中国の衛星破壊事件では、宇宙ゴミ(スペースデブリ)が沢山出て、他の衛星を脅かしました。人の迷惑を顧みない国です。
http://www.sankei.com/world/news/150325/wor1503250042-n1.html
中国は三戦(世論戦、法律戦、心理戦)の他に、戦闘領域を宇宙・深海・インターネットの世界に広げています。昨年7/1国家安全法により定められました。日本も今までの戦争の概念に閉じこもっていたのでは、敗れることになります。第二次大戦の敗戦はABCD包囲網を築かれた時点で決まったようなものです。中国の軍事暴発を防ぐためにはATO(Asian Treaty Organization)による同盟構築が重要です。条約締結よりは具体的行動の積み上げで信頼関係を重ね、然る後に条約締結の流れが自然かと。中国包囲網を作ることが重要です。3/8王毅外相は日本に「日中関係の改善について日本側の対応が妨げになっている」と注文を付けて来ましたが、それだけ日本の行動が中国の軍事行動の牽制(南シナ海での)になっているという事です。中国の嫌がることはドンドンした方が良い。
インドとの宇宙部門での提携もした方が良いでしょう。「はやぶさ」が地球に帰還できるだけの技術力を持っている日本だから、インドと日本が協力して宇宙空間から中国の行動を監視できるようにした方が良いと思います。勿論、日米豪印で情報も共有化すべきです。またインドと核技術でも協力しあい、いざと言うときはインドから核を有償譲渡して貰えるだけの関係が作れれば良いと思います。
記事
海洋安全保障をめぐって宇宙空間でも競争が起きている。映画のスターウォーズほど派手ではないが活発な動きだ。今月、東京で「安全保障分野における日米宇宙協議」が行われた。先月は米国とインドが宇宙利用に関する協議を行い、海洋安全保障についても話し合った。
特にインドは具体的な動きを進めつつある。南シナ海を囲むベトナム、ブルネイや、インドネシアにも衛星追跡局(厳密には、データ受信追跡テレメタリー局)を設置する計画だ。すでに1月、ベトナムの施設は完成した(図1参照)。
こうした動きは何を意味しているのだろうか。それは地域の安全保障情勢、そして日本の国益にとってどのような意味を持つのか。本稿は、海洋安全保障と宇宙空間のかかわりと、特にインドが進める宇宙利用に焦点をおき、日本の国益について考察する。
図1:インドが衛星追跡局を整備しつつある国々(オレンジ色)
出所:筆者作成(インドは、インド洋のモーリシャス、アンダマン・ニコバル諸島=インド、東南アジアのベトナムのホーチミン市、ブルネイ、インドネシアのビアク島、南太平洋のフィジーに、衛星追跡局を設置する)
海洋安全保障と宇宙空間が交わる3つ交差点
このトピックを考える際に、まず気になるのは、そもそも宇宙が海洋安全保障にどうかかわるのか、ということだ。一見すると明確ではないかもしれない。しかし、実は大きなかかわりが出始めている。それは大きく3つに分かれる。南シナ海を例に説明しよう。
1つ目は、南シナ海で何が起きているかを知るために宇宙が活用されている。例えば、南シナ海で中国が進める人工島建設や対空ミサイルの配備動向を把握するため、米国の戦略国際問題研究所(CSIS)は人工衛星を使った画像を利用している。南シナ海のように、人があまり住んでおらず、周辺各国のレーダー網の整備も十分でない海で何が起きているのか把握するには、衛星の力に負うところが大きい。
2つ目は、自分がどこにいるかを把握すること。中国が建設している人工島から12カイリの海域に米国が軍艦を航行させる場合、衛星を利用した位置測位(GPS)システムが有用だ。
3つめは通信である。状況をいち早く届けるのに衛星通信を使用するのである。衛星通信は妨害されづらく、軍事用には最適だ。
このように現代の海洋安全保障のシステムは、平時から衛星に依存している。そして、もし戦争になった場合、衛星はより重要性を増す。特に、最先端の武器を保有している米国は衛星に依存する度合いが大きい。艦艇から巡航ミサイルを発射し敵の拠点を攻撃する場合、敵の拠点がどこにあるのかを衛星で把握し、発射したミサイルがどこを飛んでいるかを衛星で把握しながら誘導する。これらの情報を衛星を通じて通信し、命中したのかどうかまで衛星を使って確認する(図2参照)。
図2:巡航ミサイル発射と人工衛星のかかわり概念図
出所:筆者作成
結果、心配事が出てきたのである。2001年、米国議会が設置した宇宙委員会(正確には「米国国家安全保障宇宙管理・組織の評価委員会」)が報告書を発表した。この報告書が、米軍が衛星を使ったシステムに依存していること、衛星を攻撃される脆弱性があることを指摘したのである。
実際、2007年、中国が衛星を破壊する実験を行った。地上から打ち上げたミサイルで、宇宙空間の衛星を破壊したのだ。衛星を破壊されれば、南シナ海で何が起きているのか把握できなくなる。把握できても攻撃できないかもしれない。これは海洋安全保障上、重要な問題である。米国も日本も、そしてインドも、宇宙の安全保障上の利用について認識を改めざるを得なくなった。結果、インドの宇宙利用が今、急速に進み始めている。
衛星追跡局防衛は軍事行動の理由になる
インドの宇宙利用はどの点で急速に進んでいるのだろうか。最初にみるのは、何が起きているか把握するための衛星である。南シナ海沿岸国に衛星追跡局を配置したのはこの一環とみられる。これらの施設は、インドの衛星が撮影した画像情報を受信する役割を担う。同時に、沿岸国に情報を提供する。インドがベトナムに設置した施設は、南シナ海で何が起きているか、インドとベトナム双方が把握するための重要な情報源になる。
この施設にはもう一つの役割がある。もし中国がこの施設を脅かす軍事行動を起こした場合、インドは自国の施設を守るために軍を派遣することができる。2012年12月、インド海軍の当時の参謀長がインドとベトナムが共同資源開発している施設の安全確保を理由に挙げて、インド海軍を派遣する用意があることを述べた。インド国防相が2015年12月に訪米した時には、南シナ海における米印共同パトロールについて話し合ったようだ。
こうした動向から見て、インドが将来、南シナ海に海軍を派遣することは、まったくあり得ない話ではなくなりつつある。インドの衛星追跡局の誘致は、そのきっかけを作る役割を持ち、政治的に重要なものである。
2つ目はGPSをはじめとする位置測位衛星について。この分野でもインドの取り組みは積極的だ。インドは複数のシステムを複合的に構築している。GPSに加え、ロシア製のGLONASS、そしてインド国産のシステムIRNSSも構築している。こうすることで、特定の国に依存することのない外交的な自由が得られる。軍事的には、どれか1つの衛星が攻撃された場合でも、代替システムを確保することができる。
3つ目の通信衛星についても同様だ。特にインドが2013年に打ち上げた衛星は、インド海軍が本国と通信する能力を飛躍的に向上させた。以後、インド海軍はインド洋北半分だけでなく、さらに遠方でも軍事作戦が可能になったといわれている。
衛星を攻撃する能力を、衛星を守る抑止力に
そして、やはり衛星破壊兵器について動きが出始めた。インドは、日本と同じように、宇宙の軍事利用に反対する「宇宙の平和利用」を掲げてきた国だ。だから、この種の兵器の開発を長年にわたって忌避してきた。しかし、中国が2007年に衛星破壊実験を行って以降、インドが独自に開発しているミサイル防衛システムの開発計画(本来は弾道ミサイルを迎撃するためのもの)の中で、衛星破壊兵器も一緒に開発しているといわれている。インドの国防研究開発機構の長は2010年に、衛星破壊兵器を開発しているとはっきりと言及したことがある(注)。
なぜインドに衛星破壊兵器が必要なのか。衛星破壊能力を保有することは、自国の衛星を守ることにつながるという論理があるからだ。例えば中国がインドの衛星を攻撃することを考えたとしよう、もしインドが中国の衛星を攻撃する能力を持っていれば、報復を恐れる中国は攻撃を躊躇するかもしれない。
つまりインドは、衛星を利用して東南アジア各国との協力関係を構築するとともに、インド海軍の行動範囲を拡大しようとしている。その努力を、中国に衛星を破壊させないように、宇宙における抑止力を高めながら行っているのだ。非常に手堅い動きである。
(注)インドの衛星破壊兵器についてはGroup Captain RK Singh, “Indian Anti Satellite Weapon: Necessity, Urgency and the Way Ahead”, USI Journal, Jan-Mar 2013, Vol. CXLIII, No.591 (The United Service Institution of India, New Delhi), pp.85-92に詳しい。
衛星を守るべく、日米印で協力を
こうしたインドの動きは、特にアジア地域で高まる海洋安全保障上の脅威と連結している。中国が東シナ海、南シナ海、そしてインド洋などで活動を活発化させる中で、海洋安全保障を支えるための宇宙空間での活動を活発にしているのだ。
では、こうした環境における日本の国益は何か。日本の衛星も攻撃に対して脆弱ではないのか、考えなくてはならない。インドはすでに米国と、宇宙分野とミサイル防衛の両方で協力しつつある。日本も米国と宇宙分野、ミサイル防衛分野で協力しつつある。だとすれば、日本とインドは協力するべきではないのか。
協力できる分野は少なくとも2つある。インドが他の東南アジア各国と宇宙分野で連携を深めるならば、日本、インド、東南アジアで衛星を介した情報共有や、東南アジア各国が衛星を活用するための日印協力が可能なはずだ。施設の重複を避けるなど、より効率的なシステムを作ることができるかもしれない。
2つ目はミサイル防衛と衛星破壊兵器に関する協力だ。衛星破壊兵器について、日本は深刻にとらえる必要がある。衛星攻撃は相手国に効果的なダメージを与えるが、人を殺傷しない。だから、安易に使用される可能性がある。日本の衛星を破壊する動機をもつ国が現われたとき、その国の意思をくじいて抑止する力は何か。日本には手段が必要だ。
日本はインドとミサイル防衛で協力できないか。米国を含めたミサイル防衛の中で、衛星破壊兵器の技術も共有できないか。検討してみる価値があるはずだ。