『30年で500万頭も減少した中国ロバの受難 ロバ皮が原料の生薬、富裕層拡大で需要急増』(7/28日経ビジネスオンライン 北村豊)について

7/30日経朝刊習氏「党主席」復活提案へ 長期政権へ布石 

中国共産党の習近平総書記(国家主席)が秋の党大会に向け、長期政権への布石を打つ。党大会後の新体制を協議する重要会議を近く開き、強い権限を持つ「党主席」の復活を提案する。建国の父とされる毛沢東が死去するまで30年余り就き続けたポストで、権力集中を進める狙い。5年に1度の党大会時に68歳以上の幹部は引退する定年制の見直しも議論する。実現すれば、改革開放以降に確立した中国の集団指導体制が大きな転換点を迎える。

中国共産党は毎年7月末から8月上旬に河北省のリゾート地、北戴河に党の指導者と引退した長老らが集まり、幹部人事など重要政策について意見交換する。「北戴河会議」は非公式。日程や参加者など一切の情報が開示されないが党大会に大きな影響力を持つ。

今年の主要議題は党大会で刷新する最高指導部(政治局常務委員)の人事。党関係者は「党中央委員会主席(党主席)を新設する組織改革案が取り上げられる」と日本経済新聞に語った。

毛沢東は1945年から76年に死去するまで党主席に就き続けた。かつての憲法は党主席が「武装力量を統率する」と規定、党や政府、軍に対して強い権限を持たせていた。毛沢東への権力集中が文化大革命などの混乱をもたらした反省から82年に廃止した。

党主席の復活案は長期政権に布石を打つ色彩が濃い。国家主席の任期は憲法で「2期まで」との規定がある。総書記も党の暫定規定に「連続2期まで」との文言がある。党主席の新ポストは、2012年に総書記に就いた習氏にとって2期目を終える22年の党大会以降も最高指導者の地位にとどまることを可能にする。

党関係者によると党主席は昨年も議題となり、一部の長老から賛同を取り付けたが、結論は先送りされていた。今回は日本の官房長官に相当する中央弁公庁主任の栗戦書・政治局員が具体案を提示する方向。秋の党大会で党規約を変更し、来春の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に憲法改正案を提出する日程を描く。今年の北戴河会議で意見を集約できるかどうかが、習氏の求心力を測る試金石にもなりそうだ。

賛成派は経済成長の鈍化など内外の環境が厳しくなる状況下で、強い権限を持つ指導者が必要だと主張する。習氏は昨秋、党内で別格の存在である「核心」の称号を得た。ただ、常務委員会の議長という位置づけの総書記では他の常務委員と同じ1票しか持たない。党主席になれば、より大きな権限を握れる。一方、慎重派が押し返せば、結論が持ち越される可能性もある。

北戴河会議では党大会時に68歳以上なら引退する慣習の見直しも議論する。念頭にあるのは習氏の右腕として汚職摘発を指揮してきた王岐山氏(中央規律検査委員会書記)の処遇だ。王氏は7月に69歳となり、秋に引退する。

習氏はこの定年制は明文規定のない慣習にすぎないとして、王氏の留任を検討しているという。反腐敗闘争を通じて政敵を排除してきた習氏にとって、王氏が最高指導部に残れば党内へのにらみが利く。習氏も22年の次回党大会は69歳で迎えるため、自らの3期目の布石にもなる。

最高指導部の人事では、習氏は7人いる政治局常務委員の過半数を側近で固めることをめざす。習氏は07年の党大会で最高指導部に入ったが、それまでは目立たない存在だった。政治局常務委員の候補となる高官の側近は多くない。王氏が残留すれば、過半数を握るのが楽になる。

習氏は1期目に権力地盤を着々と固めてきた。党主席と定年延長の両方を実現するのは困難との見方もあるが、関係者はこう一蹴した。「習氏が権力強化を進める方向は変わらない。どこまで強くなるかという程度の問題だ」(北京=永井央紀)>(以上)

7/27『看中国』の記事懲罰助朝中國企業會影響美中關係嗎?(圖)

美國駐聯合國代表黑利(Nikki Haley)。(網絡圖片)

據美國CNN報道,儘管美中兩國外交人員在聯合國合作,以達成制裁朝鮮的協議,一位美國政府官員本周依然表示,美國也可能針對中國公司施加新的對朝鮮制裁。

美國“國務院東亞局”(State Department’s East Asia bureau)局長助理秘書蘇珊·桑頓(Susan Thornton)本周二在美國參議院外交小組委員會發表講話時表示:“中國現在很清楚的知道,我們在必要情況下會對一些中國實體採取的措施。”

美擬制裁支持朝鮮的中國企業

桑頓的評論顯示美國總統唐納德·川普(特朗普)行政當局正在對朝鮮進行微妙平衡行為。中共是對平壤施加壓力的關鍵盟友,也是旨在限制朝鮮貿易和進口制裁的主要可能目標。

自從川普當選以來,平壤在加強導彈和核試驗,華盛頓也期待中國在朝鮮取得進展。

這個月,朝鮮聲稱已經測試了一枚具有核能力的洲際彈道導彈,之後美國國務卿蒂勒森說:“需要採取全球行動來制止這個全球威脅。”

作為朝鮮的主要盟友和聯合國安理會成員,北京是全球行動中任何擬議的最重要參與者。

但是,川普上個月發推文表示,他希望“會從中國針對朝鮮多得到一點幫助,但似乎並沒有奏效”。

華盛頓也批准對與朝鮮有非法財務關係的中國銀行進行新的制裁。(ワシントン(=議会)も北朝鮮への違法な財務活動に関する中国銀行に対する新たな制裁を批准しようとしている)。美國國務院負責東亞事務的代理助理國務卿董雲裳(Susan Thornton)向參議院外交事務附屬委員會表示,美國財政部將很快採取行動,瞄準參與支持金正恩政權的中國實體。

董雲裳稱,美國進一步在經濟上施壓,原因是中共政府對制止中國企業、個人違反聯合國制裁決議,表現得“無所作為(=何もできていない)。

中共駐美大使崔天凱周二則表示,無法接受中國企業遭到二級制裁。

美國無意和朝鮮談判

美國駐聯合國代表黑利(Nikki Haley)本周二對記者表示,中共針對朝鮮正在採取新的國際制裁方面取得了進展。

她告訴記者說:“我們經常與中國保持聯繫……事情正在發生,但現在還不能說出他們將要走多遠。真正的考驗將是(中國)與俄羅斯一起解決,(以及俄羅斯是否)會試圖退出。”

“卡內基-清華全球政策中心”(Carnegie Tsinghua Center for Global Policy)分析師趙通表示,中國長期以來一直支持制裁,但對兩國追求的最終政策仍然存在着混亂。

他說:“如果美國的最終目標是通過全面經濟禁運來直接威脅朝鮮政權的穩定,美國的戰略只對中國有意義。中共對這種做法有很大的擔憂,但另一方面,美國官員也多次表示不會威脅北京政權。”

桑頓表示,朝鮮無意在目前環境下放棄核計劃,朝鮮不會放棄武器來交換談判,即使(我們在)經濟上讓步,向朝鮮人民提供急需援助。

她補充說,儘管北京和首爾呼籲談判,美國也不會在這個時候考慮談判。桑頓說:“我們不會採取談判的方式。”

【看中國2017年7月27日訊】(看中國記者方林編譯)>(以上)

こちらの両記事を見ますと中国も内外に問題を抱えているのが分かります。でも、一党独裁で、反対意見は抹殺されますが、内部の権力争いは相当なもので、命をかけている所が日本とは大きな違いです。①習近平が長老を押えて「党主席」に成れるのか・・・日本のメデイアに発表するくらいですから、実現性は高いのでは。ただどうやって長老たちを手なづけるのか?飴と鞭を与えたとしても②王岐山の定年延長が認められれば、「反腐敗(=反賄賂)「運動」は苛烈さを増すでしょう。政敵倒しに利用されるだけです。腐敗していない人間なんて中国人にはいませんので。

①、②共に認められるのかどうか?長老たちがそんなに簡単に認めるとも思えません。自分の安全を保障すると口約束されてもいつひっくり返されてしまうか分かりませんので。まあ、本気でやるとすれば、北戴河に習子飼いの軍を置いて、無理やり習の言う通りにさせ、反対派と思しき人間は趙紫陽のように自宅軟禁すればできるでしょうけど。①、②が実現できれば習の権力が強固なものとなり、世界制覇の第一歩を踏み出すことになります。冷戦ではなく熱戦の時代が到来することになります。米ソ冷戦はお互い自由主義陣営と共産主義陣営で交易も少なく、閉ざされた世界での争いでした。今度の米中の世界覇権争奪は米国の覇権に中国が挑戦することから始まります。お互い自由に各国と交易でき、資源を奪い合う訳ですから、衝突しない訳がありません。早く自由主義諸国は手を打たないと。中国の発表する経済数字に目を眩ませられて、仲良くやっていこうとするのは愚の骨頂です。

『看中国』の記事では、中国の駐米大使の崔天凱(元駐日大使、日本語は出来ず、英語のみ、日米離間の為の駐米大使と言われている)が「二級制裁」に反対すると述べていますが、「一級制裁」は相手国全部に対する制裁、「二級制裁」は相手国への部分的な制裁の意味のようです。丹東銀行に対する金融制裁のように部分的なものを指します。でもこれが効果を上げるのは中国の反対からも分かりますし、昨日小生ブログで日経の記事より、「中国外務省の陸慷報道局長が日本の丹東銀行への制裁に対し牽制」からも分かる通り、中国経済にとって相当効くだろうと予測しているからです。特に中国銀行に発動されれば。トランプは早急に発動しなくては。記事にある「中国銀行」が「中国銀行(固有名詞、香港の紙幣発行銀行の一つ、元外為専門銀行)」なのか「中国の銀行」なのかははっきりしませんが。「中国銀行」に課すべきです。

北村氏記事を読んで感じることは、やはり中国人の自己中、欲望の強さです。こういう民族がパリ協定を主導するというのですから、臍で茶を沸かすようなものでしょう。世界から鉱物資源を集めるだけでなく、ワシントン条約で禁止されている象牙取引、漢方薬となる熊の手の乱獲、大型船による虎網業法による乱獲と言ったように資源保護とか資源管理の発想がありません。国際法を守る気もなくて、いつもポーズだけ。自分の欲望がいつも勝ります。北村氏は科学の力で代用品をとの思いのようですが、中国人の発想では、「本物でないのは使いたくない」となるでしょう。元々「医食同源=同じ部位を食べれば体の悪い部位も治る、特に人間に近ければ近い方が良い」という発想ですから。法輪功信者の闇臓器狩りも元々似たような発想でしょう。中国人には精神や魂の追求はなく、物理的・肉体的なものへの追求しかありません。ですから良き文学が生まれる下地がないのです。

記事

ロバ(驢馬)は日本では馴染みが薄い動物で、動物園へでも行かないとお目にかかれない。しかし、子供時代に読んだイソップ寓話の『王様の耳はロバの耳』を通じて、ロバの耳が長い事を知る日本人は多い。ロバの耳はウサギの耳のように長いので、かつて日本ではロバを「ウサギ馬」と呼んでいたという話を聞いた記憶がある。

ロバは奇蹄目ウマ科ウマ属ロバ亜属の動物で、ウマ科の中では最も小型だが、古代から家畜として飼われ、粗食に耐え、力が強いことから、農作業や運搬に使われた。筆者は中国だけでなく、中東やアフリカでも穀物を挽く石臼にくくり付けられ、日がな一日石臼の周りを回って粉挽き作業に従事するロバや、大きな荷物を運ぶロバを何度も見ている。ロバが家畜化されたのは5000年ほど前で、人が野生種の「アフリカノロバ」を飼育したのが起源と言われている。ロバ亜属は「アフリカノロバ」、「アジアノロバ」、「チベットノロバ」の3種類に分かれ、それぞれが各地で順次家畜化され、人々の最も身近な動物の一つとして位置付けられるようになり、今日に至っている。

“龍の肉”に匹敵

英語ではロバをassとかdonkeyと呼ぶが、辞書によれば、前者は野生のロバを意味し、後者はその家畜化したものを指すのだという。雄のロバはその身体に比べて長大な一物(ペニス)を持つことで知られ、親子の見境なく交尾することから「畜生」と見なされる一方、馬と比べて頑固で、従順でなく、融通が利かないことから「愚か者」と揶揄されてきた。米国・民主党のシンボルはロバ(donkey)だが、後に第7代大統領となった当時(1828~29年)大統領候補であったアンドリュー・ジャクソン(Andrew Jackson)が、敵対する共和党から“Jackass”(馬鹿のジャクソン)と呼ばれたのを逆手に取って、ロバを民主党のシンボルとしたのだと言われている。

20年程前、筆者は出張で訪問した甘粛省の山村で“金銭肉”なる料理を歓迎宴の前菜として供されたことがある。“金銭肉”の由来は、その形状が穴開き硬貨に似て、円形で真ん中に丸い穴が開いている肉を薄切りにした物だからだが、肉は燻製のような茶褐色で透明な代物だった。筆者が1枚の金銭肉を口に入れて味わうと、村人たちは笑いながら「これは加工したロバのペニスを輪切りにした肉」だと種明かしをしてくれた。その味がどうだったかは忘れたが、珍味の一つであることは間違いない。中国には“天上龍肉, 地上驢肉(天上の龍の肉、地上のロバの肉)”という言い回しがあり、ロバの肉は天上の龍の肉に匹敵するほど栄養価が高いと言われている。上述した歓迎宴では金銭肉以外のロバ肉料理も供されたと思うが、辺鄙な山奥の料理としては美味であった記憶だけが残っている。

さて、中国では30年前には1100万頭のロバが飼われていて、世界最大のロバ飼育地であった。当時、農村では至る所でロバを見かけたし、多くの農民がロバを運送や農作業の手段として活用していた。農民にとって貴重な働き手であるロバは家族の一員と見なされていた。しかし、農村に各種の農業機械が導入され、“農用車(トラクターをトラック風に改造したもの)”や自動車が普及するようになると、ロバは徐々に無用の長物となった。中国の“国家畜牧統計年鑑”には、「我が国のロバ飼育数は1990年代には1100万頭だったが、その数は減少の一途をたどり、今では600万頭にまで落ち込んでいるばかりか、毎年約30万頭ずつ減少している」と記されている。

ロバ皮から作る生薬欲しさに

中国国内でロバの数が減少を続けている最大の要因は、“阿膠(あきょう)”需要の急上昇にある。“阿膠”は“驢皮膠(ろひきょう)”とも呼ばれる生薬で、その名の通り“驢皮(ロバ皮)”を原料とする伝統薬である。“阿膠”その物は3000年の歴史を持つと言われ、北宋の“開宝二年(969年)”にはすでに生産工場が出現したと史書に記載がある。清朝の“咸豊年間(1851~1861年)”に皇帝(咸豊帝)の寵姫“蘭貴人”が“血症(血の巡りが悪いことによる各種症状)”による習慣性流産で苦しんだが、妙薬の“阿膠”を服用したところ、血症が治り、男児を産むことができた。この男児が後の“同治帝”(在位:1862~1874年)であり、その生母こそが後に“西太后”と呼ばれて絶大な権力を振るった“懿貴妃”(「蘭」から「懿(い)」に呼び名を変えた)であった。

蘭貴人が服用することで血症を治癒し、子供を無事に出産できたことから分かるように、“阿膠”は生理不順や生理痛など各種婦人病、便秘や骨粗鬆症などの諸症状の改善に効力を発揮する万能薬と考えられている。また、新陳代謝を良くすることから、美白や肌荒れなどの美容効果もあるとされる。蘭貴人の時代には阿膠は極めて高価な生薬で、一般庶民には高値の花の存在だったが、今日では生産量も大幅に拡大して価格は下がり、庶民でも背伸びすれば購入可能な物となった。一方、高度成長によって多数の富裕層が生まれたことで、美容や健康に関心を持つ女性が多くなり、彼らが“阿膠”を大量に購入する時代が出現したのである。

中国全土には“阿膠”の生産企業が100社以上あり、“阿膠”の年間生産量は5000トンに上っている。山東省“東阿県”に所在する“東阿阿膠股份有限公司”(以下「東阿阿膠」)と“山東福膠集団”が最大手で、その他の小規模生産企業は各地に点在する。ここ数年、人々の健康と美容に対する関心が高まる中で、“補血(中国医学で「血液の力を補う」意味)”関連薬品の需要が増大している。その中でも“阿膠”の消費人口は急拡大しており、“阿膠”業界は2015~2020年には毎年15%前後の需要拡大を見込んでいる。この需要拡大に対応しようと、最大手の一つである東阿阿膠は、高品質な“阿膠”の生産を保証するため、2012年9月に4.5億元(約72億円)を投じて全国初となる1万頭規模の“黒毛驢繁育中心(黒ロバ繁殖センター)”の建設に着手しており、2017年内の完成を予定している。

1頭分のロバ皮から生産できる“阿膠”は約1kgだというが、需要が急拡大したために“阿膠”の原料となるロバ皮は品不足となっている。このため、ロバ皮の価格は毎年平均23%の上昇を示し、現在では1頭分が2000~3000元(約3万2000円~4万8000円)になっている。ちなみに、馬皮やラバ皮<注1>は1頭分で200元(約3200円)、豚皮や端切れ皮はもっと安い。上述した東阿阿膠のウェブサイトを見ると、高級品の「“精装阿膠(上質阿膠)”500g入り」の価格は4295元(約6万8720円)と高額である。その説明書には、「成分:ロバ皮、補助剤:水飴、“黄酒(醸造酒)”、“豆油(大豆油)”」とあり、最終製品は“阿膠”に補助剤を加えて成型したものであることが分かる。また、1日の用量は3~9gをお湯や牛乳に溶かして服用するとあり、毎日5g服用するとすれば、100日分が4295元ということになる。“精装阿膠”500gの中に正味どれだけの“阿膠”が含まれているのか。正味40%なら200gとなるが、正確なところは分からない。要するに、“阿膠”の等級によって、その実際の含有量は異なっている。

<注1>ラバ(騾馬)は雄ロバと雌馬の交配によって生まれる一代雑種、繁殖力はない。

原料の4割は「ロバ以外」

中国国営の「新華社通信」は2016年1月25日付で『こんなに多くのロバ皮、5000トンの生産量はどこから来たのか。“阿膠”の原料が直面する偽物問題』と題する記事を配信した。そこには次のような内容が報じられていた。

(1)山東省“阿膠”業界協会が、全国で100社以上に上る“阿膠”生産企業の年産量を推計したところ、少なくとも5000トン以上であることが判明した。この生産量を達成するためには毎年400万頭分のロバ皮が必要となるが、中国国内で調達可能なロバ皮は220万頭分で、180万頭分が不足している。

(2)“阿膠”業界の専門家によれば、毎年正常に出荷されるロバは120万頭であり、これに輸入されるロバ皮を加えて、全国で生産可能な“阿膠”の総量は3000トン超である。これは“阿膠”の年間生産量5000トンの6割にしか達しておらず、残りの2000トンはロバ皮以外の皮を原料とする偽物の可能性が高い<注2>。

<注2>“阿膠”はロバ皮だけでなく、馬皮、ラマ皮、豚皮からも生産可能だが、薬効が最も高いのはロバ皮であり、ロバ皮以外は全て偽物となる。

偽物が横行する中国だから、偽物の“阿膠”が市場で大量に流通していることは十分想像できる。だが、それはさておき、(1)にあるように、220万頭分のロバ皮を国内で調達することは本当に可能なのか。(2)には「毎年正常に出荷されるロバは120万頭で、これに輸入されるロバ皮を加えて」とある。これを勘案すると、中国国内で調達可能なのは120万頭分であり、海外から輸入されるロバ皮が100万頭分であるという結論に到達する。

ロバの妊娠期間は14カ月に及び、基本的に母ロバは1頭の子供しか産まない。農家がロバを飼う目的は労働力だから、できる限りロバを妊娠させないようにする。このため人間が増やそうとしないかぎり、ロバの数は増えない。従って、上述のように毎年30万頭のロバが減少しているということは、ロバの出生数以上のロバが処理されて皮になっていることを意味するのである。それなら、国内で不足するロバをどう調達すれば良いのか。その解決策はただ一つ、当然ながら「外国から調達すればよい」ということになる。

米国テキサス州の野生馬自由連合会(Wild Horse Freedom Federation)は、米国の野生ロバが違法に捕獲された後にメキシコへ運ばれて処理され、その皮が中国へ転売されていると報告している。また、パキスタンはロバ皮の輸出を禁じているが、ある地方政府は中国向けに毎年8万頭のロバを輸出する契約に調印したという話も伝わっている。しかし、これはほんの序の口で、実態はもっと深刻なものだった。

ブルキナファソとニジェールは輸出禁止

2016年9月29日付の米国CNNは次のように報じた。

【1】西アフリカのブルキナファソ政府は、2016年8月にロバ皮の輸出を禁止した。ブルキナファソには140万頭のロバが飼育されているが、“阿膠”の原料を求める中国がロバ皮の輸入を開始したことにより、ロバの飼育数維持が困難になったため輸出禁止を断行したという。ロバ皮の対中輸出は2015年第1四半期に1000頭分であったものが、同年第4四半期には1万8000頭分になり、2016年上半期には6万5000頭分に増大した。

【2】同じく西アフリカのニジェールは、2015年に2万7000頭分のロバ皮を中国へ輸出したが、2016年1~9月で8万頭分のロバ皮を対中輸出した。ニジェールではロバ1頭の価格が以前の34米ドルから145米ドルへ急騰したが、ニジェール政府は国内のロバが絶滅する恐れがあるとして、2016年9月にロバの輸出を禁止した。

【3】ブルキナファソとニジェールにとって、ロバの価格上昇は外貨収入の増大をもたらすが、その経済成長には代償が伴う。すなわち、ブルキナファソのある村では、ロバの処理場が建設されたことにより、処理場から出た血や内臓が水源を汚染した。また、ロバ取引が繁栄したことにより、その他の家畜の価格も上昇してインフレが引き起こされた。

英国BBCの中国語サイトは2017年1月24日付と3月21日付で南アフリカでロバ皮の違法取引が激増していると報じた。その概要は以下の通り。

(1)2015年以来、南アフリカではロバの盗難、密殺、皮はぎの犯罪活動が上昇傾向にある。南アフリカの全国動物虐待防止協会(NSPCA)は、「ロバは頭をハンマーで叩かれ、生きたまま皮を剥がされる。これは極めて野蛮で非人道的な行為だが、政府はこの種の違法活動に対して何らの防止措置を講じていない」と述べている。

(2)2017年1月23日、南アフリカ警察当局が北ケープ州のOlifantshoek所在の農場で100頭以上のロバが違法に密殺されているのを発見した。Olifantshoekで逮捕された容疑者によれば、殺されたロバの皮は首都のヨハネスブルグに近いBononiへ送られてから中国へ出荷される。これらの犯罪行為には中国人が深く関わっている。

(3)南アフリカの西北部では、多くのロバが広い農地で草を食べている。そのロバたちが頻繁に打ち殺され、住宅の裏庭や秘密の処理場で皮を剥がされている。職のない貧しい村人はロバに頼って生計を立てており、ロバを殺されては生きる術を失うことになる。2か月前、ヨハネスブルグの警察は1つのコンテナの中から5000枚のロバ皮を発見した。これらは中国へ密輸されようとしていたものと考えられるが、今年、警察は何度もコンテナから違法なロバ皮を発見して押収している。

科学の力で代用品を

アフリカ諸国からどれだけのロバ皮が中国へ輸出されているかを示すデータは存在していないが、上述した3か国以外からも大量のロバ皮が中国へ送られている可能性は極めて高い。

かつてクジラは鯨油を取るためだけに乱獲されて生息数を大幅に減らした。今やロバは“阿膠”の原料となるロバ皮を取るためだけに大量に殺されている。クジラが国際捕鯨委員会によって捕獲量が取り決められるように、将来はロバも国際委員会によって処理量が取り決められる日が来るかもしれない。

中国には「“中国人除了両条腿児的人和四条腿児的椅子不吃外其他都敢吃(中国人は2本脚の人間と4本脚の椅子以外は何でも食べる)”」ということわざがある一方で、「“豹死留皮,人死留名(豹は死して皮を残し、人は死して名を残す)”」<注3>ということわざがある。4本脚のロバは食べる対象かもしれないが、肉は捨てられ、皮だけを薬の原料とされては、ロバがあまりにも哀れである。ロバは数千年にわたって家族の一員として人間の労働を助けてきたのだから、科学技術を駆使して、ロバ皮に匹敵する薬効を持つ化学物質を見つけ出し、“阿膠”の代用品を作るべきではないだろうか。

<注3>日本では「虎は死して皮を残し」だが、中国では虎が豹(ひょう)になる。

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『人生を翻弄された上海人が始めた政府への抵抗 仕事を追われた彼が年金より大切に思ったものとは』(7/27日経ビジネスオンライン 山田泰司)について

7/27ダイヤモンドオンライン記事より<安倍首相もハマった、マスコミが疑惑だけで罪人を作る3つの方法

http://diamond.jp/articles/-/136478?utm_source=weekend&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor

7/27KSL-Live!の記事<安倍内閣支持率77%、首相質疑終了後のSNS調査ではマスコミと真逆の結果>に依れば、安倍内閣はネットでは高い支持率を誇っています。ただ、マスメデイアは窪田順生氏の記事のように、この層は無視して、情弱=情緒的宣伝に弱い層に訴える戦術を採っています。北と中国への迫りくる脅威に目をそむけ、左翼メデイアのでっち上げ情報に踊らされるというのであれば、共産主義国の情報統制された報道を其の儘受け入れるのと変わりありません。自由がある社会なのに、衆愚にされているのに気が付かないでいます。ただ窪田氏の言うような倒閣にまでは至らないでしょう。勿論左翼メデイアの攻撃は続きますが、先ず代わりがいません。安倍氏も第一次内閣時に自民党から足を引っ張られて退陣した教訓を踏まえて行動しています。今自民党内で足を引っ張っているのは、空気の読めない党の裏切り者の石破だけです。彼は自民党の秘書の方からは「裏切り者」として嫌われています。先ず後を狙う所まで行かないでしょう。

http://ksl-live.com/blog10153

7/28facebook記事より<【ブラックジャックになれ】優等生的医者では治せない中国ガン

「中国ガン・台湾人医師の処方箋」より(林 建良著、並木書房出版)

https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E…/…/ref=sr_1_2…

ブラックジャックは日本的発想

中国ガンに対し、日本はどのような対応をとるべきか。これほど深く、広く、そして速度の速いガンに対しては、一般的な手法、普通の優等生的な治療法では歯が立たない。つまり、今の日本の体制、思想では対処しようがないと断言できる。

そこで日本は普通の医者ではなく、「ブラックジャック」にならなければならない。

日本の医者はルールに縛られ、認められている治療しか行わない。そもそも日本の医者は、頭の良さよりは根性で勝負する受験戦争を勝ち抜いた人間たちだ。医学生はルールだらけの医学部で学んだ後、社会に出た途端、高い地位を手にする。だから、ほとんどの医者はその地位を守ってくれる医学界の軌道からはみ出ることをせず、忠実に医学界のルールに従っている。

それに対して手塚治虫が描いたブラックジャックは、医師会に所属したり、大学病院に勤務したりするような優等生的な医者ではない。医学界どころか、世の中には認められないような存在である。彼は他人の批判を恐れず、型破り、破天荒な発想、哲学を持ち、きわめて大胆な治療を行う。その哲学は「どんな方法を使ってでも、この病気を治す」である。そして、自分の独自の発想でやりたい治療を行う。

この作品の魅力がいかに大きいかは、全世界に多くのファンがいることを見ればわかるだろう。ブラックジャックが二十数ヵ国の言葉に翻訳され、広く読まれ、愛されている。それはブラックジャックの義侠心が感動を与えているだけでなく、彼の大胆とも言える手法が、荒唐無稽の発想からではなく、それなりに現実性を持っているからだろう。

なぜルールを最重要視する優等生国家である日本に、そのような異端児、一匹狼のブラックジャックが生まれたのだろうか。だが、一台湾人の目からみれば、日本だからこそブラックジャックが生まれたのだと思う。ブラックジャックは極めて「日本人的発想」なのだ。

  • 東大医学図書館にブラックジャック全巻

私自身、台湾の医学部にいたときにこの作品を読んでいる。当時、台湾でコミックとは、買うものではなくレンタルするものだったが、同級生が講堂で医学講義を受けているとき、私は何十冊もの『ブラックジャック』を借りてきて、家の中で「勉強」していた。

しかし、これを笑ってはいけない。なぜなら「白い巨塔」といわれる大学の医学部の、そのまた頂点である東大医学部の、その知識を象徴する医学部図書館に入ると、一番手前の本棚に置かれているのは『ブラックジャック』全巻である。つまり東大医学部ですら、ブラックジャック的な創造力と冒険心がなければ、病気を治すことなどできないと考えているのだ。

日本にブラックジャックが生まれたことは、歴史を見ればわかる。信長、秀吉、家康などの戦国時代の武将たちは、みな型破りな発想を持った存在だった。明治維新の志士たちも同じで、体制の中で当然と思われていることを打破し、新たな体制を作りあげた。彼らが作った体制とは、近代国民国家という、それまで日本には存在しないものだった。

昭和時代に入ってからの大東亜共栄圏構想なども、EUなどの今日のグローバル経済圏の一つの原型になっている。満州国の建国も、今ではよその土地に国家を造るなどとんでもないことだと批判されるが、そこに数百万人もの中国人が喜んで住みついたのだから、まさに日本人の創造力と冒険心が生み出した歴史上の奇跡である。実際、台湾と同様、日本人が建国した満州国は現在の中国東北経済圏の産業基盤になっている。

ルールに縛られて活力を失っている今の日本人は老人のように見えるが、かつてはこのように、未知の世界に飛び込んで成功を収めてきたのである。だから、かつての活力を取り戻すことができれば日本はブラックジャックになれるのだ。

  • ブラックジャックならどうするか?

ブラックジャックなら、どのような大胆な手法で中国ガンを退治するのだろうか。ブラックジャックを読んで医者になった私は、いつも「師匠」なら、どうするのかと考える。既成の概念にとらわれず、細心かつ大胆な中国ガン治療法とはなにか。

中国ガンの治療方針は、以下の事実を認識した上で立てなければならない。

1、ガン細胞は完全に殲滅できないこと。

2、治療には痛みが伴うこと。

3、ガン細胞の強い抵抗に必ず直面すること。

4、日本がイニシアチブをとらなければいけないこと。

中国ガンは普通のガンと違い、十三億の人間を外科的手法で摘除することは当然不可能である。そこが中国ガンを退治する一番の難点であろう。だからこそ、ガン細胞を殲滅するではなく、無害化する以外に取るべき方法はない。どうやって無害化できるのか、ブラックジャックならどうするのか?

中国ガンを治療するにあたって、一番の困難は恐らく日本国内からの抵抗であろう。まず経済界からは株が大暴落からやめろとの大合唱が起こり、外務省からは中国が報復するからやめろと邪魔をするだろう。国民からも余計なことをするなとの非難の声が起こるだろう。

このような反応は想像ではなく、確実に起こると言ってよい。

  • 「中国を刺激するな」という金科玉条

ガン治療の難しいところは、ガン細胞の狡猾さと強い生存本能と戦わなければいけないことだ。中国ガンも然り。世界第二の経済力を持つ核保有国で、国連安全保障理事会の常任理事国でもある中国ガンは、日本以上に影響力を持ち、軍事力を使うこともためらわない。

このような中国を怒らせないでガン治療することは至難の業だ。しかし、中国ガンを退治しなければ、地球全体が壊滅してしまうことは明らかなのだ。

戦後の日本は国際政治に主導的な役割を果たさず、経済のみに専念してきた。中国のことに関しても同じアメリカ任せだった。

日本は中国と国交を樹立して以来、中国の嫌がることをしない、中国が聞きたくないことを言わないようにしてきた。「中国を刺激するな」という姿勢をかたくなに、まさに金科玉条として守ってきた。だから、資金も技術も投入して中国の経済発展に貢献するだけでなく、「反日」という中国社会のガス抜き機能にも一役買っている。

つまり、日本は中国ガンにとって、栄養分を供給してくれるだけでなく、中国社会が時たま服用しなければいけない「ナショナリズム」という名の安定剤にもなるありがたい存在なのだ。

しかし、いくら中国に贖罪意識が感じていたとしても、中国ガンの牙は日本に向けられていることを忘れてはいけない。やがて全世界を侵食してしまう中国ガンが真っ先に飲み込もうとしているのは、日本と台湾なのだ。

  • 日本にしかできない神業とは

中国問題をアメリカ任せにしている日本は、実は中国と二千年以上、対等に渡り合ってきた国だ。日本の中国研究は世界でも屈指なのだが、その正しい知識は政界や財界に反映されていない。それどころか、日本の政財界もマスコミも、中国の真実から目を背けている。

アメリカは太平洋国家と言っても、思想や知識の面ではやはり西欧中心である。さらに一神教のキリスト教国家であるため、思想的には善と悪がはっきりしており、灰色的な中国思想の深層部分を完全に理解することは難しい。

その点で日本は違う。二千年以上の中国に対する累積知識は世界のどの国をも凌駕している。だから戦争のトラウマがあるにせよ、日本がイニシアチブをとらず、中国問題をアメリカ任せにすることは無責任な態度だと言わざるを得ない。この厄介な中国ガン退治は、日本が主導して挑む以外に方策はないのだ。

では、師匠のブラックジャックなら、中国ガンをどう治療するのか?

私が台湾のガンセンターで研修していたとき、センター長の先生がよく口にしていたのは「手術は成功しても、患者が死んでしまったケースは、医者の驕り以外なにも残らない」という戒めだった。

現実世界にはこのようなことがよくある。妥協しない外科医ほどガン患者を死なせる。中国ガンを退治することも同じであるが、重要なのは地球が健康になることだ。ガン細胞を一つ残らず綺麗にとろうと、広範囲の組織を摘除して患者を痛めつけたうえ、死なせてしまうような治療ではなんの意味もない。

だから、中国ガンの治療は限定的切除と広範囲な免疫療法によって、中国ガンを無害化する以外に道はない。このような神業はブラックジャックを生み出した日本しかできないのだ。>(以上)

7/28facebookより河添恵子氏の記事<『正論』8月号に掲載しました中国権力闘争★人間相関図(河添恵子オリジナル)です。この度、失脚した重慶書記の孫政才。一帯一路のカネ横領、オンナ問題&私生児もいる、妻は民生銀行の夫人グループでカネ貢がれ・・・。と、お決まりのスキャンダルが中国語メディアから続々と出ています。

その孫政才を早くに引き上げたのは温家宝前首相や賈慶林であり、何ら派閥には入っていませんでした。ところが、江沢民派にズブズブ→吉林省で工作(吉林閥ドンの張徳江の手足に)→「親北朝鮮」関連人物、といった具合になってしまったのです。まさに江沢民派≒北朝鮮関連が粛清されています。

しかも、次人事には胡錦濤前国家主席もリベンジで関わっています。北戴河会議を前に実のところ、習近平と胡錦濤は手を結んでいます。胡錦濤の息子もロケット出世をしてきています。

まさに暑い夏です!

7/28宮崎正弘氏メルマガ<CIA分析官「ロシアより中国が米国の敵ではないのか」   米議会に巣くうロシア嫌い、トランプ政権、ロシア制裁に拒否権発動か?>

http://melma.com/backnumber_45206_6562336/

昨日も書きましたが、米国議会は真の敵を見抜けないでいるというか、裏には中国の工作が進んでいるという事でしょう。特にマケインがひどいのでは。共和党でありながらいつも民主党に投票をするとダイヤモンドの記事にありました。

http://president.jp/articles/-/21817?page=3

7/28 日経朝刊中国、銀行などの制裁「撤回求める」 北朝鮮巡り日本に

【北京=永井央紀】中国外務省の陸慷報道局長は28日の記者会見で、日本政府が北朝鮮への独自制裁として中国の銀行などを資産凍結対象に加えたことについて「絶対に受け入れられない。即時撤回を求める」と反発した。「日本が我を通すなら、中日関係や朝鮮半島問題での協力に必ず重大な障害をもたらす」とも強調した。>(以上)

この中国の銀行と言うのは共同通信に依れば、米が制裁指定した「丹東銀行」のこと。日経や時事通信は名を伏せていますが。中国の報道官の発言は日米離間や、これ以上西側諸国が加わって制裁しないようというのと、米国の「中国銀行」をも制裁指定の牽制にあります。温泉施設探査の社員6人の内、4人をやっと解放したような危険な国です。経営者は社員をそんな国に送り込んで良いのかと思います。何時も言っていますように中国経済を拡大すれば、それが軍拡に使われ、or賄賂に使われることによって日本の立場を危うくするものになります。自分だけが良ければとか自分だけが助かればと言うのは、日本人ではなくなるという事です。日本は中国が何を言おうとも整斉と制裁を課すべきです。

山田氏記事は共産党の有無を言わさぬ土地収用の実態を書いたものです。毛沢東が土地を渡すからと言って小作農を騙して革命を起こし、その後約束を反故にして、土地を召し上げて全部共産党のモノにしてしまったことが原因です。中国では土地の強制収用の問題は頻発しています。日本だったら左翼が生活権の侵害と言って大騒ぎするでしょうけど。彼らの理想の国は平気でやってのけるし、日本の左翼は中国を非難することもありません。左翼は平気で嘘をつくし、二重基準の持主です。こういう国にならないように左翼と戦わねば。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1475687374

http://www.thutmosev.com/archives/66670713.html

なお、中国のレンタサイクル2店(悟空単車、3Vbike)が倒産したとの記事がありました。中国人に借りたものを返す習慣はないので、失敗するとは思いましたが。

http://www.recordchina.co.jp/b181555-s0-c20.html

記事

友人が15年以上働いた新聞スタンドの跡地。地面の色が変わっている

年金生活を指折り数えて楽しみにしている上海人の友人がいた。

いつも携行している小さなノートに毎月「年金支給まであと4年11カ月」「あと3年9カ月」と残りの日数を更新して書き込んでいた。年金支給の開始は60歳の誕生月から。60歳なんてまだ若い、急に仕事をしなくなったら毎日暇をもてあますだろうと聞くと、「仕事をしなくて済む方が仕事をしなきゃならないよりいいに決まってるだろう。日本人は働きバチだって言うけど、そんなこと考えるなんて、ホントなんだなあ」と呆れ顔で言われたものだ。

その彼が、「2年2カ月」を最後にカウントダウンノートの更新を止めた。今年の2月のことだ。この月、彼は突然仕事を失った。いや、奪われた、と言う方が正確だ。ともあれ、あれだけ楽しみだった年金の支給が急にどうでも良くなった。嫌々やっていると思っていた仕事に、実は愛着を抱いていたのに気付いたということもある。ただ何より、これで恐らく、彼は一度も、自分の意思で自分の仕事の去就を決めることができずに彼の仕事人生を終えることになるのだろうということに、なんとも納得のいかない思いが突き上げてきて、他のことはどうでも良くなってしまったのである。

彼の仕事は新聞スタンドの経営だった。10年間務めた国有の腕時計工場を39歳の時にリストラに遭い、2年間の失業を経て2001年から始めた仕事だ。経営といっても元締めの会社があり、1部1元(16円)の新聞を売って得る彼の取り分は0.14元。残りの0.86元は会社に納めるのだから、経営というよりもスタンドの管理者か売り子という方が近い。

彼が新聞スタンドの仕事に就いた理由が国有企業のリストラだったように、当時の中国は時代に乗り遅れ経営が立ち行かなくなった赤字国有企業が足かせになり、経済が停滞していた。しかし、中国が次の経済大国になるのは間違いないと、海外が中国の市場に注目をし始めたころでもあった。海外の雑誌もそれは同じで、2005年ごろまで主に女性ファッション誌の中国語版の刊行が相次いだ。日本勢も小学館の「Oggi」や扶桑社の「LUCi」、講談社の「with」等はこのころに進出したものだ。上海では同時並行で地下鉄網の整備が進んでおり、地下鉄に乗って通勤する「白領」(ホワイトカラー)がオシャレだという認識が生まれていたが、日本の女性誌はそれまでの中国の雑誌にはなかった「30日間の着回しコーデ」のような特集を組み、若い世代を中心に好評を博した。

こうして海外の雑誌が中国の大都市で売れ始めた中、国有企業をリストラされた人たちの受け皿として生まれたのが上海の新聞スタンド「東方書報亭」だった。「居民委員会」と呼ばれる地域の自治会兼監視役のような組織と所轄の公安に新聞スタンドをやりたいと名乗り出ると、所轄内の適当な場所に、大ぶりの家庭用物置のような形をしたガラス張りで屋根のついた小屋を無償で用意してくれたのだ。

1992年に14.2%をつけた中国のGDPは、彼が失業した1999年には7.7%まで減速した。しかしその後、彼が新聞スタンドを始めた2001年は8.3%、2003年には10.0%と2桁成長を回復し、高度成長の波に再び乗り始める。上海の新聞スタンドは、計画経済時代の中国を支えてきた国有企業が淘汰の波にさらされる端境期と、中国経済の復調、雑誌を通じた海外文化の流入という3つの要素が重なったことで生まれた、この時代ならではの失業対策だった。そして私も、この海外雑誌ブームのおこぼれにあずかる形で上海で働き始め、雑誌を売る最前線の取材をきっかけに、新聞スタンドの彼と知り合ったのだった。

紙媒体の斜陽と自転車シェアリングの台頭

最近、急速に増えているレンタル自転車の駐輪場

ところがその後、インターネットの普及で紙の本や雑誌が衰退し始める。中国は例外で難を逃れたなどということが起こるはずもなく、上海の彼の新聞スタンドもみるみる売り上げが減っていった。少しでも売上減を補おうと、3年前から店に電気鍋を持ち込み、そこでゆで卵とトウモロコシを作って道行く人に売り始めた。たいした稼ぎにはならなかったが、それでも、過去2年は、本業の新聞雑誌の売上げよりも、ゆで卵や飲料等の売上の方が多い月もあるほどだった。ゆで卵が売れたと言うより、それほど紙の新聞雑誌が売れなくなっていたということである。一時期、上海のOLに絶大な人気を誇ったOggiの中国語版も2014年9月を最後に休刊に追い込まれていた。

そして今年の春節(旧正月)明けの2月。彼は市当局から、新聞スタンドの閉鎖を通告された。理由は、「ゆで卵の販売を無許可でしていた違法行為」だという。ただ、スタンドを閉鎖する補償金として1万元(16万円)を支給する他、新たな就職先として、駐輪場の管理だったら手配するという。ゆで卵を売ったという違法行為が閉鎖の本当の理由であるならば、当局には立ち退きの補償金の支払いも、就職先の紹介もする義務はない。紙媒体の衰退と命運を共にし風前の灯火でありながら公道を占拠して邪魔な新聞スタンドをさっさと撤去して、もっとカネを生むことに有効活用したいという当局の意向があるのは明らかだった。

時を同じくして、上海では違法建築を利用した営業を理由に、飲食店等の強制取り壊しが市内各所で進められていた。多くの日本人が住む虹橋地区でも6月中旬、前の週まで数10軒の食堂が並びB級グルメを求める人でごった返していたレストラン街が、翌週訪れてみると、店舗がブルドーザーで根こそぎ地面から引きはがされ、跡形もなくなるという事態が起きた。たまたま現場に出くわした私は、作業員らが整地するのを遠巻きにして眺めている近所の人たちのグループの1つに声をかけ事情を尋ねると、やはりここでも違法建築が取り壊しの理由だとのことだった。そこには道路に面して団地が並んでいるのだが、主に1階に住む上海人の住人が、本来公道であるはずの部分に違法に張り出して増築し、飲食店や商店として貸していたということらしい。

後日、乗り合わせたタクシーの運転手と、一連の違法建築取り壊しの話になった。すると上海人の彼は、「違法建築が理由だって本気で信じてるのか。おめでたいな。あれはな、違法建築を使って安い飲食店を経営している地方の農村から来た農民工を上海から追い出すのが目的なんだよ」と言う。それを聞いた私は、そこで商売をしていた農民工からいきなり生きていく糧を奪って、上海当局はいったい、彼らに明日からどう生きていけと思っているのかなと返した。すると上海人の運転手は気色ばんで、「そんなことオレたちの知ったことじゃない。上海は人が溢れてるんだよ。農民工を養う余裕はもうないんだ。とっとと故郷に帰ればいいんだ」と言った。

ただ、相手が上海人なら上海から追い出すわけにもいかない。そこで、ゆで卵販売という違法行為を理由に新聞スタンドを辞めさせ、衰退する紙の新聞雑誌と入れ替わるように中国で爆発的に流行りだしマネーも集まる自転車シェアリングで需要の増えた駐輪場の管理人に最低賃金で仕事に就かせる。こうして、これまでなら地方からの出稼ぎ農民工に担わせたであろう低賃金の仕事は上海人の下層の人々に就かせ、あぶれた農民工は違法を理由に追い出す。違法ゆで卵から、こうした構図が見えてくる。

あっという間に壊されたB級グルメのレストラン街

「自分の意思」というささやかな抵抗

結局、新聞スタンドの彼は、閉鎖と補償金は受け入れたが、斡旋された駐輪場の仕事は断った。3つ年上の妻が今年5月から年金が支給されるので、蓄えを切り崩せば2人ならかつかつ食べていけるというのもあった。ただ、最後の仕事ぐらいは、国に指図されずに自分の意思で決めたいと思ったのだという。

文化大革命(1966-76年)のまっただ中に学齢期を過ごし満足な教育を受けられなかった新聞スタンドの彼は、19歳で初めて就職し3年働いた国有の家具工場、その後6年働いた国有のミシン工場、10年務めた国有の腕時計工場、そして政府の失業対策で生まれた新聞スタンドと、最後はすべてが国によるリストラで職を追われた。すべてが国の都合であり、個人の都合は一顧だにされなかった。新聞スタンドの仕事を奪われたとき、この仕事に愛着とやりがいを感じていたことに初めて気付いた。駐輪場の仕事だって、いざやれば立派にやり遂げる自信はある。でも、仕事には何の落ち度もないのに、また国の都合で辞めさせられるかもしれない。それはもうまっぴらだと思った。だからせめてもの抵抗として、「次の仕事を紹介してやれば文句はないだろう」というこれまでと同じ当局のやり方に、今回初めて、ほんのわずかだが、抗ってみたのだった。

「これまでずっと、国の頭数ぐらいにはなれているんだろうと思っていた。でも、定年退職の歳も間近になって、あっさりとこれまでと同じことをされた時、これまでだって、この国はオレのことなんか数の内に入れてなかったんだろうな、と思った」と、新聞スタンドの彼は、真面目な顔で言った。

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『早くも空回り、文在寅の「民族ファースト」 左派政権になっても「妄想外交」は続く』(7/26日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

森友・加計問題の報道姿勢で、日本のマスメデイアの劣化もここに極まれりと思っていたのですが、良く考えますと、最初から良い時なぞなかったのではと思い直しました。メデイアは一部を除き、「詐話師集団」です。挙証責任を被告(人)に転換することなぞ普通にはあり得ないでしょう。ないものを無いと証明するのは「悪魔の証明」と言われています。それはそうです。歴史上(時間)も世界的(空間)にもないという事を証明せざるを得なくなる訳ですので。況してや、最も説明が合理的と思われる青山参議院議員の質問と加戸前愛媛県知事の答弁をスルーするのですから。

日本のメデイアは「中国共産党の喉と舌」の役割を果たしているのではと考えます。時々中国に不利な情報を交えて報道しますが。それも手の内でしょう。人民日報や環球時報と同じ論調だと流石にばれるので。そう思って見た方が合っていると思います。でもメデイアや野党の印象操作に簡単に騙される国民も如何なものかと思います。中国人の常識は「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」と言うものですが、その定義で行けば、大部分の日本人は馬鹿と言うことになります。メデイアや野党は中国人と一緒で「自分は騙しおおせて賢い」と勝ち誇った気持ちでいるのでしょうが、それは情報弱者にしか通用しません。若者とネットで情報を取っている者にとっては、安倍内閣の支持率は高いです。情報弱者の高齢者はやがてなくなりますからフェイクニュースに金を払ってまで見ないし、TVも雑音としか感じないので見なくなるでしょう。TVのスポンサーもネットに置き換わる時代が来るでしょう。

7/20ネットギーク調査

http://netgeek.biz/archives/99765

7/20ニコニコアンケート

https://enquete.nicovideo.jp/result/91

政権もやられ放しではなく、切り返していかねば。本来は支持率が高いときに手を付けるべきでした。企業が成長している時にリストラするのと同じです。苦境にあってからリストラするのでは被害が大きくなるばかりです。先ず、新聞・書籍に対して再販価格維持制度を止めること。今は電子書籍の時代です。取次も置き換わって、ネット業界が電子書籍も販売しています。またNHKは害になるだけなので、民放に臣籍降下させ、国営放送を新たに作り、国会中継チャンネルと海外向け(英語、スペイン語、中国語、フランス語、ロシア語、アラビア語、韓国語)で放送すれば良いでしょう。メデイアの「断章取義」、「報道しない自由の行使」をしないでありのままを見て貰えば良いでしょう。お笑い番組は民放がやるでしょうから。それとTVの電波の入札はして民放各社から相応の負担をして貰うべき。また放送法における外国人の経営参与ももっと厳しく審査すべきです。

http://www.nippan.co.jp/recruit/publishing_industry/current_status.html

韓国と北朝鮮は下記の宮崎氏の記事を真剣に考えた方が良いでしょう。勿論日本人もですが。

7/28宮崎正弘氏メルマガ<「大統領が命令すれば中国への核攻撃も辞さない」、米太平洋艦隊司令官、豪国立大学安全保障セミナーで警告>

http://melma.com/backnumber_45206_6562115/

北の恫喝外交も南の蝙蝠外交も朝鮮半島の事大主義のDNAの為せる業なのでしょう。北は強者に擦り寄る代わりに粋がって見せるチンピラヤクザそのもの、南は朴槿恵もそうでしたが駄々捏ねを世界にアピールして自分を大きく見せるやり方です。両方とも力のないのは見抜かれていますので、誰からも信用されません。「五面楚歌」というのは日米北中露のこと?「四面楚歌」は百戦99勝を誇った項羽の最後の場面のことで、韓国の近い将来を暗示していると考えます。北との赤化統一か、国連管理になるのかいずれにせよ、鈴置氏は「大韓民国」は消滅するという思いなのでしょう。

記事

趙明均統一部長官が7月17日、文在寅大統領が掲げた「ベルリン構想」の後続措置を説明、南北対話を提案したが…。(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

前回から読む)

韓国の「外交迷走」がひどくなる一方だ。

対話提案は空振りに

—韓国が北朝鮮との対話に動きました。

鈴置:そして無視されました。7月17日、文在寅(ムン・ジェイン)政権は軍事会談と赤十字会談をそれぞれ7月21日、8月1日に開こうと提案しました。ホットライン――直通電話を北側が断っているので、記者会見を通じての呼び掛けでした。

軍事会談に関しては、開催予定日の7月21日になっても何の返事もありませんでした。国防部は同日「7月27日まで提案は有効だ」と発表しましたが、なしのつぶてです。こうしたことから、赤十字会談も無視されるとの見方が多いのです。

「空振りに終わりそうなラブコール」に対し、韓国の保守系紙は極めて冷ややかです。中央日報は社説「南北軍事会談が不発、一歩目からつまずいた『ベルリン構想』」(7月22日、日本語版)で以下のように書きました。

南北軍事会談がこのようにつまずくのは、準備なく急いだ側面もあるだろう。大統領の「ベルリン構想」の成果を早期に出そうという焦りが作用しているのだ。実際、政府がこのように重要な会談を推進する場合、事前の整地作業と会談後の代案まで用意する必要があった。

日米との不協和音

—「ベルリン構想」とは?

鈴置:文在寅大統領がドイツでのG20(20カ国・地域)首脳会議に参加した際、7月6日にベルリンで演説し、表明した構想です。

「条件が整えば金正恩委員長とも会う」と述べ、南北首脳会談による核・ミサイル問題の解決を訴えました。

朝鮮半島の問題は外国の力を借りずに、朝鮮民族の手で解決しようとの発想です。7月21日に提案した「軍事」と「赤十字」の2つの会談は、その首脳会談の露払いということでしょう。

—「焦り」とは、中央日報も厳しいですね。

鈴置:北朝鮮は米国との直接対話を望んでいます。韓国と対話を始めたらそれが遠のく可能性が高い。だから、北朝鮮から肘鉄砲を食うというのは読み筋でした。

それなのに、韓国は裏交渉もせず呼び掛け、恥をかいたというわけです。多くの韓国人がそう考えたと思います。提案による副作用もありました。中央日報の社説はこう続きます。

国際的な環境と北朝鮮の状況に対する評価も不足していた。その結果、政府の突発的な南北会談提案に北朝鮮は反応せず、日米との不協和音だけが高まった。

「韓国政府に聞け」

韓国が対話を呼びかけた瞬間、米国が牽制しました。ホワイトハウスのスパイサー(Sean Spicer)報道官(当時)は7月17日の会見で韓国の対話提案について聞かれ、以下のように答えました。

Well, obviously those comments came out of the Republic of Korea and I would refer you back to them.

That being said, I think the President has made clear in the past with respect that any type of conditions that would have to be met are clearly far away from where we are now.

まず「韓国政府に聞く問題だ」と述べ、米国は提案の相談にあずかっていない、あるいは相談があっても同意はしていないことを示唆しました。そのうえ「現状は対話に出るには遠い状態だ」と提案自体を批判したのです。

7月4日に北朝鮮が米国まで届く大陸間弾道弾(ICBM)の試験を実施しました。米国と日本が全力を挙げて北朝鮮に圧力を強めています。というのに韓国は北朝鮮に逃げ道を用意しようとしたのです。

米国は軍事的手段も辞さない姿勢を打ち出しています。しかし南北対話が始まれば、その間は軍事行動に出にくい。米国や日本の目には、北朝鮮の核武装の時間稼ぎを韓国が幇助すると映ります。

約束は守らない

—6月末の米韓首脳会談で両国は足並みを揃えて北朝鮮を圧迫することを約束したのでは?

鈴置:ええ。共同声明でも対話に関しては「北朝鮮が正しい道を選べば」と、ちゃんと条件を付けました(「『戦闘モード』に韓国を引き込んだ米国」参照)。

しかし、文在寅大統領は約束を堂々と破った。そこで中央日報の社説は「日米との不協和音だけが高まった」と大統領を批判したのです。

—なぜ、約束を守らないのでしょう。

鈴置:韓国では「約束は守るもの」ではないのです。日本との「慰安婦合意」も破っています。ソウルの日本大使館前の慰安婦像を撤去しません。それどころか釜山の総領事館の前に新たに立った慰安婦像も黙認しています。

文在寅大統領は米韓首脳会談の直後、7月1日に在米韓国人の集まりで「南北関係は周辺国に頼らず、我々が運転席に座って主導していく」と語りました。

朝鮮日報の「文大統領『南北関係は運転席に座る』」(7月3日、韓国語版)などが書いています。

運命は民族の手で

韓国人には「自分の国の運命は常に周辺大国が決めてきた」との思いがあります。それに対し文在寅大統領は、保守政権は米国の言うことに従ってきた、しかし左派が政権を握った以上、我が民族が自らの運命を切り拓く――と宣言したのです。

「民族の主体性」こそが、韓国左派の存在意義なのです。トランプ(Donald Trump)大統領との約束など、初めから守るつもりなどないのです。

帰国直後の7月2日には「朝鮮半島問題は我々が対話を通じて主導的に動くことへの米国の支持を取り付けた」と語っています。

これも朝鮮日報の「文大統領『南北関係は運転席に座る』」(7月3日、韓国語版)などが報じています。

「米国との約束を破るだろうな」と危機感を強めていた保守系紙は、韓国政府が対話を提案すると直ちに――北朝鮮の無視が判明する前に――批判に乗り出しました。

朝鮮日報は「譲歩しては頬を殴られてきた南北対話、また繰り返すのか」(7月18日、韓国語版)で、次のように主張しました。

7月4日の北朝鮮のICBM発射を受け、国際社会は新たな制裁を協議している。米国は北朝鮮と取引のある外国企業に制裁を加える「セカンダリー・ボイコット」に本格的に動き出した。

韓国政府は軽率な南北対話が国際社会の流れに反するとの懸念に耳を傾けるべきだ。文大統領は韓米首脳会談で緊密な協力を行うことで一致した。今回の対話提案が米国の十分な支持を得られているか気になるところだ。

下手な求愛はやめろ

いざ、スパイサー報道官が韓国を批判すると、朝鮮日報は翌日も社説を掲載し「北朝鮮を喜ばせるだけの文在寅外交」を糾弾しました。

韓米首脳会談、3週間で出てきた不協和音」(7月19日、韓国語版)で、ポイントは以下です。

首脳会談後、わずか3週間で韓米の意見の食い違いが表面化した。どのみちそりの合わない両国政府だが、予想より早い葛藤だ。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)はこの状況を見て笑っていることだろう。深刻な問題である。

東亜日報も7月18日の社説「南北軍事・赤十字会談を提案、対北朝鮮放送と離散家族」(日本語版)で米国との約束違反を批判しました。

政府は韓米首脳会談で、南北関係における韓国の主導的役割に対して了解を得たと強調している。しかし、非核化の進展がない南北対話を米国や国際社会がただ見守ることはできないだろう。

北朝鮮に対する求愛は、今回の提案が最後でなければならない。北朝鮮の拒否にもかかわらず、それにしがみついたり、会談が開かれても北朝鮮の時間稼ぎや分離術策に振り回されたりしてはならない。

制裁と対話の並行は、文大統領がG20首脳会議で国際社会に提示した原則であり約束でもある。

やはりタリバン政権

—「求愛はやめろ。北朝鮮にしがみつくな」とは。東亜日報も厳しいですね。

鈴置:中央日報も対話提案の翌々日に同様の社説を載せましたが、提案を、何と「不祥事」と決めつけました。「南北対話の提案が韓日米の対立につながるのか」(7月19日、日本語版)です。

文在寅政権の誕生で米韓関係に修復不可能な亀裂が走ると保守は恐れていた。文在寅氏が秘書室長など要職を務めた盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権(2003―2008年)当時、あまりの「反米親北」ぶりに、米国からは同盟破棄の声まで挙がっていたからです。

米国の外交界は盧武鉉政権の中枢部は「タリバン」――つまり過激な民族主義者が占拠したとも公然と語っていたそうです(「文在寅政権は『五面楚歌』から脱出できるか」参照)。

6月29、30日にワシントンで開く米韓首脳会談を、韓国の保守は恐る恐る見つめていた(「『韓国の鳩山』に悲鳴をあげる保守系紙」参照)。別段、対立が表面化しなかったので、ほっとしていたところに南北対話の提案です。

保守系紙は「やはり文在寅政権は反米に走った」と衝撃を受け、激しい言葉で政権を批判し始めたという構造です。

「不祥事」に付け込む

—ところで、北朝鮮はなぜ、軍事会談を受けなかったのでしょうか。

鈴置:確かに、南北対話に応じれば米韓の亀裂を大きくすることができます。しかし、その利点と比べれば米国との直接対話の可能性を減じる不利益の方が大きいと判断したのでしょう。

ただ「文在寅政権のミス」には付け込む作戦に出ました。北朝鮮は軍事会談の提案は無視しました。が、7月20日の労働新聞が興味深い論文「全民族の大団結に統一がある」を載せました。

1972年の南北共同声明(7・4声明)の意義を長々と論じたものですが、後ろの方に以下のくだりがあるのです。

南朝鮮当局が相手を公然と敵対視し、対決の意図を明白にしながら「関係改善」などと云々するのは全く話にならない。世論を欺瞞する行為と見るほかはない。

南朝鮮当局は反民族的な対決と敵対の悪弊を清算し、同族を尊重し、統一の同伴者としてともに手を携える英断を下さねばならない。

労働新聞に呼応したハンギョレ

—「英断」とは?

鈴置:米韓合同軍事演習の縮小・中止、あるいは在韓米軍の撤収、さらには米韓同盟の破棄を指していると見られています。

北朝鮮はこの論文を通じ「対話してほしいなら、腹を固めよ。民族を重視する左派なのだから、軍事演習ぐらいやめたらどうだ」と謎をかけたのです。

—文在寅政権は「英断」を下すのでしょうか。

鈴置:左派系紙のハンギョレはさっそく労働新聞に応えました。7月21日の夕方から掲載した社説「南側の対話提案に『こだましない北』」(韓国語版)はこう書きました。

南北関係が改善しない限り、朝米関係が良くなることは事実上、不可能だ。北が南側の提案を一蹴せず、考慮するかの姿勢を見せているのは幸いだ。

8月実施の韓米合同軍事演習「ウルチ・フリーダムガーデン」(UFG)の撤廃あるいは縮小を北が要求してくるかもしれない。政府はこうしたすべての可能性に対し、深く準備しておくべきだ。

主導権のない韓国

—韓国は合同軍事演習の中止を提案されたら受けるのでしょうか。

鈴置:北との融和を唱え、政権に近いハンギョレが「準備せよ」と書いているところからして、演習中断が文在寅政権の本音でしょう。

大統領の外交安保特別補佐官である文正仁(ムン・ジョンイン)延世大学特任名誉教授も6月16日、ワシントンで「演習の縮小を交換条件に北朝鮮に核・ミサイル活動の中断を求めるべきだ」と語っています。

この発言により、米国は文在寅政権を決定的に疑うようになったのですが(「『米韓合同演習』を北に差し出した韓国」参照)。

—そうでした。でもそもそも、韓国が朝鮮半島問題で主導権を握ることができるのですか。

鈴置:そこがポイントです。韓国の民族主義者は握るのが当然と考えている。しかし現実には難しい。

東亜日報は社説「米中経済対話決裂、『中国の圧迫で北の核解決』は遠い道だ」(7月22日、韓国語版)でそれを突きました。

北朝鮮の核・ミサイルはこうなった以上、韓国だけでも韓米同盟だけの問題ではなく、米国の問題となっているのだ。

北朝鮮が米国まで届くICBMを開発した以上、米国は自分の身を守るために動く。韓国防衛のための米韓同盟とは関係なくなっている。韓国の意見など聞かれない現実を見つめよ、ということです。

東亜日報はここまでは書いていませんが、仮に南北対話が始まっても米国が必要と判断すれば北朝鮮への空爆は実施する――と見る専門家もいるのです。

反民族主義者に認定

—「韓国に主導権はない」。これが妥当な認識ではないのですか?

鈴置:そうなのですが、そこまではっきりとしたもの言いをすると韓国では敗北主義者と非難されかねません。あるいは民族内部の問題の解決を大国に委ねる反民族主義者に認定されます。

東亜日報が「米中経済対話」を論じる中でさりげなく「不都合な真実」を指摘したのも、そうした理由からかもしれません。

朝鮮日報の姜天錫(カン・チョンソク)論説顧問も文在寅政権の内政を批判するコラムの最後で「不都合な真実」にチラリと触れています。「強者と格闘してこそ真の改革だ」(7月22日、韓国語版)から引用します。

米上院に「北朝鮮が検証可能で不可逆的な非核化の道に進む前に開城(ケソン)工業団地を再稼働できないようにする」法案が提出された。韓米同盟の歴史で聞いたことも見たこともない話だ。

ブレーキとアクセルが助手席の下に付いている自動車の運転席の限界だ。

G20会議から帰国後の「(北の核)が我々の最も切迫した問題というのに、我々には解決したり、合意を導く力がない」との大統領の述懐が現実になった。

国の内外で大風呂敷を広げても何の得もない時が来たのだ。

車両運搬車の上の愛車

記事中の「開城工業団地」は北朝鮮への外貨支援のパイプとなっていた南北共同のプロジェクトです。北朝鮮の核・ミサイル開発の進展に対応、朴槿恵(パク・クネ)政権(2013―2017年)が中断しました。文在寅政権はこの再開を公約に掲げています。

姜天錫論説顧問は、理想がどうであろうと米国の掌の上に載っている現実をベースに政策を組み立てるしかない、と言いたかったのでしょう。

—「ブレーキとアクセルがない運転席」とは?

鈴置:「運転席に座る許可を米国から得た」と誇る大統領への強烈な皮肉です。もっと厳しく言えば、文在寅大統領の握るハンドルは偽物かもしれない。

確かに自動車の運転席には座っている。しかしその車ごと、トランプの運転する車両運搬車に載っている。

国民からすれば、窓の外の風景は動いている。父親はそれらしくハンドルを回したりし時々、振り向いては「どうだ、お父さんの運転は上手いだろう」と誇る。

でも本当は、韓国という小型車は大型車の上に載っていて、他人の行きたい方向に運ばれて行くだけなのです。

助手席で方向を指示

—身も蓋もない例えですね。

鈴置:韓国にはやりようもあったと思います。文在寅大統領には車両運搬車の助手席に座り、運転席に座るトランプ大統領のハンドルさばきに注文を付ける手があった。トランプ大統領がいくら我が強かろうが、忠実な同盟国の意見を完全に無視することはできません。

でも「民族ファースト」を掲げる文在寅政権は就任早々、米国を裏切った。日米韓のスクラムを壊し、南北対話に走ったのです。これで米国に影響力を行使することは困難になってしまった。

米軍が韓国に配備したTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)の問題でも米国を激怒させました。THAADの完全な配備は環境影響評価を実施してから、との方針を打ち出したからです。

そのうえ、左派の団体がTHAAD基地を封鎖し、燃料の搬入など運用を妨げている。しかし警察は見て見ぬふりです(「『THAAD封鎖』でいよいよ米国を怒らせた韓国」参照)。

文在寅大統領は訪米中に「環境影響評価が配備を覆すためのものであるとの疑念を捨ててほしい」と、いかにも近い将来に配備を認めるかのごとくに語りました。

ハンギョレの「THAAD配備めぐる米国の疑念は払拭したが・・・中国をどう説得するかが課題に」(3月5日、日本語版)などが発言を報じています。

が、帰国後も大統領は左派団体のやりたい放題を放置したまま。米国が韓国を信頼するわけがありません。

それどころか、在韓米軍を撤収する可能性も出てきました。北のミサイルから韓国と在韓米軍を守るために配備した、THAADの運用を韓国が国をあげて邪魔するのですから。

深まる「五面楚歌」

—在韓米軍を撤収して米国は北朝鮮への攻撃ができるのですか?

鈴置:在韓米軍基地がなくとも先制攻撃は十分に可能です。米国は地上戦をやるつもりはない。一方、空軍基地は近過ぎて却って使いにくい。

—韓国外交は迷走を続けますね。なぜ、こんなことになってしまうのでしょうか。

鈴置:自分に都合のいい世界像を設定し、それをベースに外交を組み立てるからです。朴槿恵政権がそうでした。

米中双方にとって韓国が必要不可欠な国になったと思い込み、両国を競わせ、操る作戦に出た。両大国の力を背景にすれば日本と北朝鮮を叩ける、とも本気で考えた。

こんな現実から遊離した妄想外交の結果、周辺国すべてから怒りを買い、孤立しました(「文在寅政権は『五面楚歌』から脱出できるか」参照)。

一方、左派の文在寅政権は同民族の北朝鮮と手を組めば、周辺大国に対抗できると考えた。彼の信奉する本によれば、米帝国主義に対し世界の人民は立ち上がり、大同団結して戦って勝利する――はずなのです(「『米帝と戦え』と文在寅を焚きつけた習近平」参照)。

ところが現実には北の同族でさえ、韓国からの共闘の申し出を鼻で笑い飛ばし、逆に利用しようとするだけでした。北朝鮮とすれば当然です。脅威は韓国ではなく、圧倒的な核戦力を持つ米国です。米国との関係改善を図ってこそ生き残れるのです。

韓国の「五面楚歌」は深まるばかり。歴代政権の妄想外交の果てに韓国は周辺国から軽んじられ、無視される存在になってしまったのです。国の運命がかかる重大な時というのに。

(次回に続く)

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『相次ぐ“政商”たちの受難、習近平の真意は?「共産党員らしい資本家」が抱える大いなる矛盾』(7/26日経ビジネスオンライン 福島香織)について

7/27ロイター<コラム:米中蜜月の終焉、経済戦争突入か=斉藤洋二氏>

http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yoji-saito-idJPKBN1AB08G?pageNumber=3&sp=true

7/27Money Voice<次の暴落の原因。中国が抱える「5000億ドル債務爆弾」はいつ炸裂するか?=斎藤満>

http://www.mag2.com/p/money/269871?utm_medium=email&utm_source=mag_W000000204_thu&utm_campaign=mag_9999_0727

7/27ロイター<米FOMC、資産縮小「比較的早期に」:識者はこうみる>

http://jp.reuters.com/article/fomc-highlights-idJPKBN1AB2QE?sp=true

中国の共産党大会が終わるまでは、米国は金利上げをせずに債務の大きい中国を助けるという事でしょうか?習近平を助けても、恩義に感じるはずはありません。2012年の反日デモで井戸を掘ったと言われる松下はどう扱われたか、天安門事件の後の西側からの経済制裁にあった中国を天皇訪中までして助けた日本をどう扱ったか、靖国参拝しないで胡耀邦を助けた中曽根総理以降の総理の靖国参拝はどうなったかを考え合わせれば、中国は裏切りが常套手段というのが分かるでしょう。孫子の兵法に「兵は詭道なり」、「兵は詐を以って立ち、利を以て動き、分合を以て変を為す者なり」とあるように、今でも中国人の発想は兵法に基づいています。トランプも騙されないように。斎藤満氏の言うように早く丹東銀行だけでなく、中国銀行にも制裁をかけなければ。

農水省は米牛肉へのセーフガード発動の説明に米国まで行くのこと。22年前の法律(7/27日経朝刊より)をそのまま適用していいものかどうか。こうなる前に法を変えておくべきだったでしょう。米国が中国の鉄鋼の輸入関税をかけようとしている時に。米国からすれば、日本も不公平なやり方をしていると、鉄鋼の輸入関税を正当化するのでは。タイミングが悪すぎです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170727/k10011075891000.html

福島氏の王健林の記事は、習近平に逆らう者or機嫌を損ねる者は誰であっても許さないという事でしょう。まさしく毛沢東以上の帝王を目指していると言ったところでしょうか?でも中国では「政権は銃口から生まれる」と言われています。毛や鄧と違い、習近平は軍の経験はないため、どこかで転ぶ気がします。まあ、経済人も、軍人も習近平を信じているのはいなくなるのでは。クーデターか暗殺でしょう。

7/27宮崎正弘氏メルマガより、<(読者の声2)貴誌が速報した万達集団ですが、王健林は、手持ち財産をかたっぱしから処分しはじめ、となると中国財閥ナンバーワンの位置からすべりおちることは明白。その後の動きはありますか?

(TY生、静岡)

(宮崎正弘のコメント)中国当局が7月10日に「信用調査」を命じて以来ホテルとテーマパークのあらかたを売却する方針が公表され、全額を借入金の返済に充てると発表しました。

ところが売却先の「融創中国」(天津)は同業者で業界七位ですが、手持ち資金はなく、その半分の金額を、王健林が個人財産を担保に銀行から借りて融資するというのですから、奇怪千万です。

案の定、この「見せかけ」売却がばれ、あわてて王健林は売却先を変更し、富力地産(広州)にホテルを、テーマパークを融創集団にと、ふたつに分けての売却とし、さらに後者への融資は行わない旨の発表があった。

それでも万達は子会社の「万達商業地産」の借り入れが3兆2000億円にも上り、株式市場が大揺れとなりました。万達全体の有利子債務は13兆円を超えます。

このままビジネスが萎めば、「第二のダイエー」になることは明らかです。

また海外の映画館チェーンの買収も海外送金が事実上不可能となって中止を余儀なくされており、マレーシアのクアラランプールでの新都心建設プロジェクトへの応札も取りやめました。

習近平一族と親しいとされた万達集団にも規制の網が及んだことは、すでに海外資産買収の勢いが削がれ、同種の買収工作をすすめてきた腹星集団(北海道の星音リゾート買収で有名)、安邦保険などへ波及しています。

中国の景気後退は激甚なのです。

しかし背後にあるのは、外貨保有の急速な落ち込みに急ブレーキをかけてきた当局が、最も効果的な方法とはメディアに突出する中国の有名企業の海外への送金をばっさりと制御し、当局が取り調べの本気度をしめすための「見せしめ」に利用したのではないか、と思います。>(以上)

7/27日経朝刊にも関連記事が載っています。中国、5社標的の深謀 海外M&Aで急成長締め付け 指導部人事巡り闘争のあおり? 

中国当局が海外M&A(合併・買収)で急成長してきた大手企業への締め付けを強めている。経営トップが身柄を拘束され、買収案件の調査も相次ぐ。標的となった5つの大企業の創業者は共産党幹部の子弟との人脈が取り沙汰される。締め付けは金融安定を狙った資金流出規制の一環とされるが、今秋の最高指導部人事を巡る闘争のあおりとの見方も広がる。

金融の安定狙う

「我々と一緒に来てください」。6月9日夜、中国保険大手、安邦保険集団董事長の呉小暉が当局に身柄を拘束された。翌朝、監督官庁の中国保険監督管理委員会(保監会)の幹部が北京の安邦本社に姿を現し資料押収を始めた。当局が海外企業の「爆買い」で急成長した5社を標的にした取り締まりの始まりだった。

中国メディアによると5社とは安邦に加え、復星集団、大連万達集団、海航集団、浙江羅森内里投資。創業者の大半は中国建国に功績があった幹部の子弟である「紅二代」らに近いとされる。紅二代の影響力を背景に金融機関などから巨額の資金を調達し、買収を重ねた。「金融の安定を揺るがしかねない高リスクの融資や資本流出を止めなければ」。危機感を持つ当局がついに動いた。

安邦の呉は副首相などを歴任した陳毅の息子と親しく、鄧小平の孫娘とも結婚していたことで知られる。自動車リースから身を起こし2004年に安邦を設立。総資産額は2兆元(約33兆円)規模にのぼる。

14年の米名門ホテル、ウォルドーフ・アストリア・ニューヨークの買収発表で世界的に知名度が上がった。海外での買収・出資額は直近までで160億ドル(約1兆8千億円)。その6割は内外の大手金融機関からの融資で、買収企業の資産を担保に新たな融資を受けていた。「買収承認などで安邦を優遇してきた」(業界幹部)という保監会主席の項俊波が今年4月に解任され、潮目が変わった。

北海道の「星野リゾートトマム」などを買収した復星は、総資産は5千億元規模だが、負債比率は70%超という。董事長の郭広昌は元国家主席の江沢民を筆頭とする「上海閥」と近いとされる。

「長老」封じ込め

「調査の裏には北戴河会議で長老の発言権を封じ込める狙いがある」。地方政府幹部は声を潜める。北戴河会議とは毎夏に北京近郊の避暑地、北戴河で党長老と現指導部が重要事項を話し合う場だ。今秋の党大会では最高指導部の大幅な入れ替えがある。国家主席の習近平が権力固めのため、対抗勢力に圧力をかけているという見立てだ。

不動産大手の大連万達の董事長、王健林は軍出身の中国一の富豪だ。不動産取引などで「軍や政府の幹部に利益が出るよう配慮した」(関係者)との声がある。海外買収に2千億元以上を投じてきたが、当局の調査開始直後にホテルの大半を売却すると発表した。

イタリアの有名サッカーチーム「ACミラン」を買収した浙江羅森内里も調査対象となった。締め付けも相まって中国企業の対外投資は急減。今年1~6月の対外直接投資は前年同期比45.8%減の481億ドルだった。

今後の注目は海航だ。董事局主席の陳峰は航空会社の運営から買収を重ね、資産規模1兆2千億元の複合企業に育てた。

陳は、腐敗撲滅を担う党中央規律検査委員会書記、王岐山の「老朋友(古い友人)」だ。王が1980年代に中国農村信托投資のトップを務めていた際の部下だった。

今春、米国逃亡中の中国人政商が王の親族と海航の癒着を暴露。一方、陳は7月初めのドイツでの20カ国・地域(G20)首脳会議の晩さん会に習夫妻と参加し、結びつきの深さをうかがわせた。

五大企業の調査は権力闘争の色彩を帯びる。だが経営破綻や解体に追い込まれれば内外の金融機関は痛手を負い、中国の信用リスクにも影響を及ぼしかねない。

=敬称略 (北京=多部田俊輔)>(以上)

記事

7月19日、王健林(写真左)率いる大連万達が、孫宏斌率いる融創中国へ娯楽事業を売却、北京で調印式を行った。政商たちそれぞれの思惑や如何に(写真:ロイター/アフロ)

党大会が秋に控える中、習近平の権力闘争が激化している。だが振り回されるのは、何も政治家だけとは限らない。政権とは近づきながら、政治とは距離を置いてきた“政商”たちの周辺もざわざわしている。いったい何が起きているのか。

権力闘争の視点では腑に落ちない

中国の“政商”とは一般に、政権や力のある政治家に近づき情報や便宜を得る代わりに、政治家や共産党に富、上納金をもたらす資本家、企業家のことだ。彼らは、いち早く政策情報を取得したり株式市場の動きを予測することで、ビジネスチャンスをものにしたり、リスクを回避するための手を打ったりすることができる。

ただし米国の軍産コングロマリットなどと違って、彼らは政治を自らの都合のために動かそうとしたり、政治に介入しようとしたりはほとんどしない。政権には近いが政治には無関心。そして、この政治への無関心が、ときに政策の無視にもつながる。

新たな規制が打ち出されるという情報を、いち早く得ると、その規制に従うのではなく、その規制の網を抜ける対策を立てる。それでも、自分の“親分”である有力政治家にたっぷり上納金を納めれば、見逃してもらえたのだ。なので、企業家の失脚というのは、おおむね彼らがすり寄った政治家の失脚と連動する。政治家同士の権力闘争に、企業家、資本家が巻き込まれるのである。

賢い企業家、資本家たちは、風見鶏のように政治の風向きに忠実で、比較的軽々と“親分”を乗り換える。こうした風向きが読めなかったり、義理を優先したりしてしまうと、生き残れないのが政商である。企業家、資本家が失脚すると、まずその背後の政治家、パトロンが誰なのか、どういう権力闘争において犠牲になったのか、というのを調べるのがいわゆる中国屋の視点である。ところが、習近平政権の昨今の“政商いじめ”は、どうも、こうした権力闘争の視点だけでは、腑に落ちない部分がある。

例えば、王健林である。中国トップ三本の指に必ず入るほどの大富豪でもある大連万達集団の創始者にしてCEO。彼の“親分”はもともと大連市の書記であった薄熙来だった。彼は、鼻が利くので、薄熙来が失脚する前に、薄熙来と喧嘩別れしていた。そして、革命軍人の血統を利用して、太子党(革命参加者の子弟、ファミリー)に人脈を広げ、賈慶林、王兆国ら江沢民派とも、劉延東や温家宝ファミリーの共青団派とも、ビジネス、利権関係を築いていた。当然、習近平の姉夫婦にも近づき、株式の譲渡を通じて蓄財させてやった。最近は、王健林は習近平ファミリーの「ホワイト・グローブ」、つまり蓄財のためのマネーロンダリングや資金移譲を手伝うグレーゾーンの仕事を行う、習近平派の政商ともっぱらみなされていた。

その王健林の足元がこの夏、揺らいでいる。

国内総資産を投げ売り、慈善事業に出資

王健林は7月になって国内のホテル、不動産など国内総産資産の8~9割を投げ売りしたうえ、貴州省に貧困農村に計15億元の貧困救済プロジェクト基金を設立するなどの思いついたような“慈善事業”への取り組みを発表した。貴州省は習近平の弟分、陳敏爾がこの間まで書記をやっていた地方であったので、習近平へのおもねりと解釈されている。

ほぼ同時期、ブルームバーグ、財経などの報道を総合すれば、中国当局は万達に対する融資を銀行に禁止するなど懲罰を開始したもようだ。理由は万達の海外投資などいくつかの案件について規則違反があった、という。党大会前に負債率を削減し金融リスクを圧縮するために、資産を売り払えという圧力があったのではないか、という見方もある。こういう話が流れてくると、貴州の貧困プロジェクトが禊になるのか、果たして、彼の失脚が確定していくのか、万達関連株に虎の子を投じてきた株民たちは気が気ではなかろう。

万達集団については、6月中旬、国家銀行監督管理委員会から「対外投資の勢いが比較的激しく、銀行間のエクスポージャー(出資金や貸付金がリスクにさらされる度合い)が比較的大きい」として調査対象になっていた。この直後、万達集団傘下の企業が6月22日に、ネットで流れた「大手銀行が万達関連の社債売却命令を当局から受けた」という“噂”がきっかけで株価が10%暴落したこともあった。つい一年前まで「打倒ディズニー」を公言し、ハリウッドを買い占める勢いであった王健林が、急激に勢いを失った。国内のソフトパワー強化戦略もハリウッド買収も習近平の好みにあった戦略だと思われていただけに、彼が寵愛を失ったのは、どういうわけなのか、といぶかしがられた。

7月21日に王健林自身が「国家の呼びかけに従い、我々は主な投資を国内に向ける」と中国メディアにコメントしていたが、発言を額面通りに受け取れば、過剰な海外投資が、キャピタルフライトを食い止めようと必死であった習近平政権の方針に背いていると受け取られ、“懲罰”を受けての反省の弁ととれる。

しかしながら、これまでの暗黙のルールであれば、“政商”ならば、他の企業家が許されない行いも、見逃されてきた。政商は、政治には口を出さないが、政治家は資本家たちの金儲けに口を出さないのだった。自分たちにキックバック、賄賂さえしっかり入れば。おそらくは、王健林自身も今年になるまでは、自分は習近平政権から特別扱いされるのだと思い込んでいたのではないだろうか。

ここで、万達のホテル・不動産資産を格安で取得できた融創中国のCEO、孫宏斌が何者であるか、という話になる。孫宏斌は動画大手企業・楽視の会長の座を、創業者・賈躍亭から奪ったことでも話題になった。これは楽視の経営難を、孫宏斌がホワイトナイトとして救済した、と報じられていたが、その中身をよくみれば、乗っ取りというか、王朝の交替である。

賈躍亭はもともと、習近平に失脚させられた令計画と密接な関係を持つ政商であり、習近平のスキャンダルを握ったまま米国に逃亡したとされる令計画の弟・令完成が運営するPE企業からも投資を受けていたと聞く。このことから、胡錦涛政権下のネット戦略の主軸企業の一つと見られていた。令計画失脚後、楽視株が習近平派にかなり暴力的な方法で買い集められていたことは、それなりの筋から聞き及んでいる。この賈躍亭の行く末は、皆がかたずをのんで見守っていたが結局、孫宏斌によって楽視から追い出され、楽視の血液は完全に入れ替えられた。

譲った? 逃亡準備? 先手?

こうしてみると孫宏斌は習近平の寵愛を受け、王健林は寵愛を失った、という風にもみえるが、興味深いのは、この融創中国に万達はホテル不動産76軒、遊園地13個を632億元で売却したのだが、その資金の大半を万達が銀行から融資を受けた金を、融創に融通したのだった。

この背景について、様々な見方が飛び交っている。一つの見方は王健林は習近平から見放されて、圧力をかけられて資産の8割以上を、習近平の新たな政商・孫宏斌に譲った、というもの。あるいは、自分が失脚させられると身の危険を感じた王健林は、できるだけ自分の資産を早く処分して、経済犯罪の証拠を隠滅しようとした、あるいは、逃亡の準備をしている、という見方。

だがこれとは別に、王健林は、その広い人脈によって、習近平が党大会以降に打ち出そうとしている経済戦略の情報を得ており、先手を打って対策を立てている、という見方もある。すなわち、党大会以降、不動産資産が大幅に値下がりしたり、ホテル・映画・エンタメなど娯楽業界が打撃を受けるような政策が打ち出されると王健林は見越して、その損害を減らすために、孫宏斌に協力を仰いだのではないか、と。楽視の新会長に収まった孫宏斌にしてみれば、ワンダの映画館ブランドは利用価値があり、映像エンタメ業界の先輩である万達に運営・宣伝・戦略についてサポートが得られれば、大いに助かる。

党大会後に不動産バブル崩壊がくるのではないか、という噂は、北京不動産業界の雄、潘石屹率いるSOHO中国が6月までの3年間に、不動産資産の大半を処分していることからも、ささやかれるようになった。総額は236億元はくだらない。もはや不動産業の時代ではない、というのが潘石屹の言い分で、今後は「AIの時代であり、そういう時代に不動産は値上がりしない」と証券日報に語っているが、本当にそれが理由なら、彼らは何か根拠になる情報を得ているのかもしれない。

ところで、王健林だけでなく、もう少し政商界隈を俯瞰すると、習近平というのは、どうも従来の“政商”の在り方自体を変えたいようにも見える。

タブーを覆し、アンタッチャブルを拘束

今年の出来事を振り返ってみると、明天系の大富豪、蕭建華の香港における失踪事件がある。

北京五輪プロジェクトでは暗躍した盤古投資の創始者であった“闇の政商”こと郭文貴が、米国に逃亡したあと今年に入って海南航空集団(海航)と習近平政権の反腐敗キャンペーンの陣頭指揮を執っていた王岐山ファミリーとの癒着を暴露して以降、海航も不合理な海外投資を理由とした銀行の調査対象になっている。海航集団の創始者にして会長の陳峰は、7月、習近平のドイツ行きに随行した唯一の中国企業代表。海航がドイツ銀行の最大株主だからだろうが、習近平政権にとって利用価値のあるお気に入りの政商の一人であることも間違いあるまい。それでも調査対象にされているわけだ。

同じ理由で医薬品大手の復星国際集団、小売流通大手の浙江羅森内里も調査対象にされている。復星のCEOである郭広昌は上海のゴッドファーザーの異名をもつ上海閥に近い政商で、これまで江沢民派の庇護を受けていたが、習近平の初訪米に随行した企業家でもあり、習近平との関係も悪くない、はずだった。汚職の噂は絶えず、実際、何度も“失踪”(非公式に当局の取り調べを受けている)しているのだが、その都度切り抜けてきている。浙江羅森は今年4月、イタリアサッカーチームのACミランが買収。サッカー好きの習近平の意向かと思いきや、その情報が習近平の耳に入ったとき、習近平は机をたたいて激怒したとか。

一方、鄧小平ファミリーの威光を利用して、中国二位の保険企業となった安邦保険集団CEOの呉小暉が不正な海外買収を理由に失脚し身柄拘束された。呉小暉は鄧小平の孫娘婿に当たる。紅色企業家と呼ばれる建国に貢献した革命家たちの子孫資本家たちは、不正な融資を受けようが、無茶な投資を行おうが、アンタッチャブル、誰も文句が言えない雲の上の存在だったが、そのタブーを習近平政権は覆した。

こうした出来事を並べていくと、権力闘争と思われるものもあるが、権力闘争の文脈だけでは読み解けない。王健林も陳峰も郭広昌も、習近平に腹を見せておもねっていた忠実な政商たちで、彼らへの懲罰的な圧力の本質は、ひょっとすると、純粋に共産党員にあるまじき、金儲けの仕方や資金洗浄、資金移譲が許せないということかもしれない。習近平は大手民営企業の海外投資を指して「投資家たちが、こんな方法で資金洗浄をしているとはけしからん」と怒っているとか。これが本当ならば、習近平が政商たちに求めるのは、金銭的利益のキックバックではなく、共産党員らしさ、党の方針、指導に忠実であることかもしれない。

とすると、今はイケイケ、ドンドンで海外投資展開をみせているアリババの馬雲やテンセントの馬化騰も、いつ厳しい圧力や懲罰にさらされるともわからない。

“経済音痴の経済統制”の行く先は

しかし、共産党員らしい資本家、ってなんだろうか。そこの時点で大いなる矛盾がある。鄧小平時代以降は、この矛盾をうやむやにする賄賂という潤滑油が利用され、資本家を党員に組み入れてきた。資本家は党員であることを利用してよりよく金儲けできた。だが、反腐敗キャンペーンを掲げる習近平政権は、資本家である党員に贅沢禁止を言い渡し、党のために尽くすように求める。

つまり習近平政権が目指すものは、実のところ経済の発展ではなく、経済のコントロール強化であり、習近平を核心とする党、つまり習近平自身が、金融市場から一企業の海外M&Aに至るまで従えたいということだ。しかも習近平自身は相当な経済音痴といわれている。そういう方向性が党大会以降も、より強化されていくとしたら、中国経済の先行きは相当暗いのではないか。

上半期は、政府の交通インフラ投資など財政出動の影響もあってGDPは通年目標の6.5%を越えているが、この数字も党大会前の経済の安定を演出するためのものだとすれば、秋以降につけが回ってくるかもしれない。党大会後の不動産バブル崩壊説は噂では済まないかもしれないし、資本家たちが国内資産を整理して中国から逃げ出したいと考えるのも無理はないかもしれない。

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『習近平が内外に見せる強権支配はいずれ「しっぺ返し」を受ける』(7/25ダイヤモンドオンライン 真壁昭夫)について

7/26宮崎正弘氏メルマガ<ベネズエラに続いてパキスタンのデフォルトが近い>

http://melma.com/backnumber_45206_6561180/

7/25ロイター<中国が西沙諸島に映画館開設、領有の既成事実化狙い>

http://jp.reuters.com/article/china-southchinasea-entertainment-idJPKBN1AA0WS

7/24日経<ベトナム、南シナ海ガス田掘削中止と報道 「中国が圧力」>

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM24H3A_U7A720C1FF2000/

7/24ロイター<中国、南シナ海の「安定維持」望む=外相>

https://jp.reuters.com/article/china-southchina-sea-idJPKBN1A910J

中国はトランプがロシアゲートでモタモタしている間に南シナ海の内海化を進めようとしています。下院はロシア外交に対する大統領権限を制約する法案を通しました。7/26日経<米下院、対ロ制裁強化法案を可決 大統領権限を制限>と。米国は真の敵が誰かが分かっていないのでは。中国が北を使って米国に牙を向かせているというのに。早く中国銀行に制裁を課すべきです。でないとASEAN諸国は中国に從わざるを得なくなるでしょう。中国の世界制覇の第一歩となります。後から気付いても遅いです。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGT26H0Y_W7A720C1EAF000/

7/26日経電子版米国から「習近平・王岐山連合」を狙う刺客  編集委員 中沢克二 

中沢克二(なかざわ・かつじ) 1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞

今、中国のビジネスマンらが親しい仲間と集って一杯飲む場で、決まってヒソヒソ話のネタになる二大テーマがある。一つは米国にいる中国の大富豪、郭文貴。ツイッターやYouTube(ユーチューブ)を通じて日々、最高指導部メンバー、王岐山の家族に深刻な腐敗があると主張し続けている。もう一つは、先に中国で空前の高視聴率をたたき出した連続テレビドラマ「人民の名の下に(人民的名義)」だ。

後者は「反腐敗運動」を進める共産党の正義を宣伝するという、一見するとお堅い官製の勧善懲悪ドラマである。だが、中身はそれにとどまらない。

たとえば企業と癒着した悪役である某省の公安庁(警察)トップは、口封じの殺人に手を染める。自分を捜査する検察特捜チームの責任者を偶然の交通事故に見せかけて殺そうと謀るが、最後は銃を自ら口に突っ込んで自殺に追い込まれてしまう。

■「殺人」や冷蔵庫の札束…官製ドラマが空前の視聴率

別の汚職にまみれた小役人は、秘密の部屋の冷蔵庫の中に大量の人民元の札束を隠し持っていたが、発覚すると「怖くて1元たりとも使っていないんだ」と泣き崩れる。共産党のお墨付きを得て、驚くべき汚職の実態をリアルに描写した大胆さが大いに受けた。

米国から王岐山氏を攻撃し続ける富豪の郭文貴氏(4月30日、ニューヨーク)=ロイター

ドラマには郭文貴とも取引関係にあった中国の富豪、肖建華が失踪した香港の「フォーシーズンズホテル」をもじったエピソードも登場した。香港の架空ホテル「スリーシーズンズホテル(三季酒店)」で、中国国家級指導者の息子が悪事の謀議をするのだ。ドラマではあるが、現実と同時進行だった。

ちまたで話題の二大テーマの共通点は、国家主席の習近平が進めた汚職撲滅の表と裏の話題であることだ。反腐敗ドラマには、秋の共産党大会人事を前に習近平の5年間の政治的業績を国民に宣伝するという意味があった。だからこそ共産党の権威を失墜させかねない、どぎつい腐敗の実態を描写することも特別に許可したのだ。

その習近平の業績宣伝に、米国から水をかけたのが郭文貴だ。北京五輪の頃、不動産などで巨万の富を築いた彼は、関与する北京大学の関連企業の腐敗問題をきっかけに海外に脱出した。民主運動家でもない中国の富豪が海外から顔出しで最高指導部メンバーに絡む腐敗を告発するというのは、かつてない動きだった。

郭文貴は、新進気鋭の中国の航空会社、海南航空に絡む王岐山の妻一族の問題を取り上げて、耳目を集めた。最近は、ドイツも巻き込まれている。メガバンクのドイツ銀行と、その大株主になった海南航空グループの資金問題に関する発言である。

一連の大騒動は、中国内の権力闘争が先鋭化している証拠でもある。もはや、かつての暗闘ではなく、一般人の目にも裏の死闘の一端が触れ始めた。しかも今回は、米国から巨大な火の手が上がり、交流サイト(SNS)などを通じて、情報を遮断するはずの中国内にも浸透した、「劇場型」の闘いである。

たとえば日本で首相や閣僚らに重大な疑惑が浮上すれば、国会の衆参予算委員会で野党が証拠を示しながら繰り返し追及し、マスメディアも検証・報道する。そんな民主的システムがない中国では、思わぬところから指導部攻撃の火の手が上がり、噂が噂を呼んで、波紋が広がっていく。

ちなみに郭文貴は、重慶市トップを解任され、重大な規律違反の疑いで調査を受けていると正式に発表された孫政才を「素晴らしい政治家」と持ち上げていた。2人は共に山東省の出身だ。習近平の後継者レースのトップ集団にいた孫政才は今、郭文貴が攻撃する王岐山の指揮下にある党中央規律検査委員会の調査を受けている。

中国政府お墨付きの反腐敗ドラマでは、汚職に手を染めた某市の副市長が米国に逃亡するが、結局は密航請負組織の蛇頭(スネークヘッド)の監視下で、食堂の皿洗いに身を落とす。最後はアフリカの鉱山に逃亡し、悪役の国家級指導者の息子が雇った敏腕スナイパーに銃殺されるという派手な結末が待っている。

中国政府はドラマのストーリーよろしく、郭文貴を“極悪人”として追い詰めようとする。郭が生出演した米政府運営の公共放送「ボイス・オブ・アメリカ」の番組は、局上層部の指示により途中で打ち切りとなった。言論の自由を揺るがす前代未聞のスキャンダルは「中国政府の圧力」がちらつく。

中国外務省は、国際刑事警察機構(ICPO)が郭文貴に「国際指名手配書(赤色)」を出したと、あえて明かした。ちなみにICPOトップの総裁には中国公安部副部長だった中国人が就いている。

■「マール・ア・ラーゴ」から王岐山氏を攻撃

習近平国家主席(左)に話しかける王岐山政治局常務委員(2016年3月、北京の人民大会堂)

それでも、当の郭文貴本人は、米大統領トランプが持つフロリダの別荘「マール・ア・ラーゴ」のコンドミニアムに陣取るなど、派手に暮らしている。米政府が中国の要求に沿って郭を引き渡す兆しもない。中国政府が追う悪人が皿洗いに身を落とすという、ドラマのストーリーとは正反対の皮肉な展開だ。

権力闘争を巡って注目すべきなのは、習近平の盟友、王岐山に矛先を絞るという戦術だ。王岐山の妻の親族が海南航空に絡んで巨利を貪っていると指摘し、習側の指示を受けて、その疑惑を秘密裏に調べたという。

これは、秋の最高指導部人事で王岐山を「68歳引退」の内規を破って続投させるかどうかを巡って、激しい論争があるという構図を浮き彫りにした。「仮に習主席が望んだとしても、党内からは激しい反対の声があがる」(内情を知る関係者)。反腐敗運動で痛手を受けたライバル勢力や長老らが、その出所だ。

12年に習指導部が発足した後、令計画(前国家主席の胡錦濤の元側近、無期懲役で服役中)ら、有力者の失脚が相次いでいる。その「闇の政局」の舞台裏に関して郭文貴が発する言葉も目を引く。

たとえば「令計画の息子が死亡した高級車フェラーリの大破事故を巡る真相」と称する内容。令計画が隠蔽を図ったフェラーリ事故の処理は、5年前の最高指導部人事の結末を決めた重大な出来事だった。郭文貴は自らを「令計画の息子の事故を発生段階から知っていた数少ない人物の一人」と語る。

北京の書店には、ベストセラーになった反腐敗ドラマ「人民の名の下に」の原作本が積まれている

かつて郭文貴は、スパイ摘発などを担う中国国家安全部の人脈に属していた。郭と関係の深い国家安全部元副部長の馬建は、すでに拘束され、テレビ画面を通じて“自白”もした。彼は国家安全部を仕切った元最高指導部メンバー、周永康(無期懲役で服役中)につながる人物だ。

郭文貴が秘密の一部を知っていた可能性もある。ただし、最近の“暴露話”に関する真偽は確認できない。背後にいるであろう勢力の全容も見えにくい。官製の反腐敗ドラマは完結するまで、最後に失脚する巨悪の国家級指導者の実際の顔が一切表れなかった。たしかに孫政才は消えたが、米国から発信する大騒動の裏にいるとみられる超大物の顔は、ようとしてうかがい知れない。ここでもドラマと現実が重なる。

とはいえ、飛ぶ鳥を落とす勢いの「習近平・王岐山連合」にくさびを打ち込もうとする思惑だけは透けて見える。つまり「離間の計」だ。

危険な郭文貴をどう扱うかは、習指導部にとって非常に難しい問題だ。だから中国メディアも、この問題を正面から取り上げなかった。しかし、状況は7月10日に一変した。国営テレビ、国営通信など主要メディアが郭の違法な情報取得などを大々的に取り上げ、反撃に出たのだ。

■王岐山氏の去就が人事の起点

中国の公式報道には王岐山の名前が登場しないので、郭が追及する問題の核心は見えてこない。そこが「一体、何が起きているのか」と、かえって庶民の関心を引いている。ある意味で、郭の戦略は成功しているのだ。目立てば目立つほど、米国内で自らの安全を確保しやすい。勇気ある告発をしたために虐げられている“政治犯”という地位を固める好機である。

郭の暴露話は、実際に最高指導部の人事に影響を与えるのだろうか。現時点では、習近平と王岐山は固い絆で結ばれている。前週紹介したように、王岐山は重慶のトップだった孫政才の失脚と、習側近である陳敏爾の抜てきに大きな役割を果たした。

とはいえ、習近平が王岐山を最高指導部メンバーに残すには、なお越えなければならないハードルが存在する。「68歳引退」の内規を破るためには、誰もが納得する口実が必要だ。いずれにせよ、王岐山の去就は次期最高指導部人事の枠組みを決める出発点となる。(敬称略)>(以上)

習近平と王岐山には任志強との絡みで不仲説もありましたが、1年以上たっても、王岐山の地位は安泰なので噂に過ぎなかったのでしょう。そうなるとやはり秋の人事で、王岐山の処遇に関しウオッチすれば、習の権力基盤の安定度が見て取れると思います。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/218009/032700037/

真壁氏の記事で、習が毛沢東以上の権力奪取を狙っているという見方は正しいです。毛は中国大陸だけに革命は留めましたが、習は近隣国への野望を隠し立てしていません。宇宙戦争や海洋進出を見ていますと、正しく米国の覇権に挑戦し、世界を赤く染めようとしているのに気づくはずです。世界は中国の野望を押し留めるために、経済制裁と金融制裁と両方で封じ込めるべきです。

記事

Photo:AP/アフロ

例によって中国では、秋の共産党大会を控え、権力闘争が熾烈を極めている。2期目の政権運営を狙う習近平国家主席は、政治ライバルへの取り締まりを強め、主要ポストに自分の息のかかった人物を据える一方、対立する大物政治家を追い落とす姿勢を明確にしている。

権力闘争とは恐ろしいものだ。そうした中国の闘争を見ていると、日本という自由で平和な国に生まれてよかったとつくづく思う。

既に習近平は“中国建国の父”である毛沢東をも上回る権力を手に入れ、終生、中国を支配していこうとさえ見える。今後、同氏は財政出動を中心に国内経済の安定を図り、支持率の一層の上昇を図ることだろう。

一方、対外的には中国の力の外交を推し進めることになるはずだ。中国は、近隣諸国にとっては実に付き合いにくい国になってしまった。ただ、中国の南シナ海での強権的な政策は明らかに間違っている。長い目で見ると、中国が永久にアジアの中心として君臨することは考え難い。いずれかの段階で、現在の強権的な政策に対する”しっぺ返し”を受けることになるはずだ。

熾烈な権力闘争 重慶市トップ拘束の衝撃

習氏は2012年の総書記就任以来、綱紀粛正を掲げ、政治的ライバルの“摘発”を行ってきた。これまでは、江沢民元国家主席や胡錦濤前国家主席らに近いとされる人物が、現役を退いた後に摘発されることが多かった。

ただ今回は事情が違う。重慶市トップの座を解任された孫政才氏は、現職の政治局委員だ。重慶市は共産党の直轄都市であり、発展の象徴である国家中心都市に指定されている。そのトップは25人からなる政治局委員が就任することと決められている。

中枢都市トップの更迭と身柄拘束の報道は、習氏が従来の共産党の運営方針を根本から書き換え、自らを中心とする支配体制の整備に力を入れ始めたことの表れかもしれない。それは、習氏の権力を、これまでになく高い次元に昇華させることを目指した動きといえる。

今後、習氏の息のかかった人物がその後継者候補に挙がるなど、国家主席を中心とした支配体制が強化されていく可能性は高い。習氏が権力闘争を民衆の目に見える形で進め、その支配力の強大さを誇示する展開も考えられる。

中国共産党に詳しい専門家によると、孫氏の解任を受けて、共産党内部にはこれまで以上に習氏に対する畏怖が広がっているようだ。地方の党大会では、中央委員や、その候補にも挙がっていない末端の党員が、地方トップなどの要職に抜擢された。“御恩と奉公”さながらに、習氏は序列の低い党員の登用を進め、求心力と支配力を強化している。

“紅二代”(建国に貢献した共産党や軍幹部の子)への取り締まりも始まった。従来、紅二代は綱紀粛正の対象とはならないとの見方が多かった。しかし、保険会社のトップを務めていた紅二代の一人が摘発された。それに加えて、現職の政治局委員の身柄が拘束されたことも踏まえると、習氏は、自らに忠誠を誓わない者は排除する意思を、明確に、中国全土に示したといえる。

昨年10月の6中全会において、習国家主席は中国共産党の核心に位置付けられた。足元では国営通信社が習氏を軍の“最高統帥”と報じてもいる。突き詰めて考えると、習氏は、終生、中国の支配者であることを目指し始めたようにさえ見える。そこには毛沢東に並び、それを超える力を手に入れようとする野望があるように見える。

支持率上昇を狙う 習政権の財政政策出動

習氏は党の核心である自らを中心に、中国共産党=国家の意思決定を行い、シルクロード経済ベルト(一帯)、21世紀海上シルクロード(一路)を通して、その影響力をアジア、アフリカ、欧州地域にまで及ぼしていこうとしている。中国は長期的な国家プロジェクトとして、自国を中心とするヒト・モノ・カネの流れを整備し、海外の需要を取り込むことを狙っているのである。

「一帯一路」構想の下、中国は鉄鋼などの過剰生産能力をアジアなどの各国に輸出するとともに、人民元の流通範囲を拡大させようとしてきた。東南アジア各国に加え、中国はカザフスタン、モンゴルなどとも通貨スワップ協定を結び、一部ではその期間を延長している。すでに1月には、浙江省の義烏(イーウー)と英ロンドンを結ぶ直通の貨物列車の運行が始まった。

問題は、目先の経済をどう支えるかだ。国内では、過剰生産能力の解消が進まず、不動産バブルへの懸念も高まっている。すでに、民間セクターの債務残高はGDPの200%を超えた。これは、1980年代後半から1990年代にかけてのわが国に匹敵する。わが国の過去の事例を見れば明らかなとおり、バブル崩壊後には不良債権処理とバランスシート調整が不可避だ。

中国はその痛みを恐れ、インフラ投資を増やすことで、経済成長率を人為的に支えている。今後、不動産投資の減少などによって景気の減速懸念が高まった場合には、一段の財政措置が取られるだろう。習氏が支配基盤を強化するためにも、国内の経済が低迷し、民衆の不満が高まる展開は避けなければならない。当面、中国経済が財政政策頼みの展開となる可能性は高まっている。

この状況が続く間、中国経済の需給のミスマッチは放置される可能性が高い。今は収まっているが、将来的に、中国からの資本流出が増える可能性も排除できない。その場合、人民元には下落圧力がかかるだろう。

経済への懸念が高まれば共産党政府は財政出動を増やし、景気支援に注力するだろう。それが一時的な経済の安定にはつながるだろう。問題は、市場が債務リスクや資本の流出圧力に耐えられなくなったとき、世界経済に無視できない影響が発生する恐れがあることだ。

長期的には 中国の強権主義は明らかな誤り

政治・経済に関する不安はあるが、世界第2位の経済規模を誇る中国の動向は無視できない。昨年半ば以降、中国の財政出動は半導体や資源の需要を高め、韓国、台湾などの景気が回復してきた。それに従い、わが国の景気も上向いてきた。

長い目で見れば、近隣諸国に対する強権主義は大きな間違いだ。中国経済が上昇を続け、勢いを保っている間は近隣諸国も表立っては中国との対立関係を明確にしたくはないだろう。しかし、中国経済に陰りが見え始めれば、近隣諸国の態度は変わる可能性が高い。蹂躙された感覚は、いずれ憎しみに変わるかもしれない。そうなったとき、中国は、現在の誤った政策のツケを払うことになるはずだ。

ただ、現在の中国経済には無視できない勢いがある。その意味では、近隣諸国は中国と距離を置くのではなく、うまく付き合うことを考えているはずだ。わが国も、中期的な展望を持って大人の対応をすればよい。

具体的には、全て中国に迎合するのではなく、持続性や公正さを重視しつつアジア経済の発展に関する議論を進めればよい。それと同時に、各国の主権を脅かす中国の動きに対しては毅然とした態度を示す必要がある。

6月、安倍政権は一帯一路に対する慎重姿勢を改め、そのポテンシャルを評価し始めた。この変節を懸念する専門家もいる。しかし、中国との関係が冷え込むと、わが国がアジア・極東地域で孤立するリスクが高まる。北朝鮮問題への対応なども考えると、中国と冷静に対話できるだけの関係を持つことは国益に適うだろう。

昨今のアジア経済を見ても、習国家主席が推し進める一帯一路は、経済面では一定の成果を収め始めている。同時に外交面では海洋進出による領海侵犯など、国際司法の判断に反する問題も多い。そうした懸念からアジア各国には、TPP11などの経済連携に関する議論を進め中国からの影響を回避したい、との潜在的な考えがあるはずだ。

米国が自国第一の政治を重視する今、わが国は一帯一路や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)など、中国が主導する経済プロジェクトに関わっていくべきだ。それによって、アジア各国などの不安をくみ取り、信頼関係を強化することができるはずだ。

それは、わが国を中心とする経済連携を議論するためにも欠かせないと考える。わが国は貿易、投資や競争などに関するルールの統一を公正な観点で進め、アジア経済の連携を強化すべきだ。その中で、わが国の主張に賛同する国には、積極的にインフラ支援などを行えばよい。

こうした取り組みを進めることが、親日国の獲得につながる。親日国が増えれば、国際社会における発言力も増すだろう。わが国は経済連携などの是は是、海洋進出や保護主義などの非は非と、是々非々の立場を明確にし、公正な経済連携の議論に中国を巻き込んでいくべきだ。口で言うほど容易ではないが、それがアジア各国からの信頼獲得や、欧州各国との関係強化にもつながるはずだ。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

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『世界のスーパースターたちの「汚染」が次々と明るみに 米司法省の捜査が佳境に入ったマレーシアの1MDB横領事件』(7/21JBプレス 末永恵)、『中国の「高速鉄道外交」、中止や延期が相次ぐ』(7/22Money Voice)について

マレーシアのナジブ首相は賄賂問題で反米のマハテイールに糾弾されていました。ナジブ首相はマハテイールの陰謀と主張していたようですが。米国は賄賂の有無より反米のマハテイールでない方に肩入れし、15年にはTPP交渉のため、その時点では追及しなかったようです。

http://www.ide.go.jp/Japanese/Research/Region/Asia/Radar/201507_nakamura_1.html

http://sp.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160601-OYT8T50000.html?page_no=1

米国司法省が米国の芸能人相手に本件を問題にし出したのは、トランプ政権発足が影響しているのかも。ハリウッドは民主党支持者が圧倒的に多いし、デイカプリオのように環境保護で一儲けを企む者もいるでしょう。ヒラリー自体が国の情報を外国に売り、クリントン財団に寄付させていたわけですから。米国も弱体化する訳です。グローバリストは金儲けの為には悪魔とも手を組むし、共産主義者とも手を組みます。ただ、トランプ政権もスパイサー報道官が辞任したりでガタガタの様子。これでは北や中国にぶつかれる訳はありません。上下両議員はロシアとの関係改善を大統領の手から奪おうとしています。グローバリストに騙され、真の敵が見えてないと思われます。第二次大戦で日本を敵にしたのと同じです。

7/24日経電子版米大統領報道官、対ロ制裁強化「政権は支持」 

【ワシントン=共同】米共和、民主両党が一部修正で合意したロシアに対する制裁強化法案について、サンダース大統領報道官は23日、ABCテレビのインタビューで「政権は法案を支持する」と表明した。制裁強化はトランプ大統領が模索する対ロ関係改善の障害になりかねないため、トランプ氏が拒否権を発動するかどうかが注目されていた。

ただ、ホワイトハウスの広報部長に起用されたスカラムチ氏は23日、CNNテレビのインタビューで「大統領は法案に署名するかまだ決めていない」と述べ、サンダース氏と食い違う説明をした。ワシントン・ポスト紙は「混乱を招くメッセージ」として、政権内の意思統一が不十分であることを批判した。

法案はウクライナ情勢や昨年の米大統領選への干渉を受けた対ロシア制裁の徹底を政府に促し、制裁の緩和や解除には議会の審査が必要と定めて大統領の権限を制限した。サンダース氏は「制裁を含め、ロシアへの厳しい対応を支持する」と表明した。

一方、スカラムチ氏はロシアが選挙干渉を行ったかどうかについてトランプ氏が最近「やったかもしれないし、やっていないかもしれない」とスカラムチ氏に語ったと明らかにし、トランプ氏はロシアが関与したと断定した米情報機関の分析を受け入れていないとの見解を示した。

サンダース氏は前任のスパイサー氏が21日に辞任したのに伴い、副報道官から昇格した。AP通信によると、スカラムチ氏は8月15日に正式に広報部長に就任する。>(以上)

7/23日経電子版対ロ制裁 米与野党合意 大統領の権限制限、トランプ氏反発も 

【ワシントン=共同】米上下両院で多数派の共和、少数派の民主両党の指導部は、既に上院を通過しているロシアに対する制裁強化法案について一部修正した上で合意した。複数の米メディアが22日報じた。法案は制裁の緩和や解除には議会の審査を必要とすると定め、トランプ大統領の権限を大きく制限する内容。対ロ関係の改善を目指すトランプ氏は、重要法案で初めて拒否権を発動するかどうかの難しい選択を迫られる。

法案は下院の採決を経て夏季休会前の月内にもホワイトハウスに回される可能性があるという。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、複数の政権高官は、ロシアゲート疑惑の捜査進展で苦しい立場のトランプ氏が拒否権発動に踏み切ることは想像しがたいとの見方を示した。

法案は6月中旬、賛成多数で上院を通過したが、制裁の緩和、解除時の議会審査のあり方などを巡り調整が難航。制裁強化の影響を受ける米エネルギー関連企業も難色を示していた。上院で通過した法案はロシアのほか、イランに対する制裁強化も盛り込まれていたが、今回合意した修正案には既に下院が可決した北朝鮮への制裁強化法案も統合された。フォームの始まり

>(以上)

中国政府がマレーシアの鉄道事業に許可を出さなかったとしたら、余程外貨が逼迫していると思われます。ナジブは親中派のイメージがあり、日本が鉄道事業に協力したとしても、中国の嫌がらせで方針変更されるかもしれません。契約時に破棄する場合の懲罰的損害賠償請求可として契約額の3倍を明記しておいた方が良いと思います。

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/11/post-6203_1.php

Money Voiceの記事も中国の鉄道事業が頓挫している内容の紹介です。「一帯一路」もうまく行っていないという事です。折角のチャンスなので日本も主体的に動けばよいと思いますが、メデイアは加計問題というでっち上げ事件で執拗に政府を攻め立てて、チャンスもモノにできない、北と言う脅威に対応できないようにしています。左翼は北の核ミサイルで日本の人口が激減し、歴史あるものを破壊したくてしようがないのでしょう。

7/23日経電子版の記事では内閣支持率39%に続落 「政権におごり」65% 本社世論調査

日本経済新聞社とテレビ東京による21~23日の世論調査で、安倍晋三内閣の支持率は39%となり、6月の前回調査から10ポイント下がった。不支持率は10ポイント上がって、2012年12月の第2次安倍政権発足以降で最高の52%となり、支持率と逆転した。

学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画や、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題が影響したとみられる。第2次政権以降のこれまでの内閣支持率の最低は安全保障関連法が衆院を通過した15年7月の38%。安倍政権が安保法以来の厳しい局面に入ったことを示す。内閣支持率の前月からの下落幅は、15年6~7月の9ポイントを上回って最大だった。

第2次安倍政権が発足してからすでに4年半以上が経過しており、政権に「おごりがある」とする回答は65%に上った。「おごりがあるとは思わない」は25%だった。

政党支持率は自民党が35%と前回から5ポイント下がった。民進党は2ポイント低下の6%で、民進党が発足した昨年3月以降では最低となった。無党派層は41%と9ポイント上昇した。

調査は日経リサーチが21~23日に全国の18歳以上の男女に携帯電話も含めて乱数番号(RDD方式)による電話で実施。1069件の回答を得た。回答率は48.6%。

>(以上)

敵の憲法改正阻止が奏功している気がします。国会で発議ができても国民投票で国民が賛成に回らないようにするためです。まあ、TVと新聞だけしか見てないとこうなる結果は見えていましたが。日経の読者は仕事が忙しく、ネットで情報を取る暇もないのでしょう。「洗脳」=「Manchurian candidate」がピッタリ当て嵌まります。もっとincredulousにならないと。

JBプレス記事

中国の資産購入ラッシュが続くマレーシア。中国政府の狙いは2つ。まずは、1MDBが手がけるマレーシア最大級の再開発事業「バンダー・マレーシア」の整備地区に開通するマレーシアとシンガポール間の高速鉄道受注への布石を打つこと。もう1つは、米中間の緊張が走る南シナ海紛争でのマレーシアからの支持獲得。1MDBで130億ドル(約1兆5000億円)の巨額の負債を抱え、リンギットの貨幣価値が下がる中、ナジブ政権に貸しを作り、中国支援の拡大を企む(中国中鉄=CREC=が参画のクアラルンプール市内の再開発地、筆者撮影)

スーパーモデル、ミランダ・カーさん(34歳)は、前夫の俳優、オーランド・ブルームさんが熱心な創価学会インターナショナル(SGI)の会員だったことで、当初、自身も創価学会に入信。そんな日本との縁もあり、日本の各企業とCM契約を結ぶなど、日本でも特に人気がある世界のセレブとして知られる。

その彼女が世界のメディアを賑わしている。

5月に、携帯アプリ「スナップチャット」のCEO(最高経営責任者)で総資産50億ドル(約5600億円)、“世界で最年少の億万長者”といわれるエヴァン・スピーゲルさん(26歳)と再婚し話題をさらっただけでなく、6月末には、米司法省に810万ドル(約9億円)相当の宝石を返還したことが明らかになったからだ。

ジョー・ロー氏から贈られた億単位のジュエリー

同宝石は、マレーシアの政府系投資会社「1MDB」の不正流用資金絡みで現在、米国をはじめ、英国、スイス、イタリア、ルクセンブルク、アラブ首長国連邦、オーストラリア、シンガポール、香港、タイなど世界10カ国で、不正疑惑の中心人物として捜査対象となり、刑事訴追がささやかれるマレーシア人の若き大富豪、ジョー・ロー氏(34歳)から贈られたもの。

2014年から1年間ほどミランダさんの恋人だった同氏が彼女にプレゼントした宝石は、ピンクダイヤモンドのペンダント(480万ドル=約5億3800万円)やハート型のダイヤモンドのネックレス(180万ドル=約2億100万円)などで、億単位の超豪華なジュエリーばかり。

いずれも1MDBの公金から不正に購入された疑いが強く、ミランダさんが米当局に引き渡したというわけだ。

1MDB不正流用・横領事件は、日本のメディアで初めて、約2年半前の2015年3月と4月、JBPressの本コラムで報道した「消えた23億ドル~マレーシア政府系投資会社の巨額不正疑惑(1)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43250(2)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43277(3)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43331」(日本貿易振興機構=ジェトロ=の経済産業省所管、国のシンクタンク「アジア経済研究所」が調査論文で参考文献として引用=http://www.ide.go.jp/Japanese/Research/Region/Asia/Radar/201507_nakamura_2.html)に関連するもので、スイスでは同事件に関わった取引銀行(BSI)がすでに刑事訴追を受けている。

日本のメディアは当時、報道していなかったが、ここ2年間で米司法省の捜査が進み、今回、世界のセレブ、ミランダさんが巻き込まれたこともあり、米国のメディアが一斉に報道。「週刊新潮」(7月13日号。筆者の解説記事掲載=https://www.dailyshincho.jp/article/2017/07170559/?all=1)など日本のメディアも詳細を暴露するなど、ここにきて日本でも関心が高まっている。

そもそも今回のミランダさんの宝石返還は、6月15日に米司法省が起こした民事訴訟で明らかになったもの(参考=https://www.justice.gov/opa/pr/us-seeks-recover-approximately-540-million-obtained-corruption-involving-malaysian-sovereign)。

米司法省は、「1MDB」に関する不正流用疑惑で、米ロサンゼルスの連邦地裁に、約5億4000万ドル(約600億円)の資産差し押さえを申し立てた。

本コラムでも報道した昨年7月の提訴(参照=http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47506 )と合わせ(136ページに及ぶ訴状=参照1=https://www.justice.gov/archives/opa/page/file/877166/download、参照2=https://www.youtube.com/watch?v=_gBNuJCGezY&app=desktop)、1MDB関連の資産の差し押さえ請求額はこれで、合計約17億ドル(約1900億円)にも上った。

今回、米司法省はさらに膨大な251ページの訴状(参照=https://www.justice.gov/opa/press-release/file/973671/download)の中で、45億ドル(約5000億円)以上の資金が、1MDBの幹部などによって横領され、巨額な宝飾品や不動産、さらには世界的に著名なピカソの絵画などが“爆買い”されたと告発。

泥棒政治による米国史上最大の横領事件

「不正流用された資金をマネーロンダリングするため企てられた国際的な陰謀」と厳しく糾弾。この一連の事件が「泥棒政冶(盗賊政冶)による米国史上最大の横領摘発事件」と名指しで、マレーシアのナジブ・ラザク政権を批判。

さらに、同首相が不正資金を流用、“影の最高権力者”でマレーシアのイメルダ夫人と揶揄される大浪費家、ロスマ夫人(参照=http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44463)が、ミランダさんの9億円をはるかに超える約30億円のピンクダイヤモンドのネックレスを受理していたと指摘。

今回、国際的な刑事訴追が噂れる1MDBの投資ブローカー(1MDBの資金運用責任者)のジョー・ロー氏が贈答品を贈っていたのは、ロスマ夫人やミランダだけではない。

ハリウッド映画「タイタニック」の主演で国際的俳優のレオナルド・ディカプリオさんも、前回の訴状では「ハリウッド映画俳優1」と記されていたが、今回の訴状では実名で告発された。

米司法省での記者会見でも言及された上述のピカソの絵画は、ミランダさんより事前に、ディカプリオ氏が司法省に返還したもの(330万ドル相当)。

訴状によると、ジョー・ロー氏は偽名、「エリック・タン」という名前で、ディカプリオ氏にプレゼントしていた。さらに、司法省が同氏に返還を命じた中には、マーロン・ブランドのオスカー像(60万ドル相当)のお宝をはじめ、バスキアのコラージュ(900万ドル相当)やアーバスの写真(80万ドル相当)が含まれるというから、驚きだ。

1MDBの不正資金で設立、運用されていた映画会社「レッド・グラナイト・ピクチャーズ」製作の米アカデミー賞候補、ディカプリオ主演作「ウルフ・オブ・ウォールストリート」の権利差し押さえも敢行されたが、ディカプリオ氏の“容疑”は、完全に晴れたわけではない。

それは同映画会社の創設者でマレーシアのナジブ首相の義理の息子、アジズ氏(ロスマ夫人の連れ子)やジョー・ロー氏との密接な関係だ。

訴状では、2012年に3人がラスベガスで1週間のカジノ豪遊をするために1100万ドル(約13億円)が1MDBからロー氏の個人口座に振り込まれ、1日に115万ドル(約1億3000万円)が浪費されたことがあったという。

数百万円の高級シャンパンを贈呈

さらに、環境保護団体のディカプリオ財団への寄付の名目で数百万円もの高額なシャンパンが贈呈されたり、南アフリカのワールドカップサッカーに招待されたりと、ディカプリオ氏を巡る疑惑は枚挙に暇がない。

最も特筆すべきは、いまだディカプリオ氏の広報担当も明確にしていない米司法省に差し押さえられたアカデミー賞候補作「ウルフ・オブ・ウォールストリート」の出演料2500万ドル(約28億円)の返還についてだ。

映画会社の設立、運営資金だけでなく、同会社の100%出資で製作された同映画への出演料。自ら返還し、潔白を晴らした方が今後の俳優人生にも“汚名”を着されずにすむだろうに・・・。

しかし、すでに、暗雲は立ち込めている。

トヨタ自動車の「プリウス」や「レクサスLS」などのエコカーを早くから保有し、アカデミー賞授賞式にはベントレーやベンツで来場するハリウッドスターと一線を画し、プリウスで登場。環境活動家としても知られていたディカプリオ氏の“影”の部分が、1MDBの事件がきっかけで暴露され始めた。

自ら代表を務める環境保護団体「レオナルド・ディカプリオ財団」(https://www.leonardodicaprio.org/)の不透明な資金の運用が明らかになってきた。

同団体は、非営利組織(NPO)でなく、寄付顧問基金(DAF)で、米国では、法的には支出と収入の公開義務はない。しかし、環境活動の慈善事業を実施する組織としている手前、チャリティの運営資金、経費、収益の実態を明らかにする“社会的責任”があると、批判する環境関連団体が出てきた。

その1つが、今回の事件の震源地、マレーシアの熱帯雨林の保護・保全活動を行う環境慈善団体、「ブルーノ・マンサー基金」だ。ディカプリオ氏に、下記の公開状を送った。

同団体は、ディカプリオ氏とアジズ氏およびローとの親密な関係が、熱帯雨林の破壊につながっていると指摘。政治腐敗が深刻なマレーシアでは、賄賂と引き換えに、政府が森を伐採しているからだ。

米大統領選にも影響を及ぼす

「ディカプリオは、世界の環境保全を訴えてきたのに、賄賂と引き換えに森の伐採に“加担”している。不正流用資金で受理した映画のギャラは、我々の税金。我々と使命を同じにするなら、腐敗したお金を受理するのは、恥ずべきことで返還するべき!」と痛烈に批判している。

さらに、ディカプリオ氏の“腐敗疑惑”は、外交や米大統領選にも影響を及ぼしている。

ドナルド・トランプ政権が離脱し、国際問題となっているパリ協定の署名式に熱心な環境問題活動家として招かれ出席したディカプリオ氏。彼のプレゼンスは、各国の政治的な格好の“広告塔”としての役割を担っただけに、国際社会にも大きな影を落とそうとしている。

また、昨年の米大統領選では、ヒラリー・クリントン氏の資金集めのパーティがディカプリオ氏の自宅で開かれるはずだったが、直前になって、著名な歌手のジャスティン・ティンバーレイク氏の自宅に変更されるというハプニングが起きた。

通常は考えられないことだが、「1MDBの事件が、ディカプリオ財団と関与していれば、クリントン氏にとって不利な材料となる可能性があったから」(米政冶アナリスト)という見方が有力だ。

ハリウッドでは、ディカプリオ氏に次ぎ、ミランダさん、「次は自分の番かと」、びくびくしているスターもいるだろう。

ヒルトンホテル創業者の孫、パリス・ヒルトンさんをはじめ、女優のリンジー・ローハンさん、さらには、歌手のアリーシャ・キーさん・・・。驚愕の公金不正流用事件が揺さぶる、米映画界や芸能界を巻き込んだ“余震”は計り知れない。

また、余震は米国だけではない。2年半前の本コラムでも解説(参照=http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43250)したが、1MDBの事件は、日本が受注を目指す2026年開業予定のマレーシアのクアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道の建設計画にも大きな影を落とす。

クアラルンプールの高速鉄道駅は、1MDBが手がける再開発プロジェクト「バンダー・マレーシア」で整備予定の地区に建設されるからだ。同計画は高級住宅街やオフィス街が立ち並ぶマレーシア最大級の再開発事業。

日本が受注目指す高速鉄道事業にも影響

1MDBがもともと同建設予定の土地を所有していたが、2015年末時点で、1兆5000億円以上(マレーシアの国家予算の約20%、GDPの約5%に相当)の負債を抱えていたところ、中国の国有鉄道建設「中国中鉄」などの企業グループが、2015年12月、約74億リンギ(約2000億円)で1MDBの負債と不動産の60%を、肩代わりすることで一旦合意。

中国は、再開発事業に投資することで高速鉄道受注を有利に展開させようと狙っていたと見られたが、今年5月になって突然、交渉は不調に終わり、ナジブ首相は再びスポンサーを募ることを発表。

マレーシア政府は計画が白紙となった原因は、中国中鉄側が支払い義務を履行しなかったこととしているが、「中国政府が中国中鉄に投資の許可を出さなかったため。中国政府は昨今、資本規制を厳重にしており、特に地政学的に利益が得られないと見る事業には慎重になっている」(中国の投資アナリスト)という。

2国間にまたがる高速鉄道は、日中の企業が激しい受注競争を展開しているが、開発全体が遅れることは必至で、日本が受注を目指す高速鉄道計画のスケジュールにも影響する。

高速鉄道の入札を、マレーシアとシンガポールは今年の10月から12月、運行も2026年としているが、遅延になる可能性が高い。

中国が狙っていたのは、そもそも、「事業費約2兆円」ともいわれる高速鉄道事業だったが、1MDBの負債処理の行方が不透明になったことで、「これまで中国が優勢だった高速鉄道受注戦も、日本が勝ちに行く希望が出てきた」(マレーシアの企業投資家)とする見方もある。

マレーシアを震源地とする「米国史上最大の泥棒政冶(盗賊政冶)による横領摘発事件」の“余震”は、まだまだ世界を揺るがすだけでなく、日本が切望する高速鉄道の行方をも左右する事態となっている――。

Money Voice記事

最新の調査で、中国政府の主導する「一帯一路」経済圏構想のインフラ計画の一環である高速鉄道の輸出戦略は、キャンセルが相次いでいることが明らかになった。理由は収益計画の不透明さや現地の経済状況にあわないためだと伝えられている。  英フィナンシャル・タイムスと米シンクタンク国際問題研究センター(CSIS)によると、世界18カ所で約束された中国資本の鉄道建設計画は、総価値1,430億ドル(約14兆円)に達する。うち1件が竣工済み、5件が建設中、12件は計画中だ。  同紙の推計によると、中止されたミャンマー、リビア、アメリカ、メキシコ、ベネズエラでの5件の建設計画の価値は475憶ドル(4.7兆円)に上る。これは、現在建設中の5件の合計249億ドル(約2.4兆円)のおよそ2倍になる。  また、計画中の12件に含まれるインドネシア、セルビア、ラオスなどの3件では、現地の電力配給能力に合わないとして、中止される可能性があると指摘した。  さらに、中止の要因は、中国側の「鉄道外交」に対する不信感との見方がある。2014年、メキシコの中止の決定について、同国のエスパルサ通信運輸大臣は「合法性、透明性を欠く」と述べた。  なぜ、キャンセルされながらも、鉄道外交は推進されているのか。背景には、中国共産党政権による独自の「政商結託」の問題がある。中国政府との強い繋がりと保証を受けられる国営企業は、リスクを顧みず、借金を積みあげて、はばからずに損失を重ねている。計画が成功すれば、共産党や国営企業の幹部の昇進に繋がる。  国有鉄道と高速鉄道プロジェクトを管理する中国鉄道公社は、3.8兆元(約50兆円)の負債を抱えており、ギリシャの政治債務残高をはるかに上回る。同紙が伝える関係者の話では、中国の高速鉄道2万2000キロの多くが、赤字稼働だという。  台湾政治大学経済学教授・荘奕キ氏は大紀元の取材に対し、発展途上国を広大なインフラ計画で貫く「一帯一路」構想のリスクの多さを指摘する。高速鉄道は数百キロと非常に長く、地形の複雑さもあり、運用コストに見合っていないとしている。荘氏は「人口が多い地域でも経済水準は低く、市場規模や購買力も小さく、実質の利益はほとんどない」とみている。  さらに、現地の経済事情に合わない高速鉄道計画を受け入れた国の多くは、中国からの援助や多額の融資を抱えており、中国経済への依存がますます強くなると警告している。 (翻訳編集・佐渡道世)【ニュース提供・大紀元】

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『東アジアで中国海軍と米海軍の力が逆転する日 明確な海軍戦略を描く中国、かつての栄光にすがる米国』(7/20JBプレス 北村淳)、『消えた中国包囲網。日本はこのまま「一帯一路」の野望に飲み込まれるのか?』(7/23Money Voice斎藤満)について

中国の軍拡は止まるところを知りません。専制国家で市民の監視もなければ、予算の制約もないから好き勝手できる訳です。でも、これは米ソ冷戦のアナロジーが適用できるのでは。SDIをレーガンが提唱、ソ連が無理にそれに合わせようとしたため、軍事費が国家予算の40%も占めるようになって米国に降参したわけです。中国のGDPはいい加減な数字で、437兆円以下と上念司氏は言っていますが、世界銀行は11.2兆$(=1840兆円)と言っています。上念氏の数字とは4倍も離れています。

中国とソ連の大きな違いは、西側と東側とが対立して、交易が少なかったことが挙げられます。ソ連は共産国家の盟主として、自分達の陣営での貿易をしていましたから豊かになれませんでした。翻って中国は、自由主義国家の米国がソ連に対抗するため後押ししたため、低賃金での生産物を輸出することにより、WTO加盟以降、急激に経済成長しました。

http://alterfree.blog.fc2.com/blog-entry-34.html

中国の軍拡の息の根を止めるためには、ソ連同様、経済を崩壊させることです。金融制裁して$を使えなくして、人民元だけで取り引きさせるようにすれば良いでしょう。世界の銀行は米国と取引していますので、中国と人民元で取引している銀行の情報も米国はキャッチできると思っています?人民元のSDR入りはそうした思惑があったのでは?

「一帯一路」は中国の滞貨一掃処分と軍事侵攻の道の開拓にあります。関係国は目先の欲得で判断すると後々痛い目に遭います。安倍首相も「一帯一路」に条件付き協力を表明しましたが、中国の透明度や公平性が上がるはずもなく、高いバーを設定した、単なるリップサービスと見るべきでしょう。金融制裁を課せば間違いなく中国経済は死に体になります。戦争を仕掛けて来るかも知れませんが、その時は海上封鎖で石油が入らなくすれば良いでしょう。ロシアがどう動くかですが。

北朝鮮の潜水艦が日本海を潜航したとの記事がありました。SLBMの発射訓練かどうか知りませんが、朝鮮半島から7分で日本にミサイルが着くのであれば、潜水艦から撃つ必要はないので、米国へ向けてでしょう。でも、日本のP3-Cも北朝鮮の領海内(22.2Km)には入れませんが、公海での監視活動はできる筈です。活動範囲を広げる必要があります。そのためには防衛予算増と人員の確保が前提となります。

7/21日経<北朝鮮潜水艦が日本海航行 米報道、異例の動きに警戒 

 

【ワシントン=共同】米CNNテレビは20日、北朝鮮の「ロメオ級潜水艦」(1800トン)が48時間連続で、本国から約100キロ離れた日本海で活動していると報じた。北朝鮮の潜水艦がこれほど離れた海域を航行するのは異例で、米韓両軍は警戒を強めている。複数の米国防当局者の話としている。

CNNによると、ロメオ級はディーゼル式で全長65メートル。米軍はこの潜水艦が母港から遠く離れた海域で航行する能力はないとみていた。沿岸地域で行う典型的な訓練活動とは異なるといい、米軍が偵察衛星から監視を続けている。

北朝鮮のロメオ級は旧式潜水艦で、弾道ミサイルの発射能力は備えていない。>(以上)

また、米海軍は空母ジェラルド・フォードを就役させたとのこと。中国が海軍力を増強する前に、北を片づけ、次には中国を片づけなくては手遅れになります。目先だけでなく、将来のことも併せて考えなければ。

http://www.sankei.com/world/news/170722/wor1707220028-n1.html

北村記事

今年だけでも既に2隻が誕生した中国海軍の054A型フリゲート

トランプ大統領は「強いアメリカの再現」のシンボルの1つとして、大統領選挙中から一貫して大海軍再建を標榜し、国防予算、とりわけ海軍関連予算の大増額計画を打ち出している。

しかしながら、トランプ政権発足後半年を経過した現在まで、大海軍再建の司令塔となるべき海軍長官(海軍と海兵隊の最高責任者でシビリアンのポスト)人事が決定していない(これまでは代理海軍長官としてシーン・スタックリー氏が代行してきた)。トランプ大統領は6月初旬に元投資会社役員のリチャード・スペンサー氏を海軍長官候補に指名し、あと数週間以内には上院で指名認可がなされる見込みとなっている。だが、大海軍再建計画が順調に滑り出すまでにはまだまだ時間がかかる状況と言わざるを得ない。

順調に進んでいる中国の大海軍建設

一方、中国においても、「中国の国益を保護するための大海軍建設」が喧伝されている。共産党独裁国家である中国では、党が打ち出した「大海軍建設」はアメリカと異なり極めて順調に進んでおり、今後も加速度的に海軍力が強化されていくものと思われる。

ちなみに、2017年上半期に誕生した中国海軍艦(小型艇を除く)は以下の10隻である(表)。

2017年の上半期に誕生した中国海軍艦(小型艇を除く)

2016年に大小取り混ぜて30隻ほどの艦艇を誕生させた中国海軍の戦力強化は、少なくとも数の上では目覚ましいものがあるとアメリカ海軍側も認めている。

新鋭艦艇の質に関しては「見かけ倒しではないか」「恐るるに足りない」といった評価を下している海軍首脳も少なからず存在する。だがそれに対して、「確実な情報がない以上、そのように楽観視しているととんでもないことになりかねない」「アメリカも含めて世界中から最先端技術を取り込んでいることを忘れてはならない」と警戒を促す人々も少なくない。

いずれにせよ、対中戦略を専門とする海軍関係者たちは、「敵を過大評価して恐れおののくのは慎むべきではあるが、敵を過小評価するのはさらに良くない姿勢である」との基本姿勢を尊重している。

中国国産の001A型航空母艦

海軍戦略達成のために強化される海軍戦力

人民解放軍は昨年より抜本的再編成を進めている。中国国営メディア(人民日報、環球時報)によると、その一環として陸軍人員数の大幅削減を実施するという。また、海軍、ロケット軍(かつての第二砲兵部隊)、そして新設された戦略支援部隊の人員数は、今後それぞれ大幅に増強するという。空軍は現状維持とされている。

人民解放軍再編成の方針に基づき海軍力増強が推進されていくことは間違いないものと思われる。実際に、2017年上半期だけでも上記のように多数の軍艦が誕生している。

そもそも、中国海軍が近代的海軍(海上自衛隊など西側海軍と肩を並べるような海軍)となりうるきっかけとなったのは、1980年代に鄧小平軍事委員会主席の片腕として活躍した海軍司令員(海軍のトップ)、劉華清が打ち出した防衛戦略である。

毛沢東時代の中国の防衛戦略は、基本的には敵勢力を中国大陸内部に引き込み、ゲリラ戦も交えつつ殲滅していくというものであった。それは自然と陸軍が中心となる戦略であった。当時はアメリカの核恫喝に自力で抵抗するため核搭載大陸間弾道ミサイルの開発運用にも多大な資源が投入された。そのため、海軍や空軍を充実させることは後回しにされ、鄧小平によって国防改革が開始された当初は、中国海軍は沿岸警備隊(それも時代遅れの)に毛が生えた程度の極めて貧弱な海軍に過ぎなかった。

このような状況に対して劉華清は、「鄧小平による経済発展策の根幹となる幅広い交易活動を支えるには強力な海軍戦力が必要である」と力説した。そして、劉華清が打ち出したのが、「近海積極防衛戦略」と呼ばれる海軍戦略であった。

すなわち、日本列島から台湾、フィリピン諸島、そしてカリマンタン島(ボルネオ島)を経てシンガポールに至る、いわゆる第1列島線内の東シナ海や南シナ海に進攻してきた敵(=アメリカ海軍や海上自衛隊をはじめとするアメリカ側海軍)を、それら海域のできるだけ遠方で撃破し、中国沿岸域には敵を寄せ付けない──そして、いずれは第1列島線に接近させないようにする、という戦略である。

「積極防衛戦略」の“積極”というのは、「島嶼や海岸線を防衛するには、待ち受けるのでなく、こちらから出撃しできるだけ遠方洋上で敵を迎え撃たねばならない」という海洋国家防衛の伝統的鉄則を意味している。そこで、その戦略を実施できるだけの実力を持った海軍を建設することが急務となり、1980年代後半から近代海軍建設に努力が傾注されたのである。

海軍建設には少なくとも四半世紀はかかると言われているが、21世紀に入ると中国海軍は近代海軍の呈を成し始め、2010年を過ぎるといよいよ強力な海軍として世界中の海軍から一目置かれる存在になってきた。

そして、昨年から正式に推し進められている人民解放軍の再編成と平行して、海軍戦略も「近海積極防衛戦略」からさらに歩みを進め、「外洋積極防衛戦略」とも表現しうる戦略へとバージョンアップされた。

中国国防当局はアメリカや日本を強く刺激することを避けるため、この戦略を単に「積極防衛戦略」と称している。だが、要するに敵を撃破する海域を東シナ海や南シナ海からさらに遠方の西太平洋へと拡大させた戦略ということになる。

海軍戦略を欠いているアメリカ

このように、中国の軍艦建造の目を見張るほどの勢いは、明確な海軍戦略を達成するために必要不可欠の動きということができる。

ところが、トランプ政権が打ち出している350隻海軍建設は「偉大なアメリカの再建」という政治的目標の道具の1つとはなり得るが、確固たる海軍戦略に基づいているわけではない。

そもそも、「近海積極防衛戦略」そして「(外洋)積極防衛戦略」といった具体的な海軍戦略を策定してきた中国軍とは異なって、アメリカ軍は「エアシーバトル」「マルチドメインバトル」といったコンセプトを打ち出してはいるが、いずれも戦略というレベルのものではない。

達成すべき海軍戦略を構築し、それに向かって海軍戦力増強にいそしむ中国。片や、確固たる戦略なしにかつての栄光を取り戻すために大海軍を再建することを標榜しているアメリカ。これでは、少なくとも東アジア海域における海軍力バランスが逆転する日が現実のものとなってしまったとしても不思議ではない。

斎藤記事

トランプ政権の親中路線はまやかしに過ぎません。日本政府や日本企業も、綺麗事ばかりの中国「一帯一路」構想の誘惑に負けないよう、冷静に判断すべき局面です。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる) 1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

中国の一帯一路構想に協力表明!? 日本政府はどこまで正気なのか

「中国包囲網」はどこへ消えた

米国にトランプ大統領が誕生して以来、日米の対中国戦略が揺れ動いているように見えます。

昨年の米大統領選挙キャンペーンでは対中国強硬論を唱えていたトランプ氏が、今では習近平国家主席を「大好き」と持ち上げ、これまでの強硬論がどこかへ消え去ったかのような印象です。これを受けて日本の対中国戦略も微妙に変化してきました。

安倍総理は第二次安倍政権誕生以来、今や中国こそ最大の脅威と位置づけ、「中国包囲網」を構築すべく、その周辺国を相次いで訪問してきました。

尖閣諸島の領有権を脅かす中国が、東シナ海から南シナ海へと、軍事力を伴った進出を進めているためで、これに対処するには日本としても東南アジアの関係国との連携が必要と考えたからです。

もちろん、これら関係国との連携にとどまらず、中国を取り巻く各国との関係改善を図り、軍事的にもいざという時に日本の味方をしてもらい、ともに中国に対峙する体制を構築する狙いがありました。

そのために、ロシアから中央アジア、インド、東南アジアを歴訪し、まさに日本の「友人」で中国を包囲する形を作ることに専心してきました。

このため、中国が進めるアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、周辺国のみならず欧州各国が参加するのをしり目に、日本は米国とともにこれに参画せず、中国とは距離を置く姿勢を鮮明にしていたのです。

安易に乗ると危ない「一帯一路」

ところが、トランプ政権が対中国戦略を軟化させ、AIIBへの参加を検討すると言い出し、AIIBと対をなす「現代版シルクロード建設」ともいうべき習主席の長期戦略「一帯一路」構想に米国も関心を持ち始めました。

そして今年5月に中国で開催された「一帯一路」構想に関する大規模な国際会議に、米国は代表チームを参加させ、日本も親中派の二階幹事長の他、安倍総理の名代を送りました。知らぬ間に、日米ともに中国の長期世界戦略に巻き込まれていく構図が鮮明となってきました。

そんな中で、日本の企業も、次第に習主席の「一帯一路」構想に関心を持つものが増えています。中国事情に詳しい人物やコンサルタントに、この「一帯一路」構想の内容、ビジネスの観点からの妙味について、質問が増えていると言います。

しかし、この中国の「一帯一路」構想は、中国の苦しい事情、矛盾もはらんでいるだけに、安易にこれに乗ろうとするのは危険なのです。

習近平主席の「野望」と「矛盾」

そこでまず、習主席が提唱する「一帯一路」構想をおさらいしておきましょう。

この構想、もとはと言えば、習主席が2013年9月に中央アジアを歴訪した際に提示した大規模経済開発構想が発端で、それが2015年になり、国家発展改革委員会が中心となって、「シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロードの共同建設推進のビジョンと行動」として交付されたものです。

その名からも伺えるように、陸路(一帯)と海路(一路)の両方から、現代版のシルクロードを建設し、その大規模なインフラ投資を通じて、中国や当該経路の地域の経済発展を促進し、完成後には中国とユーロッパとの結びつきを強める効果が期待され、いずれも習近平国家主席が歴史に名を遺す一大イベントと位置付けられます。

陸路(一帯)は中国蘇州から西に向かい、新疆から中央アジア、中東、トルコを経て、ドイツなどヨーロッパにつながります。そして海路(一路)は、中国の福州、広州からシンガポール、インド洋のスリランカ、紅海を経てサウジ、エジプト、そして地中海に入りギリシャ、イタリアのヴェネチアへとつながります。

その大規模な構想を可能にするには資金的、金融的な裏付けが必要となり、それを賄うのがAIIBということになります。

つまり、中国が一国で進めるには資金面でも限界があり、広く欧米やアジア周辺国の資金も導入する必要がありました。実物面での「一帯一路」構想と、資金金融面でのAIIBが、セットで進められることになるわけです。

これがアウトラインですが、そもそも習主席が進める最近の経済改革と、この「一帯一路」構想は相容れない面を持ち、さらに周辺国の資金事情や中国が抱える債務問題の深刻さを考えると、この「一対一路」がスムーズに進むのか、その実現には多くの疑問符がつきます。

ロスチャイルド資本が構想を後押しか

「一帯一路」構想は、発展途上国にとっては有効な経済政策ですが、発展段階の異なる地域での進め方を中国が指導できるのか疑問です。そもそも中国はこれまでの発展途上国型経済モデルから転換し、経済や産業の構造改革を進めようとしていたはずです。それを周辺の「途上地域」のために、自ら構造改革を差し置いて以前の成長モデルに戻るのは理解に苦しみます。

それでもあえてこれを進めようとしている裏には、簡単には進まない鉄鋼、石炭、セメントなどの過剰生産能力の削減問題があり、結果としてこれを積極的に「一帯一路」構想で活用して過剰生産能力問題を拡大均衡の中で吸収しようとしている面があります。また、新たな「人民元経済圏」の構築を目指している、との見方もあります。

西側からは中国版「マーシャル・プラン」ではないか、との批判もあります。戦後米国が欧州経済復興に支援の手を差しのべながら、欧州を取り込んでいった記憶が残っているようです。そして中国国内的には、これを契機に、習国家主席が独裁的指導力を高め、「現代の毛沢東」を目指そうとの意図がうかがえます。

さらに、トランプ大統領の背後で影響力を行使するロスチャイルド資本が、積極的に欧州と中国の橋渡しを進めるべく、この構想を後押ししているように見えます。中国だけのインタレストで動いているのでないとすれば、ますますその全貌を理解することが容易でなくなります。

習近平氏の野望はわからないではありませんが、残念ながらここまで金銭的な裏付けが進んでいません。AIIBへの出資も欧州勢が協力的でないために順調ではないようで、事務局は何とか日米の協力を取り込みたいようです。

だからこそトランプ大統領の「親中派」色を利用して今のうちに協力を取り付けたいとの思惑もあるようですが、簡単ではありません。計画の多くが資金面のネックから立ち往生する懸念があります。

トランプの中国接近の意味

この「一帯一路」構想は、その大きな野望とは裏腹に、具体的な計画、準備が進んでいないので、日本企業が慌てて参画しても計画が頓挫し、持ち出しだけで終わるリスクがあります。

それよりなにより、トランプ政権の「親中」路線がまやかしと思われます。そもそも、「黄禍論」のトランプ氏が、黄色人種の安倍総理や習近平主席を好きだということ自体、眉唾物です。

それはさておき、トランプ陣営の中国に対する基本姿勢は「米中冷戦」であって、決して中国にシンパシーを持ったわけではありません。

一見、親中派に転換したかに見えるのは表向きだけで、これは中国に北朝鮮の核ミサイル開発を抑止させるための「アメ」の面と、今後米国が習主席の下で中国と冷戦を進めることを前提に、まずは習主席に秋の共産党大会で絶対的地位を確保させたいがゆえの「協力」の面があります。

このうち、まず北朝鮮の管理は、裏で米国のネオコンやユダヤ系が入り込んで北朝鮮に影響力を行使している面があるだけに、中国の成果は期待しにくい面があります。

ある意味では北の核ミサイル開発を遅らせる「時間稼ぎ」の面があり、しばらくの間、北からイランに核やミサイルの提供がなされないようにする目的が考えられます。最後は「結果が出ない」ことを理由に、対中強硬論に戻る兆しはすでに見られます。

秋以降、トランプの「中国叩き」再開へ

また秋の中国共産党大会で習国家主席の地位が安泰となれば、トランプ氏の目的は達成されたことになり、そこからは遠慮なく中国叩きに戻り、冷戦体制の構築を進めることになります。ウィルバー・ロス商務長官などは、共産党大会が終わるのを待ちきれずに、早くも「米中包括経済対話」のなかで、中国に無理難題を突き付けています。

7月19日の第1回包括経済対話の冒頭で、ロス商務長官は中国の巨額の対米黒字を批判し、早急に米中関係を公正で公平、かつ相互的なものにするよう求め、中国が米国製品をより多く輸入する形での不均衡是正を進めたいとしました。

会議の中で、米国は中国に対して、鉄鋼などの過剰生産能力を解消しろと迫り、中国からの鉄鋼輸入に高率関税をかけると脅しをかけ、さらに中国金融サービスへの米国企業のアクセス、外国企業に対する中国企業への出資上限の引き上げ、撤廃などを迫ったようですが、中国はこれらに難色を示し、共同記者会見も声明文もまとめられないまま終わりました。

つまり、トランプ政権の「親中派」転換は見かけ上のもので、せいぜい一時的で、少なくとも秋の共産党大会後には、改めて対中国の強硬論が復活すると見られます。

その時には巨大な貿易不均衡を力ずくで是正し、市場開放、金融の自由化、国有銀行への出資、経営介入、南シナ海への進出牽制、韓国への「THAAD」配備など、改めて中国攻勢を強めることになるでしょう。

中国の「壮大な公共事業」に潜むリスク

このようにみると、日本企業が「一帯一路」に加わることにはいくつかのリスクがあります。

確かに日本市場は少子高齢化による先行き縮小懸念が強く、これを打破するために「一帯一路」構想に乗ってみたいという気持ちはわかります。壮大な公共事業とも言えるからです。

しかし、話はそう簡単ではなさそうです。

前述のように、「一帯一路」構想については、中国当局のコントロールがどこまで及ぶのか、計画は進めたものの、途中で事業が頓挫するリスクがあります。とりわけ資金面で行き詰まる懸念があります。途中で行き詰まっても、中国の商業慣行では、資金や資源の回収が簡単にできないケースが少なくありません。

また、米国の対中国姿勢の変化により、中国経済、新興国経済に打撃となる事態も予想せざるを得なくなります。

中国共産党大会が終われば、米国は遠慮なく利上げを進める可能性があり、人民元安が新たな資本流出を招く面があり、他の新興国にも同様の問題が及びます。その場合、欧州資本(ロスチャイルド)からの支援で収拾するのか、予断を許しません。

日本は「トランプの次の一手」を読み切れるか

日本政府の外交姿勢も微妙になります。米国追随の日本政府としてはトランプ政権に倣って中国と対峙する面はあるものの、トランプ政権の米国が、世界から遊離し孤立化する面があります。

その米国に追随していると、日本も一緒になって世界から遊離するリスクがあります。

米国が世界の警察機能を放棄し、暗に世界の多極化を促すのであれば、日本としても米国一辺倒ではなく、ロシアや欧州、中国とも外交網を広げる必要があり、トランプ大統領もこれを拒否しないと見られます。

問題は、日本の外交当局が米国の動きを正しく評価し、米国と距離を置きつつ、弾力的に中国やロシアと外交を展開できるかどうかでしょう。

政府も日本企業も、表向きの米中関係に振り回されず、綺麗事を並べた「一帯一路」の誘惑に負けないよう、冷静な判断が必要です。中国は日本マネーを取り込みたいのですが、安易に乗ると、これが不良債権になって回収不能となるリスクがあります。

中国が政治経済面でスーパー・パワー化することも、日本には大きなリスクです。美しいバラには棘があることをお忘れなく。

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『劉暁波の苦難は自業自得? 反体制派が冷笑を浴びる国』(7/16Newsweek ジェームズ・パーマー(フォーリン・ポリシー誌アジアエディター))、『中国当局、タブー破棄か 気功を「国民的スポーツに」』(7/21大紀元)、『美議員羅拉巴克:法輪功學員將世界從邪惡中拯救=米議員のローラバッカーは法輪功を学ぶものは世界を悪から救うと言った』(7/21大紀元新聞網)について

Newsweekの記事を見て、97年に語学留学した北京外国語大学の先生宅をお邪魔した時のことを思い出しました。ご主人は北京大学物理学の教授でしたが、政治の話は避けようと努力していました。自由に話せない暗い国と言う印象を行った早々持ちました。経済発展していても同じでしょう。「物言えば唇寒し秋の風」になることは明らかで、政府批判をネットで発言しても公安がすぐ調べに来る国です。日本の左翼人士に言いたい、日本から出て行って左翼の国に骨を埋めたらどうですかと。

http://www.thutmosev.com/archives/60683850.html

また中国語の授業で台湾人の先生から聞いた話では、今中国で、ネットで使えない言葉は「維尼熊」(=くまのプーさん)とのこと。習近平を揶揄しているからとの理由ですが、やっていることは北朝鮮と変わらないという事です。

http://www.sankei.com/world/news/170719/wor1707190032-n1.html

まあ、中国人というのはどこまで行っても拝金教が止まずと言う所で、体制に擦り寄り、金さえ儲けられれば良いと言ったところでしょう。でもいつ落馬するのかわからないし、逮捕状なしで拘引される国です。中国人も海外に出て行く機会が増えているのですから、相対化して見れば良いと思うのですが、中華思想が邪魔するのでしょう。また「国内の反体制運動は必ず「外国の勢力」と結び付いている」という表現が出てきますが、これは「和平演変」を指すと思われます。中国人的発想では、「自分は総て正しい、悪いのは他人」ですから。

大紀元の記事では法輪功と習近平が手を結び、江沢民派を追い落とそうとしているように見えます。宗教が政治に近づくと碌なことはありません。況してや習近平は侵略の野心を隠さないタイプです。世界の法輪功信者が中国の侵略の先兵ともなりかねません。キリスト教宣教師が植民地開拓の先兵になったように。要観察です。

大紀元新聞の記事では、大事な点だけを説明します。法輪功のワシントン議会前での集会のスローガンは「中共を解体し、迫害を終わらせ、江沢民を法の裁きに」、「二億7000万の中国民衆を支援し、中共関連組織から救い出そう」というもの、ローラバッカー議員(中国の臓器狩りを止めさせる運動の中心人物、国務長官候補にもなった共和党下院議員)の発言のポイントは次の通り。

「中共の今のような態度や価値観では、我々が彼らに譲歩し、このようにコントロールできない状況が続けば、最終的には戦争と混乱を招くだろう。明らかな点は、中共は共産主義を信奉しているのではなく、事実上の派閥政治をおこなって巨大な土地と人口を持つ国を統治している。この派閥政治が人民を攻撃、弾圧するやり方を続け、外交上も南シナ海のような攻撃的な行為が続くのであれば、我々は戦争に直面するだろう。これは我々にとって想像できる最も愚かな状況の一つである」と。悪の帝国、中共を打倒するように動いてほしいし、法輪功が中共を打倒し民主化できるのならそれも良しです。ただ、モンゴルやウイグル、チベットの独立も認めてほしいのですが。

Newsweek記事

体制に反抗しても太刀打ちできないなら、そういう世の中だと割り切ったほうが気楽なのか ZHANG PENG-LIGHTROCKET/GETTY IMAGES

<ニューズウィーク日本版7月25日号は「劉暁波死去 中国民主化の墓標」特集(2017年7月19日発売予定) 。重病のノーベル平和賞受賞者を死に追いやった共産党。劉暁波の死は中国民主化の終わりか、それとも――。この緊急特集から、中国社会の冷めた民衆心理に関する記事を転載する>

中国の民主活動家で作家の劉暁波(リウ・シアオポー)は、天安門事件の首謀者として投獄されたこともある。09年に懲役11年の判決を受けたときの「罪状」は、政治改革を要求する「08憲章」の中心的な起草者だったこと。彼は5月に末期癌と診断されて先月末に仮出所が認められ、今月13日に国内の病院で死去した。

ただし、中国の市民にとって、劉は英雄というわけではない。大半の中国人は名前を聞いたことがある程度で、全く知らない人もいる。知っている人も、私の経験では嫌悪感を隠さない。劉が危篤状態だと報じられていた頃、ある知人は、「タダで治療してもらえるのだから政府に感謝しろ!」とネットに投稿した。

中国の中流階級は、比較的リベラルな人々さえ、反体制派を軽蔑している。最初の反応は、何かしら非難する理由を見つけることだ。悪いのは被害者であって、彼らを逮捕し、拷問し、牢屋に入れる人々は悪くない。そういう社会なのだから、と。

そんな考え方に最初は衝撃を受けたが、次第に分かってきた。これは生き延びるための自己防衛であり、独裁主義に順応する1つの方法なのだ。

悪いことが起きるのは、本人に相応の理由があるはずだと、私たちは意識的にせよ無意識にせよ考えがちだ。公正な社会では全ての正義は報われ、全ての罪は罰せられるという、いわゆる「公正世界仮説」のためだ。祈りが足りないから癌になった、よく知らない街をうろうろしたからレイプされた、警察官にもっと敬意を表していればそんな扱いを受けなかったのに、といったものだ。

明らかに、そして恐ろしく不公正な世界を前にしたとき、人間は精神的な防衛機能として、世の中は公正だと思い込もうとする。自分がクモの糸で炎の上につり下げられていることに気付かないふりをして、他人の苦しみを正当化する理由を探し、自分は大丈夫だと根拠もなく安心したくなる。

しかも、中国の人々が本能的に見過ごしたくなる相手は、不公正な社会だけではない。不公正な政府という、より差し迫った恐怖がある。

公正世界仮説では、受け入れ難い現実に直面すると、精神的に許容できる物語に変えようとする。不公正をあからさまに否定するのではなく、肩をすくめて犠牲者のせいにする。社会の摂理にあらがっても仕方がない。嵐に向かって傘をさすようなものだ。

ほかの独裁国家と同じように、多くの中国人は、どんなときも権力が自分たちに対してすることに抵抗したくない。政府が市民を鎮圧するなら、犠牲者が悪い。どんな仕打ちを受けるのか分かっていたはずだ。戦おうと思うのが傲慢過ぎる。

「一線を越えるな」という教訓

従って中国政府は、劉のようにあからさまに体制を批判する人々については、話題にすることも比較的容認する。服役中の劉がノーベル平和賞を受賞したときも、政府の報道統制による1週間の沈黙を挟んで、中国メディアは一斉に受賞決定を非難した。

劉のような人物は、格好の教訓になる。一線を越えれば破滅する、それは自分の責任なのだ。一線を越えたらどうなるかは明白だが、問題は、不注意で越えてしまうまで危険なラインが分かりにくいことだ。

私の友人のおじは建設会社を経営していたが、ある入札で、素性も知らず競合した相手が実は、地元の役人とマフィアが関わる会社だった。彼は誘拐されて工事中のビルの屋上に連れて行かれ、両脚を切り落とされ、放置されて出血多量で死亡した。彼の兄は冤罪で逮捕された。

中国では、国家にとって不都合なタイミングで不都合な場所にいたというだけの理由で、市民はとてつもないダメージを被る。そのような行為は、政府にとって最も危険な不正なのだ。

市民が無関心から目覚めることができるとしたら、歯に衣着せぬ活動家ではなく、普通の犠牲者によって突き動かされたときだ。従って、当局とのありふれた衝突が悲劇に発展した事件の多くは、国内で報道が許されるのは一瞬だけ。事件直後に注目を集めた後は、 議論にさえできなくなる。

一方で、政治的糾弾のプロセスは大々的に宣伝される。例えば、中国政府は13年に、盛り上がり始めたオンライン社会を抑圧すると決めた。そして、中国版マイクロブログ新浪微博(シンランウェイボー)の有名ブロガーだった薜必群(シュエ・ビーチュン)が買春容疑で逮捕され、ブログで人々を扇動した「罪」を自白する姿がテレビの生放送でさらされた。

番組を見た後、知的でリベラルな中国人女性の同僚が私に言った。「彼は警告を受けていたはずよ」

気功集団の法輪功が弾圧を受け始めた頃も、最初は多くの市民が同情的だった。しかし、創設者や幹部が国との対立姿勢を強め、99年に大勢の信者が北京の役所を取り囲む事件が起きると、共感は消え去った。

中国には昔から、人間の運命は現在ではなく過去の罪によって決まるという考え方がある。劉はかつて、中国は「300年間の植民地支配」を経て、ようやく香港と同じくらい文明化されるだろうと書いた。アメリカの対テロ戦争に繰り返し支持を表明し、時には欧米の欠点にあえて目をつぶった。

中国の多くの知識人は、このような過去の言動を引き合いに出して彼を非難した。しかし、大胆な発言や純粋な姿勢が、なぜ長年の迫害と懲役を正当化する理由になるのかは、誰も説明しなかった。誰かを批判して、その口実が見つかれば、自分は安らかな気持ちでいられる。

劉や、人権活動家として知られる現代美術家の艾未未(アイ・ウェイウェイ)のような反体制派について中国の人々は、欧米での注目やカネを目当てに、欧米に擦り寄っていると捉えることが多い。

共産党機関紙の人民日報系のタブロイド紙である環球時報は、民主化運動は「賭けに負けた」と書いた。このような風潮は、国内の反体制運動は必ず「外国の勢力」と結び付いているという、政府の徹底したプロパガンダの成果でもある。

一方で、反体制派に対するこのような感情は、中国社会の皮肉な世界観で全てを片付けるすべでもある。社会制度に盾突く人は欧米のカネが目当てだと思っていれば、自分の日々の妥協と堕落を正当化できる。

80 年代に青年時代を過ごし、一度は理想主義を掲げた人々は、特にその傾向が強い。自分たちは妥協したのに、いつまでも頑固な奴らはどうしてできないのか。今は誰もが、少なくとも教育を受けて都会で専門職に就いている自分たちは、うまくやっているのに、というわけだ。

いつの日か劉が、より公正で、より良い、より優しい中国を目指した多くの殉教者の1人として、人々の記憶に刻まれてほしい。だが、それはかなり先の話だろう。今は多くの中国人が、彼の運命に肩をすくめている。あんなことをすればどうなるかなんて、分かっていたじゃないか、と。

大紀元記事

気功愛好者(LILLIAN SUWANRUMPHA/AFP/Getty Images)

中国最大のスポーツの祭典「全国運動会」(日本の国体に相当)に、「健身気功」が初めて競技種目に追加され、気功がふたたび国民的な習慣として定着する風向きがある。気功については、1999年に江沢民政権が「法輪功」を弾圧して以降、禁忌の話題として中国社会のなかで避けられてきた。この伝統的な鍛錬法に再びスポットがあたったのは、国策が転換する兆候ではないかの見方がある。

10日付き中国メディア・新浪網などによると、第13回全国運動会の一般部門コンテストは7月9日、天津濱海新区の大港スポーツセンターで開催され、健身気功を初めて新たな競技種目として追加した。

中国国家体育総局の健身気功管理センターのトップ・常健平主任は新浪網メディアの取材に対し、気功の「神秘性」については否定するものの、全国運動会の競技に追加されたことは「画期的意義を持つ」と強調し、「2020年までに愛好者数を1000万人に増やしたい」と述べた。

米政府系「ラジオフリーアジア(RFA)」は13日、気功が新種目として追加された中国当局の動きの背景には、法輪功への弾圧政策の終結を裏付けるものとの分析を示した。

中国政府系シンクタンクでも気功修煉の講座

今回、全国運動会の競技種目として追加される前から、これまでのタブーを破って、気功に注目が集まった出来事がある。今年6月10日、中国政府系シンクタンクの中国科学院の朱清時・院士が北京医薬大学で、気功修煉に関する講座を開いたことだ。

朱氏は『身体を通じて真気と気脈を観察する』と題した講座のなかで「漢方医学の経絡を含む真気が仏学と同じ、中国伝統文化の真髄である。疑似科学ではない」と論じた。

中国官制メディアも、中国科学院のこの講座について肯定的に報道している。中国青年網は「修煉は太古の『黄帝内経』から三教(儒教・仏教・道教)まで、五千年の中華文明を貫いている」と報じ、「修煉文化」について言及した。

習政権 腐敗と汚職を一掃 伝統文化の尊重目指す

習近平政権は発足から、積極的に反腐敗を推進させ、汚職蔓延の「元凶」とされる江沢民派の影響力を払拭し続けている。同時に習政権は「伝統文化の尊重」を政策に取り組んできた。実際に、政府系シンクタンクが、以前は忌避されてきた「真気」や「修煉」といったテーマを取り上げて1カ月後、気功を国民的なスポーツ大会の一競技に取り入れた。

中国民主活動家・元山東大学教授の劉因全氏は、気功の良さを広めることは、弾圧政策により国営メディアから汚名を着せられた「法輪功」の名誉挽回のための事前準備と見ている。「最高指導部では民主化の道を歩む『開明派』が優勢となり、法輪功弾圧を肯定した江沢民派の勢力は失われつつある」と述べた。

1980年代から90年代にかけて、中国全土で気功ブームが巻き起こった。そのなかでも、1992年に伝えだされた法輪功は、身体の健康と道徳の向上に顕著な効果がみられたとして、中国政府も推奨していた。政府は法輪功に「学際科学進歩賞」など6つの賞を授与している。体育当局の統計では、弾圧前の1999年まで 1億もの人々が愛好していたという。

(翻訳編集・王君宜)

大紀元新聞網記事

來自加州的資深國會議員達納‧羅拉巴克(Dana Rohrabacher)在720法輪功反迫害集會上發言。(大紀元)

2017年7月20日,美國東部部分法輪功學員在美國首都國會山前,舉行大型集會,要求“解體中共、結束迫害、法辦江澤民”,同時“聲援二億七千萬中國民眾退出中共和相關組織”。多位美國國會議員和非政府組織代表到場發言聲援。

來自加州的資深國會議員達納‧羅拉巴克(Dana Rohrabacher)在集會上發言,他表示法輪功學員將全世界善良正義的民眾聯繫在一起,努力將世界從邪惡力量中拯救出來,法輪功學員所信仰的美好理念也會使世界變得美好。

以下是他的發言全文:

“你們是非常重要的,你們中的每一個人,今天來到這裡,都是一個重要歷史使命的一部分。這使命不僅是關於廣傳法輪功學員信仰的真、善、忍理念,你們的使命也是幫助世界人民維繫和平。

事實上,中共現在這種態度與價值觀,如果我們讓他們如此持續下去並失控的話,最終我們會面臨戰爭和混亂。現在非常清晰的一點就是,中共也並不信奉共產主義,他們實際上是一種幫派性質,控制着如此巨大的一片土地和全世界人口最多的國家。這種幫派政府,如果繼續以這種方式治國,繼續以這樣攻擊打壓人民的方式持續下去,同時在外交方面,也表現出我們在南海看到的攻擊性行為,我們就有可能面臨戰亂。這是我們能想像的最糟糕的情況之一。人們會互相殺戮,不相識的人們會互相殺戮。

感謝上帝,我們有像法輪功群體這樣的人在發聲。在美國,我們理解和尊重人民的權利,並在全世界試圖追尋和平,這是高尚的努力。

今天,我感謝你們所有人與美國善良的人們同在,共同進行這高尚的努力,將世界從邪惡力量中拯救出來。感謝你們的努力,你們讓我們意識到,全世界善良的人們都是一個整體。

現在美國的商界,為了快速獲取利益,為了在他們已有的大量財富上掙取更多錢財,願意跟中國做生意——和鎮壓自己人民並威脅全世界的中共合作。

但我們這裡也有善良的好人結成的同盟,在中國也有正義人士結成的陣營。法輪功學員將我們聯繫在了一起,願上帝因此保佑你們。

美國善良的人與你們站在一起,我們會為人類贏得這場戰爭,而法輪功學員和全球每一位善良、正直的民眾都相信的那些美好的理念,也會幫我們讓這個世界變得美好。

非常感謝你們今天允許我表達對你們的支持。”#

【大紀元2017年07月21日訊】(大紀元美國華盛頓DC記者站報導)

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『米貧民街の公立校はこうして立ち直った ハーレム発、教育格差を克服する物語』(7/21日経ビジネスオンライン 篠原匡)について

米国の教育問題で感じるのは、やはり国の成り立ちが移民からというのが大きく影響しているのでは。移民で優秀な人材を集めることがアメリカを偉大な国にならしめ、アメリカンドリームが実現されています。一方、貧しい人間は真面な教育も医療も受けられないでいます。共産国家中国と似ています。まあ、優秀な人が中国に移民することは今の所はないでしょうけど。世界が共産主義にひれ伏す時代が来れば分かりませんが。劉暁波氏のような死を迎えさせるような国に、自由を満喫できる国の人が、行きたいとは思わないでしょうけど。日本のメデイアに代表される共産主義にシンパシーを持った人間は是非中国に帰化したらよいと思います。「理想の国」に殉ずべきです。森友・加計・稲田日報問題で平気で嘘がつけるのも中国人と同じですし。

日本の教育の癌は日教組でしょう。組織率は23.6%と1/4以下ですが、左翼にありがちなノイジーマイノリテイとなって、少数であるにも拘わらず、声を大きくしてサイレントマジョリテイを抑えるやり方をします。子供の教育を優先すべきなのに、政治闘争を優先するのは輿石東が言った通りです。こんな先生の下で子供たちが教わるのですから堪ったものではありません。また買春次官を輩出している文科省も同罪です。「ゆとり教育」を推し進めた寺脇研ともども日本の弱体化を図っているとしか言いようがありません。文科省と日教組がグルとなり、敗戦後利得の構造を固定化しようとしている構図です。民主主義国家では声を上げなければ、声の大きい方にしてやられます。勿論共産国家では劉暁波氏のように殺されますが。あらゆる政策を考えるうえで、一般国民が既存のメデイアへの高い依存度がなかなか方向転換できない原因です。情報弱者こそが日本を悪くすると考えています。

http://www.sankei.com/life/news/170301/lif1703010077-n1.html

http://blog.goo.ne.jp/chorinkai/e/028fed333afb9ffe0ac2eb21165ec9d0

本記事のように米国は貧しくともor予算が無い中でも、工夫と共感者を集めることにより、学校を再生させつつあるというは素晴らしいと感じました。さすがアメリカと言う感じです。日本でも「百ます計算」で有名な陰山英男氏のように「基礎的な生活習慣を身につけさせること」と「反復練習」をすることを重視した教育が広がっていくことを願っています。また、教科書も左翼教科書ではなく、自由社か育鵬社のが採択されることも願っています。

記事

米ニューヨークの有名な貧民街「ハーレム」。その123ストリートとモーニングサイド・アベニューの角にある市営公園では、毎朝8時になると子供たちの声が響き渡る。ある子供は滑り台やモンキーバー(雲梯)などの遊具で遊び、別の子供は大人とバスケットボールに興じている。授業が始まるにはだいぶ早く、公園の外では職場に向かう人々が行き交う。(以下の動画をご覧ください)

なぜこんな早い時間に子供たちが遊んでいるのか。実は体育の授業の一環だ。校舎の中の体育館が自由に使えないため、授業が始まる前の時間を利用して体を動かしている。

公園の隣に、「P.S.125 Ralph Bunche」という名の公立小学校がある。コロンビア大学のある高級住宅街、アッパーウェストの北隣にあたるが、周囲には低所得者向けの公営住宅「プロジェクト」が林立している。ここに通っている生徒は貧困層の子供が多く、ランチ無料プログラムを受けている子供が全体の7割に達する。全校生徒267人の内訳を見ても、アフリカ系米国人(黒人)が40%、ラティーノが35%とマイノリティが大半だ。世界中の富が集まるニューヨーク・マンハッタン。その中にあって、貧困層が多く住む地域である。

この学校の生徒が自由に使えないのは体育館だけではない。子供たちがランチを食べるカフェテリアは使える時間が限られている。図書館がなく、特別なケアが必要な子供のための教室もないため、廊下の片隅でカウンセリングを実施することもしばしばだ。日本の公立小学校に当然のように存在する設備が、この学校にはない。

図書館を高校に取られたため、壁の空いたスペースを使って保護者が図書館を作った(写真:Retsu Motoyoshi)

特別なケアが必要な子供のための教室もない(写真:Retsu Motoyoshi)

原因は、校舎を他の2つの学校とシェアしていることにある。米国で生徒数を伸ばしているチャータースクールと、コロンビア大学の付属高校が同じ建物を使用していて、その2校に施設の一部を奪われた形となっている。P.S.125とチャータースクールは入り口が別だが、高校とは入り口も共有しているため、小学生と高校生が行き交う。

「6年前に赴任した時は、とても不公平に感じた。体育館や図書館はもともとこの学校の施設だったのに、別の学校が入ってきたことで使えなくなった。他の学校との兼ね合いで、ランチの時間帯も変わってしまう。リソースをどんどん失っているという感覚だった」

P.S.125の校長、レジナルド・ヒギンズは初めて学校に赴任した2011年のことを振り返る。

6年前にヒギンズ氏が校長として赴任した時、学校は崩壊の危機に瀕していた(写真:Retsu Motoyoshi)

同じニューヨーク市でもブルックリンの小学校で教鞭を執っていたヒギンズは、ニューヨークの中心であるマンハッタンの小学校は環境が整っていると思っていた。ところが、新米校長として赴任して愕然とする。設備のシェアは仕方がないとしても、予算不足で体育や音楽、美術の教師はおらず、授業は英語と算数のテスト対策が中心だった。保護者は学校に無関心なのに、成果は求めてくる。

「学校の士気は完全に低下していた」(ヒギンズ)

なぜこのような状況になってしまったのか。それを理解するには、米国の公立学校が置かれている状況と、教育改革の歴史をひもとく必要がある。時計の針を34年前に巻き戻そう。

学校評価と競争原理

レーガン政権下の1983年、「A Nation at Risk(危機に立つ国家)」というタイトルの報告書が出た。「われわれの国家は危機に直面している」。そんな衝撃的な書き出しで始まる報告書は、SAT(大学進学適性テスト)の悪化や読み書き能力の不足など、米国の学力低下と教育の荒廃を白日の下にさらした。

レーガン政権以降、教育改革は米国の最重要政策の1つになった(写真:Wally McNamee/CORBIS/Corbis via Getty Images)

「公教育の質が余りにひどく、敵国からの攻撃と同等と論じられた。この報告書をきっかけに、米国の教育に問題があるという意識が広く共有されるようになった」

ニューヨーク市立大学ブルックリンカレッジ教授(教育学)のピーター・タウブマンはこう語る。その後、レーガン政権は教育改革を国家戦略に位置づけた。それ以降の政権も、教育改革を政策の柱に据えている。

その方向性は、大きく言うと、学校に対する競争原理の導入とテストによる学校評価だ。その一翼を担ったのは公設民営のチャータースクールである。チャータースクールとは、公立の一種で補助金を受け取るが、運営自体は民間企業やNPO(非営利組織)という形態を取る小中学校のことだ。生徒数は140万人と公立の5%に満たないが、90年代以降、チャータースクールに通う生徒は右肩上がりで増えている。

もう一方のテストによる学校評価は、生徒の成績に対して学校と教師の説明責任を問うという90年代以降の動きがベースになっている。

ジョージ・W・ブッシュ政権は全国一斉学力テストを義務化、成績によって学校や教師にペナルティを科す「落ちこぼれゼロ法」に署名した。オバマ政権では「Race of the Top(頂点への競争)」というプログラムが導入された。これは成果を出した州に手厚く補助金を分配するという政策だ。結果的に、テストスコアが低迷した学校は教師の入れ替えやチャータースクールへの転換を余儀なくされた。

現在のトランプ政権も、基本的に過去の政権を踏襲している。教育長官に就任したベッツィ・デボスはチャータースクールやバウチャー制度の強力な推進者だ。

教育長官のベッツィ・デボス氏はチャータースクールやバウチャー制度を強力に推進している(写真:Jabin Botsford/The Washington Post via Getty Images)

バウチャー制度とは公立に通う低所得者の生徒を対象にクーポン券(バウチャー)を支給、チャーターや私立の学校を選べるようにするもので、新自由主義の生みの親、シカゴ大学のミルトン・フリードマンが提唱した。それ以来、共和党が掲げる教育政策の主要パーツとなっている。

競争原理とテストによる学校評価――。これは米国の教育改革を貫く背骨と言っていいだろう。

30年以上続く米国の教育改革。その歴史はP.S.125が没落していく歴史でもある。

荒廃のスパイラル

「80年代の半ばから後半にかけて、この学校には1000人を超える生徒がいた。当時は教科もたくさんあり、演劇や言語、音楽を教える専門の教師もいた」

32年間、P.S125の教壇に立つベンジー・ブラットマンはそう振り返る。だが、90年代以降は生徒数が大きく減少していく。地域の子供が減ったという人口動態的な要因もあるが、近隣のチャータースクールとの競争に敗北したという面も大きい。

ヒギンズが赴任する前のP.S.125は、学区の中でも成績の悪い落ちこぼれ校として有名だった。それに対して、チャータースクールは大学進学率やテストスコアの良さを前面に出して生徒募集を進めていた。現実を見ればチャータースクールはピンキリで、英語を母国語としない子供や障害を持つ子供を受け入れないなどの批判は根強い。公立はそういう子供も受け入れなければならず、テストの点数を学校の評価と見なすのは公平とは言えない。

また、ニューヨークのような大都市は移民が多く、子供の語学力や学力レベルにばらつきがあるという面もある。だが、貧困にあえぐ親ほど貧困から抜け出すために、子供に充実した教育を受けさせたいと考えるもの。チャータースクールを選ぶ家庭が増加、ヒギンズが着任した頃は全校生徒が150人まで落ち込んでいた。

「生徒が減り、教科や放課後のプログラムがカットされた。われわれ教師は英語と算数を教えるだけで、それ以外のことは何もできなかった」。そうブラットマンは振り返る。

生徒数の減少はP.S.125の苦境に拍車をかけた。

一般的に、米国では固定資産税が教育予算の財源のおよそ半分を占める。固定資産税は不動産価格に連動するため、裕福な地域ほど教育予算が潤沢で、貧しい地域ほど教育にかける予算が少ない。予算が多ければ子供の興味に応じて様々なプログラムを提供することが可能になるが、予算に限りのある学校は教師の人件費をまかなえず、教科の削減などにつながる。

住んでいる場所で教育の質が大きく変わる現実――。教育の機会不平等と、それに伴う格差の固定化は米国の病理の一つだ。

「教育の質の低さと税収の低さは貧困層の多い都市部でとりわけ深刻だ。裕福な地域には素晴らしい公立校があり、そもそもチャータースクールを選ぶ必要がない」

ニューヨーク市立大学教授のデイビッド・ブルームフィールドはこう指摘する。

正確を期すと、ニューヨーク市は少し事情が異なり、学校の予算配分は生徒数がベースになっている。P.S.125の予算が削減されたのも新学期の生徒の登録数が減少したためだ。もっとも、学区内の所得レベルが教育に影響を与えているという点では変わらない。

米国では課外授業や放課後プログラムを充実させるために、保護者が中心になって資金を集めることがしばしばある。この手の資金集めの時にモノを言うのは親の財力とステータス(社会的地位)だ。

マンハッタンの中でも屈指の高級エリア、トライベッカの小学校では近隣の有名シェフを招き50万ドル以上を集めたことが話題になった。だが、ランチ補助を受けているような貧困家庭にはそんな芸当は期待できない。現に、P.S.125が資金調達のためにイベントを開いたときなど、大の大人が7時間クッキーを売り続けて60ドルしか集まらなかった。

「われわれ教師も廃校になると思っていた」

13年前からP.S.125で教えているブリンダ・フォックスが吐露するように、2000年代後半のP.S.125は土俵際に追い詰められていた。予算の減少によって体育や音楽、美術などテストに関係のない教科はどんどん削られた。英語と算数のテスト対策ばかりで子供の学ぶ力が養われるはずもない。結果的に子供たちの学校離れが加速した。まさにデススパイラルである。

だが、あるきっかけで歯車が逆回転し始める。ヒギンズの就任とプログレッシブ教育へのシフトだ。

好奇心を軸にした教育

プログレッシブ教育とは何か。人によって定義が異なるが、一人の教師が生徒に答えを教えるような伝統的な教育スタイルではなく、子供が持っている好奇心や一人ひとりの習熟度に応じて、最適な学びの機会を提供する教育のことだ。

なぜ空は青いのか、なぜ雲は動くのか。子供は素朴な疑問を持つ。興味のあることを学ぶときはフラストレーションを感じることなく楽しめる。そうした好奇心をつぶさずに、上手く引き出して学ぶ機会につなげていく。それがヒギンズの考えるプログレッシブ教育である。

そのためには読み書きソロバンだけでなく、アートやオペラ、ダンス、水泳、野菜作りなど子供の好奇心のアンテナに引っかかる様々なプログラムが必要になる。「プログレッシブ」という用語を使うかどうかはともかく、こういった教育は裕福な家庭の子供が通うボーディングスクール(全寮制学校)や私立校、寄付の多いチャータースクールでは当然のように提供されている。

プログレッシブ教育を求める保護者は増えているが、様々な教育プログラムが必要なうえに、教える側のスキルも求められる。予算に限りのある公立校で実現するにはハードルが高い。ヒギンズはあえてそこにチャレンジしようとした。

「プログレッシブ教育自体は古くからあるスタイル。教師だった両親にそれが理想だという話はよく聞いていて、自分が校長になったときに試したいと思っていた」

プログレッシブ教育への転換――。それが可能になった大きな要素として、併設しているPre-K(満4歳の児童が通う幼稚園前のプログラム)で実施されていたことが挙げられる。

幼児教育はそもそも学力ではなく、それぞれの好奇心を引き出すようなプログラムであることが多い。P.S.125のPre-Kも積極的に外に連れ出していろいろな体験をさせるプログラムを提供しており、不人気の小学校とは違って高い人気を誇っていた。そこで、Pre-Kの教師と協力して、そのメソッドを幼稚園、1年生、2年生に広げていくことにした。

「幼い子供には自分で試して発見できる環境を作って上げることが大切です。言葉で教えるよりも、実際に触って何かを発見するものです。その発見を授業に持ち込みます」

小雨がぱらつく天気だったが、子供たちは菜園で様々なものを観察していた(写真:Retsu Motoyoshi)

Pre-Kのプログラムを作り、今は一つ上の幼稚園で教えるミシェル・アレンは言う。

取材で訪れた6月初め。外はときおり小雨がぱらついていたが、幼稚園の子供は気にするふうもなく、学校に隣接する小さな家庭菜園に出ていた。あるグループは片隅にあるコンポストに食べたバナナの皮を入れ、あるグループは畑に座ってバジルなどの苗の絵を描き、あるグループは土の中の虫を探し、あるグループは敷地にある桜の木に登っていた。服が汚れることを気にする大人は誰もいない。アレンによると、自然の循環を感じさせる意味があるのだという。

「子供の学校を良くする」

もちろん、トラディショナルな授業をプログレッシブに転換するのは容易ではない。ニューヨーク市の底辺校がプログレッシブ教育と叫んだところで、市当局がすんなりと首を縦に振ることはないだろう。そこで、ヒギンズはまず、テストの点数を引き上げることに注力した。

個々の学力をテストで検証、何が分かっていないのかを個別に把握していった。同時に、教師の得意分野を改めて整理、向き不向きでチームを編成しなおした。「テストの点数」はヒギンズが目指している方向とは正反対だが、学校運営の裁量を増やすため、あえてテストにフォーカスしたのだ。

その後、テストの成績が向上し始めると、市当局の監督者もフレキシブルなプログラムを認めるようになった。それを確認したヒギンズはテスト勉強のウェイトを下げ、英語と算数以外のプログラムを増やし始めた。

もう一つ、P.S.125の変革に決定的な影響を与えたのは保護者の変化だ。「子供の教育はプロである学校に任せる」というスタンスの保護者が大半だったが、徐々に学校の運営に主体的に関わる親が増え始めた。その中で主導的な役割を果たした一人の日本人がいる。

鈴木大裕。研究者としてコロンビア大学に在籍した2011~16年まで、鈴木は2人の娘をP.S.125に通わせていた。ニューヨーク在住の日本人は駐在員を中心に公立のレベルが高い地域に住むか、私立に通わせるケースが多いが、鈴木はコロンビア大学に近いハーレムに住み、子供をP.S.125に通わせた。その背景にあるのは「選ばないことを選ぶ」という鈴木の哲学だ。

2人の娘を通わせていた鈴木大裕氏。理想とする教育を実践するため、帰国後、高知県土佐町に移住した(写真:Retsu Motoyoshi)

「選ぶことのできる人間が選び始めると、選ばれなかった学校はよくならない。子供の通っている学校を良くすることを考えた」

コロンビア大学に来る前は公立中学校の教師だった鈴木。その中で培われた考え方である。

もっとも、体育館も図書館も、音楽や美術の授業もないという最悪期である。実際に通わせてみると、想像を絶する窮状だった。体育館がないため体育は教室の机をどけて体を動かすだけ。音楽の授業がないのに、隣のチャータースクールからは楽しそうなジャズが流れてくる。ボンドやコピー用紙などの備品を買う予算がないため、各家庭が用意することも頻繁にあった。

「同じ校舎の中にカースト制があるような感じだった」。そう鈴木は振り返る。

彼自身、米国の教育システムの最も優れた部分に触れていただけに失望が大きかった。

高校時代、鈴木はニューハンプシャー州のボーディングスクールに留学していた。米国のボーディングスクールは全人教育を掲げる学校が多く、テストの点数だけでなく音楽やアート、スポーツなど子供の得意分野を伸ばす環境が整っている。また少人数のため、教師も子供の声に耳を傾け、生徒自身に考えさせる姿勢が徹底されている。ところが、我が子の通っている小学校を見ると、そうした教育と正反対だった。

「そもそも米国の教育の優れたところを学び直そうと思ってコロンビア大に来たのですが……。自分の受けた教育との違いに愕然とした」

そして、鈴木は保護者の立場で学校に関わっていく。

「まずは仲間を増やさなければ」と考えた鈴木は小学校の子供を持つ友人に積極的に声をかけた。9月の新学期前に開催する保護者向けの学校説明会も、それまではヒギンズが説明していたが、保護者や生徒が前面に出るスタイルに変えた。学校関係者がアピールするより、実際に子供を通わせている保護者や子供が語る方が説得力があると考えたからだ。他の学校の事例を参考に、SNS(交流サイト)を使った情報発信や資金調達の多様化なども進めた。

保護者会長を務めるトモイ・ゼマー氏。他の保護者とともに建設的に学校に関わっている(写真:Retsu Motoyoshi)

現在、Parents Association(保護者会)の会長を務めるトモイ・ゼマーも鈴木に引っ張られた一人だ。P.S.125のPre-Kに娘を通わせていたゼマーは、アレンの教育方針に深く共感したが、小学校の方はテスト重視の伝統的な学校である。どうしようかと考えていたときに、親の力で学校を変えていこうと鈴木に誘われた。Pre-Kのプログラムを低学年に広げていくという話もあり、「ならば」と残留を決めた。

「ミス・アレンがいなければ残っていませんでした。最悪、(自宅で教える)ホームスクールを考えていました」

無関心だった保護者が変わった要因として、地域のジェントリフィケーションも大きい。ジェントリフィケーションとは、再開発などで都市部の貧困地域に中間層が流入し、地域の人口構成やコミュニティが変化する現象のことだ。

長年、P.S.125のあるエリアは所得の低い黒人やラティーノが中心だったが、マンハッタンの不動産価格が高騰したあおりで、相対的に安価なハーレムに中間層が流入するようになった。貧困層は朝から晩まで働いており、子供の教育に関わっている余裕はない。一方、新たな住民は所得が比較的高く、子供の教育にも熱心だ。地域のダイバーシティが進んだことも、P.S.125にとっては追い風になった。

教育プログラムの多様化にも保護者が一役買った。一時は英語と算数だけに教科が絞られたP.S.125だが、現在はミュージカルやオペラ、楽器演奏、アート、水泳、脚本づくりなど多彩なプログラムを提供している。その大半は、外部のNPOなどが提供しているものだ。

水泳やオペラ、演劇などの授業(写真上・中)はNPOなど外部の専門家が関わっている。写真の女性はその中の1つ(写真下)、Young Audiences New Yorkの担当者(写真:Retsu Motoyoshi)

(写真中)

(写真下)

ミュージカルや脚本はプロのアーティストで構成されるYoung Audiences New York、水泳はAsphalt Green Swim for Life、野菜作りはHarlem Grownなどが専門家を派遣している。こういったプログラムの中には保護者が実施主体を探し、資金調達にも関わったものも少なくない。

「昨年は菜園を作り、週1回の水泳も実現しました。音楽や演劇などの授業は数年前にはなかったはずです。保護者として校長に私たちの考えるプログレッシブ教育を伝えましたし、校長にもそれは伝わっていると思います。今はポジティブなエネルギーにあふれています」

1年生の息子がP.S.125に通っているアンジェラ・エステスはこう語る。同じく幼稚園生の息子がいるアリヤ・トーマスも続ける。

「この2年間でプログレッシブ教育の導入は着実に進んでいます。ここに来た保護者はみんな感じていると思いますが、変わりたいのであれば自分たちが変化の一端を担わなければなりません。すぐに完璧になることはありませんが、私たちの校長はアイデアを受け入れる人です。校長がオープンだからこそ、こうしてカリキュラムづくりに関われる」

昨年は10人に満たなかった保護者会の参加人数が、今年は30~40人になった。自分たちでも学校が変えられると思い始めたからだろう。

この声は、ヒギンズにパワーを与えている。

他の2つの学校と校舎をシェアするようになって以来、ヒギンズとP.S.125は常に譲歩を迫られてきた。だが、体育館が一部使用可能になるなど変化も見られる。保護者の声が大きくなるとともに、市当局や他校に対する交渉力が増したのだ。なぜ学校の施設を他校に取られたのか。生徒数の減少ももちろんだが、保護者が無関心だったことも大きい。

そして、教師も変わりつつある。

生徒が増える好循環

6月2日、1年生の授業では4つのグループに分かれてピザを作っていた。あるグループは生地を練り、別のグループはトマトソースやチーズなどのトッピングを乗せている。あるグループはランチョンマットのデザインを描き、別のグループは会計係としてお金を数えていた。ピザ屋の営業を通じた読み書きソロバンのレッスンだ。

テスト対策ばかりだった授業は様変わりした。写真はピザ屋の営業を通した読み書きソロバンの授業(写真:Retsu Motoyoshi)

「6年前にこの学校に来たとき、私は6歳の子供に1週間で5種類のテストをやっていました。でも、昨年からは一度もテストをしていません。授業は遊び形式で、2人のアシスタント教員と生徒の状況を見ながら進めています」。1年生を担当しているサラ・ランドンはそう語る。

これまでの学校現場は既存のカリキュラムをどう教えるかというところにフォーカスしていた。それはテストをベースにカリキュラムが作られているからであり、大学の教員課程でも「どう教えるか」を厳しく指導される。ランドンも大学でカリキュラムに沿った教え方をたたき込まれた。それだけに、マインドセットや染みついた教え方を変えるのは難しい。アレンなど、ほかの教師たちの授業を研究したり、外部の研究者に教えを請うたり、日々プログレッシブ教育に最適なプログラムや教え方を学んでいる。

「自分で考えた授業で生徒が成長する姿を見るのはとても楽しい。正直、仕事量は増えていますが、パズルのピースをつないでいるようで楽しいんです」

ランドンのように変化に対応している教師がいる一方で、苦しむ教師もいる。

「私を含めシニアの教師には大きな変化」とブラットマンが打ち明けるように、これまでの教え方に慣れた教師にとっては間違いなく試練がたちはだかる。それでも適応しようとしているのは、結果としてテストの点数が改善するなど、プログレッシブ教育が成果を出し始めているからだろう。ヒギンズは言う。

「私が校長になったばかりの頃、学年に相応しい読み書きができる子供は23%だったが、今では44%だ。算数のテストで州平均を上回る生徒も37%だったが、54%になった。もちろん、この学校は学力を成功の基準にはしていませんよ。子供が笑っていたり、勉強を楽しんでいる、親も幸せに感じている、そうした姿を見ると、自分たちのやっていることが正しいと感じる」

9月から始まる新学期に向けて、P.S.125に入学を希望する子供のウェイティングリストは200人近くに上っている。6月に開催した学校説明会でも、保護者がハンバーガーやTシャツなどを販売して8000ドルを調達した。来年度はフルタイムの音楽教師が赴任する予定だという。

今の課題は生徒の増加に伴うスペース不足だ。また、このままジェントリフィケーションが進めば、住み続けていた貧困層が押し出されるという批判もある。地域の小学校として地元の貧しい子供に、いかにして門戸を開き続けるか。いずれ、新たな困難に突き当たることになる。だが、ヒギンズが言うように、P.S.125は正しい軌道に乗っている。

学力の低下と教育改革の槍玉に挙げられてきた公教育。米国を筆頭に、教育に成果を求める声は根強い。事実、トランプ政権と共和党は「スクールチョイス(学校選択)」という掛け声の下、チャータースクールや私立校を後押ししている。

財源が限られる中で投資に対するリターンを求めるという思想は理解できる。では、教育の成果とは何か。学力の向上なのか、生きる力の構築なのか。あるいは、民主主義を支える優れた市民の育成なのか、それらすべてなのか。答えは人間の数だけ存在する。その中で、公立校が果たす役割は何か。ハーレムの落ちこぼれ学校は、一つの答えを示している。

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『北京大学卒業式・張維迎講演はなぜ削除されたか SNSから即座に消えた「自由は一種の責任である」』(7/21日経ビジネスオンライン 北村豊)、『米中の衝突 対話で避けよ 米ハーバード大教授 グレアム・アリソン氏』(7/21日経朝刊)について

18日に提出した蓮舫の台湾国籍喪失許可証書が偽物ではないかと言うので、三立新聞が台湾内政部に電凸したら「本物」との返事。でもおかしい所満載です。小生の考えでは、内政部の役人と一緒に(忖度どころではなくグルで)偽造したのでしょう。ただ、後々内政部が追及されるとマズイので、中途半端な偽造になったと思います。内政部の国民党派=中国人と組んでやったことと思います。中国では卒業証明者や公的領収書の偽物が普通に買える国ですので。なお、文中に出てきますPO=post an articleの意味だそうです。

小生のFacebookの記事より。

<蓮舫偽造「放棄國籍許可證」?內政部:證書是真的

2017/07/20 08:05:00

記者雷明正,張之謙/綜合報導

日本民進黨黨代表台裔政治人物蓮舫18日出示了台灣內政部所發的「喪失國籍許可證書」,但這個證書似乎與正常的台灣行政文書有很大的不同。有台灣網友甚至直接在網路上質疑這份文件跟本是偽造。不過我國內政部證實這份「喪失國籍許可證書」確實是由內政部所發。

▲蓮舫放棄國籍證明書(圖/翻攝自Daily)

這份證書上的照片所擺的是蓮舫的選舉照,側面且微笑的大頭照,與我國一般在戶籍文書上所放的身分證照片有所不同。根據「喪失國籍申請書」上載明,照片黏貼處應比照「國民身分證相片規格」;而且相片明顯規定「無特殊表情且嘴巴合閉」,但這張證書的大頭照中的蓮舫卻笑的合不攏嘴,似乎不太符合規定。

另外是發證日期,發證日期為去年的9月13日,根據我國內政部規定,喪失國籍辦理期間約需2個月左右;而蓮舫是在9月3日提出申請,網友質疑為何能在短短10天就能取得證書。再者,網友上內政部的官網以蓮舫證書號碼查詢結果,內政部官網顯示此案件在2016年的10月17日才被內政部審核完成,那蓮舫是如何提出9月13日發給的文件?

▲推特上網友的質疑(圖/翻攝自推特)

其它如地址詳載不明、國籍不應使用西曆或是蓮舫自己公開的台灣護照居然是手寫等等,網友都提出質疑,也被日本一部分輿論人士轉貼。一向反對蓮舫的旅日中國籍漫畫家孫向文也PO文質疑,認為蓮舫把全日本當作白癡。評論家池田信夫更辛辣的指出,蓮舫根本是偽造公文。

但《三立新聞網》今早和內政部確認文件真偽,內政部發言人表示這份文件並非偽造,確實是由內政部所發行的「喪失國籍許可證」。

☆Chris*台湾人☆‏ @bluesayuri

蓮舫氏喪失國籍証の波紋、台湾の三立新聞と風傳媒新聞が私のtwを取り上げて報道した。台湾ネット民と呼ばわれ、面白い、三立が内政部に問い合わせたら→本当?「喪失國籍証は内政部発行」と返事、記者もっと質問「何故一週間発行?2ヶ月じゃない?」内政部は答えれなかった、やっぱり裏がありそう。

蓮舫の中華民国の喪失国籍許可書には、許可した人の署名のサインがない。原本の写しではないことが明白である。他の二人の許可書には、ちゃんとサインがある。>(以上)

中国が自由を認める=共産党支配の終結を意味します。甘い汁を吸っている党幹部にとって、国民に自由を与えれば、自分達にとっては失うものの方が大きいです。共産党内部からそんな動きは絶対に出て来ないと思っています。それは張維迎教授も百も承知でしょうけど、言わずにはいられなかったと言う所です。張維迎教授は発言中、日本の発明の例は挙げていませんが、言うのは沽券に関わると思ったのか、「愛日有罪」の烙印を押されることを避けたのか。

中国を民主化させれば戦争の危機は遠のくと考える人がいます。小生は民主化だけではダメで分裂(領土分割)が必要と思います。特に南モンゴルやウイグル、チベットと言った非漢族の地域を独立させる事です。中国やロシアは地政学上、北朝鮮を緩衝地帯と見て尊重しているのですから、この3地域を独立国として承認して緩衝地帯とすれば良いでしょう。それでも自己中心の漢族に民主主義が似合うかどうか?孫文も言っています。『中山思想体系』より、<孫文學説第六章説:「常人有言,中國四萬萬人,實等於一片散沙。今欲聚此四萬萬散沙,而成為一機體結合之法治國家,其道為何?=『孫文学説』第六章には<普通の人は、中国は4億も人口がいるが、その実一握りの砂に等しい(バラバラで纏まっていない)と言っている。今欲するのはこの4億の砂の民を集め、法治国家として纏め上げるにはどうしたらよいか?>と。中国人に民主主義は出来ない、強権政治がお似合い何て言うと劉暁波氏や石平氏、陳破空氏に失礼です。また大陸内で共産党と戦っている人権派弁護士も沢山います。日本の知識人や日弁連のように我が身を安全地帯に置いて政府を批判しているのとは訳が違います。日本は中国共産党と内部で戦っている人をもっと支援すべきです。明石元次郎がやったように。

グレアム・アリソン教授は中国人を理解しているとは思えません。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という不信社会で成り立つ民族です。ピルズベリーがやっと気づいたではないですか。こちらが善意で一譲れば、十踏み込んでくるタイプです。オバマのように善意でなく、無能で傍観していたから、国際裁判所の判決が出ても「紙屑」と言って南シナ海を自分の内海にしようとしている訳です。中国に譲歩は禁物です。トランプは中国との1年間計画は認めるべきではありません。時間稼ぎに使われるだけです。早く北との取引銀行総てを金融制裁すべきです。アリソン教授の言うような話合いだけでは解決しません。制裁と言う道具を使わなければ。8年間中国に駐在した体験から考えて。

北村記事

7月1日、北京大学卒業式で行われた張維迎教授の講演は、SNSにアップされるや即座に削除された。写真は2011年のダボス会議に出席した張氏(写真:AP/アフロ)

7月13日、2010年にノーベル平和賞を獄中で受賞した“劉暁波”氏が多臓器不全により亡くなった。劉暁波は2009年12月に“扇動顛覆国家政権罪(国家政権転覆扇動罪)”により懲役11年の判決を受け、遼寧省“錦州市”の“錦州監獄”で服役していた。彼は今年5月に発病したので検査した結果、肝臓がんの末期であることが判明し、特別措置により6月末に遼寧省瀋陽市の“中国医科大学附属第一医院”へ移送されて治療を受けていた。

劉暁波は2008年に中国に大幅な民主化を求める『“零八憲章(2008年憲章)”』を主体となって起草したことで逮捕され、人生で4回目となる監獄生活を送っていたのだった。劉暁波が零八憲章で提起したのは「自由、人権、平等、共和、民主、憲政」の基本理念であったが、その中で最も重視したのは自由であった。そこには言論、出版、信仰、集会、結社などの自由が含まれていた。

劉暁波の死亡より12日前の7月1日、中国を代表する“北京大学”で学部に相当する“国家発展研究学院”の卒業式が“北京大学百周年記念講堂”で行われ、教員を代表して著名な経済学者である教授の“張維迎”<注>が「自由は一種の責任である」と題する講演を行った。この内容が国家発展研究学院のSNS“微信(WeChat)”に掲載されると、即座に当局によって削除されたのだった。微信から講演内容が削除された理由は何だったのか。そこには真の愛国者である劉暁波が一貫して主張していた自由の必要性が、経済学者の視点から述べられていたのだった。

<注>張維迎:1959年に陝西省で生まれる。中国の“西北大学”卒業後、修士課程に進み、英国オックスフォード大学で博士号取得。北京大学教授、経済学者。

14分44秒に及ぶ同講演の模様は、動画サイト「YouTube」でも『“張維迎演講:自由是一種責任”』という題名で配信されているが、非常に興味深い内容を含むので、筆者の翻訳で以下の通り紹介する。

張維迎演講:自由是一種責任

演題:自由は一種の責任である (講演者:張維迎)

学生諸君 先ず皆さんの卒業をお祝いします。

“北大人(北京大学人)”は一種の光背であると同時に責任を意味します。それは特に我々のように苦難が深刻で、いやというほど蹂躙された民族に対する責任です。中華文明は世界最古の文明の一つであり、しかも唯一現在まで継続している古い歴史を持つ文明です。古代中国は輝ける発明創造を持ち、人類の進歩のために重要な貢献を行いました。しかし、過去500年、中国は発明創造の分野で取り立てて言うほどの物は何もありません。この点を数字で説明しましょう。

英国科学博物館の学者ジャック・チャロナーの統計によれば、旧石器時代(250万年前)から紀元2008年までの間に世界を変えた重大発明は1001項目生まれたが、その中で中国が産み出したものは30項目で、全体に占める比率は3%でした。こられ30項目の全てが1500年より前に生まれたもので、1500年より前に世界で生まれた重大発明163項目の18.4%を占めました。その中の最後の1項目が1498年に発明された“牙刷(歯ブラシ)”であり、明代で唯一の重大発明だったのです。1500年から後の500年以上の期間に全世界で生まれた838項目の重大発明の中に中国で生まれたものは1項目も無かったのです。

中国は過去500年、歴史書に載る発明がない

経済成長は新製品、新技術、新産業が絶えず出現することから生み出されます。古代の社会に有ったのは、農業、冶金、陶磁器、手工芸などの限られた職業だけでしたが、その中で農業は絶対主導的な地位を占めていました。現在、我々にはどれだけの職業が有るでしょうか。国際労働機関(ILO)が定めた『国際標準職業分類(ISCO)』によれば、輸出製品に限定しても、2桁コードの職業は97個、4桁コードの職業は1222個、6桁コードの職業は5053個有り、なおかつまだ絶えることなく増加しています。これら新しい職業の全ては過去300年のうちに創造されたものであり、新製品毎にその起源を遡ることができます。これら多くの新産業や新製品の中に、中国人が発明した新しい職業や重要製品は一つもありません。

自動車産業を例に挙げましょう。自動車産業は1880年代中頃にドイツ人のカール・ベンツ、ダイムラー、マイバッハなどが創造し、その後の一連の技術進歩を経て、1900年から1981年までの間に600項目以上の重要な発明が行われました。中国は現在世界一の自動車生産大国ですが、もし諸君が⾃動⾞産業に関する技術進歩の歴史を書くならば、そのリストには1000人以上の名のある発明家が掲載され、その中にはドイツ人、フランス人、英国人、米国人、ベルギー人、スイス人、日本人が含まれますが、残念ながら中国人は1人もいません。よしんば冶金、陶磁器、紡織などの17世紀より前に中国が先導していた古代の職業であろうとも、過去300年の重大発明や創造の中に中国人が産み出したものは1つもないのです。

私が特に強調したいのは、西暦1500年より前と西暦1500年から後は同じではないということです。1500年より前は、地球が様々な区域に分割されていて、区域間は基本的に封鎖状態にありました。一つの新技術がある地方で出現しても、その他の地方に対する影響は軽微で、人類全体に対する貢献は極めて限定的でした。たとえば、東漢の蔡倫は西暦105年に製紙を発明しましたが、中国の製紙技術は751年にようやくイスラム世界に伝わり、その300~400年後に西欧へ伝わったのです。私が小学校へ入学した頃、習字にはまだ“土盤(土製の皿)”を使っていて、紙は使えなかったのです。

但し、1500年から後に、地球は一体化を開始し、技術発明の速度が加速されたばかりか、技術拡散の速度も速くなり、一つの新技術がある地方で出現すると、非常に速く他の地方に導入され、人類全体の進歩に重大な影響を及ぼしたのです。たとえば、ドイツ人が1886年に自動車を発明すると、その15年後にはフランスが世界一の自動車生産国となり、さらに15年後には米国がフランスに取って代わって世界一の自動車生産国となり、1930年に至ると米国の自動車普及率はすでに60%に達したのでした。このため、1500年から後は、イノベーションの国家間における比較が可能となり、その優劣が一目瞭然となったのです。中国は過去500年において歴史書に載るような発明や創造が一つもありません。これは我々の人類の進歩に対する貢献はほぼゼロであることを意味しており、我々の祖先と比べてその差は大きいものがあります。

我々は自由と法治の逆を行った

私はさらに人口規模の問題についても強調しなければなりません。国家の規模には大小があり、国家間でどこの発明や創造が多いかで単純に比較すると、容易に誤解が生まれます。理論上から言うと、その他の条件を考えなければ、国家の人口規模が大きければ、イノベーションも多くなり、技術の進歩もより速くなります。また、イノベーションの比と人口の比は指数関係にあり、簡単な等比数列の関係ではありません。10年以上前、米国の物理学者ジェフリー・ウエストなどは、都市生活の中では、人類の発明・創造と人口の関係は5/4指数の拡大縮小規則に従うことを発見しました。もしある都市の人口が別の都市の10倍であるなら、発明・創造の総量は後者の10の5/4乗、すなわち17.8倍となるのです。

これから見れば、世界の発明・イノベーションに対する中国の貢献と中国の人口規模は全く比例をなしていません。中国の人口は、米国の4倍、日本の10倍、英国の20倍、スイスの165倍です。知識創造の指数拡大縮小法則に基づけば、中国の発明・創造は、米国の5.6倍、日本の17.8倍、英国の42.3倍、スイスの591倍でなければなりません。但し、実際の所は、近代500年の中で発明・イノベーション分野で中国の世界に対する貢献はほぼゼロで、米国や英国とは比較にならないばかりか、スイスの端数にも達していません。スイス人は手術用鉗子、電子補聴器、安全ベルト、整形技術、液晶ディスプレーなどを発明しました。中国人民銀行が人民元紙幣を印刷する際に使用する偽札防止用のインクはスイスの技術ですし、中国が生産する小麦粉の60~70%はスイスのビューラー社の機械で加工されています。

問題はどこに起因するのでしょうか。中国人の遺伝子に問題があるというのでしょうか。明らかにそれは違います。さもなければ、我々は古代中国の輝かしい実績を説明できません。問題は明らかに我々の体制と制度にあります。想像力は自由に依存します。それは思想の自由と行動の自由です。中国の体制が持つ基本的特徴は、人の自由を制限し、人の創造性を扼殺(やくさつ)し、企業家精神を扼殺することです。中国人が最も想像力を備えていた時代は、春秋戦国時代(紀元前770年~紀元前221年)と宋代(960年~1279年)でした。これは偶然ではありません。この2つの時代は中国人が最も自由な時代だったのです。西暦1500年より前は、西洋は明るくなく、東洋は暗かった。西暦1500年から後は、西洋の一部の国家が宗教改革と啓蒙運動を経て自由と法治に向けて一歩一歩動き始めたのに対して、我々はその逆を行ったのです。

もしグーテンベルグの印刷機が禁止されていたら

私は強調しなければなりません。自由は1個の分割できない統一体であり、心が自由でない時は、行動が自由であるはずはなく、言論が自由でない時は、思想が自由であるはずがないのです。自由があってこそ、創造があるのです。一つの例を用いて、この点を説明しましょう。現在では、食事の前に手を洗うことはすでに習慣となっています。しかし、1847年にハンガリーの内科医、センメルヴェイス・イグナーツは、医師と看護師に対し妊婦に接触する前に手を洗うことを提起しましたが、同業者の機嫌を損ねると同時に仕事を失ったあげく、精神病院で死亡しました。享年47歳でした。

イグナーツの観点は彼の産褥熱に対する観察に基づくものでした。当時彼がいた医院には2つの産室が有り、1つは金持ち用の産室で、専門の医師と看護婦が念入りに世話をしていましたが、これらの医師は絶えず子供を取り上げるのと死体の解剖を交互に行っていました。もう1つは貧乏人用の産室で、産婆が担当していました。彼は、産褥熱にかかる金持ちの比率が貧乏人の3倍であることを発見したのです。彼は、その原因は医師が手を洗わないことであると考えたのです。しかし、彼の見方は当時流行していた科学理論と相矛盾しており、彼も自分の発見に対して科学的に証明することができなかったのです。

人類の衛生習慣はどのように変わったのでしょうか。それは印刷機の発明と関わりがあります。1440年代、ドイツの企業家ヨハネス・グーテンベルグが活版印刷機を発明しました。印刷機は書籍と読むことの普及を促進しました。その結果、多くの人々が遠視であることを発見し、メガネに対する需要が生まれて爆発的に増大しました。印刷機の発明から100年後、欧州には数千社のメガネ製造業者が出現し、これによって光学技術の改革が起こりました。1590年、オランダのメガネ製造業者ジャンセン父子は幾つものレンズを1つの筒の中に重ねて置くと、観察する物がガラスを通して拡大されることを発見し、これが顕微鏡の発明につながりました。英国の科学者ロバート・フックは顕微鏡を用いて細胞を発見し、科学と医学に一大革命を引き起こしました。

但し、最初の顕微鏡は解析度が高くありませんでした。1870年代にドイツのメガネ製造業者カール・ツァイスが正確な数学公式に基づく斬新な顕微鏡を生産しました。まさにこの新しい顕微鏡の助けを借りて、ドイツ医師のロベルト・コッホなどの人たちが肉眼では見えない微生物細菌を発見し、ハンガリー医師のイグナーツの観点が正しかったことを証明したのです。こうして微生物理論と細菌学が確立されたのです。正に微生物学と細菌学の確立が、しだいに人類の衛生習慣を変え、人類の平均寿命を大幅に延長させたのです。

我々は想像してみましょう。もし当初からグーテンベルグの印刷機が使用を禁止されていたなら、あるいは教会や行政当局の審査を通過した読み物だけが印刷することを許されていたなら、読むことは普及せず、メガネに対する需要もさほど大きくならず、顕微鏡や望遠鏡は発明されなかったし、微生物学が確立されることはなかったでしょう。また、我々が消毒された牛乳を飲むことは不可能で、人類の平均寿命も30数歳から70数歳まで延びることはなかったでしょうし、宇宙空間の探索を夢見る必要はなかったのです。

自由の向上を持続できるかにかかっている

過去30数年、中国経済は世間の人が注目する成果を収めました。この成果は西側世界が過去300年間に発明・創造して積み重ねた技術的基礎の上に打ち立てたものであり、中国経済の高速成長を支えた様々な重要な技術や製品は全て他人が発明したもので、我々自身が発明したものではありません。我々は“套利者(利ざやを取る人)”に過ぎず、“創新者(起業家)”ではないのです。我々はただ他人が建てたビルディングの上に小さな楼閣を組み立てただけで、我々が“狂妄自大(尊大で傲慢)”になる理由はないのです。

ニュートンは30年の時間を費やして万有引力を発見しましたが、我々は3か月を費やすだけで万有引力の法則を理解することができます。もし私が3か月間でニュートンが30年を費やした道を走り抜けたと公言したら、諸君はきっとばかばかしいと思うでしょう。もし私がさらに反発してニュートンを嘲笑することを言おうものなら、その言葉は私があまりにも無知であると説明することになるでしょう。

私は常に「中国は世界の7%の“可耕地(耕作に適した土地)”を用いて、世界人口の20%を扶養する」と言っています。しかし、我々は「中国はそれをどうやって成し遂げているのか」と問う必要があります。簡単に言えば、それは大量に化学肥料を使っているからです。中国人の食品に含まれるほぼ半分の窒素は無機化学肥料から来ています。もし、化学肥料を使わないなら、半数の中国人は餓死するでしょう。窒素肥料の生産技術はどこから来たのでしょうか。それは100年前、ドイツの科学者フリッツ・ハーバーとBASF社の技術者カール・ボッシュが発明したもので、我々が発明したものではありません。1972年に米国大統領ニクソンが訪中した後、中国は米国と最初のビジネスを行いましたが、それは当時世界最大規模で、最も現代化された合成アンモニア・尿素製造プラント13基を購入したもので、その中の8基は米国のケロッグ社製品でした。

さらに50年、100年が経過して改めて世界の発明・イノベーション史を書く時に、中国は過去500年の歴史的な空白を変えることができるのかどうか。その答は、大体において、我々が中国人の享有する自由の向上を持続できるかどうかにかかっていると思えます。なぜなら、自由がありさえすれば、中国人の企業家精神と想像力を存分に発揮させることが可能であり、中国を一つのイノベーション型の国家に変えることができるからです。このため、自由を推し進め、守り抜くことは、中国の命運に関心を持つ国民全ての責任であり、さらに言えば“北大人(北京大学人)”全ての使命です。自由を守り抜けないなら、“北大人”の称号を名乗る資格はありません。皆さん、ご清聴ありがとう。

上記の講演で張維迎教授が述べたことは正論であり、決して間違っていない。彼は自由を推進し、それを守り抜いてこそ、真の意味で繁栄する中国が到来すると述べているのだ。中国がカネに物言わせた外国企業の買収や技術者引き抜き、さらにはハッキングなどを通じて、諸外国から高度技術を収得したとしても、地道な研究の基礎がない限り、さらなる発展は望むべくもないはずである。張維迎教授が言う通り、「自由なき繁栄」はあり得ないのだ。

日経記事

米国の覇権に対する中国の挑戦が続き、衝突のリスクが高まっているように思える。米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席という強権的な指導者が、危険に拍車をかけているのは否めない。

新旧の大国の衝突が避けられなくなる事態を、古代ギリシャの歴史家の名前にちなんで「ツキジデスのわな」と呼ぶ。私の近著「Destined For War(運命づけられた戦争)」で論じたように、過去500年間にみられた世界の主要な覇権争い16事例のうち、実に12事例が戦争に発展した。米中もこのわなにはまりかねない。

「偉大な米国の復活」を唱えるトランプ氏と「中華民族の偉大な復興」を訴える習氏には、多くの共通項がある。自身の指導力と自国の優位性に誇りを持ち、急進的な改革で偉大な国づくりにまい進するだけではない。自らの野心を満たすうえで、お互いの存在が障害になるとみなしている。

そんなトランプ氏と習氏が特定の懸案を巡り、対立を深めるのが心配だ。両氏は8日、20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれたドイツのハンブルクで会談した。核開発を急ぐ北朝鮮への対応で足並みがそろわず、関係が幾分悪化したような印象を受ける。

北朝鮮からの石炭輸入を停止した習氏に対し、トランプ氏はひとまず謝意を伝えたという。だが期待通りの結果は得られず、より厳しい制裁を求めて圧力をかけたようだ。北朝鮮と関係の深い中国の銀行や企業への「セカンダリー・サンクション(二次的制裁)」も強化する公算が大きい。

北朝鮮の核開発にとどまらない。貿易の不均衡や台湾問題が衝突の引き金を引く可能性もある。米中はもはや「敵対的な競争者」だ。両国経済の相互依存の深まりが摩擦の緩衝材になるのは確かだが、だからといって決定的な対立を回避できる保証はない。

20世紀初頭にぶつかった覇権国の英国と挑戦国のドイツも、経済的な結びつきは強かった。得るものより失うものが大きいから、戦争など起きないと思われていた。それが「大いなる幻想」だとわかったのは1914年だ。オーストリア皇太子の暗殺事件をきっかけに、双方も望んでいなかった第1次世界大戦に突入した。

覇権国はほかの主要国との関係を強化し、既存の国際秩序に適応するよう挑戦国に迫るケースが多い。ところがトランプ氏は米国の影響力を高める連携の枠組みを基本的に軽視している。環太平洋経済連携協定(TPP)や地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱が最たる例だろう。

内向きの米国は中国につけいる隙を与えてしまった。習氏が自由貿易や温暖化防止の主導者として振る舞うのは、まさに皮肉としか言いようがない。これはトランプ氏の大きな過ちである。

米中は「ツキジデスのわな」から逃れられるのか。その答えはイエスだ。私が研究した16事例の覇権争いのうち、4事例は戦争に至らずにすんだ。新旧の大国が譲歩して針路を修正したためで、20世紀初頭の英国と米国、冷戦期の米国とソ連などが該当する。私たちは世界の歴史から多くを学んできた。過去の覇権争いからも、一定の教訓を得ることができる。決断力の乏しさや近視眼的な発想のせいで、回避できる過ちを犯してはならない。

トランプ氏と習氏は真摯な対話を続けるべきだ。米中の厳しい現実はもはや覆い隠せず、楽観論を前提とするのは危うい。「ツキジデスのわな」に陥るリスクを直視し、衝動的で常軌を逸した行動を抑え込む方法を探す必要がある。お互いに妥協して針路を修正しなければ、悲惨な結末が待っていることを忘れてはならない。

米中は4月の首脳会談の合意に基づき、閣僚級の外交・安全保障対話や経済対話を立ち上げた。これらの枠組みも有益だろう。トランプ氏は極めて異例な大統領で、政策の方向性も定まらないが、マティス国防長官やティラーソン国務長官らはもっと現実的だ。2つの大国が衝突の確率を低下させるよう努力してほしい。

(談)

Graham Allison 米ハーバード大博士。国際政治の権威で、キューバ危機時の米政権の意思決定を論じた著書「決定の本質」で知られる。クリントン政権で国防次官補。77歳。

共存の道探れ

「ツキジデスのわな」の危険を説くアリソン氏は、悲観的な運命論者ではない。世界を破滅に追いやる米中の衝突を避けるため、両国首脳に自制を求めるところに真意がある。

1979年の国交正常化から約40年を経て、米中のパワーバランスは大きく変わった。経済・軍事の両面で台頭する中国が攻勢に転じ、守勢に立つ米国のいら立ちは募るばかり。そこに登場したトランプ氏が「均衡点」を押し戻そうと力任せに動き、習氏との緊張が高まっているのは確かだ。

「チャイメリカ」という造語ができるほど、相互依存を深める米中両国。共存の道を探ろうと、ブッシュ(子)元政権やオバマ前政権は中国との戦略対話を続けてきた。トランプ氏もその場で折り合いをつけざるを得まい。

(ワシントン支局長 小竹洋之)

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