11/18日経ビジネスオンライン 福島香織『政治利用され続ける中国“元慰安婦”たち 誰も救われない現状をいかに越えるか』について

福島氏も中国滞在が長かったので、中国の人権状況は分かっていると思いますが、ストレートに書くとバッシングを受けるので、柔らかく書いているのだと思います。70年以上も前の「慰安婦」について中国が日本を糾弾するのであるなら、庶民相手の床屋での売春についてはどう考えるのか聞いてみたい。床屋の前を通ると必ず呼び込みがあります。また人民解放軍基地は警察の治外法権となっており、売春は当然行われています。

中国でも韓国同様銃剣を突き付けてレイプしたというのは考えにくい。綱紀厳正な日本軍と平気で嘘をつく中国人のどちらを信用するかです。金になると思えば嘘をついてでも主張するし、証拠も捏造します。これは中国駐在の8年間で4回裁判等経験したことからの判断です。況してや強権・共産党の命令であれば、逆らうことは考えられません。命を奪われますので。

戦後米軍も青木富貴子著『GHQと戦った女 沢田美喜』を読みますと、米兵士が如何に日本女性と楽しんだ後、混血児をそのままにして帰国、孤児を三菱・岩崎家の娘だった沢田が引き取って育てたという話です。韓国軍もベトナムのライダイハンや、自国での米軍相手の基地村の問題があって他国を非難できる立場にはありません。戦後の政治家や外務省が反論してこなかったからです。

何時も言っていますように、中国は「日本を道徳的に劣った民族」と世界に烙印を押し、日本に味方する国を少なくして、乗っ取ろうと言うのが彼らの狙いです。世界制覇の野望を持っているのに、太平洋に出るのに邪魔になるのが台湾と日本です。中国側から地図を見れば明らかです。日本人一人ひとりが彼らの野望を認識し、中韓の味方をする政治家を選挙で落とさないといけません。また、中韓に味方する役人・学者の類も政治家を動かして活動を封じ込めないと。

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11月12日、山西省陽泉市盂県の西煙村で一人の老女が亡くなった。中国メディアはこれを一斉に手厚く報じた。彼女の名前は張先兎。山西省の”元慰安婦”として90年代後半から2007年にかけて日本の東京地裁、最高裁で行われた中国戦時性暴力被害対日損害賠償訴訟原告の16人の”元慰安婦”の一人であり、最後の生存者だったからだ。折しも、その数日前、東京大学駒場キャンパスで上映された中国人”元慰安婦”たちの証言と人生を記録したドキュメンタリー映画「太陽がほしい」(班忠義監督)を見たばかりなので、なおさらこのニュースが心に刺さった。先の日中韓首脳会談で、中韓が日本を牽制する切り札として持ち出した”慰安婦問題”について改めて考えてみたい。

中国元慰安婦対日損害賠償訴訟原告、最後の一人

 中央ラジオなどによれば、11月12日午前9時15分ごろ、張先兎は西煙村の自宅で亡くなった。長らく病の床にあった。享年89歳。彼女は90年代から2000年代に東京で三度にわたって行われた中国元慰安婦対日損害賠償訴訟の原告16人の一人でもあった。

 彼女が日本軍に連行されたのは1942年の旧正月二日で当時16歳。新婚4日目で、夫は13歳だった。その朝、銃剣を持った日本兵がやってきて彼女を連行したという。夫が日本兵の腕にすがって、連れていかないでくれ、と訴えると、日本兵は夫を銃剣で刺さそうとした。彼女も顔を何度もビンタされた。そして山の上のトーチカにつれていかれ、約20日にわたって監禁され何度も強姦されたという。

 20日後、夫が金を用意して彼女を”買い戻した”。まだ少年ともいえる夫は、この時の恐怖でPTSD(心的外傷後ストレス障害)になったようで、一生、腕や顔の震えが止まらず、仕事も勉強もままならなかったという。彼女も心と体に傷を負い、ほぼ一生貧しい山村から外に出ることもなかった。

 だが、1992年、中国で最初に旧日本軍から受けた性暴力被害を公に証言した元共産党少女幹部、万愛花が山西省盂県の小学校教師・張双兵や日本の人権派、リベラリストらの支援を受けて活動を開始、彼女も1995年、山西省の他の”元慰安婦”たち15人とともに日中民間の支援を受けて日本政府に謝罪賠償を請求する訴訟を起こすことを決意した。1998年に提訴、2007年の最高裁の判決は請求棄却であったが、彼女らが戦時性暴力の被害者である事実は認められた。

 この16人の山西省の”元慰安婦”たちはこれですべてこの世から去った。張先兎は亡くなる40日ほど前から病が重篤化。最後の瞬間まで、日本政府に謝罪と賠償を求め続けていたが、ついに、彼女の求めていた一言は聞けなかった、と多くの中国メディアは結んでいる。

 中国には、張先兎のような農村女性は数多くいた。そうした”元慰安婦”ら約80人の生活や証言を記録してきたドキュメンタリストの班忠義は、この夏、その記録フィルムを一本のドキュメンタリー映画に仕上げた。「太陽がほしい」というタイトルは、その中に出てくる”元慰安婦”の一人、劉面換が、真っ暗なヤオトンに監禁され強姦される日々を回想し、「外に出たかった、太陽の光がほしかった」と訴えた言葉から引いている。

 山西省の”慰安婦”の存在について、班忠義はドキュメンタリー映画「ガイサンシー(蓋山西=山西一の美人)とその姉妹たち」(2007年)を発表しているが、その最初の取材が始まった1995年から2015年まで何度も現地に足を運び、日本で寄付金を募り、その資金で貧困や性暴力の後遺症に苦しむ”元慰安婦”たちを病院に連れていくなどの支援活動の傍ら、記録を撮り続けていた。

 劉面換は2012年4月12日に病で亡くなった。最初に日本軍による性暴力を告発した万愛花も2013年9月5日に83歳で死亡。彼女は山西省盂県羊泉村に童養媳(農村の幼嫁)として売られ、11歳で共産党に入党、抗日戦線に身を投じ15歳で少女幹部になった革命少女だった。1943年に三回日本軍に捕まり、強姦と拷問を経験したという。班忠義が取材した80人の”元慰安婦”たちは、10人ほどを残して、もうほとんどこの世にいない。

戦争、日本軍、中国政府、中国人

 厳密にいえば、張先兎、万愛花、劉面換らを”慰安婦”というのは違う。山西省から国民党軍が撤退したのち、日本軍が村々に駐屯すると、兵士たちは女性を”現地調達”した。それは軍令違反であるが、混乱の戦時下、誰がそれを気に留めよう。比較的裕福な家の娘が狙われたという。トーチカがしばしば”強姦所”となった。村人も村の一時的平和とわが身の安全を守るために、彼女らの監禁に手を貸した。

 中国人慰安婦もいた。「太陽がほしい」には、元慰安婦・遠竹林が登場している。15歳で結婚し出産するも、夫は日中戦争の混乱期に失踪。幼子と老父の生活のために「旅館の雑務の仕事」を引き受けるが、行ってみると慰安所であった。彼女を騙したのは同じ中国人女性である。彼女は監禁状態で、まさこという”日本名”で体を売らされ、その間に幼い娘と老父は餓死してしまう。望まぬ妊娠をし、堕胎薬の副作用で一生子供の産めない体にもなった。

 その後、とある戦場から逃亡した日本人兵士と相愛になり、慰安所を脱出することに成功するが、終戦とともに兵士は帰国し、彼女は「敵と寝た女」というレッテルを張られて戦後、差別と迫害に苦しめられ続けた。映画の中で、彼女は中国政府への恨みを何度も口にしていた。彼女の人生を狂わせたのは戦争であり、日本軍だが、戦後になっても彼女を苦しめ続けたのは中国政府であり同胞であるはずの中国人であった。袁竹林は、PTSDに苦しめ続けられながら、2006年に脳溢血で亡くなった。

 こうした”慰安婦”たちに旧日本軍や日本政府が公式に関与していたかというと、これは異論がある人もあるだろうし、実際に慰安所を運営していたのは傀儡政権下の中国人商人であろう。だが、そこに旧日本軍に道義的な責任がなかったわけではない。そう考えると、”慰安婦”ら戦時性暴力被害者に日本人として無関心ではいられはしない。

 ただそれは個人としての、人間としての心情であり、外交問題となるとまた様相が変わって来る。外交上は、日本の”戦争犯罪”は国際軍事法廷で裁かれ、その責任を負った戦犯約1000人が死刑判決(後日の減刑を含む)を受けた。戦後賠償問題も各国との間で交わされた条約・協定で国際法規上、決着している。中国への戦時賠償は日中共同声明で、中国側から放棄すると言明している。

タブーから、煙のない戦争のカードへ

 それを今なお、歴史認識問題として蒸し返され、謝罪要求が繰り返されているのは、この歴史が外交カードとして利用されているからに他ならない。戦争は外交の一種の手法(禁じ手ではあるが)だが、外交もまた煙のない戦争だ。いずれも戦いであり、負ければ国益を損ない、国民が貧困や社会不安に陥る。相手国が明らかに政治として慰安婦問題を持ち出してくるのならば、こちらも政治として対処するほかない。

 そもそも、中国において慰安婦問題は90年代、タブーであった。

 「太陽がほしい」の中で中国民間対日賠償請求連合会会長の童増がそう語っている。「92年、二つのタブーがあった。慰安婦問題と三峡ダム問題だ」。

 戦後、中国は”元慰安婦”の存在を無視し、彼女たちも、同じ中国人からの差別と迫害の対象になることに耐えられず、ひっそりと息を潜めていた。そういう時勢の中で、山西省の農村小学校教師の張双兵は1982年に蓋山西と呼ばれる伝説的元慰安婦・侯冬娥と知り合い、元慰安婦支援活動と調査を開始した。92年に万愛花に日本政府へ損害賠償請求訴訟を行うよう勧め、支援したのも彼だ。山西の農村の一介の教師であった張双兵は、地元紙で対日戦時損害賠償請求を訴える童増の署名記事を見て、連絡を取り、”元慰安婦”の対日賠償訴訟が実現に向かうのだった。

だが、この時、中国政府はこの民間の動きを弾圧した。天安門事件の学生鎮圧で国際社会が中国の敵となったとき、経済制裁をいち早く解除し苦境にあった中国に手を差し伸べてくれた日本との関係を損なってはならないという政治的理由からである。”元慰安婦”支援活動に関わったことで童増も張双兵も公職を失った。この中国政府が抑え込もうとした”元慰安婦”の賠償訴訟を支援したのは、日本の民間人だった。日本の人権派弁護士、研究者、フェミニストらが現地に赴き、戦時性暴力被害の聞き取り調査を行い、提訴に必要なだけの資料・証言を揃え、民間からの寄付によって彼女らを東京に招いて証言させた。

 最終的に敗訴で終わったが、日本の最高裁で、彼女らが受けた性暴力の実態は事実と認められたことは、長らくその存在すら抹殺され、その苦しみを口にすることすら許されなかった彼女らの環境を大きく変えた。

 今の中国は”慰安婦問題”を韓国と共闘で日本を牽制する外交カードとして積極的に利用するようになっている。日本が良心の呵責も感じないでいる非道な国家だというイメージを国際的に喧伝し、日本の発言力、影響力を削ごうということだ。

中国政府にとってのパンドラの箱

 ”元慰安婦”たちに、日本政府は謝罪をしていない、謝罪が欲しい、と訴えさせているが、日本は村山富市内閣の時、日本国民から集めた「償い金」と首相の「おわびの手紙」を世界の元慰安婦に届けた。中国の”元慰安婦”たちに、この金と手紙が届けられなかったのは、中国政府が「元慰安婦」の存在を認定せず、断ったからだ。

 なぜか。班忠義は「金さえ出せばよいという日本政府の上から目線が気に入らなかった」と説明するが、私が日中関係者から私的雑談の場で聞いた話では、「そんなものを受け取るとパンドラの箱を開けることになる」という趣旨の言葉を聞いた。

 戦時性暴力の加害者は旧日本軍だけではない。国民党軍も慰安所は利用しており、兵士が村々で暴力的に軍糧や女性を調達した。共産党軍内にも性暴力はあり、誰も公言は出来ないが、党のため、革命のためという理由で、性をささげることを強要された女性同志も少なくなかった。それは一見、女性たちの自発的奉仕に見えて、その実、性搾取である。旧日本軍から性暴力を受けた女性だけに償い金があると、収拾がつかなくなると考えたのかもしれない。いずれにしろ、それは中国の政治判断であった。

日中共同宣言で中国は戦時賠償を放棄したが、その暗黙の代償として日本は巨額の対中ODAを続けて来た。それが中国の経済発展に貢献したのなら、それで豊かになった中国は、国家として自国の戦時性暴力被害者を救済すべきであった。中国が政治判断で彼女らへの賠償金ではなく、日本からの開発援助を選んだのなら、中国にも彼女らの救済の義務が生じるだろう。だが、中国はそれをしない。

傷つけられた女性たちの心に寄り添う

 班忠義は言う。「中国政府と民間は断絶している。この映画も、中国ではこのまま上映できない。元慰安婦支援の活動も今は政府が認めても、大きな市民運動になれば圧力をかけてくるだろう。…日本人と協力して日本政府に賠償と謝罪を要求する方が(結果を)期待できる」

 戦争という外交に痛めつけられ、外交と言う戦争に翻弄され続けている女性たちの苦しみを思うと胸が張り裂けそうになる。もし、彼女らを前にして、その心を少しでも慰めることができるのなら100万回でも「対不起(私が悪かった)」と言いたい。それは一国の首相でも私人としての感情ならば同じだろう。だが、そうしても、おそらく外交として、政治としてこの問題が利用されている限り、誰も救われはしない。謝罪すれば、口先だけだといわれ、さらなる要求が重ねられる。政治である以上、駆け引きであり、下手な妥協はできないのだ。だから、政治と無縁の個人として、張先兎はじめ亡くなった女性たちとその家族に哀悼をささげ、”慰安婦問題”を振り返りたい。

 8月の安倍内閣が発表した歴史談話の中の一節「私たちは、二十世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、そうした女性たちの心に、常に寄り添う国でありたい」という思いは、政治家であれ民間人であれ、ほとんどの日本人の嘘偽りのない本心であることを繰り返したい。

11/17メルマガ軍事情報 元防衛省情報分析官・上田篤盛『兵法三十六計(3) 第二計 借刀殺人(しゃくとうさつじん)─間接侵略と「沖縄独立論」─』について

11/18日経「造船支える中国人材 川重やツネイシ、技術蓄積」に「 国で造船所を展開する日本企業が中国人材の活用の幅を広げている。川崎重工業の中国合弁は、製造現場の技能者を団塊世代の大量退職で人材不足感が強まる日本の拠点に派遣。ツネイシホールディングス(広島県福山市)の中国子会社は設計力を高め、コスト競争力に磨きをかける。両社はいずれも10年以上前に中国に進出しており、現地の技術力は着実に向上している。受注環境に陰りが見えるなか、中国人材の活用で「荒波」に挑む。

 中国の大河、長江沿岸。飛び散る火花をものともせず、中国人従業員が溶接作業に没頭する。川重と中国国有海運大手、中国遠洋運輸(COSCO)グループの造船合弁、南通中遠川崎船舶工程(NACKS、江蘇省)。2014年度にばら積み船など18隻を送り出した。川重の日本の主力拠点、坂出工場(香川県坂出市)の2隻を大きく上回る。

 1995年の設立以来、建造した船は100隻以上。ものづくりのノウハウは蓄積され、「溶接や曲げ加工などは日本よりも優れているだろう」とNACKSの水野雅方総経理は自信を見せる。坂出工場にかねて技能実習生として年20~30人を派遣してきたが、現在は約70人に増えた。世代交代で熟練工が抜けて人材が不足しがちな坂出工場の貴重な戦力だ。

 NACKSは07年に同社がCOSCOグループと出資する形で設立した大連中遠川崎船舶工程(DACKS、遼寧省)の立ち上げも支援した。「かつて日本で研修を受けた中国人が今度は指導する立場になった」とDACKSの杉崎公俊常務副総経理は話す。今も30~40人を派遣しており、半分は部長以上の幹部として力を発揮する。

 常石集団(舟山)造船(TZS、浙江省)を03年に設立したツネイシホールディングス。TZSはばら積み船など100隻以上を建造するツネイシの主力拠点に育ったが、もう1社、頼れる会社がある。上海に拠点を置き、約240人が働く設計子会社だ。同社が開発した設計の自動化ソフトは日本の拠点でも採用、グループの設計効率化に一役買う。

川重の中国合弁、NACKSでは生え抜きの技能者が育つ(江蘇省)

 これまで日本で手掛けてきた設計の基礎となる「基本設計」の一部も、中国側で始めた。日本の設計部門の「下請け」を脱し、自ら顧客と向き合って設計した船を現地で建造する。そんな一貫体制が構築できれば、コスト競争力は一段と増す。

 両社が中国に拠点を置く狙いは日本の3分の2程度の人件費の安さにある。川重の15年4~9月期の船舶海洋部門の営業損益は31億円の赤字だったが、川重の船舶海洋カンパニートップの村上彰男常務は「NACKSには業績面で非常に助けてもらっている」と話す。

 好不況の波が押し寄せるのが常の新造船市場だが、この2年ほどは環境規制の強化などを受けて需要が堅調だった。しかし、中国景気の減速で、ばら積み船の運賃が下落するなど、海運市況は低迷。船舶を保有する船主の発注意欲も減退してきた。

 56年から99年まで40年あまり、建造量で世界一を誇ってきた日本勢も今や中国勢や韓国勢と激しい受注競争を繰り広げる。大手でも三菱重工業が10月1日に祖業の長崎造船所(長崎市)から商船部門を切り離すなど、抜本的なコスト構造改革に踏み出す企業も出てきた。

 そうしたなかで、中国拠点に活路を求める川重とツネイシ。人件費の上昇が続く中国ではいずれ「安さ」だけでは勝負ができなくなる。日本政策投資銀行で造船市場を分析する大久保康三氏は「今後は中国の船主のニーズを現地で拾えることが長期的な強みになる」と見る。その強みを最大限引き出すにはこれからも現地人材を育て、生かす取り組みが欠かせない。(東京=高城裕太)」という記事です。

上田氏が相手の力を利用して内部崩壊を導くと言っている「借刀殺人」そのものの記事です。昨日は中国から撤退した企業の例を挙げました。ZAKZAKは産経新聞なので撤退を勧めていると思います。対して日経はまだ中国に未練があると言うか、中国だけでなく外務省とか財務省の意向を受けて書いているのかも知れません。

川重は本当に愚かです。新幹線技術を移転して何が起きたか分かっているはずなのに、凝りない企業です。造船でもブーメランは起きるし、中国の産業スパイを国内で養成しているという自覚がないのでどうしようもない。中国は世界の需給を無視して生産します。あらゆる産業でです。これが国内の過剰在庫となり、世界にダンピング輸出します。中国以外の国の企業はそれで倒産するようになります。中国は賄賂社会だけでなく、弱肉強食社会です。国内でも「自分だけが儲かればよい」という発想で、需給を無視して作り、競合が対抗できないまで赤字でも売り続けます。それで、相手が諦めた市場をごっそり戴くというやり方を取ります。

盧溝橋事件は間違いなく、スターリンの指示で、国民党と日本軍を戦わせて、中国共産党が漁夫の利を得ようとしたものです。中共軍の「戦士政治課本」の中で、劉少奇やったとはっきり書いてあります。まあ、石原莞爾と違い、武藤章が中国大陸に野心を持っていたことは確かですが。満州大陸は漢族のものではありません。

偽書の田中上奏文とは違い、『日本解放第二期工作要綱』は偽書とは言えないでしょう。1972年当時、日本には偽書を作ってまで中国と関係を悪くしたいという動機はなかったし、中国に贖罪意識を持っていて角栄が日中共同声明を結んだ年でもありました。当時の日本の反対派かアメリカが書いたという事も考えらないと思っています。

沖縄独立は、今の沖縄県民は嫌中派が90%で (http://cache.yahoofs.jp/search/cache?c=osYxbLB1a4EJ&p=%E6%B2%96%E7%B8%84%E7%9C%8C%E6%B0%91%E3%81%AE%E5%AB%8C%E4%B8%AD+%EF%BC%85&u=jacklog.doorblog.jp%2Farchives%2F27765418.html 

実現しないでしょうけど、中国の策謀は『China 2049』にありますように、100年もの長い時間をかけてでも、実現させようとするでしょう。中国が国際機関を使って、琉球やアイヌの独立を画策するのであれば、日本はチベット、ウイグル、南モンゴルの独立を主張すべきです。でも国民が領土や世界情勢に無関心或は愚かであればそれらは奪われる運命にあります。

記事

▼相手の力を利用して内部崩壊を導く

「借刀殺人」は「刀を借りて人を殺す」と読む。この計は文字どおり人の“刀”を利用して相手を倒すことである。人の刀、すなわち“人の力”を利用するには二つの側面がある。一つは自分の力を

使わないで第三者の力を利用することで、もう一つは相手の力を利用して内部崩壊を導くことである。もちろん後者の方がより巧妙な策略となる。

 春秋時代(BC770~BC403)に遡る。当時、栄華を誇った斉の君主は、歴戦の勇士である三人の武将を大いに評価していた。しかしその一方で、君主は彼らの権力が肥大化することを懸念し、三人の武将を処刑することにした。そこで君主は策略をめぐらし、送り主の名前を伏せて三人の武将に箱を届けた。箱の中には桃が入っていた。そして「今まで最も偉大な功績を残した者のみが、この桃を口にすることができる」との親書を添えた。

 最初の二人の武将は「自分こそが偉大な功績を残した」と考え、桃を口にした。三人目の武将は、空っぽとなった箱をみて、二人の武将に向かって「和を乱した」と罵り、ついには二人の武将を殺害してしまった。一人残された武将は冷静になった時、自らの嫉妬心から最愛の仲間を殺害したことを悔やみ、やがて罪悪感にかられ自害した。

 こうして君主は自らの手をいっさい汚すことなく、三人の武将を処刑することに成功したのである。

▼中国共産党は「借刀殺人」で勝利した!

 1937年7月7日の「盧溝橋事件」の発生を契機に、わが国は泥沼の日中戦争に突入した。同事件をめぐっては「国民革命軍第29軍の偶発的発砲(秦邦彦氏の見解)」、「日本軍による謀略説」、「中国共産党による謀略説」の諸説があるが、今となっては、いずれが真実であったかを断定することは困難であろう。

 ただし、当時の日本にとって日中戦争は「望まない戦争」であった。他方、国民党に対して劣勢であり、“虫の息”であった中国共産党は、日本軍と国民党軍を互いに戦わせ、“漁夫の利”をえることを画策していた。こうした状況に鑑みれば、「中国共産党の指令を受けた劉少奇(のちの国家主席)が指揮する決死隊が盧溝橋事件を演出した」との「中国陰謀説」にも一定の説得力がある。

 結果的に、日本はその後8年間、中国大陸を舞台に泥沼の戦争へと突入する。やがて国力が疲弊し、米国との太平洋戦争へと引きずられる。一方の?介石率いる国民党軍も、日本軍との戦いで疲弊し、ついには敗北した。

 これに対して中国共産党は当初、日本軍との戦いを回避し、国民党軍との最終決戦に備えて戦力を温存した。つまり、中国共産党は、「国民党軍の刀」と「日本軍の刀」という“二本の刀”を利用することで、「抗日戦争」に勝利し、わが国敗戦後は国民党軍の内部崩壊により、中国内戦に終止符をうった。ここに「借刀殺人」によって、日本軍と国民党軍との二つの戦いで勝利した、中国共産党の巧妙な策略をよみとることができる。

▼「借刀殺人」の真髄は「間接侵略」にある!

「借刀殺人」の最大の巧妙さは、敵国に対し内部紛争を惹起させ、自らが軍事力を使わずに敵国を自壊に追い込むことにある。そのためには、敵国内部に「内敵」を組織し、それを指導・育成し、機をみて「内敵」により武装蜂起を起こさせ、国家体制の破壊を試みる方法がとられる。すなわち、「借刀殺人」の真髄は「間接侵略」によって敵国を滅ぼすことにあるといえる。

 1960年代から70年代にかけて、中国共産党はわが国に対する暴力革命工作を指令していた。これに関する当時の工作指令書として話題になったのが『日本解放第二期工作要綱』である。

 同工作指令書では、当時の中国共産党による日本に対する群集心理工作、マスコミ工作、極右・極左団体工作などの間接侵略の戦略・戦術が詳細に描かれている。

 この工作指令書から注目点を抜粋し、簡単に整理しておこう。

1)日本の平和解放は、わが国との国交正常化、民主連合政府の形成、日本人民民主共和国の樹立─これら三段階をへて達成する。

2)田中内閣成立以降の解放任務は民主連合政府を形成する準備を完成することにある。

3)群集心理工作では大学への中国語教師の派遣申し入れが戦術となる。

4)マスコミ工作では「10人の記者よりは1人の編集責任者を獲得せよ」の原則

を掲げ、編集責任者の獲得により民主連合政府樹立の世論を形成する。

5)政党工作では議員の個別調査と選別による獲得工作や自民党の分裂工作

などを通じ、民主連合政府に向けた工作基盤を形成する。

 この工作指令書は1972年、西内雅氏(にしうちただし、1903~1999年、中央学院大学教授)が香港滞在中に偶然発見し、日本に持ち帰ったというものであるが、実は中国共産党のものかどうかをめぐる「真贋論争」の決着がついていない。一つには、中国の対日赤化工作に対応するために日本側が同工作指令書を発表したという説もある。

  「真贋論争」はさておき、工作指令書の記述内容と、現在のわが国の状況には、以下のような類似点があることに筆者は注目している。

1)田中角栄元総理の流れを受ける小沢一郎元自民党幹事長が1993年に自民党を分裂させ、新生党を創設した。そこを起点に2009年に民主党政権が樹立され、同政権下では元総理などによる親中発言が繰り返された。

2)2005年以降、大学内に「孔子学院」が設立され、そこには中国人講師が派遣され、青少年に対する中国語教育を介しての心理工作が進展しているという。

3)朝日新聞などによる『吉田証言』報道(※)と「慰安婦報道」に代表される「自虐史観」の扶植などは、あたかも編集責任者の獲得工作が行なわれたかのような疑念もある。

 こうした状況に鑑みれば、決着が困難な「真贋論争」に拘泥するよりも、同工作指令書をとりあえず真実のものと推定し、その記述内容に基づいて中国の対日戦略をいま一度検証すべきではなかろうか。

※吉田清治氏が1980年代に、「太平洋戦争時に、軍令で朝鮮人女性を強制連行した」と告白し、これを朝日新聞や共同通信が1983年以降、長らく真実として取り上げたことにより「慰安婦問題」が国際問題化した。

1992年頃より、『吉田証言』の信憑性に疑問が呈されたが、その後も

朝日新聞による報道訂正は行なわれなかった(朝日新聞が2014年8月、

虚偽報道であったことを認めた)。

▼中国による“刀”は鋭利になっている!

 今日の中国による対日工作は、1960年代から70年代にかけてのあからさまな「暴力革命」の影こそみえなくなったが、長期的レンジでより広範かつ巧妙なものへと進化しているようだ。

 米国におけるロビイスト活動を通じて日中歴史問題を題材に「対ファシズムをともに戦った」との連携を謳い、わが国の親中派の政治家やメディアを使って親中、反日宣伝を展開するなど、“あの手この手”を駆使した対日工作を展開している。

 その成果により、米国では抗日戦顕彰館が設置(2015年8月15日)、「南京大虐殺では日本兵の銃剣で40万人の中国人が命を失った」と記述する教科書を米国の公立学校が採用する(2015年1月8日『産経新聞』ほか)などという状況も生起している。

 わが国では、メディアの誤った報道により「自虐史観」が蔓延したほか、民主政権時代には元総理の尖閣関連発言が政府見解とはまったく異なるものということもあった。

 このように中国の一方的な歴史観が世界に喧伝され、わが国の教育界やメディア界に“クモの巣”のように浸透し、日本の伝統的な文化や精神活動を破壊することに、すでに一定の成果を遂げているのである。

 これらの状況をみるに、中国による「借刀殺人」の計は、わが国政権における内部分裂と、日米離間の工作を粛々と進展させているといえ、それはやがて「間接侵略」として結実する危険性があるのである。

▼「沖縄独立論」を放置してはならない!

 2014年11月、翁長雄志(おながたけし)氏が、「オール沖縄」などを支持基盤に新知事に当選した。翁長知事は仲井真前知事が承認した「辺野古埋め立て」を撤回し、さらにはジュネーブでの国連人権理事会の演説(9月21日)で「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」などと演説した。

 かつて翁長氏は自民党沖縄県連の幹事長を務め、辺野古移設の旗振り役であった。そのような翁長知事の今日の言動の真意については推量しえないが、評論家筋の情報では翁長知事が沖縄市長や県知事に擁立される過程において水面下での中国による支援工作があったという。

 一方、同国連人権会議では名護市在住の我那覇真子氏(がなはまさこ、26歳)が22日、「翁長知事の発言は真実ではない。日本とその地域への安全保障に対する脅威である中国が選挙で選ばれた公人やその支援者に『自分たちは先住少数民族である』と述べさせて沖縄の独立運動を扇動している。・・・どうかプロパガンを信じないでください」と述べた(我那覇氏の『Face book』)。

「沖縄で展開されている『辺野古反対』は、“沖縄県民の声”ではなく県外からの一部反対者による扇動である」「翁長知事擁立の背後には中国による情報工作があった」との見方に全面的に与(くみ)するわけにはいかないが、沖縄県民のなかには“中国による独立工作”に脅威に感じている者が少なからずいるということであろう。

 他方、毛沢東はかつて沖縄(琉球)を中国の属国として扱っていた。さらに軍事力を増大した中国が「中華民族の偉大なる復興」を目標として掲げ、東シナ海への進出を強化し、DF-16(射程約1000km)などの沖縄を射程にとらえる新型ミサイルや、2000kmの射程を持つ巡航ミサイル(DH-10)を装備するH-6K戦略爆撃機を増加配備し、軍用機を軍事訓練と称して南西諸島上空越えに西太平洋進出まで進出させている、ことも事実である。

  これらは、中国が将来的に沖縄などの要域確保と西太平洋を支配するための準備行動の可能性があり、「中華民族の偉大なる復興」のためには戦略的要衝となる沖縄の支配を欲しているということなのである。

 日米同盟を堅持するわが国に対し、中国が軍事力をもって「力による現状変更」を試みることは、現段階では困難であろう。よって、中国は非軍事的手段である「三戦(輿論戦、法律戦、宣伝戦)」を広範囲に展開するなど(別の機会に言及)して対日優位の戦略環境を構築し、さらには情報工作などを駆使してわが国の一画に「間接侵略」を仕掛けているとみなければなるまい。すなわち、“沖縄”という刀を利用してわが国を切る「借刀殺人」を仕掛ようとしてしている可能性がある。

 現在のところ、「沖縄独立論」を唱える沖縄県民は少数だと伝えられるが、中国にとって沖縄は“垂涎の的”である。中央と沖縄を離間させ、経済力などを背景とする各種の働きかけにより、「沖縄独立論」を煽る可能性は否定できない。こうした状況に屈しないためには、われわれは中国の

さまざまな動向を多角的に注視し、「沖縄独立論」などの“煽情論”に対しては、「国益堅守」の観点と沖縄県民の目線に立ち、理性と誠意をもって対処していくことが必要なのであろう。

(第四計「以逸待労」に続く)

(うえだ・あつもり)

【著者紹介】

上田篤盛(うえだ・あつもり)

1960年広島県生まれ。元防衛省情報分析官。防衛大学校(国際関係論)卒業後、1984年に陸上自衛隊に入隊。87年に陸上自衛隊調査学校の語学課程に入校以降、情報関係職に従事。92年から95年にかけて在バングラデシュ日本国大使館において警備官として勤務し、危機管理、邦人安全対策などを担当。帰国後、調査学校教官をへて戦略情報課程および総合情報課程を履修。その後、約15年以上にわたり、防衛省情報本部および陸上自衛隊小平学校において、情報分析官と情報教官として勤務。2015年に小平学校教官を最後に定年退官。共著に『中国軍事用語辞典』(蒼蒼社、2006年11月)、『中国の軍事力 2020年の将来予測』(蒼蒼社、2008年9月)など。近刊に『戦略的インテリジェンス入門』を予定。

11/16ZAKZAK 『日本企業が中国から続々撤退し始めた! チャイナリスクに嫌気か パナソニック、サントリー、カルビー…』について

中国の詐術について日本企業もやっと気づいたところでしょうか。中国は金と技術を持ってくるのは「大歓迎」しますが、技術・ノウハウを盗めば後は用無しとなります。撤退するにしても合弁会社は「董事(=director)全員一致の原則」があり、一人(中国人)でも反対すれば清算することすらできません。況してや、発展委員会の承認、財務局の税務審査、工商局の審査等幾重にもパスしないといけないので、少なくとも2年くらいはかかると見て良いです。

撤退に当たり、カルビーのやり方が一番のお勧めです。1元(≒20円)で持ち株全部を合弁の相手方に売却すれば、スンナリ認められると思います。ただ譲渡契約は「今後起きる問題(含む税問題等)について、過去に原因があっても日本側は負担しない」とか詳細に不利益を蒙らないように記載しておかないと、後々訴えられます。日本の常識では考えられないことですが、それをするのが中国人です。相手の弱みを突いてきますので、事前に気が付くかどうかがポイントです。中国の法律は隙間があり、落とし穴となります。また裁判官も必ず賄賂を取りますし、立派な法律があってもその通り運用されることもありません。今までの投資をムダにすると思うのではなく、中国進出の授業料(如何に中国人と言うのは狡猾かを理解しないとまたやられます)、エネルギーを新しい分野に注げるという風に思うのが正解だと思います。そもそも中国事業で利益を出している企業は少ないと思いますので。

今後、中国に進出している日系企業は、円安でもあり、日本に回帰し、雇用と新技術創出に金を出すべきです。間違っても敵国に金を出すべきではありません。企業経営者は、子子孫孫が戦争or隷従の危機にあると言う自覚が必要と思うのですが。中国には拠点を置かず、輸出(キャッシュオンデリバリー)で対応すべきです。

記事

 中国リスクに翻弄され、工場撤退や合弁解消などに踏み切る日本企業が相次いでいる。ここにきて中国経済の減速も相まり、日本から中国への直接投資実行額は1~9月で前年同期比25%減と、数字上でも日本企業の対中進出の衰えが見え始めた。中国市場の巨大さや、安価な人件費にひかれて中国に進出した企業は多いが、突然の規制変更やコスト増など中国リスクに直面し、拠点を他国に移すなど戦略を見直す動きが広がっている。

        ◇

 中国政府の規制変更によって、上海でのデータセンターの事業計画が頓挫の憂き目にあったのは、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)。米エクイニクスやKDDIなどの競合に先駆け、世界で初めて独自資本で中国(上海)にデータセンターを開設する予定だったが、中国政府が今年1月、突然、データセンター事業の運営には免許が必要だと方針を変更し、独自での事業展開を撤回せざるをえなくなったのだ。

 NTTコムは上海のデータセンターを自社で運営するにあたって、共産党関係者や現地の法律事務所関係者とも折衝を重ね、「グレーゾーンだが問題はない」という感触を得ていた。

 データセンター事業に詳しい関係者からは「中国では現地ビジネスに明るいパートナーと組まないと無理だろうなと思っていた」と冷めた声も聞かれる。

 突然の方針変更に、NTTコム関係者は「自国企業を守るため、当社のデータセンター事業を意識したのは間違いない」と苦虫をかみつぶす。

 中国の通信事業に詳しい関係者も「法制度の解釈権は中国側にある。あるときには何も言われなくても、急に『ここはこうだ』といわれることも多い」と、中国ではこうした朝令暮改は日常茶飯事だ指摘する。

一方、浙江省杭州市にあるスナック菓子の製造・販売合弁会社を設立わずか3年で売却することを決めたのはカルビー。合弁会社の51%の持ち株全てを、合弁相手の康師傅方便食品投資にたった1元(約19円)で譲渡する。

 売却の背景には、売り上げが伸びず赤字が続いたことにある。5年で500億円を見込んでいた売上高が100分の1のわずか5億円程度にとどまった。発表資料によると、これに伴い、最終赤字は進出した2012年12月期が500万元、13年12月期が4900万元、14年12月期が7100万元と年を追うごとに拡大。早期に改善が見込めないと判断、12年8月の設立からわずか3年での撤退となった。

 合弁会社には、カルビーが51%、中国の食品大手・康師傅グループが45%、伊藤忠商事が4%をそれぞれ出資。「じゃがビー」や「かっぱえびせん」を販売している。中国での「じゃがビー」の価格が一般的なスナック菓子の約1.5倍と高価なことから苦戦が強いられた。また、「かっぱえびせん」は、中国でエビを使った競合商品が多く、差別化を打ち出せなかったことも響いたようだ。康師傅側とはこうした商品戦略で意見の違いが目立ち、最後まで折り合えなかったという。

 わずか1元で持ち株を手放すのは、「早く中国戦略を仕切り直しをして、再挑戦するため」(市場関係者)とみられている。カルビーは青島や香港にも製造や販売の拠点があり、スナック菓子の販売は今後も継続する。

今年に入り、中国から撤退する企業が目立って増えている。2月にパナソニックが液晶テレビ生産、エスビー食品がカレールウなどの生産を打ち切ることをそれぞれ発表。サントリーホールディングスは中国ビール2位の青島ビールとの合弁を解消、合弁相手の青島に製造販売をまかせ、ライセンス料を得る形に移行する。また、ホンダも湖北省武漢に新工場を建設する構想があったが、中国経済の減速を受け、当面見送る。

 日本企業が中国の生産拠点を撤退、縮小の方向に舵を切っているのは、経済失速のほか、人件費の高騰や政策変更などリスクがつきまとい、中国での事業が「割に合わない」状況になっているためだ。

 東京商工リサーチまとめた調査によると、中国リスクによる日本企業の関連倒産は今年1~10月累計で63件に上り、前年同期の43件に比べ5割増加した。倒産に集計されない事業停止や破産準備中など実質破綻を含めると、この数はさらに膨れあがる。

 日本企業が中国への直接投資を拡大したのは、「安い人件費」や「巨大な市場」に魅力を感じたのに過ぎず、事前に政治を含む中国リスクを詳細に分析した企業は多くないとの指摘もある。

 一方で、ネット上には中国から撤退や事業縮小した企業に対し、「英断」といった肯定的な意見も寄せられている。中国リスクと付き合って、これ以上損失を広げない意味から、撤退を正しい判断と評価しているようだ。

 中国にどうコミットしていくか、日本企業の間でも今後判断が分かれていきそうだ。(大坪玲央、松元洋平)

11/15神楽坂散策について

11/15に義父母の13回忌・7回忌が牛込柳町の寺院で開かれ、親戚が集まりました。神楽坂近くの蕎麦屋で会食。その後神楽坂を散策。夜になり、家族で神楽坂・結喜菜(ユキナ)で世界のクラフトビール、珍しい日本酒・ワインを楽しみました。

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結喜菜

 

 

 

 

 

11/12日経ビジネスオンライン The Economist『人民元のSDR採用をにらむ、IMFの隠れた狙い』について

本記事は中国の実態を知らずに書いているのではと感じました。中国の金融改革を促進何て西側の期待するように中国が動く訳がありません。利用できるものは利用するという発想があるだけです。日本が後押しして2001年にはWTOに加盟させ、貿易で経済的利益を得たにも拘わらず、2010年には尖閣で自国の主張を通すために、平気でレアアースの輸出を止めた国です。TPPもアメリカが中国のルール破りに業を煮やし、日本を誘って中国はずしを狙ったものと理解しています。国営企業の多い中国は入れないようにしています。同じ共産国のベトナムが国営企業の割合をどうするのかも問題でしょうけど。

中国人民銀行総裁の格はそれ程高くはありません。戴相龍元総裁はその後天津市長になるくらいのポストです。経済政策は共産党の政治局常務委員が決め、その通り執行するだけの役目です。なお戴相龍本人は、今年には下の記事のように調査を受けたとあります。奥様が6/25肝臓癌で亡くなったが、本人は身辺調査のため葬儀に出席できなかったとのこと。

「7/3世界日報 「妻喪禮缺席 戴相龍盛傳被査」

Dai Xianglong

前中國人民銀行行長、天津市長戴相龍之妻柯用珍因患肝癌病逝,但於上月29日為她舉辦的喪禮上未見戴相龍本人出席。早有傳聞指出,戴相龍涉嫌在職期間為親屬謀取利益,已被查處。如今戴相龍不尋常地缺席妻子喪禮,更加劇了這一傳聞。

網易路標特刊近日獨家披露,戴妻柯用珍因患肝癌病逝,6月29日早上在北京八寶山出殯,儀式盛大但低調。據香港「蘋果日報」報導,戴相龍沒有出席喪禮,而戴的女婿車峰則因為回北京欲看岳母最後一眼,而被當局拘查。

據消息人士披露,柯用珍6月25日去世,從確診到去世僅半年;遺體告別前一天,她的家人已在八寶山守靈。送別會在八寶山殯儀館竹廳,場面盛大而低調。靈堂前停滿各式豪車,吊唁者一個小時内絡繹不絶,有些甚至帶著隨從人員;敬輓花圈從靈堂四周延伸至門外數公尺。連殯儀館工作人員也有些驚訝,稱「規模太大了,死者應該很有身分」。

報導未透露戴相龍是否現身告別儀式。不過「蘋果日報」引述消息指出,「戴前行長沒有出現」,有「民生銀行一位大佬出席」;但不能確認這位民生銀行大佬是前董事長董文標抑或現任行長洪崎。據報導,沒有現任中共高官出席喪禮。若此説屬實,無疑大大加重盛傳已久「戴相龍出事」傳聞的可能性。

今年4月,包括彭博社、「商業周刊」等多家國際媒體披露戴相龍被中紀委調査的消息,但戴隨後接受央行内部刊物專訪談「退休後的家庭生活」,似有對外闢謠之意。消息人士指當局對戴展開調査主要針對其在任人行行長、天津市長及全國社會保障基金理事會理事長期間,涉嫌利用其影響力或掌握的内部消息為親屬謀取利益。

據報導,調査戴相龍家族的決定,是根據對前國安部副部長馬建的調査作出的,馬建則因涉嫌「嚴重違紀違法」,於今年1月被中紀委宣布立案調査。70歳的戴相龍一直被視為前總理溫家寶内閣的重要閣員之一。」

IMFの2つの基準には「自由な資本取引」の項目が入っていないとのこと。それはIMF設立時に当然共産主義国は入って来ないのを前提にしていたからではないのか。法律の不備と同じです。中国的社会主義市場経済=政治は一党独裁、経済は強欲資本主義の意味です。自由を認めない国に信用と言うアドバンテッジを与えるというのは如何なものか。民主主義とかキリスト教とか言っても世界に植民地を作って搾取してきた歴史があるので、もろ手を上げて良いものだと言う訳には行きませんが、科学技術の進歩により、世界の出来事がそこそこ見えるようになり、国民も判断できる素材が容易に手に入るようになりました。民主主義・自由主義>共産主義だと思います。人民元をSDR通貨にすれば、過剰債務・過剰在庫に悩む中国のやり方が世界に混乱や不景気を招く気がしてなりません。

記事

 1969年夏は、様々な出来事が起きたため人々に強く記憶されている。人類が初めて月面に降り立った。野外ロックコンサート「ウッドストック」が開かれた。そして、米軍がベトナムから撤退を始めた。国際通貨基金(IMF)が「特別引き出し権」(SDR)を創設したのも1969年夏のことだ。このことは、同じ時期に起きた出来事の中でもとりわけ注目すべき事象というわけではない。SDRは人工的な準備通貨であり、世界の金融システムにおいて脇役にすぎない。だが今後数週間にわたって、中国がSDRにスポットライトを当てることとなろう。

高まる人民元の重要性

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出所:The Economist/Society for Worlwide Interbank Financial Telecommunication/IMF

 問題となっているのは、SDRを構成する通貨バスケットにIMFが人民元を含めるかどうかだ。IMFは結論を11月末に下すと見られている。通貨バスケットは5年ごとに見直しが行なわれ、その一環として人民元の問題が検討されている。1990年代末以降、SDRは4つの通貨――ドル、ユーロ、ポンド、円――で構成されてきた。IMFはSDRの一部を出資金に応じて加盟国に配分している。加盟国は国際収支が悪化した時などに、SDRを外貨に交換して対外支払いに充てることができる。

象徴的意味は極めて重い

 SDRバスケットに人民元が採用されることは、人民元が準備通貨――容易に取引ができ、資産の優れた保存手段となる――としてIMFからお墨付きを得ることを意味する。だからといって、すぐにも人民元がドルのライバルとなるわけではない。SDRの発行残高は3000億ドル(約37兆円)をやや上回る程度、世界の外貨準備高の2.5%を占めるにすぎない。人民元の構成比率はごく小さいうえ、通常、対外支払いをSDRで行なう国は稀だ。

 とはいえ、仮に人民元がSDRバスケットに採用されれば、その象徴的な意味合いは極めて大きい。各国の中央銀行は人民元を保有することへの抵抗感を弱めるだろう。機関投資家も同様だ。英スタンダードチャータード銀行は、もしIMFが人民元をSDRバスケットに加えれば、今後5年間にさらに1兆ドル(約123兆円)が中国の資産に振り向けられると試算している。

利用度合いも急速に高まる

 こうした検討が行なわれるだけでも、驚くべきことかもしれない。人民元は、その価値を決定するのに中国人民銀行が重要な影響力を及ぼしているし、自由に交換可能な通貨でもないからだ。中国は、国民が海外へ送金する額にも、外国人が中国へ持ち込む額にも規制を課している。だが交換可能かどうかは、SDRバスケットの構成通貨となるための必須の要件ではない。IMFのスタッフが8月のレポートで説明していたように、満たすべき基準は2つだけだ。その通貨を発行する国が主要輸出国であることと、その通貨が幅広く利用されていることである。

 中国は2009年以降、世界最大の輸出国としての地位を保ってきた。したがって1つ目の基準は文句なく満たしている。だが、2つ目の基準については、話はそれほど簡単ではない。人民元は他のSDR構成通貨ほど広範に使用されてはいない。

 人民元は2014年、各国の公式外貨準備高における構成比率で第7位にランクされた。国際債券市場における起債額では第8位、世界の為替取引額では第11位だ。だがここに至るまでの軌跡には目覚しいものがある。外国送金などにおいて利用される銀行間の国際的な決済ネットワークであるSWIFT(国際銀行間通信協会) の推計によれば、国際的な資金決済で最も使用される通貨として5位に位置する。2012年初めの20位から大きく順位を上げた。

SDRの見直しを利用して中国の金融改革を支援

 IMFが人民元の地位を向上させることには2つの暗黙裡の目的がある。第1は、人民元がSDRの構成通貨になれば、中国人民銀行の権威が強化され、同行が進める金融改革を後押しすることになるからだ。中国人民銀行はこれまで中国の金融改革において最も積極的な旗振り役を努めてきた。

 この3カ月、人民元がSDRバスケットに採用されるよう、中国人民銀行は様々な対策を講じてきた――中国国債市場を諸外国の中央銀行に開放したり、人民元の管理方法を変更したりして、市場の役割を高めた。これらは資本の自由化に向けた重要な一歩である。IMFが人民元を拒否すれば、中国の金融改革に水を差すことになりかねない。とりわけ、独占状態をほしいままにしている国営企業の改革努力が遅々として進まない今、そうしたリスクは小さくない。

 第2に、人民元がSDR通貨バスケットの一角を占めることは、中国にとってのみならずIMFにとっても重要な意味を持つ。新興国に今以上に大きな発言権を与える取り組みは、機能不全に陥っている米議会が反対しているため、何年にもわたって停滞したままだ。少なくとも十分な進展は見られていない。SDRは世界最大の新興国、中国にとって残念賞のようなものかもしれない。米コーネル大学のエスワー・プラサド教授は「IMFはその存在を正当化するためにも、これ(人民元をSDRの構成通貨に加えること)を推し進める必要がある」と語る。

11/12・13日経ビジネスオンライン 鈴置高史『「北朝鮮並み」の日本、「ロシア並み」の韓国 「ねずみ男

ねずみ男」で思い出すのは国連事務総長の潘基文氏です。いかにも小狡るそうな容貌で、人物の内面性を良く表していると思います。韓国人の典型とでも言うべきでしょうか。「息を吐くように嘘をつく」民族ですから。小中華ですので、中国と同じ「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」と思っているでしょうし、賄賂社会もその通りでしょう。

そもそも日本が甘やかしてきたのが、彼らを増長させた原因です。やはり、日本人は真のグローバル人材がいなかったという事でしょう。言葉ができるだけでなく、民族性も理解して付き合わないと。福沢の「脱亜論」を守っていれば、大東亜戦争も起こらなかったかもしれません。明治の人達の方が、今の軽薄な語学ができる猿のような人たちと比べると遙かにグローバルな見方をしていたと思います。メデイアの海外駐在なんて、外国の新聞やTV報道を日本に対して伝えるだけで、日本の立場を伝えようとしません。民間外交の最先端にいる人達でしょうに。逆に「従軍慰安婦」など喜んで海外で煽る始末です。語学の効用は否定しません。小生も今「英語」「中国語」を習っています。日本人の立場を英語・中国語で主張するためです。

日米共に韓国は歴史的に見て「裏切り者」体質があると思って付き合った方が良い。そういう意味で、中国元のSDR入りは韓国に有利に働くことになりますので反対ですが。元のスワップがありますので。アメリカのやっていることもチグハグです。金融面だけでなく、軍事面でも、11/9発記事では米中海軍が大西洋で合同演習したとのこと。まあ、米海軍の圧倒的強さを中国海軍に見せつけるにはいいでしょうけど。日本はいろんな意味で自立していかないとダメです。

記事

(前回から読む)

 米国の引力圏を脱し、中国を周回し始めた韓国。では、その韓国と日本はどう向き合うのか。神戸大学大学院の木村幹教授と考える(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。

Cold Peace

木村:「日韓関係はべったりとした昔には戻らない」。こう言い続けてきましたが、ようやく政治家や官僚の方々――日本の政策を決める人々に理解してもらえるようになりました。

 日韓は米国を媒介とした準・同盟国でなければ友好国でもない――。この現実を前提に新たな関係を考える必要があるのです。

鈴置:そう言えば、ジョン・ホプキンス大学のケント・カルダー(Kent Calder)教授が最近、木村先生と似た議論をしています。

 日韓関係をロシアと隣国との関係に見立てる意見です。朝鮮日報がインタビューし「韓日が不信を克服したいのなら、首脳の政治的な勇気が要る」(10月31日、韓国語版)という記事で紹介していました。

木村:ケント・カルダー教授は日韓関係の1つの落とし所を「Cold Peace」と表現しています。「信頼関係は存在しないものの、紛争にも至らない平和的な状態」という意味だと思います。

 「信頼関係の構築」などという高いハードルは諦めて、とりあえずは「紛争のない状態」を目指し努力すべきだ――とのアドバイスです。

 逆に言えば、米国のアジア専門家からそんな忠告をされるほどに、日韓は微妙な関係になったのです。

日韓戦争を予防する

鈴置:上手に管理すれば軍事的な衝突は避けられる――つまり、下手したら戦争になるぞ、ということですからね。ついに第3者から見ても、日本にとって韓国は「ロシア並み」の国になったわけです。

日本でも「中国の使い走りとなった韓国は信用できない。放っておけ」という空気が定着しています。韓国を完全に無視した安倍談話に、支持が集まったのもそのためです。

—安倍談話を分析した「『韓国外し』に乗り出した安倍政権」という見出しの記事は非常によく読まれました。

木村:日本人の心情としてそうなるのは分からないでもありません。でも「信頼関係がなくなった」からこそ、不必要な対立を避けるための対話やメカニズム――軍事的なものを含め、本格的な紛争に至らないようにする予防措置が必要となるのです。「むかつくから何の対処もしない」というなら外交なんて要りません。

鈴置:木村先生やカルダー教授のような議論の立て方をすると「戦争を望むのか」と言う人が必ず出てきます。

 でも、これだけ日韓が疎遠になると、現実を直視し「紛争を防ぐ」姿勢でモノを考えておかないと、かえって衝突を起こしかねないのですけれどね。

防衛費は日本の8割

—韓国は軍事的に日本の敵になり得るのでしょうか。

木村:韓国の防衛費は増え続け、現段階ですでに日本のそれの8割に達しています(グラフ「日韓・防衛費の推移」参照)。

グラフ●日韓・防衛費の推移

defence cost in Japan and Korea

注)縦軸の単位は100万USドル。SIPRI Military Expenditure Database(c)SIPRI 2015 のデータを基に木村幹教授が作成

念のために付け加えれば、韓国が意図的に防衛費を拡大させた結果ではありません。韓国のGDPに対する防衛費の割合は3%弱で固定されています。

 韓国のGDP、つまり経済規模が大きくなったからです。経済規模が大きくなれば、当然それにつれて防衛費も大きくなります。

 日本ではこのデータはあまり知られていませんが、昔の「貧しく弱い韓国」は軍事面でも、もう存在しないのです。

—韓国の防衛費が日本に追いついたとしても、その海軍力は極めて脆弱との評価が多いようですが……。

木村:それはそうです。でもこの先、東シナ海や南シナ海で中国海軍と一層厳しく向き合わねばならぬ日本とすれば、韓国との摩擦は避けた方が得策でしょう。余分な兵力をとられて、中国の脅威に専念することができなくなりますから。

薄気味悪いほどの丁重さ

鈴置:その思い――軍事的な摩擦や衝突を避けたいとの思いは、韓国側の方が強いのかもしれません。以下は最近、日本の安全保障専門家から聞いた話です。

  • 毎年、韓国でのシンポジウムに参加する。今年はなぜか異例の接遇を受けた。米国から参加したカウンターパートよりもはるかに良い待遇で、招待者側はしきりに日本との防衛協力を訴えてきた。

 韓国側の丁重さは、薄気味悪いほどだったそうです。衝突の防止に加え、日本の軍事的な能力や意図を探る目的もあるのでしょう。敵であるほど、その情報は必要になりますから。

 自衛官OBの中には日本の運用技術を取りたいのだろう、と見る人が多い。韓国はF15の整備や潜水艦救難艦の運用など、結構重要な技術を自衛隊から学んできました。

 「中国側に回った韓国」に対し、今後は米国が「教え渋る」可能性が高いので、日本とのパイプをなくしたくないのだ、との読みです。

木村:「韓国の丁重さ」には驚きません。10月20日には中谷元・防衛相が訪韓し韓民求(ハン・ミング)国防相と会談しました。

 4年振りの大臣同士の防衛対話です。安全保障関連法に理解を求めるのが訪韓の目的でしたが、防衛問題での交流強化でも合意しました。

「経済」ではなく「軍事」選ぶ

鈴置:10月18日の自衛隊の観艦式には韓国海軍の駆逐艦も参加しました。2002年の東京湾での国際観艦式に韓国海軍は艦船を送りましたが、自衛隊の観艦式に加わったのは初めてです。

木村:米国による「日韓関係の改善圧力」を受けた韓国は、その糸口に「軍事」を選んだのです。これまで日韓両国が関係改善に動く時には必ず「経済」を使いました。

 あえて「軍事」から入ったのは極めて興味深い現象です。日本との軍事的対立を避けたいとの思いが強い証拠だと思います。

 韓国から見ても、日本は危険な存在となっています。歴史認識問題や領土問題で両国の関係がどんどん悪化しているからです。

 もし、国民感情をさらに煽って領土問題などで強硬な政策を主張する政治家が現れれば、思いもかけない状況に陥る可能性もゼロではない。

 もちろん、今のところは日韓両国が戦争になる可能性はほとんどないと思いますし、両国の政治家もそれほど愚かではないでしょう。

 でも、北東アジアの情勢が不安定化していくなかで、長期的には敵対的な関係に移行しても不思議ではないと思います。

独島を日本から守れ

鈴置:同感です。韓国紙の記事を読んでも、書き込みを読んでも「昔のように簡単には謝らない日本」への苛立ちで溢れています。日韓関係が「べったりした昔」には戻らないことに、韓国人も気がつく過程にあるのです。

木村:領有権を争う竹島も、少し前までは日本が武力で奪い返しにくるとは――口ではともかく心の奥底では――韓国の人々は考えていなかったと思います。

 でも、今やそれもあり得る話と一部の韓国人は考えるようになりました。なぜなら、日本人が韓国を信じられなくなっているように、韓国人もまた日本を信じられなくなっているからです。

 つい最近も「竹島の隣の鬱陵島に、海兵隊の実戦兵力を配置する計画」との報道がありました。北朝鮮対策だとの説明が表向きは付いていますが、日本を意識したのは間違いありません。

笑いながら「日本は仮想敵」

鈴置:聯合ニュースの「韓国軍 鬱陵島に海兵隊配置を推進=独島防衛と対北圧迫」(11月6日、日本語版)ですね。「日本」とは名指ししていませんが「外部勢力の独島(竹島)侵攻に対する強力なメッセージ」と書いているところを見ると、対日防衛用です。

 そもそも見出しで「独島防衛」が「対北圧迫」より前に置いてあります。韓国人の本音が垣間見えます。

 1990年代初め――冷戦末期に、韓国国防部が白書で日本を仮想敵扱いしたことがあります。関係者に「ひどいじゃないか」と言ったら、にこにこ笑いながら「我慢してくれ」。

 北朝鮮は本当の敵だから、今更、白書で敵と強調しても予算は増えない。中国やソ連とはこれから国交を結ばなければならないから、余計なことは書けない。ここはひとつ日本に協力してもらい、敵ということになってもらわねば困る――というのです。

 当時は予算獲得用に「日本は仮想敵」と言っていた。誰もそうは思わないから、安心してそう言っていたのです。この頃は実に深い“信頼関係”があったのです。

米軍は助けてくれない

—「日本が攻めてくる」と考える韓国人が結構いるのですね。

鈴置:朴槿恵(パク・クンヘ)政権は中国と一緒になって、日本の集団的自衛権の行使容認や安全保障関連法案に否定的な姿勢を打ち出しました。

 それを支持した韓国メディアが「日本は戦争できる国になる。真っ先に襲われるのは韓国だ」と煽ったことが効いたと思います。

木村:韓国の人々が日本を本格的に仮想敵の1つと考えるようになった理由はいくつかあります。まず、彼らが今の日本社会の変化を「軍国主義への回帰」だと考えていることです。その証拠に日本は韓国に対し何やら強気になってきた――ように彼らには見える。

 さらに加え米韓同盟が揺れていることも、韓国人の対日警戒感を加速しています(「『南シナ海』が揺らす米韓同盟」参照)。

 米韓同盟が強固なら、日本とも同盟を結ぶ米国が日本の軍事的な挑発にはブレーキをかけてくれることが期待できた。

 でも米韓同盟がこれ以上、悪化すれば米国はいざという時に、韓国の側に立って動いてはくれないかもしれない。現実はともかく米韓同盟への不安は、日韓関係に対する不安にも繋がっています。

対馬を占領すればよい

鈴置:韓国の保守系サイトで面白い記事を見たことがあります。「独島に日本が攻めてくるかもしれない」と反日を煽り、日本の安保法制に反対する人に対し「そんなことはあり得ない。落ち着け」と諭した記事でした。

 筆者は「日韓関係は重要だ。つまらぬ反日をやめよ」との意図から記事を書いていました。しかし「日本の侵攻はあり得ない」理由の1つに「仮に独島を取られたら対馬を占領し、島民を人質に独島返還を交渉すればよいから」を挙げていました。

 これを日本人が読んだら日韓関係はさらに悪化するだろうな、と思ったものです。対馬攻撃論の背景には、韓国で最近高まる「対馬・韓国領土論」が背景にあります。日韓の領土紛争のタネは竹島に留まらないのです(「『対馬は韓国のものだ』と言い出した韓国人」参照)。

木村:先ほど鈴置さんは「日本にとって韓国はロシア並みの国になったか」との感慨を漏らしました。一方、韓国は日本を「北朝鮮並み」に扱うようになっています。金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)の進歩派政権は、危険な北朝鮮を対決ではなく、融和政策で抑え込もうとしました。

 「厳しい北風ではマントを脱がせることはできないが暖かい太陽なら……」というわけです。今度は日本に対し「太陽政策」を始めたように思われます。ただし、本当にいい関係を作れるとは考えておらず、あくまで計算づくの戦略として、です。

日本の頭を撫でる

—「日本は北朝鮮並み」ですか?!

鈴置:「日本人は野蛮で強大な軍事力を持つ。だから常に侵攻意図がないか調べ、頭を撫でておく必要がある」というのが韓国の伝統的な日本観です。昔から本音ベースで「日本は乱暴者」なのです。

 柳成竜(ユ・ソンヨン、1542-1607年)という文禄・慶長の役(1592―1593年、1597―1598年)当時の朝鮮の宰相がいます。この戦争――朝鮮の呼び方で言えば、壬辰倭乱を詳細に記録した『懲毖録』(ちょうひろく)を書きました。

 柳成竜は敗戦の原因を、日本を軽んじてその動向を見極めようともせず、軍備も怠っていた当時の朝鮮王朝に見出します。

 そしてこの本の冒頭には、彼よりも130年ほど前の宰相、申叔舟(シン・スクチュ、1417―1475年)が死の間際に、王に言い残した言葉を記しています。以下です。

  • 願わくば、わが国が日本との平和関係を失うことのありませんように(東洋文庫『懲毖録』7ページ、朴鐘鳴=パク=・チョンミョン訳)。

 1443年、若き申叔舟は朝鮮通信使の一員として室町時代の日本を訪れた経験がありました。1471年に刊行した『海東諸国紀』では日本の軍事力の強力なことと、上手になだめすかす重要性を説きました。

朴政権は壬辰倭乱を招く

—日本人は野蛮だから、乱暴してこないよう頭を撫でておくわけですね。

鈴置:その通りです。いまだに韓国の新聞では「何をしてくるか分からない日本」への警戒を呼び掛ける際『懲毖録』か『海東諸国紀』を引用することが多い。「そろそろ……」と思っていたらやはり、2冊とも引用する記事が登場しました。

 尹平重(ユン・ピョンジュン)韓神大教授が朝鮮日報に寄せた「日本、その永遠の烙印」(11月6日、韓国語版)です。以下がポイントです。

  • 『海東諸国紀』の序文で申叔舟は「外敵と向き合う方法は、外征ではなく内治にある」と強調した。日本を「力が非常に強い」国と規定した上で、将来の安全保障の危機に対処するためにも朝廷の綱紀を正すことが最優先課題だと力説したのだ。
  • およそ100年後に壬辰倭乱を招くことになった朝鮮王朝の国政の乱れを予見した記述であり、2015年現在の朴槿恵政権における、外交・安全保障チームの総てに渡る乱脈への警告としても読める。
  • 壬辰倭乱を省察した柳成竜は「日本と近しく」という申叔舟の遺言を『懲毖録』の冒頭に載せた。血と涙の遺言は、21世紀の今も有効だ。

 なお、尹平重教授は引用部分で日本を「外敵」と上品に表現していますが、朝鮮総督府が昭和8年に出版した『海東諸国記』を国立国会図書館のデジタルライブラリーで見ると、原文は「夷狄」(コマ番号6、2行目)です。岩波文庫版(田中健夫訳注)でも「夷狄」(14ページ)です。

 日本をなだめるどころか怒らせた朴槿恵政権への批判です。反日から卑日へ、そして警日へと韓国人はなかなか忙しいのです。

日中が衝突したら……

木村:日本との軍事対話により「軍国主義化する日本」の脅威が自らに向かないようにしたい――と今、韓国人が願っているのは間違いありません。

 韓国人のもう1つの懸念は中国です。日本と中国が尖閣諸島を巡って軍事衝突する可能性が生まれた。それには米国も何らかの形で関与する可能性がある。韓国には、日米VS中の争いにどうしたら巻き込まれずに済むか、という大きな課題が突きつけられています。

—やはり、日韓関係には中国の影が大きく差すのですね。

(次回に続く)

前回から読む)

 日中が衝突したら韓国は中国側に付くのか――。神戸大学大学院の木村幹教授と展開を読む(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。

半妖怪の韓国

前回は日韓関係が悪化し、信頼関係も消えた今こそ、紛争の予防を真剣に考える必要があるとの話でした。

鈴置:日韓関係が良くなることは――日本人が韓国に気を許すことは今後、まずないと思います。「韓国はねずみ男」との認識が広まったからです。

—「早読み 深読み 朝鮮半島」の書籍化第1弾である『中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』で使った「ゲゲゲの鬼太郎」モデルですね。以下、プロローグの「中国の空母が済州島に寄港する日」から引用します。

  • 読んでくれた知り合いの1人は「韓国って『ゲゲゲの鬼太郎』に出てくる『ねずみ男』のような国なのですね」と言った。確かに、米国たる目玉親父や、日本たる鬼太郎の側にいるようで、肝心な時は妖怪側――中国につくのが「ねずみ男」だ。
  • 日本は今、韓国を注視する必要がある。中国を極度に恐れ、敏感に動く韓国を通じてこそ中国やアジアの先行き、あるいは「新グレートゲーム」の帰趨を見通すことができるからだ。
  • 鬼太郎はねずみ男の言動が怪しくなった時、妖怪がこっそりと近寄ってくるのを感得する。韓国を観察するのはそれと似ている(7ページ)。

尖閣で衝突したら……

鈴置:2013年2月に出版した本です。たった3年弱前の日本には「韓国はこちら側の国」と信じていた人が多かった。

 そのため「韓国は半妖怪」と書いたこの本は驚きを持って読まれました。それが今や「『半』も取れて完全に『妖怪』ですね」と言ってくる人が相次ぎます。

 韓国は中国による南シナ海の軍事基地化に関しても、米国を明確に支持しない。様々の米中対立案件でほぼ、中国側に立つようになったからです(「米中星取表」参照)。まだ、米韓同盟は存在するけれど、韓国の言動は中国の衛星国そのものです。

米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求をのんだか (○は要求をのませた国、―はまだ勝負がつかない案件、△は現時点での優勢を示す。2015年11月12日現在)
案件 米国 中国 状況
日本の集団的自衛権 の行使容認 2014年7月の会談で朴大統領は習近平主席と「各国が憂慮」で意見が一致
米国主導の MDへの参加 中国の威嚇に屈し参加せず。代わりに「韓国型MD」を採用へ
在韓米軍への THAAD配備 青瓦台は2015年3月11日「要請もなく協議もしておらず、決定もしていない(3NO)」と事実上、米国との対話を拒否
日韓軍事情報保護協定 中国の圧力で署名直前に拒否。米も入り「北朝鮮の核・ミサイル」に限定したうえ覚書に格下げ
米韓合同軍事演習 の中断 中国が公式の場で中断を要求したが、予定通り実施
CICAへの 正式参加(注1) 正式会員として上海会議に参加。朴大統領は習主席に「成功をお祝い」
CICAでの 反米宣言支持 2014年の上海会議では賛同せず。米国の圧力の結果か
AIIBへの 加盟 (注2) 米国の反対で2014年7月の中韓首脳会談では表明を見送ったものの、英国などの参加を見て2015年3月に正式に参加表明
FTAAP (注3) 2014年のAPECで朴大統領「積極的に支持」
中国の 南シナ海埋め立て 米国の対中批判要請を韓国は無視
抗日戦勝 70周年記念式典 米国の反対にも関わらず韓国は参加

(注1)中国はCICA(アジア信頼醸成措置会議)を、米国をアジアから締め出す組織として活用。 (注2)中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立をテコに、米国主導の戦後の国際金融体制に揺さぶりをかける。 (注3)米国が主導するTPP(環太平洋経済連携協定)を牽制するため、中国が掲げる。

木村:「妖怪」という表現はどうかと思いますが、かつてとは状況が変わってしまった。だからこそ、新たな関係をどう作るかを考えなくてはなりません。

 万が一、日本と中国が尖閣諸島を巡って軍事衝突する事態になれば、米国も何らかの形で関与する可能性も出てきました。韓国には「日米 VS 中の争いにどうしたら巻き込まれずに済むか」との死活的な課題が突きつけられた形です。

中国と一緒に日本を叩く夢

鈴置:韓国人の相当数が「中国側に立って日本をやっつけよう」という心情にあると思います。2015年2月、わざわざ私に「日中が戦争したら我が国は中国側に付くぞ」と言いに来た韓国人がいます。

 この人は近未来小説『朝鮮半島201Z年』を読んで、2012年2月に「離米従中などあり得ない」と“抗議”に来たことがありました。

 その3年後には「米中間では中立」とがらりと立場を変え、日本人に対しては「俺の後ろには中国がいるからな」と肩をいからせるようになったのです。

木村:日中両国が本当に軍事衝突した際には中国側に立ちたいと思う韓国人が、ある程度いるのは事実です。でも、実際にそれをやったら韓国は、米国を自動的に敵に回してしまいます。

 日中間で軍事的衝突が起きれば、一定の確率で日米同盟が発動されます。その時、韓国が中国に加担すれば、米韓同盟は基盤から崩壊してしまいます。

 TPP(環太平洋経済連携協定)に参加しなかったことで、すでに韓国は経済面では「中国側」と疑われています。

 軍事面でも「中国側」を完全に選択してしまうと、かろうじて握っている米国とのロープが切れてしまいます。

中立を宣言して洞ヶ峠

—「『南シナ海』が揺らす米韓同盟」で先生が使った例えですね。韓国はルビコン河で溺れ、中国側に流れ着いたがまだ、米国側につながる長いロープ――米韓同盟だけは握りしめているという……。

鈴置:韓国人に米韓同盟を打ち切るハラは今のところ、ないでしょう。

木村:だから韓国は、日中間で軍事衝突が起きた際に中立を宣言できる根拠を作っておきたい。中国が日本と衝突する時には韓国に対し、直接的な軍事的支援ではないにせよ、何らかの形で「支持」を要求するのはほぼ確実ですから。

 その場合、中国に対し言い訳するためにも韓国は、米国はもちろん、日本との軍事的なつながりを残しておく方が得策です。

 少なくとも最低限、日米の軍事的脅威が自らに向けられるのは絶対に避けたいところ。韓国が最近、歴史認識問題で対立する一方で、「軍事」で日本との交渉を急ぐ傾向にあるのは、そのための下準備でもあると思います。

—洞ヶ峠を決め込むわけですね、韓国は。

中国の談話をコピペ?

鈴置:でも、中国がそんな言い訳を認めるとも思えません。すでに「日本の再軍国主義化反対キャンペーン」には韓国も参加させています。

 2014年7月3、4日の中韓首脳会談で朴槿恵大統領は習近平主席とともに「日本の集団的自衛権の行使容認」に関し、「日本に対する憂慮」を表明しました。

 韓国政府筋は「中国に抵抗したが押し切られた」と弁解しています。しかし、そんな弁解をするほどに「中国にNOと言えない韓国」を告白することになってしまうのです。

 安全保障関連法案が2015年9月19日未明に成立すると、中国外交部は直ちに以下の談話を発表しました。

  • 戦後日本の安保政策でかつてなかった行動だ。平和路線を維持し安保面で慎重に行動し、地域の平和と安定に尽くすよう強く求める。

 韓国外交部は少し遅れ、同日朝になって以下のような報道官論評を発表しています。

  • 日本は戦後一貫して維持してきた平和憲法の精神を堅持し、地域の平和と安全に寄与するよう透明な形で推進すべきだ。

 よく似ています。韓国の論評は中国の談話をコピペしたかに見えます。対日批判する時も、中国に「右へならえ」するのです。韓国はヘビに睨まれたカエル状態になっています。

日本にスワップを要求

木村:鈴置さんの言うように、日中有事の際に韓国が中国に「NO」と言うのは次第に難しくなっていくでしょう。

 でも、そうした大状況を変えられないからこそ韓国は、何とか中国の言いなりにならないための材料を作りたいのです。そして材料は多ければ多いほど良いのです。

—11月2日の日韓首脳会談では話題にならなかったようですが、通貨スワップを日韓は結び直すことになるのですか?

鈴置:10月26日、経団連との会合で韓国の全国経済人連合会が「スワップ再開」を求めました。韓国紙にも必要性を訴える意見が2015年夏頃から載るようになりました。

 米金利の引き上げとともに資本逃避が起きて、また通貨危機に陥るとの危機感が高まったからです。

 でも、下手に大声で頼むと「やはり韓国は外貨不足なのだな」と市場に見なされ、本当に危機に陥ってしまう可能性があります。

—日本がスワップに応じれば、問題は起きないのでは?

非礼を覚えている日本

鈴置:日本が応じるかは不透明です。2008年にスワップが決まった後に、日経のインタビューを受けた韓国の企画財務相が「日本は決断が遅い。それでは大国に見なされない」と日本政府を叱りつけました。

 1997年の通貨危機の際は、米銀が逃げ出す中も邦銀が最後までドルをつないだのに、今や韓国紙は「日本のために通貨危機に陥った」と書くようになっています(「『人民元圏で生きる決意』を固めた韓国」参照)。

 財務省や金融界はこうした「非礼」を覚えています。政界にも韓国を助けてやろうとする有力者はほとんどいなくなった。

 李明博(イ・ミョンバク)前大統領の竹島上陸や天皇への謝罪要求、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の言いつけ外交に反発する支持者から「日韓議員連盟を脱退しろ」と議員に電話がかかってくる時代です。

 近未来小説『朝鮮半島201Z年』で、韓国に対し日本が「ドルが欲しければ中国から借りたら?」と突き放すくだりを入れました(129ページ)。2010年に出版した本ですが、その頃から日本、ことに金融界の空気は変化していたのです。

通貨は中国と同盟

—米国に「貸してくれ」と頼む手はありませんか?

鈴置:米国は日本以上に韓国に怒っている。米国に守ってもらっているのに、中国の要求ばかりきくからです。

 米国はスワップに応じないばかりか、1997年の通貨危機の時のように日本に「韓国とのスワップは拒否しろ」と指示するのではないか、と見る関係者が多いのです。

 「ねずみ男」に甘い顔をしていると「自分は妖怪の仲間とは見破られていない」と勘違いし、ますますつけあがるからです。

—米国も拒否するとなると、ますます『朝鮮半島201Z年』の展開ですね。

鈴置:そもそも通貨の世界で、韓国はドル陣営から人民元陣営に鞍替え済みです。韓国はスワップの7割を人民元に頼るようになりました(「韓国の通貨スワップ」参照)。

韓国の通貨スワップ(2015年11月12日現在)

相手国 規模 締結・延長日 満期日
中国 3600億元/64兆ウォン(約560億ドル) 2014年 10月11日 2017年 10月10日
UAE 200億ディルハム/5.8兆ウォン(約54億ドル) 2013年 10月13日 2016年 10月12日
マレーシア 150億リンギット/5兆ウォン(約47億ドル) 2013年 10月20日 2016年 10月19日
豪州 50億豪ドル/5兆ウォン(約45億ドル) 2014年 2月23日 2017年 2月22日
インドネシア 115兆ルピア/10.7兆ウォン(約100億ドル) 2014年 3月6日 2017年 3月5日
CMI<注> 384億ドル 2014年 7月17日  

 

<注>CMI(チェンマイ・イニシアティブ)はIMF融資とリンクしない場合は30%まで。

資料:ソウル新聞「韓国の経済体力は十分」(2015年2月17日)

 1997年の通貨危機の際、韓国はIMF(国債通貨基金)の救済を受け、その直後に日本からドルを借りました(「『人民元圏で生きる決意』を固めた韓国」参照)。当時は中国から外貨を借りるなどとは想像もできなかったのです。

 2008年の危機の際には米、日、中の3カ国にスワップを結んでもらい、実際は米国だけからドルを借りました。

 それが今や全面的な中国頼みになったのです。韓国は貿易、通貨戦線で陣営を替えたうえ「そろそろ安全保障でも」といった状況にあるのです。

対越輸出が対日超える

 ちなみに、2015年1―10月の韓国の輸出額の国・地域別順位は1位が中国で2位が米国。2001年以降、長らく3位だった日本は5位に落ち、代わりに香港が3位に、ベトナムが4位に上がりました。

 サムスン電子の大規模スマホ工場があるため、ベトナムへは韓国からの電子部品の輸出が増えているのです。それにしても、韓国の対日輸出が対越輸出に抜かれる日が来るとは、ほんの数年前まで想像もできませんでした。

木村:聯合ニュースが「中国で人民元建て韓国債発行 早ければ年内にも」(11月9日、日本語版)を打っていました。

鈴置: 10月31日の中韓首脳会談での合意を受けたものです。本来は需給調整用の外貨を調達するのが目的の国債です。中韓間の貿易決済で人民元建てが増えているのでそれへの備えだ――と、韓国政府は説明しています。

 でも、本当は中国への援護射撃が狙いでしょう。中国は今、人民元をIMFのSDR(特別引き出し権)の準備通貨に採用してもらおうと動いています。

 韓国が人民元建て国債を発行すれば「国際通貨」とのイメージが増すので、採用を後押しできるとの計算です。米国や日本にとっては「妖怪の通貨」が世界に広がるのは嬉しくないのですが。

脆くなった米韓関係

—米韓関係はそこまで脆くなっているのですね。

鈴置:オバマ(Barack Obama)大統領が朴槿恵大統領を横に置いて「米中どちらの味方なのだ」と追い詰めたのを見て、世界がそれを実感しました(「蟻地獄の中でもがく韓国」参照)。

—両国はそれを取り繕うことができるのでしょうか?

木村:米国とすれば、韓国が何か具体的な対米協力の意思を示してくれると嬉しいでしょう。例えば、現在建設中の済州島の海軍基地の、有事の際の使用許可です。

鈴置:韓国と北朝鮮が軍事的な衝突を起こした際、韓国はもちろん米海軍の済州島への寄港を大歓迎するでしょう。問題は日中の紛争時です。

 仮に米空母が済州島に寄港しようとすれば、中国は黄海封鎖が目的と見なし、韓国に「受け入れるな」と命じるのは確実です。

 これを見越して韓国は、米艦船が無制限に済州島に寄港しないよう、何らかの歯止めをかけておきたいでしょうね。

反日国家の苦境

木村:となると、韓国が米国に誠意を見せるのは、在韓米軍の駐留経費をこれまで以上に分厚くする――あたりが関の山かもしれません。

 見返りに、北朝鮮有事への警戒を強める韓国も米陸軍を呼び戻す――とまではいかなくても、その削減スピードを落とすことを期待できます。これなら中国の直接的脅威とはならないので、韓国が米中板挟みに陥る可能性も低い。

 米韓の綻びを取り繕う動きを日本は注視すべきです。例えばこの仮説のように、韓国が米軍への待遇を向上させれば、米国は当然日本にもそれを要求するでしょう。米韓同盟が揺らぐからこそ、日米同盟もまた、その内容が問われていくことになります。

 日本の一部に、韓国の状況を「反日国家が苦境に陥っている」と冷笑する向きがあります。しかし変化する国際情勢の中で、立ち位置が問われているのは日本も同じなのです。

2人の釣り師と2匹の魚

鈴置:同感です。韓国はいざとなれば米韓同盟を打ち切って、中立を宣言すればいい。それは実質的に中国の属国に戻る道ですが、だからと言って米国から軍事攻撃を受けはしません。

 一方、日本は中国に立ち向かうことを決めました。「南シナ海はすべて中国のものだ」などというめちゃくちゃな主張を認めるわけにはいかないからです。

 日本は中国から、軍事を含めますます圧迫を受けることになります。それは今後、ずっと続くのです。韓国よりも日本の方が大変なのです。

木村:米中両国が力任せに自国の国益を実現しようとする中、日本も何が最も重要な国益であり、それを守るためには何をすべきかをきちんと考えておくべきでしょう。

 日清戦争のころの新聞漫画に「朝鮮という魚を釣り上げようとして釣り糸を垂れる日清両国と、その魚を横取りしようと狙っているロシア」という有名なものがあります。

 今の国際情勢も似た状況になっています。うかうかしていると、米中という2人の「釣り師」の間で、韓国も日本も「釣り上げられていく魚」になるかもしれません

11/11 ダイヤモンドオンライン 北野幸伯『米国超大物スパイが明かす、中国「世界制覇」の野望』について

何故アメリカは中国に甘く、ロシアに厳しいのだろうか?単なるオリエンタリズムとも思えません。中国は賄賂社会ですが、ロシアだって陸上競技のドーピング問題では組織的に関与していた疑いが濃厚です。両国とも似た者同士に見えるのですが。ロシアはキリスト教(正教)、中国は拝金教(道教、仏教とか言われますが、「中国冥民銀行」発行の「紙銭」という偽札を燃やしたり、紙のダッチワイフを燃やしたり、物欲一辺倒です)で違いますが。勿論、キッシンジャーを筆頭に中国は合法的かどうかは知りませんが要人に金を配って歩いていると思います。周永康の収賄額1兆6000億円を考えると、米要人にも、法外な金が流れていると見るのが正しいでしょう。結局、人間は「金」に転びやすいということです。中国を豊かにすれば、軍拡だけでなく、世界に悪徳を蔓延らせるから、一旦崩壊させ、もっと透明度の上がる仕組みに移行させないと。

アメリカの世界戦略は往々にして間違えます。日本と太平洋を挟んで戦争したのがその最たるもの。結局、中国大陸を赤化してしまって、「中国の門戸開放」を要求していたのにパーになってしまったわけです。馬渕睦夫氏によればそれも英国のユダヤ人の陰謀でそうしたのだという解釈ですが。

百年マラソン(中華人民共和国創立の1949年~2049年)とピルズベリーは捉えていますが、アメリカに対する復讐と言うか、西洋に対する復讐はもっと前から考えていたでしょう。1840年からのアヘン戦争でイギリスに敗れた辺りからではないか。ただ当時の大清帝国は満州族による統治ですが、漢民族の文化に取り込まれていました。今のアメリカもイギリスに取って代わった西洋の代表選手と思っているに違いありません。

中国は世界制覇の野望を隠そうとはしなくなっています。米国の外交・軍事頼みだけでは限界があります。多国間の同盟と、日本の核武装化(憲法問題にはならない)、軍事予算の拡大が求められます。

記事

米中の対立が激化している。現在起こっている米中の対立は、一過性のものなのだろうか?それとも、「米ソ冷戦」のように長期的なものなのだろうか?この疑問に答えを与えてくれる「衝撃の書」がある。

米中関係改善に貢献した米国の超大物スパイが暴露本を出版!

 米国は9月、訪米した習近平国家主席を「冷遇」し、両国関係の悪化が全世界に知れわたった。翌10月末、米海軍は、「航行の自由」作戦を実施。米中の軍事衝突を懸念する声が、聞かれるようになった。

米国はいよいよ、本格的に中国を倒す決意を固めた。米中対立は一過性のものではなく、戦いは長期化するだろう 

 現在起こっている米中の対立は、一過性のものなのか、それとも「米ソ冷戦」のように長期的なものなのか?この疑問に答えを与えてくれる「衝撃の書」がある。米国を代表する超大物「パンダ・ハガー」(パンダを抱く人=親中派)だったマイケル・ピルズベリーの最新作「China2049 秘密裏に遂行される『世界覇権100年戦略』だ。今回は、この本から、米中関係の変遷を読み解いて行く。

 ピルズベリーは現在、ハドソン研究所中国戦略センターの所長であり、米国防総省の顧問も務めている。また、米国の政策に大きな影響力を持つ、「外交問題評議会」「国際戦略研究所」のメンバーでもある。

 そうした「表の顔」の他に「裏の顔」も存在する。本に書いてしまっているので、「裏の顔」ともいえないが、ピルズベリーは24歳の時から、米国のスパイとして働いてきたのだ(40p)。米国の「対中政策」に40年以上深く関わってきたピルズベリーは、この本の中で、「米中関係」の驚くべき「裏話」をたくさん披露してくれている。

 よく知られていることだが、米中関係が劇的に改善されたのは、1970年代はじめだった。米国は、冷戦のライバル・ソ連に対抗するために、「中国と組む」ことにした。主導したのは、ニクソン大統領とキッシンジャー大統領補佐官といわれる。特にキッシンジャーは、「米中関係を劇的に改善させた功績」により、「リアリズム外交の神様」と評価されている。

 ピルズベリーは当時20代半ばだったが、「米中和解」に大きく貢献した。ニクソンとキッシンジャーは1969年、「中国と和解した時、ソ連との関係が過度に悪化するのではないか」と恐れていた。ピルズベリーは、ソ連人から情報を入手し、「米中が和解しても、ソ連は米ソ緊張緩和の動きを止めない」ことを伝えた人物だったのだ。

 <ほかならぬわたしがソビエト人から得ていた情報に後押しされて、ニクソンとキッシンジャーはついにその気になったのだ。

 わたしが得た情報とは、「米中が接近しても、モスクワは緊張緩和への動きを中断しないだろうし、中国のあてにならない申し入れをアメリカが受け入れることを大方予測している」というものだ。

 アルカディ・シェフチェンコとクトボイは、まさにその通りのことをわたしに語っていた。>(88p)

「キッシンジャーは毛沢東の計略にはまった」  鄧小平時代には米中「蜜月」に

 しかし、この本にはもっと重要なことが書かれている。「米中和解」を「真」に主導したのは、ニクソンでもキッシンジャーでもなく、中国だったのだ。

 <この交渉を始めたのは、ニクソンでもなければキッシンジャーでもなかった。(中略)

 ニクソンが中国を訪れたのではなく、中国がニクソンのところへやってきたのだ。>(82p)(太線筆者。以下同じ)

 キッシンジャーは71年7月、極秘で中国を訪問。そして、72年2月、ニクソンは歴史的訪中を実現させた。キッシンジャーはすっかり毛沢東に魅了され、中国に取り込まれてしまう。

 <キッシンジャーは毛の計略にまんまとはまり、ニクソンに、「中国は英国に次いで、世界観がアメリカに近い国かもしれない」と告げた。

 中国の戦略を疑う気持ちはみじんもなかったようだ。>(96p)

 当時49歳だったキッシンジャーの「中国愛」は、以後40年以上つづくことになる。こうして、米中関係は劇的に改善された。

「ソ連と対抗するために、中国と組む」−−。これは、論理的に非常にわかりやすいし、米国の立場からすれば「戦略的に間違っていた」とはいえないだろう。両国関係は、毛沢東が76年に亡くなり、鄧小平がリーダーになった後、さらに深まっていく。

 <西洋人にとって鄧は、理想的な中国の指導者だった。

 物腰が穏やかなおじいさんのようでありながら、改革精神に富むバランスのとれた指導者。

 要するに、西洋人が会いたいと思う人物だったのだ。>(101~102p)

 そして、米国は、この「理想的な指導者」を、惜しみなく支援することにした。

 <カーター(註、大統領)と鄧は、領事館、貿易、科学、技術についての協定にも署名したが、それは、アメリカが中国の科学者にあらゆる種類の科学的・技術的知識を提供することを約束するもので、結果的にアメリカの科学的・技術的専門知識の史上最大の流出を招いた。>(111p)

 こうして「理想的な指導者」鄧小平は、米国(と日本)から、ほとんど無料で、奪えるものを奪いつくし、中国に「奇跡の成長」ともたらすことに成功する。まさに、中国にとって「偉大な指導者だった」といえるだろう。

天安門事件と冷戦終結で関係にヒビ 驚きの「クリントン・クーデター」が勃発

 80年代末から90年代初めにかけて、米中関係に大きな危機が訪れる。理由は2つあった。1つは、89年6月の「天安門事件」。人民解放軍は、「民主化」を求める天安門のデモを武力で鎮圧し、数千人の死者が出た。もう1つは、「冷戦の終結」である。

 「ソ連に対抗するために中国と組む」というのが米国側の論理だった。では、「ソ連が崩壊した後、中国と組みつづける理由は何か?」という疑問が当然出てくる。そして、この2つの大事件は、確かに米中関係を悪化させた。時の大統領は、クリントンだった。私たちが抱くイメージとは違い、「クリントンはどの大統領より強硬な対中路線を敷いた」と、ピルズベリーは断言する。

 <大統領選のさなかには、「ブッシュ大統領は、北京の肉屋を甘やかしている」と攻撃した。

 クリントンが大統領に就任するとすぐ、国務長官のウォーレン・クリストファーは、上院外交関係委員会でこう宣言した。

 「わたしたちの政策は、経済力の強化と政治の自由化を後押しして、中国における共産主義から民主主義への広範で平和的な移行を手助けすることだ」>(140~141p)

 米国が反中に転じることを恐れた中国は、なんと米国政府内に「強力な親中派グループ」を組織し、クリントンの「反中政策」を転換させることにした。ピルズベリーによると、「親中派グループ」には、国家安全保障担当補佐官トニー・レイク、副補佐官サンディ・バーガー、国家経済会議議長ロバート・ルービン、財務次官ローレンス・サマーズなどが含まれていた。

 ルービンは、元ゴールドマンサックスの会長で、後に財務長官になっている。サマーズは、ハーバード大学の経済学者で、ルービンの後に財務長官になった。確かに「強力」だ。「親中派グループ」は、政治家の味方を増やしていった。そして、何が起こったのか?

 <ついに1993年末、中国が現在、「クリントン・クーデター」と呼ぶものが起きた。

 中国に同調する面々が大統領に反中姿勢の緩和を認めさせたのだ。

 クリントンがかつて約束したダライ・ラマとの新たな会談は実現しなかった。

 対中制裁は緩和され、後に解除された。>(143p)

 驚くべき事実である。中国はなんと、米国の外交政策を180度転換させることに成功したのだ。

米国から覇権を奪い復讐する! 驚きの中国「100年マラソン」計画

 このように、米中は、「想像以上に深い関係」であることが、この本によって明らかにされている。そして、60年代末からつい最近まで、ピルズベリーは「米中関係を良好にするために」尽力してきた。

 しかし、ここからが、最も重要な話である。ピルズベリーは「中国にだまされていたことに気づいた」というのだ。きっかけは、クリントン政権時代の90年代後半までさかのぼる。ピルズベリーは、国防総省とCIAから、中国の「米国を欺く能力を調べるよう」依頼された。彼は、諜報機関の資料を含むあらゆる情報にアクセスし、研究を行った結果、驚くべきシナリオが見えてきた。

 <これらのタカ派は、毛沢東以降の指導者の耳に、ある計画を吹き込んだ。

 それは、「過去100年に及ぶ屈辱に復讐すべく、中国共産党革命100周年にあたる2049年までに、世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取する」というものだ。

 この計画は「100年マラソン」と呼ばれるようになった。

 共産党の指導者は、アメリカとの関係が始まった時から、この計画を推し進めてきたのだ。

 そのゴールは復讐>(22p)

 しかし、当時はピルズベリーのこの見解を、ほとんど誰も信じてくれなかった。その後、「中国が世界制覇を狙っている」という彼の確信はゆっくりと強まっていく。

 2006年、国防総省の顧問になっていたピルズベリーは、ウォール・ストリート・ジャーナルで、「私の使命は、国防総省が『パンダ・ハガー』(=親中)にならないようにすることだ」と主張。 そして、「中国政府はアメリカを避けられない敵と見なし、相応の計画を練っている。だから、わたしたちは警戒を怠ってはならない」と警告した。

   中国は、大物パンダ・ハガーの裏切りに激怒した。以後、今まで交流のあった中国人政治家、学者、軍人などとの交流は断ち切られ、中国行きのビザも、なかなか出なくなった。しかし、ピルズベリーはその後も揺れ続けていたらしい。こんな記述もある。

 <2009年になっても、同僚とわたしは、中国人はアメリカ人と同じような考え方をすると思い込んでいた。>(316~317p)

 そして、彼が決定的に反中に「転向」したのは、13年だという。

 <2013年の秋に北京を訪れて初めて、わたしは自分たちが間違っていたこと、そして、アメリカの衰退に乗じて、中国が早々とのしあがりつつあることに気づいた。>(318p)

「China2049」が示す米中関係の未来

ここまで「China2049」の内容に触れてきた。ここで書いたことだけでもかなり驚きだが、他にも驚愕の事実が山盛りなので、是非ご一読いただきたい。

 次に、「この本の位置づけ」について考えてみよう。15年3月、親米諸国が米国を裏切り中国側についた「AIIB事件」が起こった時、筆者は「米国は必ず逆襲する」と書き、その方法についても予測した。(詳細はこちらの記事を参照)あれから半年が過ぎ、予想通り米中関係は、急速に悪化している。

 問題は、最初に触れたように両国の対立が「一過性のもの」なのか、「長期化する」のか、である。

 ところで、この本の冒頭には、「機密情報が漏えいしないよう、CIA、FBI、国防長官府、国防総省の代理によって査読を受けた」とある。つまり、この本には、CIA、FBI、国防総省もかかわっているのだ。巻末には、「謝辞」があるが、その中に、こんな一文がある。

 <ヘンリー・キッシンジャーは中国人の考えを深く理解しており、その知識に基づいて直接的にも間接的にも支援してくれた。>(360p)

 かつて米国ナンバーワン「パンダ・ハガー」だったキッシンジャーが、全面的に協力している。これは、「キッシンジャーが親中派をやめた証拠」といってよいだろう。大物親中派ピルズベリーとキッシンジャーの転向により、今後米国で「パンダ・ハガー」でいることは困難になるだろう。無理に親中派をつづければ、中国との「黒い関係」を疑われるようになる。

   そして、冒頭にある「推薦の言葉」は「決定的」だ。ウールジー元CIA長官は、中国について、こう書いている。

 <本書が明かす中国の真の姿は、孫子の教えを守って如才なく野心を隠し、アメリカのアキレス腱を射抜く最善の方法を探しつづける極めて聡明な敵だ。

 我々は早急に強い行動を取らなければならない。>

 元CIA長官が、ある国について「敵」と名指しするのは、よほどのことだ。そして、ピルズベリー自身は、「アメリカはこのマラソンの敗者になろうとしている」と警告している。さらに、「中国が覇権をとった暗黒の世界」を描き、そうならないために「米国が中国に勝利する方法」まできっちり解説している。

   これらすべての事実からわかることは、「中国の世界覇権の野心を知った米国支配層が、中国打倒の決意を固めている」ということだ。つまり、現在の「米中対立」は、「米中覇権戦争」の一環であり、戦いは「長期化」し、決着がつくまでつづく」可能性が高いのだ。私たち日本国民も、日本政府も、「今は1930年代のように、変化の激しい切実な時代なのだ」ということを、はっきり自覚しておく必要がある。

11/10日経夕刊 『新疆自治区成立60年 ウイグル 中国が抱く火種 「漢化」に反発、難民拡散』について

日経も中国の人権問題にやっと触れるようになったかと言う感じです。これも、アメリカの中国に対する態度が変わったのを見て書いたのでしょう。どうせなら、ウイグル族だけでなく、チベット族、南モンゴル族の問題をシリーズで特集を組めばよいのにと思います。

1997年小生が北京にいたときに、漢民族から聞いたのは、「ウイグル族はすぐ刀で人を傷つけるから怖い」と言っていた記憶があります。たしかにこの記事にありますカシュガルはナイフの産地でもあり、お土産屋で沢山売っていました。また、黄色いモスクとして有名なエイテイガール・イスラム寺院があります。

中国で少数民族(と言っても百万、千万単位ですが)の言葉や宗教を奪ったり、伝統をも奪うのは共産党支配だからです。それに漢民族の民族性が加わり、「人のものは俺のもの、俺のものは俺のもの」ということで統治してきているのだと思います。韓国は日本が創氏改名を強制したとかありえないことをすぐデッチ上げますが、宗主国を見本として捏造しているのでしょう。

東トルキスタン共和国は第二次大戦中、中華民国から独立しましたが、国共内戦終結後すぐに共産党に奪われました。チベットも時間差があるものの同じです。中国こそ侵略国家です。

「一帯一路」は中央アジアに抜けるためには新疆を通らなければなりません。戦略的な要衝の地です。でも中央アジアはイスラムですので、逆にテロリストが中国に流入することが考えられます。今でも事件が頻発しているのに、「一帯一路」で道を開けていけば、ISのメンバーが流入する可能性もあります。エジプトでのロシア機爆破も青山繁晴氏によればインサイダーテロとのこと。内部のものの手引きで手荷物にプラスチック爆弾を入れたようです。(ブログ「ぼやきくっくり」より:

http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid1802.html )今後こういうケースは増えていくでしょう。

中国は内憂(イスラム)外患(米国)と二正面作戦を取らざるを得なくなるでしょう。習近平の権力奪取への焦りが失敗の元です。『あぶない一神教』の中で佐藤優は、イスラムは何故死を恐れないかと言うのを次のように説明していました。「とくにイスラム過激派は死の問題を簡単に迂回できますからね。私は人間にとって宗教が必要なのは、死の問題を扱うからと、考えています。しかし彼らは死の問題と向き合っているように思えない。彼らは、生き残っても死んでも目的を果たしたと考える。テロを行って失敗したらシャヒード(殉教者)になって、天国で72人の処女と楽しく過ごせる。もし生き残って戦闘に勝利した場合は地域の支配を任されて、現実の世界で力を誇示できる。生と死、どう転んでも勝ちが約束されている(P.128~129)」とありました。宗教的確信を持ったものは、一向一揆のように、戦闘では手強いです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E3%83%88%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%99%E3%83%83%E3%83%88

Id Kah Mosque

エイテイガールモスク

記事

中国新疆ウイグル自治区が成立から60年を迎えた。中国政府は高度な自治と経済開発の恩恵を強調するが、民族対立の火種はくすぶったままで、現地では当局に暴力で抵抗する負の連鎖が止まらない。根底にあるのは宗教や文化への締め付け、中国語の強要といった「漢化政策」への反発だ。各地に「ウイグル難民」があふれ出すなど、問題は世界に拡散し始めている。

xinjiang

 北京市の中央民族大学。9月に上京したばかりというウイグル族の那比さん(仮名、19)は予科クラスで漢語(中国語)を学ぶ日々だ。「いっぱい漢語を勉強して、将来は故郷で起業したい」。たどたどしく夢を語ってくれたが、自治区の治安悪化やタイの爆弾テロ事件に話題が及ぶと表情が一変した。「そんなこと知らない。ウイグル族はみんないい人……」

 那比さんは漢化政策の影響を最も受ける世代だ。出身地のカシュガル地区は自治区南西部に位置し、伝統的なイスラム教文化を残す地域として知られる。だが最近は国家主導の大規模開発が進み、現代風の高層マンションや大型商業施設が次々と立ち並び始めた。アニメ好きという那比さんも親が比較的裕福な公務員で、小さいときからテレビやスマートフォンなど高価な機器に囲まれて育った。

 「お祈り? 一回もしたことがない」。共産党は公務員の家庭に宗教行為を禁じている。さらに当局の統制を受け、中国の報道各社は民族問題に絡む「不都合な真実」を一切報じない。那比さんも自治区や世界でいま何が起きているか全く知らないという。「私はおかしいの?」

宗教慣習許さず

 自治区設置の1955年から60年、域内総生産(GDP)は120倍に急拡大したが、漢民族の大量入植も進み、今では自治区の人口をウイグル族と二分するまでに急増した。歴代の自治区トップは全員が漢民族で、地下に眠る石油などの豊富な天然資源も漢民族主体の国有企業が利権を独占する。自治区とは名ばかりの共産党支配が続く。

 カシュガル地区のウイグル族男性によると、昨年夏には車で赤信号を無視しようとした若者が「テロ分子」として武装警察に射殺される事件があった。礼拝のために民家に集まった主婦や老人が「テロを画策している」と連行されることも珍しくないという。

 現地では男性のひげや政府指定の民族衣装以外の着用を禁止するなど、宗教慣習への締め付けも強まる。これに反発したウイグル族による暴力事件や警官襲撃も止まらない。

 さらにいま深刻になっているのが「ウイグル難民」問題だ。ベトナムと国境を接する広西チワン族自治区の憑祥市では、警官隊が深夜の山岳地帯で象牙の密輸ルートを使って密出国を試みるウイグル族の集団を取り締まっている。今年1月にはウイグル族の1人が市内の住宅街に逃げ込み、警官隊の銃撃を受けて死亡する事件も起きた。

 新疆からは3千キロメートルも離れた場所だが、射殺される危険をも冒しながら、毎月5千人にも上るウイグル族が海外逃亡を試みているという。「新疆での弾圧から逃れるため」(関係者)で、7月にタイ政府が中国に強制送還したウイグル族も、こうした逃避行の果てに拘束された人々だった。

沈黙続ける世界

 8月にはバンコクでウイグル族組織が関与したとされる爆弾テロが起きたが、国際社会は中国の経済力になびいて見て見ぬふりを続ける。「中国政府の新疆建設に明るい先行きを持っている」。9月下旬には英国のオズボーン財務相が英閣僚として初めて新疆を訪れ、現地の発展ぶりを持ち上げてみせたが、世界が自治区の現状に対して沈黙を続ければ、漢化政策による「ウイグル問題」はさらに混迷を深めそうだ。

(北京=阿部哲也)

ウイグル族

 主に中国西部の新疆ウイグル自治区で暮らし、2200万人強いる同自治区の人口の約半数を占める。トルコ系遊牧民族を起源とし、シルクロード交易全盛期の9世紀ごろ、モンゴル高原から移住してきたとされる。イスラム教徒が多く、独自の言語を使い、中国の歴代王朝から「西域」と呼ばれる固有の文化圏を形成したが、18世紀半ばに清朝が一帯を征服して統治下に置き、1949年に中華人民共和国に統合された。

11/10ZAKZAK 加賀孝英『中台会談の裏に「海峡危機」再来の懸念 不満鬱積で不穏な中国軍』11/11日経ビジネスオンライン福島香織『分断後初の中台首脳会談、意義見えず 名を残すために台湾を売る馬英九の愚』について

「92年コンセンサス(92共識)はなかった。誰かが自分のサインを捏造したものだ」と李登輝元総統が以前の「中国時報」の中で言っていました。同じ紙面で馬総統は「92共識は間違いなく存在する」と言ってサイン入りペーパーを示していたと思います。

馬総統も本省人=中国人ですから、改竄・捏造はお手の物でしょう。そんなものに基づき、「一つの中国」を解釈するのは台湾人に失礼です。会談は、結局台湾にとって何の利益も齎さず、習近平の訪米時の扱いや南シナ海の航行の自由等、外交の失敗を救済する形となりました。馬総統は愚かとしか言いようがありません。金を習から貰ってポケットに入れるか、買収資金にするかも知れません。国民党の主流は、何せ中国人のことですからスマートに賄賂を送るやり方を知っていますので。買収を断ると付き合い上マズイと言うのであれば、受け取って、「民進党」に投票すれば良いでしょう。不法原因給付なので後で返還請求できないし、違法行為なので訴えられることもないでしょう。習VS馬は同じ中国人同士、狐と狸の化かし合いのようなものでしょう。それで台湾向けミサイルのことを「台湾には向けていない」と習が言い、馬もそれ以上突っ込まないデキレースのようなものです。

福島氏の記事にありますように、会談後の民進党候補蔡英文の支持率が5ポイント上昇して46.7%、国民党候補朱立倫の支持率は1.7ポイント下落し19%とありますので、会談は国民党にとって、来年1月の総統選には役に立たなかったというかマイナス効果しかなかったという事です。さすがKYの馬英九としか言いようがありません。習が7年間の馬の努力に感謝して会談をセットしたということはないでしょう。やはり次の蔡英文の行動を制約するためでしょう。蔡英文が言っていますように日本と産業同盟(含むTPP)を結び、中国大陸にいる台商を台湾に戻した方が良いと思います。

加賀孝英記事

 中国の習近平国家主席と、台湾の馬英九総統が先週末、シンガポールで1949年の中台分断後、初の首脳会談を行った。世界のメディアが「歴史的握手」「1つの中国を確認」などと報じたが、日米情報当局者はまったく違った分析をしている。南シナ海をめぐって「米中対立」が深刻化した習政権が、新たな台湾海峡危機を演出しかねないというのだ。衝撃的な、人民解放軍による台湾総統府制圧訓練とは。ジャーナリストの加賀孝英氏が緊急リポートする。

 「両岸(中国と台湾)のリーダーが会うことは歴史的一ページだ。いかなる力も(一家族である)、われわれを引き裂くことはできない」

 習氏は会談冒頭、笑顔でこう語った。なごやかに始まった首脳会談だが、馬氏が、中国が台湾向けに配備している約1500発もの弾道ミサイルの撤去を求めると、習氏は「あれは台湾に向けたものではない」と、笑顔でウソをつき、それ以外の台湾側の提案にも、ゼロ回答で応じた。

 ご承知の通り、シンガポールで7日、分断後初となる中台首脳会談が開かれた。会談は約1時間。世界が注目するなか、両首脳は「一つの中国」を確認したとされる「1992年コンセンサス」を確認し、平和的関係を築くことで握手を交わした。

 萩生田光一官房副長官は同日、「両岸にとって発展的な良い会談になるのだとすれば、決して否定するものではない」と記者団に語った。

 世界のメディアは「歴史的握手」などと絶賛したが、本当なのか。言うまでもなく、日本を取り巻く東アジアの安全保障にとって、中台が対峙する台湾海峡の安定は、朝鮮半島のそれと同様、最重要課題だ。「良い会談」ならば大いに評価したい。

 だが、驚かないでいただきたい。舞台裏はまったく違う。

 台湾では昨年3月、共産党独裁の中国と結んだサービス貿易協定をめぐり、数万人の学生と市民らが「中国NO!」を宣言して、立法院(国会)を約1カ月も占拠する事件(=ひまわり学生運動)が発生した。馬氏の支持率は10%前後まで低下し、同年11月の統一地方選挙では、「中台接近(統合)」に傾く馬氏率いる与党・国民党が大惨敗した。

 今後の最大の焦点は、来年1月16日に実施される台湾総統選挙と、立法委員(国会議員)選挙のダブル選挙だ。外務省関係者が語る。

 「ダブル選挙では、国民党が大敗することが確実視されている。馬氏の狙いは、習氏に泣きつき、巨額の経済支援などを引き出し、劣勢をひっくり返すことだ。歴史的握手というパフォーマンスの裏で、大バクチを打ったともいえる」

 「現状では、独立志向の強い蔡英文主席と、彼女が率いる野党・民主進歩党が勝利する可能性が大だ。こうした結果は、『中華民族の偉大なる復興』を掲げ、『台湾の統一(併合)』を目標とする習氏と中国共産党には絶対に看過できない。習氏は首脳会談で馬氏を取り込み、台湾統一工作を加速させるつもりだろう」

 仰天情報がある。以下、複数の日米情報当局関係者から得たものだ。

 「今年7月、中国人民解放軍が、内モンゴル自治区の軍事演習場に、台湾総統府を実物大で再現した建物を完成させ、特殊部隊による『武力制圧訓練』(斬首作戦=奇襲による台湾首脳らの排除)を行っていると、カナダの民間研究機関が明らかにした。衛星写真も公表された」

 「西側情報当局は『蔡氏と民主進歩党が勝った場合、中国が軍を動かして台湾に圧力をかける危険がある』という分析もしている。最悪の場合、1996年に勃発した『台湾海峡危機』の再来もあり得る。情報当局関係者は緊張している」

 台湾海峡危機とは、96年の台湾総統選挙直前、独立志向派である李登輝氏の当選を阻止するため、中国が演習と称して、台湾海峡に何発ものミサイルを撃ち込んだ事件だ。対岸に集結した中国軍も台湾侵攻の動きを見せた。当時のクリントン米大統領は2つの空母機動部隊を台湾近海に急派させ、中国の暴走を食い止めた。

 状況は今と驚くほど似ているではないか。情報はこう続く。

 「ダブル選挙は来年1月で、新総統の就任式は4カ月後の同年5月だ。万が一、第2の『台湾海峡危機』が起こるとすれば、この『魔の4カ月』が危ない」

 現在、南シナ海では、米国が、中国の国際法無視の暴挙を食い止めるため、「フリーダム・オブ・ナビゲーション(航行の自由)作戦」を発動している。米中衝突の危機が生じている。

 旧知の外事警察関係者は、以下のようにいう。

 「中国は南シナ海で、米イージス駆逐艦による『航行の自由作戦』に、手も足も出せなかった。習氏の権威は地に落ちた。軍に不満が鬱積しており、造反の動きもある。習氏は相当焦っている。何が起こるか、分からない」

 こんな情報も飛び込んできた。

 韓国の韓民求(ハン・ミング)国防相が4日、ASEAN(東南アジア諸国連合)拡大国防会議で突然、米国の南シナ海での作戦を支持する発言をしたため、中国が「『あの韓国に裏切られた!』と激怒している」というものだ。

 事態は急変している。日本は情報収集を急がなければならない。

 ■加賀孝英(かが・こうえい) ジャーナリスト。1957年生まれ。週刊文春、新潮社を経て独立。95年、第1回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞受賞。週刊誌、月刊誌を舞台に幅広く活躍し、数々のスクープで知られている。

福島香織記事

来年1月に台湾の総統選挙が迫るなか、馬英九総統が、いきなり今月7日、シンガポールで中国共産党中央総書記の習近平国家主席と会談した。1949年の中台分断後、初めて中台の最高指導者が会談するという歴史的事件ではあるし、メディア関係者は当然大騒ぎなのだが、台湾世論も中国国内も国際社会も何か白けた空気である。

 支持率一桁の超絶不人気の、引退間際の、しかも国民党主席でもない馬英九が、習近平と会って互角に渡り合えるはずもない。一方、習近平は国内では権力闘争の真っ最中、党内でも国際社会でも政敵に足をすくわれないよう、細心の注意を払わなければならない時期だ。CCTVは馬英九の肉声を伝えず、襟の青天白日バッジにまでモザイクをかける小心ぶり。彼らは、いったい、何のためにこんな会談を今の時期に、急に開いたのか。

馬英九、ロスタイムの個人プレー

 オンラインで、この世紀の瞬間(?)を私も見たのだが、習近平も馬英九も非常にぎこちない笑顔で、まるで機械仕掛けの人形のように80秒以上握手し続け、シャングリラホテルの会見場につめかけた約600人のメディアの要請を受けて、あっちを向いたり、こっちを向いたりして、しっかり握りしめたお互いの手を見せつけた。次に、やはり機械人形のように30秒間、手を振り続けた。会場の記者たちはそれなりに興奮して、手を振った姿に、おーっ!と歓声を上げながら、フラッシュを浴びせかけていた。

 しかしながら、個人的な印象を言えば、2005年に野党時代の国民党現役主席であった連戦が初訪中して総書記の胡錦濤と初会談したときの方が感慨は強かった。あるいは、今年5月、与党の立場で国民党主席の朱立倫が北京の人民大会堂で習近平と会談したことの方が、国民党にとっては実質的な政治的意味はあったかもしれない。

 この会談がなぜ、急遽、今のタイミングで開かれたのか。

 個人的な憶測を言えば、馬英九にとっては、負け試合終了間際のロスタイムに、少しでも見せ場をつくっておきたくて個人プレーに走った、というところではないか。蒋介石、蒋経国、李登輝、陳水扁と歴代台湾の指導者は、いずれも何かしら偉業を成し遂げ、歴史に名を刻んだ。

 蒋介石は初代中華民国総統、蒋経国は戒厳令を解除し中華民国の台湾化を進めた。李登輝は台湾の民主化の立役者であり、陳水扁は最初の国民党以外の政権を台湾に樹立した。馬英九のやったことは台湾の中国化であるが、それをポジティブに語る台湾人は少ない。

 早い話が馬英九の政治に歴史的意義のある評価はひとつもなかった。それどころか、執政のまずさを酷評され続け、学生に立法院を占拠されるという前代未聞の事件も起きた。だが習近平と会談すれば、分断後、初の中台首脳会談を実現した総統、という箔はつく。実際、それぐらいしか、この会談の意義というのが、私には見いだせないのだ。

一部中国紙の論評では、この会談によって1月の台湾総統選および立法院選挙において国民党の追い風になる、というものがあったが、それは台湾民意に対する中国人識者の無知ゆえの過ったヨミであると思う。この馬英九政権7年半の間に、中国経済は台湾を侵食し、大手メディアのほとんどのスポンサーに中国が関わるようになったため、台湾の報道は中国ほどではないにしろ、中国批判を抑えるようになった。このため、メディアを通じてでは、台湾人がいかに中台接近、あるいは習近平政権の「中国の夢」に警戒心と拒否感を持っているかを分かっていない。

「自由時報がスクープ」の意味

 そもそも、この「歴史的会談」の一報を抜いたのは、自由時報である。アンチ国民党アンチ中国を旗印にしている新聞社だ。本来なら、この種のネタは親国民党の新聞の方がスクープしやすい。安倍政権のスクープを読売や産経が抜きやすいのと同じで理屈である。

 だが、この急な中台首脳会談のニュースは、台湾人にとってネガティブな情報として、アンチ国民党の自由時報がスクープした。単純に考えれば、ネタ元は国民党幹部筋であろう。あえて自由時報にリークしてネガティブ報道させたのは、国民党にとっても、この会談を忌々しく思う派が存在するということではないか。

 2014年3月の学生らによる立法院占拠から始まったひまわり運動を振り返っても、2014年11月の台湾統一地方選の結果を見ても、今の台湾民意はアンチ馬英九であり、アンチ中国である。国民党が公認の女性候補だった洪秀柱を突然、新北市長を休職した国民党主席の朱立倫に挿げ替えたのも、親中派を公言する洪秀柱では、立法院選挙まで惨敗するのが目に見えているからだった。今の国民党が受けている逆風は、すべて馬英九政権になってからの急激な台湾の中国化に対する台湾民意の抵抗から始まったのだから、この時期の中台首脳会談など、総統選・立法院選の足を引っ張る以外の何物でもない。

 参考までに三立テレビ(アンチ国民党派)の中台首脳会談を受けての民意調査では、民進党候補・蔡英文の支持率は会談前よりも5ポイント上昇して46.7%、国民党候補朱立倫の支持率は1.7ポイント下落し19%と、もともと開いていた支持率の差がさらに開いてしまった。一応、朱立倫は国民党主席としてこの会談について、台湾の国際的地位を上昇させ、両岸(中台)の未来の平和発展に貢献したとしてポジティブな評価をしてはいるが、総統選挙への影響力という点では、10日から16日の日程で組まれている朱立倫の国民党主席としての初訪米の方がよっぽど意味があるのは当然だろう。

 では、中国サイド、習近平側はどのような思惑で、この馬英九の晴れ舞台に付き合ったのだろうか。習近平の会談冒頭のスピーチを少し見てみよう。

習近平、かく語りき

 「尊敬する馬先生、みなさん、こんにちは。きょうは非常に特別な日です。両岸の指導者が一堂に会し、歴史の一ページをめくりました。歴史は今日のことを記録するでしょう。

 かつて両岸が海を隔てて軍事的に対峙し、親族も分断され、無数の家庭に骨身に染みる痛みを刻みました。その遺憾を補う方法はありません。そうして、海峡を隔てても、兄弟の情を断ち切れることはなく、故郷の父母への思念、家族が寄り添いたいという渇望、同胞の血縁の情の力を遮ることもできませんでした。前世紀の80年代に、ついに両岸は閉じていた門戸を開いたのです。

 2008年以来、両岸関係は平和発展の道をたどってきました。過去7年、台湾海峡情勢は安定し、両岸の平和発展の成果は実りあるものでした。両岸双方の広範な同胞が大量の心血を注ぎ、まさに7年の積み重ねによって、今日の歴史的一歩を踏み出すことができたのです。ここに私はすべての両岸発展推進に貢献してきた同胞、友人たちに心よりの感謝を示したい。66年の両岸発展の道のりにおいて、多少の風雨と長年の断絶があったとしても、いかなる力も我々をわかつことはできないのです。なぜなら、我々は骨を断たれても心はつながっている同胞であり、濃い血で結ばれた家族なのだから。

 今日、両岸発展の内容は、その方向性の選択に直面しています。我々が今日ともに会したのは、歴史の悲劇を繰り返さず、両岸関係の発展成果を二度と失うことなく、同胞が継続して平和で安定した生活を送り、子孫に美しい未来を共有するためです。両岸双方がこの発展の道のりの中で啓発を得て、民族の責任、歴史的責任を担い、歴史経験に基づいた正しい選択を行わなければなりません。

 我々は世の人々に行動でもって、両岸中国人が自分たちの問題を解決する完全なる能力と智慧をもっていることを表明し、共に世界と地域の平和発展の繁栄にさらなる大きな貢献をしていくのだと表明せねばなりません。私は、両岸双方がともに努力し、両岸同胞が手を取り合って奮闘し、92年コンセンサスを堅持し、共同の政治基礎を固め、両岸の和平発展の道をしっかり定めて、両岸関係の発展の正しい方向性を維持し、両岸の協力を深め、両岸同胞の福祉を増進し、共に中華民族の偉大な復興をはかり、民族の復興の偉大なる躍進を享受してほしいと思います」

中国と台湾は濃い血で結ばれた家族である、と強調し、台湾に未来の選択を間違わぬようにと訴え、中台問題について国際社会の介入を牽制し、台湾人民に中華民族の復興の果実をともに享受しようと呼びかけている。

 また、「歴史」と言う言葉を繰り返した。台湾紙・聯合報によれば、晩餐会では抗日戦争時の話題で盛り上がったらしく、馬英九が「総統府はかつて爆撃された」というと、習近平から「あなたがたの総統府とは、日本時代の総督府のことか」との質問があったとも。7月に提案されていた、抗日史を盛り込んだ共同歴史書作りに関しても一致したという報道もある。馬英九は9月3日の中国の抗日ファシスト戦争勝利70周年記念日に、習近平が、あたかも共産党が日本に勝利したように喧伝したことについて、さすがに当時は「遺憾」の意を示していたが、そういう国民党員としてのプライドはここにきて捨てたようである。

中国の成果は「都合の良い歴史」

 馬英九は国民党内でもかなり孤立しており、引退後の政治的影響力はゼロだろう。台湾民意は今のところ中国に対する警戒感が強く、台湾海峡に向けたミサイルを配備した状況での習近平の平和メッセージなど心に響かない。このメッセージはむしろ、中国人民に向けて、そして国際社会に向けてのものと考える方がいい。

 選挙で選ばれていない共産党政権は「中国共産党は日本軍から中国を守った」という歴史が、執政党としての正統性の根拠である。現実の歴史は、国民党軍が米国の支援を受けて日本軍を破ったのだが、続く内戦で既に疲弊していた国民党軍は共産党軍に敗れるのだ。国民党軍が日本と激戦を展開している間、共産党は延安での拠点づくりに勤しんでいた。日本軍とは極力戦うなという毛沢東の意向に背いて、百団大戦を指揮した彭徳懐は、後に失脚させられた。

 毛沢東が半分冗談めかしてだが社会党委員長・佐々木更三に「皇軍(旧日本軍)のおかげで政権がとれた」と語ったというエピソードも伝えられている。共産党は国民党とともに戦い日本軍に勝利したという中国に都合のよい歴史を総統に認めさせたというのが、中国にとっての会談成果かもしれない。

 もちろん習近平にとって任期中に中台統一を実現させることは悲願であり、中国に従順な馬英九の総統任期中に、中台首脳会談を行い、少しでも有利な状況を作っておきたいという希望はあった。南シナ海の問題が先鋭化し、中国にとっては対米戦略上も、また尖閣諸島をめぐる問題を含めた対日戦略上も台湾を抱き込むことは一層重要である。

 ただ、習近平のパートナーとなるべきは、台湾民意も国民党内の支持もついていない馬英九ではお話にならない。馬英九は半年後には何の権力も持たなくなる。今の習近平にとって重要なのは、馬英九との会談よりも、次の政権との関係性である。特に民進党政権になれば、中国の対台湾戦略は大幅な調整が強いられる。この会談でたとえ、何か密約めいたものが決められても、実際意味をなすとは考えにくい。

台湾を中国に売り渡した総統

 それでも、馬英九の最後の花道に習近平も付き合ったのは、中国国家主席としてのねぎらい、感謝の気持ちからではないか。中国が台湾をここまで経済的に支配でき、メディアコントロールを強化し、中国化を進めてこられたのは、馬英九政権7年半の積極的な協力があったからこそなのだ。

 李登輝政権後期から民進党政権樹立にかけてのころ、台湾アイデンティティと言う言葉がはやり、「一つの中国」というコンセンサスから、「一辺一国(中国と台湾は別の国)」に変わりかけたことがあった。この流れを馬英九政権が完全に止めて、中台急接近に動いてくれたのだから、中国にとっては大恩人だ。

 振り返れば、馬英九政権が行った政治の歴史的意味は小さくなかった。台湾独立の最初の芽を完全に摘んだのだ。馬英九の名前は、やはり歴史に残るかもしれない。だが、それは中台分断後「初の首脳会談に臨んだ総統」ではなく「台湾を中国に売り渡した総統」という評価にはなるが。

11/6 EPOCH TIMES 『Film Exposing Forced Organ Harvesting in China Wins UK Award(=中国の臓器移植のドキュメンタリー映画が英国で受賞)』について

EPOCH TIMESは「大紀元」=「法輪功」が発行している媒体ですから、中国の上海派には厳しいです。江沢民が共産党より「法輪功」の信者数が多くなるのを恐れて「法輪功」をずっと弾圧してきました。その反作用として「法輪功」は共産党憎しとなっているのは間違いありません。それで「大紀元」記事は割り引いて見ないといけないと思っています。でも、英国で賞を受けたのは間違いないでしょうから。南シナ海の問題もあり、今後アメリカとイギリスメデイアは中国の人権状況について厳しい報道のネタをドンドン流し、中国から外資のキャピタルフライトが起きるように持って行くのではと思っています。直接戦闘すれば兵器の消耗になって経済効果はあるのでしょうけど、核を持ったスーパーパワー同士が戦争すればどこで止められるか分からないので、直接対峙するのであれば経済戦争を選ぶと思います。シエールオイルのあるアメリカと違い、中国は自前で石油を総ては賄えないので経済封鎖されれば音を上げます。内乱になるでしょう。それこそ欧州とは桁違いの難民が出るでしょう。

英語版では、「法輪功」信者だけでなく、ウイグル人、チベット人、キリスト教信者から臓器を取って移植したとあります。2003年~2008年までに40万~60万の人が犠牲になったと。別の資料では200万と言うデータもあるという事です。それでも氷山の一角と言うのですから。中国は何でも桁違いです。彼らの感覚では嘘の南京虐殺も30万人くらいいないと虐殺とは言わないのかもしれません。何せ20万しか南京市民がいないのに10万人がわざわざ虐殺されに来たと中国は主張するのですから。

本記事は中国の拝金主義の毒が良く分かるでしょう。解放軍の外科医が担当してことを窺わせる記事です。日本の軍医と精神構造が違います。彼らの言うことは如何に嘘が多いかという事がこの記事でも分かるでしょう。日本人は中韓の嘘には毅然と反論すべきですし、主張する政府を応援すべきです。

同日付の「大紀元日本版」では次のようにありますので紹介します。

「ドキュメンタリー映画「人狩り」 英国際放送協会最優秀賞 2015/11/06 17:22

 中国での受刑者に対する組織的臓器収奪疑惑の調査を収録したドキュメンタリー映画「人狩り(Human Harvest)」が、4日夜にロンドンで開かれたAIB(国際放送協会)国際メディア コンクールで、国際調査ドキュメンタリー部門の最優秀賞を受賞した。

 中国系カナダ人である李雲翔・監督は2006年から中国の臓器問題を追跡してきたという。同作品は、中国で臓器移植を受けた外国からの患者、元受刑者や元警察官などの証言のほか、カナダの元アジア太平洋地区担当大臣デービット・キルガー氏と人権弁護士デービット・マタス氏が率いるカナダ独立調査団の一部調査を収録している。

 受賞後、大紀元の取材に応じた李・監督は「作品を通して、臓器をめぐる中国の国家犯罪の真実を国際社会にもっと知ってもらいたい」と心情を語った。

 AIB国際メディアコンクールは世界的権威のある賞で、NHKの複数の番組も受賞したことがある。今年度は「人狩り」のほか、BBC、アルジャジーラテレビ局、英スカイ・ニュースなどの5作品が各部門の最優秀賞を獲得した。

 中国の臓器問題の闇は非常に深いとみられる。

 これまでの国内の医療関係者や警察官など各方面の情報によると、1970年代ごろから死刑囚や、政治犯などの「良心の囚人」の臓器を移植用に使うことが「日常的に行われている」。中国政府は一貫して完全否認していたが、2005年ごろから死刑囚の臓器利用を渋々認めた。

 一方、1999年7月から中国で禁止され集団弾圧を受けている伝統気功・法輪功は、「迫害開始直後から臓器移植件数が急激に増えている理由は、強制収容された大勢の愛好者が臓器狩りの対象にされたからだ。刑務所、病院、司法の関係者は暴利を貪るため組織ぐるみで愛好者を殺してきた」と主張している。前出のカナダ人独立調査員2人は、法輪功の迫害実態を調べる米人権団体「追査国際」の要請を受けて、2006年から関連の調査に着手し、「紛れもない事実である」との結論の報告書を発表した。

 「人狩り」は今年4月、米国放送界の最高栄誉賞であるピーボディ賞を受賞したばかり。(翻訳編集・叶子)」とあります。

記事

By Diane Palframan, Epoch Times | November 5, 2015 Last Updated: November 6, 2015 11:42 am

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‘Human Harvest’ director Leon Lee receiving the AIB Award with CNN International’s anchor and correspondent Hala Gorani (Courtesy of AIB)

LONDON—A documentary about the killing of tens of thousands of Chinese prisoners of conscience for their organs has won the 2015 Association for International Broadcasting (AIB) award for best international investigative documentary. It follows the film’s receipt of a prestigious Peabody award earlier this year.

On winning the most recent award, director Leon Lee said: “This is a huge honor for me and the team who stood by me for eight years while we made the film. I hope more people will now be prompted to watch the film and, most importantly, that it will make a difference and end organ harvesting.”

Judges who chose the film, which was competing against productions from the BBC, Sky News and others, said that it “captures the horror of the story through credible testimony and proactive research”, adding that the story “definitely needs to be more widely known.”

The film’s producer, Flying Cloud, is a small independent company based in Vancouver, Canada.

Simon Spanswick, chief executive of UK-based AIB, agreed with the judges: “Although I was not a judge for this category, as a former programme-maker, I could see this film was clearly up there. Small production companies that do really good work do win AIB awards – it’s not unusual – and the award will have an impact and enable the programme to be sold more widely.”

“Human Harvest: China’s Illegal Organ Trade” tells the story of how in a few years, China created a large-scale, highly profitable organ transplant business without an organ donor system.

It questions the source of the organs and how Chinese hospitals can offer transplants within weeks when patients in the West typically wait years.

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“Human Harvest” director Leon Lee stands outside the UK Parliament in London, where his documentary exposing forced organ harvest in China was screened on Nov. 4. (David Sun/Epoch Times)

The truth unfolds: The organs are being forcibly taken from prisoners of conscience including people who practice Falun Gong, an ancient spiritual practice, Uyghurs, Tibetans, and House Christians. The film reveals that it is Falun Gong practitioners who are targeted most.

“When I came across this in 2006, I could not believe it at all. I thought it was nonsense,” said Lee. Nevertheless, he decided to look into the subject and became convinced that organ harvesting is taking place on a large scale in China.

It is estimated that 40,000 to 60,000 people were killed for their organs between 2003 and 2008, although Lee spoke off the record to a military surgeon from China who said the figure was over 600,000. “Other information suggests it could be 2 million,” Lee said. “We were conservative in the film. What we showed was the tip of the iceberg.”

The film was screened in British Parliament prior to the AIB award ceremony.

Lee admits that many times he felt a sense of hopelessness but, after winning the Peabody award, the film captured the interest of mainstream media. “Media executives told me that they had heard about organ harvesting in China but never took it seriously,” he said.

That has now changed. The film has been broadcast in 20 countries and is also available, unofficially, in China. “As a filmmaker, I’m against piracy but you can buy it in China for 10 yuan [$1.60],” he admitted.

Lee is increasingly convinced of the power of film. While he acknowledges that more work is needed to stop the atrocities taking place in China, he believes change is coming and that raising awareness will help the process.

“When people ask me what anyone can do when China is so big and powerful, I tell them to pass the word to family, friends, and colleagues, because the more people know about this, the sooner it will end,” he said.