『蔡英文・台湾新総統「妥協的就任演説」の裏側 「玉虫色」に秘めた、改革への強い意志』(5/25日経ビジネスオンライン 福島香織)について

5/25日経朝刊のアジア便りの記事の中で「蔡英文総統のことを(飾らない人柄に)親しみを込めて小英と呼ぶが、企業関係者は空心蔡(空芯菜と同じで具体的中身がない)と揶揄する」とありました。企業関係者とは外省人のことでしょう。企業関係者で本省人が蔡英文総統をそのように呼ぶ人はいないと思います。本省人は中国に籍を移し、台湾とは無関係になったらどうでしょう。抜けた穴は日本企業が埋めれば良いでしょう。それこそ昨年10/6に蔡英文氏が東京で講演しました「産業同盟」になると思います。でも日本の企業経営者も中国の顔色を窺う人間が多くいますから・・・・・。『武士道』を忘れた日本人です。

どの国にも自分勝手な人間はおります。台湾では本省人、日本では左翼とリベラルと言われる軽薄な人達です。我が身を安全な場所に置き、好き勝手政府を批判しますが、困ると政府に助けを求めたり、政府から金を出させようとします。自衛隊の存在を否定するピースボート主催者がアデン湾通過の為に、海自の護衛艦に守って貰うというのは神経を疑います。普通の民間旅行会社であればそういう危険な航路は避けます。国民の税金を利用して儲けるという二重にも悪辣な団体です。同和も然り。左翼は国(我々の税金で成り立つ)から金を搾り取ることしか考えません。中共と同じで国民から収奪することしか考えません。美辞麗句で誤魔化し、反腐敗運動とか、日本のヘイトスピーチとか、クズのやる事です。リベラルと言われる人達も政府を批判すれば受けると思いこむ短絡的・軽薄な人達です。自分で政治に乗り出してやれば良いと思うのですが。民主主義で選ばれた政府に批判するだけで提言することもない(考えていないから)、ロビー活動することもないというのは無責任な人間のすることです。茶飲み話と一緒。まあ、マスコミに受けるためには擦り寄る必要(=金になる)があるからなのでしょう。

小原凡司氏の本によれば「中国が南シナ海を内海にしたいと思っているのは、潜水艦のSLBMの射程距離が8000kmしかなく、敵国アメリカに核を打ち込むには太平洋まで出なければならない。東シナ海は米軍と海自があるのですぐ捕捉されてしまう。一旦太平洋に出られてしまえば米軍と言えど捕捉は難しい」とありました。台湾が中国の手に落ちれば南シナ海経由で太平洋に出なくとも簡単に出航できるようになるでしょう。その意味でも、日米台は運命共同体です。本記事で総統就任式に米国・日本は質量ともに歓迎の代表団を送りました。中国のネット社会もいろんな意見があるようです。

http://www.recordchina.co.jp/a133476.html

記事

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就任式で手を振る蔡英文・台湾新総統。「妥協的就任演説」に秘めた改革への強い意志の先には、中国との「別れ」を見据えるか(写真:AP/アフロ)

 台湾の新総統・蔡英文の就任式が5月20日に行われたのに合わせて、台北に出かけた。一時は馬英九前総統のどのような妨害があるかと心配されたが、日本の沖ノ鳥島を岩と宣言してみたり、公邸の引っ越しをぎりぎりまで遅らせる程度の嫌がらせぐらいで、就任式はつつがなく終わった。

 台北の雰囲気は、さほど盛り上がっておらず、祝賀ムードというほどのものではない。去年と比べると中国人観光客を見かける頻度もぐっと減り、例年の5月より気温が低めであったせいもあるかもしれないが、なんとはなく活気が落ちたような印象も受けた。民進党界隈は確かに非常に盛り上がっているのだが、街ゆく普通の人に、新総統への期待を尋ねれば、「期待もしていないが、馬英九よりはましだろう」といったあっさりした反応が多い。

 就任演説は「92共識(92年コンセンサス)」や「一つの中国」という言葉をうまく避けながらも、中国にも配慮した形でまとめられ、リアリストの蔡英文のバランス感覚がうかがえるものだったおかげか、当日の台北市場の株価は、「株価は下がる」という大方の予想を裏切り、ご祝儀相場というほどではないにしても、若干あがった。蔡英文政権としては、あまり気負う必要もなく、よい感じで就任1日目がスタートしたのではないだろうか。

 だが、中国の方は、心穏やかではないようでもある。就任式の注目点をまとめながら、今後の台湾と台湾をめぐる中国、米国情勢を少し予想してみたい。

「滅私奉公型の官僚政治家」を前面に

 まず、全体の式の印象を述べれば、従来のものと比べて、悪く言えば荘厳さに欠け、よく言うと庶民的、フレンドリーな演出であった。だが、カメラワークなどに凝っており、ライブが動画サイトで配信されている点からも、非常に大衆の目、特に若者の目を意識した就任式であることははっきりしている。

 蔡英文は、黒のスラックスに白のカットソーと白のジャケット、一切の貴金属宝石類のアクセサリーを身に着けず、腕にロンジンの使い慣れた12万円程度のシンプルな時計をはめているだけだ。化粧もほとんどしていないようで、少なくともファッションにおいては、就任式という晴れの舞台に臨む気負いが一切なかった。

 テレビでは、朴槿恵・韓国大統領やミャンマーの国家顧問、アウンサン・スーチー、タイの元首相・インラック・シナワトラなどと比べて、そのファッションの色気のなさを論評していたが、それは国民党の「無駄遣い」政治のアンチテーゼとして、むしろ有権者にとっては好ましいものであったと思う。

 陳水扁政権は夫人の物欲が政敵に付け込まれる隙を与えて失脚させられたが、蔡英文は結婚もせず、家庭ももっていないので、その心配もない。本人はおすすめの飲食店を尋ねられたらB級屋台グルメをあげ、着るものも無頓着で、一切の私欲物欲を感じさせない。日本などではすでに絶滅した滅私奉公型の官僚政治家のイメージを打ち出すことに成功していた。

 就任式では国歌を歌うのだが、蔡英文は声を出して、これを全部歌っていた。中華民国国歌はもとは国民党歌である。歌のフレーズに「三民主義、吾党所宗」(三民主義をわが党の宗とする)とあり、この党とは国民党のことなので、民進党員はこの部分を歌わないという慣習があった。彼女も今年の元旦の桃園市の国旗掲揚式のときに、この部分は歌っていなかった。だが、就任式では、おそらく初めて全部これを声に出して歌っており、中華民国総統という立場で、現実的な妥協をしていく姿勢を見せたといえるだろう。

 就任宣誓式が終わったあと、総統府前では2万人以上の来客の前で、就任祝いの歴史劇「台湾之光」が上演された。これは台湾400年の歴史を約40分でたどり、今の台湾アイデンティティに至る道筋を整理したのものだが、そこで二・二八事件の惨劇を再演したのは極めて斬新で挑戦的な試みだったといえる。もちろん日本統治時代に日本の軍人が民衆を高圧的に徴兵していく様子なども演じられているのだが、その後に演じられている二・二八事件の虐殺の様子がすさまじく、国民党政府がどのように台湾を接収したかをあからさまに見せ、台湾人が植民地支配した日本から被った圧力がずいぶん甘いものに見える演出となった。こうした国家行事で二・二八事件を真正面から取り上げるのもこれが初めてだ。

中国に妥協した「玉虫色」にも見えるが…

 注目の就任演説自体は中国にも配慮しつつ、よく言えばバランス感覚のとれた、悪くいえば玉虫色のものとなった。

 演説のほとんどは内政問題の解決にむけた約束である。年金制度改革、若者の境遇改善、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)・東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を含む多国間および二国間の経済協力・自由貿易交渉への積極参加、セーフティネット強化、歴史問題の和解に向けた処理、先住民族の尊重、司法改革への前向きで熱意ある姿勢を打ち出した。国際社会が注目する中国との関係については次のような表現を使った。

 「私は中華民国憲法に基づいて総統に当選したのであり、中華民国の主権と領土を守る責任があります。東シナ海、南シナ海での問題に対し、我々は争いの棚上げと資源の共同開発を主張します。

 台湾海峡両岸の対話と意思疎通では、既存のメカニズムの維持に努めます。1992年に両岸の交渉窓口機関が、相互理解、並びに“求同存異”(合意点を求め違いは棚上げする)という政治的な考え方を堅持して話し合い、若干の共通の認識と理解に達しました。

 私はこの歴史的事実を尊重します。1992年以降20年あまりの交流と協議の積み重ねで形成された現状と成果を、両岸は共に大切にして守っていかねばなりません。そして今後も、この既存の事実と政治的基礎の下で、両岸関係の平和で安定した発展を引き続き推進していくべきなのです。新政権は、中華民国憲法、両岸人民関係条例、並びに関連の法律に基づいて両岸業務を進めていきます。…」

 「92共識」(1992年に両岸の交渉窓口機関が非公式に合意したコンセンサス。中国は一つであり、その“一つの中国”の解釈権は双方にある)という言葉を出さず、「一つの中国」という言葉も出さなかった点は、92共識を認めないという民進党の立場をぎりぎり守ったものの、1992年に「求同存異」の政治的考え方で話し合われた会談を歴史的事実ととらえ、中華民国憲法、両岸人民関係条例に基づいて中台関係を推進していくとした。

 中華民国憲法はいわゆる「一中憲法」。領土についていまだ「中華民国の領土はその固有の疆域による」の一文があり、それがチベットやモンゴルを含むいまの中国の領土以上を示す36年憲法第四条を踏襲していることになる。この憲法の延長にある両岸人民関係条例(台湾地区および大陸地区人民関係条例)を基礎にするということは、李登輝の「二国論」「一辺一国」(台湾と中国は特殊な国と国の関係)は放棄したというふうに受け取られる。「一中」を否定せず「二国論」を放棄したという意味では、かなり中国に妥協した内容だ。

問題を棚上げしつつ、改革への意志を示す

 だが、字数にして6000字30分以上の演説の中に中華民国という言葉はわずか5回しか使っておらず、一方、台湾という言葉は41回も出している。演説の締めくくりに、就任式のパフォーマンスで歌われた台湾語の歌「島嶼天光」のワンフレーズ「今がその日だ、勇敢な台湾人よ」という言葉を掲げて、「国民同胞、2300万人の台湾人民よ、待つのは終わった。今がその日だ。今日、明日、将来の一日一日、われわれは民主を守り、自由を守り、この国を守る台湾人になろう」と呼びかけた意味を含めると、いまの段階は「一中憲法」を容認しつつ中国を刺激しないように問題の棚上げを図るも、将来に向けての改革への強い意志は秘めている、というメッセージは伝わっている。

 反中国共産党的な論調で知られる台湾蘋果日報紙の世論調査では、聴衆の76パーセントがこの演説に満足だといい、92年の会談に触れつつ92共識に言及しなかったことについては63.75パーセントの聴衆が肯定的だったという。

  国際社会からみても、この就任演説はおおむね好評であったように思う。

 こうした一見、妥協した就任演説に対して、だが中国はむしろ警戒感を高めている。

 中国国務院台湾事務弁公室は就任演説後、即座に「両岸同胞の最も関心を寄せている両岸関係についての根本問題で曖昧な態度をとり、92共識を明確に承認せず、その核心の意義を認めず、両岸関係の平和安定発展に対する具体的方法に言及しなかった。これでは答えになっていない」と強く非難した。

 さらに「一中原則を共同の政治起訴とするのか、それとも両国論、一辺一国的な台湾独立分裂の主張を維持するのか、両岸関係の平和発展の道を継続するのか、台湾海峡の緊張と波乱を再び挑発するのか、両岸同胞の感情と福祉を増進するのか、それとも同胞の精神的絆を分裂させて根本利益を損なうのか?」と問いかけ、「この重大な問題においては、台湾当局はすぐさま実際的行動で明確な回答を出し、歴史と人民の審査を受けよ」と主張した。一部メディアは少なくとも2014年2月以来続いてきた閣僚対話は停止になる見通しを報じている。

「南シナ海」見据えた米台接近に苛立つ中国

 中国がこのように警戒心をむき出したのは、蔡英文の就任演説そのものより、おそらく国際社会の台湾に対する反応の変化にある。

 蔡英文の総統就任式は、外国からの来賓出席数が破格であった。台湾と国交を結んでいる22か国を含む59か国から約700人が出席。これは過去最多である。

 中でも、米国は前米通商代表部代表のロン・カーク、初代国家情報長官のジョン・ネグロポンテ、米国在台協会(AIT)理事長のレイモンド・バッカード、AIT台北事務所長のキン・モイ、東アジア専門の元外交官アラン・ロンバーグらを派遣する手厚さだった。米国は蔡英文の総統就任式4日前に「一つの中国の原則を堅持する」とケリー国務長官が中国の王毅外相との電話会談で話しており、いかにも米政府が蔡英文政権に中国との関係を悪化させないように釘をさしたふうに報じられているが、特使団5人、しかも安全保障問題、東アジア問題の専門家2人が含まれているということは、南シナ海問題においての米中対立の先鋭化を受けての米台接近のサインの文脈で読むのが正しいだろう。

 さらに興味深いのは就任式前日の5月19日のワシントンポストで「米国は“一つの中国”原則を放棄して、台湾との関係を正常化するときだ」というタイトルのゲイリー・シュミット(共和党系シンクタンクのアメリカン・エンタープライズ研究所専任研究員 兼マリリン・ウェア安全保障研究センター共同ディレクター)の論文が寄稿されたことだ。

 米「ディプロマット」誌では「2049計画研究所」研究員のイアン・イーストンの寄稿を掲載し「米国にとって台湾の新総統就任は危機ではなくチャンスである。戦略的角度から“中国が嫌いな新リーダー”とは“米国が愛すべき人物”である」と提言している。

 同誌はさらに「蔡英文は台湾と米、日、オーストラリア、インドなど民主国家との関係強化を希望している。これは米国にとって、逸してはならない絶好のチャンス。蔡は冷静で、中間路線をとっている。彼女の最大のリスクは独立に傾いていることではなく、おそらくは慎重、後手になりすぎて、大陸との抗争で先手を打たれてしまうことだろう。米国は、アジア太平洋地域に強力なパートナーを必要とする以上、蔡英文に“米国は中国と対抗する気骨がある”ということを信じさせ、台湾が米国サイドにいると知らしめねばならない。つまり、台湾の政権交代は北京を除く、各国にとってすべからくチャンスであって、リスクではないのである」と解説している。こうした論評はやはり米国内のある種の空気を反映しており、あるいは国際世論への観測気球を上げているのではないかと思う。

中国の恫喝や懐柔策に動じず、関係強化を

 日本も交流協会理事長の今井正、衆院議員の古屋圭司が率いる日華議員懇談会の12議員を含む252人の大型祝賀団を就任式に参加させた。安倍政権が蔡英文政権に比較的好意的なのは周知の事実で、台湾側も台北駐日経済文化代表処代表(駐日大使に相当)に知日派の謝長廷を送り込む。また蔡英文政権の外交ブレーンに日米外交ともに精通し、老獪な対外工作でも知られる邱義仁がついている。

 総統就任後、外国の賓客との面談では、蔡英文は必ず「台湾的政府」(通訳はTaiwan Government)という言葉を使っており、「中華民国政府」という言葉はあえて使わなかったということも、中国から見れば就任演説を素直に台湾側の妥協とは受け取れなかった要因だろう。

 少なくとも中国側は、日米同盟に台湾が参与し、中国の南シナ海軍事拠点化計画を妨害する計画が水面下で進められるのではないか、という予測をもっており、蔡英文政権および日本に対してはなんらかの揺さぶりを仕掛けてくると予想される。おりしも2017年秋には第19回党大会が開かれ、中国国内の権力闘争も激化するタイミングである。民族主義的傾向の強い習近平政権にとっては台湾への圧力をかけることも、内政的パフォーマンスとして必要になってくるだろう。

 こうした状況下で、日本が考えるべきことは、中国の恫喝や懐柔策に揺さぶられることなく、台湾との関係を固めていくことが、東シナ海、南シナ海の平和と安定の鍵になると見定めることだろう。そろそろ日本でも「一中政策放棄論」を問いかけるメディアが出てきてもよい頃合いではないだろうか。

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