11/18ダイヤモンドオンライン ロイター<トランプ大統領のアジア歴訪で喜んだ国、戸惑った国>。読後感として上っ面しか見てない感じです。まあ、ハナからトランプに良い印象を持っていない人が書いているのでしょう。批判が許される自由主義社会のリーダーは簡単に批判できますが、批判が許されない極悪非道の専制共産主義国家のリーダーを世界に開かれた自由貿易のリーダーとして持て囃すのですから、倒錯としか言いようがないです。(ロイター記事とはこの部分は関係ありませんが)
http://diamond.jp/articles/-/150006?page=4
韓国は約束破りの名人です。南京も慰安婦も中国と彼らのでっち上げと言うのが少しずつ国民に浸透してきました。中国・朝鮮半島は国連人権理事会と言う左翼組織を使い、慰安婦問題で日本に勧告してきましたが、文在寅はそれが韓・日米分断になるのが分かっていて靡いているように見えます。日本は相手にしないのでは駄目で、反撃のチャンスと思わねば歴史戦(戦争は既に始まっている)には勝てません。
11/18藤岡信勝氏のfacebook投稿より
<日韓合意は2015年12月28日に公表された。この時ほど落胆したことはなかった。滅多に落ち込まない私も、体に変調を来し、治るのに4、5日を要した。安倍内閣は日本の名誉を守れない政権であることがハッキリした。中西輝政氏は、日韓合意が河野談話の固定化・永続化だったと意味づけている。(『ニッポンはなぜ歴史戦に負け続けるのか』)まったく同感である。しかし、当時、事の本質を見抜いていた人は多くはなかった。保守言論人の多くは、何と日韓合意は安倍政権の外交的成果だと褒め称えたのである。
山岡鉄秀氏は、この時、事態を見通していた人の一人だった。氏はオーストラリアの慰安婦像を阻止した団体のリーダーだった。そのグループが日韓合意についての世界中のメディアの論調を素早く集めて官邸や各政党に送った。これが転機となった。翌年の1月18日、中山恭子先生が参議院予算委員会で質問し、安倍総理は慰安婦問題の3点セット(強制連行、性奴隷、20万人)を全て否定する答弁をした。先日、中山恭子先生が主催する政治塾で「歴史戦の構図と争点」という講義をさせていただいたが、殆どの受講生は中山質問の意味を知らなかったように見受けられた。
さて、日韓合意はオバマ政権が4年前から日本に譲歩させるべく策動を続けてきた結果でもあった。今やトランプ大統領のもとで、政権の性格は根本的に変わった。トランプはアメリカでゴルフをしながら、「シンゾー、『iannfu』って、何だ?」と聞いてきた。安倍総理が説明すると大笑いしたそうだ。
しかし、残念ながら、昨今の韓国政府のふるまいに対する政府の反応は、普通の国民の意識よりもさらに遅れている。もはや、この問題でアメリカ政府から圧力がかけられる状況にはない。政府はすでに明らかになった事実に基づいて、断固として反撃するべきだ。逃げ腰になってはならない。あれだけの得票と議席を取って国民からの圧倒的支持を得たにもかかわらず、安倍政権の政策は全体としてモタモタしていて、切れ味が感じられない。しっかりしていただきたい。
と、思っていたら、山岡氏がフェイスブックに投稿されていたので、シェアーさせていただくことにした。
◆山岡 鉄秀氏の投稿(16時間前) ・ 日韓合意の直後、私は「韓国は金を受け取り次第、反日活動を民間にやらせて裏から支援する戦術に出る」と明言していた。新しい手法でもなんでもない。わかりきったことだ。そのわかりきったことがなぜ予想できないのか、それこそまったく理解できない。「強制連行した根拠はない」とだけ言っても駄目である。そもそも、慰安婦制度とは何だったのか?何のために設置したのか?問題点はなんだったのか?強制連行していないなら、なぜ日本政府は謝り続けて来たのか?などを明確に説明できなくてはならない。つまり、自らの立場を立論する、ということだ。それをせずに、相手の顔色ばかりを伺って、「遺憾だ、残念だ」を繰り返しても何の説得力もない。日韓合意で慰安婦問題が収束するどころか、世界中にまき散らされたのは当たり前だ。日本政府がすべての罪を公式に認めたのだから。友人のイギリス人弁護士が吐き捨てるように言った。「日本政府が謝罪して金を払った時点で慰安婦問題は終わった」日本政府はいい加減に腹を決めて、一次資料に基づく立論をし、慰安婦制度とは何だったのか、慰安婦は実在したが、慰安婦問題は存在しなかったことを自分の言葉で語らなくてはならない。それができないのなら、自ら永遠の敗者に甘んじて生きるしかない。さらに言えば、国連とはこんなに腐りきった機関でもある。青山の国連大学はオリンピックに向けてさっさとマンションに転換した方がよい。ちなみに、昨年12月の人種差別撤廃委員会での日本政府回答では土下座外交に戻っていたが、今回は少し杉山発言ラインに戻した。韓国が「日韓合意は被害者や民間団体は受容できないと訴えている」などと寝言を言ってきたら、その場で”That’s your problem, not ours. You received the money. Just manage your people” と答えて終わりだ。こんなものは新手法でもなんでもない。しっかりしてほしい。>(以上)
インド・太平洋戦略に、日米ともに韓国を入れるつもりはないでしょう。いつ寝首を掻かれるか分からず、情報を中国に流す国なぞ信用できません。トランプは韓国の演説ではリップサービスで言っただけと思います。
韓国は新たにカナダと通貨スワップ協定を結びましたが、亡国の走りとなるでしょう。あんな約束を守らない国とスワップ協定を結べば、自分が損するのが全く分かっていません。まあ、日本に言い寄ってくる機会が減ったので良しとしましょう。
昨日の本ブログで11/16中国観察の記事を取り上げ、習は「双中断」案を放棄したというのが鈴置氏の記事でも確認されました。核・ミサイル凍結での話し合いはしないという事です。米中合作で金正恩体制を崩壊させるつもりでしょう。金正恩のロシア亡命がベストですが、金正恩が拒否すれば米朝戦争(日韓中も入ります)で、少なくとも中国は中立を保つでしょうし、ロシアも。
金正恩後がどうなるかです。米中露で金漢率を押し立てて管理させるのだとしても、日本が金だけ出させられるのは避けたい。同じ民族として、韓国が面倒を見るべきです。
14日記事
米韓首脳会談で合意したはずの共同発表文は、わずか1日で“変造”された(写真:AP/アフロ)
(前回から読む)
韓国がまたもや米国との合意を反故にした。もちろん、中国の顔色を見てのことだ。
立て続けの合意破棄
鈴置:韓国が堂々と約束を破りました。トランプ(Donald Trump)大統領と文在寅(ムン・ジェイン)大統領の間で交わした共同発表文を、1日後に否定したのです。
—韓国は少し前にも米国との約束を破っていました。
鈴置:その通りです。米韓国防相会談での合意(10月28日)を3日後に踏みにじりました。中国の圧力に屈し、THAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)の追加配備などを拒否する「3NO」を宣言したのです(「中国に『降伏文書』を差し出した韓国」参照)。
今回のは大統領同士の合意を破るものでした。トランプ大統領は11月7、8日の両日、訪韓し首脳会談に臨みました。その結果を踏まえ8日夜(日本時間)、両国政府は共同発表文を配布しました。
ホワイトハウスのサイトに「President Donald J. Trump’s Visit to Republic of Korea」として載っています。韓国政府が作成した韓国語版は、朝鮮日報の「全文 韓米共同言論発表文『トランプ訪韓結果』」で読めます。
「法治」で中国を牽制
青瓦台(韓国大統領府)が否定したのは発表文(英語版)の中の「自由で開かれたインド・太平洋地域に貢献する米韓同盟の推進をトランプ大統領は強調した」というくだりです。
韓国語版だと「トランプ大統領は、相互の信頼と自由・民主主義・人権・法治などの共同の価値に基づいた韓米同盟が、インド太平洋地域の安全保障、安定と繁栄のための重要な軸であることを強調した」との部分です。
この文言には「米韓同盟により、不法な海洋進出を続ける中国を牽制する」との含意があります。青瓦台はそれが「中国包囲網への参加」と見なされると危惧したのでしょう。
なお、「中国への牽制」は6月末の米韓首脳会談で合意済みの案件です。当時の共同声明にも「中国」とは名指ししないものの「米韓同盟により、法治に裏付けられたアジア太平洋の秩序を維持する」との文言が入っています。以下です。
President Trump and President Moon affirmed that the United States and the ROK will work together to support and uphold the rules-based order in the Asia-Pacific region.
The two leaders affirmed that the strength of the United States-ROK Alliance serves as testament to the power of freedom, democracy, human rights, and the rule of law,
日本発の構想には賛成しない
—トランプ大統領との合意を今回、韓国はどういう形で破棄したのですか?
鈴置:共同発表文を配布した翌日の11月9日午前、金顕哲(キム・ヒョンチョル)大統領経済補佐官が会見で「日本は『インド・太平洋ライン』との名で、日本・オーストラリア・インド・米国をつなげる外交的ラインを構築しようとしているが、我々がそれに編入される必要はない」と述べたのです。
韓国の通信社、NEWS1の「青瓦台、『インド・太平洋ライン』は日本が推進……韓国の参加は好ましくない」(11月9日、韓国語)などが一斉に報じました。
「インド・太平洋ライン」とは、最近、日米が唱え始めた米・日・豪・印の「4カ国戦略対話」を指します。事実上の「中国包囲網」です(「米国はいつ『韓国放棄カード』を切るのか」参照)。
金顕哲・経済補佐官の発言は偶発的なものではありませんでした。この発言に対し韓国メディアが「米国との合意違反だ」と騒ぎ出すと同日午後、青瓦台の別の匿名の高官が記者団に対し「インド・太平洋の安全保障体制に韓国は編入されない」と再度、強調しました。
朝鮮日報の「青瓦台、トランプは『インド・太平洋』参加を提案、文は『受け入れられない』」(韓国語版)から、匿名の高官の発言を拾います。
インド・太平洋の安全保障体制はトランプ大統領が強調したのであって、我々が同意したのではない。
文大統領にとっては事実上、初めて聞く概念であった。提案自体が突然のもので、きちんと検討してみたこともなかった。今の段階で受け入れるとか、共感するという事案ではない。
インド・太平洋安保は日本が推進してきた問題であり、我々としては現在の様々の国際情緒と環境を考慮した際、参加するのは望ましくないと考え、トランプ大統領の言葉を傾聴したに過ぎない。
後で言い出してもダメ
中央日報の「青瓦台、日本が構築した『インド・太平洋ライン』……韓国に編入する必要ない」(11月10日、日本語版)は、この答を厳しく批判しました。要約します。
共同発表文や共同声明に含まれる内容は相互の合意を前提とする。共同文案に含まれた以上、一方の黙認や暗黙的支持があったと見るのが外交慣例だ。
外交官出身の要人は「韓国が同意しなかったとすれば共同発表文に入れるべきでなかった。異見があったとすれば『文大統領の考えはこのように異なる』との文章も併記するべきだった」と説明した。
匿名を求めた米国専門家は「今になって、青瓦台が同意していないと言うのは筋が通らない」と話した。
要は、共同発表文を配布した後に「その内容に反対だ」と言い出しても外交的にはアウトだよ、ということです。
「文大統領はインド・太平洋安保構想を知らなかった」との主張に関しても、中央日報のこの記事は以下のように批判しました。
文大統領がインド・太平洋概念を初めて聞いたとの説明も適切でない。トランプ大統領が5日、日本に到着してアジア歴訪の日程を始めた後、数回にわたって「自由で開かれたインド・太平洋」を強調している。青瓦台も7月、韓豪首脳会談後「両国はインド・太平洋時代の核心協力パートナー」という表現を使った。
そもそも金顕哲・経済補佐官や匿名の高官の「日本が言い出した構想だからよくない」との説明も無理筋です。この構想は米国も積極的に唱えているのです。韓国では「日本」に絡めば何でも悪いことにできるので「日本発」と決めつけたのでしょうけれど。
共同発表文も変造
—「匿名の高官」が何と言おうと、青瓦台は共同発表文を配布してしまったのではないですか?
鈴置:その「失策」を挽回すべく、青瓦台は荒技に出ました。一度は配布し、メディアが大々的に報じた「韓米共同発表文」はなかったことにしてしまったのです。
その代わりに青瓦台のサイトに「トランプ米大統領の訪韓成果ブリーフィング」(韓国語版)を載せました。が、そこからは「インド・太平洋」部分はスッパリと落ちています。
青瓦台の英語版サイトでも同様です。政府高官が口頭で米国との共同発表文を否定したうえ、文書まで変造したのです。
朝鮮日報の「青瓦台、トランプは『インド・太平洋』参加を提案、文は『受け入れられない』」によると、匿名の高官も変造を恥じるどころか「文大統領が事実上、初めて聞く概念なので、共同発表文から抜くことにした」と手柄顔で語っています。
韓国政府の外交記録保管所には「変造品」が保存され、本物の文書はメディアのサイトにだけ残ることになると思われます。隣国のことですから、余計な心配ですが。
国家が約束したことをすぐさま破る。こんなことを繰り返していると、韓国とまともに付き合う国はなくなります。何度も騙された日本は、すでにそうしていますが。
10月28日 |
米韓国防相が共同声明発表 |
10月30日 |
午前に韓国の康京和外相がTHAAD追加配備拒否を含む「3NO」を宣言 |
10月30日 |
午後、中国外交部報道官が「3NOを守れ」と言及 |
10月31日 |
中韓両国、合意文を発表。米韓国防相の共同声明の一部を否認 |
11月7日 |
トランプ大統領と文在寅大統領が会談 |
11月8日 |
米韓両国、首脳会談を受けて共同発表文を配布 |
11月9日 |
青瓦台高官が相次ぎ米韓共同発表文の「インド・太平洋安保構想」部分を否認 |
11月10日 |
韓国国防部「韓国の反対で韓米日の合同軍事演習は実現せず」と非公式に説明 |
11月11日 |
中韓首脳会談で習近平主席「韓国はTHAAD配備で責任ある態度を」、文在寅大統領「中国のTHAADへの関心を重視しており、中国の戦略と安全保障上の利益を損なうつもりはない」(人民網による) |
●「韓国の合意破棄」の動き(2017年) |
「スワップはなかったことにするぞ」
—なぜ、韓国は米国との約束を立て続けに破ったのでしょうか。
鈴置:中国が怖いからです。今回の合意破棄はダナンでの中韓首脳会談(11月11日)の直前に起きました。
中国包囲網に賛同したと見なされ、文在寅大統領が習近平主席に叱られると韓国政府は心配したのでしょう。あるいは首脳会談の開催を取り消されると懸念したのかもしれません。
先に引用した中央日報の「青瓦台、日本が構築した『インド・太平洋ライン』……韓国に編入する必要ない」は、それを伺わせる青瓦台高官の談話を伝えています。日本語を整えて引用します。
直後に中国との首脳会談を控えている状況で、中国を軍事的に包囲しようという概念にどうやって同意するというのか。実に苦しい状況だ。
最初に「インド・太平洋安保構想」を否定したのが経済補佐官だったことから「中国に通貨スワップをキャンセルされる」と危惧したとの観測もあります。
中韓スワップは口約束に留まっています(「米国はいつ『韓国放棄カード』を切るのか」参照)。米国の利上げで韓国から資本逃避が起きそうな今、中国から「スワップはなかったことにする」と言い渡される材料を、韓国は作りたくないのです。
中国とのスワップでは人民元しか得られません。しかし韓国は日本との「慰安婦合意」を破った結果、ドルや円など交換が容易な通貨での2国間スワップ協定を結ぶ数少ないチャンスを失いました(「『百害あって一利なし』の日韓スワップ」参照)。人民元スワップとはいえ「ないよりはまし」なのです。
中韓合意を使って強弁
—いくら「中国が怖い」と言っても「米韓」の直後に「中韓」首脳会談があることは分かっていたではありませんか。
鈴置:そこで浮上するのが中国の圧力説です。今年6月末の米韓共同声明には「中国の不法な海洋進出への反対」を示唆する部分もあった。
改めてそれを謳っても中国に怒られないと韓国は考え、11月8日夜発表の米韓共同発表文に入れることに同意した。しかるに、直ちに中国が「取り消せ」と言ってきた――との見方です。
—なぜ、今回は「ダメ」なのでしょうか。
鈴置:10月31日に中韓が取り交わした「合意文」に違反すると中国が言い出した可能性が大です。
合意文のポイントは「中国側はMD(ミサイル防衛)構築、THAAD追加配備、韓米日軍事協力などと関連し、中国政府の立場と憂慮を明らかにした。韓国側はすでに韓国政府が公開的に明らかにした関連する立場を改めて説明した」という部分です(「中国に『降伏文書』を差し出した韓国」参照)。
韓国側は、中国側のTHAAD問題に関連する立場と懸念を認識し、韓国に配置されたTHAADは、その本来の配置の目的からして第3国を狙うものではなく、中国の戦略的安全保障の利益を損なわないことを明らかにした。
同時に中国側は韓国側が表明した立場に留意し、韓国側が関連した問題を適切に処理することを希望した。双方は両国軍事当局の間のチャネルを通して、中国側が憂慮するTHAAD関連問題に対し、話し合いを進めることで合意した。
中国側はMD(ミサイル防衛)構築、THAAD追加配備、韓米日軍事協力などと関連し、中国政府の立場と憂慮を明らかにした。韓国側はすでに韓国政府が公開的に明らかにした関連する立場を改めて説明した。
双方は韓中間の交流・協力の強化が双方の共同利益に符合することに共感し、全ての分野での交流・協力を正常的な発展軌道に速やかに回復することに合意した。
※注:韓国外交部のサイト「韓中関係改善に関連した両国の協議の結果」から作成
●韓国が中国に表明した「3NO」
米国とMDは構築しない
THAAD追加配備は容認しない
日米韓3国同盟は結成しない
「3NO」と呼ばれることになった中韓の間の合意です。中国はこれをもって、以下のように主張――強弁できます。
米日韓の3国軍事協力に対する中国の憂慮の正当性を韓国は認めた。その結果、韓国は「日米韓軍事同盟は結成しない」と表明したのだ。
ゆえに、中国が憂慮する「包囲網」に韓国が参加すれば、それは合意違反となる。
韓国が中韓合意に反するのなら、合意文中の「全ての分野での交流・協力の正常な発展軌道への回復」は実現しない――韓国企業に対するいじめは続く――であろう。
突然、キャンセルの日米韓演習
—中国は韓国を「3NO」で縛り上げたというわけですね。
鈴置:その通りです。こうした拡大解釈がまかり通れば今後、韓国は「インド・太平洋安保構想」だけではなく「日米韓の軍事協力」にも参加できなくなります。というか、早くもそうなりました。
11月11日から14日まで、日本海で計画されていた日米韓の合同演習が韓国の反対で中止になりました。米空母3隻を中心とする大掛かりな訓練となるはずでした。結局、日米と米韓は別々に合同演習を実施しました。
先ほども説明しましたが青瓦台のサイトでは、正式の米韓共同発表文から「インド・太平洋」部分がスッパリと落とされました。
実はもう1カ所、韓国語版では完全に抜け落ちたくだりがあります。日米韓の3国軍事協力を約束した、以下の部分です。
両首脳は北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対応して抑止力と防御力を向上させるために、日本との3国間の安全保障協力を進展させていくという意志を再確認した。
青瓦台は日米韓の3国軍事協力も中国の逆鱗に触れると判断したのでしょう。もっとも、韓国政府が当初、メディアに配布した発表文は、ホワイトハウス発表の「President Donald J. Trump’s Visit to Republic of Korea」以上に具体策に踏み込んでいました。次です。
両首脳は北朝鮮の脅威に対応、3国間のミサイル警報訓練と対潜水艦戦訓練を継続して情報の共有を拡大し、共同対応能力を向上させていくことにした。
「3NO」の毒が回る
—韓国側もけっこう、やる気があったのですね。
鈴置:軍としては当然です。韓国は偵察衛星を持たないので、北朝鮮のミサイル発射を瞬時に把握する能力に乏しい。対潜能力も低い。自衛隊の持つ情報を貰える3国軍事協力は願ってもないことなのです。
—というのに日本との軍事演習を拒否するとは「3NO」の毒が回ってきたということでしょうか。
鈴置:朝鮮日報の社説「アマチュア外交、もう限界だ」(11月11日、韓国語版)もそう書いています。その部分を翻訳します。
3国合同演習が実現しなかった理由は、韓国政府が中国に伝えた「3NO」の中に「韓米日の軍事同盟はない」との内容が含まれているためだった。
しかも今、韓国軍の中には「3NO」を拡大解釈し、3国軍事協力まで縮小しようとする雰囲気もあるという。
康京和外交部長官が「3NO」を表明した際に懸念されたことが、早くも現実となりつつあるのだ。
日本ではあまり大きく報じられませんでしたが「3NO」は韓国の「離米従中」を決定的なものにする可能性があります。
WSJ「文在寅は信頼できない」
—そんな韓国を、米国はどう見ていますか?
鈴置:すっかり見はなしたようです。WSJ(ウォールストリート・ジャーナル)は「South Korea’s Bow to Beijing」――「韓国、中国に屈服」という見出しの社説を載せました。
「韓国の大統領はソウルの米韓首脳会談の後、結束の姿勢を示した。だが、最近の行動からみて文在寅氏は信用できない(unreliable)友人だ」と断じました。それを含む前文が以下です。
Donald Trump on Tuesday praised Moon Jae-in for “great cooperation” on containing the threat from North Korea and said there has been “a lot of progress.” The South Korean President also made a show of unity after their summit in Seoul, but Mr. Moon’s recent actions suggest he is an unreliable friend.
この社説(電子版)の掲載時刻は米東部時間11月7日午後6時17分。韓国が米韓首脳会談の共同発表文を反故にする前に書かれました。が、WSJは「3NO」――その前の米国への裏切り――を材料に、韓国はもう味方ではないと評したのです。
敵に立ち向かおうとしないばかりか、堂々と同盟国を裏切る――。韓国は本性をすっかり見抜かれました。
というのに、米国を利用できるだけ利用しようと「米韓同盟は血盟だ」などとうそぶく韓国紙もまだあります。見捨てられるとは思ってもいないのでしょう。米韓同盟がいつまで持つのか、もう分かりません。
(次回に続く)
16日記事
アジア歴訪から戻ったトランプ大統領は11月15日、ホワイトハウスで会見。北朝鮮に「究極の2択」を突きつけた(写真:ロイター/アフロ)
(前回から読む)
米中首脳は「北朝鮮が核・弾道弾実験を凍結しただけでは米国は対話に応じない」ことで合意した。北朝鮮に時間稼ぎを許さないためだ。問題解決は軍事行動による核の除去か、金正恩(キム・ジョンウン)体制の崩壊か――の2つのシナリオに絞られてきた。
「戦争も辞さない」姿勢に押された?
アジア歴訪の旅を終えたトランプ(Donald Trump)大統領は11月15日、ホワイトハウスで会見し「いわゆる『凍結対凍結』は受け入れないことで習近平主席と合意した。そうしたやり方はこれまでずっと失敗してきた」と述べた。原文は以下だ。
¥We agreed that we would not accept a so-called freeze-for-freeze agreement like those that have consistently failed in the past.
「凍結対凍結」とは、北朝鮮が核や弾道弾実験を中断すれば米韓も軍事演習を中断し、それを期に米朝が対話を始める――構想だ。中国が「双中断」と名付けて呼び掛け、文在寅(ムン・ジェイン)大統領も「凍結論」の名称で賛成していた。
一方、トランプ大統領は6カ国協議など、北朝鮮との対話は核開発の時間稼ぎに利用されただけだったと主張。北朝鮮が核の完全廃棄を受け入れた時にのみ、対話に応じると主張してきた。
中国政府は「双中断」案を放棄することに関し、11月15日までに何も言及していない。ただ、米国の「軍事的な解決も辞さない」強い姿勢に押され、暗黙裡に認めた可能性が高い。
金正恩はカルト政権
トランプ大統領は11月8日の韓国国会演説で「戦争も辞さない」との決意を表明。中国を名指しして、国連決議の履行と北朝鮮との外交関係の格下げを要求した(「トランプ大統領の韓国国会演説(2)」参照)。
■トランプ大統領の韓国国会演説(2017年11月8日)のポイント(2)
「戦争を辞さず」と決意表明
朝鮮半島周辺海域にF35とF18を搭載した3隻の巨大な空母が、適切な海域には原潜が展開中だ。私は力を通じた平和を求める
北朝鮮の政権はこれまでの米国の抑制を弱さと見なしてきた。決定的に誤った判断である。現政権は過去の米国とはまったく異なるのだ
米国は紛争や対立を望まないが、それから逃げはしない。米国の決意を愚かにも試してうち捨てられた数々の政権が歴史には満ちている
我々は米国と同盟国への威嚇と攻撃を許さない。米国の都市を破壊するとの脅迫を許さない。我々は史上最悪の残虐な行為がこの地で繰り返されるのを許さない。我々は身を守るためには戦うし、死も恐れない
「北朝鮮と戦おう」と世界に呼び掛け
この地に――自由で繁栄する韓国の心臓部に私が来たのは、世界の自由を愛する国々に1つのメッセージを伝えるためだ
それは、見逃す時が終わったということだ。今や力の時である。平和を求めるのなら、常に力強く立ち上がらねばならない。核による荒廃をもって脅迫する、ならず者政権の脅威に世界は寛容ではありえない
すべての責任ある国家は北朝鮮という野蛮な政権を孤立させ、いかなる形であってもそれを否定せねばならない。支持しても、与えても、受け取ってもならない
中国とロシアを含む、すべての国に呼び掛ける。国連安全保障理事会の決議を完全に履行し、北朝鮮の政権との外交関係を格下げし、貿易と技術に関わるすべての関係を断ち切らねばならない
この危険に、ともに立ち向かうことは我々の責任であり義務である。なぜなら我々が手をこまねくほどに危険は増し、選択肢が少なくなるからだ。この脅威に対し見て見ぬふりをする国は、つまり脅威をいっそう高める国は、自身の良心にこの危機の重みを問わねばならない
中国訪問(11月8―10日)を前に、ソウルから習近平主席に向け「『双中断』は受け入れない」と宣言したのだ。
さらに演説でトランプ大統領は北朝鮮の人権侵害、国際的な無法の数々を糾弾したうえ、金正恩政権を「狂信的なカルト集団」と決めつけた(トランプ大統領の韓国国会演説(1)」参照)。
■トランプ大統領の韓国国会演説(2017年11月8日)のポイント(1)
北朝鮮の人権侵害を具体的に訴え
10万人の北朝鮮人が強制収容所で強制労働させられており、そこでは拷問、飢餓、強姦、殺人が日常だ
反逆罪とされた人の孫は9歳の時から10年間、刑務所に入れられている
金正恩の過去の事績のたった1つを思い出せなかった学生は学校で殴られた
外国人を誘拐し、北朝鮮のスパイに外国語を教えさせた
神に祈ったり、宗教書を持つクリスチャンら宗教者は拘束、拷問され、しばしば処刑されている
外国人との間の子供を妊娠した北朝鮮女性は堕胎を強要されるか、あるいは生んだ赤ん坊は殺されている。中国人男性が父親の赤ん坊を取り上げられたある女性は「民族的に不純だから生かす価値がない」と言われた
北朝鮮の国際的な無法ぶりを例示
米艦「プエブロ」の乗員を拿捕し、拷問(1968年1月)
米軍のヘリコプターを繰り返し撃墜(場所は軍事境界線付近)
米偵察機(EC121)を撃墜、31人の軍人を殺害(1969年4月)
韓国を何度も襲撃し指導者の暗殺を図った(朴正煕大統領の暗殺を狙った青瓦台襲撃未遂事件は1968年1月)
韓国の艦船を攻撃した(哨戒艦「天安」撃沈事件は2010年3月)
米国人青年、ワームビア氏を拷問(同氏は2016年1月2日、北朝鮮出国の際に逮捕。2017年6月に昏睡状態で解放されたが、オハイオに帰郷して6日後に死亡)
「金正恩カルト体制」への批判
北朝鮮は狂信的なカルト集団に支配された国である。この軍事的なカルト集団の中核には、朝鮮半島を支配し韓国人を奴隷として扱う家父長的な保護者として指導者が統治することが宿命、との狂った信念がある
大統領がここまで言い切れば、金正恩政権の核保有を認めることになりかねない「対話」に米国は臨めない。
ロシア亡命もセット
米国が「中途半端な対話」を拒否し、中国もそれを暗に認めた後、北朝鮮には核を完全に放棄するか、米国の要求を拒否するかの2つの選択肢だけが残る。
まず、完全放棄のケース。9月15日以降、核実験も弾道弾の実験も控えているところから、北朝鮮は米国の強面に恐れをなしていると思われる。
ただ核を放棄すれば、核開発に邁進することで権力の正統性を維持してきた金正恩体制が揺らぐのは間違いない。この際は、金正恩一家と取り巻きのロシア亡命への保証などが必要になる。
2番目のケースは、早急な米国の軍事行動を呼ぶ可能性が極めて高い。米国や日本には時間が残されていないからだ。
このまま手をこまねいていれば、北朝鮮は近く米本土まで届くICBM(大陸間弾道弾)を完成する。弾道弾に搭載可能な核弾頭も多数、実戦配備する。すると「中ロとは核の均衡で平和を保ってきた。北朝鮮の核保有も認めるべきだ」との声が起きるだろう。
さらに北朝鮮は、発射前に探知が難しい固体式燃料の弾道弾も保有し始めた。北朝鮮の核弾道弾を地上で破壊するのが困難になるわけで北朝鮮を先制攻撃しても、米国や日本が核で反撃される可能性がグンと増す。
トランプ大統領が韓国国会での演説で「我々が手をこまねくほどに危険は増し、選択肢が少なくなる」(「『北朝鮮と戦おう』と世界に呼び掛け」の最後の項)と語ったのも、そのためだ。
「金正恩後」は共同管理
結局、北朝鮮の核問題で予想されるシナリオは2つに絞られた。金正恩政権が核を手放して崩壊するか、米国が軍事攻撃によって核・ミサイル関連施設を破壊するか、である。
ただ、明らかでないのは「その後」である。前者はもちろん、後者の場合でも「北朝鮮を誰が統治するか」という問題が残る。
空爆だけでは北の核施設を完全に破壊した確証は得られず、地上軍の派遣が必要になる。それは結局、金正恩体制の排除を意味する。
米中が「金正恩後の北朝鮮」を共同管理するとのアイデアが古典的だが、利権を持つロシアが黙っていないだろう(「米中ロがうごめく『金正恩後の北朝鮮』分割案」参照)。
1つ言えるのは米中が「双中断」で合意したとするなら「その後」でも何らかの合意をしていると思われることだ。11月9日の米中首脳会談は、それを話し合う会談だったのかもしれない。
習近平主席は特使として11月17日に、宋濤・中国共産党対外連絡部部長を北朝鮮に送る。目的は「10月に開かれた第19回党大会の結果説明」とされているが、中朝関係が悪化している中だけに、首を傾げる向きも多い。
本当の狙いは金正恩委員長に面会し、中国の姿勢変化を納得させることではないかとの観測も浮上している。
(次回に続く)
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