3/8JBプレス 横地光明『習近平がヒトラーに変貌する日への備えは万全か 「ミュンヘンの宥和」が大惨事に発展したことを忘れるな』について

横地氏の論理展開は至極当然と思いますが、一番問題なのは国民レベルで危機の認識が共有されていないことです。左翼・リベラルに偏ったメデイアと学会(含む日教組)、傍観を決め込む経済界と悪条件が重なっています。国民はこのままでは「奴隷の平和」という事態になることを想像できないのでしょう。左翼は共産党支配を受けたいと思っていますので、確信犯でしょうけど。

自民党の責任は大きいです。マスコミのバッシングを恐れるあまり、長期的戦略を持たず、その場を糊塗してきて、左翼・リベラルに譲歩してきたためです。でもネットの発達により少しずつ情勢は変わってきました。朝日新聞のリストラ(OBへの新聞無料配布取りやめ、賃金カット)は、その表れでしょう。朝日新聞社員・配達員の不祥事も相次いで起きています。駅や電車内で女性に暴行、救急車への唾吐き等。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160305/k10010432541000.html

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160305-00000554-san-soci

逮捕されても、傲慢としか言いようがない言いぐさです。こんな新聞がクオリテイペーパー扱いされてきたことが日本の不幸です。日教組が受験対策で勧めてきたのが大きいのでしょうけど。朝日は日本共産党・中国共産党・朝鮮労働党の「喉と舌」です。日本国民のことは全然考えていません。戦前も尾崎秀美(大阪朝日記者)のスパイ事件で日本を誤導してきました。不買でドンドン売り上げを下げる必要があります。また「押し紙」問題もありますので、こういう不正をしながら「社会の木鐸」を標榜するのはチャンチャラおかしいと思います。公取に糾弾した方が良い。

3/8には朝日新聞から電話で「新紙面になったので一定期間無料で配達できます」と言うので「即座に「要りません」と断りました。相当の焦りがあるものと見受けられます。でも何故自宅の電話番号を知ったのでしょう。大事な個人情報ではありませんか。言っていることとやっていることが違いすぎます。どうせなら思想調査をすれば、勧誘の電話はなかったでしょうけど。

自民党は自分でPRするTVチャンネルを持てば良いでしょう。既存のTV放送局には入札制を入れず、安くしか電波利用料を取っていないので、同じようにすれば良い。週1回限られた時間でも良いでしょう。憲法改正の必要性を党として国民にもっと説明しなければ、国民投票で支持は得られないでしょう。既存のメデイアは憲法改正反対なので。横地氏の仰っています「自分の国は自分で守る」ことも丁寧に説明していかなければ、メデイアの「戦争反対」のアピールに負けてしまいます。

記事

Steria Hacking Challenge

仏パリ(Paris)西部のムードン(Meudon)で行われたハッキングのコンテスト「ステリア・ハッキング・チャレンジ(Steria Hacking Challenge)」に参加する学生〔AFPBB News

米紙の衝撃的報道

 JBpressは最近立て続けに尖閣諸島をめぐる日中交戦に関し、「衝撃のシミュレーション『中国は5日で日本に勝利』」(1.27部谷直亮氏)、「オバマ政権最期の今年、中国は尖閣を攻撃する」(2.3古森義久氏)なる驚くべき記事を報じた。

 前者は米ランド研究所のデヴィッド・シラパク氏の尖閣事態シミュレ―ション公開リポートの紹介である。

 「日本の右翼が尖閣に上陸すると中国海警が逮捕し海警と海保が衝突、日中の艦艇・軍用機が展開し中国艦の空自機への発砲から日中交戦が始まり、米潜水艦が中国艦を撃沈すると中国は米国西部をサイバー攻撃、また対艦ミサイルで海自艦艇を撃沈、中距離ミサイルで日本本土を攻撃。米国は日本の空母参戦と中国本土基地攻撃要請を拒否し、中国は5日間で尖閣を占領」とその内容を伝えた。

 後者は28.1.25付ウォール・ストリート・ジャーナルに掲載された米ハドソン研究所のルイス・リビー氏らの論文『北京の次の先制行動は東シナ海だ』(Beijing’s Next Gambit, the East China Sea ;By Arthur Herman and Lewis Libby)に関するもの。

 「中国は日本と密接な関係を持ちながらも突然尖閣に軍事行動を開始し両国の軍事衝突になる。オバマ政権は日米安保発動の日本の強い要請を抑え日本は引き下がり外交的解決を求めるが、国際調停で中国の主張がより支持され尖閣領有権主張が日中対等に扱われることになる」との主張とそれへのコメント記事。

 これに対し、元航空自衛隊空将の織田邦男氏は、ランド研究所のリポートについて「あまりにも稚拙なシミュレーション」と批判(本誌2.4)する。

 「そんな前提はあり得ない。米が潜水艦を参戦さても中国が軍事行動を停止せず、米国がサイバー攻撃で大きな社会混乱を起こされても参戦しないはずがない。近代戦を支配する航空戦に少しの配慮もなく話にならない。これらは米政府にあまり深入りするなとの警告を促すものであり、あるいは中国の思惑を入れての仕業(コミットメント・パラドックス)である」と主張し大方の賛同を得ているようだ。

 確かにその可能性も高い。しかし、中国が米空母2隻の行動でミサイル発射を中止(1996年:台湾総統選挙)したのはまだ対艦ミサイルを十分保有しなかった時代のことで、現在の米中の相対的力関係とは著しく違っている。中国の軍事力を少しでも過小評価するようなことは危険である。

 前者が海自の撤退収容で終わるのは、あたかもベトナム戦争の最期を見るようだし、後者には、アドルフ・ヒトラーによるチェコスロバキアのズデーテン地方割譲要求を認めた「ミュヘン宥和」の歴史的愚挙を想起させられた。

 こうした歴史を振り返れば、中国が日本と通常の関係を保ちながらも突然短期局部的軍事行動を仕かけることは十分考えられる。

 米国はその尖閣攻撃事態発生に対し、大統領を含む政府高官が「尖閣は安保5条の適用範囲で米国は日本を必ず護る」としばしば公約している。しかし、実際にはミュンヘン宥和のような事態が発生する恐れはないだろうか。

 もし、尖閣諸島が中国から攻撃された場合、米国は自らの国際的信頼性が一気に地に落ちることを承知で、日本の要請を抑えて中立を守り、日本本土が中国の中距離ミサイルで大被害を受けても、空母を大西洋に逃がしたり、国際調停で中国の尖閣領有権の主張を認めたりする可能性は否定できない。

 現実問題として、中国が尖閣諸島に対して本格的侵攻を行う危険性はそれほど高くはないかもしれない。しかし、前者のシミュレーションは地位の確立した専門家のものであり、後者の論文はブッシュ政権の国防次官補らによる論文で「最善を期待し最悪に備える」べき安全保障の原則からして軽々しく扱ったり無視していいものではない。

米国は尖閣諸島防衛を公約していても軍事支援を発動しないことがある。国家防衛に強い意志と能力を欠くものは見捨てられるという国際政治の非情さを忘れてはならない。

 政府も国民も等しく短期的局部的な中国の軍事行動はいつでもあり得ることを覚悟し「自分の国は自分で守らなければならない」現実に目覚め、その指摘する日本の安全保障上の根本的欠陥是正の警鐘を真剣に受け止め、すみやかにこれらを改善しなければならない。

尖閣防衛には何が必要か、彼らの警告

 政府は尖閣事態に対する米国の公約履行の確証を高めるべく施策するとともに、防衛省・自衛隊は尖閣事態に対しこれを抑止・対処するため、南西方面を防衛努力の焦点としてその対応を急いでいる。

 例えば陸上自衛隊では、島嶼奪還部隊のための水陸両用部隊の整備、与那国島への沿岸監視隊、石垣島への対艦・対空ミサイル部隊と警備部隊の配置、奄美大島への対艦・対空部隊配置、「オスプレイ」の導入、作戦部隊の軽快な輸送展開のための師団・旅団の軽量化を進めている。

 海上自衛隊はイージス艦2隻の迎撃ミサイル「SM-3」の装備化と2隻の新造、潜水艦6隻の増加を図る計画である。また航空自衛隊は既に九州から1個飛行群を那覇に移し第82航空隊の部隊と合わせ第9航空団を新設し「F-15」を倍増し40機体制とした。

 海上保安庁も保安官・巡視船を増加し石垣島に尖閣海域監視専任部隊を設けた。

 しかし彼らが指摘しているのは、そのような戦術レベル次元を超えて戦略レベルあるいは国家安全保障レベルの欠陥なのである。

 すなわちこの論文とシミュレーションが指摘する最大の問題は、再言するが中国は予期しない時に突然軍事攻撃を仕かけることがあり、その場合米国は予ての国家公約(オバマ大統領や国防長官や軍高官の発言)にもかかわらず尖閣事態に軍事支援を避けることがありうるという深刻な問題だ。

 第2次世界大戦を誘発してしまった「ミュンヘン宥和」が尖閣諸島を舞台に再現されないと誰が断言できるだろうか。中国の習近平国家主席がヒトラーのような野望を抱いていないと確信できるのだろうか。

 日本がもっぱら米軍に期待している抑止力を欠き、我が国本土までが一方的に中国のミサイル攻撃に晒され、またそのサイバー攻撃によって社会インフラ、政官軍経のシステムが機能を失う危険性は常に念頭に置いておかなければならない。

 またこれらのリポートは、作戦部隊の作戦輸送展開と戦力発揮のためこれを支援さるための兵站的支援確保に信頼性が乏しく、加えて航空基地などに掩体(えんたい=敵の砲弾から身を守る土嚢などの装備)が全くなく甚だ脆弱であることも指摘している。

 中国が容易に兵を動かすのは、国境における短期的攻撃がインド(1959、62)、ソ連(69)とベトナム(79)の例でも知られる。インドとソ連の両国は敢然と戦いこれを阻止したが、ベトナムは海上戦力が弱く西沙諸島では固有領土の島嶼を軍事占領された。

 中国は核大国のソ連とさえダマンスキー島で戦い半分を領有化(1969)した。決して油断できる相手ではない。

 日本が尖閣諸島を絶対に守り抜く強い意志と現実的態勢を示し中国に乗ずる隙を与えず、またいかに日米安全保障条約の信憑性を確立するかが問題である。しかし今日までの施策ではその保証は薄弱で抜本的見直しが必要である。そして諸々の形骸的防衛政策を刷新することも不可避である。

日米安保条約信憑性の確立

 中国が尖閣に武力攻撃をすれば、米国は日本の救援に必ず必要な武力を行使する姿勢が確信されれば、核大国同志の米中の戦いは最終的には核戦にも繋がる恐れがあり、ともに国家の存非のリスクを懸ける決意しなければならないので、両者の武力対決は強く抑止されよう。

 したがって平素からいかに米国が日本に対する中国の武力使用に対して、不退転の決意で日本防衛に参戦する不動の意図をコミットするばかりでなく、日米の現実の関係と軍の態勢と活動を示すことによって中国に誤解を生じさせないかが肝要になる。

 しかし、この論文などが示すように日米は、いまだ真の運命共同体ではない。一般米国民の世論のみならず政権当事者も、無人の岩礁の日中の争いになぜ米国の青年の血を流さなければならないかと考えるのは当然だ。

 そして、仮に中国がアジア・西太平洋を支配しても、ハワイ以東を支配できれば米国の安全は保障され経済繁栄に支障はないとの意見もある。米国の国力の相対的衰退と現在進行中の大統領予備選挙からも米国政治の内向き傾向がさらに強まることが容易に観察できる。

 日米同盟信憑性の確立は容易でない。しかしやらなければならない。

 第1は尖閣諸島の持つ日本・ASEAN(東南アジア諸国連合)・米国にとっての至高な戦略的価値と安全保障上の象徴性を米国政府と国民に一層認識させる努力だ。

 第2には日本自身が米国にとって失い得ない国際戦略上の大きな価値を持つことだ。強い経済力・外交力に加え強い防衛力を構築し、アジア・太平洋の安全保障にしぶしぶ関与するのではなく、覚悟を持って積極的に先導し、米国を巻き込みASEAN・豪・ニュージー-ランド・印と共に中国の国際法侵害対処に行動しなければならない。

 これはちょうどヒトラーの修正主義の領土拡大の野望を前にし、英国が米国を巻き込み現状維持派の諸国に訴え国際情勢を指導したのに似ている。

抑止目的達成のための政策の刷新

 我が国の防衛政策の第1はもちろん抑止である。しかしながらその実態は抑止のための能力を整備しないばかりか愚かにもそれを機能しないような政策ばかりを進めている。

 具体的に示そう。古くは鳩山一郎総理の時代から「我が国に対して誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない。――(したがってその)誘導弾等の基地を叩くことは法理的に自衛の範囲に含まれる」(衆院内閣委S31.2.29)との一貫した立場を取りながら、「我が国防衛力は周辺諸国に脅威を与えてならない」とし「専守防衛」を政策の基本にしている。

 この「専守防衛」なる軍事用語は世界にないが、「侵攻を受けたら立ち上がり、防衛力の行使を発動し日本を防衛するとするものである」とされる。このため戦闘機の行動半径を抑えるため態々その空中給油装置を外したたり、対地攻撃能力の保有を禁止し、ミサイルの射程を厳しく制限してきた。

 このため、日本への侵略を考える周辺国は日本の持つ防衛力に脅威を感ずれば感ずるだけその企図が封ぜられ即ち抑止されるのに、その脅威をなくし、加えて不意急襲的第一撃で自衛隊の各基地の航空機、護衛艦が一挙に壊滅させられる公算を大きくし、かえって相手を侵攻の誘惑に駆り立てる危険性を高めている。

 したがって、抑止を政策の基本とするならば、敵に乗ぜられない隙のない強靭な防衛力を備え周辺に無言に厳然たる脅威を与え、特に強力なサイバー能力を整備するとともに、我が国を攻撃する基地を破壊できるよう航空機の對地攻撃能力を整備し、かつ中国や北朝鮮の中距離弾道弾攻撃基地を叩き得る誘導弾を整備しなければならない。

 こうした論議に対して、日本が中距離誘導弾(弾道あるいは巡航)を持っても、奥地からさらに長い射程のミサイルで国家中枢を狙われ、その攻撃の意図を封ずることはできない。したがって中国の中距離ミサイルに対抗せんとするのは誤りであるとする説がある。

 しかしその考え方は、戦争はいつどんな場合でも無限界に全面戦争に拡大するとして、戦争にあるラダ―(ladder:堺域)の存在を無視するものである。

 また中国はミサイルの射程を増大すればするだけ、ますます日・米・豪・インドなどが結束してその対抗施策を講ずることを危惧し、中国が最近、ミサイル開発を抑えようとしているとする主張がある。

 しかしそれは自説の合理性を裏づけようとする一方的理屈ではないのか?

 それが事実であれば、中国のアジア西太平洋から米国勢力を駆逐せんとする意図を放棄した明確な証左や、南シナ海における領有権争いのある岩礁を埋め立てて造成した軍事基地を放棄するなどの確たる事実でこれが証明されなければならない。

 しかもリスクが高い侵害ほど発生の蓋然性は少なく、その大きい蓋然性のあるリスクに備えることに合理性が有り、日本が中距離ミサイルを保有する大きなメリットを忘れてはならない。

 この中距離ミサイルを、我が国で独自に開発国産化するには、相当の期間と経費を投入しなければならない。しかるに幸にも、米海軍にはトマホーク巡航ミサイル(射程1250、1650、2500、3000キロの各種、価格1億円前後)があり、海自艦はその発射装置VLS(MK41)を既に装備しておりミサイルの購入と計画飛行制御装置の導入だけで済む。

 仮に対中国用に1000発、北朝鮮用に200発の計1200発を整備したとしても費用は1200億円程度であり、これはいずも級大型護衛艦の建造費に相当するが、何年間かに分けて整備すれば何隻かの耐用艦齢の延長によって、費用の捻出が可能でありその防衛効果は絶大である。

サイバーセキリティ能力の抜本的強化

 サイバー戦争は第5の戦いの空間として、平戦両時に、しかも瞬時に、国家・軍事機能が全面的に麻痺混乱喪失させ得る特殊な脅威を有する。サイバー攻撃は兵器開発の詳細な図面も容易に知らない間に盗み取られ、その危険性は往時の暗号文傍受解読の比ではない。

 ロシアは世界最強のサイバー戦能力を有すると言われるが、中国が絶えず米国日本に陰に陽にサイバー攻撃を仕掛けていることは公然たる事実だ。そのため中国が強力な該軍事組織(61398部隊等)を持ち、加えて民間に膨大(800万人とも)な専門家集団を養成していることはよく知られているところである。

 中国が開発中といわれる第5世代ステルス戦闘機「J-20」が米国などが開発し、空自が導入を図っている「F-35」と外形がそっくりであるが、これもサイバー戦の重大な一面として認識しなければならないであろう。

 このため、米軍は大将を長とする数千人規模の統合軍を設け、韓国もサイバーコマンドを保有(公表6800人)し国防費の3%を振り当てていると言われる。

 翻って、我が防衛省・自衛隊のそれを見ると地位と名は立派な統合部隊だが前者に比べれば真に貧弱な憐れな憂うべき存在でしかない。

 防衛省は速やかに民間のホワイトハッカーを急募し、少なくとも現情報本部位の態勢を整備しサイバー戦の攻防兼備の能力のある部隊に画期的に強化し、政府も特命大臣を置きサイバーセキリティに国を挙げて取り組まなくてはならない。

自衛隊を戦い得る体制への緊急措置

 自衛隊は形は何とか揃っているが、よく観察すれば実戦能力に乏しく瞬発力を発揮できても、人的物的に縦深性を欠いていることを認めざるを得ない。

 陸上自衛隊の部隊は米国が32万10個師団の整備を求めたのに18万で13個師団を編成したから、師団と称しても人員も装備も少なく、国内戦を理由に兵站機能を極端に絞り、戦闘員も多くの任を兼務するから少しの損害発生で全部隊の機能が大きく失われる宿命的脆弱性を持っている。

 しかも財務省は、定員に対してさらに充足率を課しているから初めから本来の能力を発揮できない。もとより自衛隊の装備・弾薬・燃料・部品の備蓄は甚だ乏しいうえ、これを必要方面に移動する十分な手段が準備されていない。

 陸上自衛隊は南西方面の事態に対応するため、1個機甲師団、3個機動師団、4個機動旅団を整備しようとしているが、これらの南西諸島への部隊・装備の緊急輸送も陸自および空自の航空輸送力は大きな限界があり、海上自衛隊も輸送艦は僅か3隻しか持たず、民間ヘリーなどの庸船を前提としている。

 だが、果たして業務に就いている船の緊急確保が可能なのか、何より危険な業務につく多くの船員の協力が得られるかの保証は全くなく、それには国家的な法的準備がなければ不可能である。

 参考に記しておくが、1個作戦師団の必要輸送所要は40万トンとされるのが常識である。陸自の師団は規模が小さく軽いからその4分の1、旅団は規模が師団の2分の1であるから8分の1、機甲師団を2分の1として計算しても所要合計は実に70万トンにも上る。

 この所要を容易に確保可能できるだろうか。最近北朝鮮のミサイル発射実験に備え、イージス艦(SM-3Aは射高300キロ・射程数100キロ位)とPAC-3部隊(射程20キロ程度)が展開したが、日本のBMD (弾道ミサイル防衛)は層が薄く、防護空域が限定され過ぎる。PAC―3は本来陸軍の野戦の拠点防空用のものだ。

 したがって速やかにSM-3B(射程、射高は1000キロが期待される)を開発装備化するとともに空自各高射隊はそれぞれPAC-3の半分をTHAAD(射高約150キロほど)に換装することが必要だ。

 陸・海自使用の対艦ミサイルの射程は短か過ぎるし、中国海警にはフリゲート艦の転用船があり更に軍艦仕様の超大型巡視船を建造中と報ぜられるが、そんな船に体当たりされては商船仕様の海保の巡視船はひとたまりもない。

 戦時所要の大きく拡大が予想される予備役自衛官は、我が国の社会制度と特殊な社会環境から質量ともに致命的な欠陥を持っている。

 新しい防衛計画では統合機動防衛力整備の名の下に、北海道以外の師団・旅団から戦闘力の骨幹である戦車と火砲を外すそうであるが、これでは作戦部隊でなく、警備師団(旧陸軍の後方警備にに任じた独立混成旅団)に過ぎなくなる。

 「国防力の相対的優劣は国際関係に影響を及ぼす」(「国際政治」モーゲンソー)と言われるが、最近力信奉のロシアが対日姿勢を強硬にしているのは、これが反映しているのかもしれない。

まとめ

 ある高名な国際政治学者は、国際情勢が不安定になったのは、「米国が弱くなり中露が強くなったのでもなく、中露が地域覇権を模索しながらもバラク・オバマ政権が軍事介入に消極的になったからだ。しかし次の政権が戦う姿勢になれば世界の不安定さは加速するだろう」と言っている。

 立派な国際政治学者の御託宣であればそういう公算が高いのであろう。しかし核大国の米ソが対立した冷戦時代は安定し、その終焉とともに世界は一挙に不安定不確実の情勢に陥り、世界の誰もが不安に悩ませられたのも否定し難いものがある。

 したがって、米国の次期政権がその第一流の国力と軍事力を背景に、国際秩序を侵すことは軍事力使用してもこれを許さないとの厳然たる政策を採用すれば、かえって世界情勢は安定するのではなかろうか。

 思うに、日本が世界最大の長期負債を抱え、少子化で人口問題が危機的状態に陥り、自国の防衛が形骸化の姿にあるのは「環境に適応できない種は生き残れない」(ダーウィン)のに世界の情勢変化に目をつぶる国民におもねり、政権がその維持にまた政治家が票を求めることを優先し、国家の長期的基本問題を放棄してきたからである。

 万一の場合に備え、国防の象徴尖閣防衛を事態的に確実にするためには早急に警察官僚が警察原理で作った国防政策と自衛隊を軍事原理で刷新することが現下日本の国家的緊急課題である。