人民解放軍を主導しているのは習で、習が人民解放軍の操り人形と言うことはありません。徐才厚や郭伯雄を失脚させたのですから。勿論上海派の大物二人を処分したのですから軍内部には不満は溜っているでしょうが、トルコのようなクーデター騒ぎは起こっていません。習が狙っている「中華民族の偉大な復興」を果たすべく軍もそれに乗って予算獲得に励む構図でしょう。特に目立った実績のない海軍は。それで南シナ海に出てきて突っ張っている部分もあるのかも。習も海軍に引っ張られているのかも知れませんが、「呼べば来る、来れば戦う、戦えば必ず勝つ」と言った手前ブレーキはかけられません。米国と戦争状態になった時に中国が何日持つか正しい情報が習に入っていない可能性もありますが。まあ、戦争になる前に経済制裁、海上封鎖、陸上封鎖をするかもしれません。
中国空母「遼寧」のポンコツさを米軍作戦部長が見たって、それは前から分かっていたこと。恭順の意を示したように見えますが単なる時間稼ぎでしょう。腹の中は「中国が経済的にもっと豊かになり、軍事費を増やし、技術的にも米国を追い抜く日が必ず来る。その日まで首を洗って待っておれ」でしょう。何せ騙すのが得意な民族ですから。ピルズリーのように数十年中国と付き合ってきてやっと今頃気付くなんて遅すぎです。鼻薬でも貰っていたのでしょうけど。
米国の歴史を知り、日本の歴史を知れば米国のやり方に疑問が付くことは多いです。しかし選挙と同じで100%完璧な政治家がいないように、国際社会で完璧さを求めても意味がありません。相対比較で付き合うべきかを決めるべきです。米国憲法修正第1条は「言論の自由」だそうで、自由を認めない中共より遙かにマシです。付き合うべきは「自由、民主、基本的人権、法の支配」の共通価値観を持った国とだけです。中韓は口先だけですので仲間にはなれません。
ライス補佐官は13年に「G2」を認める発言をしました。オバマの考えを述べた(中国が主張してきた「G2」をオバマが受け入れた)だけかも知れませんが。今振り返って見て「如何に愚かだったか」恥ずかしくないでしょうか。国や会社のトップたるもの「先見の明」が要求されます。百年とは言わず、10先くらいは見据えた行動を取って貰いたいものです。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2100S_R21C13A1EB1000/
『南シナ海 苦境の習氏 仲裁裁判で完敗→「微笑外交」に微修正』記事
南シナ海での中国の主権を認めない判決を仲裁裁判所が下した。苦境に陥った中国の習近平国家主席は受け入れを拒む一方、新たな動きも見せる。それは米国や日本との関係にも微妙な変化をもたらした。
習氏は参院選で基盤を固めた安倍政権を無視できなくなった
12日の判決から1週間余り、米海軍制服組トップのリチャードソン作戦部長は山東省青海の中国北海艦隊司令部にいた。「米海軍は南シナ海を含む世界中で法に基づく軍事行動を続ける」。伝えた言葉は判決を無視し、岩礁施設の建設続行まで宣言した中国への警告だった。
G20へ「一時休戦」
それでも中国は青海でリチャードソン氏に唯一の空母「遼寧」を参観させた。注目すべきは、飛行甲板以外に、艦載機格納庫なども公開した事実だ。海軍大将だけに一目で装備水準を判別できる。中国がリスクを冒したのは「米国との衝突だけは避けたい」という本音を伝えるためだった。
習主席は25日、訪中したライス米大統領補佐官と北京で会談した。ケリー米国務長官は翌日、ラオスでの東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)に出席する。習主席がライス氏に「現行の国際秩序と規則に挑戦するつもりはない」と語ったのは、米国への秋波だった。
そこには、9月に中国・杭州で開く20カ国・地域(G20)首脳会議の成功に向けて「一時休戦」の雰囲気を醸し出す狙いもあった。
判決が出た12日、中国は対日外交でも動いた。モンゴルでのアジア欧州会議(ASEM)の際、中国の李克強首相が安倍晋三首相と会談する日程調整に早々と応じた。現地の事前折衝でも「条件をのまなければ会談自体やめる」という常とう句は封印した。
8カ月ぶりの日中首相会談は15日、あっさり実現した。南シナ海問題ではぶつかったが、双方とも内容公表は控えた。直前、李首相はモンゴルで南シナ海問題のカギを握るカンボジアの首相らとも会談。ラオスでのASEAN会合を前にねじを巻いていた。中国は翌週、杉山晋輔外務次官の北京入りも受け入れた。
「経済を含む対日交流は大切だが、中国に厳しい安倍は相手にしたくない」。中国がそんな姿勢を微修正したのはなぜか。「完敗」判決を受け、中国の選択肢は狭まった。国際的な孤立は避けたい。体面さえ保てるなら周辺国との対話に応じる「微笑外交」である。
参院選での自公勝利も影響した。安倍政権の基盤は盤石になり、中国が気にする憲法改正さえありうる。習指導部も安倍政権を無視できない。「中国は口でどう言おうと相手の力に応じて対処する。中国自身が力の信奉者だからだ」。中国外交を知るアジアの外交官の弁だ。25日、ラオスでは日中外相会談が実現した。
中国の王毅外相は4月末、北京で岸田文雄外相と会談した際、突出した「日本たたき」に出た。今回も南シナ海問題では原則論に終始したが、年内に日本で予定する日中韓首脳会談の調整には初めて前向きな姿勢を示した。日中の「海空連絡メカニズム」の運用開始も実現させたいとした。
主権問題譲歩せず
日中韓外相会談が実現すれば王氏の外相就任後の初訪日になる。杭州G20で約1年半ぶりの安倍・習会談があるのかも焦点だ。とはいえ、中国は一連の国際会議の声明で判決に触れるのを力ずくで阻止した。南シナ海での演習も強行している。主権問題では一切、譲歩していない。
「既存の国際秩序を変えるのは本当に難しい」
外国訪問中だった習主席が周囲にぽろっと本音を漏らしたことがある。自ら提起した「新しい形の大国関係」が米オバマ政権に事実上、拒まれた後だった。今回、ライス氏に語った「現行の国際秩序と規則に挑戦するつもりはない」との融和姿勢は、既に国際法を無視した以上、方便にすぎない。
習主席が掲げる「中華民族復興の夢」には米主導の現体制への反発がにじむ。今後も海洋での摩擦は続く。日本は各国と連携し、国際法による解決を根気強く促すしかない。
<仲裁裁判所判決の骨子> ・中国が南シナ海に設定した独自の境界線「九段線」には主権、管轄権、歴史的権利を主張する法的根拠はない ・南沙諸島には排他的経済水域(EEZ)を設けられる国連海洋法条約上の「島」はなく、中国はEEZを主張できない ・中国がスカボロー礁でフィリピン漁民を締め出したのは国際法違反である ・ミスチーフ礁とセカンドトーマス礁はフィリピンのEEZ内にある ・中国は南沙諸島で人工島を建設するなどして国連海洋法条約の環境保護義務に違反している
『効くか、寸止めの圧力』記事
南シナ海をめぐり、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は今月12日、中国の主張をことごとく退ける判決を下した。その2日後、米国のバイデン副大統領は、ハワイで開かれた日米韓の外務次官協議に出席した。
閣僚より格下の次官級会議に副大統領が出ることなど、ふつうなら考えられない。異例だったのは、それだけではなかった。
その冒頭、約50分の長広舌をふるい、伏せられていた習近平・中国国家主席との会談の一部を、暴露してしまったのだ。
バイデン氏が2013年12月初め、訪中した際のやり取りである。テーマはこの直前、日中台に囲まれた東シナ海に中国が「防空識別圏」を設定し、外国機の出入りを監視しようとした問題だった。
この措置を批判したバイデン氏に、習近平氏は「では、私にどうしろと言うのか」と開き直った。そこでバイデン氏は「あなたがどうするか、さほど期待していない」と切り捨て、こう警告したという。
「米軍は(最近、中国への通知なしに防空識別圏内に)B52爆撃機を飛ばした。我々はこれからも、飛び続ける。中国の『防空識別圏』を認めることはない」
実際、米軍はその後も、中国が設けた「防空識別圏」を無視し、自由に飛んでいる。バイデン氏はこの発言をあえて公表することで、南シナ海でも、中国の強引な行動は認めない決意を示したのだった。
米政府は中国に対し、南シナ海でも「防空識別圏」を設定したら、強い対抗措置に出る、と水面下で伝えているという。
先週、ラオスで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の会合でも、米国は日本と組み、中国に仲裁判決の受け入れを迫った。
ところが、総じてみると、米国の対応はなぜか、いたって穏便だ。オバマ大統領は仲裁判決への発言を控えている。米国防総省でもいま、軍事圧力を強めることには慎重論が多いらしい。
仲裁判決を受け、かさにかかって中国を責めるというより、刺激しすぎないよう、“寸止め”の圧力にとどめているようなのだ。どうしてなのか。
内情を知る複数の外交筋はこう解説する。
「中国は法的に完敗し、内心、かなり焦っている。さらにたたくより、静かに諭したほうが、前向きな行動を引き出しやすい」
米国にかぎったことではない。安倍政権の対応も似たところがある。
今月15日、モンゴルで開かれた安倍晋三首相と李克強中国首相の会談。安倍氏は日本周辺での中国軍の動きなどをけん制したが、南シナ海問題には短くふれる程度にとどめたという。
会談の前半では、9月初めに中国が主催する20カ国・地域(G20)首脳会議を成功させるため、最大限、協力するとも伝えた。
「言うべきことは言うが、経済やテロ対策では中国との協力を進めていく」。周辺によると、安倍氏はこんな意向を示している。中国が窮地にある今こそ、日中打開の好機とみているフシすらある。
この路線がうまくいくかどうか、日米両政府内ではなお、議論が割れる。要約すると、こんな具合だ。
南シナ海の軍事化を主導しているのが習近平氏なら、対話によって彼らの行動を変えられるかもしれない。だが、軍が主導し、習氏が追認しているのだとすれば、融和策はほとんど効かないだろう――。
このどちらかで、処方箋は全く異なる。答えを知るには、中国の言動にさらに目を凝らし、権力中枢の実態を探るしかない。
(編集委員 秋田浩之)
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