11/3民報<林媽利:台灣人、中國漢人逐漸成為不同民族=林媽利博士:台湾人と中国の漢人とは少しずつ民族が違ってきた>8~9割の台湾人は南島語族のDNAを持つと。中国大陸人は中共の宣伝に刷り込まれていますので台独は許さないと思っています。洗脳の力です。元々台湾を漢人が統治したことは一度もないでしょう。満洲人だけです。鄭成功は抗清復明に失敗、台湾に逃れて蘭を追放したのが1661年。蘭は清と組んで台湾回復を狙うがうまくはいかず、やがて三藩の乱のお陰もあって台湾鄭氏政権は約20年持つ。台湾を蘭に返すくらいなら清の軍門に降るとばかり清に投降、台湾が清の版図に入るのが1683年です。鄭成功は半分日本人の血が入っています。台湾を漢人が統治したというのは無理があるでしょう。何せ2020年までに中国は台湾に武力侵攻しようとしていると言われていますので。下記URL10/3デイリーメールの記事を参照ください。同胞同士の争いではなく(=civil war=内戦ではない)単なる侵略行為です。
http://www.peoplenews.tw/news/e8b836e4-419f-43d6-9f57-d8ee6886b2d6
http://www.dailymail.co.uk/news/article-4944902/China-drawn-secret-plans-invade-Taiwan-2020.html
11/14ぼやきくっくりには「虎ノ門ニュース」で青山繁晴氏が「もし米朝戦争が起きれば、その隙に中国は尖閣を取りに来るかもしれない」と。どこまでも汚い奴らでしょう。在日だけでなく、日本国内にいる中国人にも要注意です。何せ国防動員法がありますから。
http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid2123.html
山田氏記事では、怪文書は反習派が作って流したものと思います。でも中国人が怪文書を作成したのは台独派と言うのには恐れ入りました。確かに小生が中国駐在時代に開明的な中国人と話した時に、台湾の独立だけは許されないというのを聞いてびっくりした覚えがあります。それだけ中共の刷り込みが強烈という事です。歴史を改竄・捏造して反日の刷り込みをしている中共のことです。やはり批判精神が養われる「言論の自由」が必要です。中共を打倒しないと無理でしょうけど。彼らには自浄作用がありませんから。
「農民工を置き去りにするな」と言って、他国を侵略することが正当化される筈はないでしょう。やはり国内の富の分配の問題です。あれだけ賄賂を取るのですから、賄賂を止めて農民工に分配すれば経済的な問題は、少しはましになるでしょう。戸籍や档案、言論の自由がない問題、債務問題、大気汚染の問題、どれも解決が難しい問題です。共産党支配を止めて一から出直さないと駄目なのでは。
11/14日経夕刊に中国の大気汚染の記事が載りました。
<中国、長引く大気汚染 官民で広がる対策 (グローバルViews) 川上尚志
国で長引く大気汚染に対し、官民で様々な対策が広がっている。民間では小学校に空気清浄機を贈る募金活動が登場し、行政では工場の操業を止めるほか道路を清掃して土ぼこりを抑えるといった地道な取り組みも出ている。大気汚染をすぐさま解決する手立てがなく長期化も予想されるなか、影響をどう抑えるかが課題になっている。
大気汚染で視界が悪くなる日は珍しくない(スモッグの影響でかすむ故宮博物院、10月20日、北京)=小高顕撮影
「子どもたちの教室にきれいな空気を届けましょう」。10月中旬、上海市で募金イベントが盛大に開かれた。呼びかけたのは上海現代サービス業連合会という金融や流通などのサービス業関連の企業が集まる非営利団体だ。市内の幼稚園や小学校、中学校といった教室に無料で空気清浄機や関連設備を合計で500台贈ることを目標にした。
子どもたちが教室で長い時間を過ごすなか、人が密集することもあって空気中の粒子状物質(PM)などの健康への影響が大きいと判断。募金活動により対策の必要を幅広く周知する狙いもあった。初日の開幕式だけで約66万元(約1100万円)が集まったという。
中国の大気汚染は大都市を中心に1990年代ごろから深刻化した。肺がんや気管支炎を患う人が増え続けており、自身や家族、子どもたちをどう守るかは人々の大きな関心事であり続ける。企業にとってはビジネスチャンスにもなりうる。
6月に上海市で開かれた空気清浄機や空調などの展示会「エコテック・チャイナ・上海国際空気新風展」。3回目となる今年は過去最大の規模となり、467社が出展、3日間の会期に3万人近くが来場した。出展ブースの中で注目を集めた1つが、植物と一体化した異色の「スマート植物空気清浄機」だ。
盆栽や苗木など観賞用植物を手掛ける浙江森禾生態科技(杭州市)が4月に発売した空気清浄機の新ブランド「森境」で、空気清浄機の側面に観葉植物が植えられているのが最大の特徴だ。「家庭園芸を楽しみながら、植物の力で24時間空気をきれいにする」とうたう。スマートフォンのアプリを使い操作したり設置場所の空気の清浄度を確認したりできる。価格はネットで購入する場合で1万4千元程度だ。
もともと中国では大気汚染に対し「コケ類を部屋に置くと良い」「梨やキクラゲを食べると肺をきれいにする効果が期待できる」という俗説が多い。植物の力を借りるというアイデアもそこまで奇抜ではないようだ。
行政も大気汚染への対策に力を入れる。土ぼこりが原因の一つだとして、大気が目に見えて悪化すると道路の清掃や散水に取り組む自治体が目立つ。江西省の南昌市は2016年から、道路を清掃して本来の色を取り戻すという「本色」活動を実施。地区別に取り組み状況のランキングも出し対策を徹底させた。
植物と一体化した空気清浄機も登場した(発売元の浙江森禾生態科技のウェブサイトより)
北京市は今年10月に開かれた中国共産党の党大会を前に、「青空防衛戦」と銘打って周辺の市などと連携し大気汚染防止に取り組んだ。鉄鋼やセメントなど多くの工場が操業停止になり、建設工事の現場でも中断を求められたとされる。
それでも党大会期間中、青空があったと言えた日は1日程度。秋の北京はもともと空気がこもりがちで青空が少ないという事情もあるが、最悪から2番目に当たる「オレンジ色」の汚染警報が出される日もあった。環境保護省の幹部は「大気汚染は短期間で解決できる問題ではなく、腰を据えて取り組む必要がある」と説明する。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の李智雄シニアエコノミストは、大気汚染の指標となるPMの濃度について「現在の中国の水準は日本の空気の1975~76年ごろと同じ」と説明する。日本では75年以降に急速にPMの濃度が下がった。「中国が日本と同じペースで空気の改善を進めていくとしたら今後10年程度で、過去の日本と同程度の空気の質が手に入る可能性はある」と指摘する。
中国の大気汚染 中国環境保護省の2016年版「中国環境状況公報」によると、主要な338都市合計で、大気汚染が重度か厳重とされる日は延べ3248日あった。重度汚染が続いたり厳重汚染の発生が見込まれる場合は「赤色」「オレンジ」などの警報が発令され、学校が休みになったり特定の車両が走行禁止になったりする。中国では大気汚染が原因で13年に160万人が死亡したとの試算もある。主要な原因となる粒子状物質(PM)は、工場のばい煙や自動車の排ガスなどが発生源とされる。>(以上)
まあ、賄賂を取る社会的習慣を無くさない限り、日本と同じような環境保護国にはならないでしょう。書いてる記者も分かっている筈ですが。
記事
(写真:AP/アフロ )
トランプ米大統領が3日間にわたる訪中を終え2017年11月10日午前、北京から中国を後にした。トランプ氏を迎えた習近平国家主席は、2017年10月末の中国共産党第19回党大会で2期目を決めたばかり。事前に党規約入りがうわさされた「習近平思想」という直接的な表現は見送られたが、「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」と、個人名を盛り込むことに成功した。党規約に個人名が記されている中国歴代の指導者は新中国建国者の毛沢東、「改革開放の総設計師」として中国経済を今日の隆盛に導く礎を築いた鄧小平の両氏のみ。習氏の前2代の総書記である江沢民氏が打ち出した「三つの代表」、胡錦濤氏の「科学的発展感」も党規約に記されているが、個人名を入れることは叶わなかった。
この党大会では次の5年を担う中国の最高意思決定機関、共産党中央政治局常務委員として7人が選出されたが、全員が60歳以上で、次代の中国を担う50歳代以下のホープの選出は見送られたため、習氏が長期政権を目指していることの証左だと指摘されている。習氏が2期目の総書記に選出された10月25日、トランプ大統領は、「extraordinary elevation」(異常な栄達)という表現を用いて直接祝福したことをツイッターに記している。
新中国の2大カリスマ指導者である毛沢東、鄧小平に並ぶ権威に手が届きかけているとまで称されるようになった習氏。だが、党大会を控えた真夏の中国では、習氏打倒を画策する一派が仕掛けたと思しき怪文書が農民の間を中心に出回っていた。
SNSに飛び交った農民工宛て怪文書
観測史上最も暑い40.9度を記録するなど酷暑に見舞われた2017年の上海の夏。その暑かった今年の上海で8月も半ばにさしかかろうとしていたある日のこと。真夜中になっても33度にピタリと張り付いて動かないスマホの温度計を恨めしく眺め、あまりの寝苦しさにベッドの上をゴロゴロと寝返りを打ちながら、中国のSNS「微信(Wechat)」を眺めていた私は、あるつぶやきに目を止めた。中国内陸の農村からある大都市へ出稼ぎに行き働いている「農民工」の知人の一人が、友人やグループに転送して拡散していたもので、表題には、
「たったいま得た重要な通知。8月18日、中国は徹底的に変わる」
という文字が躍っていた。少し追跡してみると、主に都会で働く農民工や彼らの故郷の農村にいる家族や友人の間で拡散しているようだった。
興味を引かれ、投稿に貼られてあったリンクを開いてみた。PC版とスマホ版の両方があった。スマホ版のページは14ページ構成で、雑誌なら表紙に当たる最初のページの最上部には「一帯一路でウインウイン」と大書され、その下に、「中国共産党第19回全国代表大会を迎えるために、習大大(習お父さん)が間もなく、22項目の最新政策を公布し、祖国を新たな段階に導く。習主席を皆で支持しよう!」と呼びかけていた。
先にも書いたとおり、中国では今秋、5年に一度の中国共産党全国代表大会が開催され、次の5年の指導陣が決まることになっていた。前回大会のあった2012年、中国共産党のトップである総書記に就任した習氏が2選を果たすものと見られており、事実、その通りになったわけだが、5年前の就任以来、反腐敗闘争の名の下、政敵を容赦なく失脚に追い込んできた習氏の強引なやり口には敵も少なくない。
一方、「一帯一路」とは、その習氏が提唱して始まった経済圏構想で、中国を起点に中央アジアと欧州を陸路で結ぶ「21世紀のシルクロード」(一帯)と、中国、東南アジア、中東、アフリカを海路で結ぶ「海上のシルクロード」(一路)を構築するというもの。一言で言えば、21世紀は中国主導で世界経済圏を再構築しようという話だ。
さて、投稿は2ページ目で「深遠な意義を持つ習主席の構想と戦略は庶民の楽な暮らしと経済の繁栄、国家の安定をもたらし、『中国の夢』を実現するものだ。皆で習主席を支持しよう!」と主張していた。
「中国の夢」とはやはり総書記就任間もない習氏が2012年に打ち出した「中華民族の復興」を実現しようというスローガンだ。中国の町中至る所に、その地域を管轄する政府や共産党が準備した「中国的夢」と書かれた宣伝の看板が貼られている。
美辞麗句の並ぶ「習氏の22項目の新政策」
投稿の3ページ目以降には、いよいよ習氏が近く打ち出すという22項目の新政策が羅列してあった。
- 財政支出の50%以上を民政に用いる一方、行政経費を20%以下に抑える。
- 医療と教育を完全無償化する。
- 物価を抑えるとともに、低所得層の賃金基準を大幅に引き上げる。
- 養老の待遇を引き上げる。
- 銀行、電力、水力部門に対し手数料・諸費用の透明化を求め、違反は一律厳罰に処する。
- 計画生育政策を撤廃し、多子多産を許可する。
- 国営企業を民営化する。
- 一切の特権・覇権を禁ずる。
- 文工団の性質を持つあらゆる機構を廃止し、人員は全員解雇する。
- 公務員の採用を減らし、スリム化を図る。
- 立法、行政、司法、軍事に無関係のあらゆる準行政機構を閉鎖し、人員を養うことを止める。
- 現在5つの段階(5級)に分かれている行政区分を「国(中央)」「省」「県」の3つ(3級)に改める。それ以下の行政区分については人民の自治を実現する。
- 役人の財産は透明化を義務付け、ネットに公開し随時閲覧できるようにする。
- 共産党の党庫と国庫を分離する。党は党、国は国とし、混在させない。
- 対外援助を止める。国は一銭の単位に至るまでカネの使い道は公民の同意を得る。
- 社会保障は官民同一、平等とする。
- 公用車を廃止する。金儲けしたい人間は役人に就かせない。
- 国有企業をリストラされた人の年金等の待遇を引き上げる。
- 反腐敗法を制定する。わずかな収賄であっても犯罪とし、贈賄は無罪、収賄は重罪と法で定める。
- 言論の自由、人民の自由、個人メディア、自由な発言を認める。人民に監督の権限を認めて初めて、汚職や腐敗は逃げ道がなくなる。
- 都市と農村で戸籍を一本化する。サラリーマンにも購入可能な低価格住宅を多数建設する。
- 中華民族の伝統文化や信仰を全面的に回復し、人民に霊魂の帰属先を与える。
そしてこの文書は次のページで、新中国の絶対的な偶像である毛沢東主席、1980年代の中国に最高実力者として君臨した鄧小平氏という、中国では既に伝説と化した2人の指導者の顔写真と習主席の顔写真を並べ、「毛主席は中国人を立ち上がらせた。鄧主席は中国人を豊かにした。そして習主席は中国人を強くした」とし、「習主席を支持するために、この文書を拡散希望!『中国の夢』実現に力を提供しよう」として終わっている。ちなみに、この文書では鄧小平氏にも主席を付けているが、鄧氏は軍を除けば共産党のトップの役職に就いたことは一度もない。
さて、1項目目の「民政への支出を増やす一方、行政経費を抑える」というのは、50%と20%という無理目の数字を除けば、内容自体は至極当然のことで、習氏が行財政改革に本腰を入れるということだなと思い込んでもおかしくない。
言論を自由化?
ところが、2項目目の「医療と教育の完全無償化」で途端に怪しくなる。中国にも国保や社保に相当する医療保険はあるが、戸籍地以外の土地で診療を受けると保険が利かず全額自己負担になる等問題が多い。農村に戸籍のある農民工は、出稼ぎ先の都市で病院にかかると高額な医療費を負担しなければならない。その逆、つまり都市に戸籍のある人が農村で就業するということは中国ではほとんどないことで、これも農村と都会の格差の1つになっている。それが、いきなり医療の完全無償化などすぐに実現すると思う方がおかしいということになる。
このように、おしなべて不平等の是正や腐敗の根絶を説くこれら22項目の新政策は、実現すれば庶民、とりわけ不平等や格差で割を食っている農民工や、都市部の貧困層など弱者は大喝采で迎えるだろうが、中国の現状を見て少し冷静に考えれば、少なくとも数年内に実現するのは無理だということが一目瞭然なものばかりだということが分かる。
極めつけは、9項目目の「文工団の性質を持つあらゆる機構を廃止する」と、20項目目の「言論、人民の自由、個人メディア、自由な発言を認める」である。このうち言論の自由については、例えば中国当局は「金盾(グレートファイヤーウォール)」という情報検閲システムを敷いて海外とのアクセスを制限しているから、ツイッター、フェイスブック、ユーチューブ等、海外のメディアに中国国内からアクセスすることができないし、さらにその規制を強化しようとしている。
監視は、中国当局が認めている国産のSNSにも及んでいて、私の知人の知り合いが、中国当局を批判する内容を頻繁につぶやいていたところ、近所の派出所から警察がやってきて「批判は控えなさい」と警告されたという話も聞いた。このように、ネットの規制だけをとっても、新政策で習氏が、言論の自由、報道の自由を認めるというのは、冗談にすら思えない程度の話である。
「習夫人の権力基盤を解体」のあり得なさ
そして、言論の自由を認める以上にあり得ないのが、「文工団の廃止」だ。文工団の正式名称は「文芸工作団」といい、軍に所属する慰問団で、歌や踊り、芝居で前線の兵士を鼓舞したり、軍の宣伝活動を行ったりする組織である。そして、今回のトランプ訪中でも「中国のファーストレディー」としてトランプ氏とメラニア夫人をもてなした習近平夫人の彭麗媛氏は、この文工団に所属するスター歌手だった人で、人民解放軍総政治部歌舞団の団長を経て、現在は文工団の元締めとも言える中国人民解放軍芸術学院の院長を務めているのだ。中国では、所属する機関や企業を基盤に権力を固めていくのが常。夫人の権力基盤の源で軍ともつながる文工団を、習氏自らが消滅させることなどまず考えられない。
こうして見てくると、この22項目の新政策は、「習主席を支持しよう」と繰り返し主張してはいるものの、どうやら習氏やその周囲が決めた内容を自らリークしたというのではなく、習氏と対立する勢力が、習氏に打撃を与えるために流したという可能性もあるのではないか、とも思えてくる。
例えば、「文工団」を廃止して人員を全員解雇するというのは、「公のカネを使って文工団のような組織を養うな」ということであり、言い換えれば、文工団の象徴とも言える習夫人の彭麗媛氏を痛烈に批判するものなのだから。
そんなことを考えながら私はいつの間にか眠りに落ちたようだった。そして翌朝、再びリンクを開いてみると、既にページは削除されていた。
農民の失望・怒りを習氏に仕向ける政敵
幸いなことに私は文書のキャプチャをスマホの中に残していた。そこで農民工の知人の1人に、あなたのところにもこれが届いたか? といって見せてみた。「オレのところには来ていない」と彼は答えたが、22項目の新政策にはとても興味を示した。「これは聞いたことがある。これも本当かもしれない」と1項目目から順を追って読んでいた彼だったが、8項目目の「一切の特権を禁ずる」のあたりまで来ると、あまりにもきれい事や理想のオンパレードだと気付いたのか、スマホから顔を上げて、「この文書はウソだな」と言った。そして彼は次に、驚くべきことを言った。
「これを流したのは、『台独分子』(台湾独立主義者)じゃないのか?」と。
それを聞いて私は思わず苦笑した。習氏を応援しようと繰り返し主張している割には、夫人が率いる文工団の一件のように、暗に習氏を批判している内容が含まれているのは私にも既に分かっていたのは先に書いたとおりだ。ただ、そこから先が、「習氏を批判する勢力」イコール「習氏、すなわち中国の意に反して中国からの独立を企てる台湾の独立主義者」という思考回路になってしまうのは、メディアがすべて政府や党の管理下に置かれ、当局の主張を垂れ流す広報のようなテレビ番組が頻繁に流れる中国ならではのことだと思った。
ただ、22項目の新政策の文書を流したのが台湾独立主義者かどうかはさておき、彼の発言は私にあることを気付かせてもくれた。
「えー、なんで台湾独立主義者がこの文書を流すのか、オレにはまったく分からないなあ」と私が言うと、彼は、「この日本人は何十年も中国に住んでいてそんなことすら分からないのか」というような顔で私を見つめ、こう続けたのだ。
「この政策を実行するというなら、オレたちみたいな農民は習近平を支持したくなるよ。ただもし口だけで実行しなかったり実現しなかったら、期待が大きい分、習近平に失望し怒りを覚えるよ。そして、冷静に読めば実現しそうもないことが随分盛り込まれているじゃないか。習近平の評価を下げれば台独分子にとっては思うツボさ、そうだろ?」
なるほど、と思った。あの22項目の新政策は、文工団のような項目で習夫人や習氏を暗に批判するだけでなく、美辞麗句を並べて習氏を持ち上げるだけ持ち上げた上で、実行されないことが分かったときに農民工ら民衆の失望や怒りがより大きなものになることを狙ったものなのかもしれない、と。
(以下、明日の後編に続く)
(前回の記事「習近平が震えた真夏の怪文書」から読む)
「怪文書」とも言えそうな習近平国家主席が打ち出すという22項目の新政策を書いた文書が流れてきたころはちょうど、中国の幹部や長老が例年、避暑地の河北省北戴河に集まり2~3週間にわたって人事や重要議題の根回しや詰めの協議をする、いわゆる「北戴河会議」を開いていた時期と重なる。特に今年はこの先5年の最高幹部の人事を決める5年に1度の重要な全国大会を控えるという、政治的には極めてセンシティブな時期にあった。こうした中、22項目の新政策を掲げたあの文書は、習氏と権力闘争を繰り広げる政敵が流し、習氏一派が慌てて削除した、というところなのではないのか。
ただ、習氏に失望した農民工や貧困層が蜂起するようなことになれば、習氏1人が権力闘争に敗れるだけでは済まず、中国自体が転覆してしまうほどの大混乱につながりかねない。習氏も政敵もそんなことは百も承知のはずで、農民が不安定な状態に陥ることを恐れているはずだ。
習氏の政敵なのか、知人の言うとおり台湾独立を目指す勢力なのか、それとも習氏自身なのか。それは分からない。ただ、最悪の場合、大混乱に陥るリスクを認識しつつ、あえて農民や農民工を政争に利用するという大博打を打った勢力の姿が、おぼろげながら浮かび上がる。
そして、何も起こらなかった
そうして私は、あの文書が「中国が徹底的に変わる」としていた8月18日を待ってみることにした。
結論から言うと、何も起こらなかった。8月18日に中国共産党や中国政府が22項目の新政策を発表することもなかったし、類似する政策めいたものも出なかった。
ただ、中国系の複数のネットメディアがトップ記事の位置に、「中国が打ち出した貧困解消案に習近平が貢献した」という記事を掲載した。習氏が海南省で仕事をしていた時代に考えた貧困解消の案が、25年を経た今でも色あせず貧困の解消に役立っているという内容だ。8月18日にあえて、習氏が昔から貧困の解消や弱者の救済に心を砕いてきたという記事をぶつけてきたのを見ると、習氏やその周囲はどうやら間違いなく、22項目の新政策の文書に神経をとがらせ、相当に意識していたということなのだろう。
ところが、これと矛盾するかのように、習政権は今年に入り、都会から貧困層の農民工追い出しに拍車をかけており、私は近著『食いつめものブルース 3億人の中国農民工』でも、このあたりの事情を繰り返し書いている。表向きには違法建築の取り締まり、違法経営の取り締まりと、「違法の摘発」という体を取って、農民工が経営者や従業員としてかかわっている店を封鎖するというものだ。
ただ、高度成長の時代が去り、「新常態」という低成長の時代に突入した今、人口の急速な高齢化と30年あまりにわたって続けてきた一人っ子政策のツケによるいびつな人口構成で、都会生まれの貧困層を支えるのが精一杯という社会の到来が間近に迫る中、農民工を支えるだけの余力がもはや都会には残っていないというのっぴきならない事情がそこにはある。
「無くてもいい仕事」で延命図る
「無くてもいい仕事」を生み出すために投入されたおびただしい数のシェアリング用自転車
とはいえ、農民工の受け皿を作らないことには、社会不安が一気に増大してしまう。だから習政権はこれまで、無理矢理にでも仕事を作り出して農民工の働き口を確保し、経済を回そうとしてきた。PM2.5など深刻な大気汚染を引き起こすことが分かっていながら過剰生産に走ったことなどは、その典型的な例だ。最近では、上海等の大都市で爆発的に増殖している自転車シェアリングも、「無くても特に困らない仕事」を、経済を回すために無理矢理膨らませたというのが私の見方だ。
自転車シェアリングは上海で2016年夏ごろから始まったサービスだ。中国自転車協会は、開始から半年あまりの2017年2月末時点で、全国30余の都市で自転車シェアリングを導入しており、台数は200万台にまで膨らみ、うち最大は上海で45万台、中国全土で参入企業は15~20社に上るとしていた。それが、2017年9月末時点には上海だけで178万台、参入企業は13社に達していたというのだから、いかに異様なペースで増殖したかが分かると思う。
海外にも進出済みで、中国の自転車シェアリングの火付け役で最大手のMobike(摩拝単車)は2017年8月、日本にも上陸し札幌でサービスを始めた。報道を見ると、北海道では地球環境に優しいエコなサービスとして拡大を期待しているうようだ。
地元中国でも登場した当時は、自転車の所在地検索や施錠解錠にスマホを使うことや、料金の支払いもスマホの電子マネーでできるという現代のテクノロジーを使った最新ビジネスを評価する声や、二酸化炭素排出量を減らすエコな移動手段の拡大がPM2.5の解決につながると期待する報道が多かった。ところが、自転車シェアリングで最近、中国国内で話題になることと言えば、参入する企業が殺到しすぎて自転車の数がだぶつき、多くが産業廃棄物に化しつつあるという実態や、駐車した自転車が歩道や車道を占拠して歩行者や自動車の通行を著しく阻害しているというマイナスの側面ばかりになっている。
二酸化炭素排出量削減についても、効果ははなはだ疑問だ。というのも、自転車シェアリングはそもそもが「最後の1キロ」、すなわち地下鉄やバスを降りて職場や自宅に向かうまでの間の最後の移動手段をうたって登場した。実際、それまで徒歩で移動していた区間を自転車に乗れるようになって楽チンで便利、という使い方が、私の周囲では圧倒的に多い。そもそも交通機関を利用していなかった区間で自転車を利用しても二酸化炭素の削減にはならない。
そしてついに2017年8月中旬には、上海市政府が供給過剰や交通の混雑を生み出していること等を理由に、シェアリング用自転車の投入禁止を通達するに至った。エコを期待されて登場したサービスが、だぶついて利用されない自転車の山という産業廃棄物の排出マシーンと化してしまったのだから、なんとも皮肉だが、儲かりそうだとなれば短期間に参入業者が殺到してたちまち供給過剰になって政府が規制に乗り出し、後には失敗した業者等の残した負債と産業廃棄物が屍のように累々と残るということを中国はこれまで延々と繰り返してきたし、これからも繰り返していくのだと思う。なぜなら、無理をしてでも、無駄と分かっていても、それでも仕事を作り出し動き続けていないと、一瞬でも動きを止めたが最後、中国という巨象が倒れてしまうだろうことを、だれよりも中国自身がよく知っているからだ。
強面の裏にのぞく切実な国内事情
こうした観点で中国を見ると、中国を中心とした世界経済圏の構想「一帯一路」や、南沙諸島海域に強引に人口島を建設するなどの、一般的には覇権主義、強権、強引とみられがちな外に向かう中国の行動が、実は、自国の力だけでは経済が回らず国の中に就業機会を作り出すことが難しくなってきたため、労働力の受け皿や稼ぎどころを外にも作りたいのだという、切実で、内向きで、弱気な要素が大きいという側面が見えてくる。
ただ、受け皿を作ろうとする外に向けた動きは、時に中国国内に計算外の矛盾やひずみを生み出してしまう。
例えばフィリピンのメディア『Philstar』は2017年7月31日付でフィリピン労働雇用省の話として、北京、上海、福建省アモイ等中国の5都市にフィリピン人家事労働者を派遣することで中国と協議していることを明らかにしたと報じたのだが、給料は10万フィリピンペソ(21万円)で調整しているという話に私は目を疑った。人民元では約1万3000元で、中国人農民工が同じ仕事をする場合の倍以上の報酬である。また、フィリピン人家事労働者を多数受け入れている香港でも、給料は月額4310香港ドル、人民元にして3600元に過ぎない(2017年)。
いくらフィリピン人家事労働者は英語が堪能で雇い先の中国の富裕層の家庭では子息の英語教育にも期待できるとはいえ、ピーク時よりは仕事が減り収入も頭打ちになっている中国人の農民工たちは、自分たちよりも倍稼ぐフィリピン人の受け入れに納得しないだろう。フィリピン人家事労働者の受け入れは、南沙諸島の領土問題で高まったフィリピンとの緊張を緩和する目的があるとのことだが、中国経済の後方支援を期待して外に拡張したはずなのに、国内に農民工の不満という火種を背負い込むという矛盾を生んでしまっている。
だれにも分からない「この先」
都会の農民工の新たな受け皿として新たに台頭した仕事で現在最もかつ唯一有望なのは、ケータリングや宅配便を電動バイクで運ぶ飲食や物流の配送員である。
PM2.5の根源となる汚染を生み出すペットボトル等資源ゴミのリサイクル価格が暴落し、廃品回収を生業としていた農民工たちが上海等の大都市で食えなくなり、さりとて故郷にも仕事がなく、仕事を求めて国内をさまよい出したことを、私はこの連載で繰り返し書いてきた。20年近く廃品回収業しかしてこなかった河南省の農村出身で中卒40代の私の友人は転職もままならず、資源ゴミに比べればまだ値のつく中古家電の回収でなんとか糊口を凌いでいるのだが、PM2.5の騒動以来タダ同然になってしまった資源ゴミの中で唯一、古紙の値段だけが2017年に入って上がり出したのだという。宅配サービスの急成長で、梱包用のダンボールや包装紙の需要が急拡大しているためなのだそうだ。
ただ、無人コンビニを世界に先駆けて導入したり、検索大手の百度や通販の大手のアリババ(阿里巴巴)等、IT大手がこぞってAI(人工知能)を使った自動運転技術やロボットの導入に積極的だったりする中国で、物流がいったい何年、農民工の受け皿として機能するのかといえば、悲観的にならざるを得ない。それでなくても、「動きを止めると倒れてしまう」中国の宿命で、配送業でもお定まりの参入業者の殺到が既に起こったために1人あたりの稼ぎが減り、頑張る人で8000元(13万円)程度稼げると言われた配送員の月収は2016年をピークに下がり始め、1日10時間稼働しても3000元台が精一杯という人が目立ち始めたとも言われる。物流頼みの危うさが既に露呈した形で、さてでは「その先」はというと、今のところ、習氏をはじめ、問題の深刻さはだれもが分かっているが、どう解決すればいいのかは「だれにも分からない」と言うのが現実なのである。
これ以上の置き去りは許さない
対外的な強面の表情とは裏腹に、国内向けのスローガンは謙虚だ(2017年11月12日、上海展覧中心)
受け皿が減り始めた上、政争にも利用され、先行きも不透明と、農民工を取り巻く環境は実に不安定だ。ただ、今のところ、農民工や貧困層は、現政権及び体制を支持していると言える。背景には2つの事柄がある。
1つは、習氏による貪吏の摘発を、農民工や貧困層が高く評価しているということ。もう1つは、現在40代までの世代には、自分たちの幼少期や青年期に比べ、中国が着実に豊かに、確実に良くなっているという思いがあるためである。
先月の党大会で再任された習氏は、「現代化した社会主義強国を建設し、総合的な国力と国際影響力で世界をリードする国家になる」との目標を示した。これを取り上げて、中国が外向きの覇権主義をさらに推し進めるのではと警戒する指摘がある。ただ、決して高いとは言えない水準で頭打ちになりつつある都会の農民工たちの暮らしを間近に見ている私は、国力をそれほどまでに強大にしなければ、とてもではないが農村人口や農民工を養っていくことができないところにまできている、切実な国内問題が産み落としたスローガンであり目標だと捉えている。
党大会が終了し、上海市内には新たなスローガンが街のあちらこちらに掲げられている。その中で最も露出の頻度が高いスローガンは、「社会主義強国」といった覇権主義の推進を思わせるような勇ましいものではない。
「人民対美好生活的向往就是我們的奮闘目標」(国民を美しく麗しい生活に向かわせること、それが我々共産党の奮闘すべき目標だ)
為政者がこの謙虚な言葉を選んだのは他でもない。「強国でも何でもいい。とにかくこれ以上、オレたちを置き去りにするな」という、弱者の苛立ちの高まりが分かっているからこそなのである。
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