『若き研究者は偽りの買春逮捕の末に殺されたのか “冤罪”と戦う遺族に中国公安警察の厚い壁』(5/20日経ビジネスオンライン 北村豊)について

5/20藤岡信勝氏のFacebookには熊本地震で一旦消えかかった衆参同日選の話が永田町を駆け巡っているとのこと。6/1解散、7/10投票とのことです。衆院の数は自民党も民進党も世論調査を実施して、両結果とも自民党は290(現290)を越え、民進党は100~110(現72)の数字になるとのこと(意味するところは、維新の21議席が吸収されるから(反日)民進党はそんなに増えるという事ではないです)。ですが、5/22日経によると参院選で「野党、全一人区で(候補者)統一へ」とあり、これを分断するためには同日選の方が小生は良いと考えています。衆院選にもプラスになるのでは。消費税増税凍結は衆院解散して民意を問うのが王道です。ついでに都知事選になるかもしれません。公明党は舛添のようなのを都知事にしてしまったのだから、製造物責任で早く辞任するようにしないと。候補は自民党or「こころ」から出すのが良いでしょう。

本記事は如何に中国社会が腐っているかという事です。共産党が支配する国では何でもありです。勿論他の独裁国家でもですが。日本の左翼は日本を中国のような社会にしたいと思っているのでしょうか?違うというのであれば今度の参院選で共産党と手を握るのをどう説明するのでしょう。左翼・反日政党に投票すると後々痛い目に遭います。

雷洋は無実の罪で警察に殺されたとしか思えません。筆者の見立てでは、買春の客が少なかったため、デッチアゲで彼を客に仕立てようとしたが、反抗したので殺したとのこと。中国の役人は警察以外でも傍若無人です。権限外でも好き勝手なことをします。中国人自身が自浄能力を発揮しなければと思いますが、「百年河清を俟つ」ことになるかも。賄賂が当たり前の何千年という腐敗社会の歴史ですので。

記事

“雷洋”は29歳、1987年に湖南省北部の“常徳市”に属する“澧(れい)県”で生まれた。生まれ故郷の澧県は常住人口78万人(2015年末)だが、生活保護者が6万人以上もいる辺鄙で貧困な地域である。その澧県出身の雷洋は2005年に優秀な成績で“全国高等院校招生統一考試(略称:“高考”:全国統一大学入試)”を突破して北京市にある“中国人民大学”へ入学した。大学で環境学を専攻した雷洋は、2009年に大学院へ進学し、2012年に“碩士(修士)”課程を抜群の成績で修了して修士号を得た。

 修士となった雷洋は大学院を去り、“中国循環経済協会”に就職した。彼は中国環境経済と循環経済領域の専門家として、多数の工業団地計画、生態文明計画、汚染物処理計画、循環経済計画の立案作業に参加すると同時に、中国で最も著名な環境保護関連の三大期刊誌、『環境保護』、『環境科学』、『環境工程』に論文を発表し、中国の環境保護事業にとって得難き俊才として将来を嘱望されるようになった。

 一方、私生活では、2013年5月7日に雷洋は“呉文萃”と結婚した。2人は故郷、澧県の高校“澧県第一中学”でクラスは違ったが同学年であり、呉文萃も2005年の“高考”を突破して北京市の大学へ入学していた。今年(2016年)は彼ら2人が知り合ってから14年目であり、4月24日には待望の女の子が誕生し、雷洋は父親となった。正に雷洋の人生は公私にわたり全てが順風満帆と思われた。しかし、「人生、一寸先は闇」の言葉通り、雷洋と呉文萃の夫婦にとって3回目の結婚記念日当日の5月7日に、予期せぬ不幸が雷洋を襲ったのだった。メディアが報じた事件の経緯を取りまとめると以下の通り。

3回目の結婚記念日が暗転

【1】5月7日は土曜日の休日で、雷洋は昼間ずっと家にいた。この日は夫婦にとって3回目の結婚記念日であったが、雷洋は23時30分に北京首都国際空港へ到着する飛行機で故郷の澧県から生後2週間の娘を見るためにやってくる雷洋の祖母、義妹、兄嫁の3人を出迎える予定だった。20時30分頃、一緒に住んでいる義父(呉文萃の父親)がいつまでもスマホ(iPhone)で遊んでいる雷洋を見かねて、空港へ出発しなくて良いのかと促したが、雷洋は「急がなくても、21時出発で十分間に合います」と答え、依然としてスマホに興じていた。それからしばらくして、雷洋は義父に「これから地下鉄で首都空港へ向かいます。空港で3人を出迎えたら、3人と一緒にタクシーで家へ戻ります」と告げて、21時前に北京市“昌平区霍営”にある“天鑫家園”団地の自宅を出発した。

【2】予定通り23時30分着の飛行機で北京首都国際空港へ到着した3人は、出迎えに来ているはずの雷洋を探したが見当たらなかった。遅れているのかもしれないとしばらく待ったが、雷洋は現れなかったので、呉文萃に電話を掛けて雷洋がいないことを伝えた3人はタクシーで雷洋の家へ向かった。3人が雷洋の家に到着しても、雷洋からの電話はなく、彼らは何度も雷洋のスマホに電話を入れたが全く応答はなかった。日付が変わった8日の午前1時頃、ようやく雷洋のスマホに応答があり、“東小口派出所”の警官と名乗る人物が電話口に出た。警官は雷洋に事故が起こったので、急いで東小口派出所へ来るよう要求したのだった。

【3】雷洋の身に何があったのか、心配した家族が慌てて派出所へ駆けつけると、そこで告げられたのは雷洋が死亡したという衝撃的な事実だった。警官は家族を警察車両で自宅まで送ってくれたが、その道すがら、雷洋が付近の“足療店(足裏マッサージ店)”で買春した容疑で逮捕され、激しく抵抗した上に、連行途中で車から飛び降り、再度捕捉された後に体の変調を来して心臓病で死亡したと経緯を語ったのだった。早朝4時30分、家族は警官に付き添われて“昌平区中西医結合医院”へ出向き、雷洋の遺体と対面した。遺体の頭部と腕には明らかなうっ血が見られたが、警察側は激しい抵抗と車から飛び降りたことによるものと説明した。

買春逮捕に疑問、冤罪・暴行を疑う声

【4】中国人民大学の修士であり、中国の環境保護分野で将来を嘱望されていた若手のホープが、自宅近くの足裏マッサージ店で買春した容疑で逮捕され、激しく抵抗した末に体の不調により死亡した。この「若きエリート研究者が買春した末に死亡」というニュースは世間を驚かせたが、家族や友人を含む雷洋の人となりを知る人々からは疑問が提起された。事件当日は3回目の結婚記念日であり、しかも23時30分には北京首都国際空港で祖母を含む3人の親類を出迎えなければならない人が、自宅に近い足療店で買春をするなどということが考えられようかというのである。雷洋の誠実な人間性から考えて、2週間前に一児の父となったばかりで、買春をすることなど絶対に考えられない。これは何かの間違いであり、雷洋は警察に因縁を付けられて抵抗したために暴行を受けて殺されたのではないのか。ネット上には警察側の暴力行為を疑う旨の書き込みが殺到した。

【5】こうした疑問に答えるかのように、5月9日夜、“北京市公安局昌平分局”は同分局の公式ブログに雷洋事件の経緯説明を発表したが、その内容は以下の通り。

 5月7日20時頃、昌平警察は昌平区霍営の某住宅団地内にある“足療店(足裏マッサージ店)”で売春が行われていると通報があった。これを受けて、警察側は法に基づく捜査活動を展開した。当日夜、当該足療店で売春・買春の容疑で6人を逮捕した。このうち“雷某”(男、29歳、北京市在住)は買春の容疑で逮捕されたが、連行して取り調べようとしたところ頑強に抵抗し逃亡を図ったので、警官は法に基づく強制拘束措置を採った。しかし、取調べのために公安機関へ連行する途中で、当人が突然体の不調を示したため、速やかに医院へ搬送して応急手当を行ったが効果なく死亡した。昌平公安分局はこの状況をすでに検察機関へ通報済みである。“昌平区人民検察院”はすでに本件に介入し、調査・監督業務を展開している。目下、今回組織売春に関与した容疑で逮捕した他の5人は昌平警察により法に基づく刑事強制措置を採られており、警察側は依然として取調べを続行している。

【6】5月9日の発表では市民の疑念を払拭(ふっしょく)できないと考えた北京市公安局昌平分局は5月11日午前1時44分に事件に関する続報を発表した。その内容は以下のとおり。

疑念払拭に警察が「続報」

<買春を行った男性が取調べ中に突然死亡した件に関する続報>

 5月7日20時頃、昌平警察は霍営にある某団地内の足療店で売春・買春が行われているという手がかりに基づき、私服の警官を配備して捜査を展開した。21時14分、警官が当該足療店から出て来た雷某(男、29歳、近所の住人)を発見し、即座に職務尋問を行い、身分証明書の提示を求めた。雷某は逃亡を図り、激しく反抗する間に警官を噛んで負傷させ、警官が所持していたビデオカメラを叩き落として破損させたが、取り押さえられて車に乗せられた。

 車の走行中に、警官の隙を突いた雷某は後部座席から前列の助手席へ移動し、運転手を脅して停車させ、車のドアを開けて逃亡したが捕捉された。雷某は激しく抵抗したため、逃亡を防ぐため、警官は法に基づき雷某に手錠を掛け、21時45分に車に乗せた。取り調べのために連行する途中で、雷某の体が不調を示し、その状況が異常であったことから、警官が雷某を直ちに付近の“昌平区中西医結合医院”へ搬送し、22時5分に到着して緊急の応急手当を行った。雷某は応急手当の甲斐もなく、22時55分に死亡した。

 当夜、警官は足療店で、“朱某”(男、33歳、黒竜江省籍)、“兪某”(女、38歳、安徽省籍)、“才某”(女、26歳、青海省籍)、“劉某”(女、36歳、四川省籍)、“張某”(女、25歳、雲南省籍)の5人を違法犯罪の容疑で逮捕した。取調べと法に基づく現場検証により、雷某が同足療店内で買春を行って200元(約3400円)を支払ったことを実証した。現在、上記の5人は昌平警察によって法に基づく強制措置を採られている。雷某の死因を究明するため、家族の同意を得た後、第三者に委託し、検察機関の監督の下で検死を行う予定である。

【7】この発表を受けて、メディアは一斉に動き始め、事件当日に自宅を出た後の雷洋の足取りを検証した結果、足療店付近の目撃者から以下の証言が確認された:

 5月7日21時頃、昌平区霍営の某住宅団地内にある“足療店”は2台の警察車両と十数人の警官によって包囲されていた。そのうちに、手入れが始まったらしく、“足療店”内から大きな物音が聞こえ、その後で“足療店”から少し離れた場所からも叫び声が聞こえて来た。それは身長170cm位の若い男が3人の男たちと言い争っている声だった。若い男は周囲の人々に向かって「助けてくれ」と叫んでいたが、最後には3人に押さえ込まれ、黒色の車両に乗せられようとした。これを見て、ある者は110番へ通報したし、またある者は3人に何者かと尋ねたが、彼らは「自分たちは“便衣(私服警官)”だ」と答えた。通報を受けて付近の派出所から急行した警官が3人の身分証を確認したところ、彼らは確かに私服警官であった。

【8】一方、メディアは家族から聴取した事を根拠に次のような疑問を提起した。

遺族から4つの疑問

(1)雷洋は毎週のようにサッカーをしており、健康そのものだった。それがなぜ突然体の変調を来して死亡したのか。彼には心臓病の病歴もなかった。

(2)家族が雷洋の遺体と対面を許された時間は5~6分に過ぎず、遺体には白布が掛けられていた。このため、遺体の一部分しか見れなかったが、頭部と腕に明らかなうっ血があったほかは、さほどの外傷は認められなかった。逮捕しようとする警官と激しく揉み合ったり、車から飛び降りたのであれば、多数の外傷があってしかるべきだが、それはなぜか。

(3)雷洋は搬送されて22時5分に医院へ到着し、22時55分に死亡が確認された。いずれの時点でも速やかに家族へ連絡を入れるべきである。にもかかわらず、家族が8日1時頃に東小口派出所の警官が雷洋のスマホで応答するまで、警察側が雷洋の死を連絡しなかったのはなぜか。家族が雷洋の死亡を知るまでには2時間以上が経過していた。

(4)雷洋の遺品となったスマホには通信記録は残っていたが、なぜか位置情報の記録だけが削除されていた。位置情報記録の削除は故意に行われたものと思われるが、一体誰が何の目的で行ったのか。

【7】警察側は、雷洋が足療店で200元を支払って買春した証拠として押収した使用済みコンドームから雷洋のDNAを検出したと述べている。しかし、雷洋が自宅を出たのが20時45分から21時の間として、警察側が発表したように雷洋が足療院を出たのが21時14分なら、買春するには時間が短すぎることになる。現場付近の監視カメラの映像によれば、雷洋が自宅のある天鑫家園を出たのが21時きっかり、問題の足療店付近に到達したのが21時4分過ぎで、雷洋が3人の私服警官と揉み合いになったのが21時17分であった。ということは、雷洋は21時5分頃に足療店へ入り、いわゆる「本番」をして21時14分に足療店を出たことになり、所要時間はわずか9分しかない。誰が考えても雷洋が買春を行ったとは思えない。

【9】官製メディアの人民日報は、5月11日付で北京市公安局昌平分局の関係責任者3人に取材して、この事件の疑問点を質した記事を掲載したが、その答は以下の通りだった。

(1)雷洋がビデオカメラを破壊したために、現場状況の記録はない。 (2)雷洋は車から飛び降りたのではなく、停車させた車から正常に降りたので外傷はない。

(3)手錠を掛けた後の雷洋は反抗もせず、話もしなかった。しかし、様子がおかしいと気づいて医院へ搬送したもので、雷洋に暴行を行った可能性はない。

(4)家族への連絡が遅れたのは、雷洋が抵抗した際に所持品が四散し、スマホを見つけるのに手間取ったことによる。iPhoneはパスワードを入力しないと使えないので、位置情報記録を削除したことはない。

(5)雷洋が買春したことは現場で押収したコンドームのDNA鑑定から明白である。なおかつ、雷洋は逮捕された際の尋問に、“大保健(本番)”を行い、200元を支払ったと供述している。

人民日報の報道は、正に「死人に口なし」という言葉がぴったりの内容で、警察側の言い分に正当性を与えたものだった。雷洋の家族が委託し、検察院が承認した第三者による雷洋の検死は、5月13日に北京市公安局の法医検査鑑定センターで北京市検察院と法医学専門家の立ち会いの下に始まり、遺体解剖に続いて病理検査などが行われ、翌14日の早朝に完了した。この検死結果は20日後に公表されることになっている。20日後は6月3日になるとはずだが、どのような結果が公表されるのか。中国政府“公安部”や北京市公安局の影響を受けない正当な検死結果が発表されることを期待したいが、果たしてどうなるのか。

疑念晴れず、事件続々

 検死結果に私服警官による暴行の痕跡が認められれば、雷洋の「買春した末に死亡した」という汚名が晴れる可能性はあるが、言われなき汚名を着せられたままでは雷洋は浮かばれまい。筆者が見る限りでは、足療店を張り込んではみたものの、客が入らないために空振りになると考えた私服警官が、たまたま通りかかった雷洋を買春容疑者に仕立てようとしたものと思われる。ところが、雷洋が思いの外激しく抵抗したため、外傷ができないように暴力を加えて逮捕したが、暴行の度合が激しすぎたために雷洋の体調が急変して死に至ったのだろう。

 なお、5月16日、雷洋の妻の呉文萃は“北京市人民検察院”に対して北京市公安局昌平分局の雷洋買春事件に関与した警官を故意による傷害致死罪、職権濫用罪および証拠ねつ造幇助罪で告発した。

 北京市では5月9日に世論を沸騰させた“魏則西事件”<注>の調査結果が発表されたことで、市民生活はようやく落ち着きを取り戻すかと思えたが、続いて発生したのは雷洋事件だった。これらのゆゆしき事件が続発するのは、中国社会に矛盾が蔓延しているからであり、中国社会が変調を来していることの証と言えるのではないだろうか。

<注>魏則西事件については、2016年5月13日付の本リポート「21歳の辞世ブログが暴いた中国医療の暗部」参照。

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