『中国次期政権のカギ握る王岐山氏』(8/7・14日経ビジネス FT)について

8/7宮崎正弘氏メルマガ<中国の住宅ローン残高、ついにGDPの44・4% 香港のエコノミスト、朗喊平の予言「住宅ローンを組んだら99%は破産する」>

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8/7看中国<北戴河掀暗戰 習陣營放風?再傳取消常委(圖)

中南海權斗激烈,十九大之前政局極其敏感。(圖片來源:視頻截圖)

習近平可能會取消政治局常委制度的消息,早在一年前就已熱傳,有銷聲匿跡一段時間後,在臨近中共十九大召開、北戴河會議悄然進行的當下,又再成為熱話題。習近平主導的未來政治格局備受關注。

8月5日,中國戰略研究雜誌社前社長李偉東在接受海外媒體採訪時說,習近平在中共十九大不設政治局常委、不設中共中央副主席的可能性都變得非常大。中共十九大可能就只有一個由25人或26人組成的政治局,這樣做,習就可以把他的親信都拉入政治局來。

李偉東並認為,7月30日內蒙古閱兵時,受閱軍人喊“主席好”的現象,這可能為中共十九大重新設立中共中央主席的位置作鋪墊。

此前,習近平於6月30日檢閱駐港部隊時,受閱官兵也喊出“主席好”的口號。

法廣8月6日對此分析說,如果相關消息屬實,今後北京的最高安排將不再設中共政治局常委制度。

據境外媒體披露,中共現任或退休高層目前已雲集北戴河,一年一度的“休假式”中共高層密會已經開始,當地近期進入高度警戒狀態。有人認為,過往有“老人干政”傳統的北戴河會議,已由習近平主政成功主導;不過也有觀點認為事關中共換屆人事布局,內部角力仍然激烈。

是否取消常委制、設立黨主席及取消接班人制度等中共頂層設計,早在一年多前就開始成為熱話題,其中習近平的取向成為焦點。

在2015年10月6日,海外一篇題為《紫荊來鴻:驚人之舉》聲稱有內部消息,未來只要條件成熟,或條件許可,習近平很可能會有驚人之舉。

2016年5月初,《亞洲周刊》披露,在當年的北戴河會議上,習近平當局可能要研議“取消常委制”“廢除七上八下”(即六十七歲可留任常委,六十八歲須退休)等議題。

隨後,2016年6月16日,中共黨媒《人民日報》刊登題為《中央主要領導機構歷史演進》的文章,回顧政治局常委會、中央書記處、中央軍委等機構的歷史發展過程,指中央主要領導機構並非一成不變,而是隨着形勢發展而改革完善。

《法廣》引述分析稱,這篇看似不起眼的文章暗藏玄機,或許預示十九大上可能會對領導機構進行大幅度改革。

與取消常委制配套,習近平本身的職務設置也是一個關注點。

2016年3月底,中共國家行政學院教授汪玉凱對外媒透露,中國未來可以由國家主席制變為總統制。但從目前中國的政治生態看,必須是“系統性改革”。

另一種消息指向的則並非總統制,據說習近平可能恢復設黨主席。

據香港《爭鳴》雜誌2016年12月號曾披露一份十九大籌備組下發的內部草案,指中共擬設中央委員會主席,設兩名副主席,原來的政治局常委制實質上已被打破。換言之,習近平下屆連任,將不再是總書記職務,而是黨主席。

不過,早有觀點指,有關習近平要取消政治局常委制之說,可能只是習陣營為在內部角力中取勝而有意放風。

去年8月北戴河會議期間,在外界盛傳習近平要取消常委制的消息之際。趙紫陽時期智囊團成員之一、現任加拿大維多利亞大學教授吳國光對美國之音表示,中南海進入了十九大前最後最緊要的權力再分配關頭,高層權力博弈應該是相當緊張、相當激烈。取消常委制消息不排除是習陣營有意在海外放風,目的是在博弈中“討價還價”。

他認為習近平有兩個目標:“第一,可能就是不願意接受上一屆已經安排的更年輕的政治局委員作為下一代的接班人;第二,他希望下一屆政治局常委的安排中有他自己的多數——他願意的政治局常委人選。”

【看中國2017年8月7日訊】(看中國記者李文隆綜合報導)>(以上)

北戴河では暗闘が始まっている。習陣営は噂を流しているのか?政治局常務委員をなくすとまた伝えられている。

中南海の権力闘争は激烈で、19大会前の政局はきわめて敏感だ。

習近平が多分政治局常務委員制度をなくすだろうというニュースは、1年前にはすでに広く伝わり、出て来てから時間を置いて、中共の19大会に近づき、北戴河会議が開かれている時に、再び話題を提供している。習近平主導の将来の政治の仕組みがどうなるのか関心が払われる。

8月5日、中国戦略研究の雑誌社前社長の李偉東は海外メディアのインタビューを受け、「習近平は中共19大会では政治局常務委員を設けず、中央委員会副主席も設けない可能性があって変化はかなり大きい。19大会では恐らく25~26人からなる政治局のみで、この中に習の側近を入れようとしている」と。

李偉東はまた、「7月30日の内モンゴルでの閲兵の時には、軍人から“主席は最高”を叫ばせた。これはおそらく19大会で中国共産党中央委員会主席の地位を確立するためであろう。」とも。

その前、6月30日に習近平が香港部隊を閲兵する時も、官員と兵士に“主席は最高”と呼ばせた。

仏メデイアは8月6日に分析、「もし情報が真実であれば、今後北京のトップは再び中国共産党政治局常務委員制度を設けないことを意味する。」と。

海外メディアに流したものによれば、「中国共産党の現・元高級幹部はすでに北戴河に集まって、1年に1度のリゾートを楽しむ密会は始まり、現地では近日高度の警戒の状態である。「過去には「老人が政治をするもの」という伝統的な北戴河会議であったが、すでに習近平が主導的立場になるのに成功した。」と見る人もいる。しかし、ある見方では中共の人事を変えることにつき、内部の争いは依然として激烈である。

常務委員会をなくして、党主席を作り、トップの後継者制度もなくすやり方は、1年前から話題になっていた。習近平がどう扱うかが焦点になる。

2015年10月6日に、海外の一篇として《紫荊來鴻:人を驚かすの挙》のような内部情報があり、将来条件が熟し、あるいは条件が許せば、習近平は人を驚かす挙に出ることができるだろう。

2016年5月の初め、《アジア週刊》は「その年の北戴河会議で、習近平当局はおそらく常務委員もなくし、67才定年制をもなくすなどの議題を討議するのでは。」と。

その後、2016年6月16日には、《人民日報》の中の《中央主要幹部機関は発展変化する》の文章で「政治局常務委員制度、中央書記処、中央軍事委員会などの組織の歴史を振り返り、中央主要幹部組織がいったんできあがってしまうと変更することができなくなる訳ではなく、情勢に随い、発展・改革していく。」と。

仏メデイアは、この篇の言外の意を汲み取り、もしかしたら19大会ではトップ組織の大幅改革をするのでは。常務委をなくすことと習の身分がどうなるかがポイント。」と分析する。

2016年3月末には、中共国家行政学院の汪玉凱教授は海外メディアに「中国は将来、国家主席を大統領制にするかも。但し、目下の所は中国の政治生態を見て、システム改革は必須だろう。」と。

もう一つの情報は、大統領制ではなく、習近平はおそらく党主席を再設置するのではというもの。

香港の雑誌《学術論争》は、2016年12月号で、19大会の準備として内部草案を発表した。中共中央委員会主席、両名の副主席を設け、なんと政治局常務委員は事実上になくす。言い換えれば、習近平は次も再任される。総書記でなくて、党主席として。

ただ、先の見方をした人は、「習近平が勝負に勝つために、政治局常務委員をなくす説をわざと流した可能性もある」と。

去年の8月の北戴河会議の期間は、外に向かい、盛んに常務委員会をなくすニュースを伝えていた。趙紫陽時代のシンクタンクメンバーの一人で、カナダビクトリア大学教授の呉國光はボイスオブアメリカに対し、「南シナ海に当たることは19大会の前に当たり、最後の最も重要な権力闘争に入り、かなり緊張し、かなり激烈である。常務委員会をなくすという海外に向けての情報は、目的はバクチの“かけ引き”である。

彼は、習近平は2つ目標があると捉えている。「第一は、おそらく前に決めた若い政治局員の中から、後任を出すことは受け入れられない。第二は、彼は次の政治局常務委員の数を自分自身のシンパで固めたい。」”【看中国:2017年8月7日】 (看中国の記者の李文隆が報道> (以上)

FTの記事は当たり障りのない記事で、読んでもヒントになる部分はありませんでした。ポールソンと王岐山の関係なんて、如何に帳簿を誤魔化すかを教え合ったのではと思ってしまいます。中国では、総ての企業は小金庫(賄賂と接待に使う裏金)があり、不正に手を染めていない企業はありません。

また王岐山のGITIC(広東国際投資信託公司)の破綻処理は李長春(江派)と共に当たり、首相は朱鎔基だったと思います。何のことはない、日本の銀行に泣き寝入りさせ、損を被らせただけです。各行、数百億の損になったはずです。それで文句も言えない日本企業と言うのは骨がありません。

翻って「看中国」の記事は、中国人が書いているだけあって、いろんな取材源があるようです。真実かどうか分かりませんが、習が裏で画策しているのは窺えます。成功するかどうかで、毛沢東時代のような専制政治が始まるかどうかになります。中国人の発想は西側の発想とは全然違います。習の独裁が認められれば、人民統治も苛烈を極めるでしょう。また、男が多いこともあり、地球上のあらゆるところで戦争を仕掛けて来ると思われます。西側はそれだけの覚悟があって中国を甘やかすのですか?

宮崎氏のメルマガは、不動産の価格維持の話ですが、庶民には手の届く価格ではなくなり(=実需でない)、投機の為だけで売買しているのが分かります。日本のバブル崩壊と同じく、誰かがババを引けば、バブル崩壊の序奏曲となるでしょう。而もGDPが437兆円くらいしかないとも言われています。日本のバブル崩壊では乗り越えられる体力がありましたが、中国の真のGDPでは無理でしょう。中国に投資している人は手じまいを考えた方が良いと思います。

記事

今秋の中国共産党大会を経て、習近平体制は2期目に入る。注目すべきは王岐山・政治局常務委員の処遇だ。反腐敗運動を主導してきた。“引退年齢”を過ぎても首相に推す声がある。王氏が指導部に残れば、指導力を発揮し、行き詰まっている習政権の経済改革を再び動き出させると期待される。

今秋に予定される共産党大会を控え、最高指導部人事をめぐり注目の的になっている王岐山氏(写真=ロイター/アフロ)

中国共産党の最高指導部、中央政治局常務委員の一角を占める王岐山氏(69歳)は、同氏の崇拝者に言わせると、中華人民共和国史上最高の首相になるはずだ。

王氏は現在、習近平国家主席の下で反腐敗運動の指揮をとる。過去40年にわたり積み上げてきたその経歴は、現代中国の政界においてとりわけ注目に値するものだ。

王氏は1980年代前半に若き改革派として頭角を現した。国際金融危機の際には、対米貿易をはじめとする米国との経済関係を調整した。そのほか、現代中国が経験したほぼ全ての主要な金融・経済改革において、重要な役割を担ってきた。

 

「触れたものを全て黄金に」

王氏は大学では歴史を専攻した。文化大革命で社会が混乱した後は、古代の遺物を展示する陝西省博物館に勤務した。

王氏は、上の世代の党幹部が欠いているユーモアのセンスを持ち合わせていることで知られる。

また、政権トップの中でも特に読書家といわれる。友人や同僚によると、公的な発言でも私的な会話の中でも話題を次々と転じることが珍しくないという。その興味はアレクシ・ド・トクビルの有名なフランス革命研究から最新の天文学説に及ぶ。

王氏は1990年代半ばに、将来有望なテクノクラート(高級官僚)として中央政界に登場した。中国初の国際投資銀行である中国国際金融を発足させるべく働いた時のことだ。同行は中国建設銀行と米金融グループ、モルガン・スタンレーとの合弁事業だった。後者はその後、2004年に撤退した。

1990年代末に、国有投資グループの広東国際信託投資公司(GITIC)が50億ドルの負債を抱えて破綻した。王氏は、この中国史上最大の破綻処理を監督。その後2010年まで、国有銀行部門の再編に深く関わった。

GITICの破綻処理を成功させたことで、王氏は中国最高の「消防隊長」と呼ばれるようになった。03年に北京でSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した際には北京市に移り、公衆衛生危機を鎮静化させることに成功。引き続き、08年に開催される北京オリンピックの準備に当たった。

ある政府高官は、「王岐山が触れるものは全て黄金に変わる」と表現する。王氏をギリシャ神話のミダス王になぞらえたこの例え話は、広く知られるようになった。北京で昨年来、「王氏を首相に」という声が高まっている理由の一端はここにある。

過去の慣例に従えば、今秋に予定される党の主要会議で、現職である李氏の5年間の首相続投と王氏の引退が承認される。しかし、ある政府高官が昨年10月に公の場で、引退年齢とされているものは「全くの俗説にすぎない」と発言した。また党の機関紙も、幹部の任命に際して「単純に年齢で線引きすることはできない」という習氏の発言を伝えた。

こうした発言を背景に、李氏が、お飾りにすぎない全国人民代表大会(国会に相当)委員長に降格させられるとの臆測が浮上している。経済問題に対する李氏の権限は、習氏の権威に押されて縮小を余儀なくされている。この状況は、王氏を首相の座に押し上げる道を開く。

李氏が首相の座にとどまり、王氏も政治局常務委員のまま経済や金融を担当する、というシナリオもあり得る。中国政界にパイプを持つあるアジアの外交官は、「習氏と李氏は和解した」と語り、李氏が留任するとの見方を示した。

しかし、状況はいずれとも定まっていない。党大会を前にした駆け引きは、ぎりぎりまで続く。王氏の処遇については、党大会の最後に習氏と同氏の2期目を支える指導部が壇上に登る瞬間まで、確実なことは言えないのだ。共産党のある元中央委員は最近、「次期首相が誰になるのか、我々にも分からない」と、ごく親しい者たちに語ったという。この会話を知る2人の関係者から聞いた話だ。

王氏には敵も多い。特に、反腐敗運動を指揮した5年の間に多くの敵を作った。それゆえ党内の激しい政治工作に足をとられる危険性も高まっている。

今年の春以降、これまで表立った動きを見せなかった米ニューヨーク在住の中国人富豪、郭文貴氏が、ツイッターやユーチューブを通じて、王氏とその家族を非難する発言を派手に繰り返している。発言の多くは、王氏の家族と中国の複合企業である海航集団との疑惑の関係に関するものだ。同社の不透明な所有構造については、海外の規制当局も調査を実施している。

海航集団は郭氏からの非難を懸命に否定する。非難を裏づける証拠は今のところ存在しない。しかし、中国問題の専門家の中には、王氏が国営メディアに登場しない期間が長くなればなるほど、王氏と習氏の関係が悪化している可能性が高まると見る者もいる。

中国共産党政治局常務委員を務める7人。中央に習近平国家主席、その右に李克強首相、右端に王岐山氏。秋の党大会を経て、この顔ぶれはどう変わるか(写真=新華社/アフロ)

孫政才氏の失脚の裏にも……

習氏も王氏も、中国共産党の初期の革命活動家の家系につながる、いわゆる「太子党」だ。習氏の父親は党の幹部。王氏は別の幹部の娘と結婚した。

中国メディアの報道によると、両氏は遅くとも文化大革命の時には知り合っていた。共に「下放」された陝西省で、将来の上司となる習氏に王氏が経済学の教科書を貸したという。

王氏(左)と習近平国家主席は文化大革命の時、ともに「下放」され陝西省で出会った(写真=ロイター/アフロ)

王氏が政治的に失脚するという噂は、習氏が王氏をライバルとして警戒しているせいだとされることが多い。しかし、これまでのところ、そうした噂はどれも誇張されたものであることが分かっている。

王氏は公の場に姿を表さなくなることがよくある。これは通常、彼自身ではなく、ほかの人間が危険に陥っているしるしと見なされる。

事情に詳しい2人の関係者によると、最近では、7月に入って王氏が久しぶりに姿を現した直後、中央規律検査委員会が、習体制を支える現職政治局員の身柄を初めて拘束した。習氏の後継者と目されてきた孫政才氏だ。中国の大都市の一つ、重慶市の党委員会書記だった孫氏は、「重大な規律違反」があったとして調査を受けている。

一方、王氏による中国金融界の腐敗摘発は衰える兆しを見せない。この動きは今年に入って始まり、肖建華氏など金融業者や民間の大物が次々と拘束された。肖氏は中国でも指折りの富豪で、資産は400億元(約6600億円)とされる。肖氏には、支配下の銀行や上場企業を使って、様々な金融機関の株価をつり上げた疑いがかけられている。

金融部門の捜査に詳しいある中国高官は「肖建華はがんだ。彼は実体経済に何の貢献もしていない。多くの者と自分自身を大いに富ませたが、国家には害悪をなした」と指摘する。

この高官はさらに、王氏による捜査の背景には、経済政策上の大きな目的があると続けた。「金融制度を、経済成長のテコとして利用するのをやめることだ。それができれば、投機的資産バブルなど、ほかの多くの問題も消え去る」

王氏を特に強く推しているのは、中国国内の経済改革派と、国際企業の経営者、海外の外交官らだ。彼らは、世界第2の経済大国となった中国は、朱鎔基氏のような気質を持つ改革派の首相を切実に必要としていると考えている。朱氏は1998~2003年に中国の首相を務めた人物で、王氏の師でもある。

 

朱鎔基氏の後を継ぐ

朱氏は首相を1期しか務めなかった。しかし、退任時には自分が大きな実績を残した首相として記憶されることを確信していた。中国は同氏の任期中に世界貿易機関(WTO)に加盟するとともに、産業・金融部門の国有企業を対象に抜本的改革を断行した。

1期目の習政権は、朱氏が成し遂げたような複雑で痛みを伴う改革に取り組むことができなかった。また取り組む意欲にも欠けていた。

改革派の官僚は、朱氏をしばしば「偉大なる首相」と呼ぶ。朱氏に近い2人の関係者は、同氏は2期目の続投を強く望んでいたと証言する。しかしその望みがかなわなかった時、朱氏は自分の仕事をいずれ王氏が引き継ぐことを期待したと、この2人は続けた。

中国の指導部人事に詳しい別の人物によると、王氏を政治局常務委員に押し込んだのは朱氏だったという。

しかし、王氏を腐敗を取り締まる組織のトップに据える決定は、王氏自身にとってさえ驚きだった。中央規律検査委員会の内部会合を撮影した1本の動画が流出している。その中で王氏は、一人の委員が新たに難しい仕事を課せられ「自分は準備ができていない」と渋っていることについて、次のように冗談めかした発言をしている。

「私も(12年には)『中央規律検査委員会を率いる準備など、申し訳ないが、できていない』と尻込みしたものだ。私がこの組織のトップに立つことなど誰が考えただろう。誰も考えなかったことだ。そう言って断ろうとしたとき、私だって本気で渋っていたさ」

王氏と親しいある人物は、「彼には世界的な人脈があり、常にコンタクトをとっている。同僚たちの大半が自分と同じようにしないのは恥ずべきことだと彼は言っている」と話す。

米財務長官や米金融大手ゴールドマン・サックスのCEO(最高経営責任者)を務めたヘンリー(ハンク)・ポールソン氏は、15年に発表した回顧録『ディーリング・ウィズ・チャイナ』の中で、世界金融危機の真っただ中で王氏と会談した際に受けたある忠告を振り返っている。

「ハンク、あなたは私の先生だったけれど、自分たちのシステムを見詰め直してほしい。我々は、あなたたちからこれ以上学ぶべきか確信が持てずにいる」(王氏)

金融危機の時、王氏(右)はポールソン米財務長官(当時)に苦言を呈した(写真=ロイター/アフロ)

一方、国家主導の資本主義という中国独自のモデルを王氏は信頼している。その自信は、むしろ強まる一方に見える。あらゆる面で統制を強めてきた習氏の独裁的な姿勢についても、王氏は不安な様子を一切見せない。王氏は今年2月、公の会合の席で「党と政府の分離というようなことはあり得ない」と発言した。

王氏はまた、自分が政治の表舞台に残るか否かにかかわらず、自身と習氏が5年前に巻き起こした政治改革旋風は今後も続くと考えているようだ。

流出した動画の中で、王氏はこう語っている。「反腐敗運動は、一陣の突風のようなものでもなければ、数日で過ぎ去るものでもない。この運動に始まりはあっても終わりはないのだ」

Tom Mitchell, Gabriel Wildau, and Henny Sender ©Financial Times, Ltd. 2017 Jul.28

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