『南シナ海仲裁判決、中国の「次の一手」に備えよ 「判決無視」を許せば、世界は暴走を止める術を失う』(7/20日経ビジネスオンライン 福島香織)について

オバマの腰の引け方が中国の増長を齎していることに気が付かないでいるので、オバマはやがて米史上最低の大統領の烙印を押されるでしょう。リチャードソン作戦部長が中国に言い返せなかったのはオバマがストップさせたためと思っています。英・チエンバレンは宥和政策を採ってヒットラーの台頭を許し、第二次大戦を引き起こしました。南シナ海は中国原潜の太平洋の出入り口で、8000KmのSLBM搭載の潜水艦がそこを突破できれば米本土が核に狙われることになります。米軍が沖縄に基地を持つ意味もなくなり、トルデシャリス条約の世界分割のように太平洋を2分割が真実味を帯びます。日本は中国の属領にされるでしょう。

福島氏の言うように強制力がなければ、中国は言うことを聞かないでしょう。元々暴力団国家なので。経済制裁、機雷による海上封鎖から実行すべき。今やらないと、世界は取り返しがつかないことになります。

ロシアのソチ五輪の不正が槍玉に挙がっていますが、中国の北京五輪も不正が目についたはずです。女子体操選手の年齢詐称とか。多分中国はIOCに沢山賄賂を配ったからでしょう。国際仲裁裁判所の裁判官にも中国国内では当たり前の賄賂を贈ろうとして逆に心証を悪くしたのではと想像しています。ロシアの場合、亡命者が不正をゲロったのが命取りになりました。米国はパナマ文書の活用をもっと考えた方が良い。

7/20日経 習主席、焦りの心理戦 波立つ海の攻防(1)

 南シナ海のほぼ全域に主権を持つという中国の主張を否定する国際的な仲裁裁判の判決が出た12日夕。中国の国家主席、習近平(63)は北京市中心部にある釣魚台国賓館にいた。海外首脳を迎える迎賓施設で、いつもと変わらぬ濃紺の上着に赤いネクタイを締め、欧州連合(EU)大統領、ドナルド・トゥスク(59)との会談に臨んだ。

Xi Jingping

 「南シナ海の島々は古来より中国の領土だ」。普段通り淡々とした表情だが、語気は時々強くなった。向かいに座るトゥスクが不愉快そうに人さし指をこめかみにあてても、お構いなく続けた。「判決の影響は受けないし、判決に基づくあらゆる行動と主張も受け入れない」。屈辱的な国際司法判断に反撃の口火を切る場となった。

 国営中央テレビは習の発言を夜7時のトップニュースで流したが「EUは裁判所の手続きを信頼する」とのトゥスク発言はカット。会談で隣に座った外相の王毅(62)は習の意を受け、同テレビのカメラの前に立ち、両手を広げて「判決は認めない」と力説した。

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 「画期的な判決」「国際法の尊重を」。勝訴したフィリピンや隣国から判決を歓迎する声が相次いだ。判決後初の大型国際会議となったアジア欧州会議(ASEM)首脳会合では東シナ海で中国と対峙する日本の首相、安倍晋三(61)も判決に基づく解決を主張したが、中国は反論を続ける。

 中国軍には「3戦」という概念がある。自国に有利な情報を発信し国際世論を誘導する「世論戦」と、軍事威嚇などで相手をけん制する「心理戦」、法律で国際社会の支持を得る「法律戦」だ。中国にとって今回の裁判結果は法律戦での致命的な敗北だ。不利な結果になると悟った春先以降、中国は残る世論戦と心理戦に望みをかけている。ただ状況は芳しくない。

 6月13日、中国・雲南省。夕食会に集まった東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の外相に、王毅が唐突にA4の1枚紙を配って迫った。「署名してください」

 10項目の中には「南シナ海の紛争は中国とASEANの問題ではない」とあった。仲裁判決前にASEANの連帯を阻止しようという意図を感じた各国外相は「聞いてない」と猛反発。中国への批判声明作りに動き、王毅は火消しに追われた。

 「方位0度に敵艦発見!」「魚雷準備!」「発射!」。魚雷が爆音を立てて水中に飛び込んだ。判決前の7月8日、南シナ海に100隻以上の軍艦を集めて過去最大規模の実弾演習を実施した。「紅軍」が守る海域に「青軍」が侵入したとの状況設定が、米中の衝突を想起させた。

 判決を盾に中国の権益を侵すなら武力行使も辞さないとけん制する心理戦の意図が見えた。ただ、演習海域の領有権を主張するベトナムは猛反発。中立に近い立場だったインドネシアやシンガポールも対中批判へ傾く。

 習が孤立へ焦りを強める中、米大統領のバラク・オバマ(54)は発言を控える。外交筋によるとアジア諸国に「中国を刺激する発言は控えてほしい。我々の目的は地域の安定だ」と伝えている。

 米国が慎重になるのも無理はない。中国軍には「フィリピンが実効支配するセカンド・トーマス礁を奪うべきだ」などの強硬論も渦巻く。刺激しすぎれば軍などの暴発を引き起こしかねない。

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 中国内政への懸念もある。「南シナ海の米国の侵略を知っているか。ここで食べるならお前らは売国奴だ」。17日、河北省の米系ファストフード店の入り口で男が客を追い返した。米系商品の不買運動を呼びかける動きが出始めた。判決でたきつけられた中国民衆の愛国心が指導部への批判にも向かえば、中国国内が不安定化しかねない。

 中国海軍司令官、呉勝利(70)は18日「計画通りに島と岩礁の建設をやり遂げる」と軍事拠点化を続ける方針を明言。中国空軍は同日、南シナ海の要衝スカボロー礁に爆撃機を飛ばした。中国にいかに自制を促し、暴発を抑えるか。国際社会は判決後も難しいかじ取りを迫られる。

 鍵をにぎる習は18日、寧夏回族自治区にある共産党革命の聖地で約1週間ぶりに公の場に姿を現し、こう述べた。「犠牲を恐れぬ革命の精神をもってすれば克服できない困難はない。中華民族の偉大な復興という中国の夢を必ず実現する」

 南シナ海問題を巡る初の国際司法判断で中国の主権主張が否定された。その衝撃と指導者の動きを追った。(敬称略)>(以上)

7/20日経電子版 逆境の習近平氏に助け舟? 南シナ海判決、中国の硬軟両様 編集委員 中沢克二

南シナ海への中国の海洋進出を巡ってフィリピンが提訴した裁判でオランダ・ハーグの仲裁裁判所は、中国が管轄権の根拠とする「九段線」には国際法上の根拠がないとの判決を下した。南沙(英語名スプラトリー)諸島には排他的経済水域(EEZ)が生じる「島」はないという厳しい判断だ。

 予想を超える中国の完敗だった。国家主席、習近平はさぞかし落ち込んでいるに違いない。誰もがそう想像する。そんな中、数日を経て全く違う声が中国内から聞こえてきた。

 「確かに中国の完全な負けだ。それでもこの完敗は内政上、苦しい立場にあった習近平にとって逆に素晴らしい『助け舟』となった」。中国の内政、外交をつぶさに観察している中国人の見方だ。

 一見、信じがたい。とはいえ今回の動きの一側面を言い当てている。中国国内向けには、メディアを通じて対外強硬路線を宣伝し、国民を一つにまとめるのが容易になった。矛先は、評判を落としていた習近平にではなく、ひとまず外国に向いている。

Xi & Juncker

ユンケル欧州委員長と握手する中国の習近平国家主席(12日、北京)=AP

■結果出る前から習主席が前面に

 習近平は強気に出ることで正面突破を図った。12日の判決発表の直前、北京で開かれた欧州連合(EU)との首脳会談で早くも「中国は仲裁判断のいかなる主張も受け入れない」と言い切った。

 結果が出る前にトップが対外的に発言するのは本来、危険だ。例えば1999年、ユーゴスラビアの中国大使館を米軍機が誤爆し、犠牲者が出た際、当時のトップ、江沢民はテレビ画面になかなか登場せず、国家副主席だった胡錦濤がまず前面に立った。世論の推移を見定めてからトップが登場する慎重な手法だった。

 しかし、今回は習近平自身が旗を振らなければ、重大な結果の糊塗(こと)は難しかった。南シナ海でここまで強硬姿勢をとった原因が、習近平の意向なのだから。中国は厳しい判決も予想し、早くからダメージコントロールに入らざるをえなかった。

 外交トップである国務委員の楊潔篪、外相の王毅らもすぐに「法律の衣をまとった政治的茶番劇だ」「判決は紙くず」と声をそろえた。

 同じ頃、共産党中央宣伝部はインターネットを通じて南シナ海の主権を守れという大キャンペーンを展開し始めた。

 中国の一つ(の領土・領海)も欠けてはいけない――。どの中国ニュースサイトを開いても南シナ海の「紅(あか)い舌」を含む派手な中国地図が登場する。習近平の権威の維持が目的だった。ネット上の宣伝を見た国民はコメント欄に「戦争も辞さない覚悟だ」などと勇ましい書き込みをした。

一方、世論が激高しすぎないよう手も打った。12日、北京の大学の党組織は「学生のコントロールを強化するように」との“お触れ”を出した。北京のフィリピン大使館の警備も厳重だった。2012年9月の尖閣問題のように中国各地で大規模デモが発生し、万一、収拾がつかない事態になれば、矛先は習近平自身に向きかねない。

Li Keqiang

ASEM首脳会議の会場に向かう中国の李克強首相(15日、ウランバートル)=共同

 勇ましさの半面、中国政府が裏で対外的に発したメッセージは違っていた。国際的な立場の悪さを認識し、軟化のサインもにじませたのだ。習近平の対EU発言の最後の1行にも表れている。そこでは「平和解決」もうたっているのだ。中国の報道は、「西側」と違い、見出しや冒頭の語句は大事ではない。最も言いたい内容は最後にくる。

 12日、中国政府はこのほかにも手を打った。中国首相の李克強のサイドが、首相の安倍晋三と会談する日程の調整に応じる意向を早々と示した。15、16両日、モンゴルで開催するアジア欧州会議(ASEM)の際である。18日からの新外務次官、杉山晋輔の訪中も受け入れた。日中の首相会談、外務次官協議が続いたことは、中国側の豹変(ひょうへん)といってよい。

■李克強首相の“愛想”

 15日の日中首相会談の形式で中国側は、安倍より後から会談場所にやってきた李克強が先に部屋に入り、安倍を迎えたという演出をするなど、相変わらず体面にこだわった。しかし、李克強は取材する日本の記者団らに“愛想”も振りまいた。

 「日中関係改善の勢いを維持できるのか、注目が集まっている。あの記者たちの姿にも注目が集まっている」。普段より冗舌だ。外交・安全保障問題を直接、担当していない李克強の番外発言としては異例である。上機嫌といってもよい。

Abe & Li

会談を前に握手する安倍首相と李首相(右)=15日、ウランバートル(代表撮影・共同)

 実際の会談では激しいやり取りもあったはずだが、双方とも表に出すのは避けた。それは、日本での開催を調整する閣僚級の日中ハイレベル経済対話、日中韓首脳会談、そして中国・杭州での20カ国・地域(G20)首脳会議での日中会談をにらんでいる。

 習近平が、いきなり対外融和の明確なサインを出すのは唐突だ。しかしナンバー2の李克強にならできる。その役割を忠実に果たした。

 とはいえ、李克強は会談に先立つ安倍との握手の際は表情を崩さなかった。北京で開かれた14年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)の際と同じだ。3年ぶりの日中首脳会談で習近平は安倍との握手で厳しい表情を保った。中国国民がテレビ画面で注視する以上、李克強もカメラの前でにやけるわけにはいかなかった。

 中国は一筋縄でいかない。なおも日本攻撃は続いた。中国国営メディアは、判事に当たる仲裁人を任命した国際海洋法裁判所長(当時)の柳井俊二と安倍の関係に焦点を当てた。国営テレビは、柳井が座長を務めた有識者懇談会が集団的自衛権の行使容認を巡る報告書を提出した経緯を紹介。「仲裁裁判所は日本の『右翼』が独断で組織し、公平性を欠く」とまで断じた。

八つ当たりである。中国自身が裁判を拒み、裁判官の人選に関わるのも避けたため、規則に従って時の所長が手続きを進めただけだ。だが、国際的には通用しない論理をあえて持ち出したのは、中国国内向けでもある。余りにドラスチックな判決だったため「中国政府は何をやっていたんだ」という批判が起きないための予防線だ。

 ASEM議長声明で中国は南シナ海問題の明記の阻止に成功した。それでも「国連海洋法条約に従った紛争解決」との表現は盛り込まれた。1年前の表現をほぼ踏襲したとはいえ、判決が下った後の意味は違う。中国への一定の圧力にはなった。

Hague court

 週明けも動きがあった。中国軍は、米海軍作戦部長のリチャードソンを北京に招き、その後、北海艦隊と潜水艦学院、空母「遼寧」などの参観にも応じた。リチャードソンと18日に会談した中国海軍司令官の呉勝利は3点を強調した。

 (1)中国海軍はいかなる軍事挑発も恐れない

 (2)計画通り島礁の建設をやり遂げる

 (3)前線の軍行動を統制し、戦略的に誤った判断を下すのを避け、南シナ海の平和と安定を守る

 硬軟両様である。軍の責任者が「島」の建設続行を明言したのは大きい。一方で重要なのは、最後の「誤った判断をしない」との発言だ。空母「遼寧」の視察容認と合わせれば、米国との衝突は避けたいとのメッセージになる。当然、中央軍事委員会主席である習近平の明確な指示があったはずだ。

■責任を取るのは誰か

 表は強硬、裏では秋波――。中国のしたたかさがみえる。しかし習近平主導の動きは、ひとまず内を固める効果があったとしても、その後の展望はみえない。南シナ海での完敗は明らかだ。今後の中国に不利な情勢が続いた場合、最後に誰かが責任をとるのは世の常である。それが誰になるのか。

 8月には、長老らと現指導部が意見交換する恒例の「北戴河会議」がある。対外的には「一枚岩」を強調する共産党の伝統がある以上、表向き南シナ海問題が権力闘争の材料になることはない。ただし、南シナ海問題を柱とする外交・安全保障問題への評価は、来年の党大会人事に必ず影響する。(敬称略)>(以上))

7/19日経 中国、南シナ海の施設建設を継続 米中海軍トップが会談

【北京=山田周平】中国海軍の呉勝利司令官は18日、米海軍制服組トップのリチャードソン作戦部長と北京で会談した。呉氏は仲裁裁判所が中国の主張を退けた南シナ海情勢に関し、「計画通りに島と岩礁での建設をやり 遂げる」と述べ、軍事施設の建設を続ける意向を示した。中国海軍が19日 から3日間、南シナ海で再び軍事演習を行うことも分かった。

国営新華社によると、呉氏は南シナ海は「中国の核心的利益であり、我々が譲歩することは期待しない方がいい」と主張した。「いかなる軍事挑発 も恐れない」と述べる一方、米中海軍の「協力が唯一の正しい選択だ」と柔軟な考えも示した。

リチャードソン氏は米中海軍の相互信頼を高める努力をしていくと応じたという。同氏は20日までの中国滞在中、北海艦隊の拠点がある青島を訪れ、空母「遼寧」などの艦艇を視察する。

一方、中国海事局は18日、海軍が軍事演習を行うため、南シナ海の海南島東岸海域で19~21日、船舶の進入を禁じると発表した。演習の内容は不明だ。新華社によると、海軍は仲裁裁判の判決前の8日、西沙(英語名パラ セル)諸島付近で実弾演習を行ったばかり。

さらに、中国空軍は18日、フィリピンと領有権を争うスカボロー礁(中国名・黄岩島)付近の空域に最近、爆撃機などを派遣し、パトロールを行ったと発表した。今後はこれを日常化するという。中国は仲裁裁判で自国に不利な判決が出たことを受け、南シナ海の軍事化を逆に加速している。>(以上)

7/17レコードチャイナ <南シナ海>中国支持のカンボジアに6億ドルプレゼント、中国国民には知らされず―仏メディア

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16日、RFI中国語版サイトは記事「李克強首相、フンセン首相と会談し6億ドル援助を約束=南シナ海での支持に感謝か、中国メディアは報道せず」を掲載した。フンセン首相は当事国同士の対話で解決するべきと発言し、中国に理解を示した。

2016年7月16日、RFI中国語版サイトは記事「李克強首相、フンセン首相と会談し6億ドル援助を約束=南シナ海での支持に感謝か、中国メディアは報道せず」を掲載した。

アジア欧州会議(ASEM)のため、モンゴル・ウランバートル市を訪問した中国の李克強(リー・カーチアン)首相とカンボジアのフンセン首相は15日に首脳会談を行った。フンセン首相は、南シナ海問題は当事国同士の対話によって解決するべきだと発言。国際仲裁裁判所の判決を暗に批判した。

カンボジア華字紙・華商伝媒によると、カンボジアの支持表明に中国側は6億ドル(約629億円)もの援助で「返礼」したという。ただし中国国営通信社の新華社は首脳会談については報じたが、資金援助については取り上げていない。(翻訳・編集/増田聡太郎)>(以上)

記事

Chinese banner

南シナ海の中国の領有権主張は7月12日に出されたオランダ・ハーグの国際仲裁裁判所の判決により、完全に否定されることになった。中国が主張する九段線(南シナ海を牛の舌の形に囲む九本の破線、1953年に中国が制定した。清朝時代に南海と呼ばれた海域を中華民国が十一本の破線で囲んで領有を主張した十一段線を書き直したもの)は歴史的根拠がないと完全否定された。中国がフィリピンと領有を争うスカボロー礁などに勝手に建造物を建て、軍事拠点化しようとしていることは、国際法と照らし合わせ完全な違法行為、ということになる。中国は判決が出る前から、従う気はさらさらないと公言していたが、ならば、次にどういう態度に出てくるか、非常に気になるところである。今回のコラムは、中国の次なる動きについて考えてみたい。

予想通りの全面敗訴と完全無視

 ハーグ仲裁判決の内容を整理してみよう。

 これは2012年4月、フィリピンと中国がともに領有を主張するスカボロー礁付近において、フィリピン海軍が違法操業中の中国漁船を拿捕したのをきかっけに、中国監視船とフィリピン漁船が1カ月に及びにらみ合うという対立緊張がおきた、いわゆる「スカボロー礁事件」の解決策として、フィリピン側が国際海洋法裁判所の仲裁を仰ぐ提案をしたのが始まり。フィリピン側は仲裁裁判所に任せることを理由に軍を引いたが、中国側はそのまま居残りスカボロー礁を埋め立て、軍事施設の建設を進めるなど実効支配に出た。

 当時はアキノ政権であり、中国側に強く抗議を行うも止められず、2013年1月に、中国側の行為の違法性を問うため、正式に提訴をした。中国側はこの提訴に反発、提訴を取り下げるよう求める一方で、完全に裁判を無視。公聴会にも出席しなかった。そして3回の会議を経て今年7月12日夕に判決が発表された。

 主な内容は、①中国が主張する九段線内の資源についての“歴史的権利”の主張は法的根拠がなく国連海洋法に違反している。②中国側が礼楽灘で資源採集しているのはフィリピンに対する主権侵害であり、中国側は南沙諸島のサンゴ礁生態系に回復不可能なほどに損害を与えている。③中国側漁民の南シナ海における大規模なウミガメ漁、サンゴ漁はサンゴ礁生態系を破壊しており、これを停止させないのは中国側の責任である。④中国台湾当局が実効支配している太平島を含め、南沙諸島の島々は岩礁であり島ではない。したがって、EEZ(排他的経済水域)も派生しない。⑤天然の美済礁、仁愛礁、渚碧礁はすべて満潮時には水面下に隠れ領海も、EEZも、大陸棚も派生しない。中国の人工島建設はすでにフィリピンの主権権利を侵犯している。

 つまり中国側の全面敗訴だ。予想されていた結果で中国側も判決が出る前から判決の無効を主張してはいたが、いざ「国際社会の常識」が中国の行為を違法と決めつけるとなると、習近平政権のメンツはいたく傷つけられたことだろう。

中国の王毅外相はこの判決に対して次のように言い放った。

 「この判決は受け入れられないし認めない。最初から終わりまで法律の衣をきた茶番であり、明らかに政治的背景と瑕疵がある。海洋法公約と国際法治を公然と破壊するものであり、この本質は徹底的に暴露されるべきである。…

 フィリピン前政権は一部外国勢力に操られて当事者の同意を経ずに、双方の二国間協議による解決の機会を放棄した。その目的は、中国フィリピン間の争議の妥当な解決などではなく、中国の領土主権と海洋権益の侵害であり、南シナ海の平和と安定の破壊である。…

 すでに多くの国際社会の知識層、法律界の人たちはこの判決に懸念と疑いを表明している。約60か国が中国の立場や主張を支持している。これら正義の声に国際社会は耳を傾けるべきだ。…

 中国の南シナ海における領土主権と海洋権益は堅実な歴史と法律を根拠としており、仲裁裁判所の判決の影響は受けない。…

 いかなる勢力がいかなる方式で中国の領土主権と海洋権益を否定しようともそれは徒労に終わるだろう。…

 中国は引き続き話し合いで争議を解決し、地域の平和と安定を維持するつもりである。国際秩序の建設者であり平和の庇護者として、中国は国際法にもとづき、当事者同士の話し合いで問題を平和的に解決する。また各国の航行・飛行の自由も法に基づいて維持する。

 仲裁案の悪意ある扇動によって政治を操ることは、南シナ海問題をさらに緊張と対立の危険領域に巻き込むことになるだろう。これは地域の平和安定維持に完全に不利であり、中国フィリピン両国、地域国家と国際社会全体の共同利益に合致しない。この茶番はもう終わった。正しい道に戻るときだ」

中国こそ国際秩序の建設者

 最近、ヒステリー気味の王毅にしてみれば、比較的抑えた言葉遣いだが、この談話ににじむのは、中国こそ国際秩序の建設者である、という主張であり、今回の判決は一部外国勢力(具体的には日米)の陰謀であり、国際社会の総意ではないという立場である。確かに国の数からいえば、仲裁案が出た直後に支持を表明しているのは日米など43か国、不支持、二国間の協議で解決すべし、という意見の表明はロシア、パキスタンなど58か国。ちなみに韓国は立場を表明していない。

 太平島を島ではなく岩礁だと一蹴された台湾も、判決不支持の声明を出しているが、これは台湾にしてみれば、中国台湾当局と不本意な名で呼ばれたうえ公聴会にも呼ばれておらず、とばっちりを食ったとしか言えない。それでも、台湾は二国間協議ではなく多国間協議、国際社会での話し合いで解決をと呼びかけている。

余談だが、日本の鳩山由紀夫元首相は16日に北京・清華大学で行われた「平和国際フォーラム」席上で「中国やフィリピンに圧力をかけて仲裁判断を受け入れるよう促すべきではない」と発言し、仲裁裁判所の判決に対し不支持の態度を示している。

 この席で鳩山は「東アジア和平理事会」の創立を提言し、南シナ海については「米国の関与が深い」「米国がいつも仮想敵国を作り出し、国家を動員して軍事と産業の結合を進める策略をしばしば使い、日本もこうした策略を使っている」「中国が釣魚島の主権を主張することはなんら問題ない。メディアが中国脅威論をあおっている」「中国は軍の兵力30万人の削減を宣言したことは平和に向かう善意の現れ」などとかなり中国に向かってリップサービスしたようだ。もちろん、これは中国読者向けの中国メディアの記事なので、その発言は加工されている可能性はあるのだが、ひょっとすると今年の孔子平和賞受賞を狙っているのかもしれない。

 つまり中国側は、南シナ海判決については、世界60か国近くが中国側を支持し、日本の平和主義的元首相も判決がアンフェアだと見ていることなどを根拠に、正義は中国にあり、国際常識・国際秩序のルールメーカーは中国であるとの立場を国内で喧伝しているわけである。これは従来の国連主導、米国主導の国際秩序、国際常識に対するある種の“宣戦布告”ともいえる。

習近平は軍事施設の年内完成を厳命

 これは、いくつかの非常に恐ろしいことが現実味を帯びてきたことを示しているといえる。

 すぐさま戦争が起きる、とは私は考えていない。なぜなら提訴した当事者のフィリピンの新しい大統領は判決を歓迎するも、かねてから「絶対戦争はしない」と言明しているからだ。現在の大統領のロドリゴ・ドゥテルテは大学でフィリピン共産党の指導者シソンに師事した左派だ。新内閣にもフィリピン共産党から4人の閣僚を起用。フィリピン共産党に中国系資金が入っていることは結構知られた話であり、親中色の濃い内閣といえよう。ドゥテルテ自身は判決が出る前から「事態が動かないならの二国間協議で解決」ということを言っており、中国側は経済支援を申し出る代わりに判決を棚上げし、南シナ海の共同開発という形に懐柔していく方針に自信をもっている。ドゥテルテ政権は、とりあえず中国の一方的な条件付き対話は拒否し、より良い条件を引き出そうとしているが、対話で解決する方針は維持している。

 年内にスカボロー礁の軍事施設を完成させることは習近平自身の厳命であると香港消息筋から流れている。「出て行ってください」と口頭で言っても中国が素直に聞く耳をもつわけがない。中国に完全撤退させるには、相応の強制力が必要で、それは経済制裁か軍事制裁ということになるが、中国にそういう圧力をかけることができる国が世界にいったいどのくらいあるのか。

 仮に当事国のフィリピンが、判決を棚上げにし、二国間協議で問題を解決すると言えば、米国が積極的に介入できるだろうか。せいぜい“航行の自由”を行使するぐらいで、南沙諸島の中国の実効支配、軍事拠点化を阻止することはできないだろう。フィリピンの交渉力に期待はできない。「戦争する気まんまん」の中国と「戦争は絶対しない」と公言するフィリピンの話し合いは中国有利に決着すると考えるのが妥当だろう。

「戦争モード」に怖気づけば、新たな危機

 中国は口では「平和の庇護者」を名乗り「平和的話し合いで争議を解決」というものの、これは棍棒を片手にした話し合いだ。判決が出る前日まで南シナ海で南海・東海・南海の三艦隊合同の大規模実弾演習を行い、そのビデオ映像をネットやテレビで繰り返し流すなどして絶賛「戦意高揚」プロパガンダ中である。地方では反米抗議デモが若干起きている。海外華僑も各地で抗議活動を行っており、ハーグの仲裁裁判所前でもオランダの華僑・華人組織が、判決無効の垂れ幕を掲げて抗議集会を行った。中国のネット掲示板では「もし南シナ海で戦争が始まったら兵士に志願するか?」というテーマの投稿がいくつかあり、多くの若者が「戦う」と書き込んでいる。それが本音かは別として、そう書き込んでしまうような空気があるのだろう。

 一方で、解放軍では退役軍人・民兵に戦争に備えて元の部隊に戻って海軍演習に参加するよう通達が出されており、中国側は着々と臨戦態勢を整え始めている。中国体制派メディア・フェニックスは判決への抵抗手法として、外交世論闘争を盛り上げ、南シナ海大規模演習を行い、スカボロー礁建設加速とフィリピン漁民の締め出し、防空識別圏を制定しつつ、フィリピンを経済的に懐柔すべしと解説。勇ましい人民日報系環球時報は判決が出る前から「米国が機会に乗じて挑発することがあれば、必ず反撃する」「挑発にはがまんしない」としている。

 こういう中国の「戦争やる気モード」を前に怖気づいて、国際社会の総意として出した仲裁案を棚上げして中国と話し合いによって、中国の思惑通りの結果になったとする。これは、当面の南シナ海での軍事的衝突、軍事的緊張をうまく回避できたという点で、ひょっとするとほっと胸をなでおろす人もいるかもしれない。だが、この結末はより大きな危機の始まりともいえるのだ。

 こうなった場合、早晩、南シナ海の島々に解放軍のレーダーやミサイルが配備され、南シナ海の中国軍事拠点化が完成する。南シナ海は中国海南島にある戦略核ミサイル原潜の基地の接続水域であり、南シナ海の島々の中国の軍事拠点が完成されることで、この海域は中国原潜のサンクチュアリとなり、米国の影響力を第二列島線の向こうまで後退させるという戦略目標への実現の一歩となる。

次は東シナ海、国際秩序の正念場だ

 南シナ海は東シナ海とつながって第一列島線の内側を形成するので、南シナ海の軍事拠点化が完成すれば次は東シナ海が狙われる。尖閣諸島をめぐって日中の軍事的対立、緊張が今以上に高まることになるわけだ。習近平政権は今現在まだ解放軍の軍権を完全に掌握していないと言われているが、もしフィリピンとの外交成果として南シナ海軍事拠点化が完成すれば、解放軍の習近平に対する忠誠や信頼は強まるかもしれない。中国は将来的に米国の2倍にあたる潜水艦保有を計画しており、海軍力が高まった中国との対峙は、今とは比べ物にならないほどの脅威となるだろう。

 もう一つは、「国際社会」の権威の失墜が明らかになる。国連という枠組みの国際社会の秩序の中で法律に基づいて決めたことが、強大な軍事力と経済力を持てば無視できることを中国がその行動で示すことになる。かつてそれをやったのは、ルールメーカー自身であった米国だけだった。国際イメージを損なう、国際社会で孤立する、と常識のある国にはできない選択を13億の人口と世界第二位の経済規模をもつ中国はやってしまい、国際社会は中国を制裁できないどころか、アンチ米国のロシアやアフリカや東南アジアの小国60か国が中国支持に回る。こうなっては国際秩序や国際ルールって何なのだ、という話になる。現在の国際ルールは、すでに無力化し、強大な軍事力と経済力を持つ国が粗暴な恫喝と懐柔で、新たなルールメーカーになろうとしている。南シナ海における今の中国の動きは、そういう意味もあるのだと想像する。

 そう考えれば、仲裁裁判所の判決が中国の主張を退けてよかった、と安心するのは早い。中国が判決に従わざるを得ないように、経済力、軍事力を備えた外交力を駆使してプレッシャーを与えていかねばならないこれからが、正念場といえよう。

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『改憲論議で無視してはならない日本国憲法の「出自」 憲法を書いた実務責任者が語った驚くべき舞台裏とは』(7/18JBプレス 古森義久)について

ケーデイスと元子爵鳥尾敬光氏の夫人鳥尾多江の不倫話を何かで読みました。占領軍の男に魅せられる女性の気持ちは分かりません。小生が男性だからかもしれませんが。クレオパトラもカエサルやアントニウスを手玉に取ったくらいですから。でも戦後、体は別にして魂を売った男性は沢山いまして、今でもその流れは変わらず、戦後利得者が跋扈している時代が続いています。鳥尾夫人だけが責められることはありません。

Tae Torio

三島由紀夫の『豊饒の海・第三巻・暁の寺』には息子を戦争で亡くし、悲しみに打ちひしがれた夫人と若いドイツ文学者との不倫が出てきます。人間の性でしょうか。もっと言えば、岡倉天心も上司である九鬼隆一の夫人星崎波津子と不倫の話が出てきますから、男女の仲は洋の東西を問わず、時代を超えて、道徳だけでは縛れないという事でしょう。

そのケーデイスが日本に押し付けた憲法の作成過程が本記事に書かれています。ローマ帝国が第二次ポエニ戦争でカルタゴに押し付けたものと同じ発想です。日本には戦争させない、白人には逆らわせないということでしょう。ケーデイスが自衛権に相当する部分を入れたというのは鳥尾夫人への思いが日本への同情になったのかどうか。

今や白人に挑戦する黄色人種の中国人が出てきました。日本人のように叩き潰されるのかどうかですが。ただ、中国人は白人と同じく悪辣で金を崇拝する民族です。ただ遅れて来た帝国です。核を持ち、賄賂をスマートに送り、人口の多さを武器に入植させて領土を広げて行くやり方をします。日本を抑えるため中国を支援してきた米国は臍を噛んでいるでしょう。キッシンジャーがアメリカの道を誤らせた訳です。

反米政党・知識人が憲法擁護の論陣を張るのは憲法の出自から言っておかしいのでは。少なくとも改憲して彼らの理想とする案を出さなければ。その時に国民は判断するでしょう。彼らは中国共産党の手先で、日本を売り渡す先兵だという事を。平和主義の念仏の先には一党独裁の人権抑圧が待っているという事です。

改憲について与党も拙速になる必要もありませんが、放置することもありません。折角参院で2/3の議席を改憲勢力が頂戴したのだから整斉と進めるべきです。憲法審査会と同時に、公聴会を開いて国民に意見を聞いてはどうか。どうせ野党は審議拒否するでしょうから。岡田代表は憲法審査会の議論に参加するとかいっていますが分からないです。何せ「改憲勢力に2/3を取らせない」のが反日民進党の参院選の目標だったのに、彼は責任を取って辞めることもしませんので。中・日共産党と同じで平気で嘘が言えるタイプです。

記事

GHQ office

かつてGHQが入っていた東京・有楽町の旧第一生命館(出所:Wikimedia Commons)

 今回の参議院選挙で、憲法改正を目指す勢力が全議席の3分の2以上を獲得し、改憲の発議の権利を得たことで、改めて憲法改正の是非が国政の場における主要な議題として浮かび上がってきた。

 この憲法論議にあたっては、日本国憲法のそもそもの生い立ちを知ることが欠かせない。一体、誰が日本国憲法を作ったのかという正しい認識がこれからの議論には不可欠である。

 だが、これまでの憲法論議では不思議なほどその出自が語られてこなかった。まるで故意にその点の議論を避けていると思わせるほどである。

日本側の草案を一蹴したGHQ

 日本国憲法は、日本が連合国の占領下にあった1942(昭和21)年2月2日から10日ほどの間に、米軍の将校十数人により一気に書き上げられた。

 この米軍の将校団の統括責任者は連合国軍総司令部(GHQ)のコートニー・ホイットニー民政局長であり、実務の責任者はホイットニーの部下のチャールズ・ケーディス民政局次長だった。連合国軍といっても主体は米軍だったのだ。

実務責任者のケーディス氏は当時39歳。コーネル大学やハーバード大学で法律を学び、戦前からすでに弁護士として活動していた。1941年12月に米国が日本やドイツとの戦争に入ると、同氏は陸軍に入り、参謀本部で勤務した後、フランス戦線に赴いた。日本には1945年8月の日本の降伏後すぐに赴任して、GHQで働くようになった。

 GHQは当初、日本側に新憲法の起草を命じた。命を受けた時の幣原喜重郎内閣は国務大臣の松本烝治にその起草を任せた。まもなく草案ができたが、GHQはそれを一蹴した。米国から見て内容が民主主義的とは言えないというのがその理由だった。

 その結果、GHQ自身が日本の新憲法を書くことを急遽決定した。そして、1946年2月、実務責任者にケーディス大佐が任じられたのである。

ケーディス氏の一存で9条を修正

 私はそのケーディス氏に面会し、日本国憲法作成の経緯を詳しく聞いたことがある。1981年4月のことだ。面会の場所は、当時ケーディス氏が勤務していたニューヨーク・ウォール街の大手法律事務所だった。

 当時75歳のケーディス氏は、私の質問に、時には用意した資料をみながら、なんでもためらわずに答えてくれた。インタビューは結局4時間近くに及んだ。

 ケーディス氏の話を聞いて私が最も衝撃を受けたのは、日本国憲法が作られた過程の“異様さ”だった。なにしろ手続きがあまりに大ざっぱなのだ。また、日本側の事情や要望はまったく考慮されず、内容はまさに“押しつけ”そのものであった。

 戦勝国が被占領国に受け入れさせた憲法なのだから仕方がないといえばそれまでである。だが、それにしてもなんと粗雑に作られた憲法なのかと驚かざるをえなかった。

ケーディス氏によれば、起草は、都内のいくつかの大学図書館から諸外国の憲法の内容を集めることから始まった。その時点で新憲法の内容について決まっていたのは、後に「マッカーサー・ノート」と呼ばれる黄色の用紙に殴り書きされた「天皇を保持する」「戦争を放棄する」「封建制度を廃止する」という3つの原則だけだった。

「私が書くことになった第9条の目的は、日本を永久に非武装にしておくことでした。上司からのノートでは、日本は自国の安全保障のためであっても戦争を放棄することとなっていました。しかし、その部分は私の一存で削りました。どの国も固有の自衛の権利は有しているからです」

 ケーディス氏は後に日本側から「芦田修正案」が出されたときも、同氏の判断だけでOKを与えたという。この修正案は9条の第2項の冒頭に「前項の目的を達するため」という字句を挿入することで、固有の自衛権を認め、自衛隊保持の根拠を供した。

 憲法草案のこうした重要な部分は、事後に上司のホイットニー民政局長やマッカーサー元帥の承認を得てはいるが、事実上、ケーディス氏の判断だけで作り上げられたと言っても過言ではない。

日本が受け入れを拒否することはできなかった

 私が聞いたケーディス氏の述懐の主要点をまとめると、以下のようになる。

・憲法草案の最大の目的は日本を永久に非武装にしておくことだった。

・元々の草案では日本の自国防衛の権利も否定していたが、ケーディス氏の一存でその部分を削った。

・「天皇は日本国の象徴」という表現も米国政府の事前の指示にはなかった。ケーディス氏ら実務担当者が思いついた表現である。

・第9条の発案者はマッカーサー元帥か、幣原喜重郎首相か、天皇か、あるいは他の誰かなのか、ケーディス氏は知らない。

・米国は、日本政府が新憲法を受け入れない場合は憲法草案を国民投票にかけると告げた。だが、実際には日本側に受け入れを拒否する選択肢はないとみていた。

 以上の点からも、日本国憲法が実質的に米軍によって書かれ押しつけられたことは明らかである。しかも日本を永久に非武装にして自国の防衛の能力や意思をも奪おうという意図が明確にあったのだ。

 この歴史の真実は、これからの憲法論議でも当然言及され考慮に入れられるべきだろう。だが、護憲派は憲法の起源や由来を語ろうとしない。それは明らかに均衡を欠いた姿勢である。

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『英国がEUに戻る日 2代目「鉄の女」、メイ首相に立ちはだかる難題』(7/15日経ビジネスオンライン 岡部直明)について

トルコのクーデター騒ぎ、中国のハーグ判決無視、フランスのトラックテロ、米国大統領候補の共和党全国大会開催と英国のBREXIT問題が霞んで見えます。トルコのギュレン師が直接クーデターに加担したとは思えません。ただ、生活の中でイスラムの教え通り、助け合い精神を活かすという運動の影響を受けた軍の人間が起こしたものと思われます。エルドアン大統領も世俗主義から少しずつイスラム重視に切り替えてきました。ギュレンが1999年米国訪問中に、捏造報道のためトルコに帰れなくなり、其の儘米国に亡命しましたので直接クーデターを指示することは考えにくいのでは。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%A5%E3%83%AC%E3%83%B3%E9%81%8B%E5%8B%95

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%88%E3%83%95%E3%83%83%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AE%E3%83%A5%E3%83%AC%E3%83%B3

http://www.tiu.ac.jp/org/iiet/kaken-a-islam/ronbun/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%88%E3%83%95%E3%83%83%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AE%E3%83%A5%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%81%A8%E3%83%92%E3%82%BA%E3%83%A1%E3%83%83%E3%83%88%E9%81%8B%E5%8B%95%E2%80%95%E2%80%95%E2%80%95%E3%82%82%E3%81%86%E4%B8%80%E3%81%A4%E3%81%AE%E5%AE%97%E6%95%99%E5%9B%9E%E5%B8%B0%E9%81%8B%E5%8B%95.pdf

中国のハーグ判決無視は既定路線で、米国を始めとする国際社会の団結が問われています。国際法を無視する中国のやり方を黙認すれば、南シナ海に止まらないでしょう。東シナ海も支那と名前がついているので必ずや中国のものと言って来る筈です。尖閣が何故中国のもの主張しているかと言うと琉球は日本だけでなく中国にも朝貢していたから、中国の冊封体制にあったというのを根拠にしています。日本が琉球処分したのが1872年~1879年で140年前の話、中国はどこまで歴史を遡るというのでしょう。その当時は漢民族統治ではなく、「大清帝国」で満州族統治でした。今の中国は56の民族からなるというのは事実としても、「大清帝国」が日本の琉球処分について黙認してきた事実を尊重すれば自分のものと言うのは歴史を大事にしないことではないか?中国はいつでも二重基準を多用します。南シナ海内に3000m級の滑走路を3つの島に作られたら制空権が奪われます。アホなことにずっと中国を支援してきた米国には製造物責任があります。すぐにでも「航行の自由」作戦を展開すべき。

英国のEU離脱の国民投票も法的拘束力がないので、本記事にありますように下院を解散して、離脱派・残留派の議員を選び直す形で再度国民の意思を問えば良いのでは。キャメロンの拙劣な政策が齎したものなので。ただEU残留であっても、移民問題は受け入れることはできないでしょう。EU側がそれをどう判断するかですが。

記事

あの「鉄の女」をほうふつさせるメイ首相

 英国の欧州連合(EU)からの離脱は世界に衝撃を与えた。責任を取って辞任したキャメロン首相の後任に、サッチャー首相に次ぐ2人目の女性宰相としてテリーザ・メイ首相が就いた。2代目「鉄の女」には、秩序ある離脱をどう実現するか期待が寄せられるが、あまりに難題が多い。EUとの離脱交渉をうまく進められるか、スコットランドなど国内の独立機運を封じられるか。そして、外資依存の英国経済の失速を防げるかである。この複雑な多元方程式を解き切れるかどうか、なお不透明である。

 「EU離脱により世界で新しく前向きな役割を果たす」。こう言い切るメイ首相は、サッチャー首相にどこか似ているところがある。その髪形からクイーンズ・イングリッシュまで、あの「鉄の女」をほうふつさせる。

Theresa Mary May

髪形、クイーンズ・イングリッシュ…「鉄の女」サッチャー元首相をほうふつさせる、テリーザ・メイ英首相 (写真:ロイター/アフロ)

仏独主導のEC、EU運営に対峙してきたサッチャー

 しかし元祖「鉄の女」の迫力は、こんなものではなかった。1980年代半ば、日本経済新聞のブリュッセル特派員時代、何度もサッチャー首相の記者会見に臨んだことがある。EC(欧州共同体)首脳会議は農業補助金などめぐっていつものように難航した。会議は深夜に及んでようやく終わった。外相を伴って現れたサッチャーは席に着くやいきなり、外相を面罵した。その怒りに記者団は一瞬、氷ついた。EC内での交渉の不手際をさらされた外相は翌日辞任する。

 サッチャー旋風にはジスカーデスタン・シュミット、ミッテラン・コールという仏独連合もたじたじだった。それだけサッチャーは国益をかけて仏独主導のEC、EU運営に対峙してきた。

英国はEC加盟まで12年間も待たされた

 ブリュッセルのユーロクラート(EU官僚)嫌いは有名だし、ユーロの創設や政治統合の動きには徹底して反対した。しかし、その「鉄の女」でさえ、EUの離脱など考えもしなかった。国民投票で離脱を決めた英国政治の大失態を見たら、元祖「鉄の女」は憤っていたはずだ。

 なにしろ、英国はEC加盟まで12年間も待たされた。加盟はいつしか悲願になっていた。盟主であるドゴール仏大統領に2度にわたって加盟を拒否される。加盟できたのはドゴールが亡くなったあとの1973年である。初めから原加盟国(仏、西独、伊、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク)とは差がつけられていた。

 その後もユーロには加わらず、移動の自由を認めるシェンゲン協定にも参加しなかったのだから、EUメンバーとして胸を張れないところがあった。

 第2次大戦後、欧州にはもう2度と惨禍を繰り返したくないという思いから、欧州統合論が高まった。英国のチャーチル首相も「欧州合衆国」構想を唱えたが、それは欧州大陸中心で英国抜きの構想だった。

ドゴールは、英国の離脱を予測していた?

 いまにして思えば、英国のEEC(欧州経済共同体)加盟を拒んだドゴールは慧眼だったといえる。かつてのような覇権国家「大英帝国」ではなくても英国に根付いている大国意識は抜きがたいものがあるとみていたのだろう。いずれ離脱する日がくると読んでいたかもしれない。

 当のドゴールは筋金入りの国家主義者であり、かならずしも積極的な欧州統合論者とはいえなかった。欧州統合の父であるフランスの実業家ジャン・モネとは敵対関係にあったといえる。ジャン・モネが超国家をめざしたのに対して、ドゴールは国家連合にとどめるべきだという立場だった。いまのEUにもジャン・モネ(超国家)流とドゴール(国家連合)流との思想的対立が残されている。骨の髄まで国家主義者だったからこそ、ドゴールは英国の国家主義の展開を読めたのだろう。

EU離脱に12年かかるとの説も

 いまEUにドゴールほどの強面はいないが、メイ政権のEU離脱交渉は容易ではない。加盟にかかった12年間が離脱でもかかるという説まである。メイ首相は離脱交渉で「最良の条件を引き出す」というが、メルケル独首相は「いいとこ取りは許さない」とくぎをさしている。

 メイ首相が6年間の内相時代に力を入れたのは、移民流入の抑制だった。国民投票で示された移民流入抑制という民意を優先しつつ、EUの市場アクセスはこれまで通りにしたいというのがメイ首相のいう「最良の条件」なのだろう。しかし、それこそがメルケル首相の指摘した「いいとこ取り」である。

 EU離脱交渉では「鉄の女」どうしの対決が予想されるが、それだけではない。反EU勢力が台頭するフランスでは、2017年の大統領選を前に、英国に厳しい態度を取らざるをえない。EUの姿勢は厳しく、離脱交渉の難航は必至である。

国民投票で鮮明になった「英国の分裂」

 メイ首相にとって、頭が痛いのは国民投票で鮮明になった「英国の分裂」である。メイ首相は「グレート・ブリテン」としての国民の結束を呼び掛けたが、この国民投票は「グレート・ブリテン」を「リトル・イングランド」にする選択だったといえる。

 EU残留が大勢だったスコットランドは、英国から独立し、EUへの加盟をめざしている。独立のための住民投票を求めることになるだろう。スコットランドの動きには、独立に動くカタルーニャを抱えるスペインが警戒するなど、EU内には反対論がある。しかし、英国のEU離脱はスコットランドの独立とEU加盟の動きに拍車をかけ、英国の分裂につながるのは避けられない。

ロンドンは、シンガポールのような都市国家をめざす?

 合わせて北アイルランドも独立し、アイルランドへの統合に動くだろう。EU残留派が多いロンドンの独立論もある。シンガポールのような都市国家をめざすのだろうか。

 世代間の分裂も深刻だ。高齢層に離脱派が多い一方で、英国の将来を担う若者はEU残留を求めている。若者の反乱が起きれば、英国社会の亀裂は深刻化する。

 EUに依存してきた英国経済への打撃ははかりしれない。英国は老大国から抜け出しEU第2の経済大国としてよみがえったのは、サッチャー政権はじめ改革の成果もあるが、なによりEUとの結びつきが大きかった。英国経済はEUのなかで再生できたといえる。

外資なしには成り立たない英国経済

 英国経済はウィンブルドン現象といわれるほど外資依存の構造になっている。製造業、流通、金融から公共インフラまで外資なしには成り立たない。外資が英国に拠点をしているのは、EUという単一市場を視野に入れているからだ。EU離脱でその最大の利点が失われることになれば、外資は欧州大陸などに拠点を移すしかなくなる。

 ロンドン・シティーの金融センターとしての強みは揺るがないという見方もあるが、はたしてそうか。少なくとも、ユーロ決済センターとしての機能は失われる可能性がある。フランクフルト、パリなど欧州大陸の市場はシティーに取って替わろうとするし、エディンバラ、ダブリンなども金融センターもめざすだろう。金融機能が集積するシティーも決して安泰とは言えない。

 最大の問題は、こうして英国経済が失速し、停滞してしまうことだろう。イングランド銀行は金融緩和を検討しているが、不動産価格の下落が金融システム不安につながる心配もある。景気後退が長引けば、失業問題につながる。せっかくの財政健全化は頓挫し、再び財政赤字に悩まされる。ポンド安は輸出増要因だが、ポンド危機なれば、インフレ懸念が強まる。スタグフレーション(景気停滞と物価高)への道である。

“引き返す勇気”もまた英国のエリートの使命

 世界に広がっているメガFTA(自由貿易協定)の潮流に乗り遅れる恐れもある。米国とEUの自由貿易協定交渉では、オバマ米大統領が警告した通り、EUを離脱する英国は後回しにされかねない。日EUの経済連携協定交渉でも英国の扱いはむずかしくなる。

 内外の様々な難題をどう解決するかメイ首相の手腕が試されるが、その解は簡単には見当たりそうにない。EUとの交渉が難航し、スコットランド独立機運など分裂が深まり、足元の経済は悪化する。そのなかで英国は「大後悔時代」に突入するだろう。

 議会制民主主義の機能を取り戻すため、解散、総選挙で「EU離脱」の是非を問いなおす可能性がないわけではない。メイ首相は「BREXITはBREXIT」と国民投票のやり直しを否定しているが、状況しだいで「新しい判断」が求められるかもしれない。引き返す勇気もまた英国のエリートの使命であるはずだ。

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『勝ちパターンに入ったジョージ・ソロス「人民元売り崩し」の勝算は?』(7/16MONEY VOICE 東条雅彦)について

ソロスは人民元暴落の仕掛け人と呼ばれるようになるのでは。儲け話に対する嗅覚はやはり凄いものがあります。天才ユダヤ人の一人でしょう。

7/15ZAKZAK 田村秀男記事は

金融政策どん詰まりの中国 たどる道は不動産バブル崩壊か資本逃避か…

$ & Renminbi

中国の金融政策が行き詰まった。2008年9月のリーマン・ショック後の高度経済成長の原資になってきた中国人民銀行による人民元資金発行が困難になったからだ。

 習近平政権は元を刷る代わり、国有商業銀行に命じて、融資を急増させる一方で、財政難の地方政府には債券を発行させている。

 グラフはリーマン後の米中の中央銀行資金発行の増加額の推移で、人民元をその時点での対ドル相場をもとに換算して、ドルと比較している。米連邦準備制度理事会(FRB)は金融恐慌回避のために、ドル札を大量発行する量的緩和政策に踏み切った。人民銀行は14年まではドルにほぼ合わせる形で元を増発してきたことがわかる。一国の金融の量を他国に合わせる政策は他に例がないが、中国の場合は一定の条件のもとでは可能だった。

 中国は「外国為替集中制度」と称するドル本位の金融政策をとっている。人民銀行が中国に流入する外貨を商業銀行からことごとく買い上げ、商業銀行に元資金を流し込む。

 商業銀行はその資金を融資に向ける。融資の大半は不動産開発向けであり、経済は開発投資主導で急速に拡大した。構造物への投資を反映するコンクリート生産量は11、12年の2年間合計で、米国の20世紀全体のそれを上回るほどだ。

 高度成長の方程式はしかし、14年秋にFRBが量的緩和政策を打ち切った途端に変調をきたした。流入するドルは激減し、人民銀行は資金を追加発行できなくなったのだ。おまけに、15年後半には上海株価暴落や元切り下げを機に資本逃避が起き、昨年末以降、その年間額は約50兆円に上る。

資本をつなぎ止めるためには、金利引き上げしかないが、不況をさらに悪化させる。そこで、習政権は人民銀行資金の裏付けなしに、商業銀行に年間200兆円規模で融資を増やさせ、再び不動産部門に注入させている。その結果、上海など沿海部の大都市では不動産バブルが再発している。

 他方で、14年に不動産バブルが崩壊したままの地方では巨大なゴーストタウンが残され、不動産開発主体の地方政府子会社は債務返済できない。

 そこで、習政権は年間100兆円規模で地方債を発行させ、その資金で銀行に返済させている。しかし、地方経済は疲弊したままだから税収は減っている。地方債の大半は焦げ付きそうだ。

 すでに銀行の不良債権は約230兆円で融資総額の15・5%、国内総生産(GDP)の20%以上に上ると国際通貨基金(IMF)は推計している。いずれも1990年代前半の日本のバブル崩壊時の銀行不良債権水準を大きく上回っている。上海などの不動産相場が今後崩れ出すと、不良債権はさらに膨らむ。解決策は人民元の大幅切り下げだが、資本逃避は加速し、人民銀行は元を買い支えられなくなる。国際金融界は固唾をのんで中国情勢を見守っているが、なぜか、三菱東京UFJ銀行がこのほど対中大型融資を決めた。>(以上)

実需のない不動産にいくら金を注ぎこんでもバブルになるだけでしょう。不良債権の山となるのは日本のケースを考えれば分かることです。でも日本と違いスケールが大き過ぎます。人民元が大暴落すれば中国経済は破綻するでしょう。外貨建て債務は元換算すれば重くなります。

南シナ海での中国の行動は米中戦争を引き起こしかねません。お互いの面子もあるでしょうから。オバマが宥和政策に陥るかもしれませんが、ハーグ判決で後押しされた米海軍は「航行の自由」作戦を展開したいと思っているでしょう。7/16織田邦男氏の講演で「3000mの滑走路を持った島3つで三角形を作れば制空権は中国が握ってしまう。A2/ADが完成してしまう。ほぼそうなりかけている。次は防空識別圏を設定するのでは」とのことでした。やはり、人民元を暴落させ、経済的に中国に戦争させない、侵略は痛い目に遭うと分からせるようにする方法が良いのでは。講演で織田氏は「尖閣防衛のためには、警察と海保の人材・装備の拡充が喫緊の課題。自衛隊から先に手を出すことは出来ないので」とも仰っていました。

記事

Soros & Mao

今回は世界3大投資家の1人、ジョージ・ソロスの過去の投資行動を検証しながら、「なぜ今ソロスは中国の通貨・人民元に目をつけているのか?」について解説していきます。

イギリスのまさかのEU離脱で、市場は大混乱に陥りました。その後やや落ち着きを取り戻したものの、円高の流れはかなり強烈で1ドル100円付近で推移しています。そのような状況にも関わらずソロスはイギリスのEU離脱についてほとんどスルー状態。やはり本命は「中国経済」なのでしょう。(『ウォーレン・バフェットに学ぶ!1分でわかる株式投資~雪ダルマ式に資産が増える52の教え~』東条雅彦)

【関連】いつまで安全?「リスク回避の円買い」に走る外国人のナニワ金融道=東条雅彦

ジョージ・ソロスは、なぜ人民元を売り崩そうとしているのか

英EU離脱でポンドを売っていなかったソロス

すでにご存知の方も多いかと思いますが、ジョージ・ソロスは、英国の国民投票でEU離脱が決まった6月23日に、ポンド売りを実施していませんでした。

米著名投資家のジョージ・ソロス氏は、英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票の直前に、ポンド安を見込んだ投機取引は行っていなかった。同氏のスポークスマンが明らかにした。

出典:ソロス氏、英国民投票前にポンド安見込んだ取引せず=広報担当者 – ロイター

ソロスは「イングランド銀行を潰した男」という異名を取っています。1992年にポンドを空売りして、15億ドルを儲けました。

この時の印象が強かったため、今回ポンド売りを見送ったことを、市場は意外だと受け取ったようです。

しかし、これは意外なことでも何でもありません。近年、慈善活動などに力を入れていたソロスがトレーディングの現場に戻ってきたのは、「中国の人民元を売るため」です。これはハッキリと断言しても良いと思います。

なぜなら、そもそもソロスは、「半固定相場」の通貨を売り崩して儲けるという手法で富を築いてきたからです。

今、英国のポンドは完全な「変動相場」です。そのため、今回は手を出さなかったのです。

「固定相場」はどういう方法で実現しているのか?

半固定相場制を説明する前に、まず前提となる「固定相場制」について説明します。

固定相場制とは、通貨の交換レートを一定に保っている相場のことを意味します。日本も1971年までは1ドル=360円の固定相場制を採用していました。このような交換レートを一定に保つ方法として、次の2通りがあります。

  • <方法その1>中央銀行が要求される為替取引をすべて受け入れる
  • <方法その2>資金の移動を規制し、固定相場になるようにする

<方法その1>の具体例

当時の日本は<方法その1>を採用していました。

将来的な円切り上げ(円高)を見込んだドルからの円買いに応えて、日銀が「円売りドル買い」介入をしていました。

円を買いたい人が増えると、円高になってしまいます。しかし円が買われる量と同じだけのドルを買えば、価格は動きません。

1ドル=360円という固定相場は、日銀の介入により人為的に作っていたのです。

<方法その2>の具体例

中国は2005年7月までドルに対する固定相場制を採用していました。その時、中国は資金の移動を規制していました。

「中国の元を買いたい!」という人が、「中国の元を売りたい!」という人よりも多くなってしまうと、元の価格が上がってしまいます。

そこで、中国政府は「元を買いたい!」という人が多くなった場合、単純に売らなかったのです。反対の場合でも同じです。売りたい人が多くなった場合も、売らせません。

<方法その1>では、中央銀行が反対売買を行い、売買量を均衡させます。 <方法その2>では、売買量を規制することで価格を固定化させます。

どちらの方法であっても、需要と供給を無理やり均衡状態に持っていくのがポイントです。参考までにコチラの需要供給曲線をご覧ください。

需要が増える/供給が減る → 価格が上がる 需要が減る/供給が増える → 価格が下がる

中央銀行や政府が無理やり需要と供給を調整すると、確かに価格は安定します。

しかし、これはアダム・スミスの「神の見えざる手」に反する行為のため、人為的な相場(=固定相場制)は永久には続きません

天才・ソロスはいつも「半固定相場」を売り崩して儲けてきた

半固定相場とは、固定相場制から変動相場制に移行する際に導入される一時的な仕組みです。

固定相場制の<方法その1>を採用して、通貨当局(政府や中央銀行)が市場に介入します。

ただし、価格が固定になるまで介入を行うのではなく、ある決められた範囲の変動は許すというスタンスです(例:1日2%までの変動を許す)。

1992年ポンド危機と「イングランド銀行を潰した男」の誕生

1992年、イギリスは欧州通貨制度(EMS)に加盟していました。EMSとは、加盟国間で通貨変動が年±2.25%以内に抑えることを原則として、ユーロ導入までの移行期間的システムのことです。

1992年時点ではイギリスも他の欧州諸国と足並みを揃えて、ユーロを導入する方向で進んでいました。そこでジョージ・ソロスは、EMSの「年±2.25%以内に抑える」というルールに着目したのです。

通貨の変動幅を2.25%以内に抑えるために、イギリスは為替介入を行わなければいけません。

ソロスは「相場は必ず間違っている」が持論です!この時も、ポンド相場が実勢に合わないほど高止まりしていると考えていました。

1992年9月には、ポンドへの売り浴びせは激しさを増しました。イングランド銀行はポンドの変動幅を2.25%以内に抑えようと、反対売買のために、ポンドを買い増しします。

9月15日(火)には、激しいポンド売りにより変動制限ライン(±2.25%)を超えてしまいました。

そして、翌日の9月16日(水)にソロスはポンド売りをさらに加速させました。

1992年9月16日(水)に何が起こったか?

・午前11時、イングランド銀行はポンド買いの市場介入に加えて、政策金利を10%から12%へ引き上げました。 →金利が上がれば、ポンドを売っている投資家は逆に金利を支払わなければならず、「ポンド売り」の意欲がなくす効果があります。 →金利が上がれば、単純にポンドを買う動機に繋がります。 →しかしながら、ポンド売りが止まりませんでした。

・午後2時、もう一度、政策金利を引き上げて、15%にしました。 →それでもポンド売りの流れは止まりませんでした。 →ついに、イングランド銀行は自己資金を使い果たしてしまい、ポンドの買い支えができなくなってしまいました。

・午後4時、イギリスはEMSからの脱退を発表しました。 →このような経緯でイギリスはユーロを導入できなくなり、ポンドが生き残りました(結果的にはこれで良かったという声も多い)。

後に、1992年9月16日(水)は「ブラック・ウェンズデー(暗黒の水曜日)」と呼ばれるようになりました。この日からイギリスポンドはドイツマルクに対して、たったの14営業日で約14%も下落してしまったのです。

1997年「アジア通貨危機」とジョージ・ソロスの関係は?

1997年7月よりタイを中心に始まった、アジア各国の急激な通貨下落現象を「アジア通貨危機」と呼びます。

タイ、インドネシア、韓国はその経済に大きな打撃を受け、IMF管理に入りました。マレーシア、フィリピン、香港もある程度の打撃を被りました。

当時、日本、台湾、フィリピンを除くアジアのほとんどの国家は、米ドルと自国通貨の為替レートを固定する「ドルペッグ制」を採用していました。

1995年以降、アメリカ合衆国の長期景気回復による経常収支赤字下の経済政策として「強いドル政策」が採用さていました。アジア各国はこの高いドルとペッグしていたため、自国の通貨が上昇し、その結果アジア諸国の輸出は伸び悩む展開になりました。

ドルペッグ制は「固定相場制」で、中央銀行が無理やり買い支える仕組みです。

「人為的な相場」+「実体経済と通貨価値との乖離」

この2つがセットになった時、ヘッジファンドは当該通貨を売り崩す(ショートする)という投資行動を取って、利益を得ようとします。

マレーシア首相のマハティールは、ジョージ・ソロスをマレーシア通貨のリンギットを下落させたと名指しで非難しました。

ソロスはこの非難について、アジア通貨危機の最中もそれに先立つ数ヶ月間にも、自分はタイ・バーツやマレーシア・リンギットを売ったことがないと説明しました。

これらの通貨が下落しはじめたときはリンギットを買っており、この買いは早すぎたと述べています。

その後、マハティールとソロスは和解していますが、いずれにせよ、人為的な相場である固定相場制・半固定相場制はヘッジファンドに狙われやすいことは確かです。

今、ソロスが売り崩しを狙う人民元「半固定相場制」の弱点とは?

中国の通貨「人民元」は2005年6月まで固定相場でした。1ドル=8.2765元前後に維持されていました。これが2005年7月から「管理フロート制・通貨バスケット制」に移行しています。いわゆる「半固定相場制」です。

前日の変動幅を2%まで許容するというルールで運用しており、それを超える変動があった場合、中国人民銀行が為替介入を実施します。

ジョージ・ソロスは人民元の「半固定相場制」を売り崩して、中国人民銀行が買い支えを実施できないレベルに追い詰めることを狙っています

ソロスだけではなく、世界的に成功している投資家は全て、ファンダメンタルズ分析に基づいて行動しています。

ウォーレン・バフェットもジム・ロジャーズも、運否天賦(うんぷてんぷ)で判断しているわけではありません。

1992年に実施した「ポンド売り」では、イギリス経済はその3年前から停滞していました。

<イギリス 経済成長率の推移>

1986年 3.17% 1987年 5.56% 1988年 5.92% 1989年 2.25% ←ここから経済が失速していく 1990年 0.55% 1991年 -1.26% 1992年 0.45% ←ここでソロスはポンド売りを仕掛けた!

そして今、中国経済のファンダメンタルズは悪化してきています。

<中国 経済成長率の推移>

2003年 10.00% 2004年 10.10% 2005年 11.30% 2006年 11.30% 2007年 14.20% 2008年 9.60% 2009年 9.20% 2010年 10.61% 2011年 9.46% 2012年 7.70% ←ここから成長に陰りが出てきた 2013年 7.70% 2014年 7.30% 2015年 6.90% ←ついに6%台に突入! 2016年 6.49%

さらに次のような報道もなされるようになりました。中国の外貨準備の大幅減少が続いているのです。2016年6月7日のロイターのニュースを引用します。

中国人民銀行(中央銀行)が発表した5月末時点の外貨準備高は3兆1900億ドルで、2011年12月以来の低水準だった。ドル高や散発的な市場介入が影響した。

ロイター調査による予想は3兆2000億ドル、4月末時点は3兆2200億ドルだった。

5月の減少幅は279億ドルで、月間の減少としては2月以来の高水準。

ただアナリストは中国からの資本流出が再開したことを示しているとは限らないと指摘した。

出典:中国外貨準備5月末は3.19兆ドルに減少、11年12月以来の低水準 – ロイター

中国からの資本流出が激しくなってきているというニュースです。日本経済新聞でも同様の報道が行われています(グラフ付きでわかりやすく解説されています)。

2014年時点には4兆ドル弱あった中国の外貨準備は、約2年で3.2兆ドルまで減っています。(2年で2割減)

ソロスもおそらく中国の外貨準備の動向には注意を払っているはずです。なぜなら、半固定相場制では人民元を買い支えるのに「外貨準備」が必要だからです。

いわば外貨準備は人民元を買い支える体力とも言える指標です。

中国人民銀行が前日比2%に収まるように買い支えを実施できなくなった時、人民元はストーンと下落してしまいます。

ソロスがトレーディングの現場に復帰したのは、このタイミングを見極めるのに最も自分が適任だという自覚があるからでしょう。

足元の人民元下落は序章に過ぎず

現在、ドルと人民元の交換レートは1ドル=約6.67人民元です。2014年の1ドル=6.05人民元をピークにどんどん元の価値が落ちてきています。この2年で10%以上も下落しています。

半固定相場制の環境下にいるにもかかわらず、下落幅が大きいです。

しかし、もし中国人民銀行が買い支えを実施できなくなると、もっと大きく下落するはずです。

今回のまとめ

ジョージ・ソロスは「半固定相場」の通貨を売り崩して、儲けるのが得意である。

固定相場制は次の方法で実現している。いずれの方法にしても、不自然な手法である!

  • <方法その1>中央銀行が要求される為替をすべて受け入れる
  • <方法その2>資金の移動を規制し固定相場になるようにする

全ての価格は需要と供給がクロスする点(=アダム・スミスの「神の見えざる手」)で決まる。

人為的に価格を調整する固定相場制、半固定相場制を採用すると、実体経済の価値と市場価格の乖離が発生しやすくなる。

ジョージ・ソロスはこの乖離を突く天才である!

中国の人民元も半固定相場制で運用されているため、ソロスは自分の得意な手法で売り崩しを狙っている。

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『中国、ハーグでやられたら沖ノ鳥島でやり返す』(7/14日経ビジネスオンライン 森永輔)について

沖ノ鳥島について中国は直接国際仲裁裁判所に訴えることはできないでしょう。訴えれば、中国も裁判の結果を受け入れざるを得ないからです。他の国を使って訴えることはありうるかも知れませんが。TVで「沖ノ鳥島で中台接近」とか言っていましたが、意図的に事実を歪め、日台離間を図ろうとしているのでしょう。マスメデイアの厭らしい所です。国民党の馬政権だったら兎も角、民進党の蔡政権です。中国に近づくことはありません。勿論台湾が領有を主張している太平島(南シナ海の九段線内にある)について、国際仲裁裁判所が訴訟当事者でない国の島か岩かを判断はできないという主張です。これを以て中台共闘と言うのは言い過ぎでは。そもそも九段線はルトワックの「チャイナ4.0」の中で、「かつて国民党軍の高官が酔っ払って書いただけ」とあります。92共識と同じくでっち上げです。

日テレニュース 「太平島は岩」判決受け入れられない~台湾 2016年7月12日 23:38

南シナ海の領有権をめぐり、フィリピンが中国を提訴している仲裁裁判の判決で、台湾が南沙諸島で実効支配する太平島について、排他的経済水域を持たない「岩」との判断が出された。これを受けて台湾の総統府は「判決は受け入れられない」との声明を発表した。

記事全文

 南シナ海の領有権をめぐり、フィリピンが中国を提訴している仲裁裁判の判決で、台湾が南沙諸島で実効支配する太平島について、排他的経済水域を持たない「岩」との判断が出された。これを受けて台湾の総統府は、「判決は受け入れられない」との声明を発表した。

 台湾は、南シナ海の島と周辺海域の領有権を主張していて、南沙諸島の太平島を実効支配している。国際的な司法機関・仲裁裁判所は12日、中国が南シナ海で保有していると主張する権利について「法的根拠はない」とする判決を下したが、この中で太平島を含む南沙諸島を排他的経済水域を持たない「岩である」と認定した。

 これを受け、台湾の総統府は、「審理の過程で台湾には仲裁裁判への参加を求められなかった」とした上で、「仲裁案は受け入れられず、法的効力を持っていない」と主張した。

 一方、声明では南シナ海での権利を否定された中国についての言及はなく、南沙諸島については、関係各国で協力して話し合い、平和的に解決すべきとした。

 台湾は、14日から周辺海域の巡視を予定していた海軍の軍艦の出発を13日に早めるなど、関係各国をけん制する動きも見せている。

 今年5月に誕生した台湾の蔡英文政権はこれまで、中国と距離を置き、日本やアメリカを重視する姿勢を見せていた。しかし、南シナ海をめぐり、同じく仲裁案を受け入れない中国に同調する形になり、中国側も「ともに南シナ海の領土主権を守る責任がある」として共闘する姿勢を見せている。>(以上)

韓国も中国同様、沖ノ鳥島を国際仲裁裁判所に訴えないでしょう。訴えれば日本が国際司法裁判所に竹島の領有権で訴えるのは目に見えるからです。韓国にとって南シナ海の問題は関係なく、沖ノ鳥島は反日で喜ぶテーマではあっても、実効支配している竹島で自ら不利になるようなことはしないでしょう。また、米国がそうはさせないでしょう。中国の意を受けて動くことになりますので。

まあ、中国が昔アルバニアを動かし、国連の5常任理事国の一つは「中華民国」ではなく「中華人民共和国」という提案(アルバニア決議と言われます)をしたように、アフリカの弱小国で道理の分からない金塗れの国が提訴するかもしれませんが。

国連なんて腐った機関です。日本人は有難がる人が多いですが、国益を賭けた戦いの場です。理想とは大きくはずれています。中韓はここで日本を貶めようといろんな手を打ってきています。慰安婦や南京虐殺の世界記憶遺産登録とか事実でないものを、証拠をでっち上げてまでやろうとしています。日本も「通州事件とチベット人虐殺」を新しい歴史教科書をつくる会やペマ・ギャルポ氏が中心となってユネスコの世界記憶遺産に登録申請しました。こちらはキチンとした証拠を揃えてです。「やられたらやり返す」のが中国です。日本も上品ぶっているだけではやられ放しになります。「やられたらやり返す」ようにしないと。国民全体で支援していかないと。日本政府は当てにできませんので。

記事

 オランダ・ハーグの仲裁裁判所が7月12日、中国が南シナ海で主張する権利について国際法上の根拠がないとの判断を下した。提訴していたフィリピンの主張をほぼ全面的に認めるもの。ただし、中国の軍事に詳しい小原凡司・東京財団研究員・政策プロデューサーは「短期的には緊張を高めるもの」と見る。(聞き手は森 永輔)

destroyer Lassen

航行の自由作戦に向かう米海軍の駆逐艦「ラッセン」(写真:U.S. Navy/The New York Times/アフロ)

—仲裁裁判所が、中国が南シナ海で取っている行動についてついに司法判断を下しました。小原さんは、どこに注目していますか。

小原:フィリピンの主張をほぼ全面的に認めた、中国にとって非常に厳しいものであったことです。ここまで厳しいものになるとは予想していませんでした。

Bonji Ohara

小原凡司(おはら・ぼんじ)

東京財団 研究員兼政策プロデューサー

専門は外交・安全保障と中国。1985年、防衛大学校 卒。1998年、筑波大学大学院修士課程修了。1998年、海上自衛隊 第101飛行隊長(回転翼)。2003~2006年、駐中国防衛駐在官(海軍武官)。2008年、海上自衛隊 第21航空隊副長~司令(回転翼)。2010年、防衛研究所 研究部。軍事情報に関する雑誌などを発行するIHS Jane’sでアナリスト兼ビジネス・デベロップメント・マネージャーを務めた後、2013年1月から現職。

 最も大きいのは、中国が南シナ海に九段線を示し、その全域に管轄権を持つとしているのを、国連海洋法条約に照らして「全て認められない」としたことです。さらに、中国が主張する歴史的な権利 についても証拠がないとしました。歴史的権利については触れないものと考えていました。

 南シナ海で中国がしている行為が違法であることが、法の支配の観点から明らかにされたわけです。この司法判断は法的な拘束力を持ちます。

—今回の判断は、九段線内の管轄権を否定してはいます。けれども、中国が埋め立てや軍事拠点化を進める個別の礁について、どの国が主権を有しているかは判断していません。岩*1と認められた礁について、中国が主権を主張し軍事拠点化を続けることはあり得るのではないでしょうか。

*1:国連海洋法条約は次のように定めている。島:領海も排他的経済水域(EEZ)も設定できる。岩:領海は設定できるが、EEZは設定できない。低潮高地:どちらも設定できない。低潮高地は、満潮時には水面下に没してしまうものを指す。 

小原:それは言えます。しかし、いくつかの岩で中国が軍事拠点化を続けても、南シナ海全域に影響が及ぶわけではありません。主権が及ぶのはその島の周囲12カイリだけですから。国際社会に影響を及ぼす大きな問題にはならないでしょう。中国が九段線の内側全体、つまり南シナ海のほぼ全域を対象に管轄権を主張していたことが問題だったのです。

中国は決して妥協しない

—中国外交部が出した声明をどう評価しますか。「この司法判断に効力はない。中国は受け入れないし、認めない」「国際海洋法条約の権威を損ない、中国の主権国家としての権利を侵すもので、不公正だ」としています。

小原:「受け入れない」というのは非常に強い態度だと言えるでしょう。

—ということは、中国が妥協することはない?

小原:できないでしょう。具体的な理由は3つあります。まず南シナ海の海底にある資源を放棄することができない。ブルネイやベトナムの周辺に油田があります。このほかにも開発される可能性があります。

 第2に、海上輸送路を保護できなくなる可能性があるからです。

第3は、南シナ海が持つ軍事的な意味です。中国は米国に対する核抑止の最終的な保証は、核兵器を搭載する原子力潜水艦であると考えています。しかし、搭載する弾道ミサイルが米国の東海岸を射程に収めるためには、常にこれを隠密理に太平洋で活動させる必要がある。そのためには南シナ海から米海軍の活動を排除する必要があるのです。

 南シナ海をコントロールできれば、米海軍が中国大陸に近づくことも困難になります。中国は東に向かうと米国と衝突する可能性があるため、西に活動を展開しています。一帯一路政策はその表れですね。中国は、西での経済活動にも軍事的支援が必要だと考え、中国海軍の強化を図っていますが、それでも米国には適わない。米海軍との軍事プレゼンスを均衡させるべく、米艦隊が南シナ海を自由に通過できないようにして力を削ぐことが考えられます。

 具体的な理由とは別に、そもそも中国は今回の司法判断を、「中国の発展を欧米諸国が妨害するもの」と位置づけています。中国は、南シナ海でしていることを正当な権利の行使と考えており、悪いことだとは思っていません。ゆえに、この判断を受け入れません。

 ただし、中国はこの司法判断を無視して、国際社会で孤立するわけにはいきません。欧米諸国が築いた国際秩序を変えると宣言しているからです。実現するためには他の国からの支持が欠かせません。

–孤立できない中国はどのような行動に出るのでしょう。

小原:3つのことを進めると思います。第1は、フィリピンとの和解です。これが成れば、司法判断を問題にする必要がなくなります。

—具体的には、どのような和解条件が考えられますか。

小原:フィリピンに有利な条件での援助や投資を提示するでしょう。新たに就任したドゥテルテ大統領は地方の市長として犯罪を撲滅することで力をつけてきました。次は国政の場で基盤を固めるために、経済を浮揚させること重視すると思います。ここを突くわけです。

 2つめは、「今回の判断は欧米諸国が勝手に言っているだけで、中国の行為は正当である」という主張を支持する国を増やす外交努力です。小さな国ばかりですが、既に60カ国が支持していると中国は言っています。

 特にASEAN諸国には強く働きかけることでしょう。フィリピンにあやかろうとする国が現れかねないからです。今回の司法判断は、フィリピンの主張通りになりました。さらに、中国から多くの援助と投資がやってくるかもしれない。他のASEAN諸国も「提訴されたくなかったら…」と中国に仕掛けることでしょう。

 今回と同様の司法判断が連続することになれば、中国の立場は苦しいものになります。なんとかこれを避けようとするにちがいありません。

 もう一つ注目すべきはロシアとの関係ですね。中ロ関係は相互不信に満ちていますが、中国はロシアを味方に引き込むべく動くでしょう。プーチン大統領は今頃ほくそ笑んでいるに違いありません。もちろん、ロシアは大人ですから表に出てくることはないでしょうが。

—3つ目は何でしょう。

小原:既成事実の積み上げです。フィリピンが中国に対し今回の司法判断に従うよう求めたにもかかわらず、中国が従わない場合、中国を非難する国際世論が高まることでしょう。そうなり中国包囲網が強まる前に、人工島のさらなる造成や軍事拠点化を進めると思います。短期的には緊張が高まる可能性があります。

習近平の意向を恐れる外交部

—日本の岸田文雄外相が「仲裁判断は紛争当事国を法的に拘束する。当時国は今回の判断に従う必要がある」と談話を出しています。「従う」とは具体的に何をすることを指すのでしょう。

小原:「中国は退け」ということです。既に出来上がっている人工島や滑走路を撤去しろとは言わないでしょうが、現状のまま立ち退くことを求めていくことになるでしょう。声明で明らかにしているように、中国が従うことはないでしょうが 。

—中国は、外交辞令として「仲裁裁判所の判断に従う」と言っておき、フィリピンと妥協することで現状を実質的に維持するという手もあったのではないでしょうか。

小原:それはできなかったと思います。王毅外相もスポークスマンも、今回の件に関わった人々はみな習近平国家主席の意向を恐れていますから。

 司法判断を巡って中国の世論は二分されるでしょう。一方は、ナショナリズムを背景に司法判断に反発するもの。もう一方は、中国政府もしくは外交部の失敗を非難するものです。彼らは、「そもそもフィリピンを提訴に至らせたことが失敗だ」と2012年までさかのぼって非難するかもしれないですね。あまり表には出ないでしょうが、中国政府が恐れているのは、この後者のグループです。

 習近平国家主席は第1のグループの側につく確率が高いでしょう。そのほうが国内をまとめ、権力を維持しやすいですから。

—今回の司法判断が中国の内政に影響を及ぼすことはありますか。

小原:あり得るでしょう。来年には人事のからむ中国共産党大会が控えています。中国には習近平国家主席を支持する勢力と、そうでない勢力があります。後者は、習政権を揺さぶる材料があるなら、何でも利用しようと考えるかもしれません。

 権力闘争とは別に、「外交を見直すべき」という意見が出てくることもあると思います。中国は最近、内政に集中する姿勢を示してきましたが、方向転換を促す動きが力を得ることは考えられます。

ハーグでやられたら沖ノ鳥島でやり返す

—仲裁裁判所が「南沙諸島に島は存在しない」と判断したのを受けて、中国が「日本の沖ノ鳥島も岩にすぎない」と主張する可能性が指摘されています。国連海洋法条約は、岩には領海は設定できるものの排他的経済水域(EEZ)は設定できないと定めています。沖ノ鳥島周辺の地下資源に期待する日本とっては憂慮すべき事態です。

小原:その可能性は高いですね。中国はやられたらやり返す国です。

—「やられた」という意味では、日本を非難していますね。今回の判断を下した仲裁裁判所の裁判官は、当時、国際海洋法裁判所長を務めていた柳井俊二氏が任命したものです 。これを「公正でない」として中国は非難しています。

小原:はい。なので、中国が「柳井氏にやられた分を、沖ノ鳥島でやり返す」と考えることは十分にありえる話です。ただし、南シナ海の問題を落ち着かせることが最優先でしょう。中国は、日本はアジアの国であるにもかかわらず欧米諸国のお先棒を担ぐ、と考えて不満に思っています。

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『「良心的知識人」の相次ぐ自殺が示す中国の混沌 もはや「うつ病による自殺」では覆い隠せない』(7/13 日経ビジネスオンライン 福島香織)について

習近平による第二次文化大革命orその前に起きた百花斉放・百家争鳴後の反右派闘争が行われているということでしょうか?文革時に入水自殺した老舎を思い出させます。毛沢東時代より悪くなっているのは、権銭交易で格差が極端に開いたことです。少なくとも毛時代は平等に貧しかった時代です。造反有理の紅衛兵の狂気の時代ではありましたが。

「双規」で追い込まれるというのは、人民解放軍と同じく党の機関が上という事です。中国大陸は中国共産党に乗っ取られたという事です。共産主義は人類を不幸にするシステムです。基本的人権である自由が認められません。知識人が自由に発言することが許されません。権力者に阿ることが要請されます。日本のリベラル知識人はどこまで分かっているのでしょう。以前柏で池内紀の講演を聞きましたが、開口一番「自分は反体制派」と言って一発で興ざめになりました。東大の教授は権力者に阿るのではなく、時流に阿ているのではと感じました。我が身を常に安全地帯に置いて、政府を批判するだけ。こういうタイプは戦前戦中に生きれば軍部に対して何も発言しなかったでしょう。自由を守るための戦いなんてしないと思います。所詮は処世術のうまい輩でしょう。他国を侵略する中国非難の声を上げているなんていうことは聞きません。

http://kinbricksnow.com/archives/51862787.html

今回の参院選で共産党の議席が伸びたのも深く考えずに投票しているのではという気がします。「人殺し予算」発言で当初予測された議席ほどには伸びませんでしたが。先進国で暴力革命を容認している共産党が議席を持つことはありません。容共GHQの洗脳の呪縛がまだ続いているという事でしょう。

記事

 顔見知りの人の不審な死というのは、心をざわつかせる。それも立て続けとなると、気になってしかたない。

 共産党理論誌「求是」の朱鉄志・副編集長が6月25日に自殺した。求是編集部の地下にある駐車場で首をつったという。会合の場でお会いしたことがある。私が新聞社をやめた翌年の春節、フリーランスになった旨を知らせる言葉をそえて春節カードを送ったら、「どこでお会いしましたか。覚えていないのだが」と、返事を添えたカードが返ってきた。律儀な人であった。うつ病の気があったと言われていた。

 その前の6月18日、元外交官の呉建民氏が湖北省武漢で午前4時、交通事故で死亡したのも衝撃を受けた。武漢大学での講義のための移動中、中央分離帯に衝突、同乗の教授も死亡し、運転手は負傷した。原因は運転手の睡眠不足、疲労による運転ミスだといわれている。

 お二方とも特に親しいわけではないが、北京駐在記者時代には一度となくお会いし、名刺を交わした。比較的、外国人記者に受けのよい、開明派の知識人である。そういう改革派、開明派の知識人の死というのが、結構最近多いような気がする。そう思いはじめると、本当に自殺なのか事故死なのか、気になってくる。

開明派の渾身のヨイショ原稿

 朱鉄志について、簡単に紹介したい。

 1960年吉林省通化生まれ。北京大学哲学科を卒業し、随筆家・雑文家として、また「紅旗」や「求是」など共産党中央誌で編集者として、活躍した。その筆致はユーモアと思索に富み、魯迅文学賞も受賞したことがある。もちろん優秀な党員である。

 思想的には開明派、改革派であるが、習近平政権になってからは2014年8月12日に「習近平総書記に文風(文学スタイル)を学ぶ」と題した、渾身の習近平ヨイショ原稿なども寄稿している。私が記者として駐在していた当時の原稿と比べると“らしくない”ものが多かった気がする。彼は、「紅旗」記者時代、左傾思想、毛沢東主義を批判してきた雑文の大家、牧恵の薫陶を受け、少なくとも習近平政権前は、党の封建主義的な部分を批判していたし、改革開放と自由を重視していた。

 自殺の約10日前の6月16日、北京市雑文学会と検察日報が北京で主催したネット時代の雑文創作についてのシンポジウムの席で、朱鉄志は「雑文にいかに“党性”を表現させるか」というテーマについて、次のように語っていたそうだ。

 「党刊(党の刊行物)に身を置くからと言って真理の化身を代表するわけではない。…やはり民衆の中に深く入っていき、民衆の視点からの観点で、党性と人民性を有機的に統一させねばならない」

「注意しなければ転げ落ちてしまう」

 この言葉の真意についてはいろいろ考えられるが、党の世論に対するコントロールの厳格化に対しての不満を漏らした発言ともとられる。今の党は人民性を持っておらず、人民を上から押さえつける存在でしかない、と。このとき「雑文を書くのは高層ビルの建築現場で作業するようなもの。安全に注意しなければ、足場から転げ落ちてしまう」といった意味深な発言をしていた、と一部メディアは伝える。またいくつかの会合で「知識分子として最も恐ろしいことは独立した人格、独立した見解、独立した表現の欠如だ」といった発言も繰り返していたそうだ。

 自殺した日時は錯綜しているが、25日らしい。「求是」編集部のあるビルの地下駐車場で首つり自殺をした。日中、彼は編集部に姿を見せず夜9時ぐらいにやってきた。日付を超えてから、地下の駐車場で首をつっているのが発見された。

 この件を最初に報じたのは、友人で作家の劉緒義によるSNS(微博)上での発信だが、すぐにこの発言は削除された。つぎに財経ネットが「朱鉄志が自殺」と報じ原因を「うつ病」「理念と現実のギャップ」などとする友人の証言を紹介したが、すぐに削除された。

 人民日報ネットは26日、「6月25日未明、不幸にもこの世を去った」と報じた。自殺とは書いてなかったが、「全国各界の雑文学会、雑文家たちが次々と驚きと沈痛を表明している」と書き、不正常なものであることをほのめかしていた。

 朱鉄志の死の原因についてはさまざまな憶測も呼んだ。

 一般にはうつ病による自殺説が主流だが、その背景として朱鉄志に精神的抑圧を与えた政治事件が疑われている。根拠は先にあげた生前の彼の発言や、習近平政権以降に増えた習近平におもねる文章の多さ。書きたいことを書けず、自分の心に染まぬものを書かねばならないことに苦しんでいたのではないか。4年前に人民日報副刊の編集長である徐懐謙がうつ病で自殺したとき、朱鉄志は自分もうつ病であり、最近、すこし症状が改善した、と語っていたといった知人の証言も報じられている。習近平政権になって、個人の理念と、現実の乖離が彼を苦しめたのだ、という説が有力である。

 また、最近、無期懲役の一審判決を受けた胡錦濤の側近の官僚政治家、元中央統一戦線部長の令計画の事件と関係あるのではないか、という説もある。

 令計画は2014年、汚職容疑で失脚して取り調べを受けていたが、その直前、「求是」誌上に令計画の寄稿文が掲載されていた。「党の喉舌」とされる中央誌で失脚寸前の令計画の寄稿が掲載された背景がいろいろと疑われ、2015年に「求是」は中央規律検査委巡視隊の立ち入り検査を受けている。

 このとき、「個別の文章の掲載が政治的にコントロールできておらず、漏れがある。同時に原稿の掲載において“人間関係問題”がある」と指摘されていた。当時の求是総編集長の李宝善は令計画と同郷の山西省出身者であり、朱鉄志と李宝善の関係も深かったので、令計画の原稿掲載に朱鉄志もかかわっていると疑われていた。党の意向ではなく、人間関係からくる義理人情を優先して、令計画の寄稿を掲載したことで、中央規律検査委から責められ心理的圧力を受けていたことが、“うつ病”を悪化させたのではないか、とも言われている。

いずれも「うつ病による自殺」

 ただ、こうした事件を、うつ病による自殺の一言で片づけてよいのだろうか。

 というのも、近年、知識人の不正常な死はあまりに多いのだ。朱鉄志の死とも関係あるのでは、と噂されている2012年8月22日の徐懐謙の自殺。彼は人民日報副刊「大地」の編集長で、北京大学卒、社会科学研究院文学修士をおさめ、文人エリート街道を順調に進んできた。44歳の彼が午後2時、自宅から飛び降り、死亡した。これも当時、原因はうつ病と報じられた。2014年8月28日、ジョージ・オーウェルの「1984」やサリンジャーの「ライ麦畑で捕まえて」などの訳書がある広州の翻訳家の孫仲旭は41歳の若さで自殺した。中国翻訳界の大損失と嘆かれたが、彼の死因も「うつ病」の一言で片づけられた。

 今年2月19日、上海華東師範大学政治学部講師の江緒林が首つり自殺した。彼は天安門事件のとき、北京大学研究生(哲学)であり、天安門事件を紀念したことで逮捕された過去もある。死ぬ前に手書きの遺書の写真を微博にアップしていた。内容は財産を姉に譲渡することなど自分の死後の処理に対する願いと、キリスト教徒である自分が自殺することの後悔、そして「(死ぬのが)怖いので白酒を飲もう」という一文で締めくくられていた。思想的に現在の政治環境に耐えられず、また過去の逮捕歴などがあり、学内の仕事においても抑圧を受けていたのではないか、と噂されていた。

「史学の奇才」の呼び名も高かった天才高校生・林嘉文は今年2月23日に自殺した。1998年生まれ、陝西省西安高校の現役高校生でありながら、数十万字の学術著作の執筆を続け、「当道家統治中国」「憂楽為天下」といった漢時代や北宋時代の政治思想に関する著書を立て続けに出版し、学会からは新中国建国以来、最年少学者の登場、と期待を寄せられていた。だが彼は18歳の若さで飛び降り自殺した。うつ病が原因とされている。

悲しみと絶望から抜け出せない

 開明派知識人の論文寄稿ネットメディア・共識網では、朱氏の友人でもある梁河東がこんな文章を寄稿している。

 「…年初、上海華東師範大学の江緒林が亡くなった。林嘉文も逝った。他にも学界文化界のエリートが自殺している。…このように多くの中国の知識分子が不帰路の選択をしていることを私は深く認識している。朱鉄志が死んだことは、彼の職務と役割を考えれば、驚くべきことだろう。彼には才能と名誉があり、まったく惜しまれる。しかし、あまたの文化人の自殺の中で、彼もその一人に過ぎない。

 現在、我々は朱鉄志がなぜ自死したのかを問わねばならない。うつ病だったというのが最も都合のよい解釈だろうが、しかし理由は別にある。

 我々の伝統文化のDNAには一種の悲しみと絶望があるのだ。この種の悲しみと絶望に知識人たちは体も魂も浸りきり、自力で抜け出すことができない。

 最も有名な(知識人の)自殺者は戦国末期のロマン主義詩人・屈原だろう。愛国においても、自殺においても彼はリーダーであった。屈原は楚国が秦国に滅ぼされることを予測し、その結果を受け入れがたく、汨羅江に身を投げた。彼は王朝のために死に、究極の理想とともに心中したのだ」

 サウスチャイナモーニングポストなど香港メディアが報じたところによると、習近平政権時代に自殺など不審死を遂げた官僚が120人以上という。官僚とは、大学を出て、体制内で公務員として働く体制内知識人の総称とすれば、これも知識人の自殺増加の根拠といえるだろう。

 官僚の“不正常死”は2003年から2012年の胡錦濤政権時代は68件あったが、これと比べると実に倍近くということになる。

 理由は習近平政権の反腐敗キャンペーンとみられている。苛烈な取り調べを受けている過程で、精神的に追い詰められため、あるいは同僚や家族を守るために“自殺”を選択せざるを得ない場合があるのだという。ちなみに中国の官僚システムにおいて、まったく汚職をせずに済む官僚、党員はいないといって過言ではない。そして、彼らの汚職が暴かれ、追及されるのは、公平な法の裁きによるものではなく、習近平政権にどのくらい疎まれているか否か、という物差しで行われる。

 2015年8月に中国人民最高検察院名義で「八項目の禁令」(贅沢禁止など、共産党員の綱紀粛正命令)を発布した。このあと官僚、党員の自殺者が急増している。だが、綱紀粛正と官僚・党員の自殺者の急増には因果関係は証明されていない。なぜなら、公式には原因は「うつ病」だからだ。

 「ボイスオブアメリカ(VOA)」が、この件について、米国に拠点をおく華字メディア・米明鏡集団総裁の何蘋の興味深いコメントをとっている。

 「法医調査も何もないので、彼らが一体どのように亡くなったかは、我々にはわからない。一般に中国の官僚の死はみな、うつ病と処理される。うつ病で死ねば、死後に調査されず、メンツも失わないで済む。家に汚職で築いた財産があっても、うつ病では追及されない。…真相を隠蔽するのは中国共産党の一貫したやり方で、彼らの本当の死因を知る方法はない。いろいろな噂が流れるだけだ」

 多くの自殺者、あるいは交通事故など不審な死の中には、自殺もあるだろうし、ひょっとすれば謀殺もあるかもしれない。だが、その原因は「うつ病」「不幸な事故」の一言で済ませていいものではない。

知識人の死は、中国の死だ

 過去、知識人や官僚の間で大量自殺があったのは、文化大革命の迫害時代であった。習近平政権下では、文化大革命時代ほどあからさまではないにしろ、同じような“迫害”がひたひたと彼らに押し寄せているということではないだろうか。

 一党独裁体制の中国共産党が体制外の知識分子を国家扇動罪、国家分裂分罪のレッテルを張って迫害することは今に始まったことではないが、体制内の良心的知識人への迫害がここにきて急加速していると、私は感じている。これはゆゆしきことだ。体制外にも体制内にも、今の中国の行方を真剣に考え、道を過たぬよう世論を喚起する良心も知性も失われてしまうということだ。

 迫害に抵抗するものは失脚させられ、あるいは謀殺され、命を惜しむものは良心を失い惨状を見ないふりをして、物言わず、サボタージュを決め込む。抵抗するほど強くもなく、サボタージュするには責任感の強すぎる、善良な知性をもつ官僚や党員が死に追いやられる。

 肉体の死にしても、口と目を閉ざす魂の死にしても、知識人の死は、中国の死だ。彼らが死の急増に、中国は再び混乱と停滞の時代に突入するという予感がしてならない。

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『不認南海仲裁 習近平傳下令「準備開戰」(南シナ海の仲裁裁判は認めず 習主席は「開戦準備」を下命)』(7/12自由時報/台湾)、『南シナ海問題でまさに四面楚歌の中国 必死の強弁&抵抗まとめ』(7/13ZAKZAK)について

自由時報記事

Xi's encouragement for military force

針對美軍可能藉南海仲裁結果出入中國控制的南海海空域,傳中國領導人習近平已下令軍方準備作戰。(圖擷取自網路)

2016-07-12  13:48

〔即時新聞/綜合報導〕菲律賓向海牙國際法庭提出南海仲裁,全案將在今天(12日)宣判,中國軍方有消息人士向海外媒體透露,中國領導人習進平已經下令「準備作戰」,要求解放軍「不惜一戰」捍衞南海主權和領土完整,目前南部戰區包括南海艦隊、空軍、火箭軍,已經全部進入戰前狀態的一級戒備。

根據《博聞社》報導,消息人士指出,中國高層對於南海仲裁,早已做出「不利於我」的判斷,公開表明「不參與、不接受、不承認、不執行」的立場,但面對已在南海陳兵2個航空母艦戰鬥群的美國,極有可能以「航行自由」之理由出入中國控制的南海海空域,中方認為若屆時僅止於外交口頭抗議,不但說服不了民情民意,更是對習近平為首的新一屆中央軍委的奇恥大辱,因而已下令解放軍「做好一切準備」。

消息人士還說,為了加強南海艦隊實力,北海艦隊、東海艦隊多艘飛彈驅逐艦、護衞艦,已經以參加年度演習之名前赴南海,加入南海艦隊,由南部戰區統一調遣;火箭軍的東風-21D中程彈道飛彈,也已經向南部戰區移動;另外,南部戰區司令王教成、海軍總司令吳勝利、政委苗華、中央軍委聯合參謀部副參謀長王冠中4名上將,也已經全部藉「指揮演習」之名進駐南海前線,部署作戰準備,並獲得「可以開戰」的授權。

知情人士進一步分析,對於習近平的備戰令,中國政軍高層「一致同意」,因為「大砲一響,黃金萬兩,自古如此。」而習近平本人也企圖「打一下」樹立威信,同時轉移國內矛盾。知情人士直言,「如果美國軍艦戰機無視北京警告,在南海仲裁後一意孤行,挑釁中方的南海主權,進入中方控制的島嶼12海里領海範圍,擦槍走火勢勢所難免。」

(翻訳)

米軍が南シナ海の仲裁裁判の結果により中国の南シナ海の管理空域に出入りするだろうという件に対して、中国の指導者である習近平は軍に「戦争準備」を下命した。(写真はネットより取る)

2016-07-12   13:48

(リアルタイムニュース/総合報道)

フィリピンがハーグの国際法廷に南シナ海の仲裁を委託し、訴状の全案件の判決が本日出されるので、中国軍の情報筋が海外メデイアに明らかにしたところでは、「中国の指導者である習近平は軍に「戦争準備」を下命し、南シナ海の主権と領土保全のために「戦いを躊躇わない」よう要求した」と。目下南部戦区の南海艦隊、空軍、ロケット軍全部が戦争準備段階の1級レベルにある。

博聞社の報道によれば、情報筋が示したのは「中国の上級幹部は、本仲裁はとっくに自国に不利と知っており、次のように表明した。「(4不):参加せず、(結果を)引き受けず、認めず、実行せず」」。米国は今まで2個空母艦隊が南シナ海に展開してきた。可能性は低いと思うが、米国が「航行の自由」を理由に中国の管理空域に出入りすれば、中国は「もしそうなれば、外交上の口頭抗議に止めれば民衆の感情にそぐわないだけでなく、更に言えば中央軍事委主席として初めて臨む習近平にとって、大恥をかかせることになる。それで解放軍に「一切の戦争準備をせよ」と命令した」と考える。

情報筋は更に「南海艦隊の実力を強化するため、北海艦隊・東海艦隊(ミサイルを積んだ多くの駆逐艦や護衛艦)は既に南シナ海に赴く前に、年度演習に参加していたが、南海艦隊に組み入れられ、南部戦区が統一運用する。ロケット軍の中距離ロケットの東風21-Dは既に南部戦区に配備済。その他、南部戦区の司令官王教成、海軍総司令官呉勝利、政治委員苗華、中央軍事委員会聯合參謀部副參謀長王冠の4名は大将で、指揮演習の名を借りて南シナ海前線に駐留し、作戦準備にあたり、開戦の権限を授与された。

情報筋は更に踏み込んで、中国の政治・軍の上級幹部は習近平の戦争準備に同意、何故なら「大砲が一度鳴り響けば、黄金万両の値打ちになる。(現実は権銭交易で大砲を打たない方が金が稼げる)。古よりこうであった」と。かつ習近平本人は(敵に)打撃を与えることにより威信を高め、国内の矛盾を転嫁しようとしている。情報筋は「もし米軍の艦隊や戦闘機が北京の警告を無視して、南シナ海の仲裁後勝手に動けば、中国の南シナ海の主権を挑発したことになり、中国の管理する島々の12海里に入ることがあれば、火を見ることになるのは明らかである」と述べた。

ZAKZAK記事

国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所が南シナ海を巡る中国の主張を全面的に否定する判断を出したことで、厳しい立場に追い込まれた中国。政府機関、メディアは一体となり自国の主張を繰り広げるが、国際社会の目は冷ややかでまさに四面楚歌の状態だ。

■米国務省、仲裁判断の尊重促す

 米国務省は12日、南シナ海問題で仲裁裁判所が判断を示したことについて「中国とフィリピンの双方が義務に従うことを期待する」とのカービー報道官の声明を発表し、判断を尊重するよう促した。

 米政府は中国が南シナ海に防空識別圏を設定するなど対抗措置を取ることを警戒しており、声明で「全ての当事者が挑発的な言動を慎むよう求める」と、中国をけん制した。

 声明はまた、仲裁判断は「南シナ海問題の平和的解決へ重要な寄与をする」と強調。関係国に国際法に基づいて海洋権益を主張するよう求め、「脅しや圧迫」を行わずに問題を解決すべきだと訴えた。

 一方、ロイス下院外交委員長は中国が仲裁手続きを拒否したことに「極めて失望した」とする声明を発表した。

■豪外相、判断に従うよう呼び掛け 「評判を大きく落とす」と警告

 南シナ海問題を巡る国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所の判断を受け、オーストラリアのビショップ外相は12日夜、判断には「法的拘束力がある」として、中国とフィリピンに対し従うように呼び掛ける声明を出した。

 ビショップ氏は、今回の判断について「地域が(領有権を巡る)対立を平和的に扱うことができるかどうかのテストケースになる」と指摘。全ての関係国が対話を再開し、領有権問題を平和的に解決する「好機」になると訴えた。

 また13日のラジオ番組で、中国が判断を無視すれば「国際的な罪として、評判を大きく落とす」と警告した。

■比前大統領「国際法順守を」とけん制 ドゥテルテ大統領は…

 南シナ海問題を巡り国連海洋法条約に基づく仲裁手続きを在任中の2013年に申し立てたフィリピンのアキノ前大統領は13日、仲裁判断について「この問題について意見を述べた全ての国は、国際法順守を表明しているはずだ」と強調し、仲裁判断受け入れを拒否している中国を強くけん制した。

 南シナ海問題で中国に対し厳しい姿勢で臨んできたアキノ氏に対し、中国との2国間対話を模索するドゥテルテ大統領は依然、見解を示していない。アキノ氏は仲裁手続き申し立てについて「(中国が反発し)事態の大展開を招くと見なされていたので、簡単な決断ではなかった」と、3年前を振り返った。

■印外務省「脅しや武力使うな」

インド外務省は12日、南シナ海問題を巡り仲裁裁判所が中国の主張を退ける判断を示したことについて「脅しや武力ではなく平和的に紛争を解決するべきだ」と表明した。名指しは避けたが、中国に批判的な姿勢をにじませた。

 声明では、国連海洋法条約など国際法を尊重するよう関係各国に促すとともに「南シナ海を通るシーレーンは平和と安定、発展のために非常に重要」と指摘した。

 インド外務省は当初「注視する」との短い声明を出していたが、その後踏み込んだ。

■パキスタンは中国支持

 パキスタンの英字紙エクスプレス・トリビューンは13日、南シナ海問題で中国の主張を全面否定した仲裁裁判所の判断を受け、パキスタン外務省報道官が「中国が成し遂げてきた努力を十分に尊重すべきだ」と述べ、中国への支持を表明したと報じた。

 パキスタンは隣国インドとの対立により、中国とは緊密な関係にある。

 報道官は声明で、仲裁判断に対する評価は避けながらも「直接関係する国同士の交渉などにより平和的に解決されるべきだ」と主張した。

■マレーシア外務省、判断「支持」言及せず 中国と良好な関係

 南シナ海で一部の領有権を主張するマレーシアの外務省は13日未明、仲裁裁判所が出した判断を「留意する」とした声明を発表した。仲裁判断を支持するかどうかには言及していない。

 声明は12日付で「マレーシアは全ての当事国が、外交や法の手続きを尊重して平和的に争いを解決することを信じる」と強調した。

 マレーシアのナジブ政権は中国と良好な関係を保っており、対中強硬派のフィリピンとは距離を置いている。政権の影響下にある主要紙の電子版は12日夜時点で、通信社電を掲載、自社の論評や解説は伝えていない。

■NHKニュースは2度も真っ黒に

 南シナ海問題で中国の立場を「法的根拠がない」などとした仲裁裁判所の判断を伝えたNHK海外放送のニュース番組が12日夜、2回にわたり1分近く中断した。画面が真っ暗になり音声が聞こえなくなった。当局による検閲が行われたとみられる。

 中国当局はチベットなどの少数民族問題や人権、領土問題などで外国の衛星放送を検閲しており、米国や日本の海外放送が中断することは珍しくない。

■統計発表遅らせて南シナ海問題を主張

 中国政府は13日、今年上半期の貿易統計を発表する記者会見を、通常より5時間遅れの午後3時(日本時間同4時)に開いた。時間変更を前日夜に突然公表し「午前中に南シナ海に関する記者会見が入ったため」と説明。国際的に注目される重要統計の発表を後回しにし、南シナ海での主権を主張することを優先させた。

 中国政府は3カ月に1度、中国税関総署の幹部が貿易総額などを発表する会見を、午前10時から開いている。ただ13日午前は同じ会場で、国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所の判断を批判する会見を急きょ開いた。

 中国の貿易統計は、減速している中国経済の状況を見る重要な指標として注目を集めており、各国の株式相場にも影響する。主要国ではこうした重要統計は時間通りに発表するのが一般的だ。

■南沙で試験飛行 領有権を誇示する狙い

 中国政府は12日、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島のミスチーフ(中国名・美済)礁とスービ(渚碧)礁に造成した飛行場で、民間の軽飛行機を使った試験飛行を実施した。国営通信、新華社が伝えた。国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所が同日、中国の主張を否定する判断を示したことに対抗し、領有権を誇示する狙いだ。

 中国はミスチーフ、スービ両礁のほか、ファイアリクロス(永暑)礁も埋め立てて人工島を造成し、3千メートル級の滑走路を整備。ファイアリクロスでも1月に民間航空機を使って試験飛行している。

 新華社電によると、今回の試験飛行を通じ、二つの飛行場では旅客機が安全に運行できると確認。南沙諸島への人の往来や医療救護のほか、南シナ海上空を通過する航空機の緊急着陸にも利用できるとしている。

■南シナ海博物館オープンへ

 中国英字紙チャイナ・デーリーは12日、南シナ海での中国領有権主張の根拠を示す資料を展示する「国家南シナ海博物館」の建設が南シナ海に浮かぶ中国・海南島(海南省)で進められていると報じた。同省で来年開かれる国際会議「博鰲アジアフォーラム」の年次総会に合わせてオープンするという。

 同紙によると、プロジェクト責任者は「博物館は領有権を示すプラットフォーム(基盤)となる」と発言。仲裁裁判所の判断後も領有権の主張を続ける姿勢を示した。 昨年11月に着工、今年末に完成する。中国と東南アジアやアラビア半島、アフリカ東岸を結んだ海上シルクロードの歴史的資料を展示し、中国が進める現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の研究などにも活用する計画だ。

■米国に強烈な不満

 中国外務省の陸慷報道局長は13日までに、南シナ海を巡る仲裁裁判所の判断について中国とフィリピン双方が従う義務があるとしたカービー米国務省報道官の声明について「強烈な不満と断固とした反対」を表明、「米国側に厳正な申し入れを行った」と述べた。

 報道局長は、米国が「南シナ海問題での挑発行為」を中止するよう求めると強調した。

■日本の大使館幹部に抗議

 中国外務省が12日夜、南シナ海問題を巡る仲裁裁判所の判断に従うよう求めた岸田文雄外相の談話を受け、北京の日本大使館の公使を呼び出し、抗議していたことが分かった。複数の日中関係筋が13日明らかにした。中国は米国にも「厳正な申し入れ」をしており、仲裁判断の受け入れを迫る日米両国との対立が深まった。

 中国国務院(政府)新聞弁公室は13日に発表した南シナ海問題に関する白書で「中国人民は南シナ海で2千年余り活動してきた歴史があり、中国の主権と権益は歴史的にも法的にも十分な根拠がある」と改めて強調、中国の主張を否定した仲裁判断は「無効だ」として実効支配を正当化した。

■米主要紙は実効性に疑問を呈すも、中国に苦言

 国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所が南シナ海を巡る中国の主張を全面的に否定する判断を出したことについて、米主要紙は12日、実効性に限界があるとして、南シナ海の緊張が高まらないように米国などに外交努力を求める論評を掲載した。中国には過激な対抗措置を取らないよう促した。

 ニューヨーク・タイムズは社説で、中国の習近平国家主席が、南シナ海での人工島建設の強化や、防空識別圏設定などの挑発的な対抗措置を取れば「愚か」で、軍事衝突の危険性が高まると指摘した。

 ウォールストリート・ジャーナルの社説は「米国が唯一(判断に従わせる)強制力を持つ存在だ」と強調。外交努力のほか、中国が領有権を主張している島々の周辺に艦船を派遣する「航行の自由」作戦の範囲や頻度の強化を提言した。オーストラリアや欧州による作戦参加も可能だとした。(共同)

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『バングラテロの現場になぜ中国人はいなかったのか テロの脅威がすぐそこに、早急にリスク回避の対策を』(7/12JBプレス 姫田小夏)について

中国人は外国でも固まって住みます。金が中国人同士で回るようにするためです。世界にチャイナタウンは数多くあれど、ジャパニーズタウンというのはありません。コリアタウンと言うのもありますからやはり似たような民族なのでしょう。宗主国・属国の関係なのでしょうけど。リトルトーキョーは今や日本を売りにした中国人や韓国人が多いとのこと。どこまでも他人の褌で相撲をとる連中です。日本も池袋とかチャイナタウンと化し、治安が良くない感じです。

昨日の英語の授業で、バードウオッチングする人から「手賀沼の白鳥が1/3に減った。何故だか分かりますか?」との質問がありました。柏に住む中国人が釣りと同時に白鳥を捕えて持ち帰り、食べるそうです。見た人が警察に通報したのですが、行犯でないと逮捕できないとのこと。小生から「中国人は机以外の4ツ足、2ツ足は皆食べる。鳩も深圳では良く食べられていた」と紹介しました。先生から「人は?」と質問があり、「当然食べる。今でも広東省の金持ちは嬰児を食べている」と答えました。一同信じられない様子でしたが。日本人とは発想・行動が全然違うという事です。中国人のカキ爆採りと言うのもあったようです。7/4TV「とくダネ!」から

<「とくダネ!」では、日本中で買い物をしまくる、中国人の『爆買い』をお伝えしてきた。 しかし今、東京湾沿岸では中国人の『爆・潮干狩り』でトラブルが発生しているという。その実態は…?

Edo River-1

千葉県市川市を流れる江戸川の河川敷では、山積みのスーパーのカゴで取った貝を運ぶ中国人の姿。 お目当ては、ハマグリによく似た「ホンビノス貝」や、中国でも人気の食材である「カキ」。 地元の日本人はあまり食べないが、実は、江戸川や東京湾には昔から「カキ」が自生しているのだ。 中国人が大挙して潮干狩りに来るようになったのは、ごく最近。 この場所で貝をとる事は問題ではないが…「無料で潮干狩りが出来る」とネットで紹介されて以降、中国人にも知れ渡り、トラブルが相次いでいる。

Edo River-2

砂浜に捨てられた大量の「カキ」の殻。これは、中国人が河川敷で『爆・潮干狩り」をした結果だというが…あまりにもヒドイ。近くにはバーベキューや川遊びを楽しむ場所があり、すこし前に転んだ子供がカキ殻で手を切り、救急車を呼ぶ騒ぎも起きている。

Edo River-3

さらに、近くにある公衆トイレでは、トラブルが続出。 中国人が地元住民の注意を無視して、足に付いた泥を洗うため排水管が詰まってしまうというのだ。 結局、殻や砂の掃除に地元住民が追われる始末…。

Edo River-4

千葉県船橋市『三番瀬』という干潟でも、マナー違反をする中国人がいた。画像の青いラインより先は、立ち入り禁止地域なのだが…中国人らしき2人が侵入しているのがわかる。この行為は“密漁”。 取材班が、立入禁止エリアに侵入する中国人を直撃すると!驚きの答えが返ってきた。 スタッフ 「これってどちらで獲られていましたか?」 中国人女性「(杭より)前です」 スタッフ 「奥の方へ行ってましたよね?」 中国人女性「…」 取材スタッフがしつこく注意すると、二度と密漁はしないと約束して、貝を置いて立ち去った。 中国人らは、「日本人マネをしただけ…」と答えるが、まだまだ、『爆・潮干狩り』トラブルは続きそうだ。>(以上)

本当に中国人は世界に迷惑をかける民族というのが分かるでしょう。南シナ海の問題のように国際ルールも何もあったものではありません。政府から個人に至るまで自己中、「他人のものは俺のもの、俺のものは俺のもの」と主張する民族ですから。ルールを守ることを初歩から教えないと。

中国人の良く行くレストランと白人・日本人の良く行くレストランは自然と違うようになると考えています。何せ中国人は汚過ぎ、騒ぎすぎですから。子供にそこいらで排泄させるのも当たり前、食べたものの殻をはき散らす等目も当てられません。日本人は十字軍と同じ扱いになって殺害されたのでしょうけど、中国人も異教徒です。神を信ぜず、金だけを信じる民族ですので。でもウイグル人の虐殺が広くイスラム教徒に知られるようになれば安泰ではありません。

記事

soldiers in Dhaka

バングラデシュの首都ダッカで起きたレストラン襲撃事件で、人質救出作戦に出動した軍の兵士たち(2016年7月2日撮影)。(c)AFP〔AFPBB News

 7月1日の夜、バングラデシュの首都ダッカ中心部のレストラン「ホーリー・アルティザン・ベーカリー」を、武装した男たちが銃で襲った。穏健なイスラム教国であり、親日的とされるバングラデシュで、日本人7名の命が奪われた。

ダッカの治安はどんどん悪化していた

 この凄惨な事件が起こる数週間前、筆者はダッカから帰国したばかりの大学教授と面会していた。その教授はバングラデシュ出身で日本国籍を持ち、研究のためにバングラデシュと日本の間を頻繁に行き来している。

 教授は筆者に直近のダッカの様子を教えてくれた。教授曰く、経済成長が目覚ましく、街は活気にあふれている。その一方で、治安はどんどん悪化しているという。

「日本大使館からは『できるだけ外を出歩くな』『外出時は必ず車を利用せよ』と念を押されました。日本政府はバングラデシュの治安に相当神経質になっている様子でした」

 そこで教授は身の安全を考慮し、アクセスに便利だった常宿から別のホテルに移動したのだという。

これは決して行き過ぎた反応ではない。ダッカでは教授が滞在中のたった2カ月半の間に、3件の殺人事件が起きている。大学教授のほかにイスラム過激派を批判した学生、性的少数者を読者に持つ雑誌の編集者が命を落とした(被害者はいずれもバングラデシュ人だった)。子どもの誘拐も増えているという。

 2015年に発生した外国人殺害事件も記憶に新しい。2015年9月、バングラデシュの教会団体に所属するイタリア人男性が銃で撃たれて死亡した。また10月には、バングラデシュ北西部のランプル県で農業指導を行っていた日本人が射殺された。この事件に関しては、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出している。

 こうした経緯から、外務省はバングラデシュへの渡航に関する危険情報を「レベル2」に引き上げ、不要不急の場合は渡航を中止するよう呼びかけていた。

チッタゴンでも「外出の際は必ずガードマンを」

 バングラデシュ第2の都市であるチッタゴンでも警戒が高まっていた。

 バングラデシュでは6月に入り、イスラム過激派組織の一斉捜査・逮捕が始まった。これと前後して、チッタゴンで痛ましい事件が起きた。過激派組織の取り締まりという任務を受けた警察官の妻が、子どもを学校の送迎バスに乗せる途中に暴漢に襲われ、9カ所を刺されて死亡したのである。

 チッタゴンに拠点を持つ日系企業幹部は、「たった数百メートルの移動でも外出の際はガードマンをつけている」と治安の悪化ぶりを語る。

 もっとも、バングラデシュで外出時に警戒が必要なのは今に始まったことではない。この幹部は次のように続ける。

「日本大使館も繰り返しているように、外国人が集まるところへは行かない、夜間の外出は控える、固定ルートでの往来も控える、というのはバングラデシュでの生活の基本です。私たちはここで操業を始めて以来、ずっとそれを守っています」

 今回のダッカのレストラン襲撃テロは、夜9時20分頃に発生した。外国人が多い大使館街の一角という場所も過激派組織の標的になりやすかったことは否定できない。現地からは「警戒していたはずなのに残念だ」との声が伝わってくる。

バングラに住む中国人は日本人の100倍?

 さて、今回の事件で筆者は疑問に思ったことがある。ダッカ在住の外国人で賑わうというそのレストランに、中国人の客はいなかったのだろうか。

 一説によると、バングラデシュには約10万人の中国人がいると言われる(一方、在留邦人は約1000人とされている)。

 中国・雲南省の省都、昆明から1時間足らずのフライトで到着するバングラデシュでは、個人事業主を中心に多くの中国人がビジネスに携わっている。中国に在住する日本人数がおよそ13万人だとすると、東北と北海道を合わせた程度の広さしかないバングラデシュに10万人もの中国人がいるというのは、かなりの密度である。

 それだけバングラデシュに数多くの中国人がいれば、外国人が多く訪れるというレストランに中国人客がいてもよさそうなものだ。しかし、犠牲者はイタリア人と日本人であり、中国人はいなかった。

ダッカでの中国人の生活ぶりは?

 最近まで現地駐在要員としてダッカで仕事をしていた河南省出身の中国人がいる。ダッカに駐在していた時の生活の様子を尋ねると、次のように語ってくれた。

「社員が仕事以外の用事で外出することは、めったにありませんでした。私たちが生活していたのは、会社が準備した宿舎です。食料品の買い物などは会社で雇った家政婦が行い、食材や調味料は会社が大量に輸入し、それを社員に割安で販売してくれます。週末もあまり外には出ません。宿舎でDVDを見たりして過ごしていました」

 その言葉を聞く限り、どうやらダッカ駐在の中国人たちはあまり出歩かず、ひっそりと身を寄せ合って生活しているようだ。ましてや、高級な飲食店で現地の富裕層や他の国の外国人と交流するという習慣はないようである。

 中国の国際関係の専門家によれば、「そもそもダッカの大使館街は、中国人の行動エリアでない」という。ホーリー・アルティザン・ベーカリーで中国人が被害に遭わなかったのは“たまたま”という可能性もあるが、欧米人や日本人とは異なる現地での生活スタイルが、知らず知らずのうちに彼らの身を守っているということかもしれない。

 ご存じのように、中国はアジアの鉄道敷設や道路建設などのインフラ開発に商機を見出し、投資活動や現地との共同開発プロジェクトを活発に進めている。場合によっては1つのプロジェクトで200人を派遣するような大規模な事業もある。だが、それらのプロジェクトが実施されるのは、ほとんどが治安の悪い途上国である。

 彼らは、日頃どのような心構え、行動基準でリスクを回避しているのだろうか。ぜひとも情報の共有を進めたいものだ。

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『もし“トランプ大統領”が日米安保を破棄したら いよいよ党大会、党綱領の内容はいかに』(7/11日経ビジネスオンライン 高濱賛)について

世界は既成秩序を破壊する方向に動いているのではという気がします。今度の米国大統領選、英国のEU離脱、中国の南シナ海・東シナ海侵略、ロシアのウクライナ問題、自称ISの台頭等。総ては米国の弱体化に結び付いているのではと考えています。子ブッシュの好戦性の反動か、戦争忌避のオバマ大統領を選んだのが失敗だったのでは。従来通りの世界ではなく、新しい時代を迎えることに反対ではありませんが、できれば急進的でなく、漸進的であってほしいと願っています。特に戦争を誘発する領土の現状変更は国際社会が“No”を言って、経済制裁して止めさせないといけないでしょう。フィリピンが国際仲裁裁判所に中国を訴えた件は、想定通り、中国敗訴でした。中国は織り込み済みで金を配っている国に支持を取り付けるのに躍起です。

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160711/frn1607111540006-n1.htm

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160712-00010000-fsight-int

南シナ海で中国主張の管轄権認めず 国際仲裁裁判 NHKニュース 7月12日 18時16分

南シナ海を巡り、フィリピンが申し立てた国際的な仲裁裁判で、裁判所は中国が主張する南シナ海のほぼ全域にわたる管轄権について、「中国が歴史的な権利を主張する法的な根拠はない」などと判断し、中国の管轄権を全面的に否定しました。

中国が南シナ海のほぼ全域の管轄権を主張しているのに対し、フィリピンは「国際法に違反している」などとして3年前、仲裁裁判を申し立て、国際法に基づく判断を求めてきました。

オランダのハーグで審理を行った仲裁裁判所は、日本時間の12日午後6時ごろ、フィリピンの申し立てに関する最終的な判断を発表しました。

この中で、裁判所は、南シナ海に中国が独自に設定した「九段線」と呼ばれる境界線の内側に「主権」や「管轄権」、それに「歴史的権利」があると主張していることについて、「中国が、この海域や資源に対して歴史的に排他的な支配をしてきたという証拠はない」と指摘しました。

そのうえで「九段線の内側にある資源に対して中国が歴史的な権利を主張する法的な根拠はない」という判断を示し中国の主張を認めませんでした。

さらに裁判所は、本来は管轄権はないとしながらも「中国が最近行った大規模な埋め立てや人工島の造成は、仲裁手続き中に紛争を悪化させたり、拡大させたりしないという義務に反する」と強調しています。

通常、仲裁裁判所は、手続きが始まったあとに起きた状況について判断することはできませんが、今回は中国の行動に懸念を示す異例の対応といえます。

南シナ海の問題を巡り、国際法に基づく判断が示されたのは初めてです。

仲裁裁判では原則として上訴することはできず、今回の判断が最終的な結論となります。

中国外務省が声明「判断は無効」

南シナ海を巡り、フィリピンが申し立てた国際的な仲裁裁判で判断が出たのに対し、中国外務省は「判断は無効で、拘束力はない。中国は受け入れず、認めない」とする声明を発表しました。

比外相 画期的な判断が問題解決に重要な役割

フィリピンのペルフェクト・ヤサイ外相は、国際的な仲裁裁判の判断が示されたことを受けて記者会見し、「この画期的な判断が南シナ海を巡る問題の解決に向けて重要な役割を果たすと確信している」と述べました。

そのうえで「現在、判断の詳細について検討をしているが、関係者には、抑制的に、かつ落ち着いて対応するよう呼びかけている」と述べ、仲裁裁判所の判断を歓迎する一方で、中国に対する配慮もにじませました。

岸田外相 当事国は判断に従い平和的解決を

岸田外務大臣は談話を発表し、「日本は、海洋を巡る紛争の解決には法の支配と力や威圧ではなく平和的な手段を用いることの重要性を一貫して主張してきた。当事国は、今回の仲裁判断に従う必要があり、日本としては、当事国がこの判断に従うことで、今後、南シナ海における紛争の平和的解決につながっていくことを強く期待する」としています。>(以上)

米国大統領選で共和党はトランプで本当に纏まるのでしょうか?ブッシュファミリーは全国大会に出ないとのこと、他にもこれに続く人が出るかもしれません。民主党はヒラリーで決まりでしょうが、民主・共和両党とも不人気度の高い候補になりました。エスタブリッシュと大衆の思いがずれているのが大きな原因です。エスタブリッシュが大衆の思いを掬い取れなかったのが大きいでしょう。格差が大きくなってきているのに、エスタブリッシュが放置してきた咎めが出てきています。

日本は移民の問題も格差の問題も大きくありません。「先憂後楽」が日本人のDNAに組み込まれているからでしょう。為政者も注意深く行動しています。大量移民の問題はありませんが、戦後のドサクサでできた在日特権の問題は残っています。東京都知事選でも在日特権の問題や韓国人学校の問題、外国人参政権の問題を俎上に載せ、少しでも日本人の為に動く政治家が選ばれてほしいと願っています。

記事

—いよいよ民主、共和両党の全国党大会が近づいてきました。党大会で採択される「党綱領」は誰がどうやって作るのですか。

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ドナルド・トランプ氏(写真:AP/アフロ)

高濱:民主党は、全国委員会委員長はじめ上下両院議員、州知事ら党幹部25人を含む187人で構成される綱領委員会が作成します。まず、15人の委員からなる綱領草案委員会という下部機関が、最終原案を作成します。これを綱領委員会が採択したあと、党大会に提出します。 (“Presidential Elections-The Road to the White House,” The Democratic Party Platform and DNC Platform Committees, 2016, Ballotpedia)

 ヒラリー・クリントン前国務長官が大統領候補となることがすでに事実上決まっていますが、バーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)は党大会まで撤退しないと言っています。サンダース氏は、貧富の格差の是正や大企業優遇税制の撤廃など持論を党綱領に盛り込む考えです。

 民主党の綱領の最終草案がwebサイト上に公開されました。サンダース氏の主張がどの程度盛り込まれたかなどを含め、あとで内容をご報告いたします。 (“2016 Democratic Party Platform DRAFT,” 7/1/2016)

トランプ、保守本流、クルーズが三つ巴の論議へ

 一方の共和党は、各州と自治領、ワシントン特別区から男女一人ずつ選ばれた綱領委員会メンバー計112人が草案を作ります。すでに予備選から撤退したテッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)を支持した代議員たちも綱領委員会に入っています。綱領作成をめぐってクルーズ陣営、トランプ陣営、党主流である保守穏健派が三つ巴の闘いを演じることになりそうです。 (“Presidential Elections–The Road to the White House,” The Republican Platform and RNC Platform Committee, 2016,” BallotPedia)

 クルーズ氏を支持した「社会的保守主義者」(Social Conservative)は、同性結婚禁止や人工中絶反対などを強く主張しています。予備選当初から中盤戦にかけて南部、中西部で強い影響力を示したキリスト教原理主義者らは、クルーズ支持の代議員を通じて、これらの主張をなんとか綱領に盛り込ませようと動いているのです。

 トランプ陣営は、(1)イスラム教徒が米国に入国するのを一時的に停止(2)米墨国境における壁の構築(3)環太平洋経済連携協定(TPP)を含む通商条約からの撤退(4)日韓など同盟国との条約再交渉――などを綱領に盛り込もうと意気込んでいます。日本にとって最大の関心事であるTPPについて、トランプ氏は6月28日、ペンシルベニア州で行った経済政策に関する演説で撤退を公言しました。

 これに対してジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事らを支持してきた保守穏健派は真っ向から反対しています。「トランプが主張していることは共和党の伝統的な政治理念に反する」(ブッシュ氏)というわけです。

 ちなみにジェブ氏をはじめとするブッシュ一家は全国党大会をボイコットすると明言しています。

綱領委幹部にトランプの副大統領候補

—共和党綱領委員会の決定を左右するのはどのような人たちですか。

高濱:委員長はジョン・バラソ上院議員(ワイオミング州選出)です。元々整形外科医で、08年の上院補選で当選。12年の上院選で再選され、共和党上院政策委員長を務めています。伝統的な共和党保守本流に属す人で、トランプ氏の主張をそのまま鵜呑みにするとは思えません。

 副委員長は2人いて、メリー・フォーリン オクラホマ州知事とバージニア・フォックス下院議員(ノースカロライナ州選出)です。フォーリン氏はトランプ支持者でトランプ氏の副大統領候補の一人と噂されています。当然トランプ氏の主張を代弁するものと思われます。

 フォックス氏はイタリア系の女性議員。夫君がトルコ系ということもあってトルコ系アメリカ人議員連盟のメンバーです。トランプ氏が提唱する「イスラム教徒入国禁止」に真っ向から反対するでしょう。

—綱領委員会のトップにトランプ支持者がいると、最終的な綱領草案を審議する場では保守穏健派との間で激しい論議が繰り広げられそうですね。

高濱:確かに、トランプ氏が主張する「イスラム教徒入国禁止」とか、「対日、対韓防衛分担増額要求」といったアジェンダをめぐって激しく対立するでしょう。

 外交安全保障政策に詳しい元国防総省高官は、筆者にこう説明しています。  「バラソ氏は、軍事外交問題専門家たちの日米安全保障に関するコンセンサスを十分認識しているはず。つまり日米安保条約が片務的ではないことや、日米両政府の間で合意した新ガイドラインの持つ意味などを熟知している。トランプ氏の主張がいかに陳腐なものであるかも知っているはずです。トランプ陣営が同氏の主張を綱領に盛り込もうとすれば、敢然と立ちあがってブロックするのはバラソ委員長でしょう」

—でも党の正式大統領候補はトランプ氏です。その権限で持論を押し通すことは考えられませんか。

高濱:むろん、あり得ます。そうしたら、党大会に出席している保守穏健派が席を蹴って退場する場面もあるかもしれませんね(笑い)。

ただ、トランプ氏は型破りの、政治経歴ゼロの人物です。これまで、発言を繰り返し朝令暮改しています。前言を平然と覆したことも少なくありません。

 党大会ですんなりと大統領候補に選出されることを優先し、保守穏健派の主張をハイハイと受け入れる可能性は十分あります。この点は、ふたを開けてみないとわかりません。

頑固なカーターは「在韓米軍撤退」をあきらめず

—過去の民主、共和両党大会でも、党大統領候補と党主流との間で意見が大きく食い違うことがあったと思います。そうした場合、どちらの主張が盛り込まれましたか。

高濱:大統領候補と党主流派とが真っ向から対立した前例があります。76年の民主党大会の時です。リベラル派のジミー・カーター前ジョージア州知事(第39代大統領)が予想に反して予備選で勝利しました。

 カーター氏は予備選段階から在韓米軍撤退を声高に主張していました。綱領委員会の審議でもカーター陣営はその主張を曲げず、結局、「在韓米軍を段階的に削減し、在韓核兵器を撤去できる」という文言を綱領案に盛り込むことに成功しました。党大会はこの案をそのまま採択しました。

 もっとも党主流派も激しく抵抗し、「細心かつ注意深い計画に基づき」という文言を入れさせた。さらに「この地域における戦術空軍力と海軍力を強固に維持することで」と前提条件を綱領に付け加えました。逃げ道を残したわけです。 (“Democratic Party Platform of 1976,” The American Presidency Project, 7/12/1976)

—カーター大統領はその後、在韓米軍の撤退に踏み切りましたか。

高濱:カーター氏は大統領就任後、国家安全保障会議あてに「大統領検討メモ」を送付。その中で、在韓米軍のうち第二歩兵師団を撤退させるよう指示しました。

 これに日韓両政府や、ワシントンの米軍事専門家たちから非難の声が上がりました。それでもカーター大統領は公約通り、韓国からの米軍削減に固執し、78年には在韓陸軍一大隊(3500人)を引き揚げさせました。

 そして79年7月にはズビグネフ・ブレジンスキー国家安全保障担当補佐官が国際情勢の変化に呼応して「大統領は在韓米軍撤退計画を破棄した」と発表し、この問題はケリがつきました。なぜなら、これを機にカーター大統領は在韓米軍撤退計画について一切言及しなくなったからです。 (“The Seventh withdrawal: has the US forces’ journey bakc home from Korea begun?,” Alon Levkowitz, International Relations of the Asia-Pacific Volume 8, 2008)

綱領でサンダースに大きく譲歩したクリントン

—民主党綱領の最終草案を入手されたそうですね。サンダース氏の主張はどう扱われているのでしょう。

高濱:サンダース氏の主張が列記されています――(1)反トラスト法に基づく法的制裁(2)官僚の天下り禁止(3)米企業の海外留保利益に対する課税延期の停止(4)製薬会社に対する薬価統制。

 最終草案は、大企業を厳しい文言で批判しています。「大企業は過去数十年、米国民が見てきた以上に市場を集中支配してきた。富は大企業のトップに蓄積されてきた証左がある」。これはサンダース氏が予備選当初からで終始一貫主張してきた内容です。これを受けて、上の具体的な政策が挙げられています。

 盤石の態勢で本選挙に臨むため、クリントン氏としても、サンダース氏の主張を無視するわけにはいかなかったのでしょう。リベラル派のサンダース氏は、若年層を中心に予備選で根強い支持を獲得しましたから。

 注目のTPP問題について、最終草案は「党内には多様な考え方がある」と記すのみで、党としての明確な対応を打ち出してはいません。

 しかしサンダース氏はTPPに最初から反対しています。クリントン氏は6月27日、オハイオ州で行った演説で、「TPPのような悪い貿易協定には『ノー』を突きつけ、米国の雇用と労働者を守る」と明言しました。

 党大会で採択される綱領にはTPPについてネガティブな姿勢を明確にした表現が盛り込まれる可能性が十分ありそうです。もっともTPPを推進してきたオバマ大統領のメンツもありますから、そのへんはどうなることか。

 大統領がクリントン氏になってもトランプ氏になっても、ことTPP問題は、これを推進してきた安倍晋三首相にとって憂慮すべき事態になりそうです。一部の条項を再交渉する可能性だってあります。

—ところで民主党綱領委員会のトップはどんな人たちですか。

高濱:委員長は、有望女性議員の一人、デビー・ワイザーマン・シュルツ下院議員(フロリダ州選出)です。06年の選挙の際には選挙資金1700万ドルを集めました。これは党内で第3位。現在、下院民主党の院内副幹事を務める党内主流派です。

 副委員長は二人います。一人はダニエル・マロイ コネチカット州知事。クリントン派の実力知事です。もう一人は黒人女性のシャーリー・フランクリン アトランタ市長。彼女もクリントン支持者の一人です。

 綱領委員会トップはクリントン支持の党内主流派が牛耳っているといえます。それでもサンダース氏の主張を大幅に取り入れたのは、「党内結束を狙った、背に腹は代えられぬ高等戦術」(米主要紙政治記者)といった見方があります。

トランプの一方的決定に米議会は阻止する手段はあるのか

—話を共和党に戻したいと思います。これはあくまで仮説ですが、トランプ氏が大統領になり、日本や韓国に防衛分担の増額を求めてきたとします。米国防総省と国務省の当局者は反対でしょうが、大統領命令ですから仕方ありません。対日・対韓交渉を開始するでしょう。

 その後、交渉は決裂。トランプ大統領は日米安保条約や米韓相互防衛条約を破棄しようとします。その場合、米国の議会や裁判所はこれを阻止する手段や権限を持っているのですか。

高濱:イエス・バット・ノー(Yes but No)です。

 イエス、の意味はこうです。  トランプ大統領があまりにも理不尽な政策を打ち出し、四面楚歌の状況に追い込まれたとします。米世論を敵に回すような事態になったら、イエスです。

 大統領には法案を提出する権限はありません。法案の提出、採決する権限を持つのは米議会です。大統領は拒否権を行使することはできますが、上下両院本会議がそれぞれ出席議員の3分の2以上の多数で再び採択すれば、大統領の拒否権は覆されてしまいます。

 議会において野党・民主党はもとより与党・共和党もトランプ大統領の政策に反対しているとなると、法案に「大統領はかくかくしかじかを条件に…」といった前提条件を付けるでしょう。その意味では立法府には大統領の一方的な決定を阻止する手段はあります。

 ただし、大統領が条約を破棄するに際して、議会に立法を求めるとは限りません。このケースだと答えはノーとなります。

 前述のカーター大統領時代のことです。同大統領は米中国交正常化に踏み切ったニクソン前政権の尻拭いとして、台湾との間に結んでいた米華相互防衛条約を処理しなければなりませんでした。そして同条約を一方的に破棄。

これに対してバリー・ゴールドウォーター上院議員(アリゾナ州選出)は、議会の承認を経ることなく一方的に国際条約を破棄するのは憲法違反だとして連邦裁に提訴しました。同議員は共和党タカ派で、1964年の大統領選で共和党の候補になっています。

 最高裁はこれについて「政治的問題だ」として審理を拒否しました。米議会もとくに抗議をしませんでした。つまり最高裁は「大統領が議会の承認なしに条約を破棄できるか否か」について判断を下さなかったのです。

 その後2002年、ジョージ・W・ブッシュ第43代大統領がソ連との「弾道弾迎撃ミサイル制限条約」(ABM条約、1972年締結)を議会の承認なしに一方的に破棄しました。最高裁はこれが憲法違反に当たるかどうかの判断も一切しませんでした。

 つまりトランプ大統領が対日防衛の分担増額を日本に迫り、日本がこれを拒否し、その結果、トランプ大統領が議会の承認なしに日米安保条約を一方的に破棄したとしても、連邦裁は介入しないという事態になりうるわけです。むろん日米安保条約は、締結国が一方的に破棄するには、1年前に通告することを義務づけています。

トランプ大統領は日米安保条約を独断で破棄できるか

—しかし米国内には、「日米安保条約は米国の極東政策にとって必要不可欠」といった超党派的の認識がありますよね。その条約をトランプ大統領が独断で破棄すると言い出せば、「国際常識を無視した外交だ」とか「国益を損じかねない」といった批判が高まるでしょう。米議会で大統領を弾劾する動きが出てくるのではないでしょうか。

高濱:ずいぶん話が飛躍しましたね(笑い)。そうした動きは出てくるかもしれません。可能性としてですが。

 大統領を弾劾するには、まず下院本会議において弾劾の是非を審議し、単純過半数の賛成を得る必要があります。その後、上院において弾劾審議を行い、出席議員の3分の2が賛成すれば弾劾が決定します。これにより大統領はその職を解任されます。

 これまで弾劾されかけた大統領は、アンドリュー・ジョンソン第17代、リチャード・ニクソン第37代、ビル・クリントン第42代各大統領の3人だけです。

 ジョンソン大統領は奴隷解放に伴い、黒人に市民権を与える法案に拒否権を発動したため議会から弾劾訴追されました。

 ニクソン大統領はウォーターゲイト事件の絡みです。同事件の解明を妨害したとして、下院司法委員会が1974年、司法妨害、権力乱用、議会侮辱を理由に訴追勧告を決定しました。この勧告に従って下院本会議が訴追決議をする直前に辞任しました。

 クリントン大統領は、ホワイトハウスのインターンだったモニカ・ルインスキーさんとの「不適切な関係」が大統領の「品格」にかかわると問題になり、弾劾訴追されました。

 ジョンソン氏もクリントン氏も、下院本会議は訴追を決議したものの、その後に行われた上院での弾劾審議で無罪となっています。

 問題は、どのような行為が弾劾の対象となるかです。米国憲法第2条第4節は、こう記しています。  「大統領、副大統領および合衆国のすべての文官は、反逆罪、収賄罪またはその他の重罪および軽罪につき弾劾され、かつ有罪の判決を受けた場合は、その職を免ぜられる」 (“High Crimes and Misdemeanors,” Constitutional Rights Foundation, www.crf-usa.oprg)

「トランプ大統領」を米議会は弾劾できるか

—トランプ大統領が日米安保条約や米韓相互防衛条約を破棄したり、北大西洋条約機構(NATO)から離脱したりした場合、「国益を著しく損なった」として弾劾される要因になりますか。

高濱:その判断は、その時の米国内外の世論や議会の動向に大きく左右されるでしょう。

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『トルコを屈服させたプーチン式の強権外交 トルコ・エルドアン大統領が書簡で“白旗”』(7/8日経ビジネスオンライン 池田 元博)について

プーチンのやり方は中国のやり方を髣髴させます。ロシアの「ガス供給」を中国の「レアアース供給」、ロシア人旅行客の制限は中国人旅行客の台湾への旅行制限・蔡政権への嫌がらせ、ロシアの野菜輸入禁止は中国の福島原発放射能汚染防止の名目で日本の食品・飼料輸入禁止(10 都県(福島、宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、新潟、長野)で禁止。放射能とは関係ない所が多い)を思い起こさせます。2010年、尖閣での中国漁船拿捕の意趣返しでしょう。独裁国家は似たような行動を取りやすいということです。ただロシアは曲がりなりにも選挙で選ばれた大統領が行政の責任を負っていますが、中国の主席は選挙で選ばれた訳ではありません。

トルコがロシアに謝罪したのは、結局、経済問題が外交方針を左右したことになります。戦争するよりは良いでしょうけど。両大統領の面子よりは戦争回避が重要です。ただ、日本も経済問題だけで外交を左右されないように手を打っておくことが必要です。特に中国は躊躇せずにいろんな手を打って来るでしょう。中国からの旅行客も当てにせず、日本人がもっと国内旅行できる環境作りや、エネルギー問題でメタンハイドレートや核融合に金と時間をかけること、中国のASEAN分断を許さないように各国への資金と技術支援をすることなど。

参院選は改憲勢力で2/3を押さえました。首相は憲法審査会で議論を進めたいでしょうが、反日民進党や共産党は乗って来ないと思います。それより、自民党案でなく、憲法のどの部分を変えたい(逐条改訂になるため)というのを国民に先にPRして国民投票で受け入れられるところから国会で発議すれば良いと考えます。7/11日経に「首相周辺には任期満了前に衆院解散・総選挙で大勝し、(総裁)任期延長に向けたシナリオが囁かれる。与党内の関心も次の衆院解散・総選挙のタイミングに移りつつある。首相は参院選に合わせて衆院を解散する衆参同日選を見送ったが、政権幹部の一人は「年末から年明けに解散すべきだ」と語る」とありました。参院で2/3を押さえているのに衆院を解散するかどうかです。衆院の任期は18年12月(総裁任期は18年9月まで)までありますのでその間、じっくり政策課題、特に憲法改正問題に取り組んだ方が良いのでは。選挙をやって反日民進党を壊滅させるという考えもあるでしょうが。それと9月の臨時国会開始前の内閣改造で不満が出ないように早めに解散に打って出ると言うことも考えられます。中国の横暴さに対抗していくには、リベラルではなくしっかりした国家観・歴史観を持った保守政治家が国の舵取りをして行った方が良いと思います。

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昨年11月、トルコ軍がロシア軍機を撃墜した事件を機に冷え込んでいた両国が、ようやく関係修復に動きだした。トルコ側が長らく渋っていた「謝罪」をしたためで、プーチン大統領の過剰なほどの強権外交が功を奏したといえる。

Putin &  Erdoğan

2015年、トルコで開かれたG20で会談するロシア・プーチン大統領とトルコ・エルドアン大統領(代表撮影/AP/アフロ)

 トルコは非常に親日的な国として知られる。

 1890年、オスマン帝国(現在のトルコ)の軍艦エルトゥールル号が和歌山県沖で暴風雨に遭って沈没した。当時、地元民が総出で船員の救助活動に当たったという美談が〝親日〟の発端とされるが、もうひとつ大きな理由がある。1904~05年の日露戦争での日本の勝利である。

 オスマン帝国はかねて、不凍港を求めて南下するロシア帝国と根深い対立関係にあった。クリミア戦争や露土戦争など激しい戦火も交えてきた。そんな中、日露戦争で「天敵」のロシア帝国に勝った国として、日本の評価と親近感が急速に高まったというのだ。とくに日本海海戦で強敵のバルチック艦隊を破った東郷平八郎の名は、今のトルコでもよく知られているという。

 このように歴史的に根深い〝因縁〟を抱え、常に一筋縄でいかないのがロシアとトルコの関係だ。昨年、シリア国境付近でトルコ軍がロシア空軍機を撃墜し、両国関係が一気に冷え込んだ際にも、この歴史的な因縁がたびたびささやかれたものだ。

 事件は昨年11月24日、過激派組織「イスラム国」(IS)など国際テロ組織との戦いと称して、ロシア軍が続けていたシリア空爆作戦中に起きた。トルコ政府はロシア軍の戦闘爆撃機スホイ24が自国の領空を侵犯し、10回にわたって事前警告したにもかかわらず退去しなかったため撃墜したと表明した。

「トルコは我がパイロットを背後から撃った」

 これに対してロシア側は「領空侵犯」はなかったと完全に否定。謝罪と賠償を要求したが、トルコ側は拒否して非難の応酬を繰り返した。なかでも目を引いたのが、プーチン大統領の度をこしたような執拗なトルコ批判だった。

 「トルコは我がパイロットを背後から撃った。それにもかかわらず自らの行動を偽善的に正当化し、テロリストの犯罪を隠蔽しようとしている」

 プーチン大統領は「謝罪」をしないトルコを痛烈に非難するだけでなく、テロリストがシリアで略奪した原油の密売に手を染め、結果的に彼らに傭兵や武器調達の資金を与えているのはトルコに他ならないと断じたのだ。

 恐らく、大統領の指示に基づくものだろう。ロシア国防省はタンクローリーが映っている衛星画像などを公開し、エルドアン大統領の一族がシリア、イラクのIS支配地域で原油を違法に密輸入している〝証拠〟だと指摘したこともある。

 それだけではない。プーチン政権はトルコに対する厳しい経済制裁まで発動した。ロシアでのトルコ系企業の活動を制限するとともに、トルコ旅行のためのチャーター便やトルコツアーの販売停止、トルコからの野菜、果物など食料品の輸入禁止措置まで打ち出し、経済的な圧力も一気に強めたのだ。両国関係は完全にこじれてしまった。

 撃墜事件では、ロシア機に搭乗していたパイロットと救出活動に当たった兵士が犠牲になった。プーチン政権がここまでトルコに強硬に対処したのは、シリアでの軍事介入に国内世論が否定的になるのを恐れたとの見方もある。しかし実際は、「謝罪」をめぐる国際的なメンツの問題のほうが大きかったようだ。トルコが事件直後、当事者であるロシアに通報せず、北大西洋条約機構(NATO)に対応策を打診したことも火に油を注ぐ結果になったとみられる。

エルドアン大統領がプーチン大統領に送った書簡

 そのロシアとトルコの〝冷戦〟が、ようやく雪解けを迎える見通しとなった。

 きっかけはトルコのエルドアン大統領が今年6月27日、プーチン大統領に送った書簡だった。ロシア大統領府の発表によると、書簡はまず「トルコにとってロシアは友人であり、戦略的なパートナーだ」と指摘。昨年11月のロシア軍機の撃墜は全く「故意」ではなかったとし、死亡したロシア人パイロットの家族に「深い哀悼」の意を表した。

 さらに「心底から痛みを分かち合う」として、犠牲者の家族に対する補償にも言及したという。書簡の全文は公表されておらず、トルコ側が指摘しているニュアンスとはやや異なるものの、ロシア大統領府はエルドアン大統領がようやく公式的に「謝罪した」と受け止めた。

 書簡を受け取った2日後の6月29日、こんどはプーチン大統領が動いた。自らエルドアン大統領に電話を入れ、まさにその書簡が互いの危機的状況を打開し、再び国際・地域問題に共に取り組み、両国関係を発展させるきっかけとなると高く評価したのだ。電話会談は40~45分にも及んだという。

 実際、プーチン大統領は電話会談の翌日、対トルコ制裁で禁止していた両国間のチャーター便の運航再開を認めるとともに、政府に対してトルコとの貿易、経済関係の正常化に向けた協議に入るよう指令した。撃墜事件から7カ月を経て、ようやく関係修復に動き始めたわけだ。

トルコが経済制裁で被った多大な損失

 ロシアとトルコはともに強権の大統領が率いる。それだけに「謝罪」の有無をめぐる対立は、プーチン大統領とエルドアン大統領の意地の張り合いともいわれた。結局、エルドアン大統領が折れ、トルコに対する過剰なほどの強硬外交を貫いたプーチン大統領が勝利した形となった。

 トルコはここにきてロシアだけでなく、イスラエルとの関係改善にも動いており、国際的な孤立や経済的な苦境を打開するのが狙いだったというのが定説だ。ロシアの有識者の間では、英国の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が決まり、トルコの長年の念願であるEU加盟がさらに遠のいたことから、経済的なつながりの深いロシアにすり寄ったと解説する向きもある。

 確かに、トルコが経済制裁で被った損失はかなり痛手だったようだ。トルコ経済の柱のひとつである観光産業は制裁前、ロシアからの観光客に主に依存していた。ロシア経済紙コメルサントによると、2014年にトルコを訪問したロシア人観光客は約328万人に上った。ロシア人の海外旅行先ではトップの人気で、全体の2割を占めていた。

 トルコの建設業者はロシアの各地で活発に活動していた。また、ウクライナ危機に伴う欧米の対ロシア制裁に対抗し、ロシア政府がEUからの食料品輸入を原則禁止して以降は、トルコによってロシアは野菜や果物の主要な輸出先でもあった。対トルコ制裁が発動される直前、ロシア市場で出回っていたトマトの25%はトルコ産ともいわれた。

プーチン大統領の政策は「無条件で正しい」

 制裁対象には含まれなかったが、トルコはもともと天然ガス需要の5割以上をロシアに依存している。両国間ではロシア産の天然ガスをトルコ経由のパイプラインで欧州に供給する「トルコストリーム」計画が進んでいたが、撃墜事件後は交渉が完全にストップするなど、様々な分野に影響が広がっていた。

 もちろん、経済制裁は双方に痛みを伴う。プーチン政権の強硬措置によって、ロシア国民は最も人気の高かった海外旅行先を奪われ、日常生活でもトルコ産の野菜や果物を調達できなくなったわけだ。それでもロシア社会で不満の声はほとんど聞かれない。

Russian visiting foreign countries

 政府系の全ロシア世論調査センターが今年2月に実施した世論調査では、実に78%が「トルコの政権が撃墜事件で公式謝罪するまで、いかなる妥協もすべきではない」と回答したという。また、独立系のレバダ・センターが今年5月に実施した世論調査では、ロシアに対して非友好的で敵対意識を持っている国として、米国、ウクライナに続いて3位にトルコがあげられた。

 プーチン大統領はこの間、記者会見などあらゆる場を使ってトルコの非を国民に訴えた。昨年12月の年次教書演説では、会場のクレムリン宮殿に撃墜事件で犠牲となったパイロットや兵士の妻を招いて黙とうをささげた。こうしたパフォーマンスの効果もあったのだろうが、プーチン大統領の政策は「無条件で正しい」と多くの国民が信じているのが今のロシア社会の現実なのかもしれない。

 さて、ロシアとトルコは首脳間の〝和解〟を受け、今月1日にはラブロフ外相とチャブシオール外相がソチで会談した。トルコ側によると、8月中にもプーチン大統領とエルドアン大統領がソチで直接、首脳会談を開く可能性があるという。名実ともに関係修復に向かう道筋が整いつつあるようだ。

 そんな折も折、トルコでは最大都市イスタンブールの国際空港で6月28日、多くの犠牲者を出した自爆テロが起きた。実行犯は旧ソ連の出身者で、一人はロシア出身のIS幹部だったとの情報もある。ロシアとトルコの関係はやはり一筋縄ではいかないのか。偶然とはいえ、そんな予兆も感じさせるテロ事件となった。

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