『中国・解放軍大粛清の背景に新説、習近平vs制服組トップの軍主導権争いではない可能性』(11/21JBプレス 福島香織)について

11/20The Gateway Pundit<Elissa Slotkin and Her Fellow Democrat Conspirators Respond to President Trump Suggesting the Death Penalty for Sedition=エリッサ・スロットキンと彼女の民主党の共謀者たちは、トランプ大統領が扇動罪で死刑を示唆したことに反応した>

言論の自由は保護されるべきだが、反乱の扇動罪は保護されないのは当たり前。兵士にサボタージュを呼びかけるのは反乱の扇動に相当するのでは。「違法な命令」とは誰が判断するのか?中共と同じく民主党一党独裁の意味?

ミシガン州選出の民主党上院議員エリッサ・スロットキン氏と下院および上院の同僚である民主党の扇動陰謀者たちは木曜日、軍や諜報機関のメンバーに反乱を呼び掛け、トランプ大統領の「違法な」命令に従わないよう呼びかけたことに対し死刑を示唆するドナルド・トランプ大統領のトゥルース・ソーシャルへの投稿に応えて共同声明を発表した。

スロットキン氏と民主党の元軍人および情報機関出身の下院議員と上院議員らは火曜日、現役の軍人および情報機関員に向けたビデオを公開し、トランプ大統領が彼らを米国民と「対立させている」と述べ、彼らには彼の「違法な」命令に従わない義務があると虚偽のメッセージを伝えた。

動画に映っている民主党員は、上段左から右へ、ミシガン州のエリッサ・スロットキン氏、アリゾナ州のマーク・ケリー氏、ペンシルベニア州のクリス・デルジオ氏、ニューハンプシャー州のマギー・グッドランダー氏、ペンシルベニア州のクリッシー・フーラハン氏、コロラド州のジェイソン・クロウ氏です。(@SenatorSlotkin / X スクリーンショット)

動画に登場する反逆的な共謀者たちは、元CIA職員のスロットキン氏、元海軍士官でNASA宇宙飛行士のマーク・ケリー上院議員(アリゾナ州民主党)、元海軍士官のクリス・デルジオ下院議員(ペンシルベニア州民主党)、元海軍予備役情報将校でバイデン大統領の国家安全保障担当大統領補佐官ジェイク・サリバン氏の妻のマギー・グッドランダー下院議員(ニューハンプシャー州民主党)、元空軍士官のクリッシー・フーラハン下院議員(ペンシルベニア州民主党)、元陸軍レンジャーのジェイソン・クロウ下院議員(コロラド州民主党)である。

スロットキン氏は、この動画に次のような声明を添えて投稿した。「軍と情報機関の方々に直接お話を伺いたい。米国民は、皆さんが我が国の法律と憲法を守るために立ち上がることを必要としています。決して諦めないでください。」

皆さんが今、多大なストレスとプレッシャーにさらされていることは承知しています。米国民は軍隊を信頼していますが、その信頼は危機に瀕しています。現政権は、軍服姿の軍人と情報機関の専門家を米国民と対立させています。私たちと同じように、皆さんもこの憲法を守り、擁護することを誓ったのです。

今、我が国の憲法に対する脅威は、海外からだけでなく、まさに国内からも来ています。我が国の法律は明確です。違法な命令を拒否することは可能です。違法な命令は拒否しなければなりません。法律や憲法に違反する命令を、誰も実行する必要はありません。

大変な時期であること、そして公務員として困難な時期であることは重々承知しています。しかし、CIA、陸軍、海軍、空軍のいずれに所属していても、皆さんの警戒は極めて重要です。私たちは皆さんを支えています。なぜなら、今こそ、これまで以上に米国民は皆さんを必要としているからです。私たちの法律、憲法、そして私たち米国民のアイデンティティのために、皆さんが立ち上がる必要があるのです。

諦めないで、諦めないで、諦めないで、船を諦めないで。

木曜日の早朝、トランプ氏はTruth Socialにも投稿した。「最高レベルの扇動行為と呼ぶにふさわしい。我が国の裏切り者全員を逮捕し、裁判にかけるべきだ。彼らの言葉は許されない。もはや我が国は存在しなくなるだろう!!! 模範を示さなければならない。DJT大統領」

そして、「これは本当にひどい、そして我が国にとって危険な行為だ。彼らの発言は許されない。裏切り者による扇動行為だ!!! 彼らを投獄すべきか??? ドナルド・トランプ大統領」

民主党の陰謀家たちは、トランプ大統領の扇動罪での死刑判決のメッセージに対して、スロットキンが投稿した以下の声明で反応した。

私@SenMarkKelly、@RepJasonCrow、@RepDeluzio、@RepGoodlander、@RepHoulahanによる共同声明です。

私たちは退役軍人であり、国家安全保障の専門家です。この国を愛し、アメリカ合衆国憲法を守り、擁護することを誓いました。この誓いは生涯にわたって有効であり、私たちはそれを守るつもりです。いかなる脅迫、威嚇、暴力への呼びかけも、この神聖な義務を阻むことはできません。

「最も示唆的なのは、大統領が我々が法律を再制定することを死刑に値すると考えていることです。軍人たちは、憲法への宣誓と合法的な命令のみに従う義務を果たすにあたり、我々が彼らを支援していることを知っておくべきです。これは正しい行為であるだけでなく、我々の義務でもあります。」

しかし、これは私たち誰かの問題ではありません。政治の問題でもありません。これは、私たち米国人が何者であるかに関わる問題です。すべての米国民が団結し、大統領による殺人と政治的暴力への呼びかけを非難しなければなりません。今こそ、道徳的な透明性が求められる時です。

「このような時、恐怖は伝染しますが、勇気もまた伝染します。私たちは引き続きリーダーシップを発揮し、決して怯むことはありません。」

「船を手放さないで!」

https://x.com/i/status/1991571957494448420

https://www.thegatewaypundit.com/2025/11/elissa-slotkin-her-fellow-democrat-conspirators-respond-president/

https://x.com/i/status/1991473118708396471

11/2Rasmussen Reports<H-1B Visas: Voters Worried About ‘Flood’ of Foreign Workers=H-1Bビザ:有権者は外国人労働者の「流入」を懸念>

有権者の大多数は依然としてH-1Bビザプログラムを支持しているものの、彼らはまた、外国人労働者の必要性に関するドナルド・トランプ大統領の発言に対するフォックス・ニュース・チャンネルの司会者の最近の批判にも同意している。

ラスムセン・レポートによる最新の全国電話・オンライン調査によると、米国の有権者の64%がH-1Bプログラムを支持していることがわかりました。このプログラムは、企業がテクノロジーなどの専門職に就く外国人労働者を一時的に雇用することを可能にするものです。このうち28%は「強く支持」しています。H1-Bビザに反対しているのはわずか26%で、「強く反対」しているのは11%です。このプログラムに対する支持率は 7月以降わずかに低下しています。

https://www.rasmussenreports.com/public_content/politics/trump_administration_second_term/h_1b_visas_voters_worried_about_flood_of_foreign_workers?utm_campaign=RR11202025DN&utm_source=criticalimpact&utm_medium=email

https://x.com/i/status/1991584607637037505

11/21阿波羅新聞網<变天?刘源与习同场出现 中南海打破禁忌 高捧胡耀邦—中南海政局动荡 北京纪念胡耀邦诞辰=王朝変化?劉源と習近平が揃って登場、中南海がタブーを破り、胡耀邦を高く評価―中南海の政変、北京で胡耀邦生誕110周年を祝う>アポロネット王篤若の報道:中共は20日、北京の人民大会堂で胡耀邦生誕110周年を記念する座談会を開催した。習近平が演説し、蔡奇が主宰し、李希ら高官が出席した。胡耀邦は中共内で開明派とされ、その粛清は1989年の6・4天安門事件の勃発と密接に関係していた。この突如として行われた盛大な記念行事は、中共内部の権力闘争と革命第二世代高官による派閥について、外界は大きな注目を集めている。

習近平は演説の中で、胡耀邦を「改革開放の提唱」、「事理を尽くし、責任を果敢に取る」を繰り返し称賛し、「反腐敗」を強調したが、1989年の政治的混乱と胡耀邦の辞任強要の過程については言及を避け、中共にとって最も敏感な歴史的転換点である天安門事件を意図的に回避した。

CCTVのカメラの映像には、胡耀邦の長男である胡徳平が3列目のやや後ろの隅に座っている様子が映っていたが、クローズアップにして映ってはおらず、眉をひそめ緊張していた。劉源と習近平も同席した。胡徳平の控えめな「配置の位置」は、胡家と習近平家の間の長年の亀裂を象徴するものと見られており、かつての親密な関係とは大きくかけ離れている。

今回の記念式典は、中共が10周年、50周年、100周年を記念する伝統に従って行われたが、習近平はかつての権威の欠如、蔡奇の10日以上の失踪、そして胡徳平の周縁化は、いずれも政治的混乱が続いていることを示唆している。革命第二世代のエリート層内の分裂は現実で、胡徳平は習近平に積極的に反対しているわけではないかもしれないが、彼の象徴的な重要性は反習近平派によって依然として利用されるだろう。

なぜ今年の胡耀邦記念式典が特に敏感なのだろうか?それは、習近平が権力掌握以来最大の危機に直面しているからだ。

党、政府、軍の体制内で習の多くの側近が失脚、あるいは姿を消している。

内政外交は完全に失敗し、経済は減速し、外交は孤立化し、軍は粛清を繰り返している。

「革命第二世代」でさえ、大部分が反習に向かっている。

下の矢板氏の解説では説明できないのでは。そもそも中共が胡耀邦の記念式典をするなんて、胡・温あたりでないとできないのでは。

https://www.aboluowang.com/2025/1121/2308501.html

11/20阿波羅新聞網<俄美联手坑中共!日智库:台湾有事 普京倒戈=ロシアと米国が中共に対抗するために協力!日本のシンクタンク:台湾有事でプーチンは寝返る>防衛省のシンクタンクである防衛研究所は20日、「2026年中共安全保障レポート」を発表し、中共の安全保障政策の動向を分析した。報告書は、中共とロシアがウクライナ問題で一定の距離を保っている一方で、ロシアと北朝鮮は軍事的にますます緊密化しており、三国関係において戦略的不一致があることを示唆していると指摘している。この報告書はまた、ロシアは台湾統一を目指す中共の立場に対抗するため、台湾問題において米国と限定的な軍事協力を行う可能性を指摘している。

産経新聞の報道によると、シンクタンクの報告書「不均衡なパートナーシップ:中国・ロシア・北朝鮮」は、近年深化する中露北朝鮮の協力関係の背後にある戦略的意図を分析している。例えば、今年9月には、ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩委員長が、中国の習近平国家主席と共に北京で開催された抗日戦争勝利80周年記念式典に出席した。

中共は合同演習を通じてロシアとの軍事協力を強化しており、ロシアはウクライナ侵攻後、北朝鮮との関係を強化している。報告書は、米国とその同盟国との戦略的バランスを踏まえると、北東アジアにおいて「日米韓対中露北朝鮮」という陣営的な対立構造が出現する可能性があると警告している。

しかし、報告書は、中国とロシア、北朝鮮は核兵器開発などの問題に関して外交・軍事面で異なる立場をとっており、三国間関係は三国間ではなく二国間ベースで発展してきたと指摘している。

中共は新たな国際秩序の構築を目指し、中東やアフリカを含むグローバル・サウス(主に南半球に位置する新興国・発展途上国)との関係を深めている。ロシアによるウクライナ侵攻が国際秩序を混乱させたため、中国はロシアとの関係に慎重である。

報告書は、中共は台湾や南シナ海の近隣諸国との軍事協力を重視している一方で、「欧州との直接的な協力や、ロシア・北朝鮮との和解からは距離を置こうとしている」と指摘している。

プーチン大統領、習近平国家主席、金正恩委員長は一見仲が良いように見えるが、実際にはロシア、中国、北朝鮮はそれぞれ独自の思惑を抱えている。

報告書は、北朝鮮の中国への経済依存度は変わっていないものの、核エネルギー開発を推進することで外交自主性を高めていると指摘。したがって、中共の役割は現在限定されている。北朝鮮が核保有国として米国と対立すれば、中共の利益を損なう可能性がある。

報告書は「ロシアが台湾問題において米国と限定的な軍事協力を行う可能性を指摘している」とあるが、そんな記述はどこにあるのか?

https://www.nids.mod.go.jp/publication/chinareport/pdf/china_report_JP_web_2026_A01.pd

https://www.aboluowang.com/2025/1120/2308342.html

何清漣 @HeQinglian 8h

サマーズとエプスタインの遣り取りはエスカレートするのは必至だった。これを決定したのは 3 つある:サマーズは政治、ビジネス、学界の3身分がある。彼はエプスタイン文書を最初に公開された人物の一人である。更に重要なのは美しい女性に関する手紙の内容である。 AP通信によると、元米国財務長官、元ハーバード大学学長、そして著名な経済学者でもあるサマーズに関するメールや報道から、同氏が中国高官の娘である金刻羽を求めることについてエプスタインに相談していたことが明らかになった。

金刻羽は金立群AIIB元総裁の娘。サマーズの愛人(或いは逆にハニトラ)だったとの噂も。

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引用

何清漣 @HeQinglian 22h

「サマーズはエプスタインのメール公開を受けOpenAI理事を辞任」 ハーバード大学前学長ラリー・サマーズは、性犯罪者ジェフリー・エプスタインとの未公開のメールのやり取りをめぐり批判にさらされた後、OpenAI理事を辞任した。

https://cn.wsj.com/articles/larry-summers-resigns-openai-boad-jeffrey-epstein-14190800?mod=cn_hp_lead_pos6

コメント:エプスタイン文書の公開後、同様の事件が発生する可能性が高い。

民主党エリートの下半身はだらしない。

何清漣 @HeQinglian 27分

WSJ:「エプスタインのメールアーカイブ:2,300件の会話、トランプへの複数回の言及」。今週公開された文書には、トランプ大統領とビル・クリントン元大統領の名前が数百回言及されている。オバマ元大統領の名前も登場する。WSJの分析では、米国大統領がエプスタインに直接手紙を書いたり、彼からメールを受け取ったりしたという情報は見つからなかった。

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cn.wsj.comより

何清漣 @HeQinglian 1h

トランプ大統領、司法省にエプスタイン関連文書の公開を認める法案に署名

米国司法省は、エプスタインとその関係者に関する非機密文書を30日以内に公開しなければならない。

これらの非機密文書の公開はほんの始まりに過ぎない。政界、ビジネス界、学界の三方を牛耳っていたサマーズは、既に輝かしいキャリアに終止符を打った。もしこれらが機密文書だったら、どのような結末を迎えていただろうか?

cn.wsj.comより

福島氏の記事では、矢板明夫氏の「林彪同様、苗華の習への不忠誠説」は信じがたい。林彪は毛沢東の次期後継者に指名され、No.2として毛沢東を打倒する地位にはあった。苗華の肩書は軍の政治工作部主任。それが党総書記の習に謀反を起こせるか?勿論習の疑り深い性格がそうさせたのかもしれないが。

況してや習が台湾侵攻を本気で考えているなら、福建省第31集団軍出身を何故粛清したのか?普通は土地勘(昔福建省住民は台湾に密航・密輸していた)ある部隊を先鋒とするのでは。

少なくとも習は“定于一尊”の絶対権力を持った独裁者の地位から落ちているのは外形上(ルカシェンコとの面談、7/7盧溝橋でなく百団大戦の地に行った)確か。矢板氏はどう見るのか?

記事

10月下旬に開かれた中国の四中全会(写真:新華社/アフロ)

目次

(福島 香織:ジャーナリスト)

四中全会前に苗華、何衛東、何宏軍、林向陽ら、いわゆる軍内福建閥9人の現役上将らの党軍籍はく奪処分が発表されたが、彼らの裁判が四中全会後に始まっているらしい。その裁判は軍の機密に抵触するため公開はされていないが、その周辺からいろいろな「噂」が流れている。

それが今まで在外チャイナウォッチャーたちが強く主張していた「習近平(総書記、中央軍事委員会主席) vs 張又侠(中央軍事委員会副主席=制服組トップ)」の権力闘争の構図とは大きく異なる、ということで話題になっている。特に興味深いのが、元産経新聞台北支局長で、今は台湾でメディア人として活躍している矢板明夫氏がセルフメディアで語っていた仮説だ。

それによれば福建閥の大粛清は習近平が自ら判断・決断し、張又侠と連携して推進した、という。私は以前から、習近平 vs 張又侠の軍主導権争いという説には懐疑的だった。習近平の寵愛を利用して急激に軍内勢力を拡大する苗華の忠誠を、習近平自身が疑い始めたことが背景にある、とみていたが、それを裏付けるような情報が出始めているので整理してみたい。

福建閥・何衛東の裁判弁明書

最近、ネット上で、内部筋からの情報として、老灯ら華人チャイナウォッチャーたちが、何衛東の裁判における弁明書というものがあると指摘している。

それによると何衛東は、習近平が福建省の指導者として福建省第31集団軍を視察したときに知遇を得て、その後、習近平により抜擢されて出世したという。そのことから、何衛東は、習近平に絶対的忠誠を誓っていた、と主張しているようだ。

また、軍内の腐敗取り締まりキャンペーンにおいては、何衛東自身も何人もの軍人の人事、調整、処分にかかわってきたが、その取り調べに対して「欠陥や性急さ」があったと感じていたという。

ただ、何衛東は、習近平の命令による大粛清や軍内の反乱といった問題については否定し、「事実と証拠に基づいて中央規律委員会と軍事規律委員会主導で行われた。自分は(反腐敗を)取り締まる側であっただけでなく、(腐敗にかかわったことが疑われる)参与者にされた」と証言していた、という。

また、苗華や何衛東が罪に問われる過程で決定的な事件は、廊坊(河北省)特別行動局部隊と呼ばれる“特定危機”に対応する部隊の設置にかかわるものだという。これは元中央党校教授で現在米国に亡命している華人チャイナウォッチャーの蔡霞もその存在に言及していたが、苗華が提案し習近平が口頭で批准して設置された軍内特別部隊で、副主席の張又侠の承認を得ていなかったため、すぐに解散となっている。

張又侠は、この部隊が張又侠逮捕のために設置されたと疑っていたようだ。だが、何衛東はそうではない、と証言したという。

習近平、副主席の張又侠、何衛東の微妙な三角関係

さらに苗華、何衛東らと張又侠の間に軍の戦略的視点や人事の問題で対立があったが、それは軍内の正常な議論であり、いわゆる「習近平と張又侠の矛盾」というようなものではない、と主張したという。

また苗華の賄賂問題について否定し、事実に基づいて、“故意”と“過失”を区別して、今までの貢献を考慮して寛容な審判を求めた、らしい。

中国政治の内幕に関する暴露系の在外華字メディア「看中国」によれば、苗華が特別部隊を作ろうとしたプロセスに問題があり、私設軍を作り張又侠排除や、あるいは軍内反乱を準備したのではないかと疑われて失脚した可能性があるようだ。また、中央軍事委員会主席の習近平、副主席の張又侠、何衛東の間に微妙な三角関係があったとしている。

習近平国家主席(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

張又侠は軍内太子党で習近平の幼馴染である。軍内旧勢力の代表、何衛東は福建閥主要メンバーで習近平に気に入られて急激に出世し、反腐敗キャンペーン執行役にも選ばれて習近平の信頼を得ている。張又侠と何衛東の間には習近平の寵愛をめぐる微妙な相互牽制があり、習近平もそれを利用して、双方が権力を持ちすぎないようにコントロールしていたと思われる。

また習近平の秘書役(中央軍事委員会主席弁公室主任、中央軍事委員会弁公庁主任)の鍾紹軍が2024年に国防大学政治委員に事実上、左遷させられたこと、その後任に苗華派の方永祥が就任するも、今年秋の四中全会で欠席させられたことなどを考えると、習近平と軍の信頼関係が根本的に崩れ動揺していることもうかがえる、という。

その中で、張昇民が何衛東の後任として四中全会で中央軍事委員会副主席に昇進(軍事規律委員会書記兼務)しながら、政治局入りが見送られたのは、軍事委副主席は政治局委員である、という慣例をあえて破り、軍の影響力を抑えようと習近平が考えたからかもしれない。

習近平がつくった「反苗華集団」

一方、矢板明夫氏はセルフメディアの中で、独自の北京筋から得た情報として、苗華、何衛東ら福建閥の大量粛清は、反苗華集団と呼ばれる習近平の指示によってできた粛清チームによって行われた、としている。

その理由は、習近平が苗華の忠誠を信じられなくなったためで、毛沢東が林彪を排除したのと同じ理由だとしている。そして、今後しばらく、苗華ら福建閥勢力を徹底的に排除するため、粛清の嵐は続くと予測。

では、なぜ苗華は習近平からの寵愛を失ったのか。苗華は福建省第31集団軍出身で習近平が福州書記、福建省長時代から信頼を築いてきた。第31集団軍出身の苗華は台湾統一という習近平の夢を共有できる人物だったともいわれている。2010年に習近平は軍事委員会副主席に就任し、以降、習近平は信頼する苗華を出世させ、彼を中心とした福建閥が形成されていった。

習近平は2012年秋、総書記、国家主席、中央軍事委員会主席になったが、権力を握るとすぐに軍制改革という大規模な解放軍改革に取り組み、まず陸軍を牛耳る2人で最も影響力のある長老、徐才厚(東北閥)と郭伯雄(西北閥)を粛清した。このとき、苗華は習近平を手伝って、郭伯雄派閥下にあった蘭州軍区を習近平側につける説得工作を行った。

蘭州軍区が郭伯雄失脚に際して、動揺することもなかった。一方、徐才厚配下の瀋陽軍区では確認できないクーデター未遂の噂がいくつか流れた。

苗華が陸軍から海軍に移籍したのちは、海軍改革にも成功。プライドが高く御しにくいとされた解放軍海軍を習近平に掌握させたという。こうした苗華の仕事ぶりが評価され、習近平は苗華を中央軍事委員会政治工作部主任に昇進させた。

この部署は解放軍の人事権を全面的に握り、苗華はこのポジションに7年にわたって君臨。福建閥は解放軍内最大派閥に成長していった。だが、苗華をトップとする福建閥の力が強まるほど、習近平は不安に陥ったという。福建閥はもともと習近平に忠誠を誓う習家軍の一派であったはずだが、それが苗華閥、苗家軍になるのではないか、と感じたからだという。

張又侠と苗華の権力闘争

そこで2022年の第20回党大会のとき、本来引退年齢であった張又侠に中央軍事委員会残留を頼んだ。張又侠は苗華閥とは違う軍内の伝統的勢力で太子党、そして習近平にとって幼馴染で信頼できる親友であり、彼を中央軍事委員会の筆頭副主席にすることで苗華の権力拡大をけん制できると考えた、という。

そして、苗華をあえて中央軍事委員会副主席に任命せず、苗華の頭越しに弟分である何衛東を副主席につけたのも、苗華と何衛東の間に微妙な対立を生んで苗華閥の結束に隙間をつくろうと考えたようだという。

この人事に苗華は内心不満で、苗華は張又侠を失脚させようと考えはじめた。チャンスは2023年に到来した。

中国は北朝鮮を通じてロシアにミサイルシステムを提供していたが、このミサイルシステムに不具合が起きたという。このため、当時の国防部長の李尚福は2度もモスクワにいって事情を説明せねばならない羽目になった。

その後の調査で、ロケット軍と装備発展部の重大な汚職と腐敗により、ロケット軍のシステムに重大な問題が生じていたことが判明。習近平を激怒させ、李尚福(元国防部長)、李玉超(元ロケット軍司令)らが失脚させられたという。

ロケット軍、装備発展部(旧総装備部)は張又侠が主導していた軍部であり、苗華は、このタイミングで張又侠を失脚させるつもりで、すでに引退していた魏鳳和・元国防部長から軍工系のエンジニアにいたるまでの大粛清を実施した。だが、苗華が張又侠の代わりに軍事委員会副主席の座に就けば、軍事委員会副主席は2人とも福建閥となり、主席の習近平の権力を脅かすことになるかもしれない。

そう感じた習近平は張又侠を苗華の攻撃から守る姿勢をとり、結果として習近平は張又侠とともに苗華ら福建閥を徹底的に排除する決断をしたのだという。

苗華の決定的なミスは、李尚福の贈賄罪を追求しようとしたことだという。習近平は自分が李尚福から賄賂を受け取ったと、苗華が追求しようとしているのだと思い、苗華の不忠誠を確信することになった。習近平が寵愛する鍾紹軍を左遷させたのも苗華で、これも習近平が苗華に不信感を募らせる原因の一つらしい。

以上が矢板氏の仮説だ。

粛清の嵐は今後も続く

いずれにしても、巷で噂されていた習近平 vs 張又侠という単純な構造ではなく、習近平独裁下の複雑な軍人たちの野心や権力闘争の結果が招いた大粛清といえそうだ。

こうしたチャイナウォッチャーたちの仮説がどこまで確かなのか、裏取りは難しいのだが、今はっきりしていることは、解放軍の中将以上、司令級の大勢の軍人たちが粛清され、この粛清の嵐は今後も続きそうだということ。そのような解放軍に目下、台湾武力統一を行うだけの余裕はなかろうと、いうことだ。

トランプ米大統領が自分の任期中に、台湾武力統一はない、と言い切ったのは、こうした事情も理解した上ではないだろうか。

だが一方で軍内はプロフェッショナルな軍人が不足し、不安定化している。自分たちの上官たちが次々と粛清され、いつ自分もそれに巻き込まれるかわからない、という不安に多くの軍人たちが動揺している。

それは習近平の幼馴染で親友の張又侠も同じだろう。習近平に一番忠誠を誓い、習近平のために働いてきた苗華ら福建閥が、その忠誠を疑われて徹底排除されるというならば、今後どれだけ習近平に忠誠を誓っても、必ず安全とは信じられないだろう。

そして、今回党軍籍がはく奪された9人の軍幹部たちの罪状の中心が腐敗、汚職であるということは、習近平が10年かけて行ってきた軍制改革も軍内の反腐敗キャンペーンも結果的にはなんら成果がなかったということでもある。習近平の軍制改革は完全に失敗で、習近平の解放軍人事もすべて失敗だった、ということだ。

だが、これほどの失敗を重ねて、習近平は自分を政治家として無能だと自覚できていないかもしれない。

台湾有事を実行する軍事実力が目下ないとしても、優秀な軍人のいない、現場を知らない無能な失策を認識できていない文民指導者が主導する不安定な巨大軍隊が、日本のすぐ隣りの国にあるのだから、日本のトップたちが存立危機事態について具体的に考える必要があるのは当然だといえよう。

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