『中国、ハーグでやられたら沖ノ鳥島でやり返す』(7/14日経ビジネスオンライン 森永輔)について

沖ノ鳥島について中国は直接国際仲裁裁判所に訴えることはできないでしょう。訴えれば、中国も裁判の結果を受け入れざるを得ないからです。他の国を使って訴えることはありうるかも知れませんが。TVで「沖ノ鳥島で中台接近」とか言っていましたが、意図的に事実を歪め、日台離間を図ろうとしているのでしょう。マスメデイアの厭らしい所です。国民党の馬政権だったら兎も角、民進党の蔡政権です。中国に近づくことはありません。勿論台湾が領有を主張している太平島(南シナ海の九段線内にある)について、国際仲裁裁判所が訴訟当事者でない国の島か岩かを判断はできないという主張です。これを以て中台共闘と言うのは言い過ぎでは。そもそも九段線はルトワックの「チャイナ4.0」の中で、「かつて国民党軍の高官が酔っ払って書いただけ」とあります。92共識と同じくでっち上げです。

日テレニュース 「太平島は岩」判決受け入れられない~台湾 2016年7月12日 23:38

南シナ海の領有権をめぐり、フィリピンが中国を提訴している仲裁裁判の判決で、台湾が南沙諸島で実効支配する太平島について、排他的経済水域を持たない「岩」との判断が出された。これを受けて台湾の総統府は「判決は受け入れられない」との声明を発表した。

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 南シナ海の領有権をめぐり、フィリピンが中国を提訴している仲裁裁判の判決で、台湾が南沙諸島で実効支配する太平島について、排他的経済水域を持たない「岩」との判断が出された。これを受けて台湾の総統府は、「判決は受け入れられない」との声明を発表した。

 台湾は、南シナ海の島と周辺海域の領有権を主張していて、南沙諸島の太平島を実効支配している。国際的な司法機関・仲裁裁判所は12日、中国が南シナ海で保有していると主張する権利について「法的根拠はない」とする判決を下したが、この中で太平島を含む南沙諸島を排他的経済水域を持たない「岩である」と認定した。

 これを受け、台湾の総統府は、「審理の過程で台湾には仲裁裁判への参加を求められなかった」とした上で、「仲裁案は受け入れられず、法的効力を持っていない」と主張した。

 一方、声明では南シナ海での権利を否定された中国についての言及はなく、南沙諸島については、関係各国で協力して話し合い、平和的に解決すべきとした。

 台湾は、14日から周辺海域の巡視を予定していた海軍の軍艦の出発を13日に早めるなど、関係各国をけん制する動きも見せている。

 今年5月に誕生した台湾の蔡英文政権はこれまで、中国と距離を置き、日本やアメリカを重視する姿勢を見せていた。しかし、南シナ海をめぐり、同じく仲裁案を受け入れない中国に同調する形になり、中国側も「ともに南シナ海の領土主権を守る責任がある」として共闘する姿勢を見せている。>(以上)

韓国も中国同様、沖ノ鳥島を国際仲裁裁判所に訴えないでしょう。訴えれば日本が国際司法裁判所に竹島の領有権で訴えるのは目に見えるからです。韓国にとって南シナ海の問題は関係なく、沖ノ鳥島は反日で喜ぶテーマではあっても、実効支配している竹島で自ら不利になるようなことはしないでしょう。また、米国がそうはさせないでしょう。中国の意を受けて動くことになりますので。

まあ、中国が昔アルバニアを動かし、国連の5常任理事国の一つは「中華民国」ではなく「中華人民共和国」という提案(アルバニア決議と言われます)をしたように、アフリカの弱小国で道理の分からない金塗れの国が提訴するかもしれませんが。

国連なんて腐った機関です。日本人は有難がる人が多いですが、国益を賭けた戦いの場です。理想とは大きくはずれています。中韓はここで日本を貶めようといろんな手を打ってきています。慰安婦や南京虐殺の世界記憶遺産登録とか事実でないものを、証拠をでっち上げてまでやろうとしています。日本も「通州事件とチベット人虐殺」を新しい歴史教科書をつくる会やペマ・ギャルポ氏が中心となってユネスコの世界記憶遺産に登録申請しました。こちらはキチンとした証拠を揃えてです。「やられたらやり返す」のが中国です。日本も上品ぶっているだけではやられ放しになります。「やられたらやり返す」ようにしないと。国民全体で支援していかないと。日本政府は当てにできませんので。

記事

 オランダ・ハーグの仲裁裁判所が7月12日、中国が南シナ海で主張する権利について国際法上の根拠がないとの判断を下した。提訴していたフィリピンの主張をほぼ全面的に認めるもの。ただし、中国の軍事に詳しい小原凡司・東京財団研究員・政策プロデューサーは「短期的には緊張を高めるもの」と見る。(聞き手は森 永輔)

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航行の自由作戦に向かう米海軍の駆逐艦「ラッセン」(写真:U.S. Navy/The New York Times/アフロ)

—仲裁裁判所が、中国が南シナ海で取っている行動についてついに司法判断を下しました。小原さんは、どこに注目していますか。

小原:フィリピンの主張をほぼ全面的に認めた、中国にとって非常に厳しいものであったことです。ここまで厳しいものになるとは予想していませんでした。

Bonji Ohara

小原凡司(おはら・ぼんじ)

東京財団 研究員兼政策プロデューサー

専門は外交・安全保障と中国。1985年、防衛大学校 卒。1998年、筑波大学大学院修士課程修了。1998年、海上自衛隊 第101飛行隊長(回転翼)。2003~2006年、駐中国防衛駐在官(海軍武官)。2008年、海上自衛隊 第21航空隊副長~司令(回転翼)。2010年、防衛研究所 研究部。軍事情報に関する雑誌などを発行するIHS Jane’sでアナリスト兼ビジネス・デベロップメント・マネージャーを務めた後、2013年1月から現職。

 最も大きいのは、中国が南シナ海に九段線を示し、その全域に管轄権を持つとしているのを、国連海洋法条約に照らして「全て認められない」としたことです。さらに、中国が主張する歴史的な権利 についても証拠がないとしました。歴史的権利については触れないものと考えていました。

 南シナ海で中国がしている行為が違法であることが、法の支配の観点から明らかにされたわけです。この司法判断は法的な拘束力を持ちます。

—今回の判断は、九段線内の管轄権を否定してはいます。けれども、中国が埋め立てや軍事拠点化を進める個別の礁について、どの国が主権を有しているかは判断していません。岩*1と認められた礁について、中国が主権を主張し軍事拠点化を続けることはあり得るのではないでしょうか。

*1:国連海洋法条約は次のように定めている。島:領海も排他的経済水域(EEZ)も設定できる。岩:領海は設定できるが、EEZは設定できない。低潮高地:どちらも設定できない。低潮高地は、満潮時には水面下に没してしまうものを指す。 

小原:それは言えます。しかし、いくつかの岩で中国が軍事拠点化を続けても、南シナ海全域に影響が及ぶわけではありません。主権が及ぶのはその島の周囲12カイリだけですから。国際社会に影響を及ぼす大きな問題にはならないでしょう。中国が九段線の内側全体、つまり南シナ海のほぼ全域を対象に管轄権を主張していたことが問題だったのです。

中国は決して妥協しない

—中国外交部が出した声明をどう評価しますか。「この司法判断に効力はない。中国は受け入れないし、認めない」「国際海洋法条約の権威を損ない、中国の主権国家としての権利を侵すもので、不公正だ」としています。

小原:「受け入れない」というのは非常に強い態度だと言えるでしょう。

—ということは、中国が妥協することはない?

小原:できないでしょう。具体的な理由は3つあります。まず南シナ海の海底にある資源を放棄することができない。ブルネイやベトナムの周辺に油田があります。このほかにも開発される可能性があります。

 第2に、海上輸送路を保護できなくなる可能性があるからです。

第3は、南シナ海が持つ軍事的な意味です。中国は米国に対する核抑止の最終的な保証は、核兵器を搭載する原子力潜水艦であると考えています。しかし、搭載する弾道ミサイルが米国の東海岸を射程に収めるためには、常にこれを隠密理に太平洋で活動させる必要がある。そのためには南シナ海から米海軍の活動を排除する必要があるのです。

 南シナ海をコントロールできれば、米海軍が中国大陸に近づくことも困難になります。中国は東に向かうと米国と衝突する可能性があるため、西に活動を展開しています。一帯一路政策はその表れですね。中国は、西での経済活動にも軍事的支援が必要だと考え、中国海軍の強化を図っていますが、それでも米国には適わない。米海軍との軍事プレゼンスを均衡させるべく、米艦隊が南シナ海を自由に通過できないようにして力を削ぐことが考えられます。

 具体的な理由とは別に、そもそも中国は今回の司法判断を、「中国の発展を欧米諸国が妨害するもの」と位置づけています。中国は、南シナ海でしていることを正当な権利の行使と考えており、悪いことだとは思っていません。ゆえに、この判断を受け入れません。

 ただし、中国はこの司法判断を無視して、国際社会で孤立するわけにはいきません。欧米諸国が築いた国際秩序を変えると宣言しているからです。実現するためには他の国からの支持が欠かせません。

–孤立できない中国はどのような行動に出るのでしょう。

小原:3つのことを進めると思います。第1は、フィリピンとの和解です。これが成れば、司法判断を問題にする必要がなくなります。

—具体的には、どのような和解条件が考えられますか。

小原:フィリピンに有利な条件での援助や投資を提示するでしょう。新たに就任したドゥテルテ大統領は地方の市長として犯罪を撲滅することで力をつけてきました。次は国政の場で基盤を固めるために、経済を浮揚させること重視すると思います。ここを突くわけです。

 2つめは、「今回の判断は欧米諸国が勝手に言っているだけで、中国の行為は正当である」という主張を支持する国を増やす外交努力です。小さな国ばかりですが、既に60カ国が支持していると中国は言っています。

 特にASEAN諸国には強く働きかけることでしょう。フィリピンにあやかろうとする国が現れかねないからです。今回の司法判断は、フィリピンの主張通りになりました。さらに、中国から多くの援助と投資がやってくるかもしれない。他のASEAN諸国も「提訴されたくなかったら…」と中国に仕掛けることでしょう。

 今回と同様の司法判断が連続することになれば、中国の立場は苦しいものになります。なんとかこれを避けようとするにちがいありません。

 もう一つ注目すべきはロシアとの関係ですね。中ロ関係は相互不信に満ちていますが、中国はロシアを味方に引き込むべく動くでしょう。プーチン大統領は今頃ほくそ笑んでいるに違いありません。もちろん、ロシアは大人ですから表に出てくることはないでしょうが。

—3つ目は何でしょう。

小原:既成事実の積み上げです。フィリピンが中国に対し今回の司法判断に従うよう求めたにもかかわらず、中国が従わない場合、中国を非難する国際世論が高まることでしょう。そうなり中国包囲網が強まる前に、人工島のさらなる造成や軍事拠点化を進めると思います。短期的には緊張が高まる可能性があります。

習近平の意向を恐れる外交部

—日本の岸田文雄外相が「仲裁判断は紛争当事国を法的に拘束する。当時国は今回の判断に従う必要がある」と談話を出しています。「従う」とは具体的に何をすることを指すのでしょう。

小原:「中国は退け」ということです。既に出来上がっている人工島や滑走路を撤去しろとは言わないでしょうが、現状のまま立ち退くことを求めていくことになるでしょう。声明で明らかにしているように、中国が従うことはないでしょうが 。

—中国は、外交辞令として「仲裁裁判所の判断に従う」と言っておき、フィリピンと妥協することで現状を実質的に維持するという手もあったのではないでしょうか。

小原:それはできなかったと思います。王毅外相もスポークスマンも、今回の件に関わった人々はみな習近平国家主席の意向を恐れていますから。

 司法判断を巡って中国の世論は二分されるでしょう。一方は、ナショナリズムを背景に司法判断に反発するもの。もう一方は、中国政府もしくは外交部の失敗を非難するものです。彼らは、「そもそもフィリピンを提訴に至らせたことが失敗だ」と2012年までさかのぼって非難するかもしれないですね。あまり表には出ないでしょうが、中国政府が恐れているのは、この後者のグループです。

 習近平国家主席は第1のグループの側につく確率が高いでしょう。そのほうが国内をまとめ、権力を維持しやすいですから。

—今回の司法判断が中国の内政に影響を及ぼすことはありますか。

小原:あり得るでしょう。来年には人事のからむ中国共産党大会が控えています。中国には習近平国家主席を支持する勢力と、そうでない勢力があります。後者は、習政権を揺さぶる材料があるなら、何でも利用しようと考えるかもしれません。

 権力闘争とは別に、「外交を見直すべき」という意見が出てくることもあると思います。中国は最近、内政に集中する姿勢を示してきましたが、方向転換を促す動きが力を得ることは考えられます。

ハーグでやられたら沖ノ鳥島でやり返す

—仲裁裁判所が「南沙諸島に島は存在しない」と判断したのを受けて、中国が「日本の沖ノ鳥島も岩にすぎない」と主張する可能性が指摘されています。国連海洋法条約は、岩には領海は設定できるものの排他的経済水域(EEZ)は設定できないと定めています。沖ノ鳥島周辺の地下資源に期待する日本とっては憂慮すべき事態です。

小原:その可能性は高いですね。中国はやられたらやり返す国です。

—「やられた」という意味では、日本を非難していますね。今回の判断を下した仲裁裁判所の裁判官は、当時、国際海洋法裁判所長を務めていた柳井俊二氏が任命したものです 。これを「公正でない」として中国は非難しています。

小原:はい。なので、中国が「柳井氏にやられた分を、沖ノ鳥島でやり返す」と考えることは十分にありえる話です。ただし、南シナ海の問題を落ち着かせることが最優先でしょう。中国は、日本はアジアの国であるにもかかわらず欧米諸国のお先棒を担ぐ、と考えて不満に思っています。

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