『米国の劣化、完全復活した「新型大国関係」 北朝鮮の核を解決した後に待つ、中国中心の秩序』(11/14日経ビジネスオンライン 森永輔)について

11/16中国観察<習對朝立場巨變?朝鮮以世界級技術大量偽造人民幣 制裁無效—— 強力對朝制裁下的平壤…“耗材、電力充足無憂”  阿波羅網=習の北に対する立場が大きく変化か?北は世界トップクラスの技術で大量の人民元を偽造する 制裁は無効である 強力な制裁下にある平壤では“消耗品と電力供給は憂うことなし” アポロネット>トランプがいうには「中国の主張して来た米朝両者攻撃・演習ストップの要求を習は求めず、大きく変化した。ただ韓国が言うには、中国は制裁を依然としてしているが効果が上がっていない。吉林省に来た平壤市民が言うには、“消耗品と電力供給は憂うことなし“、毎日荷物満載の数十輌のトラックが行き来し、生産に必要な物資を運び、他には朝鮮39号室では世界トップクラスの技術で大量の人民元を偽造し、中国経済を破壊すると。家庭用電力は制限を受け、盗電が起きているとも。麻薬、偽札、偽煙草を39号室が作らせ、資金の管理をしている。北の偽札は台湾版と違い、高度で見た目では分からない。

http://chinaexaminer.bayvoice.net/b5/trend/2017/11/16/380109.htm%E7%BF%92%E5%B0%8D%E6%9C%9D%E7%AB%8B%E5%A0%B4%E5%B7%A8%E8%AE%8A%EF%BC%9F%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E4%BB%A5%E4%B8%96%E7%95%8C%E7%B4%9A%E6%8A%80%E8%A1%93%E5%A4%A7%E9%87%8F%E5%81%BD%E9%80%A0%E4%BA%BA%E6%B0%91.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook

11/16時事<軍事均衡崩れれば衝突も=中国の影響力拡大に警鐘-米議会報告>米国議会も気が付くのが遅いというか、ハニーと金の毒が体の至る所に回って来て、事ここに至り、遅ればせながら発表したものでしょう。今の中露の経済力を分析すれば、真の敵はすぐに分かる筈です。ロシアのGDPは中国の11.4%、米国の6.9%です。ただ核弾頭の数は米ロ拮抗していますので軍事強国ではあります。北朝鮮同様、如何に核が貧者の兵器足り得るかという事です。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017111500764&g=pol

11/15WSJ日本語版<中国か米国か? アジアの答え「いずれもノー」 TPP復活と対中包囲網としての民主主義4カ国が示す代替シナリオ

――筆者のアンドリュー・ブラウンはWSJ中国担当コラムニスト

【ハノイ】米国の避けがたい衰退が中国の強力な台頭を招く。これは分かりやすいシナリオだ。

中国の習近平国家主席が国内で権力基盤を盤石にし、海外では1兆ドル(約114兆円)を超える巨大経済圏構想「一帯一路」を推進する。「ポスト米国」時代を中国が支配するとの未来図は、確かに想像が容易になりつつある。

だが待って欲しい。アジア諸国には他の考えがある。習主席とドナルド・トランプ米大統領が先週、ベトナムで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席している頃、最も注目すべき出来事は米中がいずれも関与していないところで起こっていた。

日本が奮い立たせたことで、環太平洋経済連携協定(TPP)の参加11カ国は新協定案で合意に近づいたのだ。これは市場保護と国有企業を優遇する中国の経済モデルに対する自由主義の代替策を提供する一方、トランプ政権が2カ国協定を推進する中で、多国間相互自由貿易の構想を推進する。

こうした展開を予想する声は少なかった。トランプ氏が大統領として本格始動して3日目にTPP離脱を表明した際、専門家の間では史上最も野心的なこの通商協定は葬られたも同然だとの見方が支配的だった。

そして、多くの時間と労力を要したTPP交渉から排除されていた中国が介入し、自ら主導する地域間通商協定で空白を埋めると多くの人が予想した。歴史的な勢力シフトが進んでいるとのさらなる証拠が必要だとしたら、これがまさしくその証拠だと思われていた。

だが、TPPは生き残った。カナダが土壇場で抵抗したことで、先週決着に持ち込むことはできなかったが、推進派は来年初めの交渉完了を視野に入れる。英国がかつて世界で指導的立場を米国に譲り渡したように、アジアでの「パックス・アメリカーナ(米国主導での平和)」が「パックス・シニカ(中国の覇権下での平和)」に道を譲るという単純化された考えに対し、TPP復活は疑問を投げかけている。

過去1週間で極めて明確になったのは、日本に加え、オーストラリアやニュージーランドなども自由貿易協定を強く支持しているということだ。「包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)」に名称変更された米国抜きの新協定は、これらの国がその点に関して影響力を発揮していくはずだ。

トランプ氏率いる米国が自ら居眠りし、一方で毛沢東並みの権力を掌握した習氏が新たな覇権争いに意を決しているとしても、アジア地域には代替策がある。この地域の未来の多くは、価値観を共有する国々の連合体によって形成されるだろう。これらの国は時に、米中という太平洋の両側に位置する経済大国のいずれか、または双方を受け入れるだろう。受け入れない時もあるだろう。

過去1週間に起きたアジアに関する他の大きな展開も、安倍晋三首相が率いる日本が主導した。日米にインド、オーストラリアを加えた民主主義4カ国による枠組みの復活だ。「日米豪印」当局者は先週11日にマニラで初会合を開いた。

これは米国発の取り組みのようにも見える。レックス・ティラーソン米国務長官も先月、「自由で開かれたインド太平洋」を唱えていた。しかし実際には、主張を強める中国と、それに対するトランプ政権の対応能力を巡って地域が抱える懸念から出た発想だ。

「日米豪印」グループは2007年に結成されたが、当時オーストラリアの首相を務めていたケビン・ラッド氏が最大の貿易相手国である中国の反発を招くことを警戒して抜け出し、1年後に棚上げとなった経緯がある。

キングス・カレッジ・ロンドンのハーシュ・V・パント教授(国際関係)は、オーストラリア政府の心変わりを受けて復活した日米豪印4カ国の枠組みについて、「中国の台頭と米国の不能さ」に対処するための包囲網作りだと述べる。

その両方について懸念を高めている安倍首相は、これまでも似た構想を提案しており、2012年に地滑り的勝利を収めて首相に返り咲く前には、日米豪印4カ国を結ぶ「ダイアモンド」と呼んでいた。それ以前の2007年にインド議会で行った演説では、太平洋とインド洋は「自由と繁栄の海」として「ダイナミックな結合」をもたらしていると語っていた。

疲弊して混乱した米国が、明確な意志を持つダイナミックな中国にアジアの覇権を譲り渡すとのシナリオはかなり的外れだ。

何より、米国の衰退はかなり誇張されている。ハーバード大学のジョゼフ・ナイ教授が指摘しているように、米国は依然として「4つの強み」を持つ。地理的な優位性(米国は海や同盟国に囲まれているが、中国を取り巻くのはライバル国だ)、エネルギー安全保障、貿易戦争に対する耐性の強さ、世界の基軸通貨であるドルの保有という4つだ。

また大国以外も影響力を有している。これには中国も遅ればせながら気がついたようだ。東南アジア10カ国と中国がマニラで開催した首脳会議で、中国政府は南シナ海の行動規範に関する交渉を開始することに同意した。中国が南シナ海で進める人工島の造成により、同国の台頭は決して平和的には済まないとの認識を周辺国が強く持ったためだ。

もちろん、こうした取り組みはまだ不確かだ。名称を変えたTPPが今後決裂することもあるだろう。インドやオーストラリアの強力な有権者が中国と露骨には対立しないよう求め、「ダイアモンド」が輝きを失うかもしれない。行動規範に関する協議が永遠に妥結しないこともあり得る(予備協議は10年以上も続いた)。

1つだけ言えるのは、アジア地域における覇権の構図は変化しているということだ。相対的には、中国が米国の犠牲の下に力を強めている。だが最終的な結果を予測することは無駄だ。将来を左右する勢力地図は、まだ見え始めた段階に過ぎない。>(以上)

パクスアメリカーナの次はパクスシニカにはならない、それは米国の衰退の穴を、日本が欧米の基本的価値観(人類の普遍的な理念)で以て、埋めているからと言うものです。中国に世界を指導する理念もなければ(共産主義は人権抑圧機構、儒教は批林批孔の対象だったご都合主義、孔子学院はスパイ機関)、世界言語(英語)、世界の軍事基地(港湾、空港)、海底ケーブル、世界標準(グリニッジ時間等科学技術の基準)等人類に貢献するものは何もありません。軍事力も含め、日本が強くならなければ、世界は共産中国に席巻されることになるでしょう。

11/16アノニマスポスト<トランプ大統領の最側近の一人だったバノン前首席戦略官、NHKのインタビューに「あなたたちは日本のCNNか」と皮肉>NHKの左巻、フェイク振りを揶揄されているのに、それすら気付かないNHK。民放化して新たな国営放送を作った方が良いでしょう。

https://anonymous-post.com/archives/16003

本記事は津上俊哉氏へのインタビューで構成されています。津上氏は2003年に『中国台頭』を書き、確か父が中国にいたので思い入れがあり、本人も経産省で中国大使館にいたこともあって、中国の台頭を歓迎していました。中国人の本質を分かっていないとの読後感でした。「騙す人が賢く、騙される方が馬鹿」というのが中国人の本質です。さしずめ津上氏は騙されたタイプでしょう。

その本の10年後の20013年には『中国台頭の終焉』を書いていますから、やっと騙されたのに気付いたのだと思います。まあ、読む気もしないので読んでいませんが。

津上氏は「米中の対北密約、中国は米国に代わることはできない、米中が協力しての軍事行動――「あり得ない」ではなくなった」というのは正しい見たてと思いますが、「事実上のG2」というのは中国の“wishful thinking”と思います。

記事

(写真:ロイター/アフロ)


 

津上俊哉(つがみ・としや) 津上工作室の代表。1980年、東京大学法学部を卒業し、通商産業省(当時)に入省。在中国日本大使館 経済部参事官、通商政策局北東アジア課長を経て退職。2012年から現職。

津上:一つは、中国が“お土産”外交を展開し、中国式“交際術”をいかんなく発揮したことです。2500億ドルに上るお買い物リストを提示して、トランプ氏を良い気持ちにさせ、中国が望まない要求を受け入れることなく会談を終えました。

2500億ドルの商談のリストを見ても、新たに購入を決めた物品はありません。飛行機も半導体も、これまでも購入してきたものです。アラスカの天然ガス開発に中国石油化工集団(シノペックグループ) が加わることは少し目新しいですが、これとて、米中間の貿易不均衡を改善するようなものではなく、弥縫策にすぎません。

—お土産外交は、中国国内の保守派などから弱腰外交とみなされ、非難される可能性があります。そうであるにもかかわらず、お土産外交を展開できたのは、共産党大会を経て、習氏が一強体制を築くことができたからでしょうか。

津上:それは、あります。しかし、それ以上に重要な要素として、中国という国、そして中国人の心に余裕ができたことが大きいと思います。大きな経済成長を達成し、さまざまなことに肯定感をもって臨めるようになりました。これまでだったら「へつらい」と見なされていた“破格の接待”を「大国の中国はあれくらいして当然」と受け取る雰囲気も出てきました。

10月18日から開かれた中国共産党の党大会で、習氏は活動報告を行い、21世紀半ばまでに「現代化した社会主義の強国を建設する」「総合的な国力と国際影響力で世界をリードする国家になる」と語りました。よくも、ここまで自画自賛できるものだとの印象を受けました。ただ、この空気を、13億人の中国人の多くが共有している印象もあります。

—中国が大国になったことの表れですね。

津上:そう思います。

2つ目の注目点は北朝鮮の核・ミサイル問題への対応です。公表された結果から見れば、中国は、既に賛成している国連安全保障理事会の制裁決議を完全に履行すると繰り返しただけでした 。

この制裁を実施すればボディーブローのようにじわじわと効いてくるので、中国がコミットしたことは重要です。しかし、本当にそれだけだったら、米国側は、2500億ドルのお土産をもらっても食い足りない思いをしたのではないでしょうか。

話し合ったのはそれだけだったのか。実は、いよいよの時に北朝鮮を軍事的に成敗する方法について秘密協議を始める、という話し合いをしたのだとしても、米中は口外しないでしょう。米中が何を話し合っているのかは、今後も注視が必要です。

リーダーとしての米国が劣化している

—第3の注目点は何でしょう。

津上:米国という国の国際的役割が劣化していることがいよいよ明らかになったことです。中国に対する姿勢に加えて、米中会談に先んじて訪れた日本と韓国でのトランプ氏の言動に顕著に表れています。

中国では民主主義や人権の尊重など、米国を米国たらしめてきた価値と原則を訴えることがありませんでした。日本と韓国では北朝鮮の核・ミサイル問題にかこつけて武器を売り込んだと誇りました。米国内の忠実な支持者層にアピールする必要があるのは分かりますが、世界中がその発言を聴いているのです。これは世界のリーダー国が取るべき態度ではありません。

—2017年4月に行われた前回の米中首脳会談に続いて、今回も共同声明を発表することができませんでした。

津上:これも劣化の表れでしょう。いまだに各省庁の政治任用のポストが埋まっておらず、文書を詰めることができる人材が政権内にいないのです。危機につながるアクシデントが今のところ起こっていないからいいものの、今後再び2008年の国際金融危機のようなことが起きた時、米国はリーダーとしての役割を果たせるのか、疑問に思います。

トランプ氏が4年の任期を終えた時、世界のリーダーとしての米国の価値は、同氏の就任前とは時代を画するほどに劣化していると思います。

習近平国家主席はこれを見て、にんまりが半分、不安が半分だったのではないでしょうか。にんまりしたのは、中国が米国の役割をとって代われる部分が増えるからです。不安は、「米国がこれほどていたらくでは、世界はどうなってしまうのか」と思うから。けれど同時に、「中国がますますしっかりして、国際的な責任を担っていかなければ」とも思っているでしょう。

中国が米国に取って代わることはできない

中国の一部にはこうした状況を見て、ほくそ笑む人もいます。米国が「オレさま」的に世界を牛耳る従来の体制が崩れ、他の国々の声をもっと“民主的”に聞く多元化体制ができると思っているからです。その中心に中国がいる世界を思い描く。

私はこうした人々を見て、なんと浅はかなと思います。米国の劣化は米国の問題にとどまりません。世界の公共財、世界のインフラの劣化なのです。中国やロシアも時間が経つにつれ、「こんなはずではなかった」と思い知ることになるでしょう。

いまの中国は米国にとって代われるのか。現状のそこここに不満はあっても、代案と呼べるような体系を持ち合わせてはいないのです。トランプ的な人たちにも共通する問題ですが、代案もなしに現行秩序を否定する、壊そうとするのは愚かな行いです。

中国は、在韓米軍によるTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)配備を韓国が認めたとき、ロッテいじめに走りました。これは中国の口と腹とが異なることを示す事例の最たるものだと思います。

中国は、自分の言うことを聞く者にはけっこう気前がよい。しかし、その逆も真なりで、皇帝が機嫌を損ねると、朝貢国に下賜したものを取り上げるようなことをするのです。

THAADのために用地を提供したロッテが、不買に遭い、店舗閉鎖に追い込まれたり、韓国を訪れる中国観光客がガタ減りしたりしました 。こうした行為はWTO(世界貿易機関) の理念の根幹に抵触する行いだったと思います。加盟国は相手国の市場へのアクセスをお互いに認め合う約束をしているのであって、この約束を、ある国から一方的に取り上げてはならないのです。

中国は「政府がやらせたものではない。国民感情に端を発した自然発生的なもの」と反論するかもしれませんが、本当に国民全体がそんな振る舞いをするなら、中国はWTOに加盟する資格がありません 。

日米は中国の韓国イジメを黙認した

この件については、日本と米国も大失態を侵しました。中国の韓国イジメを傍観して、韓国が中国の力に屈服する結果を招いてしまったからです。

本来なら、世界中の国が口々に「通商・経済的利益を人質にとって、こういう『力による強制』を行うことはあってはならない」と批判するべきでした。日米だけが抗議すると、「腹にイチモツある国が中国悪魔論をたきつけている」と勘違いされてしまいます。しかし、多くの国が抗議に参加すれば、中国も「評判が落ちて孤立しかけている」と、過ちに気付くでしょう。

日本人の中には中国の力の行使に苦しむ韓国を見て、「ざまみろ」と思った人が少なからずいた気がします。それでは「熊さん、八さん」のレベルです。

—2010年に中国漁船衝突事件が起きた後、レアアースの日本向け輸出が滞ることがありましたね。あのときは日本の産業界も難渋しました 。

津上:そうです。

ここで誤りを認めさせなければ、中国はこれからも事あるごとに同じ振る舞いをするでしょう。習氏は「自由貿易」を標榜していますが、世界の側が「中国を怒らせたら、何をされるか分からない」という不安に付きまとわれていたら、「自由貿易」は成り立ちません。関税引き下げや外国投資開放の「約束」も、そういう状況では意味をなさないのです。

ロッテに対する中国の態度は、ある意味で中国の伝統です。第2次世界大戦前、力が弱かった時代の中国も、同様の行動に出ました。日貨排斥(ボイコット)がそれです。当時の中国民衆には、それしか抵抗の手段がなかったのです。しかし、大国となり、他国を強要(coerce)する力を持つようになった今も、過去からの惰性で同じ態度を取り続けている。

米国が主導する体制が崩れた世界は「第一次グローバリゼーション」時代と言われる20世紀初頭と同じ様相を呈することになるかもしれません。グローバル化が進み、格差が広がった。その後の世界は、大恐慌を挟んで、ヒトラーの台頭、日独伊三国同盟、第2次世界大戦への歩みを進めました。

新しい秩序が整っていないにもかかわらず、現在の秩序を壊すようなことはしてはならないのです。

AIIBだけ見ていても一帯一路構想は理解できない

—米中首脳会談から、2期目に入った習政権の外交ドクトリンを読み取ることはできますか。

津上:今のところ、見えていません。2018年の動きを継続的に見ていくことが必要になるでしょう。

これまで中国は、5年に1度の党大会や、年に1度の全国人民代表大会(全人代、日本の国会に相当)といった節目、節目で大きな政策を明らかにしてきました。しかし、習政権はこのサイクルにこだわらずに政策を発表しています。例えば、「一体一路」構想はその一つです。この結果、10月の党大会は、21世紀中葉をにらんだ「夢」以外に中身のないものになりました。具体的な政策は新味のない発表済みのものが大半だったのです。

サイクルにこだわらない方針に変わったことを割り引く必要がありますが、そうだとしても、経済でも外交でも、来年以降早めに新しい政策を打ち上げないと、政権運営に停滞感が出てきてしまうでしょう。

一体一路構想だけではもたないと思います。この構想は国際社会から注目を集めましたが、課題が山積しています。シルクロードの沿道には儲かる案件が数多くあるわけではありません。放漫投資をしたら、不良債権が積み上がる恐れがあります。

—一体一路構想の実行機関であるアジアインフラ投資銀行(AIIB)も慎重になっているようですね。世界銀行やアジア開発銀行との協調融資が多い。

津上:AIIBについては誤解があります。一体一路構想の中心的実行機関は、実は国家開発銀行 や中国輸出入銀行 なのです。これらの機関は、中国政府が一体一路構想を発表する前から関係する投融資を実行してきた“横綱”です。これらに比べれば、AIIBやシルクロード基金などの新設機関は“平幕力士”にすぎません。AIIBは国際協調をうたうことで“横綱”との差別化を図ろうとしている“新顔”であり、AIIB=一体一路構想では決してありません。

日本はAIIBにばかり警戒の目を向けて、主役である国家開発銀行などの事業についてはノーマーク…。いつになったらこのバイアスがはずれるのでしょう。このままでは、一体一路構想の実態を見誤りかねません。

ちなみに、米国でも、財務省などは最近、国際協調を目指すAIIBの姿勢を理解するようになりました。このため、AIIBに加盟はしなくても、共存共栄の道を歩もうとしているようです。

「新型大国関係」は完全復活

—米国との「新型大国関係」はどうなったのでしょう。今回の首脳会談に関する報道でも、この表現をみる機会はあまりありませんでした。

津上:いやいや、今回「新型大国関係」は完全復活しました。トランプ大統領との共同記者会見において、習氏はこう語りました。「主権や領土の保全についてはお互いに尊重すべき」「発展モデルに関する考え方の違いを尊重すべき(中国には中国のやり方がある)」「太平洋は米中両国を収めるのに十分な大きさがある」「米中両大国は国際社会の発展と維持に大きな責任を負っている」

習氏が2013年にぶち上げた新型大国関係の趣旨そのままです。「米中で世界を仕切るなんて何事だ」と第三国から非難されていたので、しばらく引っ込めていましたが、完全復活させました。

—これから米国に同意を求めていくのでしょうか。

津上:米国の合意がなくても、実態がそうなっているというのが中国の受け取り方です。

北朝鮮への対応はその典型例です。中国は「中国なしで米国は何もできない。だから、協力しましょう。その代わり、中国を尊重すべき」と考えているのです。

習氏だけでなく、中国の多くの外交専門家も「新型大国関係は事実上、出来上がっている」と自信を強めています。先ほど、13億人の中国人の多くが空気を共有しているとお話しました。それと相通じる話です。

北朝鮮が先に手を出せば、中国は味方しない

—北朝鮮をめぐる政策に関して、米中首脳会談から読み取れることはありますか。先ほど「米国は食い足りないと思っているかもしれない」と指摘されました。

津上:国連安保理決議を受けて、北朝鮮への原油輸出量を現状で凍結することが決まりました 。石油精製品の輸出についても、年間20万バレルとのキャップを設けた。これが長く続けば、ボディーブローのように効いてきます。

私は、米国と中国がいま、北朝鮮に対するある認識を共有していると考えています。北朝鮮が越えてはならない一線を越えた時、米国は軍事行動に出るでしょう。中国は米国のその覚悟を認識しているし、一線を越えた北朝鮮にもう味方しない、という認識です。

—越えてはならない一線とは、どういうものですか。

グアムに向けたミサイルの発射実験や、地表での核実験などです。

例えば朝鮮人民軍の軍司令官がこの8月、中距離弾道ミサイル4発をグアム周辺に向けて打つ計画を検討していると脅しをかけました。これに対して中国共産党のプロパガンダ紙である環球時報は社説で、「これが原因で北朝鮮が米国から攻撃を受けても、中国は中朝友好協力相互援助条約の義務を履行しない(北朝鮮に味方しない。自業自得である)」との意見を表明しました。

また最近、米海軍で太平洋軍の司令官を務め、その後、オバマ政権で国家情報長官を務めたデニス・ブレア氏が次の意見を明らかにしました 。「北朝鮮が核弾頭を搭載したミサイルを発射し、これを太平洋上で爆発させたら、米韓両軍は大量の報復攻撃をする」。グアムやハワイに被害が及ばなくても、地下実験と地表での実験ではインパクトが違うということですね。

どちらの例も「次のステップに進むな」と米中が口を揃えて北朝鮮に警告を発していると見ることができます。最近1カ月と少しの間、北朝鮮の挑発行為がやんでいます。これは、米国と中国が認識を共有していることを察知して、北朝鮮が「本当に攻撃されるかもしれない」と恐れ、自重しているからかもしれません。

北朝鮮は「英霊」の血であがなった地

津上:習近平政権になって、中国が北朝鮮政策を転換したのは明らかです。同氏はいい意味で、この問題に関するリビジョニストで、北朝鮮は「英霊の血であがなった地」という伝統的な考えに立っていません。

—それは、どういうことですか。

津上:中国はこれまで、「なぜこれほどお人好しなのか」と思えるほどに、北朝鮮のわがままを許してきました。私はその理由が、北朝鮮が「中国人の英霊の血を捧げた地」だからだと考えています。中国は朝鮮戦争の時、義勇軍を立ち上げて北朝鮮に味方し、何十万人もの戦死者を出しました。それだけの犠牲を払った北朝鮮が、中国に仇をなす国になってしまったという話は聴くに堪えないという人が大勢いるのです。

日本も同様の経験をしています。例えば、日露戦争で手に入れた南満州鉄道の取り扱い。日本は米国のユダヤ資本に国債を購入してもらい戦費を賄いました。この過程で、満鉄を米国資本との共同経営にするという約束をしていました。しかし戦後、「日本人の血であがなった満鉄の経営に米国が介入するのか」という批判を恐れて、けっきょく、日本はこの約束を反故にしました。第2次世界大戦につながる米国との対立はこの時に種が蒔かれたのです。

血であがなった地に固執するのは日本に特有の現象かと思っていたら、そうではないようです。中国語にも同じ「英霊」という言葉があります。

ただし、リビジョニストである習氏は、こうした考え方にとらわれない。トップの姿勢の変化は、中国の今後の北朝鮮政策を占う上で非常に重要だと考えます。その一つの表れとして、いま中国では、北朝鮮批判についてはメディアに言論の自由が認められています。何を書いてもかまわない情況です。

北朝鮮もこの変化を意識しており、習氏を敵視しています。そして習政権が、金正恩委員長を追い出し金正男氏に取って代えようとしていると疑ったからこそ、正男氏を亡き者にした。

米中が協力しての軍事行動――「あり得ない」ではなくなった

津上:米中が協力し、北朝鮮を南北から挟み撃ちにする――。5年前までは、そんなことはあり得ないと言われたでしょう。しかし今は「あり得ない」では片付けられない状況に至っています。もちろん簡単なことではありませんが。

これまで、北朝鮮から中国に難民が大量に押し寄せるから、中国は軍事行動をしないとの見方がありました。しかし、人民解放軍は、難民対策を既に考えていると思います。中朝の国境沿いに展開している15万人を北朝鮮内に派遣し、国境沿いにキャンプを作り食物や生活物資を供給することで、越境させないようにする。ドローンを飛ばし国境線の監視の目を強化するでしょう。

また、中国は「北朝鮮という緩衝地帯を失うことを懸念して、米国とは協力しない」という見方も絶対的なものではなくなりつつあります。米国の雰囲気も変わってきています。識者の中に「中国が、緩衝地帯を失うことを恐れて北朝鮮の核・ミサイル問題に真剣に取り組まないのであれば、在韓米軍の撤退を交渉材料にすればよい」という意見が出始めました。もちろん簡単なことではありません。しかし、緩衝地帯問題を交渉の材料とすることが可能になれば、これを理由に「軍事行動はあり得ない」とすることはできません。THAADについても同様に交渉材料とすることできるでしょう。

中朝の国境近くにある核実験場、豊渓里(プンゲリ) の扱いが米中の軍事協力を促す可能性もあります。例えば米国が単独での軍事行動を決めたとします。当然、豊渓里も叩くことになります。豊渓里には地下施設があるので、巨大な破壊力を持つバンカーバスターを使用する可能性があるでしょう。実は中国東北区の住民は豊渓里から核物質が飛来することを非常に恐れています。なので、米軍による豊渓里攻撃に強く反対する。米国は「ならば、豊渓里は中国が何とかしてくれ」と協力を持ちかけることが考えられます。

米国とこのような協力をすることは、中国にとってリスクであると同時に大きなチャンスでもある話です。「新型大国関係」づくりを完成させられるからです。北朝鮮の核・ミサイルという世界最大のリスクを米中が協力して解決して、米国に大きな貸しを作ることができる。米国は「東アジアのことは中国の意向を尊重する」という姿勢に転じざるを得ないでしょう。在韓米軍が事実上撤退ないし大幅縮小する可能性もありますし。

ただし、米中の協力があり得ないものでなくなっても、ネックとなる大きな問題が残っています。核・ミサイル問題を解決した後の朝鮮半島をどのような政権が統治するかです。この問題の解法が見えないと、中国はなかなか動けないと思います。

核問題解決しても、待つのは中国の勢力拡大

津上:今後の展開として最も可能性が高いのは「膠着状態」でしょう。

先ほど指摘したように、北朝鮮は大気圏内での核実験などはできません。米国に攻撃されますから。しかし、核弾頭の数を着々と増やしていく。

交渉も実現しない。仮に北朝鮮が交渉のテーブルに着いたとしても、北朝鮮は「核保有強国として認めよ」「在韓米軍を撤退させろ」しか言わず、進展しない。

ただし北朝鮮が核兵器を使用したら、その時は北朝鮮が終わる。

こんな、すっきりしない情況のまま時間が進んでいく。

—膠着状態の中で北朝鮮はどのような態度を取るでしょうか。

津上:北朝鮮は「主体」思想に基づき改革開放路線を取る――と期待する向きがあります。しかし、北朝鮮がこの路線を進めるためには、国連決議に基づく制裁がネックになります。ここで、どのような交渉をするのか。「200ある核弾頭を100に減らす」という交渉はできるかもしれませんが、核兵器を放棄させることはできないでしょう。

その一方で、北朝鮮が核兵器を拡散させることを懸念する見方もあります。北朝鮮は、大枚はたいて核兵器を開発したのだから、その投資を回収したいと考える、というわけです。

北朝鮮が核兵器を拡散させるのをとめることは容易ではありません。今でも、中国は北朝鮮にやりたい放題やられています。麻薬、覚醒剤、偽札――。これらも、中国民衆が北朝鮮を嫌う原因になっています。

北朝鮮が核兵器の拡散に進んだ場合、米中は“最終解決”を図るべく、密接な協力をすることになるでしょう。

日本は核の威嚇の下で暮らしていかなくてはなりません。

仮に中国の協力を得て、核・ミサイル問題を解決できたとしても、晴れ晴れとした世界が戻ってくるわけではありません。その時の東アジアは中国の力が大きく高まり、新型大国関係の秩序が支配する世界になるからです。日本を巡る「地政学」は塗り変わってしまう。

米国も日本も、北朝鮮の核・ミサイル問題を今日まで放置してきたことのツケを払わなければなりません。

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