『銅鑼湾書店事件、「ノーと言える香港人」の告発 中国の強権に屈せず、香港の核心価値を守れ』(6/22日経ビジネスオンライン 福島香織)について

拉致された林栄基と中国政府の言い分のどちらを信じるかというと自明です。命を賭けて発言している人間と「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という国の政府が言うこととどちらを信じるかは明らかです。逮捕状なしで拘束するのは違法かつ人権蹂躙ですし、況してや香港人を拉致するのは1国2制度に反します。李波のように、英国人であっても拉致されるのですから、日本人だって可能性がない訳ではありません。英国政府は何故もっと動かなかったのでしょうか?キャメロン・オズボーンの親中国政策、経済的理由の犠牲になったのでしょうか?日本人が拉致されても、現実的に政府が救済に動くことは出来ません。北朝鮮の拉致が発覚して何年経ちましたか?今でも解決できていません。日本共産党や反日民進党は自衛隊の海外派兵に反対しています。日本の少子高齢化による経済成長ダウンへの対策は①AI・ロボット化による生産性向上②海外投資・海外人材派遣による所得収支の向上と考えています。有事の際、自衛隊が海外にいる駐在邦人を救出に行かなければ、誰も海外で働こうとしません。別に戦争しに行くわけではありません。自国民を保護するのは国家の務めです。それをさせないという政党の政策と言うのは畸形です。

香港の経済的地位も危うくなっています。中国銀行券で偽札が見つかったとのこと。中国国内では2割が偽札と言われています。偽札が香港でも流通してきたというのは香港の国際金融の地位を上海に移そうとしているのでは。言うことを聞かない香港を経済的締め付けで困らせ、手懐けようとしている可能性があります。1国2制度の約束を守らないのは中国政府なのですが。台湾やASEAN諸国へ経済援助という飴と武力侵攻というムチを振るおうとしているのと同じです。対抗策は中国への経済封鎖(国際組織から排除)と同盟による包囲網です。

http://melma.com/backnumber_45206_6380480/

香港の1国2制度は風前の灯です。国際社会が中国にペナルテイを課さなければ、優秀な人間はドンドン脱出していき、「宴のあと」の状況になるかもしれません。シンガポールはマレーシアから独立した人口541万人の小さな華僑国家ですが、金融・貿易で稼ぎ、一人当たりGDPは55,000$で米国より高いです。因みに米国53,000$、香港38,000$、日本38,000$です。水や食料をマレーシアに依存していますが、独立しています。香港も独立できれば良いのでしょうけど、中国が許さないでしょう。国際社会の支援、特に米国の支援がない限り無理です。台湾もそうならないように、日米、ASEANで連帯して防がねば。第一列島線を突破すれば第二列島線、太平洋と中国は進出してきます。領土的野心を隠さない「遅れて来た帝国主義国」ですから。

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/215516.html

記事

Lin Rongji

中国当局に拘束されていた香港銅鑼湾書店の店長・林栄基が香港に戻り、会見を行った(写真:AP/アフロ)

 中国当局により昨年10月以降から拘束されていた香港銅鑼湾書店の店長・林栄基が6月14日に釈放され香港に戻った。この事件で失踪した関係者5人のうち、香港に戻ったのは彼が4人目。“ひき逃げ犯として自首”して中国中央テレビ(CCTV)上で涙ながらに罪を認めたオーナーの桂敏海以外は全員戻ってきたことになる。もし、林栄基が先の3人同様、沈黙を守っていたら、この事件は真相不明のまま、香港に言い知れぬ不安を残しつつ風化していたかもしれない。

 だが、彼は16日に香港で記者会見を開き、この失踪事件が「中央専案組」と呼ばれる特別捜査チームによって実行された、中国当局によって仕掛けられた事件であることを暴き、中国当局による「一国二制度つぶし」であることを告発したのだった。

 この会見以降、香港はハチの巣をつついたようになっている。親中香港メディアは林の発言が民主派議員に操られた嘘であると批判する一方、香港市民の間では林栄基擁護デモも発生。いったいこの事件の真相はどこにあるのか。そして香港の行方は。林栄基の記者会見やインタビューの内容を振り返って検証してみたい。

ひきつった笑顔がもたらす恐怖

 銅鑼湾書店の事件の概要そのものは、過去の拙コラム「香港銅鑼湾書店『失踪事件』の暗澹」や「中国の『越境拘束』、タイや香港で続発の脅威」を参照してほしい。

 失踪した5人のうち、銅鑼湾書店の親会社である巨流傳媒有限公司の社長の呂波が今年3月4日、経理の張志平が3月6日、そして英国国籍で、大株主の夫で店主の李波が3月24日に釈放されていた。

 この事件について、先に釈放された関係者はほとんど口をつぐみ、唯一、李波が釈放後、香港フェニックステレビや星島日報など“親中派メディア”の取材を受けている。

 李波は、桂敏海の取り調べに協力するために自ら望んで中国本土に渡ったと主張し、自分が中国当局に拉致されたわけでも、失踪したわけでもないと強調。自分も妻も政治に利用されたくないので、これ以上、メディアは大騒ぎしてくれるなと釘を刺した。このときのインタビューで見せた李波のひきつった笑顔は、香港人たちを恐怖に突き落とした。李波はその後、なぜか英国国籍放棄の手続きをとった。

それから約3カ月たった6月14日、銅鑼湾書店の創始者であり、元オーナー店長だった林栄基が釈放された。林栄基は香港にもどるやいなや、何俊仁議員(民主党元主席)に付き添われて立法会ビルで記者会見を開き、中国当局の「中央専案組」という超法規組織によって拉致され、24時間監視のもと厳しい尋問を受けていたことを告発したのだった。

 まず、その告発内容を整理して、ここに紹介しよう。

目隠し、連行、監禁、尋問、圧力

 林栄基は10月24日、広東省東莞在住の女友達に会いに行くべく深圳市羅湖のパスポートコントロールを通過するときに深圳公安警察当局に身柄を拘束された。しばらく深圳で公安の拘置所に拘留されたのち、浙江省寧波に連行され、24時間の監視付きで軟禁生活を送り、厳しい尋問を十回以上受けたという。次に広東省韶関に移送され、6月14日に「読者に関する資料(ハードディスク)を本土に持って戻る」という約束で、香港に帰郷を許された。しかし、九龍塘駅に列車でたどり着いたとき、事件の顛末を香港人に公開し、二度と本土に戻るまいと決心したという。

 最初、パスポートコントロールで公安警察に連行されたとき、林は「私が何の罪を犯したというのだ?」と何度も問いかけたが、彼らは答えなかった。その後、11人の係員に取り囲まれるようにして外に連れ出されて、7人乗りの車に係員とともに押し込まれ、深圳のある派出所に連れていかれた。パスポートや身分証は没収されてしまった。「何があったんだ」と林は何度も聞くが、だれも答えなかった。その夜は派出所で過ごしたが、座ったままで一睡もさせてもらえず、まるで犯罪人扱いであったという。

 翌朝午前7時頃、再び車に押し込められると北方行の列車に乗せられた。その間目隠しをされ、ハンチング帽を目深にかぶらされ、他の人と一切接触をさせてもらえない状態だった。約14時間後、下車した駅名をこっそり盗み見て、そこが寧波だと知ることができた。そこから再び車に乗せられ、45分ほど走ると、大きな建物の前に止まった。その建物の二階の部屋に彼は監禁された。

 室内の家具はプラスチックフィルムで包まれており、それは自殺防止のためのようだった。歯ブラシはナイロンのひも付きで、歯を磨くときは監視人がひもの端をもって脇に立っている。「歯ブラシを飲み込んで自殺を図るのを防ぐためだろう。前に誰かがやったのではないか」と林は想像した。

その後、尋問が始まるが、依然、彼が何の罪を犯したかも教えてもらえなかった。相手は、林に二つの条項についてサインするよう求めた。まず家族と連絡をとることを放棄すること。そして、弁護士との連絡を要請しないと承諾すること。

 「このとき、自分は孤立無援で、だれにも助けを求められないのだと思い知った」と振り返る。さらに尋問者は銅鑼湾書店における林の職位と銅鑼湾書店のオーナーとの関係性、何のために本土に禁書を販売するのか、といったことを尋ねられた。林は銅鑼湾書店は合法的な書店だと主張するも、尋問者は「本土に禁書を持ち込んだり配本したりすれば本土の刑法に背くのだ」と指摘。また、習近平のスキャンダル本などの筆者や資料にかんする尋問も行われた。たとえ香港で出版されたものでも、本土に配本することはできず、後日にこの問題の取り調べが行われる可能性があるのだと説明した。

 林によれば「拘留期間中、特に激しく暴言を吐かれたり、暴力を振るわれるなどのことはなかったが、精神的圧力は非常に大きかった」という。寧波に拘留中の五カ月間、小部屋に押し込まれて電話もできず、活字を読むことも許されず、尋問が続いたのだから当然だ。尋問者は、どうやら禁書の筆者・編集者、購読者の資料をほしがっているようだった。自分以外の銅鑼湾書店関係者が寧波で拘留されていることは耳にしたが、彼らがどのような状況にあるかは知る由もなかった。

欲しいのは補償ではなく、自由だ

 2月の終わりに、香港フェニックステレビから軟禁先で取材を受けた。これは“監督”と“台本”のある完全なヤラセであった。もし彼らが満足のいかない取材となれば、やり直しをさせられた。林栄基は台本通りのセリフをカメラの前で言わざるを得なかった。

 3月になると、韶関に移送された。韶関の監視は寧波ほど厳しくはなかった。

 林は尋問者、監視人に香港に帰り家族に会いたいと何度も要求してきた。尋問者は、もし会社が保有している禁書購読者リストの入ったハードディスクを提供すると約束するなら応じてもよいと返答された。だが林は、その要求を最後まで拒み続けた。林によれば、中央政府はそのときすでに、銅鑼湾書店の購読者リストを手に入れていたようである。林は「ハードディスクの中身を李波がコピーをして渡したはずだ。リストは500~600人に上り、ほとんどが本土の顧客で、その顧客たちは4000冊以上の本を購入していた」という。自分の尋問は、李波が提供した資料に基づいて行われたのだと考えた。

 また、韶関にいるとき、軟禁状態の林の性的欲求に付け込むように、ある深夜午前一時ごろに二人の女性が訪ねてきたことがあったという。おそらくは当局が買春の罪をかぶせるために林に仕掛けた罠であろうと思われる。林はドアを開けないまま「何かの間違いだろう」と答えて追い返したという。またある時は、10万元の補償金をやるので書店を閉店させよ、と尋問者から持ち掛けられたこともあったという。林は「欲しいのは補償ではなく、自由だ」と答えた。

14日に林は羅湖経由で香港に戻り、香港警察と面会した。香港に入るまで監視員がずっと見張っていた。林は二日にわたって、事件の詳細を振り返り、今後どうするかをよく考え、事件の顛末を記者会見で公表することを決心した。本来なら16日に本土に戻る約束で釈放されたのだ。だが、失踪した銅鑼湾書店関係者の無事解放のために香港人6000人が抗議デモを行ったニュースフィルムなどを見て感激し、香港の自由を守るために、自分もリスクを負う覚悟ができた。彼は議員で弁護士でもある何俊仁に電話して協力を求めたのだった。

 「なぜなら、これは社会の表現の自由の権利を奪う事件だからです」。他の書店関係者の呂波も張志平も、そして林栄基も女友達が内地にいる。だが林はそのリスクを承知の上で「中国政府が、彼女らに対してよい対応をしてくれることを期待するしかありません」といい、あえて記者会見で、事件の内幕を告発したのだった。

強権にノーと言おう

 以上は記者会見、グループインタビューなどで明らかにされた内容だ。

 事件の要点の一つは、この事件が、中国公安や軍部、国家安全部など既存の組織ではなく、「中央専案組」とよばれる、銅鑼湾書店問題処理のための中央直属組織がわざわざ作られていたことだろう。おそらくは総書記の習近平の指示で動く組織ではないか。

 林によれば、自らの意志で香港から内地に渡ったと主張している李波は、香港から“拉致”されたのであって、「すでに中国政府は香港の後戻りの道を断っている。一国二制度はすでに有名無実化している。今回は(香港と本土の)境界を越えて司法を執行した」といい、一国二制度の最後の砦である司法の独立が完全に崩れていることを指摘する。

 その上で、林栄基は香港人に向かってこう呼びかける。「強権に向かってノーと言おう、私にはできる。あなた方はできないのか?私は権力に屈服しないぞ」

 司法の独立がないということは、中国当局側はいつでも再び林栄基を拉致して、何がしかの罪で有罪にすることも可能なのだが、その身を危険にさらしても、彼は強権に向かってノーということを選んだわけだ。この会見を受けて18日、“強権にノーと言おう”という標語を掲げた「中国白色テロへの抵抗デモ」が実施され主催者発表で6000人が参加した。

 一方、香港の親中メディアおよび親中派はこうした林栄基の命がけの記者会見に一斉に反発。まず李波はマンションの下で、林栄基の告発は嘘ばかりだと香港紙明報などに語り、自分が拉致されて本土に連れていかれたということも、購読者資料のコピーを中国側に渡したことも全部否定した。

 また東莞に残された林栄基の女友達(37)も星島日報に対して林栄基が彼女をだまして、本土の顧客に禁書を郵送させたと告発。「林は男じゃない卑怯者!」と激しくののしり、林が会見でいったことも、嘘ばかりだ、中国当局は弁護士を呼ぶことを拒否しなかった、などと語った。星島日報は、呂波と張志平からもコメントをとっており、彼らも林栄基の言っていることに反論しており、張志平は「林栄基がこんなに不誠実な人間だったとは思いもしなかった」と彼を罵った。

 中国外交部報道官は定例記者会見でこの件について「中国当局には当然、この件を法律に基づいて処理している。寧波公安当局はすでに香港メディアの取材に対して、はっきりとさせている。林栄基は中国公民であり、彼が内地で法律違反をすれば、中国当局は当然、法に基づいて処罰することができる」とコメント。「李波がすでに林栄基の発言を否定している。中国政府は一貫して一国二制度を貫徹する決心を固めている」と主張した。中国系香港紙大公報などは、林栄基が中国で禁書を販売したことが本土の法律に触れた事実は否定できないということを強調し、何俊仁が事実を歪曲し、林栄基を政治利用して中央政府のネガティブイメージを発信していると批判キャンペーンを展開。このキャンペーンにのって1000人規模の反何俊仁デモも行われた。

失ってはならない香港の核心価値

 さて事件の真相について、林栄基の告発が正しいのか、あるいは李波らの主張が正しいのか。私は林栄基の主張の方を信じている。常識的な判断をもてば、同僚たちや女友達は、当局から家族が人質に取られてそういわざるを得ないことは想像できる。もちろん、林が、桂敏海ら銅鑼湾書店関係者が次々と失踪しているさなかに、なぜ香港を離れ東莞の女友達に会いに行くという危険を冒したのか腑に落ちないことはある。ちなみに彼は妻と事実上の別居状態にあり、彼の仕事を手伝う女友達が内地にいること自体は、さほど不思議ではない。

 いずれにしろ、この林栄基の衝撃的な記者会見によって、香港がいかに危機的状況であるかということが思い知らされた。中国が現在、香港でやっていることは、中国共産党政権による赤い「白色テロ」と言ってもいい。香港はあと30年を待たずして一国二制度を失い、その核心的価値、つまり民主・自由・法治は危機に瀕している。

 だがそうなると、香港の国際金融センターとしての地位も失われてしまうだろう。中国当局に批判的な言論をしたり書物を販売したりするだけで、人間が突然蒸発するような恐ろしい地域でどうして安心して国際的な経済・金融活動が営めるだろうか。

 香港では雨傘革命以降、独立派が台頭し、一国二制度維持を掲げる民主派とは微妙に対立しているのだが、どうか、この香港の危機のために団結してほしい。香港を守ることは、香港人のためだけでなく、香港という金融・経済センターの恩恵を受けている国際社会、そして中国自身の未来のためでもある。中国人を含む国際社会の人々が、この事件を契機に、失ってはならない香港の核心価値について改めて思いをはせる時だと思った。

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