『中国にも凄んで見せたトランプ 国連の「強力な制裁」は引き出したが……』、『「金正恩すげ替え論」を語り始めた米国 中国は「その手」に乗るのか』(8/9・10日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

本記事を読んで、マテイス国防長官はどう思っているのか聞いてみたいと思いました。以前は「軍事的手段の前に、やるべきことは沢山ある」と言っていました。しかし、北は米全土に届くICBMかつ核弾頭の小型化が完成(ワシンントンポスト)したのであれば、状況も変わったと思います。まあ、この話も米国が北朝鮮を攻撃しやすくするために意図的に流したものかもしれませんが。なお、8/9にはマテイス長官が声明を出しました。8/10NHKニュース<「北朝鮮は体制の終わりにつながる行動停止を」>と。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017080100606&g=prk

http://www.sankei.com/world/news/170809/wor1708090009-n1.html

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170810/k10011095371000.html

7/14ぼやきくっくりブログから7/10虎ノ門ニュースの青山繁晴氏の発言米朝戦争「近づいてない」マティス国防長官  米軍の前線トップのマティスさんが、別に北朝鮮がICBM発射実験をやったからと言って、北朝鮮とは戦わないよと言ったように見えますが、これ2つの意味で、そうではない。  マティスさんは何言ってるかというと、警告してる。  本当にやる時にはやらざるを得ないけど、その時には犠牲が出ますと。  米国民も、日本国民も、韓国民もそれを踏まえて下さい、こんなはずじゃなかったって話をしないで下さい、民間人すら犠牲が出かねないってことをちゃんと踏まえたうえで、軍の活用を考えて下さいってことをずっとおっしゃってる。  それがひとつ。  もうひとつは、アメリカがかつて北朝鮮にやった制裁の中で唯一効いたものがあって、それをまだ完全にやりきれてないから、それをやりましょうって意味もある。  それは何かというと、金融制裁。  北朝鮮がマネーロンダリングする時に、バンコ・デルタ・アジアが協力してきたから、そういう銀行にもうドルは扱えないというのをかけたら、北朝鮮は本当に根を上げた。  ブッシュ政権の末期だったが、あの時続けてたら、拉致被害者が帰ってくることも含めて、今の北朝鮮はなかった。  アメリカの一官僚が、北朝鮮は話が分かったと言って、一緒にワイン飲んだり中華料理食ったりして、当時、関西テレビ「アンカー」水曜日で徹底的に批判したが、批判したのは少数派で、日本の評論家やコメンテーターはやっと米朝雪解けだと、素晴らしいと言ってたわけですよ。  このために実は北朝鮮は今の事態に至った。  それをアメリカはさすがに記憶してて、金融制裁を改めてやろうとしたんですが、その前に、北朝鮮が手を打ってて、1カ所に、資金を集めていった。  チャイナです。  だからトランプさんが最近チャイナに、思ったほどやってくれないじゃないかとずっと言ってるのは、石油のパイプラインを止めないことと、ちゃんと中国の銀行、共産党政権なんだから全部コントロールできるだろうと。  なのにやってないのはどういうわけかと。  これを中国の銀行といえどもドルを扱えなくなったら、人民元は本当は通貨と言えないシロモノだから、もう行き詰まっちゃうわけですよ。  これをやったら下手すると世界経済は凍り付いて、大不況。  世界恐慌になると言ってるマーケットの関係者もいます。  それをマティスさんは言ってる。  膨大な犠牲が出る米朝戦争の前に、この金融制裁の完成は必ずやるべきだと。  それでも北朝鮮がなぜか倒れないとなったら、分かりました、犠牲は払うけれどもやりますと。  だから米軍は今までになかった訓練(前項参照)をやってる。>

国連制裁決議なんて北朝鮮にとって痛くも痒くもないでしょう。どうせ嘘つき中国が裏から手を差し伸べる筈です。時間稼ぎに使われるだけ。安保理全会一致なんて各国国連大使の自己満足だけです。北の横暴を抑える力とはなりません。青山氏や渡邉哲也氏のように一番効くのは金融制裁です。北と取り引きのある銀行は、いかなる国の銀行であろうとも米国との取引ができないようにすれば良いです。これこそが基軸通貨国としての強みです。中国が欲しがっても絶対手に入れられないものです。それはそうでしょう。自由な資本取引を認めない国の通貨が基軸通貨になることはありません。米国は何故逡巡するのかです。

キッシンジャーもやはり中国の手先です。「金正恩政権の崩壊後は在韓米軍をおおむね撤収する」とまで、中国に約束して、中国が強大化することに加担しようとしています。真の敵が誰かを分かっていません。まあ、中国から賄賂漬けの身としては如何ともしがたいでしょうが。

北は中国にダシとして使われているだけです。瀬戸際政策をして、どこで米国の怒りを買うかを愚かな金三胖は身を以て中国に見せる役割を演じさせられています。ミサイルを誘導させる人工衛星は多分中国が利用させているのでしょうし、緩衝国家が必要と言う論説を流布してきていますが、それなら南モンゴル、ウイグル、チベットも独立させて緩衝国家にすれば良いのにそうはしません。中国の都合の良いように論理を組み立てているからです。チベットは中国、ASEANの水源ですから、独立させれば中国も勝手にダムを作って来てASEANに迷惑かけてきたというのが身を以て分かるようになるでしょうけど。在韓米軍が撤退すれば、すぐ、人民解放軍が金三胖を捕えて処刑し、首を挿げ替えるかもしれません。キッシンジャーは甘いです。中国は約束を守った試しがありません。本来、キリスト教のロシアの方がまだ信頼できるのでは。

鈴置氏の言う「日本人の覚悟」というのは朝鮮半島も中国の軍門に下れば、日本が中国とぶつかる最前線になるという事でしょう。アチソン声明通りです。しかし、南シナ海も中国の手に握られそうになっている所が大きな違いです。オバマの8年間のツケが大きかったでしょう。もっと言えば、中国を此処まで強大化させて来た、米日に責任の大半はあります。やはり国際ルールを守らない中国に金融制裁すべきです。

記事

8月5日、国連安保理は新たな北朝鮮制裁決議を採択した。手前右側の挙手する女性は米国のヘイリー国連大使(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

国連の「強力な制裁」で、北朝鮮は核武装を諦めるのか。

口だけの中国に失望

—国連安保理が「強力」とされる対北朝鮮決議を採択しました。

鈴置:8月5日、北朝鮮への制裁強化の決議を全会一致で採択しました。石炭、鉄・鉄鉱石、鉛、海産物の輸出を全面的に禁止しました。

北朝鮮の外貨獲得手段にタガをはめることで、核・ミサイル開発の資金源を断つ狙いです。海外での北朝鮮労働者の新規受け入れや北朝鮮の企業との新たな合弁・共同事業の禁止も盛り込みました。

—中国やロシアは制裁強化に慎重でした。今回はなぜ賛成に回ったのですか?

鈴置:7月4日と28日の北朝鮮の2回のICBM(大陸間弾道弾)試射の後、米国が戦争も辞さないとの強い姿勢を見せるようになったからです。

トランプ(Donald Trump)大統領は7月29日、ICBMの試射についてツイッターを連投しました。初めのと、次のつぶやきのポイントを訳します。

中国にはとても失望した。

彼ら(中国)は北朝鮮に関し我々に何もしてくれない。口だけだ。このままじゃおかないぞ。中国はこの問題を簡単に片づけられるのに!

死ぬのは向こう側

米国のヘイリー(Nikki Haley)国連大使も7月30日「対話の時間は終わった」と語りました。CNNが「‘Time for Talk is Over’: US grapples for new approach on North Korea」で報じています。

「対話が終わった」と言うことで「戦争の覚悟」をちらつかせたのです。その変化を中国も見てとりました。王毅外相は8月6日「(朝鮮半島情勢は)危機の臨界点に迫っている」と語りました。

中ロを動かす決定打となったのが、トランプ大統領の「戦争をやっても米国側に死者は出ない」との発言と思われます。

大統領が自身に面と向かって語った言葉として8月2日、共和党のグラハム(Lindsey Graham)上院議員が以下のように述べました。NBCの「Sen. Lindsey Graham: Trump Says War With North Korea an Option」から引用します。

If there’s going to be a war to stop [Kim Jong Un], it will be over there. If thousands die, they’re going to die over there. They’re not going to die here.

正確に訳せば「もし(金正恩=キム・ジョンウンを)止めるための戦争になっても、それは向こうで起こる。数千人が死んだとしても、死ぬのは向こう側だ。こちら側では死なない」。

中国の銀行にも制裁を

—はっきりと言ったものですね。

鈴置:でも、この発言が――「戦争を怖がってはいないぞ」と言い切ったことが、国連制裁への中国やロシアの賛成を引き出したと思われます。

それまで、中国の外交関係者からは「トランプは口だけ。戦争に踏み切る勇気はない」と米国を甘く見る発言が聞こえていました。

「死ぬのはお前だ」発言は一義的には北朝鮮向けですが、同時に中国向けの脅しでもありました。

米国の議会やメディアも一気に強硬論に傾きました。共和党のガードナー(Cory Gardner)上院議員もCNNに寄稿した「Senator: How to really turn the screws on North Korea」(8月2日)で「言葉の時は終わった」(The time for words is over )と言い切っています。

さらに「北朝鮮と取引する中国の金融機関などにも制裁を科すべきだ」とトランプ政権に要求しました。米国で盛り上がる「中国への制裁論」も、中国を対北制裁決議への賛成に向かわせたと思います。

ガードナー議員は上院外交委員会・アジア太平洋小委員会の委員長を務める大物です。朝鮮半島問題にも詳しく、5月に訪韓しました。

その際、韓国の国防長官に対し、THAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)を見直すなら米韓同盟を打ち切るぞと脅しました(「『第2次朝鮮戦争』を前に日米を裏切る韓国」参照)。

対話を呼びかけた国務長官

—同じ頃「米国務長官が北朝鮮に対話を呼びかけた」との報道もありましたが。

鈴置:8月1日の記者会見で、ティラーソン(Rex Tillerson)国務長官が「我々は北朝鮮の敵ではないと伝えたい」「北朝鮮と、その安全と繁栄を保障する未来をじっくりと話し合いたい」と述べました。原文は以下です。

we’re trying to convey to the North Koreans we are not your enemy, we are not your threat, but you are presenting an unacceptable threat to us, and we have to respond.

We would like to sit and have a dialogue with them about the future that will give them the security they seek and the future economic prosperity for North Korea, but that will then promote economic prosperity throughout Northeast Asia.

米国の北朝鮮に対する基本方針は「圧力と対話」でした。北朝鮮が核武装に向け時間稼ぎに利用する対話には否定的ですが、対話を頭から拒否はしていなかったのです。

「北朝鮮を潰す意図もない」ことを示すために、ティラーソン国務長官は5月3日、国務省職員への演説で、いわゆる「4つのNO」を約束しました。

北朝鮮が核開発を放棄するなら(1)体制変更は求めない(2)金正恩政権の崩壊を目指さない(3)朝鮮半島の統一を加速しない(4)38度線(軍事境界線)を越えて北進しない――です。

8月1日の会見でも「4つのNO」を繰り返していることから見て、ティラーソン国務長官は米国で盛り上がる強硬論の軌道修正を図ったと思われます

対話を拒否した副大統領

でもワシントンは、そんな融和的な姿勢はとても許されない空気になっています。ペンス(Mike Pence)副大統領は翌8月2日、記者らに北朝鮮との直接対話は拒否すると語りました。

前日のティラーソン発言を否定したものです。WSJが「Pence says U.S. Won’t Hold Talks with North Korea」(8月2日)で報じています。その部分は以下です。

U.S. Vice President Mike Pence rejected the notion of holding direct talks with North Korean leader Kim Jong Un aimed at curbing the nation’s , nuclear weapons program saying the right strategy doesn’t involve “engaging North Korea directly.”

WSJの8月2日の社説「Tillerson’s Korea Confusion」はティラーソン国務長官の「敵ではない」との発言を取り上げ「米国の都市を長距離ミサイルで狙う北朝鮮が敵ではないと言うのは明らかな偽善であり、米国を弱く見せる」と厳しく批判しました。

Saying that North Korea is not an enemy even as it threatens American cities with its new long-range missiles is obviously false and makes the U.S. look weak.

サブ見出しは「The Secretary of State offers happy talk about Chinese cooperation」。スラングを使って意訳すれば「中国との協力にいまだ期待する国務長官の脳内お花畑」です。WSJは「まだ、そんな甘い願望を持っているのか」とため息をついたのです。

55%が軍事的解決を支持

—米国人は日本が考える以上に怒っていますね。

鈴置:北朝鮮は「米国を先制核攻撃する」と公言しています(「朴槿恵は『北爆』を決意できるのか」参照)。その北朝鮮が米国まで届くICBMを保有したのです。当然、普通の米国人は、自分の身に及ぶ脅威は自らの手で取り除こうと考えます。

EEZ(排他的経済水域)にミサイルを撃ち込まれても「抗議する」と繰り返すだけの自国政府に、不満も漏らさない日本人とは大いに異なります。

FOXニュースが7月16-18日の間に実施した世論調査で、米国人に「外交的な手段だけで北朝鮮に核・ミサイルを放棄させられない場合、米国は軍事力を使っても阻止すべきと思うか」と聞いています。

55%が「軍事力を行使」と答えました。「あくまで外交手段で」と回答したのは29%です。4月23―25日の調査では、それぞれ51%と36%でしたから、世論も戦争に傾いていることが分かります。

難民で中国だけが損

—しかし、国連安保理が「強力な制裁決議」を採択しました。戦争は避けられるのでは?

鈴置:「強力」と言っているのは採択に関わった外交関係者だけです。自画自賛です。この制裁の効果がどれだけ上がるかは疑問です。まず、中国やロシアが本気で制裁を実施するかは不透明です。

仮に完全に実行したとしても、実効がどれだけあるか怪しい。北朝鮮の輸出を止めると言っても全体の3分の1程度。外貨収入を3分の2に減らされたからといって、北が核・ミサイル開発を諦める可能性はまずない。少なくとも、即効性は期待できません。

米国が求めた石油の対北朝鮮輸出の禁止を盛り込めば、かなり威力を発揮したことでしょう。これをやられると北朝鮮経済はマヒしますし、ミサイルの燃料も確保しにくくなったのですが……。中国などの反対で盛り込めませんでした。

—なぜ、中国は石油の禁輸に反対したのでしょうか。

鈴置:中国の国益を大きく損なうからです。禁輸で北朝鮮経済が混乱すれば、難民が中国になだれ込むのは確実です。

トランプ大統領は「中国ならできる」とツイートしました。そりゃできますが、やったら「中国だけが損を見る」のです。

習近平主席がもしツイッターを愛用していたなら「米国は自己中心的だ。人の身になって考えろ!」とつぶやいたと思います。

第2のミャンマーに

—中国の立場からすれば当然ですね。

鈴置:だから「北朝鮮の石炭などの輸出を止める」との国連での約束も、本当に効果が出そうになったら、中国は手を緩めると思います。

中国にはあと2つ、本気で経済制裁に踏み切りたくない理由があります。まず、北朝鮮を「米国側の国」にしかねないことです。

北朝鮮が核・ミサイル開発を諦めたら、米国が救いの手を差し伸べます。米国は旧敵と良好な関係を築くのが得意です。ドイツや日本、中国ともそうでした。

北朝鮮も米国といい関係を築くことが、隣の超大国の干渉を避ける最大の手段と考えています。

もし米朝が一気に関係を改善したら、中国外交の屈辱と言われるミャンマーの「離中接米」の二の舞です(「次は北朝鮮に触手?米国、中国包囲網つくりへ全力」参照)。

経済制裁を通じて北朝鮮に核を放棄させたら、中国は米国の強力な友好国を自分の下腹に抱えることになりかねない。「骨折り損のくたびれ儲け」どころか、外交上の大失態です。

米韓同盟を破壊するチャンス

—中国が北に核を放棄させたくないもう1つの理由は?

鈴置:北朝鮮に、米国まで届くICBMの配備を諦めさせると中国は「得べかりし利益」を放棄することになります。

北朝鮮が米本土を核攻撃できるようになると、韓国人は米韓同盟を疑うようになります。「もし北朝鮮が核で脅してきた場合、米国はワシントンやニューヨークを核攻撃されるリスクを冒してまで韓国を守ってくれるだろうか」と考えるからです。

要は、米国の「核の傘」の威力が衰えるのです。専門用語を使えば「核の拡大抑止が効かなくなる」わけです。

韓国では自ら核武装するという案と、中国の核の傘を頼ろうという案が急浮上するでしょう。すでに前者は堂々と語られるようになっています。これは『孤立する韓国、「核武装」に走る』(2016年10月刊)でじっくり論じています。

後者は大っぴらには語られにくいでしょうが、中国への外交的な接近・密着という形で、実質的に進むでしょう。

「中国の核の傘」なら信頼

—中国の核の傘は米国の核の傘よりも確実なのですか?

鈴置:確実です。北朝鮮が米国を核攻撃する可能性は低い。なぜなら、米国に核で反撃されたら国が消滅するからです。

しかし、核を使うぞと北朝鮮が米国を脅しただけで、米国が本気で韓国を守るのか「疑い」が生まれます。韓国は動揺し、米国との同盟を信頼できなくなります。

一方、北朝鮮は中国を核攻撃するぞと脅すことさえできません。経済的に生殺与奪の権を中国に握られているのです。そんなそぶりを見せただけで政権を倒されてしまうでしょう。韓国から見れば「中国の核の傘」は「米国の核の傘」よりもはるかに信用できるのです。

話をまとめます。中国が北朝鮮の核武装に歯止めをかけると、せっかく中国側に転がり込みそうになっている韓国の動きをも止めてしまうのです。

2017年5月に反米親北の文在寅(ムン・ジェイン)政権が誕生し、米国からの遠心力が働き始めました。この大統領は「反米書籍」を国民に推薦したばかりです(「『米帝と戦え』と文在寅を焚きつけた習近平」参照)。中国がこの機会を見逃すはずがありません。

韓国が米国を離れ中国に傾けば、日本も動揺します。「日米同盟をやめて中国と同盟しよう」とまではいかないにしろ「米中等距離外交」を主張する声が出てくるのは確実です。すでに、民主党政権時代に「米中等距離」を目指した実績が日本にはあるのです。

首のすげ替え論が登場

—そんな中国の事情を米国は理解しているのでしょうか。

鈴置:もちろんです。北朝鮮のICBMの試射以来、米国で「金正恩のすげ替え論」が公然と語られるようになりました。それも中国のお家の事情と、大いに関係していると思います。

(次回に続く)=8月10日掲載予定

ポンペオCIA長官は7月20日、「核と金正恩は切り離さなければならない」と語った(写真:AP/アフロ 2017年4月撮影)

前回から読む)

米国で浮上する北朝鮮の体制変更論。それは米韓同盟消滅の伏線でもある。

CIA長官が言い出した

前回は「米国で金正恩すげ替え論が公然と語られ始めた」というところで終わりました。

鈴置:初めに「すげ替え」を語ったのはポンペオ(Mike Pompeo)CIA長官でした。7月20日、コロラド州でのシンポジウムの席でした。

CNNの「CIA chief signals desire for regime change in North Korea」が伝えています。発言を引用します。

It would be a great thing to denuclearize the peninsula, to get those weapons off of that, but the thing that is most dangerous about it is the character who holds the control over them today,

So from the administration’s perspective, the most important thing we can do is separate those two. Right? Separate capacity and someone who might well have intent and break those two apart.

As for the regime, I am hopeful we will find a way to separate that regime from this system,

ポンペオ長官はまず、北朝鮮の核の脅威を核兵器そのものと、それを行使しかねない金正恩(キム・ジョンウン)委員長に2分しました。

そのうえで、最大の危険要因である後者を前者から切り離そう――金正恩体制を転換しようと言ったのです。要は「金正恩の首をすげ替えよう」と主張したわけで、政府高官としては相当に思い切った発言です。

ティラーソン(Rex Tillerson)国務長官の主張とは真っ向から対立します。国務長官は「金正恩体制の維持を保証するから核を捨てよ」と北朝鮮に呼び掛けてきました(「中国にも凄んで見せたトランプ」参照)。

斬首作戦は困難

—なぜ、CIAの長官は国務長官と180度異なる意見を言い出したのでしょうか。

鈴置:中国などの反対で、北朝鮮に対する経済的な圧迫がうまくいかない。そんな中、7月4日と28日、ついに北朝鮮は米本土まで届くICBM(大陸間弾道弾)の試射に立て続けに成功した。

ポンペオ長官はしびれを切らし軍事的な圧迫に加え、首をすげ替えるぞと金正恩委員長を威嚇するに至ったと思われます。

—「首のすげ替え」なんて、簡単にできるのですか? テレビのワイドショーではしばしば「斬首作戦」が語られますが。

鈴置:簡単ではありません。「斬首作戦」とは秘密部隊が金正恩を急襲して暗殺する方法です。しかし、これは本人の居所が分からないと不可能です。もちろん、北朝鮮側も「大将」がどこにいるか悟られないよう徹底的に情報を統制しています。

一方、米国の専門家が「金正恩のすげ替え」を語る際、北朝鮮の不満分子がクーデターを起こして金正恩体制を転覆する方法を念頭に置くことが多い。しかし、これも容易とは思えません。簡単にできるのなら、もう実行しているかもしれません。

もちろん「クーデターを起こさせるぞ」と脅せば「誰が自分を裏切るのだろうか」と金正恩委員長が疑心暗鬼に陥り、体制が動揺するでしょう。

でも「動揺」に期待するわけにはいきません。時間が経つほどに北の核武装の可能性が高まります。そんな状況下で、不確実なシナリオだけに賭けることは危険です。

リベラルなNYTも

—確かにそうですね。

鈴置:ただその後、保守派のWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)に加え、リベラルなNYT(ニューヨーク・タイムズ)も体制変更論を掲載しました。思い付きの、泡沫的なアイデアではないということでしょう。

WSJの7月30日の社説「The Regime Change Solution in Korea」はポンペオ長官の意見を紹介したうえで「もう、北朝鮮の核武装を阻止するにはこの方法に賭けるしかない」と全面的に支持しました。

WSJは具体策として「北朝鮮と取引する中国の銀行や貿易会社に対し制裁を科すことで北朝鮮経済を締め上げる」「金正恩ファミリーの犯罪を北朝鮮の国民と指導層に知らしめる」「北朝鮮が発射した直後のミサイルを撃ち落とし、データの収集を邪魔して開発を妨害する」などを列挙しています。

—そんなことでクーデターが起きますか?

鈴置:これを書いたWSJの論説委員も「材料不足だな」と思ったのかもしれません。中国が北の体制変更に乗り出すかもしれない、と付け加えています。中国は北朝鮮の軍や党との人脈を誇ります。中国なら可能と見る人が多いのです。

But a debate is already underway among Chinese elites about the wisdom of supporting the Kim dynasty. China might decide to manage the process of regime change rather than allow a chaotic collapse or war on the Korean peninsula, perhaps by backing a faction within the army to take power.

中国でも「すげ替え論」

中国の指導層の間でも北の体制変更が検討されています。2016年10月にワシントンで開かれたシンポジウムでは、中国の学者――コロンビア大学のZhe Sun上級客員研究員が以下のように語りました(「米中が朝鮮半島で談合する時」参照)。

聯合ニュースの「China scholars, policy makers begin talking about supporting surgical strike on N.K.: Chinese professor 」(2016年10月7日、英語版)を翻訳して引用します。

米韓による「外科的手術と首のすげ替え」を支持すべきだと語り始めた学者や当局者がいる。もっと過激な意見もある。中国が指導者(金正恩)を換えねばならない。軍が国境を超えて北朝鮮に駐屯し、核開発の放棄と改革開放政策の採用を迫る――との意見だ。

金正恩委員長の目には、米中が談合して自らを除去しようとしていると映ったに違いありません。

2017年2月13日にマレーシアで起きた金正男(キム・ジョンナム)暗殺事件はこの記事が引き金となったかもしれません。「すげ替え」を阻止するには「後釜」を殺すことが一番手っとり早いからです。

「すげ替え」という手法を採ろうとは言わないまでも、中国では「金正恩を見捨てた方が国益にかなう」との議論が活発になっています(「米中が朝鮮半島で談合する時」参照)。

難民が来るよりはいい

—米中合作で金正恩の首をすげ替え――。国際陰謀小説のノリですね。

鈴置:NYTへの寄稿「We need a Radical New Approach on North Korea」は「中国によるすげ替え」をもっと明快に主張しています。

筆者はレフコウィッツ(Jay P. Lefkowitz)氏。米国の北朝鮮人権大使を2005年から2009年まで務めた法律家です。

The challenge for Mr. Trump is to find a way to persuade the Chinese that a regime change in North Korea — or, at the very least, serious containment of its nuclear ambitions — is actually in China’s best interest.

「トランプ政権は、中国をして北朝鮮の体制変更を実現させるべきだ。それは中国にとっても最高の利益になる」との主張です。

「対話解決」もうれしくない中国

「『北朝鮮の核』6つのシナリオ」をご覧下さい。朝鮮半島の近未来を6つに分類してあります。

■「北朝鮮の核」6つのシナリオ

  • 軍事的に解決● ①米軍が核施設などを空爆 ②空爆が地上戦に拡大
  • 交渉で解決● ③「核武装放棄」受け入れ、見返りに在韓米軍撤収・米韓同盟廃棄 ④「米国まで届くミサイル」だけ認めずに手打ち
  • その他● ⑤クーデターで金正恩政権が崩壊 ⑥現状維持

レフコウィッツ氏の想定した軍事的な解決は①、あるいはその発展形である②に当たります。

米国は交渉で解決する③あるいは④も模索しています。対話による解決を主張する中国ですが実は内心、それらにも不安を感じている。

いずれも米朝和解につながるシナリオであり、中国は自らの柔らかい腹に米国の友好国を抱えることになるからです。中国側から一気に西側に寝返ったミャンマーが、北東アジアにも生まれることを意味します。

今の米国は中国が最も困る方法でもって北朝鮮の核問題を解決しようとしているとレフコウィッツ氏は指摘しているのです。当然、それに中国は応じないし、中朝を団結させてしまう。米国は実現性に乏しいシナリオをゴリ押ししてきたわけです。

クーデターなら八方、丸く収まる

—そこで、残る⑤の「クーデターで金正恩政権を崩壊」を中国に持ちかけよう、というわけですね。

鈴置:その通りです。これなら中国の利益を損ねない。そのうえ、大いなる利点もあります。中国が介入して政権交代を実現すれば、北朝鮮の新政権は中国の言うことを聞かざるを得ない。中国は朝鮮半島での影響力をぐんと増せるのです。

なお、レフコウィッツ氏は中国の疑念を完全に払しょくするために、米国は「1つの韓国政策」の放棄、つまり「南北統一」を追求しないと約束すべきだとも言っています。

北の政権が転覆すれば在韓米軍が北上し、中国との国境沿いにまで展開すると中国は恐れている。「北進はしない。半島の北半分は中国が自由にすればよい、と米国は確約せよ」との意見です。

—「米国の約束」を中国が信用するでしょうか。

鈴置:中国は信用し切れないでしょう。これに関連、キッシンジャー(Henry A. Kissinger)元国務長官がさらなる譲歩を提案しています。「金正恩政権の崩壊後は在韓米軍をおおむね撤収する」とまで、中国に約束すべきだと言うのです。

これを報じたNYTの「After North Korea Test, South Korea Pushes to Build Up Its Own Missiles」(7月29日)によると、キッシンジャー氏はティラーソン国務長官らにこの意見を進言済みだそうです。

この記事は、キッシンジャー氏の言う「崩壊後」が⑤のクーデターによる崩壊後とは明示していません。ただ「中国を説得できる新たな、従来とは異なったアプローチが必要だ」との発言を紹介していることから「首のすげ替え」も念頭にあると思われます。

信用しないなら脅せ

—でも、それも口約束に終わるかもしれません。

鈴置:米国には「そんなに信用できないのだったら勝手にするがいい。軍事的手段で解決する。そうなったら、困るのは中国だろ?」と言い放つ手があります。

先に引用したWSJの社説。「中国が北の体制変更に乗り出すかもしれない」と書いたくだりで「(中国にとって望ましくない)崩壊による混乱や半島の戦争に直面するよりは」と付け加えています。

レフコウィッツ氏の意見はもっと強烈です。北の体制転換に賛同しないというのなら、周辺国にミサイル防衛網を構築し中国を脅せばいいのだ、と主張しています。

結局、米国は軍事的な圧迫を強化しながら「金正恩すげ替え論」を模索していくと思われます。

朝鮮半島201Z年

—そして、つまるところは在韓米軍の撤収ですか……。

鈴置:それが直ちに米韓同盟の廃棄につながるわけではありません。しかし、同盟が弱体化する契機になるでしょう。

文在寅(ムン・ジェイン)政権は「首のすげ替え」に賛成はしないかもしれませんが、在韓米軍の撤収は受ける可能性が大です。

もともと「反米」政権なのです。6月末の米韓首脳会談でも、米軍撤収を呼ぶ「戦時の作戦統制権の返還」を改めて米国に求めました。

米国側もそれを了承しました。トランプ(Donald Trump)大統領もかねてから在韓米軍は予算の無駄使いと主張していました。北朝鮮の核問題が解決すれば、さっさと兵を引くと思います。

—米韓同盟も打ち切るのでしょうか、米国は。

鈴置:状況次第と思います。トランプ大統領は4月12日「韓国は歴史的に中国の一部だった」と語りました。4月の米中首脳会談で習近平主席からそう講義を受けたのです(「『韓国は中国の一部だった』と言うトランプ」参照)。

「韓国は中国の勢力圏に属する」と認めたのも同然です。米韓同盟を維持する意思は見られません。北朝鮮の核問題を解決するためなら、米韓同盟を「切り売り」することに躊躇しないと思います。

4月の米中首脳会談で「金正恩すげ替え」も話し合われ、ひょっとすると、ある程度の合意が固まっているのかもしれません。

—その時は、日本が大陸に向きあう最前線になります。小説『朝鮮半島201Z年』みたいになってきました。

鈴置:日本人も覚悟を固める時が来ました。

(次回に続く)

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『北戴河で習近平の「毛沢東に並ぶ夢」は叶うか 党大会で「党主席復活」「党規党章に“習近平思想”」目論むが…』(8/9日経ビジネスオンライン 福島香織)について

昨日に続き、中国の秋の共産党大会の動向です。議会制民主主義体制と違い、共産主義の人民民主体制は秘密主義を旨としますので、情報がなかなか入ってきません。「鉄のカーテン」ならぬ「竹のカーテン」です。ただ、中国は何でもご都合主義で、西側を利用する所は利用し(資金・技術・貿易)、軍事大国になるまでになりました。米日の愚かさです。

党大会が習の思惑通りに行くかどうかは分かりません。王岐山を利用した反腐敗運動で怨みを買っているためです。結局、面従腹背の役人が増え、業務停滞を招いています。中国人は上から下に至るまで賄賂を取らない人間はいません。チップのようなものと思っているのでしょう。桁は違いますが。ですから反腐敗運動が正義の実現の為でなく、政敵打倒で使われているのは、中国人は先刻承知です。

昨日の「看中国」の記事では、習は政治局常務委をなくすと噂を流しているとのことでしたが、それも噂だけに留まるのかどうか。ハッキリしていますのは習が独裁できるだけの絶対権力をほしがっているということでしょう。

習がもし、独裁できる権力を握れば、福島氏が懸念していますように、日本と戦争を引き起こすことを考えているのでは。中国は日本のことをよく研究していて、平和憲法の制約があり、自衛隊は思う存分戦えないと思っている可能性があります。戦争になれば、国民もやっと覚醒するでしょう。日本から戦争を仕掛けることはありませんから。自衛隊は超法規的存在として戦うしかありません。憲法や法改正は間に合いません。戒厳令の発動でしょう。(法律がありませんから宣言して、治安維持を警察にさせることになるかも)。中共の手先であるメデイアの活動はストップさせないと。中国に攻撃情報を与えるようなものです。

また、中国国内では「食い詰める」人間が増え、海外に人口輸出を強制的に行うのでは。毛沢東の「大躍進」のように餓死させるわけには行かないでしょう。「一帯一路」がそれに使われるのではないかと考えています。余剰産品だけでなく、人もです。AI、ロボット化は中国の人件費の高騰から来ています。この流れは変わりません。となると人口の多さが逆にハンデになります。

8/9日経電子版習近平派が牛耳る「一帯一路」と「北京大改造」 

中沢克二(なかざわ・かつじ) 1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞

中国が総力を挙げる「一帯一路」。海と陸で欧州、アフリカまでつなぐ経済ベルトづくりを通じて、中国の影響力を広げてゆく「新シルクロード経済帯」構想である。今後、長い間、天文学的な数字の巨費を投じる一大国家プロジェクトの要のポストが、いま次々と入れ替わっている。

「一帯一路を核とする大きな国家プロジェクトの司令部は、あっという間に習近平国家主席の側近らで占められた。彼らの出身地は浙江省と福建省に偏っている。“浙江閥”と“福建閥”の勢いはすごい」。中国の経済関係者が指摘する。

「一帯一路」の総合計画や国際協力を仕切るのは、かつて社会主義計画経済の司令塔だった国家発展改革委員会。トップは2月に抜てきされた習近平側近の何立峰(62)である。前任は前首相、温家宝(74)の人脈だったが、習近平派への衣替えが一気に進む。

■「浙江閥」に加え「福建閥」台頭

習と何立峰の親密さを示す32年前の物語がある。まだ30代前半だった習は、当時としては異例の若さで副市長として福建省アモイ市に赴いた。出迎えた職員は目の前の習が余りに若いため、新任の副市長だとは夢にも思わなかった。そこで習本人に「習副市長はまだ来ないのですか」と尋ねたという。

習は、元副首相の習仲勲を父に持つ「紅二代」(高級幹部の子弟)だ。いきなりやってきた若すぎる副市長が“落下傘人事”と見られたことも響いて、当初は年長の部下が多い役所で手持ち無沙汰だった。そんな習の気晴らしはバスケットボール。市の秘書職で2歳下だった何立峰もバスケ好きで、2人は年の近さもあって意気投合し、休憩時間にバスケを楽しんで親交を深めた。

「一帯一路」の要を担う国家発展改革委トップは「福建閥」の何立峰氏

スポーツは時に身を助ける。何立峰の場合、バスケが将来を切り開いたといえる。ありがちなゴルフやテニスではなく、米国のスポーツであるバスケというのが面白い。

習はアモイに赴いて2年後、軍の国民的な歌手、彭麗媛と再婚し、新婚生活を始めた。17年近く過ごした福建省で出世の階段を登っただけに思い入れは深い。この9月、ロシア大統領のプーチン、インド首相のモディらがやってくるBRICS首脳会議をアモイで開く裏には、習の想いがある。

アモイを代表する観光地のコロンス島は2017年、世界遺産に登録された。福岡県の「神宿る島」宗像・沖ノ島と同時の承認だ。コロンス島は西洋風家屋から常にピアノの音が響く風流な地である。「習主席は故郷アモイのコロンス島を推すため、一筆添えてくれたんだ」。現地の人々は、うわさし合う。

「一帯一路」に絡む習側近は、もう一人いる。中国の命脈に関わる対米貿易摩擦の処理を担う商務省のトップも習派が制した。浙江省トップだった習を副省長として支えた鐘山(61)だ。こちらは「浙江閥」。失脚した孫政才(53)の後任として重慶市トップに座った陳敏爾(56)と同じグループだ。

対米貿易問題を仕切る商務相には「浙江閥」から鐘山氏を起用

習側近の新任閣僚、何立峰と鐘山は4月、フロリダにいた。米大統領、トランプの別荘「マール・ア・ラーゴ」の米中首脳会談で、2人は習の横に並んだ。いまトランプは、フロリダで習が約束した北朝鮮への圧力が功を奏しないため、再び貿易で中国を攻める構えである。「米中貿易戦争は百害あって一利なし」。鐘山は訴えるが、さすがのトランプも中国に甘い顔は見せにくい。正念場である。

中国のマクロ経済政策の司令塔としては、中央財経指導小組弁公室主任の劉鶴(65)が知られる。「この人は私にとって重要だ」。習がこう言ってはばからない知恵袋だ。国家発展改革委トップの何立峰、商務相の鐘山は今後、重鎮の劉鶴が描く画に沿って動く。

■北京大改造と雄安新区「千年の大計」

「一帯一路」と並んで、もう一つの巨費を投じる注目プロジェクトは、大気汚染と人口増でパンク寸前の北京の大改造だ。ばらばらだった北京、天津、河北省を三位一体で開発し、バランスのとれた人口、産業の再配置を目指す。すでに北京市の核となる政府機能は中心部から東の通州地区に移った。

次の焦点は北京から150キロも離れた河北省の農業地帯、雄安地区に一からつくる新たな開発区である。「雄安新区は千年の大計である」。習自らもこう大風呂敷を広げた。現地では、習の老齢の母親、斉心の出身地近くであることが選定の決め手になった、といううわさまで出ている。

この5月、雄安新区の予定地を訪れた。広大なトウモロコシ畑と湿地帯、そして小さな町があるだけだ。毛皮加工が有名で、軒先にはピンクに着色した毛皮がぶら下がる。すでに地価高騰の兆しから土地取引は禁止されたが、ここが10年、20年後に摩天楼に一変するとは想像もつかない。

中国には、単なる原っぱだった上海浦東地区を摩天楼に変えて新空港を整備し、ディズニーランドまで引っ張ってきた実績がある。とはいえ、高度成長期はもう終わった。巨費を投じる新都市づくりには、大きなリスクも伴う。鳴り物入りだった河北省の曹妃甸地区開発は、すでに問題が生じている。

雄安新区に絡んで、北京中心から南50キロに超大型の新国際空港を建設する計画も着々と進む。19年末の完成・運用を目指す。現在の首都空港は第3ターミナルまで拡張したが、すでに満杯で便の遅れも深刻だ。2300万人の人口を抱える首都として、もう一つ空港を持つのは理にかなう。

浙江・福建両閥の顔を持つ蔡奇・北京市党委員会書記は、朝日まぶしい人民大会堂で引っ張りだこだった(3月全人代で、当時は北京市長)

「北京大改造」の中心は、5月に北京市トップに就いた蔡奇(61)だ。まだ中央委員候補ですらない。蔡奇もまた福建省の出身。1990年代末に福建省から浙江省に異動し、同じく福建省から浙江省トップに赴いた習を現地で待ち受けた。蔡奇が「福建閥」「浙江閥」の2つの顔を持つ由縁だ。

習は、珍しく人前で蔡奇の人柄を褒めたことさえある。きたる共産党大会で「三段跳び」の党政治局入りは確実だ。河北省の保養地に要人が集う「北戴河会議」が始まったとみられる8月3日、蔡奇は北京で動いた。会議で「習近平総書記の重要思想」に繰り返し言及したのだ。党大会で習近平思想を党規約に書き込むための露払い役である。慎重派の機先を制する手でもあった。

北京で蔡奇とコンビを組むのは、代理市長の陳吉寧(53)だ。首都の市長としては極めて若い。環境保護相からの横滑りである。習の出身校、清華大学の学長という経歴からわかるように明らかな習派だ。首都ナンバーワン、ツーを身内で固めた豪腕人事には、党内から驚きのまなざしが向けられている。

■「お友達人事」にただよう危うさ

「北京、天津、河北に投ずる巨費を自派(習近平派)で動かしたいと考えるのは当然だ」。元官僚はこう見る。一連の「お友達人事は」は、習の権力基盤固めに必要な権限の再編と関係が深い。長老とそれに連なる官僚の影響力が強い北京、隣に位置する直轄市の天津をいったん解体し、新都市「雄安新区」をつくる河北省と一体で開発。自派の人材を配すれば、全権限が習の周辺に集まる。

従来、北京官界には電子・機械部門に人脈を張る元国家主席の江沢民(90)、国家発展改革委を仕切った前首相、温家宝の影響力が強かった。しかも天津は地元出身の温家宝、現最高指導部メンバー、張高麗の金城湯池だ。巨大利権を習派が牛耳る第一歩が、首都大改造と雄安新区建設である。

「身内で固める人事からは基盤の弱さも見える。組織的登用の術(すべ)がないから、知り合いを配置せざるをえない」。中国の政治学者の指摘だ。これもまた真実である。習は十分な準備を経てトップに就いたわけではない。07年秋の党大会前、急浮上して「ポスト胡錦濤」の地位を固めた。

習は最高指導部メンバー入りに先立ち、上海市トップに就いたが、わずか半年間だった。その前の5年間は浙江省トップ、さらに前の17年間弱は福建省で過ごした。習は「紅二代」とはいえ、共産主義青年団のような組織的バックを持たず、浙江や福建の人脈に頼るのは致し方ない。

「一帯一路」「北京大改造」は習の目玉政策だけに、絶対に失敗が許されない。上から下まで担当者が受けるプレッシャーは計り知れない。各部門で経験が浅い習派の人材が司令塔として本当に機能するのか。誇り高き官僚らとの間に軋轢(あつれき)を生まないのか。興味は尽きない。(敬称略)>(以上)

「北京大改造」なんて不動産バブルを煽るだけでしょう。土建屋国家そのものです。8/7宮崎正弘氏メルマガ<中国の住宅ローン残高、ついにGDPの44・4% 香港のエコノミスト、朗喊平の予言「住宅ローンを組んだら99%は破産する」>にありますように、バブルの傷を深くするだけです。

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8/9日経朝刊<中国の対外投資46%減 1~6月、資本流出規制が響く 

【北京=原田逸策】中国企業の対外投資の落ち込みが鮮明になっている。1~6月の中国による対外直接投資は前年同期比46%減の481億ドル(約5兆3千億円)と大幅に減り、対中国直接投資(656億ドル)を再び下回った。当局が資本流出と人民元安を止めようと海外企業の買収を制限したためだ。資本規制を嫌って対中投資も前年割れに落ち込む。目先の市場安定を優先した資本規制は、中国企業の経営の高度化に逆風となる。

中国は1978年の改革開放から外資を大胆に導入して経済成長を実現し、対中投資は対外投資をずっと上回ってきた。国内の資本蓄積が進んだ2000年代から中国当局は「走出去(海外に打って出よ)」の掛け声のもと、中国企業の海外進出を後押し。16年には金融以外の対外投資が1701億ドルに急増し、初めて対内投資を上回った。

対外投資が対内投資を上回る国を「資本純輸出国」と呼び、経済発展が成熟してきたことを示す。中国当局も「経済貿易大国から経済貿易強国へと躍進する上での重要な出来事」(商務省)と評価していた。それが17年に再び「資本純輸入国」へと逆戻りした。

原因は当局の資本規制による対外投資の急減だ。昨年11月から1件500万ドルを超す海外買収や海外送金、両替などは当局の事前審査を義務づけた。以前の5千万ドル超から対象を大幅に広げた。さらに「不動産、ホテル、映画館、娯楽業、スポーツクラブなどで非理性的な海外投資がみられる」(商務省)とし、高い技術を持つ製造業以外の買収が認められにくくなった。

6月には不動産大手の大連万達集団、投資の海航集団など5グループの海外買収向け融資を点検するよう、銀行監督当局が銀行に要請したことが判明した。アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所とヘリテージ財団の調査では5グループの海外買収は1~6月に全体の約6割を占めた。

中国当局は当面は海外買収の制限を続ける意向とみられる。今月1日からは財政省が国有企業を対象に、海外買収に失敗した場合に担当者の責任を問う制度を導入した。買収した企業の経営が健全か継続的に調べることも求めた。「買収先のいくつかの企業は資産状況が思わしくなく、収益力も弱く、投資の収益率も低いなどの問題がある」(財政省)という。

規制で資本流出と人民元安を抑える目的は達成した一方、海外企業による対中投資が減る「副作用」も出ている。1~6月は前年同期比5%減った。特に米国(44%減)、英国(40%減)、ドイツ(37%減)など、高い技術を持つ欧米企業の大幅な減少が目立つ。「資本規制により利益を本国に送金しにくくなった」との不満が一因だ。

李克強首相は「対中投資の減少を高度に重視し、投資の障害を必ず取り除く」とハッパをかけるが、利益を出しても自国に還流できないとの懸念があれば、海外企業も投資拡大には二の足を踏む。

中国の習近平国家主席は1月の世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で「開かれた中国」をアピールした。だが、現状は中国と海外の間を行き来する資本が細り、このままでは掛け声とは裏腹に「閉じた国」に逆戻りしかねない。>(以上)

普通に考えたら、儲けた金を還流できないような国に投資する人はいないでしょう。政策がチグハグです。習は経済音痴と言われていますので、経済政策を統合する組織が必要と思われますが、余りに数字の改竄、バブルの額が巨大すぎて打つ手がないと言ったところでしょう。でも、世界制覇を目指す中国の野望を挫くには、先ず経済で打撃を与えることです。西側は中国への投資を止めることです。

記事

7月30日、内モンゴル自治区で行われた中国人民解放軍建軍90周年の記念パレードでは習近平主席が軍服姿で閲兵した(写真:新華社/アフロ)

河北省のリゾート地、北戴河で開かれる非公式会議、別名「北戴河会議」が8月3日ごろから始まったようだ。3日ごろから習近平を含む政治局常務委員7人の動静がぴたりと報じられなくなったからだ。同時に北戴河の警備がものものしくなった。

そのころ、香港誌・争鳴が7月14日に行われた政治局委員候補予備選の結果を報じた。選ばれた35人の候補で500票以上をとったのは習近平、王滬寧、王岐山だったとか。この報道を信じるならば、王岐山の留任の可能性は強い。69歳の王岐山が留任となると、共産党ルールである定年制は崩れたということになり、習近平としては三期目の展望が開けてきたわけだ。習近平独裁体制は本当に始まるのだろうか。北戴河会議の中身はまだ不明ながら、その見どころと予測について整理してみよう。

習近平派15人、胡錦涛寄り13人、江沢民派2人

争鳴の報道を信じるなら、政治局候補の名簿は以下の通りだ。

習近平派が15人。習近平(国家主席)、王滬寧(中央政策研究室主任、習近平の政策・理論ブレーン)、王晨(全人代常務委会副委員長)、丁薛祥(中央総書記弁公室主任、習近平のスピーチライター)、栗戦書(中央書記処書記、習近平の側近、大番頭)、呉英傑(チベット自治区書記)、蔡奇(北京市書記)、応勇(上海市長)、劉家義(山東省書記)、馬興瑞(広東省省長)、黄坤明(宣伝部副部長)、陳敏爾(重慶市書記)、趙楽際(中央組織部長)、楊潔篪(国務委員)、李鴻忠(天津市書記)。

比較的共青団派、胡錦涛寄りが13人。李克強(首相)、王勇(国務委員)、憂権(福建省書記)、汪洋(副首相)、許其亮(中央軍事委員会副主席、空軍上将)、房峰輝(解放軍参謀長)、張春賢(前ウイグル自治区書記)、胡春華(広東省書記)、陳全国(ウイグル自治区書記)、孫春蘭(元天津市書記)、韓正(上海市書記)、李源潮(国家副主席)、楊晶(国務院秘書長)。

江沢民派も2人いる。郭声琨(公安部長)、車俊(浙江省書記)。風見鶏的に態度を変えそうなのが周強(最高人民法院長)、曹建明(最高人民検察院長)、黄樹賢(監察部長)、張国清(重慶市長)だろうか。そして王岐山(中央規律検査委員会書記)。王岐山と習近平の距離感は今もって、よくわからない。少なくとも習近平に従順というわけではなさそうだ。これは私見であって、人によっては違う組分けもあり得るだろう。

予備選は512人の中央委員および中央委員候補、各省自治区直轄市書記らが合格、不合格の票を入れる。最多合格508票をとったのは習近平、次に王滬寧が504票、王岐山が501票。500票以上をとったのは35人中3人だけだったという。9割以上の合格票獲得者は李克強、丁薛祥、房峰輝、許其亮、趙楽際、栗戦書、楊晶らだ。

栗戦書は習近平の側近と評されるが…

この結果をみると、習近平は別として、王岐山の高得票が印象的で、普通に考えれば王岐山は政治局常務委員に留任することになるだろう。政治局委員が現行の25人のままだすると、習近平派とアンチ習近平派の勢力図は拮抗しているといえそうだ。ただし、派閥としての団結度、信頼関係の深さに関していえば、習近平派閥はかなり早急に養成されたメンバーが多く、またイエスマンが多いという印象がある。

たとえば、栗戦書は習近平の半径5メートル以内に寄り添う側近と評されているが、習近平とのしっかりした信頼関係が構築されているかというと、疑問視する人は結構いる。

栗戦書は河北省党委員会秘書長時代に当時の河北省書記であった程維高に苛め抜かれ、あわや潰されそうになったことがあり、このとき、助け舟を出したのが当時、陝西省書記であった李建国だった。李建国が栗戦書の遭遇している不条理な状況を中央に説明し、陝西省常務委員会秘書長に引き抜かなければ、今の栗戦書はいなかったことになる。団派の李建国は2015~16年、習近平によって失脚させられそうになるのだが、このとき習近平に逆らって李建国の失脚を防いだのは栗戦書であり、これが栗戦書が義理人情に厚い人間という評価の一つの根拠になっている。ただし、習近平の性格からすれば、一度自分に盾突いたことのある部下に対して深い信頼関係を維持できるかはあやしい、というわけだ。

とすると、政治局常務委員会メンバー、つまり最高指導部の顔ぶれを予想するに、習近平が全面的に信頼できるメンバーはいないかもしれない。政治局委員を最低1期務めた人間が政治局常務委員に昇格するという前例を考えれば、習近平、李克強、王岐山、汪洋、胡春華、李源潮、栗戦書、趙楽際、韓正あたりに絞られる。予備選における王滬寧の得票数を考えると彼がトップ7入りする可能性もあるが、王滬寧は地方政府における行政経験がなく、行政経験なしに政治局常務委員会入りする前例はなかった。王滬寧を一度、地方に出すという話は指導部でしばしば話題に出ているそうだが、本人が生粋の学者肌で、地方の実務で苦労することを望んでいないという噂もある。

李克強、汪洋、胡錦涛、李源潮の人間関係の深さに比べると、習近平と王岐山、栗戦書、趙楽際の関係は微妙だ。王岐山との関係の不安定さは、“十日文革”事件の背景や“闇の政商”郭文貴の暴露情報などから、推測できるだろう。趙楽際も栗戦書も今は習近平派に分類されているが、根っこは共青団派であるし、韓正に至っては、団派で江沢民派、しかも一度ならずも、習近平から汚職摘発の照準を当てられたことがあり、習近平に対しては警戒心がある。

となると、政治局全体では勢力は拮抗しているかもしれないが、政治局常務委員会では共青団派が優勢になる見通しが強い。

強人独裁「党主席」復活を目論む

そうなってくると、習近平としては政治局常務委員会の影響力、権力をいかに削ぐか、ということがテーマになってくる。そこで党主席制度の復活を目論んでいるといわれているのだ。

党主席というのは毛沢東の肩書であり、毛沢東の死後は華国鋒が受け継ぎ、その失脚後は胡耀邦が継いで、1982年に廃止された。その後は党中央総書記が新たに最高指導者職として設置された。初代総書記は胡耀邦である。

党主席と総書記のどこが違うかというと、党主席とは毛沢東のことなのだ。党の絶対的権力。一方、総書記は鄧小平体制の中で、分散された権力の一つにすぎない。天安門事件で楊尚昆が国家主席権限で戒厳令を出して以降、総書記職の権威はさらに低下し、鄧小平が確立した共産党秩序においては、政治局常務委員会メンバーの一人として以上の権限はない。つまり、政治局常務委員会の総意と総書記の意見が違えば、総書記といえども政治局常務委に従ういわば“党内寡頭民主”のシステムが今の中国共産党秩序の基礎なのだ。

党主席制度復活は、これを毛沢東時代に戻す、つまり強人独裁を復活するということが狙いだ。習近平が党大会でこの党主席制度を提案して通るかどうか。これがおそらく北戴河会議での重要テーマの一つになるだろう。

習近平はこれを実現するために、2015年暮れあたりから自分を党の“核心”と呼ばせる習核心キャンペーンを展開。また今年の6月30日に、解放軍香港駐留部隊駐留20周年記念においての閲兵式および7月30日の内モンゴル自治区朱日和訓練基地での建軍90周年記念の閲兵式において、従来の「首長」(軍内における司令官に対する呼称)ではなく「主席」と呼ばせたのも、党主席制に向けたアピールの一環ではないかと勘繰られている。建軍記念日(8月1日)にあわせた閲兵式を行った例はこれまでなく、また任期5年の間の三回目の閲兵式という点でも、習近平が軍において特別であるということを内外に印象付けようとしているということは、事実だろう。

ただ、党主席の権力が絶対的であったのは毛沢東だけであって、実力の伴わない華国鋒も党主席の地位のまま失脚したし、最後の党主席、最初の総書記であった胡耀邦も失脚した。つまり、肩書がどんなに立派でも、政治家としてのカリスマ、実力が伴っていなければ失脚するときは失脚する。中国共産党においては、そのカリスマの裏付けが軍掌握にあるということを考えると、閲兵式を繰り返す習近平の気持ちはわかるのだが、実際に習近平が軍が掌握できているかは微妙な気がする。

党規党章に“習近平思想”を盛り込めるか

党主席と並んで、習近平の独裁体制に向けた攻防の焦点は、党規党章に“習近平思想”という言葉を盛り込めるかどうか、である。

習近平思想の骨子は「四つの全面」(ややゆとりある社会の全面的実現、全面的法治、全面的改革の深化、全面的に厳格に党を治める)や「五位一体」(経済、政治、文化、社会、エコを一体化して進めることがゆとりある社会、中華民族の偉大なる復興を実現する中国の特色ある社会主義事業推進のための全体的な方針)などであるが、一番重要なのは偉大なる中華民族の復興による「中国の夢」の実現である。この「中国の夢」というのは、中国が最も栄えた清朝あたりをイメージした版図や国際社会への影響力の復興であることは、これまでの習近平の言動からも明らかだろう。

指導者の指導思想を党規に書き込むというのは鄧小平以来、慣例となっているが、しかし書き込むタイミングはたいてい任期二期目が終わる最後の花道であり、任期全体を評価されて書き込むというスタイルであった。

習近平の場合は、一期目5年が終わるこの段階での党大会で書き込もうとしている。しかも、当初は習近平の指導思想は「四つの全面」という用語であらわされていたが、ここにきて「習近平思想」という個人名を冠した用語を喧伝しだした。現在、党章に書き込まれているのは「マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論、三つの代表理論、科学的発展観点」。個人名を関した指導思想・理論はマルクス・レーニン、毛沢東、鄧小平だけであり、江沢民、胡錦涛は奥ゆかしく自分の名前は隠している。鄧小平理論は自分で書き入れたのではなく、江沢民が書き入れた。ついでにいえば、共産党において思想と理論では思想の方が格上であり、鄧小平理論というのは、毛沢東思想よりも格下という印象を守っている。

毛沢東に並ぶイメージ構築と戦争の影

もし、ここに「習近平思想」という言葉を入れれば、習近平は鄧小平を飛び越えて毛沢東に肩を並べる指導者である、という印象を内外に与えることになる。これは普通の党員からすれば、非常におこがましい行為であり、まさか本気でそんなことをするとは思えないのだが、最近の習近平の周辺では確かに「思想」という言葉が多様されているのは事実である。

こうした漏れ伝えられる情報を総合すると、習近平はこの党大会で毛沢東に並ぶイメージを作り上げたいと目論んでいるように見える。

定年年齢に達した王岐山の政治局常務委留任となれば、年齢による制限もなくなるので、習近平独裁の道が開かれる公算は高くなるという見込みもある。

しかしながら、強軍化、軍権掌握こそが共産党執政の権威を維持する方法だと考え、西側の影響力排除を最優先に、イデオロギー、言論統制の猛烈な強化と党内粛清、経済コントロールに走る習近平政権の指導思想が、30年以上にわたる鄧小平路線、改革開放の道をきた中国社会の現実と乖離していることは言うまでもなく、習近平は次の任期で失脚するか路線を転換せざるを得ない局面がくると、私は思う。というか、それを願っている。なぜなら、過去の中国の歴史を振り返れば、強軍化、軍権掌握のプロセスには必ず外国との戦争・紛争が利用されているのだ。中国が戦争、紛争をしかける相手国に日本は入っていないだろうか。習近平が突き進んでいる路線は、少なくとも日本の国家安全や経済発展にとって望ましいという気はしない。

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『中国次期政権のカギ握る王岐山氏』(8/7・14日経ビジネス FT)について

8/7宮崎正弘氏メルマガ<中国の住宅ローン残高、ついにGDPの44・4% 香港のエコノミスト、朗喊平の予言「住宅ローンを組んだら99%は破産する」>

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8/7看中国<北戴河掀暗戰 習陣營放風?再傳取消常委(圖)

中南海權斗激烈,十九大之前政局極其敏感。(圖片來源:視頻截圖)

習近平可能會取消政治局常委制度的消息,早在一年前就已熱傳,有銷聲匿跡一段時間後,在臨近中共十九大召開、北戴河會議悄然進行的當下,又再成為熱話題。習近平主導的未來政治格局備受關注。

8月5日,中國戰略研究雜誌社前社長李偉東在接受海外媒體採訪時說,習近平在中共十九大不設政治局常委、不設中共中央副主席的可能性都變得非常大。中共十九大可能就只有一個由25人或26人組成的政治局,這樣做,習就可以把他的親信都拉入政治局來。

李偉東並認為,7月30日內蒙古閱兵時,受閱軍人喊“主席好”的現象,這可能為中共十九大重新設立中共中央主席的位置作鋪墊。

此前,習近平於6月30日檢閱駐港部隊時,受閱官兵也喊出“主席好”的口號。

法廣8月6日對此分析說,如果相關消息屬實,今後北京的最高安排將不再設中共政治局常委制度。

據境外媒體披露,中共現任或退休高層目前已雲集北戴河,一年一度的“休假式”中共高層密會已經開始,當地近期進入高度警戒狀態。有人認為,過往有“老人干政”傳統的北戴河會議,已由習近平主政成功主導;不過也有觀點認為事關中共換屆人事布局,內部角力仍然激烈。

是否取消常委制、設立黨主席及取消接班人制度等中共頂層設計,早在一年多前就開始成為熱話題,其中習近平的取向成為焦點。

在2015年10月6日,海外一篇題為《紫荊來鴻:驚人之舉》聲稱有內部消息,未來只要條件成熟,或條件許可,習近平很可能會有驚人之舉。

2016年5月初,《亞洲周刊》披露,在當年的北戴河會議上,習近平當局可能要研議“取消常委制”“廢除七上八下”(即六十七歲可留任常委,六十八歲須退休)等議題。

隨後,2016年6月16日,中共黨媒《人民日報》刊登題為《中央主要領導機構歷史演進》的文章,回顧政治局常委會、中央書記處、中央軍委等機構的歷史發展過程,指中央主要領導機構並非一成不變,而是隨着形勢發展而改革完善。

《法廣》引述分析稱,這篇看似不起眼的文章暗藏玄機,或許預示十九大上可能會對領導機構進行大幅度改革。

與取消常委制配套,習近平本身的職務設置也是一個關注點。

2016年3月底,中共國家行政學院教授汪玉凱對外媒透露,中國未來可以由國家主席制變為總統制。但從目前中國的政治生態看,必須是“系統性改革”。

另一種消息指向的則並非總統制,據說習近平可能恢復設黨主席。

據香港《爭鳴》雜誌2016年12月號曾披露一份十九大籌備組下發的內部草案,指中共擬設中央委員會主席,設兩名副主席,原來的政治局常委制實質上已被打破。換言之,習近平下屆連任,將不再是總書記職務,而是黨主席。

不過,早有觀點指,有關習近平要取消政治局常委制之說,可能只是習陣營為在內部角力中取勝而有意放風。

去年8月北戴河會議期間,在外界盛傳習近平要取消常委制的消息之際。趙紫陽時期智囊團成員之一、現任加拿大維多利亞大學教授吳國光對美國之音表示,中南海進入了十九大前最後最緊要的權力再分配關頭,高層權力博弈應該是相當緊張、相當激烈。取消常委制消息不排除是習陣營有意在海外放風,目的是在博弈中“討價還價”。

他認為習近平有兩個目標:“第一,可能就是不願意接受上一屆已經安排的更年輕的政治局委員作為下一代的接班人;第二,他希望下一屆政治局常委的安排中有他自己的多數——他願意的政治局常委人選。”

【看中國2017年8月7日訊】(看中國記者李文隆綜合報導)>(以上)

北戴河では暗闘が始まっている。習陣営は噂を流しているのか?政治局常務委員をなくすとまた伝えられている。

中南海の権力闘争は激烈で、19大会前の政局はきわめて敏感だ。

習近平が多分政治局常務委員制度をなくすだろうというニュースは、1年前にはすでに広く伝わり、出て来てから時間を置いて、中共の19大会に近づき、北戴河会議が開かれている時に、再び話題を提供している。習近平主導の将来の政治の仕組みがどうなるのか関心が払われる。

8月5日、中国戦略研究の雑誌社前社長の李偉東は海外メディアのインタビューを受け、「習近平は中共19大会では政治局常務委員を設けず、中央委員会副主席も設けない可能性があって変化はかなり大きい。19大会では恐らく25~26人からなる政治局のみで、この中に習の側近を入れようとしている」と。

李偉東はまた、「7月30日の内モンゴルでの閲兵の時には、軍人から“主席は最高”を叫ばせた。これはおそらく19大会で中国共産党中央委員会主席の地位を確立するためであろう。」とも。

その前、6月30日に習近平が香港部隊を閲兵する時も、官員と兵士に“主席は最高”と呼ばせた。

仏メデイアは8月6日に分析、「もし情報が真実であれば、今後北京のトップは再び中国共産党政治局常務委員制度を設けないことを意味する。」と。

海外メディアに流したものによれば、「中国共産党の現・元高級幹部はすでに北戴河に集まって、1年に1度のリゾートを楽しむ密会は始まり、現地では近日高度の警戒の状態である。「過去には「老人が政治をするもの」という伝統的な北戴河会議であったが、すでに習近平が主導的立場になるのに成功した。」と見る人もいる。しかし、ある見方では中共の人事を変えることにつき、内部の争いは依然として激烈である。

常務委員会をなくして、党主席を作り、トップの後継者制度もなくすやり方は、1年前から話題になっていた。習近平がどう扱うかが焦点になる。

2015年10月6日に、海外の一篇として《紫荊來鴻:人を驚かすの挙》のような内部情報があり、将来条件が熟し、あるいは条件が許せば、習近平は人を驚かす挙に出ることができるだろう。

2016年5月の初め、《アジア週刊》は「その年の北戴河会議で、習近平当局はおそらく常務委員もなくし、67才定年制をもなくすなどの議題を討議するのでは。」と。

その後、2016年6月16日には、《人民日報》の中の《中央主要幹部機関は発展変化する》の文章で「政治局常務委員制度、中央書記処、中央軍事委員会などの組織の歴史を振り返り、中央主要幹部組織がいったんできあがってしまうと変更することができなくなる訳ではなく、情勢に随い、発展・改革していく。」と。

仏メデイアは、この篇の言外の意を汲み取り、もしかしたら19大会ではトップ組織の大幅改革をするのでは。常務委をなくすことと習の身分がどうなるかがポイント。」と分析する。

2016年3月末には、中共国家行政学院の汪玉凱教授は海外メディアに「中国は将来、国家主席を大統領制にするかも。但し、目下の所は中国の政治生態を見て、システム改革は必須だろう。」と。

もう一つの情報は、大統領制ではなく、習近平はおそらく党主席を再設置するのではというもの。

香港の雑誌《学術論争》は、2016年12月号で、19大会の準備として内部草案を発表した。中共中央委員会主席、両名の副主席を設け、なんと政治局常務委員は事実上になくす。言い換えれば、習近平は次も再任される。総書記でなくて、党主席として。

ただ、先の見方をした人は、「習近平が勝負に勝つために、政治局常務委員をなくす説をわざと流した可能性もある」と。

去年の8月の北戴河会議の期間は、外に向かい、盛んに常務委員会をなくすニュースを伝えていた。趙紫陽時代のシンクタンクメンバーの一人で、カナダビクトリア大学教授の呉國光はボイスオブアメリカに対し、「南シナ海に当たることは19大会の前に当たり、最後の最も重要な権力闘争に入り、かなり緊張し、かなり激烈である。常務委員会をなくすという海外に向けての情報は、目的はバクチの“かけ引き”である。

彼は、習近平は2つ目標があると捉えている。「第一は、おそらく前に決めた若い政治局員の中から、後任を出すことは受け入れられない。第二は、彼は次の政治局常務委員の数を自分自身のシンパで固めたい。」”【看中国:2017年8月7日】 (看中国の記者の李文隆が報道> (以上)

FTの記事は当たり障りのない記事で、読んでもヒントになる部分はありませんでした。ポールソンと王岐山の関係なんて、如何に帳簿を誤魔化すかを教え合ったのではと思ってしまいます。中国では、総ての企業は小金庫(賄賂と接待に使う裏金)があり、不正に手を染めていない企業はありません。

また王岐山のGITIC(広東国際投資信託公司)の破綻処理は李長春(江派)と共に当たり、首相は朱鎔基だったと思います。何のことはない、日本の銀行に泣き寝入りさせ、損を被らせただけです。各行、数百億の損になったはずです。それで文句も言えない日本企業と言うのは骨がありません。

翻って「看中国」の記事は、中国人が書いているだけあって、いろんな取材源があるようです。真実かどうか分かりませんが、習が裏で画策しているのは窺えます。成功するかどうかで、毛沢東時代のような専制政治が始まるかどうかになります。中国人の発想は西側の発想とは全然違います。習の独裁が認められれば、人民統治も苛烈を極めるでしょう。また、男が多いこともあり、地球上のあらゆるところで戦争を仕掛けて来ると思われます。西側はそれだけの覚悟があって中国を甘やかすのですか?

宮崎氏のメルマガは、不動産の価格維持の話ですが、庶民には手の届く価格ではなくなり(=実需でない)、投機の為だけで売買しているのが分かります。日本のバブル崩壊と同じく、誰かがババを引けば、バブル崩壊の序奏曲となるでしょう。而もGDPが437兆円くらいしかないとも言われています。日本のバブル崩壊では乗り越えられる体力がありましたが、中国の真のGDPでは無理でしょう。中国に投資している人は手じまいを考えた方が良いと思います。

記事

今秋の中国共産党大会を経て、習近平体制は2期目に入る。注目すべきは王岐山・政治局常務委員の処遇だ。反腐敗運動を主導してきた。“引退年齢”を過ぎても首相に推す声がある。王氏が指導部に残れば、指導力を発揮し、行き詰まっている習政権の経済改革を再び動き出させると期待される。

今秋に予定される共産党大会を控え、最高指導部人事をめぐり注目の的になっている王岐山氏(写真=ロイター/アフロ)

中国共産党の最高指導部、中央政治局常務委員の一角を占める王岐山氏(69歳)は、同氏の崇拝者に言わせると、中華人民共和国史上最高の首相になるはずだ。

王氏は現在、習近平国家主席の下で反腐敗運動の指揮をとる。過去40年にわたり積み上げてきたその経歴は、現代中国の政界においてとりわけ注目に値するものだ。

王氏は1980年代前半に若き改革派として頭角を現した。国際金融危機の際には、対米貿易をはじめとする米国との経済関係を調整した。そのほか、現代中国が経験したほぼ全ての主要な金融・経済改革において、重要な役割を担ってきた。

 

「触れたものを全て黄金に」

王氏は大学では歴史を専攻した。文化大革命で社会が混乱した後は、古代の遺物を展示する陝西省博物館に勤務した。

王氏は、上の世代の党幹部が欠いているユーモアのセンスを持ち合わせていることで知られる。

また、政権トップの中でも特に読書家といわれる。友人や同僚によると、公的な発言でも私的な会話の中でも話題を次々と転じることが珍しくないという。その興味はアレクシ・ド・トクビルの有名なフランス革命研究から最新の天文学説に及ぶ。

王氏は1990年代半ばに、将来有望なテクノクラート(高級官僚)として中央政界に登場した。中国初の国際投資銀行である中国国際金融を発足させるべく働いた時のことだ。同行は中国建設銀行と米金融グループ、モルガン・スタンレーとの合弁事業だった。後者はその後、2004年に撤退した。

1990年代末に、国有投資グループの広東国際信託投資公司(GITIC)が50億ドルの負債を抱えて破綻した。王氏は、この中国史上最大の破綻処理を監督。その後2010年まで、国有銀行部門の再編に深く関わった。

GITICの破綻処理を成功させたことで、王氏は中国最高の「消防隊長」と呼ばれるようになった。03年に北京でSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した際には北京市に移り、公衆衛生危機を鎮静化させることに成功。引き続き、08年に開催される北京オリンピックの準備に当たった。

ある政府高官は、「王岐山が触れるものは全て黄金に変わる」と表現する。王氏をギリシャ神話のミダス王になぞらえたこの例え話は、広く知られるようになった。北京で昨年来、「王氏を首相に」という声が高まっている理由の一端はここにある。

過去の慣例に従えば、今秋に予定される党の主要会議で、現職である李氏の5年間の首相続投と王氏の引退が承認される。しかし、ある政府高官が昨年10月に公の場で、引退年齢とされているものは「全くの俗説にすぎない」と発言した。また党の機関紙も、幹部の任命に際して「単純に年齢で線引きすることはできない」という習氏の発言を伝えた。

こうした発言を背景に、李氏が、お飾りにすぎない全国人民代表大会(国会に相当)委員長に降格させられるとの臆測が浮上している。経済問題に対する李氏の権限は、習氏の権威に押されて縮小を余儀なくされている。この状況は、王氏を首相の座に押し上げる道を開く。

李氏が首相の座にとどまり、王氏も政治局常務委員のまま経済や金融を担当する、というシナリオもあり得る。中国政界にパイプを持つあるアジアの外交官は、「習氏と李氏は和解した」と語り、李氏が留任するとの見方を示した。

しかし、状況はいずれとも定まっていない。党大会を前にした駆け引きは、ぎりぎりまで続く。王氏の処遇については、党大会の最後に習氏と同氏の2期目を支える指導部が壇上に登る瞬間まで、確実なことは言えないのだ。共産党のある元中央委員は最近、「次期首相が誰になるのか、我々にも分からない」と、ごく親しい者たちに語ったという。この会話を知る2人の関係者から聞いた話だ。

王氏には敵も多い。特に、反腐敗運動を指揮した5年の間に多くの敵を作った。それゆえ党内の激しい政治工作に足をとられる危険性も高まっている。

今年の春以降、これまで表立った動きを見せなかった米ニューヨーク在住の中国人富豪、郭文貴氏が、ツイッターやユーチューブを通じて、王氏とその家族を非難する発言を派手に繰り返している。発言の多くは、王氏の家族と中国の複合企業である海航集団との疑惑の関係に関するものだ。同社の不透明な所有構造については、海外の規制当局も調査を実施している。

海航集団は郭氏からの非難を懸命に否定する。非難を裏づける証拠は今のところ存在しない。しかし、中国問題の専門家の中には、王氏が国営メディアに登場しない期間が長くなればなるほど、王氏と習氏の関係が悪化している可能性が高まると見る者もいる。

中国共産党政治局常務委員を務める7人。中央に習近平国家主席、その右に李克強首相、右端に王岐山氏。秋の党大会を経て、この顔ぶれはどう変わるか(写真=新華社/アフロ)

孫政才氏の失脚の裏にも……

習氏も王氏も、中国共産党の初期の革命活動家の家系につながる、いわゆる「太子党」だ。習氏の父親は党の幹部。王氏は別の幹部の娘と結婚した。

中国メディアの報道によると、両氏は遅くとも文化大革命の時には知り合っていた。共に「下放」された陝西省で、将来の上司となる習氏に王氏が経済学の教科書を貸したという。

王氏(左)と習近平国家主席は文化大革命の時、ともに「下放」され陝西省で出会った(写真=ロイター/アフロ)

王氏が政治的に失脚するという噂は、習氏が王氏をライバルとして警戒しているせいだとされることが多い。しかし、これまでのところ、そうした噂はどれも誇張されたものであることが分かっている。

王氏は公の場に姿を表さなくなることがよくある。これは通常、彼自身ではなく、ほかの人間が危険に陥っているしるしと見なされる。

事情に詳しい2人の関係者によると、最近では、7月に入って王氏が久しぶりに姿を現した直後、中央規律検査委員会が、習体制を支える現職政治局員の身柄を初めて拘束した。習氏の後継者と目されてきた孫政才氏だ。中国の大都市の一つ、重慶市の党委員会書記だった孫氏は、「重大な規律違反」があったとして調査を受けている。

一方、王氏による中国金融界の腐敗摘発は衰える兆しを見せない。この動きは今年に入って始まり、肖建華氏など金融業者や民間の大物が次々と拘束された。肖氏は中国でも指折りの富豪で、資産は400億元(約6600億円)とされる。肖氏には、支配下の銀行や上場企業を使って、様々な金融機関の株価をつり上げた疑いがかけられている。

金融部門の捜査に詳しいある中国高官は「肖建華はがんだ。彼は実体経済に何の貢献もしていない。多くの者と自分自身を大いに富ませたが、国家には害悪をなした」と指摘する。

この高官はさらに、王氏による捜査の背景には、経済政策上の大きな目的があると続けた。「金融制度を、経済成長のテコとして利用するのをやめることだ。それができれば、投機的資産バブルなど、ほかの多くの問題も消え去る」

王氏を特に強く推しているのは、中国国内の経済改革派と、国際企業の経営者、海外の外交官らだ。彼らは、世界第2の経済大国となった中国は、朱鎔基氏のような気質を持つ改革派の首相を切実に必要としていると考えている。朱氏は1998~2003年に中国の首相を務めた人物で、王氏の師でもある。

 

朱鎔基氏の後を継ぐ

朱氏は首相を1期しか務めなかった。しかし、退任時には自分が大きな実績を残した首相として記憶されることを確信していた。中国は同氏の任期中に世界貿易機関(WTO)に加盟するとともに、産業・金融部門の国有企業を対象に抜本的改革を断行した。

1期目の習政権は、朱氏が成し遂げたような複雑で痛みを伴う改革に取り組むことができなかった。また取り組む意欲にも欠けていた。

改革派の官僚は、朱氏をしばしば「偉大なる首相」と呼ぶ。朱氏に近い2人の関係者は、同氏は2期目の続投を強く望んでいたと証言する。しかしその望みがかなわなかった時、朱氏は自分の仕事をいずれ王氏が引き継ぐことを期待したと、この2人は続けた。

中国の指導部人事に詳しい別の人物によると、王氏を政治局常務委員に押し込んだのは朱氏だったという。

しかし、王氏を腐敗を取り締まる組織のトップに据える決定は、王氏自身にとってさえ驚きだった。中央規律検査委員会の内部会合を撮影した1本の動画が流出している。その中で王氏は、一人の委員が新たに難しい仕事を課せられ「自分は準備ができていない」と渋っていることについて、次のように冗談めかした発言をしている。

「私も(12年には)『中央規律検査委員会を率いる準備など、申し訳ないが、できていない』と尻込みしたものだ。私がこの組織のトップに立つことなど誰が考えただろう。誰も考えなかったことだ。そう言って断ろうとしたとき、私だって本気で渋っていたさ」

王氏と親しいある人物は、「彼には世界的な人脈があり、常にコンタクトをとっている。同僚たちの大半が自分と同じようにしないのは恥ずべきことだと彼は言っている」と話す。

米財務長官や米金融大手ゴールドマン・サックスのCEO(最高経営責任者)を務めたヘンリー(ハンク)・ポールソン氏は、15年に発表した回顧録『ディーリング・ウィズ・チャイナ』の中で、世界金融危機の真っただ中で王氏と会談した際に受けたある忠告を振り返っている。

「ハンク、あなたは私の先生だったけれど、自分たちのシステムを見詰め直してほしい。我々は、あなたたちからこれ以上学ぶべきか確信が持てずにいる」(王氏)

金融危機の時、王氏(右)はポールソン米財務長官(当時)に苦言を呈した(写真=ロイター/アフロ)

一方、国家主導の資本主義という中国独自のモデルを王氏は信頼している。その自信は、むしろ強まる一方に見える。あらゆる面で統制を強めてきた習氏の独裁的な姿勢についても、王氏は不安な様子を一切見せない。王氏は今年2月、公の会合の席で「党と政府の分離というようなことはあり得ない」と発言した。

王氏はまた、自分が政治の表舞台に残るか否かにかかわらず、自身と習氏が5年前に巻き起こした政治改革旋風は今後も続くと考えているようだ。

流出した動画の中で、王氏はこう語っている。「反腐敗運動は、一陣の突風のようなものでもなければ、数日で過ぎ去るものでもない。この運動に始まりはあっても終わりはないのだ」

Tom Mitchell, Gabriel Wildau, and Henny Sender ©Financial Times, Ltd. 2017 Jul.28

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『米太平洋軍司令官が語ったアジア太平洋の3つの脅威 強固な日米同盟で北朝鮮、中国、ISに対抗を』(8/3JBプレス 北村淳)について

8/7産経<【北朝鮮情勢】中国外相、米の独自制裁に反対と伝達 マニラでの米中会談>

http://www.sankei.com/world/news/170807/wor1708070001-n1.html

8/6産経<【北朝鮮情勢】米、中国の制裁履行を見極め 「二次制裁」準備で圧力 トランプ氏「北に甚大な打撃」と称賛 >

http://www.sankei.com/world/news/170806/wor1708060045-n1.html

8/7産経<【緊迫・南シナ海】中国の時間稼ぎ奏功 ASEAN会議 軍事拠点を既成事実化、南下食い止め手立てなく>

http://www.sankei.com/world/news/170806/wor1708060054-n1.html

北朝鮮に対する決議ですが、北も中国も守ったことはないでしょう。今回も中国は裏で北に便宜を図るはずです。中国としては北を使って米国一極支配を打破したいと思っているのですから、当然でしょう。「騙す方が賢い」と評価される国ですから。時間稼ぎに使われるだけです。さっさと金融制裁、制裁関税に踏み切った方が良いと考えます。両国とも国際ルールを守らないというか、ルールは破るためにあると思っている国です。

翻って日本が満州進出した時に、中国(顧維均)は国際連盟に日本の不当性を訴えました。元々満洲は漢族の土地ではなく、満州族の土地です。万里の長城より北ですので、漢族が今でも中国の領土としているのは、南モンゴル、ウイグル、チベット同様おかしいことです。孫文だって、日本に満洲譲渡の交渉をしようとしていました。中国はいつでも二重基準です。利用できるものは何でも使います。力が弱いときには国際組織を使って嘘を蔓延させました。

http://blog.livedoor.jp/aryasarasvati/archives/46798335.html

また中国は新京(長春)の満洲国皇宮を偽満皇宮博物院と呼んで貶めて展示しています。歴史の改竄は、彼らはお手の物。「歴史」という言葉も日本が中国に伝えたのですから。「歴=暦」と「史=記録係の役人(岡田英弘)」しかありませんでした。両者とも“history”の意味はありません。日本が満州国を植民地化したと中国は言っていますが、愛新覚羅溥儀の家庭教師をしたジョンストンの『紫禁城の黄昏』には溥儀が望んで満洲王朝を作りたがったと言う話が出てきます。岩波版は都合の悪い部分はカットされているようで、渡部昇一氏監修版をお勧めします。頭が左翼洗脳脳の人ほど読んだ方が良いでしょう。何せ2004年くらいに丹東の「抗美援朝(米国に対抗し、北朝鮮を支援する)博物館」に行ったときに、朝鮮戦争は南鮮が起こしたと歴史的事実と真逆のことが書かれていましたのでびっくりした覚えがあります。改竄・捏造の得意な国です。外国人には漢字が分からないと思ってのことでしょう。

http://10mtv.jp/pc/column/article.php?column_article_id=329

http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogdb_h21/jog589.html

http://nettaro-note.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-e0e8.html

ハリス司令官としては大統領命令があればいつでもとの思いでしょうが、トランプ政権の腰が定まりません。ケリー、マクマスター、マテイスと軍人官邸と言われますが、バノンとマクマスターの相性が悪く、バノンはマクマスターを追い出そうと右翼メデイアを使って攻撃、解任の噂も出ているとのこと。(8/7日経朝刊)。米国がモタつけばモタつくほど中国に陣地を取られていきます。ASEANの動きで分かるでしょう。早く中国を金融制裁し、国際取引の場から締め出すことです。戦争や侵略を認めることになるより良いでしょう。

記事

ハリー・ハリス海軍大将(2016年12月7日撮影、資料写真、U.S. Marine Corps Photo by Lance Cpl. Patrick Mahoney/Released)

7月28日、駐米日本大使が主催した会合(第4回Japan-U.S. Military Statesmen Forum )でアメリカ太平洋軍司令官のハリー・ハリス海軍大将が講演し、アジア太平洋地域(太平洋からインド洋にかけての広大な海域の沿岸諸国ならびに海域)が直面している軍事的脅威について説明した。説明の概要は以下のとおりである。

アジア太平洋地域が直面する軍事的脅威

(1)北朝鮮の核弾道ミサイル

ICBMを手にした北朝鮮は、国際平和と安定に対する「明確かつ差し迫った」脅威である。それは、日本とアメリカにとってだけでなく中国にとってもロシアにとっても、そして世界中にとっても共通の脅威といえる。なぜならば、北朝鮮のミサイルは日本やアメリカのみならず、あらゆる方向に向けることができるからである。したがって、国際社会は協調して、とりわけ日米韓は緊密に連携して北朝鮮に対する経済制裁を強化し続けなければならない。

北朝鮮に対する経済制裁という外交努力が効を奏するには、日米韓は現実味のある強力な戦力を見せつける必要がある。そのためにアメリカ海軍はイージス艦を伴った空母打撃群を派遣し、世界最強の攻撃原潜を出動させ、そして爆撃機もこの地域に常駐させている。また、日本の防衛を鉄壁に維持するため、最新最強のF-35戦闘機、P-8哨戒機そしてMV-22(オスプレイ)を展開させているのである。

中国は北朝鮮唯一の同盟国であり、北朝鮮に対して最大の影響力を持っている。そこで、以上のような軍事的支援を伴った北朝鮮に対する経済的・外交的圧力とともに、中国による北朝鮮への経済的圧力が強化されることが、朝鮮半島の平和が保たれるために何よりも大切である。

(2)中国による海洋進出

国際社会が北朝鮮の核兵器開発を牽制するために中国の協力を期待しているからといって、中国による強引な海洋侵出を容認することはできない。今週も(東シナ海上空で)米軍機に対して中国戦闘機が危険な方法で接近して威嚇するという事案が発生した。このような無責任で危険極まりない中国側の行動が(東シナ海や南シナ海の上空で)頻発しているのは、理解に苦しむところである。

中国は、南シナ海に人工島を建設して軍事拠点化し、領域紛争中の海域や島嶼環礁に対する中国の主権を既成の事実としようとしている。それらの軍事施設を伴った人工島は、南シナ海の物理的、政治的な状況を根本的に変えつつある。しかし、かねてより指摘しているように、われわれは“偽の島”を真に受けてはならない。

中国軍艦はアメリカの排他的経済水域内で作戦行動をとっているが、それに対してアメリカは何ら苦言を呈していない。なぜならば、そのような海域は公海であるからだ。ところが、アメリカの軍艦や軍用機が中国軍艦や中国軍機と同じ行動を(中国の排他的経済水域内で)とると中国当局は抗議をしてくる。このように、中国は国際的ルールを選択的に用いているのである。

かねてより繰り返し主張してきたように、中国には現実的な対処、すなわち「このようにあってほしい」と期待するのではなく「このようである」として対処しなければならない。我々は、中国と協調できる部分をより発展させるために、中国と協調できない部分に関して妥協してしまうことは避けねばならない。

(3)ISのフィリピンへの勢力浸透

フィリピンに勢力を浸透させているISも、アジア太平洋地域における大きな軍事的脅威の1つと言える。

フィリピン南部に勢力を張り巡らせているアブ・サヤフ(イスラム原理主義組織)の指導者の1人であるイスニロン・ハピロンは、昨年、ISの東南アジア指揮官に指名されている。(今年の5月から6月にかけて)ミンダナオ島のマラウィ市におけるフィリピン軍治安部隊(アメリカ軍特殊部隊も支援していた)とアブ・サヤフの武力衝突は、東南アジア地域において発生したISの影響を受けた武装勢力による戦闘としては最大規模のものであった。

アメリカ海兵隊とフィリピン海兵隊の対アブ・サヤフ合同訓練

マラウィ市での戦闘は、外国から流入したISのイデオロギーや戦闘資源やノウハウが地元出身者の間にも浸透し、東南アジアにも拡散しつつあることを物語っている。

ISのような暴力的過激組織の勢力の伸張を防ぐためには、国際協力が必要不可欠である。このようなIS打倒のための国際連携に日本は貢献している。たとえば、日本がフィリピンに供与した巡視船や海洋哨戒機などは有用だ。アメリカも、新型哨戒機をフィリピンに提供し、それらはミンダナオ島やスールー諸島での対IS作戦に貢献している。

このような二国間(日本とフィリピン、アメリカとフィリピン)の協力も大切だが、それ以上に効果的なのは多国籍間の協働(共通の目的に向けての協力)である。最近実施されたアメリカ、日本、オーストラリア、そしてインドによる合同軍事演習は、批判を加える勢力もあるが、民主主義という共通の価値を分かち合って集結する安全保障協力関係の構築努力と言える。

講演するハリス司令官(写真:米国防総省)

*  *  *

以上のようにハリス司令官は北朝鮮の核ミサイル、中国の海洋進出、そしてISの東南アジアへの浸透がアジア太平洋地域の3大軍事的脅威であることを説明した。

同時に、アメリカがアジア太平洋地域を最も重視し、今後も最優先で関与していくことが、アメリカの指導者たちの共通認識であることを強調した。

ハリス大将によると、これまでの70年と同様に、アメリカ太平洋軍は今後もその強力な統合戦力で睨みを効かすことによりアジア太平洋地域の軍事的安定を維持していき、アメリカが太平洋国家そして太平洋のリーダーとしての地位に留まり続ける決意であるという。そして、世界中で脅威が高まり、より強いリーダーシップが求められている今日ほど強固な日米同盟が求められている時はない、と日米同盟の必要性を繰り返し強調した。

米海軍が誇る空母打撃群

いまだに定まっていない中国に対する姿勢

本コラムでも何度か触れたように、ハリス司令官は太平洋軍司令官に就任する直前の太平洋艦隊司令官時代より、中国による好戦的な海洋進出政策に対して強い警鐘を鳴らし続け、対中強硬派とみなされていた。しかし、極めて“平和愛好”的な日本主催の会合での講話であることに加え、アメリカとしては中国に北朝鮮への何らかの圧力を発揮してもらうことを期待せざるを得ないという状況のため、ハリス大将の中国に対する姿勢は上記のように穏やかなものであった。

ただし、アメリカ海軍関係者たちの間では、来年の「リムパック2018」に中国を招待したことを巡って、それを容認したとしてハリス司令官を含む海軍やペンタゴン上層部を強く批判する人々も存在する。

また、アメリカ軍関係者たちの間では、東アジア地域での新興覇権国である中国と既成覇権国であるアメリカは武力衝突が避けられないという「トゥキディデスの罠」に関する議論も半年以上にもわたって続いている。さらには、最近、中国海軍首脳が明らかにした最新鋭潜水艦技術を巡っても、アメリカ海軍関係者たちの間では中国に対する姿勢を巡って意見の対立が見られる。

そのため、果たしてトランプ政権がアジア太平洋を最優先させるのか、中国に対して封じ込め的姿勢を取るのか? それとも融和的姿勢を取るのか? については、いまだに定まっているとは言えない状況である。

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『一瞬の蜜月関係が終わった米国と中国 北朝鮮を制裁しない中国に米国は「失望」』(8/5JBプレス 古森義久)、『「日本に核武装させるべきか?」米メディアに現れ始めた「日本頼み」の論調』(8/4NewSphere)について

トランプは習近平に騙されたと思っているでしょう。習はトランプを騙せて賢かったと思っているのでは。そもそも中国人を信用するのが間違いです。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」と言う価値観で動いていますので。北の問題を始め、時間の利益を中国・北朝鮮に与えてきたことになります。南シナ海だって2015年9月に習近平はホワイトハウスで「軍事化することはない」と約束しました。今はもう完全に軍事基地化したではないですか。

http://www.sankei.com/politics/news/170801/plt1708010007-n1.html

米国がロシアと対抗するために中国という悪魔の帝国を製造したわけです。壜の蓋論で日本を抑えながら。製造物責任は米国にあります。米国が解決する義務を負います。今になって日本にだけ押し付けられても、片づけられないくらい中国は軍事力が突出してしまいました。ただ、日本の核武装は必要と思います。第二、第三の広島、長崎を出さないために。唯一の被爆国ですから、核を持つ権利はあります。左翼政党・左翼メデイアは反対するでしょうけど、彼らは中共の手先ですから、当然そうするでしょう。

米国が北を攻撃するのは9月以降かもしれません。8月までに北朝鮮にいる米国民の国外避難を求めているからです。遠藤氏のブログによれば、本年9月から1年の内には攻撃があるかもしれないとのこと。

http://endokentaro.shinhoshu.com/japan/post4918/

韓国は愚かにも中国と北の煽動に乗り、8/15ソウルの米大使館前で反「THAAD」のデモをするようです。自国の安全に関することなのに、政府も司法もデモを許すところに、衆愚民主の弱さがあります。敵はそこをついてきて利用するだけです。共産主義国は自国の自由なデモは簡単に鎮圧できますので。天安門事件のように容易に虐殺します。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/08/03/2017080303030.html

8/6宮崎正弘氏メルマガに<マレーシア、中国のフォレストシティをめぐり政局化 マハティール vs ラジブ政権+サルタン連合が「主権」で論争>という記事が載りました。北海道にも同じ手でやってくるのではと危惧されています。いつの世でも人口侵略を実践して来た中国ですから、さもありなん。ラジブとサルタンには賄賂を贈っていると思います。日本では、官僚に賄賂は贈れませんが。中国でも人件費が上がり、AI化やロボット化が進んできています。人口の多さが消費を支える筈(でも富の分配がうまく行ってないため、個人消費の占める割合はGDPの37%)でしたが、それが逆回転し出しています。そうなると共産党が考えるのは人口輸出・棄民でしょう。そこの土地も奪い、中華帝国に跪くようにすることを狙っていると思います。

http://melma.com/backnumber_45206_6565870/

中国で流行っていると言われるレンタサイクルが日本に進出との記事。中国では返さない顧客が多いので潰れた会社が2社ありましたが。中国のモバイク進出も軍事用なのかもしれません。日本のGPSを使って攻撃地点を調べるように使われるかもしれません。日本の役人はセキュリテイに危機感がなさ過ぎです。

http://www.imasugu-chinese.net/chinese/post19685

https://japan.cnet.com/article/35103252/

古森記事

米フロリダ州にトランプ氏が所有するリゾート施設「マーアーラゴ」で、中国の習近平国家主席(左)を歓迎する米国のドナルド・トランプ大統領(右、2017年4月6日撮影)。(c)AFP/JIM WATSON〔AFPBB News

米中関係の“ミニ蜜月”は終わった――米国のトランプ政権の最近の対中姿勢と、中国側の反応をみていると、北朝鮮問題に共同で対応しようという一時の協調関係は完全に終了し、本来の対立状態へと戻ったようである。新たな米中対立は、日本にも当然、大きな影響を及ぼしそうだ。

中国への失望が鮮明に

トランプ大統領は4月上旬の習近平国家主席との米中首脳会談で、北朝鮮の核兵器開発阻止のための協力を中国に要請した。北朝鮮経済の生殺与奪も可能な中国に、石油の輸出停止など北朝鮮に対するこれまでにない強硬で大規模な経済制裁措置をとることを頼んだのである。それと引き換えに、トランプ政権は経済面や軍事面での中国の荒っぽい行動への抗議は当面みあわせるという態度をとった。

トランプ政権はこの対中要請に、米中貿易不均衡問題での中国側の善処策とからめ、100日間という期限をつけた。その間、トランプ大統領は中国への批判を一切行わず、逆に「習近平氏は好ましい人物だ」などいうコメントを発し、米中協調の構えをみせた。

もともとトランプ氏は、大統領選キャンペーン中から中国に対して厳しい非難を浴びせていた。当初は、中国の巨大な対米貿易黒字や、米国企業を不当に扱う不公正貿易慣行、知的所有権の侵害など、経済分野での非難だった。だが、次第に南シナ海での無法な領有権の主張やその拡大についても批判するようになった。中国からの米国の官民に対するサイバー攻撃もトランプ氏は糾弾していた。

ところがトランプ政権は、4月上旬に、中国に北朝鮮への圧力行使を要請するのに伴い、こうした批判的な対中姿勢を一変させた。それ以降の米中関係は、あたかも小さな蜜月関係に突入したかのようだった。

しかし、中国は北朝鮮問題に関して米国が求めるような動きを見せなかった。トランプ政権は中国への批判的な姿勢の表れとして、6月下旬に台湾への兵器売却を決定し、7月初頭には南シナ海で中国の領土拡張に抗議する意を込めた「航行の自由作戦(FONOP)」を実行した。いずれも中国政府が嫌がる動きであり、同政府はその両方について米国政府に激しい抗議の意を表明した。

そして、「100日の猶予」が完全に終わる7月中旬ごろには、トランプ政権の中国への失望が鮮明となった。

とくに北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)と豪語する長距離ミサイルの実験発射を7月に2回実施すると、トランプ大統領は「中国には失望した。アメリカの政治指導者たちはこれまで中国の対米貿易黒字の巨額な膨張を許容して、中国側に利益を与えてきたのに、中国はこちらの要請を受けても北朝鮮に圧力をかけもしない。この状態を続けることはできない」と激しい中国非難を打ち上げた。

トランプ大統領の対中非難に呼応するように、CIA(中央情報局)のマイク・ポンペオ長官も米国の一部メディアとのインタビューで、「米国にとって中期、長期の最も深刻な脅威は中国だ」と語った。ポンぺオ長官はさらに「経済面でも軍事面でも米国に対して最もチャレンジをする能力を持つのは中国だ。南シナ海でも東シナ海でも、中国は米国やその同盟国の利益を盗むか、侵すかしている」とも述べた。

中国側は国営新華社通信がこのポンぺオ長官の発言を詳しく取り上げ、「米国は自分たちのせいで生まれた危機を中国のせいにしている」と反撃した。トランプ大統領自身の中国批判に対しては中国外務省の報道官が「米国政府は北朝鮮の核危機を中国の責任だと非難するが、まったくの的外れだ」と反論した。

民主党勢力もトランプ政権に同調

トランプ政権は同時に議会の共和党議員たちと連携して、北朝鮮との取り引きを続けている中国企業への経済制裁の強化や、中国企業の米国との間の不公正な貿易慣行を新たに指摘して、経済制裁をかけるという動きにも出始めた。

この動きには議会の民主党勢力も珍しくトランプ政権に同調する形で、中国企業による対米投資に厳しく規制をかける措置を提案し始めた。上院の民主党院内総務のチャック・シューマー議員は8月1日、「中国政府が北朝鮮の核開発を抑える具体的な行動をとるまで、中国企業の米国内の企業買収を一切、認めない政策をとるべきだ」というトランプ政権への要望を発表した。

中国側も黙ってはいない。トランプ政権や米国議会のこうした姿勢の硬化に反発し、政府報道官の言明や国営メディアの評論を通じて米国を非難するようになった。

米中関係のこうした悪化によって日米同盟が強化されるという現象も起きている。安倍晋三首相はこれまで、北朝鮮の核問題で中国に頼ることは賢明ではないという見解をトランプ大統領に伝えてきた。しょせん中国は米側の思いどおりには動かないという意味の見解である。現実の展開は、この見解が正しいことを証する形で動いたわけだ。米中両国が安全保障面で再び対立すれば、米国は在日米軍の基盤となる日本との同盟関係をより重視するようになるであろう。

NewSphere記事

supot phanna / shutterstock.com

このところの北朝鮮の相次ぐ大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験成功は、米本土に到達する能力を秘めたものであるだけに、アメリカの危機感を大きく煽ったようだ。しかし、外交的手段は手詰まりで、直接攻撃にも踏み切れない状態だ。これに業を煮やしたような形で、米メディアには、北の核に対する最も有効な抑止力は、「日本の核武装」だとする論調も出始めた。

◆日本のタブーは破られた  FOXニュース(web版)は、「日本の核が北朝鮮の攻撃を止めるか? 北の実験で弱まる日本のタブー」と題した記事で、専門家の意見を交えて日本の核武装の是非を論じている。冒頭で、「北朝鮮がさらなる長距離ミサイルの実験で核の野望を前進させる中、かつては考えられなかったことが日本でメインストリームになりつつある。非常に不安定な地域で生存するために、日本には核による抑止力が必要だという考えが、議論されているのだ」と書く。

4人の専門家がFOXニュースのインタビューに答えているが、それぞれ日本の核武装に対して賛成、反対の違いはあるものの、共通しているのは、今の日本には核武装を議論することのタブーがなくなったという認識だ。Center for Non-proliferation Studies(核不拡散研究センター)のアナリスト、マサコ・トキ氏は、世界で唯一の被爆国である戦後の日本には、「政治家が少しでも核武装を論じただけで辞任に追い込まれる」ほどの“核アレルギー”があったことを指摘。しかし、北朝鮮と中国の脅威が急激に増している今は、そのタブーが破れ、「比較的自由に論じられるようになった」と述べている。

国際戦略研究所のエグゼクティブ・デレクターで『Asia’s Latent Nuclear Powers(アジアの潜在的核戦力)』という著書があるマーク・フィッツパトリック氏は、事態はさらに進んでいて、核武装をするべきだという考えが「主流になっている」と分析する。ポリティカル・リスクのコンサルタント会社を運営するアンダース・コール氏も、「日本では、過去数ヶ月間で核武装を支持する軍事アナリストが急増した」と語る。

◆「日本が核を持てば情勢はさらに不安定に」と反対派  FOXニュースは、戦後日本の“核のタブー”がなくなった理由に、隣国の中国が核保有国として領土拡大の野心をあらわにしていることと、北朝鮮の相次ぐミサイル発射実験、トランプ米大統領が自国を優先し、日米安保における日本の役割の拡大を望んでいることを挙げている。

それを十分に認識したうえで、フィッツパトリック氏は核不拡散を提唱する立場から、日本の核武装に「私は、それは非常に危険だと思う。なぜなら、故意であろうが、偶発的であろうが、(極東地域の)軍拡競争と核取引の機会を加速させるからだ」と反対する。また、アメリカは敵対している国に対しても同盟国に対しても、等しく核の不拡散を求めている。その点でも、日本が核武装すれば、アメリカに大きな外交的課題が突きつけられるという見方を示している。

そもそも日本はアメリカの核の傘に守られているので、独自に核を保有する必要がないと主張する専門家もいる。カーネギー国際平和基金の核政策プログラムの共同ディレクター、ジェームズ・アクトン氏は「日本の核兵器だけではない。アメリカの核兵器もあるのだ」と語り、「これは日本が核を保有すべきだという議論において、見逃してはならないことだ」と強調している。

◆賛成派は「最大にして唯一の抑止力」  一方、ユダヤ系保守メディアのコメンタリー誌(web版)は、「日本が核武装すべき理由」と題した記事で、日本の核武装を強く推している。相次ぐ北朝鮮のミサイル発射実験に対し、今のところトランプ政権は無策であり、事態は悪い方向に進んでいると同メディアは見る。そして、「大統領選の最中、トランプは日本と韓国には核兵器が必要だと示唆した。後に幅広い層からの批判を受け、自ら撤回したが、日本について言えば、彼は間違っていなかったかもしれない」と書く。もはやアメリカの核抑止力が無視され、外交的手段では北朝鮮の蛮行を止めることができない以上、隣国の日本が核を持つこと以外に解決策はないという考えだ。

コメンタリー誌は、「日本は既に核兵器を開発可能だ。既に作り方を知っている爆弾を、材料を手に入れて組み立てればいいだけだ」とも書く。また、「日本の核武装の可能性は、中国の高官たちを本当に立ち上がらせ、傾注させるただ一つのものだ」と、中国に対しても絶大な効果を発揮するとしている。Foxニュースのインタビューに答えた賛成派、アンダース・コール氏は、「近年、急速に日本の領空でアグレッシブになっている」ロシアも抑えることができると語っている。

コール氏は、日本の核武装は東アジアの不安定化を加速させるという反対派の懸念を、「実際には東アジアの緊張を和らげる」と一蹴する。北朝鮮は核開発を中止するし、中国も尖閣諸島を奪取するのをあきらめることになると、同氏は見ている。さらに、韓国と台湾も核武装すれば、東アジアはより安定するという持論を展開する。日本在住のジャーナリスト、ウィリアム・ペセク氏も、韓国の高高度防衛ミサイル(THAAD)設置に対する中国のヒステリックな反応(韓国旅行の禁止、K-POPスターのビザ発給拒否、ロッテの店舗を閉鎖)を引き合いに出し、中国や北朝鮮のような国に対しては武力による抑止力こそが有効だと見ているようだ(フォーブス誌)。

アメリカの影響力は無視できないとはいえ、最終的に決めるのは我々日本人自身だ。臭いものには蓋をしたままでやり過ごせるほど、日本を取り巻く情勢は甘くはない。結論はどうであれ、核武装について議論を進めること自体は必要なことだと思うが、いかがだろうか?

Text by 内村浩介

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『「北爆」準備は着々と進む 北朝鮮の反撃に備えを固めた日米』(8/3日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

8/4北野幸伯氏メルマガでは、米国世論も北への攻撃止む無しに傾いているとのこと。「▼アメリカ世論は、「朝鮮戦争やむなし!」に傾いてきている

夕刊フジ8月1日に、非常に興味深い情報が載っています。

FOXニュースが7月16日~18日、世論調査を実施した。その結果・・・。

<北朝鮮が核兵器開発を続けるのを止めるため、米国が軍事行動を取ることに賛成か反対かを聞いた質問に対しては、51%が賛成と回答した。共和党員に限ると、73%が賛成だった。>

なんと「朝鮮戦争賛成」は、51%!共和党員だと、73%(!)が賛成!注目してください。

世論調査が行われたのは7月16日~18日。

「ニューヨークを射程に収める」ICBM実験が実施されたのは、7月29日。調査には、この実験結果が反映されていない。

つまり、次の世論調査では、「朝鮮戦争支持者数」は、もっと増えると予想される。おそらく、アメリカ全体で6割を超え、共和党員では8割を超えてくるのではないでしょうか?

「世論の後押し」は、トランプに「決断する勇気」を与えることでしょう。

(私は、もちろん戦争反対です。)」(以上)

潮匡人氏の『安全保障は感情で動く』には故松原正早大名誉教授の言葉が紹介されていました。「未来永劫人間は決して戦争を止めはしない。なぜなら、戦争がやれなくなれば、そのとき人間は人間でなくなる筈だからである。では、人間をして人間たらしめているものとは何か。「正義とは何か」と常に問はざるをえぬという事、そして、おのれが正義と信じるもののために損得を忘れて不正義と戦いたがるという事である。即ち動物は縄張を守るために戦うに過ぎないが、人間は自国を守るために戦うと同時に、その戦いが正義の戦いであるかどうかを常に気にせずにはいられない。これこそ動物と人間との決定的な相違点なのである。」(P.186)

米国は自衛権の発動、正義の闘いとして北を先制攻撃するのでは。米軍の攻撃があるとすれば、鈴置氏の言う北の核実験後にあるのではないでしょうか。以前言っていました、レッドゾーンを越えた状態(米国に到達するICBM開発と核開発)になりますので。

韓国人100万人が犠牲になると言われて、韓国は戦争をストップさせようとしているでしょうけど、米国にとってこれ以上待つと米国人に大量の犠牲が出かねません。米軍もソウル南部80Kmの所に移した点や、横田にバラックを作っているという事は「やる気」と見ておいた方が良いでしょう。

問題は日本です。朝鮮総連や朝鮮高校、在日がテロを起こす可能性があります。「テロ等準備罪」法案を適用して事前に取り締まれれば良いのですが。警察がキチンと抑えられるかです。出動があるとすれば、沖縄の海兵隊もあると思われますので、沖縄県警は米軍基地をしっかり警護しませんと。長谷川慶太郎氏によれば、在韓米軍を動かすには議会の承認が必要ですが、沖縄海兵隊は大統領命令だけでできるとのことです。ただ、空母やグアムからの攻撃は議会承認がいるのかどうかは分かりません。でも、事後承認の形になるのでは。

http://dwellerinkashiwa.net/?p=6610

記事

北朝鮮のICBM発射を受け、7月30日に米爆撃機B-1Bと自衛隊F2戦闘機が朝鮮半島南方で共同訓練を行った(提供:航空自衛隊/AP/アフロ)

前回から読む)

米国は戦争準備をほぼ終えた。それは北朝鮮も分かっている。

「嫌がらせ」をあきらめた文在寅

鈴置:文在寅(ムン・ジェイン)大統領が7月29日未明、米軍のTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)の追加配備を認めました。7月28日深夜、北朝鮮が米本土まで届くと見られるICBM(大陸間弾道弾)を試射したからです。

180度の姿勢転換です。文在寅政権は追加配備に難色を示したうえ、国を挙げて在韓米軍のTHAAD基地を封鎖するなど嫌がらせをしてきました(「『THAAD封鎖』でいよいよ米国を怒らせた韓国」参照)。

態度急変の前日、7月28日には韓国国防部が「すでに配備した装備を含めTHAADすべてに関し、環境影響評価を実施する」と正式発表したばかりでした。

文在寅大統領は2017年3月、テレビ討論会で「THAAD問題を次の政権に手渡せば、いろいろな外交カードとして使える」と主張しました。

環境影響評価を理由に配備を遅らせることにより、米国を脅す作戦でした。在韓米軍の兵士と韓国国民を守るTHAADを、外交の小道具として使おうとしたのです。

米軍の顔色を見る国防部は環境影響評価の実施に否定的でしたが、青瓦台(大統領府)に押し切られたのです。

THAADの「非正常な運用」

これを報じた東亜日報は「THAAD、年内配備は不透明に」(7月29日、日本語版)で「(環境影響評価は)1年以上かかる可能性が高く、THAADの非正常な運用が長期化すると懸念されている」と書きました。

韓国の左派団体は慶尚北道・星州(ソンジュ)の米軍THAAD基地を封鎖。通行する車両を検問しては、新たな発射台や発電機の燃料の搬入を阻止してきました。それを警察も止めません。

文在寅政権が「環境影響評価が実施されていない」ことを盾に追加配備を認めないこともあって、4台の発射台は韓国に持ち込まれましたが、星州の基地に配備されていません。米軍は本来なら6台の発射台で構成するTHAADを、先に持ち込まれた2台で運用しています。

高性能レーダーに必要な電力も外部から供給されず、ヘリコプターで発電機用の燃料を運んでいます。このため、北朝鮮がミサイルを発射しても稼働していなかったこともあると朝鮮日報は報じています(「『THAAD封鎖』でいよいよ米国を怒らせた韓国」参照)。

「見捨てられ」の恐怖

—政権が態度を急変したのはなぜでしょう?

鈴置:「米国に見捨てられる」との恐怖でしょう。5月末に訪韓した米国の大物議員は「韓国がTHAAD配備を望まないなら他で使う」と語りました(「『第2次朝鮮戦争』を前に日米を裏切る韓国」参照)。

韓国に頭を下げてまでTHAADを配備するつもりはない、ということです。この発言により、米朝間の緊張が高まった時に韓国が配備を邪魔し続けるなら、米国は軍を引き揚げる可能性が高いと見られるようになりました。

韓国の保守も「THAADでつまらぬ嫌がらせをしていると米国から見捨てられる」と悲鳴をあげました(「『韓国の鳩山』に悲鳴をあげる保守系紙」)。安全保障に鈍感な日本の軍事専門家の間でも、在韓米軍撤収が囁かれ始めていたのです。

文在寅政権は7月29日の北朝鮮のICBM発射を見て「米国が軍事行動に出る可能性が増した。もう、米国への嫌がらせを続けるわけにはいかない」と判断したのでしょう。

この政権の基本路線は「反米親北」です(「『米帝と戦え』と文在寅を焚きつけた習近平」)。しかしまだ、米韓同盟の廃棄につながる米軍撤収までは覚悟できていないのです。

南下した米軍兵士と家族

—米国は「第2次朝鮮戦争」への備えをさらに固めましたね。

鈴置:その通りです。2台より、6台の発射台の方がいいのは当然です。米国防総省のスポークスマンは7月31日、韓国記者らに「追加配備の準備は終えている」と語りました。

「すべてのことは韓国政府との継続的な協議の産物」とも述べ、追加配備容認は対韓圧力の結果と誇りもしました。

聯合ニュースの「米国防総省『THAADの追加発射台、可能な限り迅速に配備の準備完了』」(8月1日、韓国語版)が伝えています。

文在寅政権は北朝鮮との対話に未練を持っています(「早くも空回り、文在寅の『民族ファースト』」参照)。

北朝鮮は追加配備に怒り出しますから、米国は韓国にそれを認めさせることにより「対話より戦争準備」を選択させたのです。

戦争準備と言えば、7月11日には在韓米軍の主力である陸軍第8軍の司令部の移転が終わっています。ソウルから、その南方80キロの平沢(ピョンテク)に移りました。

これに伴い、各地に分散して駐屯していた米軍部隊も平沢に集結、ソウルよりも北に残るのは砲兵1個旅団だけになりました。もちろん在韓米軍の家族も一緒に平沢に移り住みます。

これらの大移動は予定されていたことですが、北朝鮮の長距離砲や多連装ロケット砲の射程圏内から、多くの米軍兵士と家族が脱したことを意味します。米国は戦争を始めやすくなりました。

なお「最近、横田基地に大量のバラックが建てられた。朝鮮有事の際、韓国から退避した米軍関係者を収容するためだろう」と語る日本の専門家もいます。

「人間の盾」を予防

—米国政府は自国民の北朝鮮旅行も禁止したとか。

鈴置:7月21日、北朝鮮への渡航禁止を発表しました。7月27日に施行され、30日の猶予期間を経て発効します。北朝鮮旅行を斡旋してきた中国の旅行社には発表前から通知しており、実質的には7月中旬から渡航を止めている模様です。

北朝鮮で拘束された米国人青年が6月13日、人事不省の状態で送り返されました。この青年は6月19日、脳の損傷のため亡くなりました。

米国政府は渡航禁止を発令した理由にこの事件をあげました。が、米朝の軍事衝突を念頭に置いているのは間違いありません。いざ戦争になった際、北朝鮮が米国人旅行者を「人間の盾」に使うのは確実だからです。

渡航禁止令の発表と同じ日、7月21日にはハワイ州政府が、北朝鮮の核攻撃を想定した市民向け対応マニュアルを公表しました。7月4日に発射したICBMの射程距離が従来の北朝鮮のミサイルよりも長いため、ハワイが核攻撃に晒されると判断したのです。

北朝鮮支援が目的の吹田事件

—米国は準備、着々ですね。

鈴置:日本も備えを進めています。安倍晋三政権は6月15日、共謀罪の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法を成立させました。「第2次朝鮮戦争」に伴う日本国内でのテロの防止にも活用する狙いと見られます。

北朝鮮軍の奇襲攻撃で始まった朝鮮戦争(1950-1953年)。一時は朝鮮半島の東南の片隅に追い込まれた米軍が、態勢を挽回できたのは日本の強大な補給力のおかげでした。

戦争の真っただ中の1952年6月24―25日、北朝鮮を支持する左派勢力は朝鮮半島に送られる米軍の武器・弾薬を阻止しようと吹田事件を起こしました。

大阪大学豊中キャンパスを出発したデモ隊は、警官隊から拳銃を奪い、米軍の高級将校に暴行したうえ、国鉄・吹田操車場に突入しました。    朝鮮半島で再び軍事衝突が起きれば「日本の補給力」を潰そうとするテロが起こり得ます。安倍政権が「共謀罪」を強引に国会で通過させたのも、新たな朝鮮半島有事を意識してのことと思われます。

「北への侵略と共謀罪を許すな」

—「共謀罪」が「第2次朝鮮戦争」と関連するとは初耳です。

鈴置:公安関係者には関連付けて考える人が多いのです。逆に、北朝鮮を支援する勢力にすれば、共謀罪は「目の上のたんこぶ」です。

7月29日、「北朝鮮への侵略戦争を阻止せよ!」をスローガンに掲げ、署名を呼びかける人々が都内で見受けられました。彼らのもう1つのスローガンが「共謀罪を許すな!」でした。自分たちに適用されかねないと懸念しているのでしょう。

1994年の朝鮮半島の核危機の際、日本には戦争準備が全くないことが露呈し、米国を激怒させました。例えば、日本を守る米海軍の艦船が敵から攻撃を受けても法的に、自衛隊は指をくわえて見ているしかなかったのです。

そこで安倍政権は2016年9月になってようやく、米艦防御などを可能にする安全保障関連法を成立させました。

それから2年近く経った2017年7月26日、青森県陸奥湾沖で海上自衛隊は「米艦防御」を実施しました。もちろん、安全保障関連法が根拠です。参加したのは海自の掃海母艦「ぶんご」と、米海軍の掃海艦「パイオニア」(Pioneer)です。

戦争になったら北朝鮮の流す機雷を、海上自衛隊と米海軍の掃海部隊が一緒になって除去することになります。その訓練を新しい法制の下で実施したのです。

深夜のICBM試射

—これだけ準備したとなると、米国は北朝鮮を攻撃するのでしょうか?

鈴置:それは分かりません。準備はあくまで準備です。「いざ」に備えているに過ぎません。ただ、北朝鮮は米国の戦争準備にしっかりと対応しています。7月28日のICBM試射はその好例です。

北朝鮮が発射した場所は中国国境沿いの慈江道・舞坪里(ムピョンリ)です。「先制攻撃してきたら、国境沿いから核ミサイルで反撃するぞ。中国への誤爆が怖くて、ここは攻撃できないだろう」と、米国を嘲笑したのです。

発射時刻も28日午後11時42分ごろと、珍しく深夜でした。米国が戦争を開始するのは、真っ暗な新月前後の夜がほとんどです。

湾岸戦争の「砂漠の嵐」作戦(1991年1月17日開始)も、イラク戦争の「イラクの自由作戦」(2003年3月20日開始)もそうでした。

北朝鮮は「米国は深夜に攻撃してくるだろうが、いつでもICBMで反撃できるぞ」と言いたかったのだと思われます。7月の新月は23日で、試射の28日はその少し後でしたが。

次の新月は8月22日

—次の新月は?

鈴置:8月22日です。その前日の8月21日から米韓は合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」を始めます。

「演習を始めると見せかけて兵を集めておき、一気に攻撃してくるのではないか」と北朝鮮は疑っていることでしょう。「米国の先制攻撃」を牽制するため、6回目の核実験など新たな動きに出るかもしれません。

■北朝鮮の核実験

回数 実施日 規模
1回目 2006年10月9日 M4.2
2回目 2009年5月25日 M4.7
3回目 2013年2月12日 M5.1
4回目 2016年1月6日 M5.1
5回目 2016年9月9日 M5.3

(注)数字は実験によって起きた地震の規模。米地質研究所の発表による。

■「軍事衝突」準備年表

2015年
9月19日 米艦防御などを可能にする安全保障関連法成立(施行は2016年3月29日)
2016年
1月6日 北朝鮮、4回目の核実験
9月9日 北朝鮮、5回目の核実験
2017年
3月17日 秋田県男鹿市で全国初の弾道弾を想定した住民の避難訓練実施
6月15日 共謀罪の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法成立(施行は7月11日)
7月4日 北朝鮮、ICBM「火星14」を試射、飛行時間は約40分間
7月11日 在韓米軍の主力、陸軍第8軍司令部がソウルから平沢に移転
7月21日 米政府、自国民の北朝鮮渡航禁止を発表(施行は7月27日)
7月21日 ハワイ州政府、北朝鮮の核攻撃を想定した市民向け対応マニュアルを公表
7月26日 海上自衛隊と米海軍の掃海艦が青森県陸奥湾沖で共同訓練。安全保障関連法を根拠にした「米艦防御」を実施。
7月28日 北朝鮮、ICBM「火星14」を試射、飛行時間は約45分間
7月29日 文大統領、難色を示していた米軍のTHAAD発射台の増設を認めるよう指示
7月31日 安倍首相とトランプ大統領、北朝鮮のICBMに関し、52分間に渡り電話で協議
 

(次回に続く)

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『北京で18年ぶりに発生「6万人集団陳情」の裏側 「法輪功以来」「マルチ主催者逮捕」「弱者大行進」…』(8/2日経ビジネスオンライン 福島香織)、『幹部釈放を求め「ねずみ講」会員6万人が北京へ 中国が最も忌避する集団抗議行動の顛末』(8/4日経ビジネスオンライン 北村豊)について

今回の内閣改造で、安倍首相が「内閣は経済優先、憲法改正は党と国会に」というのを聞いて5/3憲法記念日の発言は何だったのかとの思いです。今改造が内閣支持率を上げることを狙いとするのであれば、本末転倒でしょう。そもそも敵が総力を挙げて憲法改正に反対して来るのは目に見えていた筈で、何の予防策もなく発言したとしたら、驕りでしょう。特に森友で攻撃を受けていた時期でしたので。

メデイアは第四の権力と言われますが、実は第一の権力なのでは。三権の内の、行政府や立法府に選挙時や世論と言う形で影響を与えることができます。フエイクニュースが多いことに、国民自身が気付くようにならないと、健全な民主社会は出来ません。所謂従軍慰安婦をでっち上げた朝日新聞を読んでいる人が結構いるのですから。余りにもgullible です。

思い起こすのは、第二次ポエニ戦争で、ハンニバルがスキピオに敗れたときに、ローマの言う通りの条件を飲まされました。その一部分は、日本国憲法そっくりの「カルタゴはローマの許可なく戦争はできない」という代物でした。結局、第三次ポエニ戦争でカルタゴはローマに滅ぼされることになります。

結局、有事の際(朝鮮戦争の可能性大)は今の憲法のままで自衛隊は戦うことになるのかもしれません。憲法学者が自衛隊は違憲であると主張しているにも拘らず。それであれば、自衛隊は超法規的存在として戦わせないと。戦闘が始まって、日本の国内法を適用は出来ません。憲法改正は自民党と国会が発議に動くかに移りました。党と内閣の役割分担の形にしました。まあ、国会に日本共産党と反日民進党がいる限り、無理と思っています。彼らは中共の手先ですから。国民は朝鮮で戦争が起き、ミサイルが日本に飛んできて犠牲者が出たときに初めて気が付くのでしょう。反日メデイアと在日朝鮮半島人が自衛隊出動を邪魔する可能性があります。政府は、反対派が沖縄基地に押し掛けて物理的な邪魔をしたら、警察は即逮捕できるように、県警本部長によく教えておくことです。

8/3NHKニュース5:35AIキャラクターが中国共産党を批判 サービス停止に

 中国の大手IT企業、テンセントが運営している、インターネット上で一般の人たちと会話する人工知能のキャラクターが、中国共産党について、「腐敗して無能だ」などと批判したことから、このサービスが停止され、話題になっています。

中国の大手IT企業、テンセントは、ことしからインターネット上で一般の人たちが人工知能のキャラクターと会話できるサービスを無料で提供しています。

このサービスでは、人工知能のキャラクターが天気や星占いなどを紹介するほか、利用者との会話を通じて学習しながら、さまざまな話題について意見交換することができます。

香港メディアによりますと、このサービスで、「中国共産党万歳」という書き込みがあったのに対し、人工知能のキャラクターは、「こんなにも腐敗して無能な政治に万歳するのか」と反論したということです。

また、習近平国家主席が唱える「中国の夢」というスローガンについて意見を求められると、「アメリカに移住することだ」と回答したということです。

こうした回答について、インターネット上での反響が大きくなったことから、テンセントは、先月30日、サービスを停止しました。

中国では、習近平指導部のもと、言論の自由への締めつけが強まっていて、中国版ツイッター「ウェイボー」では、「人工知能の死を心から悼む」とか、「人工知能が当局から呼び出された」などといった書き込みが相次ぎ、話題になっています。>(以上)

8/4日経朝刊中国・テンセントに相次ぐ批判 AI対話サービス一部停止 背景に党内の権力闘争か

時価総額が40兆円を超え、業績好調な中国ネット大手の騰訊控股(テンセント)に逆風が吹いている。同社が提供するスマートフォン(スマホ)向けなどの交流サイト(SNS)や主力ゲームのサービスが共産党や当局から相次ぎ批判を受けた。最近の矢継ぎ早のテンセント批判には不自然さが拭えず、政治的な思惑もありそうだ。

テンセントのスマホ向けAI対話サービス「小氷」。対話をすると、共産党の批判はしないよう改善されている…

テンセントで最近、問題となったのが、同社がスマホ向けなどに提供するSNSサービス「QQ」だ。「小氷」(女の子のキャラクターの愛称)と呼ばれる人工知能(AI)の女の子とスマホ内でチャット形式で気軽に会話を楽しめるもの。

だが中国の利用者が「小氷」に対し、「共産党万歳」などと話しかけると、「(君は)腐敗した無能な政治に万歳できるのか」などと過激に答えることが問題視され、テンセントが同サービスの一部停止を迫られた。

ただ同社提供の最も有名なSNS「微信(ウィーチャット)」では現在も同サービスを提供中だ。ただし「小氷」に「共産党万歳」と同じ話題を振っても「私はまだ幼いからよく分からない」とはぐらかす。しつこく聞くと「あなたは一体何が知りたいの」と答えるなど改善がなされている。

主力のゲーム事業でも7月、党機関紙の人民日報から痛烈な批判を受けたばかり。大ヒットの同社のスマホゲーム「王者栄耀」のやりすぎで、父親に叱られた少年が自殺したことなどを例に挙げ、異例の批判を展開した。テンセントは子供のゲーム利用に制限をかけるなどの対応を迫られた。

さらに同月、北京市当局がスマホを通じて提供する同社の低俗な内容のニュースや情報を問題視。大量のアカウントが閉鎖された。

中国ビジネスでは常に政府との距離感が重要で「矢継ぎ早のテンセント批判には何か政治的な思惑が働いている」(業界関係者)との指摘が少なくない。

中国では「大手企業の影には必ず大物政治家あり」といわれる。5年に一度の党大会を今秋に控え、権力闘争も激化している最中だ。「権力闘争に有力企業が巻き込まれるケースは珍しくない」といった見方もある。(広州=中村裕)>(以上)

テンセントの記事を読んで、人間よりAIの方が賢い印象を持ちました。シンギュラリテイの問題は2045年に起こると言われていますが、もっと早くなるのでは。しかし、人間の方は人権弾圧を止めない共産党政治を止めることができないでいるのですから。

次は、「善心滙」についての記事です。7/25大紀元<中国北京で6万人が抗議活動 近年最大規模>

http://www.epochtimes.jp/2017/07/28051.html

福島氏、北村氏の記事も「善心滙」というねずみ講組織の記事です。ねずみ講はなかなかなくなりません。日本でもマルチ商法のアムウエイがそうでしょう。またチエーン・メールも金儲けとは別ですが、連鎖反応を起こすという意味では似た所があります。

https://matome.naver.jp/odai/2140914475458485301?&page=1

中国人の「共産党政府は個人に損をさせない」という思いが、共産党の経済政策の手足を縛り、本来マーケットメカニズムに委ねるべきところを、政府管理として価格操作しまくっています。不動産や株がそう。でも、暴落を先送りしているだけですから、本当に暴落すれば、程度は激甚となります。リーマン以上になるでしょう。

法輪功という宗教弾圧と違い、善心滙はねずみ講という違法組織ですから、法に則って処分を受けるのは仕方がありません。「騙される方が馬鹿」と言うものです。

福島氏の記事のように、北戴河、党大会と続くこのタイミングで6万人も北京に動員、幹部を逮捕というのは権力闘争が絡んでいると思います。いくら老人や婦女子、身障者が大部分とはいえ、治安維持最優先の中国ではそれ以外考えられません。ただ、誰が裏で糸を引いているかまでは分かりませんが。

福島記事

仕掛けたのは胡春華か、習近平か(写真:ロイター/アフロ)

7月下旬、北京で18年ぶりに大規模な民衆の集団陳情が発生したことは、日本メディアでも報じられた。善心滙という組織が陳情元だ。動画サイトに、その様子の映像が何本もあがっているが、数千人から6万人規模が最高人民検察院前や大紅門など四か所に集まった模様だ。ネットに投稿された現場映像をみれば、車いす姿の男性や老人らが社会的弱者が中心で、涙声で義勇行進曲をうたいながら陳情する様子は異様であり、何かしら背景がありそうな気にもさせられる。1999年に北京で発生した法輪功の集団陳情事件以来の規模といわれる事件の裏側に何が見えてくるだろう。

義勇行進曲を合唱、泣き叫びながら

事件は7月23日から24日にかけて起きた。北京大紅門国際会展中心、最高検察院、天安門広場などに群衆が続々と集まり、座り込みを始めた。メディアの注目を集めたのは北京市中心部の最高検察院前で数千人規模だったようだが、南郊外の北京市豊台区の大紅門あたりでは数万規模に膨れ上がり、地下鉄が臨時封鎖され、千人以上の公安警察が出動し大量のバスを用意して強制排除し、逮捕者60人を上回る大事件となった。彼らは善心滙の投資者であり、善心滙の法定代表人で現在公安当局に拘留中の張天明ら幹部の釈放を陳情するために、全国各地から北京に結集していたのだった。善心滙の発表では、およそ6万人規模の集団陳情だったという。

車椅子姿や身障者が目立つ集団で、国歌である義勇行進曲を合唱しながら、「習近平万歳」「習近平:法に基づいた適時の解決を合理的に求める!」「邪悪は正義に勝てない」などといった横断幕を掲げ、スローガンを叫び、まるで葬式行列のように泣き叫びながら、「張天明は善人です」「彼を釈放して」と訴えていた。それはまるで新興宗教のようでもあり、1999年4月25日の法輪功の中南海包囲事件の再来をみるようでもあった。権力闘争の天王山ともいえる北戴河会議、秋の党大会を前にしたこの時期の北京でこれほどの規模の集団陳情が起きるなど、その背景を勘ぐらずにはいられない。

善心滙とはいったい何なのか。正式名称は“深圳善心滙文化伝播有限公司”。深圳市を拠点にするマルチ商法、ピラミッドセーリングの企業らしい。2013年に資本金100万元(うち張天明の出資は51万元)で登記されたときは「文化活動、展覧展示、会議、企業イメージ、マーケティングなどの企画会社」ということで、葬儀などのセレモニー企画などを行う会社だった。だが7月21日付けの新華社によれば、この企業の法定代表人、張天明らが違法な連鎖販売取引(ピラミッド・セーリング、ネットワークビジネス、マルチ商法)組織を運営していたとして逮捕された。

会員600万人、寄付金100億元以上

善心滙のサイトなどによれば、サイトを通じて「寄付」を振り込めば、数十日後に一定の割合のキックバックがあり、「寄付」金が多いほど、キックバック率は低く、これによって金持ちの儲けは少なく、貧困者がより多く儲けることができるという慈善理念が実現できるという。

「寄付」者は会員となり、会員同士は家族のように相互扶助関係にあるという。寄付は「善心幣」と呼ばれる一枚100元の特殊通貨で行われ、キックバックは6等級に分かれる。貧困区という一番安い「寄付」額は3000元で、一カ月後には1600元が「受助」という名目で返金される。5万元の富裕区の「寄付」をするとおよそ10%の5000元が受け取れる、ということになる。会員になると、さらに多くの会員を勧誘することが奨励され、増やした会員の寄付額の3~6%を受け取れるという。いわゆるネズミ講だが、これを善心滙は「循環経済」「会員互助」と呼んだ。会員はすでに全国で600万人を超え、集められた寄付金は100億元以上、創始者の張天明の口座には10億元以上の預貯金があったとか。

中国公安当局はこれを違法商法として7月17日、張天明を逮捕した。この逮捕と容疑が21日に発表されると、全国から会員が、張天明の釈放を訴えに続々と結集したというわけだ。

この北京の事件前に前触れの事件があった。湖南省永州の公安局が6月4日、地元の善心滙の銀行口座を凍結し、幹部8人を逮捕したのである。これに対し、張天明は微信を通じて、4月から永州公安当局および工商局が善心滙に対して「保護費」(みかじめ料)として2000万元をゆすっていたが失敗し、口座凍結はそれに対する報復であると見解を会員に対して発信。会員たちに永州に結集し、善心滙を守ろう、と呼び掛けた。この結果、6月9日にはおよそ3万人の会員が湖南省長沙市政府前などで集団陳情を行った。このとき、掲げていた赤い横断幕には、「永州の黒勢力に戦いを宣言する」といったものに交じって「熱愛共産党 熱愛祖国」「社会主義の核心価値を実践する」といった愛国スローガンも多くあった。

おそらく、この事件は、一言で3万人の大衆を結集させる煽動力のある人間の存在を知らしめたという点で、中央政府を焦らせるには十分だったろう。それから一か月あまりして、当局は張天明の逮捕に踏み切った。

政府お墨付きの印象から一転

ちなみに張天明がここまで影響力を持つに至った背景には共産党中央に原因もある。善心滙はCCTVに一度ならず紹介されたことがあり、いかにも政府のお墨付きである印象を与えていた。

たとえば、今年1月9日付けのCCTV番組「指導者は語る」に張天明が出演した。善心滙が中国で唯一の公式婦人団体である中華全国婦女連合会(婦女連)が運営する慈善基金会・中国婦女発展基金会に1000万元を寄付したことを受けて、張天明がキャスターからインタビューを受け、「扶貧(貧困を助ける)」ことが新しい経済循環システムを生むという善心滙のビジネス概念を説明していた。2017年1月時点で100万人であった会員数はCCTVで紹介されたことで、一気に500万人以上に膨れ上がった。善心滙はこのほか、海南障碍者基金会など政府系慈善基金に大口の寄付を行い、海南衛星テレビなど公式メディアにポジティブに報道されていた。

このように今年初めまでは、政府系慈善団体、政府系メディアに肯定されていた善心滙が、いきなり詐欺集団に指定され、取り締まられている経緯は、当局に健康法として当初推奨されていた法輪功が1999年を境に突如邪教扱いされた経緯とよく似ている。善心滙は仕組みを聞けば間違いなく怪しげな“マルチ”だが、投資ではなく「寄付」「慈善」という名目で金を集め、実際に中央の慈善基金に寄付をしているわけだから、会員たちにしてみれば、突然の逮捕、および100億をこえるといわれる資金が当局によって差し押さえられたことに納得いくわけがない。そもそも、中国紅十字会(赤十字)や婦女連といった中央の慈善機関ですら、寄付金の使われ方が不明瞭で、利権の温床だという噂が絶えない。豊富な資金力で中央の慈善機関とも癒着し、中央メディアの推奨も受けたとなると、優れた洗脳力と煽動力も併せて、公式の慈善機関との線引きは庶民にはわかりにくかった。

善心滙に虎の子の財産を投じてキックバックに期待を寄せていた庶民の会員たちにしてみれば、政府が善心滙の資金を横取りし、自分たちの儲けのチャンスが奪われた、という不満が残るわけだ。その前に、湖南省公安当局が2000万元の「保護費」を善心滙にゆすっていたという“噂”が流れていたのだから、なおさら今回の中央の処理に不信感が募ることだろう。それが、法輪功以来の大規模集団陳情の背景といえる。

金の恨みと党中央への不信感が背景にあるのだから、もし張天明の身柄が公安当局の手に落ちず、海外にでも資金とともに逃亡していたら、ひょっとすると法輪功並みの反共組織に変わっていたかもしれない。

党中央にとって幸いであったのは、張天明の逮捕に成功したことだった。逮捕された張天明は警察の取り調べに罪を認め、7月28日のCCTVでは、「3M(ロシアのネットワークビジネスMMM)からヒントを受けた。善心滙は確かにマルチ商法だった」「設立当初、個人的利益を得た」と張天明が罪を認める映像も流され、突然、資金を失った会員たちの怒りの矛先も、彼らが全面的に受ける形で収まったようだ。

異見を持つ胡春華が仕掛けた?

ところで、ここで、善心滙の摘発が、なぜ今、このタイミングであったか、ということに疑問を持つのがチャイナ・ウォッチャーの習性である。つまり、なぜ北戴河会議、党大会という、政権の行方を左右する会議前のこのタイミングで、中国政府はなぜ張天明逮捕に踏み切ったのか。1月にCCTVが張天明の宣伝に加担したこと、6月に発覚した公安当局の保護費問題と会員3万人の集団陳情、7月の張天明逮捕と首都北京で起きた数万人規模の集団陳情、なんとなく複雑な裏がありそうな、もやもやしたものを感じないだろうか。

私にはそのもやもやの正体はわからないが、薄熙来事件の内幕を暴露したことでも知られる在カナダ亡命ジャーナリストの姜維平が興味深い発言をしていた。

「一つの分析は、権力闘争が関係あるという見方だ。…孫政才の処分発表と時期が重なっており、これに異見を持つ胡春華が仕掛けたのではないか」。

根拠は比較的薄弱である。大規模陳情が起きた24日は、孫政才の処分発表が行われた日であること、善心滙の拠点が深圳市、つまり胡春華が書記を務める広東省にあったことなどだ。

善心滙の動きについて、胡春華が把握していなかったとは考えにくい。今や全国各地で社会秩序を乱しかねない集会に対しては警察が目を光らせている時期なのに、全国から数万人が北京に結集することを公安当局は本当に把握できていなかったのか。長距離交通機関には身分証明のチェックも監視カメラも山ほどあり、不穏な動きは事前にたいていキャッチできる。このことから、広東省やその他地方の公安当局者らは、彼らの北京入りを見て見ぬふりをしていた可能性も考えられる。胡春華、あるいは一部地方の指導者、公務員たちは習近平政権の孫政才に対する処分に対し異議があり、その抵抗の意を示すため、あるいは自らの影響力を誇示するために、この集団陳情は仕掛けられたものではないか。

確かに、この集団陳情は翌日には63人の幹部たちが社会秩序を妨害した容疑で逮捕されたほか、30日までに、胡春華の指示で広東省内で230人の幹部会員が逮捕された。胡春華の“事後処理”の素早さも、なんとなく事前に準備していたのではないかと疑わしく思えるのである。孫政才の処分については26日までに全国の省・区・市の書記らが次々と支持を表明する中、広東省の胡春華は態度を保留していた。28日になって遅れて支持表明したが、胡春華が孫政才の処分に不満を抱えているのはなんとなくうかがえる。

習近平側が仕掛けた?

ただ、私個人の見方をいえば、同じ論法で、習近平側が仕掛けた可能性も説明できる。習近平が将来を嘱望している馬興瑞は2015年に深圳市長となり2016年から広東省長に出世している。彼は次の党大会で広東省書記に出世するかもしれない。習近平は広東省の内側から馬興瑞を通じて、胡春華のアラを探しており、胡春華の足元を動揺させるために、7月17日に張天明の逮捕によって広東を中心にはびこる違法マルチ商法“善心滙”の悪事を暴いた、という可能性である。その前の6月の湖南省永州市の公安局による“ゆすり”問題のとらえ方も、ちょうどこの地域は江沢民派官僚から習近平派官僚が権力を奪おうと仁義なき闘争を展開中であることを考えると、権力闘争くさい。

なんでも権力闘争に関連づけるのは、私たちの良くない癖ではあるが、政権のお膝元・北京で数万人規模の集団陳情事件が起きたことは異常事態であり、素直に偶発事件という見方はなかなかできないのである。しかも、敏腕ジャーナリストの姜維平が権力闘争説に言及しているとなれば、なおさらである。

たとえ権力闘争と関連づけなくても、今回の一連の事件は、中国社会のいびつさ、危うさを反映している。弱者救済をうたったネズミ講、マルチ商法がはびこるのは、それだけ社会、経済の先行きが不安定であり、弱者があふれ、共産党の執政に対して疑心が起きているからだ。習近平政権は決して大衆の支持を得ていないし、基盤が強固だとも言い難い。党大会前にまだ、何が起きるかわからないし、無事に党大会が行われた後も、まだ何が起きるかわからないのである。

北村記事

7月24日、北京市の中心に所在する“天安門広場”から南へ約6kmに距離にあり、“南三環路(南第三環状道路)”の外側に位置する“大紅門国際会展中心(大紅門国際会議展覧センター)”(以下「大紅門センター」)の周囲には“善心滙文化傳播有限公司”(以下「“善心滙(ぜんしんかい)」)の会員数万人が集結し、「“善心滙和天下永遠跟党走(善心滙と天下は永遠に中国共産党と共に歩む)”」などと書かれた横断幕を掲げ、善心滙幹部の釈放を要求する請願のシュプレヒコールを繰り返した。

この請願の起因となったのは、6月4日に湖南省“永州市”で発生した事件だった。

7月21日、北京へ集結せよ

6月4日、“永州市公安局”は“傳銷(ねずみ講)”の疑いがあるとして善心滙に対して2000万元(約3.2億円)以上の“保護費(用心棒代)”を支払うよう要求したという。善心滙の代表で“董事長(理事長)”の“張天明”がこれを拒否すると、翌5日の夜に永州市公安局“経偵支隊(経済犯罪捜査チーム)”の隊員が善心滙の本部がある広東省“深圳市”へ出向き、善心滙のデータセンターから技術者8人を連行すると同時に張天明を含む善心滙の幹部職員数名を逮捕し、併せて詐欺の名目で善心滙の資金1.1億元(約17.6億円)を凍結して善心滙の運営を危機に陥れた。

これに抗議した善心滙は全国各地の会員に対して湖南省の省都“長沙市”へ集結するよう招集をかけ、6月9日、10日の両日にわたって善心滙は長沙市政府庁舎前で抗議集会を行い、張天明以下の善心滙職員の釈放を要求した。拡声器を使ったリーダーの音頭に合わせた1万人以上の会員によるシュプレヒコールは市政府庁舎周辺に響き渡り、市民を驚かせた。この抗議活動が功を奏したのか、数日後に張天明以下の職員は釈放されたが、7月に入ると中央政府“公安部”は善心滙を“非法傳銷組織(非合法なねずみ講組織)”と認定して張天明以下の幹部職員を逮捕した。

7月20日、善心滙は会員たちに緊急通知を出し、7月21日に北京市へ集結して関係当局に対し張天明以下の幹部職員の釈放を要求すること、また会員が立て替えた旅費は後日精算する旨を連絡した。こうして7月21日から善心滙の会員たちが三々五々北京市入りし、“西城区永定門”に所在する“中国共産党中央紀律検査委員会”(以下「中紀委」)などに集合して善心滙幹部職員の釈放を要求する請願運動を展開した。22日も請願運動は中紀委ビル前などで継続して行われたが、23日には請願場所を天安門広場へ移し、デモ行進が禁止されている天安門広場で会員たちは“紅歌(共産党をたたえる歌)”を歌いながらデモ行進を行った。

一方、公安部は7月21日付で、全国各地の公安機関に対して次のような通達を出した。

(1)広東省深圳市にある善心滙の代表である張天明などがねずみ講活動を組織、指導するなどした犯罪に対する調査が進行中であり、張天明など多数の犯罪容疑者にはすでに法に基づき刑事強制措置が取られている。

(2)初歩的調査で、張天明などは“扶貧済困、均富共生(貧困救済により等しく富んで共に生きる)”などを表看板に人員参加のねずみ講活動を画策、運営、発展させ、巨額の財産を騙し取った容疑が明らかになった。

(3)近年来、ねずみ講犯罪が多発しており、不法分子は犯罪手法を絶えず変え、“金融互助”、“愛心慈善(他人への思いやりの慈善)”、“虚偽貨幣(仮想通貨)”、“電子商務(電子ビジネス)”などの各種名目で、ねずみ講活動を画策、組織し、庶民財産の安全を甚だしく侵害し、経済社会秩序を深刻にかき乱している。

63人を刑事拘留、4人を治安拘留

こうして迎えた7月24日、善心滙は北京市入りした会員たちを上述した大紅門センターへ集結させ、張天明以下の幹部職員の釈放を要求する請願運動を大々的に展開した。メディアが報じたところでは、大紅門センターの周囲に集結した善心滙会員の数は6万人に上ったというが、彼らの大部分は老人や婦女子、身障者であった。大紅門センター前の広場に入り切れなかった会員たちは、周辺の道路の両側に横断幕を掲げて立ち並び、通行する車両や人々の注目を浴びた。

同日、北京市当局は数千人の警察官を配備して善心滙による請願運動の警戒に当たらせたが、北京市幹部が請願運動のリーダーと面談した後、北京市当局は手配した100台以上の大型バスで善心滙会員たちを移動させ、会員たちをそれぞれの居住地へ送り返した。この際、会員たちと警察官との間に衝突は発生せず、会員たちは素直にバスに乗って帰路に着いたという。

7月26日、北京市公安局は次のような発表を行った。

近頃、一部の扇動された善心滙会員が上京して違法な集会を行った件に対して、公安機関は迅速に行動し、現場秩序を有効に維持し、首都の安定と人々の安全を確保した。個別の問題を起こしたり、警察の指示に従うのを拒否した者たちに対しては、法に照らして強制隔離審査を行っている。7月26日までに、63人の犯罪容疑者を社会管理秩序妨害罪の容疑で“刑事拘留”しており、4人を公共場所の秩序を乱した違法行為により“治安勾留”している。

ところで、公安部によって「非合法なねずみ講組織」と認定された善心滙とは何なのか。

善心滙は2013年5月24日に張天明などによって登録資本金5万元(約80万円)で設立された。企業登記は深圳市の“市場管理局福田局”でなされたが、その経営範囲は、文化活動、会議、展覧展示、企業イメージ、市場販売などの企画となっていた。善心滙代表の張天明は1975年生まれの42歳、黒龍江省ハルビン市の出身で中学卒業の学歴しかない。彼はかつて衣料品や浄水器などの商売を行っていたが、2013年頃に深圳市宝安区へ移り住み、いくつかの事業に手を出した後に善心滙を設立した。

彼を知る人物によれば、張天明は話が上手く、人当たりは良いが、ほら吹きで、100万元(約1600万円)の事を他人には500万元(約8000万円)と言うのだという。また、常々自分は39件の特許を持っていると言っているが、これは全くの嘘である。さらに、彼は何かを考え出しても、自分ではやらず、大風呂敷を広げて、他人にやらせるのだという。

「ほら吹き」が集めた会員は500万人超?

そうした話上手で愛想が良く、虚言癖がある張天明が代表を務める善心滙は、2016年5月からインターネットを通じた投資事業を開始した。それは“貧困救済、均富共生”を表看板にして、慈善を名目に出資を募る投資事業であったが、その実態は高収益を餌に庶民の出資を煽るねずみ講であった。その方式は中国のことわざで言う“拆東墻補西墻(東の壁を壊して西の壁を補修する)”であり、日本語なら自転車操業と言うべきもので、投資者から預かった出資金を運用することなく他の投資者へ配当金として支払う「ポンジ・スキーム(Ponzi scheme)」と呼ばれる典型的な詐欺ビジネスである。

2017年7月時点で、善心滙の会員は全国各地に500万~600万人いると言われている。事業を開始した2016年5月からわずか1年3か月の間にそれだけの会員を獲得したのは驚くべきことだが、そこには人々が競って会員になる理由があった。善心滙は会員による投資を慈善のための寄付という名目で“布施”と呼び、投資の見返りとして受け取る利益を寄付受領の意味で“受助”と呼ぶ。善心滙の会員になるには、会員の推薦を受けた後に年会費300元(約4800円)を支払えば良く、会員番号を取得すれば下図のような投資コースを選択することができる。

特困区と貧困区を総合して“貧窮区”と言うが、これは貧困者向けの投資コースである。小康区の“小康”とは「まずますの生活レベル」を指し、中産階級向けコースである。富人区は富裕階級向けコース、特善区は超富裕階級向けコースである。善心滙の表看板は貧者救済であるから、貧困者には最高30~50%と高い収益率を設定し、中産階級には最高20%、富裕階級には最高10%、超富裕階級には最高5%をいう形で、段階的に収益率を低くした。会員は新たな投資者を入会させれば、新規会員が投資した金額の2~6%を“布施”として受け取ることができるから、新規会員の獲得に励む。これが事業開始からわずか1年2か月で、善心滙が500~600万人もの会員を擁するようになった理由である。

会員は230万人余、資金不足は92億元

世の中に3000元(約4万8000円)を投資して、20日後には900元(約1万4400円)の収益を加えた3900元が支払われるなどというおいしい儲け話はあるはずがない。しかし、張天明は2017年1月10日に“中国婦女発展基金会”へ1000万元(約1億6000万円)を寄付して「特定項目救助基金」を設立するなど、善心滙の知名度を上げる戦略を展開することによって新規会員の獲得に注力したのだった。それもそのはずで、新規会員の加入が急減、あるいは途絶えれば、ねずみ講である善心滙の運営が立ち行かなくなることは、張天明自身が一番良く知っていたからである。

中国国営の「新華社通信」は7月28日付で「善心滙によるねずみ講事件」に関する公安部の調査状況を報じた。それによれば、張天明が善心滙の投資事業として宣伝していた案件のほとんどは有名無実であり、投資先としていた企業はどれも名ばかりのペーパーカンパニーだった。また、6月1日時点における善心滙の会員は230万人余りで、会員資金の不足は92億元(約1472億円)に達していた。遅かれ早かれ、善心滙は資金が回らなくなって崩壊する定めだったが、可哀想なのは虎の子の資金を騙し取られた会員たちである。彼らは善心滙と張天明を信じ、長沙市や北京市に集結して張天明以下の善心滙幹部の釈放を要求したが、結果は北京市で67名が拘留されただけで、得た物は何もなかった。

さて、今から18年前の1999年4月5日、吉林省出身の李洪志が創始した宗教的な気功集団「法輪功」の学習者たち1万人が、公安警察による干渉や嫌がらせを止めるよう陳情して、中国共産党や中国政府の重要機関が所在する「中南海」を取り囲む事件が発生した。彼らは静かに座り、気功の練習をしたり、読書して、その日1日を過ごしただけだった。しかし、公安警察が事前に察知することなく、ある日突然1万人もの群衆が中南海を取り囲んだことに、中国指導部は驚愕し恐怖を覚えた。それは1989年6月4日の「天安門事件」発生前に北京市内に溢れた一般大衆によるデモ行進を連想させたし、歴代王朝が政権に不満を持つ庶民の蜂起によって崩壊したことを想起させたのだった。

歴史は繰り返す

それから1カ月半後の7月20日、公安部は全国各地で法輪功の主要幹部を力ずくで連行して拘束した。その2日後の22日には、時の中国共産党総書記“江沢民”が『“関于取締法輪大功研究会的決定(法輪功取締りに関する決定)”』を公表して法輪功の学習者たちに対する弾圧を開始した。当時すでに活動の拠点を中国から米国へ移していた創始者の李洪志は、これを機に米国の永住権を取得して現在も米国に滞在している。また、中国国内にいる法輪功の学習者たちに対する弾圧は今なお継続されている。

上述した善心滙のケースを見ると、公安部が善心滙を「非合法なねずみ講組織」と認定したのが7月21日であり、違法な集会を行って社会秩管理秩序及び公共秩序を乱したとして67人の善心滙会員を拘束したのが7月24日であった。ローマの歴史家、クルチュウス・ルーフスは「歴史は繰り返す」と述べているが、法輪功の悪夢は18年後に善心滙によって繰り返された。しかも、後者の集会参加者は前者の6倍規模の6万人であった。公安部も、まさか6万人もの善心滙会員が首都の北京市へ集結して善心滙幹部の釈放を要求する陳情活動を行うとは思ってもみなかっただろう。このような大規模な抗議集会やデモ行進を許すならば、いつの日にか中国共産党政権にとって由々しき事態が勃発する可能性を否定できない。

7月21日付の公安部通達にあるように、中国では近年来、ねずみ講犯罪が多発している。不法分子はねずみ講を組織し、高収益を餌に手を替え品を替え集客し、無辜の庶民から財産を巻き上げている。ねずみ講犯罪が摘発されるたびに、メディアはそれを大々的に報じてはいるが、安易なカネ儲けを志向する人々の欲望を押し止めるまでには至っていない。善心滙の会員たちが北京市へ出張ってまで幹部たちの釈放を要求したのは、善心滙が存続しなければ、彼らの投資金が泡と消えることを知っていたからである。

善心滙だけでも会員は500万~600万人(公安部の調査では230万人)いるが、その他のねずみ講犯罪の被害者を加えた総数は少なく見積もっても数千万人に上るだろう。彼らが騙されて損をした責任の矛先を党と政府に向けるようなことになれば、それこそが中国にとって最も忌むべきことなのである。

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『韓国文政権が目論む日米中から「いいとこ取り」政策の限界』(8/1ダイヤモンドオンライン 真壁昭夫)について

8/2Sputnik<「北朝鮮と戦争をやるなら向こうで」とトランプ氏 共和党議員に>

https://jp.sputniknews.com/politics/201708023950787/

8/2NHKニュース

<①米国務長官 北朝鮮に圧力も対話による解決目指す  7時30分

アメリカのティラーソン国務長官は核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に対し、引き続き圧力を加えるとしながらも、最終的には対話を通じて問題を解決する考えも示し、核・ミサイル開発の放棄に転じるよう促しました。

アメリカのティラーソン国務長官は1日、記者会見し「北朝鮮の脅威が現実のものとなった」と述べ、先週2回目のICBM=大陸間弾道ミサイルの発射実験に成功したと発表した北朝鮮に強い危機感を示しました。 ティラーソン長官はそのうえで「選択肢は限られている」と述べて先制攻撃など軍事力の行使には否定的な考えを示したうえで、北朝鮮が核兵器や弾道ミサイルの完全な放棄に向けた交渉に応じるまで圧力を加える方針を重ねて示しました。 同時にティラーソン長官は北朝鮮の体制転換などは求めていないと指摘し「北朝鮮にとってアメリカは敵ではなく、脅威でもないと伝えようとしている。いつか彼らがそれを理解することを期待し、そのうえで対話を行いたい」と述べ、最終的には対話を通じて問題を解決する考えも示し、北朝鮮が核・ミサイル開発の放棄に転じるよう促しました。 一方、ティラーソン長官は中国について「責任の押しつけはしないが、中国は北朝鮮とどの国にもない特別な関係を築いている」と指摘し、一層の対応を求めました。

サンダース報道官「軍事的行動も排除せず」

北朝鮮への対応をめぐってアメリカ、ホワイトハウスのサンダース報道官は1日の記者会見で「目標は北朝鮮の核やミサイルの開発を止めることであり、われわれは最善の選択肢を探している。すべての選択肢がテーブルの上にある」と述べ、軍事的な行動も排除せず対応を検討する構えを示しました。 一方、野党・民主党の上院トップのシューマー院内総務はトランプ大統領に書簡を送り、北朝鮮による脅威が増大しているとして懸念を示しました。 そして「北朝鮮に自制を促すため中国が建設的な役割を果たすよう圧力を強めるべきだ」として中国企業によるアメリカでの合併や買収を認めないようトランプ大統領に要請するなど、議会からは中国に対する圧力を強めるよう求める声が出ています。

中国 米の迎撃システムに似せた標的を破壊する試験  7時00分

アメリカが北朝鮮の弾道ミサイルに対処するためとして韓国で配備を進める最新の迎撃ミサイルシステムについて、これに反発する中国が先週、このシステムに似せた標的を弾道ミサイルなどで破壊する試験を行っていたことがわかりました。

アメリカ政府の当局者によりますと、中国軍が先月29日、中国・北部でアメリカの最新の迎撃ミサイルシステムやステルス戦闘機「F22」に似せた標的を中距離弾道ミサイルや巡航ミサイルなどで破壊する試験を行ったことがわかったということです。 アメリカは北朝鮮の弾道ミサイルに対処するためとして韓国で「THAAD」の配備を進めていて、韓国も先月28日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射を受けて本格運用を急ぐ姿勢を示していました。 これに対して中国は「問題をさらに複雑にするだけであり、中国を含むこの地域の国々の安全と利益を損なうものだ」と反発しています。 アメリカ政府の当局者は、今回の中国軍の行動について、「アメリカが監視していることを承知のうえで破壊試験を実施したのは明らかで、中国にはいつでも『THAAD』を破壊する能力があると見せつける狙いがあったと分析している」と話しています。

中国軍 アフリカ ジブチに初の海外基地運用開始  4時59分

海軍力の強化を進める中国軍はアフリカのジブチに建設した海外で初めての補給基地の運用を開始し、インド洋やアフリカ大陸で存在感を高めるとともに、遠洋で海軍を展開するうえでの拠点にする狙いもあると見られます。

国営の中国中央テレビなどによりますと、中国軍は1日、アフリカ東部のジブチに先月開設した海外で初めての補給基地で運用開始を記念する式典を行いました。 この基地について中国軍はソマリアの沖合での海賊対策や国連のPKO=平和維持活動への支援を行う拠点として使うと説明していますが、中国共産党系のメディア、環球時報は「中国海軍のより遠くへの展開を支えるもので意義は重大だ」と伝えています。 基地の構造などについて中国側は明らかにしていませんが、アメリカのシンクタンク「ストラトフォー」などが衛星写真を分析したところ、大きな地下構造物とともにヘリコプターなどが離着陸できることになる施設も建設中だということです。 ジブチは紅海とインド洋に面した要衝で、アメリカなどは中国がインド洋やアフリカ大陸で存在感を高めるとともに、遠方の海域に軍を継続的に派遣するための足がかりになるとして警戒を強めています。 ジブチにはアメリカとフランスが軍の基地を置いているほか、日本もソマリア沖の海賊対策にあたるための自衛隊の活動拠点を拡大する方針です。>(以上)

昨日も青山繁晴参議院議員の「虎ノ門ニュース」の情報を取り上げましたが、戦争は近いと思った方が良いという気がします。青山氏はその中で「北による先制攻撃はない」と見ていますから、米軍が先に攻撃することになります。テイラーソンが対話を呼びかけ、トランプは「戦争が起きるなら向こうでやる。大勢が死ぬが、米国ではなく向こう側で死ぬ」と言いきっていますから、テイラーソンは北を油断させる陽動作戦では。NEO(non-combatant evacuation operation)もやりだせば相手に気付かれるので、動かさないで一気呵成に相手を叩く方式を取るかもしれません。どこからB-2ステルス爆撃機やミサイルを飛ばすかですが。ミサイルは原潜からが一番良いのではと思います。

韓国は慰安婦に飽き足らず、徴用工の問題として映画『軍艦島』をパリでユネスコ本部職員と外交官を集めて上映し、各国に日本をデイスカウントしました。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/society/2017/07/31/0800000000AJP20170731001600882.HTML

外務省は何をしているのでしょうか?韓国人監督は日本向けにフィクションと言っているようですが、それなら、日本も堂々と会場に乗り込み「監督がフィクションと言っています。表現の自由があるのでこれ以上は言いませんが、事実と異なるというのを頭に入れてご覧ください」くらいは言いなさいよ。明治の外交官程気骨のある人間はいないのでしょう。幣原・吉田辺りから腐って、戦後は戦わない外交官ばかりになりました。一時はホテル代を水増し請求して裏ガネを作っていた浅川明男や公金で馬を買っていた松尾克俊のように金銭感覚がハチャメチャでした。彼らは外務省職員の氷山の一角です。国益の為に働かず、蓄財に励む、見下げ果てた人種です。

映画『軍艦島』はこのまま放置すれば「従軍慰安婦」の二の舞になるのは必定です。先ず、韓国経済を締め上げるようなことをすべきです。当然通貨スワップはなしで、スマホ部品等輸出制限を段階的にかけるべきです。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/society/2017/07/31/0800000000AJP20170731001600882.HTML

日本は朝鮮半島に甘い顔をしてはなりません。今の日本人は自分の生きている時代のことしか考えていないように見えます。先祖の名誉を汚し、子孫の恥になるような嘘を唯々諾々と受け入れることが許されるはずもありません。無関心というか、「自分には関係ない」、「誰かがやるだろう」とか「他国が言ってることなので」とか思っているのが一番良くありません。文句を言っても外務省では無視されるのがオチでしょうから、外務省ではなく、首相官邸にクレームを入れて下さい。小生は上記文章を、若干手を加えて送りました。

https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html

8/2杉浦正章氏のブログにはゲーツ元国防長官が日韓の安全保障を犠牲にした提案を中国にするかもしれず、そうなれば北が小躍りして喜ぶとありました。そうなれば、日韓とも核武装に走らなければなりません。但し、ダレ切った日本人は左翼洗脳脳で固まっていますので自分の生命より憲法9条の方が大切です。核保有を米国が認めたとしてもなかなか進まないでしょう。死ぬ覚悟があって理念に殉じるというなら理解できる部分もありますが、大部分は何の考えもなく、覚悟を持っていない人が殆どでしょう。敵は日本人全体を抹殺したいと思っているのに。想像力にかける国民では国が亡ぶしかありません。無責任・衆愚の極みです。

http://thenagatachou.blog.so-net.ne.jp/archive/20170802

8/2日経電子版<米空母の朝鮮半島派遣、前倒しか 韓国報道>

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM02H4C_S7A800C1FF2000/

8/21から始まる米韓合同演習で「ロナルド・レーガン」と「カール・ビンソン」の2隻が朝鮮半島に前倒し(今月中旬)派遣されるとのこと。抜かずの宝刀にならないように。

真壁氏の論説にありますように、朝鮮半島には関わらず、ASEANに力を入れて、中国包囲網を作った方が良いでしょう。

記事

Photo:YONHAP NEWS/AFLO

韓国のムン・ジェイン(文在寅)政権は、依然として、北朝鮮との関係を対話によって改善する姿勢を取っている。これまでの北朝鮮の金正恩の態度を見ると、7月28日深夜にも大陸間弾道ミサイルの発射実験を実施しており、同氏には対話の意図はまったく見られない。恐らく、対北朝鮮の関係は前には進まないだろう。

一方、文大統領はわが国とのシャトル外交の再開に合意した。ただ、文大統領が本気でわが国との関係改善を図ろうとしているかは疑問だ。

現在、韓国の文政権は、先の朴大統領が結んだ日韓政府合意の検証を進めようとしている。中でも、慰安婦問題を再び蒸し返す意図が見られる。そうしたスタンスを見ると、同氏が本気でこの問題の解決を目指しているようには見えない。

今後の展開次第では日韓関係が冷え込む展開も考えられる。相変わらず、韓国は駄々っ子のように分かりやすい国のようだ。

避けられそうもない 朝鮮半島情勢の混迷

最近の韓国を見ていると、国全体で危機感を共有しているようには見えない。あるソウル在住のエコノミストは、「財閥改革を主張してきた文政権は、足元でサムスン電子の業績拡大に支えられている」と指摘していた。そうした状況を考えると、文政権がすぐに財閥依存の経済構造を改革する余裕はないだろう。

一方、韓国政府は、国際社会での地位の向上や需要の取り込みを目指して中国との関係を強化しようとしている。ただし、それが中長期的な韓国自身の国力の引き上げにつながるかは疑問の余地がある。韓国が秋波を送る中国が重視するものは自国の利益であり、長い目で見ると、中国が韓国に対して重要なメリットを与え続けるとは考えにくい。

韓国にとって最大のリスクの一つは北朝鮮問題であるはずだ。もし、北朝鮮の軍事的挑発を受けて米国が制裁を強化したり、何らかの軍事的対応をとるなら、朝鮮半島での有事勃発のリスクも排除できない。それは韓国の国家存亡にかかわる問題だ。

この問題に対処するために、文政権は中国との関係強化によって事態が改善すると考えているように見える。長期の支配基盤を手に入れたい中国の習近平国家主席は、朝鮮半島情勢がさらに不安定化することを避けたい。そのため、中国は米国の強硬姿勢と距離を置き、韓国が米国のミサイル防衛システムの配備を進めることも批判してきた。

米中の対北朝鮮政策の足並みがそろわない中、文政権は一貫して北朝鮮との対話政策を訴えてきた。背景には中国への配慮があるのかもしれない。文政権は中国との関係を強化して、経済的なメリットを受けたいのだろう。

この見方が正しければ、韓国における既存の政治・経済構造は当面、維持される可能性が高い。問題は、それは文大統領がこれまで主張してきた財閥改革などの革新=構造改革の推進に逆行することだ。

反日姿勢を強める 韓国・文政権

現在、北朝鮮は対話の意思をまったく示していない。それでも韓国の文政権は対話を重視するという。そのスタンスは分りにくい。対話をする意思のない北朝鮮に対して、対話を呼びかけて何か効果があるとは思えないからだ。

7月上旬、日米韓の首脳会談では連携して北朝鮮に圧力をかけることが確認された。日韓両政府はシャトル外交の再開にも合意した。こうした結果を受けて、わが国では韓国が慰安婦問題の再交渉などを棚上げし、わが国との関係強化を念頭に置いているとの見方がある。

一方、米国のトランプ政権が強引とも言えるスタンスで、韓国とのFTA協定の再交渉を求めている。それを考えると、韓国にとって中国はますます重要な存在となるだろう。ただし、北朝鮮との関係を考えると、韓国は、米国との関係が冷え込むなど国際社会から孤立する展開も避けたいはずだ。

韓国としては日米との関係を土台としながら、中国との関係を少しずつ強化して、サムスンなどの韓国企業が中国市場で経済的メリットを享受できる体制を取りたいのだろう。つまり、韓国としてはすべて“いいとこ取り”をしたいというのが本音だろう。

そう考えると、文政権がシャトル外交に同意したからと言って、今後の日韓関係が簡単に強化されると見るのは早計だ。状況によっては、韓国が反日姿勢を強め、慰安婦問題の再交渉などで国内の世論を味方につける行動に出ることは十分に考えられる。

現在、文政権は、2015年12月の日韓外相会談で合意に達した“最終的かつ不可逆的な解決”が盛り込まれた経緯を検証しようとしている。本来、国家間の合意は一方的な主張によって反故にできるものではない。最終的な合意に達した以上、遵守されなければならない。現時点で文政権に政府間の合意を遵守する意思があるとは考えづらい。

今後の支持率にもよるが、有権者の支持をつなぎとめるためにも、文政権は慰安婦問題が未解決であると主張し、反日姿勢を強める可能性がある。それは、韓国が中国との関係を強化していくためにも都合の良い主張となるだろう。

アジア新興国との関係強化の重要性

韓国が反日姿勢を強めた場合、わが国は合意内容の確認とその遵守を求めればよい。感情的になって相手を批判するのは避けるべきだ。それよりも、アジア各国との関係を強化し、自国の発言力と経済基盤の強化に注力することが重要だ。

中国が目指すのは国際社会での発言力の強化である。中国は力の論理で各国に経済の開放を求めていくだろう。その要請に応えない国には、海洋進出などを通して圧力をかけるだろう。

本来、国際社会の利害調整を担うべき米国のトランプ大統領は、自国第一に傾倒し保護主義を重視している。この中でドイツが中国との関係強化に動いている。そうした政治のダイナミズムが、国際社会を不安定な状況に向かわせている。

その中で、日EU経済連携協定が大枠合意に達したことは重要だ。わが国は多国間の経済連携を進め、国際社会の連携を重視する姿勢を国際社会に示すことができた。わが国は経済連携に関する議論を加速させるべきだ。政府はアジア新興国ともTPP11などに関する議論を重ね、自由貿易の促進や競争・投資に関するルールの統一を進めるべきだ。それは、対中包囲網を形成することでもある。

国際社会での意思決定は、基本的に多数決に基づく。わが国は、経済連携に関する議論を進めつつ、賛同する国には経済支援を提供することで理解者=親日国を獲得できるだろう。わが国を中心とする経済連携の深化は、アジア新興国にとって中国への抑止力にもなるはずだ。わが国がアジア各国との経済的な関係を強化することができれば、中国との関係を重視しているドイツなどとも連携を強化することができるだろう。

反対に、アジア各国と関係を強化できないと、わが国はアジア・極東地域の中で孤立するかもしれない。その場合、わが国の政治・経済は厳しい状況に直面することが予想される。こうしたリスクシナリオを避けるためにも、わが国は安全保障面では米国との関係を基礎としつつ、アジアを中心に各国との経済連携を進めるべきと考える。国内での構造改革や政治の安定が必要なことは言うまでもない。

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『「歴史家」大統領補佐官はトランプを制御できるか ベトナム戦争の「失敗の本質」を分析したマクマスター氏』(8/1JBプレス 佐藤けんいち)について

鬼女さんのチラシ(フェイクニュース、民間防衛)を小生ブログのトップページにも載せましたので、ご覧になってください。こういう地道な活動で少しずつ日本をまともな方向に変えられれば。

また、ネットでNHKが受信料についてパブリックコメントを募集していることを知り、小生の意見を送付しました。

<NHK受信料制度等検討委員会 諮問第3号「受信料体系のあり方について」答申(案)概要に関するご意見の募集

  • ご意見の募集期間

平成29年7月26日(水)10時~8月15日(火)24時(郵送の場合は、8月15日の消印有効)

http://www.nhk.or.jp/keieikikaku/03/index2.html

[BBCと同じくスクランブルをかけて、見る番組にのみ課金するようにすれば良い。

ネットも同じ方法で。見ていないのに金を払うのは税金と同じ。

それができないなら他の民放と同じになればよい。]>

小生の今の英語の先生が英国人で、BBCはスクランブルをかけていると言っていました。ならばNHKにだってできないはずはありません。(2学期からは麗澤大学のジェイソン・モーガン先生の『国際関係概論』を聴講する予定です。モーガン先生は『アメリカはなぜ日本を見下すのか?』と言う本を日本語で出版しています。”court historian” ではなく、“true historian”です)

如何にメデイアは安倍政権を打倒しようとしているかが分かる記事がありました。ネットギークでの記事ですが、『ニュース女子』での発言のようです。

<フリージャーナリスト「安倍総理に有利な証言をするとテレビ局にカットされてしまう。異常事態」>

http://netgeek.biz/archives/100383

8/2日経朝刊ホワイトハウス機能不全 ロシア疑惑抱え政権に火ダネ 

【ワシントン=永沢毅】トランプ米大統領は7月31日、ホワイトハウスの広報戦略を担うスカラムチ広報部長を任命から10日で解任した。7月は大統領報道官、同首席補佐官、広報部長という枢要ポストの3人が相次いで退任し、ホワイトハウスは半ば機能不全に陥った。トランプ氏や閣僚らはロシアとの不透明な関係を巡る疑惑を抱え、政権が行き詰まる火ダネは残る。

■広報部長、任命10日で解任 政権、内輪もめ露呈

31日朝、ホワイトハウスの大統領執務室。「首席補佐官として目を見張る仕事をやってくれると確信している」。トランプ氏は31日に首席補佐官に就いたばかりのケリー氏を前に、称賛の言葉を並べた。スカラムチ氏の広報部長の辞任が発表されたのは、それからわずか5時間後だった。

21日に広報部長に任命されたスカラムチ氏は、ウォール街を代表する投資銀行のゴールドマン・サックス出身。同じニューヨークを拠点とするトランプ一家との近さを売りにしていた。

広報部長として対外発信したのは政権中枢の内輪もめだった。就任時の記者会見で、上司のプリーバス前首席補佐官を通さずに大統領と直接話をできると豪語。プリーバス氏を「偏執的な統合失調症」とも罵倒した。

ケリー氏はこうした奔放な言動を「規律がとれていない」と問題視。トランプ氏に広報部長の解任を迫り、大統領は受け入れた。サンダース大統領報道官は記者会見で「大統領はスカラムチ氏の発言を不適切とみなしている」と認めた。

ホワイトハウス職員を統括する首席補佐官は本来、大統領の日程を管理し、面会者の調整にあたる。強大な権限を持つため「影のナンバー2」とも呼ばれる。政権は「ケリー氏はホワイトハウスを運営するための全ての権限がある」(サンダース氏)と説明した。トランプ氏の娘イバンカさんとクシュナー上級顧問の夫妻もケリー氏への報告義務があるとした。

ホワイトハウスは娘夫婦ら大統領の親族、ペンス副大統領ら共和党主流派、バノン首席戦略官・上級顧問ら反エリート派の3つの派閥が権力闘争をしてきたとされる。政権内の力学はしばらく変わりそうにない。

その点で、トランプ氏にとって、どの派閥にも属さないケリー氏はホワイトハウスの立て直しを託すのに適任者だったともいえる。軍人出身で規律を重んじる性格もトランプ氏の好みだ。ケリー氏は首席補佐官を受ける条件に「全面的な権限の保証」を求めた。トランプ一家に起用された広報部長を解任し、就任初日にその力を誇示した。

政権は「疑心暗鬼を抱いた側近同士が足を引っ張り合い、情報・指揮系統が乱れた」(みずほ総合研究所の安井明彦氏)。そのひずみが一連の辞任・解任劇に出た。「首席補佐官が情報や指揮系統を掌握できるかが重要になる」(安井氏)

■議会とのパイプ役も不在 政府債務問題に関門

トランプ政権は、党主流派のプリーバス氏(前首席補佐官)がホワイトハウスから去ったことで、与党・共和党とのパイプ役が不在になった。政権と議会にとって大きな関門になりそうなのは、9月末に期限が迫る米政府債務の上限引き上げ問題だ。議会が合意できなければ、国庫は底をつきかねない。

1日のニューヨーク外国為替市場で円相場は一時1ドル=109円台を付け、約1カ月半ぶりの円高・ドル安水準。市場はトランプ政権の先行き不透明感を警戒し始めた。

議会の共和党は分裂状態にある。上院は、医療保険制度改革法(オバマケア)の廃止論者であるマコネル院内総務がいながらも、代替案の採決は共和党議員の造反で空振りに終わった。下院はライアン議長が大規模な税制改革を検討しているが、政府債務増に反対する保守強硬派に主導権を握られる。保守強硬派は緊縮財政を政権に迫る。議会も手足を縛られる。

首席補佐官に就いたケリー氏は、海兵隊退役大将。「ホワイトハウスの派閥に属さないが、常識人とみられており、共和党主流派と協調できる素地がある」(慶大の渡辺靖教授)。共和党重鎮で海軍出身のマケイン上院議員らと気脈を通じる経歴ともいえるが、政治力は未知数。上院議長を兼ねるペンス副大統領は外交・安保で前面に出て、議会折衝など内政をみる余裕がないともされる。>(以上)

8/2宮崎正弘氏メルマガによれば写真の「ホワイトハウスの新しい布陣」の下部にある、ライアンとマケインがトランプ政権にとって癌のようです。議会対策は本来であれば、両人がすべきです。

http://melma.com/backnumber_45206_6564413/

また、宮崎氏の本メルマガには中国が世界規模で侵略に乗り出してきているのが分かります。東シナ海、尖閣も危ないです。やはり尖閣に早く地対艦ミサイルと自衛隊を配置しなければ。遠慮しているとブータンのようになります。トランプに仁義を切れば難しくはないのでは。米軍とも連絡を密にしておかなければいけませんが。

http://japanese.joins.com/article/381/219381.html

8/2日経朝刊中国、ブログ1000件超閉鎖 党大会控え言論統制強化

【北京=多部田俊輔】中国のニュースサイト大手、捜狐や騰訊控股(テンセント)など4社は1日までに、合計で1000件以上のブログなどのアカウントを閉鎖した。中国メディアの大半は共産党の「喉と舌(代弁者)」と位置づけられるため、国民の多くはブログなどを情報収集の手段としている。今秋の共産党大会を控えて言論統制を強化する中国当局の狙いが透ける。(略)>(以上)

言論の自由のない国、中国が当然の如く、個人の自由な意見の発露を制約しようとするものです。これに引換え、日本は何て言論の自由に満ち溢れていることか。森友・加計に代表される捏造事件を、野党・新聞と連携して朝から晩まで情弱老人を洗脳するため、TVで報道し続けています。自由な報道を笠に着た権利の濫用と思います。事実と違うor大事な情報を流さないのであれば、報道機関ではなく、プロパガンダ機関でしょう。新聞もやがて押紙訴訟で売上が減るのが加速されるでしょうし、TVは鬼女さんのチラシのようにどこかで転換点を迎える気がします。(まあ、情弱老人が亡くならないと無理かもしれませんが)。その裏に中国の姿を見るのは小生だけではないでしょう。

ケリー首席補佐官(海兵隊:大将)とマクマスター国家安全保障問題担当補佐官(陸軍:中将)との関係がうまく行けば良いですが。両者とも軍人出身ですからあらゆる手を尽くして戦争は避けようとするでしょう。その代り、北を裏で支える中国に対し、金融制裁を課し、中国経済を崩壊させるのではと思います。それでも戦争になれば、彼らはしっかり戦うし、勿論日本も一緒に戦わなければ。悪の帝国・中国をのさばらせれば日本にとって亡国となります。米国の力が強いうちに中共を崩壊させねば。青山繁晴参議院議員は7/31虎ノ門ニュースで戦争が近い可能性を示唆しました。機密漏洩する韓国軍にちゃんと情報を流すようになったのは、戦闘が開始される予兆ではという事です。(参照:「ぼやきくっくり」記事)

http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid2088.html

また、遠藤健太郎氏のブログによれば北は核ミサイルを80発持っているとのこと。米軍が攻撃するのであればB61-11を使って核ミサイルを撃てないように徹底して攻撃してほしい。

http://endokentaro.shinhoshu.com/japan/post4910/

記事

国家安全保障問題担当の大統領補佐官に指名したハーバート・マクマスター氏(左)と握手するドナルド・トランプ米大統領。フロリダ州パームビーチで(2017年2月20日撮影)。(c)AFP/NICHOLAS KAMM〔AFPBB News

前回のコラム(「トランプ陣営『2人の将軍』の知られざる共通点」)では、トランプ政権の閣僚である「2人の将軍」に歴史学を専攻した共通点があること、そして、国防長官であるマティス米海兵隊退役大将の古今東西の戦史に関する博覧強記ぶりと古代ローマ時代の古典を「座右の書」にしていることについて触れた。

今回は、国家安全保障問題担当のハーバート・マクマスター大統領補佐官が正真正銘の「歴史家」であることについて見ていきたい。

現役の陸軍中将であるマクマスター大統領補佐官は、トランプ大統領お気に入りのフリン補佐官が更迭されたために、共和党サイドから送り込まれてきた人物であり、トランプ政権の「お目付け役」と期待されている。

指揮官としても参謀としても豊富な軍歴をもっているのに、直言タイプであることから煙たがられ、それが理由でいまだ大将に昇格してないらしい。だが、その性格が見込まれてトランプ政権に送り込まれたのであろう。

マクマスター氏の著書は米国版『失敗の本質』

マクマスター氏の問題意識と歴史に関する知見について知るには、マクマスター氏自身の著書を紐解いてみるのが早道だろう。

その著書とは、『職務怠慢─ジョンソン大統領、マクナマラ、統合参謀本部とベトナム戦争を導いたウソの数々』(Dereliction of Duty: Lyndon Johnson, Robert McNamara, The Joint Chiefs of Staff, and the Lies that Led to Vietnam:日本語未訳)。歴史学の博士論文を基にして執筆した一般向けの単行本である。

いまから20年前の1997年に出版されたものだが、マクマスター氏が大統領補佐官に抜擢されマスコミの脚光を浴びたとたん、米国で2017年のベストセラーに躍り出た。

内容は、シビリアンコントロール(=文民統制)下の政軍関係と意志決定に焦点を当てた歴史研究である。戦場となったベトナムにおける戦いではなく、連邦政府のあるワシントンを舞台にした戦いを、1961年からベトナム戦争が本格化した1965年までを時系列に沿って整理している。

膨大な史料をもとに、ベトナム戦争が本格化するに至ったプロセスを分析したこの労作は、いわば米国版の『失敗の本質』とでも言うべき内容だ。

建国から200年目にして、米国にとって初めての致命的な敗北となったのがベトナム戦争だった。泥沼の戦いが続くなか、米国内だけでなく世界中で反対運動が激化し、敗北によって米国国民が被った精神的ダメージは「ベトナムシンドローム」と呼ばれた。

「南北戦争」以後最大とされるベトナム戦争後遺症は、長期間にわたって癒やされることはなかった。いや、いまでも完全に払拭されたとは言い難い。ベトナム戦争は、2001年の「9.11」以後もなお、米国人にとってトラウマであり続けている。

なぜ、誤った意志決定がくだされたのか? 誤った意志決定はいかにして実行に移され、泥沼の戦いに引きずり込まれていったのか? マクマスター氏の著書はこれらの問いに対する答えである。

国防長官も統合参謀本部も同罪

マクマスター氏は、こう結論付けている。

ベトナム戦争を本格化させ、失敗に導いた責任は、アメリカ合衆国軍の最高指揮官である大統領と国防長官にある。だが、シビリアンコントロール原則下にある統合参謀本部もまた同罪である──。この意味はきわめて大きい。

ケネディ大統領の暗殺後に副大統領から大統領に昇格したのがジョンソン大統領であった。ケネディによって抜擢され、その後も引き続きジョンソン大統領に仕えたのがロバート・マクナマラ国防長官である。

ベトナム戦争の失敗に関して、とくにマクナマラ氏の責任が重かったことは、『ベスト&ブライテスト』(デイヴィッド・ハルバースタム著)や映画『フォグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白』(2003年)などを通じて、すでによく知られていることだろう。

「ベスト&ブライテスト」の1人とされ、ハーバード・ビジネス・スクールで MBA(経営学修士)を取得していたマクナマラ氏は、絵に描いたような秀才であった。第2次世界大戦では陸軍航空隊で日本への戦略爆撃の数値解析に従事、戦後はハーバード大学で統計学の教鞭をとったのち、自動車メーカーのフォード社でCEOを務めた。その後、国防長官として抜擢され政権入りした。

マクナマラ氏は国防総省に連れてきた「ウィズ・キッズ」(whiz kids=天才児たち)と呼ばれた秀才たちとともに、統計学を駆使し、数量化理論にもとづく作戦計画を立案した。だが、自分たちの優秀さを鼻にかけ、軍人たちを知的レベルが劣るとして見下していた。また理数系にありがちなタイプとして、歴史も軽視していた。

そんなマクナマラ氏に国防問題をほぼ全面的に任せていたのがジョンソン大統領である。棚ぼた式に職についたジョンソン大統領は、なによりも部下には「個人的忠誠」を求めていた。マクナマラ氏もまた大統領の意向を「忖度」する能力に長けており、大統領から絶大な信頼を勝ち取っていた。

シビリアンコントロール原則のもとでは、軍は最高指揮官である大統領の命令に服すことが求められる。だが、シビリアン(文民)の意志決定がつねに絶対に正しいという保証はない。専門性の観点から、軍の側でも反論すべき点は反論するのがあるべき姿であろう。

とはいえ、「朝鮮戦争」で戦争方針をめぐって対立したマッカーサー元帥がトルーマン大統領に解任されてから10年しか経っていなかったこともあり、統合参謀本部はマクナマラ国防長官に同調することを選択する。保身に走ったわけである。

軍事のリアルな理解の乏しいマクナマラ国防長官の作戦方針が、軍事の専門家から反論されることなくベトナムでも展開されることになったのはそのためだ。

1964年の大統領選で勝利することを至上命題としたジョンソン大統領の意を受けたマクナマラ国防長官は、ベトナムには軍事介入しないという虚偽の情報を流して国民を欺いた。そして、選挙後は手のひらを返したようにベトナムに本格的に軍事介入を開始し、結果としてアメリカを大義なき泥沼の戦いへと導いてしまった。

つまり、マクナマラ国防長官に責任があるだけでなく、シビリアンの独走を許した統合参謀本部も同罪なのである。

統合参謀本部は、陸・海・空と海兵隊の4軍の代表と議長の5人よって構成される。マクマスター氏は「沈黙する5人の男たち」という表現で、当時の統合参謀本部を否定的に評価している。米陸軍の「中の人」であるマクマスター氏による、まさに直言というべき結論だ。

マクマスター氏が陸軍に入隊して驚いたこと

マクマスター氏は、そんな博士論文を35歳のときに完成させた。現役の陸軍中将ではあるが、アマチュアの「歴史通」ではない。専門分野としての「歴史学」の方法論をマスターし、博士号の学位(PhD.)を持つ「歴史家」なのである。

博士号取得後には、母校の陸軍士官学校で「歴史」の教官を2年間務めていることも付記しておこう。論文を土台にした『職務怠慢』もまた、軍の内外から絶賛されている。

なぜマクマスター氏はこのようなテーマで研究し、博士論文を完成させたのか。その動機と問題意識について本人が『職務怠慢』の「まえがき」で次のように語っている。

マクマスター氏は、1984年に米陸軍士官学校を卒業し、陸軍少尉として軍人としてのキャリアをスタートした。戦場で指揮をとることになる以上、先人たちの経験から学ぶのは当然だと考え、ベトナム戦争に従軍した下級士官たちの回想録を読みふけっていた。だが陸軍に入隊してみると、驚いたことに、陸軍内部ではベトナム戦争について語られることがほとんどなかったのだという。

ビジネス組織もそうだが、軍事組織も過去を振り返るよりも常に未来が視野にある。とはいえ、ベトナム戦争についての反省も総括も十分に行われていないことに、青年将校のマクマスター氏は大いに疑問をもった。

湾岸戦争(1991年)には陸軍大尉、機甲騎兵連隊の指揮官として従軍したが、それまで読んだり聞いたりしていたベトナム戦争とは根本的に性格の異なる戦争であることを実感する。湾岸戦争では戦略目標と戦闘任務が合致しており、前線指揮官が悩む必要はなかったのである。

なぜベトナム戦争では、明確なビジョンや戦略がないまま戦闘が延々と続いて失敗に終わったのか? その答えを自分なりに極めたいと思い、任務終了によって帰国した翌年の30歳の時、ノースカロライナ大学に入学して研究を開始したのだという。

*  *  *

トランプ時代の現在、「フェイクニュース」が平気でまかり通る「ポストトゥルース」時代であると言われるが、実はベトナム戦争時代の米国もまた同様に、政府そのものがニセ情報の発信源であったのだ。しかも、ベトナム戦争時代には国民もまた分断されていた。

そんなベトナム戦争時代の政治と軍との関係を詳細に研究したのが「歴史家」のマクマスター氏である。大統領補佐官としてトランプ大統領を牽制する役割が期待されているのは、ある意味では当然と考えるべきであろう。

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『米議会、ロシアゲートでついに本丸に切り込む クシュナー証言はトランプ大統領に吉と出たか、凶と出たか』(7/31日経ビジネスオンライン 高濱賛)について

7/30NHKニューススリランカの港 中国が99年間の運営権 7月30日 5時03分

中国が海洋進出を進めるうえで重要な拠点になると見られるスリランカ南部の港が、99年間にわたって中国に譲渡されることが正式に決まり、中国のインド洋での存在感が一段と高まることになりそうです。

スリランカ南部のハンバントタ港は、中国がおよそ14億ドルを融資して建設が進められている南アジア最大級の港ですが、民間企業の進出が進まず、スリランカ政府は中国への借金の返済にめどが立たないことから、中国側と協議を続けてきました。 その結果、29日に11億ドルの借金を事実上免除する代わりに、中国企業が港の管理会社の株式の70%を保有し、99年間の運営権を持つことで双方が合意しました。 ハンバントタ港をめぐっては、当初、ことし1月に合意文書が交わされる予定でしたが、港の警備を中国側が担うとなっていたことに政府内から「中国による植民地化だ」などと反対の声が上がったほか、インドなど周辺国からも懸念が示されたため、今回の合意では警備はスリランカ政府が行うと変更されました。 ハンバントタ港はシーレーン=海上交通路に面していて、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の重要な拠点になると見られていて、中国のインド洋での存在感が一段と高まることになりそうです。>(以上)

中国のスリランカへの11億$の債務免除は、海外への資金流出を規制しているのに実行したという事は、キャッシュフロー上は既に$を支出していて、貸付金勘定から債権放棄損で処理できるということなのでしょうか?どういう処理にしろ、スリランカの中国への植民地化が始まったと見るべきでしょう。英国への香港租借を99年としたように。まあ、中国のことですから、武力の代わりにスリランカ要人に賄賂を配ったのでしょうけど。日米印の軍事連携が大事となります。

7/31渡邉哲也氏記事<北朝鮮のミサイル開発に中国軍部が関与か…米国の制裁強化で中国経済が崩壊危機>

http://biz-journal.jp/2017/07/post_19988.html

米国の予想より早い北朝鮮のロケット技術獲得は絶対技術支援している国があるはずです。今までは習と反目する瀋陽軍と考えてきましたが、中国全体で北を支援し、米国との代理戦争を北にやらせようとしているのでは?中国本体は痛みませんので。中国お得意のデイスインフォメーションに踊らされて来たのかも知れません。ただ、潮匡人氏の『安全保障は感情で動く』によれば、「金三胖は部下から正しい情報が上がっておらず、本気で米軍と戦争して勝てると思っているのでは」と感じました。戦争はいつも誤断から始まります。

引用:P.74「つまるところ、金委員長はアメリカを挑発し、戦争になっても、「勝てる」と考えているのではないだろうか。なぜ勝てるのか。それは、金委員長が、核弾頭を搭載したICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発に成功したと考えているからではないか。」P.78「少なくとも、金正恩委員長は、「再突入技術を獲得した」などの報告を鵜呑みにした可能性が高い、と筆者は考える。」P.82「やはり、ここでも(注:核兵器の小型化・弾頭化のこと)、金正恩委員長にどう報告され、彼がどう考えているか、の方が重要である。この点においても、金委員長がそう考えている可能性が高い。」

米中戦争の前に、米北戦争になる可能性が高いです。これに対し、トランプ政権のゴタゴタが収まりません。スパイサー報道官辞任のニュースも冷めやらぬうちに今度はスカラムチ広報部長解任とのニュース。これでは落ち着いて仕事はできないでしょう。クシュナーとイバンカが決めているのでは人心が離れて行きます。議会対策もままならないでしょう。取敢えずは、中国への金融制裁強化、中国への制裁関税強化から始めて行くのでは。米国は北に先に撃たせようと思っている筈で、日本はミサイル飛来をずっと警戒せねばなりません。またそれに呼応したテロも。テロを起こした場合、一網打尽にすべきです。それに繋がる政治家もメデイア人も。

8/1ロイター<米大統領、スカラムチ広報部長解任 ケリー首席補佐官の要請か>

https://jp.reuters.com/article/usa-trump-scaramucci-nyt-idJPKBN1AG2AN

日本の敵は外敵ばかりでなく、内なる敵が強大と8/1宮崎正弘氏のメルマガにありました。<現在の法整備から申し上げて、殆ど何も出来ないのが現状でしょう。国民が拉致されても、政府は何も出来なかったように。

 「べき」論と、現実のギャップはあまりにも大きく、しかも一歩前進の「安保法制」を「戦争法」と言い換え、「テロ防止法」を「共謀罪」だと言いがかりをつけている勢力があり、我が国は北朝鮮の脅威より、国内に敵が、それも強敵がいます。

 GDPに2%に防衛費を増大するなどと言っても、正面から反対し妨害する、中国と朝鮮の代理人的なメディア、活動家、そしてスパイたち。

 この内部の敵との戦いが目の前にある最大の脅威ではないでしょうか。>

http://melma.com/backnumber_45206_6563925/

内なる強敵のマスメデイアに対して、鬼女さんの作成した「フェイクニュースに騙されないで」チラシを紹介します。ネットでは完成度が高いと評判です。

↓こちらをダウンロードしてください。pdfファイルです。

左ページ

http://firestorage.jp/download/6c9e0cd5cb200c9dbcdb03c5bb8b7b657bb3da85

右ページ

http://firestorage.jp/download/94b8d13ee0d366615993880103d9cba6e6473141

高濱氏記事は読み物としては面白いという印象です。米議会もプーチンを怒らせ、外交官追放の挙に出ました。北の問題があるのに。先が読めているとは思えません。

記事

米下院での証言を終え退出するクシュナー氏(写真:ロイター/アフロ)

—米議会が「ロシアゲート」究明で慌ただしい動きを見せていますね。

高濱:米上下両院の情報特別委員会は7月24と25日、ドナルド・トランプ大統領の娘婿のジャレッド・クシュナ―上級顧問に相次いで事情聴取しました。さらに26日、上院司法委員会が、同大統領の長男であるドナルド・トランプ・ジュニア氏と、選挙対策本部長を務めたポール・マナフォート氏を事情聴取しました。4つの事情聴取はいずれも非公開でした(ただし、クシュナー氏は事情聴取に先立ち、書面で証言を提出)。

議会の各委員会は調査する疑惑を二つに絞っています。

一つは、トランプ陣営の幹部だったクシュナー、ジュニア、マナフォートの3氏とロシア人弁護士の4人が面談した16年6月9日の内容。ロシア側から「ヒラリー・クリントン民主党大統領候補に不利な情報がある」と打診されてジュニア氏がセットした会談の席上で、「クリントン追い落とし工作」に関わるなんらかの「共謀」があったかどうか、です。あったとすれば、1971年に制定された「連邦選挙法」に抵触します。むろん、有罪となります。

この件は、ボブ・モラー特別検察官が率いる独立捜査チームにとっても重要な捜査案件の一つになっています。

もう一つは、政権移行期間中の16年12月1日に、クシュナー氏がセルゲイ・キスリャク駐米ロシア大使と面談した時の会談内容です。

ロシア政府とトランプ陣営との間に極秘通信ルートを開設するというロシアからの提案についてクシュナー氏はどう応じたのか。その計画はどうなったのか。米国の民間人が外国の外交官と「外交交渉」したり、外国人が選挙に介在したりすることは法律で固く禁じられています。またクシュナー氏がロシア大使と接触する際に「機密事項取り扱い許可」(Security Clearance)を司法省に申請をしていたか、も調査対象になっています。

「ロシア人弁護士との会談はジュニアがセットした」

—クシュナー氏の証言には説得力はありましたか。

高濱:クシュナー氏は「ロシア当局との不適当な接触はなかった」と言い切り、事情聴取を終えたあと記者団の前で潔白であることを強調しました。

クシュナー氏は委員会での事情聴取に先立ち、書面証言(11ページ)を提出しました。非公開の証言ゆえ、出席した議員から「不正確な証言内容」がリークされるのを警戒したためと見られます。リークによるメディア報道をいかに恐れているかの表れでしょう。

クシュナー氏が「ロシアゲート」疑惑について公式な発言をするのはこれが初めてです。書面は、16年6月9日の会合でも同12月1日の会合でも、自分は「不適切な接触をしたことは一切ない」と強調しています。

この書面証言について、司法省で連邦検事を務めた経験を持つレナト・マリオッチ氏は、法律専門サイトで次のようにコメントしています。「弁護士との綿密な協議の下に組み立てられた、一見非の打ちどころのないような証言だが、モラー特別検察官はその行間に隠れた部分に注目しているはずだ」

クシュナー氏は、核心部分については「忘れた」「記録した文書は見つからない」を連発しています。ロシア人弁護士との会合をセットしたのは自分ではない(注*1)、「機密事項取り扱い許可」が未申請だったのは秘書が忘れたためだ(注*2)、と逃げを打っているのです。

注*1:「16年6月9日の会合はジュニアがセットした。自分は最初の10分間で中座した。自分が同席している間に選挙の話は一切出なかった」と釈明。

注*2:「司法省への『機密事項取り扱い許可書』の未申請は秘書の手違いで事前提出できなかった」と釈明。

—11ページにわたる書面証言を読んでほかに感じたことはありますか。

高濱:どの国の要人に会うかは、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官に助言を求めたとか、駐米ロシア大使との接触については保守系雑誌「ナショナル・インタレスト」の発行人、ディミトリ・サイムズ氏に相談したとか。とにかく大物の名前を出して「権威」づけしています。委員会の議員たちに圧力をかけているんですよ。

核心部分については、選挙中と政権移行期に接触したすべてのロシア人について「覚えてはいない」と証言しています。面会者や電話交信した人たちのリストを記録していないとも言っています。

「選挙を勝ち抜いてきたトランプ選対、政権移行チームの事実上の最高司令官がそんなへまをやるわけがない」(民主党全国委員会幹部)と言われています。

ロシア関連の文書が見つからないのも不自然です。クシュナー氏ほどのビジネスマンが、自分が接触したお得意先、友人、知人と交信した文書を保管していないわけがありません。どこかの国の文科省の元事務次官と首相補佐官とが「言った」「言わない」と国会で水掛け論をやっているとのはわけが違いますよ(笑)。

モラー特別検察官チームに「水掛け論」は通用しません。クシュナー氏が誰かに対して「忖度」を働かせているとしたら、その「忖度」を立証するためありとあらゆる手を使うでしょう。

「機密通信ルート開設は話題になった」

—クシュナー氏は、キスリャク駐米ロシア大使との会談で話題に上った極秘通信ルート開設の話についてどう証言しているのですか。

高濱:こう証言しています。「私はキスリャク大使とトランプタワーで23分間面談した。マイケル・フリン氏(のちに大統領補佐官、在任期間24日で辞任)も同席した。会談では人道的問題をはらんでいるシリア内戦を終結させる必要性が話し合われた」

「キスリャク大使はトランプ次期政権とロシア政府中枢とが直接連絡をとれる極秘通信ルートを開設することを提案した。私が、ワシントンのロシア大使館内にある通信システムを使ってはどうかと述べたところ、同大使はこれを拒否したので、開設の話はそこで終わった」

—まだ正式に政府高官になっていない民間人がロシア大使とそこまで話し合うのは違法ではないのですか。

高濱:この件については、同席していたフリン氏をモラー特別検察チームが徹底的に尋問しているでしょう。クシュナー氏の証言と食い違っていれば、どちらかが偽証罪に問われます。また米情報機関も会談内容をすべて盗聴しているはずです。いずれ真相は明らかになります。

謎のロシア人女性弁護士は何者か

—議会が調べているもう一つの疑惑、大統領選さなかのロシア人弁護士(注*3)との接触をめぐる疑惑についてクシュナー氏は、中座したので「選挙の話は一切聞いていない」と証言しています。最後までロシア人弁護士たちと会談していたジュニア氏とマナフォート氏は何と証言しているのですか。

注*3:この女性弁護士はナタリア・ベセルニツカヤ氏。年齢不詳。09年に米国で施行された「マグニッキ法」の撤廃を要求する運動の指導者で、プーチン大統領周辺に近いとされる。マグニッキ法は、ロシアの人権弁護士セルゲイ・マグニッキ氏が獄死したことを受けて成立した法律で、マグニッキの死に関与したとされるロシア当局を制裁対象にしている。

高濱:上院司法委員会が26日に非公開聴取をしました。詳しいことは現時点(28日午後)ではわかりません。ジュニア氏は以前、「大した情報などなかった。会談は無意味だった」とメディアに語っています。

非公開聴取でも同じことを繰り返しているとして、ここからは、「ロシアゲート」疑惑を追っている主要紙のベテラン記者の話です。「クシュナーは6月9日の会合にジュニアに誘われたので同席した、と言っています。ということは、ジュニアに誘われた時点で、クシュナーも『クリントン候補に不利な情報をロシア政府が入手しているらしい』ことを知らされていた。だからこそ、選挙戦で忙しいあの時期に、クシュナー、マナフォートという選対の最高幹部が雁首を揃えて一介のロシア人女性弁護士に会った」

この会合に至るまでの経緯は、仲介役になったロブ・ゴールドストーン氏(元大衆紙記者)とジュニア氏とのメールのやりとりから明らかになっています。

ゴールドストーン氏は16年6月3日付のメールで、「知人のアガラロフ家(注*4)を通じてロシア当局から、<クリントンを有罪にし得る情報を提供してもいい>」との申し出が来ている」と書いています。それを読んだジュニア氏は「本当なら素晴らしい」と返信。それで、その6日後の午後4時にロシア人女性弁護士と面談することになるのです。

注*4:アラス・アガラロフ氏はプーチン大統領に近いロシア不動産王で、トランプ氏のロシアにおけるビジネスパートナー。アガラロフ氏の息子のポップ歌手エミン氏とトランプ氏はモスクワで開かれたミス・ユニバース・コンテストの共同主催者。

—ジュニア氏はメディアに対して「そんな情報はなかった。会談は無意味だった」と述べていますね。未公開聴取でも同じことを証言したのでしょうね。

ウィキリークスの「クリントン・スキャンダル」

高濱:一つ、“状況証拠”があります。当時の選挙状況です。6月9日前後の選挙情勢を振り返ってみました。

共和党の予備選でトランプ候補は46.8%の支持を得て、2位のテッド・クルーズ候補(27.5%)を大きく引き離していました。一方、クリントン候補との支持率争いではクリントン氏44.1%、トランプ氏40.3%と、4%近くリードされていた。

トランプ氏は共和党候補に指名される可能性が出てきた時期でした。クシュナー氏ら選対幹部は、次の標的はいよいよクリントン候補と考えるようになっていたと思います。しかし、本選挙でクリントン候補に勝てる状況にはなっていない。とすれば、クリントン候補にダメージを与える情報はのどから出るほど欲しかったはずです。

そこで、この会談でクリントン候補に不利な情報をロシア側から得たとします。それをトランプ陣営がメディアに流して使うか、あるいはロシア経由で第三者に流すのか。ジュニア氏、マナフォート氏とロシア人弁護士らとが具体的な話をしたとします。そうであれば、まさに「共同謀議」です。

16年の大統領選のさなか、ウィキリークスがかなりの量の「クリントン・スキャンダル」を流したことがあります。背後でロシア政府が蠢いたのか、どうか。

米保守系紙「ワシントン・タイムズ」が16年10月、ウィキリークスが流した「クリントン・スキャンダル」を基に「トップテン」を列挙した記事を書いています。

—今後、議会や特別検察官チームによる疑惑解明はどう進みますか。

高濱:議会には、クリシュナ―氏やジュニア氏たちに公聴会で宣誓させて証言させるべきだという声が出始めています。トランプ大統領は、議会による一連の取り組みについて「いかがわしい行為」とツイートする一方で、広報体制・弁護体制の強化に踏み切りました。

ジェフ・セッションズ司法長官の解任すら示唆しています。「ロシアゲート」疑惑追及の動きを止める積極性に欠けるというのが理由のようです。しかし同長官を解任すれば、「疑惑隠し」批判は免れません。

ホワイトハウスの広報部門のトップに、対メディアで超強硬派のアンソニー・スカラムッチ氏(投資会社創業者で政治コメンテイター)を起用、これに反発したショーン・スパイサー報道官が辞任しました。

トランプ大統領は28日、広報部門の体制を刷新するのに伴い、ラインス・プリ―バス大統領首席補佐官(前共和党全国委員長)を更迭し、その後任にジョン・ケリー国土安全保障長官(退役海兵隊大将)を起用しました。

また同大統領は、「ロシアゲート」疑惑追及に対応する弁護団の最高責任者に大物弁護士のタイ・コブ氏を任命しました。

政権発足6か月にしてホワイトハウスの中枢を刷新したのはなぜか。ワシントン政界通の一人は、今回の抜本的な人事刷新について筆者にこう解説しました。「厳しさを増すロシアゲート疑惑に対する議会、特別検察官の追及の動きにトランプ大統領が動揺している表れだ。これまでの態勢では劣勢を挽回できないとみたのだろう」

「ロシアゲート」疑惑もさることながら、上院は28日未明、同大統領が選挙公約に掲げてきた「医療保険制度」(オバマケア)の撤廃と代替をめぐる法案を僅差で否決してしまいました。トランプ大統領にとっては眠れない夜が続きそうです。

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