『中国スマホ社会で高齢者置き去り、タクシー拾えず救急搬送の悲哀』(12/26ダイヤモンドオンライン 王青)について

12/28日経朝刊中国スマホ決済 500兆円 7~9月期 前年同期比3.3倍 地方都市へ裾野拡大

【広州=中村裕】中国大手調査会社の易観が発表した7~9月期のスマートフォン(スマホ)を使った中国での決済金額は、前年同期比約3.3倍の29兆4959億元と急拡大した。ここには商品の支払い決済以外にも、金融商品の購入や個人間のお金の貸し借りなども含まれるが円換算で約509兆円となった。今後、サービス領域の拡大や地方都市への普及で、さらに中国でのスマホ決済は勢いを増しそうだ。

スマホ決済は、サービス名「支付宝」で知られるアリババ集団と、「微信支付」を提供する騰訊控股(テンセント)の中国ネット2強が、ほぼ市場を独占し、合計で93%(金額ベース)を占めた。アリババが54%、テンセントが39%だった。

中国のスマホ決済はもともと、店舗での買い物、レストランでの会計時やインターネット通販、出前の注文、ライドシェア、シェア自転車の利用時に使うことが多かった。ただ、サービス範囲の拡大は著しく、地下鉄やバスなど公共交通機関でもスマホ決済が利用できる都市が増えている。

直近でも、南部の中核都市である広東省広州市では11月から地下鉄、バスでテンセントの「微信支付」が使えるようになったほか、12月からは浙江省杭州市でアリババの「支付宝」で同様のサービスが始まり、スマホ決済が増え続けている。

さらにスマホを使って財テク商品「理財」を購入する人が増えていることも、スマホ決済額の増加の背景にある。銀行の預金金利を上回る商品が多く、スマホを通じて理財を買うのは、もはや中国人にとっては一般的な投資行動となっている。

サービスの種類だけではなく、大都市から中小都市へ地域的なサービスの広がりも、スマホ決済額の急増の背景にある。

一方、1~9月の累計のスマホ決済額は71兆元と、円換算で1千兆円の大台を突破し、すでに1230兆円に達した。

中国では、「スマホで何でもできるので、今年になってから、外出時に財布を持たなくなったし、銀行にも行かなくなった。もし急にお金が足りなくなった場合でも、友達に頼んで、友達のスマホから自分のスマホに直接お金を送ってもらうことができるので、スマホだけで事は十分に足りる」(広東省広州市在住の大学4年生の女性)といった人が増えている。個人レベルではまさに財布要らず、銀行要らずともいえる状況がこの1年間で中国で出来上がった。

今後は、公共交通機関での利用が一段と進むほか、クレジットカードの毎月の返済、銀行を介さず友人間でのお金の貸し借りといった範囲で、さらに利用が拡大するとみられている。来年の18年も中国ではスマホ決済額は一段と膨らむのは間違いなさそうだ。>(以上)

スマホ決済で理財商品まで簡単に購入できるというのは、ビットコイン同様、非常に危険と感じます。まあ、自己責任で買うのですから何とも言えませんが。バブルが弾けたときには無一文になるのでは。何の担保もないでしょう。

王氏の記事によりますと、中国の高齢者はスマホ決済に追いついて行けないとのこと。それはそうです。今60歳以上の人は大躍進から文革の間、真面に勉強する機会はありませんでしたから。なお、「中国の道徳を10年後退させた」という表現がありますが、賄賂社会・自己中・嘘つき・他責の人達にはハナから道徳はなかったと思っています。

翻って日本では、以前にも触れましたが、調査に依れば高齢者のスマホ利用率は55%とあります。ただ携帯の代わりにしか使っていない気がします。もし、ネット検索でいろんな情報を取るようにすれば、日本の既存メデイアはフェイクニュースを如何に垂れ流しているか、気付くと思います。特に中韓の見方を肯定して著しく日本の名誉・国益を如何に損ねているか分かろうと言うもの。

https://marketing-rc.com/article/20160731.html

12/29日経朝刊日中和解を阻む敵意の深層 リチャード・マクレガー氏 ジャーナリスト・作家

中国の戦略専門家らは太平洋戦争の終結した1945年から何十年にもわたり、米国の東アジアでの支配的な役割をけん制し、突き崩そうと熟考してきた。中国はすでに多くの選択肢を実行に移している。

Richard McGregor 英フィナンシャル・タイムズで北京、ワシントン支局長。「Nikkei Asian Review」に寄稿。近著に「Asia’s Reckoning(アジアでの審判)」(未邦訳)。

中国は海洋で、米国に挑戦するため海軍を増強し、南シナ海で軍事拠点化を進める。米国の中国沿岸での偵察飛行にも強く反発する。東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など近隣諸国を(米国陣営から)引き離し、中国中心の新しいクラブに引き込もうとしている。最近の例はフィリピンだ。

中国がまだ試みていないが、米国の世界での地位までを破壊する選択肢が1つある。日本を長年の米国との同盟関係から引き離すことだ。日本は米国の最も重要な軍事面での同盟国といえる。トランプ米大統領は就任後、安倍晋三首相と親しい個人的関係を築き、日本と緊密な協力を続ける。中国が日本の安全を保証し、少しでも米国との距離を置かせることに成功したらどうなるか、想像してほしい。アジアにおける超大国としての米国の地位は失われてしまう。

なぜ中国は日本を抱き込もうとせず、敵意をあらわにするのだろうか。中国があえて日本に手を差し伸べようとしないのは、日本が(37年からの日中戦争を含む)戦時中の残虐な行為について謝罪するのを拒否し、中国全体が激怒しているからだという。だが紋切り型の説明では、筋が通らない。中国と日本の和解の障害になっているのは別のものだ。アジアにおける二大大国の間の自然な対抗意識が、戦争の歴史と結びつき、国内政治に埋め込まれてしまった。

90年代に本格的に始まった中国の容赦ない反日の動きは、中国の国内政治に大きな影響を及ぼした。中国国内が日本の政策に神経過敏になったため、政府高官が純粋に日中の緊張緩和を主張するのは、キャリアを棒に振る行為に等しくなった。

例えば中国の王毅外相は、政府でも群を抜く日本通で、流ちょうな日本語を話す。だが中傷を避けるため、公の場で日本語を話さないようだ。中国の外交官や学者はだれもが、日本との関係改善を提唱することの危険を知っている。名門の清華大学の楚樹龍教授は「日本について何か前向きの発言をすれば、学生から必ず怒りの反応が返ってくる。ただ私は米国の研究者であるため、世間の意見を気にすることはない。ほかの人と意見が違っても、裏切り者と呼ばれることはない」と語る。

サイバー空間では、日本に対する敵意が、中国の「裏切り者」を取り上げるサイトにあらわれている。名前があがる人物のほとんどが日本に関連しており、北京と上海の著名な学者や中国の学校で使われる教科書の著者らが含まれているようだ。

両国の関係に過敏になるのは中国側だけではない。日本では安倍首相も含めた保守派が、戦時中の歴史について修正主義的な見解を示してきた。日本政府内の中国専門家である「チャイナスクール」は対中政策に影響力を持っていたが、中国寄りの態度を示す親中派とみられ、遠ざけられている。

また日本はしばしば戦争について謝罪しているものの、同じくらい頻繁にベテランの政治家が逆の発言をし、日本の誠意ある姿勢を台無しにする。世界第2、第3の経済大国として世界の貿易の操縦席に座る両国は、対話による安定した一般的な関係を構築することができなくなった。

中国と日本の長年の緊張は米国にとって大きな意味を持つ。トランプ氏は、戦後70年以上たつにもかかわらず米軍が日本に駐留を続けるのはなぜかと問いかける。もっともな問いだが、簡単に答えられる。日本は自国だけで中国を御しきれないことを知っている。北朝鮮の核を巡る動きが、日本の不安に拍車をかける。

米国が在日米軍の規模を縮小するようなことがあれば、日本は動揺し、核保有にも動くだろう。動きをみて初めて、中国は日本に対する積年の敵意の代償に気づくのかもしれない。

限られる日本の道

中国が、日本を長年の米国との同盟関係から引き離そうと狙っている。その懸念は今後、現実味を帯びる。中国共産党大会では、トップを走る米国を2035年に経済で抜き去り、50年には戦争でも勝てる強国になると宣言した。

順調な成長を経て、それが本当に成功すれば、はざまに生きる日本は選択を迫られかねない。今後も米国との同盟関係を続けるのか、これを解消して中国との協商や同盟といった関係を探るのか、である。

とはいえ戦後70年、民主主義を享受し、それが定着した日本と、一党独裁体制が続く中国では政治体制が根本的に異なる。共産党の中国と同盟を組む選択肢はない。日米同盟を維持しつつ、中国とも協調する。日本が選ぶべき道は限られる。(編集委員 中沢克二)>(以上)

二階幹事長が中国に行き、習と会って舞い上がっていますが、中国の狙いは上記の通り日米離間策にあります。それを分かって付き合わなければ(本来は敬して遠ざけるべきですが)。12/30日経朝刊には菅官房長官の「日中関係改善」へのコメントが載っていましたが、無条件受入ではなく、主張すべきは主張するスタンスです。そもそも関係改善する必要があるのかどうか。技術を詐取されるだけで、新幹線と同じく世界に中国製として売り出されるのが目に見えています。日本企業は騙されないように。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25098740W7A221C1000000/?df=2

リチャード・マクレガー氏が「順調に中国が経済を拡大し、軍事力でも米国を抜く」と思っているのは、米国が拱手傍観しているのを前提としているのでしょうが、米国がそんなにバカとは思えません。戦後覇権が英国から米国に移った時に、スムースに行ったのは価値観が近かったからです。米国と中国では強欲という共通項はあっても、自由や民主、人権と言う価値観を中国は持ち得ていません。パクス・アメリカーナからパクス・シニカにさせようとすれば、西側諸国は抵抗するでしょう。あり得ないと思います。日本もNATOに入り、西側との連帯を強めていけば良いと思います。

12/28JBプレス 北村淳<「北朝鮮暴発の危機」は中国のシナリオだった? 中国の海洋戦略が勝利を手にした2017年>北村氏の見方と言うか、米軍の一部の見方が正しいかどうか分かりませんが、中国は北に騒動を起こさせ南シナ海や東シナ海から目を逸らさせようとした可能性は勿論あります。狡賢い連中ですから。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51961

12/29日経トランプ氏、中国に「非常に失望」 北朝鮮の石油輸入容認で>「北朝鮮の船が10月以降、約30回にわたり公海上で中国籍とみられる船から石油を密輸している現場を米国の偵察衛星が確認した」と。中国を信じてはいけないという事です。北村氏の記事のように、中国と北の自作自演、茶番なのかもしれません。江派+瀋陽軍区+金一族の繋がりもどこまで本当やら。中共と北がグルになっている可能性も充分あり得ます。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25243560Z21C17A2000000/

12/28NHKニュース20:52北朝鮮への米国の軍事行動 米国では3割超が「賛成」

日本とアメリカの共同世論調査の結果が発表され、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮へのアメリカの軍事行動の是非について、アメリカでは「賛成」と答えた人が日本より10ポイント以上高く、3割を超えました。

この世論調査は日本の民間団体「言論NPO」がアメリカのメリーランド大学と共同で、ことし10月から11月にかけて行ったもので、日本では1000人、アメリカでは2000人が回答しました。 それによりますと、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮へのアメリカの軍事行動の是非について、「賛成」と答えた人は、日本で20.6%、アメリカでは32.5%で、アメリカが日本より10ポイント以上高くなっています。 一方で「反対」と答えた人は、日本で48.3%、アメリカでは44.2%と、アメリカが日本より4ポイント余り低くなりました。 これについて調査を行った言論NPOは「北朝鮮への軍事行動に対する反対の声がアメリカでは支配的なわけではない」と分析しています。 また、北朝鮮の核開発を止める最も有効な方法について聞いたところ、日本では「止めることができるとは思わない」が最も多く、27.2%になりましたが、アメリカでは「6か国協議など、多国間での外交努力」が最も多く、35.3%で、「アメリカによる軍事行動」と答えた人の3倍以上に上り、アメリカでは、軍事行動はあくまでも最後の手段という意識が強いとしています。 さらに北朝鮮を核保有国として認めるべきかについて、アメリカでは日本の3倍近い37.6%が「認めるべき」と答えていて、言論NPOは「日本国民との意識のズレも浮かび上がっている」と指摘しています。>(以上)

「言論NPO」なるものは工藤泰志元東洋経済新報社編集長が理事長を務めているようですから、既存メデイアの延長線にあると見て良いのでは。つまり、中立・公平を装って世論を誘導しようとしていると思います。BPOと同じでしょう。真面には信じられません。NHKも同じ穴の狢でしょう。

記事

どんなに小さな店や屋台でもスマホで決済できるほど、モバイル決済が常識化している中国は「IT先進国」「モバイル先進国」と呼ばれ、あらゆるものがスマホアプリでどんどん便利になっている。その一方で、IT化の波について行けず、取り残される高齢者も多い。(日中福祉プランニング代表 王青)

現在の中国IT社会を象徴する 街角でひたすらタクシーを待つ老夫婦の姿

先月の上海、寒気襲来の日―――。

住宅街を出たところの大通りの角に、老夫婦が寄り添ってタクシーを止めようとしています。空車の点灯があるにもかかわらず、タクシーは止まる気配もなく、猛スピードで次から次へと老夫婦の目の前を走り去ってしまいます。

冷たい風の中で、老夫婦が疲れた様子でひたすらタクシー待つ……。

これは、最近の上海や北京などの大都会でよく見かける光景で、スマホ決済やアプリなどのIT技術の進歩に無情に置き去りにされる高齢者たちの、まさに象徴ともいえるシーンとなっています。

中国の上海、北京などの大都会で急速に利用が増えるシェア自転車や、ウィーチャットやアリペイなどモバイル決済は着実に普及しています。スーパーやコンビニエンスストアは当然のこと、個人がやっているどんなに小さな店でも、屋台でもQRコードがあります。ほとんど財布を持たなくて済みます。

タクシーを呼ぶ際には、なくてはならないディデイやウーバなどの配車アプリ。これらは、世界中から注目を集め、「凄い!」と称賛の声も浴びており、輝く最先端の存在となっています。中国に比べて遅れている日本は「まるで前世紀にいる」とも言われたほど、日本でも大きな話題となりました。

確かに筆者も中国へ出張の度、その便利さの恩恵を受けています。“バイ菌”満載の汚い紙幣を触らなくても済むと助かっています。

しかし、これらの先進的ITサービスを、若者が「時代の進歩」の象徴のように享受すればするほど、その光の陰で、高齢者の日常生活には不便さが増していきます。

タクシーを拾えずに炎天下で倒れ 皮肉にも来たのはタクシーではなく救急車

上海の60歳以上の人口率は32%で約460万人がいます。その上、一人暮らしや老夫婦だけの世帯が高齢者世帯の60%以上を占めています。

日本と同様、高齢者の多くはスマホのさまざまなアプリを上手く使いこなせない方が普通です。

「使い方がわからない」、「見えないお金を使うのは騙されないのか」と不安を感じるうえに、「老眼でスマホの字が見えにくい」、「パスワードをいちいち覚えられない」など、高齢者であれば万国共通の悩みもあります。

特にタクシーを拾う場合、高齢者が道端でいくら待っても来ず、目の前まで来ても停まってくれません。今年の夏には、気温40度に達した炎天下で、タクシーを待ち続けていた一人の高齢者が熱中症となってしまい、結局、皮肉にも来たのはタクシーではなく救急車でした。

先月、中国の「敬老の日」に、ある会社員の女性が90代の祖父母に膝用のサポーターとマッサージ機をネットで購入し、その日に届けるように指定しました。

ところが、荷物は玄関まで届けられず、マンション敷地内に新設された配達ボックスに入れられました。受け取るには携帯にショートメールで送った受取番号が必要で、もし24時間が過ぎたら、今度はウィーチャットでバーコードをスキャンし、新たな番号を取得しなければならない仕組みです。

普段は携帯で通話しかしない90代の高齢者に、こんな複雑なやり方は到底できません。結局、敬老の日のための祖父母孝行の気持ちは無駄になってしまった、と女性は嘆いていました。

高齢者の「待ち時間」が長くなっている病院 レジで「今さら現金で払う?」と舌打ちする若い男性

高齢者の通院も最近段々と待ち時間が長くなってきています。

なぜなら、アプリでの予約ができるようになったからです。スマホが使える人であれば、指一本で予約番号を獲得し、わざわざ早く病院に行って並ぶ必要がありません。

ところが高齢者は早朝から病院へ行き、診察開始前よりも並んでいるのに、後から来る人が続々と自分たちの順番の前に入っていき、どんなに待っても診察室には入れません。また、最近はスマホによる振り込め詐欺も多発しているとの報告があり、被害者の多くは高齢者です。

先月上海へ出張した際の出来事です。コンビニのレジでゆっくりと財布から小銭を出そうとしている高齢の男性が、目が悪いせいかのろのろしていると、後ろに並んでいた若い男性が舌打ちして「今さら現金で払う?」と罵っていました。

また、レストランで隣のテーブルにいた年配の女性が、若い店員さんにスマホ決済を要求された時の、途方に暮れた顔が忘れられません。

もはや、モバイル決済などで最先進国であると言われる中国では、日本と別の意味での高齢者による「買い物難民」、「外出難民」、「通院難民」などが続出してくるのではないかと思われます。

「経済の発展」や「社会の進歩と成熟」とは、一体何を基準に測られて評価されるのでしょうか。

日本に観光や仕事でやってくる中国の人たちによく感心されるのが、日本の公共空間の、高齢者や障害者が行動しやすいインフラとソフトサービスによる街の優しさです。

よく挙げられる例としては、地下鉄に乗る車いすの方の移動です。乗車の際にその駅の駅員が折り畳みのスロープを持ってサポートします。下車駅では、すでに車いすの方が何両目に乗っているかを把握して、駅員がスタンバイしています。

また駅構内には大抵、エスカレーターやエレベーターが備え付けられていて、高齢者の方や、身体の不自由な方にはとても便利になっています。

時には階段昇降機まで設置されているところもあります。「だから、日本の街ではよく障害者や車いす姿の人を見かけるのだ」と納得させられます。逆に、中国では、「障害者の姿が少ないのはなぜ?」と中国を訪れる日本人から質問されます。

中国の道徳モラルを「10年は後退させた」といわれる事件

日本ではあまり知られていないかもしれませんが、「もし、お年寄りが街で倒れたら、助けるべきか、無視するか」という問題では、ある民事裁判の判決が長年、中国の国民を悩ませてきました。

これは2006年に南京で起こった出来事です。ある20代の男性がバスを降りたところ、バスに乗ろうと転んでケガした60代の女性の身体を起こし病院に連れて行きました。その後、女性は「男性にぶつけられた」と言い、賠償金を要求したのです。

結局、裁判まで持ち込まれ、判決で男性は4万元(日本円約64万円)の支払いを命じられました。この判決は当時全国に大きな波紋を広げ、さまざまな議論を呼びました。その「後遺症」はいまだに強く残っていて、「善意ではもう人を助けられません、特にお年寄りは……」と、多くの人々はそう思ってきました。

実際、困っているお年寄りを無視することが多くなりました。

そして、目の前でお年寄りが倒れたら、「まず、写真を撮って自分が潔白となる証明を残し、それから助けの手を差しのべる」というやり方がメディアで紹介されました。

日本では信じられない話かもしれませんが、以後、中国では実際に多くの人が同じ方法を取りました。

この事件は中国の道徳モラルを「10年は後退させた」と専門家が指摘しています。

中国自慢のネット社会に高齢者は置き去りにされている

誰にとっても暮らしやすい社会とはどのような社会なのか――。

今、皆が自慢している中国のインターネット社会で、残念ながら高齢者たちは置き去りにされた状態となっています。

彼らは年を取るにつれ、身体機能の衰えよりも、精神的な焦り、つまり自分が「時代の変化に遅れて追いつけない」という喪失感に翻弄されている寂しさが大きいに違いありません。

一方で、ITの発展に道徳モラルはついていけているのか、考えさせられます。

最近、アリババ創業者のジャック・マーが新たな事業として始めた無人スーパーが、またも熱い視線を浴びています。

これに対してある高齢者の女性が「無人スーパーなら、人件費を省いた分、品物の値段は安くなるの?もし安くならなかったら、我々庶民にとって何のメリットがあるの?ITやキャッシュレスやいろいろ称賛されるけど、我々高齢者には一切関係ない。会話のない買い物はつまらない、ますます孤独になっていくだけ」と愚痴る姿は、多くの高齢者の心情を代弁しているのかもしれません。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『中国の外交はなぜ韓国に厳しく日本には甘くなっているのか』(12/26ダイヤモンドオンライン 真壁昭夫)について

中国の政権内部はシッチャカメッチャカ、世界的に見ても反共になびくという所です。

12/25中国観察<中共遭遇四面楚歌 全球反共情緒正在醞釀 阿波罗新闻网=中国は四面楚歌に遭う 世界的に反共感情が醸し出されている アポロネット>米国、欧州、豪州で中共の浸透を公に非難、中国は西側の自由且つ民主主義的価値を毀損する行動を取っている。また、一帯一路による「債務陥穽外交」の例としてスリランカの例があるとも。米国は日・印・豪ともに「インド・太平洋戦略」を提唱、豪州は反スパイ法・反外国干渉法案を国会に提出、欧州は国内市場を守るため廉価商品の流入を防ぐ新たな法案を作ると宣言、豪州沖では中国船が1.2t、7.8億$のヒロポンが陸揚げされようとした。

http://www.aboluowang.com/2017/1225/1045297.html

12/27中国観察<又與暗殺有關?習近平“腹痛”住院消息引疑(圖) 看中国=また暗殺と関係が? 習近平は腹痛で入院との噂は憶測を呼ぶ 看中国>習は何度も暗殺されそうになり、精神の極度の緊張から腹痛を起こしたのではと。でももし、腹痛だけだったら、専門医が中南海に駆けつける筈。「自由時報」は「長期の緊張状態が腹痛を引き起こしたので検査入院したのでは」と。栗戦書が中央弁公庁主任になり、習のガードを固めているとの記事です。

https://www.secretchina.com/news/b5/2017/12/27/845173.html

それに関連して、12/28日経朝刊<中国、治安部隊を習近平氏指揮下に 権力集中を加速>武警の軍事委と国務院との二重管理を軍事委一本にするというもの。クーデター対策との事ですが、一本化することだけでは防ぐことはできないでしょう。反腐敗運動を進めて来て、政敵打倒、軍人に恨みを持たれていますので。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25175910X21C17A2FF2000/

12/28日経朝刊中国政府があやつる「爆買い」渡航先

「爆買い」で注目される中国人観光客。世界最大の観光客の送り出し国で、年間約1億3千万人と日本の人口にも匹敵する規模に膨らむ。中国にとっていまや、団体客の渡航禁止は外交問題などで相手国をけん制する手段となった。各国が経済振興のために中国人観光客を奪い合っているからだ。手法も巧妙で、相手国からの批判をかわすために行政文書を使わない口頭指導により旅行会社を縛ることで、相手国への最大限の効果を狙う。

「上司が20日に地元の観光局から呼び出しを受け、韓国への団体旅行の販売を禁止する指導を受けた」。山東省青島市の旅行会社の従業員は明かす。観光局とは地方政府で旅行行政を担当する部門だが、文書での通知は一切なかった。

青島など山東省の都市に加え、北京市の旅行会社も韓国への団体旅行の販売を停止した。一方、中国外務省の華春瑩副報道局長は20日の記者会見で「(団体旅行禁止は)聞いていない。中国は中韓交流に開放的だ」と否定した。実態と外務省コメントの差はなぜ生まれるのか。

「特定国への報復的な禁止措置は国際規範に反するため中国政府は公表しない。しかし、相手国に対し不満があるから水面下での指導に走る」。中国の旅行会社元幹部は解説する。「観光局の判断ではなく、より高い立場の共産党組織による指導だろう」と指摘する。

今回の韓国への団体旅行の禁止についても「個別の理由は分からない」としたうえで、「中韓首脳会談の直後に起きたことから考えると、中国側に首脳会談または直後で、なんらかの不満が出たと考えるのが自然だ」との見方を示す。

韓国への旅行禁止は、相手に最大限の効果を与えるために練られた戦略に基づいている。

3月に在韓米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の配備問題が引き金となって中国全土で禁止された。その後、両国関係の改善で11月に北京市と山東省に限り解禁され、12月になって再度禁止となったのには理由がある。

山東省は海を挟んで韓国と近く企業や個人の往来が盛んだ。北京市は韓国企業の進出が多く、次々回の冬季五輪の開催地であり、冬季五輪つながりで団体旅行を含めた韓国観光が伸びる見通しだったという。旅行禁止の効果が出やすいとして両地域を選んだとの見立てだ。

実は、日本への団体旅行も9月から遼寧省や山東省、重慶市などで人数制限などを受けている。偽造パスポートで入国した中国人の行方不明や外貨制限が理由に挙がったが、ある関係者は「日中政府間で夏に行われた非公式な話し合いで、中国側に不満が生じたことが引き金になったようだ」との見方を示す。

地域によって対応が異なったのは、実効性の観点から説明できる。関係者は「上海、広東省などは個人旅行が多いため効果が薄いうえ、団体旅行のチェックに手間がかかることから見送られた。制限した地域は団体旅行の比率が高く、中国側のチェックもしやすい」と打ち明ける。

中国の団体旅行禁止という手法が目立つようになったのは、海外旅行客が1億人に近づいた2012年から。南シナ海や東シナ海の領有を巡り対立したフィリピンや日本向けを禁止しプレッシャーをかけた。16年は台湾の蔡英文政権の誕生に伴い、台湾旅行が事実上の制限を受けた。

「中国を旅行大国から旅行強国に転換する」。中国が主導して今年9月に立ち上げた観光業の世界組織「世界観光連盟(WTA)」の発足時、主席となった段強氏はあいさつで強調した。

旅行強国とは何を意味するのか。1億3千万人近い中国人観光客の消費額は約30兆円に膨らみ、世界の海外旅行消費に対する寄与度は2割に達するとの試算もある。WTAの理念は「観光で世界をよりよくする」とある。旅行強国とは、相手国の観光に打撃を与え、外交上優位に立つ手段にすることではないはずだ。(北京=多部田俊輔)>(以上)

中国はこういう口頭での行政指導を乱発します。公明正大どころではありません。WTOから脱退させれば良いのでは。トランプも二国間貿易協定に拘ることなく中国の経済的封じ込めをすれば良いのに。

12/27NewsSphere<「新日英同盟」軍事的急接近の背後にあるものとは 英識者が指摘するニーズの一致>日米だけでなく多国間同盟で日本の安全を確保する方が良いに決まっています。NATOに日本も加盟しましょう。

https://newsphere.jp/politics/20171227-2/

12/25ぼやきくっくりブログ「真相深入り!虎ノ門ニュース」で青山繁晴氏が憲法9条改正案を自民憲法改正推進本部会議で提案。「本9条は自衛権の発動を妨げない」を入れると。少しずつ日本もまともな方に動き出しています。日本の安全を高めるのには憲法改正は避けて通れません。でなければ超法規的措置で敵と対抗することになります。憲法改正反対を唱えるのは独裁且つ人権弾圧の中共の手先と思って間違いありません。

http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid2136.html

12/28NHKニュース4:08“慰安婦“日韓合意は正当 破棄や見直しは重大影響 政府

慰安婦問題をめぐる日韓合意の過程を検証した韓国外務省の作業部会の報告書について、政府は、合意は正当な交渉を経たものであり、韓国側が合意の破棄や見直しを求めてくれば日韓関係に重大な影響を及ぼすとけん制していて、着実な実施を強く求める方針です。

慰安婦問題をめぐり、日韓両政府が合意した過程を検証していた韓国外務省の作業部会は27日、「被害者の意見を十分に集約しなかった」などと、前のパク・クネ(朴槿恵)政権の対応を批判する報告書を発表しました。 これに対し、政府は、合意は正当な交渉過程を経たもので、問題があったとは考えられず、国際社会からも高く評価されているとしたうえで、報告書で、日本側の了承なしに合意内容や交渉過程を一方的に明らかにしたことは遺憾だなどとして、韓国側に抗議しました。 また、河野外務大臣は27日夜、訪問先のオマーンで記者団に対し、「万が一、合意が変更されることがあれば、日韓関係は極めて管理不能な状況になる。『前の政権がやったことは知りません』ということでは、これから先、日韓が合意するのは何事においても難しい」と述べ、韓国側が合意の破棄や見直しを求めてくれば日韓関係に重大な影響を及ぼすことになるとけん制しました。 政府は、当面、韓国政府が、報告書を受けてどのような対応を取るか注視することにしていますが、政府内では、国内世論などを見極めるため、韓国政府が方針を打ち出すまでには時間がかかるという見方も出ています。 政府は、日本側が10億円を拠出し、すでに元慰安婦への支援事業などが行われていることを踏まえ、未来志向の日韓関係を築いていくためにも、韓国側に合意の着実な実施を強く求めていく方針です。>(以上)

朝鮮半島とは関わらないことです。碌なことがありません。安倍首相も平昌オリンピックには出席しないように。まあ朝鮮戦争で潰れる可能性が高いと思っていますが。

12/26ZAKZAK<トランプ氏、1・9武力行使の情報 官邸筋ひそかに警告「駐在員は順次帰国を」>ここまで言われているのに、日本に帰らなくても自己責任ではないかと思います。企業は早く帰すべきと言うか、新年休暇で戻った社員は日本にとどめるべきです。

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/171226/soc1712260010-n1.html

12/28遠藤健太郎氏ブログ<あの報告書と文政権の目的>には安倍首相の平昌オリンピック出席はほぼなくなったとのこと。当然です。韓国は慰安婦合意への態度を保留にして、日本からオリンピック出席の返事を貰ってから見直しを発表するつもりなのでしょうが、もうその手は読まれています。嘘つきで約束を守らない朝鮮人を信用することはできません。中国人を更に劣化させた民族ですから。

http://endokentaro.shinhoshu.com/japan/post5220/

12/28日テレ<二階幹事長、習主席と会談 来年の訪日要請>中国人の基本的価値観は「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」というのをゆめ忘れないように。

http://www.news24.jp/articles/2017/12/28/04381737.html

真壁氏の記事は世の中の動きを捉まえ切れているかどうかです。中国のプロパガンダに乗せられ、日経の煽り記事を信じて中国に進出した日本企業がどれだけ痛い目に遭ったか、それでもまだ中国に未練と言うかチャンスと捉えているのは授業料を払ってきたのにまだ分からないという事です。

記事

“いいとこ取り”で一貫性がない 韓国の文政権に中国は厳しかった

“文政権の失敗”、“屈辱的な外交”――。

12月13日から16日にかけて、韓国のメディアは、文大統領が訪中したことを手厳しく批判している。それほど、中国の文大統領に対するスタンスは丁重さを欠いたとも言える。

元々、韓国の文政権は“いいとこ取り”で一貫性がないと批判されてきた。9月の日米韓首脳会談にて、韓国は日米との親密な関係を示す一方、経済面での中国との関係を重視して中国にすり寄る姿勢も示す。

そうした一貫性を欠く政治スタンスで、世界の信頼を得られるはずはない。米中両国にすり寄り、自国に有利な状況を作り出そうとする“いいとこ取り”の政策は限界に近づいている。

そうした韓国に対し中国は手厳しかった。

共同声明、共同記者会見のいずれもが行われなかった。これは首脳会談として極めて異例といえる。これまで、中韓両国は歴史問題などで対日批判を行うことが多かったが、今回は目立った言動は見られなかった。

今回の中国の韓国に対する厳しさの背景には、中国外交の基本姿勢に微妙な変化が現れているということだろう。具体的には、米国の孤立化等の要因を考慮して、中国はわが国に配慮し始めたように見える。ある意味では、それはわが国にとって重要チャンスになるかもしれない。

微妙に変化している 中国の外交スタンス

今回の文・韓国大統領の中国訪問によって明確になったポイントは、中国がわが国との関係を重視し始めたように見えることだ。中国が、そうした考えを公式に発表することは考え難いものの、さまざまな要因を基に考えると、中国外交の基本スタンスに微妙な変化が見られるのは確かだ。

一つには、南京で開かれた“南京大虐殺国家追悼式典”での習国家主席の対応からも確認できる。同主席は、式典において演説を行わなかった。自らの長期的な支配基盤の強化と持続を重視する習氏にとって、この式典で演説を行い、国家全体に自らの威光を示すことは重要だったはずだ。ところが、実際には演説はなかった。専門家の中には、「演説しなかったことはおかしい」と指摘する声もある。

文大統領の訪問を受けた会合の中でも、中国からはわが国に対する批判などが出されることはなかった。韓国としては、経済面での配慮を取り付けつつ、歴史問題を理由にわが国への批判的な姿勢を中国と共有したかったはずだ。

わが国への批判を共有することで、文大統領は韓国の国内世論に対して、経済と外交の両政策分野で国家にプラスの取り組みを進めているとアピールできる。ところが、今回、中国はそうした韓国の考えを受け付けなかった。

中国が文氏を国賓として迎えたのは、あくまでも儀礼的なものだ。表面的に中韓関係が良好であることを国際社会に示すことはそれなりに重要でもある。対話を軸に北朝鮮問題に対応するためには、中韓関係がぎくしゃくするよりも、円滑であるように見えたほうがいい。反対に言えば、それ以上の考えは中国にはなかったということだ。

中国国内では、韓国国内で米国製の高高度ミサイル防衛システム(THAAD)が配備されていることへの批判も強まっている。習国家主席は対韓批判を強める世論に配慮し、問題を適切に処理するよう求めた。中国のスタンスの変化が確認された一方、韓国は経済制裁の解除など、望んだ回答を得ることはできなかった。

対日関係を重視し始めた中国の事情

中国は少しずつわが国に顔を向けて、距離感を縮めようとしているように見える。その背景には、国際政治、アジア地域での影響力拡大、国内の安定に関する思惑があるだろう。

国際政治の面から考えると、現在、米国は国際社会からの孤立を深めている。トランプ政権はエルサレムをイスラエルの首都に認定した。その機を逃さず、中国は国際社会への影響力を強めたい。

そのために、世界第3位の経済国であり米国との関係を重視しているわが国に、近づこうとしているとも考えられるだろう。トランプ政権の孤立を浮き出させるためにも、中国はわが国との距離を近づけておくことに重要な意味がある。

もう一つのポイントは、アジア地域での影響力の拡大である。中国は“21世紀のシルクロード経済圏構想”(一帯一路)の下で、アジア各国のインフラ投資を支援し、需要を取り込もうとしている。問題は、インフラ開発を資金面から支援することを目指して設立されたAIIB(アジアインフラ投資銀行)の実務能力だ。

AIIBに加盟する国は増える一方、プロジェクトファイナンスや各国政府との調整に当たる専門家の確保が進んでいないといわれている。それは、国際金融機関の業務運営にとって致命的だ。それに比べ、わが国はアジア開発銀行(ADB)を通してアジア各国の経済開発を支援してきた。その経験やノウハウを取り込んでAIIBの実務能力を引き上げるために、中国が対日関係の強化を従来以上に望んでいる可能性がある。

さらに、中国が必要とするわが国の公害(環境)技術の吸収だ。中国に駐在する商社の知人によると、北京などの大気汚染は一般に報道されているよりも深刻だ。環境問題を放置すると、国民生活の悪化だけでなく、生命の危機にもつながりかねない。

ある環境経済学者は、中国の環境問題は、わが国の4大公害よりも深刻と考えられると指摘している。環境への負担を減らすために、中国は汚染対策技術や省エネ化のためのセンサーなどを必要としている。そうした技術分野において、わが国企業の競争力は高い。

環境問題を放置すれば、工場やプラントの操業度が低下するだけでなく、健康被害の深刻化を理由に共産党への不満や批判が増えるはずだ。環境問題は習国家主席の支配基盤を揺るがす問題である。その問題解決のために中国はわが国の技術力を求めている。

わが国にとって見逃せないチャンス

今後、経済面でのわが国と中国のつながりは強まるだろう。中国は省人化技術やハイテク産業の強化を重視し、半導体分野でのシェアと競争力を高めようとしている。11月の貿易統計(速報)を見ると、それがよくわかる。わが国から中国向けの半導体製造装置の輸出は堅調に増加している。この結果、対中輸出額は米国向けを上回った。

中国は電気自動車の普及も目指している。わが国の企業が強みを持つ、リチウムイオン電池のセパレータなどの部材需要も高まる可能性がある。その分、不祥事などを受けて企業の経営が揺らぐ場合、中国の企業に買収される可能性は高まっていると考えるべきだ。

わが国の政府は、中国のスタンスの変化をうまく利用すべきだ。中国に対しては是々非々の姿勢で臨む。それは、公正な態度で協力できる分野は協力する、海洋進出など、国際問題に発展している点に関しては自制を求めることだ。そのために、日中韓よりも、日中の首脳会談はできるだけ早いタイミングで開催されることが望ましい。

同時に、政府はアジア開発銀行を軸にアジア新興国地域のインフラ開発を支援すればよい。ミャンマーは、インフラ開発を進めたいがあまりに中国との関係を強化せざるを得なくなっている。その結果、ロヒンギャ問題が深刻化し、国際社会から批判を受けている。

そうした国に対しては国際社会の要請を受け入れるように働きかけ、今後の支援の道筋を模索するべきだ。それが、中国の圧力に直面しているアジア新興国にとっても、わが国との関係強化を目指す誘因となるだろう。

インフラ外交を軸に、アジア経済全体の安定と利害の調整を進めることが、わが国の信頼感を高めるはずだ。その取り組みがうまくいけば、日本政府の考えに賛同する親日国を増やすことができる。

親日国が増えれば、国際社会におけるわが国の発言力が増す。安全保障の強化や、多国間の経済連携に向けた議論のためにも、それは不可欠だ。トランプ政権の先行きが不安視される中、わが国が極東地域の安定を維持しながらアジア地域への影響力を高めていくためには、それが有効な発想だろう。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『中国イニシアチブ──姿を現した習近平の狙い 日本を含め世界各国を本気で取り込む』(12/27日経ビジネスオンライン 遠藤誉)、『習近平の外交ブレーンが記した「驚愕の論文」その中身 「今世紀は中国式が世界の主流だ!」』(12/26ゲンダイ 近藤大介)について

12/12笹川平和財団主催の奥山真司講師の『地政学から見た海洋安全保障  ~北朝鮮問題を事例として~』のスライドから。

中国が掲げている「一帯一路」に酷似しています。中国人はパクリの名人ですからこれからヒントを受けたことは間違いないでしょう。12/16本ブログでも紹介しました「南シナ海の内海化」も欧米の地政学者の発想のパクリです。

http://dwellerinkashiwa.net/?p=7822

近藤氏の言う「中国模式」が東南アジアに広がっていると言いますが、それは軍事力を恐れてのことです。米国の出方によって変わります。

また「ツキディデスの罠」を避けるために、アメリカを除く「ユーラシアの覇者」を目指すとのこと、ユーラシアの覇権を握るとなると欧州とロシアは黙っていないでしょう。ルトワックの唱えた説(周辺国の合従連衡で対抗)通りとなるのでは。

遠藤氏も近藤氏も「中国が世界征服を目指している」と考えています。小生も本ブログでそのことの危険性を早くから指摘してきました。鄧小平の“韜光養晦”から“有所作為”へ変わったころから中国は野心を剥き出しにして来ました。それが今度の12/1の習の発言で明らかになっただけです。「われわれは外国のモデルを『輸入』しない。同時に、中国のモデルを『輸出』もしない。そして他国が中国のやり方を『コピー』することも求めない。

第一に、中国共産党は一貫して世界の平和と安寧に貢献する。第二に、一貫して世界共同体の発展に貢献する。第三に、世界の文明交流に貢献する」との発言は明らかに嘘です。「南シナ海の人工島は軍事拠点にしない」と習自ら言ったのにも拘らず、軍事拠点化しているではないですか。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」と言う国ですから。日本も遠藤氏の言うように甘い対応をしては駄目でNATOに入り、中国の封じ込めをするようにしないと。

12/26中国観察<中共打壓聖誕重慶上狙擊手 網民抵制洋幽靈共產黨 信徒抗命上街遊行過聖誕 阿波羅網=中共は重慶に狙撃手を配置してクリスマスを祝わせなかった ネットでは“西洋の幽霊である共産党(マルクスの共産党宣言の「ヨーロッパに幽霊が出る――共産主義という幽霊である」からもじって)”をボイコット 信徒は命令に逆らいクリスマスにデモ行進>

今年の重慶市のクリスマスイブ

昨年度の重慶市のクリスマスイブ

「 通知 今年のクリスマスイブ・クリスマスには、全校の教師と生徒は真剣に中共中央弁公庁の定めた“中華の優秀な伝統文化を継承・発展させるプロセスについての意見”を学び、西洋崇拝を止め、西洋の祝日に盲従せず、キャンパス内でのいかなる形でのクリスマス祝賀活動を厳禁する  〇〇中学校」

http://chinaexaminer.bayvoice.net/b5/bads/2017/12/26/385036.htm%E4%B8%AD%E5%85%B1%E6%89%93%E5%A3%93%E8%81%96%E8%AA%95%E9%87%8D%E6%85%B6%E4%B8%8A%E7%8B%99%E6%93%8A%E6%89%8B-%E7%B6%B2%E6%B0%91%E6%8A%B5%E5%88%B6%E6%B4%8B%E5%B9%BD%E9%9D%88%E5%85%B1%E7%94%A2%E9%BB%A8.html

ショービニズムの極みでしょう。これで「相互尊重、公平正義、提携共勝」と言う言葉がどこから出て来るのか。中共中央がやらせていることです。やはり中国人と言うのは嘘つきです。警戒しませんと。

12/28日経電子版<イスラエル・パレスチナ・日米 東京で4者会談構想 河野外相が提案>12/27本ブログで紹介しました増田俊男氏のメルマガ記事が当たっているのかも。でも日本の安全保障・エネルギー対策上非常に良いことです。中国に顔を向けさせないためにも。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25131660X21C17A2MM0000/

遠藤記事

「中国共産党章程(党規約)」の現物

12月初旬、「中国共産党と世界政党ハイレベル対話会」が北京で開催された。各国政府のど真ん中の人物に焦点を当てて、中国への理解を深めさせ、そして「中国礼賛」へと洗脳していく――。「世界の工場」「巨大市場」として、経済に大きな存在感を占めるに至ったこの国が、次に狙うのは精神だ。対話会では「中国イニシアチブ」が採択された。紅い中国が世界を染める狙いを覗かせる日がやってきたのだ。

本稿では、第19回党大会で決議された「習近平(シージンピン)新時代、中国の特色ある社会主義思想」とは何かを紐解き、その一連の流れの中で遂に現し始めた習近平の正体を考察する。

「習近平思想」とは何か

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

1941年、中国吉林省長春市生まれ、1953年帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授。理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員教授などを歴任。最新の著作は『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』。主な著書に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)『チャーズ 中国建国の残火』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』(朝日新聞出版)など多数。

10月24日に閉幕した第19回党大会(中国共産党第19回全国代表大会)では、党規約の改正が行われ、党の綱領として「習近平思想」が盛り込まれることが決議された。正式名は「習近平新時代中国特色社会主義思想(習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想)」という非常に長い文言で表現されている。

これまで党規約には、その政権が終わった段階で、新たに当該政権スローガンを明記する、という習慣があった。毛沢東思想は建国前から入っていたが、それ以外は政権一期目に書き入れることはない。党規約の冒頭には「マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論、三つの代表重要思想、科学的発展観」が書かれていたのだが、ここに「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」という言葉を、まだ政権一期目の終わりにも拘わらず、明記することが決議されたわけだ。

マルクス・レーニン主義という共産主義国家におけるくくり以外では、個人名があるのは毛沢東と鄧小平のみ。おまけに「個人名+思想」という形は、建国の父である毛沢東以来、初めてのことだ。習近平は、少なくとも党規約の中では、毛沢東と並んだことになる。

それでもストレートに「習近平思想」と書かなかったのは、建国前から中国人民の中に浸透している「毛沢東思想」と全く同じ文字数で明記するのは、さすがにおこがましいと思ったからだろうか。だから、なぜ「習近平思想」を党規約に書き入れるかという理由を同時に弁明するために、間に「新時代の中国の特色ある社会主義」という文字を入れたもの、と思われる。

新時代を説明するに当たり、習近平は党大会の演説で「アヘン戦争以来、中華民族は虐げられてきたが、しかし遂に人民は站起来(ザンチーライ)(立ち上がり)、富起来(フーチーライ)(富み始め)、強起来(チャンチーライ)了(ラ)(そして強くなり始めたのだ)!」と言った。この「站起来」は中国を建国した毛沢東時代を指し、「富起来」は改革開放後の鄧小平時代を指す。富国時代だ。そして最後の「強起来」こそは、習近平が描いた強国時代を指している。このように三つの象徴的な言葉で時代区分することにより、習近平がもたらした「強国時代」を「新時代」と称したのである。

また演説で習近平は、中国を「世界の舞台の中心で重要な役割を果たすようになった」と位置付けた。これは、米国に追いつき、追い越して、世界のナンバー1の国家となり、全世界を制覇することを示唆している。それが「中華民族の偉大な復興」であり、「中国の夢」だ。

メディアをフル活用、全国を“洗脳”

10月31日、習近平ら新チャイナ・セブン(中共中央政治局常務委員会委員7名。筆者命名)は上海にある第一回党大会開催跡地を視察した。これに関して日本では「江沢民派閥排除を強調」などの報道があったが、いささか矮小な分析ではないか。中国の真相を観る視座を歪めかねない。

習近平は党大会における演説で何度も「勿忘初心(初心、忘るべからず)」と言っている。1949年10月1日に中華人民共和国が誕生してからの2年間ほどは、人民はまだ中国共産党を信じていた。今では腐敗と虚偽に満ち満ちた中国共産党を誰も信じていない。それでは、世界を制覇すると言っても国内が先に崩壊する可能性がある。

だからこそ新チャイナ・セブンは、上海市にある第一回党大会跡地へ赴き、中国共産党に入党するときの「宣誓の言葉」を斉唱した。「党員になった時の初心を忘れてはならない」と誓ったのだ。

これだけならば日本でもありそうなお題目だが、中国共産党はそこからが違う。全国的な再洗脳を始めたのである。

11月1日、中共中央は、中宣部を中心として新「中央宣講団」を結成し、共産党精神の宣伝活動に入った。管理指導するのは王滬寧(カタナカで無理に読み下すと、「ワンフーニン」か)。イデオロギーを担当する新チャイナ・セブンのメンバーの一人だ。「中央宣講団」は中央のあらゆる関係部門と提携して、地方にも出かけていき、講話を含めた双方向的な党宣伝を行なう。中央宣講団のメンバーが各地方を回って、地元住民に対しFACE TO FACEで話をするのだ。その模様を、中国共産党管轄下のテレビ局CCTVなどが一斉に全国津々浦々へと報道する。

中でも一際注意せねばならないのが、王滬寧の談話だ。彼は「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想を企業や農村、各関係機関、大学のキャンパス、社区(社会のコミュニティ)など、全ての群衆に広めていかなければならない」と表明した。

中国人の話だろう、と聞き流してはダメだ。たとえば、中国に進出している日本企業も「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」を学び遵守する義務を要求されることを意味する。

最近、中国が外国企業に対して、強いネット規制や原材料管理を打ち出しているが、実はこれはまだまだ序の口だ。そもそも中国では政府機関や大学は言うに及ばず、各企業にも中国共産党委員会があり、それぞれに「書記」(社長より上の最高権限を持つ)がいる。今後は外資系企業にも同様の書記が置かれ、「習近平思想」の遵守を日本側企業にも要求してくることになるのではないか。私はそう見ている。

中国共産党が全世界の政党を北京に集めた理由

このような流れの中、11月30日から12月3日にかけて「中国共産党と世界政党ハイレベル対話会」が北京で開催され、120数ヵ国の300以上の政党から成る600人の幹部たちが一堂に集まった。これは世界史上初めてのことだと、中国は胸を張っている。主宰したのは中国共産党の対外聯絡部。

中国共産党の宣伝工作を行う組織には中共中央宣伝部、統一戦線工作部などがあるが、これらは主として中国大陸および香港やマカオなどの特別行政区を含めた「中国国内」に対して「中国共産党が如何にすばらしいか」ということを宣伝する組織だ。それに対して対外聯絡部は「対外」とある通り、国際社会に対して「中国共産党の偉大さ」を宣伝していく組織なのである。

これまでは、それほど大きな活動をしてこなかったが、第19回党大会が終わり、習近平政権第二期に入ると、突然、この「対外聯絡部」の存在が大きく前面に打ち出されるようになった。

その目的は、「中国共産党」という世界最大の政党(党員数、約9000万人)が、世界各国の政党と関わり、指導し、影響力を強めていく、というものだ。中国が国家として他国に介入するのは「越権だ」という抗議を受け得るだろうが、一つの政党として他国の政党に声をかけて連携していくのは、なんら非難される筋合いはない、という論理で動いている。

もっとも中華人民共和国憲法では、中国共産党が中国という国家を統治していくと明記しているので、一政党と雖も当然、中国の場合は国家を代表することにはなる。

中国共産党という一政党の名において、全世界を「習近平思想」を軸にした「紅い中国」の思想に洗脳し、「中国礼賛」という心情を植え付けていこうというわけだ。しかしこの「大戦略」、果たして現実味はあるのだろうか。民主主義的な世界に生きている日本人や欧米人には、誇大妄想のようにも思えるだろう。言論弾圧やネット規制がある中、中国がグローバル・スタンダードに則ることができるか否かも甚だ疑問だ。

中国イニシアチブ確立を本気で目論む

成功するかどうかはもちろん分からない。だが、中国(中国共産党=習近平)は本気だ、と思う。

冒頭の「中国共産党と世界政党ハイレベル対話会」に戻ろう。開会の辞は習近平国家主席自身が行い、3日に会議は閉幕したが、それらを総括する形で、中国政府の通信社である新華社の電子版「新華網」は「中国イニシアチブ」に関する全文を掲載した(こちら)。

それを読むと、一見、参加者の心を納得させ感動させるスピーチの中に、中国を礼賛せずにはいられないような心理を醸成する「核」を隠し込んでいることがわかる。全文を翻訳するのは避けるが、日本は中国のこの戦略にまんまと嵌っていきかねないと個人的に危惧しているので、肝心の部分だけを抽出してご紹介したい。

1.人類の運命共同体を構築するために、「習近平による中国の特色ある社会主義思想」を実現し、ともに一帯一路の建設に携わるために、中国の貢献と各国政党間の連携を強化していきたい。

2.テロやネットの安全あるいは気候変動など、これまでとは異なる脅威が世界に蔓延している。しかし平和と安定は依然として私たちの最大の課題だ。深刻で複雑な国際情勢の中で、いかなる国家も自国単独で人類が直面しているさまざまな挑戦に対応することは出来ないし、どの国も閉鎖的な孤島の中に閉じこもって問題解決に当たることは出来ない。したがって我々は「人類の運命共同体」を形成していかねばならないのである。

3.異なる社会制度や意識形態(思想)あるいは伝統文化を乗り越え、開放と包容的な態度で各国間の交流協力を推進し、自国の利益を追求すると同時に、他国の利益に配慮してウィン-ウィンを目指す。

4.新型国際関係の基礎の下「小異を残して大同に付く」関係を樹立し、相互尊重と相互を鑑とする「新型政党関係」を築く。全ての国の政党が人類の未来を創っていく。われわれは習近平総書記を中心とする中国共産党と中国政府が人類運命共同体を構築し、一帯一路建設が実現していることを喜ばしく思う。習近平総書記が一帯一路建設において提唱してきた精神である「共商共建共享(Jointly sharing)」が地球ガバナンスの方向性として国連決議に盛り込まれ、人々の心の中に深くしみわたっている。一帯一路の精神は、まさに人類の運命共同体という時代の潮流にふさわしいものである。

5.このように「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」は人類運命共同体の構築を強調している。これは、中国共産党が中国人民の幸福をもたらすだけでなく、人類の進歩のために奮闘する正当であることを証明している。

概ね以上のような内容だが、参加者は身を乗り出して聞き入っていた。

「閉鎖的な孤島」という言葉を用いて「人類運命共同体」を新型国際関係と位置付けるあたり、明らかに米国を意識してのことだ。「民主主義とハンバーガー」のような、アメリカンウェイの一方的な押しつけをするようなことは、我々はしませんよ、いっしょに独自性を保ちつつ繁栄しようではありませんか…。

強面と思われた習近平の、耳に心地よい「おもてなし」を受けた参加者たちは、昨今のトランプ政権の不手際の連続もあり、「わが党も、新たな人類運命共同体を担う一員として認められている」と自尊心をくすぐられて、中国に協力していく抵抗感が薄れる…と、中国側は期待しているのだろう。

巧拙はさておき、これだけ幅広く、またフレンドリーに「仲間作り」を始めたのは、おそらく中国始まって以来のことだ。

と、思ってCCTVを見ていたら、画面には、日本の公明党の山口那津男代表や吉田忠智社民党代表などの紅潮した顔と弾んだ声が現れた。山口氏は「新時代の第一歩を記せた」と訪中成果を誇っていた。もちろん、日本が自公連立政権であることを知った上での中国の戦略だろう。与野党を問わず、政界のキーマンと目される人々に自分の国に対する好意を醸成するのは国際政治の常だが、中国は自国の夢を賭けて本気で乗り出している。

心理戦に負けつつあるのでは?

笑顔の一方で、全世界にいる6000万人の華人華僑をまとめ上げてコントロールするのも中共中央と国務院(中国人民政府)の任務だ。その巨大なネットワークを駆使して、南京事件や慰安婦問題に関して抗議活動を展開させ、当該国の政権与党内の、これはと思う議員を動かして議会で抗議決議を可決させ、日本を追い込む。

こういった心理戦は、習近平政権に入ってから徐々に強化されてきた。だから本年中に日本で開きそうだった日中韓首脳会議を、わざと延期させて安倍晋三首相をじらすのである。そうすれば日本から頭を下げてくることを中国は知っている。

もちろん、日本の経済界が「一帯一路」のバスに乗り遅れまいと焦っていることも中国は見逃していない。日米のどちらかを落せば両国とも「一帯一路」構想の陣営に入るので、天下は中国のものだと考えているのだろう。

政治情勢のなせる技、と、油断している間に、中国はどんどん石を打っていく。その音に耳を澄ました方がいい。

近藤記事

中国は「ユーラシアの覇者」へ

早いもので、トランプ政権登場に始まった2017年は、瞬く間に過ぎてゆき、2018年の戌年に移ろうとしている。

2017年の世界は、トランプ政権発足によって、大きく変化した。周知のようにトランプ大統領は、就任早々、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)から脱退し、メキシコとの壁を築くと宣言し、中東移民の制限も行った。夏になると地球温暖化防止の新たな枠組みであるパリ協定から脱退し、秋になるとユネスコ(国連教育科学文化機関)からも脱退した。

そして冬になると、エルサレムをイスラエルの首都に認定し、イスラム社会は大騒動になった。その間、北朝鮮の核ミサイル問題を巡って金正恩政権との角逐はエスカレートし、東アジアは不安定化した。

こうしてみると、2017年は、トランプ大統領という「怪物」が暴れ回った一年だったと言える。

これに対し、2018年に最も注目すべきなのは、習近平主席率いる「巨竜」かもしれない。巨竜・中国は、アメリカと並ぶ「世界のもう一つの基軸」となるべく、前進を続けると見られるからだ。

習近平総書記は、2017年10月の第19回中国共産党大会と、翌11月のトランプ大統領訪中を成功させたことで、「ユーラシアの覇者」となる決意を新たにした。

なぜ「ユーラシアの覇者」かと言えば、習近平政権は発足当初の2012年、短期目標として、共産党創建100周年の2021年までに、「アジアの覇者」にならんとしていた。だが5年を経て、当初思い描いていたよりもスムーズに実現できそうな見通しがついた。

そこで今度は、中期目標として2035年までに、「ユーラシアの覇者」になろうとしている。習近平主席はこの時まで自ら政権を担う決意でいるように見受けられる最後は建国100周年までに「世界の覇者」を目指すのだが、まずは「ツキディデスの罠」を避けるためにも、アメリカを除く「ユーラシアの覇者」を目指そうということだ。

Photo by GettyImages

そのため、2018年は、「一帯一路」(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)という習近平政権の外交スキームを使って、どんどん「攻め」に転じる年になるだろう。アメリカは秋の中間選挙で内向きになり、ロシアも春の大統領選挙で内向きになる。EUもBrexitやドイツの政局不安などで、やはり内向きだ。そんな中、中国は外交攻勢を強めるチャンスなのである。

習近平政権は、自信と余裕が生まれたことから、対日関係の改善にも乗り出した。換言すれば、過去一世紀半近くとは真逆の「中国が上で日本が下」という、新たな日中関係の構築を目指し始めたのだ。

12月1日には、北京に世界300近い政党幹部たちを一堂に集めて、「中国共産党と世界政党幹部対話会」を開いた。そこで習近平総書記は長い演説を行い、次の2点を主張した。

第一に、中国が主導する「一帯一路」によって、ユーラシア大陸に人類の運命共同体がもたらされるということだ。習総書記はこう述べた。

「2013年に、私は初めて人類は運命共同体であると提唱した。その時以降、嬉しいことに、中国と世界各国との友好的な提携を不断に開拓、発展させている。そして、人類は運命共同体であるという理念が、ますます多数の支持と賛同を得て、私の提唱したことが理念から行動へと移り行くさまを見ている。

私が提起した『一帯一路』はまさに、人類が運命共同体であるという理念を実践することなのだ。この4年来、『一帯一路』は、関係各国が共同で実現する発展の巨大な提携プラットフォームとなってきた。

細々とした支流も、集まれば大海に流れるのであり、点々たる星々も、集まれば銀河の輝きを見せるのだ。私は、おのおのが人類の運命共同体の理念を樹立し、計画を立ててそれを実践し、一歩一歩たゆまぬ努力を続ければ、人類の運命共同体の目標は、必ずや実現できるのだ」

もう一点は、中国はアメリカや前世紀のソ連と違って、他国に対して自国の制度の強要はしないということである。習総書記はこう述べた。

「中国共産党は、中国人民の幸福を謀る政党であり、人類を進歩させる事業に奮闘する政党である。中国共産党は世界最大の政党だが、大なる者は大なる者にふさわしい様子というものがある。

つまり中国共産党の行動の一切は、中国人民に幸福を謀るためであり、中華民族の復興を謀るためであり、人類の平和と発展を謀るためである。われわれは自分のやるべきことをうまくやれば、それはすなわち人類の運命共同体作りに貢献することなのだ。

われわれは外国のモデルを『輸入』しない。同時に、中国のモデルを『輸出』もしない。そして他国が中国のやり方を『コピー』することも求めない。

第一に、中国共産党は一貫して世界の平和と安寧に貢献する。第二に、一貫して世界共同体の発展に貢献する。第三に、世界の文明交流に貢献する」

習総書記は、このように非常に慎重な物言いで、中国に対する世界の警戒感を解こうとしたのだった。中国は恐い国ではないから、安心してついて来なさいというわけだ。

2018年以降の指針を示す論文

もう少し精緻に、2018年以降、中国が世界で目指す指針を示した一篇の論文がある。11月13日、中国共産党の幹部養成機関である中央党校の機関紙『学習時報』に掲載されたもので、タイトルは「中国の特色ある社会主義が新時代に入った世界的意義」。

筆者は、韓志強・外交部弁公庁主任である。2011年7月から4年以上にわたって、駐日本中国大使館公使として、「最悪」と言われた日中関係の最前線に立ち、一時は次期駐日大使とも噂された外交官だ。

この論文は、中国共産党の厳格な「査読」を経ているので、今後の習近平政権の外交指針を定めたものとも言える。かなりの長文で、かつ難解だが、非常に重要な内容なので、全文を訳出してみる。

<中国の特色ある社会主義は新時代に入った。これは、わが国の総合的国力が世界のトップクラス入りしたこと、国際的地位が前代未聞の昇級を果たしたこと、及び党と国家の事業が全方位的に、開放の創造的な成就を深いレベルで取得し、根本的変革の発展を獲得したことなどをもとに、わが国の新たな歴史の方位に対して、党が出した科学的判断である。

この判断は、世界に向けて宣告する。中国共産党の党員が牽引する中国人民は、中国の特色ある社会主義の道の偉大なる成功を一心に模索し、中華民族はいままさに世界の東方にまったく新たな形で屹立していく、と。中国の特色ある社会主義が新時代に入ったというのは、中華人民共和国の発展史上、もしくは中華民族の発展史上において重大な意義を有するものである。そればかりか、世界の社会主義の発展史上、人類社会の発展史上にも重大な意義を持つものなのである。

中国の特色ある社会主義が新時代に入ったということが意味するのは、科学的な社会主義が、21世紀の中国に強大な機会と活力を生み、世界に高く高く中国の特色ある社会主義の偉大なる御旗を掲げるということである。

科学的社会主義は、人類社会発展の客観的規律の真理を提示しており、誕生して一世紀半の間、人類社会の発展と変革に、他の思想理論とは較べものにならないほど重大な影響を与えてきた。

その意味するところは、世界で一大無産階級の政党が政権を掌握した社会主義国家を建国したというばかりでなく、現在の資本主義制度の国家がほぼ例外なく社会主義の要素を借用し、マクロコントロールを強化し、そこに内在する社会矛盾など多方面のことを緩和することによって社会福利を発展させていったことを示している。

Photo by GettyImages

20世紀の80年代末から90年代初めにかけて、ソ連が巨大な変化を見せて解体し、その他の東欧の社会主義国も次々と旗色を変えていった。それによって、科学的社会主義の実践は、深刻な曲折の時を迎えた。一部の西側国家は、共産主義は失敗し、自由民主制度が「人類の意識形態発展の終着点」「最後の統治形式」などと宣称したものだ。

しかしながら、中国共産党の党員は、確固としたマルクス主義の信念に従い、畏れることなく政治的勇気を持って、そうした圧力を抑えつけ、自己の道を切り開き、中国の特色ある社会主義の偉大なる政治的選択を行った。先のない旧道を歩むことなく、かつ旗色を変えた邪な道を往くこともなく、マルクス主義の普遍の真理と中国の現実とを結合させて、改革開放を実行する道を進んだ。

まさにその道こそが、中国共産党が中国人民を率いて、国家と民族の発展を阻害する一切の思想や体制を除去し、社会主義制度のメリットを十分発揮し、大股に時代を闊歩し、党と国家事業を繁栄させ、国家と民族の面貌に前代未聞の変化を発生させるものだったのだ。

そして実際に、中華民族の偉大なる復興という光明の前景を迎えた。中国の特色ある社会主義の成功実践が雄弁に物語っているのは、科学的社会主義は真理であり、ただその基本原理を正確に応用し、実践しさえすれば、真理の無比で巨大なパワーが展示されるということである。

新時代に入った中国の特色ある社会主義は、発展途上国に現代化の道を切り拓き、世界で発展していけるという希望、自身の独立した国家と民族が新たな選択をできるという希望を与えた。人類の問題を解決するのに、中国の智恵と方案が貢献した。

すなわち、中国の特色ある社会主義は成功したのだ。その成功のもとは、中国共産党の堅強かつ安定した政治的リーダーシップ能力にある。党が正確に基本的な国情を把握して、長期にわたる正確な基本路線を制定し、改革が安定して発展していけるようあらゆる堅忍不抜の努力を怠らず、民主法治建設と国家の統治システムと統治能力の現代化を不断に強化し、整備してきたことによるものなのである。

もう一つの特別重要な経験は、国家がどのような発展の道を選択し、どのような社会制度を実行するかという際に、必ずや社会の発展の規律を尊重し、人民の意思を尊重しながら、わが国が実際に出発することを確定させていかねばならないということだ。

机上の理論を指導したり、外国の経験を持ってきて参考にしてもよいが、ただ模倣するだけではいけない。世界には、四方にあまねく通じる標準モデルなどなく、成功の要諦はあくまでも、自己の道を歩んでいくことにあるのだ。

われわれはいまだ前進の途上にあり、またわれわれの制度システムは、さらなる改革改善が必要である。だが科学的な社会主義は疑いなく、中国国内において巨大な成功を得たのであり、このことが世界に対して、特に多くの発展途上国に多彩な選択の道を提供し、人類文明の進歩に一大貢献をしたと言っても過言ではない。

中国の成功に世界は瞠目し、発展途上国は、さらに羨望と期待の眼差しで中国を見つめ、多くの国家が自身の発展の秘薬にしようとし、そこから秘訣を汲み取ろうとした。

まさにエチオピアのハイアマリアム総理が中国中央テレビのインタビューで述べたように、「中国の特色ある社会主義が新時代に入ったという点は、中国の経済、政治、軍事などの発展の中に見て取れ、中国の発展モデルを全世界が学習する価値があると言える」。この総理の話こそが、多くの発展途上国の声なのだ。

Photo by GettyImages

中国の特色ある社会主義が新時代に入ったことが意味するのは、中国が日増しに世界の舞台の中央に近づいていることであり、世界平和と発展の力の増強である。そして、中国が将来の人類の進歩に、さらに大きな貢献をするということである。

習近平総書記が第19回共産党大会の報告の中で述べたように、中国共産党は中国人民の幸福を追求する政党であり、人類の進歩のために奮闘する政党である。そして、中国共産党は無産階級政党の国際主義の立場として、中華民族が天下をすでに担っているという崇高な心情を体現したのである。

長期にわたって、われわれは自身の安全と発展を維持、保護すると同時に、積極的に世界平和の発展に知恵と力で貢献してきた。わが国は国連の24項目の平和維持活動に累計3・5万人を派兵してきた。50数年間にわたって、発展途上国に1・5万人あまりの医療チームを覇権してきた。加えて、世界経済成長への貢献率は、多年にわたって一国で3割を超えている。

第18回共産党大会以降、われわれは中国の特色ある大国外交を全面的に推進してきた。そして、国際情勢の大発展、大変革、大調整と世界各国の平和と発展という共通の要求に直面しながら、積極的に国際地域のホット・イシューの解決に参画し、全世界の統治をリードしてきた。中国は積極的に提議と方案を提出し、国際的な影響力、カリスマ力、組成力をさらに一歩上昇させてきた。

第19回共産党大会の報告で、中国の特色ある大国外交によって、新型の国際関係を構築することを明確にした。そして人類の運命共同体の構築を、習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想の中に組み込んでいくことを推進し、その具体的内容を鮮明にしたのだ。それはすなわち、「相互尊重、公平正義、提携共勝」という新型の国際関係であり、「平和保持、普遍的安全、共同繁栄、開放包容、清潔美麗」という世界の姿だ。

これらは、新時代の中国の特色ある大国外交という目標の権威的解釈であり、世界に向けて中国外交が追求する理想を明らかにしたものである。こうした外交理念は、人類の歴史発展の過程の高みに位置しており、国家や社会制度の同異を超えて、世界各国の共同利益と普遍的な期待を反映したものなのである。

おかげで国際社会の広範な歓迎と支持を得て、すでに何度も国連の文書に組み込まれている。今後、われわれが期待できることは、中国の国際的影響力を不断に上昇させていき、中国の特色ある大国外交を不断に推進させていくことだ。そして人類の運命共同体構築を理念から実践に移し、必ずや不断に結実、開花させ、中国人民と世界人民の幸福に貢献していくのだ。

習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想の指導のもと、さらに一層、広闊な眼で世界を見つめて、さらに一層、国際的責任を自覚し、さらに一層、国家のために担当能力を持つようにする。そうして新時代の中国の特色ある大国外交の新局面を開闢していくのだ。

第19回中国共産党大会の報告では、平和的発展の道を堅持し、人類の運命共同体建設の推進を主線としている。そして党と国家の対外政策の主張を系統立てて陳述し、新時代の中国外交の重要な戦略的配備を行い、その方向と任務を明確にし、新時代の外交活動に強力な基本的定めと指導を提供している。

この部分の内容は、外交活動の各方面を全面的に網羅している。文中や行間に浸透しているのは、中国共産党の党員は、中華民族の偉大なる復興を実現するための深思熟慮の民であり、天下世界を治めていくという胸懐の人士であり、新時代の中国外交が鮮明にした新たな視野と新たな境界を体現する者だということである。

Photo by GettyImages

第19回共産党大会の精神の学習を貫徹し、思想認識を必ず新たな形勢の上に置き、新たな任務と新たな要求に適応していくことが、われわれに求められている。対外活動においては、国家のためになり、民族の利益を考え、国家と民族の利益と安全を堅く維持、保護すること。

及び人類の進歩に役立つ事業を考え、大国としての役割を積極的に果たし、大国の責任を履行し、大国の作用と影響力を発揮していくことが求められているのだ。

煩雑で複雑な国際問題や地域の問題に直面した際に、うまく互いの利を掴んで害を避け、うまく主動的に介入、参与し、積極的に中国から方案を提唱していく。そして協商・協建・共受の全世界的な統治観を持ち合わせ、全世界の統治システムの改革と建設に積極的に参与し、わが国の体外環境の組成力を高めていく。

人類の運命共同体の構築はすでに、中国外交の崇高な目標であり、世界の発展と人類の未来に対する中国共産党員の正確な方向づけである。それを中国がリードする時代の潮流と、人類の文明の進歩の方向に向かって旗幟を高く掲げ、そこに内在する豊富なものを認識し、その重大な意義を深刻に捉え、新時代の外交活動をうまく執り行うのだ。

第19回共産党大会の報告の精神と関係する論述を全面的かつ正確に捉え、客観的な現実から出発して主動的にアプローチし、政策を把握し、それらを実際の活動にうまくマッチさせていくのだ。

第19回共産党大会の報告では、「中国人民の幸福を謀るため」「人類を進歩させる事業に向かって奮闘するため」といったことが提出された。これらは、中国共産党が全人類を解放させる無産階級の政党としての基本的な属性と基本的立場を反映させたものである。同時に、中国と世界との空前の連結であり、中国の発展が世界と切り離すことはできず、世界の発展もまた中国の客観的な現実の反映と切り離せないということを示したものなのである。

中国外交の服務は、(国内と国外の)二つの同じでない目標がある。それは、二つの同じでない対象を向いているということだが、実際には両者は密接に関係しあい、統一的に内在されている。これらは、われわれが国内と国外の二つの大局をうまく統治することを要求するものであり、内外の両方向に目を向けることなのである。

また、国家の利益を根本的な出発点とすることは堅持しながらも、同時に外部の影響も顧みるということである。つまり、国際的責任を履行するに際して、わが国の利益と安全の角度からの着想を多く持つということでもあるのだ。

西側諸国は長期にわたって、わが国の社会主義制度を、偏見ないしは敵視しながら見てきた。そして常にこれを排斥し、疑義を唱えようとしてきた。それに対し、科学的社会主義が中国にもたらした偉大な成功は、そのような態度と立場に対して、強力な回答を与えるものだ。

われわれには、自分たちのサクセス・ストーリーを、気宇壮大に世界にアピールする完全な理由がある。中国人民が自主的に選択した中国の特色ある社会主義の道が、全世界に応用できる認識、同意と尊重を得られるよう推進していく完全な理由があるのだ。

中国は一貫して、世界各国の相互尊重、同じでない社会制度を持つ国家同士の平和共存を主張してきた。中国の道の成功が必ずしも、国際的な思想対立や闘争を招くものではないと主張してきた。そして無知と偏見を除去し、よりよい平和共存の道を実現させようと主張してきた。

習近平総書記は、第19回共産党大会の報告の中で、世界には完全に同じ政治制度モデルなどなく、政治制度は特定の社会の政治条件や歴史文化の伝統の具合などと密接に結びついていると指摘している。そのため一国の政治制度は、指導者の一存では定められず、また無理やり外国の政治制度を自国に運び込めないということも指摘している。

中国の道の成功は、一部の発展途上国に、主動的に自身の発展の道の問題を考えさせる機会を与えた。われわれには、中国の話や経験を彼らに紹介し、参考にしてもらう義務と責任がある。しかし、一つの国家がどのような発展の道を選択するのかは、最終的にはそれぞれが自己の道を探索し、選択していかねばならないのである。>(以上)

Photo by GettyImages

どうだろう、この自信に満ち溢れた「中国模式」(チャイナ・モデル)のアピールぶりは。やや大袈裟な言い方をすれば、19世紀に興った「欧米型資本主義」、20世紀に興った「ソ連型社会主義」に続き、21世紀には「中国型社会主義」が、世界の政治システムの主流をなすであろうと予見しているのである。

実際、足元のA.S.E.A.N.10ヵ国を見ると、社会主義国のベトナムとラオスが「中国模式」を採用している。加えて最近は、フンセン首相の独裁化が進むカンボジア、同じくロヒンギャ難民を弾圧し、独裁化に転じた「スーチー政権」のミャンマー、そして「薬物撲滅」の大義名分のもと、ドゥテルテ大統領がやはり専制民主の道を歩むフィリピンも、「中国模式」に傾きつつある。つまり、すでにA.S.E.A.N.の半数の国が、「中国模式」を採用しているか、もしくはその方向に向かっているのである。

アジアは「中国模式」がスタンダードとなっていくのか。2018年も「巨竜」から目が離せない。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『2018年「北の核」は軍事攻撃か体制崩壊で決着 かすかに残る「核をカネで買う」妥協案』(12/26日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

12/26日経朝刊2018年の世界(2)現実味増す米朝衝突 北京大学国際関係学院院長 賈慶国氏

――2期目に入った中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は「新型の国際関係」を築くべきだと訴えています。

「(中国がオバマ前米政権に提起した)『新型の大国関係』と基本的に同じだ。核兵器が存在するなかで大国がいがみ合えば、出口はなくなる。協力するためには、何よりもまず互いの主権と領土保全を尊重しなければならない。大国同士が協力し、はじめて(国際社会を)率いる力が生まれるという考え方だ」

――中国が南シナ海などへの進出を加速すれば、米国や国際社会と衝突するのではないですか。

「南シナ海、東シナ海のいずれでも、中国はずっと前から権益を主張してきた。最近になって言い始めたわけでない。過去との違いは中国が強大になったことだ。国家の権益を守るため、以前より積極的な措置を採るべきだとの声が増えている。もちろん、周辺国との意見の相違は平和的な方式で処理すべきだ」

――今年9月、朝鮮半島での有事に備え、中国は米国や韓国と事前に協議すべきだと提言し、大きな反響を呼びました。

「朝鮮半島で危機が起きる可能性は大きく高まっている。(1)北朝鮮の核実験で事故が発生する(2)国連の制裁強化で北朝鮮の経済が行き詰まる(3)米国が予防的な軍事行動に出る(4)北朝鮮で政治的な動乱が起こる――の4つの事態が考えられる」

「危機対応策は中米韓が個別に考え、互いに擦り合わせていない。本当に危機が起きたとき、それぞれの軍隊が偶発的に衝突する恐れもある。難民の受け入れなどを含め、関係国は事前に十分な話し合いをすべきだ」

――米国が北朝鮮に対して軍事行動に出る可能性はありますか。

「その可能性は大きくなっている。さまざまなルートから入ってくる情報によると、米国は北朝鮮への予防的な攻撃を真剣に検討している」

――米国は中国に北朝鮮への石油供給を止めるよう求めています。

「かえって危機を引き起こしかねず、中国政府は非常に慎重だ。それでも石油供給の停止を完全には排除できない。北朝鮮が国際社会の反対を顧みず、核・ミサイル開発を続ければ中国はさらなる努力を迫られる」

――米朝の直接対話はあり得ますか。

「当然、あり得る。問題は何らかの合意を得られるかだ。私は難しいと思う。北朝鮮は中国を含め、誰も信用していない。核兵器を開発するしか自らの安全を守る方法はないと考えている」

――日中関係に改善の兆しがあります。

「ある程度は改善しているが、正常な水準に戻ったとは言い難い。両国は協力できる分野が数多くあるのに、歴史や領土の問題が障害となり、関係をなかなか改善できない悪循環に陥っている」

――中国の巨大経済圏構想「一帯一路」での協力は、日中関係の改善を後押ししませんか。

「世界の多くの国でインフラ需要があり、中国は資金や技術だけでなく管理の面でも助けを必要としている。一帯一路は中日が協力する非常によい機会となる。両国がビジネスの面でも競い合っているだけでは、お互いに損するだけだ」

(聞き手は中国総局長 高橋哲史)

中国の国政助言機関、全国政治協商会議の常務委員も務める。金正恩(キム・ジョンウン)氏が最高指導者に就いた後、北朝鮮を1度訪れたことがある。61歳>(以上)

賈慶国氏については9/19の本ブログでも取り上げたことがあります。でも中国人は平気で嘘がつけないと出世できないという事です。尖閣や南シナ海について中国はずっと前から権益を主張してきたと言いますが、「証拠を出せ」と言いたい。「南京」や「慰安婦」と同じで指し示す史料は何もなく証言だけではないですか(中国の南京の史料は捏造と東中野修道氏に見破られました)。日本に史料はたくさんあります。裁判(当事者間の権益の調整)をする場合、当然“factual evidence”に基づいて判断されます。証言だけでは偽証や勘違いもあり、証拠としては不十分です。米国では、民事の場合“preponderance of evidence”が判断基準に、刑事事件の場合は“beyond reasonable doubt”が判断基準になると渡邉怱樹氏の本に書いてありました。まあ、民主主義も体験したことの無い中国ですから、近代法に則り行動することを要求しても無理なのかも。力の信奉者で遅れて来た帝国主義者ですから。

http://dwellerinkashiwa.net/?p=7218

News Alert – Mattis Asks Troop To ‘Prepare For War’ As Storm Clouds Gathering Over Korean Peninsula=マテイス長官は朝鮮半島を覆う戦雲に対し、部隊に「戦いに備えよ」と。

https://www.youtube.com/watch?v=JZjmGPWOnrA&feature=share

鈴置氏の言うように、暗殺・クーデターで朝鮮半島の非核化ができるのが理想です。でも北朝鮮の人々は洗脳されていますのでなかなか難しいのかと。国際社会の経済制裁が効いてきても、自国民を餓死させても、金正恩は核開発に邁進するでしょう。それを防ぐには、クーデターが起きないのであれば、早めに米軍が攻撃して北朝鮮の体制変換を図った方が良いのでは。金正恩はmadman なのでMADは成立しません。

記事

年末年始の特別企画として、日経ビジネスオンラインの人気連載陣や記者に、それぞれの専門分野について2018年を予測してもらいました。はたして2018年はどんな年になるのでしょうか?

(「2018年を読む」記事一覧はこちらから)

12月12日、ティラーソン国務長官は、MADが成り立たない北朝鮮には核を一切持たせないと言明した。(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

北朝鮮の核問題の行方はほぼ2つに絞られた。米国が軍事攻撃して核を除去するか、金正恩(キム・ジョンウン)体制が崩壊するか――である。いずれにせよ2018年中に決着する可能性が高い。

中ソと異なり共存できない

トランプ(Donald Trump)大統領の国連演説(9月19日)を通じ、米国は「北朝鮮の核武装はいかなる形であっても認めない」姿勢を明確に打ち出した(「北朝鮮に『最後通牒』を発したトランプ」参照)。

もし北朝鮮がテロリストに核を売らないと約束すれば、あるいは、米国まで届くICBM(大陸間弾道弾)を開発しなければ、核武装を黙認する、との構想がワシントンで語られたこともあった。しかしトランプ大統領はそうした妥協策をはっきりと否定したのだ。

妥協案の背景には「核保有国のソ連や中国とも米国は共存した。核を持つ北朝鮮ともできないはずがない」との理屈がある。だがトランプ政権は北朝鮮を、金正恩という異常な指導者に率いられる共存できない存在と見なした。

韓国での国会演説(11月8日)でトランプ大統領は、数々の例をあげて北朝鮮の人権蹂躙を非難し「狂信的カルト集団」と規定した(「トランプ大統領の韓国国会演説のポイント(1)」参照)。

■トランプ大統領の韓国国会演説(2017年11月8日)のポイント(1)

北朝鮮の人権侵害を具体的に訴え

10万人の北朝鮮人が強制収容所で強制労働させられており、そこでは拷問、飢餓、強姦、殺人が日常だ

反逆罪とされた人の孫は9歳の時から10年間、刑務所に入れられている

金正恩の過去の事績のたった1つを思い出せなかった学生は学校で殴られた

外国人を誘拐し、北朝鮮のスパイに外国語を教えさせた

神に祈ったり、宗教書を持つクリスチャンら宗教者は拘束、拷問され、しばしば処刑されている

外国人との間の子供を妊娠した北朝鮮女性は堕胎を強要されるか、あるいは生んだ赤ん坊は殺されている。中国人男性が父親の赤ん坊を取り上げられたある女性は「民族的に不純だから生かす価値がない」と言われた

北朝鮮の国際的な無法ぶりを例示

米艦「プエブロ」の乗員を拿捕し、拷問(1968年1月)

米軍のヘリコプターを繰り返し撃墜(場所は軍事境界線付近)

米偵察機(EC121)を撃墜、31人の軍人を殺害(1969年4月)

韓国を何度も襲撃し指導者の暗殺を図った(朴正煕大統領の暗殺を狙った青瓦台襲撃未遂事件は1968年1月)

韓国の艦船を攻撃した(哨戒艦「天安」撃沈事件は2010年3月)

米国人青年、ワームビア氏を拷問(同氏は2016年1月2日、北朝鮮出国の際に逮捕。2017年6月に昏睡状態で解放されたが、オハイオに帰郷して6日後に死亡)

「金正恩カルト体制」への批判

北朝鮮は狂信的なカルト集団に支配された国である。この軍事的なカルト集団の中核には、朝鮮半島を支配し韓国人を奴隷として扱う家父長的な保護者として指導者が統治することが宿命、との狂った信念がある

核兵器を持つ国同士が厳しく対立したからといって、必ずしも核戦争は起きない。相手を先制攻撃しても核で反撃されたら我が身も滅びる――と指導者が考えるからだ。核による均衡、専門用語で言えば「相互確証破壊」(MAD=Mutual Assured Destruction)である。

だがMADは「相手も自国民の被害に思い至り、合理的に考えて先制核攻撃はしてこないだろう」と双方が確信した時に成立する。

暗殺、クーデターで体制崩壊

北朝鮮は自国民の人権をためらいもなく侵害してきた。「米国や日本、韓国を先制核攻撃する」とも言い放ってきた(「米中は金正恩を『アジアのムガベ』にできるか」参照)。そんな異常な国とMADは成立しないのだ。

12月12日、ティラーソン(Rex Tillerson)国務長官が再び、MADが成り立たない北朝鮮には核を一切持たせないと言明した。アトランティック・カウンシル(Atlantic Council)での演説だ。

同長官は「北朝鮮はソ連や中国、ほかの核保有国にも相当しない。何らかの国際的規範に裏打ちされた行動をしてこなかった。それどころか正反対だ。だから大統領も私も核武装した北朝鮮を認めない」と述べた。原文は以下だ。

That certainly was not the case with the Soviet Union. It’s certainly not the case with China. It’s certainly not the case with other nuclear countries that possess nuclear weapons.

These are countries that have a history of abiding by certain international norms. North Korea has no such record. In fact, their record is quite contrary to that.

And that’s the reason the President and I agree with his assessment that we simply cannot accept a nuclear-armed North Korea, and I think that’s why it is the policy of the neighborhood as well.

米国がここまではっきりと「北の核は認めない」と宣言した以上、ICBMを持たなければ暗黙裡に核保有を認める、といった妥協はできない。

結局、北朝鮮が核を捨てない限り、米国にとって選択肢は2つしかない。軍事行動で核を取り上げるか、あるいは北朝鮮の指導層に、暗殺やクーデターで金正恩体制を倒させるか、である。

前者の場合も体制が崩壊する可能性が高い。全面的な軍事攻撃を実施する際、米国は当然、空爆による金正恩暗殺を狙う。それに失敗しても、核武装以外に実績のない若い「敗軍の将」が政権を維持するのは容易ではない。

発射台だけ先制攻撃

英紙テレグラフ(電子版)は12月20日「北朝鮮が新型ミサイルを試射する前に、そのミサイル発射台を破壊する作戦『Bloody nose』を検討中」と報じた。「Exclusive: US making plans for ‘bloody nose’ military attack on North Korea」である。

テレグラフは「米国はICBM破壊により本気であると金正恩に見せつけ、核開発の中断と米国との交渉につなげたい考えである」とも報じた。

核施設を航空機やミサイルで破壊するなら、レーダーなど防空網や日米を攻撃するミサイル基地など、軍事関連施設のすべてを叩く大規模な戦争になる可能性が高い。

それを避けるためICBMの発射台に限って攻撃を実施するアイデアが浮かんだのだろう。だが、この「限定的な攻撃」を受けた北朝鮮が、反撃して全面戦争に発展しないとの保証はない。

いずれにせよこうした構想を練るに至るほど、米国は外交による解決に希望を持たなくなっているのだ。

「首のすげ替え」呼び掛ける米

米国が未だに期待しているのは「体制崩壊」だ。金正恩委員長の冒険主義に危機感を抱く指導層や軍部に暗殺、クーデターを起こさせる。後継政権と交渉して核を放棄させる――構想だ。軍事攻撃と比べれば、はるかに「平和的」な方法だ。

この案はCIAのポンペオ(Mike Pompeo)長官が公然と提唱してきた(「『金正恩すげ替え論』を語り始めた米国」参照)。北朝鮮の指導層を恐怖に陥れ、体制の動揺を誘う軍事的威嚇と経済制裁強化に米国が余念がないのもそのためだ。

11月29日のICBMの実験以降「米国は2018年3月までに北朝鮮を攻撃する」といった情報が相次いでリークされ「戦争間近」のムードが醸し出されている(「『北に先制核攻撃も辞さず』と言明した米国務省」参照)。

対北朝鮮経済制裁もさらに強化された。12月22日、国連安保理は米国主導で、石油精製品の北朝鮮輸出を9割削減することを決めた。ガソリンやディーゼル燃料の在庫を枯渇させ、戦闘能力を奪うのが目的だ。

11月21日にはジンバブエのムガベ大統領が軍の反抗で失脚している。金正恩委員長の祖父、金日成(キム・イルソン)主席とムガベ氏は親しかっただけに、首筋にひやりとしたものを感じたに違いない(「米中は金正恩を『アジアのムガベ』にできるか」参照)。

「おまけ」は米韓同盟破棄?

軍事攻撃と体制崩壊は朝鮮半島の激変を呼ぶ。もっと穏やかな解決方法として、新たな「対話解決」の道が探られている模様だ。「北の核をカネで買う」案だ。

ティラーソン国務長官のアトランティック・カウンシルでの演説に興味深いくだりがある。

同長官は「北朝鮮が(軍事的な)抑止のためだけに核を持つのではないことは明らかだ。商業用の目的だ」と語った。

it’s clear to us that they would not just use the possession of nuclear weapons as a deterrent. This would become a commercial activity for them. Because we already see elements of it in the commercial marketplace.

テロリストらに売るために核を開発している、と断じたのだ。そうだとするのなら、テロリストの代わりに米国が北から核を買い取ることも可能なはずだ。

ティラーソン長官はこの演説で「初めの会談は前提条件なしに会おう」と対話も呼び掛けた。「彼らも巨額のカネを投資しているのだ。核をあきらめるためだけに対話のテーブルには付かない」と述べている。要は「核を放棄すれば、代償はカネで支払う」と呼び掛けているのだ。

it’s not realistic to say we’re only going to talk if you come to the table ready to give up your program. They have too much invested in it. And the President is very realistic about that as well.

もっとも、金正恩委員長が「カネで売る」取引に応じる可能性は低い。核は「米国に抗する英雄」の象徴であり、権力の源泉である。そこで米国は「在韓米軍の撤収」あるいは「米韓同盟の破棄」など“おまけ”を付けると言い出すかもしれない。

仮に金正恩委員長が応じなくとも、このような具体的な案を示せば北の指導層もいっそう「米国との取引」に魅力を感じ「体制打倒」に心を動かすだろう。

「3月までに決着」と威嚇

北朝鮮の核問題を分析する時、重要なのは「時」だ。放置するほどに北朝鮮が、米国まで届く核ミサイルを完成する可能性が増す。

だからこそ「2018年3月までに軍事攻撃する」との米国発の情報が乱れ飛ぶのだろう(「『北に先制核攻撃も辞さず』と言明した米国務省」参照)。

この情報リークは「クーデターや暗殺を実行するなら早くせよ」と、北の反乱を急かすためとも思われる。あるいは「核の購入期限は迫っている」という意味でもあろう。

北朝鮮がこうした取引に乗るフリをした時、米国は軍事攻撃のタイミングを失うかもしれない。その際、核問題は進展のないまま、こう着状態に陥る可能性がある。米国の焦燥感から見て、その可能性は極めて低いのだが。

  • 北朝鮮の核問題、2018年のシナリオ

①米国の軍事行動により核を除去→全面戦なら金正恩政権崩壊の可能性

②暗殺・クーデターで金正恩政権崩壊→後継政権は核を放棄

③米国が核をカネで買う取引→在韓米軍撤収、米韓同盟破棄の可能性

④こう着状態が続く

(次回に続く)

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『トランプ大統領の「クリスマスプレゼント」 約30年ぶりの税制改革は政権浮揚につながるか?』(12/22日経ビジネスオンライン 篠原匡)、『話題づくりに腐心するプーチン再選戦略 実質4期目、ビジョン曖昧で有権者はマンネリ気味』(12/22日経ビジネスオンライン 池田元博)について

12/22大前研一氏メルマガで「▼米税制改正の影響は極めて大。2.5兆ドルが米国に戻る可能性

与党共和党指導部は13日、上下両院の一本化へ向け協議していた連邦法人税率について、21%に引き下げる案で大筋合意しました。両院とも20%に引き下げる案でそれぞれ可決していましたが、実施時期を2018年で統一する一方、税収減を懸念する議員を配慮し、減税幅を1%縮小したもので、週明け早々にも上下両院で採決する見通しです。

おそらく今年中にはトランプ大統領がサインをして成立する予定です。共和党としてはこれでトランプ大統領の役割は終わりと考え、後は決別してもいいという気持ちだと思いますが、これは極めて重要な案件です。

連邦法人税率を21%に引き下げるということですが、実際には各州税が加わるため、20%台後半の税率になります。また個人所得税については、最高税率が39.6%→37%に引き下げられます。こちらは、あまり効果を期待できないでしょう。

一方、大きな影響を期待できるのが、海外子会社からの配当課税の廃止です。これにより、企業は海外留保資金を米国に戻しやすくなります。これは非常に影響力が大きく、うまくすれば、海外に置いている2.5兆ドル規模の資金が米国に戻ってくる可能性があり、米国は「お金でジャブジャブ」状態と言えるレベルになるでしょう。

この政策が実施されると、米国はクリントン政権の後期のように、盆と正月が一緒に来たような状態になるかもしれません。米国経済は株価も上がり、さらに海外からの資金も流入してくる可能性があり、

日本経済への影響も極めて大きいものになると私は見ています。

トランプ大統領に弾劾を乗り切る能力はない

ザ・エコノミストは13日、「ロシアゲート、厄介なシナリオ」と題する記事を掲載しました。大統領選当時のトランプ陣営幹部らが出版した回顧録からは、陣営の混乱状況とことごとくルールを破る厚かましさが見て取れると指摘。現在捜査を進めているモラー特別検察官がコミー氏解任による司法妨害の罪をあげたとしても、おそらくトランプ氏はニクソン氏のようには辞任せず、議会もトランプ氏を追い落とすには分断されすぎているとしています。

私は少し異なる意見を持っています。共和党は完全に分裂しており、トランプ大統領を支持するのはわずか10%程度です。大統領の弾劾の可能性も大いにあると思います。そして、もしトランプ大統領が弾劾される立場になったとき、彼の言語能力ではその状況に耐えられないと見ています。

トランプ大統領の発言を見ていると、文章は短く、バラバラでしかモノが言えない人だと感じます。弾劾される立場になって厳しい問答に1時間も2時間も耐えられるとは思いません。クリントン元大統領、ニクソン元大統領とも違います。その意味でも、トランプ大統領が辞任する可能性は大いにあると思います。ただ、トランプ大統領が辞任したとしてもトランプファミリーにとっては何も痛いところはないでしょう。大統領を何年務め上げたかは関係なく、元大統領という経験と肩書きがあれば十分でしょう。

プーチン大統領とメドベージェフの役割と関係性

ロシアのヤマル半島に設置したプラントで8日、液化天然ガス(LNG)の生産が始まり初出荷に合わせた記念式典が開かれました。これは、ロシア天然ガス大手・ノバテクを中心に、総額約3兆円を投じて進められるプロジェクトでこれによりロシアは従来のパイプラインによる輸出だけでなく、北極海航路を利用したアジアや欧州向けのLNG輸出を拡大したい考えとのことです。

このヤマル半島というのは、現地ネネツ語で「ヤ(世界)マル(終わり)=最果て」の意味を持つ、非常に気候条件が厳しい地域です。1年のうち約8ヶ月は冬で、氷点下60度まで気温が下がります。一方、夏にあると30度まで気温が上がり永久凍土が溶け、蚊や虻が大量発生するという地域です。天然ガスの埋蔵量は世界有数の地域として有名です。

ロシアはこのヤマル半島に港をつくる計画を立てています。一般的に天然ガスはパイプライン経由で輸送されますが、今回の計画は、天然ガスを液化してLNG船で輸送するというものです。液化した天然ガスをのせたLNG船で、北極海を通じて日本や中国に運ぶという壮大な計画です。

この日、プーチン大統領は3箇所の異なる場所に顔を出して、挨拶・演説をしていました。ヤマル半島という寒い場所にも赴いて、達者な人だと感じました。

そのプーチン大統領は、2018年3月に予定される次期大統領選挙への出馬を表明しました。自動車企業の従業員らとの会合で、参加者からの立候補の要請に応える形で明らかにしたもので、再選され任期満了の24年まで務めれば約四半世紀にわたってトップに君臨することになります。

プーチン大統領は2000年に大統領に就任し、一度首相を経て、また大統領に就任しました。その間に大統領の任期を6年に延ばし、6年×2期=12年できる体制を確立しています。

プーチン大統領に対するロシア国内の支持率は、約80%です。ロシア国民の政府に対する不満は高いのですが、その不満はメドベージェフ首相に向けられていて、プーチン大統領には影響していません。

政府の代表はメドベージェフ首相であり、政府に対する不満は首相に向けられるようになっているのです。この構図は中国も全く同じです。習近平は総書記であり、中国政府に対する不満は国務院総理である李克強に向けられます。私は以前、「李克強がメドベージェフ化した」と説明したことがありますが、まさにこの構図のことを指しています。

それにしても、メドベージェフ首相をおとしめて、プーチン大統領は安全な立場で信任を得ているという、このイカサマのロジックにロシア国民は気づいていないのでしょうか?おそらくロシア国民は、みんな気づいていると私は思います。

それでも、今のロシアから強力なリーダーシップを発揮するプーチン大統領がいなくなってしまうと、

米国や欧州からも馬鹿にされてしまうので、どうしようもないと感じているのだと思います。

すなわち、プーチン大統領は「必要悪」であり、強いロシアを作るためには必要な人物だと認められているということです。

日本にとってみれば、プーチン大統領の再任はチャンスです。プーチン大統領は親日派です。一方のメドベージェフ首相は日本を好きではありません。プーチン大統領が再任されたとして、任期は6年です。日本としては、その6年間でロシアとの問題を解決しないと、さらに厄介な状況になってしまうでしょう。」(以上)

プーチンと習の大きな違いは、トップとして国民の選挙で選ばれたかどうかです。共産党の息のかかった人間しか立候補できない人民民主は真の民主主義から相当遠く、非民主と言っても言い過ぎではないでしょう。世界経済第二位と言われる国が「独裁国家」では。これを認め、貿易してきた自由主義国のセンスがないとしか言いようがありません。世界制覇を目論む国を支援して来たのですから。

以前本ブログで紹介しました高濱賛氏と大前氏のトランプ大統領の弾劾に対するスタンスの違いがあります。どちらの予想が正しいか期待して見守りたいです。

http://dwellerinkashiwa.net/?p=7855

大前氏・篠原氏共に「海外子会社からの配当課税の廃止」を高く評価しています。カネが世界から米国に還流して景気が上がるのか、過熱してFRBが利上げをするのか、2018年の中間選挙にどう影響を与えるかです。日本は2009年度から「海外子会社配当益金不算入制度」を創設しましたが、景気が良くなっている実感がないのは、企業が投資や賃上げをせずに、内部留保として貯め込んでいるせいです。米国は貯めこむことはしないでしょう。

ロシア経済を上向かせるためには、欧米の経済制裁を解除して貰わなければなりません。まず米国が北朝鮮問題を片づけ、中国と対峙するように仕向けなければ。本来経済制裁すべきは中国であってロシアではない、「クリミアはウクライナ人のフルシチョフが勝手にウクライナに渡しただけ、歴史的に見ればロシアのもの。これに対し中国の主張する東シナ海・南シナ海の領有については根拠がない」と訴えるべきです。平昌オリンピックについて12/23の本ブログで「プーチンがIOC決定を簡単に飲んだのは、戦争で平昌オリンピックが潰れるのを知っているからだという説もあります」と紹介しました。それは次のブログの記事からです。

http://www.mag2.com/p/money/352657

12/25・26増田俊男氏メルマガ<戦後初めて花開く日本の外交><イスラエル・パレスチナ和平方式>に今度の河野外務大臣の中東訪問の狙いが書かれています。書かれていることが本当かどうか分かりませんが、もし真実だとすれば成功して、中東問題が平和的解決に結び付けられれば良いと願っています。

http://www.chokugen.com/opinion/backnumber/back_h29.html

http://www.chokugen.com/opinion/backnumber/h29/jiji171226_1219.html

篠原記事

米下院は12月20日、約30年ぶりの大規模な税制改革法案を可決した。税制改革法案の可決を喜ぶ米下院のポール・ライアン議長(中央右)と握手をするトランプ大統領 (写真:AP/アフロ)

米税制改革法案が成立へ、減税規模は約170兆円

トランプ政権と共和党にとって、さしずめ逆転ホームランといったところだろうか。

12月20日、米下院は税制改革法案を採決、賛成多数で可決した。米上院も同日未明に同法案を可決しており、あとはトランプ大統領の署名を待つばかり。1986年のレーガン政権以来、およそ30年ぶりの大規模な税制改革の実現は確実な情勢だ。

全体の減税規模は10年で1兆5000億ドル(約170兆円)と2001年の「ブッシュ減税」を上回る。35%だった連邦法人税は21%と日米欧の主要先進国で最低水準になる見込みだ。2026年までの時限措置だが、個人所得税も税率の引き下げが実現する。

海外子会社からの配当は非課税に

また、米国は全世界課税方式を採用しており、海外子会社の所得を配当として米国に還流させる際に課税対象になっていたが、全世界所得課税方式を廃止、国外の源泉所得に課税しないテリトリアル課税に移行することも決めた。

「米国へのクリスマスプレゼント」。税制関連法案の年内成立に強い意欲を示していたトランプ大統領。大統領選で公約に掲げた法人税率15%はさすがに無理だったが、大幅な法人税引き下げという公約は果たした。

今回の税制改革の実現はトランプ大統領にとって極めて大きな政治的勝利だ。

最初に着手したオバマケア(米医療保険制度改革法)の撤廃は身内の共和党の分裂によって頓挫した。メキシコ国境に壁を作るという公約も、壁の試作品こそ募集したが、効果に疑問符がつく上に財政悪化につながる支出に共和党は否定的だ。もう一つの公約である1兆ドルのインフラ投資も実現のメドは全く立っていない。

追い詰められていた共和党

トランプ氏は大統領就任以来、オバマ政権時代に導入された規制の撤廃や緩和を進めている。だが、本人の発言とは裏腹に、立法面における成果はないに等しい状況だった。このまま税制改革まで失敗すれば、トランプ政権の実行力を疑問視する声が相次いだだろう。

尻に火がついていたのは共和党も同様だ。

共和党は上下両院で過半数を維持しており、議会をコントロールできる立場にある。大統領も生粋の保守政治家ではないが、共和党の候補として大統領選を勝利したトランプ氏だ。しかも、税制改革は共和党を支える大口献金家や企業が強く求める看板政策。その中で税制改正まで頓挫すれば共和党指導部のメンツは丸つぶれである。

もっとも、「税」は利害関係が幅広く、同じ政党の中でも各論では賛否が入り交じる。共和党はフリーダム議連のような財政タカ派から中道右派の穏健派までウイングが広く、2018年11月に中間選挙を控えているため時間的な余裕はほとんどない。10月末のハロウィンの頃は年内の税制改革は無理筋という見方が主流だった。

最大の難関、上院で起こった様々なドラマ

その状況下、共和党指導部は猛スピードで立法プロセスを進めた。上院と下院の意見をまとめる時間がないため、それぞれが別の法案を可決、あとで一本化するというプロセスを取った。税率も下院案では20%だったが、財政規律を重視する上院に配慮して一本化の過程で21%に引き上げている。法案の詳細をぎりぎりまで明らかにしなかったのも中身への批判を封じ込めるためだ。

それでも、共和党の議席が52(定数:100)しかない上院では様々なドラマが起きた。

上院版の税制改革法案を採決する際には財政赤字の懸念から共和党の重鎮、ボブ・コーカー上院議員が反対票を投じた。同じ共和党のスーザン・コリンズ上院議員は不動産税の控除、ロン・ジョンソン上院議員も個人事業主やパートナーシップなどのパススルー企業への控除が少ないと批判している。

法案一本化の過程でも、土壇場でマルコ・ルビオ上院議員が子女控除の還付を巡り不満を表明、共和党に緊張が走った。12月19日に中東訪問を予定していたマイク・ペンス副大統領が予定を延期したのは上院の採決で賛否同数だった場合に最後の1票を投じるため。最終的に控除額の引き上げなどで反対議員を懐柔したが、かなりきわどい情勢だったのは間違いない。

中間層の減税幅は小さく、企業や富裕層の恩恵が大きい

「歴代政権で誰もできなかったことを成し遂げた」。ポール・ライアン下院議長など共和党指導部とともに演説に臨んだトランプ大統領は税制改革の勝利を高らかに宣言した。共和党現職にとっても支持者に向けた実績ができて一安心だろう。ただ、今回の税制改革が共和党に中間選挙の勝利を呼び込むかどうかは不透明だ。

「相対的に中間層の減税幅が小さい」。米ユーラシア・グループのジェフリー・ライト氏がこう指摘するように、今回の税制改革は企業や富裕層の恩恵が大きい。

個人所得税の引き下げや子女控除で中間層も恩恵を受けるが、法人税減税を恒久化するために個人所得税の引き下げは2026年までという期限が設けられた。2026年以降は延長すると共和党は述べているが、延長されるかどうかはその時になってみないとわからない。減税規模も所得が増えるにつれて上がっていく。中間層が企業の犠牲になった格好だ。

ウォールストリート・ジャーナルとNBCが実施した世論調査によれば、回答者の41%が税制改革について否定的な見方を示した。それも企業や富裕層のための税制改革と捉えているからだだろう。「税制改革は中間選挙の争点になる」とライト氏は言う。

また、減税によってトランプ政権が主張する3%以上の経済成長が実現するかどうかも定かではない。

減税には小さな政府を実現するという面も

法人税が減れば設備投資や雇用の増加が理論上は見込まれる。だが、米国は完全雇用に近い状況にあり、人手不足が深刻だ。減税による需要喚起も期待されるが、経済状況が過熱することでFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げペースが加速、減税の効果を打ち消すかもしれない。

「保守派が望んでいるのは連邦政府の縮小」。米シンクタンク、ヘリテージ財団のジェイムズ・カラファノ副所長が語るように、減税には連邦政府の税収を減らすことで小さな政府を実現するという面もある。共和党の保守派にとっては大勝利だが、それが多くを占める無党派に響いたかどうかは中間選挙が近づくに連れて明らかになるだろう。試合はまだ終わっていない。

池田記事

プーチン大統領が来年3月の大統領選への出馬を表明した。国内の支持率は8割を超え、有力な対抗馬もいない。再選は確実だが、手をこまぬいていれば国民の選挙への関心が低下しかねず、政権も話題づくりに腐心しているようだ。

12月6日、ロシアのプーチン大統領はニジニーノブゴロドのゴーリキー自動車工場の創業85年式典で大統領選出馬を表明した(写真:代表撮影/AP/アフロ)

時は12月6日、場所は西部ニジニーノブゴロドにある大手自動車会社「ゴーリキー自動車工場(GAZ)」。プーチン大統領は同社の創立85周年の祝賀式典に出席し祝辞を述べた。すると間髪を入れず、式典の司会者から質問が出た。

司会者「あなたは本日、ボランティアのフォーラムで大統領選に出馬するかを聞かれました。あなたは国民が支持してくれるなら出馬すると答えました。さて今日、この会場では例外なく、全員があなたを支持しています。ウラジミル・ウラジミロビッチ、我々にプレゼントを下さい。ここで自らの決断を表明してください。なぜなら、我々はあなたの支持者だからです」

プーチン大統領「ありがとう、本当にありがとう。(出馬)表明の場として、ここより良い場所も良い手段もないでしょう。支持をありがとう。私は大統領候補者として出馬します。本当にありがとう」――。

司会者が言及した「ボランティアのフォーラム」はプーチン大統領が同日、GAZ訪問前にモスクワで参加した催しだ。若者を中心にしたボランティア活動を表彰するこの式典で、大統領は2018年春の大統領選に出馬するのかという質問を受けた。大統領はいつもなら「何も決まっていない」と受け流すのに、この日はまず、「(出馬表明は)誰にとっても非常に責任の重い決断となる」と強調した。

大統領は続けて、人々の生活を向上させ、より強大で防御され、将来に向けた明確な指針のある国にしたいという欲求が立候補の動機となると指摘。こうした目標を達成できるかどうかはひとえに、人々が自分を信頼し支持してくれるかどうかにかかっていると強調した。その上で「もし、私がそのような(出馬の)決断をしたら、皆さんはその決断を支持してくれるでしょうか」と参加者に問う形で、暗に国民の支持を促していた。

会場からはすかさず「支持します」との声があがったものの、大統領はこの場では「近いうちに私の決断を公表します」と答えただけだった。そして、その日のうちにGAZの創立85周年式典に参加し、出馬表明となったわけだ。

労働者たちの熱烈な支持に背中を押され、長らく逡巡(しゅんじゅん)していた大統領選への出馬をついに決断した――。そんな演出だったのだろう。偶然を装ったようだが、2つの式典を巧みに使って効果を盛り上げる。大統領府が事前に練りに練ったシナリオに基づくパフォーマンスだったことは疑いない。

クリミアを併合した“記念日”に大統領選を実施

プーチン大統領が出馬表明した当日は、それまで別の衝撃的なニュースがロシアを駆け巡っていた。前日夜にスイスのローザンヌで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)の理事会で、組織的なドーピング関与が疑われるロシア選手団の来年2月の平昌冬季五輪参加を認めない決定が下されたことだ。

潔白が証明された選手は「ロシアから来た五輪選手」として個人参加が認められるものの、ロシア国旗や国歌は禁止されるという厳しい内容に、落胆したロシア市民は少なくなかった。

それだけに、平昌五輪へのロシア選手団の出場禁止というニュースから国民の目をそらすべく、プーチン大統領が慌てて大統領選への出馬を表明したとの説もある。ただ、今回の出馬表明は最大限の演出効果を狙ってかなり入念に準備されたとみられるだけに、IOCの決定に左右されたという見方は必ずしも多数派ではない。

いずれにせよ、本命のプーチン大統領が出馬表明したことで、大統領選がいよいよ本格化する。ロシア上院は15日、大統領選の投票日を来年3月18日とすることを全会一致で承認した。3月18日はロシアが2014年、ウクライナ領のクリミア半島を自国に併合した記念日でもある。

大統領選にはロシア自由民主党のウラジミル・ジリノフスキー党首、ロシア共産党のゲンナジー・ジュガノフ党首といった〝常連組〟のほか、プーチン大統領の恩師の娘で女性テレビ司会者として知られるクセーニア・サプチャク氏らが立候補する見通しだ。野党指導者で反政権派ブロガーのアレクセイ・ナワリヌイ氏も出馬に意欲を示しているが、当局側は同氏が横領罪で有罪判決を受けたことを理由に立候補を認めない方針とされる。

新顔のサプチャク氏は反政権派とされているものの、大統領府が選挙戦への国民の関心を高めるため、プーチン大統領の「スパーリングパートナー」として出馬を要請したとの説も根強い。有力な対抗馬が不在のまま、選挙戦はプーチン大統領の圧勝で終わるとの予測が大勢を占めている。

政権側にとって再選戦略の課題はむしろ、プーチン大統領が出馬表明時に演出したシナリオ通りに、「大多数の国民の支持」で再選を果たしたと内外に誇示できるかどうかにあるようだ。大統領は大統領府の選挙担当に投票率、得票率いずれも70%台の実現を求めているとされる。国民の支持率がいくら80%を超えているとはいえ、その達成は簡単ではない。

実質的に4期目となるプーチン大統領の再選には、どうしてもマンネリのイメージがつきまとう。圧勝が事前に伝えられるだけに、このままでは投票所に足を運ばない有権者が多数出てくることも予想される。

現にロシア民間世論調査会社のレバダ・センターが12月初めに実施した調査によると、来年3月の大統領選で「確実に投票する」「たぶん投票する」との回答は合わせて58%だった。これに対し、「投票しない」「たぶん投票しない」と「わからない」の合計も39%に上っている。

「有能な国家指導者」のイメージづくりに腐心

政権側としては少なくとも来年3月の投票日までは、プーチン大統領のイメージを刷新し、有能な国家指導者として国民に再評価してもらい、投票所に足を運んでもらえるように、あの手この手で新鮮な話題を提供していく必要があるわけだ。実際、話題づくりに腐心している様子もうかがえる。

その一例がプーチン大統領のシリア電撃訪問だろう。出馬表明から5日後の12月11日。大統領は突然、ロシア軍がシリア空爆作戦の拠点としている同国北西部のフメイミム空軍基地を訪れた。駐留するロシア兵らを前に演説した大統領は「ここシリアでの武装暴力集団との戦いという任務は成功裏に果たされた」と宣言。駐留するロシア軍部隊の大部分を撤退させると表明した。

ロシアは過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討を理由に、2015年9月末からシリアでの空爆作戦を展開していた。「シリア全土がISから解放された」(ロシア軍のゲラシモフ参謀総長)直後にシリアを電撃訪問して軍事作戦の成功を高らかに唱えるとともに、ロシア兵の犠牲者の増大を危惧する国内世論にも配慮して軍部隊を早々に撤収させる意向を示したわけだ。

プーチン大統領はこの日、シリアでアサド大統領と会談した後、さらにエジプト、トルコを相次ぎ歴訪してシシ大統領、エルドアン大統領との首脳会談をこなすという離れ業もみせた。米国と中東の関係がぎくしゃくする中、中東和平の仲介役としての存在感を誇示するとともに、65歳になっても一向に体力の衰えをみせず、精力的に世界を飛び回る姿もアピールした。

もうひとつ特徴的なのは、米欧との対立を控え、国際社会で孤立しているとの印象を極力抑えようとしている点だろう。

IOCがドーピング問題でロシア選手団の平昌五輪参加を認めない決定を下した際、プーチン大統領は五輪ボイコットを表明するのではないかとの臆測が出ていた。かねてロシア大統領選を狙った米国の陰謀説を唱え、ロシア国旗や国歌を認めない形での参加は「ロシアへの侮辱」としていたからだ。しかし、大統領は意外にも「我々にも罪がある」としてIOCの決定に従う意向を示し、政権として五輪への個人参加も容認する考えを示した。

対米関係もしかり。ロシア大統領府は今月17日、プーチン大統領が同日にトランプ大統領と電話協議したと発表したが、その内容は極めて意外感があった。米中央情報局(CIA)の情報提供により、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで爆弾テロを計画していたテロリストを拘束したとして、プーチン大統領が謝意を伝えたというのだ。米大統領選への介入疑惑などで大きく冷え込んだようにみえる米ロ関係だが、水面下では協力も進んでいると国民向けに訴えたかったのかもしれない。

話題を次々と提供するプーチン政権だが、次の任期で何をめざすのかというビジョンはあいまいなままだ。今月14日の記者会見では、大統領は「選挙公約は話したくない」とし、インフラの発展、健康維持、教育、ハイテク技術の推進、労働生産性の向上といった漠とした目標を掲げただけだ。

原油価格急騰で年平均7%もの高い経済成長を達成した1期目、2期目と経済環境は一変し、国民の生活向上を確約するような公約はもとより難しい。いくらプーチン大統領でも、国民の期待をつなぎとめる明るい将来ビジョンを描くのは容易ではなさそうだ。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『北京に吹き荒れた「看板・広告撤去騒動」の顛末 強権を振るう北京市トップは習近平の寵臣』(12/22日経ビジネスオンライン 北村豊)について

12/24日経朝刊中国、朝鮮半島有事を想定か 難民キャンプ準備  国境地帯、軍駐留施設を増設

中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が朝鮮半島有事に備えた準備に着手したもようだ。北朝鮮との国境地帯で数十万人を収容できる難民キャンプを設営するよう指示したほか、軍駐留施設を増設している。中国は北朝鮮の核問題を対話で解決する方針を崩していないが、トランプ米政権と北朝鮮が衝突する事態に身構え、影響を最小限に抑えたい思惑がにじむ。

中国共産党関係者によると、習指導部は今夏、北朝鮮と国境を接する吉林省や遼寧省などの地方政府に対し、有事の際に難民キャンプを設営できる体制を整えるよう指示した。北朝鮮側から難民が流入しやすい地域を中心に複数の施設を設ける計画で、合計収容人数は最大で50万人を想定しているという。すでに食糧やテントなどの備蓄が始まっているもようだ。

12月上旬、中国通信大手、中国移動通信集団の内部文書とみられる資料がインターネット上に流出した。吉林省長白朝鮮族自治県で5カ所の難民収容所建設が計画され、同社が2日に通信環境を調査したとの内容だった。真偽は不明で、数日後にネットで閲覧できなくなった。外交筋に「本物だったのではないか」との見方が広がった。

国境地帯の関係者によると、吉林省の軍管理区域内では最近、駐留軍向けの新たな居住施設が建設されている。3階建て程度の低層住宅で、シャワーなどは共用の一般的な兵舎だという。

表向きは、冬季に凍結した河川を渡って国境を越えてくる北朝鮮人による窃盗事件が増えていることへの対応策、だという。だが実際には防犯を名目に、有事も視野に入れた国境警備を強化し始めた可能性がある。

ティラーソン米国務長官は12日の講演で、半島有事の際の難民対策や核兵器の管理についてすでに中国と協議したと明らかにした。6月にワシントンで開かれた米中外交・安保対話で議題にしたとみられ、ちょうど難民キャンプの設営指示が出た時期と符合する。

国境付近には見張り小屋が建てられ、北朝鮮兵士が周囲を監視する(10月28日、中国・遼寧省丹東から北朝鮮を望む)=小高顕撮影

ティラーソン氏は、仮に米軍が北緯38度線を越えて北朝鮮に侵攻した場合でも、条件が整い次第撤退することを「中国に確約した」とも説明した。米中がすでに一定の事前調整に入っていることが確認された。

共産党関係者や外交筋の間では、有事の際に中国軍が北朝鮮領内に入り、核・ミサイル施設を制圧し管理するとの見方もささやかれる。党内には慎重論もあり、実際には米国や北朝鮮の出方を慎重に見極めるとみられるが、こうした話が取り沙汰されるほど中国側の危機感は強まっている。

北朝鮮の核実験場に近い吉林省の党機関紙「吉林日報」の6日付の特集記事は、地元の緊迫感がうかがえる。新聞の5ページ目に「核兵器の常識と防護」との見出しが躍り、一面すべてを使って核兵器が使われた場合の対処方法を紹介。(1)避難が間に合わない場合は窓や戸を閉めて被曝(ひばく)量を減らす(2)外出時はマスクやコートなどで汚染を防ぐ(3)すみやかにヨウ素を飲む――などと、イラスト入りで具体的な対策を示した。

記事に掲載の狙いについての説明はないが、朝鮮半島有事を想定したものだと受け止められた。中国メディアによると同紙編集部は「通常の国防教育だ」と述べ、内容は吉林省人民防空弁公室の提供だったとしている。同省では、防空警報を使った避難訓練の強化も検討されているという。

中国人民解放軍の動きも慌ただしい。中朝国境地帯を管轄する北部戦区の部隊は、11月下旬から大規模演習を実施。氷点下20度近い環境の下で、武器や装備の動作を確認したという。さらに12月11~16日には、空軍がロシアと共同でミサイル防衛のシミュレーション演習を行った。第三国の「突発的な攻撃」に対応するためとしている。

一連の動きには、北朝鮮に対して中国が抱く危機感を明確に示し、新たな挑発行為を食い止めることが狙いとも指摘される。中国軍で旧南京軍区副司令官を務めた王洪光・元中将は16日、北朝鮮問題に関する討論会で「戦争はいつ起きてもおかしくない。来年3月までがヤマ場だ」と語った。

3月は毎年、米韓が軍事演習を実施し、北朝鮮が強く反発する時期だ。軍機関紙「解放軍報」は19日、「米軍攻撃に前兆はあるか」との記事を掲載。「米軍は威嚇が失敗した後、動きを止めたように思わせたうえで突然、戦争に打って出るかもしれない」と結んだ。(北京=永井央紀)>(以上)

本ブログで早くから告知してきた内容の記事です。中国観察(法輪功関係)の記事からの引用でしたが、「解放軍報」を除いて総て網羅できていたと思います。公開情報を追うだけでもそれなりに早く伝えることができるのかなあと。ただ、この時期にと言うのは、米軍家族はクリスマス休暇で帰って、後は日本人の新年休暇に向けて警告を発したのかも知れません。安倍首相は「平昌オリンピックがあるから韓国渡航は大丈夫」と言っていましたが、何の根拠にもなりません。今の情勢で見れば、いつ戦争になってもおかしくないのですから、韓国渡航は自己責任で行くことです。ソウルは「火の海」になると言われていますし、邦人救出に韓国は協力しないのですから。行く方が悪いとしか言いようがありません。

12/23facebook記事から易靈12月23日 16:32 ·

傻逼遊行抵制聖誕節,仲沿途大聲叫喊毛主席萬歲?

你毛爹死了幾十年都仲叫萬歲,真典型的腦殘加料;

傻逼你先將手中的手機、 家中進口用品全部燒晒,再將身上的進口衣物通通除光再講啦

クリスマスをボイコットするためのバカなパレードで, 途中大声で毛主席万歳を叫んでいる? 貴方は毛父さんが亡くなって何十年も経っているのに万歳を叫ぶ、典型的な本当の馬鹿である。 先ずバカなあなたの手に持っているスマホや家にあるすべての輸入品を燃やし、身に着けている輸入の衣服を全部捨ててから言いなさいよ。

https://www.facebook.com/100010311528070/videos/583662278654151/?id=100010311528070&hc_ref=ARTyose6Cg8M6ikEnSDSsY8fsffrc5RKX1_QfU2iC_nAUjUbLuCtvxYFfGyy4PcxmUE&fref=nf

>(以上)叫んでいるのは「中華を愛し、クリスマスなぞ止めろ」と聞こえます。まあ、官製デモで共産党の許可がない限りデモは出来ませんので。ここまで習はやらせるのかという事です。下が忖度したのかも知れませんが。150年前の日本の攘夷と同じ発想、排外主義者です。でも、あの当時の日本は外国からの圧力がありましたが、今の中国はないでしょうに。

もう一つ同じ排外思想を小学生から洗脳している図を紹介します。黒板に書かれているのは

「「外国の祭日にNOと言おう」

外国の祭日を拒否しよう!

まず自分から始めよう!

文明を伝承しよう!

中国の祭日を祝おう!

(写真です。クリックしても動画にはなりません)」

北村氏記事は12/20中国観察の記事<傳蔡奇被迫檢討 目標卻是習近平 分析:習走錯了路阿波羅新聞網=蔡奇は検討を迫られたと伝えられる 目標は習近平 分析:習は道を誤った アポロネット>にもありました。出だし部分のみを翻訳します。

「北京市委書記蔡奇領導下的驅逐〝低端人口〞和清理〝天際線〞等行動,因其野蠻暴力而遭國內外輿論鞭撻。外媒披露,蔡奇因此在政治局做了檢討。港媒認為,事件開始朝着政治鬥爭方向發展,政治炮口對着蔡奇但目標卻是習近平,已關係到“之江新軍”的安危。時政評論員陳破空表示,“中國模式”破產,習近平走錯了路。

北京市書記の蔡奇の下で低級人口を追い出し、スカイライン(ビル看板)を整理する行動は、野蛮で暴力的であるが故、国の内外の世論を喚起した。外国メデイアは、蔡奇は政治局にて検討を迫られたと明らかにした。香港メデイアは、事件が起きてから早々に政治闘争に発展、非難は蔡奇に向けられたが目標は習近平で、“之江新軍”(習の昔からの仲間)の無事と関係して来る(指桑罵槐です)。時事評論家の陳破空は「中国モデルは破綻し、習は道を誤った」と。」

12/24ロイター<焦点:中国工業地帯を襲う天然ガス不足、環境対策が裏目に>

https://jp.reuters.com/article/china-pollution-gas-shortages-idJPKBN1EC0XT

北京市だけでなく石家荘市でもガスが足りなく、一時的に石炭の使用を認めたとのこと。日本だったらキチンと手当てしてから実施するでしょうけど。“没問題”“没関係”の人達ですから。

最後にトランプ関連で12/24トランプのツイッターより

<@FoxNews-FBI’s Andrew McCabe, “in addition to his wife getting all of this money from M (Clinton Puppet), he was using, allegedly, his FBI Official Email Account to promote her campaign. You obviously cannot do this. These were the people who were investigating Hillary Clinton.” >「FBI副長官の妻がヒラリーの手先から金を受け取り、FBIの公式アカウントを使ってヒラリーの選挙応援をした。やってはいけないこと。こういう人達がヒラリーの調査担当者だった」ということです。辞任しても追及すべきです

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/944906847970119680

http://www.sankei.com/world/news/171224/wor1712240021-n2.html

記事

北京市書記の蔡奇は現代の蔡京か?(写真:ロイター/アフロ)

北宋(960~1127年)の政治家に“蔡京(さいけい)”(1047~1126年)という人物がいる。興化郡仙游県(福建省仙游県)の人で、前後4回(1102~1106年、1107~1109年、1112~1120年、1124~1126年)にわたって宰相を務め、権力を掌握すること合計16年間に及んだ。蔡京は、後世の人から「中国史上最も名高い汚職官僚の1人であり、贅の限りを尽くし、無能で無定見、保守的で腐敗にまみれ、北宋王朝の衰微を招いた奸臣」と評されている。

歓心を買う奸臣

蔡京は宰相を4回も務めた程の人物だから、決して無能であったとは思えない。その証拠に、蔡京は“興寧3年(1070年)”に実施された科挙で“進士”に23歳の若さで合格している。北宋の第6代皇帝“神宗”(在位1067~1085年)は財政再建のため“王安石”を宰相に任命して“新法(革新政策)”を行わせたが、神宗の死後政権を握った“宣仁太后”は保守派の“司馬光”を宰相に任命して“旧法(保守政策)”に復そうとした。司馬光は新法である“募役法”を廃止し、旧法である“差役法”を復活させることを5日間の期限で実行するように命令したが、役人の抵抗で思うように保守回帰が進まなかった。当時、“開封府”(現・河南省開封市)の“知事(長官)”であった蔡京は、新法支持者であったにもかかわらず、司馬光におもねって旧法支持者に転じ、この難題を司馬光の命令通り5日間で実行して、司馬光を喜ばせたという。

宣仁太后が1093年に死去すると、7代皇帝“哲宗”(在位1085~1100年)の親政が始まり、再度新法への復帰が行われ、多数の旧法派官僚が追放され、新法派官僚が登用されることになった。しかし、蔡京は神宗時代には新法、宣仁太后時代には旧法を支持するという無定見な風見鶏的性格が災いして、冷遇された。ところが、第8代皇帝の“徽宗”(在位:1100~1126年)の治世が始まると、持ち前の非凡な処世術で宰相に上り、彼に反対する者は旧法派・新法派を問わず追放して絶対権力を握り、16年間も宰相の地位を保った。権力者となった蔡京は、一般民衆から重税を取り立て、大規模な土木工事を行い、大量の賄賂を受け取って私腹を肥やし、富と権力を独り占めして、北宋の弱体化を促進させた。なお、蔡京は伝記歴史小説『水滸伝』にも悪名高き“高俅(こうきゅう)”と並ぶ「四奸臣」の1人として登場している。

北京のSKYLINE

さて、11月27日、北京市当局は、“北京市城市管理委員会(北京市都市管理委員会)”、“北京市規劃和国土資源管理委員会(北京市計画・国土資源管理委員会)”、“北京市綜合管理行政執法局”が連名で策定した11月24日付の『“関于開展集中清理建築物“天際線”専項行動的通知(建築物輪郭集中撤去特別行動展開に関する通知)”』を公布した。“天際線”は英語では“SKYLINE”だが、「空を背景とした建築物の輪郭」を意味する。同通知の内容は以下の通り。

建築物輪郭集中撤去特別行動展開に関する通知

都市の管理を強化し、都市の質を高め、視覚的に明瞭な都市の輪郭を作り、国際的に一流で、調和が取れて住みやすい都を建設するため、中国の各種法令の要求に基づき、2017年第4四半期から我が市は建築物輪郭集中撤去特別行動を開始するので、ここに以下の通り通告する。

【1】この通告の公布日を起点として、『北京市看板標識設置管理規範』の要求に合致しない建築物の屋上や壁面にある広告看板は全面的に撤去する。すなわち、建築物屋上の高さを超えたり、壁面の縁(へり)からはみだしている戸外広告や看板標識、建築物壁面に垂直に置かれた戸外広告や看板標識、建築物の壁面に張り付けられた違法な戸外広告、一つの壁面に張り付けられた多数の戸外広告、外地が設置した看板標識、“店内店(店の中の店)”が建築物の壁面に設置した看板標識、その他規則の要求に違反した看板標識。

【2】この通告の公布日を起点として、全ての新設される看板標識は『北京市看板標識設置管理規則』の要求に合致しなければならない。撤去後新たな看板標識を設置する確たる必要性があるならば、財産権を持つ組織は関係部門に申請し、審査を経た上で実施することができる。重要な大通り、重要な地区は北京市や区の特別行動連絡会議の連合審査と専門家の審査を経た上で実施が可能になる。

【3】各レベルの党・政府機関、事業組織、北京駐留の軍部隊、北京駐在機構、国有企業は率先して自ら撤去し、もしも撤去能力がない場合は、所在する区の都市管理部門に申請して援助を受けることが出来る。およそ管轄区が規定した時間内に自力撤去できない場合は、各区の組織が連合して撤去を執行し、撤去費用は建築物の財産権を持つ組織の負担とし、法令に違反している場合は、企業および個人の信用システムに記録する。

【4】撤去過程で、屋上にその他の違反建築や規定違反の残存設置物があれば同時に撤去し、市外観の整然性を保証しなければならない。

【5】公安部門は、暴力による公務執行妨害、強迫や威嚇、攻撃や報復などを行う暴⼒団員や悪党に対して、法に則り厳重な処罰を行う。紀律検査・監察部門は高級幹部からの声掛けや“保護傘(後ろ盾)”となるなどの紀律・規則違反の行為に対しては法に基づき厳しく処罰する。

【6】いかなる組織も個人も『北京市看板標識設置管理規則』の要求に違反した建築物の屋上や壁面上の広告看板を訴える、あるいは告発する権利を有する(都市管理局ホットライン:96310、首都環境建設委員会ホットライン:12319)。

北京市城市管理委員会 北京市計劃・国土資源管理委員会 北京市総合管理行政執法局

2017年11月24日

上述の通知は公布された11月27日を期して実施に移された。11月27日の当日から北京市内には大量の大型クレーン車や高所作業車が出現し、手当たり次第にビルの屋上や壁面から企業名の看板や商品の広告看板を撤去し始めた。北京市内には『北京市看板標識設置管理規則』の要求に違反した撤去を要する戸外広告や各種看板が2万7000カ所以上あり、これらを12月末までに全て撤去ことが目標とされた。

8956カ所を猛烈撤去

12月1日付の北京紙「北京日報」は、「SKYLINEを遮る広告・看板はすでに8956カ所撤去された」と題する記事を報じた。その概要は以下の通り。

(1)北京市内各区のビル屋上にある広告看板の撤去作業が猛烈な勢いで進められている。記者が昨日(11月30日)「建築物輪郭集中撤去特別行動分析会」から得た情報によれば、全市ではすでに各種の違反広告看板8956カ所が撤去されている。現在、各区は積極的に撤去作業を展開しており、年末までに“長安街”沿線、環状2号・3号・4号道路周辺区域の撤去作業を完成させるべく全力を挙げている<注1>

<注1>長安街は北京市の中心を東西に走る幹線道路で、道路の両側には主要な官庁や企業のビルが立ち並んでいる。環状道路は市中心から外側に2号から6号まであるが、2・3・4号は快速道路、5・6号は高速道路。

(2)高いビルの屋上と空との接合部を“天際線(SKYLINE)”と呼び、これは都市景観にとって重要な構成部分である。今年から北京市共産党委員会と北京市政府は「北京に美しいSKYLINEを取り戻せ」という意見を度々提出し、戸外の広告・看板標識の撤去を呼びかけて来た。今年9月に公布された『北京市看板標識設置管理規則(改訂版)』には、ビル屋上に看板、標識、広告などを設置することの禁止、すでに設置済みの物は撤去することが明記されており、その重点は市内中心部、長安街沿線、2号・3号・4号道路沿線となっている。

(3)北京市都市管理委員会の関係責任者は次のように述べた。すなわち、各区で調査した台帳によれば、全市で撤去が必要な違反広告看板は2.7万カ所以上で、その7割が市内の6つの区に集中している。事前の2カ月の撤去作業により<注2>、現在全市ですでに撤去されたのは8956カ所である。その中、“石景区”はすでに1700カ所余りを撤去しており、率先して撤去作業を完了している。その他の区の撤去状況は、“東城区”:702カ所、“西城区”:1365カ所、“朝陽区”:2497カ所、“海淀区”:1518カ所である。12月末に各区の関係部門が検収を行い、来年1月には北京市都市管理委員会が道路毎に北京市としての検収を行う。

<注2>北京市当局は10月下旬に違反看板標識・広告撤去の特別行動を決議し、各区に命じて撤去作業を行わせていた。

(4)ビル屋上には看板標識や広告が設置できないだけでなく、各建築物は“一楼一標(1ビルに1標識)”が要求され、外壁にいくつもの標識を掛けることはできない。また、撤去後の建築物は“規劃部門(計画部門)”が認可したビル名称しか使用できず、掛ける位置はビルの3階以上、屋上の床面からの距離は0.5m以上となっている。同時に、字体の大小にも厳格な規定があり、建築物名称の文字は高さ2mを超えないこと、組織名称の文字は高さ0.8mを超えないことになっている。新しい看板標識にはステンレスなどの高反射材料の使用は禁止、“外射光源(外へ光を放つ光源)”の使用も禁止で、“内投光源(内側へ光を投じる光源)”だけが使用可能である。

朝令暮改、再び

12月5日に中国メディアが報じたところでは、北京市内西城区にある“金融街(Financial Street)”では、“中国銀行”、“北京銀行”などの大手銀行、生命保険の“中国人寿保険”、携帯電話の“中国移動”、ホテルの“麗思卡爾頓(リッツカールトン)”などを含む127カ所の看板を年末までに全て撤去することになっており、地元の“街道居民委員会(自治組織)”や都市管理執行チームに雇われた十数人の作業員が看板の撤去作業を行っていたが、彼らに賃金はなく、撤去した残骸が彼らに与えられるということだった。

この撤去作業を見守る北京市民の中には、「違反広告看板が取り外されて北京市本来の外観が取り戻せる」と好感する者もいるにはいたが、大多数の市民は冷たい視線を送っていた。一番の問題はビルから看板が撤去されたことにより、目印となる物がなくなり、道に迷う人が激増したことだった。あるネットユーザーは、「目印となる看板や広告がなくては、自分がどこにいるのかも分からなくなるし、ましてや目的の場所を探すのは容易ではない。人に道を尋ねても、聞かれた方も目印なしでは道案内できるはずがない。どだい、看板や広告が何もない、無味乾燥なビル群は寒々しいだけで、何の魅力も感じられない」と掲示板に書き込んだ。

こうした庶民の声は日を追って大きくなり、看板標識や広告の撤去に対する不満は大きくなり、世論の高まりは北京市党委員会ならびに北京市政府に大きな圧力を与えるに至った。このため、12月8日、北京市都市管理委員会は会議を招集して検討した結果、撤去作業を一時停止することを決定し、翌9日に市内関係者に緊急通知を発した。緊急通知は、「区内の違法広告看板の撤去を一時停止し、すでに看板を撤去した商人は北京市当局の規格に適合した看板を新たに設置しても良い。撤去作業の再開時期は改めて通知する」というものだった。撤去一時停止の理由は次の2つの要因であった。すなわち、(1)冬季は気温が寒冷で、風が強く、気候が乾燥しており、高所作業には危険があり、出火の危険性も高いこと。(2)看板撤去後、人々にビルの識別を困難なものとしたこと。

12月9日の早朝から北京市内の街頭からは撤去作業を行っていたクレーン車の類や作業員が消えた。この撤去作業一時停止を知った北京市民の多くは、又しても朝令暮改かと呆れると同時に嘲笑したのだった。「又しても」とはどういう意味か。中国政府“環境保護部”はPM2.5の低減を目的として、10月1日から北京市を中心とする2+26都市で“禁煤令(石炭禁止令)”を発令して、“電代煤(石炭に換えて電気)”と“気代煤(石炭に換えて天然ガス)”を推進する暖房変換政策を展開したが、関連工事の遅滞や天然ガスの供給不足により1000万人以上が暖房なしの生活を余儀なくされた。この実情を知った世論は中国政府の準備不足を非難し、圧力に屈した環境保護部は同政策の緩和を表明せざるを得なくなって朝礼暮改を行い、工事遅延地区に対して石炭使用を認めたのだった。<注3>

<注3>暖房変換政策については、2017年12月15日付の本リポート『1000万人が凍える中国「暖房変換政策」の失態』参照。

蔡京と蔡奇を重ねて

暖房変換政策は環境保護部が主管部門だが、その対象地域の中心である北京市の党委員会と市政府が深く関わっていることは疑問の余地がない。その北京市のトップこそが北京市共産党委員会書記の“蔡奇”である。蔡奇は11月18日に発生した火災を契機として違法建築物の撤去を命じ、膨大な数の出稼ぎ労働者の住処を取り壊して、彼らを北京市から駆逐した張本人である<注4>。蔡奇は違法建築物の取り壊しを5日以内に終わらせろと命じて、無情にも出稼ぎ労働者たちを最低気温が氷点下となる寒空の下に放り出した。

<注4>11月18日に発生した火災に関連する事態は、2017年12月1日付の本リポート「寒空の北京、路頭に迷う10万人の出稼ぎ者たち」参照。

蔡奇は、福建省“三明市”の管轄下にある“永安市”に属する“龍渓県”出身。“福建師範大学”政治教育学部を卒業した後、大学院へ進み、政治経済学博⼠号を取得した。その後は浙江省党委員会常務委員、杭州市長などを経て、2017年1月に北京市長となり、同年5月に北京市党委員会書記となり、同年10月に中国共産党中央政治局委員となった。蔡奇の経歴は福建省、浙江省と中国共産党総書記の“習近平”が歩んだ足跡と重なり、習近平によって中央へ引き上げられた人物で、習近平の寵臣の1人である。その蔡奇が北京市のトップである党委員会書記就任後に始めたのが血も涙もない違法建築物の取り壊し、出稼ぎ労働者の駆逐、違法看板標識・広告の撤去であった。さらに暖房変換政策の一翼も担った。

人々は文頭に述べた北宋の蔡京と蔡奇を重ね合わせ、蔡奇が国を弱体化させる可能性を危惧している。両者は共に福建省出身であり、新法を廃して旧法を5日間で復活させた蔡京をまねて、蔡奇も5日間で違法建築物の取り壊しを命じている。12月5日、内部会議の席上で蔡奇が「末端に至っては、本物の刀や銃が必要で、やるなら徹底的にやり、強硬に押し切れば、問題は解決する」と述べたという情報がネット上に流出した。この高圧的な政治姿勢に反発した“清華大学”、“中国人民大学”などの卒業生たちが、12月13日に蔡奇の辞任を求める公開書簡を発表した。

後世に蔡奇が蔡京と同様に奸臣と見なされるかどうかは分からないが、今のままでは習近平がその任命責任を追及されても仕方ない状況にあると考えられる。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『「低端人口排除」を加速する火事は“失火”か? 「現場動画」投稿で画家逮捕、「書記辞任」要求は強権封殺』(12/20日経ビジネスオンライン 福島香織)、『2018年、中国の鬱屈した30代が社会に牙をむく 「チベット映画」と「いたたまれないダンス」ブームの意味するもの』(12/21日経ビジネスオンライン 山田泰司)について

12/19ダイヤモンドオンライン ロイター<中国の地方都市で「特区ブーム」過熱、債務拡大の懸念も>中国の歴史の中で偉人と言われるのは治水対策に成功した人達です。尭舜や李冰親子(四川省・都江堰ダム)等。それで中国では、土建工事が好まれるのでは。細かいことは気にせず、若干菱形になった窓穴でも“没問題”という人達ですから。侘び・寂び、精緻さを好む日本人とは大いに異なります。それと、土建工事は金額が大きく、受け取る賄賂の大きさも半端でなくなりますから、好まれることもあるでしょう。中国駐在の時に、工事が途中でストップしている建物が多くあるのを見ました。それは資金繰りができなくなると、其の儘放置、金ができるとまた再開のパターンでした。

中国人も朝鮮半島人も複式簿記を本当には理解できていないのではと思います。両者ともに借金体質です。資本主義であればやがて過剰債務は資金ショートを起こし破綻します。韓国は輸出大国なのに、通貨スワップの重要性も理解していないような国ですから、オーストラリアといくら通貨スワップを結んでも、日米と結んでなければ行き詰まるでしょう。中国は共産国家(国家資本主義)なので、政府があらゆる保証をするため経済崩壊するのには時間がかかると田村秀男氏と何清漣氏は言っています。困った時には中央政府が何とかしてくれる、株価もKPOするだろうし、不動産も価格維持の為、売却禁止することなどはザラです。中央政府を当てにし、需給を無視した計画を実行するため、モラルハザードはあらゆる面で、今既に起きていると見た方が良いでしょう。後はいつ破裂するかです。国際金融資本、ハゲタカが「豚は太らせてから喰え」とばかりに鵜の目鷹の目で狙っているのかも知れません。

http://diamond.jp/articles/-/153716

12/22<中国でネット金融が急速に成長した理由 中国金融の新たなビジネスモデルを概観する>中国のやることは総て軍事・治安優先の発想です。ネット金融が発達したのも、偽札の流通が2割を占めるのを防ぐ意味もあったでしょうし、店や個人が偽札を掴まされるよりスマホ決済が安全と理解したからでしょう。日本のようなクレジットカードが普及しなかったのは、金を貸しても返さないのが当り前の風土だったからと思います。取引しても支払代金を踏み倒すのが普通に行われ、偽装倒産も沢山ありましたので、クレジットカード会社を作ろうと思わなかったのでしょう。それと店が払うクレジットカード利用料が3~5%なのに対し、アリペイは0.6%という安さです。中国はアリペイかウイーチャット(微信)ペイの2社がネット金融の大部分を占めます。アリペイは支付宝=蚂蚁金服傘下、蚂蚁は蟻(アリ)の意味、金服は金融服務(サービス)の意味で英語では“Ant Financial”=アリババ集団の一部です。

ネット購買はアリババの淘宝や天猫モールが有名、支払いはアリペイで、「クレジット払い」も可能とのこと。個人間取引が淘宝で企業と個人間取引が天猫モールです。日本と中国の個人の信用付与のやり方が違うのは歴史と文化の違いです。どちらが優れていると言うものでもありません。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/111400180/121900002/?P=1

しかし、人類の普遍的な人権に対する取り組みは日本と中国では全然違います。中国では金融情報を国が集め、ビッグデータや賄賂防止に使うのならまだしも、個人や企業の預金が国家に没収される可能性もあります。基本的人権である財産権の侵害になります。まあ、中国人は政府や金融機関を信じていないので、金庫に退蔵していると思いますが。

福島氏や山田氏の記事のように中共政府が如何に中国人の人権を侵害しているか、「生活権」や「信仰の自由」の侵害です。日本の左翼は中国に行って、何時も政府に言っているようにクレームを付けるべきです。福島氏の記事は、火事は放火の可能性があることを匂わせています。小生もその通りと思います。山田氏の記事では、30代の中国人がチベット人の五体投地に「自由」を感じているとの話ですが、自己中心の中国人ですから、6人の老人を扶養するとなると、海外脱出を企てる人間が増えるかもしれません。中国の近くにあるお人好し民族の日本は気を付けないと。

小川榮太郎氏が書いた「徹底検証『森友・加計事件』朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」(飛鳥新社)について、朝日新聞側は謝罪や訂正、賠償を求めましたが、小川榮太郎氏は反論を送付、HPにその内容をアップしました。

http://www.sankei.com/entertainments/news/171206/ent1712060016-n1.html

その続きですが、12/22facebookで小川榮太郎@ogawaeitaro

【朝日の捏造をうやむやにしてはならぬ真の理由】朝日新聞への私の回答を「承服できず、対応を検討する」と言った朝日新聞が2週間を超えても何の対応もしてこない。

【朝日の捏造をうやむやにしてはならぬ真の理由-文章後半が大事です】朝日新聞への私の回答を「承服できず、対応を検討する」と言った朝日新聞が2週間を超えても何の対応もしてこない。  私には居丈高に「賠償を要求する」、「2週間以内に真摯に回答しろ」と言ってきた朝日が、私の「真摯な対応」から2週間経っても何も言ってこないというのは、これは一体、どこまで非常識なのだろう。  朝日新聞は森友加計事件を捏造したか、しなかったのか。  これをうやむやにすれば、日本はマスコミの嘘による政府転覆運動を容認する社会だということを自ら証明することになる。それは近未来、日本が中国に政治主権を奪われる予行練習となるであろう。  私がなぜこの件を「戦後最大級の報道犯罪」と言うかと言えば、これは主権簒奪プログラムにすぐに転用可能な、極度に危険な現象だからだ。慰安婦問題の日本の国際的名誉棄損とは異質の、はるかに直接的な危険がここにはあるのだ。  もし本当にこの問題で日本社会が戦う気がないなら、私は近い将来日本を立ち去る。自由社会であることと日本の偉大な精神伝統を二つながら失う馬鹿な祖国には耐えられない。無論、ぎりぎりまで少数の同志と学問もし、戦いも継続する。  評論家は多いが、本当に危機が見える人間の少なさに閉口する。朝日の廃業が目標ではなく自由社会の防衛が目標だ。それには自分たちの社会がさらされている危機を自覚できることこそが一番大切なのだ。朝日が怪しからんから叩く、ここにとどまっていては真の敵から身を守れない。私が今何の闘いを戦っているかを何とか正確に分かってほしいのだ。本当に失ってしまう近未来を越させないために。」(以上)

小生が本ブログを立ち上げたのも、中国の危険性(軍事侵略・人口侵略と共産主義浸透による自由社会破壊への)について警鐘を鳴らしたかったためです朝日新聞購読者は経営を助けることにより中共のお先棒に手を貸していることになっていることに早く気が付かないと。

12/23アノニマスポスト<【NHK】自民党に投票した若者が理由を述べる ⇒ 東大教授「もう少し真剣に考えて!」⇒NPO代表「何も考えず現状維持で自民は短絡的!」www>東大もバカが教授をやっているという事です。まあ戦後利得者である東大が既存の仕組みを温存しようとするのは当り前のことかも知れませんが。難関と言われる司法試験に代表されるように、勉強すればするほど護憲に考えが凝り固まるようになっています。公務員試験もそう。学びて思わざれば則ち罔しの典型です。ですから、法曹界(司法)や官界(行政)の座標軸は大きく狂ってしまう訳です。自分の頭で考えず、学力だけでエリート面する訳です。真のエリートとは程遠い。政界(立法)を選挙と言う手段で国民の意思を反映させるしかありません。今の若者の方が情報選択の間口の広さを持っていて、危機に対して自分の頭で考えているという事です。それができない老人は若者に託すべきです。左翼は若者に対し「徴兵制復活」と脅して味方につけようと思ってきましたが、現代の戦争で徴兵制復活はあり得ないことを今の若者はチャンと知っています。

http://seikeidouga.blog.jp/archives/1069001178.html

福島記事

11月に北京市郊外で起きた大火事の後、街はゴーストタウンに(写真:ロイター/アフロ)

北京の大興区で起きた出稼ぎ労働者向け簡易宿所の火事をきっかけに、大規模な“出稼ぎ者駆逐政策”が始まっている。防災・安全を建前に、大都市の機能を底辺で支える農村出身出稼ぎ者たちが暮らす“ドヤ街”や彼らが働く違法工場の一斉撤去を行い、彼らを“低端人口”(低級の人口)として北京から排除し、直面する人口問題を解決しようというものだ。

だが、あまりに突然で暴力的であることから、少なからぬ良心的知識人たちは、これを憲法違反の人権問題として批判している。片や北京市当局は「そもそも低端人口など北京に存在しない」として、この低端人口駆逐政策自体がネットのデマだと主張。しかも、抗議の声をあげる知識人たちの拘束・逮捕に乗り出した。背景には、国家主席・習近平の信任を得ている北京市書記・蔡奇の強気の姿勢があるとみられる。火事からすでに1カ月以上たつも、問題は収束するどころか、より深刻な人権問題に拡大しつつある。

大火事をきっかけに“一斉駆逐”

出稼ぎ者の簡易宿所、日本で言うところのいわゆる“ドヤ街”の一斉撤去と、そこに暮らす出稼ぎ者の“駆逐”は、すでに日本メディアでも「低端人口問題」として詳細に報じられている。

改めて概要をまとめると、事の起こりは11月18日。北京市南部の河北省と隣接する大興区の新建二村の簡易宿所・聚福縁公寓で幼児・子供8人を含む19人が死亡する大火事だった。この地域には北京市のサービス業などを支える農村戸籍の出稼ぎ者が吹き溜まるように暮らす。火事が起きた聚福縁公寓は違法増改築を繰り返し、老朽化した建物で、10平方メートル前後の部屋が300ほどあり、400人以上の出稼ぎ者と家族が暮らしていた。

一部屋が日本円にして一万円前後という安さだが、防災設備どころか窓すらなく、建物内も入り組んでいた。三つある出入口も一つが封鎖されていたという。一階は食堂、地下には冷蔵室があり、失火原因は、その冷蔵室の故障漏電による火花が冷蔵室の断熱材に使われていたポリウレタンに燃え広がった、と言われている。

この火事自体が悲惨な事件であるが、問題はその後の北京市の政策である。北京市は、この火事を機に防災対策として、郊外にあるこうした違法増改築された建物や老朽化した建築物を年末までに一斉撤去することを決定。建前は、都市の防災・安全対策だが、その狙いは増えすぎた北京市人口を抑制するために“低端(低級)人口”と呼ばれる、都市の最低層の仕事を支える農村戸籍の出稼ぎ者を駆逐することだった。

当局は「問題」認めず情報統制

ちょうど北京に来ていたので、火事の現場の大興区西紅門鎮の新建二村にまで来てみたが、そこの住人はすでに完全に追い出され、撤去を待つ空(から)の老朽家屋が立ち並ぶゴーストタウンと化し、がれきの山が築かれていた。ついひと月前までは、このあたりに万人単位の出稼ぎ者らが普通に暮らしていたのだ。

この場所に連れてきてくれた白タクの運転手も山東省の出稼ぎ者だが、「このあたりに住んでいた出稼ぎ者は、北京市の居留証もなく、最低辺の仕事をしていた。自分は北京にきて6年目で居留証も得ているので、彼らとは違う」と説明した。同情はしていないようだった。

多くの“ドヤ”が問答無用で撤去され、そこに住んでいた労働者と家族たちはいきなり、北京の寒空に放り出されることになった。その数は10万人とも数十万人とも、最終的には100万人に達するともいわれている。

だが北京市当局はこの事件に関する報道を統制、インターネットのSNSで低端人口をはじめとする関連用語を打ち込んでも表示されず、動画や写真も削除対象となっている。

実際のところは、北京の郊外にいけば、こうした強制的に住人を追い出しゴーストタウン化したドヤ街がいたるところに広がり、あるいはすでにがれきの山となっており、またキャリーバッグなど手荷物を持って零下の夜をさまよう出稼ぎ者らが未だ、見かけられた。こうした人たちに、市は新たな職業や宿舎を提供している、という報道もあるが、必ずしも全員に救済措置がとられているわけではない。一部良心的な知識人、アーチストら5000人以上が、こうした北京市の政策が、憲法違反の人権問題であるとして公開書簡で抗議の声をあげている。

「さまよう出稼ぎ者」動画投稿で逮捕

そうした抗議者の一人が北京郊外にある芸術家村・宋荘(通州区)にアトリエを構える画家・華涌(48)だった。華涌は11月下旬から、北京市の政策により出稼ぎ労働者向けの簡易宿舎が強制撤去されている様子や、宿舎を追い出され、零下の北京をさまよう農村戸籍の出稼ぎ者の映像をスマートフォンで撮影し、動画サイトに投稿し、反響を呼んでいた。だが彼の活動に協力した出稼ぎ者が少なくとも5人、警察に逮捕され、彼自身にも危険が迫った。

華涌は12月7日から天津市の友人宅に身を隠していたが、15日夜、ついに警察に連行された。友人宅に警察が来てドアを叩く音が聞こえるなか、華涌がスマホの自撮りで、「すでに刑務所に入る覚悟はできている」と、これから連行されるべくドアを開けることを宣言。「あと三日で娘の誕生日なのだが、一緒に祝えなくて残念だ」と語り、「ハッピーバースディトゥーユー」を歌い、自由になったら、君を世界につれていってあげる、と娘にメッセージを残している(その後、19日までに保釈された)。華涌は48歳、遼寧出身で、かつて天安門広場で、天安門事件を追悼するパフォーマンスをやったために一年三カ月の労働教養所送りになったことがあった。この秋の党大会期間も、自宅軟禁にあっていた。

この事件について、環球時報は、一時期、一部で暴力的な撤去が起き、世論の批判を受けたが、こうした世論を参考に当局は善処しているとして、華涌の抗議は単なる煽情的なパフォーマンスだと批判した。

だが、低端人口問題は公式メディアのいうように、すでに解決し、鎮火した問題かというと、むしろ新たな“火事”が続き、拡大している。

12月13日未明、朝陽区十八里店郷白墙子村のドヤで再び火事が起き、5人が死亡していた。この村も、撤去対象になっていた。火事の原因は無資格者が設置した電動車用充電器らしいが、消防隊はこの地域が撤去対象だからといって出動せず、住人に救出も行われなかったようだ。このドヤにその日に宿泊を開始したある男性は3階から飛び降りて足を骨折して一命を取り留めたが、一緒に泊まっていた息子は死亡したという。この村から遠くない別のドヤ街の村でも11日と12日の夜に火事があった。

こうなってくると、大興区の火事も含めて、本当に撤去予定になっているドヤ街の火事は、失火なのか、という気もしてくる。もちろん、そうした疑問の声はおろか、事件に関する情報自体が統制されている。13日には大興区の龐各荘でも暴力的強制撤去があり、何の準備時間もないまま、布製品加工工場が取り壊された。布など工場にあった材料や車は押収されたという。

「書記批判」封じ込め、強権で強行

こうした激しく暴力的な政策について、北京市書記の蔡奇への批判は高まっているが、それもメディア統制によって封じ込められている。12日、こうした批判を避けるために、蔡奇は都市生活のサービス産業を支える低収入労働者への慰問をこれ見よがしに行い、それを公式メディアに報道させた。蔡奇は都市の清掃、家政、流通、飲食業などに従事している低収入労働者を十分に尊重し、関心をもって彼らの問題を解決せねばならない、とコメントした。だが、こうした実際の行動と裏腹のパフォーマンスが、さらに不信感を呼んでいる。

13日、北京市の北京大学、清華大学、人民大学らの大学生有志84人による「北京市書記・蔡奇先生に辞職を促す」と題した公開書簡がネットで発表された。公開書簡では「今回の暴力的な公民の駆逐政策の悪影響は深刻で、大衆と共産党の関係を損ない、この責任を誰かが負わねばならない。我々は法規・規律を乱したとして、北京市委書記・蔡奇先生に即刻辞職していただき、天下に謝っていただきたい」と訴えているが、当然この公開書簡の載っているサイトはすぐさま削除、封鎖された。

この政策の背景には、今年秋に、2020年までに北京市の人口を2300万人以下に抑制するという都市計画が打ち出されたことが関係している。北京市の人口は2016年末に2172万9000人と発表されている。このうち800万人以上が外来人口と呼ばれる北京市外から流入した人口だ。さらに統計上にカウントされていない出稼ぎ者が100万人から200万人いるともいわれ、北京人口の実質はすでに2300万人を超えている。

北京だけでなく、上海、広州などの大都市では人口爆発の問題が深刻で、都市資源、特に交通インフラの維持や生活用水の確保のためには、都市人口抑制は重要な課題である。その処方箋として“低端人口”の都市からの排除は、かねてから都市計画の専門家から指摘されていた。“低端人口”という言葉そのものに込められている蔑視や、実際に都市サービス産業がこうした外来人口に支えられている現実から、こうした党内部の“政治用語”が表だって使用されることは、これまでほとんどなかったが、習近平政権が二期目に入り、習近平の権力基盤が強化されたことで、習近平派閥の筆頭でもある蔡奇が自分の強権に自信をもち、この強硬な政策を実行に移したと見られている。ある北京市民は「蔡奇書記が自分の権勢の強さを周囲に見せつけるために、今回の“駆逐”政策に踏み切ったのだ」との見方を示した。

都市生活の恩恵を受けている北京市民には、人口爆発を防ぐために正規の居留証を持たずに北京に暮らす“低端人口”の駆逐は致し方ないという意見を言う人も少なくないが、一方で大学関係者や学生、知識層らいわゆる“高端(ハイレベル)人口”に、こうした非人道的な政策はおかしいとはっきり言う人も少なくない。

北京清華大学社会学系教授の郭於華はBBCの取材に「自分の学生で、すでに博士号をとって、大学への就職も決まっている者も、この強制撤去政策で住居を失った。彼は“高端人口”に属する人間だが、この種の人権侵害の政策は、今日は他人ごとでも、明日は我が身だ」と訴えている。この政策に大学生たちが敏感に反応しているのも、実のところ、地方出身の学生の中には、大学卒業後も就職先が見つからず、“低端人口”に陥ると心配している者も多いという現実があるからだろう。

「人民」はどこに?

また、生粋の都市民の中にも、この政策によって“高端人口”の都市生活が大きくマイナス影響を受けている、と懸念を言う人もいる。例えば、都市民の生活を支えるネット通販は、こうした出稼ぎ“低端人口”が運転する宅配便用の電動自動車に支えられているが、今回の“低端人口駆逐”によって、大手宅配会社・順豊の北京方面における運送センターのおよそ十分の一が、人手不足で機能マヒに陥り、宅配の遅延や誤配が一気に増えた。

順豊は一応、自社で宿舎を確保することで、この問題を解決するとしているが、「この政策の結果、宅配便の単価が上がってしまうかもしれない。結果的に、清掃、飲食サービス、ガードマンといった底辺の仕事を低賃金で担う人員が減って、都市サービスの単価が値上がりしたり、質が劣化するならば困る」という市民もいた。

習近平はこの秋の党大会の政治活動報告で、「人民を中心とする」という方針を強く打ち出している。習近平政権の政策ブレーンを自任する清華大学教授の胡鞍鋼は「習近平政権では、『人民』を強く打ち出していることが特徴。人民を中心とする、とは『人民の人民による人民のための政治』ということであり、これが執政党としての正統性の根拠となる」とリンカーンの名言を引用して説明していた。だが、現実をみると、この人民とはいったいどこにいるのか。習近平政権二期目の政治は、「人民を中心とする」ではなく「人民を排除する」政治であり、もはや、その執政党としての正統性は暴力でしか維持できない状況に陥っているということではないだろうか。

山田記事

年末年始の特別企画として、日経ビジネスオンラインの人気連載陣や記者に、それぞれの専門分野について2018年を予測してもらいました。はたして2018年はどんな年になるのでしょうか?

(「2018年を読む」記事一覧はこちらから)

「いたたまれないダンス」の先駆け(左、鄭州2015年)と、「いたたまれない人」と揶揄される人の典型的なタイプ(上海2016年)

中国でも流行語が話題に上る季節が今年もまたやって来た。かつてこのコラムでも書いたが、中国では日本漢字能力検定協会が決め清水寺で発表する「今年の漢字」や、「ユーキャン新語・流行語大賞」のような、「今年の漢字・流行語と言えばコレ」と国民の間に定着しているものがない。そこで、『咬文嚼字』という言語学の専門誌や、『新周刊』という隔週刊誌等、その年のキーワードや流行語を特集で取り上げることの多いメディアにいくつか目を通してみると、共通して取り上げられていたのは「尬」(ガー)という字だった。

「尬」は通常「尷尬」(ガンガー)と2文字セットで使われることがほとんどで、「いたたまれない」「気まずい」という意味。それがここ2、3年、「尬」の字を「尷」ではない他の字と組み合わせて使うケースが出始め、今年になって流行と言えるまでに拡大した。

なかでもよく使われる組み合わせは「尬聊」(ガーリャオ)と「尬舞」(ガーウー)の2つだ。

「尬聊」はネットで知り合った面識のない相手とチャットでおしゃべりを始めたものの盛り上がらず、気まずい雰囲気になることを表現するのに生まれたネット用語の1つだった。そこから派生して、初めてのデートで会話が弾まないことなど、ネットからリアルの世界にまで発展してきた言葉である。

踊り狂う「いたたまれない」50・60代

「尬舞」は、「舞」という字で分かるように、「いたたまれないダンス」という意味。ダンスはダンスでも基本的にはダンスバトルのことを指すらしい。尬舞を躍る人たちの様子を映した掲載できる写真がなく残念なのだが、彼らの出で立ちからダンスそのもの、発する雰囲気まで、何から何まで見ていて確かに「いたたまれない」のだ。

ピンクや黄色など奇抜な色に染め、両サイドを剃り上げて弁髪風にしたヘアスタイル、系統的にはストリート系のはずなのに、70年代から80年代にかけての日本に出現し社会現象になった暴走族やタケノコ族のにおいをも感じさせ、それらのいずれをも2段階ぐらいダサくしたようなファッション。相手を小馬鹿にしたような、世の中を舐めきったような、怖い物なしといった表情。すべてが露悪趣味に溢れている。見ているのが「いたたまれない」し、見ているこちらが「気まずい」気持ちになる。日本で言うところの「イタい」に通じる部分もあるかもしれない。

「尬舞」の発祥の地は内陸の河南省鄭州の公園だ。その後、全国に広まっていくにつれ、ダンスを踊る人の年齢層も拡大していったようだが、中国のネット動画サイトで、発祥の地である鄭州で中心になって踊っている人等を観ると、中高年がほとんどであることに気付いた。

その後、検索大手「百度」のネット記事で「鄭州の尬舞チームで躍っているのは一体どんな人?」という記事を見つけ読んでみると、やはりそうだった。中心メンバーの年齢は50代半ばから70歳ジャストまで。文化大革命(1966~76年)の前後に学齢期だった文革世代の人々である。

「自由=好き勝手に振る舞う」

「尬舞」の流行を牽引する露悪趣味の文革世代が踊り狂う様を見ていて、やはり文革世代の上海人男性が話していたことを思い出した。彼は私よりも2つ年上の今年54歳だから、文革が終わった76年には中学1年生だった。中国有数の名門、上海復旦大学を卒業したエリートである。

その彼が、日本旅行から帰ってきたばかりだといって話してくれたのは「自由」の話だった。「日本もシンガポールも旅行で行ったけど、中国がやっぱりいいよ。だって自由だもんな」と言うのだ。

自由とは、言葉が不自由だったからつまらなかったという意味かと思ったが、しかしシンガポールなら中国語が通じるはず。すると彼は、「違う違う。日本は町も電車の中もレストランもどこもかしこも静かじゃないか。大声でしゃべると冷たい目で見られるだろ。それにシンガポールも日本も、道路にツバを吐いたらイヤな顔をされる。シンガポールはゴミを捨てたら罰金だぜ。その点、上海はツバは吐き放題、ゴミは捨て放題、大声でしゃべってもだれも文句を言わない。中国はまったく自由さ」

自由には責任が伴うものだとか、自由は不自由なものだとか言うような、自由についての議論をここでするのはやめておく。ここでは、中国の文革世代は、「自由」を「好き勝手に振る舞うこと」と捉えているようだということ、そして、この世代が踊る様を、若い世代が「いたたまれない」という思いで見ており、そこから「尬舞」という言葉が生まれたようだということを、ひとまず覚えておいてほしい。

祈り、巡礼できる自由

五体投地でラサへ巡礼の旅に向かう人(『ラサへの歩き方~祈りの2400km』。12月23日(土)からシアター・イメージフォーラムでロードショー公開。配給:ムヴィオラ)

ここでもう1つ、2017年に中国でヒットしたものを取り上げたい。『ラサへの歩き方 祈りの2400km』(原題『岡仁波斉』、カイラス山の中国名。監督・チャン・ヤン)という映画である。チベット自治区の小さな村に住む村人たちが、チベット仏教の聖地ラサ(拉薩)、そして聖山カイラス山へ向かう合計2400kmの道のりを、「五体投地」という礼拝をしながら1年をかけて徒歩で巡礼する様子を描いたロードムービーだ。ドキュメンタリーではなくフィクションだが、演じているのは実際にチベットの村に住む一般人だという。

「五体投地」とは、両手、両膝、額の「五体」を地面に投げ伏して祈りを捧げる、チベット仏教で最も丁寧な礼拝のスタイルのこと。主人公等らの住む村があるチベット自治区東端のマルカム県は標高が平均4300m、カイラス山は6656mと、日本では体験できない高地にある。歩くだけでも気が遠くなりそうなこの厳しい環境を、彼らは、尺取り虫のように体を投げ出す礼拝をしながら、徒歩で歩き通すのだ。参加しているのは幼い少女から妊婦、老人の3家族11人。撮影中、妊婦は本当に道中で出産し、伴走のトラクターの荷台に新生児を載せて巡礼を続ける。今年の6月に中国で公開されると、興収1億元(約17億円)、動員300万人(2017年10月現在)という、「芸術映画」のカテゴリーで過去最高の空前のヒットになった。

さて、言ってみれば、聖地に向かって老若男女がひたすら歩き続ける映画がなぜ、中国で大ヒットしたのか。

日本での配給元のムヴィオラによると、「中国に先駆けて2016年7月に世界で最初の劇場公開が行われた日本では、映画を観るだけで心を整えることができるという声が高まり」、約2万人を超えるスマッシュヒットになったとのことだ。

ただ、短からず上海に住み、少数民族や農村の人たちの生活や現状にほとんど関心を示さない都会の中国人のことを知っている私は、この映画が流行ったのは、生活に余裕のある富裕層や上位中間層が、「スローライフが好きな私」に酔いしれ、他人にもそれをアピールするために、いわばファッションとして観たというところなのではないか、と思っていた。

しかし今年の12月半ば、渋谷の試写室で初めて本作を観ている途中で、いささか考えが変わった。あり得ないような猛吹雪で息ができなくなっても、豪雨で道路が川のようになりおぼれそうになっても、対向車にぶつけられ伴走のトラクターが走れなくなっても、崖崩れの落石で足をケガしても、慌てず騒がず、しかし歩くことを止めない彼らの姿に、観客等は純粋に心を揺すぶられたのだろうと。1年もの巡礼の間、収入がなくなるのを承知で旅に出て、聖地ラサに着いた時点で持ち金がなくなると、旅をいったんやめ、現地で洗車や建築現場の肉体労働をして数カ月金を稼ぎ、金がたまるとまた、聖山カイラスに向かうという彼らの生き様に、心を動かされた。そこに、普遍的なものを感じたということなのだろうと思った。

一人っ子政策の犠牲者たちのやるせなさ

そして、試写の後にあった談話会に登壇した本作の字幕翻訳を務めた樋口裕子氏から興味深い話を聞いた。「最近訪れた上海で、どのような人たちが本作を観たのかと聞いて回ったら、30代の若者が中心だった」というのだ。そして、「30代の人たちというのは、企業の中で責任は重いし、立場的にも難しい位置にいて、とても疲れているらしい。そういう人たちがこの映画を観たそうだ」と。

この話を聞いて私は、いたたまれないという意味の「尬」という言葉が流行ったことにつながるものを感じた。

いまの中国の30代は、1979年に施行され2015年に廃止になった「一人っ子政策」の第1世代と言える世代だ。一人っ子政策が廃止されたのは、少子高齢化で老齢人口を支えることが困難になり始めたためである。子供のころは、双方の祖父母に両親合わせて「6つの財布を持つ」と言われた一人っ子世代だが、今に至って、1人で6人の老後を支えなければならない可能性があるという不安を抱えるようになった。そのような立場にある彼らは、仕事を簡単に辞めるわけにはいかない。樋口氏の言う「彼らはとても疲れている」というのは、仕事だけでなく、社会的な構造を背負わされたプレッシャーから来る疲れもあるのだと思う。

その都会の30代の彼らの目に、仕事を1年以上も休んで巡礼の旅に出るチベットの人たちの姿は、いかにも「自由」に映ったのではないか。ちなみに、チベット族など少数民族は、一人っ子政策の対象から除外されていた。

一方、都会に目を転じると、「自由」を「好き勝手に振る舞うこと」と解釈している50代、60代の大人たち、すなわち、一人っ子世代が支えなければならない中高年たちが、脳天気に「尬舞」に興じている。

「いたたまれない」を意味する「尬」という言葉の流行は、「オレたちは自分を犠牲にして、こんな大人たちを支えていかなければならないのか」という一人っ子世代のやるせなさや憤まんが爆発する前兆のように思える。その思いが高じて、2018年に、この世代が社会に牙を剥いても、何の不思議もない。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『2018年の韓国文政権が抱える「ヤバい火種」を元駐韓大使が指摘』(12/19ダイヤモンドオンライン 武藤正敏)について

12/22日経<政府、ベルギーにNATO日本代表部>

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24951390S7A221C1EAF000/

12/22日経<米、北朝鮮追加制裁案を配布 石油精製品の9割規制>

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24950870S7A221C1I00000/

12/22日経<米、対北朝鮮・対テロ結束に影響も 「首都認定」で非難決議 トランプ政権、指導力に傷>

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24974470S7A221C1FF8000/

12/22日経<賛成の日本、米の要請断る エルサレム非難決議>

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24960730S7A221C1000000/?nf=1

12/22日経<日本、中東との関係考慮 「エルサレム首都」撤回決議に賛成>

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24975080S7A221C1FF8000/

NATO日本代表部設置のニュースは、日本もNATOの一員になり、中国封じ込めで欧州にも協力して貰えるようにする第一歩でしょう。ロシアや中国は入れて貰えないでしょうから。国連でのエルサレム非難決議で日本が賛成に回っても良いように米国と充分に擦り合わせが行われたようです。それは当然で、目の前に北の脅威が差し迫っている訳ですから。トランプが「金だけ貰って米国に反対するのはケシカラン」という気持ちは分かります。モノを言うのであれば援助は断るべきです。中国や韓国のように日本から多大な援助を受けても反日に勤しむ国があり、本来であれば支援を断るべきかと。アホなのは日本政府でしょうけど。支援に精を出した日本の政治家を選んだ国民の責任です。たまにはトランプのように強く出た方が良いと思います。特に国連に対しては、いつまでもATMの役割を果たすだけでは国益を損ねます。外交は脅すことも必要です。大人ぶるのは勇気のない証拠、外務省はもっと真剣に国益を考えて交渉してほしい。

12/23中国観察<金正恩羞辱習近平 美製定攻朝計劃 黨媒曝天價金援結下友誼——英媒:以空襲敘利亞為藍本 美製定攻朝計劃 阿波羅網=金正恩は習近平に恥をかかせ、米国は北の攻撃計画を制定 党のメデイアは北との関係は金で結ばれた友誼と明らかにした 英国メデイアはシリア攻撃を手本として米国は北の攻撃計画を制定と アポロネット>『中朝関係は血で結ばれた友誼と言われるが、1990年からの15年間で中国が北を財政援助したのは15億~37.5億$にも上り、金で結ばれた友誼であった。マクマスター補佐官は「米国が与えている印象としては、北が協議を拒んでいるので、米国は軍事行動について真剣に議論している」と。ジョージ・W・ブッシュ時代の国家安全委員会国防戦略局長のケリーは「私が知っている所では、北が核放棄しない限り、米国は北の核の破壊の為の先制攻撃をするだろう。ホワイトハウスは放棄か攻撃かの二者択一を迫られている」と。シリア攻撃で、米軍の59発の巡航ミサイルは、シリア空軍基地の総ての戦闘機が飛べないように建物・設備を破壊した。北への攻撃はこれを手本とするだろう。日本の朝日新聞に依れば、専門家の意見として、「北は生化学兵器を開発、世界がパンデミックに襲われるかもしれない。もし、北がICBMに炭疽菌を搭載して試射したり、生物製剤を攻撃用の武器に使うのであれば、その破壊性は核以上に恐ろしいことになる」と。』

http://chinaexaminer.bayvoice.net/b5/trend/2017/12/22/384665.htm%E9%87%91%E6%AD%A3%E6%81%A9%E7%BE%9E%E8%BE%B1%E7%BF%92%E8%BF%91%E5%B9%B3-%E7%BE%8E%E8%A3%BD%E5%AE%9A%E6%94%BB%E6%9C%9D%E8%A8%88%E5%8A%83-%E9%BB%A8%E5%AA%92%E6%9B%9D%E5%A4%A9%E5%83%B9%E9%87%91%E6%8F%B4.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook

武藤氏の記事に依れば、文大統領の支持率が一時84%にも上ったとのこと。プーチン並の数字です。でも左翼政権ですから操作した可能性もあります。彼の内政・外交を見ればそんな高い数字が出るとは思えませんが、もし真実の数字だとすると韓国民のレベルを表していることになるでしょう。妄想だけで生きている民族ですから。自分に都合の悪いことは総て脳内で自分の理想に変換し、あるべき姿を主張するだけ、そのためには強請り・タカリも厭わない見下げ果てた民族です。ですから何世紀も中国の属国であったし、今でも中国から見下された扱いを受けています。蝙蝠外交を続けてきたせいか、米国からも「信頼できない友人」との評価も貰いました。自分達が孤立しているのに気付かず、「日本の孤立」を言い立てるのですからご気楽な人達です。戦争と経済崩壊の危機は目前なのに。徳政令を出したら、経済がガタガタになるのが左翼政権は見えていません。5ケ年計画もうまく行くはずがありません。朝鮮日報に依れば青年の実質失業率は23.6%とのこと、家計債務もGDPの93%(1346兆ウォン、因みに日本の家計債務はGDPの58.4%)と借金で消費を支えている構図です。徳政令を敷いたので金融機関も貸し出しには慎重な姿勢を取るでしょう。経済がシュリンクすることが考えられます。中国共産党と同じく、強制融資させれば、外資は逃げ出すでしょう。通貨価値が下がるだけですから。

https://snjpn.net/archives/26840

http://japanese.joins.com/article/074/232074.html

日本に擦り寄ってこようとも、世界に慰安婦像や強制徴用像を建てようとしている国を助ける道理はありません。「慰安婦合意の着実な履行」を求めて門前払いすれば良いでしょう。中国との通貨スワップも口約束だけのようですし、地獄に落ちるしかないのでは。読売の記事に依れば「日韓関係は今後良くなる」と考えるのは、日本人は5%に対し、韓国人は56%とのこと。こんな数字で韓国に宥和政策を採れば次の選挙でボロ負けするでしょうから、政府は韓国を助けることはしないでしょう。朝鮮有事の際の邦人救出の打合せもしないような国ですから。

http://news.livedoor.com/article/detail/13230583/

記事

Photo:代表撮影/ロイター/アフロ

歴代最高の支持率を得た“人権派”の大統領

11月10日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の就任6ヵ月を迎えるに当たり、韓国「ギャロップ」が実施した世論調査によれば、文大統領のこれまでの職務遂行を肯定的に評価する人は74%であった。大統領選挙での得票率が41%であったことを考えれば、6ヵ月後としては驚異的な数字である。6月2日には歴代最高の84%の支持を得ていた。

韓国では最近、いわゆる“人権派弁護士”が選挙で当選するケースが目立つ。故盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長、そして文大統領である。

韓国は、一部の特権層とエリートがいい生活を送っているのを尻目に、多くの庶民は努力しても報われない社会になっている。「七放世代」と言われ、「就職」「恋愛」「結婚」「出産」「マイホーム」「夢」「人間関係」をあきらめた若者や、生活苦にあえぐ高齢者世帯が多い。そのため、「庶民の生活を守る」「貧困層の生活を改善する」と訴える、人権派弁護士たちに支持が集まるのである。

文大統領も、そうした庶民の期待を背負い、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)の保守政権の政策を「積弊(せきへい)」と糾弾して当選した。北朝鮮への融和政策を懸念する保守層は、彼以外に投票したが、票が割れて経済や福祉政策に重点を置いていた文大統領が当選したのだ。

文大統領は、「コミュニケーションや感性を重視した、型にはまらない統治スタイルを導入、「不通(コミュニケーション不足)」と「権威」に象徴された朴前大統領との違いを印象づけ、朴前大統領の親友で得体のしれない崔順実(チェ・スンシル)の国政介入に憤った民意をなだめ、国政を落ち着かせた。

こうした「リーダーシップが評価され」(聯合通信)、70%を超える支持率を維持している。しかし、文大統領が国民の期待する最低賃金引き上げなどの経済政策や、焦眉の急となっている北朝鮮の核ミサイル問題への対応、そして日本人が期待する、日韓関係の改善に成果を上げているわけではない。

文政権を取り巻く課題は、2018年に、より困難な問題として先鋭化するであろう。その時、文政権はどのように評価されるのか。韓国にとって困難な状況を克服できるのか、2018年の韓国を展望してみたい。

5ヵ年計画の柱は経済と南北関係

文大統領は、7月19日、「国政運営5ヵ年計画」を発表した。その柱は、経済と南北関係である。

経済については、所得格差の広がりへの対応に注力し、20年に最低賃金1万ウォンの実現を目指すこと、対北朝鮮政策では「2020年の核放棄合意」を目標に、非核化と平和体制構築に向けたロードマップを17年中に策定することの二本柱である。

文政権の政策理念は、「庶民や弱者中心の政策」であり、その核心は「所得主導の成長論」に基づいた経済政策と福祉政策である。

5月12日、文大統領は仁川国際空港を訪れ、公団で働く約1万人の職員を全員、正規職に転換するよう指示した。また、任期内に81万人の公共部門雇用を新たに創り出すことで失業問題を解決すると発表、民間企業にも新入社員の採用拡大や非正規社員の正規社員への転換を強く注文した。さらに、現在6740ウォンの最低賃金を、2020年までに1万ウォンへと54%引き上げる(18年は7530ウォンで16.4%増)と公約した。

さらに福祉面では、MRI検査やロボット手術など、これまで健康保険の適用外であった3800余りの適用外項目を適用項目に転換する「文在寅ケア」を2022年までに設ける方針だという。

また、月20万ウォンの高齢者年金を30万ウォンにひきあげ、月10万ウォンの児童手当も新設する。政府は、これらの経済政策や福祉政策に約120兆ウォン必要だとするが、当面一般国民を対象にした税金の引き上げは行わない方針である。代わりに所得税や法人税の最高税率を引き上げ、「超高所得者や超大手企業の所得を再分配する」という。しかし、何といってもその本質はバラマキである。

こうした文政権の政策に対し、韓国企業は表立って反旗を翻すことはできない。財界も表向きは文政権に協力する姿勢を示しており、文大統領の訪米には52社が同行し、5年間で128億ドルの対米投資を行うことにした。大統領に公然と反抗すれば、サムソンの李在鎔(イ・ジェヨン)副会長のように逮捕拘禁されかねないからである。

しかし、企業の国外脱出の動きは始まっている。韓国の老舗紡績企業は、工場の一部をベトナムに移転することとした。最低賃金上昇によるコスト増に耐える余力がなくなり、韓国から出ていくのである。コンビニチェーンも次々に無人店舗を導入している。無人化の流れは書店、郵便局、カフェ、ガソリンスタンドにも広がっている。

OECDは、11月28日発表した「世界経済見通し報告書」で、韓国の成長見通しを3.2%と0.6%上方修正している。これは半導体業界の活況による輸出と投資の増加によるものである。しかし、「最低賃金引き上げに伴う賃金費用増加、法人税率引き上げに伴う投資鈍化、地政学的緊張は下方リスク」と指摘し、急速な賃金引き上げは経済成長を脅かす要因になりかねないと警告を発している。

また、韓国最大のシンクタンクの一つKDI国際政策大学院招聘教授の金大棋(キム・テギ)氏は、「韓国政府の債務はまだ健全な水準だが、過剰な家計債務、日常化する災害、統一費用まで考えた場合、余力は小さい。先進国の例が示すように、福祉拡大が始まると、負債はコントロールできずに増える。国家の債務危機は通貨危機で経験した企業債務の次元と異なる」と危機感をあらわにしている。

文在寅大統領の経済政策は、労働者に寄り添うものであり、短期的には“人気取り”になるかもしれないが、より長い目で見ると雇用の減少、企業の競争力の低下、政府債務の増大となって跳ね返り、経済の停滞を招くことになるであろう。それでも経済が好調なうちはまだいい。しかし、韓国経済は財閥依存、半導体依存といったすそ野の狭い経済であり、いずれ破たんへの道を進みかねないのが懸念材料である。

北朝鮮問題で主導権を握ると言いつつ右往左往

外交面では、周辺の4強(日本・米国・中国・ロシア)との関係で、バランスを取りつつ、朝鮮半島問題で主導権を握ることを政策の基本にしている。ただ、肝心の北朝鮮との関係では、北朝鮮の挑発行為のために融和政策が思うように進んでおらず、また、THAAD配備問題では米中の板挟みにあっている。

北朝鮮は、今年9月に昨年の核実験の13~14倍に当たる規模の6回目の核実験を行った他、11月28日にも米本土全域をカバーすると言われる新型のICBMを発射した。これまで文大統領は、北朝鮮が「ICBMに核弾頭を搭載したときがレッドラインだ」と述べていた。だが、今回のICBMは、大気圏への再突入や終末段階での精密な誘導、弾頭の正常な作動などの能力を立証できなかったとして、あくまで「ICBM級」であってレッドラインは越えていないと主張している。

文大統領は、制裁などの圧力は対話に導くためのもので、重点を置いているのは「対話」だとしており、軍事当局者会談と赤十字会談を提案したが、いずれも北朝鮮に拒否された。また、北朝鮮への800万ドルの人道支援は宙に浮き、2018年の平昌オリンピックへの北朝鮮選手団の参加も見通しが立っていない。韓国にとって北朝鮮問題は安保問題であるが、平昌オリンピックの成功を重視し、安保問題は副次的なものとなっているようである。

THAAD問題では、北朝鮮の核実験の後、追加配備を認めた。しかし、トランプ大統領のアジア歴訪の直前にTHAAD問題で中国に歩み寄り、中韓関係の改善に合意。その際、(1)米国のミサイル防衛システムに加わらない、(2)日米韓軍事同盟に発展させない、(3)これ以上THAADの追加配備はしない、という3つのノーを表明した。北朝鮮問題の解決で最も重要な役割を果たしてほしい中国訪問を前に、トランプ大統領は日米韓の結束を固めようとしたが、はしごを外された形である。

文大統領の中国国賓訪問では、中国はこれを一歩進めて、両国首脳間の合意にする、あるいはこの問題を適切に処理すると称して、撤去するなどの追加措置を求めたようである。さすがに米国との関係で、韓国がそこまで応じられないとしたためか、会談終了後の共同声明も共同記者会見もなく、全体として国賓と呼ぶには冷たい接遇であったようである。

文大統領がすべきことは、北朝鮮との関係がさらに緊迫してきた時に、トランプ大統領と腹を割って相談できる関係になることであるが、ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙は、文大統領を称して「信頼できない友人」と述べている。南北首脳会談を行った、10年前の盧武鉉大統領の頃の北朝鮮ではないことが分かっていないのであろう。文大統領は理念先行で、今の韓国にとって何が緊要なのか理解していないと思えて仕方がない。

歴史問題を再燃させたままで日韓関係は改善しない

光復節の演説で文大統領は、日韓関係について、過去の歴史が未来志向的な発展の足を引っ張るのは好ましくないとして、経済や安保、そして文化交流を、歴史問題と切り離して前進させようとしている。

しかし、その一方でNGOや政治団体が、慰安婦の少女像を各地に建立し、日本を攻撃することを黙認している。それどころか、慰安婦メモリアルデーの記念日指定や、慰安婦資料のユネスコ世界記憶遺産登録を支援するなど協力している。これは明らかに15年12月の日韓合意違反で、徴用工問題でも個人請求権は消滅したとする過去の両国政府の共通認識をひっくり返している。

また、トランプ大統領を主賓とする公式晩さん会に元慰安婦を招き、「独島エビ」の料理を出している。韓国はこれまでもTPOをわきまえない行動をすることがあったが、トランプ大統領の訪韓によって、日米韓の連携を強化しようとしているに時に、日本との政治的対立を取り上げようとの姿勢に、多くの日本人は愛想を尽かせてしまった。

12月19日、20日と康京和外相が訪日する。これは近々発表される慰安婦問題に関する合意過程の検証を行ったタスクフォースの結果発表前に、日本の反応を探るためと言われている。同タスクフォースは委員長がハンギョレ新聞の元編集長で、慰安親派と言われており、合意に厳しい検証結果となると予想される。ただ、その時合意全体を反故にしてしまうと日本との対立が生まれることから、事前に日本の感触を探ろうというものである。しかし、一旦検証など始めれば収拾が付かなくなる。既に悪い方向に走り始めているのである。

文大統領は、いまだに人権派弁護士の感覚が抜け切れていないようである。また、閣僚人事も慰安婦関連も人権派関係者で占められており、日韓関係をバランス感覚を持って進めようという体制になっていない。これでは、いかに表面上“ツートラック”と言ってもうまくいくはずがない。

大きな岐路に立たされる2018年の韓国・文政権

このように、文政権の主要政策はいずれも現実を理解せず、左派政権にありがちなイデオロギーに基づく思考で打ち出されている。それでは到底うまくいくとは思えず、齟齬を来たすたびに十分な検討も経ず、朝令暮改されている。ただ、今までそれが露見してこなかったのは、朴政権の独善的、権威的な手法よりは“まし”だと思われてきたからであろう。

来年の文政権は、目玉である経済・福祉政策がどのような結果となるかによって、その支持率が左右されると見られる。それを決めるのは、経済成長率がどうなるか、雇用、最低賃金の問題が改善するかが鍵である。

今年の経済成長を支えた半導体部門は、大勢として来年くらいまでは好況が続くと見られているが、モルガンスタンレーは「サムスン電子のこれまでの業績を支えてきたスマートフォン市場は停滞期に入り、これ以上営業利益を期待するのは難しい」との警告を発している。

韓国の経済を支える半導体が不況入りすれば、韓国経済は停滞期に入り、それでなくても最低賃金、法人税の引き上げで苦しむ韓国経済からは雇用が大幅に失われる事態すらあり得る。その場合、国民の文政権に対する失望は限りなく大きなものとなるだろう。

南北朝鮮関係についても、来年には北朝鮮の核とICBMの完成が予想され、北朝鮮に対する軍事攻撃か、妥協かが迫られる時期がくるだろう。その時、文大統領がこれまでのような曖昧な姿勢、行き当たりばったりな対応に終始するならば、北朝鮮について主導権を握るどころか、「コリアパッシング」と言われる状況になるかもしれない。

それ以前に、北朝鮮との緊張関係の中で、平昌オリンピックがどのような形で開かれるのか。オリンピックを土台に北朝鮮と関係を進めることが、韓国にそもそもできるのか、重要な分かれ目がすぐそこまできている。

最後に、日韓関係については、大統領が前向きに進めようとしない限り好転しないのがこれまでの歴史だ。前述のとおり、慰安婦合意の過程に関する検証は、メンバーの構成からして公平な結論が出るとは考えづらい。そういう意味で来年は、歴史問題でさらに難しい状況となることを覚悟しておくべきだ。ただ、北朝鮮との関係がさらに緊張してくれば、日韓関係はどっちつかずの現状維持が続くかもしれない。

(元在韓国特命全権大使 武藤正敏)

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『中国で習近平政権に最も不満を持っているのは誰か』(12/19ダイヤモンドオンライン 加藤嘉一)について

12/19facebook投稿

吴家曦

二十世纪最臭名昭著的“低端人口”=20世紀に最も悪名高い”低級人口”である

上の図で、東條が500万も殺したとなっていますが、虐殺した事実はありません。中国人の誤解でしょう。「誰を殺したの?」というのを聞いてみたい。中国とは戦争で兵士は殺しましたが、虐殺はありません。この図の作成者は意図的に誤解するよう誘導しているのでは。

12/20日経 The economist<中国の「シャープパワー」に対抗せよ>で、「シャープパワーは、独裁国家が外国に自国の方針をのませようと強引な手段に出たり、海外の世論を操作したりするためのものだ。」としています。正しく、中国のやっていることでしょう。「欧米の開かれた民主主義諸国が中国のシャープパワーを無視することは、西側にとって危険を意味する。

まず、具体的な対抗措置を講じる必要がある。中国に負けない防諜(ぼうちょう)活動の展開と法の整備、そして中国に影響されない独立したメディアの確保が、中国による手の込んだ介入を阻止する最善策につながる。この3つを実行、実現するにはいずれも、中国語が話せて、中国の政界と産業界のつながりを把握している人材が必要だ。中国共産党は、表現の自由や開かれた議論、市民が独自の思想を持つことを抑えることで支配を固めている。だが中国のシャープパワーの手口を白日の下にさらし、中国にこびへつらう者を糾弾するだけでも、その威力を大いに鈍らせることになる。」「中国が将来友好的になるだろうと期待して、今の行為を無視していては次の一撃を食らうことになるだけだ。欧米は自分たちの理念を守り、可能なら各国で協力しあい、それが難しければ別々に行動するしかない。ツキディデスのわなを回避するための第一歩は、欧米が自らの価値観を生かして、中国のシャープパワーを鈍らせることだ。」と。やっと欧州でも中国の危険性に覚醒したかと感じました。遅きに失した感はありますが良いことです。毛沢東時代は「批林批孔」と言っていたり、魯迅の『礼教(儒教体制)は「人を吃らう」』と言った(陳舜臣の『日本人と中国人 “同文同種”と思いこむ危険』の中のP.27)にも拘らず、「孔子学院」を世界に輸出、今の中国人が一番儒教に疎いくせにです。何せ漢詩ですら日本人の方が知っているくらいですから。中国と言うのは本当にご都合主義です。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24825820Z11C17A2TCR000/

12/19アノニマスポスト<中国、麻薬犯罪者数十人をスタジアムで公開裁判 裁判後すぐに死刑執行~ネットの反応「パヨクだんまりw」「国連人権委員会はこれにはダンマリ?」>国連の人権委員会は左翼国家や独裁国家で構成されていると見た方が良いでしょう。一番人権意識のない連中ですから、彼らを有難がる必要はありません。国連組織に日米とも金を出さないようにし、中国の人民元でやればよいでしょう。$とRMBを交換できなくして。まあ、公開処刑して、市民に恐怖を覚えさせるなんてのは、日本でも封建時代まで、中国は近代化されていない証でしょう。

https://anonymous-post.com/archives/17567

12/22中国観察<曝北京將金正恩此舉視為羞辱 習近平正與美國商量一件事>12/21サウスチャイナモーニングポストによれば『前朝鮮担当外交官が言うには「金正恩が宋濤と会わなかったのは中国に対する侮辱であり、中朝関係は後退した。中国は朝鮮に核を持たせることは永遠にない。中国の国家の安全の問題で妥協の余地はない」と』。金一族を助けて来たのは愚かにも後顧の憂いとなった。習近平は真剣に朝鮮半島で戦争が起きると考えている。韓国の《中央日報》は、「米国と比べ文在寅政府は北の核を見て見ぬ振り、平昌オリンピックのことだけ、中韓首脳会談でも理屈も自信もなく、韓国民がこのような態度を見たら恥ずかしくなるのを禁じ得ない。韓国政府は韓国憲法で規定している真の価値は何か、守るべき価値のものをすべきであるという事をしっかり念じることである」と。韓国憲法はその前文に「上海臨時政府」の存在を謳っていますが、所謂慰安婦同様、嘘っぱちです。存在したのは事実ですが、朝鮮半島の亡命政権とは国際的に認知されませんでした。単なるテロリストの集団と思われていた筈です。これを憲法に書き込むのですから、「ウリナラ」発想としか思えません。慰安婦だってその存在は否定しませんが、強制性はなかったです。韓国は立証責任があるはずです。似非被害者の証言だけでなく、“factual evidence”“beyond reasonable doubt”が近代刑事訴訟法の前提となります。まあ、親日派の財産を没収する法律を弁護士だった廬武鉉が制定してしまうのですから、近代法に則って政策立案できる法治国家とは言えないでしょう。

http://chinaexaminer.bayvoice.net/b5/trend/2017/12/22/384521.htm%E6%9B%9D%E5%8C%97%E4%BA%AC%E5%B0%87%E9%87%91%E6%AD%A3%E6%81%A9%E6%AD%A4%E8%88%89%E8%A6%96%E7%82%BA%E7%BE%9E%E8%BE%B1-%E7%BF%92%E8%BF%91%E5%B9%B3%E6%AD%A3%E8%88%87%E7%BE%8E%E5%9C%8B%E5%95%86%E9%87%8F.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook

プーチンがIOC決定を簡単に飲んだのは、戦争で平昌オリンピックが潰れるのを知っているからだという説もあります。そうだとすれば、哀れなのは何も気づかないで一人踊りを演じている文在寅と韓国民でしょう。でも、彼らには魯迅の言う精神勝利法があり、被害をどんなに大きく被ろうとも、悪いのは米国と日本のせいにすれば良いのですから。

加藤氏の記事では、何故国家(党)が総て決めなければならないのかという本源的な問題について加藤氏はパスしています。共産主義のやり方が既に善として脳内に組み込まれているからでしょう。富坂聰同様、北京大学を出ると思考の枠も狭まるのでしょう。中共の反体制派知識人への弾圧について彼らが書いているのを目にしたことはありません。まあ、あんまり好きでないので、気にかけていないせいかもしれませんが。福島香織氏、山田泰司氏、北村豊氏と目線が違い過ぎます。

記事

習近平政権を憎んでいるのは誰か

習近平政権が発足してから約5年が経った。中国政治・経済社会の安定性や発展性という観点から、一つ重要だと思われる問いを投げかけてみたい。

「誰が最も現状に不満を持ち、不安を感じ、政権を憎んですらいるのか?」――。

いろんな角度や見方があるだろうし、当事者たちに直接聞いてみれば「私たちが一番辛くて大変だ」という自意識を露わにするかもしれない。

例えば、経済情勢が低迷している遼寧省瀋陽のタクシー運転手に聞けばそう言うだろう。北京で言論活動をするリベラル派知識人に聞けばそう言うだろう。深センで起業したばかりで右も左も分からない大学卒業生に聞けばそう言うだろう。甘粛省奥地の農民たちに聞けばそう言うだろう。広東省や浙江省で資金繰りに苦しむ商人たちに聞けばそう言うだろう。大学受験を目前に控えた高校生、およびその両親に聞けばそう言うだろう。自らの事業を通じて大金持ちになり、有名にもなり、世論や権力から目をつけられている実業家たちに聞けばそう言うだろう……。

農民、中産階級、富裕層、研究者、ビジネスマン、若者…それぞれにそれぞれの不満や不安が蔓延しているのが現状であると思う。

しかしながら、習近平政権の特徴、あるいは前政権との比較という観点から、私から見て、これらの人々とは比較にならないほど現状に怯え、前途を悩み、政権を憎んでいる集団が官僚たちである(ここでいう“官僚”と軍人は重なる部分もあるが、本文で言及する官僚は党・政・軍で言うところの党・政に限ることとする。人民解放軍に対する“反腐敗闘争”も大々的に展開されており、中央軍事委員会副主席2人を含めた大物軍人たちも実際に“落馬”している。しかし、私が見る限り、軍隊の中ではこれまで腐敗しきった組織構造に不満を持ってきた関係者もかなり多く、習近平による反腐敗を歓迎・支持する声もかなり聞こえてくる)。

“反腐敗闘争”はこれからも“安定的”に展開される

最大の原因は本連載でも度々扱ってきた“反腐敗闘争”であり、闘争はこれからの5年も断続的かつ“安定的”に展開される見込みである。

ただ“反腐敗闘争”だけではない。少なくない官僚、とりわけ本当に潔白で、闘争の対象にならない官僚にとって、より厄介なのが“八項規定”“四風”と称される、習近平政権を象徴するルールである。

前者は2012年12月4日、中央政治局の会議で「仕事のスタイル(中国語で“作風”)を改善し、人々と密接に関わるための」規定として採択され、後者は2013年4月28日、習近平が全国から集った模範的労働者たちとの座談会で提起した概念である。

それぞれ具体的に見ていきたい。

まず“八項規定”であるが、八項をそれぞれ要約すると以下のようになる。

(1)現場に赴いて真実の状況を理解すること。過度な場作りや形式主義を避け、高級車で接待せず、同行者の数を減らし、接待を質素にし、誇張したスローガンを避け、宴会もしてはならない。 (2)会議を簡略化し、中央の名義で開く全国規模の会議や活動を厳格に制限し、中央が批准していない記念・表彰・博覧などの場には出席しないこと。会議では話を短くし、空疎で役人的な話をしないこと。 (3)報告や文書作成のプロセスを簡略化すること。送らなくても差し支えない文書や報告は一律に送らないこと。 (4)海外出張を規範化すること。外交の大局と需要から合理的に手配をし、出張同行者の人数を厳格に制限し、規定に従って交通手段を選ぶこと。現地到着後、中国企業・華僑華人・留学生代表などの空港出迎えは原則手配しないこと。 (5)人民とのつながりを大事にする原則を堅持すること。交通規制を減らし、一般的な状況下で道路封鎖や建物貸し切りをしてはならない。 (6)中央政治局の同志が出席する会議や活動に関して仕事の需要、ニュースの価値、社会的効果という観点から報道するかどうかどうかを決定し、報道の数量、字数、時間を圧縮すること。 (7)中央が統一に手配したものを除いて、個人的に著作や談話単行本を出版してはならず、祝賀の手紙や電報も送ってはならない。 (8)節約を徹底すること。清廉な政治に関する規定を厳格に守り、住居・乗用車といった仕事や生活の待遇規定を厳格に履行すること。

“四風”とは形式主義、官僚主義、享楽主義、贅沢主義の4つを指す。

“従厳治党”を終始強調する習近平政権において、“八項規定”と“四風”は同時に語られることが多く、前者を遵守しない官僚は後者に陥っていると見なされ、注意警告、場合によっては処分・処罰の対象になり得る。

中央規律検査委員会・監察部の統計によれば、今年1~10月、「八項規定の精神に違反した」問題案件が3万7824件、案件に関わり、当局の捜査の対象になった人数が5万3195人、うち“党紀処分”(警告、厳重警告、党内職務免職、留党監察、党籍解除の5種)の対象となった人数が3万7289人いる。

参考までに、今年1~9月、“反腐敗闘争”で捜査立件された数は38.3万件、処分された人数が33.8万人(地方省長・中央閣僚級幹部56人、局長級幹部2300人強、課長級幹部1.4万人、係長級幹部5.1万人、一般幹部6.3万人、農村・起業などその他人員20.8万人)となっている。

19回党大会閉幕後に新華社が配信した記事

19回党大会が閉幕し、師走が訪れてまもなく、新華社が《形式主義、官僚主義の新たな状況は警戒に値する》と題した評論記事を配信した。同記事は“新たな状況”を次のように修飾している。

「党の18回大会以降、中央が八項規定を制定・執行して以来、全党が上から下まで“四風”を改善する作業は大きな成果を得た。しかし、形式主義や官僚主義は一定程度において依然として存在する。例えば、一部幹部は視察と題して形式主義に陥り、現場視察が“ショー”になっている;一部役所において門は入りやすく、良い顔をしているが、手続きはし難かったりする;一部地方は指導者が視える範囲内でのプロジェクトを重点的に打ち出し、人民が不満なことは恐れないくせに、指導者の注意を引かないことを恐れる;一部地域の指導者は責任転嫁に熱心なようで、責任の履行が転嫁へと化している;一部幹部は言っていることとやっていることが異なり、表と裏の顔が全くことなる」(一部省略あり)

この評論記事が配信されて間もなく、習近平が同記事を引き合いに出して指示を出した。

「この文章が反映する状況は、見かけは新たな状況であるが、実際には古い問題である。それは“四風”という問題は頑固性と反復性を内包しているということである。“四風”の改善プロセスを止めてはならない、仕事スタイルの建設は永遠に道中にあるのだ」と全党員に警告を鳴らした。

19回党大会が閉幕して約1ヵ月が経った時期にもう一度党内を“シメる”ために、党中央が事前に計画をした上で新華社に同記事を流させ、それを受けて習近平が指示を出したものと推測される。

12月11日、新華社が配信した“習近平が《形式主義、官僚主義の新たな状況は警戒に値する》一文を受けて指示を出した”と題した文章が広範にプロパガンダされた。

習近平第2次政権として、引き続き“八項規定”の遵守と“四風”の防止と改善を全国各地・各部署・各階級・各官僚に徹底的に要求し、それができなければ容赦なく処分するという立ち位置・考え方を露わにした動きであると解釈することができる。

政権の“反腐敗”の流れのメリットとデメリット

基本的には第1次政権の流れを継承する動きであると言えるが、本文の最後に、この動きのメリットとデメリットをそれぞれ考えてみたい。

メリットは党中央の全国各地の状況、各機関の政策、各官僚の行動に対するチェック&バランスが徹底される点であろう。上記の“八項規定”と“四風”の具体的内容・項目は日本人の我々からみても基本的に“良いもの”であり、規定の遵守や四風の防止を含め、反対する理由はないように思われる

チェック&バランス機能が制度的に、透明性を確保する形で徹底されることにより、人民の政権への信頼度が向上し、良い政策が良い形で策定・履行・評価されることは昨今の中国社会の発展にとってポジティブであると同時に不可欠なプロセスであると言えるだろう。

一方、デメリットは官僚が萎縮してしまうことであろう。“反腐敗闘争”に加えて、“八項規定”や“四風”は官僚たちに清廉であると同時に、社会人として、人間として、共産党員として、公僕として“しっかりしている”ことを強く求める。地元の経済成長のためにプロジェクトを起こそうとすれば腐敗に引っかかるかを危惧し、かといって「ノーアクション・ノーリスク」という“仕事のスタイル”は、それはそれで処分の対象となってしまう。

本連載でも扱ったことのある“二重の恐怖政治”に全国の官僚は引き続き見舞われるであろう。

12月8日、中央政治局は会議を開き、2018年経済政策3つの重点として「金融リスクの防止」、「脱貧困の推進」、「環境汚染の改善」を挙げた。

これから実施される年に一度の中央経済工作会議でも今年度の経済情勢が総括され、来年度の経済政策が審議される。党中央において政策議論・審議が忌憚なく行われることは重要であるが、それ以上に重要なのが、議論・審議された政策が着実に、ダイナミックに実行されるための実働部隊、および同部隊が思い切って、やりがいを持って取り組める環境であり、プラットフォームである。

とりわけ中国政治において、経済・地方官僚が一定のインセンティブを持って動かない限り、経済成長や構造改革に陰りが生じるのは必至である。その意味で、“二重の恐怖政治”というジレンマは、習近平第2次政権が求める“成長と改革”にとって最大の不安要素の一つであるというのが私の見立てである。

(国際コラムニスト 加藤嘉一)

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『中国と米国の「一方的制裁」の応酬という悪夢 中国の対日「微笑み外交」はその裏返し』(12/19日経ビジネスオンライン 細川昌彦)について

11/18中国観察<團中央反擊高級黑習近平?習雙管齊下 封基地斷經濟 阿波羅網>一部抜粋して、要約します。「何清漣は李克強が首相として国務院にいたときに彼の部下は皆温家宝の手のもので、自ら共青団中央から引き抜き、傍に置こうとしなかった。周強、胡春華、陸昊等は団派の幹部であるが、「逃げ足が速く、根を深く張ることはない」と北京日報に評価され、下々の気持ちが分かる訓練は積んでおらず、中国青年報は、「団派は自己弁護の陣地でしかない」と論評した。共青団は中共の人材供給の基地であったが、当時の制度によるものである。団中央は団幹部の面倒は中央から地方に転任するまでで、関係は終了してしまう。彼らが出世したいと思っても後ろ盾が必要で、新たな権力争奪戦に挑まないと。これらの人は一般的に団中央と利益を同じくする関係にはない。何清漣は李克強、李源潮、令計画と胡錦濤の関係を「職に任じても、団中央の役人として共通の利益は見いだせず、団派の利益を取ろうとするリーダーになろうともせず、互いに助け合うつもりもなく、それでもって政治党派と言われるのは無理があるのでは」と。

何清漣は本質をついて言う、「習は共青団を遠巻きにしておくつもり、それは団派にとって打撃となる。中共の前の組織の路線を変えるのは言うに及ばず、共青団が長期に亘り党と政府に人材を送り込んできた使命を終えることを意味する。今後は中共の一つの「群衆組織」になるだけ。

何清漣は「習がこのように変えて行くのは時勢による。一つは誰を中共のリーダー層につけるのかを決めるのに便利、二つ目は乱世を治めるには能吏や練達の官吏が必要だが、習はこの点で、普通の能力しか持ち合わせない共青団官吏に不満を持っている。

學者何清漣2016年8月曾在美國之音撰文認為,李克強的國務院班底中,幹員幾乎就是溫家寶時期的主力,沒見他將團中央出身的官員提拔為身邊親信。2015年8月10日周強、胡春華、陸昊等“團派幹將”被《北京日報》點名修理,說他們“爬得快,根不深”,缺少基層歷練,這些人既不能利用自己擔任方面大員的媒體反駁,也不能利用《中國青年報》這一“團派輿論陣地”為自己辯護。

文章指,共青團系統一度成為中共培養接班人的基地,是當時的制度安排。團中央對團幹部的關照提拔,往往在他們從團中央轉任地方職務之後就結束了,他們今後再想晉陞,則需要重投靠山,進入新一輪權力博弈。這些人一般也不再與團中央保持利益紐帶關係。

何清漣還從李克強、李源潮、令計劃之間與胡錦濤的實際關係說明,“任職於共青團中央的官員之間既無共同的利益紐帶,也無一個願意維繫幫派利益的領袖,更無互為奧援的願望,將其稱之為政治幫派,實在有點勉強。”

何清漣認為,就本質而言,習近平將共青團邊緣化,與其說是要打擊所謂“團派”,還不如說他要改變中共之前的組織路線,結束共青團長期以來為各級中共黨委及政府輸送人才的政治使命,今後只作為中共一個“群眾組織”而存在。

她表示,習近平做出這種改變,主要是格於時勢。一是方便中央高層留誰不留誰的需要;二是治理亂世需要能吏、幹吏,習近平對能力平庸的共青團系官員必然產生不滿。

來源:阿波羅網林億綜合報道 」

何清漣は習を応援しているのかどうか分からない発言ぶりです。「権銭交易」を日本人に紹介したのは彼女かと。腐敗を許さないという習の姿勢を買っているのかも。でも、劉暁波の件や銅鑼湾事件、人権派弁護士拘束事件に象徴されるように、中国に政府を批判する「言論の自由」は露ほどもありません。日本の人権派弁護士とは大違いです。日本の人権派弁護士は中共の手先となって、国連を舞台に日本の弱体化を図ろうとしています。同じく中共の手先の朝日新聞と連動して慰安婦騒動を起こさせ、国連の場で日本を貶める活動をしています。日本国籍を剥奪した方が良いでしょう。

細川氏の記事で、普通に考えれば、覇権は経済力のみで完成されるものでなく、軍事力によって定まるものです。中国がパクスアメリカーナからパクスシニカに変えるのを目指して動いていることに、日本のエリート達は気付いていないか、気付かない振りをしています。中国の南シナ海、東シナ海で勝手に自分達の海だと主張するのは軍事力に物を言わせるからこそ可能であって、経済力で支配しようと言うものではありません。

トランプというか軍師のバノンはこの動きを早くから掴んで、「米国の真の敵は中国」と認識しています。だから「米国は中国の属国になってしまった」と発言したのです。アメリカをもう一度強くして、「力による平和」を実現させようと言うものです。昨日の本ブログで紹介しました、「米国家安保戦略」で力強く宣言しました。

中国との関係で言えば、先ずは北の問題を解決→中国と経済戦争→金融制裁→海上封鎖→エアシーバトルとなるのでは。戦争を恐れれば、後にそれ以上の悲劇が予想されます。自由主義諸国は連携して邪悪な共産主義と戦わねばなりません。

記事

世界貿易機関(WTO)の閣僚会議が、閣僚宣言を採択できずに閉幕した。背景には、中間選挙を睨み内向き傾向を強める米国が、中国に「一方的制裁」を単独で講じる大義名分を得ようという思惑もある。だが、それは中国の“報復”を招き、米中が貿易戦争に突入するという最悪のシナリオも懸念される。

米中は貿易戦争に突入するのか。写真は11月のトランプ大統領の訪中時(写真:The New York Times/アフロ)

世界貿易機関(WTO)の閣僚会議が12月13日(日本時間14日未明)、閣僚宣言を6年ぶりに採択できずに閉幕した。後には「WTOの機能不全」という先の見えない課題だけが残ってしまった。またひとつ、国際的な秩序が壊れていくようだ。

最大の原因は、自国優先を掲げるトランプ政権がWTO批判を繰り返すだけで、意見を集約して国際秩序を形成しようとの意欲が全くなかったことにある。WTOは全会一致が原則で、新興国の抵抗によって、時代に応じたルールの見直しが全く進まないことへの苛立ちもあろう。また、WTOの紛争処理において、米国が裁定結果に不満を募らせているとの指摘もある。

確かにその通りだ。だが、本質的な問題はそこにはない。

内政重視から米中衝突のシナリオに突入か?!

それは、トランプ政権の最大の関心が、国内政治での戦いに勝つことにあることだ。それが米国の国際的な立場を弱めることになっても、二の次である。当面の目標は、来年秋の中間選挙に向けて、自らの支持層が抱く不満に目に見える形で応えて支持基盤を固めることにある。

先般のエルサレムをイスラエルの首都に認めるという宣言においても、キリスト教保守派の支持層固めといった内政優先策が、外交的に合理性のない判断を下した背景にある。世界経済に向き合う米国通商代表部(USTR)のライトハイザー代表の関心も、同様に内政にあるようだ。

今、ワシントンではライトハイザー代表の威勢のよさを指摘する者が多い。「出番がやってきた」との高揚感からだろうか。外交不在の中で、国務省の無力感が取りざたされているが、これとは対照的だ。

北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し交渉が難航する中で、ライトハイザー代表は中国との交渉で成果を上げることを目指しているようだ。現在、トランプ大統領に対しては、対中強硬派が不満を募らせている。大統領選挙中に中国に対して厳しいことを言っていたにもかかわらず、実際のところは何もしていないからだ。

さすがに、先般のトランプ訪中で注目を集めた、総額28兆円の「張りぼて商談」だけでは成果とは言えない。そこで中間選挙に向けて、ライトハイザー代表は鉄鋼問題などで内陸部の白人労働者層の不満に向き合おうとしている。

だが、WTOでは目に見えた成果を期待できない。対中国で米国が取り得る政策は現在のところ、自国の法律に基づく関税引き上げや輸入差し止めといった、米国単独での一方的な制裁しかない。

今回のWTO閣僚会合で、米国がしきりにWTOの機能不全を訴えたのも、「来るべき一方的制裁もやむなし」との大義名分を得るための布石だろう。

米国は、中国での知的財産権侵害に対して、米国通商法301条による制裁を科す公算が大きい。そうすると、中国も黙ってはいない。米国に対する報復策を講じてくるだろう。例えば、米国からの大豆の輸入制限が取りざたされている。その結果、米中間で、いわゆる一方的制裁の応酬になる。

ただし、それが即座に、米中貿易戦争というほどエスカレートしていくと考えるのは早計だ。米国企業にとって中国市場でのビジネス展開や中国からの調達が死活問題になるほど、相互依存関係は深化している。トランプ政権でも影響力の大きいゴールドマンサックスなどの金融資本も黙ってはいない。中国によるワシントンでのロビーイングも強力だ。中間選挙に向けて、国内向けの対中強硬を「米中間の小競り合い」というレベルでマネージしようとする力も働くだろう。

中国の対日微笑み外交は「米中関係の従属変数」

共産党大会を終えて、習近平主席の対日外交が「微笑み外交」に転じたとの指摘されている。そして、日中平和友好条約締結40周年の来年に向けて、日中関係は改善していくというのが大方の見方である。習近平体制の権力基盤の強化など、その要因はいくつかあるが、ここでは米中関係が大きく影響していることを指摘したい。

中国はトランプ訪中を破格の大歓待と大型商談で一応乗り切ったが、その後の米国国内の動向から米国の対中政策は厳しくなる見通しであることを中国側も察知している。その結果、日本との関係は改善しておき、日米の対中共闘を揺さぶるといういつもながらの思考パターンだ。

これまでの歴史を振り返ってもそうだが、「日中関係は米中関係の従属変数」という要素が大きいことを忘れてはならない。従って、関係改善は歓迎すべきことで、これを機に建設的な対話をするチャンスと捉えるのも大事だが、これを永続的なものと楽観視すると見誤る。そこが、日本企業にとって注意を要する点だ。

一方的制裁という「悪夢の再来」か?

日本にとって、米中による一方的制裁の応酬は最悪のシナリオだ。それは日本が巻き込まれるかどうかの問題ではない。日本はかつて80年代には米国通商法301条などによる一方的制裁のターゲットとされて、米国の圧力に向き合い続けてきた。その悪夢から解き放たれたのが95年のWTOの誕生と、それに伴う一方的制裁の禁止、WTOの紛争処理の整備であった。しかしその悪夢が再来しようとしている。

関税引き上げや輸入差し止めといった一方的制裁は、自国の市場が大きい国ほど力を発揮する。米国や中国がそれだ。いわば「市場という力」によるパワーゲームなのだ。むき出しの利害のぶつかり合いである。それに対して、そのような力を背景にできない日本のような国は、ルール重視と叫ぶことになる。日本が同様のポジションの豪州、欧州と連携を取るゆえんだ。

米国が気づかなければならないのは、中国が「一方的制裁の権化」だということだ。レアアースの規制しかり、最近の韓国企業に対する米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)配備への経済報復しかりだ。これを自制させなければならないにもかかわらず、かえって中国に一方的制裁の口実を与えることになりかねない。

80年代は一方的制裁を振りかざすのが米国だけだからよかったが、今やそうでない。80年代の成功体験をもって行動するライトハイザー代表は、その危うさに気づくべきだろう。

なお中国による韓国に対する経済報復に対しても、本来、毅然とした態度で一方的制裁に反対しなければ、このような中国の報復が常態化しかねない。しかし肝心の韓国が先般の中韓首脳会談で中国に屈服するばかりか、対日歴史問題で共闘する姿勢で中国に擦り寄っている。文政権がしっかりさえしていれば、来年予定されている日中韓サミットで日韓が対中共闘すべきところを、逆に日韓が分断されているという致命的な状況なのだ。

日本は「対中有志連合」で米国繋ぎ止めに奔走

日本にとって今回のWTO閣僚会合の最大のテーマは、米国をWTOに繋ぎ止めることだった。そのためには最大の懸念である中国問題について、WTOの場で米国も巻き込んで共同対処する道筋を作ることが不可欠だ。そうでなければWTOの崩壊にも繋がりかねない。そういう危機感を欧州、豪州とも共有し、過剰生産や国有企業への優遇、不透明な補助金などを是正させる仕組みや、電子商取引分野のルール作りなどに日本は奔走した。ルール不在のパワーゲームになれば、大市場を持った中国が喜ぶだけだ。

残念ながら国内政治にばかり目が行く米国には、未だその思いが届いていないようだ。しかし日本が努力した方向は間違っていない。実利優先の米国を世界秩序に繋ぎ止めるためには実利を感じさせなければならない。今後も日本はそのための仕組みづくりを欧州、豪州などを巻き込んで主導すべきだろう。

幸い、先般の米国抜きの環太平洋経済連携協定(TPP11)の大筋合意に至る参加各国間の調整においても、日本が誠実に調整役を果たしたことは各国からも高く賞賛されている。明らかに「善意の仲介役」としての役割を期待されているのだ。

来年、トランプ政権はますます内向き志向になって、米中貿易衝突も予想されるだけに、日本の出番は増えるだろう。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。