『中国経済「完全回復」の大ウソ…国家統計局発表の「怪しい数字」を疑わずに彼の国の実状は見えてこない』(5/10現代ビジネス 朝香豊)について

白内障・緑内障手術のため、今月いっぱいまで中国語・英語の翻訳記事紹介はお休みさせていただきます。

朝香氏の記事では、いつも言っていますように、中国人の基本的発想は「騙すほうが賢く、騙されるほうが馬鹿」と言うもの。基本、中国人は嘘つきです。彼らの言うことを信じる、或いはデータを信じると言う人は、中国人から見ると馬鹿です。

そもそも中国の人口も14億人でなく、10億人と言うのがNewsweekにも載ったくらいです。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/04/1410.php

人口はGDPの成長(労働力の投入)を支える力です。中国の22年GDPは公称181000億$ですが、これに10億/14億(=71%を)掛け合わせると129285億$になります。それでも世界第二位の経済力ですが。

中共は富めば富むほど、軍拡と各国要人への賄賂分配に金を使うようになります。世界覇権を狙っているので、米中がどんな形であれぶつかるのは必然。日本の似非平和主義者の言う一国平和主義は成り立たないのは、フィンランドとスウエーデンのNATO加盟希望で明らか。左翼に騙されてはいけない。

記事

お化粧を施してもなお悪い数字

日本国内では、中国経済について、急激な回復を果たしているという前向きの報道が多い。

例えばブルームバーグは3月1日付で、『中国経済の回復スピード、政府上層部の想定外-関係者』との記事を掲載した。またTBSは、4月28日に開かれた中国共産党政治局会議について、「経済社会は平常な運行に完全に回復した」とし、コロナ禍による落ち込みから立ち直ったとの見方を示したと報じた。

ところで、同会議では「需要は依然として不足しており、経済のレベルアップは新たな抵抗に直面しており、高いレベルの発展を推進するにはまだ多くの困難と挑戦を克服しなければならない」とも報告されている。

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この点についてTBSは、「内部の原動力はまだ強くなく、需要は依然不足している」との表現を使って報じていて、全く触れていないわけではないが、新エネルギー車などの分野を重視すべきとの前向きな対応が検討されていることを伝え、この需要不足をさほど深刻な問題ではないかのように扱っている。

だが、政治局会議の前日の4月27日に中国国家統計局が発表した統計の中には、中国経済が順調な回復をしているとは思えないものも出ている。それは、1月から3月にかけての製造業関連企業の業績についての発表で、前年同期比で、国有企業の利益は16.9%下落、株式企業は20.6%下落、香港、マカオの企業を含む外国企業の利益は24.9%下落などとなっている。

経済が共産党上層部の想定外の力強い回復のもとで、完全に平常運行に戻っているのであれば、こんな状態にはならないのではないだろうか。

そもそも中国国家統計局の発表自体、かなりのお化粧を施したものだと私は思っている。お化粧をしながらもプラス発表ができなかったのは、それがあまりにも中国の一般の人たちの肌感覚とは違いすぎていて、さすがに企業利益がプラス成長したとは言えなかったと考えるほうが正しいと思う。

中国の大学生は「卒業即失業」

国際ジャーナリストの山田敏弘氏は、『中国「空前の就職難」がもうすぐ日本の「経済安保の危機」を招く』という記事の中で、昨年(2022年)の中国の大学卒業生の就職率は、文系学生は12.4%、理系学生は理学系が29.5%、エンジニア系が17.3%だったと伝えている。

今年(2023年)はこの数がさらに低くなるとみられていて、中国のSNSは就職できない学生らの悲痛な声で溢れており、大きな社会問題になりつつあることも紹介している。

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この点では、上海海洋大学の内部会議のものではないかとされる写真が流出し、中国国内で話題になった。それによると、上海市全体の大学の学部生の平均就職率は24.10%で、大学院生の平均就職率は40.66%だという。

上海は経済の中心地であり、中国の中でもレベルの高い大学が多い場所だ。地理的にも就職状況には有利だ。そこにおいてもこの程度の就職率にとどまっているということに着目してもらいたい。

「国家重点大学」に指定され、中国を代表するトップレベル校の一つである復旦大学でも、学部生の64.78%が大学院への進学を選び、21.42%が就職先が見つかったが、13.8%が就職を希望しながらまだ決まっていないとの報道もあった。大学院への進学が多いのは、学部卒段階での就職状況が悪いことが影響している。

ちなみに、上海海洋大学の場合には、学部生の就職率が13.64%、大学院生が17.27%だが、中国全土に約1300の大学がある中で、上海海洋大学は全国ランキング239位だとされている。日本での知名度は高くないが、かなり上位に位置する大学だということがわかるだろう。最近の中国では「卒業即失業」などという言葉が、自嘲気味に語られることも多いのだ。

公式統計によると、2023年の3月の中国の16~24歳の若者の失業率は19.6%に達したとされる。若年失業率は、昨年の12月の18.3%から見ても、さらに1.3%増えていることになっている。実際の数字がこれよりも遥かに悪いのは間違いないだろう。

そもそも中国の失業率統計において、「農民工」と呼ばれる3億人ほどいる出稼ぎ労働者は、計算の対象外だ。都市戸籍を保持している人たちだけを対象にしているとしても、若者の失業率がたった19.6%であるとは考えられない。

国民の約4割が絶対貧困線以下の暮らし

昨年は経済が悪かったにしてもプラス3.0%の経済成長をしたことになっている。中国がこれまで発表してきた数字と比較すれば低いものの、この経済成長率は日本より遥かによい数字だ。

そして今年は5%前後の経済成長をすることを想定している中で、想定外の力強い経済回復を見せていると、公式には発表されている。そうでありながら、昨年と同様、あるいはそれ以上に就職状況が厳しいというのは理解に苦しむ。

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中国経済はもともと国内需要が弱いという弱点を抱えている。世界がインフレに対処するために金利を大幅に引き上げて需要を冷え込ます政策を取っている現状は、輸出によって内需不足を補ってきた中国には厳しい逆風になっている。

中国の著名なエコノミストである李迅雷氏は、2019年の中国国民の可処分収入のGDPに占める割合は44.7%で、アメリカの83.4%と比べると半分ほどしかないことを指摘していた。このように、もともと中国は内需の弱い国なのだ。

中国の内需が弱いことについては、中国の絶対貧困人口が特に多いことも大きな影響を及ぼしているとの指摘もある。

スタンフォード大学フーバー研究所の客員研究員で、インペリアル・カレッジ・ロンドンの客員教授でもある許成鋼氏は、絶対貧困線を1人当たり1日5ドルの生活費だと定義すれば、中国では約5億4千万人が絶対貧困線より下で暮らしていると指摘している。

これは中国国民のほぼ4割が絶対貧困線より下の暮らしを余儀なくさせられていることを意味する。需要不足が雇用を減退させ、失業を深刻化させていることは、中国経済に大きな影を落としている。

「共同富裕」という名の「共同貧乏」路線

習近平体制は常軌を逸したゼロコロナ政策を実施した他、不動産バブルを潰す政策も行い、そのバブル崩壊後の苦しみが今、中国を襲っている。

民営経済は「税収の50%以上、GDPの60%以上、技術革新の70%以上、都市労働雇用の80%以上、企業数の90%以上を占める」と、先ごろ引退した劉鶴副首相はかつて語っていた。

だが「国進民退」とよばれる、国有企業を優遇し民間企業をないがしろにする政策が、習近平体制のもとで行われてきた。これもまた、中国経済に大きな苦しみを与えている。

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「教育を営利事業で行うのはどうかと思う」などという話が出て、学習塾など教育ビジネスが壊滅状態に陥った。「子どもたちをダメにする」として、ゲーム業界にも大きな圧力がかかった。アリババ、テンセントなどのIT系の企業も、大量の情報収集が国家に損害を与えるとして、大打撃を受けた。

中国経済の第一の柱であった不動産業ばかりか、今後の成長産業と目されたIT、教育、娯楽産業でも大量の失業が生み出された。

「民退」が進んだことで、雇用が確保できなくなっただけでなく、民間企業が次々に潰れる事態となり、供給能力にも大きな影響を与えている。さらに輸出企業も海外需要の減退によって大打撃を被っているのだ。

習近平は3月に開かれた全国人民代表大会と政治協商会議の場で、民間企業を大切にする方針を示したが、こうした習近平の方針を、民間企業の経営者は信じてはいないだろう。

習近平はまた「共同富裕」という名の「共同貧乏」路線を採用し、金持ちや有力な民営企業の財産を奪い取る政策を進めてきた。私有財産権を大切にする意味など、習近平はまるで理解できないのだろう。

私有財産権が認められない中で

行方がわからなくなった経営者も数多くいる。アリババの創業者のジャック・マーが、中国の政策のあり方を批判してから数ヶ月の間行方不明になったのは有名な話だ。

他にも、「中国のウォーレンバフェット」とも呼ばれた復星国際の創業者の郭広昌氏、「中国のトランプ」とも呼ばれた不動産王で、歯に衣着せぬ発言を続けてきた任志強氏、「在野の英雄」とも呼ばれ従業員や地域の人たちから熱烈に愛された孫大午氏も消えた。

さらには、中国の新興エネルギー企業である中国華信能源のトップで、ジョー・バイデンの大統領の息子のハンター・バイデン氏との密接な関係を指摘される葉簡明氏、金融コングロマリットとして知られた明天集団を率いてきた肖建華氏、中国を代表する投資銀行である中国華興資本の創設者で会長の包凡氏など、一時的にせよいなくなった経営者は数多くいる。

なお、任志強氏と孫大午氏は懲役18年の刑に、肖建華は懲役13年の処されている。葉簡明氏は行方不明になってからすでに5年が経過した。彼らは私有財産権どころか、人身すら危険にさらされているのだ。

経営者として頭角を現して目立つようになると、どんな難癖をつけられるかわからない状態では、自分の事業を大きくしていこうというインセンティブは働きにくくなる。

中国共産党は現在の経済的苦境を乗り切るために、民間企業、外資企業が活発に動いてくれることを望んでいるが、しかしその一方で、民間企業、外資企業が共産党のコントロールから外れることは絶対に許さない。そしてこのコントロールはどんどん厳しくなっているのである。

中国共産党は海南島を経済特区として、自由貿易港を作るという構想を打ち上げた。しかし、海南島に進出した企業に十全たる私有財産権を認めるかといえば、実は認める方針はない。自由、安全、私有財産権の完全保護を打ち出せないのに、民間企業の進出などあり得るのか。「お付き合い」程度しか望めないと考えるべきだろう。

公式統計の数字を疑わないで中国経済を語ることなどもはやあってはならない話であり、中国政府の思惑に沿ったストーリーで中国経済を見るのもそろそろやめにしなければならない。

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