3/1日経ビジネスオンライン 鈴置高史『「中国大使に脅された」とうろたえる韓国人 「THAADへの報復」に戦々恐々』について

何を今更と言う感じがします。二股外交すれば、それぞれから信頼を失うのは必定です。米中それぞれから脅され右往左往をこれからも続けるでしょう。日清戦争前に3ケ国に擦り寄ったのと同じ構図です。愚かな民族です。周りは「蝙蝠」としか見てないのに、自分は強国を手玉に取れる力があると思いこむのですから。妄想の世界の住人です。こんな民族と付き合うと碌なことにはなりません。「非韓三原則」を貫くべきです。

ハリス米太平洋軍司令官もTHAADの韓国配備について「韓米はTHAADを配備することに合意しておらず、我々が合意したのは(THAAD配備を)協議すること。協議がどう進行するか見なければいけない」と答えています。韓国を揺さぶるカードとして使っている面もあるのでは。軍事は米国、経済は中国なんて都合の良い色分けは出来ません。米軍撤退or戦時作戦統制権返還をしただけで韓国は北の冒険主義の脅威に晒されます。ソウルは火の海になるでしょう。本記事の最後にありますように米国も韓国を見限る可能性もありますので。何せ反米でありながら、韓国を脱出して、米国に行きたがる国民性ですから。2/2サーチナ記事「韓国は生き地獄だ・・・若い世代から「将来などない」と悲観の声」より。http://biz.searchina.net/id/1601497?page=1

忘恩の徒に相応しい発想です。日本にいる韓国人も同じ発想をしていると思った方が良い。

日本は韓国から通貨スワップ要請があっても応じないことです。最低「慰安婦は朝日新聞に騙されて主張してきたもの。事実と違い謝罪するとともに世界の慰安婦像は政府の力で完全撤去します」と約束・公言させてからです。また平昌オリンピックも開催できるかどうか怪しい雲行きです。この期に及んで韓国を助けようとする政治家は金かハニーで転んでいると見た方が良い。勿論衆参同時選の時には投票しないことです。関わらないことが日本にとって正しい道です。

記事

2016年3月1日(火)

Qiu Guohong

「関係悪化」発言で韓国人から一斉に反発された中国の邱国洪・駐韓大使(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

前回から読む)

 イジメの舞台は経済か、軍事か――。韓国が「中国の報復」に身をすくめる。米軍の迎撃ミサイル基地建設を認めたことで、中国から激しく脅されるからだ。

中国大使に反発した韓国人

—駐韓中国大使の発言に韓国人が強く反発した、と聞きました。

鈴置:2月23日、中国の邱国洪・駐韓大使が地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の在韓米軍への配備に関連、以下のように述べました。

 最大野党である「共に民主党」の金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員会代表と会談した際の発言です。

 聯合ニュースの「 中国がTHAAD反対に続き、関係棄損も『警告』……韓中関係に破裂音」(2月23日、韓国語版)を翻訳します。

  • 中国の安全保障上の利益が毀損されれば、両国(中韓)関係は避けようもなく被害を受けるだろう。
  • 両国関係を今日にように発展させるには多くの努力があったが、こうした努力も1つの問題により、一瞬にして破壊されかねない。(関係の)修復は容易ではなく、長い時間がかかるだろう。

また、中国から属国扱い

—韓国人はこの発言のどこが不満なのですか?

鈴置:モノ言いが気に入らなかったのでしょう。属国扱いされたと韓国人は考えたのです。

 東亜日報の社説「米中に朝鮮半島の運命を任せながら、政界は対北戦争か」(2月24日、韓国語版)が明確に書いています。

  • THAAD配備の決定は韓国の主権によるにもかかわらず、中国が明白な内政干渉に出たということは、韓国を過去の朝貢国のように見なす傲慢さの表れである。

—何と、「朝貢国」ですか……。

鈴置:露骨な「属国扱い」は数年前から始まっていました。韓国人は大いにフラストレーションを溜めていたのです(「ついに『属国に戻れ』と韓国に命じた中国」参照)。

ベトナム人なら……

—中国人が「韓中関係を破壊する」と言うのなら「どうぞ、ご自由に」と言い返せばいいのでは?

鈴置:ベトナム人――中国に立ち向かう覚悟を固めたベトナム人なら、そうするでしょう。あるいは中国大使の発言を完全に無視するかもしれません。

 でも、韓国人には「関係が悪化しても、こちらは一向に困らない」などとやり返すなんて、絶対にできません。中国を極度に恐れているからです。少し脅されたぐらいでうろたえたら、足元を見られてしまうのですがね。

 朝鮮日報の社説「韓国の安保主権を無視し、大使まで『THAADへの脅迫』に出た中国」(2月24日、韓国語版)をお読み下さい。

  • 大使が外交・安保の懸案に関し自国の立場を明らかにすることはできる。しかし、邱大使の発言は政府の包括的な憂慮の水準を超えて、韓中関係が破綻し得るとの直接的な脅迫をしたということだ。
  • 自分の主張が貫徹できなければ、軍事・経済的な報復に出るかのごとくの態度をとったのだ。

 ご覧の通り、中国に反発はするものの「中国と関係を断つ勇気」は韓国人にはないのです。

—『嫌われる勇気』みたいな話ですね。

鈴置:ええ、韓国人の心の奥底には「中国から可愛がってほしいから、拗ねて見せる」部分もあるのです。

 「私はあなたといい関係を作りたいと願っている。それなのに脅してくるなんて、ひどい!」といった感じです。

 対等にやり合う相手に対し、そんな泣き言は言わないものです。韓国側に「属国意識」が残っているからこその甘えた反発です。ベトナムが中国に対する時の緊張感からはほど遠い。

元カノは要求を聞くべきだ

—この中韓の微妙な関係に、北朝鮮や米国はどう絡むのでしょうか。

鈴置:THAADは国の安全を増すための雨戸のようなものです。最近、街を北朝鮮という怪しい人が徘徊するので、米国は雨戸を韓国――婚約中の女の子の家に取り付けようとした。

 すると韓国のもう1人のボーイフレンドである中国が「雨戸は俺に対する嫌がらせだ。もう会ってやらない」と言い出した。

 それにショックを受けた女の子が「あなたこそ、一番大事にしてきたじゃないの。だから、そんな怖いこと言わないで」と泣き出した――というのが今の構図です。

—米国という婚約者がいるのに韓国という国は……。

鈴置:朴槿恵(パク・クンヘ)政権は米国と同盟を結びながら、米中対立案件ではほぼ、中国の言うことを聞くようになっていました。奇妙な三角関係が生まれていたのです(「米中星取表」参照)。

米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求をのんだか (○は要求をのませた国、―はまだ勝負がつかない案件、△は現時点での優勢を示す。2016年2月29日現在)
案件 米国 中国 状況
日本の集団的自衛権 の行使容認 2014年7月の会談で朴大統領は習近平主席と「各国が憂慮」で意見が一致
米国主導の MDへの参加 中国の威嚇に屈し参加せず。代わりに「韓国型MD」を採用へ
在韓米軍への THAAD配備 韓国は米国からの要請を拒否していたが、2016年2月7日に「協議を開始」と受け入れた
日韓軍事情報保護協定 中国の圧力で署名直前に拒否。米も入り「北朝鮮の核・ミサイル」に限定したうえ覚書に格下げ
米韓合同軍事演習 の中断 中国が公式の場で中断を要求したが、予定通り実施
CICAへの 正式参加(注1) 正式会員として上海会議に参加。朴大統領は習主席に「成功をお祝い」
CICAでの 反米宣言支持 2014年の上海会議では賛同せず。米国の圧力の結果か
AIIBへの 加盟 (注2) 米国の反対で2014年7月の中韓首脳会談では表明を見送ったものの、英国などの参加を見て2015年3月に正式に参加表明
FTAAP (注3) 2014年のAPECで朴大統領「積極的に支持」
中国の 南シナ海埋め立て 米国の対中批判要請を韓国は無視
抗日戦勝 70周年記念式典 米国の反対にも関わらず韓国は参加

(注1)中国はCICA(アジア信頼醸成措置会議)を、米国をアジアから締め出す組織として活用。 (注2)中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立をテコに、米国主導の戦後の国際金融体制に揺さぶりをかける。 (注3)米国が主導するTPP(環太平洋経済連携協定)を牽制するため、中国が掲げる。

 ただ、それも分からないでもない。韓国からすれば、中国は米国とは比べものにならないほど長い間付き合ってきた元カレなのです。

 朝鮮半島の歴代王朝は、千年以上も中国大陸の王朝に朝貢してきたのですから。もちろん中国も「元カノだった韓国は、自分の要求を聞くのが当然だ」と考えています。

怪しげな「大使には抗議」

 いずれにせよ今回、韓国は中国の仕掛けたワナにきれいにはまってしまいました。大使発言に感情的に反発することで、中国の力に怯えている――つまり、中国に全力で抗する覚悟がないことを、問わず語りに告白してしまったのです。

 中国は「脅しの効果は大きかった」とほくそ笑んで、必要になればまた、この手を使うでしょう。

 メディアが大騒ぎしたものですから、韓国政府も対応せざるを得なくなりました。青瓦台(大統領府)のスポークスマンは2月24日「THAAD配備は自衛権の措置」と邱国洪大使に反駁しました。

 同じ日に「外交部も中国大使に抗議した」と韓国メディアが一斉に書きました。例えば、聯合ニュースの「中国大使呼び抗議『THAAD配備なら関係破壊』発言で=韓国」(2月24日、日本語版)は見出しと前文でそう報じています。もっともこの記事の本文を読むと、本当に抗議したかは怪しい。以下です。

  • 外交部は「キム・ホンギュン次官補が邱大使を呼び、関連報道内容について議論した」、「邱大使は(金鍾仁非常対策委員会代表との会談の)経緯や実際の発言内容、報道内容の正確性などについて誠意を持って説明した」と伝えた。
  • ただ、邱大使に「抗議した」との表現は使わなかった。邱大使が遺憾の意を表明したかどうかについても明らかにしなかった。

電池で報復?

—なぜ、抗議したことにしてしまったのでしょうか。

鈴置:そうでもしておかないと国民の腹の虫がおさまらなかったからでしょう。韓国社会でメディアは事実を伝えることよりも、人々の情緒を――喜怒哀楽をかき立てる役割を担っています。

—それにしてもこの、国を挙げての反発ぶりは異様です。

鈴置:「中国が報復してくる」と韓国人が疑心暗鬼に陥っていたこともあります。そこに大使の「関係破壊」発言。「やっぱり、報復されるのだ!」との恐怖が広がったのです。自縄自縛です。

 韓国紙が初めて「THAADの報復」と具体例を挙げて書いたのは「電池」分野でした。韓国経済新聞が1月31日に以下のように報じました。

  • 中国政府が、リン酸鉄リチウム(LFP)方式のバッテリーを採用したバスにだけ補助金を出すことを決めた。
  • これにより、別方式のバッテリーを生産する工場を中国に建設したばかりのLG化学とサムスンSDIは大損害を受ける。
  • 解決は容易ではなさそうだ。一部では中国側の行動が韓国のTHAADの配備の動きが影響した可能性を憂慮している。

 中央日報の日本語版サイトに「<韓国の牽制に出た中国>中国、WTO・FTA規定を無視」(2月1日)の見出しで翻訳されています。

「朴槿恵の失態」暴く左派系紙

 1月6日の北朝鮮の4回目の核実験を受けて、朴槿恵大統領は1月13日に国民向け談話を発表しました。その中で、THAAD配備に関し「安保・国益に基づき検討する」と語りました。

 中国から「配備を絶対に認めるな」と命じられていたのに、韓国はここで配備容認の方向に転じたのです。

 「電池事件」はその直後に起きたので、韓国政府はTHAADとくっつけて記者に説明したのでしょう。ただ、本当に関係するのかは分かりません。韓国側の思い過ごしの可能性もあります。

 2月7日午前、北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射しました。その5時間後に韓国国防部が記者会見して「THAADの在韓米軍への配備に関し、韓米両国は公式協議に入る」と発表しました。大統領の「検討」からさらに一歩、踏み込んだのです。

 すると、中国外交部は直ちに駐中韓国大使を呼び「THAAD配備容認」に抗議しました(「 『THAADは核攻撃の対象』と韓国を脅す中国」参照)。

 これ以降「中国がこうして報復して来るはずだ」との予測記事が韓国紙に載るようになりました。左派系紙の記事からは「朴槿恵政権の外交上の失態」を強調する意図も感じられます。

中国系資金が逃げ出す

 ハンギョレは「中国が貿易と金融の両面で報復して来るだろう」と書きました。「高まるコリアリスク……安保危機が経済にまで波及か」(2月18日、日本語版)です。

  • 専門家たちはTHAAD配備が現実となった場合、中国が貿易報復に出る可能性が高いと予想している。実際に中国は、2010年に中国が反体制派に分類した劉暁波氏にノーベル平和賞を与えたノルウェーからのサーモンの輸入を、2012年に尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる日本との領土紛争が起きた際には希土類の輸出を、それぞれ中断した。
  • 昨年末から国内株式市場に投資された中国系資金の離脱が急激に進んでいる。金融監督院の資料によると、中国系資金の国内株式市場からの離脱量(売り越しベース)は昨年11月に172億ウォン(約15億9500万円)から12月には5885億ウォン(約546億5500万円)に増え、今年1月にも4762億ウォン(約441億8500万円)に達した。
  • 中国の経済不安による資金移動の性格が強い。このような状況で、最近の韓中の対立と地政学的リスク要因まで反映されると、中国系資金の離脱が加速する可能性もあるというのが大方の分析だ。
  • 株式に比べて比較的に安全な資産とされる債券市場で、中国系資金の離脱が本格化した場合、影響ははるかに大きくなる。国債など主要債権の金利が上がり、債務水準が高い家計と企業の財務健全性が脆弱になる恐れがあるからだ。中国系資金の国内債券保有額は17兆4000億ウォン(約1兆6145億円)で、米国(18兆ウォン=1兆6717億7000万円)に続いて2番目に多い。

軍事報復もお忘れなく

—前回の「『通貨危機のデジャヴ』にうなされる韓国」の最後のくだりは韓国が通貨危機に陥った際、中国は嫌がらせできるという話でした。

鈴置:いざという時に、中韓通貨スワップの発動に応じないという手です。でも中国には、それより前に資本を引き上げてしまい危機を誘発する手もある、というのがハンギョレの指摘です。

 なお、中韓関係が悪化する前から、中国が韓国にスワップを発動できるかに疑問が出ていました。今や、中国自身が人民元の防衛に手いっぱいだからです(「『中国の尻馬』にしがみつく韓国」参照)。

 通貨危機に陥った韓国が中国にスワップを発動してもらい、人民元を借りるとします。仮に総枠の半分としても、韓国は中国から借りた280億ドル相当の人民元を、一挙にドルに換えることになるわけです。これを引き金に人民元が暴落する可能性があります。

—韓国紙は「軍事的報復もあり得る」と書いていますね。

鈴置:当初、韓国人はなぜか「経済的報復」ばかりに目を向けていました。すると中国から「軍事面で報復する手もあるのだぞ」と、“注意喚起”が来ました。

 朝鮮日報のインタビュー記事「サードが配備されれば……中国も対応武器を東北地域に配備する」(2月18日、韓国語版)で成曉河・中国人民大学国際関係学院教授はこう語っています。

1時間で日韓のTHAADを破壊

  • (「中国が韓国企業などを対象に報復的な制裁をする可能性は?」との質問に対し)極めて低い。THAAD配備は軍事・安保問題であるだけに、軍事・安保的に対応すべきだ、というのが私の考えだ。
  • (「THAADが配備されたらどうするか?」との質問に)中国・東北地域にTHAADに対応する武器システムを配備するであろう。弾道ミサイルに関連した中国の軍事技術は過去と比べ相当に進歩した。

 環球時報も2月16、17日の連日にわたって、東北地方に韓国を狙った弾道ミサイルを大量に配備する、と書いています。この新聞は人民日報の姉妹紙で、中国共産党の対外威嚇用メディアです。

 英語版のGlobal Timesでも読めます。記事はそれぞれ「Beijing, Seoul must keep clear mind」(2月16日)と「China must prepare for worst in Korean peninsula」(2月17日)です。

 さらに2月21日、中国のネットメディアは一斉に「韓国と日本のTHAADは中国軍の空爆により1時間もあれば破壊できる、と解放軍報が報じた」と流しました。「中国瞭望」(中国語)の記事などで読めます。

「反中」できる国力なし

—「空爆」ですか! ここまで言われたら、韓国は中国にそっぽを向きませんか?

鈴置:韓国人が中国への反感を高めたのは確かです。SNS(交流サイト)や新聞のネット版への読者の書き込み欄は、中国に対する罵倒で満ち溢れています。

 ただ、反中感情が反中的行動につながるとは限りません。反中感情の根には恐中感情があります。中国を恐れるがゆえに、中国にすり寄っていく可能性も大いにあるのです。

 韓国人は好き嫌いで国の針路を決められません。それを可能にするだけの国力と、地政学的位置を持たないからです。中国が大嫌いだろうと、中国には従わなければならぬことが多いのです。

 日本人に「我々は中国が嫌いだ。だから離米従中なんてあり得ない」と言ってくる韓国人が多い。だが、それを鵜呑みにしてはなりません。彼らは、希望を語っているに過ぎないのです。

深まった恐中感情

—邱国洪大使は外交官として、韓国人をあれだけ怒らせていいのかな、と思いながら見ていました。

鈴置:同じ質問を多くの日本人から受けました。私は「大使は外交官として実にうまくやった」と答えています。狙い通りに、韓国人が「恐中感情」を深めたからです。

 もちろん、それで韓国人が直ちにTHAAD配備反対に回るとは限りません。しかしこの機会に韓国人により深く植え付けた「恐中感情」が今後、折に触れ効果を発揮するでしょう。

 紳士的に話し合うよりも、理不尽にどやし付けた方が言うことをよく聞く――。韓国人というものを、中国人は見抜いています。隣国として、千年以上も付き合ってきた賜物でしょう。

 それと比べると、日本人の対韓認識など底の浅いものです。譲歩すれば仲良くなれると勝手に思い込んでいるのですから。

 米国人も分かっているとは言えません。韓国人の心の奥底をしばしば見落として失敗します。米国や日本の外交関係者は、邱国洪大使の爪の垢を貰った方がよいかもしれません。

朴槿恵がピエロになる日

—韓国人が中国のマインドコントロールにはまったとしても、北の核の脅威を目前にした今現在は、米国を頼りにせざるを得ないのでは?

鈴置:それはそうです。ただ、対北朝鮮制裁案を米中が水面下で煮詰める過程で、韓国人は米国に対する不信感を抱き始めました。

 米国の要求通りにTHAAD配備を受け入れた。その結果、中国から激しく脅され、関係も急速に悪化した。というのに、米国はTHAADを中国との交渉カードとして使っているようだ。強硬な制裁案を中国にのませるために、THAAD配備計画を引っ込めるかもしれない――と韓国人は疑い始めたのです。

 もしそうなれば、突然に姿勢を転じ「THAAD配備は防衛に必須」と国民に訴えた朴槿恵政権は、梯子を外されてしまいます。ピエロになってしまうのです。

—朴槿恵政権は露骨な「離米従中」路線を進めてきました。これはどうなるのでしょうか。

鈴置:確かに、米国の強力な圧力と北朝鮮の核・ミサイル実験により「離米従中」を続けるのは難しくなっています。でも、まだ分からない。韓国が米国側の国に戻ると判断するのは早いのです。

 韓国でまた、反米感情が燃え上がるかもしれない。一方、米国もTHAADのみならず韓国という国自体をカード化し、中国との取引に使う――中国に売り飛ばすかもしれないのです。米国にも、韓国を見限ったフシが見られますしね。

(次回に続く)