいよ米ドルに代替し、世界通貨となる事態が近い」と吠えた(2015年3月6日付け)。

 人民元取引を認めた市場は香港、シンガポールからフランクフルト、ルクセンブルグ、ロンドンと増え続けている。

世界の基軸通貨は80-100年周期でおこり、米ドルの基軸通貨体制の嚆矢は1921年から。

したがって「そろそろ時期的にも米ドル時代は終わり、つぎは人民元が世界通貨だ」と中国の儚い夢の応援団をプラウダが自ら買って出た。

 この幻想は【歴史の終わり】の文明観と酷似したファンタジーである。

 実態はと言えば、物々交換に近い貿易を人民元と相手国通貨との交換にしているだけ、中国国債は人民元建てだが、香港市場いがい本格的市場は成立していない。

いや、そもそも原油ガス、レアメタルから穀物相場、金銀銅マンガンに到るまで米ドル建てである。

米ドルが基軸通貨としてのサイクルの終焉が近づいている兆候さえない。いやいや、中国の富裕層はゴミ同然の人民元を一刻も早く米ドルかユーロなどの基軸通貨と切り替えて海外に逃がしている現状を、プラウダは意図的に無視している。

 さても面妖なるトピックはまだ続くのだ。

  ▼中国の金備蓄が3万トンを越えた??

世界的なゴールド・アナリストとして有名だというアラスデア・マクデルドは「2014年度までに中国は3万トンもの金備蓄をしている」と推定した(多維新聞網、3月6日付け)。

 同紙に拠れば1882年から2003年までに中国は25000トンの金備蓄をなし、次の11年でさらに5000トン増やして、3万トンを突破していると大胆な推測を述べた。

 世界の金備蓄ランキングで中国の国家備蓄は1054トンであり、過去十年の猛烈な民間の金が年平均500トンである。合計しても5000トン前後と見積もられる。

仮に後者の数字が正しいにせよ、中国の備蓄量は米国、ドイツに次ぎ、日本は740トンしかない。

金備蓄が大きいと、その国の通貨の信任が得られ、あるいは世界の通貨が金本位に復帰したときに価値が躍進する通貨となりうる。

 だが、どのような資料を捜しても、中国の金備蓄が30000トンというデータはない。人民元の世界通貨入りキャンペーンの一環として外国人を駆使してプロパガンダではないか、と思われる。

 そのうえ、中国の金の延べ棒は国際水準の99・99%(フォウナイン)ではなく、99・9(スリーナイン)である。つい四半世紀前までは96%で、これを「純金」として売られていたし、民間備蓄は延べ棒ではなくアクセサリーが主力である。

 まして国際的ウォッチャーの常識では、中国流の金備蓄とはミサイルの半分がセメントを流し込んだだけの囮であるように、クロームに金メッキをしたシロモノが多いのではないかと推定されている。

 いずれにしても中国の「大国幻像」が、面妖な仮説の洪水をもたらしているのではないか。 

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