本記事にありますように、リストラ後の受け皿になる産業が中国にはなく、失業→流民になるしかありません。炭鉱労働者に代表される肉体労働者の配転は難しいです。まともな教育を受けていませんから他産業に移そうとしても難しいです。日本の炭鉱産業も斜陽となり、閉山が相次ぎましたが、他の産業が高度成長の波に乗り、雇用吸収力として働きました。肉体労働者も働く場がありましたから。中国は中国系企業が人件費高騰で海外へ出て行く時代です。中国人企業経営者の資産保全の意味もありますが。
何せ中国人は主張する民族ですから、デモ・ストはどんどん増えて行くでしょう。2006年から中国は暴動件数を発表しなくなりましたが、理由は前年度件数が87000件で06年は10万件を越える可能性があるからと思われます。今は多分20万件超でしょう。データの採り方にも依るでしょうが。おとなしいと思われています日本人ですら大正7年の米騒動や昭和7年の「米よこせ運動」が起きていますから、食べるものに事欠くようになれば、暴動件数は飛躍的に上がると思います。何せ中国人の食事に関する拘りは凄いものがありますから。だから世界三大料理の一つと言われるようになった訳です。富裕層が富の分配を修正すれば良いのでしょうが、強欲中国人に期待しても無理と言うもの。鄧小平の先富論は中国人の性格を考えれば間違いでしょう。今は“未富先老”の状態ですので。
左翼の発想では、内部矛盾の解決策として、外部との摩擦を引き起こす=戦争の道を歩むのではないかと思っています。一党独裁・軍事国家で国民の監視、言論の自由がありませんから。昔のソ連、今の中国や北朝鮮もそうです。青山繁晴氏は中国と北が手を組み、日本を襲う可能性もあると。地下シエルター、地下街をもっと作らないと、と呼びかけています。集団安保に反対している日本民進党や日本共産党、社民党は国民の生命財産に関心がないように見えます。「今そこにある危機」が見えていません。参院選(衆参同時選になると思いますが)には左翼・リベラル政党には投票しないようにしましょう。
http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid1860.html
鈴木貴子議員の質問主意書に対する閣議決定で「共産党は破防法の監視団体」と決めたのは当然です。今でも暴力革命を否定していませんから。外国勢力と組み、日本を共産党支配の国にしようとしていますので。外患誘致罪の適用もしてほしいと思います。
http://www.sankei.com/politics/news/160322/plt1603220039-n1.html
記事
3月5日に開幕した中国の国会に相当する“全国人民代表大会”(略称:全人代)の第12期第4回会議は、12日間の日程を終えて3月16日に閉幕した。最終日の16日午前中には、人民代表総数2943人中の2859人が出席して全体会議が行われた。全体会議では全人代期間中に提出された「政府活動報告」、「第13次5か年計画綱要」など、9項目の議案に対する表決が行われ、全議案が賛成多数で承認された。これを受けて、“全人代常務委員会委員長”の“張徳江”が締め括りの発言を行った後に、人民代表全員が起立して国歌を斉唱し、その直後に張徳江が閉幕を宣言して全日程を終えた。
さて、今回の全人代期間中に内外メディアの注目を最も集めたのは、黒龍江省の国有石炭企業で発生した炭鉱労働者による抗議デモだった。それは全人代開幕の翌日、3月6日に開催された黒龍江省の人民代表たちによるグループ会議における発言に起因するものだった。
「給与の遅配もなければ、収入減もない」
全人代期間中には、一級行政区(省・自治区・直轄市)の人民代表が各行政区別に集まり、グループ会議を開催し、それをメディアに公開することが慣例化している。3月6日に開催された黒龍江省のグループ会議の席上で、ある記者が黒龍江省長の“陸昊(りくこう)”に国有の石炭企業「龍煤集団」の改革について質問した。
これに対して陸昊は次のように回答した。
【1】2013年以来、龍煤集団はすでに従業員を25.4万人から22.4万人まで3万人削減している。それにもかかわらず、現状のところ1万トンの石炭生産に必要な人数は48人であり、全国平均の3倍以上に達している。一方、龍煤集団が毎年従業員に支払う給与の総額は100億元(約1800億円)近いが、黒龍江省の財政収入は年間でわずか300億元(約5400億円)前後に過ぎない。従い、たとえ龍煤集団が資金繰りに行き詰まったとしても、省レベルの財政では到底支援することはできない。
【2】昨年9月、黒龍江省政府は龍煤集団に対して組織的な配置転換を行うよう厳命を下した。それは、組織的な配置転換と大胆な組織の簡素化により人員を一挙に49%削減するというものだが、これは龍煤集団の問題解決における最重要課題である。龍煤集団の余剰人員は主として“井上員工(地上勤務の従業員)”(以下「地上勤務員」)である。龍煤集団の規模から言えば、地上勤務員の規模は最高でも4万~5万人でなければならないが、実際には10万人もの地上勤務員がいる。このため、彼らにはすでに給与の「欠配(支払われるべき給与が出ないこと)」が発生している。但し、“井戸下作業員工(坑内労働者)”8万人については、現在までのところ、給与の遅配もなければ、収入減もない。
陸昊省長が記者の質問に答えた龍煤集団は、2008年に黒龍江省国有資産監督管理委員会の出資で組織された大型の国有企業である。同集団は傘下に42の炭鉱と16の選炭場を持つ、黒龍江省を代表する石炭企業で、2009年には全国石炭企業ランキングの第12位、全国石炭企業生産量ランキングの第7位に位置していた。しかし、2013年以降は、優良企業であったはずの龍煤集団が、中国の景気低迷と続発した炭鉱事故の影響を受けて大幅な赤字に転落し、3万人の人員削減と同時に、資金難による給与の遅配欠配に陥ったのだった。
「嘘を言うのもほどほどにしろ」
龍煤集団はその傘下に、中核企業の“龍煤股份公司(株式会社)”、採炭を行う“鶏西鉱業集団”、“鶴崗鉱業区”、“双鴨山鉱業集団”などの炭鉱企業、および選炭、探査、機械設備、研究所など、各分野の子会社を持っている。子会社の一つである双鴨山鉱業集団(以下「双鴨山集団」)は、2013年に赤字に転落し、当初は遅配であった給与は欠配になった。給与の欠配は、2014年に2か月分、2015年に5か月分となり、現在では毎月500元(約9千円)が支払われているだけという状況にあり、双鴨山集団の従業員たちは生活苦にあえぎながらも、忍耐の日々を過ごしている。
そんな中でメディアを通じて、陸昊省長が全人代の会議で、「坑内労働者8万人については、現在までのところ、給与の遅配もなければ、収入減もない」と述べたことを知った双鴨山集団の坑内労働者たちは激怒した。俺たちが給与の欠配に苦しんでいるというのに、給与の遅配もなければ、収入減もないとは何事だ。嘘を言うのもほどほどにしろ。彼らは3月9日にストに突入し、2日後の11日には数千人が「我々は生きねばならない。我々は食べねばならない」と書かれた横断幕を掲げて“双鴨山市”の街頭をデモ行進した。翌12日には、デモ隊はその数をさらに増し、「“陸昊睜眼説瞎話(陸昊は公然と嘘をつく)”」、「“共産党還我們銭(共産党は我々のカネを返せ)”」などと書いた横断幕を掲げてデモ行進を行った。
その抗議活動は14日に急きょ動員された軍と警察の部隊によって鎮圧されるまで続いた。
それでは、双鴨山集団の坑内労働者の生活はどのようなものなのか。“香港理工大学”応用社会学部副教授の“潘毅(はんき)”<女性>は、3月16日付で左派系ウェブサイト“鳥有之郷(ユートピア)”に、「龍煤集団双鴨山鉱業労働者の状況調査」と題する記事を掲載した。そこには2013年7月に潘毅が自ら双鴨山市を訪れて実地調査した際に確認した坑内労働者の生活状況が書かれていたが、その概要は以下の通り。
朝4時起床、地下700mで食事なし
(1)双鴨山鉱区は長いこと人から見向きもされなかった。鉱区の町は大きくはなく、数条の東西に走る長さ1000mほどの道路の両側には、1980~90年代に建てられた5階建ての宿舎ビルが立ち並んでいる。それは典型的な古い国有企業の労働者居住区そのものだった。町の東西には比較的大きなスラム街があり、1657戸、合計4411人が住んでいた。
(2)早朝の午前4時、空が白み始め、まだ多くの人々が眠っている時間に坑内労働者の1日が始まる。起床して朝食を作り、朝食を食べて一息つくと、6時に携帯電話で招集がかかり、彼らが住むスラム街から舗装もされていない道を炭鉱入り口へと向かう。坑内労働者が集合すると、班長が坑内における安全生産規則を読み上げ、全員で無事に帰還することを宣誓する。宣誓の後、各自で坑内作業着に着替え、装備を点検して坑内へ降りる準備を整える。午前7時に8時間の労働を終え、顔中を煤と灰にまみれた坑内労働者の一隊がトロッコで地上へ帰還し、これに代わって別の一隊がトロッコに乗り込む。
(3)過去20年間の採掘で、現在の採掘地点は深さ700mの地点にある。このため、トロッコは坑内労働者を地下700mにある作業地点まで運ぶが、トロッコに乗り込んだ時から8時間の労働が始まる。白い顔で坑内に入り、黒い顔の鉄人のような格好で出てくるのは、炭鉱労働者の証と言える。坑内労働者の多くは食べ物を何も持たずに坑内へ入り、8時間の労働が終わるまで空腹のまま過ごすが、それはすでに彼らの習慣となっており、労働の進度には何ら影響しない。
(4)このような労働は1週7日間、休みなく続く。毎日、7~15時、15~23時、23~7時の3交代制で、10日に1度の割合で勤務時間は変更される。出勤すると、坑内へ降りるのに1時間、坑内から上るのに1時間を要し、これにシャワーの時間を加えると坑内労働者の勤務時間は10時間を超えるし、12時間を超えることもある。大部分の坑内労働者は毎月28~30日働く。土曜日、日曜日の仕事には残業代は付加されず、祝日の場合のみ賃金は2倍となる。
(5)午前7時に勤務を開始した坑内労働者は午後3時に地上へ戻るが、シャワー、着替えを終えた後は、事務所へ出向いて業務終了を登録し、それから自宅へ帰る。彼らが住むスラム街は仕事場に近い。居住区は土地が狭く、坑内労働者は仕事も生活も常に一緒ということから、深い仲間意識で結ばれている。夕刻の明かりが灯っても、彼らには暇つぶしや娯楽を楽しむ気力もなく、夜8時頃には眠りに就く。彼らには翌日の辛い仕事が待っている。
潘毅の記事によれば、坑内労働者の給与は、最前線の“一線作業員”が5000元(約9万円)、補助作業を行う“二線作業員”が3000元(約5万4000円)前後とのこと。これに対して地上勤務員は総体的に安く1500元(約2万7000円)前後だという。しかし、地上で週5日勤務すればよい幹部職員たちは、坑内へ降りることはほとんどないのに、5000~7000元(約9万~12万6000円)の高給を享受しているのだという。
潘毅が双鴨山市を訪れたのは2013年7月であったから、双鴨山集団はまだ大幅な赤字には転落していなかったものと思われる。双鴨山集団の最盛期には坑内労働者が7000人以上いたが、潘毅が調査を行った時には、石炭の生産量も減り、坑内労働者は5000人前後に減少していたという。現在、双鴨山集団にどれだけの坑内労働者がいるのかを示すデータは見つからないが、坑内労働者の配置転換は行われていないように思われる。
中国高官らしからぬ潔い訂正も…
ところで、3月12日に北京で「龍煤集団苦境脱却発展特別会議」を招集した陸昊省長は、「龍煤集団の坑内労働者に給与の欠配や各種保険料の未納があり、少なからぬ労働者が生活に困難を来している」ことが判明したと述べ、自身の前言の誤りを認めた。また、陸昊はメディアに対しても、「私の発言が誤っていた。どのレベルの報告が誤っていたか、その原因が何かにかかわらず、誤りは正さねばならないし、問題は解決せねばならない」と語り、中国の高官としてはめったにない潔い態度を示すと同時に、「“要吸取報告失実的教訓(報告が事実と合わないという教訓を汲み取らねばならない)”」と述べて、深い反省を表明したのだった。
陸昊は1967年生まれの48歳。北京大学の経済管理学部を卒業後に経済学修士号を取得。2008年に41歳の若さで“中国共産主義青年団(略称:共青団)”の中央書記処第一書記となり、2012年11月には中国共産党の第18期中央委員会委員に選出された。エリートとして将来を嘱望されている陸昊にとって、全人代開催中という大事な時期に自身の誤った発言により地元の黒龍江省で大規模な抗議行動が起こったことは、大きな汚点となる。その原因となったのは下級官僚からの誤った報告だったが、陸昊が坑内労働者の実態を誤認した真の原因は、黒龍江省のNo.1である省党委員会書記の“王憲魁”の隠蔽工作によるものだった。
陸昊は2013年6月に黒龍江省の省長に就任したが、その前任は王憲魁であった。2010年に省長に就任した王憲魁は、龍煤集団を2011年から毎年1回視察していながら、“報喜不報憂(良いことは報告するが、悪いことは報告しない)”方針の下、龍煤集団の深刻な経営状況を隠蔽する一方で、龍煤集団に対しては早急な黒字転換を命じていたのだった。このため、陸昊は龍煤集団の経営悪化は認識していたが、炭鉱にとって最も重要な戦力である坑内労働者の生活までが悪化しているという報告を全く受けていなかったのだった。
さて、陸昊省長が北京で発言の誤りを認めた3月12日、黒龍江省政府も声明を発表して龍煤集団に給与の遅配や欠配があることを認めた。同日、龍煤集団も双鴨山集団で共産党員幹部会議を開催し、翌13日に同集団のウェブサイトに次のような文章を掲載した。すなわち、「3月6日に全人代で開催された黒龍江省グループ会議で、省政府の主要指導者がメディアに述べた龍煤集団の坑内労働者の給与に関する話は、当集団の企業報告の内容が不正確であり、不十分であったことに起因する。今回の問題の責任は全て当集団にある」。
急増する抗議行動にどう対処?
一方、3月12日の深夜に緊急会議を開催した双鴨山市政府は、双鴨山集団の坑内労働者による“討薪(給与支払い要求)”デモを“群体上訪(集団陳情)”と認定するが、それは理性的、穏健な範囲内にあり、過激な行為が発生しないことが条件であると声明を発表した。しかし、双鴨山市政府は同時に、「鉄道の妨害、生産設備の破壊、連携や扇動は重大な違反行為であり、ひとたび発生したら徹底的に打撃を与える」と警告を発した。この結果、3月14日までに30人以上のデモ参加者が逮捕されたことで、坑内動労者による抗議行動は沈静化したのだった。
香港に拠点を置く中国労働者の支援団体「中国労工通訊(China Labour Bulletin)」の統計によれば、中国の労働者による抗議行動は、2011年には185件だったが、2014年は1379件となり、2015年には倍増して2774件となり、2016年は1月だけで503件に上っているという。双鴨山集団の坑内労働者による抗議行動は、全人代の最中に行われた陸昊省長の誤発言により引き起こされたことで、メディアの注目を浴びて内外に報じられた。しかし、これは氷山の一角に過ぎず、メディアに報じられない労働者による抗議行動は数え切れないほどに多いのが実情である。
3月5日の全人代初日に「政府活動報告」を行った“国務院(内閣に相当)”総理の李克強は、「過剰生産能力の削減」と発展・競争の能力を喪失し、赤字を垂れ流しながら財政支援を受けて生き延びている「ゾンビ企業の処置」<注>を提起したが、その矛先は過剰生産能力が著しく、ゾンビ企業がのさばっている石炭業界と鉄鋼業界に向けられている。過剰生産能力の解消に最も効果的なのは従業員の配置転換だが、その規模を中国政府は、石炭業界130万人、鉄鋼業界50万人と公表している。
<注>ゾンビ企業については、2016年3月18日付の本リポート『「ゾンビ企業」解体が招く“600万人失業”』参照。
資金繰りがひっ迫し、赤字を垂れ流す龍煤集団は、明らかにゾンビ企業だが、現在22.4万人いる従業員は配置転換を名目に大幅に削減されるだろう。そこには双鴨山集団の坑内労働者も含まれることは間違いない。配置転換は転換先の職場があってこそ成り立つものであり、経済的な地盤沈下が著しい黒龍江省には新たな職場を斡旋する能力はないと言っても過言ではない。これが正しいとすれば、配置転換は名目に過ぎず、削減された大多数の人々は失業者とならざるを得ず、人々は職を求めて新たな抗議行動を起こすに違いない。労働者による抗議行動は、今後ますます増大するものと思われるが、中国政府はこれにどう対処しようというのか。