岡部氏は中国を良く見過ぎです。経済だけの観点で見るから、限界が生じます。尖閣は石油と言う経済合理性だけで中国が出てきている訳ではありません。平松茂雄氏は数十年前から軍事目的で尖閣に進出してきていると主張してきました。中国の中間線内にあるリグは軍事目的のカモフラージュです。平和ボケした日本人が多いことが、国を滅ぼすようになることを心配します。戦前、朝日新聞等が戦争を煽って、それに乗せられて戦争に邁進したのとは逆に、中共への隷従の道を歩んでいるとしか思えません。片や北朝鮮はSLBMを日本海に向けて発射したとのこと。Ostrich policyがどこまで続けられるかです。頭を砂に突っ込んでいる間に尻を食べられてしまうでしょう。
AIIBの設立は別に米議会が人民元のIMF出資比率増を認めなかったからではありません。米議会の話は言い訳として使っているだけで、世界制覇と言う長期的な戦略のもとに中国は動いています。そこが読み取れないのであれば、オピニオン・リーダーたる資格はないと言ってよいでしょう。まあ、日本の言論人は大体そうですが。お花畑か左翼の手先のどちらかです。
岡部氏は「中国経済の停滞は日本経済の凋落に直結する。すでに定着している日中経済の相互依存をさらに深めるしかない。中国が「経済優先」を鮮明にするなら、協力の可能性も開ける。運営の透明性を高めるため、AIIBに米国とともに参加することだ。日米が参加すれば、AIIBは中国主導ではなくなる。将来は、アジア開発銀行との統合も検討していい。」とか寝言を言っていますが、中国の実態が余りに見えていません。まるでハニーにあったか贈賄を受けた人のようです。中国に善意で臨んでも騙されるのがオチ。いつも言ってますように「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という国柄です。もっとよく中国人の生態を見よと言いたい。利敵行為は止めてほしい。中国に経済制裁を課すか、国連から追放するか(国際法上できるかどうか不明ですが)の瀬戸際だと思うのですが。
記事
ドルへの挑戦をめざす中国の人民元戦略が行き詰まっている。人民元切り下げから1年を経て、元安に歯止めがかからず、通貨防衛のため、自由化を見合わさざるをえなくなっているからだ。それ以上に、南シナ海から東シナ海に及ぶ海洋進出で中国が国際信認を失墜させていることが大きく響いている。信認なくして国際通貨は成り立たない。海洋進出と人民元戦略を連動させようとする習近平政権の思惑は、大きな矛盾に陥っている。
緊張の高まる南シナ海を航行する中国海警局の巡視船。中国が「海洋強国」への軍事戦略に傾斜すれば、中国の経済再生への道は遠くなる。(写真:ロイター/アフロ)
構想は壮大だが
中国の人民元戦略の構想は壮大である。決済通貨から準備通貨へと30年計画で国際通貨化を進め、基軸通貨ドルに対抗しよう構想である。ドル・ユーロ・人民元の3大通貨の時代が到来することを想定している。
人民元は昨年11月に国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の構成通貨となることが決まり、国際通貨として「認知」された。ドル、ユーロ、英ポンド、日本円だけのバスケットだったSDRに人民元が加えられたのは、人民元国際化の象徴と考えられている。さっそく、SDR建て債券市場の育成に乗り出している。
合わせて、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を中国主導で設立した。創設メンバーはアジアや欧州など57カ国で、日米などをのぞく主要国がこぞって参加した。本部は北京で、総裁は中国の金立群・元財務次官。理事は北京に常駐しない。中国が出資の約3割を握り、事実上の拒否権をもつ。中国による中国のための国際機関の色彩が濃い。
習国家主席が構想を打ち上げてわずか2年で実現にこぎつけた。第2次大戦後の米国主導のIMF・世界銀行体制に挑戦状をつきつけるものともいえる。中国がAIIB実現に動いたのは、IMFの出資をめぐって、中国が米国、日本に続く第3位になるはずだったのに、いつまでたっても米議会の承認が得られなかったからだ。業を煮やして、中国主導の国際機関創設に動いたのである。
それは「一帯一路」構想と合わせて、アジアから欧州に続く中華経済圏を形成しようという戦略である。アジアのインフラ投資で鋼材需要を引き出す思惑もある。国際通貨としての人民元の地盤を拡大する戦略でもある。
切り下げで国際化足踏み
その人民元戦略は、しかし中国経済の減速と元安のもとで、足踏みしている。中国は2015年8月11日、人民元切り下げに踏み切った。しかし、中国の成長屈折は鮮明で人民元の下落に歯止めがかからない。そこで中国当局は資本流出を防ぐため人民元売りの監視を強化している。これは、人民元国際化に欠かせない自由化の路線に逆行するものである。
そうでなくとも、国際通貨の条件である資本取引の開放はなかなか進まない。人民元を管理相場から完全変動相場制にするのが中国人民銀行の最終目標だが、当面は通貨防衛のため管理相場化を強めざるをえない状況である。
国際通貨の第1段階である決済通貨化も停滞している。2015年8月にはシェアで日本円を抜き4位(2・79%)に浮上したが、最近は2%以下に低迷し、6位まで低下した。
国家資本主義を維持しながら、人民元を国際通貨に仕立て上げる戦略には、構造的矛盾があるといわざるをえない。
海洋進出で信認失墜
それ以上に、中国はいま海洋進出をめぐって国際的な信認を失っている。信認の失墜が人民元の国際化を阻む。国際通貨の基本的条件は、その国の幅広い信認であるからだ。いま人民元戦略は海洋に沈んでいる。
国連海洋法条約に基づくオランダ・ハーグの国際仲裁裁判所は7月12日、南シナ海での中国の主権を認めないとの判断を下した。中国が主張する独自の境界線「九段線」は国際法上根拠がないと認定した。南シナ海のほぼ全域に主権が及ぶと主張する中国の全面敗訴である。中国が埋め立てを進めた人工島も「島」と呼べないとし、南シナ海への進出そのものに疑問を呈した。
これに対して中国は、仲裁判決は「管轄権を持たず無効だ」と強く反発した。日米など国際社会は判決を順守すべきだと主張したが、中国は「部外者が介入すべきでない」と強硬である。東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国への圧力を強めるありさまである。結局、アジア欧州会議(ASEM)首脳会合が採択した議長声明は、南シナ海について言及されなかった。
南シナ海をめぐる対立は、東シナ海に飛び火する。批判の矛先を日本に求める中国は、沖縄県・尖閣諸島周辺での海警局による挑発行動をエスカレートさせた。
「海洋強国」をめざす一連の海洋進出で、習近平国家主席は中国内で求心力を高めるため強硬姿勢を取らざるをえない状況にある。しかし、国際社会の「法と秩序」を無視する戦略は、国際信認を失うだけだろう。戦中の日本が満州国建設で国際信認を失い孤立した悲惨な歴史に重なるものがある。
信認なしに国際通貨なし
習近平政権は、海洋進出と人民元戦略を連動させようとしている。しかし、そこには覇権主義の構造的矛盾がある。歴史が教えるのは「信認なしに国際通貨なし」である。
それは、圧倒的な覇権国家だった第2次大戦後の米国にさえあてはまる。戦後、世界の国内総生産(GDP)の6割を占めた米国ですら、国際通貨体制を長くは維持できなかった。金・ドル本位による戦後のブレトンウッズ体制が崩壊したのは、ベトナム戦争で米国の信認が揺らいだからだった。
第2のベトナム戦争ともいえるイラク戦争は、その後のリーマンショックという米国発の世界経済危機の導火線になる。ドルの信認は失墜することになる。ベトナム戦争、イラク戦争という「米国の戦争」は、過大な軍事費負担で財政を悪化させ、経済を疲弊させた。オバマ政権がイラクから撤退してはじめて、米国経済は再生し、ドルは信認を回復したのである。
第2の経済大国になったとはいえ、中国に軍事戦略と通貨戦略を連動させるだけの底力はない。「海洋強国」への軍事戦略に傾斜すれば、中国の経済再生への道は遠くなる。
中国経済は成長屈折のなかで苦しい転換期にある。過剰設備を抱える鉄鋼、石炭、石油など国有企業は大規模なリストラを迫られている。雇用悪化から消費の低迷を招く恐れもある。中成長の維持すら難しく、10年後には2-3%の低成長に陥るとの観測すらある。不良債権問題は深刻化し、金融不安を招く恐れもある。にもかかわらず、なお海洋強国をめざせば、中国経済は負の循環に陥りかねない。
対峙より協調を
こうしたなかで日本は米国とともに中国に南シナ海を巡って法の順守を重ねて求めるしかない。尖閣諸島での小競り合いに発展することを防ぐため日中のホットラインを確立することが肝心だ。
同時に、中国に対峙するのではなく、経済で協調することをめざすべきだ。中国経済の停滞は日本経済の凋落に直結する。すでに定着している日中経済の相互依存をさらに深めるしかない。
中国が「経済優先」を鮮明にするなら、協力の可能性も開ける。運営の透明性を高めるため、AIIBに米国とともに参加することだ。日米が参加すれば、AIIBは中国主導ではなくなる。将来は、アジア開発銀行との統合も検討していい。
環太平洋経済連携協定(TPP)の実現は、内向きに傾斜する米大統領選のなかで厳しさを増しているが、日中が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)と統合することで、アジア太平洋の自由貿易圏が形成できる。日米中の融合関係が深まる可能性もある。
中国は9月に杭州で開く9月のG20サミットで正念場を迎える。かたくなに「海洋強国」への強硬姿勢を取るか、「経済優先」に立ち返るかである。人民元が国際通貨になれるかどうかの大きな岐路でもある。
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