韓国は冷静に自分自身を見つめることのできない民族ですね。「火病」と言われるように、何でも自己中心に考え、事大主義の「弱きを挫き、強きに諂う」のがありありです。でも、アメリカと中国という大国の狭間にあって、今までのような「二股外交」は許されなくなりました。旗幟鮮明にしなければ両方から相手にされなくなります。アメリカへの軍事依存、中国への経済依存、どちらかのメリットを失います。国内市場を開拓してこなかったツケです。財閥優遇、輸出主導の経済の限界です。今や日本人の大多数は中国人と韓国人を嫌っていると思います。あれだけ世界で日本を貶めまくっているのに平然としていられる日本人は少ないでしょう。しかも事実でなく、殆ど嘘ですから。韓国から泣きつかれても相手にしないことです。閔妃や大院君のように裏切りが当たり前ですから。
日本が韓国から学ぶべきは他者依存では厳しい国際社会で生き延びれないという事です。経済はアベノミクス、東京オリンピックで明るくなってきています。国民が軍事にもっと関心を持ち、政府の後押しをしなければなりません。
記事
韓国の進退は極まった――。「米大使襲撃事件」を韓国の識者、Aさんに聞いた(注)。
(注)Aさんは韓国を冷静に語る人で「安倍首相の韓国語は失敗でした」などに登場している。
零下の街頭で踊る
A:韓国は窮地に陥りました。3月5日にリッパート(Mark W. Lippert)駐韓米大使への襲撃事件が起きたからです。「米国から見捨てられるかもしれない」と韓国人は首をすくめています。
事件2日後の7日に市内の米国大使館の前を通ったら「大使を愛しています」などと書いたプラカードを掲げた人々が立っていました。
負傷した大使の治癒を祈るつもりで、カネや太鼓で踊っている人々もいました。ろくに風をさえぎるものもない、下手すれば摂氏零度以下の場所で、です。
この事件で韓国は米国に大きな借りができました。THAAD(サード=終末高高度防衛ミサイル)の在韓米軍基地への配備も、もう拒否できなくなるかもしれません。
中国が進めるアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加も見合わせようとの空気が濃くなるかと思います。そもそも「AIIBには参加するな」と米国に強く止められていましたから(「米中星取表」参照)。
米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求をのんだか
(○は要求をのませた国、―はまだ勝負がつかない案件、△は現時点での優勢を示す。2015年3月9日現在)
案件 | 米国 | 中国 | 状況 |
日本の集団的自衛権 の行使容認 | ● | ○ | 2014年7月の会談で朴大統領は習近平主席と「各国が憂慮」で意見が一致 |
米国主導の MDへの参加 | ● | ○ | 中国の威嚇に屈し参加せず。代わりに「韓国型MD」を採用へ |
在韓米軍への THAAD配備 | ― | ― | 韓国国防相は一度は賛成したが、中国の反対で後退 |
日韓軍事情報保護協定 | ▼ | △ | 中国の圧力で署名直前に拒否。米も入り「北朝鮮の核・ミサイル」に限定したうえ覚書に格下げ |
米韓合同軍事演習 の中断 | ○ | ● | 中国が公式の場で中断を要求したが、予定通り実施 |
CICAへの 正式参加(注1) | ● | ○ | 正式会員として上海会議に参加。朴大統領は習主席に「成功をお祝い」 |
CICAでの 反米宣言支持 | ○ | ● | 2014年の上海会議では賛同せず。米国の圧力の結果か |
AIIBへの 加盟 (注2) | △ | ▼ | 米国の反対で2014年7月の中韓首脳会談では表明見送り、継続協議に |
FTAAP (注3) | ● | ○ | 2014年のAPECで朴大統領「積極的に支持」 |
(注1)中国はCICA(アジア信頼醸成措置会議)を、米国をアジアから締め出す組織として活用。
(注2)中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)を、米国と日本が力を持つADB(アジア開発銀行)への対抗馬として育てる計画。
(注3)米国が主導するTPP(環太平洋経済連携協定)を牽制するため、中国が掲げる。
いずれにせよ、この事件は尾を引くと思います。単なる大使傷害事件ではないのです。米国が韓国に対し「中国側に行くつもりか」と警戒する最中に起きた事件だったからです。
ことに2月27日、米国のシャーマン(Wendy R. Sherman)国務次官がワシントンで「 Remarks on Northeast Asia 」と題して演説し「中国とスクラムを組んで日本を叩く韓国」を牽制した直後でした。
そして米国務次官に対し、韓国紙が一斉に「日本の味方をするのか」「発言を取り消せ」と反撃する最中でもありました。
「いわゆる慰安婦」にも激怒
鈴置:犯人は「オバマはなぜ変わったのか」と言いながら米大使を襲ったと報じられています。
一方、ワシントンでのシャーマン国務次官の演説に対し、韓国各紙は「慰安婦などに対する米国の姿勢が変わった」と非難していました。
例えば、朝鮮日報の3月3日社説「米国務次官の誤った過去史発言、これは見過ごせない 」(韓国語版)が典型です。日本語版の見出しは「看過できない米国務次官の『韓中日共同責任論』 」です。
- シャーマン国務次官は「民族感情は悪用されかねず、政治指導者が過去の敵を非難し、安っぽい拍手を受けることは容易なことだ。しかし、そんな挑発は発展ではなくマヒをもたらす」と述べた。
- この部分は暗に韓国を指したと思われる。しかし日本に対しては、一言も謝罪と反省を求めなかった。
- シャーマン国務次官は今回、外交的には使ってはならない不適切極まりない表現を遠慮なく使った。オバマ(Barack Obama)大統領が2014年4月に訪韓した際には、慰安婦問題に関し「実にひどい人権侵害だ」と述べている。何が米政府の公式の立場なのかはっきりさせる必要がある。
なお、講演の中でシャーマン国務次官は「いわゆる慰安婦」(so-called comfort women)という、日本批判を避けるような呼称を使いました。
「性奴隷」(sex slave)という単語を使ってほしい韓国人の癇に相当に障ったようで、この言葉使いにもメディアは怒りをぶつけました。
犯人は左派の民族主義者
さて、犯人が「オバマが変わった」と批判したところを見ると、やはりシャーマン演説に触発されて米大使を襲撃した、ということでしょうか。
事件直後の5日午後の国会・外交統一委員会で、ある議員も「シャーマン発言に対し我が国がちゃんと(強く)対応しなかったことが襲撃事件の素地となった」と政府を批判しています。
A:犯人の断片的な言動だけでは、事件と米国務次官の発言との関連は判断できません。ただ襲撃犯は「我が庭 独島の守り」なる民族主義的な組織の代表です。
鈴置:この人は北朝鮮との関係改善を求める左派でもありますよね。左派でかつ、民族派の反日・反米運動家――という日本人には理解しにくい人です。
A:いずれにせよ、反米活動家です。鈴置さんの表現を借りれば「韓国が離米従中し始めた」と米国が神経を尖らせる中、この反米運動家が米大使を刃渡り25センチのナイフで襲ったのです。
大使はほほや腕に傷を負い、80針も縫いました。あと2センチずれていれば頸動脈を切っていたといいます。
米国が「韓国の真意」を疑うのは当然です。そして疑われた韓国人は「裏切り者と見なされ、米国に見捨てられないか」と恐れ始めたのです。
テロリストに執行猶予
鈴置:シャーマン国務次官にすれば「だから私が言ったでしょ」と、韓国に文句のひとつでもつけたいでしょうね。
韓国政府が「安っぽい拍手を得ようと、安易に民族主義を煽っていたら」――日本大使への暴力事件を起こした民族主義者を野放しにしていたら、同じ男に今度は米国大使が襲われてしまった――のです。国務次官の警告がすぐさま現実になったわけです。
米大使襲撃犯の金基宗(キム・キジョン)代表は2010年7月に日本大使を襲った人物です。ソウルで講演中の重家俊範・駐韓大使(当時)にコンクリート片を投げつけ、横にいた日本大使館員が負傷しました。
裁判では懲役2年の判決でしたが、3年の執行猶予が付きました。今となっては「テロリストに執行猶予など付けるから、いい気になって米大使を襲撃したのだ」と韓国人は言い始めました。
しかし日本大使襲撃直後の韓国メディアは犯人を英雄扱いし、インタビューまでしました。現場にいた記者によると、警察も現場にすぐには駆けつけなかったそうです。事件化すべきかどうか、上の判断を仰いでいたと思われます。
犯人は2014年になっても国会議員の紹介で、国会図書館の講堂を借りて集会を開いていた――と韓国紙は報じています。
黒幕を探せ
A:今回の事件で、左派系紙は政府の警備ミスを追及しています。左派の活動家が犯人だったので、自分たちへの風当たりを少しでも減らす目的です。
鈴置:一方、保守系紙は犯人と北朝鮮とのつながりを疑う紙面を作っていますね。この機会に左派を攻撃しようということなのでしょうけれど、責任転嫁の臭いもします。
韓国保守派の謝罪デモの光景をネットで見ました。北朝鮮の国旗を燃やし、金日成(キム・イルソン)、金正日(キム・ジョンイル)、金正恩(キム・ジョンウン)の3代指導者の写真にバツを付けて掲げる――。もう、北朝鮮が主犯の扱いです。
朴槿恵(パク・クンヘ)大統領も「黒幕を探せ」と指示しています。政権としては何とかして「北朝鮮の仕業」にしたいところでしょう。
事件の背景に「安っぽい民族感情の悪用」があると米国に見なされたら、韓国政府がもろに責任をかぶることになってしまうのです。
A:今、韓国紙は必死で「韓米関係に悪影響なし」と書いています。もちろん多くの人が悪影響を懸念しているからです。
日本でもライシャワー(Edwin O. Reischauer)米国大使が襲撃されました。確か、昭和39年(1964年)でした。日本の新聞は日米関係を懸念しましたか?
51年前のライシャワー事件
鈴置:私も今回の事件をライシャワー刺傷事件と比べようと、当時の日本の新聞をいくつか読みました。もちろん、各紙とも米国の反応を大きく報じるなど、悪影響に気を使った紙面づくりでした。
ただ、それは翌日付の紙面ぐらい。現在の韓国メディアが事件後連日、米韓関係に焦点を当てるのとは明らかに異なります。
ライシャワー事件の頃、日米関係は良好だったし、犯人はその時の新聞の表現によれば「異常性格」(1964年3月24日の日経夕刊1面)だったからです。
それでも日本政府は直ちに池田首相が親書を送るなど遺憾の意を示したうえ、国家公安委員長を辞任させました。
ジョンソン(Lyndon Johnson)大統領も「両国間の深い友好と理解には全く関係ない」との返書を、時差があるとはいえ何と事件当日の24日に送っています。
今回の韓国の事件は「政治テロ」と韓国メディアが表現する性質のものです。偶発的な要素が濃く、尾を引かなかった「ライシャワー事件」とは単純に比べられないと思います。
すぐに謝る日本人
ちなみに事件翌日の1964年3月25日の社説の見出しは以下です。
- 日経「遺憾なライシャワー大使の遭難」
- 読売「遺憾な米大使傷害事件」
- 朝日「ラ大使と米国民にわびる」
A:「わびる」ですか。本当に謝るのが好きですね、日本人は。何かあると、とにかく謝ってしまう。
鈴置:逆の意味で、韓国紙の社説には驚きました。事件の翌日、3月6日付の各紙の社説の見出しは以下でした。
- 中央日報「米大使へのテロは大韓民国へのテロだ」「今回のテロによる米韓同盟への逆風を防げ」
- 朝鮮日報「駐韓米大使テロにあたり、韓米同盟の決意を見せねば」
- 東亜日報「襲われても『ともに歩もう』という米大使、韓米同盟の底力を見せた」
「わびの言葉」が見出しに一切ないのです。
A:簡単にはわびないのが韓国人です。というか、日本人が簡単に謝り過ぎるのです。
韓国こそ被害者だ!
鈴置:もう1つ驚いたのが、中央日報の「大韓民国へのテロだ」です。朴槿恵大統領も「韓米同盟へのテロ」と語りましたが、韓国はいつの間にか被害者になっています。
A:それが韓国人です。
鈴置:実利的にも、被害者になりすましておかないと「危険な民族主義を放置した加害国」になってしまうからでしょうね。
ここで質問です。お話の冒頭で「この事件により、韓国は米軍のTHAAD配備を受け入れることになるかもしれない」と仰いました。米国は大人ですから、要求に事件を露骨には絡めないと思うのですが……。
A:米国が言及しなくとも、委縮した韓国側が先に言い出すかもしれません。それほどに韓国人は米国の怒りを恐れているのです。
新聞も「米国は怒っていない」との報道をしつこいほど繰り返しています。「本当は怒っているのではないか」と韓国人が悩んでいるからです。
鈴置:ライシャワー事件とは異なって「怒っていないから安心しろ」との米大統領の親書が届いていませんしね。
ご指摘のように、普通の人や外交当局は「ここでは米国に恭順の意を見せておこう」と考えるかもしれません。でも、朴槿恵大統領がそう考えるでしょうか。
米国には甘えても大丈夫
A:確かに韓国はもう、米国側に戻れないかもしれません。中国側に行き過ぎていて、そんなことをすれば、中国からどんなイジメに遭うか分からないからです。
韓国は引き返すことも前に進むこともできない――進退極まったのです。「米中二股」などという小賢しい外交を展開し、韓国は自分の首を絞めたのです。
鈴置:米国はすでに――2013年秋から「二股の韓国」あるいは「離米従中の韓国」に本気で怒り出していました。なぜ韓国人はそれに神経を配らなかったのでしょうか(「天動説で四面楚歌に陥った韓国」参照)。
A:「米中二股派」や「親中派」は米国の意向など気にしない。一方、いまだ残る「親米派」は「少々甘えても米国は怒らない」と信じ込んでいる。結局、だれも真剣に米国の変化を見つめていなかったのです。
真田幸光教授との対談「『人民元で生きる決意』を固めた韓国」を非常に面白く読みました。ことに米国が日本に「韓国とスワップを結ぶな」と指示するくだりです。
韓国人は米国の恐ろしさを分かっていない。通貨危機の1997年当時も、米国の韓国に対する姿勢の変化を見落とし、国際通貨基金(IMF)による救済という大恥をかいたのです。
すぐに拳骨を振り回す中国の顔色は不必要なほどに見るというのに。日本の外務省のホームページに関してもそうです。
ブレーキ役が消えた韓国
鈴置:3月以降、ホームページの韓国の項目から「自由と民主主義、市場経済という基本的な価値を共有する国」という表現が消えた“事件”ですね。
A:ええ、それに韓国人は驚いたのです。日本人が韓国をどう見ているかに全く無頓着だったからです。
鈴置:1990年代までは、金鍾泌(キム・ジョンピル)という知日派の大物政治家が現役で活躍していました。
韓国の日本批判が一定の限度を超えると「さすがに日本人も怒り出すぞ。これぐらいでやめておけ」などと、ブレーキをかけたものです。が、今は知日派もいなければ、日本に神経を使おうという空気もない。
A:その通りです。こんなことをしているうちに日本からは見限られ、米国からは見捨てられるでしょう。体力が衰えた米国がいつまで大陸に橋頭堡を確保しようと思うか、分かりません。
と言うのにTHAADやAIIBでは中国の顔色を見てばかり。米国が国務次官のスピーチを通じて韓国に警告を発すれば、メディアは逆切れする。挙句の果ては駐韓米大使への襲撃です。
鈴置さんの『「三面楚歌」にようやく気づいた韓国』を読みました。エピローグに「韓国の将来の3つのシナリオ」があります。
朝鮮半島をよく研究した、面白い予想です。でも、どれも当たらないと思います。なぜなら、韓国は中国側の国となってしまう可能性が高いからです。
死に体の韓国は中国傘下に
鈴置:「シナリオ2」はまさに「中国化」コースを予想しているのですが……。
A:そのシナリオは、形式的には法的な中立化が保障される――との前提付きです。私はこのままでは実質だけではなく、名分でも中国の傘下に入るのではないか、と悲観しているのです。
これから韓国が正念場を迎えるというのに、大統領は任期を3年も残してレームダック(死に体)。「一時は20%台に落ちた支持率が、30%台に戻った」などと、前向きにとらえる向きもあります。
しかし肝心なのは不支持率です。過半数の国民からそっぽを向かれたら、大統領は何もできない。
鈴置:2015年が明けて以降、保守系紙でさえ大統領が何かやれば批判し、何もしないと言ってまた批判するようになりました。
A:そして不支持率はその頃からずっと50%を超え、時に60%台に乗るのです。韓国は今、米大使襲撃事件で大騒ぎ。でもうわべの騒ぎだけではなく、この国の奥深くでものごとがどう動くか、じっくりと見るべきでしょう。