3/5ZAKZAK『中国、400兆円巨額損失も 米「空売り王」予言 600万人リストラ地獄…』、3/6日経『中国5カ年計画、成長持続へ投資 交通網に年34兆円超』・『中国経済 続く難局 5カ年計画「年6.5%以上の成長」』について

経済的に中国の打つ手は何もない、と言うか、あるにはありますが、総て現状を悪くする、傷を深くするだけです。G20でお墨付きを貰った財政出動も、ゾンビ企業を生き延びさせ、過剰債務を増やすだけです。金融政策としての緩和政策はキャピタル・フライトを招くのでこれは採れないでしょう。外貨準備高がドンドン減っていき、中国と雖も数字の誤魔化しが効かなくなります。

黒田日銀総裁がアホなことに中国に助け舟を出した資本規制は、元のSDR入りで普通に考えたらやれないと思うのですが、何せ「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という民族ですから、ラガルドの面子を潰すことなど何とも思わないでしょう。それでも、中国からの資金が出るのを防ぐだけで、プラス面はありません。逆に新たな資金の流入を防ぐでしょう。誰も引き出せない銀行に預金しようとは思わないでしょうから。経済成長は資本の投入量増大+労働力の投入量増大+生産性上昇で表せます。この面から見れば資本規制は明らかに経済を停滞させます。

減税は経済成長しない限り、やはり債務を増やします。構造改革は言うは易く、行うは難しです。何せ、中国で蔓延ってきた利権を引き剥がすことになりますので。習近平の暗殺かクーデターを引き起こすことになります。それは剛腕・習と雖もやれないでしょう。結局、口先だけ、数字を誤魔化してデフォルトの連鎖、ハードクラッシュするだけでは。

構造改革で、李国強は空港建設や高速道路、高速鉄道建設を考えているようですが、需要もないのに債務を増やすだけです。B/Cの概念は社会主義経済には無いようです。産業の高度化は中国人には無理でしょう。自由な発想を妨げる共産党支配が続く限りは。また真面目に研究開発することより、パクリや盗みで安易に稼ごうとする中国人のDNAがある限り無理でしょう。

過剰設備を廃棄した場合のGDPへの影響ですが、総務省統計局のHPには「生産物の価値である国内生産額から中間投入の合計を差し引いたものは粗付加価値と呼ばれ,その合計が国内総生産(GDP)である(ただし,SNAでは家計外消費は中間投入とする)。粗付加価値は,雇用者所得(SNAでは雇用者報酬),営業余剰(SNAでは営業余剰・混合所得),資本減耗引当(SNAでは固定資本減耗),間接税,補助金からなる。雇用者報酬は,被用者への報酬であるが,賞与などを含む現金給与の他にも,社会保険への雇主負担,退職金,食事・通勤定期券などの現物給与などが含まれる。固定資本減耗は,減価償却費に資本偶発損を加えたものである。減価償却費は固定資産の更新に備えて積み立てられる資金を指し,企業会計上の概念と同じである。資本偶発損とは,事故や災害などによって通常予想される損害に対応するものである。」とありました。これだけでは固定資産廃棄損をGDPでどう算入するのか分かりません。未償却残高全部を減価償却費として計上するのか(これだとGDPは増えることになります)、廃棄するので資産(ストック)が無価値になるので何もしない(会計上、減価償却費は発生せず廃棄損を計上。GDP上は中立、±0とするのか)なのか、良く分かりません。

どちらにせよ中国のGDP数字はインチキ数字です。昨年はマイナス3%くらいが妥当な数字でしょう。GDPに限らず中国の発表する数字はデタラメです。企業の発表する財務諸表も。合理的精神が欠落している中国人のメンタリテイのせいです。このメンタリテイがある限り、法治の概念が根付くのは難しい。たとえ共産党統治が無くなったとしても。

ZAKZAK記事

中国経済の先行きに警戒感が強まるなか、5日に全国人民代表大会(全人代=国会)が開幕した。習近平指導部で初めて独自に経済政策「第13次5カ年計画」を策定するが、財政、金融ともに景気対策で打てる手は限られ、企業の過剰債務や銀行の不良債権に欧米の投資家や格付け会社は強い懸念を示す。さらに最大600万人のリストラなど、習指導部が抱える課題は山積している。  16日までとみられる会期中には、今年の国内総生産(GDP)成長率目標が打ち出される。2015年の成長率は6・9%と政府目標の7%は未達で、今年は「6・5~7・0%」など幅を持たせた目標が全人代で確認される可能性もある。  ただ、中国のGDP統計をまともに信じる向きは少なく、市場関係者の関心は景気失速や株・為替市場の混乱を止められるのか、習指導部の次の一手に集まっている。  まず注目なのが積極的な財政支出だ。20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議閉幕後の記者会見で、楼継偉財政相は「債務増大による財政出動の余地がある」と強調している。  しかし、第一生命経済研究所主席エコノミストの西濱徹氏は、「過去の財政依存が過剰設備や過剰債務問題を招いたこともあり、財政出動にはあまり期待できない。減税や企業のコストを減らす施策が中心となるだろう」とみる。

 財政支出と並ぶ景気対策である金融緩和については、中国人民銀行は1日付で預金準備率の引き下げを行ったが、西濱氏は「過度な緩和は人民元安を招くのでやりにくい。通貨安や資本流出を防ぐために資本規制を導入すべきだという声もあるが、人民元の国際通貨化を強調してきた政権のメンツがまるつぶれになってしまう」と指摘する。財政、金融政策ともに手段が限られ、その効果も不透明のようだ。

 地方政府や企業が抱える過剰債務問題への懸念も大きい。米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスは1日、中国の信用格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に引き下げた。格付けは「Aa3」(ダブルAマイナスに相当)に据え置いたが、引き下げも視野に入れる。政府債務の増大や、資本流出による外貨準備高の減少、構造改革の不透明さなどを理由に挙げた。

 金融機関の過剰融資に伴う不良債権を警戒するのは英格付け大手のフィッチ・レーティングス。借り入れ比率がすでに高い状況で、中国の銀行が再び急速な融資拡大を持続することを危惧する。

 全人代では構造改革も強調するとみられるが、欧米の市場関係者からは疑いの目で見られているようだ。

 ブルームバーグによると、米サブプライム危機を事前に予測し、大もうけしたことで知られ、「空売り王」と呼ばれるヘッジファンドマネジャー、カイル・バス氏は、中国の銀行システムが不良債権で資産10%を失えば、中国の銀行の損失額が約3兆5000億ドル(約400兆円)になると予測した。リーマン・ショック時に米国の銀行が抱えた損失の4倍余りになるという。

日経記事

【北京=小高航】中国の第12期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)第4回会議が5日、北京で開幕し、李克強首相は2016年の実質経済成長率の目標を15年の7%前後から6.5~7%に引き下げると表明した。16~20年の第13次5カ年計画も同日発表し、年平均6.5%以上とする成長目標を示した。構造改革を進める一方で交通網整備に年2兆元(約34兆円)超を投じるなど、インフラ投資で景気を下支えする。

Target of Chinese  economic groth

李首相は所信表明演説に当たる政府活動報告で「長年蓄積した矛盾とリスクが顕在化し、経済の下押し圧力が増している」と述べた。鉄鋼や石炭などの産業で利益を出せない「ゾンビ企業」を淘汰し、構造改革を徹底すると強調した。

 一方、世界で中国の経済減速への警戒が強まるなか、財政支出や民間資本を活用したインフラ投資により経済の失速を防ぐ方針も鮮明にした。16年に鉄道投資に8千億元以上、道路の建設に1兆6500億元をさく。現在全国に200強ある空港についても、20年までに50カ所新設する。

 高速鉄道では北京と香港を結ぶ路線を新設するなど、総延長を20年までに現在の1.5倍の3万キロメートルに延ばす。中国メディアによると新5カ年計画期間中の鉄道投資総額は最大3兆8千億元(年平均7600億元)を見込む。10年に8400億元だったピークには及ばないが、高水準の投資を続ける。

 中国では鉄鋼やセメントの余剰設備解消が大きな課題となっている。中国政府は不振企業の淘汰・再編を徹底するとしているが、失業増や賃金減で個人消費への悪影響も懸念される。高速鉄道などインフラ投資を通じて鉄やセメントの需要を生み出すと同時に、雇用を維持する狙いもある。

 ただ、事業採算性を度外視したインフラ投資を繰り返せば、関連企業の財務悪化や新たな余剰設備を生む恐れがある。

 一方、李首相は技術革新(イノベーション)を通じた産業の高度化を「国家の発展の中核に据える」と述べ、成長戦略に重点を置く姿勢を示した。人件費上昇で中国の製造業の国際競争力は低下しており、産業の高度化を進めなければ目標とする経済成長率は達成できないとの焦りもにじむ。

【北京=大越匡洋】中国の習近平指導部は5日開幕した全国人民代表大会(国会に相当)で、2020年まで年平均6.5%以上の「中高速成長」を保つ目標を正式に表明した。世界が中国リスクを強く意識するなか、設備過剰の解消など「供給サイドの改革」を通じて経済の効率を高める道筋を描く。経済の停滞回避に向けた難局は長期化が避けられず、雇用の悪化なども懸念される。

「『新経済』の発展を加速する」。李克強首相は5日の政府活動報告で、技術開発や新産業の創出を後押しし、新たな成長のけん引役とする構想を訴えた。だが現状は「新経済」の育成どころか、景気の足を引っ張る「古い経済」の後始末のメドがついていない。

ゾンビ企業淘汰

 製造業の設備過剰や利益を出せない「ゾンビ企業」が「古い経済」の代表格だ。08年のリーマン・ショック後の4兆元の景気対策で、多くの産業が3~4割の余剰設備を抱えた。効率の悪い企業が温存され、消費者がほしい商品やサービスを提供できない。それが経済成長を鈍らせている。

Chinese plan for 5 yesars習指導部が唱えたのが、減税などで企業負担を軽くする一方で「古い経済」にメスを入れる「供給サイドの改革」だ。李首相は鉄鋼や石炭の設備過剰の解消や「ゾンビ企業」の淘汰を明言した。長く意識された構造問題の解決に重い腰を上げた格好だ。

 だが道は険しい。

 河南省の国有炭鉱で働く40歳代の男性は最近、月に1、2日しか出勤していない。石炭価格の下落で会社の業績が悪化。国有企業ではすぐに解雇されないが、今後、こうした「隠れ失業」があぶり出される。中国政府でさえ、石炭・鉄鋼業だけで180万人の余剰人員が生じるとみている。

改革意識乏しく

 地方政府が景気を下押しする構造調整にどれだけ本気で取り組むかという課題もある。沿岸部の広東省と内陸の重慶市は全人代の直前、相次いで「供給サイド改革案」を公表した。広東は最低賃金の上昇を抑えて企業負担を減らし、重慶は200社の「ゾンビ企業」を整理すると表明した。

 もっとも、広東、重慶のトップは胡春華、孫政才の両氏。次期最高指導部入りをめざす両氏が習氏への「忠誠」をいち早く表明した色合いが濃く、地方に広く改革意識が浸透したとは言い難い。

 習指導部が今回公表した20年までの第13次5カ年計画は、産業の高度化などで年平均6.5%以上の成長を保つ未来を描く。ただこの想定も、20年に国内総生産(GDP)を10年比で倍増する目標の実現に必要な成長率を逆算した結果で、「実現は簡単ではない」(清華大学の白重恩教授)。

 李首相は今年、財政・金融政策で景気の下支えを強め、6.5~7%の成長をめざすとした。一方で、貿易額の伸びの数値目標は示せなかった。国内外の不確実性が増し、習政権の経済運営に重くのしかかっている。

 中国の5カ年計画と政府活動報告 中国共産党が5年間にわたる経済・社会の運営方針や目標を盛るのが5カ年計画。今回の第13次(2016~20年)計画は習近平指導部が初めて立案した。この中期計画を踏まえ、毎年の施政方針を深掘りして示すのが政府活動報告。首相が経済成長率の目標や財政、金融政策などの具体策を表明する。

専門家の見方

成長目標に幅、妥協の産物 丸川知雄・東京大教授

 2016年の成長率目標を6.5~7%と幅を持たせたのは、改革推進と景気対策の間の妥協の産物といえる。

 6.5%という数字は景気を冷やしてでも過剰生産能力や過剰債務の解消を推し進めるという意味合いがある。もともとこの数字が既定路線だったが、人民元相場や株価の急落で景気刺激を求める声が強まり、7%まで幅を持たせて景気を悪化させないというメッセージも込めたのだろう。

 中国はすでに高速鉄道や道路の整備がある程度進んでいて、今後インフラなど公共投資を増やしても、景気刺激効果が上がるか、疑問が残る。

減税効果、目標達成のカギ 伊藤信悟・みずほ総合研究所アジア調査部中国室長

 新5カ年計画などからは、中国が金融不安や雇用不安を生じない範囲で構造改革を進めていく姿勢がうかがえる。経済成長率の目標は予想通りだ。成長率の目標はいわば公約で、中国がどういう手段で目標を達成するかを注視すべきだ。