国立博物館。中に入らず、お土産だけ買いました。
国立博物館の外の建物。
パラオでの最後の夕食。隣は中国・山東人家族でした。英語・中国語で会話しました。
JIVEの看板メニュー。裏は英語で。
地元のルースタービール
パラオ名産のシャコ貝の刺身あり。美味しいです。
早朝のパラオ空港。デルタ便は搭乗率5割程度か?
千葉県柏市在住
国立博物館。中に入らず、お土産だけ買いました。
国立博物館の外の建物。
パラオでの最後の夕食。隣は中国・山東人家族でした。英語・中国語で会話しました。
JIVEの看板メニュー。裏は英語で。
地元のルースタービール
パラオ名産のシャコ貝の刺身あり。美味しいです。
早朝のパラオ空港。デルタ便は搭乗率5割程度か?
ロックアイランド
パラオの国花 ルー
日本軍が付けた29番目の島
日本統治時代からのアサヒフィールド
日本の水陸両用戦車
昨日パラオより帰国しました。熱帯雨林気候で雨季に入りましたが天候に恵まれました。
通信事情が悪く、何度もブログ送信に失敗しました。
ペリリューの慰霊の旅はフォトムービーを作成して後日アップ予定です。
本日はロックアイランド周遊です。
ロックアイランドの海底
日本軍の造った水路標識
日本軍の造った水路
パラオ松島
相手がロシアだけでなく領土交渉は難しいです。お互いに国益を賭けて交渉しますので。日本の外交官くらいでしょう。日本の国益・名誉を考えないで交渉しているのは。
ルトワックの言う中国包囲網の完成にはロシアの協力が必要になります。韓国はほぼ中国の属国になったのと同じで、反共の繋がりは期待できないというか、世界に日本の悪口を告げ口する外交や慰安婦の年齢を調べれば分かる自称従軍慰安婦などでっち上げを世界に撒き散らし、慰安婦像を建てて、ない事ないことを主張しているのですから、日本にとって敵国であることは間違いありません。
ロシアを仲間にと言っても、スターリンとFDRの秘密交渉で、火事場泥棒的に領土を奪った経緯を考えますとロシアの主張(戦争の結果、北方4島はロシアのものになった)をスンナリ認める気にはなれません。が、ここは安倍内閣を信じて任せるしかないのでは。プーチンも「引き分け」と言ってきた経緯がありますので、ゼロ回答はないでしょう。本当に50:50にするのかどうかです。外交交渉が表に出ることはないから、心配な部分はありますが。ロシアだけでなく、米国・中国も頭に入れた交渉をするでしょうから、4元連立方程式を解かなければなりません。参院選、東京都知事選と勝ち進み、安倍外交の真骨頂を見せてほしいものです。
記事
日ロが先のソチ首脳会談で「新たな発想に基づくアプローチ」で平和条約締結交渉を加速することで合意したのを受け、ロシア側が交渉進展のためのある“秘策”を盛んに提案するようになっている。北方領土での共同経済活動だ。
北海道から望む国後島(アフロ)
「我々は(北方領土を)売り渡すことはない」(プーチン大統領)
「我々はクリール諸島(北方領土)を渡さないし、日本に平和条約の締結をお願いすることもない」(ラブロフ外相)
最近、北方領土問題をめぐるロシア要人の〝強硬〟発言が相次ぎ報じられている。5月にソチで開いた日ロ首脳会談では、安倍晋三首相が「相手の国民感情を傷つける言動は控えるべきだ」と強調したばかりだった。
そのソチ会談では、北方領土問題を含む平和条約締結交渉を「新たな発想に基づくアプローチ」で加速することで合意した。今月22日には首脳間の合意に基づいてさっそく、平和条約締結問題を話し合う外務省高官レベル協議が東京で開かれた。
9月初めには東方経済フォーラムに合わせて安倍首相が極東のウラジオストクを訪問し、プーチン大統領と会談する予定だ。何年も先送りされてきたプーチン大統領の訪日も年末には実現する見通しで、長らく停滞していた領土交渉に弾みがつくとの期待は大きい。
そんな流れに水を差すようなロシア要人の発言には、領土問題に対するロシアの強硬な立場を改めて日本側に認識させる意図があるとの見方もでている。
ところが冒頭の2人の発言は、いずれも前後の文脈を踏まえてみてみると、やや異なるニュアンスが浮き彫りになってくる。
「我々は何も売り渡さない」
まずはプーチン大統領だ。5月20日、ソチで開いたロシアと東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会合後の共同記者会見の場だった。「ロシアは領土問題の対話を続けることで、我らの島々を高く売りつけようとしているのではないか――。あなたと日本の安倍首相との最近の会談を受け、こんな噂が流れている。貿易・経済協力と領土問題は切り離し、互いに関連しないと言い切っていいですか」。
会場からのロシア人の質問に対して、答えた大統領の発言が「我々は何も売り渡さない」だった。
ただし、大統領はこう続けている。
「しかし、我々は他のすべての我々のパートナーと同様、日本と対話の用意があるし、対話をしたいと願っている。平和条約締結問題も対話に含まれるし、その文脈で領土問題も話し合うつもりだ」
次にラブロフ外相の発言だ。5月31日、ロシアの大衆紙コムソモリスカヤ・プラウダが読者向けに企画した生放送のラジオ・インタビュー番組「ラブロフに聞こう」の一コマで、こちらも読者の質問への回答だった。その質問の内容は「戦勝国がなぜ、戦争に負けた国に平和条約をお願いしなければならないのですか。我々はなぜ、クリール諸島(千島列島のロシアでの呼称)を引き渡して、日本に平和条約を懇願しなければならないのですか」というものだった。
こうしてみると要人発言もさることながら、先のソチ首脳会談をきっかけに、ロシア市民の間で北方領土が日本に引き渡されるとの観測が浮上し始めていることに注目すべきかもしれない。
前提は、北方4島がロシア領となったことを認めること
話を元に戻そう。回答の冒頭に「我々はクリール諸島を渡さないし、日本に平和条約をお願いすることもない」と述べたラブロフ外相は、続いて日ロの平和条約締結交渉について延々と解説している。
要約すれば、1956年に調印した日ソ共同宣言は両国の議会が批准したもので、ソ連の継承国であるロシアにも履行義務がある。この宣言は平和条約を締結した後に、当時のソ連が日本国民に対する善意の証しとして歯舞、色丹の2島を日本に引き渡す可能性に言及している。
ただし、これは日本側が第2次世界大戦の結果を無条件で認めることが前提となる。日本と協力の道を探る用意はあるが、日本が第2次大戦の結果を認めない限り、領土問題で双方に受け入れ可能な解決策を話し合うことはできない――というものだ。
日ソ共同宣言はロシアにも履行義務があるが、第2次大戦の結果、北方4島がロシア領となったことを日本が認めることが交渉の前提条件だという従来の主張を繰り返したわけだ。ラブロフ外相はソチで両首脳が合意した「新たなアプローチ」についても、何ら目新しいことはなく、「あらゆる方向でパートナーとしての関係をはぐくむ必要性」を確認したものだと説明した。熟練した外務官僚だけに、こと領土問題については原則的な立場を強調したといえるだろう。
北方領土問題をめぐる日ソ、日ロ間の主な合意
▽日ソ共同宣言(1956年10月) ・平和条約締結後に歯舞・色丹の2島を日本側に引き渡すと明記。 両国議会が批准。
▽東京宣言(1993年10月) ・択捉、国後、色丹、歯舞の4島の帰属問題を歴史的・法的事実に立脚し、法と正義の原則を基礎として解決し、早期の平和条約締結をめざす。
▽川奈提案(1998年4月) ・択捉島とウルップ島の間に国境線を画定。4島の日本の主権を確認する一方で、ロシアの施政権を認める。→その後、ロシア側が拒否。
▽日ロの創造的パートナーシップ構築に関するモスクワ宣言(1998年11月) ・国境画定委員会と共同経済活動委員会の設置を指示。
▽イルクーツク声明(2001年3月) ・東京宣言を含む諸文書に基づき平和条約締結交渉を継続。56年の日ソ共同宣言は交渉プロセスの出発点を設定した基本的な法的文書。
▽日ロ行動計画(2003年1月) ・共同経済活動委員会を通じて、両国にとって受け入れ可能な形態を模索する。
▽ソチ非公式首脳会談(2016年5月) ・「新たな発想に基づくアプローチ」で交渉を加速。
落としどころは「共同経済活動」?
ただし、このラジオ番組のなかで、ラブロフ外相は日本との関係改善への期待も表明している。それだけではない。領土交渉進展に向けたロシア側の“秘策”ともいえる方策を、ロシアの視聴者向けに披露したのだ。
「我々は以前から隣人の日本の人々に、これらの島々(北方4島)で一緒に経済活動をしようと提案している。そのために投資もし、特別経済地域もつくった。すべて可能だ。日本の仲間たちがまさに、この活動を積極的に推進してくれればうれしい。これ(共同経済活動)は多くの問題の解消に役立つ。これらの島々が日本人の訪問、日本のビジネスや人道活動にとって開かれた場所になる――。もしそのことが重要なら、他の問題はさほど本質的ではなくなる」
実は北方領土での日ロの共同経済活動は、ソチでの首脳会談以降、ロシアの要人が頻繁に提案するようになっている。先に来日したトルトネフ副首相兼極東連邦管区大統領全権代表、コジェミャコ・サハリン州知事もしかりだ。それに呼応したようなラブロフ外相の発言は、単なる偶然とは思えない。「新アプローチ」で交渉を進めるうえで、ロシア側が「共同経済活動」を柱に据えようとしているのではないかとの印象を受ける。
共同経済活動は北方領土を日ロが共同開発する構想で、両国の企業が合弁で工場を建設したり、共同事業を展開したりすることを想定している。ロシア側はとくに水産加工や地熱・風力発電、観光分野への投資を期待しているという。ロシア極東発展省は新型の経済特区「先進社会経済発展区」を北方領土でも適用する意向で、国後、択捉の両島が対象になるとの見方がでている。進出企業には税制面や通関等の優遇策を付与するほか、渡航する日本のビジネスマンにロシアのビザ(査証)取得を免除する案などが検討されているようだ。
日本側が難色を示し、立ち消えになっていた構想
もちろん、ラブロフ外相が指摘したように、北方領土での共同経済活動は決して新しい構想ではない。公式的にはエリツィン政権時代の1996年11月、当時のプリマコフ外相が訪日時に提案したのが始まりだ。
過去には日ロ間で「共同経済活動委員会」が設置され、実務レベルで検討されたこともある。プーチン、メドベージェフ政権下でもたびたび浮上し、ラブロフ外相も何度も提案してきた経緯がある。その意味では古くて新しいテーマであるわけだ。
こうしたロシア側の長年のラブコールにもかかわらず、日ロの共同経済活動は一度も実現していない。例えば現地に工場を建設するにしても、どちらの国の法律に基づくかという「主権」の問題が絡むからだ。「ロシアの主権を認めるわけにはいかない」「帰属の問題があやふやになる」といった理由から日本側が難色を示し、結局は立ち消えになっていた。
とはいえ、プーチン政権になって以降、北方領土では「クリール諸島の社会経済発展計画」に基づくインフラ開発が着々と進んでいる。韓国企業が択捉島の港湾整備事業に参加するなど、外国企業の進出もしばしばとりざたされている。さらにロシア国防省は北方領土を含むクリール諸島の軍備強化に動いており、北方領土の〝ロシア化〟は加速する一方だ。
限られる、双方が受け入れ可能な妙案
もちろん、北方4島の日本の主権確認という日本政府の主張が通ればそれにこしたことはない。
しかし、択捉島とウルップ島の間に国境線を画定するという1998年の川奈秘密提案はロシア側によって拒否された。以前に記したように、プーチン政権が想定する最大限の譲歩は日ソ共同宣言の履行とみられるだけに、4島の面積等分、あるいは3島の引き渡しといった案も非現実的だ。「双方に受け入れ可能な解決策」の妙案はおのずと限られてくる。
共同経済活動については例えば、日ロの元外交官がこんな提案をしている。
日ソ共同宣言の中で、平和条約締結後の歯舞、色丹島の日本への引き渡しを定めた条項を交渉の出発点とするとともに、同時並行で国後、択捉島に双方が受け入れ可能な法的地位をもった「特別共同経済地区」をつくる交渉を進めるというものだ。パノフ元駐日ロシア大使と東郷和彦・元外務省欧亜局長が2013年7月、ロシアのネザビシマヤ・ガゼタ(独立新聞)に共同で寄稿した。
日本はあくまで原則論を貫くのか。あるいは共同経済活動を前向きに検討し、日ソ共同宣言の履行(歯舞、色丹島の日本への引き渡し)と国後、択捉両島の共同経済活動という合わせ技で解決策を模索するのか。はたまた第3の案を練るのか。
当面は年末に見込まれるプーチン大統領の訪日を視野に、「新アプローチ」による水面下での交渉が本格化していくことだろう。
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英国のEU離脱が現実のものとなりました。合理的判断をすれば残留と思っていましたが。スコットランドの投票率が低いとTVで言ってましたので、スコットランド独立派は投票に行かなかったか離脱に投票したのかも。当分日本の株式市場と為替はダメでしょう。参院選への影響は与党に有利になるとFacebookで見ました。動乱を乗り切る力は野党にないのが国民は分かっているというのがその理由です。そう信じたいです。新聞には参院も与党他で2/3超と言う記事を見かけましたので、その反動を恐れていました。英国の次期首相は昨年10月舛添が会ったボリス・ジョンソン(保守党・元ロンドン市長)が有力とのこと。
http://jp.sputniknews.com/europe/20160624/2364381.html
本日夜から6/29朝まで保守派の先輩とパラオへ行きます。ペリリュー島へ行き、戦没者の慰霊をしようと考えています。現地のWifiがうまく繋がれば、そちらから写真でブログを届けたいと思っています。(スマホよりの投稿となりますので、字は少なく、写真中心となります)。うまく行かない場合はご容赦を。
朝日新聞の見方は何時も狂っています。塩野七生の本を読んだこともないのでしょう。憲法改正は96条からと提案したのは小生の知る限り塩野氏が初めてかと記憶します。シーザーに憧れ、強い男(知力、説得力、肉体的耐久力、持続する意志、自己制御の5つを備えている人物)が好きなのだから、論理がこういう展開になることは予想されたはず。ネットでは塩野七生を元左翼と言ったものもありますが違います。60年安保時、多分学習院大学にいたと思われますが、そこで左翼のやり方の酷さを目の当たりに見て信用しなくなったとのこと。さもありなん。今でも左翼は平気で嘘を言う卑怯な中韓人と一緒の連中です。
http://wakusan.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-a5f3.html
韓国は自由主義陣営から脱落するでしょう。米国も見限ってきているとなると、本記事にありますように、中国にあらゆる面で頼ることになります。少し歴史を知っていれば、日本の植民地支配を非難する資格を欧米は持ってないことが理解できるはずですが、それができないのは情緒優先の国民性からです。中国だって戦後満州族やチベット族、ウイグル族の土地を奪い、現在植民地支配しています。日本と違う所は武力侵攻して占領しました。日本は朝鮮半島を平和的に統合しました。中国に日本を非難する資格はありませんが、特亜と言われる国々ですから、自分の事はさておいてするかもしれません。そのときは満州族やチベット族、ウイグル族の話をして反論すれば良いでしょう。非常に嫌がることと思います。韓国の独り相撲で終わる可能性があります。
韓国は中国同様敵国です。2012年にはGSOMIA(軍事情報包括保護協定)をサイン直前でキャンセルするという非常に礼を失した態度を取り、6月の海軍軍事共同演習では旭日旗にイチャモンをつけるなど軍事の国際常識から外れた態度を取ります。軍事情報を共有したら中国に流れる可能性も高く、GSOMIAは結ばなくて良かったと思います。北がミサイルで存在をアピールし、南と戦争になっても日米ともに韓国を守る気はないのでは。THAADの配備もできないようでは、在韓米軍は撤退でしょう。
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160621/frn1606211852008-n1.htm
記事
なぜ韓国メディアは塩野七生氏を公敵と位置づけるに至ったのか(写真:大高 和康)
(前回から読む)
塩野七生氏が不都合な真実を語った。すると韓国で公敵となった。
全体主義の象徴
—前回の「ドン・キホーテは『進撃の巨人』の夢を見るか」に引用されたハンギョレの記事の見出し。なぜ「塩野七生」が入っているのですか。
鈴置:キル・ユンヒョン東京特派員が書いた「塩野七生、あるいは全体主義の誘惑」(5月27日、日本語版)のことですね。
オバマ(Barack Obama)大統領の広島訪問を論じたこの記事は「謝罪要求を口にさせない日本」を批判し「日本は全体主義に向かう」と警告しました。
キル・ユンヒョン特派員によれば「塩野七生」こそが、日本の全体主義を象徴します。だから見出しに入っているのです。
筆者は記事の冒頭で、塩野七生氏の著作を読破したと告白しています。しかし文末では、ソウルに戻ったらそれらの本はすべて片付ける、と書きました。
国の品位の差
—どうしてですか。
鈴置:塩野七生氏が朝日新聞のインタビューに答え「無言で静かにオバマ大統領を迎えよう」と語ったからです。
キル・ユンヒョン特派員はこれを「原爆投下に対し謝罪を要求する個人の切実な呼びかけを、国家の品格という名で遮断しようとする全体主義的な日本社会」の一端と見なしたのです。
朝日新聞の「オバマ大統領の迎え方」(5月25日)の塩野七生氏の発言のうち、以下の部分をハンギョレは引用しました。朝日の原文と少し異なりますが、ハンギョレの記事をそのまま引きます。
前回も話しましたが、韓国では被害者とは「地面を転げ回って大声で泣き叫ぶもの」です。「静かに迎える日本」は韓国人には全体主義国家に見えるのです。
「朝日」に怒るハンギョレ
—「韓国は品位がない」と朝日新聞から馬鹿にされたと思ったのでしょうね。
鈴置:そう思います。キル・ユンヒョン記者も「朝日新聞はどうしてこうしたインタビューを現在のこの微妙な時期に載せたのだろうか」と大いに不満を漏らして――怒っています。
韓国語版(5月26日)の記事では「塩野七生」は初めから最後まで呼び捨てです。韓国の公敵に認定されたわけです。ただ、韓国人が「塩野七生」にカチンと来るのはそれだけが理由ではありません。
ハンギョレが引用しなかった塩野氏の発言部分にこそ、韓国にとって不都合な指摘があるのです。朝日の記事から直接引きます。先ほどの引用と少しダブります。
植民地に謝罪はしない
—なるほど。「欧州各国は植民地支配を謝らない」との説明があって初めて「救いようのない中韓の外交感覚の欠如」が納得できますね。
鈴置:私も初めにハンギョレの記事を読んで、この部分は論理が飛んでいるな、と首を傾げました。そこで朝日の元記事をチェックして、ようやく納得したのです。
—肝心なくだりをなぜ、ハンギョレは引用しなかったのでしょうか。
鈴置:分かりません。長くなるから入れなかったか、あるいは韓国にとって不都合な真実であるからか――。
いずれにせよ、この「植民地支配への謝罪」は、韓国にとってオバマ広島訪問のもう1つの戦略目標だったのです。
初めはオバマ大統領の訪問――つまり被爆者への追悼に反対していた韓国メディアも、阻止できないと見ると今度は「韓国人被爆者にも謝罪しろ」「韓国人の慰霊碑にも行け」と言い出しました。
その際、韓国メディアは「韓国人被爆者は植民地の人間で、被曝と合わせ二重の被害者であった」ことを理由に掲げたのです。
オバマに日本を叱ってもらう
5月27日にオバマ大統領が献花した慰霊碑は、すべての被爆者を悼むものです。別段「日本人専用」と書いてあるわけではありません。韓国人慰霊碑にも行かせるには理屈が要ると考えたのでしょう。
朝鮮日報の「広島に行くオバマ大統領へ」(5月16日、韓国語版)。金秀恵(キム・スヘ)東京特派員は以下のように書きました。
「植民地支配」はオバマ大統領を韓国人慰霊碑に行かせる理由付けで使われました。が、次第に「オバマ大統領に日本の植民地支配を叱らせ、その不当さを認めてもらう」のも目的となったのです。
新たな対日攻撃カード
—「植民地カード」ですね。
鈴置:その通りです。「植民地カード」を磨こう、との意見が韓国で高まっています。もちろん、日本に対し外交的に優位な立場を得るためです。
安倍晋三首相が2015年8月14日に「戦後70年談話」を発表しました。韓国政府はこの談話に植民地支配に対する謝罪を盛り込ませ、新たな外交カードを作ろうとしました。
しかし、日本政府にスルリとかわされてしまいました(「『韓国外し』に乗り出した安倍政権」参照)。
この直後、韓国の元外交官、趙世暎(チョ・セヨン)東西大学特任教授がハフィントンポスト韓国語版に「安倍談話、交戦国と植民地は異なるという優越意識」(2015年8月20日)を寄せました。
これは翻訳され「安倍首相の『戦後70年談話』に潜む『植民地』への優越感」(2015年8月21日)の見出しで日本語版に載りました。「植民地カード」関連部分は以下です。
飼い犬に手をかまれた
2010年8月10日、菅直人首相(当時)は「内閣総理大臣談話」を発表し、韓国に対し植民地支配を謝罪しました。
趙世暎特任教授は菅談話をもっと活用し、日本に対する外交的武器とすべきだ、と韓国人に訴えたのです。
ことに2015年末の「合意」で「慰安婦カード」が使いにくくなっている(「掌返しで『朴槿恵の親中』を批判する韓国紙」)。今こそ「植民地カード」の出番なのです。
というのに、韓国人が「日本の良心」と持ちあげてきた朝日新聞が「植民地支配を謝罪する欧州の国なんてないぞ」と本当のことを書いてしまった。韓国人とすれば、飼い犬に手をかまれた感じでしょう。
見損なっていた「朝日」
—朝日はなぜ、韓国から怒られるようなインタビュー記事を載せたのでしょうか。
鈴置:聞き手の刀祢館正明編集委員が、編集後記に当たる「取材を終えて」で以下のように書いています。
塩野七生氏を見損なっていたのです。
(次回に続く)=6月23日に掲載予定
ハワイは併合した米国ではなく中国のもの――中国の「帝国主義批判」が始まった。韓国は米国の側に立つのか、中国の側に立つのか
(前回から読む)
「植民地支配」を新たな外交カードに育てたい韓国。「広島訪問」でも画策した。しかし空振りし「米国の尾」を踏むだけに終わった。
「裏書き」を貰うのに失敗
—前回の話で、ようやく分かりました。韓国人が、広島を訪れたオバマ(Barack Obama)大統領に「日本の植民地支配」を叱りつけてもらおうとしたことが。
鈴置:もっとも「植民地カード」に裏書きしてもらうのには失敗しましたけれどね。オバマ大統領は韓国人慰霊碑に行かなかったのです。
—でも、大統領は広島での演説で「thousands of Koreans」も被爆したと語りました。
鈴置:うるさく言ってくる韓国にある程度、対応したのは確かです。ただ、広島演説「Remarks by President Obama and Prime Minister Abe of Japan at Hiroshima Peace Memorial」をよく読むと、日本の植民地支配を批判したと取られる表現は避けています。
韓国紙が言い募る「強制連行された」といった形容詞が「thousands of Koreans」に付いているわけではありません。
「半島出身の人々」
—確かに、そうでした。
鈴置:ことに日本語版「広島平和記念公園におけるバラク・オバマ大統領の演説」を見ると「植民地」に関し言質を取られないよう、米政府が相当に神経を使ったのが分かります。
米政府は日本語版を仮翻訳と呼んでいますが、英文が正式の文書であるとの意味で「仮」なのです。とりあえずの適当な訳だとか、後で本当の訳が出る、というわけではありません。相当に考えられた訳文です。
「thousands of Koreans」は仮翻訳――日本語版では「何千人もの朝鮮半島出身の人々」と訳されています。
もし、これを「何千人もの韓国人」とか「何千人もの朝鮮人」と訳せば「韓国」ないし「朝鮮」という別の国が当時あって、あるいは別の国が存在すべきであって、その国の国民が広島や長崎で働かされていた――と米国が認識していると受け取られかねない。
「朝鮮半島出身の人々」なら素直に読む限り、朝鮮半島という地域の出身だけれど併合により日本人になっていた人々――との意味になります。
被爆した朝鮮人の多くは自由意思で、一部は徴用で働きに来た人でした。後者は日本国民の義務を果たしていたわけです。
韓国各紙の「強制的に広島や長崎に連れて来られて被爆した」との主張には与しない翻訳になっているのです。
なお、「強制連行」との主張がいかに根拠のないものであるかについては、東京基督教大学の西岡力教授が『日韓「歴史問題」の真実』に詳しく書いています。
中国が批判し始めた「ハワイ併合」
—日本の新聞が「朝鮮半島出身の人々」としたのも、米政府の訳を尊重したということですね。
鈴置:その通りです。なぜか、全国紙の中で朝日新聞だけは「朝鮮人」と訳していますけれどね。
—「日本の植民地支配の不当性」を認めろとの韓国の要求を今回、米国が無視したのはなぜでしょうか。
鈴置:当然の話です。米国だってテキサスやハワイ、フィリピンなどを併合しています。そもそも、日本の韓国併合を真っ先に承認したのは米国です。交換条件としてフィリピンは米国のものと日本に認めさせるためでした。
いくら「リベラル」が売り物のオバマ大統領だって「米帝国主義の悪行」を容易には認めないでしょう。
それに今、中国が「ハワイ併合」(1898年)を材料に米国に揺さぶりをかけ始めています。米国とすれば、中国に付け入られるわけにはいかない。
クリントン国務長官に威嚇
—ハワイ併合を問題化するのですか?
鈴置:2012年当時、国務長官だったヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏に対し――現在、民主党の大統領候補ですが、中国の要人がハワイの領有権を主張しました。
同氏によると、中国による南シナ海の軍事基地化を議論していた際のことだそうです。ハワイが中国領との理屈は、米国による併合以前から中国からの移民が住んでいた、ということでしょう。
『China 2049』を書いたマイケル・ピルズベリー(Michael Pillsbury)氏も中国のタカ派から「米国が台湾に武器輸出を続けるのなら、ハワイ独立運動の活動家に武器援助する」と威嚇されたそうです。
いずれのエピソードも「The Washington Free Beacon」という軍事サイトが「Hawaiian Independence Movement Attracts Chinese Interest」という見出しの記事で報じています。
米帝国主義が南北を分断
—ハワイの人々が中国国民になりたいと願うとは思えません。
鈴置:もちろん、そんなことにはならない。しかし、強国の併合の歴史を言い募れば、フィリピン人や韓国人は心が揺れるでしょう。
米国に複雑な思いを持つフィリピン人は一度、米軍基地を追い出したこともあるのです。韓国の左翼は「日本に代わって米国が韓国を支配している」「米帝国主義は韓国に軍事拠点を確保すべく、南北を分断したうえ対立を煽っている」と主張しています。
中国は米国とフィリピン・韓国の分断工作や、沖縄の独立運動に油を注ぐためにも「帝国主義がアジアを食い物にした歴史」を今後、ますます声高に語るでしょう。韓国は例によって、そのお先棒を担いでいるわけです。
—韓国人はなぜ、米国がハワイやフィリピンを併合したことを忘れているのでしょうか。
鈴置:彼らはものごとをきちんと調べずに語るところがあります。感情的になって主張し始めると、事実関係はどうでもよくなってしまう。「コリアン・ロジック」のゆえんです。
—韓国では日本で以上に「桂―タフト協定」(Taft-Katsura Agreement、1905年)が有名と聞きます。
鈴置:ええ。しばしば新聞で言及されます。ただ、それは「日本による韓国支配を米国が認めた」協定――つまり、韓国が米国に捨てられた契機と理解されていて「米国によるフィリピン領有を日本に認めさせた」側面は、ほとんど語られないのです。
無神経さに米国も困惑
—結局、韓国は「広島訪問」で……。
鈴置:前々回のドン・キホーテの例えをもう一度使えば、日本という悪い巨人――本当は単なる風車に過ぎないのですが――にヤリを掲げて突進し、間違って隣の風車――同盟国の米国を攻撃してしまったのです。
この無神経さには、広島演説を書いた人を含め米国の関係者はさぞかし困惑し、苦笑したと思います。
もっとも、韓国人の立場からすれば「苦笑された」では済みません。欧州に加え米国というただ1つの同盟国から、植民地であったことに同情なんてしないよ、と申し渡されたのと同じなのですから。
ただでさえ友達の少ない国です。韓国人の寂寥感は増すばかりと思います。これにより、日本攻撃用の新たな武器「植民地カード」を作る際の応援団が西欧では得られないことも判明しました。
この問題でも中国だけが頼みになります。オバマ大統領の広島訪問は、韓国をしてさらに中国に向かわせる材料となりそうです。
米国こそ帝国主義の親分
—「米国の尾を踏むな」と指摘した韓国人はいますか?
鈴置:それを書いた人は、私が見た限りでは2人いました。1人は朝鮮日報の鮮于鉦(ソヌ・ジョン)論説委員です。
「『コリアン・ロジック』で逆恨みする韓国」でも引用した「ベトナム、広島、リ・スヨン」(6月1日、韓国語版)の一節が以下です。ちゃんと「米国にとっての植民地問題」に触れています。
—なるほど。「米国も弱い国を併合した帝国だったことを理解しよう」というわけですね。
鈴置:韓国は今回の一連の「広島騒動」で、米国というトラの尾を思い切り踏んでいたのです。その危さに気がつくべきだと鮮于鉦論説委員は言いたいのでしょう。
なにせ、後輩の金秀恵(キム・スヘ)東京特派員も「大日本帝国の悪行」を「米帝国主義の親玉」たるオバマ大統領に訴えてしまったのですから(「『塩野七生』は韓国の公敵になった」参照)。
韓国の大統領も訪問していないのに
—もう1人は?
鈴置:外交・安保専門家のヴァンダービルド氏です。原爆投下への謝罪要求に関してですが「米国はますます韓国という国をいぶかしく見るであろう」と訴えました。
趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムに載った「オバマが『韓国人慰霊碑』に献花しなかったと残念がる前に」(5月28日、韓国語)から「韓国の奇妙な行動を見る米国の眼差し」を書いた部分を要約しつつ翻訳します。
一度、謝罪を引き出したら
—「相手からとにかく謝罪を引き出しておき、次には『非を認めたのだからさらなる謝罪や補償をしろ』」ですね。
鈴置:ヴァンダービルド氏は日韓関係がおかしくなったのも、韓国のこうした手口が原因だと警告を発してきました。
同氏の書いた「日本政府の公式な謝罪と補償の履歴」(2月29日、韓国語)によると1982年以来、日本政府は2年半に1度のペースで韓国に謝っています。
日本が謝っても、後で「あれは謝罪ではない」と韓国が言い出した結果です。日本よりももっと大事な米国に対し、こんなやり口を使って関係が取り返しのつかないものになったら大変、とヴァンダービルド氏は危機感を募らせたのでしょう。結論は次です。
オバマ大統領が広島演説で、韓国人の被爆という事実に具体的に言及したことで満足せねばならない。もともと成功する可能性もないのに抱いた過ぎた欲は捨てねばならない。
期待が大きければ失望も大きいように、欲が過ぎると恨み(反米など)が生まれるものだ。メディアは不必要な刺激(扇動性のある)記事を自制せねばならぬ。
友達の少ない国は……
—韓国はどこへ行くのでしょうか?
鈴置:朴槿恵(パク・クンヘ)大統領を先頭に、日本による植民地支配の不当性を世界中に訴えて回った。しかし、少なくとも西欧からは同情してもらえないことがはっきりしました。
結局「歴史問題」で韓国の頭をなぜてくれるのは中国ぐらい。寂しがり屋なのに友達が少ない韓国は、この点でも中国にすり寄っていくことになるでしょう。
韓国の「離米従中」には様々の理由があります。対中依存度が高いという経済的な要因。中国に近く軍事的な脅威を受けやすいという地理的な問題。千年以上も中華帝国の一部だった歴史。
それに加え、日本をひれ伏させるための「歴史カード」作りで中国のバックアップが必須となったのです。韓国の動きをさらに子細に観察する必要があります。
(次回に続く)
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拉致された林栄基と中国政府の言い分のどちらを信じるかというと自明です。命を賭けて発言している人間と「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という国の政府が言うこととどちらを信じるかは明らかです。逮捕状なしで拘束するのは違法かつ人権蹂躙ですし、況してや香港人を拉致するのは1国2制度に反します。李波のように、英国人であっても拉致されるのですから、日本人だって可能性がない訳ではありません。英国政府は何故もっと動かなかったのでしょうか?キャメロン・オズボーンの親中国政策、経済的理由の犠牲になったのでしょうか?日本人が拉致されても、現実的に政府が救済に動くことは出来ません。北朝鮮の拉致が発覚して何年経ちましたか?今でも解決できていません。日本共産党や反日民進党は自衛隊の海外派兵に反対しています。日本の少子高齢化による経済成長ダウンへの対策は①AI・ロボット化による生産性向上②海外投資・海外人材派遣による所得収支の向上と考えています。有事の際、自衛隊が海外にいる駐在邦人を救出に行かなければ、誰も海外で働こうとしません。別に戦争しに行くわけではありません。自国民を保護するのは国家の務めです。それをさせないという政党の政策と言うのは畸形です。
香港の経済的地位も危うくなっています。中国銀行券で偽札が見つかったとのこと。中国国内では2割が偽札と言われています。偽札が香港でも流通してきたというのは香港の国際金融の地位を上海に移そうとしているのでは。言うことを聞かない香港を経済的締め付けで困らせ、手懐けようとしている可能性があります。1国2制度の約束を守らないのは中国政府なのですが。台湾やASEAN諸国へ経済援助という飴と武力侵攻というムチを振るおうとしているのと同じです。対抗策は中国への経済封鎖(国際組織から排除)と同盟による包囲網です。
http://melma.com/backnumber_45206_6380480/
香港の1国2制度は風前の灯です。国際社会が中国にペナルテイを課さなければ、優秀な人間はドンドン脱出していき、「宴のあと」の状況になるかもしれません。シンガポールはマレーシアから独立した人口541万人の小さな華僑国家ですが、金融・貿易で稼ぎ、一人当たりGDPは55,000$で米国より高いです。因みに米国53,000$、香港38,000$、日本38,000$です。水や食料をマレーシアに依存していますが、独立しています。香港も独立できれば良いのでしょうけど、中国が許さないでしょう。国際社会の支援、特に米国の支援がない限り無理です。台湾もそうならないように、日米、ASEANで連帯して防がねば。第一列島線を突破すれば第二列島線、太平洋と中国は進出してきます。領土的野心を隠さない「遅れて来た帝国主義国」ですから。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/215516.html
記事
中国当局に拘束されていた香港銅鑼湾書店の店長・林栄基が香港に戻り、会見を行った(写真:AP/アフロ)
中国当局により昨年10月以降から拘束されていた香港銅鑼湾書店の店長・林栄基が6月14日に釈放され香港に戻った。この事件で失踪した関係者5人のうち、香港に戻ったのは彼が4人目。“ひき逃げ犯として自首”して中国中央テレビ(CCTV)上で涙ながらに罪を認めたオーナーの桂敏海以外は全員戻ってきたことになる。もし、林栄基が先の3人同様、沈黙を守っていたら、この事件は真相不明のまま、香港に言い知れぬ不安を残しつつ風化していたかもしれない。
だが、彼は16日に香港で記者会見を開き、この失踪事件が「中央専案組」と呼ばれる特別捜査チームによって実行された、中国当局によって仕掛けられた事件であることを暴き、中国当局による「一国二制度つぶし」であることを告発したのだった。
この会見以降、香港はハチの巣をつついたようになっている。親中香港メディアは林の発言が民主派議員に操られた嘘であると批判する一方、香港市民の間では林栄基擁護デモも発生。いったいこの事件の真相はどこにあるのか。そして香港の行方は。林栄基の記者会見やインタビューの内容を振り返って検証してみたい。
ひきつった笑顔がもたらす恐怖
銅鑼湾書店の事件の概要そのものは、過去の拙コラム「香港銅鑼湾書店『失踪事件』の暗澹」や「中国の『越境拘束』、タイや香港で続発の脅威」を参照してほしい。
失踪した5人のうち、銅鑼湾書店の親会社である巨流傳媒有限公司の社長の呂波が今年3月4日、経理の張志平が3月6日、そして英国国籍で、大株主の夫で店主の李波が3月24日に釈放されていた。
この事件について、先に釈放された関係者はほとんど口をつぐみ、唯一、李波が釈放後、香港フェニックステレビや星島日報など“親中派メディア”の取材を受けている。
李波は、桂敏海の取り調べに協力するために自ら望んで中国本土に渡ったと主張し、自分が中国当局に拉致されたわけでも、失踪したわけでもないと強調。自分も妻も政治に利用されたくないので、これ以上、メディアは大騒ぎしてくれるなと釘を刺した。このときのインタビューで見せた李波のひきつった笑顔は、香港人たちを恐怖に突き落とした。李波はその後、なぜか英国国籍放棄の手続きをとった。
それから約3カ月たった6月14日、銅鑼湾書店の創始者であり、元オーナー店長だった林栄基が釈放された。林栄基は香港にもどるやいなや、何俊仁議員(民主党元主席)に付き添われて立法会ビルで記者会見を開き、中国当局の「中央専案組」という超法規組織によって拉致され、24時間監視のもと厳しい尋問を受けていたことを告発したのだった。
まず、その告発内容を整理して、ここに紹介しよう。
目隠し、連行、監禁、尋問、圧力
林栄基は10月24日、広東省東莞在住の女友達に会いに行くべく深圳市羅湖のパスポートコントロールを通過するときに深圳公安警察当局に身柄を拘束された。しばらく深圳で公安の拘置所に拘留されたのち、浙江省寧波に連行され、24時間の監視付きで軟禁生活を送り、厳しい尋問を十回以上受けたという。次に広東省韶関に移送され、6月14日に「読者に関する資料(ハードディスク)を本土に持って戻る」という約束で、香港に帰郷を許された。しかし、九龍塘駅に列車でたどり着いたとき、事件の顛末を香港人に公開し、二度と本土に戻るまいと決心したという。
最初、パスポートコントロールで公安警察に連行されたとき、林は「私が何の罪を犯したというのだ?」と何度も問いかけたが、彼らは答えなかった。その後、11人の係員に取り囲まれるようにして外に連れ出されて、7人乗りの車に係員とともに押し込まれ、深圳のある派出所に連れていかれた。パスポートや身分証は没収されてしまった。「何があったんだ」と林は何度も聞くが、だれも答えなかった。その夜は派出所で過ごしたが、座ったままで一睡もさせてもらえず、まるで犯罪人扱いであったという。
翌朝午前7時頃、再び車に押し込められると北方行の列車に乗せられた。その間目隠しをされ、ハンチング帽を目深にかぶらされ、他の人と一切接触をさせてもらえない状態だった。約14時間後、下車した駅名をこっそり盗み見て、そこが寧波だと知ることができた。そこから再び車に乗せられ、45分ほど走ると、大きな建物の前に止まった。その建物の二階の部屋に彼は監禁された。
室内の家具はプラスチックフィルムで包まれており、それは自殺防止のためのようだった。歯ブラシはナイロンのひも付きで、歯を磨くときは監視人がひもの端をもって脇に立っている。「歯ブラシを飲み込んで自殺を図るのを防ぐためだろう。前に誰かがやったのではないか」と林は想像した。
その後、尋問が始まるが、依然、彼が何の罪を犯したかも教えてもらえなかった。相手は、林に二つの条項についてサインするよう求めた。まず家族と連絡をとることを放棄すること。そして、弁護士との連絡を要請しないと承諾すること。
「このとき、自分は孤立無援で、だれにも助けを求められないのだと思い知った」と振り返る。さらに尋問者は銅鑼湾書店における林の職位と銅鑼湾書店のオーナーとの関係性、何のために本土に禁書を販売するのか、といったことを尋ねられた。林は銅鑼湾書店は合法的な書店だと主張するも、尋問者は「本土に禁書を持ち込んだり配本したりすれば本土の刑法に背くのだ」と指摘。また、習近平のスキャンダル本などの筆者や資料にかんする尋問も行われた。たとえ香港で出版されたものでも、本土に配本することはできず、後日にこの問題の取り調べが行われる可能性があるのだと説明した。
林によれば「拘留期間中、特に激しく暴言を吐かれたり、暴力を振るわれるなどのことはなかったが、精神的圧力は非常に大きかった」という。寧波に拘留中の五カ月間、小部屋に押し込まれて電話もできず、活字を読むことも許されず、尋問が続いたのだから当然だ。尋問者は、どうやら禁書の筆者・編集者、購読者の資料をほしがっているようだった。自分以外の銅鑼湾書店関係者が寧波で拘留されていることは耳にしたが、彼らがどのような状況にあるかは知る由もなかった。
欲しいのは補償ではなく、自由だ
2月の終わりに、香港フェニックステレビから軟禁先で取材を受けた。これは“監督”と“台本”のある完全なヤラセであった。もし彼らが満足のいかない取材となれば、やり直しをさせられた。林栄基は台本通りのセリフをカメラの前で言わざるを得なかった。
3月になると、韶関に移送された。韶関の監視は寧波ほど厳しくはなかった。
林は尋問者、監視人に香港に帰り家族に会いたいと何度も要求してきた。尋問者は、もし会社が保有している禁書購読者リストの入ったハードディスクを提供すると約束するなら応じてもよいと返答された。だが林は、その要求を最後まで拒み続けた。林によれば、中央政府はそのときすでに、銅鑼湾書店の購読者リストを手に入れていたようである。林は「ハードディスクの中身を李波がコピーをして渡したはずだ。リストは500~600人に上り、ほとんどが本土の顧客で、その顧客たちは4000冊以上の本を購入していた」という。自分の尋問は、李波が提供した資料に基づいて行われたのだと考えた。
また、韶関にいるとき、軟禁状態の林の性的欲求に付け込むように、ある深夜午前一時ごろに二人の女性が訪ねてきたことがあったという。おそらくは当局が買春の罪をかぶせるために林に仕掛けた罠であろうと思われる。林はドアを開けないまま「何かの間違いだろう」と答えて追い返したという。またある時は、10万元の補償金をやるので書店を閉店させよ、と尋問者から持ち掛けられたこともあったという。林は「欲しいのは補償ではなく、自由だ」と答えた。
14日に林は羅湖経由で香港に戻り、香港警察と面会した。香港に入るまで監視員がずっと見張っていた。林は二日にわたって、事件の詳細を振り返り、今後どうするかをよく考え、事件の顛末を記者会見で公表することを決心した。本来なら16日に本土に戻る約束で釈放されたのだ。だが、失踪した銅鑼湾書店関係者の無事解放のために香港人6000人が抗議デモを行ったニュースフィルムなどを見て感激し、香港の自由を守るために、自分もリスクを負う覚悟ができた。彼は議員で弁護士でもある何俊仁に電話して協力を求めたのだった。
「なぜなら、これは社会の表現の自由の権利を奪う事件だからです」。他の書店関係者の呂波も張志平も、そして林栄基も女友達が内地にいる。だが林はそのリスクを承知の上で「中国政府が、彼女らに対してよい対応をしてくれることを期待するしかありません」といい、あえて記者会見で、事件の内幕を告発したのだった。
強権にノーと言おう
以上は記者会見、グループインタビューなどで明らかにされた内容だ。
事件の要点の一つは、この事件が、中国公安や軍部、国家安全部など既存の組織ではなく、「中央専案組」とよばれる、銅鑼湾書店問題処理のための中央直属組織がわざわざ作られていたことだろう。おそらくは総書記の習近平の指示で動く組織ではないか。
林によれば、自らの意志で香港から内地に渡ったと主張している李波は、香港から“拉致”されたのであって、「すでに中国政府は香港の後戻りの道を断っている。一国二制度はすでに有名無実化している。今回は(香港と本土の)境界を越えて司法を執行した」といい、一国二制度の最後の砦である司法の独立が完全に崩れていることを指摘する。
その上で、林栄基は香港人に向かってこう呼びかける。「強権に向かってノーと言おう、私にはできる。あなた方はできないのか?私は権力に屈服しないぞ」
司法の独立がないということは、中国当局側はいつでも再び林栄基を拉致して、何がしかの罪で有罪にすることも可能なのだが、その身を危険にさらしても、彼は強権に向かってノーということを選んだわけだ。この会見を受けて18日、“強権にノーと言おう”という標語を掲げた「中国白色テロへの抵抗デモ」が実施され主催者発表で6000人が参加した。
一方、香港の親中メディアおよび親中派はこうした林栄基の命がけの記者会見に一斉に反発。まず李波はマンションの下で、林栄基の告発は嘘ばかりだと香港紙明報などに語り、自分が拉致されて本土に連れていかれたということも、購読者資料のコピーを中国側に渡したことも全部否定した。
また東莞に残された林栄基の女友達(37)も星島日報に対して林栄基が彼女をだまして、本土の顧客に禁書を郵送させたと告発。「林は男じゃない卑怯者!」と激しくののしり、林が会見でいったことも、嘘ばかりだ、中国当局は弁護士を呼ぶことを拒否しなかった、などと語った。星島日報は、呂波と張志平からもコメントをとっており、彼らも林栄基の言っていることに反論しており、張志平は「林栄基がこんなに不誠実な人間だったとは思いもしなかった」と彼を罵った。
中国外交部報道官は定例記者会見でこの件について「中国当局には当然、この件を法律に基づいて処理している。寧波公安当局はすでに香港メディアの取材に対して、はっきりとさせている。林栄基は中国公民であり、彼が内地で法律違反をすれば、中国当局は当然、法に基づいて処罰することができる」とコメント。「李波がすでに林栄基の発言を否定している。中国政府は一貫して一国二制度を貫徹する決心を固めている」と主張した。中国系香港紙大公報などは、林栄基が中国で禁書を販売したことが本土の法律に触れた事実は否定できないということを強調し、何俊仁が事実を歪曲し、林栄基を政治利用して中央政府のネガティブイメージを発信していると批判キャンペーンを展開。このキャンペーンにのって1000人規模の反何俊仁デモも行われた。
失ってはならない香港の核心価値
さて事件の真相について、林栄基の告発が正しいのか、あるいは李波らの主張が正しいのか。私は林栄基の主張の方を信じている。常識的な判断をもてば、同僚たちや女友達は、当局から家族が人質に取られてそういわざるを得ないことは想像できる。もちろん、林が、桂敏海ら銅鑼湾書店関係者が次々と失踪しているさなかに、なぜ香港を離れ東莞の女友達に会いに行くという危険を冒したのか腑に落ちないことはある。ちなみに彼は妻と事実上の別居状態にあり、彼の仕事を手伝う女友達が内地にいること自体は、さほど不思議ではない。
いずれにしろ、この林栄基の衝撃的な記者会見によって、香港がいかに危機的状況であるかということが思い知らされた。中国が現在、香港でやっていることは、中国共産党政権による赤い「白色テロ」と言ってもいい。香港はあと30年を待たずして一国二制度を失い、その核心的価値、つまり民主・自由・法治は危機に瀕している。
だがそうなると、香港の国際金融センターとしての地位も失われてしまうだろう。中国当局に批判的な言論をしたり書物を販売したりするだけで、人間が突然蒸発するような恐ろしい地域でどうして安心して国際的な経済・金融活動が営めるだろうか。
香港では雨傘革命以降、独立派が台頭し、一国二制度維持を掲げる民主派とは微妙に対立しているのだが、どうか、この香港の危機のために団結してほしい。香港を守ることは、香港人のためだけでなく、香港という金融・経済センターの恩恵を受けている国際社会、そして中国自身の未来のためでもある。中国人を含む国際社会の人々が、この事件を契機に、失ってはならない香港の核心価値について改めて思いをはせる時だと思った。
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