『裏切る文在寅にムチを見せたトランプ 通貨危機の恐怖で韓国を圧迫』(4/3日経ビジネスオンライン 鈴置高史)、『トランプ大統領と習主席と平壌とのポーカーゲーム 朝鮮半島情勢、永続的な合意を確実にするには米中の理解が不可欠』(4/3JBプレス 3/29FT)について

4/2JBプレス BBCより<「あなたは悪魔の化身だそうで」 マティス米国防長官、ボルトン新補佐官に>

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52730

4/2看中国<金正恩对北京的承诺 被朝鲜官媒篡改内幕(图)=金正恩は北京の(非核化の)承諾を官製メデイアに変えて伝えさせた内幕>金は中朝首脳会談で「核放棄」を表明したが、朝鮮メデイアは報道せず。米メデイアは「もし、非核化を人民に説明すれば、金の権威喪失と統治の正統性を失う危険性がある」と。金は習に「段階的、同時非核化」を説明、しかし朝鮮メデイアは非核化も、米朝首脳会談についてもなにも報道されていない。韓国の専門家は「米朝首脳会談は北の詭計かも。北は経済制裁を緩和して貰おうとするが絶対に核放棄はしない」と述べた。ミアシャイマーシカゴ大学教授は「北の核放棄の確率は0.05%くらいだ。0~1%の間である。簡略すれば1%でも良い。中国の対北圧力が必要である」と。中国の軍事専門家は「金は米中貿易のごたごたを見て、細心の注意を払い時期を窺って、中国に来て支持を求めた。中国は国連の制裁に從って、北の支援は出来ないが、米朝首脳会談の間、北は時間稼ぎができる」と。金の訪朝以後、トランプが言った最大の圧力をと言うのは、北と中国に対する警告と看做される。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/04/02/854468.html

韓国の裏切りは今に始まった訳でなく、歴史的に見て事大だからでしょう。でも誰が本当の強者か見抜く目を持たず失敗すると同時に、関係国の信頼も失っています。今、日本で韓国の信頼度を世論調査すれば、高得点で信頼できないと出るでしょう。2015年の調査では73%が信頼できないと答えていました。何せ慰安婦や強制徴用で強請り・タカリをするヤクザ国家ですから。あの中国人ですら韓国人を信用していません。自己中で騙すのが得意な中国人に嫌われる韓国人と言うのは、やはり性格が悪すぎるとしか言いようがありません。

http://www.recordchina.co.jp/b111210-s0-c60.html

4/1ライブドアニュース<中国人の77.4%が「韓国人信用できない」 韓国旅行での体験がベース?>

http://news.livedoor.com/article/detail/14514935/

トランプは韓国も北も信用していないでしょう。朝鮮半島人は、中国人以上に嘘つきと言うのが分かっている筈です。韓国も再度経済危機に陥れば良いと思います。但し、日本に押し掛けて来ないように。就職先がないからと言って日本に押し掛けて来るというのは止めてほしい。入国時に「慰安婦像」と「強制徴用像」の踏み絵を用意し、踏まない限り入国させないし、竹島は日本の領土というのに署名しない限り入国させないようにしてはどうか。いつもいつもやられ放しでは嘗められるだけです。

中国の韓国産輸入品を米国産に切り替えれば、米中への輸出で稼ぐ韓国経済は立ち行かなくなります。また輸入に必要な外貨を稼ぐことができなくなり、韓国のアセンブリー産業は打撃を受けます。そこに為替操作禁止を米国から言い渡された訳ですから、ウオン高となり、輸出にとっては二重の苦しみとなります。また米金利上昇もあるので、外資の撤退を招く展開となるのでは。文在寅は束の間の宴を楽しんでいれば良いです。左翼は経済が分からないのが多いので。

FTの記事は看中国の記事と比べ見方が甘いです。戦争をコストだけで論じ、中国が非核化に協力すると思っています。中国は北を対米カードとして使う腹積りですので、米国には面従腹背でしょう。ただFTが金三胖を「実に見事な外交ゲームを展開している」というのはその通りです。ただ、トランプの次はないような書き方と米中が争えば勝者は金になるので、米中で金が飲める案を提案したらと言うのはどう見てもそんな展開にはならないでしょう。ミアシャイマー教授の言うように北の非核化は0%に近い訳で。

4/3宮崎正弘氏メルマガ<トランプ、ワシントンDCで、ロシアと首脳会談を呼びかけていた 悪化した米露関係を突破するのはプーチンの訪米にあり?>

http://melma.com/backnumber_45206_6665562/

4/3NHKニュース11:56<北朝鮮外相 ロシアなど訪問へ出発 米韓との首脳会談控え>

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180403/k10011389071000.html?utm_int=news_contents_news-main_005

宮崎氏は金の訪中直後にロシアにも行くことを予言していました。北の外相が露払いするのかどうか。プーチンとトランプが話し合い、北と中国を封じ込めるのが理想です。

鈴置記事

トランプ大統領は3月29日のオハイオ州での演説で、韓国を威嚇した。(写真:UPI/アフロ)

前回から読む)

非核化を巡り、韓国が中国・北朝鮮側に寝返った。怒った米国は経済を武器に韓国を圧迫する。

FTAで韓国を脅す

鈴置:トランプ(Donald Trump)大統領が文在寅(ムン・ジェイン)大統領を公然と脅しました。

3月29日のオハイオ州での演説で、大筋合意していた韓国とのFTA(自由貿易協定)改定交渉について「(非核化に関する)北朝鮮との取引が成立するまで棚上げするかもしれない」と語ったのです。

ホワイトハウスの「Remarks by President Trump on the Infrastructure Initiative」(3月30日)で発言全文を読めます。ポイントは以下です。

I may hold it up until after a deal is made with North Korea.

Because it’s a very strong card, and I want to make sure everyone is treated fairly and we’re moving along very nicely with North Korea.

トランプ大統領は「それ(FTA改定)はとても強力な(韓国との交渉)カードだ。誰もが公正に扱われるべきだし、我々は北朝鮮と上手くやっていくだろう」とも語りました。

要は北朝鮮との非核化交渉を念頭に、韓国を脅すムチとしてFTA改定交渉を今後も活用する、と言ったのです。

時間稼ぎに協力する韓国

—北朝鮮との交渉で成功するために、なぜ韓国を脅す必要があるのですか?

鈴置:韓国が米国を裏切って北朝鮮を応援し始めたからです。3月末の中朝首脳会談で両国は「段階的な非核化」で合意しました。

厳密に言うと、会談の場で「段階的で同時的な措置が非核化問題を解決する」と語ったのは金正恩(キム・ジョンウン)委員長でした。

ただ、新華社が発言をそのまま伝えたので中国も「段階的な解決」を支持したと見なされました。人民網の「習近平同金正恩挙行会談」(3月28日、中国語版)で読めます。

「段階的な解決」はトランプ政権がもっとも警戒する北朝鮮の手口です。1993年以降、北朝鮮は何度も小出しに譲歩するフリをしては米国の軍事的な圧迫や経済制裁を緩和させたあげく、最後には非核化の約束を破ってきました。

トランプ政権はそんな時間稼ぎを許すつもりはありません。北朝鮮に完全に核を廃棄させる「一括妥結」方式で解決する方針です。

文在寅大統領もトランプ大統領との3月16日の電話協議で「過去の失敗に起因する憂慮に徹底的に備えたい」と語り「一括妥結」で米国と足並みをそろえると表明していたのです。

文在寅大統領のこの発言は朝鮮日報の(「『ゴルディウスの結び目を断ち切る非核化』と言っていたのに……中朝会談後、後退の兆し」(3月30日、韓国語版)などが報じました。

ところがその韓国が突然に態度を変え「段階的な解決」を言い始めたのです。北朝鮮側に回り、一緒になって米国を封じこみ始めたわけです。

このままだと4月27日の南北首脳会談で「段階的な解決」が合意され、5月末に開く予定の米朝首脳会談までに、中国やロシアも加わってそうした流れを作られかねない。これはまずいと考えた米国は、韓国を抑え込みにかかったのです。

中朝会談を見て手のひら返し

—なぜ韓国は突然、態度を変えたのでしょうか。

鈴置:中朝首脳会談がきっかけでした。先ほど指摘したように、この首脳会談で「段階的な解決」がうたわれた。それが明かされたのが3月28日。

翌3月29日、青瓦台(大統領府)の金宜謙(キム・ウィギョム)報道官は「段階的な解決」に関し論評を避けました。本来なら真っ向から批判すべきところです。

朝鮮日報は報道官の沈黙も含め、青瓦台の微妙な空気の変化を読み取って「文在寅政権が姿勢を変えるぞ」と報じました。

先ほど引用した「『ゴルディウスの結び目を断ち切る非核化』と言っていたのに……中朝会談後、後退の兆し」(3月30日、韓国語版)がそれです。

3月30日には青瓦台の匿名の高官が、記者との会見で以下のように語るに至りました。米国の主張する「一括妥結」をはっきりと否定したのです。

北朝鮮の核問題が25年間続いているが、電源コードを抜けばテレビが消えるように一括妥結宣言をすれば非核化が終わるものではない。検証と核廃棄は順々に踏んでいくしかないのが現実だ。

発言は中央日報の「青瓦台、『北核解決法』で米と不協和音…『テレビの電源コードを抜くように?不可能』」(3月30日、日本語版)などで読めます。

—トランプ大統領が怒るのも当然ですね。

鈴置:だからトランプ大統領は、大筋で合意したはずの米韓FTAの改定も保留する――「もし、北朝鮮の時間稼ぎに協力したら、経済面で報復するぞ」と韓国を脅したのです。

為替操作をやめさせた

—報復は効果がありますか?

鈴置:やり方によっては韓国経済を窒息させる――通貨危機に陥れることも可能です。

まず、米国は韓国を含む各国に対し、鉄鋼とアルミニウムの輸入関税を上げると威嚇しました(「北より先に韓国に『鼻血作戦』を発動する米国」参照)。

韓国はこの脅しに屈し、3月27日までにFTAの見直しに原則合意。米国製自動車に対する非関税障壁をなくすほか、鉄鋼に関しては関税引き上げ対象から外す見返りに米国への輸出量を減らすと譲歩しました。

米国政府は、不公正な競争優位を生んできた韓国政府の為替操作をやめさせ、透明性ある説明可能な仕組みを約束させたとも発表しました。

ホワイトハウスの「President Donald J. Trump is fulfilling his Promise on the U.S.-Korea Free Trade Agreement and on national Security」(3月28日)の最後のくだりです。

On a separate track, the Treasury Department is finalizing an understanding with South Korea to avoid practices that provide an unfair competitive advantage.

The provisions of the understanding include strong commitments on exchange rate practices, robust transparency and reporting, and a mechanism for accountability.

韓国版プラザ合意

韓国経済新聞は「FTAに続いて為替も米国に譲歩?『韓国版プラザ合意』懸念高まる」(3月30日、日本語版)で「これこそ、円とマルクを強引に切り上げさせたプラザ合意のウォン版だ」と悲鳴をあげました。

異様な合意です。「プラザ」のように、為替の問題は多国間で取り決めるのが普通です。というのになんと今回、米国は韓国に2国間の取り決めで「為替操作しない」と約束させたのですから。

いずれにせよ、これでウォン高基調となり、それが続けば韓国は通貨危機に直面する可能性が出てきました。

ウォンの対ドルレートは3月の最終週から上昇に転じています。金正恩委員長の訪中説(3月27日)、中朝首脳会談の正式発表(3月28日)、米政府の「為替操作禁止」の発表(3月28日)、南北首脳会談の開催日決定(3月29日)などウォン高要因が相次いだからです。

そこに3月29日のトランプ大統領の威嚇発言。これを受け、4月に入ってもウォン高傾向が続いています。

ウォンの対ドルレート

半導体輸出にも暗雲

—通貨高により通貨危機が起きるというのも変な気がします。

鈴置:韓国の場合、1997年、2008年、2010年にそれが起きました。ウォン高などが原因で貿易収支が赤字化すると、あるいは黒字でもその幅が減少すると、通貨危機の恐れから資本逃避が発生したのです(「韓国が脅える『政権末期の通貨危機』」参照)。

債務国の悲哀でした。韓国は近年、債権国に転じましたが、資本の蓄積がまだ薄く資本に逃げられやすい。

それに、これから本格化するであろうウォン高は、ウォンが買われて――つまりドルが流入してのウォン高ではありません。韓国政府がウォン安誘導を禁じられた結果としての、筋の悪い通貨高なのです。「ウォン高に続く資本逃避」が起こっても不思議ではありません。

そもそもドルの利上げ局面に突入しています。すでに韓国は資本逃避が発生しかねない状況に突入していたのです(「米国はいつ『韓国放棄カード』を切るのか」参照)。

それに為替要因以外でも、輸出が減少する可能性が高まっています。まずは米韓FTAの改定に伴い、韓国の鉄鋼輸出に歯止めがかけられたこと。

さらには米中貿易摩擦が激化する中で、中国が一部の半導体の輸入先を韓国から米国にシフトすると決めたとされることです。半導体の輸出が全体の15%前後を占める韓国にとって大打撃となります。

貿易黒字が減れば韓国の格付けが下がる可能性が増し、資本逃避の狼煙になりかねないのです。世界の有力格付け会社のほとんどが米国の会社ですしね。

反米政権を通貨で矯正する米国

—「韓国の反米」を米国が通貨で叩き直す、というのもすごい話ですね。

鈴置:別段、驚く話ではありません。「『14年前のムーディーズ』に再び怯える文在寅」で紹介しましたが、反米を売り物にして当選した左派の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は就任直前にムーディーズに格付けを下げられました。

資本逃避を恐れた盧武鉉大統領はブッシュ大統領に会った際、恭順の意を表明せざるを得なかった。当時、盧武鉉政権の中枢にいた文在寅氏が回顧録で告白しています。

文在寅政権も発足の少し前に「反米・反日政策をとると、また格付けを下げられるぞ」と米国のアジア専門家から脅されました。

「通貨危機に陥る」とまでは書きませんが、韓国の保守系紙は一斉に「文在寅政権の親北政策が米国との関係を悪化させた」と批判に乗り出しました。

東亜日報の「核の解決で異論を持つなとのトランプの警告」(3月31日、韓国語版)や朝鮮日報の社説「韓国に北の側に立つなと警告したトランプ」(3月31日、韓国語版)です。

馬耳東風の文在寅

—文在寅政権の反応は?

鈴置:馬耳東風です。政権の真意を伝える役回りの文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官が訪日し、3月31日に早稲田大学で講演しました。

文正仁・特別補佐官はこの場でも非核化交渉に関し「北朝鮮に対しては、段階ごとに我々が与えるものを与え、とるものをとるというプロセスが必要だ」と述べました。

文在寅政権はトランプ大統領の脅しなど一切無視して「段階的な非核化」を世界に向け宣伝し始めたのです。

(次回に続く)

FT記事

中国・北京の人民大会堂で開催された歓迎式典に出席する習近平主席(中央)と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長(右)。北朝鮮国営の朝鮮中央通信提供(2018年3月26日撮影、29日公開)。(c)AFP PHOTO/KCNA VIA KNS〔AFPBB News

米国のドナルド・トランプ大統領との首脳会談が実現する公算があり、中国の習近平国家主席にも人民大会堂で謁見した――。

我々としてはあくまで推測するしかないが、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)氏は今ごろ悦に入っているのではないだろうか。

人口2500万の国を支配する後進的で残酷なほど抑圧的な政治体制が、世界の2大大国の指導者から大いに注目されているからだ。

国際社会は金氏の北京訪問を歓迎すべきだ。下手をすれば戦争になっていたかもしれないからだ。

つい数カ月前、トランプ氏は北朝鮮の核兵器開発プログラムを破壊すべく、平壌(ピョンヤン)に「炎と怒り」をお見舞いすると断言していた。米国西海岸を攻撃できる核ミサイルを北朝鮮が保有する可能性など受け入れられない、ということだ。

軍事衝突で発生し得るコストは計り知れない。しかし中国政府には、頑として言うことを聞かない同盟国の北朝鮮を制止する意思がないか、その力がなかった。

それが今、表面的には、真の外交が行われる可能性が生じた。

金氏は平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック大会に選手団を派遣し、冷え切っていた韓国との関係改善に動いた。トランプ大統領との首脳会談を提案して米国政府の計算をひっくり返し、米国は軍事行動の準備を保留した。

また、中国は核開発プログラムを抑制せよという要請を金氏に何度も断られたために排除命令を出していたが、これを解除せざるを得ないと感じていることが、今回の金氏の北京訪問からはうかがえる。

中国の国営新華社通信は、習氏が「今年は、期待の持てる明るい変化が朝鮮半島情勢に生じている。その方向に向けて北朝鮮が行った主要な努力に対し、我々は感謝の意を表する」と述べて金氏を褒めたたえたと報じた。

北朝鮮への国連制裁を支持した中国政府を金氏が数年にわたって酷評した後に、このような言葉が出てきたのだ。

事実上中国の新しい皇帝になった習氏は、ここまで譲歩することに慣れていない。だが、もしトランプ氏に会う用意が金氏にできているのであれば、中国としては傍観するわけにはいかなかった。

皮肉な見方をする人なら――いや、あまり偏見のない懐疑論者でも――北朝鮮の指導者は実に見事な外交ゲームを展開していると言うだろう。

何しろ、弾道ミサイル開発プログラムを推進する時間を稼いだうえに、危機の責任をめぐる話も混乱させている。

朝鮮半島の非核化を議論したいと語るときに金氏が本当に言いたいのは、米国が韓国に軍隊を置いている限り北朝鮮には核兵器を持つ権利がある、ということだ。

どの米国大統領も、この取引には応じられないだろう。しかし、今このタイミングで首脳会談の計画が頓挫すれば(アジア問題のベテランたちは、そうなるとの予想に傾いている)、その責任は米国側にあるとされる恐れがある。

金氏の核開発への野望が弱まったことを示唆するものは、一つもない。米国政府による体制転覆の試みを確実に防ぐ唯一の保障は、爆弾とそれを運ぶ手段を手にすることである、というのが北朝鮮のドクトリン(基本原則)だ。

また、北朝鮮の外交官は西側諸国の外交官と話をするとき、イラクのサダム・フセインとリビアのムアンマル・カダフィに何が起こったかに必ず言及する。

トランプ氏がイランとの国際的な核合意を反故にすると脅しをかけていることは、平壌に追加の弾薬を提供することにしかならない。

金氏が米国との対話で手に入れたがっているのは、本格的な核保有国として認めてもらうことだ。自らの体制を維持できるという安心感を手にしない限り、北朝鮮が半島における核の緊張緩和の検討に乗り出すことはないだろう。

太平洋の対岸まで弾頭を運ぶことができるミサイルの製造に北朝鮮があとどれぐらいの時間を要するかについては、米国の専門家の間でも見方が分かれる。ただ、長らく年単位で語られていたこのテーマは、すでに月単位で語られ始めている。

従って、一連の首脳会談が行われても(金氏は3月29日、韓国の文在寅=ムン・ジェイン=大統領とも会談することを確認した)、期待できるのは戦争の見通しが遠のくという程度のことでしかない。

米国政府はかつがれたことにやがて気づくが、そのときにはもう東アジアのもめ事に対する熱意を失っていた――。そうなることを北朝鮮は(ひょっとしたら中国も)期待しているのかもしれない。

その頃になれば、対話はすでに封じ込めに転じているだろう。今日では世界のほとんどが、トランプ後の時代に備えて外交政策を策定している。北朝鮮は例外だと考える必然性などない。

本当に楽観的な向きは、また別の可能性に着目するだろう。彼らに言わせれば交渉はポーカーのようなものだ。

そしてトランプ氏と習氏がハイカード(強い札)をほぼすべて独占している。しかし両者が張り合う限り、勝者は金氏になる。ゲームの構図が変われば、北朝鮮の指導者は手の内をさらさざるを得なくなるだろう。

最初から明白だったはずだが、和解が成立するか否かは、何よりもまず中国と米国の理解次第だ。

どちらの国も、金氏が核爆弾の保有を断念することを望んでいる。トランプ氏は軍事力を振りかざす。そして、北朝鮮はエネルギーと食糧の供給をほぼ完全に中国に依存している。

ところが中国は、北朝鮮が核兵器を保有することよりも北朝鮮の現体制が崩壊すること――そして北朝鮮と韓国が統一され、米国の影響が中国の国境線にまで及ぶこと――を恐れている。金氏自身は何にもまして、権力の座にとどまりたいと思っている。

そんなものが存在するかどうか筆者には確信がないが、もしもこのもつれた状況を解きほぐす方法が存在するならば、それは北朝鮮の領土の一体性と、考えるのもおぞましいが、金氏の体制の安全とを中国と米国が共同で保証することにある。

そのような共同保証が実現すれば、それは事実上、朝鮮戦争の終わりに署名されなかった条約になる。そして、北京とワシントンが共同で支持すれば、金氏が断りきれないような方法で提案を行うことが可能になるのではないだろうか。

By Philip Stephens

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『核なき朝鮮半島、連邦制へのプロセス始まるか タダ者ではなかった? 文在寅大統領』(4/2日経ビジネスオンライン 森永輔)、『米朝首脳会談の即断が招いた中国の心変わり 米国が仕掛ける貿易戦争に反発』(4/2日経ビジネスオンライン重村智計)について

3/31看中国<传杨洁篪王毅内斗多年 同涉官场一大丑闻(图)=楊潔篪と王毅の内部闘争は数年間続いていると伝えられている 役人は醜聞に関係している>ニセ学歴・学位は共産党の役人の常態である。外交官は出身大学別に派閥がある。王毅は北京第二外国語学院卒であるが、南開大学経済学修士、外交学院国際関係学博士と言うのはニセである。楊潔篪の歴史学博士と言うのもニセで、南京大学の歴史学の研究生だっただけ。韓正も工員出身で大学に行ったこともないのに、研究生やら正教授クラスと経歴詐称しているのはお笑いである。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/03/31/854279.html

流石は偽物大国中国のことだけあります。恥を知らない連中ですが、恥を知った瞬間に、中国では生きていけません。それが当り前の世界ですから。平気で嘘をつき、平気で人を騙します。

森氏の記事を読みますと、本当に左翼と言うのは売国奴でしかない、勿論共産主義者ですから国境はないと信じているのでしょうけど。金大中と言い文在寅と言い、韓国を売り渡しています。でも韓国民が選んだ大統領ですから。韓国が北と一緒になればロウソクデモなんてできなくなるという事に思いを馳せれる韓国民はいないのでしょう。愚かとしか言いようがない。

宮本教授は5月の米朝首脳会談は準備不足で開かれない可能性が高いと見ています。小生はトランプのことですから準備がなくとも開いて、戦争の口実を作るのではと思っています。中間選挙対策と言うのもありますし。北が「朝鮮半島近海に米軍は核兵器を再び持ち込まない」事を要求しても、日本海は除くようにしないと。米国の核の傘は必要です。北の核がなくなっても、中国が日本の属国化を要求して来るでしょうから。

重村氏の記事は久し振りにまともな印象を受けました。彼の述べているのは正論です。メデイアや公明党議員何て何も分かっていないのに、焚き付ける役目だけします。敵のデイスインフォーメーションに乗せられ、記事にする愚かな記者もいます。記事についてよくよく真贋を見極める眼を持ちませんと。

森記事

(写真=提供:CCTV/AFP/アフロ)

中国と北朝鮮が3月26日、電撃的に首脳会談を行い「半島の非核化」で合意した 。新進気鋭の朝鮮半島研究者、宮本悟・聖学院大学教授は、統一のプロセスが進むとすれば、連邦制による1国2制度のような状態になると考える。ただし米軍が撤退を受け入れるのは困難とも指摘する。

(聞き手 森 永輔)

—中国の習近平国家主席と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が3月26日、首脳会談に臨みました。まさに「電撃的」。宮本さんも驚かれたのではないですか。

宮本:まさか、首脳会談を行うとは思いませんでした。びっくりしました。ただし、このタイミングで北朝鮮が中国にアクセスするであろうことは、理屈で考えて明らかでした。

宮本悟(みやもと・さとる)
聖学院大学 政治経済学部 教授 1970年生まれ。同志社大学法学部卒。ソウル大学政治学 科修士課程修了〔政治学修士号〕。神戸大学法学研究科博士後期課程修了〔博士号(政治学)〕。日本国際問題研究所研究員、聖学院大学総合研究所准教授を経て、現在、聖学院大学政治経済学部教授。専攻は国際政治学、政軍関係論、比較政治学、朝鮮半島研究。著書に『北朝鮮ではなぜ軍事クーデターが起きないのか?:政軍関係論で読み解く軍隊統制と対外軍事支援』(潮書房光人社)など。

—え、そうなのですか。なぜでしょう。

宮本:北朝鮮が「朝鮮半島の非核化」を口にし始めたからです。これを支持するのは中国とロシア。なので、南北首脳会談が開かれる1カ月くらい前に、懐刀である崔竜海(チェ・リョンヘ)副委員長などを両国に使節として派遣するだろうと考えていました。しかし、金正恩委員長が自ら訪中するとは。同氏にとって初めての外遊でもありますし。

—今回の中朝首脳会談で注目されたのはどの点でしょう。

宮本:朝鮮半島の非核化に対する北朝鮮の本気度が分かったことです。金委員長が訪中した間に行われた行事の出席者を見ると、中国共産党と朝鮮労働党の要人が並んでいます(次ページの表参照)。中国と北朝鮮の間には政府と政府の関係に加えて、党と党の関係があります。そして、党による外交が政府による外交よりも上位にある。

金正恩委員長の訪中に伴い行われた行事に参加した要人

中国 北朝鮮
習近平 国家主席 金正恩 朝鮮労働党委員長
彭麗媛 夫人 李雪主 夫人
李克強 首相 崔竜海 党副委員長
王滬寧 政治局常務委員 朴光浩 党副委員長
王岐山 国家副主席 李洙墉 党副委員長
丁薛祥 党中央弁公庁主任 金英哲 党副委員長
楊潔篪 党政治局員 李容浩 外相
郭声琨 政治局員    
黄坤明 党中央宣伝部長    
蔡奇 北京市党委書記    
王毅 外相    

特に北朝鮮側の出席者を見ると、フルメンバーといってよいでしょう。金英哲(キム・ヨンチョル)氏の名前も見えます。同氏は韓国との関係を管掌しています。南北会談についての説明を行うためとみられます。ちなみに北朝鮮にとって韓国は外国ではないので、金英哲氏の任務は外交ではありません。

—この場にいなかった人が暗示するものはありますか。当初、金委員長の実妹、金与正(キム・ヨジョン)氏も訪中に参加しているとの情報がありました。金政権の存続を考えると、そんなことがあり得るのかと思いましたが。

宮本:おっしゃる通りです。金委員長と与正氏が一緒に訪中するようなことはあり得ません。二人が同時に事故にでも遭ったら大変なことになりますから。

北朝鮮の要人でこの場にいなかったのは金永南・最高人民会議常任委員会委員長 ですね。これも当然のことです。同氏が同席するとややこしいことになりますから。

—ややこしいことですか。

宮本:金永南氏が就いている最高人民会議常任委員会委員長は国家元首であり、政府外交のトップです。金委員長は、最高指導者ではありますが、政府では最高人民会議で選出される国務委員長であり、形式上は金永南氏より下。したがって外交プロトコルに倣えば、金永南氏が金委員長より上の席に就くことになります。

—確かに、G7での記念撮影を見ても、国家元首である大統領が中央に並び、安倍晋三首相などは端に立ちますね。金委員長と金永南氏の関係は確かにややこしい。

遺言を持ち出して政策転換を権威づけ

—会談の内容について伺います。宮本さんが最も注目したのはどの点ですか。

宮本:中国による発表と北朝鮮による発表にずれがあったことです。ご存知のように、北朝鮮は、半島の非核化についても、米朝首脳会談についても触れていません。

一方、中国の発表によると、金委員長は南北首脳会談と米朝首脳会談への期待を表明。「半島の非核化についての姿勢も変わらない。祖父である金日成(キム・イルソン)国家主席 、父である金正日(キム・ジョンイル)総書記の遺言に従って進める」と語ったことになっています。

この点について気づいたことがあります。確かに金日成は「核兵器は持たない。米国の核兵器を韓国から撤去させるべきだ。半島の非核化こそ朝鮮民族の進むべき道」と主張していました。しかし、金正日の遺言というのは初めて聞きました。非核化どころか、彼は2006年10月に初の核実験をした後、「核大国になった」と発言したのですから。

金委員長がこうした発言をしたのは、祖父と父の権威を借りて、同席した北朝鮮労働党の幹部に半島の非核化への政策転換を理解させる意図があったのでしょう。金委員長といえども、すべてが思い通りになるわけではありません。北朝鮮の国内で半島の非核化と米朝首脳会談を明らかにしていないのも、このためと思われます。

—金委員長はこれまで核兵器を放棄することはないとしてきました。この方針を半島の非核化に転換したということでしょうか。

宮本:実は北朝鮮は、これまでにも半島の非核化に言及しています。核兵器による抑止力の強化と半島の非核化という二つの政策を両にらみで進めてきたのです。どちらも米国からの核の脅威を除き、北朝鮮という国家と金政権を存続させることが究極の目的。前者は核兵器を保有する米国に対して、核兵器と大陸間弾道弾(ICBM)で対抗するもの。

後者は、北朝鮮は核兵器を放棄するが、同様に、韓国や朝鮮半島周辺からも核兵器を撤廃して、在韓米軍も撤収させることで北朝鮮に対する核の脅威をなくすことです。これに最後に言及したのは2016年7月6日です。以降は、抑止の強化に傾いていました。

半島の非核化は米国と韓国が同意しなければ進みません。

もし米国と韓国が同意することになれば、北朝鮮の姿勢は半島の非核化にぐっと傾くでしょう。しかし、米国が同意する可能性は低いのではないでしょうか。そうであれば、北朝鮮も非核化しないことになります。

北の核をめぐる韓国の姿勢を大転換した文在寅大統領

—北朝鮮はなぜ抑止から非核化に傾いたのでしょう。やはり制裁が効いたのでしょうか。

宮本:それは検証できないですね。少なくとも北朝鮮はそうでないと言っている。経済状況も、政策を大きく転換するまでには至っていないと思います。

—では、なぜ。

宮本:本当のことは分かりません。ただし、北朝鮮は韓国の要請によって米朝対話を始める立場を明らかにしたと言っているので、非核化についても韓国による説得がうまくいった可能性が考えられます。

米国が北朝鮮に対して先制攻撃する事態をなんとしても避けたい

—北朝鮮と韓国はこの点において利害が一致しています。そこで非核化を進めなければ戦争になることを強調したのかもしれません。 対話重視のレックス・ティラーソン国務長官の更迭、イラン戦争の時に主戦派だったジョン・ボルトン氏の大統領補佐官(国家安全保障問題担当)への起用など、先制攻撃の気配が強くなっています。

宮本:そうですね。さらに、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「米国と北朝鮮との対話を仲介する」という姿勢を取ったのも功を奏したでしょう。平昌五輪の時に金与正氏が訪韓し文在寅大統領と青瓦台で会談した際、「米朝対話を発展させるべき」 と要請しました。その後の3月3日、北朝鮮は「韓国の要請を受けて、米朝会談をする立場を表明した」と公式に言っています。

「北朝鮮の核問題を解決する力は韓国にはない」ことを事実上認めたのは、韓国の歴代大統領としておそらく初めてのことです。これまでの大統領はみな「韓国こそが解決する」と主張していました。北朝鮮は1月の時点まで、南北会談で韓国が非核化を提案することがあれば、破滅的な状況を呼び込むことになると主張していましたから。北朝鮮にとって韓国は非核化について話し合う相手ではないのです。

文在寅大統領は南北間の協力も北朝鮮を説得する材料に使ったことでしょう。米朝関係が改善しなければ、韓国と北朝鮮の協力は不可能なことが多いですから。

「半島の非核化」とは何か

—「半島の非核化」とは、どういう状態を言うのでしょう。何を意味するのか、分かったようで、よく分からない表現です。今のところ韓国は核兵器を持っていません。在韓米軍も配備していないのでは。

宮本:…と韓国は言っています。しかし、米国は配備しているとも、配備していないとも言ったことがありません。“曖昧政策”を取っているのです。イエスともノーとも言わない。

北朝鮮はそこを問題視しているわけです。「在韓米軍が核兵器を配備しているのか、していないのかはっきりさせよ」「査察させろ」と言っている。

—核を持たない米軍なら、韓国への駐留を北朝鮮は認めるのでしょうか。

宮本:北朝鮮は、核兵器と在韓米軍をセットで考えています。在韓米軍がいるから、北朝鮮は核の脅威にさらされている、と。

1995年くらいに、核なき在韓米軍を認めようとした時期があります。米朝枠組み合意ができた翌年 ですね。しかし、そういう姿勢は、今はまったくみられません。北朝鮮が米国を信頼するようになれば可能性はなくはないでしょうが、かなり低いのが現状です。

—半島の非核化が在韓米軍の撤退を意味するなら、中国は大喜びですね。

宮本:おっしゃるとおりです。ロシアも同様でしょう。

北朝鮮が考える統一は連邦制による「1国2制度」

—半島の非核化が進んだ場合、朝鮮半島の統一はどうなるのでしょう。北朝鮮は自らが主導する統一を意図してきました。核兵器の開発はそのための手段である、という話も聞いたことがあります。

宮本:半島統一に核兵器は必ず必要というわけではないでしょう。

核兵器を開発する理由として北朝鮮が統一を挙げたことは一度もありません。

それに統一は朝鮮民族の繁栄が目的です。核兵器を使えば、その被害で国力が衰え、統一朝鮮は没落国家になってしまいます。それでは元も子もない。北朝鮮も韓国も朝鮮戦争で莫大な被害と犠牲が生じたことを覚えています。

—北朝鮮が核兵器の開発を始めたのは朝鮮戦争の後ですから、統一を進める手段として核兵器の開発に着手したという理屈は成り立たないわけですね。

宮本:そういうことです。

—改めて半島の非核化が進めば、統一問題はどうなるのでしょう。

宮本:北朝鮮も韓国も統一の旗は決して降ろさない。最大の目標であり続けます。

北朝鮮は1980年に高麗民主連邦共和国という制度を提案しました。これは連邦制による統一であり、事実上、1国2制度を意味します。北は北朝鮮の制度、南は韓国の制度で治めるのです。

—国土の大きさの違いはありますが、中国と香港のようなものでしょうか。

宮本:はい、そのようなイメージですね。

北朝鮮は韓国の朴槿恵政権を「妄言」として強く非難していました。それは同政権が吸収統一、すなわち制度の統一を主張していたからです。現在の文在寅政権は基本的には、2000年の南北共同宣言に書かれている「緩やかな段階の連邦制」を支持するはずです。

—北朝鮮と韓国が半島の非核化および連邦制で合意すると、在韓米軍は居づらくなるのではありませんか。そもそも朝鮮戦争のために存在するわけですから。

宮本:そういうことになりますね。連邦制が実現すれば、南北で軍事力の削減が始まるでしょう。在韓米軍の存在理由は薄れることになります。

—北朝鮮に融和的な姿勢を示す文在寅政権なら、連邦制に合意することがあり得るのでしょうか。

宮本:先日、文在寅大統領の統一・外交・安保特別補佐官を務める文正仁(ムン・ジョンイン)延世大名誉特任教授が「韓国大統領が出て行けといえば在韓米軍は出て行かなければいけない」と発言しました 。

文在寅大統領の周辺には、こうした考えを持つ人が確かに存在しています。しかし、同大統領自身は、今のところ、在韓米軍の維持を掲げています。在韓米軍の撤退を望んでいるとは思えません。しかし、「将来、必要なくなったら出ていってほしい」とは考えているかもしれません。

—半島の非核化と1国2制度の議論が進むと、朝鮮半島をめぐる国際政治の舞台が大きく回転することになりますね。これまでの“悪者”は核開発を進める北朝鮮でした。それが、韓国から撤退しない米国に代わる。

宮本:90年代の中頃から2000年代の中頃まで、韓国で反米運動が高まりました。特に、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の時。民間では「在韓米軍出ていけ」と言う声が非常に強くなりました。同大統領が選挙に勝利した背景の1つに、在韓米軍の戦車が二人の女子高生をひき殺した事件があります。言うまでもなく、盧武鉉大統領は進歩派、在韓米軍批判派でした。

金正日と金大中は連邦制で合意していた

—南北会談の日程が4月27日 に決りました。連邦制に関する合意も議題に上るでしょうか。

宮本:実は、北朝鮮の金正日総書記(当時)と金大中(キム・デジュン)大統領(同)とが2000年に会った第1回の南北首脳会談で、この点について両者は実質的に合意しているのです。共同声明で「北朝鮮が主張する高麗共和国連邦と金大中政権が主張する『緩やかな連邦』には共通する部分がある」とうたっています。したがって、この点に関して改めて合意する必要はありません。

ただし、この議論を先に進めるのは容易ではありません。韓国内の保守勢力が猛反発するでしょうから。

北朝鮮はまず、南北首脳会談で経済制裁の解除について議論するよう要求でしょう。制裁下では南北交流も再開できません。国連決議に基づく制裁は勝手に解除できませんが、韓国が独自に科している制裁は韓国の判断で解除できます。

実際には制裁の一部を解除してしまっていますけどね。平昌五輪の際に、北朝鮮の「三池淵(サムジヨン)管弦楽団」乗せた「万景峰(マンギョンボン)号」 が韓国を訪れました。本来は禁止されていることです。

米朝首脳会談は本当に開けるのか?

—南北会談の後に予定されている米朝首脳会談はどう展開すると見ていますか。

宮本:テーマは間違いなく非核化です。成果は期待できません。北朝鮮がいう半島の非核化と、米国が主張する北朝鮮の非核化は根本的に異なるものだからです。

それに、先ほど触れたように、北朝鮮は半島の非核化や米朝首脳会談について国内で明らかにしていません。国内の同意が得にくいからです。朝鮮労働党の政策として半島の非核化を5月までにまとめ上げるのも困難でしょう。

対する米国も対北朝鮮政策を進めるスタッフが整っていません。

—北朝鮮核問題を巡る6カ国協議で次席代表を務めたビクター・チャ氏 の名が、駐韓米国大使の候補として上がりながら外れたことは記憶に新しいですね。

宮本:はい。なので、5月の会談にはとても間に合いそうもない。

—ということは、会談が流れる可能性もある。

宮本:5月までだと、開かれるよりも、開かれない可能性の方が高いとみています。もちろん断言はできませんが。

今回の米朝首脳会談が非核化に向けた最後のチャンスになるかもしれないことを多くの人に理解してほしいですね。

—なぜ最後のチャンスなのですか。

宮本:米国の大統領はトランプ氏です。会談が彼の思うようにまとまらなければ、先制攻撃を選択しかねません。

北朝鮮も同様です。半島の非核化が実現せず、攻撃を受ければ、これまで以上にかたくなに核兵器に依存するでしょう。どんな制裁を受けようが、核兵器を放棄して国が滅ぶよりましでしょうから。

—そこまで見越して、米国が半島の非核化を受け入れるかどうかが注目点になるわけですね。

宮本:そういうことです。

—在韓米軍の撤退を含む半島の非核化が実現すれば、そもそもの目的である北朝鮮の安全は保障されるのでしょうか。

宮本:少なくとも北朝鮮はそう主張してきました。1月に行なわれた南北の実務者協議の中で、北朝鮮側は「原爆や水爆、弾道ミサイルなどあらゆる兵器は米国だけを対象としており、われわれの同胞(韓国)や中国、ロシアを対象としていない」と発言しています 。つまり、米国だけが北朝鮮の安全保障を核で脅かす脅威なのです。

半島の非核化は、米国の核の傘がなくなること

—米国が半島の非核化を受け入れることはあるでしょうか。

宮本:米国の動向について私は専門ではありませんが、容易ではないでしょう。膨大なコストと、東アジア政策の転換を迫られますから。中国やロシアに対する米軍のプレゼンスが低下することになります。米国の防衛の前線が軍事境界線から対馬海峡に後退することになる。

それに、既に手にしている“権益”を失うことは誰も抵抗感を覚えるでしょう。

—米政府が在韓米軍にどれだけの価値を見出しているのか、よく分からないですね。韓国との自由貿易協定(FTA)再交渉において、在韓米軍の撤収をちらつかせました 。トランプ大統領は3月29日にも、在韓米軍が米国の負担になっているという趣旨の発言をしています 。

宮本:歴史を振り返ると、ニクソン政権もカーター政権も、父ブッシュ政権も在韓米軍の削減や撤収に取り組もうとしました。ホワイトハウスは大きな抵抗感を持っていないのかもしれません。しかし、国防総省の見解はそれとは異なるでしょう。

—半島の非核化が仮に進み、在韓米軍が撤収することになると、日本にはどのような影響があるでしょう。

宮本:先ほど触れたように、米国にとってはプレゼンスの低下、前線の後退があります。他方、日本に影響するのは、北朝鮮が朝鮮半島の非核化の一つとして「朝鮮半島近海に米軍は核兵器を再び持ち込まない」という項目を含めていることです。この部分が日本の安全保障に関わってきます。日本は当然抵抗することになるでしょう。

—仮に、日本の周辺に核を配備した米国の潜水艦が入れば、北朝鮮にとっては半島の非核化が実現したことにならない。しかし、これが認められなければ、日本は米国による核の傘を失うことになる。

宮本:半島の非核化は、日本が手放しで喜べるものではない、ということです。

重村記事

夫人と共に中国に歓待された金正恩委員長(左から2人目)。左隣は李雪主夫人。右隣は習近平国家主席、一番右は彭麗媛夫人(提供:KNS/KCNA/AFP/アフロ)

中国の習近平国家主席は3月28日、中朝首脳会談を終えた直後にドナルド・トランプ米大統領に電話をかけ、中朝首脳会談について報告した。超大国の首脳が協力して北朝鮮問題に対応しているようにみえるが、習近平国家主席の真の目的は「米中貿易戦争の危機回避」である。トランプ大統領が米朝首脳会談を即断したこと、および米中貿易対立が深まったことで、「非核化」での協力関係が揺れている。朝鮮半島をめぐる国際政治の新しいゲームの始まりだ。日本「乗り遅れ論」が指摘されているが、それに惑わされてはいけない。

中国は昨年の米中首脳会談を境に「北朝鮮の非核化実現」に方針を変えた。中国政府高官は「非核化を約束しない限り、指導者の訪中を認めない」と北朝鮮に伝えた、と明らかにしていた。このため金正恩委員長は訪中できなかった。

ところが中国首脳は、北朝鮮問題と貿易問題に対する米国の振る舞いを見て、方針を変えた。トランプ大統領による最近の反中的な姿勢に反発し、親北朝鮮へと姿勢を変えたのだ。

中朝首脳会談で習近平国家主席は、これまで使っていた「北朝鮮の非核化実現」との表現を「朝鮮半島の非核化実現」に変えた。加えて、金正恩委員長の「朝鮮半島非核化への努力」との言葉を受け入れた。北朝鮮の指導者は非核化「実現」を約束したのではなく、「努力」すると述べただけなのに認めたのだ。

「北朝鮮の非核化」は、北朝鮮に非核化実現を迫る言葉だ。一方、「朝鮮半島の非核化」は、韓国や在韓米軍の非核化も伴うから、両国が受け入れるまで北朝鮮はなお核開発を続けることができる。米韓軍は戦術核兵器を持たない。しかし、大陸や海を越える戦略核兵器を北朝鮮に向けている、と北朝鮮は主張できる。

中国は、北朝鮮指導者の訪中や首脳会談について、米大統領に直接説明することはなかった。中国は、長い歴史の中で、朝鮮半島の国家を自国の影響下にある小国とみなしてきており、他国の関与を許さなかった。

トランプ大統領はツイッターで「金正恩氏からの伝言を習近平氏から受け取った。『私との会談を楽しみにしている』とのことだ」とつぶやいた。中朝首脳会談の報告というのは口実で、中国製品に高関税を課せば貿易戦争になる、北朝鮮の非核化について協力するのは難しくなると示唆したはずだ。

北朝鮮が抱く恐れを利用して、米国の武力攻撃を牽制

中朝関係は、2月までは最悪の状態にあった。金正恩委員長は、権力者のトップに就いて以来7年も中国を訪問しなかった。それなのに、突然、訪中したのはなぜか。

中朝首脳会談が急遽実現した謎を解く鍵が、中国側が発表した会談内容にあった。金正恩委員長は次のように述べた。「朝鮮半島の情勢は、重要な変化が起きている。情義の上でも道義の上でも、私は時を移さず、習近平総書記と対面して状況を報告すべきでもあった」。これは 明らかに「これまで訪中せず、すみませんでした」との意味だ。

また金正恩委員長は「我々の訪問提案を快諾した習近平主席に感謝する」とも語った。北朝鮮は、南北首脳会談と米朝首脳会談の提案について、事前に中国に説明しなかった。中国は相当に怒っていた。

中国のテレビは首脳会談報道で、習近平国家主席のくつろいだ様子と、北朝鮮の若い指導者が緊張した表情でメモを取る場面を、繰り返し流した。北朝鮮が中国の指導下にあると思わせる演出だ。

その代わり、非公式の訪中にもかかわらず、金正恩委員長をトランプ大統領並みに歓迎・歓待した。さすがだ。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が訪中した時の応接とは比較にならなかった。文在寅大統領との会談や祝宴には、中国首脳部のわずかな幹部しか同席しなかったのに、金正恩委員長との席には北朝鮮側より多くの高官が居並んだ。

北朝鮮は、トランプ大統領が「米朝首脳会談受け入れ」を即断したことに衝撃を受けた。対話派であるレックス・ティラーソン米国務長官の解任と、軍事攻撃を主張するジョン・ボルトン元米国連大使の大統領補佐官起用に、軍事攻撃の恐れを強くしたため、首脳会談を提案したという。

習近平国家主席は、北朝鮮の恐れをふまえて、中朝首脳会談に応じた。反中に傾き貿易戦争を仕掛けるなら、北朝鮮問題では協力できないとの意向を米国に向けてにじませた。中朝首脳会談で「平和的解決」を強調することで、米国による軍事攻撃を牽制したのだった。

日本は「乗り遅れ戦略」が有効だ

中朝首脳会談に関連して、「日本乗り遅れ論」が報じられた。乗り遅れを恐れるのは間違いだ。「核問題」で日本が乗り遅れるのは当然なのだ。日本は、朝鮮問題のメインプレーヤーではない。朝鮮戦争の当事者でもない。冷静に、戦略的な対応をすべきで、的のはずれの報道や論議をすべきではない。

中朝首脳会談が終わった直後に、「日朝首脳会談が6月にも行われる」との観測報道があった。報道は北朝鮮国内の学習会資料を根拠にしているが、この資料を入手し確認したわけではない。

朝鮮問題は、偽情報や工作情報が横行する。日朝の接触は今のところまったくないし、北朝鮮の指導者は米朝首脳会談の準備に手一杯で、他のことを考える余裕はない、のが現実だ。そんな状態の時に、日朝首脳会談に乗り出すわけがない、と判断することが重要だ。

こうした情報は、どうして流されるのか。一つは、外国情報機関の「風船工作」か「あぶり出し」工作だ。日朝の動きが確認できないので、日朝会談の記事を書かせ、日本の反応をみるやり口だ。また、北朝鮮系の組織が、自分たちが官邸と北朝鮮首脳部を仲介しているとメディアに誤解させるために、偽情報を流すことも考えられる。

日本は、白村江の戦いや秀吉の朝鮮侵攻、日清、日露戦争での日韓併合など、朝鮮半島に積極的に関与して失敗した歴史を数多く持つ。成功したのは、朝鮮戦争に関与することなく「朝鮮特需」をテコに経済復興した時のみだ。この歴史から得られるのは、朝鮮半島に積極関与すると、周辺諸国の外交軍事戦略に巻き込まれるという教訓だ。半島国家は、「巻き込み理論」を駆使し、周辺諸国を競わせ利益を得ようとする。日本は、この巻き込み戦略に乗せられてはいけない。「乗り遅れ戦略」に徹することである。

もっと関心を持つべきは、核問題での乗り遅れではなく「拉致問題の解決」だ。

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『全人代、歴代「反対票」に見る中国権力闘争の闇 習近平「満票批判」は徹底削除、王岐山「反対」は誰が?』(3/30日経ビジネスオンライン 北村豊)について

3/31日経<米韓合同軍事演習1日開始 米空母は不参加見通し

【ソウル=山田健一】米韓両軍は1日、韓国内で定例の合同軍事演習を始める。野外機動訓練に米軍1万1500人と韓国軍約29万人が参加する。同訓練は約1カ月間と例年比半減し、昨年参加した米軍の原子力空母や戦略爆撃機といった「戦略兵器」の投入も見送る見通し。4~5月の南北と米朝の両首脳会談を控え、北朝鮮への過度な刺激を避ける意図とみられる。演習は例年2月末から3月上旬に開始しているが、今年は平昌冬季五輪・パラリンピック開催で延期していた。

韓国の米軍基地に到着した米軍機(3月20日)=AP

4月1日から実際に戦力を動かす野外機動訓練「フォール・イーグル」を約1カ月間、米軍が日本などから朝鮮半島に戦力を展開する際の指揮系統などをシミュレーションする「キー・リゾルブ」を4月中旬から約2週間実施する。

韓国国防省などによると、米軍1万1500人と韓国軍約29万人が野外機動訓練に参加する。同省は今年の軍事演習が「例年と同規模」になると説明している。北朝鮮の核・ミサイル開発で朝鮮半島を巡る緊張が高まった2016~17年の「過去最大規模」との説明と異なり、控えめな表現に修正した。

一方、米軍関係者は「現時点で空母などが参加する計画はない」と強調する。北朝鮮が再び軍事的な挑発に出ない限り、空母や爆撃機を投入しない考えを示唆した。北朝鮮は米軍による空母と戦略爆撃機の朝鮮半島近海への展開に強く反発してきた経緯がある。>(以上)

3/31ZAKZAK<トランプ氏、次は米韓同盟破棄か 「反米・親中・従北」の文在寅政権への強い不信感 接近する中朝韓に対抗し「日米台連携」も>

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/180331/soc1803310004-n1.html?ownedref=not%20set_main_newsTop

日米台連携して韓国は切り捨てても良いですが、中国が朝鮮半島を利用して世界に歴史の捏造をアピールしていくのではと懸念されます。「南京」や「慰安婦」以外にもでっち上げしてくるでしょう。でも歴史戦を逆転できる機会が訪れるという事です。今までは米韓同盟があり、韓国の我儘を米国は聞く必要がありましたが、破棄となれば「慰安婦」の嘘も日本は堂々と世界にアピールできるでしょう。「慰安婦」の嘘を朝日新聞は認めたことも世界に大々的に訴え、潰した方が良いと思います。北と中共、日共の指示で吉田清治を使って捏造したわけですから、日本人の名誉を傷つけた報いはキチンと受けさすべきです。

日本は中国に対峙する役割を引き受けざるを得なくなります。韓国が中国側に行けば、日本の防衛線は対馬が最前線になります。対馬にも自衛隊を増強、韓国・中国人にはビザを復活・強化する必要があります。渡部悦和氏の言うように日米台で中国の第一列島線突破を防ぎませんと。河添氏が言うように台湾軍の幹部は外省人が握っていますので、中共と内通する輩も必ずいます。勿論言葉が通じるので逆に台湾側も人民解放軍の幹部をリクルートしてスパイに仕立て上げたりしています。お互いに逮捕したスパイは偶に交換するようなこともしています。まあ、日本の自衛隊も配偶者が中国人や韓国人であれば、敵に通じる可能性もありますので。彼らは大陸や半島にいる親戚を人質に取りますから。まあ、機密漏洩を迫って来たら離婚する覚悟があれば良いですが。

金三胖はバッハIOC会長と会ったり、欧州には外交官を派遣して平和を演出しています。しかし、真の平和の希求ではないことは過去の歴史が証明しています。東京・北京のオリンピックに参加したいのなら検証可能な核放棄と拉致問題の解決に踏み込まなくては。いいとこどりは許されません。安保理では制裁強化の方針が打ち出されました。

3/31NHKニュース13:01<北朝鮮船籍の船舶への「瀬取り」で制裁対象を追加指定 安保理>

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180331/k10011386651000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_060

3/30宮崎正弘氏メルマガ<「人々の信仰と誠意を裏切るのか、バチカンよ」と中国の地下信者ら  バチカンと中国共産党の手打ちが近い、おそくともイースターまでに>

http://melma.com/backnumber_45206_6664063/

3/31宮崎正弘氏メルマガ<IMF,中国人民銀行と「一帯一路」をめぐる会合>

http://melma.com/backnumber_45206_6664518/

4/1宮崎正弘氏メルマガ<このままではメコン流域が「第二の南シナ海」になってしまう  中国、メコン河に巨大ダムをあちこちに建設、地元住民は反対>

http://melma.com/backnumber_45206_6664805/

宮崎氏の記事では、中共の悪辣さが滲み出ていますが、欧米の打つ手が遅すぎる印象です。怪物を造り上げた製造物責任をもっと感じて貰わねば。勿論日本もですが。

北村氏記事では、共産主義は似非民主主義と言うのが良く分かります。人民日報の論評が何であれ、そもそも共産党の息のかかった者しか選挙人になれないというのがおかしいでしょう。形だけ議会制民主主義を真似て世界を誑かしているだけです。茶番としか言いようがない。

張東蓀の扱い方は、毛沢東の狡猾、性格の悪さが出ています。独裁者だからできることで、やがて習も毛と同じ道を歩むでしょう。ヒットラーやスターリン以上の殺戮を行うかも知れません。流石に毛沢東の虐殺のレベルまでは行かないでしょうけど。金持ちになった中国(砂上の楼閣で借金漬けになっているが)ですから以前より力を持ってしまっているので始末に悪いです。通商法301条適用を逃れるため、米国からの輸入を増やすとのこと。その分日本とか韓国からの輸入を増やすような報道でしたが、そううまく行くかどうか。日韓産のものを米国に代替できるかです。でも、中国の純輸出の額を減らさないと軍拡と賄賂の原資になるので、日本も中国からの輸入を制限するうまい手を役人は考えてほしい。

記事

1969年の中国共産党第9回全国代表大会で、毛沢東の「親密な戦友」林彪は自らに反対票を投じた(写真:Ullstein bild/アフロ)

3月17日の午前9時、第13期全国人民代表大会第1回会議の第5回全体会議が挙行された。会議に出席すべき代表数2980⼈に対して、出席2970人、欠席10人で、出席人数は法定人数に符合していた。会議の進行を取り仕切る司会役の大会執行主席団が正面ステージに着席すると、先ず国務院機構改革法案に関する表決を行い、同法案は賛成多数で採択された。続いて会議は、選挙と任命決定の方法を表決で採択した。こうして選挙は9時23分に開始された。

満票当選、全員起立、熱烈拍手

先ず、開票検査人が会場に設置された28カ所の電子投票箱と電子選挙システムに対して検査を行った。これに続いて、職員が投票用紙の配布を始めた。中国語と7種類の少数民族の文字で印刷された投票用紙は、4枚の色が異なるものが1組で、これが各代表の手に配布されたのだった。投票用紙の配布が終わると、代表たちは投票用紙に記入を始めた。なお、会場の後方には秘密記入ができる場所が設けられていた。

先ほど採択された選挙と任命決定の方法に基づき、中華人民共和国主席、中華人民共和国中央軍事委員会主席、第13期全国人民代表大会常務委員会委員長、副委員長、秘書長、中華人民共和国副主席の“等額選挙(候補者数が定員と同数の選挙)”が行われた。

9時41分に開票責任者、開票検査人が先ず投票を行い、その後に代表たちが投票を行った。投票終了後、開票責任者が投票用紙の配布・回収状況を報告し、選挙が有効であった旨を宣言した。これを受けて、職員が投票の集計結果を読み上げた。これと同時に会場正面に設置された特大の電子掲示板には集計結果が表示された。

国家主席と中央軍事委員会主席の選挙では、“習近平”が2970枚の賛成票を獲得して満票当選を果たし、会場は熱烈な拍手に包まれた。司会者が「習近平同志が中華人民共和国主席に当選しました」と宣言すると、習近平は立ち上がり、代表たちに向けてお辞儀して挨拶を行った。これに対して代表たちは全員が起立し、熱烈な拍手で習近平に敬意を表した。習近平の傍らに立っていた“李克強”、“張徳江”の2人はそれぞれ習近平と握手を交わして祝賀の意を示した。習近平が中央軍事委員会主席に当選したと司会者が宣言した時も、再度熱烈な拍手が湧き上がり、習近平は再び代表たちに向けてお辞儀して挨拶した。

第13期全国人民代表大会常務委員会委員長には“栗戦書”が当選したが、彼は2970枚の賛成票を獲得して満票当選であった。一方、中華人民共和国副主席には習近平の「最も親しい盟友」であり、68歳の年齢制限で共産党政治局常務委員から引退したはずの“王岐山”が当選したが、彼の賛成票は2969枚で、反対票が1枚あり、満票当選ではなかった。

1969年の林彪を連想

王岐山が満票当選でなかったことについて、“清華大学”政治学部の元講師である“呉強”は、メディアに次のように述べた。すなわち、王岐山が満票当選でなかったことは、1969年に開催された中国共産党第9回全国代表大会(4月1日~24日)を連想させる。この大会で行われた選挙で“毛沢東”は党主席に満票当選を果たしたが、副主席に当選した“林彪(りんぴょう)”には2枚の反対票があった。後に判明したところでは、2枚の反対票を投じたのは林彪とその妻の“葉群”であった。これは、毛沢東の「親密な戦友」と言われ、後継者と目されていた林彪が、反対票を投じることで副主席は国家主席の威信に及ばないことを示したものであり、一種の忠誠表明であった。

今回、国家副主席の選挙で王岐山に1枚の反対票を投じたのが誰かは不明だが、上記の林彪の例を考慮に入れると、王岐山が林彪に倣って自身で反対票を投じた可能性もある。毛沢東の「親密な戦友」と言われて国家副主席になりながら、政争に敗れて飛行機でソ連へ逃亡中に墜落死した林彪、習近平の「最も親しい盟友」として国家副主席になった王岐山。同じ国家副主席だが、王岐山の今後がどうなるのかは注目に値する。

反対票と言えば、1949年に当時の“中央人民政府”主席の投票で、毛沢東は満票に1票少なかったため、満票当選を果たすことができなかった。この時、開票人が「少なかった1票は無効として処理しよう」と提案したが、毛沢東は「1票不足は1票不足であり、毛沢東を選ぶ選ばないは投票者の権利であるから、その事実は尊重せねばならない」と述べて気にしない素振りを見せたが、実際は密かに部下に命じて反対票を投じたのは誰かを調査させた。調査により反対票の主と推測されたのは、当時北京市にあった“燕京大学”の哲学部教授、張東蓀であった。

これを境に張東蓀には毛沢東に敵対する人物というレッテルが貼られることになる。1952年に張東蓀は米国へ国家機密情報を漏えいした容疑で逮捕され、最終的には1973年に政治犯収容所である北京市の“秦城監獄”で死去した。彼の3人の息子のうち2人は迫害を受けて自殺、残る1人は長期間拘留された挙句に精神疾患となり、2人の孫は重罪に問われて長期間監禁されたという。これら全ては毛沢東による張東蓀一族に対する報復だったと言われている。こう見ると、中国では反対票が持つ意味はすこぶる重いものがある。

ところで、習近平は国家主席と中央軍事委員会主席に満票当選を果たしたが、3月18日付の香港紙「蘋果日報(Apple Daily)」は次のように報じた。

習近平は満票で国家主席に再選され、毛沢東後の国家主席選挙の先駆けとなった。但し、中国本土のネットユーザーは以前の「人民日報」の評論『“全票当選更危険(満票当選はさらに危険)”』を引っ張り出して、当局が自分で自分の横っ面を張ったと風刺し、当該文章はネット上で転載が繰り返されたが、すぐさま当局によって削除された。

「沈黙の中に滅亡する」

上述した人民日報の評論『満票当選はさらに危険』とは、どのような内容の文章なのか。調べてみると、それは中国共産党中央委員会の機関紙「人民日報」が2011年3月17日付で掲載した評論であることが判明し、ネット検索で当該評論を探し出したが、その全文は以下の通り。

【1】今年はちょうど省・市・県・郷の各党委員会の改選の年に当たり、多くの省・市・県・郷は全面的に選挙を実施し、多くの地方で党委員会の委員と書記が満票当選しているが、これは熟考するに値する。表面から見れば、満票当選は現地の党組織と党員が非常に団結し、選挙に参加する党員の誰もが政治を論じ、大局を見て、歩調を合わせ、異口同音で雑音がないことを意味する。

【2】但し、一般に真の民主的選挙で一辺倒の現象が出現することは非常に少ない。3月14日に閉幕した第11期全国人民代表大会第4回会議でも、全ての法案が満票で採択されたわけではなく、多かれ少なかれ反対票があった。中国は大きいので、何事も全ての人が満足することは不可能で、常に異なる意見を発する人がいる。たとえそれが、党内の関係者が多い選挙でも全員の意見が一致を見ることは難しい。しかも、当面の我が国は社会の転換期にあり、解決を必要とする様々な問題が依然として存在し、社会矛盾が依然として存在している。

【3】満票当選は恐らく民意を力ずくで捻じ曲げた選挙の結果であり、民衆の願望を代表したものではない。たとえ党委員会の選挙であっても、満票当選は選挙資格を持つ党員の願望を代表するものではなく、選挙民たちの真情を吐露したものではない。彼らは特殊な状況下で特殊な選択をしたものである。我が党の民主集中制は個人が組織に服従することを要求するが、選挙では個人が組織を選出すべきであり、組織が個人に対してどのような組織を選出するか要求するものではない。任期満了に伴う改選では、服従を少なく、民主を多くしなければならない。このままで進めば、彼らの反抗意識は沈黙の中に月日を重ね、後の結果は恐ろしいものとなり、最後には爆発する。それは文豪の“魯迅”が彼の作品の中で「沈黙の中から爆発するのでなく、沈黙の中に滅亡する」<注1>と述べたのと同じである。

<注1> この魯迅の言葉は、彼の作品『劉和珍君を紀念して』からの引用。

【4】さらに、もし指名された候補者が組織の要求を背景に満票当選するならば、それは彼らの優越感を助長し、現実をはっきり見えなくさせ、形勢判断を誤らせ、自分がすでに偉く、全ての人から支持と擁護を得ていると考えさせる。ところが実態は単なる見せかけに過ぎず、それが彼らの業務に不利に働き、彼らの意思決定に不利となる。“生於憂患, 死於安楽(憂患に生きてこそ、安楽に死ねる)”<注2>という言葉の通り、満票当選は彼らが安楽な環境の中でずっと生活することで、彼らに憂患(心配して心をいためること)の意識を喪失させ、緊迫感や危機感を喪失させる。それは、たとえ複雑で厳しい社会環境の中にあっても、彼らに危機を感じなくさせるのである。

<注2> 『孟子』の「告子章句下」にある言葉。

金無足赤、人無完人

上記の人民日報の記事から1年が経過した2012年3月31日付の北京紙「北京日報」は、『“全票当選(満票当選)”は必ずしも全て民意ではない』と題する陝西省“安康市”人民代表大会常務委員会研究室主任の“趙明波”の評論を掲載した。その全文は以下の通り。

(1)現在頻繁にこのような現象を見聞きする。それは一部の地方では候補者と任命したい人の推薦・紹介の過程で、某氏の満票当選を全力で確保することが強調される現象である。とりわけ、一つ上の行政レベルがその下の行政レベルの選挙において指導幹部の身分を持つ候補者を推薦する場合はこれがひどくなり、甚だしきに至ってはそれが地方の幹部グループの思想統一、民主団結と調和の象徴と見なされる。

(2)各種のニュースメディアには、常に「〇〇〇が市長や副市長に満票で当選した」というニュースが報じられて、人々を喜ばせているのを見る。しかし、これと同時に「満票当選の短命市長」というニュースもあって、人々を嘆かせている。このような“全票情結(満票コンプレックス)”は人々に結託を促し、表決に投票する代表たちを誤った方向に誘導する可能性がある。なんと彼らにすぐにも“党委員会紀律検査部門”の“双規(取調べ)”を受ける人に投票して、後で驚かされることもある。これは我が国の選挙の中で相当程度存在することが実証されている弊害である。

(3)客観的に言って、現在、投票者たちは、往々にして組織が推薦する候補者の名前を知っているだけで、その人物を知らず、情報が欠如している状態であるのに、候補者を満票当選させるようとするのは無理がある。諺に「“金無足赤, 人無完人(金に純金はなく、人に完璧な人はいない)」とある。候補者や任命したい人が法定の過半数の賛成票を獲得する前提の下で、少数の反対票や棄権票があるのはおかしな事でも悪いことでもない。それはかえって、投票の対象となる候補者や任命したい人に改善が必要なことがあると説明するものであり、一種の警告としてより一層大衆に奉仕する必要があることを意味している。

(4)筆者はこれこそが民主政治が体現しなければならない重要な能力であり、要となる作用だと考える。以上述べたことをまとめると、選挙と任命を受ける人の票数の多寡、という問題において、我々は盲目的に満票を追求するべきでなく、理性的・弁証的に、得票が満票か満票でないか、多いか少ないかを、分析しなければならず、某氏が満票を獲得しているか否かが、いわゆる官界の体面と結びついていると判断することはできない。もしこの種の面子を必要とする、あるいは格好をつける現象がこのまま続くようなら、民意が嫌がることを強制するだけでなく、民主法制建設の中核となる精神にもとることになる。

行く末は「オセアニア」か

この趙明波の評論は明らかに上述した人民日報の評論『満票当選はさらに危険』を拠り所として書かれたものと思われるが、『満票当選はさらに危険』がネット上から削除されていることから考えると、趙明波の文章も削除される可能性が高い。あるいは、すでに削除されているのかもしれない。

習近平が中国共産党中央委員会総書記に就任したのは、2012年11月15日に開催された中国共産党第18期中央委員会第1回全体会議であった。上記の人民日報の評論は2011年3月17日付であり、北京日報の評論は2012年3月31日付である。これは“胡錦濤”総書記の2期目の4年目と5年目に当たるが、その時期に満票当選を危惧する評論が人民日報と北京日報に掲載されたということは、中国国民の中に充満していた満票当選に対する不満や疑問を沈静化させようとする意図があったものと考えられ、一方の中国国民はこうした評論の中に民主選挙への一縷の望みを見出していたのかもしれない。

しかし、国家主席の任期を2期10年までとする制限を撤廃して、総書記、国家主席、中央軍事委員会主席という3冠の2期目に入り、3期目以降も3冠を継続保持することが可能となった習近平にとっては、満票当選だけが肝要なものとなり、いかなる反対票の存在も許せないものとなったのである。今後、習近平政権による言論統制はさらに強化されて、異論が許されない社会が到来する可能性がある。そうなると中国は、ジョージ・オーウェルがその著作『一九八四年』で描いたような一党独裁で、個人の思考まで徹底的に管理された超大国「オセアニア」に類似した国家に変質することが懸念されるのである。

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『日朝首脳会談が日米関係を破壊!?安倍総理が慎重に動くべき理由』(3/30ダイヤモンドオンライン 北野幸伯)、『米韓両大統領を手玉に取とる金正恩の腹の内 外交部員は粛清されておらず、外交手腕は米韓をはるかに上回る』(3/29JBプレス 横山恭三)について

3/30日経夕刊<中国、不透明さ増す国防費 軍民の境界あいまいに

中国の国防費が不透明さを増している。2018年の予算は前年比8.1%増の1兆1069億元(約18兆円)。米国に次ぎ世界2位だ。最新兵器の研究開発費や外国からの武器購入費は含まず、実際の軍事費は数倍とも指摘される。そこへ習近平(シー・ジンピン)国家主席が武器開発に民間企業を参入させる「軍民融合」を提唱した。軍民の境界が薄れ、実態はさらに見えにくくなっている。

昨年進水した中国初の国産空母(写真上、共同)と1月、人民解放軍を視察する習近平国家主席(左)(同下、新華社・共同)

「軍民融合へ努力し、軍事力強化という夢の実現を支えなくてはならない」。習氏は12日、国会に相当する全国人民代表大会(全人代)の会議で発破をかけた。「軍民融合」とは習氏が15年ごろから主張して力を入れてきた政策だ。軍事技術を民間に転用して経済の構造改革を進め、武器開発に民間技術を活用する。人工知能(AI)や航空・宇宙、サイバーなどを重点分野と位置づける。

代表例は16年に設立した中国航空発動機集団。航空エンジンを専門に手掛ける企業で空軍との関係が深い。アキレス腱(けん)である国産エンジンの弱さを克服する切り札だ。16年ごろから軍民融合産業の育成ファンドが相次ぎ誕生した。出資元に国有企業の名前がずらりと並ぶ。

こうした企業の資金は国防費に入らない。軍関連企業の上場は軍事費を市場から調達する仕組みのようだ。共産党・政府が軍民融合を推進する政策を出すと、株価がストップ高になることもある。

軍産複合体は米国にもある。日本では三菱重工業などが軍事産業に関わる。ただ、中国は大半が国有企業。事実上、共産党の指導下にある。海外の軍事筋が「軍民融合が国防費をより不透明にしている」と指摘するゆえんだ。

中国の国防費は人件費、訓練・維持費、装備費で構成され、おおむね3分の1ずつとされるが、内訳は不明。17年には軍人の給与を大幅に上げたが、国防費の伸び率は前年より低い。遠洋訓練が増え、兵器開発は活発なのに計算が合わない、との声がある。

欧米の専門家の多くは、中国が公表する「国防費」には先端装備の研究開発費や海外からの武器購入、治安維持を担う人民武装警察(武警)の経費を含まない、とみている。国産空母の建造費や、国産ステルス戦闘機「殲20」の開発費、ロシア製最新鋭戦闘機「スホイ35」の購入費などは、いずれも枠外とみられる。

こうした隠れ予算を含めた「軍事費」は公表される国防費の1.5~3倍といわれる。事実なら世界1位の米国(約72兆円)に迫る。21世紀半ばまでに「世界一流の軍隊」を造り上げるのが目標だ。

全人代の張業遂・報道官は「人口1人当たり国防費はどの主要国より低い」と話す。国防白書の作成に関わる陳舟・軍事科学院研究員は「隠れ軍事予算などない。中国は軍事支出の基礎データを国連に提供している」と強調する。国内に果敢な姿勢を示しながら海外の警戒は避けたい――。そんなジレンマが見える。

国家の対外的な脅威の大きさは「意思」と「能力」のかけ算で決まるといわれる。中国が南シナ海で進める軍事拠点化や頻繁な遠洋訓練を見れば、少なくとも西太平洋まで勢力圏を広げる意思は明らかだ。巨額な国防費は実態が不透明。すると周辺国も疑心暗鬼になり軍備拡張に動く。手の内を明かさないためとみられる中国の政策だが、自らの安全保障環境の悪化を招いている側面もある。>(以上)

モリカケをやっている野党国会議員に上記記事を読ませたいものです。日本の防衛をどう考えますかと。どうせ何も考えてなく、共産中国の属国になれば良いと言いだすのではと思っています。野党とメデイアは、類は友を呼び、平気で嘘をつき、捏造が当り前の世界です。こんな連中を国会に送り込む責任を国民は感じているのかどうか。「俺は投票していない」と言っても連帯責任になります。自治労が問題でしょう。中国の人権弾圧を自分の目で見てこいと言いたい。でも自分達は弾圧する側に回るから良いと思っているのかも知れませんが。

中国の軍拡を防ぐにはやはり輸出で稼がせないことです。トランプの貿易戦争は正しいです。それと味方を増やして封じ込めることが肝要かと。日米台印豪で封じ込めを行い、渡部悦和氏の言うように、第一列島線を突破させないようにすれば良いと思います。

北野氏の言う日本の抜け駆けでトランプが怒るというのは杞憂では。TPPの復活交渉の件もキチンと米国に仁義を切ってやったはず。戦争になるかもしれないときに米国に相談せずに安倍首相が動くとはとても思えません。角栄は仁義を切らず、キッシンジャーの怒りを買ったでしょうが、時代が違います。今米国に離反されて困るのは日本です。周りを核保有国に囲まれ、米軍が撤退すれば脅され、属国扱いにされるでしょう。今でも米国の属国と言われそうですが、悪辣さが違います。彼の国には人権はありませんから逮捕状無しで拘束、闇夜に紛れて処刑、而も臓器摘出までされてと言うのが考えられます。

キッシンジャーが中国を好きなのは、金を貰っているからです。独系ユダヤ人だけあって金には目がないのでしょう。ケナンとは違う所です。また自分が敷いてきた路線を変更することは自己否定に繋がるためなかなかできないと思います。でも、そのことが大きく米国の国益を損ねている訳です。やっと中国に騙されてきたことに米国人は気付いてきましたので、どこかで軌道修正しなければ。トランプ以外にできる人はいないでしょう。共和党主流派でも無理です。議会慣れしている人間には改革は出来ません。慣れが生じていますので。

常識的に考えれば、世界の覇権を握って来た米国が何の見返りもなく、その一部でも譲るのでしょうか?戦争をして奪われるのならまだしも。而も米軍の力はまだ中国より遙かに強いです。そんな国が台頭してきたとはいえ、あっさり中国の言うことを聞くとは思えません。それでトランプが貿易戦争を仕掛けているのだと思います。

米国の頭越し外交は当り前で各国に相談して反対されても困るでしょう。覇権国の強みです。オバマのようにシリア攻撃すると言って英国議会の反対に遭い、米国議会の判断に委ね、ロシアの斡旋もあり、ストップして世界の笑いものになった事例もあります。覇権国の強みを生かせなかった無能大統領です。

https://www.tkfd.or.jp/research/eurasia/a00752

また、対話をすることは問題ないでしょうが、圧力をかけ続けない限り、「非核化」は実現しません。それ以上に金がまた騙す可能性があります。日本にとって問題は、圧力をかけ続けることではなく、米国が妥協して北に中距離核ミサイル保有を許すことです。そうならないように日米首脳会談を行うのでしょう。北に一部保有を認めるのであれば、日本にも保有を認めるように安倍首相は交渉しませんと。キッシンジャーと周で「日本には核を持たせない」密約があったと言われていますが、中国が米国に敵対行動を取っている以上、ご破算です。

https://blogs.yahoo.co.jp/mitokosei/35020962.html

横山氏の記事で、ポンペオ長官が言った北朝鮮に内通者ができたような発言はどこまで信頼できるかです。デイスインフォメーションの可能性もあります。スーザンライスが北の核保有を認める発言をしたなら、彼女に「日本も核を持てますね?もし持てないとしたらその理由を聞きたい」と質問すれば良いです。横山氏によれば「金正恩は何かを恐れて受動的に態度を転換したのでなく、核保有国としての立場を背景に親北文政権との南北関係の改善および外交での実績を渇望する米ドナルド・トランプ政権との米朝関係の正常化交渉の好機と見て、能動的に態度を転換した、というもの」と考えているようですが、それだとトランプが首脳会談を即時受諾することを読んでいたことになります。やはり戦争の危機、生命の危機を恐れてと見るのが普通では。ただ金が敵対して来た習近平に会いに行ったことは単なる若造ではなく、狡猾さを兼ね備えた政治家だと言えるでしょうけど。

トランプにしてみれば、北を攻撃するのは選挙対策とNEOを考えた8月が最適で、もし本当に北が核放棄すればノーベル平和賞もので、どちらに転んでもトランプにプラスです。戦争になれば、日韓に被害は出るでしょうけど、トランプには痛みがありません。デイールとしてはトランプが有利なのでは。

北野記事

朝鮮半島情勢が大きく動いている。トランプ大統領が金正恩に会うと決定した直後、今度は安倍総理が日朝首脳会談に向けて動き出した。さらに中朝首脳会談が電撃開催され、南北首脳会談も予定されている。安倍総理は存在感を示したい誘惑にかられるだろうが、拙速に動けば、日米関係を破壊するかもしれない問題行動である。(国際関係アナリスト 北野幸伯)

日米関係を破壊しかねない 安倍総理の動向

昨年までの強硬路線から一転、対話に向けて動き出した金正恩。日本は「置き去りにされている」との焦燥感があふれているが、慎重に行動しなければトランプの怒りを買うかもしれない 写真:北朝鮮「労働新聞」より

北朝鮮問題が、「対話路線」で大きく動いている。金正恩は1月1日、韓国と対話する準備があると声明を出した。1月9日には、実際「南北会談」が再開された。その後、金は3月5日、訪朝した韓国特師団と会談。「4月末に板門店で南北首脳会談を開催する」ことで合意した。
3月8日、驚きのニュースが米国からもたらされる。なんと、トランプが「金正恩に会うことを決めた」というのだ。日本政府は大きな衝撃を受けた。事前に何の相談もなかったからだ。日本ではこの決定について、「頭越しに」「日本は蚊帳の外」といった嘆きの声が聞かれる。

それでも、安倍総理はトランプの決断を支持した。

<10日の別のツイートでトランプ大統領は、安倍晋三(ShinzoAbe)首相は米朝首脳会談に「とても熱狂的」だったと述べた>(読売新聞3月9日)

しかし、総理は直後に、トランプに嫌われても仕方ない決断をする。「トランプが金正恩と会談するなら、俺も会談する」と、日朝首脳会談実現に向けて動き出したのだ。

<日本政府、北朝鮮との首脳会談を模索へ=政府関係者
ロイター 3/13(火) 22:28配信
[東京 13日 ロイター] – 南北会談と米朝会談が開かれる見通しになったことを受け、日本政府も北朝鮮との間で首脳会談を模索する考えであることがわかった>

その後、金は25~28日の日程で中国を訪問し、26日には習近平と初めて会談を行ったが、これも日本政府にとっては想定外で、「日本は置き去りにされているのでは」との疑念が渦巻いている。

安倍総理が日朝首脳会談を成功させ、しっかりと存在感を示したいと焦るのも理解できる状況にはなっている。しかし、実をいうと、これは日米関係を破壊しかねない大問題なのだ。

自己顕示欲が強いトランプは安倍総理の抜け駆けを許さないはず

まず、トランプのキャラから考えてみよう。

トランプは、権力、お金、美女が大好きである。そして、自己顕示欲が強く、常に手柄を自分のものにしたがる。また、「独断型」で、「調整」とか「根回し」の必要性をまったく考えていないように見える。「TPP離脱」「パリ協定離脱」「エルサレムをイスラエルの首都と認定」「金正恩との会談を、誰にも相談せず即決」「ツイッターでティラーソン国務長官を解任」などの事実が、彼の性格をよく表している。

さて、米国の現職大統領はこれまで、北朝鮮のトップと会談したことが一度もない。実現すれば「歴史的事件」だ。そして会談の結果、「非核化」が大きく前進すれば、それこそ「ノーベル平和賞モノ」だろう。

「俺はこの問題を解決して歴史に名を残す!」とワクワクしているであろう彼に、同盟国日本から不穏な情報が入る。なんと、「安倍総理も北との首脳会談を模索している」というのだ。トランプの性格から、安倍総理の決断を彼がどう感じるかは、容易に想像できる。

「シンゾーは、俺を出し抜こうとしている」
「シンゾーが、俺の手柄を横取りしようとしている」

中国だって米国を出し抜いたじゃないか、という意見もあるだろうが、伝統的に北朝鮮と親密な関係を築いてきた国であり、日本とは歴史的背景が違う。かつ、日本は米国の「同盟国」。米国は日本に対しては、足並みを揃えて従うことを当然のように要求してくるだろう。

「ジャップは裏切り者!」と絶叫したキッシンジャー

実をいうと、日本は46年前、米国を激怒させた前例がある。

冷戦時代の初期、米国は共産党の一党独裁国家・中華人民共和国を敵視していた。しかし1970年代初め、強大化するソ連に対抗するため、中国との和解を決断する。

71年、時の大統領ニクソンは「中国から訪問要請があり、それを了承した」と発表。このときも米政府は日本に何の相談もせず、日本側が発表内容を知らされたのは、発表の15分前だった。当然、日本政府は大きな衝撃を受けた。

ニクソンは72年2月、歴史的な訪中を果たした。一方、日本では同年7月、田中角栄が総理大臣に就任した。彼は、同年9月に訪中。「アッ」という間に「日中国交正常化」を成し遂げてしまう。ちなみに米中国交正常化が実現したのは、7年後の79年だ。

米中和解を主導してきたキッシンジャー大統領補佐官は、米国を「出し抜いた」日本に激怒。

「ジャップは最悪の裏切り者!」

と絶叫したことが、明らかになっている。共同通信2006年5月26日から。(太線筆者、以下同)

<「ジャップは最悪の裏切り者」(解禁された米公文書より)72年にキッシンジャー氏

【ワシントン26日共同】ニクソン米大統領の中国訪問など1970年代の米外交政策を主導したキッシンジャー大統領補佐官(後に国務長官)が72年夏、田中角栄首相が訪中して日中国交正常化を図る計画を知り

「ジャップ(日本人への蔑称(べっしょう)」

との表現を使って日本を「最悪の裏切り者」と非難していたことが、26日までに解禁された米公文書で分かった>

キッシンジャーは今も嫌日一方で中国のことは大好き


キッシンジャーは、この時の恨みをその後も忘れていなかったようだ。米国在住の政治アナリスト・伊藤貫氏の名著『中国の「核」が世界を制す』には、キッシンジャーと直接会った時の感想が記されている。

<キッシンジャーは、日本人に対して鋭い敵意と嫌悪感を抱いている。>(116~117p)

<キッシンジャーからは不快なものを感じた。
彼が、日本人をほとんど生理的に嫌悪・軽蔑していることが感じられたからである>(同前117p)

なにはともあれ、田中総理は米国を出し抜いた。それで、キッシンジャーは激怒した。そのキッシンジャーは今、トランプ大統領の顧問的立場にある。安倍総理が金正恩に会うことを模索していることを知ったとき、彼の脳内では、46年前の憤怒がまざまざと蘇ったに違いない。

ちなみに、キッシンジャーは、米国を代表する「親中派」で、「G2論者」である。「G2」とは、「米国と中国で世界を共同統治しよう」という発想だ。米国の著名な戦略家ルトワック氏は「G2」の意味について、こう解説している。

<「G2」が実現すれば、中国は米国の関係だけを考えていれば良い。
それ以外の他国のことは無視できる。
「G2で決めた通りにやれ」と言えば済む―――
彼らはこう思い込んだのである。
「G2」ですべてを決められるのであれば、中国は日本と煩わしい対応をしなくてもよくなり、フィリピンやベトナムも解消される、と>
(「中国4.0」エドワード・ルトワック、100~101p)

これはつまり、「中国が尖閣、沖縄を支配したければ、日本ではなく米国とだけ交渉すればいい」ということである。

安倍総理が日朝首脳会談を急いで米政府を不快にさせれば、日米関係に亀裂が走るだけでなく、米中関係を強固にするという、いわば「敵に塩を送る」がごとくの間抜けな状況になる危険性があるのだ。

日本だけでなく中国、ロシア韓国も「頭越し」されている

では、米国が日本の「頭越し」に米朝会談を決めたこと、日本が「蚊帳の外」にいる問題は、どうすればいいのだろうか?

「頭越しの決定」については、トランプは金正恩と会談する件について、「誰にも相談せず、その場で即決した」ことが明らかになっている。つまり、米国内では、トランプの補佐官も顧問も、国務省も国防総省も相談されていなかった。さらに、この問題に関わる中国、ロシア、韓国、北朝鮮、すべての国々にとって、トランプの決定は驚きであり、やはり「頭越し」であった。

日本だけが「特別冷遇されたポジション」にいるわけでないのだ。しかし、日本だけは「頭越し」と騒いでいる。

次に理解しなければならないのは、トランプが米朝首脳会談を決めたのは「論理的に当然だった」ということだ。

北朝鮮問題については、「前提条件なしの対話」を主張する中国、ロシアと、「前提条件ありの対話」を目指す日本、米国に分かれていた。中ロの立場を「対話派」、日米の立場を「圧力派」という。

では、「圧力派」の目的は何だったのか?そう、北朝鮮を「前提条件ありの対話に同意させること」だ。「前提条件」とは、北が「核兵器の放棄」(=非核化)に合意することである。
金正恩は、「対話」の条件である「非核化」に同意したのだろうか?毎日新聞3月9日から。

< 韓国大統領の特使として訪朝した鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長は8日、ホワイトハウスで記者会見し、トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の訪朝要請を受け入れ、5月までに米朝首脳会談に応じる意向を示したと明らかにした。
ホワイトハウスは時期や場所は未定とし、「2、3カ月以内」に会談すると説明した。
金委員長は韓国政府の特使団に対して「非核化の意思」を示し、核・ミサイル実験の「凍結」を約束したという>

金正恩は、「非核化」に同意した。このことは、「圧力派が目的を達した」ことを意味する。だから次の段階に進む、すなわち「対話」を開始するのは当然の流れだ。

いまだに「圧力、圧力」と繰り返している人たちは、「圧力の目的」を忘れているのではないだろうか?繰り返すが、「圧力の目的」は、「非核化に同意させて、それを前提にした対話を開始すること」だったはずだ。

「圧力派」を意味なく続ければ日本は必ず世界から孤立する

もう1つ、「日本は蚊帳の外」という意見もある。

日本が「蚊帳の外」に置かれるとすれば、圧力に固執した結果であり、これは「日本自身の責任」である。日本の圧力派は「圧力強化により、非核化前提の対話を開始すること目指す」という当初の目的を忘れている。忘れていなければ、金が「非核化」に合意した時点で「我々は1つの目標に到達した」と喜ぶはずだ。

世界から見ると、「金正恩は非核化に合意したのに、なぜ日本は圧力、圧力と繰り返しているのか?日本はいったい何を目指しているのか?」と、理解不能である。

「圧力派」は言う。「だまされるから対話するな!」と。では、「結局戦争しかない」と言いたいのだろうか?

もちろん、北朝鮮が日米をだます可能性は大いにある。実際、彼らはこれまでウソをつき続けてきた。それでも、「非核化に同意した」のであれば、「対話」に移行するしかない。「だまされるから対話するな」ではなく、「だまされないように対話しよう」というのが正しい態度だろう。

むろん、非核化がすんなり進むかどうかは未知数だ。交渉が決裂して、戦争になる可能性もある。だが、「交渉が決裂して戦争になる」のと、「北が非核化に賛成したのに、交渉もせず戦争になった」のでは、大違いだ。

日本政府が、「圧力派は目的を達したので対話派になる」という世界の流れを理解すれば、日本は「蚊帳の外」にはならない。米国、中国、ロシア、北朝鮮、韓国が「対話派」になっているのに、日本だけ目的がはっきりしない「圧力派」を続ければ、「日本はわざわざ戦争を願っている」と解釈されても仕方がない。その結果、世界から孤立して「蚊帳の外」に置かれるのだ。

安倍総理は、トランプの米朝首脳会談を大いに歓迎し、「金が非核化に合意したのは、あなた(トランプ)が圧力路線を主導してきたからだ」と祝福すべきだ。日本にとって重要な拉致被害者問題や、短・中距離弾道ミサイル放棄を、米国がどこまで重要視してくれるかは未知数だが、これまで見てきたように、米国が「日本は裏切り者だ」と激怒するような勝手な行動をすれば、大きな代償を払うことになるだろう。

冷静に考えれば、トランプが勝手に金との首脳会談を決めたことは、(失礼ではあるが)まったく問題ではない。仮に「頭越し」でも、日本が「蚊帳の外」でも、トランプが「北朝鮮の非核化」という目標を忘れなければいいのだ。

しかし、日本がパニクって、「米国に頭越しされないように、日本の存在感を発揮しよう」と躍起になることで、「米国を出し抜こうとしているのでは」と勘繰られてしまえば、これは大問題に発展するだろう。トランプとキッシンジャーは「ジャップは、やはり裏切り者!」と叫び、日米同盟は危機にさらされる。中国は喜々として、まず尖閣を、次に沖縄を奪うだろう。

世界には深刻な問題が山ほどある。その一方で、問題でないことを「大問題」と勘違いし、墓穴を掘ることもある。安倍総理は歴史の教訓から学び、田中角栄の失敗を繰り返すことなく、現在の内外の危機を乗り切っていただきたい。

横山記事

北朝鮮・平壌で韓国特使団の団長である鄭義溶氏(中央)と握手を交わす、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長。朝鮮中央通信提供(2018年3月5日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / KCNA VIA KNS〔AFPBB News

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が1月1日、平昌冬季五輪への参加に前向きな意向を示し、対話姿勢に転じて以来、わずか2カ月余りで南北首脳会談、米朝首脳会談の開催が立て続けに決まった。

北朝鮮は、国際社会の警告を無視して核実験やミサイル発射を強行してきた。新型弾道ミサイル「火星15」型の発射成功を発表した2017年11月29日の声明の中で、金委員長は、米国本土全域が攻撃可能だと主張し、「核武力完成」を宣言した。

その金委員長は、韓国の文在寅大統領の特使団に対して、北朝鮮への軍事的脅威が解消されて体制が保証されれば、「核を保有する理由がない」との考えを明言し、非核化や関係改善に向けて米国と「虚心坦懐に対話する用意がある」とした。

サイコパスはハイリスク・ハイリターンを好む

そのうえで、米朝対話が継続する間は新たな核実験や弾道ミサイル発射などの軍事挑発をやめる方針を明確にした。また、韓国側に軍事行動を起こさないことも確約した。

金委員長があれほど強硬な態度を転換した理由について、経済制裁が功を奏したとする「見立て」が一般的だが、ほかにも米軍の武力攻撃を恐れた(辺真一氏)、中国の北朝鮮への軍事介入を恐れた(寺島実郎氏)などの見立てがある。

どの見立てが当たっているかは金委員長本人に聞かなければ分からないが、いずれの見立ても大きな間違いを起こしていることを筆者は指摘したい。

それは、いずれの見立ても金委員長が何かを恐れて態度を転換したとしていることである。

経済制裁が功を奏したという見立てにしても、つまるところ経済制裁を受け困窮した民衆や軍部の反乱・抵抗を金委員長が恐れているということであろう。

ちなみに筆者の見立ては、何かを恐れて受動的に態度を転換したのでなく、核保有国としての立場を背景に親北文政権との南北関係の改善および外交での実績を渇望する米ドナルド・トランプ政権との米朝関係の正常化交渉の好機と見て、能動的に態度を転換した、というものである。

脳科学者の中野信子氏の著書『サイコパス』には、「サイコパスには、感情を伴う共感はない、恐怖・不安を感じにくい、ハイリスク・ハイリターンを好む」などのサイコパスの特徴が記載されている。

金委員長のこれまでの言動・行為を見れば、金委員長がサイコパスの典型であることは自明である。金委員長が、ウサマ・ビンラディンの殺害作戦のような斬首作戦を警戒しているのかもしれないが、恐れてはいない。

かつてNHKが放映した「ハノイ対話」の中で、ベトナム戦争当時国防長官だったマクナマラ氏は、北爆を続ければ、北ベトナム政府は多数の犠牲者に耐えきれず交渉に応じると思っていたが、かえって抵抗が強くなったという主旨のことを語っていたと筆者は記憶している。

情報分析に際して留意すべきことは、「相手(ここでは金委員長)が我々と同じ考え方をするのであろうか」という疑問を自分自身に投げかけることである。

ここで「北朝鮮に対する米軍の武力攻撃」について述べてみたい。

東京とソウルで210万人が被害に

日本・韓国も、ある意味で米軍の北朝鮮への武力攻撃を恐れている。トランプ米大統領の行動は予測できない。トランプ大統領は、米議会に諮らず、日本・韓国の同意を得ずに、いきなり北朝鮮を攻撃しかねない。

その結果、北朝鮮の反撃により日本・韓国が大きな被害をこうむることになる。

昨年10月に米ジョンズ・ホプキンス大の北朝鮮分析サイト「38ノース」が公表した予測では、北朝鮮が核ミサイルで反撃したら「東京とソウルで計210万人が死亡」というものだった。この被害の大きさが、北朝鮮に対する最大限の圧力を弱める要因ともなっている。

さて、金委員長が豹変した狙いは何であるか。それを探るには様々な方面(情報源)から得られるジグソーパズルのピースをつなぎ合わせて真相にたどりつく作業が必要となる。

筆者が接することができる情報は公刊情報(オープンソース)だけに限られている。公刊情報だけでどれだけ真相に近づけるかということはあろうが、批判覚悟で、この課題に取り組んでみたい。以下、いくつかのピースを述べる。

  • 北朝鮮の核保有は「朝鮮半島の統一が目的」

2018年1月23日、ワシントン市内の政策研究機関「アメリカン・エンタープライズ政策研究所」で講演した米中央情報局(CIA)のポンペオ長官(当時)は北朝鮮の金正恩体制による核・弾道ミサイル開発の目的について、米国からの抑止力確保や体制維持にとどまらず、「自らの主導による朝鮮半島の再統一(原文ではreunification)という究極の目標に向けて核兵器を活用しようとしている」との認識を明らかにした。

この情報は、諜報に接することができない筆者には極めて貴重なものである。

また、同長官は、米情報機関による北朝鮮関連の情報収集能力がこの1年間で大幅に向上していると強調した。これは、上記の情報が北朝鮮内部からもたらされた可能性を示唆している。

  • 北朝鮮は草の根を食べることになっても、核プログラムを中断しない。

北朝鮮の「朝鮮中央通信」は、2016年1月8日、国際社会の圧力で核開発を放棄したイラクのフセイン政権とリビアのカダフィ政権について「制度転覆を企図する米国と西側の圧力に屈し、あちこち引きずられ核開発の土台を完全に潰され、自ら核を放棄したため破滅の運命を避けることができなかった」と言及した。

また、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2017年9月5日、記者会見の中で、「北朝鮮は草の根を食べることになっても体制が安全だと感じられない限り、核プログラムを中断することはないだろう」、「北朝鮮が、このこと(フセイン政権とカダフィ政権の悲惨な最期)をよく知っている状況で、いかなる制裁も効果がなく非効率的」であると述べた。

  • 祖国統一は金日成主席の遺訓

儒教の影響が強い北朝鮮では、先代の指導者が残した遺訓を徹底して貫徹することを、後継者や継承者の最高の徳目としている。

金日成、金正日が残した最大の遺訓は、北朝鮮主導による祖国統一である。そして、北朝鮮は,「在韓米軍」が朝鮮半島の統一に対する最大の障害であると見ている。

一方、韓国にとって統一は「民族の悲願」である。

文氏は、かつて金大中氏の命日である8月18日に演説し、「なぜ、金大中氏の目指した南北朝鮮の連邦政府は実現していないのか。私は絶対に実現させて御意志に応えます」と述べた。

  • 「新北勢力」が青瓦台(大統領府)を占拠

元駐日韓国大使館公使の洪ヒョン氏は、政務職はもちろん、中央省庁の局長・課長級に該当する秘書官とその他の行政官のほとんどは金日成主義である「主体思想」を学習した者であり、彼らは、「韓国そのものを平壌に捧げよう」という強い信念を持つ親北勢力であると述べている。

また、文政権は、金大中、盧武鉉政府の対北朝鮮政策(太陽政策と対北朝鮮抱擁政策)を継承することを明言している。

  • 米国の北朝鮮の非核化政策は一枚岩でない。

トランプ政権は「核・ミサイル開発の放棄」を対話の前提条件としているが、現・元政府高官からはこれと異なる発言がなされている。

レックス・ティラーソン前国務長官は昨年12月12日、ワシントンでの講演で「前提条件なしで北朝鮮との最初の会議を開く用意がある」と述べた。この発言は直ちに取り消されたが、北朝鮮の核武装を容認するとも取れる発言である。

また、米バラク・オバマ政権で大統領補佐官をつとめたスーザン・ライス氏は、昨年8月10日付米ニューヨーク・タイムズ紙への寄稿で「必要であれば、我々は北朝鮮の核兵器を容認できる」「歴史的に見れば、冷戦時代に旧ソ連の何千という核兵器の脅威を容認したのと同様だ」と述べた。

さらに、「金正恩氏が政権存続のために不可欠と考えていることから、北朝鮮が保有する兵器を放棄する見込みはほとんどない」と記述している。

  • 金委員長は、「やり手の成熟した政治家」である。

2018年1月11日、ロシアのプーチン大統領は、金委員長について「やり手の成熟した政治家」であると、ロシアの記者団との会合で語った。

また、龍谷大学社会学部の李相哲教授は、金体制を支える側近の存在について次のように述べている。

「北朝鮮の外交現場で働く実務者はここ30~40年、顔ぶれがほとんど変わっていない。これは、金委員長が外交ラインを粛清していないためで、トランプ大統領の発言や中国の動向なども、その真意は何かということが彼らには手に取るように分かる」

「大国に対して先手を打つような外交ができるのである。外交素人のトランプ大統領や韓国の文大統領などに比べて、北朝鮮が最もうまく立ち回れているのはこのためである」

  • トランプ大統領の「ディール外交」は北朝鮮に通用しない。

トランプ大統領が展開する交渉術は「相手のペースを乱し不安に陥れ、自分を強者であると印象づける」ことであると言われる。

トランプ大統領は貿易相手の日本や中国などに対しては独特な外交術を駆使してきた。ところが北朝鮮は厄介な相手である。

なぜなら、北朝鮮は対外経済規模が小さいうえに米国との貿易は皆無である。さらに、1990年代の北朝鮮は未曽有のエネルギー難、食糧難に陥ったが、それに打ち勝った歴史を持っているように、北朝鮮は「制裁慣れ」している。

これまでのところ、トランプ大統領の「ディール外交」は北朝鮮に通用していないようである。

  • 北朝鮮の「非核化」などの約束は裏切りの歴史である。

歴史は繰り返すという。情報分析に際して留意すべきことは、「歴史は繰り返すのか」とい疑問を自分自身に投げかけることである。

1992年、北朝鮮は韓国との間で「朝鮮半島の非核化に関する共同宣言」に署名し、核兵器を保有しないことを確認した。

しかし、北朝鮮は翌年に核開発を疑った国際原子力機関(IAEA)による特別査察を拒否し、核拡散防止条約(NPT)脱退を表明した。

1994年10月の米朝枠組み合意では、北朝鮮が核施設を凍結・解体することを約束したが、2002年10月、ウラン濃縮による核開発を秘密裏に進めていることを認めて、同合意を破棄した。

2012年2月、食糧支援と引き換えに核実験と長距離弾道ミサイル発射、ウラン濃縮活動をオバマ政権と合意したが、2か月後に人工衛星と称してミサイル発射を強行などして一方的に合意を破棄した。

我が国においても、拉致問題に関して、これまで北朝鮮には何度も煮え湯を飲まされてきた歴史がある。

次に、金委員長が豹変した“狙い”を推定する。上記のピース(断片情報)から次のことが推測される。

  • 金委員長の究極の目標は核を保有した北朝鮮主導による南北統一である。従って、今回の事象は南北統一に向かっての環境整備である。
  • 北朝鮮に宥和的である文氏が政権にある今がチャンスである。
  • 米韓同盟(米韓相互防衛条約)が存在する限り、文政権の政策選択の自由度は制約される。従って、米朝の関係正常化を図り、米国の朝鮮半島への関与を弱めさせる。

米朝の緊張関係が改善すれば、南北統一は内政問題であると主張することにより米国をはじめ諸外国の介入を阻止することができる。

  • 歴代の大統領の中で最低の支持率を記録し、国民に不人気なトランプ大統領は、11月の中間選挙を控え、実績を作りたいと躍起である。そこで、金委員長はトランプ大統領に「非核化」という餌を与えれば簡単に食いついてくると考え、今回の会談を仕かけた。

また、北朝鮮は、米国内の北朝鮮に対する非核化政策が一枚岩でないことに乗じて、自国が核保有国であるという立場を主張し、非核化交渉を北朝鮮の思惑通りに進める。例えば、米国に届く弾道ミサイルの破棄というレベルで合意する。

  • 南北関係の改善、米朝関係の正常化が達成したとしても、48倍もの経済格差のある韓国に対し、民主的なプロセスによる北朝鮮主導による南北統一は困難である。

従って、武力(核兵器を含む)による威嚇やサイバー攻撃(SNSによるプロパガンダを含む)、工作員による破壊活動などにより韓国社会の混乱を作為し、北朝鮮に優位な立場を構築しつつ、統一プロセスを有利に進める。

以上の推測から金委員長の狙いを推定すれば、「韓国との関係改善と米国との関係正常化を図り、その先に核を保有した北朝鮮主導の祖国統一を目指している」ということである。

筆者の全くの憶測であるが、金委員長の目論む統一プロセスとは次のようなものであろう。

初めに、2つの体制を当分の間維持したまま「高麗連邦共和国」創設のための2つの政府代表からなる最高民族委員会を組織する。

次に最高民族委員会を北朝鮮の支配下に置く。そして、連邦国家でなく一気に「高麗共和国」という単一国家を創設するのである。元首は当然金正恩ということになる。

日本とって最悪なシナリオは核を保有した統一朝鮮の出現である。北朝鮮の核保有が「朝鮮半島の統一が目的」であるとすれば、北朝鮮は統一まで核を決して放棄しないであろう。

そして、統一を達成した後に、統一朝鮮に核放棄の圧力をかける米・中国・ロシアのような強大国がいなければ統一朝鮮が核を放棄する可能性は極めて少ない。

核を保有した統一朝鮮は、日本にとって大きな軍事的脅威であるとともに、国内外に日本の核武装を巡る議論が巻き起こり、国論が二分される可能性が極めて大きい。

現時点においては、日本政府には朝鮮半島からすべての核兵器(核弾頭・弾道ミサイル)の破棄をトランプ政権に頼るしかすべがない。しかし、トランプ政権の閣僚の辞任・罷免が後を絶たずその政権運営は不安定である。

このため、トランプ政権が北朝鮮の核武装容認を前提とした対話に転じる可能性や日本の同意なしで先制攻撃に踏み切る可能性も否定できない。

それゆえ、日本は米国と協力し、時には米国を粘り強く説得し朝鮮半島の「完全かつ検証可能、そして不可逆的な非核化」を求めていく外交を成功させなければならない。

今まさに日本外交の真価が問われているのである。

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『米中貿易戦争の主戦場は「胃袋」と「ハイテク」 屈服させたい米国、切り札残す中国、日本は漁夫の利を』(3/28日経ビジネスオンライン 福島香織)、『いよいよ「対決」の時代に、米中関係が歴史的変化 対中政策専門家、ロバート・サター氏が語る中国の本当の狙い』(3/28JBプレス 古森義久)について

3/29看中国<美中貿易戰,誰是始作俑者?(圖)=米中貿易戦は誰が最初に仕掛けたのか?>

中国の華春瑩報道官は「国際貿易はルールに則るべきで、強権に依るべきではない」と。中国の役人が言うには「米国が騒いで、中国に強権を以て譲歩を迫ろうとしている」と。これは本当か?当然違う。中国はWTO加入以来、重要な約束をずっと守って来なかった。今の米中両国の貿易戦争を齎したのは中国と言える。特に技術移転と知財の問題で約束を果たさなかった。他国の開発した技術やアイデアを剽窃したので悪名を轟かせた。米・商務省は昨年のメーカー調べで「中国は中方との合弁企業設立と技術移転を要求し、そうすれば市場参入できる」としたことを明らかにした。

米国が昨年出した301条報告に依れば、中国がどうしても米国企業に技術移転を迫るのは、中国がWTO加盟時に約束した透明性と公平性に対する違反である。笑えるのは中国は2010年8月に財務部も商務部もWTO加盟時の約束は既に達成したと発表し、2011年の貿易白書に公表した。これは道理に合わない。中国は自分達は頭が良いのが大事と思って、道を拓き、謀は隠し、工夫10年で世界経済二位の地位を得た。これがトランプの懲支の高関税の基本的背景である。米国だけでなく、欧州、日本も中国はWTOの約束を守っていないと思っているし、中国を市場経済国として認めていない。

李克強は中国へ参入希望の米企業への条件を緩めると発言して、水面下で話し合いを進めている。貿易戦争が始まれば、勝者はいなくなる。但し、中国の民族主義的かつ盲目的な愛国主義の下では、米国の要求に抵抗を続け、貿易戦争になってしまう。大きな過ちである。

https://m.secretchina.com/news/b5/2018/03/29/854071.html

中国人を信用するから痛い目に遭うのです。何時も言っていますように「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という民族ですので。上述の文章でも自分達は頭が良いと思っている=世界を騙し続けられてきたではないかという自信が読み取れます。ですから小生はいつも騙される方が悪いと思っています。特に中国人と朝鮮半島人には。昔、会社勤めしていた時に、中国駐在から帰国後、中国の実態を話したら信用して貰えず、「国粋主義者」だの「人種差別主義者」とか言われました。そう言った人は小生の基準で言えば、「バカの壁を作り、空きめくらになっている馬鹿」、中国人の基準から言っても「馬鹿」になります。流石に今でしたら小生が言ったことは理解されるでしょうけど。民族差別でも何でもない、ありのままを伝えても、条件反射的に「人種差別」と思うのは洗脳が過ぎているとしか思えません。自分が体験したこと以外は受け入れない、左翼が刷り込んで来た既成概念を疑うことを知らない人は正しい判断ができなくなると思っています。

福島氏の記事で、トランプは選挙対策だけでなく長期的な貿易戦争を視野に入れているというのはその通りだと思います。田村秀男氏が言うように中国の軍拡原資は対米輸出にあるというのをトランプは理解して貿易戦争を仕掛けているのだろうと思います。「一帯一路」やサラ金紛いの貸し付けで他国領土を蹂躙し、国際法違反の人工島建設、WTO違反等、自己中で阿漕なやり方を世界にやってきました。世界が文句を言わない方がおかしい。でも中国は各国の要人をハニーか賄賂漬けにして文句を言わせないで来ました。賄賂を貰わなかったトランプだから戦えるのです。これがヒラリーだったらクリントン財団へ寄付が行われ、中国の言いなりになったでしょう。世界にとって首の皮一枚で悪の共産主義支配から逃れられたと思っています。

古森氏記事は、サター教授の言うように日本は米国と言うか自由民主主義国家を後押しするように動いて行かなければ。憲法改正、スパイ防止法、自衛隊法の改正等自由民主主義国家では当たり前の法整備をして国際社会に貢献していかなければ。共産主義が世界に蔓延するのを防ぐのは大事な使命と思います。

福島記事

3月22日、トランプ米大統領は中国への高関税措置に署名した(写真:UPI/アフロ)

今週、中国人の間に動揺が広がったニュースは、米国が「最低でも500億ドルの対中関税引き上げ」を宣言し、それに対して中国が報復措置を発表したこと。いよいよ米中貿易戦争の開戦の狼煙があがった、という声も聞かれる。これは中国人の経済活動と暮らしに直接大きな影響を与えるだけでなく、おそらくは世界をも巻き込む。この煙の無い戦の行方はどうなるのだろう。

戦争はしたくないが、恐れない

多くの保守系論者は、トランプ政権の措置に、中国の涙目を期待しているのかもしれないが、実際のところは、どうなのだろう。中国はいずれこの展開となることをかなり前から予測しており、何度も切り札は、中国側にある、と主張している。

だが、今回発表された報復措置は、どうも生ぬるい。それとも、むしろ“喧嘩”を仕掛けられた、“被害者”顔をすることで、米国内のアンチトランプ派や国際世論を味方につける機会としたい、ということだろうか。人民日報は、商務部長の鐘山が3月25日にポールソン基金会主席のポールソン(元財政長官)に語った「中国側は貿易戦争をしたくない。貿易戦争に勝者はないからだ。しかし、中国は貿易戦争を恐れてはいない」という言葉を見出しにとっている。戦争を仕掛けてきたのは米国であり、中国は仕方なく応戦するが、これに伴って引き起こされる世界への負の影響はすべて米国のせいだ、と言いたいようだ。

流れを簡単にさらっておくと、米東海岸時間の3月22日にトランプは大統領令に署名し、通商法301条を発動、中国の知財権侵害に対する報復措置として、米通商代表部(USTR)に約500億ドル、最大で600億ドルに及ぶ中国製品に対する高額関税賦課を指示した。これに対し、中国も23日、報復計画を発表した。中国製鉄鋼・アルミ製品の輸入制限(通商拡大法232条に基づく)が発表された際に、報復措置を保留にしていた中国が対応を発表した、ということで、これをもって“米中開戦”と見る向きが多い。

昨年夏からのUSTRの調査によって、中国との合弁企業が中国サイドから技術供与を強要されている実態などが明らかになっていた。対象は宇宙航空関連製品などハイテク製品が中心で、中国製品の輸入総額5000億ドルの1割以上になるという。また、一部中国企業の対米投資に対しても制限を設けることにした。

中国商務部が発表した報復措置計画は、第一部計画としては鉄鋼パイプ、果物、ドライフルーツ、ワインなど120品目に対しては15%の追加関税をかけ、第二部計画としては豚肉、リサイクルアルミなど8品目に対して25%の追加関税をかける、というもの。米国は通商拡大法232条に基づいて“国家安全”を理由に輸入鉄鋼製品・アルミ製品に対して25%、10%の追加関税をかけるとしているが、これに対しては中国側はWTOの規定に従って対応する、としている。

切り札の大豆やEVは後回しに

ただ、この追加関税は総額にしてもわずか30億ドル規模であり、米国の600億ドル規模への報復というにはずいぶんと軽い、ともいえる。これは米国の対中輸出総額1300億ドルの2%あまりだ。なので、フィナンシャルタイムズなどは、中国側は対米貿易制裁に斟酌を加えている、と論評している。

本気で米国に報復するならば、大豆やトウモロコシ、高粱など家畜飼料、航空機などへの関税を引き上げる方が効果的だろう。実際、中国の前財務部長である楼継偉は、今回の報復措置を“軟弱”と批判し「私ならまず、大豆、次に自動車、そしてボーイングを叩く」と上海で開催された「中国発展ハイレベルフォーラム2018」の席上でほえた。

誰もが内心そう思うはずなので、中国はわざと切り札を後回しにして、米国の出方、本気度を見定める作戦なのだろうか。

米国産の大豆の3分の1、およそ140億ドル相当を中国が買い占めている。中国が大豆輸入を制限すれば、米国大豆農家への打撃は相当なものである。また米電気自動車メーカー・テスラは上海に巨大工場を建設して、来る世界最大のEV大市場に打って出る計画なので、EV車部品、電池なども大きな影響力をもつ。

航空機分野も然り、中国は2015年にボーイング社へ380億ドル分の航空機300機を発注している。ウォールストリートジャーナルは「中国側は強い切り札を手の内にしたまま、米国との貿易戦争での話し合いの余地を残した」と、中国側のじらし作戦という見方で報じている。だから、米国の出方次第では、次に大豆が報復関税措置を受ける。米国農業界は気が気ではない、という。

もう一つの見方は、米国が高関税をかけようとする中国製品は、安価であるから大量に輸入しているのであって、決して米国内で製造することができないものではないが、中国が米国から輸入している農産物やハイテク製品は、中国国内で生産、製造しきれないから必然的に輸入に頼らざるを得ないものであり、そう簡単に高関税をかけて輸入を削減するわけにはいかない、というものだ。

中でも大豆は、中国の家畜飼料および食用油原料だ。その輸入量減少や価格上昇は中国庶民の胃袋を直撃する。中国には未だ飢餓の苦しみを記憶に残す人がおり、食品物価の上昇は日本人が想像する以上の社会不満の暴発の引き金になりうる。中国も慎重にならざるを得ない。もっとも、米国の安すぎる大豆が中国大豆農業を破壊したのだ、という恨みがあり、また南米とロシアの大豆があれば中国の食糧市場から米国産大豆を駆逐できる、という予測もあって、米国の態度が軟化せねば、最終的には中国側は大豆カードを切る、と見られている。

中国の豚肉と食用油物価が上昇しても、米国だって日常生活品が高騰する。お互い肉をえぐり、歯を抜きあうような痛みに耐えるのが貿易戦争なのである。忍耐力なら中国人の方がある、と言いたいわけだ。しかも、この戦争は米国から仕掛けてきており、中国は貿易戦争も一気に応じずに、大豆やEV車や航空機を後回しにするなど、“米国に斟酌”して見せた。もし、中国社会に食品物価高騰の恨みが渦巻いても、その矛先は米国に向かうはず、という中国側の計算もあるかもしれない。

外圧を利用して胃袋を取り返す

もう一つは、航空機などは米国に製造できて中国ではまだ製造できない領域かもしれないが、少なくともハイテク製品の世界最大の市場は中国であり続けることは間違いないので、中国側の方に余裕がある、という見方。中国市場で米国製品が締め出されても、米国産業界は生き残っていけるのだろうか。

中国は確かに、胃袋という生存にかかわるところを米国に依存しているのだが、習近平政権は、この状態を良しとしていない。食糧不足はいずれ中国の発展における深刻な足かせになるが、食糧安全保障にかかわる部分を戦略的ライバル国家に握られたままでいいわけがない。中国自身が大豆の米国依存から脱却したいのだ。だからむしろ、米国から貿易戦争を仕掛けられることは、外圧を利用して中国国内の食糧対米依存度を大きく軽減するチャンスということもいえる。

もちろん、食品物価上昇という痛みは被るが、独裁国家は庶民の痛みを気にする必要はあまりない。選挙がないのだから、世論の圧力で政権が交代するということはまずない。心配すべきは社会動乱だが、今のところ、庶民が被るこの痛みの原因は、米国が作ったのだ、という宣伝をうまく行えば、むしろ反米感情で国内の不満のガス抜きができるやもしれない。

ところで、米国経済も相当の痛みを被る貿易戦争を米国側がこのタイミングで仕掛けたことの意味は何だろうか。単に、来る中間選挙で支持基盤の製造業労働者票を固めるためだけだろうか。だが、米国の株価は急落を続け、米国大手マスコミ世論も国際世論もトランプに手厳しい。必ずしも選挙にプラスばかりというわけでもなかろう。

おそらく、米国の中間選挙とからむ理由だけではなく、この“戦争”はもっと本質的な問題をはらむのではないか。

コバルトはアフリカで爆買い

たとえば、「ハイテク技術国家の覇権争い」という問題である。多くの人には、中国は安価で労働集約型の製品を米国に輸出し、米国は中国に製造できないハイテク製品を輸出している、というイメージが刷り込まれているが、実際、今回の関税引き上げ対象は中国製のハイテク製品・部品で、米国の主張ではそれは“知財権を侵害したことにより中国が製造できるようになった”ものである。

実のところ、中国はハイテク製品を含め、かつて製造できなかったものを次々と製造できるようになっている。しかも知財権侵害か、買収か、いずれにしろアコギなやり方で吸収した技術であるから米国などの先進国よりも安価で製造する。

たとえばリチウム電池。EV車に使われるリチウム電池研究の最先端は米国であり、その産業化においては日本がもともと中国のずっと先を走っていた。だが、2005年以降から中国および韓国の安価なリチウム電池産業が日本の市場を蚕食しはじめた。そして2019年以降に登場する中国の巨大EV車市場を武器に、米国が先頭を走っていたリチウム空気電池研究開発などの分野にまで中国が、あと数歩、というところにまでせまろうとしている。

もちろん基礎研究から始めて追いついてきたのではない。米国のリチウム電池技術研究企業に対する投資、買収によってである。たとえば、中国の自動車部品大手の万向集団は経営破たんした米国A123システムズを2012年に買収し、続いてフィスカー・オートモーティブを買収。続いて固体電解質やイオン材料の研究企業やソリッドパワーなどにも投資を行い、中国におけるEV車生産特許を取得、ステラの牙城を崩さんとする高級EVメーカーを生み出した。

しかも万向A123はゼネラルモーターズ製EV車に搭載される電池も提供することになった。これは米自動車産業の命脈を半分くらい握った、ともいえるかもしれない。ちなみに、リチウム電池の原料となるコバルトの鉱山はアフリカ・コンゴなどに集中しているが、アフリカ諸国を半分植民地化している中国はこうしたコバルトも安値で爆買いし、EV車市場の覇者になる下準備を十分したうえで2019年から政権命令でEV車生産割当の義務化を開始するわけだ。

日本は漁夫の利を見出せ

ろくな基礎研究も行っていない中国企業が巨大市場を武器に先端技術企業を買収し、特定ハイテク分野の覇者となる。こうした例はEV・リチウム電池分野だけでなく、他の先端技術分野でも頻繁に起きている現象であることは、中国の業界紙にも紹介されている。上記のリチウム電池問題についての例は、北極星蓄能ネットに転載されていた業界紙記事を参考にした。市場を握り、産業化の要を握れば、金が集まるし、金があれば技術者が集まる。最先端技術に追いつき追い越すこともよほどたやすい。技術者に対するリスペクトが根本的にない中国では、“白菜を買うように”技術も技術者も買いあげる。それが中国流イノベーションの一つの方法でもある。

今回の米中貿易戦争勃発の本質は、ハイテク技術の覇者の自負がある米国と、市場を武器に特色あるイノベーションで台頭し、次なる覇者の座を狙う中国の、ハイテク技術覇権をかけた戦いの序章、という見方を私はあえてしてみたい。

とすると、トランプ政権の目的は、中間選挙の票集めとか、当面の貿易不均衡是正という狙いだけではなく、それなりの痛みを覚悟して、台頭してきた中国流イノベーションを“屈服させる”という意味での長期的な経済戦争を視野にいれているかもしれない。ハイテク技術はすなわち軍事技術であり、国家の安全に直結する。潜在的ライバル国家・中国に奪われてよいものではないし、中国の技術的台頭を抑え込むならば、まだ完全に追いついてはいない今のうちである、と。

こうした貿易戦争、経済戦争は、おそらく双方が多大な痛みを被るだけでなく、周辺国の経済へのインパクトも大きい。今回の米中の報復関税合戦で、日本の株価は当事国よりも下落した。だが、争いがあれば、巻き込まれて損失を被る場合もあれば、漁夫の利を得る場合もあろう。相変わらず日本のメディアはモリカケ問題でにぎわっているようだが、日本の政治家や官僚たちに神経を割いてほしいのはやはり国内のしょぼい利権問題より、この国際情勢の中で日本がどのようにして損失を最小限に抑え、漁夫の利を見出すかというテーマであろう。

古森記事

中国・北京の人民大会堂で米国のドナルド・トランプ大統領(右)を出迎える中国の習近平国家主席(左、2017年11月8日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / NICOLAS ASFOURI〔AFPBB News

米中関係に歴史的な変化が起きている。ドナルド・トランプ大統領と習近平主席という、両国の歴代の首脳のなかでもきわめて特殊な指導者が率いる世界第1と第2の大国が、正面からぶつかり合う局面が多くなったのだ。両国が対峙するのは、政治、軍事、経済、そして基本的な価値観まで広範な領域に及ぶ。

この現状について、米国歴代政権の国務省や中央情報局(CIA)、国家情報会議などで中国政策を30年以上担当したロバート・サター氏(現ジョージ・ワシントン大学教授)に尋ねてみた。

ロバート・サター氏。ハーバード大学での中国研究などで博士号取得、1968年から2001年まで米国政府の中央情報局(CIA)、国務省、国家安全保障会議、国家情報会議などで中国政策を担当した。その後はジョージタウン大学教授を経て、ジョージ・ワシントン大学教授となる。(出所:ジョージ・ワシントン大学)

3月中旬、ワシントンでインタビューに応じたサター氏は、トランプ政権と米国議会が足並みを揃え、中国との協調を基本とするこれまでの関与政策を中止して対中対決政策へと踏み出したことを指摘する。この新政策では、日本との連帯への期待も大きいという。

米中関係が歴史的な変革を迎えた――サター氏の見解を総括すれば、こんな結論といえるだろう。

同氏との一問一答の骨子は次のとおりである。

米国主導の国際秩序に挑戦する中国

――米国の中国に対する態度は現在どういう状態なのですか

ロバート・サター氏「米国の対中政策は歴史的とも呼べる大きな過渡期に入り、変革を迎えました。米中国交樹立以来、米国の歴代政権は『中国との協力分野を増やしていけば、中国は米国に利益をもたらすようになる』という前提に基づく関与政策をとってきました。それがここへきて、関与政策がむしろ米国に害を与えることが明白となったからです。

トランプ政権が最近公表した国家安全保障戦略や国家防衛戦略も、これまでの姿勢を変え、中国を競合相手、修正主義と断じました。中国の国のあり方が米国の価値観に反するとまで明言して、対中政策の中心に対決や警戒を据え始めたのです。米国が政府レベルでこうした厳しい言葉を中国に対して使うことはこれまでありませんでした」

――米国の態度を根本から変えさせた原因はなんでしょうか。

「中国の戦略的な動向や意図の本質が明確になったことです。今回の全国人民代表大会(全人代)でも明らかになったように、中国共産党は、まずアジア太平洋全域で勢力を強め、他国に追従を強いて、米国をアジアから後退させようと意図しています。『中国の夢』というのはグローバルな野望なのです。米国主導の国際秩序に挑戦して、米国の弱体化を図る。中国政府は軍事、経済、政治などあらゆる面で米国を敵視して攻勢をかけています」

──米国側は中国のそうした実態をいまになって分かったというのでしょうか。

「いいえ、米国の国益をすべての面で損なう中国の挑戦が明白になったのはこの1年半ぐらいだといえます。南シナ海での軍事膨張、貿易面での不公正慣行、国際経済開発での中国モデルの推進、国内での独裁の強化など、すべて米国の政策や価値観への挑戦です。私自身は、2009年ごろから中国のこの基本戦略は認識していました。しかしオバマ政権下では、中国との協調こそが米国を利するという政策が相変わらず主体でした」

重要度が高まる日米同盟

――中国の対外戦略の基本は米国敵視だということですか。

「基本はそうだといえます。だが、米国が強く反発すると、中国は攻勢を抑制します。その一方で、最近の習近平主席はロシアのプーチン大統領と緊密に連携し、米国の力を侵食する手段を画策しています。その連携には軍事面も含まれます。

『一帯一路』も中国が企むパワー誇示の一環だといえます。実体のないインフラ建設計画を、いかにも巨大な実効策のように宣伝する。中国政府による対外的な情報戦争であり、プロパガンダなのです」

――では、米国はこれから中国にどう対峙していくのでしょうか。

「米国は総合的な国力を強めて中国を押し返さなければならないでしょう。トランプ政権はそのための措置をすでに取り始めています。米国が本気で押し返せば、中国も慎重になります。そうした強固で新たな対中政策を推進する際は、日米同盟への依存度を高めることになるでしょう。日本の安倍晋三首相は中国の本質をみる点で優れていると思います。トランプ大統領も対中政策の大きな部分を安倍氏から学んでいます。

中国の膨張戦略は、多分に米国が弱くなってきたという認識から発しています。オバマ前政権は中国の膨張を正面から止めようとはしませんでした。中国はそれをよいことにさらに膨張を続けたのです。しかし米国は中国側の認識や真の意図が分かり、中国には対決も辞さずに強硬に立ち向かわねばならないという思考が強くなったのです。この思考はトランプ政権だけでなく議会でも超党派の支持があります」

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『金正恩か金与正、訪中?北朝鮮の「ミャンマー化」を恐れる中国』、『中朝首脳会談、「米韓同盟揺さぶり」で一致 金正恩ともトランプとも組める習近平』(3/27・28 日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

3/28看中国<北京居民區排查僑眷 海外華人恐慌:又要搞運動?(圖)=北京の住民は華僑の一族を調べる 海外の華人は恐れ慌てる また運動が始まるのではと>北京朝暘区の一部で、帰国華僑とその一族・帰国留学生・台湾に親族がいる者について調査し、期限までに登録しろとの上からのお達し。調査項目は、姓名、出生年月、どこへ留學したか、どこの国に行ったか等。ネット民は「文革を思い出させる。海外にいた者は文革時と同じように帽子をかぶされ、自己批判しても、生きるか死ぬか分からない心配がある。今の敏感な時期には警戒を強めなくては」、「50年代に帰国した中国人は、海外での学習歴が明らかになり、10年後の文革を経て、中共より米国・英国・日本・あまつさえソ連にもスパイとして送り込まれた。労働改造所、離婚、自己批判等悲惨なることこの上ない」、「また、殺人運動が始まるのか?」「中共主席閣下は外国籍なので、大衆を調べる必要はないのでは」と。

https://www.secretchina.com/news/b5/2018/03/28/853952.html

3/29看中国<搶先召見金正恩 學者:北京曝一大隱憂(圖)=先手を打って金正恩と会見 学者は北京が心配していたことを晒したと>習が金と会談したのは、米朝会談時に中国が関与できないことを避けるため。FTは金の訪中は中国のリーダーの心配を軽減するためと報道。国際関係専門家の時殷弘はロシアメデイアに「最近になって朝鮮半島は劇的な変化が起きた。実際北京は蹴とばされてきたと言える。金正恩はこのところ朝鮮と韓国・米国の関係を改善しようと努力し、戦争の可能性はあるが、大幅に減った。北京は目の前の核危機事務以外は除外されている」と語った。韓国の金宰春大学教授は「朝鮮は米国と近づくことができたとしても、金正恩は北京との関係修復は必要である」と。自由時報は「金は中国が制裁に加わったのが不満で中朝関係は冷たくなっていたが、食糧や経済援助の問題と米朝会談の後ろ盾になってほしいのがあって、会った」と。米国シンクタンクのステインソンの孫韻は「トランプ・金会談が始まる前に、朝鮮半島の命運を決める交渉時に中国が関係を持つために金を呼んだ。もし交渉結果が朝鮮半島統一となれば、米国の朝鮮半島への影響力は拡大し、北京の戦略的利益に反することとなる」と。外界は米朝で対話が進めば、中国は北のカードを失ったと思う。米学者の章家敦は「依然として中国は朝鮮をコントロールできる能力を持つ。ただ以前にはその能力を使おうとは思わなかった。北京が米朝対話の行方が中国に不利になるのではと心配して、金の説明を聞くために北京に呼んだ、北京は文在寅とトランプとの会談前に北京に来て説明せよと警告した」と。韓国の朝鮮大学院大学の楊武仁教授は「習金会談の主目的はこのところの中朝関係の緊張緩和であり、中国は朝鮮半島に影響力を行使したいと思っている。朝鮮は経済的支持と孤立化を避けるため中国との関係を修復したいと思っていた」と。政治評論家の夏小強は「米国の強力な制裁に朝鮮は遭い、5月のトランプ・金会談は退路が断たれた。もし会談が決裂したら、金は致命的な打撃を受ける。それで北京を政権維持の為の支援者であり、米国との交渉の道具・切り札として使おうとしている」と。

https://www.secretchina.com/news/b5/2018/03/29/854046.html

3/29日経朝刊<中朝和解 圧力路線に試練 北朝鮮「段階的に非核化」 米、軍事行動は難しく

【北京=永井央紀、ソウル=峯岸博】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長による25~28日の電撃的な訪中は、冷え込んでいた中朝両国の和解を印象づけた。中国が後ろ盾として存在感を強めれば、米国は軍事行動を取りにくくなる。北朝鮮は「段階的な非核化」の意思を示したが、時間稼ぎに終わる懸念もくすぶる。中朝関係の改善で、日米が主導する圧力路線も後退しかねず、北朝鮮の非核化への道筋は一段と複雑になった。(関連記事総合1、国際1面に)

北京の人民大会堂で記念撮影に臨む金夫妻(左側)と習夫妻=新華社・共同

「両国の歴代指導者が築き上げた貴重な財産だ」。習近平(シー・ジンピン)国家主席は会談の場で中朝関係をこう持ち上げた。金正恩氏を厚遇で出迎え、帰路に就く27日には、習氏自ら、妻の彭麗媛氏とともに見送った。中国国営メディアが流した中朝首脳会談(総合2面きょうのことば)の映像は、中朝の蜜月復活を演出した。

中朝の突然の和解は、なぜもたらされたのか。トランプ政権誕生後、朝鮮半島情勢を動かしてきたのは、米国の「軍事オプション」の存在だった。最大限の圧力をかけつつ、北朝鮮が非核化に応じなければ攻撃も辞さない――と威嚇してきた。

実際、金正恩氏を訪中に駆り立てたのは、米国の軍事的手段の行使が現実味を帯びてきたからだ。中朝関係筋によると、首脳会談に向けた調整が始まったのは2017年末。再三の訪中提案に見向きもしなかった北朝鮮が唐突に前向き姿勢に転じた。トランプ米大統領が対話重視派のティラーソン国務長官を更迭すると噂され始めた時期だ。

年明け以降、北朝鮮は韓国の仲介で5月の米朝首脳会談に道筋をつけたが、会談が失敗に終われば「米国は軍事行動に移る」との見方は強かった。3月にはポンペオ米中央情報局(CIA)長官がティラーソン氏の後任に、ボルトン元国連大使が安全保障担当の大統領補佐官に決定。幹部に対北強硬派が並んだ。

金正恩氏も危機感を強めたようだ。3月下旬、中国共産党で対北外交を担う中央対外連絡部の実務者が秘密裏に訪朝。金正恩氏の訪中の最終調整だったという。

中朝会談が示したのは中国の北朝鮮寄りの姿勢だ。仮に米朝首脳会談が不首尾に終わっても中国が米国の軍事行動に反対するのは必至だ。中朝和解で米国の先制攻撃の可能性は以前より低くなり、圧力路線の効力が弱まる恐れもある。

会談では非核化を段階的に進めるべきだとの北朝鮮の考えが改めて示された。核放棄に向けて一歩進むごとに支援を取りつける「行動対行動」という主張について、中朝関係筋は「米国と韓国は次の首脳会談で適切な見返りを提示する必要がある」と解説。見返りに制裁緩和や敵視政策を求める構えだ。中国が今後、6カ国協議などの枠組みでの対話を働きかければ、北朝鮮が協議を核・ミサイル開発の「時間稼ぎ」に使う懸念も強い。

北朝鮮が中国に続き、ロシアと首脳会談をする可能性も取り沙汰される。実現すれば、日本が孤立する印象は否めず、日本人拉致問題などを巡る日本の北朝鮮への交渉力も弱まりかねない。北朝鮮包囲網づくりの動きを弱めないためにも日本は米韓と密に連携することがますます重要となる。>(以上)

3/28宮崎正弘氏メルマガ<金正恩の特別列車、次は必ずモスクワへ向かう 中韓米のバランスをとるため、一方のプーチンも状況の攪乱が大好き>

http://melma.com/backnumber_45206_6663179/

看中国の記事は、習が米朝で朝鮮半島の行く末を決められるのを恐れて金を呼んだと睨んでいます。勿論、金にもメリットがあるから言ったわけですが。でも金は習に北の存在を高く売りつけることができたという事です。若造にしては「やるな」と言う感じです。やはり、命が懸っているだけあって切迫感が違います。

中朝首脳会談が実現して益々金は核を手放すことはないのでは。ここは鈴置氏がいろんな見方をしていますが諦めないと思います。朝鮮の核ミサイルが 中国全土に届いたとしても、中国は来るべき米中戦争を睨んで北のカードを利用するのではないかと思います。先行き北と韓国を中国に組み入れれば、核は手に入りますので。

宮崎氏や日経の言うように、金がロシアも巻き込むとしたら、米国が中露の反対を押し切ってまで、北に戦争を仕掛けられるかどうかです。ただ、ロシアも理由はあったにせよウクライナ侵攻をしましたから、戦争の可能性がゼロとは言えません。ポンペオ、ボルトンですから。中国も米軍が本格的に攻撃すれば手は出せないと思います。「斬首作戦」は無いでしょうが。核施設を狙い、小型核のバンカーバスターで攻撃、日本にミサイルが飛んでくることも覚悟すべきです。それより在日のテロの方が怖いと言われていますが。

また中国がこの隙に尖閣を取りに来るかもしれません。防備をしっかりしませんと。今回の天皇・皇后両陛下の与那国島訪問は台湾(島から台湾が見える)への思いの表れと言う人もいますが、それだけでなく「国境防備に力を入れよ」の思いがあったのではと推測します。与那国から尖閣は150Kmでジェット機で6分で着くそうです。 石垣が170Kmですから。「海ゆかば」は万葉集にある大伴家持が作った詩です。日本を守る防人の一員としての気持ちを謳ったものと思われます。

日本の採るべき現実的な対策は核武装しかありません。鈴置氏記事にあるように、米朝首脳会談で「朝鮮半島」の非核化」=在韓米軍の撤退をトランプは約束するかもしれません。韓国切り捨てです。まあ、金三胖が約束を守ることはないでしょう。朝鮮半島人の宿痾ですから。中国人の「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」の上を行く「息をするように嘘を言う民族」です。北の核を認めるということになればNPT体制は崩壊します。日本が持って悪いという論理にはならないでしょう。ただ左翼に洗脳された国民が多いので、米国と密約を交わし、核の秘密基地(中国と朝鮮半島に届くだけの)を米軍基地内において日本が自由に使える契約とすれば良いでしょう。日本の保有米国債で核ミサイル代を払えば良いと考えます。中・朝が核で日本に降伏を迫った時に明らかにすれば良いと思います。

3/27記事

北朝鮮の要人が訪中か。北京は厳戒態勢(写真:AFP/アフロ)

前回から読む)

3月26日、金正恩(キム・ジョンウン)委員長か、その妹の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長が訪中した模様だ。

お召列車に乗れるのは一家だけ

鈴置:北朝鮮の特別列車が同日午後、中国遼寧省・丹東を経由し、北京に到着しました。人民大会堂周辺は「元首級を迎える」特別な警戒態勢が敷かれました(日経・電子版「北朝鮮要人が訪中か」参照)

3月27日午前までに中国、北朝鮮のいずれの政府もこうした動きについて何の説明もしていません。しかしこの特別列車は北朝鮮の歴代の最高指導者が訪中あるいは訪露する際に使うものです。「お召列車」なのです。乗っているのは金正恩委員長か金与正・第1副部長の可能性が極めて大きい。

金与正氏は平昌(ピョンチャン)冬季五輪の参観を名目に訪韓しています(「北より先に韓国に『鼻血作戦』を発動する米国」参照)。兄、金正恩委員長からの信頼は相当に篤いと思われます。

蚊帳の外の中国

—兄か妹か分からないにせよ、金ファミリーの訪中の目的は何でしょう?

鈴置:4月末に予定される南北首脳会談と、5月末に開催とされる米朝首脳会談を控え、中国に意図を説明するためでしょう。

中国は北朝鮮が一気に米国側に寝返るのではないか、と恐れています。「ミャンマー化」です。中国共産党の英文対外宣伝紙「Global Times」が米朝首脳会談に露骨な警戒感を表明していました。

3月18日の「Nothing should come between China and North Korea」です。

この記事は冒頭で「北朝鮮の核問題を巡り韓国と米国、日本のメディアが国際世論の流れを作るようになった」と主張。

さらに「中朝両国にとって重要なのは、核問題に関して意見の違いはあっても良好な関係を維持することであり、韓米日のメディアの影響力を断ち切ることである」と訴えました。

The North Korean nuclear crisis has placed Pyongyang under the spotlight of global public opinion, which is basically dominated by information from South Korean, Japanese and Western media.

For China and North Korea, the major tests are how to keep the right balance between their divergences over the nuclear issue, how to maintain friendly ties between Beijing and Pyongyang and how to avoid the influence of South Korean, Japanese or Western media.

要は「南北」「米朝」の両首脳会談の開催が決まるなど、朝鮮半島が激変し始めた。しかるに中国は完全に蚊帳の外にいる。中国にとってこれはまずい、との主張です。

ただ「我が国は外交的にのけ者にされている」と露骨に書けば、中国共産党批判になってしまう。そこで「中国以外の国のメディアの影響力が増した」とオブラートに包んだと思われます。

クリントンを招待した金正日

—「中朝の結束」が大事、という主張ですね。

鈴置:最後の部分で再びそれを強調しました。ただ、それだけでは説得力が薄いと考えたのでしょう。北朝鮮に対し「中国なしで韓米日に対抗できないぞ」と脅しました。

For North Korea, it would be difficult and dangerous to cope with Seoul, Washington and Tokyo all alone. China’s support can defuse many risks.

北朝鮮の対話攻勢に関し、日本や米国では核武装を完成するための時間稼ぎ、といった見方が多い。さらに韓国の保守は「時間稼ぎを幇助する韓国は米国から目の敵にされる」と危機感を増しています(「『文在寅の仲人口』を危ぶむ韓国の保守」参照)。

しかし中国では「米朝首脳会談を期に北朝鮮が一気に米国側に鞍替えする」との警戒感が高まっているのです。

2000年10月、当時の指導者、金正日(キム・ジョンイル)総書記がクリントン(Bill Clinton)米大統領を平壌(ピョンヤン)に招待したことがありました(日経・電子版「北朝鮮と米国の対話、20年前の既視感」参照)。

1994年、米朝は核問題で対立し戦争の瀬戸際まで行きました。が、1999年9月にミサイル発射の中断と引き換えに対北制裁を解除するという妥協が成立。その後は米国が食糧援助に乗り出す一方、北朝鮮は米国の大統領を招待するに至ったのです。

米朝蜜月を日中で阻止

—クリントン大統領は訪朝しませんでした。

鈴置:さすがに米国内で、大統領の北朝鮮訪問には反対の声があがったからです。クリントン政権はオルブライト(Madeleine Albright)国務長官を訪朝させるに留めました。

この時の中国の態度が面白いものでした。現在と同様に、公式には米朝対話を大歓迎しました。でも、日本の朝鮮半島専門家に対し「米朝が手を握ることは中国と日本にとって望ましいことではない。中・日が協力して阻止すべきではないか」と持ちかけてきたのです。

中国にとって米国の影響力が韓国だけではなく、朝鮮半島全体に及ぶのは何としても避けたかったのです。親米国家が中国と国境を接することになりますからね。

中国は外交巧者と言われます。しかし、周辺の小国に対してはしばしば見くびって失敗します。完全に手なずけていたはずのミャンマーにも逃げられ、米国側に走られました。

2010年11月、ミャンマー政府が民主化運動の指導者、アウンサン・スーチー(Aung San Suu Kyi)氏の軟禁を解いたのがきっかけでした。

もちろん、米国と水面下で交渉した結果でした。これを期にミャンマーは米国や日本との関係を正常化したうえ、外国からの投資も本格化しました。

中国は国境を接するミャンマーを「失った」のです。このころ、米国の次のターゲットは北朝鮮だ、との見方も浮かびました(「次は北朝鮮に触手? 米国、中国包囲網づくりへ全力」参照)

米中が勢力圏を巡り争い始めた、との認識が定着したからでもあります。中国指導部としては「ミャンマーの悪夢」を繰り返すわけにはいかないのです。

先制攻撃を主張する大統領補佐官

—では北朝鮮側に、中国の希望に応じて最高指導部を訪中させる必要があるのでしょうか。

鈴置:あります。北朝鮮も米国に騙されるのではないかと疑心暗鬼に陥っているはずです(「『文在寅の仲人口』を危ぶむ韓国の保守」参照)。

米朝首脳会談でトランプ(Donald Trump)大統領が「核・ミサイルを直ちに廃棄せよ」と迫る。拒否したり、しなくとも時間稼ぎに出れば、それを名分に米国が北朝鮮を先制攻撃するかもしれないのです。

ことに3月22日、トランプ大統領は国家安全保障問題担当の大統領補佐官にボルトン(John Bolton)元国連大使を指名しました。同氏は北朝鮮の核が「差し迫った脅威」であると主張し、先制攻撃を主張しています。

2月28日にWSJに寄稿した「The Legal Case for Striking North Korea First」でも先制攻撃の正当性を説いています。最後の1文が以下です。

It is perfectly legitimate for the United States to respond to the current “necessity” posed by North Korea’s nuclear weapons by striking first.

米国は「何をするか分からない国」になりました。そんな米国に向き合う北朝鮮は「中国の後ろ盾」が欲しくなるのです。

(次回に続く)

3/28記事

金正恩委員長は3月25―28日、中国を訪問し、習近平国家主席と会談した(写真:新華社/アフロ)

前回から読む)

金正恩(キム・ジョンウン)委員長が3月25―28日に中国を訪問し、習近平国家主席と会談した。

「朝鮮半島の非核化」で一致

—特別列車に乗っていた北朝鮮の要人は金正恩氏であったことが判明しました。

鈴置:3月28日朝、新華社が報じました。最高指導者に就任して初の外遊です。習近平主席と会談したとも伝えました(日経・電子版「訪中の要人は金正恩氏 習主席と会談 新華社報道」参照)。

人民網(中国語版)の「習近平同金正恩挙行会談」(3月28日)によると会談で、習近平主席は「朝鮮半島の非核化」を強調。これに対し金正恩委員長も「朝鮮半島の非核化は金日成主席と金正日総書記の遺訓であり、我々の常に変わらぬ立場である」と答えました。

「北朝鮮の非核化」ではなく「朝鮮半島の非核化」で一致して見せたのがポイントです。後者は北朝鮮だけではなく韓国の非核化も意味します。

まずは在韓米軍撤収

—韓国に核兵器は存在するのですか?

鈴置:しません。韓国は核兵器を持たず、米国も1988年前後に戦術核を韓国から撤収済みです。しかし韓国は米国の戦略核で守られている。米国の核の傘に入っているのです。

北朝鮮はここを突いて「不公平だ。米国の核の傘もやめよ」――つまり「米韓同盟も廃棄せよ」と主張してきました。米朝首脳会談でもそう要求するでしょう(「『文在寅の仲人口』を危ぶむ韓国の保守」参照)。

なお、中朝間にも軍事同盟は結ばれてはいますが形骸化しており、北朝鮮は中国の核の傘に期待できません。

話をまとめますと、中朝首脳会談で朝鮮半島の非核化に一致した――つまり、中朝がスクラムを組んで米国に対し、韓国との同盟を破棄するよう要求することを決めたのです。

—米韓同盟の廃棄は簡単に実現するのですか?

鈴置:容易ではありません。とりあえずは在韓米軍の縮小、次は撤収、最後に同盟破棄といったシナリオを中朝は描いているでしょう。

在韓米軍が撤収するだけでも中朝にとっては大きな福音です。戦争が始まれば1時間以内に北京や平壌を攻撃可能な米国の空軍基地が韓国から消えてなくなるのですから。

中国軍が北朝鮮に侵攻

—米国や韓国が飲むのでしょうか。

鈴置:北朝鮮が本当に核を放棄するなら、在韓米軍の撤収くらいは受け入れるかもしれません。米国では、経済力の伸長が著しい韓国に米国の陸空軍を配備しておく必要があるのかとの疑問が高まっています。

ことにトランプ(Donald Trump)大統領は選挙戦の最中から「駐留経費をちゃんと支払わないのなら、韓国や日本から軍を撤収する」と主張しています(「トランプとオバマの間で惑う朴槿恵」参照)。

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領も米軍撤収に反対しないと思われます。この政権は「米韓同盟こそが民族の内部対立の元凶だ」と考える左派の集団です(「『米帝と戦え』と文在寅を焚きつけた習近平」参照)。

米国との同盟を破棄すべきだ、と堂々と主張する青瓦台(韓国大統領府)の高官も登場しました(「『米韓同盟破棄』を青瓦台高官が語り始めた」参照)。

大状況から言えば、朝鮮半島の非核化――つまり、北朝鮮の核武装放棄と在韓米軍撤収の交換は十分に起こり得るのです。

—近未来小説『朝鮮半島201Z年』の展開ですね。

鈴置:朝鮮半島を巡る各国の思惑と実力を組み合わせると、そういう予想になります。

ただ現実には、本当に北朝鮮が核を放棄するか、信用できないから話が進まないのです。『朝鮮半島201Z年』でも人民解放軍が北朝鮮に侵攻し、実力で核を取り上げるという筋立てにしました。

ワラにもすがる金正恩

—北朝鮮が核の放棄を約束しても誰も信じない……。

鈴置:これまで何度も騙してきましたからね。そこで今度は中国の保証を取り付けて米朝首脳会談に臨む作戦でしょう。

トランプ大統領に「核武装を放棄しろ」と言われれば「そうする」と金正恩委員長は答える。横からボルトン(John Bolton)大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が「証拠を見せろ」と迫れば「核関連施設に中国の査察を受け入れる。中国なら信用できるだろう」と言い返す。

—トランプ政権はそれで納得するでしょうか。

鈴置:納得しないでしょうが、時間稼ぎにはなる。

—「時間稼ぎ」を許すでしょうか、米国は。

鈴置:新たに大統領補佐官に就任したボルトン氏も、国務長官に指名されたポンペオ(Mike Pompeo)氏も北朝鮮の手口は知りつくしています。容易には騙されないでしょう。

そもそも北朝鮮が時間稼ぎに利用してきた6カ国協議も、中国が主導しました。中国も「時間稼ぎ」の共犯者なのです。

中国を巻き込んだ「朝鮮半島の非核化」で米国を騙せるとの自信は北朝鮮にもないでしょう。軍事的な圧迫と経済制裁が強化される中で、最後のカードを切ったということと思います。ワラにもすがる気持ちで。

メンツを保った習近平

—中国は米国が「時間稼ぎするな」と怒り出してもいいのでしょうか。

鈴置:別段、中国は困らないでしょう。北朝鮮が「朝鮮半島の非核化」で共闘してくれ、と頼んできたからそれを受け入れた。金正恩が頭を下げてきたのですから、まずは自分のメンツも保てた。

前回紹介した「Global Times」の記事が指摘したように、中国は外交ゲームで外されたと見なされていた。それが突然、すべての動きの黒幕であるかのように振る舞えるようになったのです。

米国が「時間稼ぎ」に怒り出しても中国に損はない。米国は北朝鮮を先制攻撃するか、あるいは金正恩暗殺を実行するでしょう。ただ、北朝鮮に地上軍を本格的に派遣するつもりはない。

中国は米国の攻撃・暗殺後に人民解放軍を北朝鮮に派遣し、核施設を破壊すればよいのです。米国に協力するわけです。ついでに北朝鮮に傀儡政権を押し立てる。

さらには韓国をも手に入れることが可能です。韓国の左派政権は「北朝鮮の核の脅威がなくなったのだから米国との同盟はもう不要だ」と言い出すでしょう。

米国もそれを期に半島から兵を引く可能性が高い。米軍を失った韓国は、今以上に中国の言いなりになるのは確実です。

トランプも「韓国は中国の一部」

トランプ大統領は、中国が韓国を自らの勢力圏に組み込むことを暗に認めています(「『韓国は中国の一部だった』と言うトランプ」参照)。

2017年4月の習近平主席との会談後、WSJに「彼(習近平主席)は中韓の歴史に話を進めた。北朝鮮だけではなく朝鮮半島全体についてだ。数千年の間……多くの戦争があった。そして韓国は事実上、中国の一部であったのだ」と語っています。原文は以下です。

He then went into the history of China and Korea. Not North Korea, Korea. And you know, you’re talking about thousands of years …and many wars. And Korea actually used to be a part of China.

「中国が北朝鮮の非核化に協力するなら、引き換えに韓国を渡す」という習近平主席との約束を、メディアを通じて担保したと受け止められました。

中国はどちらに転んでもいいのです。米朝が野合しない限りは。北朝鮮と組んで米国を騙せるなら、在韓米軍の撤収を実現できる。騙すことに失敗したら、今度は実力で北朝鮮の非核化に協力すればいい。やはり在韓米軍の撤収を実現できる。

どう転ぼうが北も南も――朝鮮半島全体が中国の傘下に入ることを期待できるのです。

(次回に続く)

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『中国と日本の女性は一体どちらが幸せなのか?お互いに相手の国が「うらやましい」、でも現実は・・・』(3/23JBプレス 山田珠世)について

3/25 Framk Lu氏のfacebook投稿

前東独国民は自分の档案(共産党が国民につける内申書)を調べることが許される

結果は明らかかつ容易に分かる。100万人以上の人が閲覧申請、自分の档案にシュタージ(秘密警察)の書き込みがあるかを見たがった。50万人近くがこの手の資料を見ることができた。その資料の中を見ると、古い日記を読んで自己の再発見をしたような気になる。而も人々の目を通した自分である。人々とは同僚、同級生、隣近所、友人、身内、一番親密である配偶者まで。それである学者は仕事を失った。同業者をタレこみ、その同業者が失業する羽目になった。ある人は隣人の監視の為引越しを迫られ、ある人はパートナーがシュタージ関係者で自分を監獄に入れた本人であるため離婚した。また自殺した人は両親が自分達を当局に売ったのを知ったから、そのときより関係は断絶したが。

共産主義社会は密告&監視社会です。例外はありません。為政者たちが独裁者になれば、敵対者の存在を許すはずがありません。これは東独の例ですが、中共はもっと進んだ方法で国民を監視しています。

3/26宮崎正弘氏メルマガ<中国の顔面認識ソフトはすさまじい技術進歩を遂げている   「デジタル・レーニン主義国家」は国民をハイテクで管理しはじめた>顔面認識は中国語で“面部识别””人脸识别”“人脸认证”になろうかと。警察官のサングラスが一瞬にして犯罪者(政治犯を含む)を識別できるというのであれば、政府を批判できる人間はいなくなるでしょう。言論弾圧のツールとして使われます。言論の自由のない社会が中共の統治する中国です。こういう国が世界征服を狙っている訳ですから恐ろしいことこの上ない。日本国民もいい加減左翼・リベラルに洗脳されるのを止めないと。彼らが中共みたいな社会と言うか中国の属国に日本をしようとしていることに気付きませんと。モリカケで野党やメデイアの言い分を信じて内閣支持率を落とすようでは敵の手に乗ってしまっているとしか言えません。

http://melma.com/backnumber_45206_6662270/

山田氏の記事で、もしインタビューを受けた日本人女性に上述の話をすれば結果は全然変わってくるでしょうし、またこれは中国メデイアによる中国人男性が日本人女性にもてているというプロパガンダ記事でしょう。記事の最後に「誰かをうらやむのではなく、自分の心の中にある思いを大切にしながら、自分が良しとする方法で幸せの絶対的な価値観を持ち続けられたらいいと思う。」と纏めていますが、別に日中両国の話ではなく、日本人同士でも当てはまることです。JBプレスの読者に何を伝えたかったのか。やはり、福島香織、有本香、河添恵子氏とは違った印象です。

どうせなら山内昌之氏の『歴史家の展望鏡』(P.207~208)の「幕末水戸藩を精緻に描く」(朝井まかて『恋歌』の書評)に出て来るような女性を書いてほしいと思いました。「どれほど過酷な運命に翻弄され牢番の嗜虐的仕打ちに遭っても誇りを失わず毅然とした姿を見せる水戸の女たちを、江戸の町家育ちの登世は尊敬を込めていとおしげに回顧する。この筆致は、やはり女流作家ならではのセンスというほかない。他方、牢内での下級藩士や徳育の欠けた小者ら縁辺の女性の卑しい所行にも目を逸らさず、どの人間も土壇場で見せる醜悪な一面を精緻に描くのだ。

夫を失い知己の悲劇もその目で見た登世は、水戸藩の陰惨な党争(天狗党と諸生党のこと)と復讐の応酬にどうピリオドを打つべきなのか苦悩し、解決策に思いを募らせる」と。

記事

中国の伝統的な結婚式の様子(2016年4月30日撮影、資料写真)。(c)CNS/李慧宇 〔AFPBB News

中国メディアで先ごろ、「中国の女性と日本の女性は一体どちらの方が幸せなのか」をテーマにした女性筆者のコラムが掲載された。

コラムの筆者によると、昨年(2017年)のクリスマスに家族と日本を旅行した際、バスの中で現地ガイドが、ある日本のテレビ番組が行った街頭インタビューの話をしてくれたそうだ。インタビューでは、日本の女性を対象に「中国、フランス、日本、ドイツ、ロシアの中で結婚するならどの国の男性がいいか」と質問。すると意外にも、70%以上が「中国の男性がいい」と回答したという。

番組ではその理由のまとめとして、

1.中国の男性と結婚すると、男性側の両親が住む家を用意してくれる。
2.子どもが生まれると、一般的には夫の両親が孫の世話をしてくれる。
3.中国の男性は家事を手伝ってくれるし、子どもの面倒もみてくれる。

の3点を挙げたそうだ。

確かに、私が住む上海の友人ら見ても、ほぼ2点は当てはまっている。

日本の女性の方が「好きなことができる」?

ところが、旅行客の中に「私は、日本の女性の方がうらやましい」と反論した女性がいた。

この女性は「日本の女性は、若いときは専業主婦で、仕事と家庭の両立を図る必要はない。年をとれば自分の面倒を見るだけでよくて、好きなことができるし、子どもの世話をする必要もない。住宅ローンは頭金ゼロだから、安心して専業主婦をしていられる(住宅ローンのために働かなくていい)。どちらが幸せなのかなんて、分からない」と分析したという。

さらに記事の筆者も、

1.中国人男性はマザコン男が多い
2.切っても切れない面倒な嫁姑問題
3.未亡人であるかのような婚姻関係(夫が家庭を顧みない結婚生活を指す)

が中国の女性の悩みの種と主張。「両親が経済的に支援はしてくれるものの、1から10まで生活に干渉してくる。子どもの面倒は見てくれるけれど、中国には安心して家で母親の仕事ができる土壌と環境がないから仕方がない。男性が子どもの面倒を見るのは、ただ“いい父親”を装っているだけ。子どもの世話を2時間してくれたら、逆に私の仕事が1日分増える」と嘆く。

そして「中国の女性に選択権があるのなら、多くの人が、親に干渉されず、自分のことは自分でできる、そして誰にも邪魔されない、夫婦の役割が明確な家庭生活を選ぶと思う」と言い切った。

知らないから「うらやましい」

では、中国の女性は日本の女性の現実を知っているのか? 答えは「ノー」だ。

私は今でもよく、中国の友人らに「日本の女性は結婚したら家庭に入って、専業主婦をするんでしょ?」と当然のように言われる。中国での日本の既婚女性に対するイメージはまさに“専業主婦”。現代の日本の家庭では共働きが約6割と言われる現実を、中国の女性はほとんど知らない。

日本は女性が結婚して子どもを産むと、仕事を続けたくても続けにくい社会だ。子どもを産んで、泣く泣く仕事を辞める決断をした女性も少なくないだろう。

仕事を続ける選択をしても、死ぬほど忙しい毎日が待っている。また保育園に入園できるかどうか、送り迎えはどうする、子どもが熱を出したときは・・・など問題は山積みで、中国のように両親が同居していなくても孫の面倒をみてくれるというありがたい状況をうらやましいと思う人は多いに違いない。

仕事をしながら家事をして、さらに子供の面倒もほぼ女性が見る。日本で“ワンオペ育児”という言葉を耳にするようになって久しい。日本でも子育てに協力的な男性が増えているのは確かだが、やはり圧倒的に女性の負担が大きい。

中国の友人らにこれらの現状を話すと、「自分には無理」という答えが返ってくる。そう、中国の女性は恵まれているのだ。

女性が働き続けられる環境

なによりも、中国には、女性が働き続けることのできる環境が整っている。家政婦さんを雇うのも一般的で、両親が手助けできなくても家事や子どもの世話を家政婦さんに任せることができる。

我が家も長男が生まれたときから家政婦さんのお世話になっている。私自身もフルタイムで働いているとはいえ、日本で同じように働きながら子育てをしている友人らには「天国だ」とうらやましがられる。中国は子育ての環境的に大変なことが山ほどあるが、日本のワーキングママと比べると、楽をさせてもらっているのも事実だ。

また、中国の女性は日本の女性のように「家事をしっかりしなければ」という強迫観念も抱えていない。朝食は子どもと外で一緒にとる人もいれば、おじいちゃんおばあちゃんが用意する家庭もある。

最近はデリバリーが普及しているので、夕飯をデリバリーで済ませるのも一般的。家事はすべてどちらかの両親に任せきりでも、これが良い妻、または良い母親の定義に反するわけでもない。

もちろん、料理が好きで、凝った食事を作ったり、お菓子を作ったりする女性も少なくはない。ただとにかく人それぞれだし、合理的。料理が好きな人は作るし、好きでない人や時間がない人は作らなくても誰も何も言わない。食事を作ることや家事をすることが女性の義務という意識はない。

イメージと現実は違うもの

ただ、日本では「男性は家事や子育てに協力的」というイメージの中国も、中国の女性の友人らによると「現実は全然違う」。「夫は家では何もしない。家事をする上海人男性はすでに“絶滅危惧種”」と声をそろえて嘆く。

彼女らに言わせると、昔ながらの進んで家事を手伝う男性はひと昔前の世代。一人っ子世代である「80後(1980年代生まれ)」以降の男性は、子どものころから両親が何でもやってくれるのに慣れていて、大人になっても家では全く動かない。

家に帰るとゲームするかテレビを見るか、そしてパソコンを見るか。子どもの面倒を見るのも、宿題を見てやるのも私の仕事。逆にいない方がまし――などと言う声も聞こえてくる。

さらに両方の両親が孫まで甘やかすのだという。おじいちゃんおばあちゃん4人が至れり尽くせりで面倒を見てくれるのはいいが、子どもの教育に良くないと嫌がる友人も少なくない。

自分で選んだ人生を大切に

中国と日本の女性はきっとお互いに「あなたたちは誤解をしている」と思っている。そしてお互いの現実を知らないから、相手をうらやましいと思うのだ。

冒頭のコラムの筆者も「おもしろいことに、自分がどんなに嫌だと思う生活でも、うらやましいと思う人がいる。結婚生活というものは、誰もが自分と違う立場の人をうらやましく思うものだ」と結論づける。そして「これは結婚生活だけでなく、人生についても同じことが言える。このように考えると、他人の生活をうらやむのは本当に愚かなことだ。短所と長所は隣り合わせにあるもの。あなたは、日本人女性の生活と今の生活、どちらを選びますか?」と問いかけている。

そもそも幸せを比較するから間違ってしまう。選択肢は少ないかもしれないし、思い通りになることの方が少ないかもしれない。それでも人はみな、限られた選択肢の中、自分で今の生活を選んで生きている。

同じ国の女性同士でも、環境が異なると自分の基準も変わる。専業主婦とワーキングママ。きっとどちらにもたくさんの言い分があるだろう。

国が異なる中国と日本の女性ならなおさらだ。誰かをうらやむのではなく、自分の心の中にある思いを大切にしながら、自分が良しとする方法で幸せの絶対的な価値観を持ち続けられたらいいと思う。

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『李明博で逮捕4人目、韓国大統領が悲惨な末路を辿る理由』(3/26ダイヤモンド・オンライン 武藤正敏)について

3/26デイリー・アップル<【祕訪影片】傳金正恩今抵中國祕訪 北京封路交通癱瘓=【秘密訪問映画】伝えられるところによると金正恩は本日中国入りし秘密訪問した 北京の道路は封鎖され交通は麻痺韓国メデイアのデイリーNK日本語版に依れば、26日に金正恩は北京に入った。微信(チャット)に依れば26日8時に遼寧省の葫蘆島市を陸路で進み、北京行きの列車に乗り換えたとのこと。

https://tw.news.appledaily.com/international/realtime/20180326/1322639

3/26日テレ<“北の列車”北京到着か 要人乗る可能性も>

http://www.news24.jp/articles/2018/03/26/10388940.html

3/27ヤフーニュース<北朝鮮の金氏が中国を電撃訪問、期間や会談相手は不明-関係者 ブルームバーグ>

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180327-81104041-bloom_st-bus_all

中国が金を呼びつけたのか、金が懇願したのかは分かりません。習が会うかどうかすらも分からず、2/12金永南と面会した韓正止まりかもしれません。ただ今回の目的は4月末の南北首脳会談、5月までのトランプ会談を意識してのことは間違いありません。そうなると独裁者の習が出て来ないと決められません。中国もトランプが中国封じ込めの動きをしてきているのを睨んで、北を利用し、北に裏切らないことの念押しをする意味もあるのでは。そうなると、北の核・ICBM放棄はなくなるかも。トランプはロシア外交官を60人も追放して、北・中・露を同時に敵に回して戦うつもりなのか?北を攻撃した時の中露の出方も考えておかないと。中国は米国の北攻撃と同時に尖閣に手を出してくるかもしれません。防衛省は戦闘の可能性が高まったと思って準備しておいてほしい。

武藤氏の記事を読みますと、大統領の逮捕は4人目とか。自分達が選んだ国家元首が収賄で逮捕される国柄というのでは笑われるでしょう。民主主義ではなく愚民主義と言い換えた方が良いのでは。大体ロウソク民主主義で朴槿恵大統領を下野させたことを誇るようでは選挙とは何なのか考えたことがあるのかと聞きたい。国民情緒を優先する社会は扇動に弱く、合理的な判断をお留守にします。

李明博大統領が野田総理に「慰安婦に暖かい言葉を」と頼んで断られたから反日になり、竹島に上陸と言うのもできすぎた話しで、元々反日だったのがきっかけを探していただけでしょう。在日出身であるだけに、日本を嫌っていたのでは。そもそもいつもゴールポストを動かす韓国は野田総理が応えたからと言って次から次へと要請を繰り出すだけです。2015年慰安婦合意もそうなりつつあります。約束を守れない国、それが韓国であります。保守派であろうと反日に変わりはありません。

報復が当り前の社会というのは心を貧しくします。僻み・妬み・嫉みの世界でしょう。そう言う人を立派な人とは言わないでしょう。その上韓国民は息をするように平気で嘘をつきます。こういう人を普通は友達にはしません。日本にとって韓国はいくら地政学的な問題があっても、裏切る可能性があるので付き合わない方が良いと思います。「朱に交われば赤くなる」し、「悪貨は良貨を駆逐する」です。

文在寅大統領の言い分を韓国メデイアも批判ができないというのであれば、プーチンと変わらないのでは。道理で文在寅大統領の支持率が70%も行くわけです。日本では左翼メデイアが連日のように安倍総理の批判に明け暮れ、言論の自由は守られているというか、それを左翼が利用している構図です。北と米国が戦争になるかもしれないのに、左翼メデイアの跳梁跋扈を許している国民もどうかと思います。

記事

収賄容疑などで逮捕された韓国の李明博元大統領(写真中央) Photo:ユニフォトプレス

韓国の李明博元大統領が収賄や背任などの疑いで逮捕

3月23日の深夜、李明博元大統領が、収賄、背任、脱税、職権乱用などの容疑で逮捕された。大統領在任中に、国家情報院に特別活動費を上納させたほか、李元大統領が実質的な所有者と言われる自動車部品会社を通じて多額の秘密資金を作り、さらに訴訟費用をサムスン電子に負担させた見返りに、サムスンの李健熙会長に恩赦を与えた疑いが持たれている。

李元大統領の収賄額は、110億ウォン(約11億円)、生み出した秘密資金は350億ウォン(約35億円)に上るとされる。逮捕状請求に対する審問は22日に行われる予定だったが、李元大統領が出席を拒否したため、書類審査のみで審問が行われ逮捕状が発付された。

今回の逮捕に関し、李元大統領は逮捕前、「政治報復である」と批判していた。確かに、文在寅大統領の盟友だった盧武鉉元大統領が、収賄などの容疑で取り調べを受けた後に自殺しており、それに対する「報復」だったのではないかとの見方が根強くある。

その真偽は不明だが、いずれにしても韓国の大統領経験者の末路は、何とも悲惨なものだ。李元大統領の逮捕は、2017年3月の朴槿恵・前大統領に次ぐものであり、全斗煥、盧泰愚の両元大統領を加えると、これで4人目である。

虐げられていた人たちが一斉に反抗に転じるから

逮捕されなくても、前述した盧元大統領は、取り調べ後に自殺したし、朴正熙元大統領は暗殺、李承晩、崔圭夏の両元大統領はデモやクーデターを受けて退陣、そして金泳三、金大中の両元大統領はいずれも息子が逮捕されるなど、不幸な最後にはいとまがない。

なぜ、こんなにも不幸な末路をたどるのか。それは、大統領在任中は絶大な権力を持ち、誰もこれに背くことはないが、いったん権力の座から離れれば、それまで虐げられてきた人たちが、一斉に反抗に転じるからだ。

韓国には、朝鮮王朝時代から「三族を滅す」という言葉がある。宰相が変われば、その前任者の父母、兄弟、妻子を抹殺しないと、自分が仕返しを受けるという恐怖心を表した言葉だ。

こうした伝統が、今なお存在するのかは不明だが、近年、保守政権と革新政権が、ほぼ2代10年ごとに入れ替わってきた。政権交代が起きると、それまで政権の中枢にいた人たちは行き場がなくなり、冷や飯を食わされる。そこで、次に政権を奪ったときに仕返ししようということになる。これを繰り返してきたのが、韓国という国なのだ。

今回、李元大統領の逮捕容疑にはサムスンとの関係が問題視されているが、大統領が失脚する際の特徴として、財閥や企業との関係が問われるケースが多い。背景にあるのは、韓国の財閥が、常に政権と密着して活動していることがある。

2月9日から25日まで平昌オリンピックが開催されていたが、歴代政権はこうしたスポーツの競技分野ごとに選手育成のスポンサー役を各財閥に割り振ってきた。また、社会福祉活動を行う際も、財閥にカネを出させ、政府は各財閥の宣伝活動を行うのが中心的な役割だった。

もちろんこうした構造は、財閥側からしても好都合だ。大統領や政界と関係を築いていれば、大きく成長することができるからだ。ただ、大統領が交代すれば状況は一変する。前大統領の失脚とともに、財閥トップも逮捕されるケースが少なくないからだ。先日、韓国ロッテの辛東彬(日本名・重光昭夫)会長が逮捕され、懲役4年の実刑判決を受けたが、李明博政権と強い関係にあったと言われている。

経済人の感覚で政治を行った立志伝中の人物

李元大統領は、一連の疑惑に対して有罪なのか無罪なのか。私はコメントする立場にはないが、少し視点を変えて、私が知っている李元大統領の人物像について簡単に述べてみたい。

李元大統領は日本の大阪生まれで、戦後、韓国に帰国したものの貧しく、アルバイトをしながら高校、大学を卒業した。高麗大学時代は、学生会長を務めて逮捕歴もあったが、朴正熙元大統領に直訴して現代建設に入社。入社当時90人だった従業員を、46歳で会長職を退いたときには10万人を超える企業にまで発展させた。1日に5時間以上寝たことがなく、18時間は働いていたと言われている。

そういう意味で、李元大統領は立志伝中の人物であるとともに、経済人の感覚で政治を行ってきた人とも言える。

李元大統領から直接聞いた話だが、ソウル市長時代、市中心部を流れる小さな清渓川を再開発しようとした。そこには高速道路が通っていたため、当初、地元住民が大反対したという。しかし、再開発によって地価が上昇し、市民が集まることで街の活性化が実現すると説得、結果、住民は大喜びしたという。

また、地下鉄でストライキが実施されようとしたときには、地下鉄公社の幹部たちに運行の練習をさせ、スト中でも継続運転させることでストを収めた。さらに、労働組合との交渉では、自身が関与しなかったにもかかわらず、副市長がまとめた妥結内容を忠実に実行し、市長退任後に労組から感謝状を送られたという。それまでの市長がきちんと実施しなかったことから、労組が驚いたというのだ。こうした感覚は、経済人の感覚そのものだ。

地政学にも日韓関係にも理解

経済人だけに、即断即決で行動も早かった。また海外での活動歴も長く、韓国の置かれた地政学的な状況も、歴代大統領の中では最も理解しており、オバマ米大統領も一目置く存在だったという。

日韓関係の重要性もよく理解していた。李元大統領の兄である李相得・韓日議員連盟会長(当時)は、韓国企業が海外で資源開発やインフラ建設を行う際には、日本企業と協力せよと主張し、これに従わない企業に対しては、自ら説得に当たっていたという。

そんな李元大統領が、2012年8月10日、韓国の大統領として初めて竹島に上陸した。それはなぜだったのか。

実は、韓国の憲法裁判所が、慰安婦問題について日本と交渉しないのは「不作為で憲法違反である」との判決を下したことから、京都で行われた野田佳彦首相(当時)との日韓首脳会談で、「慰安婦に対し温かい言葉をかけてほしい」と懇願した。にもかかわらず、野田首相が応じなかったために、“対日強硬路線”に転じたのだ。

タイミングが悪いことに、それまで日韓の橋渡し役を務めていた、李相得氏が逮捕・収監され、李元大統領を止められる人がいなかった。日本に対し理解を示してきた李元大統領が、竹島の一件以来、「反日」と誤解されるのは残念なことである。

「革新系」に都合のいいように政府の組織改変に乗り出す

今回の李元大統領の逮捕が、「政治報復」か否かは不明だが、今後、文大統領は、どのような政権運営を行っていこうとしているのか。

文大統領が進めている国家権力機構の改編などを見るにつけ、到底、報復や権力闘争の連鎖を食い止めようとしているとは思えず、政府の組織を「革新系」にとって都合のいい形に改編させようとしていることは明らかだ。

2017年6月19日、国家情報院改革のための「国情院改革発展委員会」が設置された。これは、組織の刷新と積弊清算が名目だ。だが、その委員長を務める鄭海亀・前聖公大学教授は、青年時代から左派学者たちと一緒に「韓国政治研究会」で、マルクス・レーニン主義に心酔してきた人物。彼らが決めようとしているのは、これまで国家情報院が握っていた全ての権限を剥奪し、単なる情報収集機関にくら替えするということだ。

このほか、「法務検察改革委員会」「警察改革委員会」「5・18(光州事件)特別調査委員会」「軍積弊清算委員会」などの委員会にも、左派活動家を始め、国家保安法を否定する活動家や、弁護士などを中心に構成されている。

こうした委員会が、何を意図して設けられたか想像に難くない。革新系が、こうした権力機構の圧力にさらされてきたという怒りが根底にあり、権力を奪ってしまおうという狙いがあるのだ。

しかし、韓国では労組を中心に、北朝鮮の影響力がかなり及んでいるというのが定説であり、国家権力機関の改編は、かえって北朝鮮の影響力を強めかねないとの懸念もある。

文大統領を批判することに慎重にならざるを得ない雰囲気

一方、北朝鮮との交渉に関しても懸念されている。

北朝鮮の金正恩労働党委員長との首脳会談が間近に迫り、文大統領はますます “前のめり”姿勢になっている。だが、李元大統領まで逮捕されたとなると、韓国国内では、文大統領を批判することに対し慎重にならざるを得ない空気になっている。

主要マスコミは、対話を行うこと自体については総論賛成だ。ただ、北朝鮮の核ミサイル放棄に対しては懐疑的な見方をしており、今のところ、その交渉の進め方については慎重な対応を求めている。

ただ、韓国の大統領は日本の首相とは違い、国会で叩かれることはない。そこでマスコミも批判を自重するとなれば、大統領をけん制する勢力はなくなる。

李元大統領の逮捕が、金正恩委員長との首脳会談前に行われたことについて、国内の反対を封じようという意図があるのか否かは分からない。しかし、影響があることだけは否定できないだろう。

(元在韓国特命全権大使 武藤正敏)

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『習近平独裁体制で台湾侵攻を視野に入れた中国 台湾での日米台安全保障対話と第1列島線による包囲網づくり』(3/23JBプレス 渡部悦和)について

3/25宮崎正弘氏メルマガ<ジョン・ボルトン新大統領補佐官は「タカ派のなかのタカ派」   この人事は米国の「対中貿易戦争」への宣戦布告に等しいのか>

http://melma.com/backnumber_45206_6661926/

宮崎氏の解説に依れば、ボルトンを満を持して登場させたのではという事です。フリン、ケロッグ、マクマスターとトランプ政権発足して1年チョイで安全保障担当補佐官は4人目です。対中強硬派を最初から入れたかったけど、じわりじわり中国を追い詰める方法を採っているのだと思います。ボルトンは「沖縄基地の一部を台湾に移転させれば良い」と言った人物です。本記事の渡部氏の言う南シナ海・東シナ海の関係国が協力して中国封じ込めのA2/AD作戦を採るためにも移転すれば良いでしょう。また日本でも、陸自の与那国島、石垣島、宮古島、沖縄本島、奄美大島に地対艦誘導弾や地対空ミサイルなどの部隊を配置するのに大賛成です。

宮崎氏は「トランプは考え出したのは、超弩級の発想の転換だった。
北朝鮮を、中国封じ込めの先兵に利用できないだろうか。習近平と金正恩の仲は最悪、平壌が豪語する「全米を射程に入れた核ミサイル」とは、「全中国をカバーできる」という逆の意味がある。

トランプの対中敵視政策は本物である。

その第一弾が米中貿易戦争、つぎは人民元の為替操作非難ではないだろうか。そして中国の次なる報復手段は保有する米国国債の売却、ウォール街へのパニック・ミサイル発射をほのめかすことになるのではないか?」と述べています。本ブログでも何度か北の米側への取り込みについて書いてきました。中国が緩衝国家と思っていたのを敵対国家に仕立てるのです。でもそれには条件があり、非核化と体制保証をセットにせざるを得ないでしょう。サウジのような警察国家、エジプトのような軍事国家とも米国は交流しているのですから、共産主義国(実質金王朝)を存続させるのもやむを得ないのでは。朝鮮人民を虐げることが無いよう指導するしかありません。韓国と統一は経済格差がありできないと思います。

米中が貿易戦争になれば最終局面で金融制裁($を決済通貨として使わせない)まで課せば良いのでは。トランプはこれを狙っていて、段階的にプロセスを踏んでいる気がします。渡部氏は「中国は大きくなりすぎて封じ込めは現実的でない」と言っていますが、金融制裁すれば可能と思います。是非追い込んでほしい。

人民元の為替操作も金融制裁の名目になります。或はWTOから放逐する理由にもなります。力技を発揮しているトランプですからやるかもしれません。米国債の売却は本ブログで何度も言っていますように日本が引き受けすれば良いのでは。

1/11ロイター<アングル:中国の米国債購入事情、「買い控え」は可能か>

https://jp.reuters.com/article/usa-bonds-china-explainer-idJPKBN1F00WL

1/12ライブドアニュース<スティーブン・バノン氏「このままなら米や日本は中国の属国に」>

http://news.livedoor.com/article/detail/14146548/

バノンの見立ては正しいでしょう。小生が何時も言っていますように、中国は世界征服の野望を持っています。渡部氏も本記事で触れています。自由・民主主義・人権・法治のない共産主義に世界を塗り替えようとしています。左翼リベラルが如何に中国の理解を誤導させてきたか。今でもメデイアの報道はフェイクであり、捏造です。彼らの言い分を信じている人はおめでたいというしかないし、中国の野望が実現したときに自分の不明を恥じるのでしょうけど時すでに遅しです。

バノンの言うように日本も自由世界を守る努力をしていきませんと。国内では極左暴力団の取り締まり強化、スパイ防止法の制定、台湾関係法の制定等です。

山内昌之氏著の『歴史家の展望鏡』(書評を纏めたもの)に「日米関係を左右するロビー活動」(P.268~269)にケント・E・ガルダー著『ワシントンの中のアジア—グローバル政治都市での攻防』の書評が載っていました。それには「今の日米関係はワシントンの議会とそれを取り巻くロビー活動で決まる。ロビー活動で使う中国の支出は、2007年から12年の間に3倍以上も増加し、韓国も2倍以上に増加している。日本は民主党政権下で減少する始末」とありました。如何に左翼政党がダメか分かるでしょう。日本もアメリカ国民に日米台の(準)同盟の大切さをもっと訴えていかないと。民主主義国は共産独裁ではありませんから、同盟を維持するのには不断の努力が大切です。

記事

台湾・台北で、独立派によるイベントの様子(2017年10月10日撮影、資料写真)。(c)AFP/Sam YEH〔AFPBB News

台湾での日米台安全保障対話

私は、3月7日から12日まで、台湾シンクタンク(TTT)が主催する「日米台安全保障対話」に招待され参加した。

テーマは、「自由で開かれたインド太平洋戦略」と「台湾の防衛」であったが、改めて認識したのは中華人民共和国(=中国)の脅威であり、台湾防衛の難しさであり、共産党一党独裁の中国の脅威に対し日米台などの民主主義国家が一致団結していかに対処するか、その具体策の必要性であった。

本稿においては、強大化する中国に対処し、民主主義などの基本的な価値観を擁護するための対中国包囲網の構築を提案する。

この対中包囲網は、対中封じ込めが目的ではない。中国の国力は封じ込めが可能なレベルをはるかに超えていて、封じ込めは現実的ではない。

しかし、民主主義国家の包囲網を構築することにより、何とか世界一の強国を目指す中国の覇権主義的な行動を抑止しようとするものだ。

習近平主席の野望

  • 世界一の強国を目指す習近平氏

中国の憲法が改正され、国家主席の2期10年という制限が撤廃され、習近平氏は国家主席としての2期目が終了する2023年以降も国家の最高指導者として君臨することが可能になった。

この憲法改正の軍事的な意味について考えてみたい。

図1は、習近平氏が2017年の第19回党大会で宣言した内容を中心にして「中国の三段階発展戦略」を説明している。

まず、2020年までを第1段階として「軍の機械化と情報化を実現」し、2020年から2035年までを第2段階として「国防と人民解放軍(PLA)の現代化を実現」し、2035年から2050年までを第3段階として「総合国力と国際的影響力において世界の先頭に立つ社会主義現代化強国」を実現することが目標である。

なお、政治的には中国共産党の建党100周年の2021年及び中華人民共和国の建国100周年の2049年が節目の年となる。

図1「中国の三段階発展戦略」

出典:台湾の国防報告を基に筆者が作成

今回の憲法改正は、習近平の長期間の独裁体制を可能にし、自らが設定した三段階発展戦略を自らの手で実現する態勢が出来上がったことを意味する。

そして、習近平の統治が長くなればなるほど、彼が主導しているPLAの改革が進展し、PLAが強大化する可能性が高くなり、我が国にも大きな影響を与えることになる。

中国は習近平独裁体制のもと、自国への自信を深めつつあり、米政府に対してイデオロギー・外交・経済・軍事・科学技術の分野で挑戦する姿勢を強めている。

中国の当面の目標は、世界で最も重要な商業航路である西太平洋における米国の支配に終止符を打つことだ。

そして、中国当局は自国の新たな独裁主義を、中国に適した統治法というだけでなく、欧米の民主主義に代わる世界的な統治モデルとして提唱しようとしている。

  • 台湾統一は、野望実現のために優先順位の高い案件だ

台湾統一問題は、習近平氏の「中華民族の偉大なる復興」という目標実現のために、解決しなければいけない大きな懸案事項だ。

中国当局の台湾に対する介入は、本土の経済成長と連動していて、本土の経済力が大きくなると、台湾の統一はより差し迫ったものになる。

中国当局は、台湾統一の方策を追求しているが、最終的手段として「力による台湾統一」を採用する可能性はある。

しかし、「戦わずして台湾統一」が実現できれば理想的で、そのために習近平の台湾戦略は、様々な分野(経済、政治、軍事、文化、社会、司法)における細部の戦術に具体化されている。

中国当局は当面、台湾に対する「アメとムチ」政策を強化することになる。

いままでも、台湾人や台湾企業を中国本土に誘い込むために、本土の巨大な市場へのアクセスを許容し、台湾人の給料を上げ、台湾人を中国本土の人達と同等に扱うなどの経済的なアメの政策を行ってきた。

しかし、アメの政策が失敗すると、力による台湾の占領に動く可能性がある。

中国の軍事侵攻

私が懸念するのは、中国が世界一の強国を目指す過程において、手頃な相手に対して「短期限定作戦」を行う可能性である。

習近平氏は、2018年1月3日、中部戦区を訪問した際に、「国家防衛にあたっては、苦難も死も恐れてはならない。任務を遂行するために、常に戦備を整えて臨戦態勢を取り、必ず勝利できる強力な精鋭部隊を創設せよ」と過激な演説を実施した。

この演説は、起こり得る可能性のある短期限定作戦を念頭においた可能性がある。

  • 中国の短期限定作戦が起こり得る地域

今後、発生が予想される「短期限定作戦」の舞台は、台湾、インドとの国境付近、朝鮮半島、南シナ海、東シナ海だが、中国は台湾を一番重視している。

PLAの演習における紛争シナリオの80%は台湾紛争だと言われている。習近平主席は、中国共産党結党100周年にあたる2021年までに台湾を占領したいと願っているという噂がある。

また、米国のシンクタンク「Project 2049」の中国・台湾研究者のイアン・イーストン(Ian Easton)は、中国の極秘の作戦計画を基にして中国の台湾進攻をテーマとした「中国の侵略の脅威(The Chinse Invasion Threat)」を出版し話題になっている。

筆者は台湾訪問期間中に、同地のシンクタンクの台湾人研究者と意見交換したが、中国による台湾進攻に対する彼らの危機感は強かった。

次いで、衝突の可能性があるのは、インドとの国境周辺地域(例えばドクラム高地)であり、昨年には両国軍隊が対峙した事件があった。

また、朝鮮半島紛争シナリオもある。北朝鮮の金正恩が核・ミサイル開発を強引に推し進め、米国の脅威になったならば、米国は北朝鮮に対する攻撃を行う可能性がある。その際に米軍とPLAが激突することがあるかもしれない。

また、南シナ海においても「短期限定作戦」の可能性がある。

当然ながら、我が国の尖閣諸島を含む南西諸島でも紛争の可能性があり、現在自衛隊が推進している南西諸島防衛態勢の強化が急務となっている。

  • 日本と台湾は中国の脅威において運命共同体である

日本と台湾は共に、第1列島線の重要な部分を構成する国家であり、有事においてPLAが大西洋に進出する際には、両国が大きな障害となる。

最近、PLAの爆撃機、戦闘機、空母等の艦艇が第1列島線を越えて作戦することが多くなり、その動向は日台共通の関心事項だ。

また、図2を見てもらいたい。中国の弾道ミサイルは日本全域をカバーする能力を有しているが、台湾も同じように中国の弾道ミサイル(SRBMを中心とした1200発以上)によりその脅威下にあり、弾道ミサイル防衛は両国ともに喫緊の課題である。

PLAの台湾進攻は、在沖縄米軍基地などの存在を考慮すると、日本の防衛に直接影響を及ぼすことになる。その意味で、日本と台湾は運命共同体である。

図2「中国の弾道ミサイルの脅威」

出典:CSBA

第1列島線による包囲網の構成

図3を見ていただきたい。第1列島線を日本、台湾、フィリピン、インドネシア、シンガポール、マレーシアまで延伸すると、地政学的に重要な海上交通路の要点(マラッカ海峡、ズンダ海峡など)を含むことになる。

図の赤い部分(チョーク・ポイント)を制するように地上戦力を配置すると、中国に対する包囲網を構成することができ、米軍の作戦は容易になる。

このチョーク・ポイントを利用することにより、米国単独でPLAのA2/AD(接近阻止/領域拒否)に対抗するのではなく、同盟国や友好国と協力することによりPLAのA2/ADに有効に対抗できるようになる。

図3「海上交通路のチョーク・ポイント」

出典:RAND

陸上戦力を配置する最も適した場所が日本の南西諸島である。

陸上自衛隊が与那国島、石垣島、宮古島、沖縄本島、奄美大島にA2/AD部隊(陸自の地対艦誘導弾や地対空ミサイルなどの部隊)を配置することにより、PLAの水上艦艇、潜水艦、航空機のチョーク・ポイント通過を阻止することができる。

自衛隊が南西諸島においてPLAに対するA2/ADを実施することを推奨する。

政治的には難しい点はあるが、PLAに対するA2/ADを実施する場所として南西諸島を核心として、韓国、台湾、フィリピン、インドネシア、マレーシアに拡大できれば、PLAは第1列島線に封じ込められたかたちになる。

第1列島線にA2/AD能力のある陸上戦力を展開することにより、PLAに犠牲を強要し、PLAの戦力の分散を図り、米海軍及び空軍の作戦を容易にし、最終的にはPLAの侵攻を断念させる。

この態勢をPLAに示すことにより抑止を達成するという作戦だ。

これらの作戦は、陸・海・空の統合作戦であり、「Air Land Sea Operation(陸海空作戦)」と表現することもできる。

米海軍と空軍が2010年代に主導したASB(Air Sea Battle)が企図した中国本土の目標に対する打撃ではなく、同盟国の配置部隊(allied disposal forces)は、その致命的な打撃を公海などの公共空間(in the commons)で作戦するPLA部隊に限定して与えることになる。

米国とその同盟国や友好国が適切に部隊を配置し、適切に兵器を装備することは、地図上にラインを引くことになる。

PLAのA2/AD部隊がそのラインを越えたならば、堅固で致命的な抵抗に遭うことになる。接近阻止と領域拒否はPLAの専売特許ではなくて日本をはじめとする米国の同盟国も採用することができるのだ。

「自由で開かれたインド・太平洋戦略」

安倍晋三首相は、2016年8月、「自由で開かれたインド・太平洋戦略(略してインド太平洋戦略)」を発表した。

トランプ大統領も2017年11月のアジア歴訪の際に、安倍首相の戦略を受け入れ、米国としても同戦略を追求していくことを明らかにし、昨年12月に発表された国家安全保障戦略でも同戦略は記述されていて、喜ばしい限りだ。

インド・太平洋戦略は、ルールを基礎とする秩序を維持すること、民主主義などの基本的な価値観を擁護すること、市場経済を基礎とする自由貿易体制を維持すること、質の高いインフラを提供することなどを目指していると私は考えている。

そして、インド・太平洋戦略は、明らかに台頭する覇権主義的な中国を抑止する戦略であるし、細かく言えば中国が主導する一帯一路構想に対抗する戦略でもある。

このインド・太平洋戦略こそ、私が推薦する対中国包囲網である。

日本、米国、オーストラリア、インドを中心とし、他の民主主義国家も含めて中国を包囲する態勢を構築し、同地域における平和と安定を達成しようとするものだ。

台湾は、日米が主導するインド・太平洋戦略に大きな関心を寄せている。台湾に対する中国の脅威を考えれば、彼らの関心の強さは理解できるし、何とかインド・太平洋戦略に台湾を組み込む方策を追求することが必要であろう。

台湾での会議では、災害派遣や人道支援などの分野で台湾などを含めた多国間の枠組み・訓練、沿岸警備隊などの法執行機関による多国間交流・訓練、海・空・サイバー空間・宇宙のドメインの状況に関する情報交換などが提案されていた。

できる分野から逐次協力関係を構築する努力が求められている。

結言

冷戦終結後、多くの民主主義諸国の指導者や学者は、中国とロシアを国際秩序に取り込み責任あるステークホルダーにすることを期待した。しかし、その期待は甘かった。

中国は、民主主義を拒否し、専制的な中国モデルを最上として、他国にも中国モデルを推薦している。

ロシアも米国を中心とする民主主義諸国に敵対意識をあらわにし、米国の民主主義に打撃を与える目的で2016年の米国大統領選挙に大規模に介入し、ロシアが望む結果を得た。

民主主義の盟主である米国は、ドナルド・トランプ大統領のアメリカ・ファーストなどの主張のために、中国やロシアに対して断固として民主主義や自由貿易体制を擁護するという主張を展開し切れていない。

いまや民主主義の危機が世界中で叫ばれ、インド太平洋地域においても、中国やロシアの非民主主義的な振る舞いに対して、民主主義、自由、平等、基本的人権の尊重などの価値観を擁護すべきだという声が上がっている。

その意味で、インド・太平洋戦略は意味があるし、それを軍事的にもアレンジした中国包囲網の構築が重要である。この分野における米国のイニシアティブが特に求められる。

台湾に関連して、トランプ大統領は、米国と台湾の高官の相互訪問と交流を促す「台湾旅行法」に署名し、同法は3月16日に成立した。

この台湾旅行法によると、米国の当局者がいかなる地位にあろうと台湾に渡航し、台湾側の当局者と会談し、その逆も容認する内容だという。

台湾旅行法は、中国の一つの中国政策に挑戦するもので、早速、在米中国大使館は、「強烈な不満と断固たる不満」を表明しているが、米国と台湾にとっては画期的な意義を有する法が成立したことになる。

米中対立が激化する危険性もあるものの、盟主米国が今後とも真面目に中国に対峙することを期待してやまない。

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『元スパイ暗殺未遂はロシアによる「みせしめ」か 相次ぐ変死。英ロの対立に欧米も”参戦”し「新・冷戦」の懸念』(3/23日経ビジネスオンライン 池田元博)について

3/24阿波罗新闻网<在俄被控毒害前间谍事件上 欧盟力挺英国=ロシアの前スパイ毒殺未遂事件でロシアを告発 EUは英国を断固支持>EUは駐モスクワ大使を召喚、リトアニア、ポーランド、デンマークはロシア外交官の追放を検討中で、独・メルケル首相は「我々はこれが我々の共同安全に対する挑戦だと思っている」と述べた。

http://www.aboluowang.com/2018/0324/1089311.html

3/18阿波罗新闻网<俄谍案延烧 英国重启调查14起死亡案件=ロシア元スパイ暗殺未遂事件が延焼 英国は14人の死亡事件を再調査>AFPが伝える所に依れば「米国のBuzzfeedは不審死した14人の死亡について再調査」と報道。CIAもロシアの手に因るのではと疑う。MI5が警察と協力して7人を再調査。①Nikolai Glushkov・・・頸部圧迫死②Boris Berezovsky・・・浴室で首吊り自殺③Alexander Perepilichnyy・・・散歩後路傍で死体発見④Badri Patarkatsishvili・・・心臓病死⑤Gareth Williams・・・浴槽内で袋を被された姿で発見⑥Gareth Williams・・・ヘリコプター事故死⑦Scot Young・・・4階から飛び降り。ベレゾフスキーとニコライ・グルシコフは池田氏記事にも出て来る件です。これだけ不審死が挙げられるのであれば、普通はロシアの関与を疑います。欧米の経済制裁を受けているというのに、プーチンも何を考えているのだか。

http://www.aboluowang.com/2018/0318/1086182.html

欧米がロシアと敵対関係になって一番喜ぶのは中国です。サッカー・ワールドカップ後に欧米とロシアが新冷戦と言うのは相手が違うと言いたい。ロシアと経済制裁は継続しても良いので、中国に対する経済制裁を課さねば。少なくとも南シナ海の侵略問題があることを理由に。そうでなければロシアとバランスが取れません。

記事

ロシア大統領選で再選を決めたプーチン大統領に、早くも外交上の難題がのしかかっている。英国で神経剤を使ったロシア人の元スパイ襲撃事件が起き、英ロ関係が急速に悪化。英国は他の米欧諸国などとも連携し、反ロ包囲網を築こうとしているからだ。

英国で起きたロシア人の元スパイ暗殺未遂事件。メイ英首相は現地を訪問し、ロシアへの対決姿勢を強めている(写真:AFP/アフロ)

「ロシアが関与した可能性が極めて大きい」――。英国のメイ首相は今月12日、在英ロシア人への襲撃事件について「英国への無差別で無謀な攻撃」だと表明した。ロシアのプーチン政権を激しく非難し、即刻、真相究明のための説明を求めた。さらに首相は14日、ロシアから真摯な対応を得られなかったとして、ロシア外交官23人の追放などの制裁措置に直ちに踏み切った。

メイ首相が問題視した事件は、今月4日に英南部のソールズベリーで起きた。ロシア人の男女がショッピングセンター前の野外ベンチで、口から泡を吹き、意識不明の状態で発見された。直ちに病院に搬送されたが、いまだに意識不明の重体。救助に当たった英国人の警官も入院したという。

被害に遭ったロシア人は、セルゲイ・スクリパリ氏(66)と娘のユリアさん(33)と判明した。スクリパリ氏はロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の元大佐だった。ロシアメディアによれば、1999年にGRUを退役し、2003年までは外務省に勤務。その後はビジネスを営んでいたが、ロシア連邦保安庁(FSB)によって2004年末、スパイ容疑で拘束された。モスクワで英外交官と頻繁に接触していたことが問題視された。

スクリパリ氏は逮捕後、1995年からスパイとして英秘密情報部(MI6)に協力し、主に欧州で活動していたGRUの職員や協力者の名前などを提供したと証言。見返りに10万ドルを超える報酬を得ていたと明かした。ロシアでは当時、同じくGRU出身の旧ソ連の大物スパイで、MI6などに機密情報を流して処刑されたオレグ・ペンコフスキーの再来とも言われた。

モスクワの軍事裁判所は2006年、スクリパリ氏に懲役13年の有罪判決を言い渡した。ただし、服役中の2010年にメドベージェフ大統領(当時)によって恩赦を受けた後、米国とのスパイ交換で国外追放となり、同年から政治亡命者として英国に移住していた。

ロシア人外交官23人を国外追放

メイ首相はこの2人が「ノビチョク」と呼ばれる神経剤によって襲撃されたと言明した。ノビチョクは旧ソ連で開発された軍事用の神経剤で、致死性は極めて高いとされる。この種の神経剤はロシア以外で調達することが難しいとの理由から、「ロシアが襲撃事件に直接関与したか、国家による神経剤の管理がずさんだったかのいずれかだ」と首相は断じた。

英国が間髪を入れずに打ち出した対ロ報復の制裁措置は、かなり厳しい内容だった。ロシア人外交官23人の国外追放のほか、閣僚・高官レベルの外交交流の中断、6月に開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会への英王室や政府要人の派遣見送りなどを盛り込んだ。追放対象の23人はいずれも「外交官として英国に駐在していた情報機関員」としている。

英ロ間では昨年末、英国のジョンソン外相が英外相として5年ぶりに訪ロしたばかりだ。年内にはラブロフ外相の訪英が計画されていた。また、サッカーのW杯ロシア大会を巡っては、英王室のヘンリー王子らが応援のために訪ロする予定だった。いずれも見送りになるとみられる。

当然、ロシアは反発した。ラブロフ外相は「無礼千万であり言語道断だ」などと批判。ロシア外務省は17日、英国の駐ロ大使を呼び、「英国による挑発行為とロシアに対する根拠のない非難」に報復措置を講じると表明。モスクワの英大使館に勤務する23人の英外交官の国外追放、サンクトペテルブルクの英総領事館の閉鎖などに踏み切ると伝えた。

ロシアはとくに、英政府が明確な証拠もなしにロシアを非難したほか、神経剤の使用で化学兵器禁止条約に違反したと断じたことに反発している。1993年に調印され、1997年に発効した同条約はあらゆる化学兵器の開発、生産、保有を禁止するとともに、保有国には全廃を義務付けている。プーチン大統領は2017年9月末、「歴史的な出来事」として化学兵器の廃棄を完了したと内外に宣言したばかりだ。それに疑問符が付けられたことに、とくに憤慨している。

英国はロシアへの制裁をさらに強化へ

ロシア側は、英政府が神経剤「ノビチョク」の使用をロシアの仕業とする根拠にしている点にも反論。この神経剤が旧ソ連で開発されたことは認めつつも、国内では全廃済みと主張する。一方で、1990年代半ばに米欧の特殊機関が研究文書を持ち出し、米英やチェコ、スウェーデンなどで研究が続けられたとし、米欧で製造された「ノビチョク」が使用された可能性を示唆している。

互いの主張は真っ向から対立したままだ。仮に英国が断定したようにロシアの仕業だとすれば、祖国を裏切るスパイは決して容赦しないというみせしめなのだろう。プーチン大統領は大統領選を前にインターネットで公開された新作のドキュメンタリー映画「プーチン」の中で、「私は(他人を)許すことはできるが、決して許せないのは裏切りだ」と述べてもいる。ただし、神経剤を使った今回の暗殺未遂事件の真相が明らかになることはまずないだろう。

メイ首相は今後、ロシアにさらなる制裁措置に踏み切る構えを示している。ロシアにことさら厳しい態度で臨むのは、これまでもロシア人の変死事件が英国内で相次いできたからだ。中でも、FSBの元中佐で英国に亡命したアレクサンドル・リトビネンコ氏が2006年、ロンドン市内で放射性物質のポロニウム210を盛られて毒殺された事件は、世界を震撼(しんかん)させた。

リトビネンコ氏は生前、プーチン政権を度々批判し、1999年にモスクワなどで起きたアパート連続爆破事件を、プーチン氏が長官を務めたFSBによる「自作自演」だったと告発したこともある。ちなみにこの爆破事件は、当時首相に就任したばかりのプーチン氏がチェチェン武装勢力の犯行と断定。チェチェンへの大規模な武力攻撃に踏み切り、知名度を上げるきっかけとなった。

英当局はリトビネンコ氏暗殺事件の捜査を半年余り続けたうえで2007年、FSBの前身の旧ソ連国家保安委員会(KGB)の元職員、アンドレイ・ルゴボイ氏の犯行と断定した。同氏は事件の直前にリトビネンコ氏と面会していた。英政府はロシア政府にルゴボイ氏の引き渡しを求めたが、ロシアがこれを拒否したことから、ロシア外交官4人の追放に踏み切った。英ロ関係も長らく冷え込んだ経緯がある。

リトビネンコ氏の暗殺事件をめぐっては、英内務省の公開調査委員会が2016年、ルゴボイ氏らがFSBの指示で暗殺を実行したと断定するとともに、プーチン大統領と当時のFSB長官だったパトルシェフ安全保障会議書記が「恐らく承認した」とする報告書を公表している。この報告書が公表された際、キャメロン内閣で内相を務めていたのがメイ現首相だ。

ロシアと米欧の対決ムードはW杯後に本格化か

ちなみにリトビネンコ氏の毒殺事件は、ロシアでも大きく報じられた。ロシアの独立系世論調査会社のレバダ・センターは折に触れ、「リトビネンコ氏の暗殺にロシアの特殊機関が関与したと思うか」という設問で世論調査を実施している。2016年9月の調査では「そう思う」が28%、「そうは思わない」が36%だった。当のロシア国内でも、FSBの犯行ではないかと疑う人々が相当数いることは留意すべきだろう。

英国ではリトビネンコ氏の後見人で、同じくプーチン政権批判の急先鋒(せんぽう)だったロシアの政商、ボリス・ベレゾフスキー氏が2013年、ロンドン郊外の自宅で死亡しているのが見つかった。警察当局は首つり自殺と判断した。

ところが今月、アエロフロート・ロシア航空の元幹部でベレゾフスキー氏の友人だったニコライ・グルシコフ氏が、ロンドン郊外の自宅で死亡しているのが発見された。警察当局は首を絞められたような跡があることから、今度は殺人事件とみて捜査に乗り出している。メイ首相が疑心を強めるように、英国に亡命したロシア人の変死事件が相次いでいるのは事実だろう。

今後、ロシアにとって大きな痛手となりかねないのは、英国が他の米欧諸国や北大西洋条約機構(NATO)、欧州連合(EU)などに同調を呼びかけ、今回の暗殺未遂事件を欧州全体の安全保障にかかわる深刻な国際問題とし、プーチン政権への攻撃を一気に強めようとしていることだ。

現に英国、米国、ドイツ、フランスの4カ国首脳は15日、「欧州が戦後初めて神経剤で攻撃された」とし、「ロシアに責任がある可能性が非常に高いという英国の分析を共有する」とする共同声明を発表している。

対するプーチン大統領の反応はどうか。再選確定後の記者団との会見で、ロシア大統領選の最中でサッカーのW杯も控えているのに、ロシアが暗殺未遂事件に関与したと疑うのは「全く馬鹿げており、ナンセンスだ」と大統領は述べている。この発言から察すると、6~7月に開くW杯ロシア大会の終了までは、米欧との対決ムードを極度にあおらないよう努める構えのようだ。米欧との「新冷戦」は、W杯後にいよいよ本格化するのかもしれない。

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