通貨は元々バーチャルな存在で、通貨そのものに本質的な価値はありません。国民(or地域民)が貨幣を信用して流通させることが前提です。物々交換に依らない交換手段と言うものでしょう。但し、各国の中央銀行はFRBを筆頭に民間銀行ですが、政府が関与しています。でも普段から支払いに使ったり、預金したりしていますので、価値の尺度としての機能は皮膚感覚で分かります。
これがビッコインになると、理解が難しくなります。何となくゲームセンターで使うようなコインをイメージしてしまいます。国家から信用を与えられていないコインにどれだけ価値を見出せるかです。P2Pの相対取引はビットコインだけではありません。P2Pで不動産屋や車の売買した時に瑕疵担保責任の問題が発生する可能性があります。そのときにキチンとした補償が受けられるかです。
ビットコインは瑕疵担保の問題と言うよりは、詐欺の温床になりやすいのでは。本記事にありますように、資金を集めたら、会社を閉じて持ち逃げしてしまうパターンです。これはビットコインだけでなく中国ではよく使われる手口です。小生が中国在勤時代(97~05年)の法律では、日本の取締役の欠格条項と言うのがなく、会社を計画倒産(債権者詐害目的)させ、役員が同じ名義で新しく別な会社を立ち上げていたりしていました。まあ、中国では賄賂さえ贈れば何とでもなる国ですから、法律など気にしないのでしょうけど。
ビットコインの9割の交易が中国で行われているとのこと、バクチ好きの中国人が投資機会が無くなりつつある中国の不動産市場や株式市場の代わりにしている面と、不正蓄財のマネロンの為と言うのがありそうです。また、確かに人民元の暴落に備えてと言うのもあるでしょう。ただ、ビッコインに対する信認がないのでは。人民元の代わりにビットコインで持っていても、中国国内で使えるだけ(それも怪しい?)でないでしょうか。買物には、やはり現金かカードの支払いが要求されると思います。蓄蔵価値があるとは思えません。キャピタルゲインを狙ったバクチなのでは。日本人は株式投資がまだまだ少ない状況にありますのでビットコインにまで手を出すことはないと思います。
次は田村秀男氏の中国の外貨流出の記事です。一昨日の本ブログで真田幸光氏が「中国は仮想敵国である日本にスワップを要請している。如何に困っているか」という内容を紹介しました。中国の3兆$の外貨準備と言っても、借入金も含めてで、真水がどれだけあるかは統計の作者しか分かりません。実質底を突きそうなのでは。トランプが中国を為替操作国に認定し、$高(トランプは逆のことを言っていますが、FRBの金利を上げ、中国からのキャピタルフライトを促すべき)にして中国経済を崩壊させた方が良いでしょう。
12/24産経ニュース<【田村秀男のお金は知っている】自滅の道に踏み出した中国経済 トランプ氏きっかけに資金流出が大幅加速、人民元の下落も止まらず
高騰する中国の市場金利と人民元安
中国共産党は1972年2月のニクソン大統領(当時)以来、歴代米大統領に対して台湾を中国の一部とみなす原則を一貫して認めさせてきた。トランプ次期米大統領は「それに縛られない」と明言する。習近平国家主席・党総書記の面子(メンツ)はまるつぶれである。(夕刊フジ)
北京は何か報復行動をとるかとみていたら、19日にフィリピン沖の南シナ海で米軍の調査用無人潜水機を奪取した。20日には米軍に返還したが、時間をかけて潜水機のデータを調べ上げた。露骨な国際法違反である。粗野でぞんざいなふるまいを見せつけることが、相手の面子をつぶすと考えるところは、魯迅の『阿Q正伝』そのものだ。
中国はみかけのうえでは国内総生産(GDP)や対外純資産規模で世界第2位の経済超大国でも、中身は悪弊にまみれている。慢心すれば必ず失敗する。人民元の国際化を例にとろう。
昨年11月には習政権の執念が実り、国際通貨基金(IMF)が元をSDR(特別引き出し権)構成通貨として認定させた。限定的ながら金融市場の規制を緩和し、人民元の金融取引を部分自由化した。同時に中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)を創立し、国際通貨元を世界に誇示しようとした。
ところが、昨年8月に人民元レートを切り下げると、資本が逃げ出した。当局が規制しようにもどうにも止まらない。
この11月までの12カ月合計の資金純流出額は約1兆ドル(約118兆円)、このうち当局の監視の目を潜った資本逃避は約5000億ドルに上ると米欧系金融機関のアナリストたちは分析している。
特徴は、11月8日の米大統領選後の11月9日を機に、資金流出が大幅に加速していることだ。当選したトランプ氏が減税とインフラ投資という財政出動を通じて、景気を大いに刺激すると期待されるために米国株が急上昇し、中国に限らず世界の資金がニューヨーク・ウォール街に吸引される。
中国に対して強硬姿勢をとるトランプ氏にチャイナマネーがおびき寄せられ、トランプ政策に貢献するとは、習政権はここでも面目なしだが、もっと困ることがある。
グラフを見よう。米大統領選後、元安と市場金利上昇にはずみがついた。いずれも資金流出による。中国人民銀行は元暴落を避けるために外貨準備を取り崩し、ドルを売って元を買い上げるが、それでも元売り圧力はものすごく、元の下落に歯止めをかけられない。商業銀行の手元には元資金が不足するので、短期市場金利である銀行間金利が高騰する。すると、金融引き締め効果となって、莫大(ばくだい)な過剰設備を抱える国有企業を苦しめる。地方政府も不動産の過剰在庫を減らせない。企業や地方政府の債務負担、裏返すと銀行の不良債権は膨らむ一方だ。
トランプ政権発足を目前に、中国は経済で自滅の道に踏み出した。経済超大国としての要件を満たしていないのに、対外膨張を図ろうとしたからだ。 (産経新聞特別記者・田村秀男)>(以上)
記事
ビットコインをめぐる混乱が中国を中心に起きている。
2017年1月5日未明、ビットコインの対人民元相場は1BTC(ビットコイン)9000元に接近するまでに高騰したあと、あっという間に暴落、13日午前までに5100元台に落ち込んだ。ビットコインはボラリティの高いことで知られるが、最近の乱高下は人民元の不安定化と合わせ鏡のようになっている。この機会にビットコインと人民元の関係、そしてその未来について考えてみたい。
大暴落、聞き取り、立ち入り、詐欺報道…
この大暴落後の1月6日夜、中央銀行(人民銀行)の関係部門が公告を発表、ビットコイン交易プラットフォームの責任者に対してプラットフォーム運営状況について聞き取り調査するとのこと。OKコイン、ビットコイン中国、火幣ネットの3大交易プラットフォームの代表を呼び出して、ビットコイン交易において、無許可の信用貸付、支払い、為替取引などの関連業務を行っていないか、市場操作行為がなかったかどうか、資金洗浄制度に反する行為がなかったかどうか、資金安全に問題がないかどうか、などについて聞き取りを行った。さらに11日には、当局の監督管理部門が前出の3大交易プラットフォームに立ち入り検査を行った。また中央銀行は、「ビットコインは特定の仮想商品であり、法定通貨のような法的な保障性や強制性はない」という見解を再度強調した。
こうした立ち入り調査に続いて、ビットコイン詐欺事件の報道が続いた。
1月10日、北京商報によると、交易プラットフォームの一つ、ビットコインアジア閃電交易センターが1月5日までに突如閉鎖し、取引を停止。投資者から集めた1億元相当の資金を持ったまま連絡がつかない状況になった。同センターは9カ月前から、SNSの微信を通じて個人投資者を募り、資金を集めてビットコイン市場で運用し、一日あたり1.4%のリターンを約束していたという。元金はいつでも返金できるということだった。
同センターに350万元を投資していた男性が1月3日に利子の償還が滞っていることに気づき、元金を取り返そうとしたが、連絡がつかなくなったため、警察に通報した。同様の被害者は440人以上おり、警察は詐欺容疑で捜査を開始。また被害者は集団訴訟の準備をしているという。
ビットコインがなぜ高騰し暴落したか。
ビットコインは2017年1月1日から4日までの間、毎日10パーセント前後の上昇率で値上がりし、この3年の間で最高額に達した。
小金持ちが元の暴落を恐れ、元をつぎ込む
背景には人民元自身の問題もある。トランプ政権の登場で、中国経済の先行きの見通しがさらに悪くなり、人民元の大暴落が噂されていること。その噂によって、キャピタルフライトラッシュが加速し、外貨準備高が3兆ドルを切りそうなまでに急減していること。外貨準備高3兆ドルラインを守るために、中国の外貨管理が一層厳しくなって、庶民の不安をあおっていることなどがある。
例えば、中国では外貨の持ち出しは年間5万ドルに制限されている。その制限額自体に今のところ変化はないのだが、その持ち出しに対する理由証明が年末年始ごろから格別厳しくなった。持ち出し額が5万ドル以下であっても、個人外貨購入証明書にその用途が何であるか、証明書を添付しなければならない。また、海外の不動産、株式、生命保険といった投機性のあるものの購入には使わないという証明書も添付しなくてはいけないという。
これは中国人だけが対象ではなく、北京に駐在していた日本人が帰国に際して、中国の銀行に生活費用として預けていた数百万円の日本円ですら、使用目的が不明だ、という理由で送金をさし止められる例も聞いている。
こういう当局側の厳しすぎる外貨管理に、不穏なものを感じた中国の小金持ちたちは、ますます人民元大暴落は本当に起こり得ると心配になって、資産価値を守るために、人民元を、外貨管理規制対象になっていない仮想のビットコインにつぎ込んだのが、年末以来の高騰の理由だとみられている。
ここでビットコインについて今一度、簡単に説明しておこう。
博打好きの中国人の好みに合う?
P2Pのシステム、つまり中央のサーバを介さずに端末と端末のネットワークで取り引きされる仮想通貨で、2009年に誕生した。法定通貨のように中央銀行のような管理者は存在せず、国家的機関も関わらないので法的な補償性や強制性はないが、権力サイドによる為替操作や取引の追跡、偽札の問題もない。
中央支配機関が存在しない代わりに、ネットワーク参加者がその信用を担保する格好になっており、帳簿の管理は、ブロックチェーンと呼ばれる分散型のデータベースに取引の記録が維持されることで行われるという。ブロックチェーンに取引情報の書き込みと演算を行うマイニングという作業を行うマイニング企業、マイニンググループが存在し、その作業の報酬として新規のビットコインが受け取れる、という仕組みらしい。らしい、という言葉をあえて使うのは、私自身がビットコインを使っていないので、説明をいくら受けても、どういうものか、どうもピンと来ないからである。
マイニングというのは演算であるから、コンピューター設備と電気消費が必要になる。ビットコインが増え、取引が増えれば演算は複雑になり、マイニングもそれなりの企業・グル―プの規模が必要となる。このマイニングにかける時間は10分となっており、演算能力からの逆算によってビットコイン発行上限数は2100万以下と決まっているそうだ。ちなみにこの上限に達するのは2140年で、現在は1200万くらいが流通しているらしい。
2009年、ビットコインが登場したとき、1300BTCが1ドルの価値に相当した。ところがあれよあれよという間に急上昇し、2013年には1BTC=1200ドルとなった。
一方、2013年ごろから中国でもビットコイン交易がさかんになってきた。当初1BTC=110人民元程度だったが同年11月に1BTC=8000元近くにまで高騰した。この異様な高騰に、人民銀行は12月5日、「ビットコインは仮想商品であり、法定通貨のような法的保障性や強制性はもたない」と宣言し、金融機関がビットコインを取り扱うことを禁止。民間決裁機関に対しても利用しないように指導した。このため、1BTC=2700元台にまで暴落した。
しかしながら、この乱高下の大きさは、博打好きの中国人の好みに合った。しかも、2015年夏に中国の株式市場が大暴落して、その信用性が大失墜。不動産バブルは誰が見ても崩壊寸前。中国一般の小金持ちたちの資金は行き場を失っていたところだった。さらに2015年暮れに、人民元のSDR入りが決まると、誰もが人民元暴落を予想するようになり、資産価値防衛に誰もが頭を悩ませるようになった。こういった流れで、2000元台で比較的安定していたビットコインは2016年半ばごろから再び急騰してきたわけだ。
“地下換金システム”の役割も
中国の主だった決裁機関では、ビットコインは取り扱っていないものの、ビットコインは2100万BTCという上限がある総量固定の資産という意味で、中国人は金やダイヤのように投機性があると考え始めた。さらに、今のように外貨管理が厳しい状況では、ビットコイン交易は事実上の地下換金システムの役割もある。2013年の大暴落のときは、一部の専門的な投資家たちが主役だったが、今回の高騰の背景には、一般投資家から少額資金を集めて、一定のリターンを約束するビットコイン理財(資産運用)商品の増加もあった。
こうして、ビットコインが外貨流出の一つのルートになったことに当局が気づいたのと同時に、詐欺事件なども起こり、今回の中央銀行の公告、引き締めとなったわけだ。暴落は当局の動きを事前にキャッチした大手投機筋がビットコインの投げ売りをやったということもあるだろうし、その直前に行われた、人民元基準値の5年ぶりの切り上げを受けての反応という面もあるだろう。
人民元の切り上げについては、トランプ政権発足前に、少しでも人民元の安定を図ろうという思惑が指摘されている。
さて、では今後、ビットコインと人民元はどうなっていくのだろうか。
ビットコイン相場は、6000元台に戻っている。2013年の大暴落に比べると傷は浅いといえるし、中国人のビットコインに対する信頼度は、例えば2016年夏の株価乱高下の時の政府介入で傷つけられた上海株式市場への信頼度に比べればまだましなのかもしれない。
交易の9割、マイニング企業の7割が中国
目下、中央銀行は、ビットコイン管理を一括して行える第三者機関の設立について、業界関係者と討議しているらしく、おそらくはビットコインをうまく管理して、中国の利益を誘導したい考えかもしれない。
というのも、ビットコインの交易の9割は中国で行われており、マイニング企業の7割も中国企業が占めているという点では、もはやビットコイン相場を支配しているのは中国当局、人民元相場であるということも言えるのだ。
中国のマイニング企業の中には、ビル全体を演算用コンピューターと冷却装置に改造した施設をいくつも持っているような大企業も登場、月間1億8000万円相当のビットコインを採掘していた様子などをBBCが報じている。
ビットコインは特定の管理者がなく、ネットワークでその信用性を担保するというシステムが、「自由な通貨」としての可能性を示す壮大な実験だったが、採掘も交易も中国に集中している現段階では、中国当局の公告や人民元相場がビットコイン相場に連動する、あるいは翻弄される状況になっている。
仮に中国当局が今後、「第三者的」管理者を設立し、国内のビットコイン管理を一括するようになれば、これはビットコインに対する中国当局の管理、コントロールがさらに強まるということになるのではないだろうか。
1月16日のフェニックステレビで「ビットコインへの投資は黄金への投資よりも有利」といった市場分析を報じているところを見ると、中国当局としてはビットコインに対してはまだまだ期待を寄せているようでもある。国内の資産が海外の不動産や証券、保険商品に逃げるよりも、そのほとんどが国内で採掘され交易されているビットコインに流れる方が、中国にとってもまだまし、ということかもしれない。
いまだに偽札がATMから普通に出てくる人民元も、その人民元に翻弄されるビットコインも、その未来は、あんまり期待ができるという風には思えないのではあるが。
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