2/29日経電子版 Financial Times『中国不動産市場、「摩天楼の呪い」にかかる恐れ』について

中国ではビル建設で資金繰りに窮すると、そのまま工事中断し、また金ができると工事再開というプロセスが普通です。小生が1997年~2005年にいたときも手付かずのビルは沢山あり、かつ完成したビルでも灯りがついていないマンションが多くありました。これは投資用で買って住んでない部分もあったでしょうけど、買われてなかったのではと言う感じでした。物件が高過ぎて賄賂を取らない限りは買えませんでしたから。

工事中断して、再開するには資金の手当てをしなければなりません。銀行が融資するかと言うと、理財商品に手を出したり、不動産融資が焦げ付いたりして新たに融資できる体力があるとは思えません。また既存の物件を売却してとなると投げ売りに近くなり、益々不動産市況を悪化させます。デフォルトによる倒産しかないのでは。

中国の建設ブームは役人、取引業者等に賄賂が入るため煽った方がトクになるからです。需要については無視します。生産過剰も同じ構図。造れば造るほど納入業者から賄賂が入るためです。誰も買えなければ叩き売らないといけなくなります。当面資金繰りは出来るでしょうが、赤字で売れば損失が累積していき、やがて倒産となるでしょう。

周小川人民銀行総裁はG20で次のように発言したとのこと。2/29宮崎正弘メルマガより。

「第一に「通貨安戦争を中国は意図していない」と発言した。

人民元の若干の切り下げは輸出好調の筈だが、貿易は減少傾向にある。16年一月の貿易は前年比マイナス14%だったが、とくに言及はなかった。

 第二に「人民元は中国が恣意的にレートを決められるものではなく、重層的にドルにペッグしている」とし、依然として世界市場はドルがリードしているとした。

 第三に債務危機を指摘されて「一部には対GDP比250%(FTは290%と推定しているが)と言われているが、それなら債務リスクをはかる基準はなになのか」と周小川は開き直る。

 第四は個人ローンの危機だが、全体の25%であり、深甚なリスクとは思えない。全住宅関連の債務は全体の40-5%であると数字を挙げるのみに終始した。

 第五に資金流失のリスクを批判されたが、周は「問題は国内景気浮揚である。銀行間の調整を日夜行っており、資金の海外流失は些細な問題だ」と問題をすり替えた。

 第六に金融システムの改善、改変だが、これは調整中であり、2015年に中国が遭遇した通貨下落、株暴落などの経験から「今後も調整が必要という認識はあり、現在研究中だ」とした。裏を返せば調整は進んでいないということである。

 第七にサプライサイド政策を続行し、市場に観測されるボラタリティ(乱高下)は「心配におよばない」と裏付けのない、強硬発言しかなかった。

楼継偉財務相も、記者会見では「競争力のために為替レートを目標にはしない」「中国版プラザ合意の成立説はファンタジー」などと事前にも発言していたが、「中国はなお、財政出動の余地がある」としたことに注目しておきたい。」と。

中国人ですから韓国人と同じく「息を吐くように嘘をつく」のが得意というか、これが当たり前の民族です。鉄面皮としか言いようがない。困ると論理のすり替えをするのは世界的に見て左翼の得意とするところ。慰安婦だって当初強制性を強調していたのが、旗色が悪くなると女性の人権にすり替えました。左翼の代表、朝日新聞の得意な所です。こんなイエローペーパーorプロパガンダ新聞(人民日報日本版)をクオリテイペーパーと勘違いして金を払ってまで読む人の気が知れません。

記事

中国中央部にある毛沢東の生地に向かう高速道路の両側には完成しても入居者のいない高層マンション群が林立する。湖南省長沙市では、世界一高い838メートルの高層ビルとして計画されたスカイシティの建設予定地が見られる。ほんの3年足らず前、起工式を行ったが、今、そこは即席の魚の養殖場となっている。

Building in Nanjing

江蘇省南京に立ち並ぶ新築の住居用高層ビル=ロイター

 経済学者はかねて「摩天楼の呪い」と呼ばれる学説について議論してきた。世界最高の高層ビル建設と、ほぼ同時期の金融危機との間には不思議な相関関係があるとする説だ。

 今日、世界経済で最も重要でかつ最大のリスク要因は、中国の不動産市場だと指摘するアナリストがいる。2011~12年の2年間で中国が生産したセメントの量は米国の20世紀全体の生産量を上回ると聞けば納得できるだろう。

 近年の中国の建設ブームは、地方の役人が過熱させてきた。土地の販売額のかなりの部分が彼らの懐に入るからだ。中国経済は投資への依存率が異常に高い。国内総生産(GDP)の半分近くが投資支出だ。

 15年には中国経済が減速し、国内上位70都市の平均住宅価格が下落したというのに、不動産投資は1%増加した。中国の成長率は低下し、世界の商品価格が下落している中で、中国の不動産部門はいまだ本気で調整に着手すらしていないということだ。不動産投資は遠からず確実に減少に転じる。そうなれば、中国の金融システムにも重大な影響が及ぶ。

 中国の複数の都市の役人の話を聞く限り、彼らが考える解決策とは、新しい地区で開発を始め、「質の高い」不動産開発業者に格安で土地を提供するというやり方だ。土地の購入費が安ければ、その物件は格安で販売できる。

 これにより新たな資金の流れが生じ、土地からの収入が復活し、GDPが増大すると地方の役人はまだ思っている。しかしこうした発想が今もまかり通っているとすれば、冒頭のスカイシティの起工式の時点で中国には「摩天楼の呪い」が訪れていたのかもしれない。

By Jamil Anderlini

(2016年2月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)