中国のGDPは公式発表の6.9%ではなく、5%程度と言う人もいますが、李国強指数からいって水面下と思われます。1/26日経の記事「日中が新経済協議」の中で、「日銀と人民銀行は円と人民元を交換する通貨協定の再締結を交渉している。・・・・・・南シナ海の領土問題や歴史認識問題は残るが経済分野では連携を深める」とありました。どうせ裏で財務省が動いているのでしょうが(日銀は財務省の子会社でしょう)、大局観の無い連中です。日本の強みは経済しかありません。その経済を外交カードとして使わねば。南シナ海、歴史認識、東シナ海について中国が日本の言い分を聞いて初めてスワップを認めなければ。敵が苦しんでいる時に手を差し伸べるのは「愚か者」のすることです。
中国の過剰在庫、過剰雇用を外国への輸出で賄おうとする(「一帯一路」)と、世界にデフレを齎します。価格低下で自国の産業がダメになり、中国人が跋扈すれば自国の文化が駆逐(悪貨は良貨を駆逐する)されます。世界は中国のやり方に反対しないと。金に目が眩んではなりません。
中国系企業も人民元安を見据えて、外貨建て債務の返済を積極化しているという記事です。利に敏い中国人ですから、機敏に動くでしょう。日本人も中国市場から撤退を急がねば、と言っても手遅れかも知れませんが。完全撤退するには2,3年はかかるでしょうから。伊藤忠のCITICへの6000億円投資は失敗でしょう。
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中国の景気減速を世界中が心配している。
2015年の成長率は6.9%と25年ぶりの低水準。それでも中国は本格的な景気対策へは動かない。それを宣言する記事が年明け早々の4日、共産党機関紙「人民日報」に載った。タイトルは「供給サイドの構造改革が新常態を導く」だ。 新常態とは高成長から中高成長への移行を指す。
それを実現するために需要拡大よりも、過剰な供給能力の解消に力を入れるというのが見出しの意味だ。具体的には余った生産設備を整理し、利益を出せない「ゾンビ企業」の淘汰を進める。
官製メディアが経済の構造改革の必要性を訴えるのは珍しいことではない。問題はこの文章の主語だ。
記事は「権威人士」が取材に応えるという形式をとっているが、SMBC日興証券の肖敏捷シニアエコノミストは「内容は、習近平国家主席の意向を強く反映している」と指摘する。 その根拠として挙げるのが「2つのテーブルで食事を用意したが、客が来たのは1つのテーブルだけ。 完食できない」などの独特の表現だ。過剰生産能力を例えたこの文章は、かみ砕いた言い方を好む習氏の特徴が強く出ているという。
そう思って読むと、記事の持つ重みが違ってくる。「各レベルの幹部を激励するとともに、監督もし続ける」。
内容に沿って動くかどうかが、地方の幹部の昇進を左右するとの通告だ。地方政府が保護し続けてきた赤字のゾンビ企業の整理はそれを象徴する。
需要刺激の抑制は、昨年の成長率を発表した19日の記者会見でも論点になった。
「融資の伸びは昨年が14.3%で08年が18.8%、固定資産投資の伸びは昨年が10%で08年が26.6%」。
王保安国家統計局長はリーマン・ショック時とは違い、無理に景気をふかしていないと強調した。
需要を刺激せずに企業を整理すれば成長率がさらに落ち、国内外に影響を及ぼす。国内の最大の懸念は雇用。不採算企業の淘汰はリストラを通して失業増を招く恐れがある。この点で人民日報の記事は「陣痛は避けられない」と指摘。王局長は会見で「雇用政策や失業保険の改善」などで対応すると説明した。
一方、海外は中国の需要減退に身構える。過剰生産能力を代表するのが鉄鋼。中国鋼鉄工業協会は昨年11月、公式の場で先行きの厳しさを打ち明けた。「鉄鋼の消費量は15年の6.9億トンから30年には4.9億トンに減るだろう」。需要の減少と設備の廃棄のいたちごっこはこれからも続く。その間、国内で余った鋼材が海外にあふれ出し、国際市況を揺さぶる可能性は否定できない。
年明けの株価下落への中国の対応は、市場の急変に不慣れで慌てるさまを露呈した(=市場経済を理解していないテクノクラートが施策を立案実行しているリスク)。だが景気への対応では当局の姿勢は揺らいでいない。 積年の課題である構造改革の断行は、基盤を固めた習氏だから可能だともいえる。だがそれは薄氷の上を行く道のりになる。
中国は社会不安を回避できるのか。今後も長く続く中国の減速に世界は耐えられるのか。国内外で緊張が続く。(編集委員 吉田忠則)
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中国経済の減速に端を発した通貨や株式、資源安が続く市場の混乱に対し、アジア企業が防衛に動き出した。中国では人民元安のリスク軽減へ航空や鉄鋼大手が外貨建て債務の前倒し返済を進める。東南アジアではマレーシアの国営石油大手ペトロナスが設備投資や人件費の500億リンギ(約1兆3千億円)削減を打ち出し、中国への輸出依存度を見直す企業も出てきた。市場の先行きが不透明ななか、アジア企業で財務面での対策やリストラが広がりそうだ。
急激な人民元安は一服したものの依然として先安観は強く、中国企業が対策を急いでいる。三大航空会社のひとつ、中国東方航空は4日、10億ドル(約1180億円)の外貨建て債務を前倒しで返済したと発表した。
航空会社はいずれも外貨建て債務が多く、元安によって返済負担が増すことを回避する狙いがある。長江証券によると、東方航空は人民元が対ドルで1%下落すると、為替差損が6億~7億元(100億~120億円)発生するという。
「為替差損の増加によって利益水準が大幅に減少した」。宝山鋼鉄は20日、2015年12月期の純利益が前期比83%減ったもようだと発表した。こうしたなか、同社も人民元の対ドルでの大幅下落を受けて、6月末時点で33億ドルあった米ドル建ての短期債務の前倒し償還に踏み切った。
ただ長期の米ドル建てのほか、ユーロ建てや日本円建てなど多額の外貨建て債務は残り、業績への悪影響懸念は続く。
為替デリバティブによって元安対策を進めるのが中国石炭最大手の中国神華能源だ。今年から為替デリバティブを採用し、元安リスクの回避を始めた。同社は昨年12月時点で円建て債務を454億円、ドル建て債務を10億ドル抱えていた。
為替デリバティブの採用は「外貨建て債務による為替リスクの発生を抑える」目的で為替スワップやオプション、先物取引によって為替リスクを回避するという。資源価格の下落に為替差損が重なる懸念が強いからだ。
台湾・仁宝電脳や韓国・ポスコ、中国以外の市場も開拓
中国向け輸出が全体の4分の1を占める台湾、韓国では他市場の開拓を目指す動きもある。
「インドのニューデリー郊外にスマートフォン(スマホ)用の工場を設置する」。台湾の電子機器受託製造サービス(EMS)大手、仁宝電脳工業(コンパル)の陳瑞聡・総経理は15日の記者会見で表明した。当初の月産能力は50万台で3月にも稼働させる。スマホ市場の成長力が比較的高いインドで現地生産し、需要を取り込む戦略だ。
韓国鉄鋼最大手のポスコは15年12月期に初の連結最終赤字になったとの見方が広がっている。ウォン安の進展で外貨建て負債の為替差損の発生が響いたもよう。収益力の強化へ、メキシコやタイなどで好採算の自動車用鋼板の販売を強化する方針を打ち出している。
マレーシアのペトロナス、設備投資など1.3兆円減
中国発の変調の影響は東南アジア企業にも広がる。マレーシアの国営石油大手ペトロナスは19日「原油価格下落に対応してコストの見直しを進めている」との声明を発表した。今後4年で設備投資や人件費を500億リンギ減らす計画が軸だ。中国の需要減退を起点に原油相場は年明けから一段と下げ資源関連企業で規模拡大の先送りが目立つ。
国を代表する企業の投資削減は幅広い企業の収益を圧迫する。CIMBグループなど大手銀行は一斉に人員削減に踏み切っている。雇用や所得への不安で個人消費が縮み、小売りなどに影響を与える可能性がある。
インドネシアの石炭大手アダロ・エナジーは中国依存の引き下げに動き始めた。中国向け輸出が売上高の1割強を占め、収益が悪化傾向にあるためだ。ガリバルディ・トヒル社長兼最高経営責任者(CEO)は1月上旬地元メディアに対し「発電所など国内での投資に力を注ぐ」と話した。
株式市場にも連鎖した。フィリピンのカジノ大手ブルームベリー・リゾーツの株価は年初から3割超下落。上海株下落で中国富裕層の利用が鈍るとの連想からだ。中国向けが好調だったシンガポールの健康器具大手オシム・インターナショナルの下落率も30%近い。
中国経済の減速は2つのルートで東南アジア企業を揺さぶる。中国の需要減退による販売低迷と中国の過剰生産による価格の下落だ。変調の兆しから一足早く他の市場開拓を進める企業もある。
タイ食品大手チャロン・ポカパン(CP)フーズは欧州の食品工場や外食企業の買収を続ける。親会社のCPグループは中国事業が成長の原動力となったが、中国依存を薄める。小売りのセントラル・グループも中国の店を閉める一方、独老舗百貨店3店を買収した。
ただこうした動きは一部にとどまる。各社は中国需要を見込み外貨建て債務を増やし、通貨安で返済負担に苦しむ。新たな成長戦略を打てる企業は限られるのが現状だ。
(上海=土居倫之、シンガポール=吉田渉、台北=山下和成)