1/14日経ビジネスオンライン 長尾賢『中国を追い、周辺国が潜水艦を相次ぎ増強 日本の技術を安全保障協力の柱に』について

一昨日の台湾・立法院議員選の結果です。(1/17毎日新聞より抜粋)。民進党単独で大幅に過半数を上回りました。太陽花学運の支持者からなる「時代力量」党も5人当選しました。彼らの選挙スローガンは「国民党議員を落選させる&民進党の監視」でしたから、民進党が派閥争いせず、蔡英文総統の下に一致団結して、政策展開していってほしいと思っています。日本も台湾経済を引き上げるため、(と言うより中国に偏り過ぎた経済の修正のため)早期にTPP加盟できるように他の11ケ国に根回ししなければ。保守派でTPP反対派がいますが、中国封じ込めには非常に有効な政策だと思っています。1/17日経には「15歳~24歳の失業率が昨年11月の時点で12.3%と全体平均の3倍超」とありました。一般的には全体平均の2倍と言われていますので、若者に皺寄せが生き、それを政治が掬い取れなかった結果が今般の選挙でしょう。

the election of congress in Taiwan in 2016

中国は孤立化の道を歩んでいるように見えます。中国に擦り寄って行った韓国も北朝鮮の偽水爆実験でやっと中国の本音に気付き軌道修正しているように見えます。まあ、反日の病は治る事はないでしょうから、日本政府は軍事的・経済的に助けることはしないでほしい。今度習近平は1/19~23「サウジ、エジプト、イラン」を訪問します。「一帯一路」「AIIB」について話合うのでしょうが、「AIIB」の無格付債で資金を集めようとしても、ジャンク債以下なので金利が非常に高くなり、購入する人・機関が出て来るかどうか。そうなると資本金の範囲(1000億$)内での事業となりますので、大幅に手を広げることはできません。ADB(総裁は財務省出身の中尾武彦財務官)や日銀(総裁は黒田元財務官)は助けることのないように。

日本の潜水艦は優秀、対潜哨戒機も優秀と言われています。しかし、いくら技術が優秀であっても敵に盗み取られてしまっては何にもなりません。豪へ輸出するときにはキーとなる部分はブラックボックスにして、素人考えですが無理に開けると爆発して使えなくするようにしないと。台湾軍、韓国軍、日本の自衛隊も中露にリークしましたから。気を付けないと。しかし、オバマは本当にダメな大統領ですね。でも、結果として日本の自立に繋がるのであれば、それも良しとしましょう。狙いは中国の軍事膨張主義の封じ込めです。多国間で封じ込め、戦争を抑止しないと。

記事

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図1:関係国配置図

昨今、日本の周辺地域で潜水艦の数が増えている。以下の図2から4は、1990年代から2020年代までの、各国の潜水艦保有数の動向(計画も含む)をまとめたものである。東シナ海沿岸国、南シナ海沿岸国、インド洋沿岸国に分けてまとめてみた。米国と中国はすべての地域にかかわるため図5として別にまとめている。

 こうしてみてみると、どの地域も潜水艦の数が増えていることが分かる。東シナ海周辺国の潜水艦は、1990年代から2015年の間に2倍弱(19→34隻)に増えている。各国の導入計画がその通りすすめば、2020年代には4倍近く(72隻以上)になる可能性がある。南シナ海周辺国の潜水艦も、すでに3倍(6→18隻)まで増えており、2020年代には6倍以上(38隻以上)になる可能性がある。インド洋も同様だ(36→41隻)。2020年代には1.5倍弱(51隻以上)になるかもしれない。

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図2: 東シナ海沿岸国・地域の潜水艦保有数動向 参照: The International Institute for Strategic Studies, “The Military Balance”ほか、報道など

 

 

 

 

 

 

 

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図3:南シナ海沿岸国の潜水艦保有数推移 参照: The International Institute for Strategic Studies, “The Military Balance”ほか、報道など

 

 

 

 

 

 

 

submarine-4図4:インド洋沿岸国の潜水艦保有数推移 参照: The International Institute for Strategic Studies, “The Military Balance”ほか、報道など

米国と中国はどうだろうか。図5はそれを表したものだ。意外なことに両国とも潜水艦を減らしている。米国は127隻から73隻へ、中国は94隻から70隻になっている。ただ、米中のデータには注意が必要だ。新しく増やした潜水艦の数に限って見ると、米国は11隻、中国は41隻で事情が大きく違う(図6)。もともとあった米中の大きな実力差は、年とともに縮まりつつある。実際、米海軍幹部は米下院軍事委員会で、中国海軍の潜水艦保有数は2015年2月の段階で米海軍を上回ったと報告している(注1)。

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図5:米中の潜水艦保有数推移 参照: The International Institute for Strategic Studies, “The Military Balance”ほか、報道など。中国の2020年代の潜水艦保有数については不明。

 

submarine-6図6:2000~2014年の各国の新規潜水艦配備数 参照: The International Institute for Strategic Studies, “The Military Balance”ほか、報道など

(注1)「中国の潜水艦保有数、米国を上回る=米海軍幹部」(ロイター、2015年2月26日) ※この報告では米国の潜水艦保有数は71隻になっている。

 

 

 

なぜ潜水艦?

 各国はなぜ潜水艦戦力を増強するのであろうか。潜水艦の特徴は少なくとも3つある。

 1つ目は、潜水艦が純粋に国家を相手にした軍事用の武器であることだ。人道支援や災害派遣では役に立たない。2つ目は、潜水艦は軍事用としてはコストパフォーマンスがよいことである。潜水艦は隠れ、敵を待ち伏せて戦う。敵の海軍は、潜水艦がどこにいるのかわからないので不安になる。不安になると、行動が慎重になる。つまり潜水艦は、隠れているだけで抑止力を発揮する。だから小さな海軍でも、潜水艦を保有していれば、大国の海軍にプレッシャーをかけることができる。

 3つ目は、潜水艦が相手国の軍事情報を収集する手段として有用なことだ。潜水艦は隠れて情報収集ができる。秘密の多い国際情勢の中で、正確な情報を把握するには、潜水艦による情報収集が有用だ。

 つまり、潜水艦を増強している国は、強大な国家を対象として抑止力を発揮すること、そして、情報収集を目的としていることになる。まず米海軍に対抗しようとして中国海軍は潜水艦を増強した。その潜水艦は、東シナ海、南シナ海、インド洋でまでも活発に活動するようになった。その結果、中国海軍に対抗しようとして、中国の周辺国も潜水艦を増強したのである。だから2000年代後半以降、中国の海洋進出が活発化すればするほど、各国の潜水艦保有計画にも拍車がかかり、ますます増加する傾向になっているのだ。

拡大する潜水艦輸出競争

 現在、この潜水艦競争は、新たな段階に入り始めている。それは、輸出競争だ。中国に対抗しようとする中国の周辺国は、潜水艦を輸入して増強した。例えばベトナムはロシアから潜水艦を輸入し、訓練はインドに依頼している。

 これをみた中国は、インドの周辺国に潜水艦を輸出し始めた。具体的には、パキスタンへ8隻、バングラデシュに2隻の輸出を計画している。インドが海軍を動かす際に、周辺国の潜水艦がどこにいるかは、常に心配になる。中国としては、潜水艦を輸出することでインド海軍の動きを抑えることができる。中国は今後、パキスタンが原子力潜水艦を保有する計画も支援する可能性がある。

 このような動きに対して、インドは米国から対潜水艦用の哨戒機を輸入するなどして対抗している。インドはロシアからリースしている原子力潜水艦をもう1隻増やして、2隻体制にする予定だ。さらに国産原潜9隻も建造予定で、1隻目が就役に近づいている。潜水艦の輸出入は、競争激化する地域の防衛力近代化競争の象徴的存在になっている。

日本にとって鍵になる潜水艦外交

 ここからいえることは何か。まず、米国に比べ、他の国が潜水艦戦力を増強していることは、米国の存在感がそれだけ落ちていることを示している。第2に、潜水艦を増強していることは、国家間のパワーゲームが激化していること、特に中国と、その影響力拡大を懸念する国々との間で競争が高まり始めていることを示している。第3に、このような環境の中で、潜水艦輸出が外交カードとしてより影響力を増しつつあることも示している。

 こうしてみると、日本の存在は重要性を増している。日本は優れた潜水艦を保有する国であり、現在、潜水艦戦力を18隻から24隻へ増強している最中だ。そして、その潜水艦を友好国との協力増進のために使い始めている。具体的にはオーストラリアへの輸出を決めた(注:日本はオーストラリアから受注してはいない)。中国の急速な海軍力近代化に対抗して、日米豪で協力してパワーバランスを維持しようとする努力の一環だ。

 中国が潜水艦を増強する速度は速いことから、今後、日本は、友好国とのより緊密な協力が必要になる。そのためには、オーストラリアだけでなくインドや東南アジア各国に対しても、協力を促進する必要がある。具体的には、潜水艦や哨戒機、潜水艦探知用のソナーなどを含めた輸出、運用ノウハウの共有、潜水艦を使った共同訓練、情報共有などが挙げられるだろう。日本にはすぐれた戦力、人的・技術的基盤があるのだから、それを外交カードとしてどれだけ生かすことができるか、日本の政治力が問われている。