『トランプはなんとイスラム教徒にも大人気だった 日本では伝えられないアメリカの現実』(6/1JBプレス 部谷 直亮)について

本記事を読みますと、イスラム教徒の中でのトランプ支持者は①経済活性化②イスラムの教えに沿っていること③充実した医療保険を理由に挙げています。イスラム教徒は民主党支持者が多いので、数少ない共和党支持者の中でのトランプ支持者ですから総数はグッと少くなるのでは。でもトランプの支持率がヒラリーを抜いた記事もありました。ヒラリーはFBIの聴聞もあり、追い込まれています。また、サンダースが民主党候補になれない場合(特別代議員の存在もあり、サンダースが候補になることはないでしょう)、独立候補となる可能性もあります。共和党で独立して候補となる人はいません。ヒラリーにとっては苦難の道が続くと思います。

フィリピンのドウテルテの大統領就任は6/30ですが、大分発言も慎重になってきました。中国は南シナ海の問題で味方につけようといろんな工作を仕掛けるでしょうが、アキノ大統領のしてきた米軍の駐留、南シナ海領有権問題の国際司法裁判所の判決(ドウテルテ大統領就任前に判決が出る可能性もあり)は守るでしょう。6/1Newsweek記事では見出しが「ドゥテルテ次期フィリピン大統領 米国に依存せず」ですが、読みますと南シナ海については多国間協議を支持していますし、自主防衛の力を付けて行くというのは方向として正しいのでは。

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/06/post-5221.php

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2800W_Y4A420C1EAF000/

ドウテルテ同様、トランプも今後発言を軌道修正していくと思います。

日本の海外駐在特派員はロクな取材先を持っていないでしょう。せいぜい海外の新聞やTV、ネット記事を翻訳して、さも自分が調べたような顔をしているだけです。日高義樹氏のように取材先を持って自分のTV番組の中で放送できる人は稀です。トランプが大統領になるかもしれないので官民挙げての人脈作りをしていかないと。大統領にならなくても何かで役に立つでしょう。ビル・クリントンはアーカンソー州知事の時には日系企業を誘致して親日的でしたが、ブッシュ父から引き継いで大統領になったときに経済が悪化していたのと中国からの金で日本軽視の姿勢を取りました。日本の人脈作りが下手なせいです。ま、日本人は中国人のようにスマートに賄賂を贈ることは出来ませんから。ヒラリーが大統領になれば、中国宥和策を採るでしょう。

記事

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米カリフォルニア州フレズノで開いた集会で演説する米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏(2016年5月27日撮影)。(c)AFP/Sandy Huffaker〔AFPBB News

 2015年12月、イスラム教徒を完全に入国禁止にすると宣言したトランプ候補。だが驚くべきことに、在米イスラム教徒団体が2016年3月に行った世論調査では、共和党系候補ではトランプ候補が最も支持を得ているという結果が出た。

 米国でもこの結果は意外感をもって受け止められたようで、トランプ候補を支持するイスラム教徒のグループなどへの各種インタビューが行われている。

 一体なぜトランプ候補がイスラム教徒から支持されているのか。実はその支持の背景にこそ、日本人の多くがトランプ旋風を読み違えてしまった原因がある。

最もイスラム教徒が支持する共和党候補

 米イスラム関係評議会協会(CAIR:Council on American – Islamic Relations)は、在米イスラム教徒の間では名の通った中立的で穏健な団体である。

 トランプ候補が「入国禁止宣言」を行った際にはすぐさま批判を行い、その後も幹部が、トランプ候補をはじめとする共和党候補を繰り返し批判している。

そのトランプ候補に批判的なCAIRが今年3月、全米のイスラム教徒1850人に世論調査を行った。その結果、最も支持する大統領候補は、第1位クリントン候補(47%)、第2位サンダース候補(25%)、第3位トランプ候補(11%)、第4位ルビオ候補(4%)、第5位クルーズ候補(2%)、第6位ケーシック候補(1%)となった。

 在米イスラム教徒の多くは民主党支持者(この調査でも67%が民主党支持、18%が共和党支持と回答)なので、クリントン候補、サンダース候補が首位を占めることは当然であろう。一方、米国内で議論を呼んだのは、トランプ候補が共和党候補で最も支持を集めたことである。トランプ候補のイスラム教徒入国禁止宣言やテロリストの家族も皆殺し発言を強烈に批判した、ルビオ、クルーズ、ケーシックの3候補はトランプに惨敗してしまったのだ。しかも、前二者は地元ですら負けている。CAIRがトランプに批判的な団体であることを考慮すると、まさに意外な調査結果であった。

 また、世論調査で定評のあるギャラップ社の調査でも、CAIRとほぼ同様にトランプ候補は在米イスラム教徒の13%から支持を得ている。

支持の理由は経済と社会保障への対応

 なぜトランプ候補はイスラム教徒から支持を受けるのか。その大きな理由は経済と社会保障への対応である。

 CAIRの世論調査で共和党支持のイスラム教徒に「大統領選挙の候補者選びで最も重要な論点は何か」と尋ねたところ、第1位に経済(38%)、第2位はイスラム教徒への差別(14%)、第3位は医療(12%)、第4位は外交(10%)となった。

 要するに、1兆円を超える資産を稼ぎ出した経営者としての実績を持ち、国内経済再建を強烈に掲げるトランプ候補に、経済問題を重視するイスラム教徒たちの支持が集まっているのである。

 実際に、サジド・タラルという在米イスラム教徒によるトランプ後援会会長は、「トランプが支持されている理由は経済」だと言う。トランプ候補の小さな政府、ビジネス推進政策、財政政策こそが、米国を経済的混乱から救うことができると話す。

 CAIRの行政関連業務マネージャーを務めるロバート・マッカウもCNNの取材に対し、「イスラム教徒でトランプを支持する人間の大部分は、中小企業経営者のための減税などの経済政策に引き寄せられている」と指摘している。

 また、トランプ候補は共和党候補では珍しいことに、オバマ大統領が推進してきた国民皆保険制度に好意的である。彼は、「オバマケアよりも素晴らしい皆保険制度を実現させる」と主張しており、これが医療の充実を願うイスラム教徒の願いに叶っているのだろう。

共和党とトランプ候補はイスラム的価値観を体現している

 各誌が行った、イスラム教徒へのインタビュー等からも興味深い結果が出ている。

 イスラム教徒による共和党系団体「共和党イスラム教徒連合」の代表を務めるパキスタン系米国人で女性弁護士のサバ・アハメドは、USAトゥデイ誌のインタビューで以下のように語っている。

「自分は2011年までは民主党員だった。だが、よくよく考えれば共和党にこそイスラムの価値観があると思い、共和党員になった。すなわち、中絶反対、反同性婚、伝統的な家族制の維持、自由経済および貿易の推進である。イスラムの価値観はまさしく(米国の)保守主義と重なる。

 トランプ候補は、最終的にはイスラム教徒入国禁止政策を撤回するだろう。実際、つい最近、彼は入国禁止政策を“単なる提案”だと言っている。自分は、共和党候補者が誰でも気にせずに支持し、他の在米イスラム教徒にも支持を呼びかけるつもりだ」

 つまり、トランプ候補の問題発言は選挙戦で注目を浴びて勝つためのレトリックに過ぎない、共和党こそイスラムの価値観と親和性があるから支持する、というのがアハメド氏の主張である。

3人のイスラム教徒たちへのインタビュー

 またタイム誌は、CAIRの調査を受けて、トランプを支持する3人のフロリダ在住のイスラム教徒にインタビューを実施した。これらのインタビューも、イスラム教徒たちがなぜトランプを支持するのかを雄弁に語っている。

 まず、37歳の無党派層のアダム・ウォーシャワーは、次のようにトランプ支持の理由を話す。

「トランプ候補は、別にイスラム教徒が嫌いだから入国禁止を提案したのではない。ただ、テロを防ぎたいからそう言っているに過ぎない。私はイスラム教徒として、テロを食い止めるためにトランプ候補を支持する。

 自分は別にトランプ信者というわけではなく、単なるリアリストだ。彼が勝つのであれば、イスラム教徒のために最も良い政策を行ってもらうよう支えたい。イスラム教徒の自分が彼を支持することが、イスラム教徒にとって良き変化をもたらす」

 1990年にシリアから移民した小切手換金サービス会社の社長のオマル・アルカディリ(52歳)も熱心なトランプ支持者である。アルカディリは次のように語る。

「自分はこれまでクリントンやオバマ大統領に投票してきた。しかし、オバマ大統領の下で、経済は悪化した。トランプの反イスラム教徒発言を聞いて最初は悩んだが、もっと大事な問題は経済であるとの結論を得た。

 トランプの反イスラム教徒宣言は選挙戦における炎上戦法でしかない。アメリカの熱狂しやすい人々に向けたエンターテイメントみたいなものだ」という。

 3人目は、パレスチナ移民の子供で、現在はプリペイド携帯会社の支店を複数経営するラエド・ハマダーンである。ハマダーンは「パレスチナ和平を重視する唯一の候補」としてトランプ候補を支持している。

「トランプ候補はメキシコの壁の建設やイスラム教徒の追放を唱えているが、実際には投票なくしては行えないから実現不可能だ。オバマ大統領がグアンタナモ収容所を閉鎖したいと言いながらいまだにできていないのと同じことだ。

 自分は、好戦的な共和党と違って戦争を回避するオバマ大統領を支持してきた。しかし、民主党は税金を経営者からたくさん徴収するばかりで支持できない。共和党ならば、経営者にもより公正な税制にしてくれる」

 以上のように、トランプを支持するイスラム教徒たちは、オバマ大統領の経済手腕に絶望すると同時に、トランプの過激な言動を冷静に分析して期待をかけている。そして、彼らは、先のサバ・アハメド弁護士と同様に、自らが支持を表明し応援していくことが、トランプ候補のイスラム教徒への好意的な反応につながると考えている。

 要するに、イスラム教徒たちは極めてリアリスティックな立場からトランプ候補に期待しているのである。

アメリカの現実を無視している日本の分析

 筆者は昨年末より様々な研究会でトランプ候補優勢を主張してきた。だが、多くは「トランプが大統領になったら高級焼肉を奢る(笑)」という反応であった。現在もマスメディアでは「最後はヒラリーが勝つ」という論調が大勢を占める。

 なぜ日本では、こうした現実を無視する分析が横行するのだろうか。

 その大きな原因は、上記のような選挙戦の帰趨を決定する草の根の支持層の声を軽視してきたからであろう。実際、選挙戦初期の日本のメディアの「ブッシュが勝利する」という分析も、共和党のエリート層に属する人間からの伝聞情報を根拠とし、ティーパーティー(茶会)運動のような市民運動には目を向けていなかった。

 しかし、もはや米国政治(特に共和党内部)は、一部の既得権益を重視するエリート層の手を離れつつある。しかも、ややこしいのは、このエリート層には、これまでの草の根運動を主導してきたはずの「保守派」も、今や含まれているということである。

 要するに、旧来のエリート層や「保守派」に期待しない、減税と自由競争に基づく経済政策を重視する草の根の一般市民たちが影響力を行使する時代に入っているのだ。

 トランプ候補が、エリート層が少なく、既得権益化した「保守派」にも入れない在米イスラム教徒の支持を受けているというのは、そうした時代の変化を象徴していると言えよう。そして、そこにこそ、トランプ旋風を日本が理解できず予測もできなかった原因があるのである。

(*)CAIRの世論調査については、早稲田大学公共政策研究所地域主権研究センター招聘研究員の渡瀬裕哉氏から貴重な助言を頂戴しました。ここに深く御礼を申し上げます。

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