『トルコを屈服させたプーチン式の強権外交 トルコ・エルドアン大統領が書簡で“白旗”』(7/8日経ビジネスオンライン 池田 元博)について

プーチンのやり方は中国のやり方を髣髴させます。ロシアの「ガス供給」を中国の「レアアース供給」、ロシア人旅行客の制限は中国人旅行客の台湾への旅行制限・蔡政権への嫌がらせ、ロシアの野菜輸入禁止は中国の福島原発放射能汚染防止の名目で日本の食品・飼料輸入禁止(10 都県(福島、宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、新潟、長野)で禁止。放射能とは関係ない所が多い)を思い起こさせます。2010年、尖閣での中国漁船拿捕の意趣返しでしょう。独裁国家は似たような行動を取りやすいということです。ただロシアは曲がりなりにも選挙で選ばれた大統領が行政の責任を負っていますが、中国の主席は選挙で選ばれた訳ではありません。

トルコがロシアに謝罪したのは、結局、経済問題が外交方針を左右したことになります。戦争するよりは良いでしょうけど。両大統領の面子よりは戦争回避が重要です。ただ、日本も経済問題だけで外交を左右されないように手を打っておくことが必要です。特に中国は躊躇せずにいろんな手を打って来るでしょう。中国からの旅行客も当てにせず、日本人がもっと国内旅行できる環境作りや、エネルギー問題でメタンハイドレートや核融合に金と時間をかけること、中国のASEAN分断を許さないように各国への資金と技術支援をすることなど。

参院選は改憲勢力で2/3を押さえました。首相は憲法審査会で議論を進めたいでしょうが、反日民進党や共産党は乗って来ないと思います。それより、自民党案でなく、憲法のどの部分を変えたい(逐条改訂になるため)というのを国民に先にPRして国民投票で受け入れられるところから国会で発議すれば良いと考えます。7/11日経に「首相周辺には任期満了前に衆院解散・総選挙で大勝し、(総裁)任期延長に向けたシナリオが囁かれる。与党内の関心も次の衆院解散・総選挙のタイミングに移りつつある。首相は参院選に合わせて衆院を解散する衆参同日選を見送ったが、政権幹部の一人は「年末から年明けに解散すべきだ」と語る」とありました。参院で2/3を押さえているのに衆院を解散するかどうかです。衆院の任期は18年12月(総裁任期は18年9月まで)までありますのでその間、じっくり政策課題、特に憲法改正問題に取り組んだ方が良いのでは。選挙をやって反日民進党を壊滅させるという考えもあるでしょうが。それと9月の臨時国会開始前の内閣改造で不満が出ないように早めに解散に打って出ると言うことも考えられます。中国の横暴さに対抗していくには、リベラルではなくしっかりした国家観・歴史観を持った保守政治家が国の舵取りをして行った方が良いと思います。

記事

昨年11月、トルコ軍がロシア軍機を撃墜した事件を機に冷え込んでいた両国が、ようやく関係修復に動きだした。トルコ側が長らく渋っていた「謝罪」をしたためで、プーチン大統領の過剰なほどの強権外交が功を奏したといえる。

Putin &  Erdoğan

2015年、トルコで開かれたG20で会談するロシア・プーチン大統領とトルコ・エルドアン大統領(代表撮影/AP/アフロ)

 トルコは非常に親日的な国として知られる。

 1890年、オスマン帝国(現在のトルコ)の軍艦エルトゥールル号が和歌山県沖で暴風雨に遭って沈没した。当時、地元民が総出で船員の救助活動に当たったという美談が〝親日〟の発端とされるが、もうひとつ大きな理由がある。1904~05年の日露戦争での日本の勝利である。

 オスマン帝国はかねて、不凍港を求めて南下するロシア帝国と根深い対立関係にあった。クリミア戦争や露土戦争など激しい戦火も交えてきた。そんな中、日露戦争で「天敵」のロシア帝国に勝った国として、日本の評価と親近感が急速に高まったというのだ。とくに日本海海戦で強敵のバルチック艦隊を破った東郷平八郎の名は、今のトルコでもよく知られているという。

 このように歴史的に根深い〝因縁〟を抱え、常に一筋縄でいかないのがロシアとトルコの関係だ。昨年、シリア国境付近でトルコ軍がロシア空軍機を撃墜し、両国関係が一気に冷え込んだ際にも、この歴史的な因縁がたびたびささやかれたものだ。

 事件は昨年11月24日、過激派組織「イスラム国」(IS)など国際テロ組織との戦いと称して、ロシア軍が続けていたシリア空爆作戦中に起きた。トルコ政府はロシア軍の戦闘爆撃機スホイ24が自国の領空を侵犯し、10回にわたって事前警告したにもかかわらず退去しなかったため撃墜したと表明した。

「トルコは我がパイロットを背後から撃った」

 これに対してロシア側は「領空侵犯」はなかったと完全に否定。謝罪と賠償を要求したが、トルコ側は拒否して非難の応酬を繰り返した。なかでも目を引いたのが、プーチン大統領の度をこしたような執拗なトルコ批判だった。

 「トルコは我がパイロットを背後から撃った。それにもかかわらず自らの行動を偽善的に正当化し、テロリストの犯罪を隠蔽しようとしている」

 プーチン大統領は「謝罪」をしないトルコを痛烈に非難するだけでなく、テロリストがシリアで略奪した原油の密売に手を染め、結果的に彼らに傭兵や武器調達の資金を与えているのはトルコに他ならないと断じたのだ。

 恐らく、大統領の指示に基づくものだろう。ロシア国防省はタンクローリーが映っている衛星画像などを公開し、エルドアン大統領の一族がシリア、イラクのIS支配地域で原油を違法に密輸入している〝証拠〟だと指摘したこともある。

 それだけではない。プーチン政権はトルコに対する厳しい経済制裁まで発動した。ロシアでのトルコ系企業の活動を制限するとともに、トルコ旅行のためのチャーター便やトルコツアーの販売停止、トルコからの野菜、果物など食料品の輸入禁止措置まで打ち出し、経済的な圧力も一気に強めたのだ。両国関係は完全にこじれてしまった。

 撃墜事件では、ロシア機に搭乗していたパイロットと救出活動に当たった兵士が犠牲になった。プーチン政権がここまでトルコに強硬に対処したのは、シリアでの軍事介入に国内世論が否定的になるのを恐れたとの見方もある。しかし実際は、「謝罪」をめぐる国際的なメンツの問題のほうが大きかったようだ。トルコが事件直後、当事者であるロシアに通報せず、北大西洋条約機構(NATO)に対応策を打診したことも火に油を注ぐ結果になったとみられる。

エルドアン大統領がプーチン大統領に送った書簡

 そのロシアとトルコの〝冷戦〟が、ようやく雪解けを迎える見通しとなった。

 きっかけはトルコのエルドアン大統領が今年6月27日、プーチン大統領に送った書簡だった。ロシア大統領府の発表によると、書簡はまず「トルコにとってロシアは友人であり、戦略的なパートナーだ」と指摘。昨年11月のロシア軍機の撃墜は全く「故意」ではなかったとし、死亡したロシア人パイロットの家族に「深い哀悼」の意を表した。

 さらに「心底から痛みを分かち合う」として、犠牲者の家族に対する補償にも言及したという。書簡の全文は公表されておらず、トルコ側が指摘しているニュアンスとはやや異なるものの、ロシア大統領府はエルドアン大統領がようやく公式的に「謝罪した」と受け止めた。

 書簡を受け取った2日後の6月29日、こんどはプーチン大統領が動いた。自らエルドアン大統領に電話を入れ、まさにその書簡が互いの危機的状況を打開し、再び国際・地域問題に共に取り組み、両国関係を発展させるきっかけとなると高く評価したのだ。電話会談は40~45分にも及んだという。

 実際、プーチン大統領は電話会談の翌日、対トルコ制裁で禁止していた両国間のチャーター便の運航再開を認めるとともに、政府に対してトルコとの貿易、経済関係の正常化に向けた協議に入るよう指令した。撃墜事件から7カ月を経て、ようやく関係修復に動き始めたわけだ。

トルコが経済制裁で被った多大な損失

 ロシアとトルコはともに強権の大統領が率いる。それだけに「謝罪」の有無をめぐる対立は、プーチン大統領とエルドアン大統領の意地の張り合いともいわれた。結局、エルドアン大統領が折れ、トルコに対する過剰なほどの強硬外交を貫いたプーチン大統領が勝利した形となった。

 トルコはここにきてロシアだけでなく、イスラエルとの関係改善にも動いており、国際的な孤立や経済的な苦境を打開するのが狙いだったというのが定説だ。ロシアの有識者の間では、英国の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が決まり、トルコの長年の念願であるEU加盟がさらに遠のいたことから、経済的なつながりの深いロシアにすり寄ったと解説する向きもある。

 確かに、トルコが経済制裁で被った損失はかなり痛手だったようだ。トルコ経済の柱のひとつである観光産業は制裁前、ロシアからの観光客に主に依存していた。ロシア経済紙コメルサントによると、2014年にトルコを訪問したロシア人観光客は約328万人に上った。ロシア人の海外旅行先ではトップの人気で、全体の2割を占めていた。

 トルコの建設業者はロシアの各地で活発に活動していた。また、ウクライナ危機に伴う欧米の対ロシア制裁に対抗し、ロシア政府がEUからの食料品輸入を原則禁止して以降は、トルコによってロシアは野菜や果物の主要な輸出先でもあった。対トルコ制裁が発動される直前、ロシア市場で出回っていたトマトの25%はトルコ産ともいわれた。

プーチン大統領の政策は「無条件で正しい」

 制裁対象には含まれなかったが、トルコはもともと天然ガス需要の5割以上をロシアに依存している。両国間ではロシア産の天然ガスをトルコ経由のパイプラインで欧州に供給する「トルコストリーム」計画が進んでいたが、撃墜事件後は交渉が完全にストップするなど、様々な分野に影響が広がっていた。

 もちろん、経済制裁は双方に痛みを伴う。プーチン政権の強硬措置によって、ロシア国民は最も人気の高かった海外旅行先を奪われ、日常生活でもトルコ産の野菜や果物を調達できなくなったわけだ。それでもロシア社会で不満の声はほとんど聞かれない。

Russian visiting foreign countries

 政府系の全ロシア世論調査センターが今年2月に実施した世論調査では、実に78%が「トルコの政権が撃墜事件で公式謝罪するまで、いかなる妥協もすべきではない」と回答したという。また、独立系のレバダ・センターが今年5月に実施した世論調査では、ロシアに対して非友好的で敵対意識を持っている国として、米国、ウクライナに続いて3位にトルコがあげられた。

 プーチン大統領はこの間、記者会見などあらゆる場を使ってトルコの非を国民に訴えた。昨年12月の年次教書演説では、会場のクレムリン宮殿に撃墜事件で犠牲となったパイロットや兵士の妻を招いて黙とうをささげた。こうしたパフォーマンスの効果もあったのだろうが、プーチン大統領の政策は「無条件で正しい」と多くの国民が信じているのが今のロシア社会の現実なのかもしれない。

 さて、ロシアとトルコは首脳間の〝和解〟を受け、今月1日にはラブロフ外相とチャブシオール外相がソチで会談した。トルコ側によると、8月中にもプーチン大統領とエルドアン大統領がソチで直接、首脳会談を開く可能性があるという。名実ともに関係修復に向かう道筋が整いつつあるようだ。

 そんな折も折、トルコでは最大都市イスタンブールの国際空港で6月28日、多くの犠牲者を出した自爆テロが起きた。実行犯は旧ソ連の出身者で、一人はロシア出身のIS幹部だったとの情報もある。ロシアとトルコの関係はやはり一筋縄ではいかないのか。偶然とはいえ、そんな予兆も感じさせるテロ事件となった。

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