『低迷に喘ぐ中国経済は「10月信用危機」を切り抜けられるか』(5/21Money Voice 斎藤満)について

5/22ZAKZAKで大前研一氏は「安倍首相はオバマの広島訪問の代わりに真珠湾訪問をしたらとライス補佐官が言ったらしいが、行ってはいけない。行って謝罪しなければ米人の大部分は怒る」とのこと。大前氏はグローバリストで小生の考えと合わないときが多いですが、この件については賛成します。ヘタをすると日米同盟を危殆に瀕するような状態を作り出しかねません。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160522/dms1605220830003-n1.htm

スーザン・ライス補佐官は2013年に中国とのG2を認めた発言をしたことで有名です。オバマの立場を反映しただけか、金に転んだのかは分かりませんが。こういう利敵行為をする人物の甘言に乗せられて、道を誤ってはならないと思います。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2100S_R21C13A1EB1000/

中国の数字は何時も言っていますように、デタラメで信用できません。都合の良い話は大きく、都合の悪い話は小さく数字を発表します。企業の財務諸表も少なくとも3種類あるようにいい加減です。こんなものを信用して投資すれば痛い目に遭います。そろそろ日本企業も覚悟しなければ。暴発の備えをキチンとしておかないと。

中国の債務の問題は中国政府のプロパガンダを真に受けない人達の間では共有されています。

http://blogos.com/article/155459/

http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20151211/ecn1512111550002-n1.htm

http://melma.com/backnumber_45206_6345224/

ただ、オバマが中国の困窮に手を差し伸べるのではという気がします。軍事力を行使せず、敵を叩き潰す良いチャンスなのに。レーガンはSDIで経済的にソ連を追い込み、崩壊させました。偉大な大統領と優柔不断な大統領の差では。AIIBにADBが協調融資するなんて腑抜けのやる事。いくら米国債の多くを中国に握られているにしても。

記事

中国政府は自ら経済のL字型回復、長期低迷を予想していますが、裏を返せばいよいよ手詰まり感が強まったようです。先週末に発表された銀行関連の二つの数字がこれを示唆しています。商業銀行の不良債権の増加と、新規貸し出しの大幅減の二つです。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる) 1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

※本記事は有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2016年5月16日号を抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に無料のお試し購読をどうぞ。

総債務はGDPの300%、国際機関も中国の信用急拡大を警戒

国内商業銀行の不良債権が急増

中国銀行監督管理委員会は、今年3月末における国内商業銀行の不良債権が1兆4000億元と、11年ぶりの高水準になったと発表しました。貸出残高全体に占める不良債権比率は1.75%になり、昨年末の1.67%からさらに上昇しました。

さらに、これとは別に不良債権になるリスクのある融資が3兆2000億元と、融資全体の4%を超え、すでに不良債権とされる1兆4000億元と合わせると「問題債権」は4兆6000億元に上ります。これは昨年末と比べて4280億元の増加となります。

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しかも、多くのアナリストは、現実の不良債権は、公表データよりもはるかに大きいと言います。一部の銀行ではそもそも不良債権の状況を全く掌握していないと言い、また多くの銀行で、不良債権を隠すために簿外融資を行っている、と言います。

一方で新規融資は急減

もう一つの数字は、4月になって新規の人民元建て融資が5556億元と、前月の1兆3700億元から急減したことです。市場は9000億元を予想していたので、これも大きく下回りました。3月は景気対策の一環で地方政府の資金調達による投資が増えたのですが、これが一巡して反落した形になっています。

この結果、貸出残高の伸びも14.4%増と、市場が予想した14.8%増を下回りました。そしてマネーサプライM2の伸びも、市場の予想13.5%増を下回る12.8%増となりました。

中国では財政政策と金融政策の区別がありません。景気対策など経済対策で資金が必要な時には、通常国有銀行からの借り入れで賄われます。地方政府には従来地方債の発行が認められなかったため、融資平台などからの「裏借入」が増え、問題になったためこれを規制し、地方債発行での肩代わりを認めましたが、最近はまた融資平台からの調達が増えています。

官民合わせた総債務が、米国機関の試算ではGDPの300%にも及ぶとされ、国際機関も中国の信用の急拡大に警告を発しています。

「ゾンビ企業」淘汰で起こる大量失業

そして中国は今回、構造改革の一環として、存続の見込みがない「ゾンビ企業」の整理淘汰を進める方針を打ち出しました。その過程で、石炭、鉄鋼でのゾンビ企業整理だけで180万人もの失業者が出ると言われます。

このゾンビ企業の整理淘汰によって、そこに貸し付けていた資金の回収ができなくなるうえに、大量の失業者対策に資金が必要になり、これがまた生産性の低い融資に頼らざるを得なくなります。

このため、構造改革がなかなか進まず何年もかかる間に中国経済の非効率化、弱体化が進むリスクがあり、それがまた不良債権を高める悪循環となります。

銀行融資に頼る中国の経済対策ではどうしても銀行への負担が大きくなります。市場原理が働かず、政府の裁量で融資が拡大してきただけに、これが行き詰まっても「膿」が出ないまま、矛盾を抱え込む形になっています。

そこへ政府が人民元の国際化を急いだために、IMFから規制緩和、西側の規制、ルール適用を求められるようになりました。

この秋が危ない中国経済

今年の10月以降、人民元がSDR(IMFの通貨引き出し権)の構成通貨に組み入れられますが、これに伴って中国は資本や為替の自由化を進めることになります。これは中国の金融制度に対しても、西側のルール、規制が適用される方向となります。

つまり、不良債権の定義から、銀行の自己資本規制に至るまで、BIS(国際決済銀行)の規制に縛られるようになります。

このルールをいきなり適用すれば、中国の銀行は資本不足で行き詰まるところが多いはずで、その前に融資の抑制、不良債権処理を進めるにしても銀行への負担が大きくなります。

この秋に向けて、中国が西側ルールに適用しようとすれば、それが結果的に銀行の不安定化、信用不安につながるリスクがあります。

中進国の段階ですでに過大な債務問題を抱え込み、経済が行き詰まる時期に、中国は人民元の国際化を急いでしまい、背伸びしたツケが銀行圧迫という形で現れることになります。

この秋には、これが信用不安を引き起こして中国経済を危機に陥れるリスクが高まる可能性があります。IMF、米国が目をつぶってルール適用の先送りを認めてくれるかどうか。

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