平塚柾緒『写真で見るペリリューの戦い』を読んで

今年の7/31のブログ記事『井上和彦著『パラオはなぜ「世界一の親日国」なのか』について』でパラオを紹介しました。その続編です。

今回は、太平洋戦争(大東亜戦争)後でも、ペリリュー島に残って戦い続けていた人達のことを紹介したいと思います。戦後の日本人はGHQによるアメリカの価値観を植え付けられ、刹那主義・快楽主義・拝金主義が跋扈するようになりました。先人たちの生き方を見て、如何に生きたら良いか考えるキッカケになればと思います。是非本を手に取ってお読みいただきたく。

内容

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第4章奇跡の生還

洞窟に潜んでいた三十四人の日本兵

昭和二十二年の日米銃撃戦

昭和二十年(一九四五)九月ニ日、東京湾に錨を降ろした米戦艦「ミズーリ」艦上で、連合国と日本国との降伏調印式が行われ、三年八力月に及んだ「太平洋戦争」 (大東亜戦争)は正式に幕を下ろした。ところが一年半後の昭和二十ニ年(一九四七)三月の末、あの激戦の地ペリリユー島で突然、激しい銃撃戦が起こった。米軍と複数の日本兵による銃撃戦である。

パラオ本島(バベルダオブ島)や、コロール島で敗戦を 迎えパラオ地区集団の陸海軍将兵の大半は、前記したように昭和.二十年十月から翌二十一年三月にかけて日本本土に復員している。ところが集団司令部が引き揚げ船 に乗る直前になって、「ペリリュー島に敗残兵がニ、三 人いる」と、米軍から連絡を受けた。そこで集団司令部付の日系二世の通訳浜野充理泰少尉が二回にわたってペリリユー島に派遣され、米軍とともに捜索にあたったが 発見できず、捜査は打ち切られた。

このとき、実際は山口永少尉ら歩兵第ニ連隊と海軍の将兵三十数名がジャングルや洞窟内に潜んでいたのだが、 日本側による捜索はこれが最後で、パラオの日本軍将兵は日本本土に引き揚げていった。米軍もその後の捜索は行わず、再開したのは統撃戦後の昭和二十二年三月末だ ったのである。

その日——夜になるのを待って海軍の千葉千吉兵長と塚本忠義上等兵は、パパイアを採るため洞窟を出ていった。そのとき浜田茂上等兵は自分たちの壕からニ、三十メートル離れた「エ兵隊グループ」の壕を訪れ、斎藤平之助上等兵たちと談笑していた。そして千葉兵長と塚本上等兵が歩いてくるのを目撃した。

浜田上等兵は二人に小声で声をかけた。 「おい、拳銃でも手榴弾でもいいから持っていけよ」「いや、すぐ帰るから   」

そう言い残して二人は消えていった。だが、浜田上等兵の危惧は当たってしまった。まもなくニ人は米軍のパトロール隊に発見されてしまった。

そのときの模様を塚本上等兵はこう説明する。 「待ち伏せを食ってしまったんです。逃げたのだが、前を走っている千葉兵長が二人の米兵に捕まってしまった。 工兵隊の壕までは百メートルもないところだった」

塚本上等兵は救いを求めるために、無我夢中で壕に向かって走った。二人の米兵に両脇からベルトを摑まれて.いる千葉兵長は、逃げる塚本上等兵の姿を見やった。そして〈塚本が逃げたから、時問を稼げば必ず助けに来て くれる〉と考えた。

しかし、米兵たちも興奮していた。米兵たちと鉢合わせになったとき、二人はなんとか逃れようとしてジャングル内を走ったのだが、千葉兵長は壕の跡に足をとられ、倒れたところを捕まえられている。そのとき〈もうだめだ〉と思った千葉兵長は帯剣を抜き、米兵に突っ込んだのだ。傷を負った米兵は千葉兵長の顔を殴り飛ばし、強引に連行しょうとしたのだった。

一方、塚本上等兵の知らせを受けた日本兵たちは、それぞれMlラィフルの安全装置をはずして夜のジャングルを突っ走った。十二、三名はいた。山口少尉も工兵隊壕の近くに居たため、千葉救出に加わった。つい半年ほど前にも仲間の一人が待ち伏せに遭って死んでいる。なんとしても救出しなければならない。山ロ少尉は発砲を許した。洞窟生活に入ってからは部下の発砲を禁じていたのである。

「月夜だったので、目を透かしてみると百メートルばかり先の道路に二人のアメリカ兵に捕まっている千葉さんの姿が見えた」

と浜田上等兵は言う。救出隊は道路の両側からできるだけ近づくことにし、真っ暗なジャングル内を進んだ。

そのとき、千葉兵長がいきなり道路にパタッと倒れた。 これが合図となって、道路の両側から一斉に銃が乱射された。

しかし、米兵を射殺した場合の後難は誰もが知っていた。日本兵たちは米兵らの頭上すれすれのところを狙ってラィフルや自動小銃を放った。驚いた二人の米兵は、 千葉兵長を放置して逃げだした。

この日米の銃撃戦がきっかけとなって、日米合同の大投降作戦が開始され、三十四名の日本兵が戦後1年八カ月目に救出されるのである

米軍の帰順工作開始

千葉千吉兵長の救出が成功した夜、工兵隊壕周辺の日本兵たちは山ロ少尉の判断で別の壕に移動した。救出に参加した兵たちの大半は、弾倉を空にするまで撃ち尽くしている。おそらく現場には真新しい米国製の空薬莢が山になっているに違いない。その数から推して米軍がこちらの人員を割り出すことは、そう難しくはあるまい。必ず掃討戦を繰り広げてくるに違いない、そう考えたからであった。

一方、米軍は緊急対策を立てていた。 グアム島の海兵隊司令部に「ペリリュー島に武装した大勢の日本兵が潜んでいる」と報告、応援部隊の派遣を要請した。 そして翌朝、約一個大隊の海兵隊が二機の輸送機で送られてきた。

当時のペリリュー島には米軍の戦闘部隊はいない。基地の保安要員とその家族だけであった。そこで米軍は島に戒厳令を布き、婦女子は舟艇に乗せて沖合に避難させ、本格的な掃討戦を展開することにした。米軍側は、この千葉兵長事件の起こる前から島の住民の情報や、たび重なる食糧盗難などから日本兵の存在は知っていた。それが乱射事件によって決定的になったため、この際ー挙に解决をしなければ島の住民と米軍家族の安全ははかれないとの結論を出したのである。

しかし、いかに武装集団とはいえ、戦 争はとっくに終わっている。できることなら無事に救出してやりたい。いや、あの三年八力月に及んだ太平洋戦を生き抜いてきた兵士たちに、いま死を与えるのはあまりにも悲しいことである。それに掃討戦を決行すれば、米軍側の損害も相当数覚悟しければならない——軍司令部は平和的解決を求めた。日本兵の帰順工作の実施である。それが失敗したら、 そのときに武力掃討を検討すればいい、そう結論したのである。

米軍は帰順工作の有力手段として、二人の旧日本軍将官を起用することにした。

米軍が白羽の矢を立てたのは、日本の第四艦隊参謀長であった澄川道男海軍少将であった。

当時、澄川少将はグアム島で行われていた戦犯裁判の証人としてウィッドネス・キャンプ(証人キャンプ)に抑留された形になっていた。そこを米軍に呼び出され、こう告げられた。

「ぺリリユー島にホールド・アウトが五十人ばかりいて、米軍や島民とトラブルを起こしておる。ついてはペリリユー島に行って、彼ら日本兵に降伏を勧告してくれまいか」

ホールド・アウトとは、殺してもかまわない無法者の兵隊という意味である。 米軍は「貴方はアドミラル(将官)だから、行けば皆が言うことを聞くだろう」という。そこで澄川少将は条件を出した。

「ホールド・アウトの兵隊たちを救出したら、命の保障と戦犯にはかけないと約束をしてくれますか」

米軍は両方とも承知し、ただちに澄川少将を米軍機でペリリユー島に運んだ。 澄川少将は昭和五十四年(一九七九)に亡くなったが、生前、太平洋戦争研究会の取材に語ってている。 「私には島にどういう人たちが残っているのかわからないし、一応、戦争は終わったことを伝えようということで、メガホンでふれ歩いた。渓谷部にいるらしいということはわかっていたが、いくらやっても反応がない。そこで自分で文章を書いて、島民から聞いた『日本兵の通り道だ』という場所の木にぶら下げておいたです。

この一回目の捜索は五、六日間続けたが手掛かりは得られず、米軍の要請でいったんグアム島に帰ったわけです」

澄川少将が書いた文書は「ペリリュー日本人諸君へ」という平易な文体のものだった。日付は昭和二十ニ年三月二十三日となっている„

投降勧告に揺れ動く洞窟内の日本兵たち

グアム島に帰った澄川少将の不安は募るばかりだった。少将はペリリュ—島で硬軟二通の呼びかけ文と一緒に、米マリアナマ地区司令官であるC・A •ポーネル海軍少将の『日本人へ』という文書の邦訳の手紙も同封して、木にぶら下げてきた。その邦訳文には、次のようなことが書いてある。 「若シ降伏ヲ拒絶スルニ於テハ、不法行為及犯罪者卜認メ、法ノ定ムル所ニヨリ捕縛シ、其ノ取扱ヲ受クべシ」とあり、さらに「パラオ島指揮官ニハ、諸君ガ降伏セザルカ捕縛ニ抵抗スルニ於テハ、捕縛及射殺ニ於ケル必要ナル兵力ヲ使用スルコトヲ命ジアリ。必要ニ応ジ増援隊ヲ送ル用意アリ」とも書かれてある。

澄川少将は米軍側に申し出、再びペリリユー島に飛んだ。〈彼等は日本が負けたことを信じていないからこそ出てこないのに違いない。それなら日本軍の上官としての「命令」なら聞き入れるかもし れない> そう思った澄川少将は、今度は旧海軍スタイルの命令調で投降勧告文を書いた。

「去ル三月二十三日余ハ諸子ニ対シ降伏勧告ノ為、当島ニ来リ。四日間滞在、諸子ト連絡ノ機会得ント努力セシモ遂ニ成功セズ一旦ガム島ニ帰投シ、写真及印鑑 (職印ハトラック島ニ於テ焼却セリ)ヲ携行再度来島セリ。茲ニ書面ヲ以テ改メテ諸子ノ誤謬ヲ解キ速ニ米軍ニ降伏センコトヲ望ム」

と始まる長文の『再度ペリリユー島残存日本軍将兵ニ告グ』と題された呼びかけ文である。しかし反応はない。

だが、日本兵たちは澄川少将の呼びかけや行動は逐一知っていた。そして 、一人一人に微妙な心境の変化を与えつつあったのだ。〈日本が負けることなどあり得ない〉と思いつつも、一抹の不安は誰もが抱いていたからだった。やがて単独でグループから“脱走”し、三十四人生還のきっかけを作る土田喜代一上等兵などは、「私は九分九厘まで日本が負けたと考えるようになっていた」と断言する。 しかし、単独で行動するには相当の覚悟がいる。澄川少将が最初に呼びかけを始めたときから、三十四人の日本兵たちは全員が実弾を込め、完全武装で洞窟内に潜んでいた。もし単独で洞窟を出た場合、背後から戦友の実弾が飛んでくる恐れは充分にあったからである。

“脱走”を決行した 土田上等兵

再びペリリュー島の土を踏んだ澄川道男海軍少将は、オブクルソン村長とともに投降作戦に協力してくれている島の男に、「もし日本の兵隊を見たら、この袋を渡してくれ」と一個の布袋を手渡した。中には澄川少将が旧軍スタイルで書いた、前記の『再度ペリリュ—島残存日本軍将兵ニ告グ』という昭和ニ十ニ年三月三十一日付の投降勧告文と煙草が入っていた。そしてチャンスはすぐに訪れた。 翌四月一日、斎藤平之助上等兵は缶詰の空き缶を捨てに米軍のゴミ捨て場に向かった。そこで、島の男にいきなり声をかけられた。 「ニツボンのへイタイサン?」

男はそう言うなり、何か物を投げて寄こした。澄川少将から預かった布袋だった。仰天した斎藤上等兵は工兵隊グループの壕に走り込み、「敵に発見された!」 と告げる。伝令が各グループのもとに走り、協議が行われた。そして島の男が投げてきた袋を取りに行くことになった。 武装した四、五名の者が現場に急行し、 袋を回収してきた。

みんなの前で袋が開けられ、勧告文が読まれた。「これはニセ物だ、だまされるな」

「これはスパイのだ」 次々否定する言葉が飛んだ。しかし、 土田喜代一上等兵は〈これは本物だ〉と思った。海軍上等水兵である土田さんは「澄川少将」なる提督の名前は知らなかったが、文の書式が海軍様式で書かれてあるからだった。だが話し合いの結論は、情況が悪いから一カ月ぐらい壕の中にいて様子を見ようということになった。土田上等兵は決意した。 〈このままでは全員が自滅してしまう。 日本は間違いなく負けたのだ。残る道は脱走以外にない〉

昭和二十ニ年四月ニ日の夜、土田上等兵は書き置きを記すために見張役を申し出て、ランプの明かりで短い鉛筆を走らせた。

隊長以下其の外の者に告ぐ

私の行動を御許し下さひ、私は飛行場に突込もうと思ひました、而し他の持久作戦部隊に迷惑をかけると思ひ、私はガダブス(注.ガドブス島)進撃をやり、敵と逢ひ次第交戰、華々しく散る積もりです。そして無事ガダブスを通り越した場合、本島へ渡り、そして其の畤は其の時で散る積りです。

おそらく本島へ渡れるのは、九分九厘まで不可能と思ひます。又気が向いたら本島より帰り、ニユースを持つて再び帰ります。其の時は後弾丸を喰うのは覚悟して帰る積りです。今後、持久作戦部隊の武運長久を御祈り致します。私の行動をヒキョウと思ふのが全部と思ひます。 而し、私のやることが其の本人の幸福なら心から許して下さい。五、六中隊、又通信、本部、とよろしく御伝え下さい。 又特に、千やん、横田、小林、斎藤さんは直接御世話になりました。厚つく御礼申し上げます。又相川兵曹は再び海軍へ帰えってはどうですか、心配致します。 隊長殿、以上の私しの行動を御許し下さい。(原文のまま)

土田上等兵は書き置きを置くと、さりげなく洞窟を出た。月の位置からみて午後の十時半ごろと思えた。

日本の敗戦を確認した土田上等兵

土田上等兵は、住民が住んでいる島の北部に向かって一目散に走り続けた。その途中、パトロール中の米軍に遭遇、保護されて飛行場に隣接した米軍のカマボコ兵舎で澄川少将と対面させられた。そこで土田上等兵は驚かされる。米軍側は確実な情報をつかんでいたのである。 「三十何名いるんだね」 澄川少将がズバリと言ってきたのだ。 「百名くらいいるのかと思ったら、三十何名なのか?」

少将はたたみかけてきた。 「はあ、そうです」 土田上等兵は思わず答えてしまってか ら、しまったと思った。日本軍の勢力を洩らしてしまったからだ。それに「澄川少将」と名乗っている男の頭は白髪で、 アメリカ人に見えなくもない。土田上等兵は質問した。 「あなたは、失礼ですが本当に日本軍の澄川少将ですか?」

「そうだ、私は澄川だ」 言葉は立派な日本語だった。しかし、まだ信用はできない。土田上等兵が「日本が負けた証拠を見せろ」と言うと、澄川少将は日本の現況を載せたアメリカの雑誌を見せて説明したが、「そんなもんはゴミ捨て場で何回も見たし、信用できん」と突っぱねた。

そのころ、隣のアンガウル島に燐鉱石の採掘作業に六百人近い日本人が来ていた。澄川少将は米軍と相談をして土田上等兵をアンガウルに連れて行き、日本人に会わせることにした。米軍はさっそく複座の戦闘機を用意し、士田上等兵をアンガウルに運んだ。ペリリユー島とアンガウル島は十キロ足らず、時間にしたら十分とかからない。

アンガウル島に着いた土田上等兵は、 日本人作業員たちに引き合わされた。 「日本は本当に戦争に負けたのか?」

と土田さんは聞き、続けて「戦友たちはあのペリリユー島でまだ戦っている」

と言うと、日本人たちは驚き、「日本はとっくに負けていますよ。戦争は終わって、こうしてわれわれは燐鉱石を掘りに来ている」と言う。

こうして土田上等兵が日本の敗戦を確認し、洞窟に潜む日本兵たちの氏名と階級が知らされた。何人かの兵の出身県もわかった。

その後、土田上等兵は澄川少将や米軍捜索隊とともに、仲問の投降呼びかけに参加した。ところが土田上等兵の呼びかけは、洞窟の□本兵たちに逆効果を与えてしまった。

「あのバカ、ただじゃすまさねえ、ぶっ殺してやる」

と息巻く親しい戦友もいた。残された兵たちにすれば、まさか米軍に投降などするはずはないという信頼と確信があったからであろう。ジャングルの日本兵たちは厳戒態勢に入った。

兵士たちの心を動かした肉親の手紙

澄川少将は出身県の判明した兵士たちの対策について、米軍に一つの提案をした。「日本政府に連絡して兵士らの肉親の手紙や新聞、雑誌などを届けてもらい、それを洞窟内の兵隊たちに見せてはどうか」というものである。米軍は即座にOKし、計画はグアム島の米軍司令部に報告され、東京のG HQ司令部(連合国軍総司令部)に打電された。そして電文は日本の復員局を通じて、四月十二日、それぞれの兵隊たちの出生地に飛んだ。山口少尉の自宅にも、森島通一等兵の自宅にも茨城県庁の世話部を通じて“朗報”がもたらされた。

肉親や友人、知人は、生存の報に涙を流しながら、ジャングルに潜む息子や兄弟に戰争が終わったことを信じさせようと必死の想いで書き綴った。農夫の父親は、何年ぶりかで筆をとり、幼い弟妹たちは、拙い文字で「あんちゃん、日本は 戦争に負けたが、みんな生き残っている。早く帰ってきて」と訴えた。そして父親や母親は、息子が信じるようにと、最後には実印まで押した。

情報は旧十四師団関係者にも伝えられた。多田督知参謀長もその一人で、多田大佐はかつての部下のために二百字詰原稿用紙十七枚に、日本が敗れ、パラオ集団が内地に引き揚げるまでのいきさつを事細かに書いた。

肉親や友人、知人、それにかつての上官たちが必死で綴った手紙は、日本の新聞や雑誌類とともに米軍機で急送され、ペリリューの澄川少将の手に渡された。

効果はただちに現れた。土田上等兵の案内で、日本兵たちの潜む洞窟に近づいた澄川少将は、大声で叫んだ。 「私は日本からお前たちを迎えに来た澄川だ。日本は戦争に負けたんだ。降伏し たのだから話し合いをしよう。山ロ少尉、 出てこい!」

シーンとして声はない。 「それでは、お前たちの家族からの手紙が今朝内地から着いた。土田上等兵が君たちの名前を教えてくれたので連絡を出し、米軍の飛行機で運んでもらったのだ。 私信の封を切って悪いが、いまから読むから聞いておれ。山ロ少尉のお父さん、 源一郎さんの手紙から始める」

澄川少将は、静かに、ゆっくりと読み始めた。(手紙は原文のまま) 「拝啓時下桜花開き多忙の季節となりました。御前には元気との事家内一同よろこび居ります。日本は昭和二十年八月十五日、天皇陛下の命によって終戦となり、今は平和なる農業国となって居り、 御前と友人の根本裕治君や山ロ六郎君は 復員して職務に従事して居るのであります。君は米軍に抵抗して居るとの事でありますが、其のような事は寸時も早く止めて米軍の光栄により一日も早く帰国せられ、楽しき生活をせられんことを家内一同待ち受けて居る次第であります。 先は健康を祈る早々不一

父より(実印) 昭和弐十弍年四月十六日 永へ 」 「兄さん、お元気ですか、おばあさんも元気で兄さんの帰りを待ってをります。 戦争は昭和二十年の八月十五日に天皇陛下の命により降伏してしまいました。 兄さんも降伏をして一日も早く家へ帰って来ておばあさんを喜ばせて下さい。と なりの六郎さんも元気でふくいんをしてをります。兄さんも一日も早くおばあさん、家中の人を喜ばせて下さい。兄さんお身をたいせつにさようなら。

昭和二十ニ年四月二十一日月曜 初五山ロ信子(認印) 山ロ永樣

洞窟内からはなんの反応もなかったが、兵隊たちは聞いていた。澄川少将は次から次へと読み進んでいった。四人目の兵隊の分が終わると、五人目の兵隊のものへと移っていった。

どのくらい時間が経ったであろうか、 洞窟の中から初めて反応があった。 「わかった、話はわかったから連絡員が出る」

という声がし、梶房一上等兵と浜田茂上等兵が這い出てきた。

かくして三十四人の日本兵は全員が姿を現し、米軍の施設に収容された。昭和二十二年四月二十二日のことであった。

11/6・7 ZAKZAK 宮崎正弘『死に物狂いで金集めに走る中国 日本株も静かに売却していた…』『史上例をみない“詐欺的作為”か 海外投資家は中国から一斉引き揚げ開始』について

中国の経済崩壊は避けられないでしょう。ハードランデイングになるかソフトランデイングになるかの違いです。本記事にあるように、本年末400兆円もの債券が借り換えできなければハードになるでしょう。中国の鼻薬が効いているアナリストや共産党から情報を貰うしかない無能な評論家、日中記者交換協定に唯唯諾諾と従う記者は「保守派のwishful thinking」と言うでしょうけど現実です。

米国も南シナ海の人工島の鉾を収めればIMFのSDRを認める取引をするのではと噂されていますが、これだけ中国国内の経済が困窮化しているのに、生き延びさせるような支援はすべきではありません。敵は騙すのを生業としているのですから。時間の利益は人口の多い中国に有利に働きます。世界が中国の経済崩壊の影響を受けたとしても、軍拡・世界制覇の野望を持つ中国の意図を挫いた方が良いでしょう。

AIIBの資本金が1000億$(12兆円)ですので、この金を流用しようとしても、400兆円の借り換えは出来ません。桁が違いすぎます。支払い不能の場合どうなるのか分かりません。ギリシャの場合と違って、桁が大きく救済できないのでは。中国保有の資産を差し押さえるのかどうか?中国の土地は無価値では?でも狂った共産党が戦争を仕掛けてくることが大きな懸念です。

記事

中国経済は「アリ地獄」に落ちた。「負の連鎖」が最悪の方向へ暴走し始めたことが、種々の経済データや現状分析から明瞭に観察できる。

 今年6月以来の「上海株暴落」と、8月の「人民元切り下げ」。続いた「天津大爆発」により、世界第4位の港湾施設が麻痺(まひ)し、輸出入が激減したばかりか、北京への貨物輸送が途絶えた。

 この前後の、経済動態を緻密に検証してみる。リーマンショック直後からの財政出動、強気のインフラ投資、新幹線建設はまだしも、各地にゴーストタウン(鬼城)が出現したあたりから、中国経済は崩落への道に突き進み、「負の連鎖」が始まっていたことが分かる。

 中国の経済政策は制度上、国務院(=日本の内閣に相当)が所管する。このため、李克強首相が経済政策の中枢を担い、彼の推進する中国の経済を「リコノミクス」と呼ぶ。李氏自らが認めたように、中国のGDP(国内総生産)統計は水増しが多く、信頼するに値しない。「電力消費量」と「銀行融資残高」「鉄道貨物輸送量」の3つのデータを重視するとした。

 となると、計算上、電力消費量が40%、銀行融資残高が35%、鉄道貨物輸送量が35%として振り分けられる「李克強指標」で見ると、7%成長をうたう中国のGDPは、本当のところ2%前後しかない。電力消費量は横ばい、貨物輸送量は10%のマイナスだからだ。「実質はマイナス成長」に陥っていると推定できる。

 中国の抱える債務はGDPの282%である。2015年末に400兆円、16年末に600兆円の償還時期がくるが、返済は無理。つまり借り換え、分かりやすくいえば、ギリシャのように「証文の書き換え」が目の前に来ているということだ。

5兆円にものぼった中国国富ファンドの日本株保有も、いつのまにか手元資金不足に陥って、静かに売却していた。  なぜなら、日本企業の株主リストは公開されており、豪のオムニバス・ファンド(=中国国富ファンドの別動隊)の名前が見つからなくなった。中国は日本株をほぼすべて売却していたのである。  あまつさえ中国は保有する米国債を取り崩し、備蓄した金も少しずつ売却している。次に地方政府の債券発行を認め、さらには住宅ローンの貸し出し分を担保の銀行融資枠を拡大し、10月には銀行金利の上限も撤廃した。加えて、人民元建ての中国国債をロンドンでも売り出して、死に物狂いの金集めを展開している。  これは末期的症状ではないのか。

 

 中国の外貨準備高は帳面上、世界最大で3兆6500億ドル(約443兆1465億円)=2015年6月末現在=だが、それなら、なぜ、米国債を徐々に取り崩しているのだろう? 直近の7月から9月だけでも、2290億ドル(約27兆8028億円)を売却しているのだ(米財務省速報)。

 従って、中国の外貨準備にはカラクリ、それも史上例をみない“詐欺的作為”がなされているとみるエコノミストが増えている。ドル資産が、一夜にしてブラックホールに吸い込まれるように消える恐れが強まった。

 CIA(米中央情報局)筋の調査で、中国から不正に流れ出した外貨は3兆800億ドル(約373兆9428億円)とされる。となると、15年6月末の外貨準備高は、差し引き5700億ドル(約69兆2037億円)でしかない。

 単純計算はともかく、複雑な要素が絡む。

 第1に、最も重要な外貨準備指標は「経常収支」である。この数字をみると15年3月まで1年間の統計は2148億ドル(約26兆788億円)。ところが、外貨準備は同期間に2632億ドル(約31兆9551億円)減少している。膨大な外貨が流失しているから、数字の齟齬(そご)が起こるのだ。

 そこで嘘の上塗り、つまり架空の数字をつくりかえ、粉飾のうえに粉飾をおこなう。となると「GDP(国内総生産)が世界第2位」というのも真っ赤な嘘になる。GDPのなかで、「投資」が締める割合が48%、こういうことはどう考えてもあり得ない。

 例えば、現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」は財源が400億ドル(約4兆8564億円)である。ベネズエラに投資した額は450億ドル(約5兆4648億円)前後、アンゴラへの海底油田への投資は焦げ付いたという情報があり、リビアでは100ものプロジェクトが灰燼(かいじん)に帰した。

 以下、スリランカ、ジンバブエ、スーダン、ブラジルなど。世界中で中国が展開した世紀のプロジェクトが挫折している。つまり、対外純資産が不良債権化している。オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなどでは鉄鉱石鉱区を買収し、開発していたが、鉄鋼不況に遭遇して工事を中断。このあおりで、豪ドル、カナダドル、NZドルが下落した。

 13年末の海外直接投資残高は6605億ドル(約80兆2111億円)だったが、15年3月には9858億ドル(約119兆7155億円)と急激な増加が見られる。15年3月末の対外債務残高は、直接投資が2兆7515億ドル(約334兆1421億円)、証券が9676億ドル(約117兆5053億円)。合計3兆7191億ドル(約451兆6475億円)となる。

 つまり外貨準備は事実上、マイナスである。だから、海外投資家は一斉に中国から引き揚げを始めたのだ。

長洋弘『インドネシア残留元日本兵』を読んで

11/7日経朝刊には『中国の本気度 見抜けず インドネシア高速鉄道、日本が受注失敗 「親日国だから」安心あだに・・・・・・日本と中国が激しい受注合戦を繰り広げたインドネシアの高速鉄道計画。2008年ごろから提案してきた日本は、今年3月に参入したばかりの中国に計画受注をさらわれた。なりふり構わぬ中国の攻勢に日本はなすすべなく敗れた。これまでインドネシアと親密な関係を築いてきた日本側に死角はなかったのか。

 「中国の高速鉄道が工事から運営管理まで一体で海外進出する第1弾だ」。ジャカルタで10月16日開いたジャカルタ―バンドン間の高速鉄道建設に向けた合弁会社設立の署名式。中国国有大手、中国鉄道総公司幹部の楊忠民氏はこう強調した。

 インドネシア政府は9月3日に「日中双方の提案は受け入れられず事業を見直す」と宣言。ところが親中派とされるリニ国営企業相の訪中直後の23日、中国案の採用が急転直下決まり、日本は入札すらできなかった。

政権交代を利用

 「経緯が不透明で理解しがたい。信頼関係は損なわれた」。菅義偉官房長官は29日、特使として来日したソフィアン国家開発企画庁長官を厳しく非難。短時間で会談を切り上げ、安倍晋三首相との面会も拒んだ。

 日本案は技術や安全性に優れるが高価という見方は誤解だ。総事業費は中国案の74兆ルピア(約6600億円)に対し、日本案は64兆ルピア(約5700億円)だ。

 「何としても日本から奪って受注するように」。中国の習近平国家主席が中国国家開発銀行の幹部に指示したのは14年末。中国は将来的に米国と対峙するため、東南アジア諸国連合(ASEAN)の取り込みを開始。ASEAN内で影響力が大きく、ともに親日国のタイとインドネシアを特に重視した。

 中国が相手国の政権交代を「国益」に利用するのは定石だ。対インドネシア外交でも習氏は14年10月のユドヨノ前政権からジョコ現政権への交代を見逃さなかった。ジョコ氏は就任直後の11月、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席で訪中し習氏と会談。2カ月後、日本が提案した高速鉄道計画の中止をいったん宣言する。

 焦る日本側は再考を促そうと15年3月に来日したジョコ氏を東京から名古屋まで東海道新幹線「のぞみ」に乗せた。インドネシア紙記者から乗り心地を尋ねられてもジョコ氏は「さあどうだろう」と答えを濁した。その理由は直後に判明する。ジョコ氏は日本に続いて訪れた中国で習氏と再び会談し、中国による高速鉄道建設の事業化調査の受け入れに合意した。

「不可能な条件」

 日本案はインドネシア政府の債務保証を伴う低金利の円借款が前提だ。ただ中国案にはインドネシア政府の財政負担や債務保証は一切不要な上、ジョコ氏の任期中の完成などインドネシア側の要求に沿った条件が並んだ。いずれも「支援の常識を外れた日本には不可能な条件」(国際協力銀行の前田匡史専務)だ。

 それでも安倍首相は和泉洋人首相補佐官を7、8月と相次いでインドネシアに派遣し追加提案を示したが、中国案優位の流れは覆せなかった。

 中国からインドネシアに多額の賄賂が飛び交ったとの情報もあり、日本政府が事実関係を一時、調査した。日本は外国公務員への贈賄行為を禁じた経済協力開発機構(OECD)加盟国。一方、未加盟の中国にそれを守る義務はない。

 もっとも中国案が計画通り進む保証はない。中国は04年、フィリピンが計画した鉄道建設事業を受注したが工事は進まず計画は凍結。この時、フィリピン政府の支援要請先は日本だった。

 「中国のなりふり構わぬ競争に付き合う必要はない」。菅氏は9月中旬、ついに幕引きを決めたが、日本にとって今後も最大のライバルが中国となるのは間違いない。

 首相周辺は「インドネシアは親日国だから、という安心感がなかったと言えば嘘になる」と振り返る。それ以上に、中国のインドネシア攻略にかける本気度を日本政府は見抜けなかった。

(政治部 島田学、ジャカルタ=渡辺禎央)』とありました。

この記事から言えることは①日本政府の油断→今までのODAの大きさから日本受注と安心。敵(中国)は政権交代を狙って仕掛けてきたのに、気が付かず。民間企業であれば、売り込み先の人事異動があれば、従来の関係を築いて行けるよう営業するものですが。さすが日本の役人というだけのことはあります。まあ、中国の賄賂攻勢の前では如何ともしがたいのかもしれませんが。②中国に新幹線技術を売り渡した売国政治家(Second floorらしいですが)とJR東日本と川崎重工業の責任は重いでしょう。大量・高速輸送が展開できるのですから軍事に応用できるでしょう。そんなことも考えずに、敵国に技術供与するのですから何をかいわんやです。

本書はインドネシア独立に貢献した日本人(含む台湾人)の記録です。積極的にインドネシア独立軍に参加した人、仕方なく参加した人といますが、植民地解放という歴史を作るのに体を張って戦ったことは間違いありません。戦後日本人の惰弱な生き方とは違います。インドネシアも『ムルデカ17805』の意味をよく考えないと。日本人も自虐史観ではなく、世界史を築いた人たちがいたというのを記憶に留めておく必要があります。残留兵は全員亡くなったので、記録としての本書の重要性は言うまでもありません。多くの方に読んで戴ければ。それと日本政府は「慰霊碑」の保存に金を出すべきです。インドネシアのジョコ政権だと中国の意を受けて、歴史を抹殺しないとも限りませんから。

内容

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11/5日経ビジネスオンライン 鈴置高史『日韓は「べったり」した昔には戻らない 木村幹教授と韓国の「右往左往」を読む(3)』について

11/4日経朝刊では『木村幹•神戸大教授 今回の首脳会談は儀礼的に終わると思っていた。従軍慰安婦問題で「早期妥結を目指す」としたのはかなり前向きで強い表現だ。朴槿恵(パク•クネ)大統領はかねて「年内決着」を主張しでおり、「早期」は年内と言うのに近い。ポイントは両国の世論だ。政府が妥協しても、世論に流されて結論が変わる事がある。特に韓国はそうだ。首相は会談で「将来世代の障害にならないようにすることが重要だ」と指摘した。韓国が最終決着ということで国内を抑えられるか。日本国内も韓国への反発は強い。両首脳の強い指導力が求められる。

安倍内閣の支持率をみれば、今回の会談はやる必要はなかった。だからこそ慰安婦問題の発 言ぶりに驚いた。日本を動かしているのは、安全保障で日韓連携を求めている米国だと思う。今回の会談からは日韓の共通利益は見えなかった。政府が動かなくても経済交流や社会・文化交流は動いている。政府が旗を振る時代は終わった。むしろ、両国の外交が足を引っ張らないようにするのが大事だ。』とありました。

武貞秀士は11/1TV「報道2001」で、「韓国は蒸し返し、手のひら返し、ひっくり返しの3返しが常態」と言っていました。詳しいことは忘れましたが、小生が考えるに、日韓基本条約を蒸し返し、世界記憶遺産登録での手のひら返し(軍艦島の強制徴用)、ひっくり返しの事例はたくさんあり、今は韓国経済界からのスワップ要望とか、朴大統領が「慰安婦問題が解決しない限り、安倍首相とは会わない」と言っていたのに首脳会談を開いたことかと思います。ご都合主義です。「用日」なんて言葉使いをするくらいですから。いくら人の良い日本人でも怒るでしょう。韓国経済界が危惧しているように、スマホ部品を禁輸すれば良い。断交すればできるでしょう。中華も小中華も「騙す方が賢く、騙される方が悪い」価値観で動いている国であり、賄賂社会です。「悪徳」が栄える国で、世界に暗黒を齎すだけです。中国は軍拡の問題もあります。米国は宥和政策を止めて中国と早めに対峙しないと手遅れになります。また南シナ海は米・日・豪・印・比・越合同で監視する仕組みを作らないと。中国が軍事基地化すれば経済制裁して、中国の保有する米国債を紙切れにするのも手です。

11/6日経・大機小機には「中国政府は自国通貨である人民元をSDR (特別引き出し権)の構成通貨にしようと国際通貨基金(IM F)に強く働きかけている。SDRによる取引は原則としてIM Fと各国の中央銀行や財務省しか関与しないため、一般にはなじみが薄い。従来の米ドル、ユーロ、円、ポンドと並んで、人民元がSDRの構成通貨に参加することの問題とは何か。 SDRという言葉には、構成通貨を加重平均して算出した通貨バスケットの計算単位という意味がある。 4ケ国通貨のコインを一定数だけ詰め合わせたものをSDRと呼んで、売買や貸借の金額の単位にするもので、現在の価値は約1• 4 %である。また、SDRには「IMF加盟国相互の資金融通制度」という意昧もあり、I MFへの出資比率に応じて各国に借入枠が与えられている。この借入枠には返済期限がなく、SDR構成通貨の加重平均金利を支払うことで、無期限に使用できる。この資金の出し手はI MF加盟国の中で外貨準備が豊富な先進国が選ばれるのが通例で、資金の出し手は、SDRの金利を受け取ることができる。このようなSDRの機能を考えると、人民元をSD Rの構成通貨に加えるには、広く国際貿易や国際資金取引に用いられる必要がある。中国の貿易額は大きく、その面からは人民元は SDRの構成通貨になる資格がある。他方で資金取引では、なお多くの規制が行われている。特に中国に居住する人や企業が人民元を外貨に交換して対外投資を行う場合や、中国以外の地域に住む人や企業が自国通貨を人民元に交換して中国に投資することについては、中国政府による広範な規制が行われている。このため、国際的な資金取引では人民元の使用は現在のSDRの構成通貨を大幅に下回っており、この面からは人民元のSDR構成通貨への参加は時期尚早だといえる。さらに、人民元がSDR S成通貨になると、IM Fが国際収支の赤字国に資 金援助する場合の金利などに影響を与える。人民元の金利は他の主要国金利よりも相当高<、資金返済が困難になる可能性もある。人民元をSDRに加えるのは中国が国際的な資本移動を自由化してからにすベきであろう。(山河)」とあり、正論でしょう。まあ、IMFも鼻薬が聞いているのかも知りませんが。

今や日本国民も中韓に対して贖罪意識を離れ、嫌悪感を持つようになりました。親韓派代議士が「日韓議員連盟」を止めろと言われる時代です。NHK午後5:35くらいから『私は騙されない』という「おれおれ詐欺」の予防策の特集をしていますが、マスコミが中韓への友好をいくら唱えても「私は騙されない」状態になっていると思います。良い傾向です。福沢の「脱亜論」の「悪友との謝絶」が国民レベルで実現できるようになってきました。

記事

前回から読む)

 首脳会談は開かれた。でも、日韓は離れていく――と神戸大学大学院の木村幹教授は言う(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。

韓国に期待しない日本

—日韓首脳会談が11月2日に開かれました。2国間の正式な首脳会談は3年半ぶりです。

木村:今回の会談は、日本と韓国が米中両国の間で異なる道を歩むことを確認するものとなりました。

木村幹(きむら・かん) 神戸大学大学院・国際協力研究科教授、法学博士(京都大学)。1966年大阪府生まれ、京都大学大学院法学研究科博士前期課程修了。専攻は比較政治学、朝鮮半島地域研究。政治的指導者の人物像や時代状況から韓国という国と韓国人を読み解いて見せる。受賞作は『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(ミネルヴァ書房、第13回アジア・太平洋賞特別賞受賞)と『韓国における「権威主義的」体制の成立』(同、第25回サントリー学芸賞受賞)。一般向け書籍に『朝鮮半島をどう見るか』(集英社新書)、『韓国現代史』(中公新書)がある。最新作の『日韓歴史認識問題とは何か』(ミネルヴァ書房)で第16回 読売・吉野作造賞を受賞した。ホームページはこちら

 日本側の発表によると、会談で安倍晋三首相は南シナ海問題――中国の脅威を語りました。しかし韓国側の公式発表は、朴槿恵大統領がどう答えたかも含め、この問題には一切、触れませんでした。

 会談で安倍首相も「南シナ海」では“深追い”しなかったと思われます。韓国とはもはや水面下でさえ、中国の脅威を議論することが難しくなったからです。中国への経済的、軍事的依存を深める韓国は「中国は仮想敵」とは口が裂けても言えない状態です。

 安倍首相は会談前後の記者会見で、かつてはよく使った「韓国とは共通の価値観を持つ」という表現も用いませんでした。努力次第で韓国がこちら側に――米国や日本側に戻ってくると、日本政府がもう、期待していないことの表れだと思います。

また、蒸し返す韓国

—「慰安婦」問題では「早期妥結に向け交渉を加速すること」で日韓は合意しました。関係改善に向け日本も動くように見えます。

木村:韓国が「年内解決」にこだわり、それなりの案も出したので、日本政府はいったんこれに乗ってみることにしたのだと思います。

 「『慰安婦』で日本が言うことを聞かない限り、アベには会わない」と言い張った朴槿恵大統領は、米国の不興を買いました。

 それと同様に、とにかくも開催に漕ぎつけた首脳会談の席上で、安倍首相が「『慰安婦』では一切譲歩しない」と言ったら、今度は日本が米国をはじめとする国際社会の不興を買うでしょう。

 ひょっとすると、日本は「早期解決」のため何らかの譲歩をするかもしれません。ただそれはかつてのような「べったりした」日韓関係に戻るためのものではないでしょう。

 首相が最近よく使うキーワードは「将来の世代に問題を持ち越さない」です。慰安婦問題についてもこれを目標にしているのだと思います。

鈴置:「蒸し返さないとの保証がない限り妥協はしない」ということですね。仮に「慰安婦」できちんと決着をつけられたら、もう韓国にまといつかれないで済むとの思いも見え隠れします。

ハラを割って話し合える?

—それは多くの日本人の思いでしょう。

木村:問題が何らかの形で「解決」してしまえば、日本の負担は小さくなります。そしてその後の日韓関係については別途に考えればそれで良い。

 お互いをうとましく思っている夫婦を想像下さい。もう、食事さえ別々にとるようになっている。だけどまだ、財産分けで合意できていない。

 この夫婦がそれを解決したら、夫婦はお互いに次のステージに入ることができます。離婚したければ離婚すれば良いし、そのまま籍を残すならそのままでも良い。自分たちの利益に沿って自由に判断すればいいだけです。

 安倍政権の対韓政策は明らかに変化してきました。スタート当初は河野談話の見直しを検討するなど、韓国に対し強気の姿勢で挑みました。逆説的な言い方ですが、これは韓国へのなにがしかの期待があったからです。

 2、3年前は「ハラを割って話し合えば韓国が変わるかもしれない」あるいは「韓国と手を携え、膨張主義の中国に対抗する」などという発想が日本政府にも残っていた。

 でも、安倍政権は次第に韓国への期待と関心を失っていきました。「韓国には大きな期待をしない」時代に入ったと言えるかもしれません。そして、だからこそ、面倒な問題はさっさと解決したい。

中国とさえ向き合えば良い

鈴置:関係改善のためではなく、“手切れ”のための問題解決――ということですね。安倍政権の中枢に詳しい人によると、2014年夏頃から「韓国が中国側に行くとの前提でモノを考えねばならない」と枢要な地位の人が語り始めていたそうです。

 今や、日本の外交専門家の多くが「日本は主敵たる中国とどう向き合うかを決めれば十分だ。中国のお先棒担ぎの韓国は『日中』の間合いを見て日本との関係を決める。日韓関係は日中関係の従属変数に過ぎない」――と考えています。

 ことに2014年11月、朴槿恵政権が「日中韓首脳会談を開こう」と突然に言い出したので、専門家はその思いを強くしました。

 それまで韓国は「日本を孤立させた」と快哉を叫んでいた。そこに寝耳に水の日中首脳会談の開催が決まった。韓国メディアは「我が国こそ孤立している」と一斉に政権を批判しました。

 中国の顔色を見て日韓首脳会談を拒否していた朴槿恵政権は焦りました。そして「日中韓」を開くとの名分で、日韓首脳会談の開催を画策したのです。それが1年後の2015年11月に、ようやく実現したわけです(「中国の掌の上で踊り出した韓国」参照)。

木村:それに加え、米国の働きかけもありました。米国は韓国に2つ宿題を出していた。1つは日本との関係改善――具体的には首脳会談開催です。もう1つは「南シナ海」での米国支持です。後者に比較すれば容易で、自分も必要だった前者を選び、米国に提出した格好です。

日韓関係はどんどん悪くなる

鈴置:数年前まで「文化、人的交流が進んでいるので日韓関係の先行きは明るい」との主張が声高に語られていました。それに対し木村先生は「おいおい、待てよ」と警告を発しました。当時は「相当につむじ曲がり」と世間から見なされたと思います。

—2012年8月3日の日経ビジネスオンラインに載った「日韓関係はこれからどんどん悪くなる」ですね。当時としてはかなり刺激的な見出しでした。

木村:あの頃まで「人的交流による関係改善論」が真顔で語られていました。事実とは関係なしに「若者が交流すれば日韓は対立を乗り越えられる」となぜか信じられていたのです。

 でも今や、そんな期待を語る人は一部の韓国専門家を除いて、ほとんどいなくなりました。日韓が異なる世界に住み始めたという現実を、多くの人が理解したからです。

 雑誌に「韓国は放っておけ」とはっきり書く研究者も出てきました。今の日本社会の韓国に対する雰囲気を象徴的に示しています。

別段、韓国がなくても困らない

鈴置:8月24日発表の日経の世論調査によれば「日韓首脳会談は急ぐ必要はない」との意見が47%。「早く開くべきだ」の39%を8%ポイント上回りました(「中韓との首脳会談開催、見方割れる 本社世論調査」参照)。

 首脳会談を開いても関係が改善するわけでもない、あるいは日韓関係が悪くても別段困らない――との日本人の率直な思いがうかがえる結果です。

 日本人の多くは、韓国が「慰安婦」を蒸し返すので、その解決は容易ではないと考えるようになった。

 そして仮に「慰安婦」が解決しても、米国と中国ブロックに分かれて住む日韓の潜在的な敵対関係が解消するわけでもない――との認識も定着し始めたのだと思います。

もの分かりが悪くなった日本

木村:日韓は同盟関係にはないものの、それぞれが米国と同盟を結んでいて準・同盟国ともいえる関係にあった。でも、前々回に申し上げたように、韓国はルビコン河を流されて中国の岸にたどり着きました。

 中国側の国となった韓国は、米韓同盟を対北朝鮮専用に限定しました。少なくとも韓国はそう考えています。米国から「3塁側――敵側に座るな」と叱責されても動じません(「『南シナ海』が揺らす米韓同盟」参照)。

 一方、膨張する中国に備え、日本は米国との同盟を強化しました。日韓関係は根っこから変わったのです。日韓はルビコン河の反対側の岸辺――米国側と中国側にそれぞれ住む国になりました。

 少し前まで「日―米―韓」の関係は「未完の三角軍事同盟」と呼ばれたものですが、文字通り未完に終わったわけです。

鈴置:日本が「未完の三角軍事同盟」を意識していた頃は、韓国が少々無理難題を吹っ掛けてきても我慢して聞いていた。先ほど木村先生が使った「べったりした関係」とはまさにこれです。

 でも「未完」が本当に「未完」で終わることが分かれば、もう韓国の言うことを聞く必要もない。ある外交専門家の表現を借りると、韓国からはこの変化が「もの分かりが悪くなった日本」に見えるというのです。

可愛げのなくなった韓国

 これは対句になっていまして、日本から見ると「可愛げがなくなった韓国」――。昔は「兄貴」とおだてながら日本に接してきた。これも「べったりした関係」の半分を構成していましたが、最近は上から目線で命令してくるようになりました。

—「べったりした関係」が終われば、もう韓国人にまといつかれないで済むのでしょうか。

木村:韓国人も「新しい日本」には気がつき始めました。ただ最近、逆行する動きも観察されます。日本のリベラル勢力が「慰安婦」でも応援してくれるはずだ、との期待感が再び盛り上がったのです。

 国会前での安保法制反対デモが韓国で大きく報じられたことが原因です。「極右のアベはどうしようもないが、良心派は健在だ」と韓国の人々は考えたのです。韓国の日本専門家からは「自民党のハト派は何をしているのか」と、期待感を込めて聞かれもします。

日韓議員連盟を辞めよ

鈴置:でも実際は、そのハト派の大物代議士の事務所に支持者から「日韓議員連盟を脱退しろ」と電話が掛かってきて、韓国とは距離を取ったりする時代なのですけれどね。

 韓国が「慰安婦」問題で日本攻撃の武器に活用してきた河野談話。産経とFNNの世論調査によると、自民党支持者の59.8%が「見直すべきだ」と答えました。

 興味深いのは左派や“リベラル”にも「見直し派」が結構いることです。社民党支持者では55.6%と過半数。公明党が47.9%、民主党が41.9%、共産党は35.3%でした。

 産経の「広がる『河野談話見直し』賛成、リベラル・左派支持層にも」(2014年7月1日)からの引用です。

 「済州島で強制連行」との記事は誤報だったと朝日新聞が取り消す前の調査ですから、いずれの数字も今はもっと高いと思われます。韓国人の期待を裏切ってしまいますが。

国家の財産を私物化

—結局「慰安婦」は解決するのでしょうか。

鈴置:しないと思います。「慰安婦」に代表される歴史問題は、韓国にとって貴重な財産です。韓国の政権は不安定な5年の単任制。政権は自分に向かう国民の不満を逸らすために、日本との紛糾を起こす必要があります。

 もちろん外交上も「慰安婦」など歴史問題は日本攻撃用の戦略兵器です。日本が反論しにくい「歴史」を持ち出してこそ、様々の要求をのませることができるのです。

 ただ、スタート時から「慰安婦」を掲げた朴槿恵政権に対しては、韓国内から批判がありました。貴重な対日攻撃カードを乱用すると、日本人も怒り出して効き目がなくなる。朴槿恵政権は国家的な財産を私物化し使い尽くしてしまう、という理屈です。

木村:日本に対し最初から最強硬姿勢をとったので、その後の手がなくなった、というのはその通りですね。

具体案を示さない朴政権

鈴置:朴槿恵政権も、この批判は承知していると思います。これもあって、自分からは具体案を示さないのです。

 首脳会談の直前に朴槿恵大統領は、毎日新聞との書面インタビューで以下のように答えています。毎日新聞(東京本社版)の10月30日8面に掲載された「一問一答 要旨」から引用します。

・日本政府が、被害者に受け入れ可能で、韓国民が納得できる解決案をできるだけ早く提示することが重要だ。

 具体的な解決案を自らは示さず日本に提示させておけば、妥結した後に「やはりあれでは韓国人は納得できなかった」と蒸し返すことができる仕組みです。

木村:韓国政府が自分で解決案を示さないのは、慰安婦の支援団体を説得する自信がないためでもあると思います。

動くゴールポスト

—これが「動くゴールポスト」ですね。でも、今後は韓国を徹底的に無視すればいいのでは?

鈴置:もう1つ、日本を攻撃する国ができました。中国です。表「中韓の『慰安婦共闘』」をご欄になると分かりますが、両国は2014年7月の首脳会談で「慰安婦カード」をシェアすることに正式に合意しました。

中韓の「慰安婦共闘」

2014年7月3日
中韓首脳会談で「慰安婦の共同研究」に合意。共同声明の付属文書に盛り込む(聯合ニュース・韓国語版
2014年12月15日
韓国政府系の東北アジア歴史財団と、中国吉林省の機関、档案局(記録保管所)が慰安婦問題関連資料共同研究のための了解覚書(MOU)を締結(聯合ニュース・日本語版
2015年8月15日
中国国家公文書局が『「慰安婦」–日本軍の性奴隷』第1回文献テレフィルムを公式サイトで公表(人民網日本語版
2015年9月22日
サンフランシスコ市議会が「慰安婦碑または像の設置を支持する決議案」を全会一致で採択。運動の中心となったのは中国系団体(産経新聞
2015年10月12日
中国外交部の華春瑩副報道局長、旧日本軍の慰安婦に関する資料について「ユネスコ世界記憶遺産への登録申請を他の被害国と共同で進める方針」(聯合ニュース・日本語版
2015年10月13日
韓国外交部の魯光鎰報道官、慰安婦資料のユネスコ世界記憶遺産に中韓が共同で登録申請することに関し「推進中の民間団体が判断すべきだ」。推進中の民間団体とは女性家族部傘下の財団法人、韓国女性人権振興院(聯合ニュース・日本語版
2015年10月28日
「中韓の慰安婦像2体」をソウル城北区に設置、除幕式。中韓の彫刻家が製作し、両国市民団体が支援(産経新聞

 今や、韓国の背中を中国がつついて日本を攻撃させています。仮に韓国が米国の顔色を見て「慰安婦」で日本と妥協を考えても、中国が許すかは疑問です。

 もちろん、中国自身も対日歴史攻撃に乗り出しています。ユネスコの記憶遺産に「南京大虐殺文書」を登録したのがその例です(「大陸と付き合ってろくなことはない」参照)。

「妥結」が失敗したら

木村:「慰安婦」の解決は、日韓両国の世論が強硬姿勢をとっている以上、容易ではないと思います。もちろん、今回の日韓首脳会談で示された「早期の妥結」がなされれば話は違ってきますが、逆に失敗に終われば、両国の間には更なる諦めに近い失望が広がっていくでしょう。

 日本政府は「韓国はまたゴールポストを動かした」と言い、韓国政府は「日本は誠意を見せていない」と言う、お馴染みのやり取りが展開されることになります。そして両国の世論はそれを白けた雰囲気で見守ることになるのだと思います。

 だからこそ、今回の首脳会談で合意された「妥結」が失敗に終わった場合にも、備えておかなければならないと思います。

—それでもまだ、韓国に付き合わなくてはならないのですか?

(次回に続く)

11/4日経ビジネスオンライン 福島香織『中国「二人っ子政策」、それは“朗報”ではない 「国家管理出産」では経済減速を乗り越えられない』について

「計画出産も計画経済も止めろ」と福島氏は言っていますが、それを止めたら共産党のレーゾンデ-トルがなくなるでしょう。夢の話です。問題は共産主義でなく、中国人の国民性にあります。経済で見た場合、富の分配がいつの世にもうまく行ってこなかったと言えます。「苛政は虎より猛なり」の諺が象徴しています。自己中の中国人ですから自分が儲かれば他人はどうでもよいという発想ですし、権力者は「清官三代」と言われるように清官であっても蓄財に励みます。中国のGDP構成比で消費の割合が低く出るのはここいらに原因があります。大衆に富を渡さず、貧しいものは益々貧しくなります。何清漣は「腐敗は中国の歴史であったけれども、一番ひどいのは共産党支配」と言っていたと思います。権(ポスト)銭(金)交易です。周永康の賄賂受領額が1兆6000億円と言うのですから、他の要人たちはどのくらい取っているのかです。「共産主義は能力に応じて働き、必要に応じて受け取る。」と言われますが、「必要」額を超えているし、周永康に能力があったとも思えません。共産党支配の一番ダメなところは「三権分立」「選挙による国民の為政者への監視」がない所です。

中国元のIMFのSDR入りが確実視されているという話で、今般のASEAN国防相会議では「元」の力を見せつけ、AIIBからの融資を梃子にして「南シナ海」問題の共同声明を見送りにさせたようです。ASEAN諸国も中国の軍門に下れば、チベット・ウイグル・南モンゴルのように虐殺、領土の蹂躙と言うのが分かっていないのでしょうか?日本の経済団体も大挙して北京に押し掛け、愚かとしか言いようがありません。「敵を詐術によって勝つ」のが中国兵法です。官民の発表数字は勿論出鱈目、国全体が過重債務なのに、人民元を発行して、他国に元での支払いを押し付けようとするでしょう。日本企業は$払いで契約しないと痛い目に遭います。出来れば付き合わない方が良い。経済を富ませることは中国の軍拡に手を貸すことにもなるし、駐在員の人質化を認めることになるからです。

中国で「ふたりっ子政策」より問題なのは、「都市戸籍」と「農村戸籍」の存在と「档案」の存在でしょう。「都市戸籍」と「農村戸籍」では生活する上での待遇格差が激しく、この是正がなくならない限り、総体としての格差も縮まりませんが、自己中の中国人はやらないでしょう。また「档案」は共産党支配の根幹を為すもので、敵を「家族を含めた経歴」で縛るものですのでこれも共産党支配が続いている間は止めないでしょう。ピルズベリーは「中国に騙されて来た」とやっと気づいたようですが、遅すぎです。もっと下の人間と付き合えばいろいろ見えたでしょうに。日本のエリートと言われるのも同じ。今頃言っても遅いとしか言いようがありません。中国の民主化何て百年早いとしか言いようがありません。

記事

 中国でおよそ35年間続いていた”一人っ子政策”が廃止された。これからはどんな夫婦も二人まで出産してもいい”二人っ子政策”になるという。これは目下、目立った成果が報じられていない五中全会(18期中央委員会第五回全体会議)で決定されたほぼ唯一の”朗報”であり、とりあえず歓迎の声で迎えられている。

 早速、”ご近所で子づくりに励む声が聞こえる”、”二人目解禁になってから、夜の微博の書き込みが減った”といったつぶやきがネットの上で散見され、東京株式市場でも紙おむつや粉ミルクなど新生児関連の株価が上昇した。来年は中国でベビーラッシュが起きるであろうと言われている。なので、ポジティブなニュースとしてとらえられるべきなのだが、ここであえて懸念もあることをまとめておきたい。

五中全会「唯一の朗報」が抱える懸念

 五中全会は25日から29日まで開かれ、最終日にコミュニケが採択された。蛇足ながら中央委員会全体会議は中国において毎年秋に開かれ、翌年以降の重要政策および人事を決める党中央の最重要会議である。毎年春に行われる国会もどきの全人代(全国人民代表大会)には実は政策も法案も決める実質的権限はなく、中央委員会全会の決定をなぞるだけである。五中全会の最大の注目点は第13次五か年計画の内容と政治局人事であったが、人事も経済成長目標も打ち出されなかった。おそらくは人事と経済数値については議論が紛糾したまま、まとまらなかったのだろう。

 だが、その代わり、「人口バランスの発展を促進し、計画出産育成の堅持を基本国策とした上で、人口発展戦略を完璧なものとするために、一組の夫婦に二人の子供を出産育成する政策を全面的に実施し、人口老齢化に積極的に対応していく」という一文がトップニュースになった。

 これを受けて、国内外メディアは一胎化政策(一人っ子政策)廃止と大きく報じた。

 一人っ子政策問題は1970年代末に段階的に導入され、80年9月25日の「人口増加抑制に関する問題で全共産党員・共青団員に対する公開書簡」の発表をもって正式に全国での導入が推進された。

 中華民国時代4億人であった人口が1980年にはおよそ10億人に急増し、60年代からすでに人口急増は中国政府の課題であった。この人口の急増が食糧不足を引き起こし、社会の現代化を大幅に遅らせるという問題提起が70年代からさかんになり、文革終了とともに試験的に導入が始まっていた。

計画出産委員会による厳罰という名の蛮行

 この政策推進にあたっては計画出産委員会という組織が設立され、全国各地の農村単位までその支部が作られた。その政策の実行は極めて厳格で、一人目を出産したあと避妊手術を受けるなどして「一人っ子宣言」した夫婦に対しては奨励金や医療、教育費の一部免除、退職金の割り増しなど七つの優遇を受ける一方、この政策に違反した夫婦は厳しいペナルティを課せられた。その代表的なものが年収の6倍から10数倍に上るという罰金であり、また二子目の妊娠が発覚したときの強制堕胎措置、また賃金カットや昇進の停止といったものだった。

 一部の農村の計画出産委員会の役人たちの罰金の取り立てや強制堕胎のむごさは、21世紀に入ってからも大きな人権問題として批判の的になった。

 盲目の人権活動家で2012年に自宅軟禁状態から脱出し米国大使館に亡命した陳光誠は、山東省臨沂市当局の一人っ子政策を理由にした強制堕胎や罰金徴取の違法性を訴えたことが、当局の恨みを買ったために不当逮捕、軟禁、虐待の憂き目にあった。払う罰金がない場合は、暴力的な家探しをして家財道具のすべてを奪ったり、嫌がらせに家屋を破壊したり、泣きながら抵抗する女性に強制堕胎手術を行ったりする計画出産委員会の蛮行が、しばしば告発されていた。役人が超生(政策違反で生まれた子供)を無理やり奪って、養子縁組組織(人身売買組織)に転売する事件もあった。妊娠七カ月を過ぎた段階で見せしめ的に強制堕胎した例も報告されている。

 農村では男尊女卑の価値観が根強く、一子目、二子目が女児の場合、違反を知りながら男児が生まれるまで出産を続けることも多かった。最初に生まれた女児たちは間引かれたり、戸籍を与えられなかったり、売り飛ばされたりして存在しないことになった。結果的に、男児が増え女児が減少する出生性別比の不均衡が現れ、農村では女児100人に対して男児が120人前後という極端な女児不足が続いた。2020年までに結婚相手に不自由する結婚適齢期男性が3000万人前後にのぼるという推計も出された。

政策転換を阻んだ年200億元の利権

 私が北京に赴任した2002年ごろから人口学の専門家は一人っ子政策の転換を訴えていたが、中国政府は農村部ではまだ人口が多すぎる、という理由でその主張を無視し続けていた。当時、農村の労働力は4億~5億人と推計され、うち1.5億~2億人が余剰労働力だと言われてきた。この余剰労働力が都市に流入すれば都市資源があっと言う間に食いつぶされてしまうおそれがあり、一人っ子政策転換は戸籍制度改革問題とセットで政権がなかなか手を付けられない鬼門の政策であった。一方で、一人っ子政策が時代遅れになってきたという認識も芽生えており、農村部では各地の条例により一子目が女児や障害児であった場合、インターバルをあけて二子目を産んでよいとする政策の緩和も始まった。

 2011年ごろから余剰労働力がほぼゼロになり、いわゆるルイスの転換点を迎えたと言われるようになった。だが、50万人以上の職員を抱える計画出産委員会という巨大な役所が得る、年間200億元超えの「超生の罰金」はすでに大きな利権構造をもち、官僚たちは依然、この政策転換に抵抗していた。

 だが、いよいよ一人っ子政策を維持する公式の理由がなくなり、本格的緩和が模索される。夫婦がともに一人っ子の場合、二子目出産を認める双独二胎政策が導入され、続いて2013年暮れ、片親が一人っ子の場合は二子目出産を認める単独二胎政策に切り替わる。1100万夫婦が二子目を生む対象であったが、1年たち、二子目出産を申請したのはわずか70万組と政府の期待に大きく反した。こうして今年夏ごろから一人っ子政策を全面的に二人っ子政策に切り替える方針が固まっていた。ただ既得権益グループの抵抗も強く、実施は来年に持ち越されるのではないかと言う観測もあった。

 こうしてついに、一人っ子政策の歴史が終わったわけだが、国内外の反応は意外に芳しくない。まず、政策転換の理由は、一人っ子政策の非人道性を反省したのではなく、純粋に経済対策として行ったと言うことに対し、一人っ子政策反対派の人権活動家は比較的冷ややかだ。陳光誠はAFPのインタビューにこうコメントしていた。「きょう一人っ子政策をやめても、少子高齢化問題の解決にはあと50年かかる」「彼らはただ制限を少し緩和しただけで、やはり本来個人に属する出産の権利を厳格にコントロールし続ける」。

 実際五中全会コミュニケでも、「計画出産政策は国家の基本政策として堅持する」としており、出産が女性の権利として自由になるというわけではなく、また計画出産委員会が解体されるわけでもない。むごい方法で堕胎させられたり罰金を徴収される悲劇が無くなるのは朗報だとしても、「そのうち二人目出産が義務化される」「二人目を出産しないと罰金が科されるんじゃないか」と揶揄する声もネット上には散見された。

労働力不足が招いた外国人違法就労問題

 肝心の労働力不足、少子高齢化問題の緩和も、この政策自体に即効性があるわけではない。

 来年生まれた子供が一人前の労働力に成長するのは少なくとも18年後だ。中国は将来10年の間に18歳から22歳の人口が4000万人減り、20歳から40歳の働き盛りの人口は1億~3億人減るという推計がある。この中国の労働人口1億人分を補うために、中国はどうすればいいのか。

 労働力不足に関していえば、この数年、広東省などでは「洋黒工」と呼ばれる外国人の違法就労者急増が社会問題としてメディアでも論じられはじめている。アフリカ諸国やミャンマー、パキスタン、ベトナムなど東南アジアからの不法移民の中国の工場での不法就労が急増していて、それが治安悪化などを引き起こしている。一人っ子世代の若者の工場労働に対する賃金や労働環境の要求が高く、安価な労働力を武器にしていた中国の製造現場に一人っ子世代労働者が寄り付かなくなった。その穴を、工場側は、より低賃金、悪条件で働くアフリカ人や東南アジア人の違法就労で補おうとしているのだ。

 移民は、中国にとっても極めてリスクが大きい。最大の懸念が治安の悪化。さらにイスラム教徒やキリスト教徒ら、中国にとってコントロールしにくい思想、信条を持つ人が多く、各地で地元中国人との間で文化的衝突を起こすほか、国内の少数民族の過激派と結びつくのではないかという不安もあり、彼らが定住化すれば新たな民族問題に揺れる可能性もある。世界で四番目の移民輸出国の中国が、実は国内の不法移民問題で悩んでいたわけだ。

 労働者不足に続いて大きな懸念は、少子高齢化問題だ。高齢者の社会福祉システムの整備が完成していない中国では子供が老親の暮らしを支える。60歳以上の人口は2010年11月の段階で総人口の13.3%だが、2042年には総人口の30%を超えると推計されている。労働人口と扶養される高齢者の人口比は2020年で1:3。健康な老人であれば、現行の55歳定年、60歳定年を延長し、高齢者労働力を活用して労働力不足を補うという方法もあるのだが、中国の場合、60歳を過ぎて労働意欲のある高齢者は日本よりずっと少ないように思われる。

 一つの大きな懸念は、政策が変わったことで、むしろマイナスの影響が起きるかもしれない、ということである。子供の教育費が日本などよりもよっぽど割高な中国で、都市民や豊かな農民があえて二人目を生む選択をするかという問題もあるが、たとえば昔の男児重視、男尊女卑的伝統にとらわれたままの貧困農民層・労働者層ほど、子供を多く生み、現役労働力世代が、高齢者の扶養と増えた子供の養育の板挟みになってますます貧困化し、貧富の格差がより激しくなるかもしれない。

計画出産も計画経済も、もう限界

 結局、一人っ子政策の転換は中国の目下直面する経済成長急減速の特効薬ではないのだ。経済成長のための具体的政策があり、給与が順調に増えていくという期待があり、生まれてくる子供に未来のある社会を用意できるのだと思うからこそ、若い夫婦が子供をもう一人産もうと考える。それが正しい順番だろう。

 経済のために、国家のために、子供を何人産めという政策自体が実は極めていびつで、党と政府が出産という家族のプライベートに介入することは、企業の人事や株の売買に行政指導が入ることと同様、国家の成長の伸びしろをたわめることになると私は思っている。

 改革開放以来最大の経済減速期を迎える中国が、次の発展段階の軌道に乗るためには本当ならば「一人っ子政策廃止」ではなくてこう言わなくてならないだろう。

 計画出産も計画経済も廃止する、と。

11/2宮崎正弘メルマガ アンディチャン『台湾独立は外国に頼るべきでない。明白な嘘で独立するほど台湾人は恥知らずではない』について

11/4朝7時のNHKニュースで「11/7習近平・馬英九がシンガポールで会談」のニュースが流れました。来年1/16の総統選で蔡英文・民進党党首の独走をストップするため、中国共産党と中国国民党の合作でしょうが、これがうまく行くとは思えません。昨年の太陽花学運、九合一統一地方選での国民党の惨敗の流れを見ていると、国民党の総裁選の候補者が洪秀柱から朱立倫に代わったからと言って民進党有利の構図は変わらないのでは。何故そういう現象が起きたかと言えば馬総統が急進的に中国との結びつきを強めようとしたことに対する反発からです。そのことを考えますと11/7の会談で中国との結びつきをアピールすると国民党にとっては逆効果になりかねません。まあ、馬総統は中国人だけあって、台湾人の庶民感覚がないことで有名ですから。

以前読んだ日経記事によれば「1/16総統選と2/8春節が近いので台商は2回帰省費用を出さなければならず、民進党独走で、総統選時は出さないでおくか」というニュアンスでした。今度の打合せで、共産党が裏から金を出し、帰省させて投票させるようにするでしょう。台湾国民は熟慮して選挙に臨んでほしい。失礼な言い方になりますが、共産党の金で買収されないように。そのための両者会談でしょうから。中国は領土・領海・領空の野心を隠さないようになりました。11/4のNHKニュースではインドネシア海軍がナトウナ島を中国漁船の底引き網漁から守るために装備を充実、警戒に当たるとのこと。九段線外であるにも拘わらずです。ジョコ大統領もやっていることがチグハグです。賄賂に弱いのでしょうけど。

nine dots line

選挙で台湾が独立できるのであればそちらが良い。中国が武力侵攻しようとすれば、アメリカも黙ってはいないでしょうから。「台湾関係法」の発動です。南シナ海の「ラッセン」だけでなく、第七艦隊の出番でしょう。http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20151031/frn1510311530002-n1.htm

「中華民国」は名前が良くないので「台湾」に変えることから始めたらよい。中国は良く台湾同胞とか言いますが同じ民族であっても別な国はたくさんあります。シンガポールだって中国華僑の国です。これも無理やり奪い取ろうとするのでしょうか?東南アジアは華僑が沢山います。民族的にルーツが同じ(?)と言って国を奪い取るのは21世紀には相応しくない行為でしょう。今回のASEAN国防相会議ではもっと中国非難の声を上げても良かったのでは。

記事

大東亜戦争が終わって70年たった。アジアではいろいろな国が植民地から独立した。だが日本の植民地だった台湾だけは今も独立していない。終戦後すぐに蒋介石が台湾で日本軍の降伏を受理し、そのまま居直り、今も中華民国を名乗って台湾占領を続けている。台湾人は70年たった今でも自分の国を持つことが出来ない。

台湾が独立すると言えば台湾を中国領と主張する中国が武力行使で恫喝する。1978年にカーターが中国と国交を回復し、アメリカは中華民国を認めなくなった。世界で中華民国を承認する国は23カ国しかない。台湾が独立すれば台湾国を認める国は増えるに違いないが独立を助ける国はない。米国も独立を助けない。

外国に頼ってはならないのである。

  • 台湾には二百以上の政治団体

台湾には二百以上の政党や政治団体がある。その殆どが独立を主張しているのに今でも独立を果たせない。各々の独立主張や方法に違いがあり、団結しないからである。問題は方法の違いにある。

人民の蜂起で中華民国の体制を倒すことは中国が反対し、米国は中国と事を構えるつもりがない。平和的手段で政治体制を変えることが台湾人に支持されている。中華民国の制度のもとで選挙して台湾人の政党が過半数を制してから正名制憲が可能となる。

来年1月の選挙では民進党優勢で総統は蔡英文が当選するとみられ、立法委員の選挙で国会の過半数57席を取れる可能性もあると言われている。だけどもこの選挙で勝利を収めてもすぐに独立できるわけではない。現状維持を数年続ける必要があると言うのが大方の意見である。

  • 台湾は「政治体制のある無名国」

李登輝が「台湾は既に独立した国だ」と主張していろいろ批判された。台湾は人民がおり領土があり政治体制もあるが、この体制は中華民国と言う名前でアメリカでさえ承認しない。世界で中華民国を承認し国交のある国は23カ國しかない。領土があり政治体制が存在しても台湾が独立したとは言えない。

それでも李登輝がこの主張をしたおかげで台湾国の名義で国連加盟運動が起き、国連は却下した。台湾国がないのに国連加盟はできない。台湾が独立し、台湾国を認める国があってこそ国連加盟が出来る。独立が先で加盟が先ではない。独立しなければ外国が承認するわけがない。

  • 独立主張の違い

 台湾政府を名乗る政党は幾つもあるが、名乗りを上げても人民がついてこない。革命運動は人民がついてこない。台湾の政治事情が大幅に変化したのはつい去年のことだった。去年3月のヒマワリ学生運動で国民党独裁を阻止した、そのお蔭で人民の独立意識と反中華民国の民意が高揚し、11月の中間選挙で国民党が大敗したので、中国人の台湾統一計画は挫折した。

人民は投票によって意見を表明することがわかった。この次もまたその次も、投票で人民の意見を表明出来ることが可能となったのである。革命のような激烈な手段ではなく、投票と言う民主的手段で国を改善できることがわかった。

投票は中華民国の制度だから投票に反対する者もいる。しかし投票で中華民国を倒して台湾独立が出来るなら不完全でもみんな賛成である。これは大きな魅力である。

一部の革命論者が中華民国の制度に反対してもダメ。たとえ中華民国の制度であっても中華民国を倒せる方法が見つかったのだ。中華民国の制度で中華民国を変えることが出来る、これこそ民主主義である。

  • 独立建国は外国に頼るな

台湾国、台湾政府を名乗る政党、グループは幾つもある。台湾独立を主張するグループは歓迎だが、皆が投票によって独立が達成できることを認めるべきである。

独立を主張するグループのうち、サンフランシスコ平和条約の第23条bにより米国は台湾の占領権を持つと主張し、台湾自治政府を名乗るグループと、もう一つの昭和天皇は台湾の主権を放棄していないと主張する台湾民政府と称するグループは、二つとも詐欺集団である。嘘で独立を果たすことはできない。嘘で一部の台湾人を騙せても米国および世界諸国を騙すことはできない。

米国は台湾の占領権など持っていない。グーグルでサンフランシスコ平和条約の第23条を調べればすぐにわかることだ。ウソで人を騙しても嘘とわかる時がくる。昭和天皇が台湾の主権を放棄していないなど、噴飯ものだ。

米国が台湾の占領権を持っているなら「アメリカが台湾自治政府を認可した」証明書がなければ台湾政府はニセモノ、詐欺集団である。台湾人民にアメリカの認可証書を見せてから台湾政府を名乗るべきだ。アメリカに台湾の占領権があると主張しながらアメリカの認可証書がない、自己の主張を証明できない集団である。

日本はサンフランシスコ条約で台湾澎湖の主権を放棄した。しかし林志昇は日本政府が放棄したが日本天皇は放棄していないと言う。それなら正当な方法で日本政府に掛け合い、日本政府が彼の主張を認めてから台湾人の支持を求めるべきである。日本政府が認知しない嘘の主張を勝手に言い触らすのは詐欺行為である。

至誠に悖るなかりしか、行に恥づるなかりしか

台湾独立は外国に頼るべきでない。明白な嘘で独立するほど台湾人は恥知らずではない。

11/2日経ビジネスオンライン 倉都康行『中国が歩む「平凡な新興国」への道 外貨準備高と失業率にも「??」』について

中国の発表する数字は全部当てにならないという事です。GDP然り、外貨準備高も失業率もです。GDP、外貨準備高は前に述べてきましたので失業率について見てみたいと思います。共産主義国で失業の概念がある事自体論理矛盾ではないかという気がします。格差の存在も本来であれば資本主義国と違ってあってはならないことです。鄧小平が白・黒猫の例で「先富論」を出し、「中国の特色ある社会主義」を標榜した時から、経済は資本主義、政治は一党独裁の共産主義と都合の良いシステムにしてきました。2001年にはWTOに加盟し、そこから日米欧の支援もあって経済発展を遂げてきました。ただ、中国お得意の人海戦術で生産すればいくら賃金が安くても、生産性は上がりません。それで改革開放以降、下崗(自宅待機)で失業を見かけ上、低いようにしてきました。土地を国に強制収用されて都会に出て来ても、知識がないため流民になるしかない人達を入れれば2桁の失業率は間違いないと思います。石平氏の本にも『暴走を始めた中国2億6000万人の現代流民』とありますから。景気が良ければ農民工として雇われるでしょうけど、不動産投資が減っている状況では建設労働者として雇われるのも難しいでしょう。

中国の経済政策は金融緩和政策を取るのか引締策を取るのか行き当たりばったりです。目先の問題解決を優先するため弥縫策の連続です。宮崎正弘氏は中国経済の実力からして人民元は30%の下げまで行くだろうと予測しています。そうなると、キャピタルフライトが起こり、外貨準備高も1兆$なんてすぐに底をつくのでは。IMFの人民元SDR入りが決まったような報道が多いですが、自由な資本取引から程遠い人民元を国際通貨として信認することが世界の平和にプラスになるかどうかよく考えた方が良いでしょう。欧州勢は日米に代わり中国を支援しているように見えますが、彼らの人権という理念に目を瞑り、金儲けに走って、平和について余り考えていない気がします。

本記事では、金融緩和(30%まで元が下がるかどうか別として)したら格差が広がり、社会不安のリスクが高まるという意見ですが、共産党はいざとなれば天安門同様躊躇せず血の弾圧を繰り返すでしょう。その前に「反スパイ法」で拘引し、人知れず処刑されるのでは。人民解放軍の一部が立上れば別ですが、火力の差があり過ぎて庶民が動乱を起こしても鎮圧されるだけです。今までの中国大陸の歴史は当てはまらないでしょう。庶民の不満を和らげるため、「ふたりっ子OK」政策を今回採ったのでしょう。高齢化対策には間に合いません。「未富先老」です。中国は人口を増やし、海外に送り出すことによって戦争をせずにその国を支配できると考えていますので、庶民の不満を抑えるのと併せ一石二鳥です。米国に代表される民主主義国は一票=人の頭数が大事となります。米国大統領も中国系から出すとなると悪夢です。

記事

 10月の世界の資本市場は、米国の利上げ観測や中国経済への警戒感が後退したことに加え、ECBが12月理事会での緩和拡大の姿勢を明確にし、さらに中国人民銀行が利下げと預金準備率を引き下げたことで世界的に株価は反発、一時低下圧力の掛かったドル円も底堅く推移している。日銀の追加緩和観測はまだ根強く残っており、8-9月の悲観論を払拭した市場には、金融緩和期待の相場が舞い戻ってきた。

 FRBによる12月利上げのシナリオはまだ残っているが、その確率が相当低下したことは事実である。雇用ペースの鈍化、製造業における景況感の低迷、米主要企業の冴えない決算、そして横ばいを続ける物価上昇率など、利上げムードにはほど遠いのが実勢だ。景気拡大局面の終焉が意識され始めれば、来年以降も利上げは難しくなるかもしれない。

 世界の実体経済を見渡しても、低迷ムードが鮮明になりつつある。黒田総裁は先月の金融政策決定会合後の記者会見で「日本の生産や輸出は横ばい」と強気を維持していたが、機関投資家は新興国経済への懸念を強めるドラギECB総裁の慎重な見方の方に共感を抱いているのは明らかだ。特に中国経済の成長鈍化は長期化する可能性が高く、ハードランディングのリスクは小さいにしても、日本を含む世界経済の厳しい下押し材料になりつつあることに疑問の余地はあるまい。

実態は5~4%台と見るのが妥当

 7-9月期の中国経済成長率は前期比年率6.9%と発表されたが、世界中の機関投資家は、メディアが「6年半ぶりの低成長率」と報じるこの数字自体にもはや目を向けてはいない。失速中の中国経済への視線は、もはや政府公約の水準が達成されるかどうかではなく、どこまで景気が悪化するのか、政府の対応は成功するのか、といった点に集約されつつある。

 輸入の急減や不動産開発投資の鈍化、工業生産高や固定資産投資の低迷、そして企業利益の悪化などを総合してみれば、GDP伸び率の実態は年率5%台から4%台のペースにまで落ち込んでいる、と見るのが妥当なところだろう。

 市場には、サービス業は堅調であり小売売上高や不動産市場にも回復の兆しが見え始めている、と期待する声もある。4%台の成長なら想定内とばかり、現状にむしろ安堵感を抱く機関投資家も少なくないようだ。金融・財政など景気刺激策出動の期待値もまだ残っている。

 だが、市場不安の暴発を発するマグマが、経済成長率ではなく人民元相場の不安定性や失業率の上昇によって増幅されるとすれば、この程度の景気減速で止まって欲しいという株式市場の願望は、単なる「Wishful Thinking」に終わってしまうかもしれない。中国懸念が金融緩和期待で相殺されるという、怪しげな市場思惑の均衡が崩れる可能性が全くないとは言えない。

 今世界の金融市場で「ブラック・スワン」と囁かれているのが人民元の急落リスクである。8月の唐突な切り下げ措置に対し、中国当局が明確な説明をしなかったことで市場は疑心暗鬼に陥って株価急落の引き金を引くことになったのは周知の通りだ。その後、人民銀行が徹底的に人民元を買い支え、習主席が訪米した際に「人民元のこれ以上の切り下げ根拠はない」と明言したことで、為替相場は何とか落ち着きを取り戻しているが、その火種はまだ燻り続けている。

 中国人民銀行は8月以降のドル売り・元買い介入で約2000億ドルを投入したと見られており、それが外貨準備高の大幅な減少要因になった。とはいえ、現在の水準も3.5兆ドルと巨額であり、人民元急落リスクを回避するには十分な金額である。投機筋もおいそれと売り攻撃を掛ける訳にはいかない。

 だが問題は、この公表数字の信憑性である。欧米市場には、GDPと同様に外貨準備高も信用できないのではないか、といった声が出始めているからだ。

 2014年6月に中国の外貨準備は3兆9900億ドルに達した後、大幅な経常黒字を保ちながら急減している背景には、為替介入以外に外国資本の海外還流や国内資金の国外逃避といった資本流出要因がある。市場には対外資産で巨額損失が発生したといった観測もあるが、政府がそれを評価損と認める筈はなかろう。単純に、景気への不安感が中国からの資本流出を加速していると見るのが妥当である。

 だが外貨準備高の水準自体を客観的に確認する術はない。そもそもの疑問は、その大半を占める米国債保有額が約1.2兆ドルと日本とほぼ同程度なのに、なぜ総額に3倍もの開きがあるのか、という点だ。

 中国には、米国債投資以外に日欧国債などへの投資、国家外貨管理局(SAFE)や2007年に設立された中国投資(CIC)などを通じた積極的な証券・不動産投資、アフリカや中南米などに対する融資、そしてAIIBや新興国インフラ銀行への出資など、日本とは違った外貨準備利用が存在するのは事実であるが、それにしても2兆ドルもの差額は埋め切れない。またオフショア市場で行っているドル売り・CNH買いの介入結果が外貨準備減少に反映されていないのではないか、といった疑問も浮上している。

利用可能な外貨準備高はせいぜい1兆ドル

 景気の先行き不安が誘発する人民元急落リスクへの対応策として、中国政府にどの程度の実弾が残されているのか解りにくいことは、大きな不安材料である。また、中国の外貨準備には国有銀行の対外借り入れが含まれている、との見方もある。仮にそうであれば、3.5兆ドルの外貨準備がGDPと同様に誇大広告に近いことも否定できなくなる。欧州系金融機関の中には、人民元対策として利用可能な外貨準備高はせいぜい1兆ドル程度、と推測しているところもある。

 もちろん、1兆ドル規模の「実弾」は、他の新興国に比べれば圧倒的な防御力ではあるが、8月のような急落局面があと5回来ればゼロになる勘定だ。その金額が、人民元レートを中国政府が狙う着地点に向けて円滑に誘導するために十分かどうかは、投機筋の判断次第である。

 中国に支援材料があるとすれば、米国が今でも「人民元は割安だ」と言い続けてくれていることだろう。先般発表された米財務省の報告書でも、従来の「著しく過小評価されている」との表現を「中期的な適正価値を下回り続けている」と後退させつつも、人民元安を牽制する姿勢は維持している。これには、人民元安への圧力を軽減する効果がある。

 米国は来年に大統領選を控えていることもあり、国内批判を招きそうな人民元の大幅下落を容認したくない気配が窺える。従って、本音では人民元買い介入を歓迎している筈だが、それは米国が主張する「為替水準は市場に任せる」という大原則に背くメッセージになるので、表立っては言いにくい。中国の人為的な通貨政策を批判している米国にとって、人民元の急落など許容し難いだろうが、現実には放置せざるを得ないと思われる。

どちらに転んでも世界を揺さぶる人民元

 中国経済が1990年代の日本経済と相似形の軌跡を辿っている以上、泥沼に陥らぬための人民元切り下げは避けて通れないだろう、とコロンビア大学のジェフリー・サックス教授は指摘している。巨額の財政投入に拠る不動産開発など信用バブル造成の過程で積み上がった過剰供給や過剰債務の調整に時間と労力を食われ、金融緩和によってゾンビ企業の非効率性が温存されて低成長構造が続くというプロセスは、我々には見慣れた姿である。日本は何度も景気回復へのツールとして「円安への転換」を利用しようとしてきたのである。

 但し欧米市場には「人民元を下落させるべきではない」との論調が根強く残っている。通貨切り下げ競争を再燃させるべきではないし、ドル建て債務が急増している企業財務にも配慮せねばならないからだ。SDR構成通貨入りなど準備通貨への道を目指すのであれば、通貨急落は逆効果になる。また昨今の金融市場は人民元の下落傾向を波乱材料と見做しており、無用の混乱を避けるためにも人民元を安定化させて欲しい、という願いを込めたような論評も少なくない。

 だがサックス教授は、加重平均ベースでみた2007年以降の人民元の主要通貨に対する上昇率は40%を超えたと指摘し、中国が「ジャパン・シンドローム」を回避するには割高な為替相場水準を修正せざるを得ない、と述べている。内需主導経済への転換が容易に進まない中で、投資や輸出に依存する成長構造への郷愁が強まる可能性は高い。

 だが習主席が「切り下げはしない」との約束を守れば、景気低迷の長期化の道は避けられないだろう。一方で、割高な為替レートに中国経済が耐え切れなくなれば、投機筋はすかさず人民元売り攻勢を強め、株式市場に再びショックが及ぶことも想定される。人民元はどちらに転んでも、世界を揺さぶる運命を背負っているかのようだ。

よほど怖い失業率の不透明さ

 そしてもう一つの中国経済の「信用できない数字」が失業率である。見方を変えれば、経済成長率や外貨準備高よりも、失業率の不透明さの方がよほど怖い。雇用こそが中国共産党の一党独裁制度の生命維持装置とも言えるからだ。

 中国も毎月、都市部における失業率を公表してはいるが、その数値は過去10年以上にわたって4.0-4.3%の範囲でほぼ固定化されており、景気動向から全く分断された水準が続いている。IMFはその正確性を問い続けているが、中国政府が修正に応じる気配は全く無さそうだ。

 この問題にメスを入れたのが、上海大学のShuaizhang Feng教授ら3人のエコノミストである。彼らは、景気サイクル転換点の定義などでお馴染みの全米経済研究所(NBER)から公開した報告書の中で、1988年から2009年までの期間において、公表された失業率と実際の失業率の間にどの程度の差があったのかを調査した結果を記している。

 同教授らはまずその31年間を国有企業時代の1988~1995年、過度期の1995~2002年、そして市場経済転換への2002~2009年の3つに分割して、雇用状態を観測している。まず1988~1995年の推定平均失業率は3.9%で、公的統計の2.5%を上回っていたものの比較的低水準であった。それは国有企業が大量の余剰人員を抱えていた結果だろう。だが市場経済への過渡期に入って大幅な人員削減が行われ、失業率は急上昇していく。

 1995年以降は農村部からの移民増も失業率上昇の一因となり、年間1%程度ずつ失業率が上昇することになった、と推計されている。その結果としてこの期間の最終段階での実際の失業率は10%の大台に接近したが、公表された失業率は3%前後に止まっていた。そして2002~2009年の平均失業率は10.9%と高止まりしていたと見られるが、政府の発表は平均で4.2%となっていた、という。

 公表数字の信憑性はさておき、問題は失業率の水準である。2009年時点での推計ではあるが、この分析は、一般的な理解と違って中国経済は市場経済への転換戦略の結果として国有企業が解雇した労働者や農村からの流入移民を民間企業が吸収し切れていないことを示している。昨今の景気減速局面にあって企業破綻数も増えており、雇用削減はさらに加速しているかもしれない。

 この調査対象には2010年以降が含まれていないので足許の状況は推論するしかないが、敢えて中国経済の現状を概観すれば、「4%台の成長と10%台の失業率を抱えてデフレ傾向に悩み始めている国」という、特に珍しくもない昨今の一つの新興国の姿が浮かび上がってくる。存外そのあたりが、中国の経済実像に近いのではないか。

世界金持ちランキングに並ぶ中国勢

 それでも中国の経済力を過小評価すべきではないかもしれない。世界の金持ちランキングにはビル・ゲイツ氏やウォーレン・バフェット氏など相変わらず著名な米国勢がずらりと並んでいるが、いまや中国勢も急伸しているからだ。

 その代表格は、香港財閥の長江実業創設者の李嘉誠(リ・カシン)氏やアリババの馬雲(ジャック・マー)氏、そして中国本土の不動産王として知られる王健林(ワン・チェンリン)氏らである。中でも王氏の資産総額は344億ドルと、全世界のTop 5にも迫る金額になっている。

 中国のHurun Rich Listに拠れば、同国で10億ドル以上の資産を持つ大金持ちの数は今年242人増えて596人となり、米国の537人を抜いた、という。香港、マカオ、台湾を含む「Greater China」での数は715人で、その差を広げている。もちろんその資産総額は株価によって変動するため、8月の中国株暴落で大きく減少した可能性もあるが、富裕層拡大のトレンドが急変することはないだろう。

 またクレディ・スイスの推計に拠れば、各国平均所得の2倍以上の資産を持つ個人を中間層と定義した場合、今年の中国の中間層の数は1億900万人と、米国の9200万人を初めて上回った、という。中国内で富裕層だけでなく中間層も着実に増加しているようだ。

格差拡大増幅によるリスク

 こうした富の蓄積は、長期的に見れば同国が先進国と同様に内需主導の経済シフトに成功する可能性を示すものとも言えるが、同時に、米国のように所得や資産における格差拡大を増幅する確率を高めるものでもある。

 中国政府が国有企業改革や不良債権処理を先送りして金融緩和を続け、安易な財政政策の発動に踏み込めば、短期的には株高や不動産高を通じて後者の現象が色濃く出ることになる。株式市場にとって中国の景気対策は朗報となるかもしれないが、失業率が二桁の国で格差拡大が増幅されることになれば、いずれ社会リスクが増大するシナリオも視野に入れておかねばならなくなるだろう。

10/30日経ビジネスオンライン 鈴置高史『「南シナ海」が揺らす米韓同盟 木村幹教授と韓国の「右往左往」を読む(2)』について

日中韓3ケ国首脳会議が開かれました。11/2日経夕刊の見出しは「慰安婦交渉加速」ですが、菅官房長官は「日韓基本条約から立場は変わっていない」と言っていてどこまでが真実かは分かりません。中韓が報道機関を使って先に報道させることにより日本に譲歩を迫るやり方ではないですか?日本の左翼メデイアは中韓の手先と言っても良い。日本人だったらそういうメデイアを購読することによる経営支援をしないことが大事だと思っています。朝日・毎日・東京は取らないことを勧めます。

韓国はアホというか民族的特質なのか「南シナ海に平和的解決を」と唱えても、米中は収まらないのは誰の眼にも明らかでしょう。中国・ロシア・日本の間をうろうろしていた日韓併合前の歴史そのものです。日本の左翼は共産中国を陰ながら支援するのが常。でもアメリカの覇権を揺るがすという意味では中立を装っているだけで本音は日本を共産化したいと思っているのでしょう。アメリカが歴史的に正しい何て全然思えませんが、人権抑圧国家の中国と人種差別の葛藤を乗り超えつつあるアメリカどちらの味方を日本がしたら良いかは自明です。

ここにありますように、韓国だけでなく日本も中国を取るか、アメリカを取るか迫られるでしょう。日本企業の資産接収、日本人をスパイ容疑で逮捕拘留、通州事件のような虐殺事件が想定されます。今の時代にそれはないと思うのは甘すぎです。中国体験がない人には分からないかも知れませんが。そんな手立ては、中国共産党は織り込み済みでしょう。

呉善花の『朴槿恵の真実』を読みました。朴大統領は国民情緒に左右される政治家とのこと。それであれば日本もハッキリ伝えた方が良い。「韓国とは付き合いたくない国民が増えています。『非韓三原則』と言う言葉をご存じですか?貴方が反日を止められないように、日本国内も韓国に譲歩した途端、政権は崩壊します。慰安婦が強制でなく人権侵害の問題と言うのであれば、韓国内にあった米軍慰安所やベトナムのライダイハンに謝罪して補償金を払うべきでは?」と世界に公言したらよい。韓国は告げ口外交してきたのだから、その位は「言ったれ」というのが偽らざる気持ちです。まあ、外務省はイ●ポ野郎の集団ですから。今の日本のエリートと言われる集団の縮図です。もっと子々孫々の名誉を考えよと言いたい。

記事

(前回から読む)

 「南シナ海」でアジアに緊張が走る中、韓国は米国陣営から中国側へとさらに軸足を移した。米韓同盟はどうなるのか。神戸大学大学院の木村幹教授と考える(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。

洞ヶ峠の韓国

—「南シナ海」で米中の緊張が高まりました。

鈴置:中国の軍事基地化は許さない――と、米国は行動に出ました。10月27日、中国が暗礁を埋め立て、滑走路を作っている南シナ海の人工島周辺の12カイリ内に米国は駆逐艦を進入させました。米国は今後もこのパトロールを実施する方針です。

 中国は、そこは領海であるとして反発しており、軍事的な衝突が起きる可能性もあります。韓国がいつまで米中間で二股外交を続けられるのか、注目を集めることにもなりました。

 日本とフィリピンは米国を断固支持する姿勢を明らかにしました。しかし、韓国政府は「米中どっちつかず」の姿勢を見せたに過ぎません。

 中央日報の「青瓦台『南シナ海の紛争、国際規範に沿って平和的解決を』」(10月28日、日本語版)によると、10月28日になって匿名の政府高官が以下のように語りました。韓国各紙によると、記者の質問に応える形でした。

  • この地域での紛争は国際的に確立された規範により平和的に解決されるべきだ。
  • 南シナ海地域の平和と安定に影響を及ぼすいかなる行動も自制することを(韓国は)国際会議などのあらゆる機会を通じて強く求めてきた。
  • 南シナ海地域は韓国の輸出物流量の30%、輸入エネルギーの90%が通過する重要な海上交通路で、我々の利害関係が大きい地域だ。

 「平和と安定に影響を及ぼすいかなる行動も自制すべきだ」という部分は、南シナ海を軍事基地化する中国だけではなく、そこに駆逐艦を送った米国も悪い、と読める仕掛けになっています。要は洞ヶ峠を決め込んだのです。

「現実が間違っている」

木村幹(きむら・かん)

神戸大学大学院・国際協力研究科教授、法学博士(京都大学)。1966年大阪府生まれ、京都大学大学院法学研究科博士前期課程修了。専攻は比較政治学、朝鮮半島地域研究。政治的指導者の人物像や時代状況から韓国という国と韓国人を読み解いて見せる。受賞作は『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(ミネルヴァ書房、第13回アジア・太平洋賞特別賞受賞)と『韓国における「権威主義的」体制の成立』(同、第25回サントリー学芸賞受賞)。一般向け書籍に『朝鮮半島をどう見るか』(集英社新書)、『韓国現代史』(中公新書)がある。最新作の『日韓歴史認識問題とは何か』(ミネルヴァ書房)で第16回 読売・吉野作造賞を受賞した。ホームページはこちら

木村:韓国からすれば「現実が間違っている」と叫びたいところでしょう。朴槿恵政権は「米中は対立しない」との前提で外交政策を組み立ててきたからです。

 韓国の安全保障を最も左右する北朝鮮問題では、米中の利害は「北朝鮮の暴発を防ぐ」ことで一致している。世界の他の地域でも、米中は「G2」として協調しながら問題を解決する――ことに、韓国ではなっていました。

 米国や中国でさえあまり使われない、米中協調を示唆する「G2」という単語が韓国では頻繁に使われるのも、それを示しています。

 ところがこの前提に反し、南シナ海の問題をめぐって、米中が厳しく対立し始めた。韓国は頭を抱えている状態です。

鈴置:韓国の中国傾斜を疑う米国は予め「南シナ海の踏み絵」を突きつけていました。10月16日、米韓首脳会談後の共同会見でオバマ大統領は「韓国が中国側でないというなら、中国の無法を批判しろ」との趣旨で発言したのです。

 「米韓同盟は盤石だ」とのお墨付きを貰いに来た朴槿恵(パク・クンヘ)大統領目の前で、です(「蟻地獄の中でもがく韓国」参照)。

 「Remarks by President Obama and President Park of the Republic of Korea in Joint Press Conference」(10月16日、英語)の該当部分を翻訳します。

  • 朴大統領にも伝えたのだが、1つだけ、中国に言い続けねばならぬことがある。それは中国が国際的な規範とルールに従うことだ。もし中国がそうしない時には、韓国が我々と同様にしっかりと声を上げて批判することを望む。
  • なぜなら、米韓両国は第2次世界大戦の後から続いてきた国際的な規範とルールに恩恵を被ってきたからだ。
  • 我々はそのルールが守られなかったり、あるいはどこかの国が大きいからと言って有利になるのを望まない。それは韓国を含む、どの国にとっても良いことではない。

 地域は特定しませんでしたが批判の対象が、タイミングから見て、南シナ海であることは疑う余地がありません。

3塁側に座る韓国

木村:野球の試合に例えれば「おまえ、3塁側――敵側に座るつもりか」と米国は怒った形です。

鈴置: 10月19日、尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官は国会答弁で「オバマ大統領の会見では『南シナ海』の『南』の字も出なかった」「(オバマ大統領から踏み絵を迫られたというのは)一部メディアの誤解だ」と述べました。

 「南シナ海への米駆逐艦進入」に先立ち、米国の踏み絵に対しては徹底的にとぼける作戦に出ることを韓国政府は決めていたのです。韓国世論も、この「米国側には立たない」姿勢を大筋で支持すると思われます。

木村:そうでしょうね。韓国には中国とは準・同盟国になった雰囲気がありますから。9月3日の天安門の軍事パレードの中継を、YTNという韓国のニュース専用チャンネルで見ていて驚きました。

 中国のミサイル部隊が天安門広場を行進すると、司会者と解説者が「これはグアムまで届きます」「米国の空母を攻撃するミサイルです」などと、他人事のように語り合ったのです。

 天安門の上空を中国製の空中給油機などが飛ぶと「なかなか性能がいいものです。我が国も導入を検討したらいい」といった会話にさえなりました。韓国人はもう「中国に攻撃される自分」の姿さえ想像しにくくなっているのです。

二股外交は限界だ

鈴置:ただ、一部メディアからは「二股外交は限界に達した。我々はいったい、どうすればいいのか!」との悲鳴が上がっています。

 保守系紙ながら朴槿恵政権に厳しい東亜日報は10月21日、社説「『南シナ海は誤って解釈』と尹炳世長官、メディアは馬鹿というのか」を掲載しました。結論部分は以下です。

  • 韓国は中国の顔色を見てTPP(環太平洋経済連携協定)への参加の機会を逃した。それに続き、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備問題でも「戦略的曖昧性」を駆使する。だから米国で「韓国の安保ただ乗り論」が出てくるのだ。
  • 尹長官は真実を覆い隠し、朴大統領に対しても「(二股外交により米中双方から大事にされているとの)外交祝福論」の大風呂敷を広げたのかもしれない。
  • 戦略的利害が異なる米中間で実際に衝突が起きた場合、韓国は絶体絶命の選択を迫られるかもしれない。外交部が洗練された国家戦略を練るどころか大統領を欺き、メディアを非難する国が危機に陥らないか懸念する。

 韓国は米国から中国側にどんどん傾いています。中国と米国の要求が異なる時には、ほとんど中国に従います(「米中星取表」参照)。

米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求をのんだか (○は要求をのませた国、―はまだ勝負がつかない案件、△は現時点での優勢を示す。2015年10月29日現在)
案件 米国 中国 状況
日本の集団的自衛権 の行使容認 2014年7月の会談で朴大統領は習近平主席と「各国が憂慮」で意見が一致
米国主導の MDへの参加 中国の威嚇に屈し参加せず。代わりに「韓国型MD」を採用へ
在韓米軍への THAAD配備 青瓦台は2015年3月11日「要請もなく協議もしておらず、決定もしていない(3NO)」と事実上、米国との対話を拒否
日韓軍事情報保護協定 中国の圧力で署名直前に拒否。米も入り「北朝鮮の核・ミサイル」に限定したうえ覚書に格下げ
米韓合同軍事演習 の中断 中国が公式の場で中断を要求したが、予定通り実施
CICAへの 正式参加(注1) 正式会員として上海会議に参加。朴大統領は習主席に「成功をお祝い」
CICAでの 反米宣言支持 2014年の上海会議では賛同せず。米国の圧力の結果か
AIIBへの 加盟 (注2) 米国の反対で2014年7月の中韓首脳会談では表明を見送ったものの、英国などの参加を見て2015年3月に正式に参加表明
FTAAP (注3) 2014年のAPECで朴大統領「積極的に支持」
中国の 南シナ海埋め立て 米国の対中批判要請を韓国は無視
抗日戦勝 70周年記念式典 米国の反対にも関わらず韓国は参加

(注1)中国はCICA(アジア信頼醸成措置会議)を、米国をアジアから締め出す組織として活用。 (注2)中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立をテコに、米国主導の戦後の国際金融体制に揺さぶりをかける。 (注3)米国が主導するTPP(環太平洋経済連携協定)を牽制するため、中国が掲げる。

 それに伴い、人々の意識もどんどん中国寄りになっている。世論調査でも明らかです(「米中どちらが重要か」参照)。ただ、軍事同盟だけはいまだに米国と結んでいる。実に奇妙な状況です。

グラフ●米中どちらが重要か

Korean choice between US and China

米韓同盟は長いロープ

—韓国は米韓同盟を打ち切るつもりでしょうか?

木村:韓国は米韓同盟をやめるつもりはありません。北朝鮮への備えに米韓同盟は依然、大事だからです。中国とはいくら親密になっても同盟関係はないので、いざという時に守ってくれない。だから米国との同盟関係は手放したくない。

 前回、「ルビコン河に飛び込んだ韓国は急流に流され、ついに中国側に打ち上げられた」と申し上げました。この例えに付け加えると、中国側の岸に横たわりながら韓国は、まだ米国側の岸から伸びている長いロープの端をしっかり握っているのです。

—ロープとは米韓同盟のことですね。

木村:その通りです。ロープを手繰ることにより、米国側に戻る可能性はたぶんもうない。でも、放してしまうのは不安過ぎる。だからロープを時々引っ張っては、まだ米国が引っ張り返してくれるのを確かめている。

 朴槿恵大統領が訪米した際、韓国政府は「米国と近しいことを示す写真」を異様に欲しがった。「米韓同盟は健在だ」とのオバマ大統領の談話を得ようと必死になった。国民に対し「まだロープはつながっている。安心しろ」と示す必要があったのです。

ロープを切ろうとする日本

鈴置:米韓首脳会談の日に朝鮮日報のワシントン特派員が、日本の特派員を批判する記事を書きました。「大統領の訪米を前に、記者会見で米韓関係がよくないとの談話を米政府から引き出そうとした」というのです。

 「韓米友好に唐辛子粉を振りまく日本の記者たち」(10月16日、韓国語版)です。木村先生の例え話を使えば「貴重なロープを悪い日本がたち切ろうと画策している。けしからん」とこの新聞は怒ったのです。相当筋違いの怒りですが。

 こっそりと中国陣営に軸足を移している。でも、それがばれて米国から同盟を打ち切られないかとびくびくしている。韓国人のそんな不安が日本への八つ当たりとなったのでしょう。

—米国はどうするのでしょうか。

木村:「南シナ海の踏み絵」と言っても、米国が韓国に求めたのは先の「対中批判に加われ」程度です。いずれ米国は日本や豪州には西太平洋での米国との広範な共同作戦を求める可能性がある。一方、韓国は外洋作戦用の海軍を持ちません。だから、そこまでの関与は期待されないのです。

 野球の例えをもう一度使えば、韓国は監督たる米国から「選手として参加しなくていいから、せめて1塁側の観客席に座って応援しろよ。それが同盟国として最低限の義務だろう」と言われたのです。

 米中の対立の中で、韓国は同盟国とはいっても、その程度の存在になっています。期待が小さいからこそ、1塁側と3塁側の間のバックネット裏をウロウロしていても、米国から叱責が飛ぶ程度で済むのです。

「ただ乗り」どころか「裏切り」

鈴置:ただ「南シナ海」は韓国にとって、AIIB(アジアインフラ投資銀行)やTPPとは比べものにならないほど本質的な「踏み絵」です。在韓米軍基地にTHAADを配備する問題と比べても、そうです。

 南シナ海での「航行の自由」には海洋国家、米国の死活的な利益がかかっています。それは単なる原則論ではありません。米中間の核戦力バランスを根本的に変える、極めて現実的な問題です。

 中国は南シナ海を、米国とその同盟国を狙う核ミサイル原潜の根城にするつもりです。それにより核の第2撃能力――報復能力を持てるのです。これを持った中国が一気に傲慢になるのは確実です。

 だから米国は中国の南シナ海の「私物化」を防ぐべく必死なのです。冷戦期、ソ連の核ミサイル原潜がオホーツク海を根城にできないよう、日米が協力してこの海を制圧したのと同じです。

 「南シナ海」で米国の側に立たない韓国は、「安保ただ乗り」どころか「裏切り者」と見なされるでしょう。

被害者の韓国

—韓国はそれを理解しているでしょうか。

鈴置:安全保障の専門家は十分に承知していると思います。ただ、普通の人は「遠い海の領土・領海紛争」程度の理解です。新聞には「遠い海での縄張り争い」「米国や日本と、中国の紛争に巻き込まれそうになっているかわいそうな私たち」といったノリの読者の書き込みが目立ちます。

 海洋国家ではないので韓国人は「海」に関心が薄い。冷戦期にオホーツク海でソ連の原潜を死に物狂いで制圧した記憶も、もちろんない。

 そんな韓国人の意識もあって、朴槿恵政権は「南シナ海」を軽く扱い、米国との関係を決定的に悪くしていく可能性が大きいと思います。

 米韓同盟は大きな矛盾を抱えていました。米国と韓国の主敵ははっきりと異なった。米国の主敵は中国であって、北朝鮮ではありません。

 一方、韓国の主敵は北であって中国は敵どころか、非常に親しい友好国です。協商相手と言ってもいい。その矛盾が「南シナ海」で一気に噴き出てくると思います。

お荷物の韓国を助けるか?

—米国にとって、韓国と軍事同盟を続ける意味はあるのですか?

木村:存在することに意味があると思います。鈴置さんが指摘するように、主敵が食い違う「ねじれ切った」同盟になりました。しかしまだ、北朝鮮は米国にとってもなにがしかの敵ではあります。

 北朝鮮の暴発を抑えるためにはやはり、米韓同盟の存在が意味を持ちます。朝鮮戦争の引き金となった「アチソン声明」を思い出して下さい。

 韓国が防衛線の外にあると米国が表明した瞬間、戦争が起きた。結局、当時は韓国と同盟を結んでいなかった米国が関与する羽目に陥ったのです。ねじれていようと、同盟がないのとは大違いです。

鈴置:だから韓国は、北朝鮮の脅威を言い募ることで同盟を堅持しようとするのですね。しかし、米国にとって韓国がどんどん「お荷物」になっていくのも事実です。自分の主敵の言いなりで、いざという時は3塁側――敵側に座る。

木村:でも、米国が「ただ乗り」として韓国を切り捨てれば、他の米国の同盟国に不安を呼ぶでしょう。同盟関係のない国はもっと不安になる。「米国はもう東アジアについて責任を持たない国なのだ」との動揺が広まる。

 するとドミノ倒しのように、米国の同盟ネットワークが崩れていく可能性があります。かつて朝鮮戦争に米国が参戦したのも、それを恐れてのことでした。

米韓同盟は「中朝」に似てきた

鈴置:朝鮮戦争の開戦時には米韓同盟はまだなく、米国には韓国を助ける義務はなかった。でも助けないと、欧州の同盟国がソ連に傾くとの懸念を当時の米国は強めた……。

 もっとも今の韓国は自ら「裏切り者」のメッセージを世界に発信してしまいました。「南シナ海」はもちろん、大統領の天安門の軍事パレード参観などその「証拠」は山ほどあります。

 第3者から見ても「韓国が勝手に同盟を壊している」のであって、「米国が切り捨てた」ことには、もうならないのではないですか?

木村:そうなのですけど、大国は大国としての度量が求められるものです。むしろ、「あれほど失礼なことを繰り返す韓国」でさえも米国は包容している――そういうイメージが大事なのです。

 今の米韓同盟のあり方は中朝同盟と似ています。北朝鮮は中国の言うことを聞かず、その顔に泥を塗るばかり。核開発を進めることで中国の安全まで脅かす。でも、中国は北朝鮮を切り捨てない。

 同盟を結んでいる間はある程度は、ですが北朝鮮をコントロールできる。やめてしまえば、北朝鮮はもっと好き勝手やるでしょう。つまり米国同様に中国も「度量」を試されているわけです。大国は大変なのです。

米中が談合して中立化

—鈴置さんの近未来小説『朝鮮半島201Z年』は、米中が談合して、それぞれが結んでいる同盟を打ち切り、朝鮮半島全体を中立化する――と予測しました。

木村:それもあり得ない話ではありません。しかし、世の中には「ややこしくなる」から「いじらない」こともあります。加えて、米韓同盟では日米同盟同様、駐屯軍の経費は「守ってもらう側」が負担していますから、米国にとって「おいしい」ところもある。

鈴置:不完全だけど何とか均衡しているものを、きちんと整理しようと下手に動かすと状況を悪化させるかもしれない……。

木村:少しきつい言い方をすればそうなりますね。現在の国際社会において、朝鮮半島は触って得にもならないし、楽しいところでもない。けれど、切り捨てるとそれはそれで影響が出る。

 だからこそ米国は韓国、中国は北朝鮮をそれぞれ「困った奴だ」と心の底では思っても、そのままにしている。

 我慢という点においては、中国は北朝鮮については随分長い間、我慢しているのです。その「相場観」から言えば米国も、もうちょっと頑張って我慢しても不思議ではないということになります。

米国は競争相手を必ず倒す

鈴置:南シナ海で対立を深める米中の間で、興味深い論争が起きました。10月23日、ソウルで開かれたシンポジウムのことです。

 「大国は生存を賭けて必ず覇権を争うものだ」と主張したジョン・ミアシャイマー(John J. Mearsheimer)シカゴ大学教授がそこに招かれ、以下のように語りました。朝鮮日報の「米中の碩学、『韓国外交』巡り舌戦」(10月24日、韓国語版)を引用します。

  • 中国の台頭に対抗し、米国と中国に隣接する各国が反中連帯を結成、アジア地域で激しい安保競争が発生するだろう。中国はアジアで「ゴジラ」になろうとしている。米国はこれまで、ドイツ帝国、日本帝国、ナチスドイツ、ソ連を滅ぼしたことからも分かる通り、潜在的な競争相手を容認したことがない。
  • 韓国は、米中の狭間で中間的な位置取りをしてきた。しかし安保競争が激化すれば、韓国は米国主導の反中連帯に加わるのか、それとも中国に便乗するのかの選択を迫られる。厳しい決断だが結局、韓国は米国と手を握るだろう。

中国批判は決して許さない

 韓国に「二股外交はもう終わりにしろ。こっちへ戻って来い」と言い渡したのです。これに対し、胡錦濤・前国家主席の外交ブレーンとされる北京大学国際戦略研究院の王緝思院長は以下のように反論しました。

  • 今後、アジア・太平洋地域で軍備競争が激化するだろうが、北朝鮮の核問題は米中間のクッション的な役割をしている。韓米中3カ国の関係の中で、中国は韓国がもう少し中立的になることに期待している。

 北朝鮮の暴発を後ろから抑えているのは中国だ。韓国はそれを忘れるな。南シナ海で中国に敵対的な言動をしたら、北朝鮮の抑止に協力しないぞ――との脅しです。

 すると、ミアシャイマー教授は次のように再反論したのです。

  • 中国の台頭に伴う安保競争は朝鮮半島の統一に否定的だ。北朝鮮は中国の重要な戦略的資産であり、中国は米国と手を握る韓国が主導する形の統一を絶対に許さない。近いうちの統一は難しい。

 朴槿恵政権は「統一に協力してくれると言うので中国に接近している」と言い訳する。だが、それは中国のペテンだぞ――と韓国に警告したのです。

 この時期に米中2人の学者がソウルで舌戦を繰り広げたのは「南シナ海」が韓国の岐路――運命を決める転換点になると見てのことでしょう。

試される日本の覚悟

木村:私も同じようなシンポジウムに招かれることが多いので、こういう国を背負った、危ない論争には巻き込まれないようにしたいものです。

 韓国が向き合う問題は、日本にとって他人事ではありません。米中両国の対立が激しくなる中で、立ち位置が試されているのは日本も同じなのです。

—日本は米国と同盟を強化しました。立ち位置ははっきりしていませんか?

鈴置:今から、日米同盟にかける日本人の決意が試されます。「南シナ海」で米国側に立った日本に対し、中国は様々の形で脅迫を強める可能性が大です。

 在中日本企業はまた、襲撃の対象になるかもしれません。中国に住んだり、旅する日本人への迫害も増えるかもしれません。中国は韓国を手先に使った「歴史攻撃」も強化するでしょう。

 日本の経済界は音を上げるかもしれません。左派系紙が「中国との関係に配慮すべきだ」と言い出すのは目に見えています。その中には「韓国の立ち位置を見習おう」との主張も含まれるでしょう。

 中国の下風で生きるつもりはない――との覚悟を、日本人がどれほど固めるかがこれから問われるのです。

(次回に続く)

10/28日経ビジネスオンライン 福島香織『中国第三世代原発「華龍1号」の実力 英国進出で「日本を焦らせた」急成長に差す影』について

昨日夜12時近くに家へ帰ってきました。離島&山で新聞も読めずにいましたが、山歩きを楽しみました。ネットで情報を読むだけでした。でもスモホが便利だと思うのは海外でもメールも読めるし、ブログもアップできることです。これで月1600円/月ですから安いものです。音声通話を入れても月2000円程度ですので。

原子力発電は核分裂から核融合へと至ると思います。核融合の方がより安全にというか、事故率ゼロに近いでしょう。原料も水(含む海水)なのでほぼタダに近い。それでも後40年と1基数兆円単位の金がかかります。その間は原子力は核分裂による発電で対応せざるを得ません。

しかし、福島氏の友人が言うほど中国の民生技術が優れているとは思えません。英国も中国の原発がフランス仕様だから安心と思ったのかどうかですが、運用する人の心の持ち方が大事と思います。「没办法=仕方がない」、「没問題=問題なし(こういう時は大体問題あり)」とすぐ思う民族性ですから。細かいことを気にしないと言えば聞こえは良いですが、細かいことに気が回らないタイプです。そういう民族性の持主が事故を起こさないとは思えません。共産党は隠蔽体質なのでSARS同様、事故が起きても隠蔽しようとするでしょう。偏西風に乗って放射性物質が日本に来るのが心配されます。日本がモニターを使って厳しく監視して、事故があれば世界に公表した方が良い。中国国民には知らされていないでしょうから。

記事

 習近平の初の英国訪問が終わった。英国メディアの辛辣な報道や世論の反応はさておき、習近平政権としては7億円超え相当の投資に見合う厚遇を受けて、米国や日本を少なからずヤキモキさせるなど十分な外交的成果を得たようだ。

「見えないハードル」越え、英国から受注

 特に、英国が中国自主開発の第三世代原発・華龍1号(HPR1000)の建設に合意したことは、大きな成果だろう。英国では古い原発の廃炉を迎え、2030年までに8基の新炉建設計画が進められている。その計画を受けて、日本の日立製作所(日立GE)は2012年に英国ホライズン・ニュークリアパワーを、競合相手の中国企業を退けて、親会社のドイツ電力会社RWEと同オーエンの2社から買収したことは、記憶に新しい。

 この時、中国政府をバックにした中国国有企業2社、国家核電技術公司(核電技術、SNPTC)と中国広東核電集団(広東核、CGN)がそれぞれ米ウェスチングハウスと仏アレバと組んで入札に挑んだものの退けられたのは、英国政府が中国企業に原発事業を任せることを安全保障上の問題と懸念し、介入したことが理由だと言われている。

 中国では「中国原発企業には見えないハードルがある」と恨みがましく報じていた。だが、その中国の独自原発技術がその後2年あまりのうちにIAEAのお墨付きをもらい、あれよあれよと言う間に英国政府から原発の建設・運用の発注を受けるまでになったのだ。

 一部で、これは原子力技術勢力地図の地殻変動がいよいよ起きるきっかけとなるという観測につながっている。つまり、中国が日本の技術を含む先進国技術を追い越して、世界の原子力技術のリーダーシップをとるようになる、という。では、その中国の第三世代原子炉というのはどれほどすごいのだろうか。今後の中国の原発事業というのはどれほどのものなのだろうか。

 華龍1号は中国が自主知的財産権を保有する第三世代原発技術。第三世代原発技術の概念とは、大規模な放射性物質放出事故発生確率が10のマイナス7乗を下回るように設計されたもの、つまり第二世代原発技術よりも事故が起きる確率が10分の1以下になるものという。

 世界で初めて第三世代原発技術の原子炉が建設されたのは1996年、日本の柏崎刈羽原発で、ABWR(改良型沸騰水型軽水炉)。日本ではABWRは4基運転されている。GE日立と東芝がこの技術を提供している。三菱重工の開発した第三世代技術はAPWR(改良型加圧水型軽水炉)といい現在、敦賀原発で建設(準備)中。ほかにVVER(ロシア型加圧水型原子炉)などがある。これは中国で2基稼働中、2基建設中。

「独自に開発」した技術にIAEAのお墨付き

 華龍1号は中国二大原発企業、中国核工業集団公司(CNNC)と中国広核電集団公司(CGN)のそれぞれの第三世代技術を融合させた設計で、3-Loop PWR(加圧水型)という。

 90年代から中国の原発技術・運転を指導、調査してきた技術者の知人によれば、これはフランス・フラマトム(アレバ)社からCGNに導入された技術で、この技術については中国国内で自由に使ってよい、とフランスから許可が下りていたという。中国側の主張では、これにCNNCの自主開発ACP1000とCGN自主開発のアレバのEPR(欧州型加圧水型)技術を取り入れたACPR1000を融合させて、独自に開発を重ねた、らしい。「福島原発の事故経験もフィードバックさせ、国内外の経験を十分に成熟させた安全性」と「目下、国際市場で最も単価が安いロシア製と競争できる経済性」の両方を兼ね備えた、主要部品の85%以上中国産の、輸出可能な中国独自技術の第三世代技術ということである。

 震源地の深さ50メートル、マグニチュード6.5級の揺れにも津波にも洪水にも、旅客機の衝突にも堪えうる強度だとも。

 2014年12月に華龍1号はIAEA(国際原子力機関)の原子炉安全設計審査で承認され、安全のお墨付きをもらった。ネット百科事典・百度百科によれば、2015年5月、福建省福清原発5号機として華龍1号の建設がスタート。建設が完了して原子炉が運転される実績を積む前に、英国からの発注が正式に決まったわけだ。

 英国も思い切ったものだ。まだ中国で建設もされていない原子炉の国内導入を決めたのだから。本当にそれほど、安全性の高い技術なのだろうか。

 だが、この華龍1号の設計について、CGN、CNNC二社のエンジニアから直接説明を受けた前述の知人によれば「相当安全なものを作った。よくぞここまで仕上げたものだ」と高評価の感想を漏らしていた。1991年に中国初の原発・浙江省秦山原発1号機の稼働以来、中国の原発稼働の歴史はわずか約25年だ。だが、2015年7月の段階で中国の原発は25基が稼働、27基が建設中。あわせて発電容量は5000と数百万キロワット相当となる。

 運用面も「かつての現場は、掃除の仕方からなってなかった。床に水が溜まっているとか、あり得なかった。あわや大惨事という事故もあった。その頃からみると飛躍的な進歩を遂げた」と肯定的に見る。

未公表の事故の経験も糧に

 中国の原発事故は報道、公表されていないだけで、小さなものは実はある。最近のものでは、2010年5月に広東省深圳市の大亜湾原発で放射能漏れ事故があった。燃料棒の容器に金属疲労による亀裂が入ったことが原因と見られている。下手に公表すると住民がパニックを起こすとして当初は報道封鎖された。香港メディア報道後は、「軽微な放射能漏れがあった」と認めたが詳しい状況は今もって謎である。ちなみに、この原発の稼働は94年から。中国は原発の耐用年数60年としているが「金属疲労で亀裂」ということであれば、公表されている耐用年数からして信じられないのではないか、という不安も出てくる。

 だが、知人に言わせれば、こうした事故も含めて、中国が経験として糧にしてきた。

 「原発というのは一基造るごとに技術が進歩する。経験の積み重ねがものをいう」。あと数年以内に日本より多くの原発を完成させて稼働させるのだから、20年前はお話にならなかった中国の技術や運転ノウハウが日本を追い越すのは時間の問題かもしれない。

 中国が原発大国になる背景は、単に技術やノウハウの進歩だけではない。放射能事故や被ばく問題に対する姿勢も能動的だ。

 2011年3月の福島第一原発事故後の対応はかなり早い。16日には中国国内で稼働中、建設中の全プラントの安全検査、新規プラント建設許可の厳格化および一時凍結を通達している。また3月末までに、放射線防護策問答集を編集した。この問答集は、放射線への認識の啓蒙を目的としている。たとえば、原発周辺の放射線量と火力発電所周辺の放射線量では、火力発電所周辺の放射線の方が2.7倍高い、といった指摘もあった。また、低線量放射線被ばくを克服する食事としてリコピンを含むトマトやアブラナ科の野菜などを挙げていた。

 知人に言わせれば「中国の方が、放射線についての認識が深い」。バリバリの原発推進派の知人からすれば、高い技術を持ちながら、事故のショックから立ち直れず、反原発世論に推されて国際社会で中国との競争に負けそうな日本の原発産業に歯がゆい思いをしているのだろう。だからこそ、中国のこういう積極的な原発推進政策に素直に感心するのかもしれない。

放射能を恐れない国家と臆病な国民

 ところで、少し驚いたのは、中国は放射能と言うものに対して意外に恐れをなしていない。これはやはり核実験を自国内で行い、核兵器を保有する国の経験値だろうか。中国は公表していないが、国内に実験による被ばく者は兵士一般市民も含めて相当数いると見られている。少なくとも46回も、新疆ウイグル自治区の観光地に比較的近いところで核実験を行ったのだから、村人の過半数が被曝した村などもある。こうした放射線被ばくに関する臨床データや、治療経験をかなり蓄積しているはずであり、放射能漏れ事故に対するある程度の準備、対応シミュレーションというか覚悟というものができているのかもしれない。あるいは少々、人民に健康被害が出ても気にしないか。

 一般市民は、放射線に対して日本人以上に臆病だ。2011年3月の東日本地震直後、東北で現地取材を予定していた中国人記者が、原発事故の一報を聞くや、取材を投げ出して大阪や九州にまで退避したのを目の当たりにしている。こんなに臆病なのに、中国国内に反原発の世論の声はほとんど聞かれない。私がかつて参加した環境NGOの会合では、決まって火力発電や水力発電による環境破壊問題が議題に挙がるのだが、原発については太陽光や風力発電と並ぶエコなエネルギーという認識の方が多い。確かに、事故さえ起こらなければクリーンエネルギーではある。事故が起きるということへの想像力が欠如しているか、あるいは当局が決定した原発推進戦略に庶民が異論を唱えるだけ無駄と諦めているのか。

 いずれにしろ、日本と違って世論の抵抗のない中国の原発推進政策がこのまま順調に進めば、2050年の段階で原子力発電設備容量は3億キロワットに達する原発大国となる見通しだ。2015年末まで凍結していた内陸部の原発建設プロジェクトも来年になれば解禁されるとみられている。同時に海外の原発市場参入も加速していくだろう。華龍1号はパキスタン・カラチでの建設が始まっているほか、タイ、インドネシア、ケニア、南アフリカ、トルコ、カザフの市場を開拓している。英国は先進国での最初の輸出となるが、これを皮切りに欧州へも進出することになるだろう。

 中国は、原発技術に関しては、かなり日本を意識していて、英国への進出についても、「日本を焦らせてやった」といったニュアンスの報道も散見される。中国は第四世代原発の超高温ガス炉建設を江西省瑞金で2017年に着工する予定だ。第四世代原発技術は、日本がリードしていると言われていたが商業化は中国の方が早いのかもしれない。

中国に預けるわけにはいかない

 東シナ海を挟んで向き合う中国の沿岸にずらりと中国独自開発の原発が並び建ち、世界中に安価な中国製原発が輸出されるやがて来るかもしれない時代を想像すると、私は正直恐ろしい。中国の技術が劣っている、と決めつけるわけではないが、天津大爆発のような死者100人規模の人災事故が年間に何度もおき、その事故の原因究明すら藪の中にしてしまう中国で、この異様に早すぎる技術開発のスピードの何百基もの原発を本当に何十年も安全に運転し続けることができるのだろうかと思う。人の暮らす地域で平気で核兵器実験をやる国が、本気で人々の暮らしの安全を守る意識を持ち続けることができるのかと思う。

 巨大地震の多い狭い島国の日本で原発を何十基も稼働させる必要はない、いっそ、原発などなくてもやっていけるのでは、という考えもチラリと頭をかすめるのだが、技術を手放して、この市場を中国に全面的に預ける恐怖を想像すると、日本はそれでも、有り余る慎重さをもって、執拗に原発技術の開発を続けていくことが、やはり必要だと思うのだ。