『参院選間近、英エコノミスト誌は自民大勝と見る 選挙後、改憲にまっしぐら』(7/7 The Economist 日経ビジネスオンライン )について

エコノミストの記者はどこまで日本の政治状況を分かって書いているのでしょうか。安倍首相は自分の総理の内に憲法改正したいと思っているでしょうが、今度の参院選で与党+αで2/3の議席を取っても国民投票をクリアしなければなりません。慎重に進めるでしょう。もし、失敗すれば今後10年くらい憲法改正論議ができなくなる恐れがあります。安倍総裁の任期は18年9月までですが、自民党党規を改正(3期9年、21年9月まで)し、東京オリンピックまで続投するかもしれません。18年12月までに衆院選、19年7月参院選と続きます。どこで仕掛けるか或は仕掛けないのか分かりません。

自民党の行う世論調査は正確と言われています。何度も世論調査した上で衆参両院での発議、国民投票となるのでは。憲法改正は逐条改正になると山田宏氏が言っていました。全部を改定するのは大変で、差当り96条の「発議を2/3から1/2にし、国民投票で1/2は残す」ところを改正すれば良いのでは。9条2項の「国の交戦権は認めない」と言うのは中国が尖閣を攻めて来た時に現実追認となるでしょうから今の所其の儘でも良いと考えます。誰が見ても自衛隊は憲法違反の存在ですが、その存在は国民に浸透、感謝されています。憲法以上の存在と言うことができます。GHQの押付け憲法が如何にダメかという典型です。自衛隊予算を「人殺し予算」と言ってのけた日本共産党や素の尻馬に乗る反日民進党には投票しませんように。

記事

 日本では昨年、選挙権を得られる年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられた。だが東京都に住む高校生のミナミさんは、7月10日に実施される参議院選挙で投票する予定はないと言う。多くの日本人と同様、彼女は政治を「つまらないもの」だと感じている。今回の選挙によって彼らのこうした見方が変わることは恐らくないだろう。

Shinzo Abe

安倍首相が応援演説(写真:Abaca/アフロ)

 安倍晋三首相が率いる現政権は、苦戦する野党勢に対して完勝すると思われる。安倍政権の支持率はこのところ急上昇している。4月に熊本県で発生した一連の地震に手際よく対処したことが好感されたほか、5月には米国のオバマ大統領による広島訪問という、国民感情に訴えかける出来事もあった。自民党は得票につながる有権者への働きかけを効果的に進めており、選挙での投票率が低い場合は自民党に有利な結果となる。

 また安倍首相は、英国が国民投票でEU(欧州連合)離脱を決めたことから生じている経済の混乱にも救われることになる。デフレや伸び悩む消費、停滞する賃金など日本経済が直面する苦難についても、今や外的要因のせいにすればよい。安倍首相は消費税引き上げの延期を6月1日に決定した。それに先立って「世界経済に危機が迫っている」との警告を発し、冷笑を買った。それが今では同首相に先見の明があったのかと思わされる展開となっている。経済が大きく変動すれば、安倍首相の掲げる「安定」や「能力」といった公約が魅力を増す可能性もある。

自民大勝で二大政党制が崩壊

 その一方で、野党勢は失うものが多い。参議院では総議席数242の半数が3年ごとに改選される。野党の民進党は現在もある程度の議席数を保持しているが、2013年の選挙で低迷した。テンプル大学のマイケル・チュチェック教授は民主党がある程度の議席を有している参議院の現状について、日本が今でも実質的な二大政党制を維持していると説得力を持って主張するための最後の砦だと話す。

 だが二大政党制の状況はこの参院選で消滅するだろう。自民党は今回27年ぶりに参議院で圧倒的多数を勝ち取ると思われる(衆議院はすでにその状態にある)。

 そうなれば安倍首相の自民党内における権限は増大し、連立パートナーである公明党の意見に耳を貸さない自由を獲得できる。公明党は仏教系の宗教団体を支持母体に持つ政党で、平和主義と社会福祉を重視している。

安倍首相は改憲を公言しないが…

the number of seats of House of Councilors

 選挙戦が進む中で政府にとって大きなリスクとなっているのは、安倍首相が自らの最終目標を声高に口にしてしまう事態だ。つまり参議院で議席の3分の2を確保することである。実現すれば、米国が1946年に起草した日本の平和憲法の主要条項を改正すべく国民投票を発議できる。

 安倍首相にとって憲法改正は積年の悲願だ。政府は選挙権年齢を引き下げた。これは改憲に向けた国民投票を可能にする法案を支持する条件として野党勢が求めたからだ。日本が永遠に戦争を放棄することを定めた第9条を、安倍首相は時代遅れで危険なものだと考えている。だが憲法改正に反対する有権者は多く、安倍首相は今回の選挙運動においてこの願望を前面に出さずにいる。

 衆議院では自民党と公明党の連立政権がすでに議席の3分の2を確保している。両党は2013年の参院選で大勝しているため、今回の選挙でわずか77議席を獲得すれば参議院でも総議席数の3分の2に手が届くことになる。つまり、前回と同じだけの議席数をとればいい。そうすれば現在10議席を保有する2つの右派小党の支持を取り込むことで改憲できる。

 こうした展開になっても、安倍首相にはメリットがほとんどない可能性もある。憲法改正に対する国民世論の反対は根強く、たとえ改憲手続きに着手できたとしても、首相が望み通りの結果を得られないこともあり得る。公明党もまた、第9条の改正には抵抗するだろう。

 だが残念なことに、ほとんどの日本人――彼らの最優先課題はあくまでも経済――にとって、こうした障壁は改憲を阻むものとはならないだろう。選挙が終われば、政府は持てるエネルギーの大半を憲法改正に注いでいくつもりでいる。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。