『戦後、焼野原の日本はこうして財政を立て直した 途方もない金額の負債を清算した2つの方法』(8/15 JBプレス 加谷珪一)について

8/17産経ニュースの報道で

バイデン副大統領「私たちが日本国憲法を書いた。日本は核保有国になり得ない」 トランプ氏の容認論批判、異例の発言

【ワシントン=青木伸行】バイデン米副大統領は15日、ペンシルベニア州で演説し、共和党の大統領候補、ドナルド・トランプ氏を批判する文脈の中で「(日本が)核保有国になり得ないとする日本国憲法を、私たちが書いたことを彼(トランプ氏)は知らないのか」と発言した。

米政府の要人が、日本国憲法を米国が起草したと強調することは異例。バイデン氏は日本などの核保有容認論を展開しているトランプ氏を批判しようと、日本国憲法を持ち出した。

バイデン氏は「(トランプ氏は)学校で習わなかったのか」とも皮肉り、「彼に(大統領として)核兵器発射のコードを知る資格はない」と非難した。

バイデン氏は6月、米公共テレビ(PBS)のインタビューで、中国の習近平国家主席に対し、北朝鮮の核開発を阻止しなければ「日本は一夜のうちに核を開発できる」と語ったことを明らかにしている。>(以上) とありました。

バイデンの説明で間違っているのは「日本国憲法で核を持てなくした」という所です。核保有について国会で何度も首相や内閣法制局長官が「核保有は法的に可能」と答弁しています。あの福田康夫ですら官房長官時代に「法理論的には持てる。持っていけないとの理屈にはならない」と述べています。政策的に「今は持たない」というだけです。でもバイデンがこれだけあからさまに言っても、米国人は何も感じないのですかね。憲法の押付けも原爆投下も明白な国際法違反でしょう。まあ、米国人の傲慢さが露骨に出ただけかもしれませんが。民主党は日本を含めクズが多いです。

左翼リベラルは反米なのに、米国押付け憲法を擁護するのは論理矛盾でしょう。でも彼らは中韓同様、論理を重視しません。基本的にあるのは反日なだけです。そんなに日本が嫌いであれば、中国か韓国のパスポートに切り替えれば良いと思います。日本の方が安全で住みやすいのを知っていますので、「我が身を安全地帯に置いて他人を批判する」卑怯な連中です。なりすましがまぎれ込んでいる可能性もありますが。在日で反日活動をしている輩と一緒に心の祖国に帰って貰った方が良いでしょう。

バイデンが「日本は一夜にして核開発できる」と言うのは買い被りでしょう。トランプの無知を貶めるために使っただけで、実際抑止力として機能するためには核実験せざるを得ないと思います。期間がどの程度になるのか知識がありませんが、NPTを脱退してとなると、下手をすると国連憲章の敵国条項を適用され、再度原爆投下となりかねません。友好国からまず秘密裏に買って入手することだろうと思いますが。そんな芸当ができる政治家は今の日本にはいないでしょう。また相手国と深い関係を結んでないとダメですから。米国が秘密裏に核搭載のSLBMを売るのが良いでしょう。日本の潜水艦の位置はどうせ米軍に捕捉されていると推測していますので(確証はありませんが、日米一体となった防衛であれば、敵と誤認しないためには日本の潜水艦と識別される必要があります。日本がSLBMを他国に転売すれば問題ですが。)

日本国の債務問題は、加谷氏の言う徴税orインフレの他にリストラ(資産売却)があると思います。企業が出血を止めるために行うのは、売り上げ拡大、リストラ(資産売却、人員削減、報酬・賃金カット、借金返済による金利負担軽減(今はマイナス金利ですが、企業が銀行から借りると金利がかかります)、無配当)です。「1000兆円の借金の内、ネットの債務は490兆円、日銀も含めた連結ベースでは、ネット国債は253兆円」と高橋洋一氏は言っています。固定資産は売れないでしょうけど、債券(流動資産)は売れると思います。

2015年12月28日 現代ビジネス 高橋洋一日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした~それどころか…なんと2016年、財政再建は実質完了してしまう!この国のバランスシートを徹底分析

■鳥越俊太郎氏もダマされていた

先週26日(土曜日)、大阪朝日放送の番組「正義のミカタ」に出た。大阪のニュース情報番組だが、東京とは違って、自由な面白さがある。そこで、「日本経済の諸悪の根源はZ」というコーナーをやった。Zとは財務省である。

その中で筆者が強調したのは「借金1000兆円のウソ」である。借金が1000兆円もあるので、増税しないと財政破綻になるという、ほとんどのマスコミが信じている財務省の言い分が正しくないと指摘したのだ。

借金1000兆円、国民一人当たりに直すと800万円になる。みなさん、こんな借金を自分の子や孫に背負わせていいのか。借金を返すためには増税が必要だ。……こんなセリフは誰でも聞いたことがあるだろう。財務省が1980年代の頃から、繰り返してきたものだ。

テレビ番組は時間も少ないので、簡単に話した。「借金1000兆円というが、政府内にある資産を考慮すれば500兆円。政府の関係会社も考慮して連結してみると200兆円になる。これは先進国と比較してもたいした数字ではない」

これに対して、番組内で、ゲストの鳥越俊太郎さんから、「資産といっても処分できないものばかりでしょう」と反論があった。それに対して、多くの資産は金融資産なので換金できる、といった。

筆者がこう言うのを財務省も知っているので、財務省は多くのテレビ関係者に対して、「資産は売れないものばかり」というレクをしている。鳥越さんも直接レクされたかがどうかは定かでないが、財務省の反論を言ってきたのには笑ってしまった。

番組が昼にかかり15分くらいの休憩があった。そのとき、鳥越さんから、「金融資産とは何ですか」と筆者に聞いてきた。「政策投資銀行(旧日本開発銀行)やUR都市機構(旧住都公団)などの特殊法人、独立行政法人に対する貸付金、出資金です」と答えた。それに対して「それらを回収したらどうなるの」とさらに聞かれたので、「民営化か廃止すれば回収ということになるが、それらへの天下りができなくなる」と答えた。

このやりとりを聞いていた他の出演者は、CM中のほうがためになる話が多いといっていた。実際に、番組中で言うつもりだったが、時間の都合でカットせざるを得なくなった部分だ。

借金1000兆円。これは二つの観点から間違っている。

■バランスシートの左側を見てみれば…

第一に、バランスシートの右側の負債しか言っていない。今から20年近く前に、財政投融資のALM(資産負債管理)を行うために、国のバランスシートを作る必要があった。当時、主計局から余計なことをするなと言われながらも、私は財政投融資が抱えていた巨額の金利リスクを解消するために、国のバランスシートを初めて作った。

財政が危ういという、当時の大蔵省の主張はウソだったことはすぐにわかった。ただし、現役の大蔵官僚であったので、対外的に言うことはなかった。

筆者の作った国のバランスシートは、大蔵省だからか「お蔵入り」になったが、世界の趨勢から、その5年くらい後から試案として、10年くらい後から正式版として、財務省も公表せざるを得なくなった。今年3月に、2013年度版国の財務書類が公表されている

http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2013/national/hy2013_gassan.pdf)。

その2013年度末の国のバランスシートを見ると、資産は総計653兆円。そのうち、現預金19兆円、有価証券129兆円、貸付金138兆円、出資66兆円、計352兆円が比較的換金可能な金融資産である。そのほかに、有形固定資産178兆円、運用寄託金105兆円、その他18兆円。

負債は1143兆円。その内訳は、公債856兆円、政府短期証券102兆円、借入金28兆円、これらがいわゆる国の借金で計976兆円。運用寄託金の見合い負債である公的年金預り金112兆円、その他45兆円。ネット国債(負債の総額から資産を引いた額。つまり、1143兆円-653兆円)は490兆円を占める。

先進国と比較して、日本政府のバランスシートの特徴を言えば、政府資産が巨額なことだ。政府資産額としては世界一である。政府資産の中身についても、比較的換金可能な金融資産の割合がきわめて大きいのが特徴的だ。

なお、貸付金や出資金の明細は、国の財務書類に詳しく記されているが、そこが各省の天下り先になっている。実は、財務省所管の貸付先は他省庁に比べて突出して多い。このため、財務省は各省庁の所管法人にも天下れるので、天下りの範囲は他省庁より広い。要するに、「カネを付けるから天下りもよろしく」ということだ。

■財政再建は、実は完了している?

第二の問題点は、政府内の子会社を連結していないことだ。筆者がバランスシートを作成した当時から、単体ベースと連結ベースのものを作っていた。現在も、2013年度版連結財務書類として公表されている。

http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2013/national/hy2013_renketsu.pdf)。

それを見ると、ネット国債は451兆円となっている。単体ベースの490兆円よりは少なくなっている。

ただし、この連結ベースには大きな欠陥がある。日銀が含まれていないのだ。日銀への出資比率は5割を超え、様々な監督権限もあるので、まぎれもなく、日銀は政府の子会社である。

経済学でも、日銀と政府は「広い意味の政府」とまとめて一体のものとして分析している。これを統合政府というが、会計的な観点から言えば、日銀を連結対象としない理由はない。筆者は、日銀を連結対象から除いた理由は知らないが、連結対象として含めた場合のバランスシート作ることはできる。

2013年度末の日銀のバランスシートを見ると、資産は総計241兆円、そのうち国債が198兆円である。負債も241兆円で、そのうち発行銀行券87兆円、当座預金129兆円である。

そこで、日銀も含めた連結ベースでは、ネット国債は253兆円である(2014.3.31末)。

直近ではどうなるだろうか。直近の日銀の営業毎旬報告

https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2015/ac151220.htm/)を見ると、資産として国債328兆円、負債として日銀券96兆円、当座預金248兆円となっている。

直近の政府のバランスシートがわからないので、正確にはいえないが、あえて概数でいえば、日銀も含めた連結ベースのネット国債は150~200兆円程度であろう。そのまま行くと、近い将来には、ネット国債はゼロに近くなるだろう。それに加えて、市中の国債は少なく、資産の裏付けのあるものばかりになるので、ある意味で財政再建が完了したともいえるのだ。

ここで、「日銀券や当座預金も債務だ」という反論が出てくる。これはもちろん債務であるが、国債と違って無利子である。しかも償還期限もない。この点は国債と違って、広い意味の政府の負担を考える際に重要である。

■滑稽すぎる 「日本の財政は破綻する」論

このようにバランスシートで見ると、日銀の量的緩和の意味がはっきりする。

政府と日銀の連結バランスシートを見ると、資産側は変化なし、負債側は国債減、日銀券(政府当座預金を含む)増となる。つまり、量的緩和は、政府と日銀を統合政府で見たとき、負債構成の変化であり、有利子の国債から無利子の日銀券への転換ということだ。

このため、毎年転換分の利子相当の差益が発生する(これをシニョレッジ〔通貨発行益〕という。毎年の差益を現在価値で合算すると量的緩和額になる)。

また、政府からの日銀への利払いはただちに納付金となるので、政府にとって日銀保有分の国債は債務でないのも同然になる。これで、連結ベースの国債額は減少するわけだ。

量的緩和が、政府と日銀の連結バランスシートにおける負債構成の変化で、シニョレッジを稼げるメリットがある。と同時にデメリットもある。それはシニョレッジを大きくすればするほど、インフレになるということだ。だから、デフレの時にはシニョレッジを増やせるが、インフレの時には限界がある。

その限界を決めるのがインフレ目標である。インフレ目標の範囲内であればデメリットはないが、超えるとデメリットになる。

幸いなことに、今のところ、デメリットはなく、実質的な国債が減少している状態だ。

こう考えてみると、財務省が借金1000兆円と言い、「だから消費増税が必要」と国民に迫るのは、前提が間違っているので暴力的な脅しでしかない。実質的に借金は150~200兆円程度、GDP比で30~40%程度だろう。

ちなみに、アメリカ、イギリスで、中央銀行と連結したネット国債をGDP比でみよう。アメリカで80%、65%、イギリスは80%、60%程度である。これを見ると、日本の財政問題が大変ですぐにでも破綻するという意見の滑稽さがわかるだろう。

以上は、バランスシートというストックから見た財政状況であるが、フローから見ても、日本の財政状況はそれほど心配することはないというデータもある。

本コラムの読者であれば、筆者が名目経済成長でプライマリー収支を改善でき、名目経済成長を高めるのはそれほど難しくない、財政再建には増税ではなく経済成長が必要と書いてきたことを覚えているだろう。

その実践として、小泉・第一安倍政権で、増税はしなかったが、プライマリー収支がほぼゼロとなって財政再建できた。これは、増税を主張する財務省にとって触れられたくない事実である。実際、マスコミは財務省の言いなりなので、この事実を指摘する人はまずいない。

さらに、来2016年度の国債発行計画を見ると、新規に市中に出回る国債はほぼなくなることがわかる。これは、財政再建ができた状況とほぼ同じ状況だ。こうした状態で、少しでも国債が市中に出たらどうなるのか。金融機関も一定量の国債投資が必要なので、出回った国債は瞬間蒸発する。つまり、とても国債暴落という状況にならないということだ。

何しろ市中に出回る国債がほとんどないので、「日本の財政が大変なので財政破綻、国債暴落」と言い続けてきた、デタラメな元ディーラー評論家(元というのは使い物にならなかった人たちということ)には厳しい年になるだろう。

■今の国債市場は「品不足」状態

2016年度の国債発行計画(http://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2016/gaiyou151224.pdf)を見ると、総発行額162.2兆円、その内訳は市中消化分152.2兆円、個人向け販売分2兆円、日銀乗換8兆円である。

余談だが、最後の日銀乗換は、多くの識者が禁じ手としている「日銀引受」である。筆者が役人時代、この国債発行計画を担当していたときにもあったし、今でもある。これは、日銀の保有国債の償還分40兆円程度まで引受可能であるが、市中枠が減少するため、民間金融機関が国債を欲しいとして、日銀乗換分を少なめにしているはずだ。

要するに、今の国債市場は、国債の品不足なのだ。カレンダーベース市中発行額は147兆円であるが、短国25兆円を除くと、122兆円しかない。ここで、日銀の買いオペは新規80兆円、償還分40兆円なので、合計で120兆円。となると、市中消化分は、最終的にはほぼ日銀が買い尽くすことになる。

民間金融機関は、国債投資から貸付に向かわざるを得ない。これは日本経済にとっては望ましいことだ。と同時に、市中には実質的に国債が出回らないので、これは財政再建ができたのと同じ効果になる。日銀が国債を保有した場合、その利払いは直ちに政府の納付金となって財政負担なしになる。償還も乗換をすればいいので、償還負担もない。それが、政府と日銀を連結してみれば、国債はないに等しいというわけだ。

こういう状態で国債金利はどうなるだろうか。市中に出回れば瞬間蒸発状態で、国債暴落なんてあり得ない。なにしろ必ず日銀が買うのだから。

こうした見方から見れば、2016年度予算

http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2016/seifuan28/01.pdf)の国債費23.6兆円の計上には笑えてしまう。23.6兆円は、債務償還費13.7兆円、利払費9.9兆円に分けられる。

諸外国では減債基金は存在しない。借金するのに、その償還のために基金を設けてさらに借金するのは不合理だからだ。なので、先進国では債務償還費は計上しない。この分は、国債発行額を膨らせるだけで無意味となり、償還分は借換債を発行すればいいからだ。

利払費9.9兆円で、その積算金利は1.6%という。市中分がほぼなく国債は品不足なのに、そんなに高い金利になるはずない。実は、この高い積算金利は、予算の空積(架空計上)であり、年度の後半になると、そんなに金利が高くならないので、不用が出る。それを補正予算の財源にするのだ。

■マスコミはいつまで財務省のポチでいるのか

このような空積は過去から行われていたが、その分、国債発行額を膨らませるので、財政危機を煽りたい財務省にとって好都合なのだ。債務償還費と利払費の空積で、国債発行額は15兆円程度過大になっている。

こうしたからくりは、予算資料をもらって、それを記事にするので手一杯のマスコミには決してわからないだろうから、今コラムで書いておく。

いずれにしても、政府と日銀を連結したバランスシートというストック面、来年度の国債発行計画から見たフロー面で、ともに日本の財政は、財務省やそのポチになっているマスコミ・学者が言うほどには悪くないことがわかるだろう。

にもかかわらず、日本の財政は大変だ、財政再建が急務、それには増税というワンパターンの報道ばかりである。軽減税率のアメをもらったからといって、財務省のポチになるのはもうやめにしてほしい。>(以上)

これに反対する意見もあります。小生は正否を判断する能力を持ち合わせていません。ただ、高橋氏の考えにしろ、借金は残っている訳ですから、それを返済しなければなりません。徴税に依るのかインフレに依るのか、或は両方(徴税とインフレが両立するのは難しいと思いますが)か、何れにせよ不景気にならないようにして税収を上げて行かないと、財務省の天下り先だけが増えるようなことになりかねません。国民は要監視です。

記事

Honjyo after air raid during WWⅡ

空襲で焦土と化した東京。本所区松坂町、元町(現在の墨田区両国)付近で撮影されたもの(資料写真、出所:Wikimedia Commons

今から71年前の今日、日本は終戦を迎えた。太平洋戦争は民間人を含めると300万人を超える犠牲者を出したといわれるが、経済的な損失も計り知れないものだった。戦費総額は国家予算の74倍に達しており、空襲によって生産設備の50%以上が失われていた。

この天文学的なレベルの経済損失を日本政府はどのようにして穴埋めしたのだろうか。

実質ベースの戦費総額は国家予算の74倍

太平洋戦争(日中戦争を含む)の名目上の戦費総額は約7600億円だった。日中戦争開戦時のGDP(当時はGNP)は228億円なので、戦費総額のGDP比率を計算すると33倍、国家予算(一般会計)に対する比率では何と280倍という数字になる。

現実には過大な戦費調達から財政インフレが進んでおり、実質ベースで再計算すると約2000億円程度に減少する。それでもGDPとの比率では約8.8倍、国家予算との比率では74倍となり、途方もない金額であることに変わりはない。

終戦前年の1944年における政府債務残高は約1520億円あり、同年のGDPは697億円だった。政府債務のGDP比は約220%と計算されるが、これは現在の日本とほぼ同じ水準である。当時の日本経済の基礎体力は小さく、この水準の債務残高は持続不可能であった。

政府の借金は何らかの形で清算しなければならない。財政に魔法の杖はなく、最終的には「国民から税金で徴収する」か、「インフレという形で預金者から強制的に預金を奪う」かのどちらかとなる。終戦後の日本の場合、その両方によって、一連の負債を清算した。

封鎖された預金に対して最高で90%の税金

当初、政府は預金封鎖と財産税によって国民から税金を徴収することで債務を返済しようとした。これは銀行預金を封鎖して預金を引き出せないようにし、封鎖した預金に対して財産税をかけるという仕組みである。

預金封鎖は1946年2月に突然、実施された。金融緊急措置令によって、銀行の預金は生活に必要な最小限の金額を超えて引き出すことができなくなった。また、日本銀行券預入令が施行され、銀行に預けない貨幣が無効となった。最低限度を引き出す場合には、すべて新円となったので、旧円をタンス預金することは不可能であった。

政府はその9カ月後、財産税法を施行し、封鎖された預金に対して財産税を徴収している。預金が少ない人は25%程度だったが、高額の預金を保有している人は、最高で90%にも達する税金が課せられた。

財産税と同時に実施された戦時補償特別税(戦争に関する政府からの支払いの踏み倒し)と合わせると、5年間で487億円が徴収された。1946年の一般会計予算は1189億円だったので、複数年にまたがっているとはいえ、予算額の4割に達する金額を徴収した計算になる。現在の金額では約40兆円程度ということになるだろう。当時の国富は約4000億円しかなかったので、国全体の資産の1割以上を政府が強制徴収したわけである。

財産税では足りずインフレ課税も

一連の財産課税によって多くの人が資産を失うことになった。だが、財産税で処理できたのは債務全体の3分の1程度であり、膨大な債務を清算するにはまだ足りない。政府は望むと望まざるとにかかわらず、「インフレ課税」による債務整理を選択する以外、道がなくなってしまった。

インフレ課税というのは、インフレを進める(あるいは放置する)ことによって実質的な債務残高を減らし、あたかも税金を課したかのように債務を処理する施策のことを指す。具体的には以下のようなメカニズムである。

例えばここに1000万円の借金があると仮定する。年収が500万円程度の人にとって1000万円の債務は重い。しかし数年後に物価が4倍になると、給料もそれに伴って2000万円に上昇する(支出も同じように増えるので生活水準は変わらない)。しかし借金の額は、最初に決まった1000万円のままで固定されている。年収が2000万円の人にとって1000万円の借金はそれほど大きな負担ではなく、物価が上がってしまえば、実質的に借金の負担が減ってしまうのだ。

この場合、誰が損をしているのかというと、お金を貸した人である。物価が4倍に上がってしまうと、実質的に貸し付けたお金の価値は4分の1になってしまう。これを政府の借金に応用したのがインフレ課税である。

現在、日本政府は1000兆円ほどの借金を抱えているが、もし物価が2倍になれば、実質的な借金は半額の500兆円になる。この場合には、預金をしている国民が大損しているわけだが、これは国民の預金から課税して借金の穴埋めをしたことと同じになる。実際に税金を取ることなく、課税したことと同じ効果が得られるので、インフレ課税と呼ばれている。

日本は巨額の戦費のほとんどを日銀の国債直接引き受けという形で調達したことから、市中には大量のマネーが供給された。戦時中は国家統制でマネーの動きが抑制されていたが、戦争終了とともにこの巨額のマネーが動き出すことになった。これに加えて、国内の生産設備の半分が空襲などで使いものにならない状況となっている。巨額の財政赤字に、極端な供給制限(モノ不足)が重なった状態であり、常識的に考えてインフレが爆発するのは当たり前である。

終戦直後から、物価が落ち着きを見せる1952年までの間に、名目上の消費者物価は約100倍に値上がりした。日中戦争開始時点から比較すると300倍近くの値上がりである。現実には闇市場が横行しており、終戦時の市場価格はすでに45倍程度になっていた。そこからの物価上昇率ということになると約7倍である。

逆にいえば、終戦後からのインフレで国民が持つ預金の価値は7分の1になり、政府が抱える膨大な債務も実質的に削減された。戦争直前に200%を超えていた政府債務のGDP比は、1952年には13.2%まで減少しており、日本政府は一気に健全財政に変身したのである。

誰から奪うのかという違いでしかない

政府が作った過大な借金は、いつかは、何らかの形で清算しなければならない。基本的に国民から税金を徴収する意外に清算の方法はなく、直接的な課税とインフレ課税の違いは誰から取るのかという点だけである。

直接的な課税の場合、税金は納税者から徴収することになる。終戦直後の日本であれば、財産税の課税だったので、財産を持っているすべての人から税金を徴収した。財産税を逃れることができたのは、預金や資産を持っていない低所得層だけだった。

もし消費税の増税で手当てするなら、モノやサービスを消費する人の負担で穴埋めが行われ、所得税を増税するなら、お金を稼いだ人の負担で穴埋めが行われる。税の種類を決めるという行為は、誰が負担するのかを決めるという行為にほかならない。

間接的なインフレ課税の場合には、負担するのは預金者ということになる。インフレ課税の場合には、課税されたことが明示的に示されないので、課税が実施されても多くの人は気付かないかもしれない。

このところ、日銀の量的緩和策の限界が指摘されるようになり、一部ではヘリコプターマネーの導入が囁かれている。具体的には、政府が元本や利子の支払いを必要としない債券(無利子永久債)などを発行し、これを日銀が引き受けるといった形が想定されているようだ。

ヘリコプターマネーが導入された場合、かなりの確率でインフレになる可能性が高い。現在の日本において制御できないほどのインフレになるのかは何とも言えないが、仮に一定のインフレが進んだ場合には、政務債務の問題がある程度解決する代わりに、預金者から見えない形で巨額の税金が徴収されることになる。

このようにインフレには政務債務の削減を通じた課税という作用があり、これを無視してインフレ政策について議論することはできない。インフレというのは実質的な「増税」であることを忘れてはならない。

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