日中韓3ケ国首脳会議が開かれました。11/2日経夕刊の見出しは「慰安婦交渉加速」ですが、菅官房長官は「日韓基本条約から立場は変わっていない」と言っていてどこまでが真実かは分かりません。中韓が報道機関を使って先に報道させることにより日本に譲歩を迫るやり方ではないですか?日本の左翼メデイアは中韓の手先と言っても良い。日本人だったらそういうメデイアを購読することによる経営支援をしないことが大事だと思っています。朝日・毎日・東京は取らないことを勧めます。
韓国はアホというか民族的特質なのか「南シナ海に平和的解決を」と唱えても、米中は収まらないのは誰の眼にも明らかでしょう。中国・ロシア・日本の間をうろうろしていた日韓併合前の歴史そのものです。日本の左翼は共産中国を陰ながら支援するのが常。でもアメリカの覇権を揺るがすという意味では中立を装っているだけで本音は日本を共産化したいと思っているのでしょう。アメリカが歴史的に正しい何て全然思えませんが、人権抑圧国家の中国と人種差別の葛藤を乗り超えつつあるアメリカどちらの味方を日本がしたら良いかは自明です。
ここにありますように、韓国だけでなく日本も中国を取るか、アメリカを取るか迫られるでしょう。日本企業の資産接収、日本人をスパイ容疑で逮捕拘留、通州事件のような虐殺事件が想定されます。今の時代にそれはないと思うのは甘すぎです。中国体験がない人には分からないかも知れませんが。そんな手立ては、中国共産党は織り込み済みでしょう。
呉善花の『朴槿恵の真実』を読みました。朴大統領は国民情緒に左右される政治家とのこと。それであれば日本もハッキリ伝えた方が良い。「韓国とは付き合いたくない国民が増えています。『非韓三原則』と言う言葉をご存じですか?貴方が反日を止められないように、日本国内も韓国に譲歩した途端、政権は崩壊します。慰安婦が強制でなく人権侵害の問題と言うのであれば、韓国内にあった米軍慰安所やベトナムのライダイハンに謝罪して補償金を払うべきでは?」と世界に公言したらよい。韓国は告げ口外交してきたのだから、その位は「言ったれ」というのが偽らざる気持ちです。まあ、外務省はイ●ポ野郎の集団ですから。今の日本のエリートと言われる集団の縮図です。もっと子々孫々の名誉を考えよと言いたい。
記事
(前回から読む)
「南シナ海」でアジアに緊張が走る中、韓国は米国陣営から中国側へとさらに軸足を移した。米韓同盟はどうなるのか。神戸大学大学院の木村幹教授と考える(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。
洞ヶ峠の韓国
—「南シナ海」で米中の緊張が高まりました。
鈴置:中国の軍事基地化は許さない――と、米国は行動に出ました。10月27日、中国が暗礁を埋め立て、滑走路を作っている南シナ海の人工島周辺の12カイリ内に米国は駆逐艦を進入させました。米国は今後もこのパトロールを実施する方針です。
中国は、そこは領海であるとして反発しており、軍事的な衝突が起きる可能性もあります。韓国がいつまで米中間で二股外交を続けられるのか、注目を集めることにもなりました。
日本とフィリピンは米国を断固支持する姿勢を明らかにしました。しかし、韓国政府は「米中どっちつかず」の姿勢を見せたに過ぎません。
中央日報の「青瓦台『南シナ海の紛争、国際規範に沿って平和的解決を』」(10月28日、日本語版)によると、10月28日になって匿名の政府高官が以下のように語りました。韓国各紙によると、記者の質問に応える形でした。
- この地域での紛争は国際的に確立された規範により平和的に解決されるべきだ。
- 南シナ海地域の平和と安定に影響を及ぼすいかなる行動も自制することを(韓国は)国際会議などのあらゆる機会を通じて強く求めてきた。
- 南シナ海地域は韓国の輸出物流量の30%、輸入エネルギーの90%が通過する重要な海上交通路で、我々の利害関係が大きい地域だ。
「平和と安定に影響を及ぼすいかなる行動も自制すべきだ」という部分は、南シナ海を軍事基地化する中国だけではなく、そこに駆逐艦を送った米国も悪い、と読める仕掛けになっています。要は洞ヶ峠を決め込んだのです。
「現実が間違っている」
木村幹(きむら・かん)
神戸大学大学院・国際協力研究科教授、法学博士(京都大学)。1966年大阪府生まれ、京都大学大学院法学研究科博士前期課程修了。専攻は比較政治学、朝鮮半島地域研究。政治的指導者の人物像や時代状況から韓国という国と韓国人を読み解いて見せる。受賞作は『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(ミネルヴァ書房、第13回アジア・太平洋賞特別賞受賞)と『韓国における「権威主義的」体制の成立』(同、第25回サントリー学芸賞受賞)。一般向け書籍に『朝鮮半島をどう見るか』(集英社新書)、『韓国現代史』(中公新書)がある。最新作の『日韓歴史認識問題とは何か』(ミネルヴァ書房)で第16回 読売・吉野作造賞を受賞した。ホームページはこちら
木村:韓国からすれば「現実が間違っている」と叫びたいところでしょう。朴槿恵政権は「米中は対立しない」との前提で外交政策を組み立ててきたからです。
韓国の安全保障を最も左右する北朝鮮問題では、米中の利害は「北朝鮮の暴発を防ぐ」ことで一致している。世界の他の地域でも、米中は「G2」として協調しながら問題を解決する――ことに、韓国ではなっていました。
米国や中国でさえあまり使われない、米中協調を示唆する「G2」という単語が韓国では頻繁に使われるのも、それを示しています。
ところがこの前提に反し、南シナ海の問題をめぐって、米中が厳しく対立し始めた。韓国は頭を抱えている状態です。
鈴置:韓国の中国傾斜を疑う米国は予め「南シナ海の踏み絵」を突きつけていました。10月16日、米韓首脳会談後の共同会見でオバマ大統領は「韓国が中国側でないというなら、中国の無法を批判しろ」との趣旨で発言したのです。
「米韓同盟は盤石だ」とのお墨付きを貰いに来た朴槿恵(パク・クンヘ)大統領目の前で、です(「蟻地獄の中でもがく韓国」参照)。
「Remarks by President Obama and President Park of the Republic of Korea in Joint Press Conference」(10月16日、英語)の該当部分を翻訳します。
- 朴大統領にも伝えたのだが、1つだけ、中国に言い続けねばならぬことがある。それは中国が国際的な規範とルールに従うことだ。もし中国がそうしない時には、韓国が我々と同様にしっかりと声を上げて批判することを望む。
- なぜなら、米韓両国は第2次世界大戦の後から続いてきた国際的な規範とルールに恩恵を被ってきたからだ。
- 我々はそのルールが守られなかったり、あるいはどこかの国が大きいからと言って有利になるのを望まない。それは韓国を含む、どの国にとっても良いことではない。
地域は特定しませんでしたが批判の対象が、タイミングから見て、南シナ海であることは疑う余地がありません。
3塁側に座る韓国
木村:野球の試合に例えれば「おまえ、3塁側――敵側に座るつもりか」と米国は怒った形です。
鈴置: 10月19日、尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官は国会答弁で「オバマ大統領の会見では『南シナ海』の『南』の字も出なかった」「(オバマ大統領から踏み絵を迫られたというのは)一部メディアの誤解だ」と述べました。
「南シナ海への米駆逐艦進入」に先立ち、米国の踏み絵に対しては徹底的にとぼける作戦に出ることを韓国政府は決めていたのです。韓国世論も、この「米国側には立たない」姿勢を大筋で支持すると思われます。
木村:そうでしょうね。韓国には中国とは準・同盟国になった雰囲気がありますから。9月3日の天安門の軍事パレードの中継を、YTNという韓国のニュース専用チャンネルで見ていて驚きました。
中国のミサイル部隊が天安門広場を行進すると、司会者と解説者が「これはグアムまで届きます」「米国の空母を攻撃するミサイルです」などと、他人事のように語り合ったのです。
天安門の上空を中国製の空中給油機などが飛ぶと「なかなか性能がいいものです。我が国も導入を検討したらいい」といった会話にさえなりました。韓国人はもう「中国に攻撃される自分」の姿さえ想像しにくくなっているのです。
二股外交は限界だ
鈴置:ただ、一部メディアからは「二股外交は限界に達した。我々はいったい、どうすればいいのか!」との悲鳴が上がっています。
保守系紙ながら朴槿恵政権に厳しい東亜日報は10月21日、社説「『南シナ海は誤って解釈』と尹炳世長官、メディアは馬鹿というのか」を掲載しました。結論部分は以下です。
- 韓国は中国の顔色を見てTPP(環太平洋経済連携協定)への参加の機会を逃した。それに続き、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備問題でも「戦略的曖昧性」を駆使する。だから米国で「韓国の安保ただ乗り論」が出てくるのだ。
- 尹長官は真実を覆い隠し、朴大統領に対しても「(二股外交により米中双方から大事にされているとの)外交祝福論」の大風呂敷を広げたのかもしれない。
- 戦略的利害が異なる米中間で実際に衝突が起きた場合、韓国は絶体絶命の選択を迫られるかもしれない。外交部が洗練された国家戦略を練るどころか大統領を欺き、メディアを非難する国が危機に陥らないか懸念する。
韓国は米国から中国側にどんどん傾いています。中国と米国の要求が異なる時には、ほとんど中国に従います(「米中星取表」参照)。
米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求をのんだか (○は要求をのませた国、―はまだ勝負がつかない案件、△は現時点での優勢を示す。2015年10月29日現在) | |||
案件 | 米国 | 中国 | 状況 |
日本の集団的自衛権 の行使容認 | ● | ○ | 2014年7月の会談で朴大統領は習近平主席と「各国が憂慮」で意見が一致 |
米国主導の MDへの参加 | ● | ○ | 中国の威嚇に屈し参加せず。代わりに「韓国型MD」を採用へ |
在韓米軍への THAAD配備 | ▼ | △ | 青瓦台は2015年3月11日「要請もなく協議もしておらず、決定もしていない(3NO)」と事実上、米国との対話を拒否 |
日韓軍事情報保護協定 | ▼ | △ | 中国の圧力で署名直前に拒否。米も入り「北朝鮮の核・ミサイル」に限定したうえ覚書に格下げ |
米韓合同軍事演習 の中断 | ○ | ● | 中国が公式の場で中断を要求したが、予定通り実施 |
CICAへの 正式参加(注1) | ● | ○ | 正式会員として上海会議に参加。朴大統領は習主席に「成功をお祝い」 |
CICAでの 反米宣言支持 | ○ | ● | 2014年の上海会議では賛同せず。米国の圧力の結果か |
AIIBへの 加盟 (注2) | ● | ○ | 米国の反対で2014年7月の中韓首脳会談では表明を見送ったものの、英国などの参加を見て2015年3月に正式に参加表明 |
FTAAP (注3) | ● | ○ | 2014年のAPECで朴大統領「積極的に支持」 |
中国の 南シナ海埋め立て | ● | ○ | 米国の対中批判要請を韓国は無視 |
抗日戦勝 70周年記念式典 | ● | ○ | 米国の反対にも関わらず韓国は参加 |
(注1)中国はCICA(アジア信頼醸成措置会議)を、米国をアジアから締め出す組織として活用。 (注2)中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立をテコに、米国主導の戦後の国際金融体制に揺さぶりをかける。 (注3)米国が主導するTPP(環太平洋経済連携協定)を牽制するため、中国が掲げる。
それに伴い、人々の意識もどんどん中国寄りになっている。世論調査でも明らかです(「米中どちらが重要か」参照)。ただ、軍事同盟だけはいまだに米国と結んでいる。実に奇妙な状況です。
グラフ●米中どちらが重要か
米韓同盟は長いロープ
—韓国は米韓同盟を打ち切るつもりでしょうか?
木村:韓国は米韓同盟をやめるつもりはありません。北朝鮮への備えに米韓同盟は依然、大事だからです。中国とはいくら親密になっても同盟関係はないので、いざという時に守ってくれない。だから米国との同盟関係は手放したくない。
前回、「ルビコン河に飛び込んだ韓国は急流に流され、ついに中国側に打ち上げられた」と申し上げました。この例えに付け加えると、中国側の岸に横たわりながら韓国は、まだ米国側の岸から伸びている長いロープの端をしっかり握っているのです。
—ロープとは米韓同盟のことですね。
木村:その通りです。ロープを手繰ることにより、米国側に戻る可能性はたぶんもうない。でも、放してしまうのは不安過ぎる。だからロープを時々引っ張っては、まだ米国が引っ張り返してくれるのを確かめている。
朴槿恵大統領が訪米した際、韓国政府は「米国と近しいことを示す写真」を異様に欲しがった。「米韓同盟は健在だ」とのオバマ大統領の談話を得ようと必死になった。国民に対し「まだロープはつながっている。安心しろ」と示す必要があったのです。
ロープを切ろうとする日本
鈴置:米韓首脳会談の日に朝鮮日報のワシントン特派員が、日本の特派員を批判する記事を書きました。「大統領の訪米を前に、記者会見で米韓関係がよくないとの談話を米政府から引き出そうとした」というのです。
「韓米友好に唐辛子粉を振りまく日本の記者たち」(10月16日、韓国語版)です。木村先生の例え話を使えば「貴重なロープを悪い日本がたち切ろうと画策している。けしからん」とこの新聞は怒ったのです。相当筋違いの怒りですが。
こっそりと中国陣営に軸足を移している。でも、それがばれて米国から同盟を打ち切られないかとびくびくしている。韓国人のそんな不安が日本への八つ当たりとなったのでしょう。
—米国はどうするのでしょうか。
木村:「南シナ海の踏み絵」と言っても、米国が韓国に求めたのは先の「対中批判に加われ」程度です。いずれ米国は日本や豪州には西太平洋での米国との広範な共同作戦を求める可能性がある。一方、韓国は外洋作戦用の海軍を持ちません。だから、そこまでの関与は期待されないのです。
野球の例えをもう一度使えば、韓国は監督たる米国から「選手として参加しなくていいから、せめて1塁側の観客席に座って応援しろよ。それが同盟国として最低限の義務だろう」と言われたのです。
米中の対立の中で、韓国は同盟国とはいっても、その程度の存在になっています。期待が小さいからこそ、1塁側と3塁側の間のバックネット裏をウロウロしていても、米国から叱責が飛ぶ程度で済むのです。
「ただ乗り」どころか「裏切り」
鈴置:ただ「南シナ海」は韓国にとって、AIIB(アジアインフラ投資銀行)やTPPとは比べものにならないほど本質的な「踏み絵」です。在韓米軍基地にTHAADを配備する問題と比べても、そうです。
南シナ海での「航行の自由」には海洋国家、米国の死活的な利益がかかっています。それは単なる原則論ではありません。米中間の核戦力バランスを根本的に変える、極めて現実的な問題です。
中国は南シナ海を、米国とその同盟国を狙う核ミサイル原潜の根城にするつもりです。それにより核の第2撃能力――報復能力を持てるのです。これを持った中国が一気に傲慢になるのは確実です。
だから米国は中国の南シナ海の「私物化」を防ぐべく必死なのです。冷戦期、ソ連の核ミサイル原潜がオホーツク海を根城にできないよう、日米が協力してこの海を制圧したのと同じです。
「南シナ海」で米国の側に立たない韓国は、「安保ただ乗り」どころか「裏切り者」と見なされるでしょう。
被害者の韓国
—韓国はそれを理解しているでしょうか。
鈴置:安全保障の専門家は十分に承知していると思います。ただ、普通の人は「遠い海の領土・領海紛争」程度の理解です。新聞には「遠い海での縄張り争い」「米国や日本と、中国の紛争に巻き込まれそうになっているかわいそうな私たち」といったノリの読者の書き込みが目立ちます。
海洋国家ではないので韓国人は「海」に関心が薄い。冷戦期にオホーツク海でソ連の原潜を死に物狂いで制圧した記憶も、もちろんない。
そんな韓国人の意識もあって、朴槿恵政権は「南シナ海」を軽く扱い、米国との関係を決定的に悪くしていく可能性が大きいと思います。
米韓同盟は大きな矛盾を抱えていました。米国と韓国の主敵ははっきりと異なった。米国の主敵は中国であって、北朝鮮ではありません。
一方、韓国の主敵は北であって中国は敵どころか、非常に親しい友好国です。協商相手と言ってもいい。その矛盾が「南シナ海」で一気に噴き出てくると思います。
お荷物の韓国を助けるか?
—米国にとって、韓国と軍事同盟を続ける意味はあるのですか?
木村:存在することに意味があると思います。鈴置さんが指摘するように、主敵が食い違う「ねじれ切った」同盟になりました。しかしまだ、北朝鮮は米国にとってもなにがしかの敵ではあります。
北朝鮮の暴発を抑えるためにはやはり、米韓同盟の存在が意味を持ちます。朝鮮戦争の引き金となった「アチソン声明」を思い出して下さい。
韓国が防衛線の外にあると米国が表明した瞬間、戦争が起きた。結局、当時は韓国と同盟を結んでいなかった米国が関与する羽目に陥ったのです。ねじれていようと、同盟がないのとは大違いです。
鈴置:だから韓国は、北朝鮮の脅威を言い募ることで同盟を堅持しようとするのですね。しかし、米国にとって韓国がどんどん「お荷物」になっていくのも事実です。自分の主敵の言いなりで、いざという時は3塁側――敵側に座る。
木村:でも、米国が「ただ乗り」として韓国を切り捨てれば、他の米国の同盟国に不安を呼ぶでしょう。同盟関係のない国はもっと不安になる。「米国はもう東アジアについて責任を持たない国なのだ」との動揺が広まる。
するとドミノ倒しのように、米国の同盟ネットワークが崩れていく可能性があります。かつて朝鮮戦争に米国が参戦したのも、それを恐れてのことでした。
米韓同盟は「中朝」に似てきた
鈴置:朝鮮戦争の開戦時には米韓同盟はまだなく、米国には韓国を助ける義務はなかった。でも助けないと、欧州の同盟国がソ連に傾くとの懸念を当時の米国は強めた……。
もっとも今の韓国は自ら「裏切り者」のメッセージを世界に発信してしまいました。「南シナ海」はもちろん、大統領の天安門の軍事パレード参観などその「証拠」は山ほどあります。
第3者から見ても「韓国が勝手に同盟を壊している」のであって、「米国が切り捨てた」ことには、もうならないのではないですか?
木村:そうなのですけど、大国は大国としての度量が求められるものです。むしろ、「あれほど失礼なことを繰り返す韓国」でさえも米国は包容している――そういうイメージが大事なのです。
今の米韓同盟のあり方は中朝同盟と似ています。北朝鮮は中国の言うことを聞かず、その顔に泥を塗るばかり。核開発を進めることで中国の安全まで脅かす。でも、中国は北朝鮮を切り捨てない。
同盟を結んでいる間はある程度は、ですが北朝鮮をコントロールできる。やめてしまえば、北朝鮮はもっと好き勝手やるでしょう。つまり米国同様に中国も「度量」を試されているわけです。大国は大変なのです。
米中が談合して中立化
—鈴置さんの近未来小説『朝鮮半島201Z年』は、米中が談合して、それぞれが結んでいる同盟を打ち切り、朝鮮半島全体を中立化する――と予測しました。
木村:それもあり得ない話ではありません。しかし、世の中には「ややこしくなる」から「いじらない」こともあります。加えて、米韓同盟では日米同盟同様、駐屯軍の経費は「守ってもらう側」が負担していますから、米国にとって「おいしい」ところもある。
鈴置:不完全だけど何とか均衡しているものを、きちんと整理しようと下手に動かすと状況を悪化させるかもしれない……。
木村:少しきつい言い方をすればそうなりますね。現在の国際社会において、朝鮮半島は触って得にもならないし、楽しいところでもない。けれど、切り捨てるとそれはそれで影響が出る。
だからこそ米国は韓国、中国は北朝鮮をそれぞれ「困った奴だ」と心の底では思っても、そのままにしている。
我慢という点においては、中国は北朝鮮については随分長い間、我慢しているのです。その「相場観」から言えば米国も、もうちょっと頑張って我慢しても不思議ではないということになります。
米国は競争相手を必ず倒す
鈴置:南シナ海で対立を深める米中の間で、興味深い論争が起きました。10月23日、ソウルで開かれたシンポジウムのことです。
「大国は生存を賭けて必ず覇権を争うものだ」と主張したジョン・ミアシャイマー(John J. Mearsheimer)シカゴ大学教授がそこに招かれ、以下のように語りました。朝鮮日報の「米中の碩学、『韓国外交』巡り舌戦」(10月24日、韓国語版)を引用します。
- 中国の台頭に対抗し、米国と中国に隣接する各国が反中連帯を結成、アジア地域で激しい安保競争が発生するだろう。中国はアジアで「ゴジラ」になろうとしている。米国はこれまで、ドイツ帝国、日本帝国、ナチスドイツ、ソ連を滅ぼしたことからも分かる通り、潜在的な競争相手を容認したことがない。
- 韓国は、米中の狭間で中間的な位置取りをしてきた。しかし安保競争が激化すれば、韓国は米国主導の反中連帯に加わるのか、それとも中国に便乗するのかの選択を迫られる。厳しい決断だが結局、韓国は米国と手を握るだろう。
中国批判は決して許さない
韓国に「二股外交はもう終わりにしろ。こっちへ戻って来い」と言い渡したのです。これに対し、胡錦濤・前国家主席の外交ブレーンとされる北京大学国際戦略研究院の王緝思院長は以下のように反論しました。
- 今後、アジア・太平洋地域で軍備競争が激化するだろうが、北朝鮮の核問題は米中間のクッション的な役割をしている。韓米中3カ国の関係の中で、中国は韓国がもう少し中立的になることに期待している。
北朝鮮の暴発を後ろから抑えているのは中国だ。韓国はそれを忘れるな。南シナ海で中国に敵対的な言動をしたら、北朝鮮の抑止に協力しないぞ――との脅しです。
すると、ミアシャイマー教授は次のように再反論したのです。
- 中国の台頭に伴う安保競争は朝鮮半島の統一に否定的だ。北朝鮮は中国の重要な戦略的資産であり、中国は米国と手を握る韓国が主導する形の統一を絶対に許さない。近いうちの統一は難しい。
朴槿恵政権は「統一に協力してくれると言うので中国に接近している」と言い訳する。だが、それは中国のペテンだぞ――と韓国に警告したのです。
この時期に米中2人の学者がソウルで舌戦を繰り広げたのは「南シナ海」が韓国の岐路――運命を決める転換点になると見てのことでしょう。
試される日本の覚悟
木村:私も同じようなシンポジウムに招かれることが多いので、こういう国を背負った、危ない論争には巻き込まれないようにしたいものです。
韓国が向き合う問題は、日本にとって他人事ではありません。米中両国の対立が激しくなる中で、立ち位置が試されているのは日本も同じなのです。
—日本は米国と同盟を強化しました。立ち位置ははっきりしていませんか?
鈴置:今から、日米同盟にかける日本人の決意が試されます。「南シナ海」で米国側に立った日本に対し、中国は様々の形で脅迫を強める可能性が大です。
在中日本企業はまた、襲撃の対象になるかもしれません。中国に住んだり、旅する日本人への迫害も増えるかもしれません。中国は韓国を手先に使った「歴史攻撃」も強化するでしょう。
日本の経済界は音を上げるかもしれません。左派系紙が「中国との関係に配慮すべきだ」と言い出すのは目に見えています。その中には「韓国の立ち位置を見習おう」との主張も含まれるでしょう。
中国の下風で生きるつもりはない――との覚悟を、日本人がどれほど固めるかがこれから問われるのです。
(次回に続く)