『北朝鮮にミサイル技術流したのは誰だ 対立するロシアとウクライナの新たな火種に』(8/25日経ビジネスオンライン 池田元博)について

馬渕睦夫氏の『アメリカ大統領を操る黒幕 トランプ失脚の条件』には「グローバリズムに対抗するナショナリストとして、“ギャング・オブ・フォー”と呼ばれるプーチン、安倍、エルドアン、モデイの名が挙げられている。ここにトランプが加わると“ギャング・オブ・ファイブ”になる。「自国ファースト」主義は近代の国家原則を定めた1648年の「ウエストファリア体制」復帰を意味する」(P.221)とありました。馬渕氏はウクライナ大使であったこともあり、ロシア及びロシア正教に思い入れがあるのではと思われます。勿論、小生はコミュニズムに親和性を持つグローバリズムは好きではありませんし、国や民族の伝統、文化を尊重するナショナリズムを大事にする立場です。

8/25 business insider < A scene from Putin’s worst nightmare just unfolded in Ukraine=ウクライナで広がるプーチンにとって最悪のシーン>

“Mattis appeared to slightly give away his own take. “Defensive weapons are not provocative unless you’re an aggressor,” he said at the press conference, “and clearly, Ukraine is not an aggressor, since it’s their own territory where the fighting is happening.””

8/24キエフでのウクライナ独立(ソ連からの)閲兵式に米軍部隊は初参加。オバマ時代には物議を醸す(ロシアを挑発する)のでウクライナへの対戦車ミサイルの供与はしませんでしたが、今回は供与したことについてマテイスが記者団に聞かれて答えたのが上記です。簡潔・明察な答弁と思います。本当にオバマはヘタレだったというのが分かるでしょう。この答弁は南シナ海や東シナ海に触手を伸ばす中国に対する牽制の意味も含まれます。Aggressorは中国ですから。マテイスは政治的な酌量をしませんので。

http://www.businessinsider.com/a-scene-from-putins-worst-nightmare-just-unfolded-in-ukraine-2017-8

ロシアのクリミア侵攻に関し、米国の「NATOは東方進出しない」というロシアへの密約の存在が囁かれており、常識的に考えれば、ロシアが自分の衛星国をタダで手放すとは思えません。米国が約束を破ったと思っています。またフルシチョフのクリミアのウクライナ編入の経緯を見れば、ロシアのセヴァストポリ軍港確保の意味もあり、侵攻は許容できるかと。これに対し中国の領土・領海拡張の動きは主張に何の根拠もありません。それでも力で押してくるのは厚顔無恥の中国人らしさが表れていると思います。

8/26 business insider <間もなく実戦配備? 米軍が開発するレーザー兵器とレールガン>。日本も米軍と一緒になって研究を進めた方が良いと思います。ただ、高エネルギーレーザーは「依然、開発中」とのコメントは、軍事機密をそうそう開示したくないと言う思いの表れと思っています。既に終わっている可能性もあります。

https://www.businessinsider.jp/post-100765

http://www.sankei.com/world/news/170814/wor1708140001-n1.html

8/27朝のNHKニュースで武貞秀士氏が8/26北朝鮮のミサイル3発発射についてコメント。「米朝は裏で外交交渉している。今後レベルを上げた交渉が行われるだろう」と。彼は朝鮮半島に思い入れがあるのでしょう。軍事オプションより外交交渉で解決すべきと思っているのがありあり。米国が妥協して、「北に核保有を認め、中距離弾までは認める」ことになったら、日本にとって最悪です。その場合、日本の核保有を米国に迫れますか?

池田氏記事では、北にミサイルのエンジン技術を流出させたのは、ロシアかウクライナかは今の所、特定できないとのこと。核技術は中国からとして、北の軍事暴発を誘っているのは、中露(含むウクライナ)でしょう。北が核やミサイルの実験を繰り返せるのは、経済的な裏付けがあってのことです。真犯人が分からなくても、国連決議違反を繰り返す北に経済制裁すべきです。特に北と取引がある世界中の国、企業、個人に対し。ガンガンやるべきです。

記事

2014年のクリミア半島の併合問題をきっかけに反目が続くロシアとウクライナ。その両国の対立を一段と深めかねない火種がまた浮上した。どちらかが北朝鮮にミサイルのエンジンやその技術を流出させたのではないかという疑惑だ。

北朝鮮は7月29日、夜間にICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射した(写真:AP/アフロ)

事の発端は8月14日付で米紙ニューヨーク・タイムズが1面に掲載した記事。北朝鮮が米本土に到達する可能性のある大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射に成功したのはたぶん、ロシアのミサイル計画と歴史的つながりのあるウクライナの工場から強力なミサイルエンジンを闇市場経由で調達したためだとする内容だった。ミサイルの専門家の分析と米情報機関の情報という。

北朝鮮は今年7月4日と28日深夜の2度にわたり、ICBM「火星14」と称する弾道ミサイルを発射した。日本の防衛省によると、とくに2度目に発射されたミサイルは約45分間飛行し、高度は3500km超と過去最高だった。飛距離は約1000kmで、発射角度を通常より高くする「ロフテッド軌道」で打ち上げられた。最大射程は1万km前後に達するとみられ、北朝鮮は「米国本土全域が射程圏内」に入ったと豪語していた。

米国社会でも北朝鮮の核・ミサイルの挑発が現実の脅威として語られるようになり、北朝鮮のミサイル技術への関心が高まる中で掲載された記事だった。記者がよりどころとしたのは、英シンクタンク国際戦略研究所(IISS)の米国人のミサイル専門家が発表した「北朝鮮のICBM成功の秘密」と題する分析論文だ。

論文は中距離弾道ミサイルからICBMへと、これほど短期間で開発に成功した国は他にないと指摘。失敗を繰り返してきた北朝鮮が急速にミサイル技術を進化させた理由は極めて単純で、海外から高レベルの液体燃料式のミサイルエンジンを調達したからだと結論づけた。

確かに北朝鮮は今年に入っても、3月から4月にかけて弾道ミサイルの発射失敗を重ねた。一方で北朝鮮メディアは昨年9月20日と今年3月19日、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が新開発の「大出力エンジン」の燃焼実験を視察・現地指導したと報道。北朝鮮はその後、5月14日に地対地中長距離戦略弾道ミサイル「火星12」、7月には2度にわたってICBM「火星14」を発射し、いずれも成功したと発表している。

ウクライナから北朝鮮にミサイル技術が流出?

IISSの専門家は写真分析などを基に、「火星12」「火星14」には旧ソ連製のロケットエンジン「RD-250」の改良型が搭載されたと断定。旧ソ連製のエンジンは恐らく、中距離弾道ミサイル「ムスダン」の度重なる発射失敗を受けて、過去2年以内にロシアかウクライナから非合法ルートで調達されたと推測した。

専門家はエンジンの具体的な調達元にも触れ、設計を担当したロシア企業の「エネルゴマシュ」か、あるいはウクライナ企業の「ユジマシュ」の可能性があるとした。さらに北朝鮮が2016年から新エンジン開発に着手したとすれば、その年に旧ソ連製エンジンを調達したとみられ、まさにユジマシュ社が財政難に陥っていた時期だと強調。「ウクライナ政府が関与した可能性を示唆するものではない」と断りつつも、ユジマシュが流出元ではないかとの疑いを強くにじませている。

ユジマシュは「南機械製造工場」の略称で、ウクライナ東部ドニプロ(旧ドニプロペトロフスク)にあるウクライナ有数の国営企業だ。旧ソ連時代はICBMやロケットエンジンなどの生産を主力にソ連軍需産業の一翼を担っていたが、ソ連崩壊で経営環境が激変。2014年のロシアによるクリミア併合後は、主な取引先だったロシアとの関係も悪化し経営難に陥った経緯がある。北朝鮮との闇取引が疑われるゆえんでもある。

過去には実際、北朝鮮がユジマシュ社をターゲットにした事件も起きている。当時、隣国ベラルーシの北朝鮮通商代表部に駐在していた2人の北朝鮮工作員がインターネットを通じて、ユジマシュの職員にロケット・宇宙関連機器の技術に関する機密情報の提供を呼びかけた。2人の北朝鮮工作員は結局、「秘密」印が押された科学論文をカメラで撮影中に拘束され、懲役8年の有罪判決を言い渡された。2012年のことだった。

旧ソ連製のロケットエンジン「RD-250」はかつて、そのユジマシュで製造されていた。IISSの専門家によれば、エンジンの大きさは2m以下、幅も1mほどで、航空機による輸送はもちろん、ロシア経由の鉄道で北朝鮮に運ぶことも可能だという。一方で当然、同型のエンジンを大量に保有しているロシアから流出した可能性も否定できないとしている。

ただでさえ経済苦境が続くのに、不本意な汚名を着せられ国際社会から見放されてはたまらない――。恐らく、こんな思いもあったのだろう。ニューヨーク・タイムズ紙の報道やIISSの分析に対し、真っ先にかみついたのがウクライナの政権幹部たちだ。いずれも「ウクライナは北朝鮮のミサイル開発に一切関与していない」と完全に否定。ポロシェンコ大統領は直ちに真相究明の調査を指示するとともに、疑惑を晴らすため、記事を書いたニューヨーク・タイムズの記者を招待するとまで豪語した。

当のユジマシュ社も「当社は宇宙開発用であれ軍事用であれ、北朝鮮のロケット開発計画には過去も現在も一切関わっていない」との声明を発表した。

よりやっかいなのは、ウクライナ政権幹部の間でロシアに責任転嫁するような発言が相次いでいることだ。宇宙庁のラドチェンコ長官代行は「同型のエンジンは今もロシアが保有している」として、ロシアから北朝鮮に流出した可能性を強く示唆。国家安全保障・国防会議のトゥルチノフ書記は「今回の騒動を扇動したのはロシアの特殊機関だ」と批判した。

ロシアへの責任転嫁でクリミア論争再燃か

ロシアも黙っていない。ロゴジン副首相は北朝鮮が旧ソ連製エンジンをコピーしたとすれば、「ウクライナの専門家が協力しないと実現できない」と主張。プシコフ上院議員は「ロシアが北朝鮮に供給したとするウクライナ政権の声明は全く無礼なウソだ」と断じた。

ロシアメディアも、ウクライナからの流出の可能性を示唆するようなユジマシュ社幹部らの発言を報じたり、ウクライナが過去に旧ソ連製の空母「ワリャーク」を中国に売却するなど、兵器や軍事技術の売却で第3国の軍事技術向上に“貢献”してきた経緯を吹聴したりして、ウクライナの関与を強くにじませている。

かつてソ連を構成する共和国で、ともにスラブ系民族を主体とする兄弟国だったロシアとウクライナがここまで反目するのは、やはり2014年からのウクライナ紛争が大きく影響している。クリミアはロシアに併合されたままで、政府軍と親ロシア派武装勢力のにらみ合いが続くウクライナ東部でも、和平プロセスが一向に進んでいないからだ。

両国のそれぞれの世論調査をみても、極めて良好だった両国関係が2014年を境に急激に悪化したことがわかる。一見、両国関係に関わらないような北朝鮮へのエンジン流出疑惑をめぐっても、激しい非難の応酬が起きるゆえんだろう。

もっとも、全く無関係というわけではない。ロシアメディアの一部は、ウクライナが独立後にソ連時代に配備された核兵器を放棄する際、廃棄したはずのミサイルエンジンの一部が北朝鮮に流れた可能性を示唆した。

ソ連時代に国内で核兵器が配備されていたのは、ロシア、ウクライナ、ベラルーシとカザフスタンの4共和国。ウクライナは核弾頭数がロシアに次いで多く、国家独立後は一時的に「世界第3の核大国」となったものの、結局はベラルーシ、カザフとともに核保有を放棄した。

ロシアの報道はその時の混乱と北朝鮮疑惑を結びつけたものだが、ウクライナが当時、核放棄に当たって米国、英国、ロシアと交わした文書がある。1994年のブダペスト覚書だ。ウクライナが核兵器を放棄する見返りに、米英ロがウクライナの安全を保障すると規定したものだ。2014年のロシアのクリミア併合は、このブダペスト覚書への「明白は違反」というのがウクライナの主張だ。成り行き次第では、北朝鮮疑惑がクリミア論争に再び火をつけかねないわけだ。

話を戻そう。さて、ポロシェンコ大統領が指示したウクライナの調査結果はどうだったのか。トゥルチノフ国家安全保障・国防会議書記が22日、大統領に提出した報告書は「ウクライナはRD-250を含む一切の軍事物資を北朝鮮に提供していない」と関与を否定した。ウクライナはRD-250やその改良型を1991年から生産しておらず、ユジマシュ社の生産ラインは1994年に撤去されたと指摘。在庫として残っていたエンジンもすべてロシアに供給したとしている。

やはりというべきか。報告書はさらに「ロシアはウクライナの信用をおとしめるような挑発的な情報戦を組織的、計画的かつ露骨に行っている」と非難した。ロシアは6月初めから、北朝鮮がウクライナ専門家の支援でミサイル開発を進展させたかのような情報をモスクワで流し始め、ロシアの情報機関もかねてパイプのある海外の専門家やジャーナリストたちに流布したと主張。くだんの分析論文を書いたIISSの専門家も家族がロシア特殊機関幹部と親しいとして、ロシアによる情報操作が騒動の原因との見方を示した。

その真偽はともかく、両国の非難合戦が今後も加熱していくことは疑いない。

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