『トランプはなんとイスラム教徒にも大人気だった 日本では伝えられないアメリカの現実』(6/1JBプレス 部谷 直亮)について

本記事を読みますと、イスラム教徒の中でのトランプ支持者は①経済活性化②イスラムの教えに沿っていること③充実した医療保険を理由に挙げています。イスラム教徒は民主党支持者が多いので、数少ない共和党支持者の中でのトランプ支持者ですから総数はグッと少くなるのでは。でもトランプの支持率がヒラリーを抜いた記事もありました。ヒラリーはFBIの聴聞もあり、追い込まれています。また、サンダースが民主党候補になれない場合(特別代議員の存在もあり、サンダースが候補になることはないでしょう)、独立候補となる可能性もあります。共和党で独立して候補となる人はいません。ヒラリーにとっては苦難の道が続くと思います。

フィリピンのドウテルテの大統領就任は6/30ですが、大分発言も慎重になってきました。中国は南シナ海の問題で味方につけようといろんな工作を仕掛けるでしょうが、アキノ大統領のしてきた米軍の駐留、南シナ海領有権問題の国際司法裁判所の判決(ドウテルテ大統領就任前に判決が出る可能性もあり)は守るでしょう。6/1Newsweek記事では見出しが「ドゥテルテ次期フィリピン大統領 米国に依存せず」ですが、読みますと南シナ海については多国間協議を支持していますし、自主防衛の力を付けて行くというのは方向として正しいのでは。

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/06/post-5221.php

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2800W_Y4A420C1EAF000/

ドウテルテ同様、トランプも今後発言を軌道修正していくと思います。

日本の海外駐在特派員はロクな取材先を持っていないでしょう。せいぜい海外の新聞やTV、ネット記事を翻訳して、さも自分が調べたような顔をしているだけです。日高義樹氏のように取材先を持って自分のTV番組の中で放送できる人は稀です。トランプが大統領になるかもしれないので官民挙げての人脈作りをしていかないと。大統領にならなくても何かで役に立つでしょう。ビル・クリントンはアーカンソー州知事の時には日系企業を誘致して親日的でしたが、ブッシュ父から引き継いで大統領になったときに経済が悪化していたのと中国からの金で日本軽視の姿勢を取りました。日本の人脈作りが下手なせいです。ま、日本人は中国人のようにスマートに賄賂を贈ることは出来ませんから。ヒラリーが大統領になれば、中国宥和策を採るでしょう。

記事

Trump-12

米カリフォルニア州フレズノで開いた集会で演説する米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏(2016年5月27日撮影)。(c)AFP/Sandy Huffaker〔AFPBB News

 2015年12月、イスラム教徒を完全に入国禁止にすると宣言したトランプ候補。だが驚くべきことに、在米イスラム教徒団体が2016年3月に行った世論調査では、共和党系候補ではトランプ候補が最も支持を得ているという結果が出た。

 米国でもこの結果は意外感をもって受け止められたようで、トランプ候補を支持するイスラム教徒のグループなどへの各種インタビューが行われている。

 一体なぜトランプ候補がイスラム教徒から支持されているのか。実はその支持の背景にこそ、日本人の多くがトランプ旋風を読み違えてしまった原因がある。

最もイスラム教徒が支持する共和党候補

 米イスラム関係評議会協会(CAIR:Council on American – Islamic Relations)は、在米イスラム教徒の間では名の通った中立的で穏健な団体である。

 トランプ候補が「入国禁止宣言」を行った際にはすぐさま批判を行い、その後も幹部が、トランプ候補をはじめとする共和党候補を繰り返し批判している。

そのトランプ候補に批判的なCAIRが今年3月、全米のイスラム教徒1850人に世論調査を行った。その結果、最も支持する大統領候補は、第1位クリントン候補(47%)、第2位サンダース候補(25%)、第3位トランプ候補(11%)、第4位ルビオ候補(4%)、第5位クルーズ候補(2%)、第6位ケーシック候補(1%)となった。

 在米イスラム教徒の多くは民主党支持者(この調査でも67%が民主党支持、18%が共和党支持と回答)なので、クリントン候補、サンダース候補が首位を占めることは当然であろう。一方、米国内で議論を呼んだのは、トランプ候補が共和党候補で最も支持を集めたことである。トランプ候補のイスラム教徒入国禁止宣言やテロリストの家族も皆殺し発言を強烈に批判した、ルビオ、クルーズ、ケーシックの3候補はトランプに惨敗してしまったのだ。しかも、前二者は地元ですら負けている。CAIRがトランプに批判的な団体であることを考慮すると、まさに意外な調査結果であった。

 また、世論調査で定評のあるギャラップ社の調査でも、CAIRとほぼ同様にトランプ候補は在米イスラム教徒の13%から支持を得ている。

支持の理由は経済と社会保障への対応

 なぜトランプ候補はイスラム教徒から支持を受けるのか。その大きな理由は経済と社会保障への対応である。

 CAIRの世論調査で共和党支持のイスラム教徒に「大統領選挙の候補者選びで最も重要な論点は何か」と尋ねたところ、第1位に経済(38%)、第2位はイスラム教徒への差別(14%)、第3位は医療(12%)、第4位は外交(10%)となった。

 要するに、1兆円を超える資産を稼ぎ出した経営者としての実績を持ち、国内経済再建を強烈に掲げるトランプ候補に、経済問題を重視するイスラム教徒たちの支持が集まっているのである。

 実際に、サジド・タラルという在米イスラム教徒によるトランプ後援会会長は、「トランプが支持されている理由は経済」だと言う。トランプ候補の小さな政府、ビジネス推進政策、財政政策こそが、米国を経済的混乱から救うことができると話す。

 CAIRの行政関連業務マネージャーを務めるロバート・マッカウもCNNの取材に対し、「イスラム教徒でトランプを支持する人間の大部分は、中小企業経営者のための減税などの経済政策に引き寄せられている」と指摘している。

 また、トランプ候補は共和党候補では珍しいことに、オバマ大統領が推進してきた国民皆保険制度に好意的である。彼は、「オバマケアよりも素晴らしい皆保険制度を実現させる」と主張しており、これが医療の充実を願うイスラム教徒の願いに叶っているのだろう。

共和党とトランプ候補はイスラム的価値観を体現している

 各誌が行った、イスラム教徒へのインタビュー等からも興味深い結果が出ている。

 イスラム教徒による共和党系団体「共和党イスラム教徒連合」の代表を務めるパキスタン系米国人で女性弁護士のサバ・アハメドは、USAトゥデイ誌のインタビューで以下のように語っている。

「自分は2011年までは民主党員だった。だが、よくよく考えれば共和党にこそイスラムの価値観があると思い、共和党員になった。すなわち、中絶反対、反同性婚、伝統的な家族制の維持、自由経済および貿易の推進である。イスラムの価値観はまさしく(米国の)保守主義と重なる。

 トランプ候補は、最終的にはイスラム教徒入国禁止政策を撤回するだろう。実際、つい最近、彼は入国禁止政策を“単なる提案”だと言っている。自分は、共和党候補者が誰でも気にせずに支持し、他の在米イスラム教徒にも支持を呼びかけるつもりだ」

 つまり、トランプ候補の問題発言は選挙戦で注目を浴びて勝つためのレトリックに過ぎない、共和党こそイスラムの価値観と親和性があるから支持する、というのがアハメド氏の主張である。

3人のイスラム教徒たちへのインタビュー

 またタイム誌は、CAIRの調査を受けて、トランプを支持する3人のフロリダ在住のイスラム教徒にインタビューを実施した。これらのインタビューも、イスラム教徒たちがなぜトランプを支持するのかを雄弁に語っている。

 まず、37歳の無党派層のアダム・ウォーシャワーは、次のようにトランプ支持の理由を話す。

「トランプ候補は、別にイスラム教徒が嫌いだから入国禁止を提案したのではない。ただ、テロを防ぎたいからそう言っているに過ぎない。私はイスラム教徒として、テロを食い止めるためにトランプ候補を支持する。

 自分は別にトランプ信者というわけではなく、単なるリアリストだ。彼が勝つのであれば、イスラム教徒のために最も良い政策を行ってもらうよう支えたい。イスラム教徒の自分が彼を支持することが、イスラム教徒にとって良き変化をもたらす」

 1990年にシリアから移民した小切手換金サービス会社の社長のオマル・アルカディリ(52歳)も熱心なトランプ支持者である。アルカディリは次のように語る。

「自分はこれまでクリントンやオバマ大統領に投票してきた。しかし、オバマ大統領の下で、経済は悪化した。トランプの反イスラム教徒発言を聞いて最初は悩んだが、もっと大事な問題は経済であるとの結論を得た。

 トランプの反イスラム教徒宣言は選挙戦における炎上戦法でしかない。アメリカの熱狂しやすい人々に向けたエンターテイメントみたいなものだ」という。

 3人目は、パレスチナ移民の子供で、現在はプリペイド携帯会社の支店を複数経営するラエド・ハマダーンである。ハマダーンは「パレスチナ和平を重視する唯一の候補」としてトランプ候補を支持している。

「トランプ候補はメキシコの壁の建設やイスラム教徒の追放を唱えているが、実際には投票なくしては行えないから実現不可能だ。オバマ大統領がグアンタナモ収容所を閉鎖したいと言いながらいまだにできていないのと同じことだ。

 自分は、好戦的な共和党と違って戦争を回避するオバマ大統領を支持してきた。しかし、民主党は税金を経営者からたくさん徴収するばかりで支持できない。共和党ならば、経営者にもより公正な税制にしてくれる」

 以上のように、トランプを支持するイスラム教徒たちは、オバマ大統領の経済手腕に絶望すると同時に、トランプの過激な言動を冷静に分析して期待をかけている。そして、彼らは、先のサバ・アハメド弁護士と同様に、自らが支持を表明し応援していくことが、トランプ候補のイスラム教徒への好意的な反応につながると考えている。

 要するに、イスラム教徒たちは極めてリアリスティックな立場からトランプ候補に期待しているのである。

アメリカの現実を無視している日本の分析

 筆者は昨年末より様々な研究会でトランプ候補優勢を主張してきた。だが、多くは「トランプが大統領になったら高級焼肉を奢る(笑)」という反応であった。現在もマスメディアでは「最後はヒラリーが勝つ」という論調が大勢を占める。

 なぜ日本では、こうした現実を無視する分析が横行するのだろうか。

 その大きな原因は、上記のような選挙戦の帰趨を決定する草の根の支持層の声を軽視してきたからであろう。実際、選挙戦初期の日本のメディアの「ブッシュが勝利する」という分析も、共和党のエリート層に属する人間からの伝聞情報を根拠とし、ティーパーティー(茶会)運動のような市民運動には目を向けていなかった。

 しかし、もはや米国政治(特に共和党内部)は、一部の既得権益を重視するエリート層の手を離れつつある。しかも、ややこしいのは、このエリート層には、これまでの草の根運動を主導してきたはずの「保守派」も、今や含まれているということである。

 要するに、旧来のエリート層や「保守派」に期待しない、減税と自由競争に基づく経済政策を重視する草の根の一般市民たちが影響力を行使する時代に入っているのだ。

 トランプ候補が、エリート層が少なく、既得権益化した「保守派」にも入れない在米イスラム教徒の支持を受けているというのは、そうした時代の変化を象徴していると言えよう。そして、そこにこそ、トランプ旋風を日本が理解できず予測もできなかった原因があるのである。

(*)CAIRの世論調査については、早稲田大学公共政策研究所地域主権研究センター招聘研究員の渡瀬裕哉氏から貴重な助言を頂戴しました。ここに深く御礼を申し上げます。

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『G7とオバマ広島訪問、中国「日本猛攻」の意味 安倍式「歴史の乗り越え方」が中国を焦らせる』(6/1日経ビジネスオンライン 福島香織)について

中国人は自分が都合悪くなると、すぐに論理のすり替え、百年前のことを持ち出すなどして誤魔化そうとします。不合理精神そのものですが、「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という国柄ですから。でも非難の仕方は相変わらずで、朝鮮半島と同じで下品です。中華・小中華というのは如何に徳のない民族かという事です。エリザベス女王に“rude”と言われるのは当り前です。礼儀を知りませんので。孔子がいくら徳を教えようとしても誰も守ろうとしなかった国です。中国の歴史は虐殺の歴史なのに、デッチアゲの南京事件を言い立てるのは面の皮が厚すぎでしょう。而も共産中国の建国の父・毛沢東は文革時、批林批孔を煽動して紅衛兵に人にあるまじきことをさせました。それが今では孔子学院を世界中に作り、中国語を教えるというのですから。ご都合主義の最たるものです。

本記事の中で、中国のメデイアは「サミット、オバマの訪広が今度の参院選対策」というのですから、選挙もしてない国に難癖をつけられる覚えはないという気にさせられます。悔しかったら選挙して見れば良いのに。出来ないのであれば、黙っているべきと思うのですが、そうできない所に性が出るのでしょう。オバマの訪広は日本が望んだことではないのは、日本の新聞記事、ネットを読めばわかること。日本に多くのスパイを送り込んでいる中国が知らないはずがありません。都合の悪い情報は知らん振りします。

9月のG20は楽しみです。中国は日本を悪者とする絵を描こうとするでしょうが、せいぜい味方は韓国くらいのものでしょう。それだって米国から圧力をかけられれば分かりません。逆に中国が孤立を深めるのではと。議事国の纏め方が楽しみです。

記事

Abe and OBama in Hiroshima

歴史を乗り越えようとする日米に、中国は焦りを募らせる(写真:代表撮影/AP/アフロ)

 8年ぶりの日本でのG7に続いて、オバマ米大統領の広島訪問と、先週の日本は国際ニュースが盛りだくさんであった。しかも、いずれも中国が影の主役であったといえる。ただ8年前は、リーマンショック直後に世界から経済の救世主として期待された中国の存在感とは裏腹に、今回はむしろヒール(悪役)であった。中国の反応から、サミットとオバマ広島訪問を見てみたい。

日本が「悪知恵」で対中包囲網

 G7の首脳宣言では中国を名指しこそしなかったが、国家が国際法に基づき力や威圧を用いないこと、平和的な手段による紛争解決を追求することの重要性を再確認し、東シナ海、南シナ海における状況を懸念し、紛争の平和的管理、解決の根本的な重要性を強調した。

 これに対し中国外交部報道官は27日の定例記者会見で、強烈な反発を表明。「今回の日本が主催するG7サミットは、南シナ海問題を煽り、緊張情勢を拡大させ、南シナ海の安定に不利益をもたらした。G7は先進国の経済問題を話し合うプラットフォームと名乗るにふさわしくない。中国側はG7のやり方に対して強烈な不満を示す」と日本を名指しする形で抗議した。

 さらに30日の記者会見では、「中国が南シナ海で展開している活動は完全に主権範囲内のことで、正当合法であることは議論の余地がない。中国は南シナ海の航行・飛行の自由もしっかり維持している。しかし“航行の自由と自由の横行は同じではない”。中国は個別の国家が航行の自由という建前で中国を悪者にすることには断固反対する」と訴え、G7拡大会議でも中国へのけん制を念頭に海洋問題が議論されたことについては、「会議で何を討論しようとも、他国の利益を損なうことはすべきではなく、地域の緊張を刺激すべきでもない」と批判した。

 安倍晋三首相は記者会見上、一言も中国という国名を言わず、南シナ問題については、2014年のアジア安全保障会議上で提出された三原則、つまり①国際法に基づき主張する②力や威圧を用いない③平和的解決を徹底する、を繰り返しただけである。表現上は決して中国を特別挑発するようなものではないのだが、一部中国メディアは「G7は安倍が“夾帯私貨”(ヤミ商品を紛れ込ませることを)している」という言い方で、いかにもホスト国の日本が悪知恵をめぐらして、G7の本来の議題とは関係のない南シナ海の問題を強引に議題のテーブルに乗せて、対中包囲網を形成したのだ、と日本に対する苛立ちを募らせている。

南シナ海問題以外についても、中国メディアはおおむね酷評しており、「G7モデルは、西側国家が世界経済の舞台上、圧倒的優勢を占めるために作られたのであり、中国、インド、ブラジルなどの新興国が彼らに背を向けて発展し始めた今日、G7サミットはすでに政治的回顧録に過ぎず、政治そのものになりえない」「内容のないショーだ」(中国金融報)、「会議の議題は空疎で、対立は明らかで、成果は乏しく、しかもホスト国の日本がたえず議題を偏向させている」「G7の影響力は日増しに衰退し、世界経済における役割はすでに過去のもの」(中国社会科学報)などとG7オワコン説を力説している。

「G7よりG20」「南京を忘れるな」

 もちろん、9月に中国がホストとなって浙江省杭州で開かれるG20こそが、グローバルな問題の討論と解決のプラットフォームであるということが言いたいがための文脈だ。

 「G20があるのに、G7はまだ必要なのか」というタス通信の報道などを引用して、南シナ海から世界経済減速まで、世界の諸問題の原因となっている中国が参与していないG7ではなく、中国が重視するG20がグローバルメカニズムの核となるのだと訴えている。

 G7に続く、米大統領オバマの広島訪問についても、思いっきり難癖をつけている。

 27日に外相の王毅が記者会見上で「広島は注目に値するが、南京はさらに忘れてはならない。犠牲者に同情することも大切だが、加害者は、永遠にその責任から逃れることができないのだ」と“過去の侵略戦争発動者”日本に釘を刺した。

 華僑系通信社中国新聞社は「やってきたよ、でも謝らない:オバマの広島訪問に日本は満足なのか?」というタイトルで、これがオバマの在任期間のロスタイムの政治ショーにすぎないと揶揄した。

 さらに「非核化を推進できるのか、日米同盟を強化できるのか、アジアリバランス政策に多少寄与するのか、あるいは日本の侵略行為の罪を淡化させるという安倍の望みをかなえ、7月の選挙のプラス材料となるのか。我々は目をこすって待ってみよう」「かつて非核化推進努力によりノーベル平和賞を受賞したオバマがもっとも気にしているのは残りの在任期間が多くない状況下で、“非核世界”の理想実現のために努力して見せる。それが自分により多くの政治遺産を残すことになる。…安倍にしてみれば、オバマの広島訪問は日本の第二次大戦下での侵略暴行の記憶を淡化させることに役立つ。表面上は世界に核兵器の廃絶を呼びかけるためとしながら、実際は自分たちが第二次大戦の被害者であるイメージを打ち出して、日本が侵略戦争を発動した責任と他国に与えた損害の記憶を薄れさせようということだ」などと、日米の狙いを分析している。

 さらに、次期大統領選の共和党候補ドナルド・トランプが「(オバマが日本訪問中)なぜ真珠湾奇襲作戦について質問しないんだ」と28日にツイッター上でつぶやいたことなどを引用し、日本が戦争被害者でなく加害者であることを改めて強調した。

米国の戦闘能力はピーク時の半分

 またシンガポールのストレーツタイムズ紙を引用する形で、米国のレームダックを印象付けようとしている報道もある。

 「オバマは広島で日本に謝罪はしなかったものの日本にごまをすったことは明白である。これは傲慢なアメリカ合衆国とオバマさんが一夜にして良心に目覚め、日本と対等なパートナーシップを結ぶことを決めたのか? もちろん違う。日米間のパワーバランスはすでに巨大な変化が生じている。米国経済は日増しに衰弱し、オバマは世界覇権維持を軍事力にますます頼らざるを得なくなっているが、その軍事力もまた、経済基礎の上に建設されている。いまや、米軍の戦闘能力は、ピーク時の50パーセント前後である。この米軍の実力的凋落は何なのか。間違いなく、米国のグローバル覇権がいよいよ終焉の時を迎えているサインである」

 「オバマはこの脆さ極まりない世界覇権の地位のため、軍事同盟の関係上、日本にすり寄らねばならないのだ。もちろん安倍は鋭敏にこのオバマの本音をかぎ取っている。米国が日本を必要としている以上に、日本も米国がさらに必要である。…(オバマに広島にG7のついでに立ち寄るよう頼むのは)オバマ大統領が謝罪をすれば一番良いが、謝罪をしなくとも、オバマが来れば、それは一つの態度なのである。オバマが広島に謝罪に来た、というふうに読み取ってよいのだ。安倍は虚栄心とメンツを大いに満足させたことだろう。オバマは何を得たのか? 屈辱以外に? 実際、米国はこんなところまでやってきて、実質なにもよいことはないのである」(中華ネット論壇)

 以上の論評は、外国メディアを引用する形も含めて、かなり中国の本音に迫っているのだと思う。そしてサミットとオバマ広島訪問の成果とは何かを考えるとき、中国の批判の裏側を読めばだいたい当たっているだろう。グローバル経済の問題に対応するとき、G7ではいまひとつ影響力が持てないということもある意味、当たっている。だが今回、注目するべきは国際社会のパワーバランスにおける日本の存在感を中国がかなり意識してくれているということだろう。

 中国は、今回のサミットにしろ広島訪問にしろ、安倍が仕組んだと批判している。中国包囲網でG7とアジア・アフリカ7カ国の結束を固めることに成功し、オバマ広島訪問で米国のレームダックと日本と米国の関係性の変化を国際社会に印象づけた。さらに中国や韓国などとの“歴史情報戦”に一矢報いた。

中韓とは異なる、歴史の乗り越え方を示す

 習近平政権の当初の外交シナリオの中に、日本が“歴史修正主義者”で軍国主義復活を狙っているという間違ったイメージを国際社会の中で広め、日米離反、日本孤立を画策しようというものがあった。日米離反政策は、結果的に習近平がオバマを侮りすぎたことで失敗、米国はむしろ対中警戒を強めて日米同盟が強化される格好になるのだが、その流れに乗じて今回、日本は“過去の戦争の被害者と加害者の和解と未来志向”というものを演出してみせて、過去の戦争の被害者として延々に謝罪を求め続ける中国や韓国にあてつけて見せたのである。

 このことは、いまや国際政治の一つの重要カードとなっている歴史情報戦において、中国が言うように、日本の侵略戦争イメージを薄れさせると同時に、いつまでも過去の戦争の恨みにこだわっている中韓の心の狭さと対比するかたちで、日本という国の歴史の乗り越え方を示すことができたのだ。

安全保障のバランス、再考を

 今回のオバマ広島訪問に関する中国の批判(指摘)の中で、私が一番、なるほどと感心したのは、米国の軍事力衰退の象徴と捉えていることである。米大統領広島訪問の意義としては、日米関係の緊密化アピールによる対中牽制以外に、単純にノーベル平和賞を受賞したオバマが大統領としての最後の花道に広島を選んだのだろうというぐらいにしか考えていなかったのだが、ここは中国の見立てが当たっているだろう。

 日本では、この訪問時期にあわせて共同通信が実施した全国電話世論調査で、日米地位協定を「改定すべきだ」との答えが71パーセントに上った。もちろん、元米海兵隊員の軍属が逮捕された沖縄女性遺棄事件の衝撃が大きな要因ではあるが、この大統領広島訪問も影響があるだろう。軍事大国として圧倒的強者として日本の安全保障を預かってきた米国の大統領が、謝罪の言葉こそ口にしなかったが、かつての虐殺現場を訪れて献花したわけである。

 米国は日本に対して圧倒的強者から、等身大のパートナー国の立場に自ら降りてきて、日本の気持ちに配慮を示そうとしている。米国はかつてほど威圧的でも傲慢でもなくなったが、かつてほど強くもない。ということならば、日本の安全保障のバランスも再考せねばなるまい、という気持ちにさせられるではないか。

 オバマの次の大統領が誰なのかにもよるが、世界がここまできな臭く、南シナ海から東シナ海にかけての緊張がかつてなく高まっている状況で、米国の軍事的実力が落ちているというならば、従来の日米地位協定を変えていこうという流れになるのは当然かもしれない。

中国の非難が示す安倍外交の成果

 “戦後レジームの脱却”を公言していた安倍政権が、それどころか、日米安保強化に動いたという点を批判する声は保守層の間でも起きているが、その日米同盟のパワーバランスが少しずつであるが変化している流れを考えると、やはり安倍外交の根っこにはぶれがないという気がする。

 G7サミットについても、米大統領広島訪問についても、中国がここまで真剣に“安倍のたくらみ”として批判してくるということは、安倍外交としてはかなりの成功だと自信を持っていいということだろう。もちろん、消費増税延期という内政問題にサミットを利用した感などもあるのだが、外交を内政に利用することが悪いというわけではない。

 世界はいま戦後長らく固定されてきた枠組みや秩序から、少しずつ変化しようとしている。主なプレイヤーは米国と中国、あるいはロシアだと思われているが、日本もかなりの存在感をここにきて見せるようになってきたではないか。次はG20で中国のお手並み拝見である。

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『米投資ファンド、中国の不良債権処理に参入 』について(5/30日経)

本記事の債務は小さすぎでしょう。中国は都合の悪い数字は低く発表しますので。宮崎正弘氏のメルマガにも中国の債務はトータルでGDPの320%、30兆$(3300兆円)とヘッジファンドは読んでいるとのこと。中国の発表している数字は融資平台のノンバンクの数字は入っていないのかも知れませんが、それにしても少なすぎの印象があります。

http://melma.com/backnumber_45206_6373694/

実需を無視して建物を作った後には何が残るかと言うと、宴の後の借金と廃墟でしょう。紙幣の増刷で乗り切れるかどうかです。ハイパーインフレになるのでは。そうなれば、共産党は打倒されるでしょう。幹部は亡命、でも預金情報を押えている米国に差押えされるかもしれません。借金の返済に充てられるかも。

ハゲタカのKKRが損をすることはしないと思います。安く買い叩いて、高く売り抜ける目算があるのでしょう。ただ、中国の土地の所有権は共産党が握っています。居住用70年、工業用地50年の使用権だけを切り売りしています。この年限を利用して儲けるのかどうか?やり方は想像できません。

「招商銀行が不良債権の証券化に踏み切った」と言うのは、リーマンの轍を踏むということでしょう。サブプライムで腐った林檎も入れて証券化して、世界的にその証券を買った国や銀行は損しました。そのような証券を中国以外の国が買うことはないでしょう。損するのが分かっていますので。花見酒の経済になるのでは。

記事

 【上海=張勇祥】米国の有力投資ファンドが相次ぎ中国の不良債権処理ビジネスに参入している。オークツリー・キャピタルが北京の不動産に投資したほか、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)は中国国有の資産管理会社(AMC)と提携した。中国では景気減速に伴い不良債権が急増している。当局は海外勢の資金を導入し、最終処理を急ぐ考えだ。

condo in Beijing

10年間、建設が止まったままの住宅群(5月、北京)=AP

 オークツリーは2015年に第1弾となる不良資産買い取りを実施したほか、「北京で商業用不動産のプロジェクトに関与している」という。地方都市の不動産への投資は検討せず、上海や北京など大都市圏での投資機会を探るとしている。

 KKRは中国国有の不良債権処理会社、「中国東方資産管理」と共同出資会社の設立で合意した。KKRで中国地区の代表を務める劉海峰氏は「投資先に必要な資本とノウハウを提供する」という。同社は中国の不良債権の多くは不動産が担保になっていると指摘しており、不動産を活用した最終処理を模索するとみられる。

 ゴールドマン・サックスは現時点では残高はないが、北京の拠点を通じ投資機会を探っている。中国では1997年のアジア通貨危機を契機に、大きく膨らんでいた不良債権処理を本格化した経緯がある。中国当局は政府出資でAMCを設立、国有銀行の不良債権を分離して買い取ったほか、ゴールドマンなど海外の投資銀行に債権を売却した。

bad loan in China

 ゴールドマンは国有商業銀行の一角である中国工商銀行のほか、複数のAMCから総額200億元(約3300億円)規模の不良債権や関連資産を買い取った実績があるとされる。ゴールドマンは工商銀にも出資、香港市場などへの上場を支援した経緯があり、過去の実績を生かせると判断しているようだ。

 このほか、ローンスターは国有AMCの一つである「中国華融資産管理」に接触。不良債権ビジネスでの提携を模索している。ローンスターは華融だけでなく、複数の金融機関と協議しているとみられる。

 海外の投資ファンドが相次ぎ中国に進出する背景には、金融機関が巨額の不良債権を抱え、かつ最終処理を急いでいることがある。中国の商業銀行の不良債権残高は16年3月末時点で1兆3921億元と1年前に比べ42%も増加した。

 このほか、不良債権に分類していないものの、将来の元利払いにリスクがある「関注類」と呼ぶ債権が3兆2000億元にのぼる。中国は1~3月期の実質経済成長率が6.7%と7年ぶりの低水準にとどまり、鉄鋼や石炭、造船業などで債務不履行が相次いでいる。中国政府は過剰な生産能力や人員を抱える企業の淘汰を進める方針で、不良債権は今後も増加が続く公算が大きい。

 中国の銀行も最終処理を加速しており、5月には国有大手の中国銀行のほか、招商銀行が不良債権の証券化に踏み切った。銀行の資産内容の劣化を放置すれば金融システムへの信認が揺らぎかねず、中国当局は政府主導で不良債権対策を進める考えだ。

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