5/29・30日経の中国の南沙諸島関連記事について

オバマのアメリカは真の敵が読めずにいます。アフガンで借りを中国に作ると言う発想はないでしょう。如何にテロリスト集団と言ったって戦闘レベルの話。中国がアメリカに挑戦しているのは金融、情報、軍事の分野です。タリバンやISの比ではないでしょう。宗教心もなく、拝金、自己中心の民族です。中国が覇権を握ったら、世界を悪に染めようとするでしょう。

中国はオバマが大統領でいる間に取れるものは取ろうとするでしょう。ペンタゴンは目にもの見せんとしても、大統領が軍事忌避で大局観がなく優柔不断であれば、南沙の基地より12海里の進出も難しいかもしれません。中国はそう読んでどんどん既成事実化を進めています。南シナ海が中国の手に落ちれば次に必ずや東シナ海に出て来るでしょう。そして太平洋の西半分を中国のものにとか考えているとアメリカが思っているとしたら甘い。絶対東半分にも出て行こうとします。先ず、その前に中国人を入植させ、いざと言うときにその国で内乱を起こせる準備をするでしょう。選挙のある国には移民をドンドン増やしていくでしょう。

アメリカも日本も中国と言う巨大な怪物を造った製造物責任があります。東南アジアの平和に責任を持たないと。衛星写真を公開したって中国が止まるはずはありません。織り込み済みです。バックパッシングは無責任です。アメリカ、日本、東南アジアが目の前の侵略に何も手を打たないとしたら、未来はもっと悪くなるでしょう。宥和政策は第三次大戦の引き金になります。

日本は早く国連の敵国条項を削除すべきです。中国は国連でそれを主張し、「日本に宣戦布告しろ」と筋違いの発言をして論理のすり替え、目先を変えようとするのでは。常任理事会に入るのに核も持たないのでは発言力なしです。そんなところに金と人力を使うのは無駄です。自民党も愚かと言うかリベラルの意見に引きずられて大局観を持てなくなってしまっています。でも一番罪深いのは日本のメデイアでしょう。不都合な真実を報道せず、中国をここまで大きくしたのは間違いなくメデイアです。高給を食んで日本を裏切った売国奴としか言いようがない。

記事

Nan sha

 

 

 

 

 

南沙諸島で活動する中国のしゅんせつ船を映した米海軍偵察機撮影の映像=ロイター

5/30米、中国に仕掛ける消耗戦(真相深層)

日本が中東から輸入する石油のほとんどが通る南シナ海。人工島の造成をやめない中国に、米軍が監視を強め、緊張が高まってきた。オバマ政権はどこまで本気で、中国の行動を阻むつもりなのか。

 沖合の艦船から放たれた大きなホーバークラフトが、ものすごい勢いで海岸に近づき、砂浜に上陸した。精鋭部隊がそこから飛び出し、すばやく前進する……。

 米海兵隊は19日、ハワイで上陸作戦の演習を実施した。これだけならふつうの光景だが、違ったのは、約20カ国の軍幹部がじっと見守っていたことだ。

 17~21日、米海兵隊が日本や東南アジアの指揮官を招き、島しょ防衛に関する初の研修会を開いた。この中での一幕だ。米軍によると、目的は「各国の島しょ防衛力を高めること」。岩礁を埋め立てる中国をけん制するねらいは明白だ。

■激しい議論の末

 米軍は今月に入り、偵察機や新型戦闘艦を南シナ海に送り、中国への圧力を強めだした。中国が工事をやめなければ、人工島の12カイリ(約22キロ)以内に、軍艦船などを派遣することもあり得るとも警告した。

 背景にあるのは、このままでは南シナ海に中国が軍事拠点を築いてしまうという、オバマ大統領自身の焦りと危機感だ。

 4月28日の日米首脳会談。日本側は、オバマ氏の対中認識が昨年の会談よりずっと険しいのに驚いた。「中国をめぐるオバマ氏の発言はかなり、厳しい。日米の対中認識のズレは埋まった」

 では、米側がどこまで、軍事圧力をかけるつもりなのか。実は、中国が南シナ海で埋め立てを始めた昨年以来、国防総省や米軍内では、激しい議論が交わされてきたという。内情を知る元米政府高官は明かす。

 「軍艦や軍用機を(中国の人工島近くに)送り、けん制すべきだとの意見が海軍首脳から出ていた。ただ、米軍が介入すれば、衝突の危険が高まってしまうとの声が根強く、結局、実行には移されずにきた」

 構図が変わったのは今春。猛烈な勢いで埋め立てが進み、周辺国が懸念を深めるなか、オバマ政権も直接関与に転じざるを得なくなった。

 ただ、中国との衝突を避けたいのは言うまでもない。そこで米政権が採用しようとしているのが、コスト賦課(Cost Imposing)と呼ばれる中長期戦略だという。政権に近い新米国安全保障研究所(CNAS)などが提唱している。

 どんな内容なのか。CNASのパトリック・クローニン上級顧問によると、軍事、外交、宣伝などさまざまな手段を使って、中国の行動に重い代償を払わせ、時間をかけて、強硬策を断念させていくというものだ。いわば、消耗戦略といえる。

■日本の安保左右

 米政府筋によると、すでに一部で実施されつつある。たとえば、(1)埋め立て状況を映した衛星写真などをひんぱんに公表し、国際圧力を強める(2)東南アジア諸国などへの支援を強め、島しょ防衛力を底上げする(3)同盟国と協力し、中国の監視活動を広げる――などが、その具体例だ。

 すでに写真の公表は増やしている。今月、ハワイで開いたアジア太平洋諸国向けの島しょ防衛研修会は、(2)に当たる。米軍が最近、自衛隊による南シナ海での監視活動に期待感を示しているのは、(3)への布石だ。

 もっとも、どこまで効果があるかは分からない。中国が大規模演習で台湾を威嚇した1996年。米国は空母2隻を台湾海峡に送り込むだけで、中国の挑発をやめさせることができた。

 それから約20年。中国軍は強大になり、もはや力ずくでは抑え込むのは難しい。米政権内で「コスト賦課戦略」が浮上するのは、そんな厳しい現実の裏返しでもある。

 9月には中国の習近平国家主席が訪米する。米中関係筋によると、ホワイトハウス内では、温暖化対策やイラン問題で成果を残すため、「南シナ海で対立しても対中関係全体を損なうべきではない」との意見もある。

 勝算がないまま、南シナ海への関与に動くオバマ政権。その成否は、日本の安全保障にも跳ね返ってくる。

(編集委員 秋田浩之)

5/30中国、南沙諸島に兵器持ち込み 米当局者「軍事化反対」

 【ワシントン=共同】米国防総省のウォーレン報道部長は29日、記者団に対し、中国が岩礁埋め立てを進める南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島に造った人工島の一つに兵器を持ち込んだことを明らかにした。米メディアによると、砲撃用の装置。

 ウォーレン氏は「われわれは(人工島の)軍事化に反対している」と述べ、撤去すべきだとの認識を示した。現在も設置されたままかどうかは不明。

 これに先立ち、米紙ウォールストリート・ジャーナルは、米軍が撮影した人工島の写真で、移動式の砲撃装置二つが確認されたと報じた。

 米軍艦船や航空機に脅威を与えるような性能はないが、ベトナムが領有権を主張する近くの島を射程に収めるといい、米当局者は同紙に「(周囲を威嚇する)象徴的な意味合いがある」と批判した。

 在米中国大使館の報道官は同紙に対し、兵器持ち込みについて具体的な言及は避けたが「南沙諸島は中国の領土であり、軍事的な防衛のために必要なものを配備する権利がある」と主張した。

5/29中国、ひそかに米に「助け舟」 隠密の仲介工作  編集委員 秋田浩之

南シナ海の岩礁埋め立てをめぐり、米国と火花を散らす中国。ところが、オバマ政権の対外戦略にひそかな「助け舟」を出し、貸しをつくるという、したたかさもうかがえる。

 多くのウイグル族がすむ中国新疆ウイグル自治区。その最大都市であるウルムチで今月20~21日、ある秘密会議が開かれた。

 出席者は、アフガニスタン政府と反政府武装勢力、タリバンの有力者ら。アフガン和平を促すため、中国政府が両者を仲介する会議を主催したのだ。米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)が25日、独自情報として伝えた。

 これだけではない。ロイター通信によると、5月3日、カタールでアフガン政府とタリバンの代表団との直接対話が開かれた。この席にも、米国と並び、中国政府関係者の姿があったという。

従来なら想像もできなかった光景だ。中国はアフガン和平にはほとんど、関与しようとしなかったからだ。いたずらに和平交渉にかかわり、イスラム原理主義勢力の反発を買えば、国境を接する新疆ウイグル自治区にテロが飛び火しかねないからだ。

■オバマ氏の訪中が転機

 この姿勢に大きな変化がみられたのが、昨年秋だという。アフガンにかかわる国際機関関係者は明かす。

 「中国は従来、アフガンへの投資には関心があっても、和平や復興には興味を示さなかった。ところが、オバマ大統領が訪中した昨年11月ごろから、中国のアフガンへの対応が目に見えて変わった。米政権の働きかけを受け、和平に積極的にかかわるようになった」

 米国に「貸し」をつくる狙いが透けてみえる。オバマ政権は、アフガニスタンから米軍の大半を、2016年末までに撤収させると公約している。任期が残り2年をきり、この実現に焦っている。

 いまアフガン和平に協力すれば、オバマ政権は評価し、南シナ海や人権問題などで中国に圧力をかけづらくなる――。中国指導部はこう読んでいるのだろう。

 米中関係筋によると、オバマ氏の昨年11月の訪中時に、中国はアフガン問題で協力する用意があると伝達。ホワイトハウスも、中国のそうした姿勢を評価したという。

中国を動かすもうひとつの理由は、米軍が本当に撤収したら、アフガンがさらに混乱しかねないとの懸念だ。米軍が足抜けした後、同国に「力の空白」が生じれば、再び内戦が激化し、テロ組織の温床になりかねない。

 そうなれば、中国にも重大なテロの脅威が及んでしまう。アフガンがさらに混乱に陥るのを防ぐため、今のうちから米国と協力し、和平に取り組もうというわけだ。

■忠告にじます王外相の発言

 日本や東南アジア諸国にとって気がかりなのは、アフガン問題をめぐる米中連携が、南シナ海問題などにどう影響するのかだ。

 南シナ海での埋め立てをやめない中国に対し、オバマ政権は今のところ、強硬な姿勢に傾いている。だが、中国側は「米政権は本気で中国と対立するつもりはない」と、米側の足元をみているかもしれない。

 今月16日、ケリー米国務長官は北京を訪れ、王毅外相らと会談した。南シナ海問題で激しい応酬を交わしたもようだ。ところが、会談後、ケリー氏と記者会見にのぞんだ王外相は、こう力説した。

 「米中関係は最も重要な2国間関係のひとつだ。アフガニスタンの和平、北朝鮮核問題、エボラ出血熱などの国際問題で協議と協力を深めたい」

 中国は、米国が重視するアフガンや北朝鮮問題などで、協力する用意がある。これらの懸案を解決したければ、中国とはケンカしないほうが賢明だ。王氏の発言は言外に、そう米側に訴えているように響いた。

 

 

 

5/29 The Economist 『映画「疾風の9日間」がほのめかす中国の意図 習近平の政治的トークを、あの権力者の口を借りて語る』記事について

本記事の第一印象として、「疾風の9日間」は人民日報と同じように中国人民に思われているのでは。今人民日報をまともに読んでいる人民は共産党員と言えど少ないはずです。プロパガンダと分かっているので。また読んでも全然面白くありません。大衆の欲求から離れていますので。中国も言論の自由(政府・共産党を批判する自由)がないだけで、(と言ってもこれこそが自由の権利の中で一番大切なもの)、他は少しずつ緩和してきました。他に面白い新聞が沢山あるのに読まれるはずがありません。

「疾風の9日間」と「アベンジャーズ」最新作を比べるのはハナから勝負にならないのは見えています。方やハリウッド発のSFアクションと鄧小平のプロパガンダでは。鄧小平は毛沢東の権力基盤を削いだ廬山会議に欠席したにも拘わらず、後で出席したように繕ろおうとしました。共産党・国の常套手段です。どうせ都合の悪いことにはダンマリを決め込むのでしょう。

習は毛沢東をマネしていると言われていますが、それだけでは権威付けが足りないと思い、鄧小平も持ち出したかとの思いです。軍のNo2の氾長龍(団派に近い)が習に靡いたとの話もあります。本当に習が安泰かどうか。米国とは南沙諸島でぶつかる可能性大です。オバマはここで立ち上がらなければヒラリー民主党候補の次期大統領に赤信号が付くかもしれません。共和党は黙っていないでしょうから。

記事

中国共産党が米国の最強ヒーローと相まみえることはまずない。だがこの5月、コミックスの中で活躍するスーパーヒーローたちが登場する米国映画「アベンジャーズ」シリーズの最新作が中国の映画館を“襲った”。中国製の記録映画「疾風の9日間」(原題「疾風九日」)の上映開始から数日後のことである。

 「疾風の9日間」のテーマは超大国の関係だ。1979年 に米中が国交を回復した直後に鄧小平氏が米国を訪問した。この9日間を描いたドキュメンタリーである。アベンジャーたちは人類を滅亡の危機から救うために戦うが、鄧小平氏は中国の国民を飢餓から救わねばならない。

現政権の主張を鄧小平の口を借りて訴える

 この伝記映画には外交上の目論みもある。今年9月に習近平氏が国家主席として初訪米するのに先立ち、中米関係のイメージをアップさせたいのだ。

 この伝記映画は、1978~1992年まで中国の指導者だった鄧小平氏の印象を利用することで、自分自身の地位を強化しようとする習近平氏の政策の一環だ。例えば昨年、国営テレビが鄧氏を扱った全48話のドラマを放映した。今回封切られた「疾風の9日間」は中国政府が直接出資したものではないが、作者でもある傳紅星監督は以前、国が支援する中国電影資料館の館長を務めていた。

 米中以外が関わる地政学的内容の一部は編集の段階で割愛されたようだ。当時生じつつあった中国・ベトナム間の紛争については、英語による描写はあるものの、中国語には翻訳されていない。

 この映画は国内外の観客向けに製作されていて(米国での公開日は今後決定する)、「中国は服従しない」との警告を確固たる態度で発している。鄧小平氏は米国側スタッフに対し、「我々は相手がしかけてこない限り戦争を望んではいない」と宣言する――これは習近平氏自身の外交政策を総括すると言葉と言えるだろう。

 習氏は美辞麗句を並べて中国の「平和的台頭」を謳う一方で、南シナ海の一部を埋め立てたり、その他の地域で挑発的な行動を取ったりして好戦的な態度を強めている。だがこの映画は、中国が後に経済成長を実現するに当たって、米国との関係がいかに重要だったかを繰り返し強調している。

外交について隠し立てしない

 普段、中国の報道から見えてくるのはきっちりと原稿が用意された会議や取引決定の様子だが、この映画からは、中国が外交関係の限界とリスクを隠し立てしなくなってきた状況がうかがえる。中国製の映画には珍しく、鄧氏の訪問が米国でどれほど物議を醸したか、そして政治家や世論からいかに反対されたかについて、包み隠さず描き出している。中国のソーシャルメディアユーザーの多くは今回初めて明かされた「鄧氏がクー・クラックス・クラン(KKK)のメンバーに襲われかけた」という話に多大な関心を寄せている。襲撃者が所持していたのはスプレー式塗料の缶だったが、映画はこの人物を暗殺者の可能性があった人物として描いている。

 鄧小平氏の聖人伝になっている観はあるものの、「疾風の9日間」は他の多くの共産党プロパガンダに比べてずっと出来がいい。90分の間に過去の映像と現代の映像を巧みに織り込み、一部にはアニメーションすら用いている。

 興行収入だけで見ると、「アベンジャーズ」は「疾風の9日間」に圧勝した。「疾風の9日間」の公開初日の収入は100万元(約1900万円)で、およそ2万8000人が映画館に足を運んだ計算。一方、「アベンジャー/エイジ・オブ・ウルトロン」の初日の収入は2億2400万元(約43憶円)で、中国における歴代2位を記録した。

5/28宮崎正弘メルマガ『アンディチャンの台湾通信』について

本記事にありますように来年1月の総統選に国民党は誰も名乗りを挙げません。以前見た中国時報の記事では王金平かと言われ、朱立倫が今月習近平と会ったから彼かもとも思いましたが、やはり昨年11月の地方選で国民党が惨敗しているのが尾を引いているようです。負けると分かっていて、選挙に金もかかるので誰も出ようとしないのではないでしょうか。

多分蔡英文が勝つと思われます。でもここに書かれてますとおり、来年1月に行われる立法院議員の選挙は大事です。2012年1月(任期4年)に行われた選挙結果は国民党65に対し民進党は40でしたから。レイムダックにならないためには立法院も民進党が抑えないと。今回ばかりはさすがのアメリカも馬に率いられて中国のいいなりになってきた国民党を応援することはないでしょう。

日本ももっと台湾の動向に注意を払うべきです。台湾海峡かバシー海峡を通って石油は運ばれるわけです。しかも国民党の教育は反日まで行かなくても、蒋介石の抗日を教えていると言われています。反日の中韓に相手をする必要はありませんが、親日国の台湾と交流を深め、今まで採ってきた誤った中国重視政策を改めるべきです。何も日本にいいことはなかったでしょう。軍拡、侵略の巨大怪物を育てただけです。

アンデイチャンは独立のことしか頭にないから民進党が人気がないと言いますが、それは違うでしょう。言いたいけど言えないだけです。金美齢の主人の周英明は「中華」と言う言葉が大嫌いだったと言われますが仕方がない。日本だって言われなき「侵略」「南京」「慰安婦」でも我慢しているではないですか。シンガポールのように政治的に独立を世界に認めさせれるようになるには時間が必要です。中国の自壊を待ちましょう。

記事

台湾の選挙はアジアの平和に大きな影響を持つ。中国の国際法を無視した進出でアメリカも次々と違った方針を打ち出している。来年1月の台湾選挙と、来年11月のアメリカ選挙が大きな変化を齎すに違いない。

 来年の1月16日に投票が行われる台湾の総統及び国会議員の選挙があと6カ月余となったが、国民党は有力候補を出せないで焦っている。民進党は蔡英文が立候補したが、民間では民進党の人気がイマイチといった状態である。

 しかも57席で国会の過半数を制することが出来る議員選挙では民進党が40区しか有力候補を出せないで困っている。第三勢力と称する民間グループは民進党に協力すると称して民進党が困難な17区に代表を出そうとしたが民進党は協調に乗らない。国会で過半数を取れなければたとえ蔡英文が当選してもレイムダックとなる。

 アメリカは2012年の選挙でダグラス・パールを派遣して投票の二日前に国民党の馬英九支持を明らかにし、内政干渉した。米国の干渉で当選した馬英九は急激な中国接近をはじめた。やがて中国の領土主張と尖閣諸島や南シナ海における勝手な領土主張と埋め立て多島々で基地の建設を始め、アメリカはようやくアジアピボットを唱えるようになった。

 台湾は第一列島線の中央に位置している。中国が台湾を統一すればアジアの平和は失われる。台湾の将来はアジアの平和に大きな影響を持つ。中国が台湾接近を続けることは危険、つまり台湾の選挙はアジアの平和に大きな影響を及ぼす。

  • 民進党が不人気なわけ

国民党は有力候補を出せない。世論調査では国民党の有力候補と言われる朱立倫、王金平と呉敦義の三人で誰が出馬しても蔡英文に勝てないという。

つまり国民党に勝ち目はないと言いう。この三人とは別に洪秀柱が出馬したが彼女の人気は低く、国民党は彼女の出馬に迷惑がっている。

世論調査では蔡英文の当選確実というが、民間では蔡英文と民進党に冷たい。民進党に冷淡な理由は2012年に立候補した蔡英文が「中華民国=台湾、台湾=中華民国」と主張したこと、及び民進党の現状維持、中間路線に反対だからである。

人民は独立を望んでいる、民進党が独立を表明しないから冷淡なのである。民進党を信用しない傾向は海外の台湾人にもっとも顕著で、理由は蔡英文が台湾独立を主張しないからである。

だが蔡英文の懸念は台湾独立を表明したら中国の恫喝を恐れて米国が蔡英文に反対するかもしれないと言うことだ。アメリカは中国の恫喝を恐れる。中国は台湾が独立すれば武力侵攻も辞さないと言っている。だから彼女は2012年の選挙で「台湾=中華民国」と発言してアメリカを慰撫したにも拘らずアメリカは馬英九を支持した。今回も独立を表明すればアメリカが反対するかもしれない。

 だが台湾の政治事情は変わった。

ヒマワリ学生運動と中間選挙で台湾人は中国やアメリカを恐れることなく独立願望を表明し、台湾は中国の一部ではないと主張するようになった。世間調査では台湾人の8割は独立を望んでいる。それなのに民進党が独立を表明せず、民間勢力とも協調しないから不満なのだ。

 この状況では蔡英文が当選しても国会で過半数を制することが出来ず、蔡英文はレイムダックになるかもしれない。つまり来年の選挙は総統選挙よりも国会議員の選挙に重点があると言ってもいい。

  • アメリカの選挙干渉

今は民進党優勢と言ってもアメリカが蔡英文に反対すれば負ける。

2012年の選挙では米国がダグラス・パールを派遣し、投票の二日前に馬英九支持を表明したため蔡英文が落選した。台湾人はアメリカの支持がなくてはならないと知っているが、心の底ではアメリカの干渉に恨みを持っている。

オバマ政権はイスラエルの選挙でもオバマの腹心をイスラエルに送り込んでナタニヤフに反対し、あからさまな干渉を行った。アメリカは台湾の選挙に干渉するなと警告した人は多い。

 だがアメリカの現状維持とは反対に現状は大いに変わった。

アメリカは馬英九の中国接近に警戒心を持つようになった。遅まきながら中国の南シナ海における島々の軍事基地建設や、尖閣諸島の領海侵入に警戒心を持ち始めた。中国はアメリカの衰退とオバマの無能を見越してアメリカの警告を無視した暴言を吐くようになり、米中関係は緊張している。

 こんな状況の変化にアメリカが台湾の国民党候補を支持するとは思えないが、それでも民進党が独立主張に警戒心を抱いている。

 蔡英文が現状維持を主張すればアメリカは干渉しないだろう。国務院の東アジア太平洋地区事務次官ダニエル・ラッセルは、6月初旬にアメリカを訪問する蔡英文を歓迎し、いろいろな問題について意見を交わしたいと述べた。

つまりアメリカは中立路線を取る可能性が高まったが、条件は蔡英文が独立を主張しないことだろう。

また、ラッセル次官は中国の指導者層に対しても台湾の選挙で中立を守るように呼びかけたと言われる。アメリカの呼びかけがどれほどの効力を持つかはわからない。最近の中国は明らかにアメリカを軽視している言動が目立つ。

  • 中国の出方

中国が台湾の選挙に干渉するのは避けられない。

中国で働いている台湾人は50万人以上と言う。前の選挙の時も中国は特別機をチャーター、または格安切符で台湾人を投票させた。もちろん国民党に投票することが条件、監視付きである。

 だが去年11月の中間選挙で国民党が大敗したあと、中国の恫喝や国民党の宣伝は威力を失った感がある。どのような干渉を行うかはわからないが、中国の恫喝は逆効果となって国民党が惨敗する可能性は高い。

  • 総括

以上の状況を総括すれば:

(1)蔡英文は当選するが、国会で過半数を取ることの方が大切。

(2)アメリカは前回のような醜い干渉はしないだろう。

(3)中国の干渉は避けられないが、逆効果になるかもしれない。

台湾の選挙はアジアの平和に大きな影響を持つ。中国の国際法を無視した進出でアメリカも次々と違った方針を打ち出している。来年1月の台湾選挙と、来年11月のアメリカ選挙が大きな変化を齎すに違いない。

 (アンディチャン氏は在米コラムニスト)。

5/27渡部亮次郎メルマガ掲載 杉浦 正章『「リスク」と敵基地攻撃が論戦の焦点に』記事について

 

朝日を筆頭としたメデイアは杉浦氏が言われるように、目の前にある危機についてどう考えているのでしょう。中国が「近海防御」から、「近海防御と遠海護衛の融合」と言っているのは正しく太平洋の西半分を自分のものにするという意思表示です。A2/AD戦略でなく、米国近くまで潜水艦を遊弋させ核搭載のSLBMを発射できるように考えているのでしょう。米軍はとっくに中国大陸を潜水艦で核目標としていますので。日本は周りを核武装した国に囲まれています。日本も核武装を真剣に考えないと。少なくともニュークリアシエアリングは実現させましょう。

そもそもマスコミは今まで自衛隊を継子扱いしてきたのに、今更自衛隊員の命を持ち出すのは卑怯です。男らしさが微塵も感じられない人達です。こういう人たちが高給を食み、エリート臭をプンプンさせるのですから日本の劣化も極まれりです。

人民解放軍の英語名は「PLA=People’s Liberation Army」で陸軍のことです。海軍はこの後ろにNavyを付けます。元々共産党が天下を取るときに海を伝わって敵地に殴り込みをかける発想がなかったというか、日本軍相手に逃げ回っていただけですので。予算も海軍と比べ陸軍が多いし、もっと言えば治安対策の警察の方が予算は多い。如何に共産党が人民を恐れているかです。

敵基地先制攻撃も当たり前で日本に核ミサイルが撃たれるのに何もしないで国民を見殺しにしていいと言うのでしょうか。この人たちは正当防衛なる概念が分かっていませんね。我が身に置き換えて考えればすぐに分かるはずです。そうしないのは中国、北朝鮮に統治して貰いたいという下心があるからでしょう。やはり不買運動で潰さないとダメです。

5/27日経記事

中国国防白書、海軍重視に転換 米国をけん制 日本にも警戒感

【北京=島田学】中国政府は26日、2年ぶりの国防白書を発表した。南シナ海問題を巡る米国との摩擦を念頭に、これまでの陸軍偏重を見直し海軍を重視する戦略を打ち出した。「海上での軍事衝突」の可能性にも初めて言及し、備えを強化する立場を強調。日本の安全保障政策についても警戒感を示した。

 「軍事技術の発達で、海上の戦線はどんどん拡大している」。中国軍戦略企画部の王晋大佐は26日の記者会見で「もはや『近海防御』だけでは、国家安全を守る上で有効とはいえない」と主張した。米軍のアジア太平洋回帰への戦略転換を念頭に置いた発言だ。白書でも海軍の基本戦略を伝統的な「近海防御」から、「近海防御と遠海護衛の融合」に改める必要性を強調した。

 主に西太平洋を意味する「遠海」が、中国の安全保障にとって極めて重要になるとの認識が背景にある。中国は南シナ海を含む西太平洋で米軍と対立する可能性をにじませるようになった。南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島での岩礁埋め立ては今後の中国の強硬な対応を予期させる。

 中国は、米軍が南沙諸島への監視活動を強化しようとするのに反発しているが、中国海軍もハワイ沖に頻繁に監視船を派遣し、米太平洋艦隊の動向を監視し続けている。中国政府は26日、南沙諸島の赤瓜礁(英語名ジョンソン南礁)と華陽礁(同クアテロン礁)で「船舶の安全な航行を確保するため」の灯台を建設したと発表。摩擦は収まりそうにない。

 一方、日本については名指しで「積極的に戦後体制からの脱却を追求し、安全保障政策を大幅に調整している」と指摘し、安倍政権に対する警戒感を示した。

陸軍からは不満

 中国の軍内に波紋を広げたのは「『陸軍重視、海軍軽視』の伝統的発想からの脱却が必須だ」という白書のくだりだ。軍内で伝統的に強い影響力を持ってきた陸軍では、影響力低下につながるとの不満がくすぶる。

 今回の白書では明記されなかったが、習近平国家主席は指揮系統の効率化と迅速な作戦遂行を図るため、現在7つある軍区を5つほどに減らす軍改革を進めたい考えだ。陸軍のポストが減り、さらに海空両軍の影響力が強まることを警戒する陸軍の反対で、改革は思うように進んでいない。

 習氏が軍内で進める反腐敗運動では陸軍出身者が拘束される事例が相次いでおり、関係者の反発を増幅させている。

 中国軍は対外的に示す強硬姿勢とは裏腹に、内部では改革すべき問題が山積している。習氏による軍の掌握も道半ばだ。

5/27杉浦氏記事安保法制は「覚悟」を伴う問題だ

 キンキン声の宍戸梅軒や、仕込み杖の座頭市、太ったクノ一などのあの手この手の斬り込みに、安倍武蔵が兎の毛でついたほどのすきも見せなかったということだろう。

安全保障関連法案が26日の衆院本会議で論戦の火ぶたを切った。ネットで質疑をつぶさに聞いたが、総じて野党の質問は突っ込み不足で、法案を廃案に追い込むほどのきっかけは掴めなかった。

しかし、今後の論争に向けて焦点は絞られてきた。一部野党に主導的役割を果たす朝日新聞の論調を見ると、野党やリベラル派が大きな論点として浮上させたいのは「自衛隊員のリスク」と「敵基地攻撃」の問題だろう。

まず朝日は今日27日の社説で首相・安倍晋三の自民党の役員会における発言に噛みついている。「首相は『自衛隊員のリスクが高まるという木を見て森を見ない議論が多い』と語ったという。事実なら驚くべき発言だ」と大げさに批判した。

しかし、首相発言の全体を見れば驚くに当たらない。続いて首相は「自衛員のリスク以前に安保環境が厳しくなり、国民の安全リスクが高まってきている」と発言している。

国民のリスクをあらゆる手段を講じて低くするのは安全保障の根本思想であり、イロハのイだ。自衛隊員のリスク回避も極めて重要だが、自衛隊が国民のリスク回避のために宣誓して入隊した存在であることを社説子は覚えておいた方がよい。

朝日は「国民のリスクが森を見ると言うことなら、9条を改正して必用な法整備を進めたいと説くのが法治国家の首相の取るべき道であった。その順序は逆転している」と主張するが、我田引水的論理の飛躍だ。

まず朝日は9条の信奉者と思っていたが、いつから改憲論者になったのだろうか。いつから社論が変わったのか。この論説の背景には、国際環境の激変という事態を全く掌握していないか、天から平和が降ってくる一国平和主義のぬるま湯に浸かっている姿が浮かぶ。

論説主幹の立野純二も報道ステーションで「国民のリスクは高まっているという言い方は言葉のすり替え」と口を極めて批判したが、自衛隊員のリスクと国民のリスクはそれこそ表裏一体、密着不可分のものである。

 さらに立野は、安倍がホルムズ海峡などでの機雷掃海を海外派兵の例外としたことについて「重大な変化をあたかも規則のように例外があると説明した」と指摘「ごまかしがある」と批判した。

しかし朝日は安倍の言う「国民の生死にかかわる深刻、重大な影響」があり得ないとでも思っているのだろうか。太平洋戦争の歴史をひもとくまでもなく石油は日本の生死を左右する「生命線」であることくらいは理解した方がよい。

加えて論説主幹は官房長官・菅義偉や防衛相・中谷元が集団的自衛権行使が、敵基地攻撃にまで及ぶ可能性に言及した問題について「外国が日本以外の国にミサイルを撃つかも知れない局面で日本が攻撃を加える事態は、機雷掃海だけが例外ではなく、ほかにも例外があることを物語っている」と言明した。

今後、敵基地攻撃など海外派兵の例外がどんどん出てくると言わんとしているのだろうが、これも安全保障環境の激変を知らない論理だ。 敵基地攻撃論がなぜ出てきたかといえば、紛れもなく北朝鮮の核ミサイル開発である。

日本に届くノドンが200発以上配備され、金正恩がかつて日本の大都市を名指しで攻撃対象とすると表明しており、これが日本に向けて発射の事態となれば、個別的自衛権で敵基地攻撃が可能だ。

一方、米国や米艦に向けて撃たれたケースで基地を攻撃するのは集団的自衛権のカテゴリーだ。これも机上の空論論者は「例外になる」と反対するが、考えても見るがよい。

米国に向けてミサイルが発射されるような事態とは、その3秒後に日本に向けて発射される事態なのであり、「例外反対」などと言っていられる状況ではない。

そもそも国家間の戦争とは何でもありの上に全てが例外であり、例外を実行しなければ侵略できないし、例外を実行しなければ侵略を阻止できないのだ。ただし現在の日本には敵基地攻撃能力はないが、次期主力戦闘機として逐次42機の導入が決まっているFー35Aには攻撃能力はある。

総じて与野党の議論や、リベラル派の議論は、戦後70年の平和がもたらした、安保観欠如に根ざしており、空理空論が幅を利かせている。こうした中で安保法制を支持する立場から元統合幕僚長・齋藤隆が26日NHKで述べた言葉には重みがある。

齋藤は「国際情勢は従来よりはるかにリスクが高くなっているとは思わない。今までもそれなりのリスクはあった。戦死者を出していないのは本当にラッキーだった。そのラッキーだったことに甘えてはいけない。

国家、国民に対して戦死者にどう向き合うかそろそろ考えておく必要がある」と述べているのだ。確かに過去70年戦死者が出ていないのは日本の誇りであり幸運であった。しかしふりかかる火の粉は払わねばならぬ場合もある。安保法制は「覚悟」を伴う問題でもあろう

5/23渡部亮次郎メルマガ掲載 平井 修一『何清漣氏の講演「中共6つの難問」』記事について

何清漣は小生が深圳に居た頃(98年~2000年)、『深圳法制報』の経済記者で、鋭く共産党の統治を批判していました。このままでは危ないなあと思っていましたら、『中国現代化の落とし穴』を著わして江沢民の逆鱗に触れ、香港経由でアメリカに亡命しました。

『中国現代化の落とし穴』には「中国の歴史は腐敗の歴史であるがとりわけ共産党に政権が移り改革開放してから、質量ともに以前のレベルとは比べ物にならないほどになった。レントシーキング、「権」=「銭」で官職が金を産む構造になっている」とありますし、『中国の嘘』には「ジョージ・オーウエルの『1984年』と同じ市民監視のシステムが08年にできあがる。アメリカのシスコシステムズ社が協力し反政府活動に目を光らせる」とあります。

如何に共産党統治が腐っていて、正統性がないかです。周永康のように、1兆6000億円もの資産形成ができる国なんてそうザラにないでしょう。こんな国の言うことが信用できますか?南京虐殺も従軍慰安婦も謀略で出て来た話です。日本人がメデイアや学者の意見を鵜呑みにせず、もっと自分で材料を集め、自分の頭で考える習慣を持たないと。敵にやられ放しになります。

本記事を読んで黄文雄の著作の中に、『王力雄の言葉に「四最」がある。今の中国は「人口最多、資源最少、欲望最大、道徳最低」の状況にある』と言うのを思い出しました。

失業率は高く(土地を強制的に召し上げられた農民、大卒新卒、外資撤退による中間層)、石油・食糧等の資源輸入(水の汚染、枯渇問題、毒野菜)、AIIBやブリクス銀行の見せ金によるペテン、どれを取っても一筋縄では解決できない問題です。今の習はニコニコ顔で日本に近づき、日本を利用して彼らの不良債権の穴埋めをさせようとしています。日本を占領すれば借金は踏み倒せると思っているのでしょう。中国が東シナ海に出てくる前に南シナ海での傍若無人をやめさすことです。自衛隊も米・比・越と行動して中国の今そこにある侵略をストップさせないと。

記事

中共から米国へ亡命した経済学者、何清漣女史のバンクーバー講演(5/3)の内容が女史のサイトにアップされた(5/9)。中共の現状について生々しい情報が多いので要約する。

<「新常態:中国が直面する6つのボトルネック」

本日、バンクーバーという美しい町にお招きいただき、主催者に感謝するとともに、バンクーバーの中国領事館が私のような“反革命分子”がこうして公開講演をすることを我慢してくださったことに感謝したいとおもいます。

と申しますのも、米国のニューヨークでは私の公開講演は事実上不可能なのです。ニューヨークの中国領事館は私がどこかの大学で講演すると聞くや、すぐさま邪魔しようとします。たとえばペンシルバニア大学では二度、講演を阻止され、中国留学生の学生会のトップまで辞めさせられる始末でした。

今日の講演テーマは「中国経済発展が直面する6つのボトルネック」です。みなさんのために中国経済の実態を総括検討し、この6つのボトルネックを突破できるかどうか、中国の未来とどう関係するかについてお話しいたしましょう。

★第1のボトルネック;中国は世界の工場の地位から転落し、復帰は絶望。

産業構造再調整は極めて困難

中国という「世界の工場」は2001~2010年まで光り輝いていましたが、いまやついに取り返しのつかないほどの衰亡ぶりです。最新の報道では、主要工場の東莞脱出、工場閉鎖が第二の波となっているといわれ、去年1年あまりに4000の企業が閉鎖となりました。

この衰亡への曲がり角は(リーマンショックの)2008年です。2008年から12年までの公開データでは、東莞では7万2000の企業が閉鎖されました。いま、労働集約型を特徴とする東莞の企業の大量閉鎖は、生態環境と労働者の生命を元手とする中国経済の成長モデルがついに行き詰まったという指標です。

これ以前には中国経済の成長は三頭立ての馬、つまり投資、外国貿易、内需で牽引されていたのですが、いまではこの三頭とも息も絶え絶えで、今年の最初の3か月間の外国貿易は前年比15%減であり、もはや外国貿易という馬が中国経済成長を引っ張れず、別の馬を探さなければならないということです。

過去二十数年来、不動産業界が中国経済成長のトップ産業でしたが、高度にバブル化した不動産業界も停滞に陥っており、政府も企業もなんとか滑りおちるのを支えようとしてはいますが、しかし不動産業の上流・下流の数十にのぼる産業は却って全面的な生産力過剰です。

たとえば、鉄鋼業、セメント産業の生産過剰は約3割、比較的距離のある床板、家具、紡績なども深刻な生産能力過剰です。こうした産業の生産能力過剰危機は「中国経済の核爆弾」ともいわれ、核爆弾と同様にいつ経済危機に引火爆発するかわかりません。

ですから、中国は現在「二つのシルクロード計画」を必要として、アジアインフラ投資銀行をつくって、外国にこの生産過剰を輸出したいのです。

でも、これは別のテーマですから、今日は「この計画が成功する可能性は比較的低い。なぜならこの計画に入っている数十の国家は大部分が主権の信用がよろしからぬ国々であり、中国とパキスタンなど国際協力に別の(政治的、地政学的な)目的がある場合をのぞいて、中国の他の国々への投資はお金が無駄になるだけだと思う」とだけ言っておきます。

以上の問題は中国経済の構造調整は望みがない、ということです。いわゆる経済構造の調整というのは政府が調整したいからといって、そのとおりにできるというものではありません。

かつて2005年に広東省が「籠の中の鳥」を取り替えようと、労働集約型産業を淘汰して、ハイテク集中型産業を導入しようとしましたが、結果は鳥かごは空っぽになって、古い鳥は飛び去り、新しい鳥は飛んできませんでした。現在、珠江デルタ地帯の産業は空洞化しています。

★第2のボトルネック;膨大な失業者の大群

中国は世界一の人口大国で、失業問題は中国の頭上に一本の糸でぶら下がっているかのダモクレスの剣です。

文革当時、私は十数歳でしたが、中国にはもう深刻な失業問題があり、就職は困難でした。当時、都市住民は無理やり「山に登り、田舎に行く」ことを強制されて、企業や軍隊に入れたらましなほうでした。

改革開放後、中国が世界の工場になって輝いていた時代にも、やはり大量の失業人口は存在しました。たとえば農村の過剰労働力は1億をこえていました。現在、世界の工場の地位から滑り落ちて、失業問題はさらに深刻さをましています。

長い間中国政府の発表する都市の失業率はすべて4.5%以下になっていますが、このデータは中国の失業の真実を説明できていません。

第一に、データは都市の政府部門に登記された人口だけで、登記外の人口は入っていません。第二には、都市登記失業率は農村の失業者を除外していますが、その農村の過剰労働力は相当に膨大なもので、このふたつを除いた統計データというのはもともと穴だらけなのです

現在、中国の失業者の大群は4つの層からなっています。

ひとつは農村の過剰労働力。「世界の工場」が倒産したために大量の農民が帰郷し失業状況は深刻です。

ふたつには外資系のホワイトカラーですが、外資大量撤退で、結構な給料をもらっていたホワイトカラーが失業しています。

三番目は大学生で、大学生には就職証明書があってはじめて卒業証書を出すために、学生は両親や親戚に頼んで偽の就業証明を発行してもらいますから、学校が提供する就業率というのは完全に意味を失っております。

四番目は都市の中学・高校を卒業して長期に家にいる「待業青年」たちです。中国のメディアでは「スネカジリ族」とよばれています。

では中国の失業者はどのぐらいなのか? ふたつのデータが参考になります。温家宝前総理は2010年3月、中国発展ハイレベル論壇に出席したとき公開した「中国失業人口は2億」という数字。

もうひとつは元世界銀行副頭取の林毅夫の提供したもので、今年の1月にダボス会議で述べた「中国は1.24億人の製造業の職場が他の発展途上国に移ってしまった」というものです。(合わせて3億人)

現在、中国の労働年齢人口は9.4億人で、失業人口が3億ともなれば真実の失業率は32%になります。こんなに多くの人々が仕事がないのでは、「パンの契約」は効果がない、といえます。

中国は専制独裁国家であり、「パンの契約」の意味は、選挙権や言論、集会、結社の自由などがないかわりに、「庶民にちゃんと飯を食わせる」ということで交換(了解)されている、ということです。

いまやこれほど多くの人々が失業しているということは、一般の人々は(自由という)権利を得ることもなく、パンも得られないということです。いかなる国家もこのような高い比率の失業人口に直面したことはなく、大変頭の痛い問題です。

★第3のボトルネック;資源危機の深刻さと高度の対外依存

中国の環境汚染は立体化しています。つまり水も、土地も、空気も全面的に深刻な汚染です。この方面の資料は多いので時間の関係で省きます。ただ中国経済の発展は厳しい資源的な拘束によって、生産原料で様々に破綻しており、さらに生活の糧である食料でも中国の対外依存ぶりは深刻です。

石油は「経済の血液」といわれますが、中国はその6割以上を輸入に頼っており、鉄、銅、亜鉛などの各種金属鉱石の対外依存度も比較的高く、いちいち数字はあげませんが、ひとことでいえば中国経済の安全は対外的要素に依存しています。

「民は食をもって天と為す」といいますが、食料も中国の農業人口は6割もいるにもかかわらず、自給率は2014年に87%に下がっています。三大食料の大豆、トウモロコシ、コムギはみな輸入に頼っています。

土地汚染による食料汚染のことは別にしても、量的な問題だけでも中国の2億人の食料は輸入に頼っているのです。これは中国の食料価格と国際市場価格が連動することであり、もし天災人災がおこれば、たとえば戦争などで食料生産国が原産したら中国の食料価格は急騰するでしょう。

食料対外依存の不安定さは、20年以上前に米国の生態環境学者ブラウンが「誰が中国を食わせるのか?」という本で中国に警鐘を鳴らしましたが、中国はこの研究を「反中華勢力が中国に泥を塗る陰謀」として「中国脅威論」だと大々的に何年も批判を繰り広げました。

ここ数年、やっと食料の安全が問題となりブラウンに対する態度をかえて、中国で講演させましたが、結局やはりその観点を受け入れることはできず、また熱が冷めました。ブラウンという学者に対する温度変化は中国で真実を語ることの難しさを示しています。

★第4のボトルネック;地方政府の泥沼債務

地方債務は地方財政危機を引き起こしかねず、これは中央政府のひどい頭痛のタネです。中国の債務総額の規模は一昨年の外国投資銀行の推計では中国GDP総量の168%に達しております(マッケンジーの5月8日の最新報告ではすでに282%)。その大部分は政府と企業債務です。

その中で地方政府の債務はトップで、約20兆元(400兆円)。これはわざと地方政府官僚が実績を上げるために少なくしていたものです。実際の債務額の3割から5割でしょう。これに対して中央政府も2014年に地方政府に「2015年1月5日前に債務の実態を報告せよ、中央政府が金をだして地方政府の債務償還をしてやる」とほのめかしました。

地方政府はこれに希望を見出して“誠実”に報告したため地方債務はビッグバンのように膨れ上がりました。財政部はこれらの数字に「父親の愛(の助け)」はとても実際には無理だとわかって、元の20兆程度にしました。

現在の方法は地方政府が報告した20兆の債務の一部を中央政府が払って、一部はマーケットにもたせて、残りを地方政府に負担させることです。

地方政府が借金を踏み倒して集団騒動がおきても、地方政府ではちょっとばかりの補償金をはらって事態を“平穏化”させるぐらいしか手がありません。というのは地方政府というのは土地以外に、別に財を生む手段を持っていないのです。この巨大な債務の泥沼に中央政府が頭を痛めるわけです。

★第5のボトルネックは金融危機(略)

★第6のボトルネック;富の分配の深刻な不公平と貧富の差の拡大

この二十数年にわたって中共権力貴族層は公共財と民の財を誰憚らず略奪してきたために、貧富の差、富の偏在は際立ったものになりました。これについてはみなさんもよく感じておられるとおもいますので、ここではひとつだけデータをあげておきます。北京大学の中国社会調査センターがだした「中国民生発展報告2014」のいくつかの数字です。

2012年、中国家庭の財産のジニ係数は0.73(0.4以上は危険水域)で、頂点の1%の家庭が全国の3分の1以上の財産を占有し、底辺の25%の家庭の財産は総量のわずか1%前後でした。このような富の過度の偏在、高いジニ係数は世界中を見渡しても中国しかありません。

ですから中国の低収入階層というのは貧民であり、人口の6割をしめており、貧乏人の多すぎる社会であり、社会的に上昇していこうにもパイプがないという社会ですから、不安定要因に満ち満ちた社会なのです。

民主国家であればこれまでにあげた6つのボトルネックの3つもあれば、政権は崩壊し内閣は辞職ものです。しかし中国の専制政治とコントロールは依然として盤石の統治ぶりです。

とはいえ、こうした問題はいつかは解決されなければならず、長い間ずっとこのままでいくわけにはまいりません。こうした社会危機を解決する方法は大きくいって3つです。

ひとつはマルクス主義、すなわち暴力革命で政権をひっくり返すわけです。1949年以前、中国はこの手の革命をおこないました。農民一揆と共産革命です。

二番目は帝国主義的な、資本主義経済の危機にあたって、戦争による対外的な拡張でもって国内の危機を乗り切るやりかたです。

第三はケインズ方式で、国家の関与を強め、税収をたかめて赤字財政によって投資を刺激し、就職口を生み出し、国民の購買力をたかめて資本主義の生産過剰の危機を解決するやりかたです。

中国政府は事実上計画経済のもとで政府のコントロールとケインズ方式を一緒にしているのですが、効果は芳しくありません。

未来の中国がどの方式を用いて危機を解決するのか? 帝国主義方式とケインズ方式にくらべて、中国では政府のイデオロギーでも民間の価値観からいっても、第一のマルクス主義にもっとも近いのです。

中国と似たような状況にたいするマルクス主義の説明は大変簡単でありまして、一切の危機の根源は「絶対多数の人民が搾取を受け、収入が低すぎるのは、少数の特権階級が搾取収奪によって社会の富の大部分を占有しているから」です。

ですから私たちは中国の制度のやりかた、文化的土壌、政府のイデオロギーと人民の考え方や習慣に基づいて、中国がこの苦境をぬけだす有効な方法はなにか、ということをともに考えることができるでしょう。ご静聴ありがとうございました>(以上)

5/21・22日経ビジネスオンライン 鈴置高史『「ヴォーゲル声明」に逆襲託す韓国 米韓首脳会談が「外交戦第2ラウンド」に、米国の「うんざり」が「嫌韓」に変わる時 米韓同盟の危機はこれから来る』記事について

韓国の朴大統領は日本の軍艦島の世界遺産について告げ口外交を再開したとのこと。また議長国のドイツを動かし、水面下で謝罪の碑文を造らせようとしているとも。そんなことをすれば、慰安婦と同じ展開になるでしょう。韓国は日本を道徳的に劣った民族と世界に認めさせたいためずっと工作してきましたし、今後も続くでしょう。こんな国に支援するのは愚かです。「非韓三原則」を貫かないと。今の日本人はヤワすぎます。徹底的にやらないとダメです。先ずは経済を崩壊させることです。

6月朴大統領の訪米で、アメリカは「THAAD」配備を必ず求めるでしょう。「もし配備しなければ米軍撤退もありうる」と脅すのでは。北が潜水艦によるSLBM実験をしたこともあって在韓米軍を守る必要があるのにその配備を許可しないのであれば何のために韓国を守るのか本質的な疑問が出ます。まあ、米軍基地は一種治外法権みたいなものだから朴を無視して設置するかも。しかし、ペンタゴンの南沙諸島の中国軍事基地に対する「12海里進入」発言を韓国はどう考えているのでしょう。自国のことしか考えない、国際的なセンスのない国と言えます。

参考:「ぼやきくっくり」 http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid1725.html

記事

「外交敗北」としょげ返った韓国。だが、直ちに元気を取り戻した。世界的な学者たちが「慰安婦」で助けに来てくれた、と信じたからだ。

日本孤立化作戦の失敗

—韓国の「外交敗北ショック」は大きかったようですね。

鈴置:ええ、「米中両大国を味方につける外交戦で日本に負けた」と大騒ぎになりました。韓国人は「朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が両大国をうまく操り、日本を孤立に追い込んだ」と信じていました。

 でも「大成功した日本孤立化作戦」は、韓国政府とメディアの作った虚構だったことが露見してしまったのです(「ナポレオン3世に擬された朴槿恵」参照)。

 4月の「日中」と「日米」の2つの首脳会談により、中国は日本との関係改善を、米国は日本との同盟強化に動いていることが誰の目にもはっきりしました(「朴槿恵外交に噴出する『無能』批判」参照)。

 ことに、安倍晋三首相が米議会で演説したことに韓国人は大きな衝撃を受けました。「慰安婦で謝罪しない安倍には演説させるな」と国を挙げて米国に働きかけていたからです(「『アベの米議会演説阻止』で自爆した韓国」参照)。

 そこで「韓国こそが孤立しているではないか」とメディアが政府の責任を追及するまでになったわけです。虚構作りには多くのメディアも加担していましたから、責任転嫁そのものですが。

「戦略的敗北」は無視

—では、韓国メディアは外交的な孤立から脱するために「米中どちらに付くべきだ」と主張しているのですか。

鈴置:そこが興味深い点です。大手メディアは米中の間の立ち位置に関しては、上手に言及を避けています。

 ほとんどすべての新聞が社説で「日米が新蜜月関係に入った。韓国も米国との関係を強化すべきだ」と主張します。

 しかし同時に、保守系、左派系を問わず「中国との関係ももっと良くすべきだ」と書くのです。要は「きれいごと」です。

 「米中双方と良好な関係を築け」とは言っても、それが難しくなったからこそ、韓国は苦境に立っているのですけれどね。

—「大騒ぎ」になっているのになぜ、そんな曖昧な主張で終わってしまうのでしょうか。

鈴置:韓国人がショックを受けたのは、あくまで「日本を孤立に追い込んだはずが、実は自分が孤立していた」ことなのです。

 大手メディアは、米国が「慰安婦」で日本に軍配を上げたのは日本のカネに負けたから――と総括しました。「カネ」とは議会工作や、対米軍事協力の拡大を指します。要は、戦術的な失敗と捉えたのです。

 その結果、敗北の根にある戦略的な問題――「二股外交」の危さに目が行かなくなったのです。だからメディアは依然として「米中両大国と仲良く」と、理想論を書き続けるのです。

コウモリの末路

—でも「二股外交」は限界に達したと見るのが自然でしょう。

鈴置:確かにそうです。米中が対立を深める中で、双方の味方であるふりをする韓国は、誰からも信頼されなくなりました。典型的な「コウモリ外交」です。

 でも「二股の失敗」を指摘する以上、メディアは米中どちらに身を寄せるべきか、社論をはっきりさせねばなりません。これを避けたいこともあるのだと思います。

 メディアは今も、米中どちらが覇権を握るのか見極めてから立場を明らかにする――要は、勝ち馬に乗ろうとしているのです。

 もちろん、朴槿恵政権も同じ発想で外交政策を組み立てています。韓国は依然として、国を挙げて機会主義に邁進中なのです。

 それにメディアは、読者に語ってきた「米中両大国を操る夢」をいまさら引っ込められないのでしょう。この共同幻想を作りあげてきたのはメディアですから。

 なお、趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムなど、親米保守のネットメディアは「そもそも二股外交が無理筋だった」と批判します。が、メディア全体から見れば、少数派に留まっています。

左派は「孤立」を利用

—では、国民は「米中を操る夢」を未だに見ているのですか。

鈴置:国民の方がメディアや政権より、冷静かもしれません。夢から醒めた人も多いようです。中には初めから「夢だ」と思いながら、夢見ていた人もいると思われます。

 交流ソフト(SNS)や韓国紙の電子版への読者の書き込みを見ると「外交的な孤立」に対し、4つの解決策が語られています。

 まず、米国側への復帰、です。日本が米国にぐんと接近した。だから慰安婦問題でも韓国は言い分を聞いてもらえなかったのだ。だったら日本に負けないよう米国との同盟強化に動くべきだ、との考え方です。

 次が、中国側に走る、です。慰安婦問題で米国は韓国の肩を持ってくれなかった。それなら、一緒になって日本を非難してくれる中国との関係を強めよう、との発想です。

 米国だろうと中国だろうと、どちらかに寄ろうという意見の人は「二股の夢」からは醒めていると言えます。

 残り2つは、すぐには実現しない構想ですから「新たな夢」を見る人々と呼ぶべきかもしれません。まずは北朝鮮との関係改善論です。

 「北朝鮮と対立しているから、米国など周辺国の顔色をうかがわなくてはならないのだ。北と関係を改善すれば、慰安婦で日本側に立った米国に対しても強く出られる」との理屈です。

 この主張はハンギョレなど左派系紙にも見られます。北との対話に消極的な朴槿恵政権を批判する材料として、左派は「外交的孤立」を利用し始めたのです。

 最後は核武装論です。米国に逆らえないのは軍事力がないからだ。核を持てば米韓同盟も不要だ。米国がいくら日本だけを可愛がっても、悩まなくてよくなる――というわけです。

渦巻く米国への不信感

—4つの意見は、それぞれどれぐらいの比重ですか?

鈴置:様々の記事への書き込みからの観察ですから、正確なデータはありません。まあ、ものすごく大雑把に言えば、4つの意見の登場頻度に大きな差はない感じです。

 ここで注目すべきは、【1】「米国への復帰論」に代表される「親米派」が意外と少ないことです。

【2】「中国側に走る」はもちろん、【3】「北朝鮮との関係改善論」も【4】「核武装論」も、米国にはもう期待しない、との意識が根にあります。これらの、言わば対米独立論は合わせると過半数を超えるように思われます。

 慰安婦に象徴される歴史問題に関し「米国は常に韓国の味方だ。必ず日本を叩いてくれる」との思い込みが異様に強かったためでしょう。その反動から米国への不満と不信が渦巻き始めたのです。

亀裂が入った米韓同盟

 そんな空気を映す記事も登場しました。朝鮮日報の金泰勲(キム・テフン)デジタルニュース本部次長が書いた「米国が韓国人の心を得ようとするのなら」(5月7日、韓国語版)です。

 まず「慰安婦を謝罪しない安倍晋三首相に対し、米国が議会演説を許したため韓米日の協力体制に亀裂が入った」と断じます。

 そのうえで米国に強く反省を求めました。ポイントを要約します。日本人に馴染みのない韓国の人名は省きます。

  • 米国が亀裂を縫い合わせようとするなら、韓国政府に「日本との関係を改善しろ」と要求するだけではなく、韓国の国民の心をつかむべきだ。
  • 安倍首相の訪米中に米議会の前でデモした元慰安婦、ハーバード大学で沈黙デモを企画したり、安倍首相に質問した韓国系学生。彼らは韓国人がどう思っているかを米国に知らしめた。
  • 彼らは、107年前に「韓国は日本の保護を受けるべきだ」と主張したD・W・スティーブンスを処断した2人の韓国の義士を思い起こさせる。

 「外交的失敗」から韓国政府は弱腰になり、米国の求める日本との関係改善を受け入れるかもしれない。しかし、韓国の国民は怒っているし「対日懲罰」をあきらめない。韓国民を軽んじると韓米同盟に亀裂が入るぞ――との主張です。

米国人を誅する韓国の義士

—スティーブンスとは?

鈴置:1904年に日本の推薦で大韓帝国の外交顧問に就任した米国人D. W. Stevensのことです。一時帰国中の1908年に「愛国的な」2人の在米韓国人によって暗殺されました。

—駐韓米国大使が韓国のナショナリストによって殺されかけたばかり。なかなか大胆な記事ですね。

鈴置:ええ、米国人が読んだらぎょっとするでしょう。書いた当人は「アベに議会演説を許した米国への韓国人の怒りは、それほどに大きいのだ」と強調するつもりなのでしょうけれど。

 政府が外敵に屈した後も、民間の志ある人々が――つまり義士が立ち上がって敵に一矢報いてきたのだ、という共通認識が韓国社会にはあります。

 この記事中にも、ちゃんと3月の襲撃事件が言及されています。ただ、リッパート(Mark W. Lippert)駐韓米国大使は「韓国人の心をつかもうとしている」と評価されていますから、さらなるテロの対象になるわけでもなさそうですが。

世界の碩学がアベ批判

—「韓国はしょげ返っている」と思っていましたが、そうとばかりは言えないのですね。

鈴置:その通りです。5月5日、世界の187人の学者が英語と日本語で、慰安婦に関し「日本の歴史家を支持する声明」を発表しました。これで韓国人は元気を一気に取り戻しました。

 187人は米国のアジアを研究する学会に所属する人々で、日本研究者が中心です。金泰勲デジタルニュース本部次長も、結語で以下のように触れています。

  • エズラ・ヴォーゲル(Ezra F. Vogel)ハーバード大学名誉教授ら世界的な歴史学者たちが先頃、安倍首相に慰安婦問題の解決を求める声明を発表した。
  • 韓国人の心をつかんで同盟を強化するという米国の韓米日協力外交は、この声明を尊重することから始めるべきだ。

 孤立感を深める中で、韓国人は強力な援軍を得た思いだったのでしょう。各紙は直ちに社説でこの声明を引用し「世界の著名学者がアベを批判した」と一斉に主張しました。

知日派も韓国の味方だ

 朝鮮日報の「日本の慰安婦歪曲、世界的学者が我慢ならないと立ちあがった」(5月7日、韓国語版)、中央日報の「安倍首相は軍の慰安婦を否定せず、歴史を直視せよ」(5月7日、日本語版)、ハンギョレの「安倍首相に対する世界の歴史学者の警告」(5月7日、日本語版)などです。

 中でもエズラ・ヴォーゲル名誉教授は韓国でも「知日派」として知られています。「あのヴォーゲルが日本を叩いてくれた」と喜んだ人が多いのです。

 187人の学者は声明で、日本は動員の強制性などに拘るが、残忍な行為を受けた慰安婦が存在するのは事実だ。日本は制度として女性を搾取した「慰安所」の存在から目をそらすな――と主張しています。そして結論部分は以下です。「ですます調」の日本語版からそのまま引用します。

  • 今年は、日本政府が言葉と行動において、過去の植民地支配と戦時における侵略の問題に立ち向かい、その指導力を見せる絶好の機会です。
  • 4月のアメリカ議会演説において、安倍首相は、人権という普遍的価値、人間の安全保障の重要性、そして他国に与えた苦しみを直視する必要性について話しました。
  • 私たちはこうした気持ちを賞賛し、その1つ1つに基づいて大胆に行動することを首相に期待してやみません。

韓国批判には知らんふり

—この声明は、韓国をも批判していると聞きましたが。

鈴置:実はそうなのです。以下の部分です。

  • この問題は日本だけではなく、韓国と中国の民族主義的な暴言によっても、あまりにゆがめられてきました。
  • 元「慰安婦」の被害者としての苦しみがその国の民族主義的な目的のために利用されるとすれば、それは問題の国際的解決をより難しくするのみならず、 被害者自身の尊厳をさらに侮辱することにもなります。

 でも各紙とも、社説ではこの対韓批判は完全に無視しています。そこを引用したら、対日批判がブーメランのように自分に戻ってきてしまうからです。

 「韓国も批判されているのだ」と指摘した記事は、私が見た限りでは1本だけでした。朝鮮日報の金泰翼(キム・テイク)論説委員の「世界的な歴史学者187人が韓国に送った苦言」(5月12日、韓国語版)です。

 「せっかく日本軍慰安婦を取り上げてくれたのだから、声明では米軍慰安婦にも触れてほしかった」――と書く韓国紙が出るかな、と思いましたが、それも見当たりませんでした。

 朝鮮戦争以来、在韓米軍向けの、この声明風に言えば――制度として女性を搾取する――慰安施設が韓国に生まれました。ここで働いた女性から、韓国政府は訴訟も起こされているのですけれどね。

 いずれにせよ「日本との外交戦に負けた」としょげ返っていた韓国人は「米国の学者が韓国を支持したのだ。それをテコに米国政府を揺さぶって味方に付ければ、対日外交戦争でまだ巻き返せる」と元気を出したのです。

韓国にはない「曲学阿世」批判

—でも、いくら「世界的に著名な学者」とは言っても、学者の主張です。

鈴置:そこが日本人と意識が根本的に異なる点です。韓国では学者が極端に偉いのです。1950年、米国との単独講和に反対した東大総長に対し、当時の吉田茂首相が「曲学阿世」――真理を曲げ、世間におもねるな――と批判しました。

 一方、韓国では学者がどんなに空論を吐いても「曲学阿世」などと非難されません。「学者は偉い」からです。それに先ほども言いましたが、韓国人はとにかく援軍が欲しかったのです。

 「日本の歴史家を支持する声明」が発表された翌日の5月6日、朴大統領が駐韓外交団向けのレセプションで「国際政治は国家利益で動くというが、本当に重要なのは信頼だ」と述べました。

 米国を念頭に置いた発言と思われます。韓日間の外交戦で米国が日本の手を上げたのは、米国の利益に沿って日本が中国包囲網に積極的に協力すると決めたからだ――と韓国では報じられています。

 朴槿恵大統領は米国に対し「そんな目先の利益だけで動くと、韓国の信頼を失うぞ」と釘を刺したつもりでしょう。

「離米従中」で信頼失った韓国

—米中間で二股をしながら、米国に「自分の信頼を失うぞ」と脅すのも変ですね。

鈴置:韓国では、論理的な整合性とか一貫性はさほど重視されないのです。実際のところ、米韓関係の最大の問題は「離米従中」に突き進む韓国に対し、米国が信頼を失ったことにあるのですがね。

 とにもかくにも韓国は、日本との外交戦が終わったとは考えていません。朴槿恵大統領は6月中旬に訪米、オバマ大統領と会談します。その場を対日外交戦の第2ラウンドと位置づけて、逆転を図るつもりと思います。

米国が韓国に言い渡した。中国に対抗するため、米国は日本とスクラムを組んだのだ。「慰安婦」で我々の仲を裂こうとするな――。

韓国を見透かしたマイケル・グリーン

—前回は「日本との外交戦に負けた」としょげ返っていた韓国が、突然、元気になった、という話でした。

鈴置:エズラ・ヴォーゲル(Ezra F. Vogel)ハーバード大学名誉教授ら187人の日本研究者たちが、安倍晋三首相に慰安婦問題の解決を求める声明を発表したからです。

 この「日本の歴史家を支持する声明」は、韓国の姿勢にも疑問を投げましたが、韓国各紙はそれをほとんど無視。この声明を援軍に外交戦で日本に逆襲しようと、メディアは戦意を盛り上げました。

 実は、この状況を見越していたかのような記事があります。マイケル・グリーン(Michael Green)戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長兼ジョージタウン大学准教授が、安倍首相の訪米直前に中央日報に寄稿した「安倍の訪米に韓国は何を期待するのか」(4月24日、日本語版)です。

米国も左派は「反・安倍」

  • ニューヨーク・タイムズ(NYT)のようなメディアは安倍首相の議会演説を非難するだろう。だが彼の演説を歓迎するメディアもあるだろう。
  • 日本と同じように、安倍政権に対する米国エリートの見解は理念によって分かれている。米国人は一般的に日本に対して非常に肯定的な見解を持っている(もちろん韓国に対しても非常に肯定的だ)。

 米国の左派は安倍演説を批判するだろうが、それに舞い上がって現実を見誤ってはいけないよ、とのアドバイスです。

 なお、丸かっこの中の「もちろん韓国に対しても……」のくだりは日本語版と韓国語版(4月24日)にはありますが、大元の英語版「What to expect from Abe’s visit」(4月27日)にはありません。「日本とどちらが上か」を気にする韓国人読者に配慮して入れたのでしょう。

「慰安婦」で対中包囲網を妨害

—このコラムの狙いは?

鈴置:中国の横暴を抑えるため、日米は同盟関係を可能な限り深める。朴槿恵(パク・クンヘ)政権も日―米―韓の3国協力体制にしっかりと入ることが求められるよ――との忠告でしょう。結論部分で以下のように書いています。

  • 日本に対する米国人の信頼度は実は、安倍首相になった後さらに高まった。日米首脳会談が成功裏に終われば、日米防衛協力指針と環太平洋経済連携協定(TPP)にはずみをつけることになろう。
  • オバマ大統領にとっては政治的に大きな勝利になるだろう。米政府は首脳会談の結果として、韓日関係に突破口が用意されることとは期待していない。が、安倍首相の訪米が韓日首脳会談と韓日米協力の強化の契機になることを期待している。

 中国は南シナ海で埋め立てを進めるなど、露骨な膨張政策に乗り出しました。それを阻止するため、米国は日本をはじめ豪州、ベトナム、フィリピンとの軍事協力を急速に強化しています。

 一方、韓国はそれに加わらないどころか、対中包囲網を妨害しています。2014年7月には日本の集団的自衛権の行使容認に中国とともに反対しました。「慰安婦」で韓国が大声を上げるのも、その一環と見なされ始めました。

日本がいくら謝罪しても……

 そんな韓国に対し、グリーン副所長以上に厳しい警告を発したのがビクター・チャ(Victor Cha)ジョージタウン大学教授です。

 日米首脳会談の直後に中央日報に載った「韓日首脳に本当に重要な問題」(5月1日、日本語版)をご覧下さい。ハイライトは以下です。

 なお、大元の英語版は5月4日に掲載された「Hard questions for Park and Abe」です。

  • 今回の首脳会談準備期間に私は慰安婦問題をめぐる談論を絶えず反すうした。この問題に対する本当に難しい質問は、安倍首相ではなく韓国国民に投げかけられたと信じる。
  • 次のような質問だ。もしある日本の首相が「侵略」「植民地支配」「反省」という言葉を慰安婦問題に関連する発言として使うなら、韓国はこれを謝罪と受け止めて最終的な解決のために動くのだろうか。
  • (韓国は)日本が何と言おうと、これを「真情」ではなく「戦術」から出たものとして拒否する可能性が高い。日本があらゆる形態の悔いる権利を拒否し続けるのは、多くの人々にとって政治的に安全だ。不幸なことではあるが。

ゴールポスト論

 日本がいくら謝罪しても、韓国は後から「日本はちゃんと謝罪していない」と言い出します。だから日本の謝罪は問題の解決につながらない――。ここを、ビクター・チャ教授は突いたのです。

 これは「動くゴールポスト論」と呼ばれています。韓国は後から「やっぱり不十分だった」として「謝罪のゴール」の位置をどんどん移すからです。

 ビクター・チャ教授は「もう、韓国の手口は米国にも見透かされている。どんなにうるさく言ってきても今後、米政府は日本に対し慰安婦で韓国に謝れと要求しないと思う。対米交渉の基本方針を変えた方がいい」と示唆したのだと私は思います。

 そもそも、米国人が公開の場で「ゴールポスト論」を持ち出すのは珍しい。本当のこととはいえ、いや、本当のことだからこそ、これを指摘されると怒り出す韓国人が多いのです。そうなると、冷静な話し合いは期待できませんからね。

—では今回、なぜビクター・チャ教授は韓国紙でこれを書いたのでしょうか。

鈴置:同教授に聞いたわけではないので、その意図は分かりません。ただ、多くの米国のアジア専門家が「もう、韓国はかばえない」と言い出しています。

もう、韓国はかばえない

—いわゆる「韓国疲れ」(Korea Fatigue)ですね。

鈴置:ええ、韓国人が米国に押し寄せては「アベに議会演説させるな」「日本に謝らせろ」としつこく要求したからです。筋違いの要求に米国の専門家は困り果てていました(「『アベの議会演説阻止』で自爆した韓国」参照)。

 5月18日、韓国での会見で「慰安婦」を聞かれたケリー(John F. Kerry)国務長官は「日本が謝罪を繰り返したことに留意している」と述べました。「もう、慰安婦の話は米国にするな」ということです。

 それに加え韓国人のあまりのしつこさから、ワシントンには韓国を中国の手先と見なす空気が高まってきました。だから米国のアジア専門家も「もう、かばえない」と言い出したのです。

 3月13日、ワシントンで米シンクタンクのアメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)は「Japan-Korea relations at 50: The weakest link in Asia」(英語による動画=日韓関係正常化50年、最も弱いアジアの輪)と題するセミナーを開催しました。

 この場で、リチャード・ローレス(Richard Lawless)元米国防副次官は「中国は歴史問題を使って韓国との関係を強化し(「日―米―韓」協力の)現状を分断するつもりだ。それにはある程度成功している」と指摘しました。

 ローレス元米国防副次官は朴正煕(パク・チョンヒ)時代から韓国を知る人、と言われています。この発言は動画開始後10分30秒後あたりからです。

ヴォーゲル声明に反発

 中国は「日―米―韓」の対中軍事同盟を必死で突き崩そうとしています。そのパーツたる「日韓」と「日米」双方を一気に分断する必殺技が、慰安婦など歴史問題です。

 韓国をけしかけ日本と対立させる。当然「日韓」関係が悪化します。さらには「日米」関係をもおかしくすることが可能です。

 韓国の求めに応じ米国が日本に対し「慰安婦で韓国に謝れ」と要求すれば、日本人は米国に悪感情を抱くからです。

 実際、米政府ではありませんが、エズラ・ヴォーゲル ハーバード大学名誉教授ら米国の学会に属する学者が「日本の歴史家を支持する声明」を発表すると、一部の日本人は米国に強く反発しました。

 中国自身が日米離間を図るよりも、米国の同盟国である韓国にやらせる方が、はるかに効果が大きいのです。

対日歴史戦争で中韓が共闘

—「韓国を日本から引き離す」だけではなく「韓国を手先に使って日米関係も壊す」のが中国の作戦なのですね。

鈴置:中韓両国は対日歴史戦争で共闘体制を強めてきました。例えば、表に出たものに「慰安婦の証拠発掘プロジェクト」があります。

 2014年12月15日に聯合ニュースが「中韓両国の政府系機関が慰安婦で共同研究の覚書結ぶ」と報じています。「韓中政府系機関 慰安婦問題共同研究へ=MOU締結」(日本語版)です。

 見落とすべきでないのは、韓国は、日本とだけではなく米国からも離れ始めたことです。「日韓」だけではなく「米韓」も疎遠になっているのです(「米中星取表」参照)。

 この立ち位置の急速な変化こそが「中国の手先化」の何よりの証拠――と米国のアジア専門家は見なしています。

米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求をのんだか

(○は要求をのませた国、―はまだ勝負がつかない案件、△は現時点での優勢を示す。2015年5月21日現在)

案件 米国 中国 状況
日本の集団的自衛権 の行使容認 2014年7月の会談で朴大統領は習近平主席と「各国が憂慮」で意見が一致
米国主導の MDへの参加 中国の威嚇に屈し参加せず。代わりに「韓国型MD」を採用へ
在韓米軍への THAAD配備 青瓦台は2015年3月11日「要請もなく協議もしておらず、決定もしていない(3NO)」と事実上、米国との対話を拒否
日韓軍事情報保護協定 中国の圧力で署名直前に拒否。米も入り「北朝鮮の核・ミサイル」に限定したうえ覚書に格下げ
米韓合同軍事演習 の中断 中国が公式の場で中断を要求したが、予定通り実施
CICAへの 正式参加(注1) 正式会員として上海会議に参加。朴大統領は習主席に「成功をお祝い」
CICAでの 反米宣言支持 2014年の上海会議では賛同せず。米国の圧力の結果か
AIIBへの 加盟 (注2) 米国の反対で2014年7月の中韓首脳会談では表明を見送ったものの、英国などの参加を見て2015年3月に正式に参加表明
FTAAP (注3) 2014年のAPECで朴大統領「積極的に支持」

(注1)中国はCICA(アジア信頼醸成措置会議)を、米国をアジアから締め出す組織として活用。 (注2)中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立をテコに、米国主導の戦後の国際金融体制に揺さぶりをかける。 (注3)米国が主導するTPP(環太平洋経済連携協定)を牽制するため、中国が掲げる。

北朝鮮が水中発射に成功したのに

「離米従中」ですね。

鈴置:米国が在韓米軍に終末高高度ミサイル防衛(THAAD=サード)を配備しようとしています。しかし、韓国は受け入れに応じません。中国から「反対しろ」と命じられたからです。

 米国は、韓国を守るために駐屯する在韓米軍を防御するための装備も持ち込めないのか――と呆然としました。

 4月16日にスカパロッティ(Curtis M. Scaparrotti)在韓米軍司令官は米上院軍事委員会で「私は司令官として米軍の防衛を考慮する必要がある」と述べています。

 5月18日、ソウル市内の在韓米軍基地を訪問したケリー国務長官は「我々はすべての結果に備えなければならない。これが、我々がTHAADを語る理由だ」と述べました。

 北朝鮮がミサイルの水中発射に成功した、と5月9日に発表したばかりです。THAADの在韓米軍への配備に必要性がどんどん高まっています。ケリー長官は韓国政府に「催促」したものと見られています。

 というのに韓国政府はこの発言に対しても「ケリー長官との会談ではTHAADの問題は一切、話し合われなかった」と繰り返すばかりでした。

韓国に操られる米国

 そもそも最近の韓国の「外交敗北論争」自体が米国離れを象徴しています。これは3月30日の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相の発言が引き金になりました(「朴槿恵外交に噴出する『無能』批判」参照)。

 尹炳世外相は「米中の間に挟まれた韓国の境遇は厄介なことではなく、双方からラブコールを受ける祝福として受け止めるべきだ」と語ったのです。

 外相が堂々と「二股外交をうまくやっている――米中を上手に操っている」と誇ったのです。「操られている」米国は面白くないに決まっています。

 この発言には批判も出ました。でもそれは「二股が上手くいっていないこと」に対してだったのです。決して「同盟国の米国と、中国を等しく見るべきではない」との世論が高まったわけではなかった。

 米国はますます韓国を疑いの目で見たことでしょう。そんな中、韓国が「慰安婦で日本を叱ってくれ」と言ってきたのです。素直に「分かりました」と日米離間策に乗るほど、米国はお人好しではありません。

「同盟国相場」の急騰

—米国の実務家は韓国の本性を見切ったのですね、学者はともかくとして。その米韓が6月中旬に首脳会談を開きます。

鈴置:会談では、韓国がどれだけ米国の要求に応じるかが見どころです。韓国は同盟国としての義務から逃げ回っています。

 そのうえ安倍首相の訪米によって、米国の同盟国であることの「会員権相場」が一気に跳ね上がったのです。

 このため朴槿恵大統領は、オバマ(Barack Obama)大統領に対しTHAAD受け入れぐらいは表明するだろう、と見る外交専門家もいます。

 ただ、中国は強くこれに反対しています。朴槿恵大統領は9月に訪中の見込みです。「対日戦勝70周年記念式典」参加が目的で、習近平主席と会談する可能性もあります。オバマ大統領に安易に手形を切りにくい状況でもあります。

オバマに直訴して逆転

—結局、米韓首脳会談はどういう展開になるのでしょう。

鈴置:よく分かりません。ただ、興味深い主張が韓国紙に載るようになりました。「朴槿恵はオバマに慰安婦を語るな」との趣旨です。

 逆に言えば「オバマ大統領に対し朴槿恵大統領が直訴すれば、日本との外交戦で逆転できる」との発想が根強いことを物語っています。

 外交通商部北東アジア局長を歴任した、趙世暎(チョ・セヨン)東西大学特任教授は中央日報に「朴大統領の訪米、韓日関係に縛られるべきでない」(5月13日、日本語)を寄せました。注目すべきは以下です。

  • 韓国人は、大統領訪米で韓日の過去の問題に対する米国の協力を引き出せるかに関心を持つ。米国の圧力だけが日本の姿勢の変化を引き出すことができるという主張が多い。
  • しかし、今回の安倍首相の訪米に見られたように、米国は日本に圧力を加えて実利を失うことはしない。安倍政権が圧力を受け入れる可能性もほとんどない。

 まだ、韓国には「米国に頼んで、日本に謝罪させよう」との意見が燻っていることがうかがえます。そして韓国では、朴槿恵大統領は「空気」に流されがちと見なされています。

 実務に長けた外交専門家として、趙世暎教授はその火消しに出たのです(「ナポレオン3世に擬された朴槿恵」参照)。

THAADと慰安婦

 朝鮮日報のペ・ソンギュ政治部次長も「大統領の訪米は『過去を巡る外交戦』の舞台ではない」(5月16日、韓国語)を書きました。ポイントは以下です。

  • 韓国の外交当局には悩みが多い。安倍首相の訪米時に繰り広げた韓日外交戦でいいところがなかったとの無念さからだ。朴槿恵大統領の6月訪米を「歴史認識問題の外交戦の第2ラウンド」と考える一部の人の視線もプレッシャーになっている。
  • 今、韓米間に必要なのは美辞麗句や対日競争外交ではない。韓米間の共通の利益と信頼性を高める実質的な成果だ。

—「慰安婦」に関し、米国が「もう言うな」とイエローカードを切っているのに、まだ韓国は言い募るつもりなのですか?

鈴置:「慰安婦」は日本をへこませるための道具に留まりません。米国が進める「日―米―韓」軍事協力体制に「NO!」と言うための言い訳でもあります。

 オバマ大統領が「THAADを韓国に配備したい」と言い出したら「慰安婦で日本が謝らないから駄目だ」と反撃するかもしれません。

へ理屈を言い続けるしかない韓国

—「THAAD」と「慰安婦」は何の関係があるのでしょうか。理解できません。

鈴置:もちろんへ理屈なのですが、韓国はこれまでもそうした奇妙な理屈を言い訳にしてきました。

 2013年9月30日、訪韓したヘーゲル(Charles T. Hagel)国防長官(当時)が朴槿恵大統領を表敬し、3国軍事協力体制の構築を持ちかけました。

 朴槿恵大統領はそれを断るのに「慰安婦の苦しみ」を持ち出したのです(「ついに米国も韓国に踏み絵を突きつけた」参照)。

 在韓米軍に配備されるTHAADは、在日米軍や日本のミサイル防衛(MD)と連携して運用される可能性が大です。

 韓国は「慰安婦で謝らない日本とは軍事協力できない」と言い張ることで、THAAD配備に「NO!」と言えると考えているでしょう。

—でも、そのへ理屈は米国からすっかり見透かされているのではありませんか。

鈴置:その通りです。でも、米中間で板挟みになった韓国としては、米国から言い逃れるには「慰安婦」を使うしか手がないのです。

5/20日経ビジネスオンライン 福島香織 『習近平の知識人狩り、希望を粛清 良心的知識人を排した先は、悪夢しかない』記事について

習近平は毛沢東を尊敬し、マネをしていると言われていますが、本記事は文化大革命の再来かもしれません。元々毛は文革を政敵倒しの名目に使ったわけですが、知識人もこの網から逃れることはできず、文豪老舎は入水自殺します。実際は、紅衛兵に殺されたも同然でした。習も同じように知識人を目の敵にしています。一党独裁の弊害です。物事の道理が分かる人間=知識人としたら共産党政権にとってこんな怖いことはありません。共産党統治の正統性は否定されるでしょうから。日本共産党だって政権を取ったとしたら中国と同じことをするでしょう。何せ中国は三権分立でなく、為政者の意のままに動かせる国で、反対する者には厳しい弾圧をします。

中国共産党に操作されている政治家(二階とか翁長等親中派議員)や財界(経団連)、マスメデイア(サンケイを除く媒体全部)はこういう状況を知っていて日本国民を誤導しようとしています。本記事を読めば共産党支配の恐ろしさが分かるハズです。選挙のときに、共産党や社民党、民主党左派には入れないことです。またメデイアの洗脳から脱し、保守派の活動を支援して戴きたいと思っています。

記事

中国の人権状況が急速に悪化している。多くの人が、冤罪の言いがかりであると分かっているにもかかわらず、このほど人権派弁護士の浦志強がついに起訴された。その罪名は、民族の仇恨を扇動した罪、という。民族の仇恨とはなんだろう? 4月には改革派ジャーナリスト 高瑜が国家機密漏洩罪で懲役7年の判決を受けた。何が国家機密漏洩だというのだろう。昨年9月には、ウイグル族学者のイリハム・トフティが国家分裂罪で無期懲役判決をうけ、上訴するも、そのまま罪が確定してしまった。誰が国家を分裂させようというのだろうか。

 彼らはみな中国の敵ではなく、暗黒に見える中国人権状況の未来をほのかに照らす小さな星のような人物たちだった。決して急進的ではなく、体制内にも、彼らの主張に賛同する官僚や政治家が大勢おり、現体制を覆すのではなく、むしろ支えて、良い方向に転換させていこうとしてきた、体制内の改革派人権派知識人である。こういった良心的知識人がいるからこそ、真っ暗に見える中国の未来にもかすかな希望があるのだと思い直すことができた。ところが、今やこの体制内にいる、良心的な知識人を習近平政権は「反動知識分子」と呼び、粛清の対象としている。

深刻にして悪辣な「言いがかり罪」

 浦志強が正式に逮捕されたのは昨年の6月30日。この時の逮捕容疑は、いわゆる「騒動挑発罪(言いがかり罪とも訳す)」と「個人情報の不正取得」だった。昨年5月3日、天安門事件(1989年)に関する非公開の私的勉強会に出席し、5月6日に身柄を拘束された。この勉強会に出席したことで同じ時期に身柄拘束された徐友漁ら4人の知識人たちはその後釈放されたが、彼だけが、そのまま正式逮捕され、そして約1年たった今年5月15日に正式起訴が発表された。この時、起訴状に書かれた罪名は「民族の仇恨を扇動した罪」および「騒動挑発罪」。起訴状には、「被告人浦志強はネットを利用して、前後して何度も微博(ツイッターに似たSNS)で、民族の仇恨を扇動。公然と他人を侮辱するなど、その状況は深刻にして悪辣であり、社会秩序を破壊するものとして、刑事責任が問われるべきである」とされた。

では浦志強が微博を通じて煽ったという民族の仇恨とは何なのか。

 香港紙明報によれば、検察側は、浦志強が発信した30あまりの微博の中に「新疆は中国のものだが、中国は植民地のように扱ったり、征服者・掠奪者となってはならない。…相手を敵とみなすのは誤った国策である」「昆明事件(2014年、昆明鉄道駅でウイグル族グループが起こした無差別殺人、29人の無関係の旅客が殺害された)は非常に血なまぐさく、犯人の罪は非常に深い。新疆独立派がテロの恐怖を生んでいるという言い方は、しかし、結果であって原因ではない。きわめて凄惨で、結果は堪えられないものだが、新疆独立派の残虐さに対して、あなたに責任がないというのであれば、私は不満である」といった発言を民族の仇恨を扇動したものとして、問題視しているようである。また「公然と他人を侮辱する」が指すのは、毛沢東の毛新宇に関する議論や、山西省の人民代表(国会議員に相当)申紀蘭が全人代制度が始まった1954年から60年以上も人民代表を続けており、しかも一度も全人代決議において反対票を投じたことがないことなどを指摘した発言のようである。

拷問反対の思想家は、都合が悪い

 浦志強は、弱者の立場にたって人権や自由のために戦う弁護士として中国国内でも評価され、2012年暮れには「南方人物週刊」や「新週刊」などの雑誌が中国社会に影響を与えた「年度人物」として取り上げた。2014年から、中国共産党政治の悪習であった労働教養所が廃止になったのも、その違法性を訴えてきた彼らの地道な活動の成果とポジティブに受け取られていた。当然、国際社会でも注目され、米フォーリンポリシー誌も「百人の思想家」に選んでいる。

 今回、彼が起訴された本当の理由は、おそらく起訴状には書かれていない。彼が習近平政権に都合の悪い人物とみなされたに過ぎない。おそらくは中央規律検査委が司法の外で行う「双規」(共産党幹部に対して司法機関より前に紀律検査委として取り調べを行う制度)の廃止を目指して活動を開始したことが理由だと見られている。2013年に双規の取り調べ中に拷問を受け、3人の官僚が死亡したことで、「双規」が単なる党内調査ではなく、時に政敵に対するリンチが行われ、法治を標榜する国であってはならない制度であることは誰の目にも明らかになっていた。習近平政権の「反腐敗キャンペーン」と言う名の粛清の嵐が吹き荒れる中、多くの地方官僚たちにとって「双規」中の拷問は、明日は我が身の危機でもあり、浦志強の活動に対しては党内でも期待が高まっていたという。

 しかし、双規制度にケチをつけるということは、一党独裁の根幹を揺るがすことでもある。一党独裁の根幹とは、党の掟・党規が司法、憲法を含めて法の上に立つという了解であり、党幹部を裁くのは党中央だけである、というルールである。

 この党幹部を裁くのは党中央だけ、というルールは、習近平政権になってから、さらに党幹部を裁くのは習近平と王岐山である、に変わってきている。つまり、浦志強の「双規撤廃」への活動は、習近平体制への抵抗と受け止められたということだろう。

71歳のジャーナリスト、3度目の投獄

 高瑜の懲役7年の判決も衝撃であった。71歳になる彼女は、そのジャーナリスト人生において天安門事件後の90年、93年に続く3度目の投獄を経験することになった。人生で3度も、言論を理由に投獄されるジャーナリストなど、他の非民主国家でもあまり聞かない。彼女の罪状である国家機密漏洩とは、いわゆる「9号文件」(習近平のイデオロギー政策に関する内部通達文書。西側の民主、人権、公民の権利、市場経済など、7分野について中国の現状を批判する形で流布してはならないと通達するのを否定する内容、大学などで通達されている『七不講(七つのタブーな話題)』の基礎となっている)を外国メディア(米ニューヨークタイムズ、香港明鏡月刊)が2013年8月に報じたことに関与した、ということになっている。

 彼女は2014年4月24日突然、“失踪”。2週間後に機密漏洩で逮捕されていたことが明らかになった。さらに同年5月8日、起訴前の拘置所の中に中国中央テレビ(CCTV)のカメラが入り、彼女が自白と懺悔をする様子を全国に流した。裁判も経ずに、テレビで有罪を印象づけるこうした手法は、習近平政権の劇場型知識人弾圧というべきものだった。そして今年4月17日に北京市中級人民法院で懲役7年が言い渡された。

 これが冤罪であることは、誰もが内心わかっている。まず、9号文献の内容など、すでにネットで流布していたという。

 9号文件のスクープ報道をした明鏡月刊の出版元明鏡新聞出版(本社、米国)の総裁・何蘋は2013年8月時点ですでに流布していたと主張している。その年4月に、各部門に通達され、遼源日報など一部の地方紙はその内容を紙面で紹介し、メディアとして全面的に学習するように呼びかけたという。また明鏡月刊は文件の原文をかなり早い段階で入手しているが、表紙に「秘密」の文字もなければ、流出禁止の注意書きもなかった、と言う。「9号文件の全文を報じたのは、国家や人民の生活を損なうつもりはなく、ただ中国共産党のイデオロギー政策を紹介しただけ」としている。

 彼女を有罪にしたのは、機密漏洩などの問題ではなく、おそらくは中国のジャーナリスト、知識人が外国メディア・記者と自由に意見を交換することを牽制する目的であろうとうかがえる。

反動知識分子に厳しい打撃を

 イリハム・トフティは2014年1月15日、突然自宅に押し寄せた警官隊に「証拠」を押収され、「ネットを使って新疆独立を呼びかけていた」として「国家分裂容疑」で連行され、2月20日に正式に逮捕された。7月30日に起訴され9月23日に無期懲役の一審判決が出て、11月21日に一審判決が確定した。彼は2009年7月5日のウルムチ事件の背景であった当時の新疆ウイグル自治区党委書記の王楽泉の圧政に対する厳しい批判はしてきたが、決して、新疆独立派ではない。少なくとも胡錦濤政権は、彼の主張を受け入れる形で、ウルムチ事件後に一時拘束するも釈放し、王楽泉を更迭し、新疆政策の転換を図ろうとした。彼もまた、まぎれもない冤罪である。

 ではなぜ、習近平政権は、ニセの罪をでっちあげて彼ら体制内の知識分子たちを粛清するのだろうか。習近平は2014年8月19日に全国思想宣伝工作会議でおこなった重要講話(8・19講話)の中で「反動知識分子」について、こう語っている。「一部の知識分子はネットを利用して、党の指導、社会主義制度、国家政権に対し、デマを流し、攻撃し、誣告している。彼らに対し、必ず“厳しい打撃”を与えねばならない」「良い知識分子を奨励し、悪い知識分子を取り締まらねばならない」。

 習近平政権にとって良い知識分子とは自分を賞賛してくれる知識分子であり、自分の政策に批判的な知識分子は悪い知識分子である。悪い知識分子が公民運動家の許志永、イリハム・トフティ、高瑜、浦志強らだった。昨年来、知識分子たちの間では、こんな噂が立っている。「習近平政権は、知識分子のスケープゴートを非常に考え抜いて計画的に選んでいる。許志永が2014年1月に懲役4年の判決を受けたことで、新公民運動に打撃を与えた。続いてネットの微博で『大V』アカウントをもつ発信力のあるネットユーザー、ブロガーたちを威嚇し、続いて浦志強を逮捕することで人権派弁護士たちに容赦のない姿勢をみせて、高瑜にCCTV上で罪を認めさせて独立派ジャーナリストたちを恫喝した。今後もメディア界、評論界、学界で習近平にとって『悪い知識分子』が反動知識分子として狩られることだろう」。その業界で、もっとも有名かつ象徴的な人物をもっとも残酷な方法で見せしめにし、恐怖でもって知識分子たちをコントロールし、政権に従順にすることが狙いだというわけだ。

諫言を断罪、追従を強いる愚

 なので、冤罪であろうが、取り調べや裁判がフェアでなかろうが、政権の目的と全く関係ないのである。香港消息筋の話を信じれば、高瑜の懲役7年判決も、浦志強の起訴も習近平その人が決定したと言う。浦志強はすでに懲役8年から13年を党中央指導部が指示されているという噂もある。こういう状況なので今の中国国内の学者や記者、また日本を含む海外の大学などに在籍する中国人学者や特派員記者が習近平政権を肯定し、習近平をあたかも実力派の優秀な指導者だと賞賛するのは致し方ないことなのだろう。最近、そうした体制内学者や中国人記者たちをネタ元にしている外国メディアや外国の官僚たちに、習近平が非常に優秀な指導者であり政治家であるといった評価を言う人が増えている。

 だが、本当に優秀な為政者とはあえて諫言を聞き入れる人物であり、為政者に気に入られるような発言をするのではなく、あえてその過ちを指摘する人たちを“良い知識分子”とみなすことができる人物のことである。

 今の知識人狩りの様子を見る限りでは、習近平は決してすぐれた為政者ではない。その権力を正しく支え、国家のより良い運営に寄与してくれるはずの“良い知識分子”を自らの手で刈り取って、自分をヨイショするだけの“悪い知識分子”に取り囲まれたまま、どうやって「中国の夢」を叶えることができるだろうか。このままでは、中国に待ち受けているのは「悪夢」でしかない。

5/21Facebook 藤岡信勝氏記事について

欧米人は自分たちの歴史が白人以外の人種に如何に厳しかったかを自覚しているので、有徳の歴史を持つ国に言いがかりをつけ、足を引っ張ろうとします。トリデシャリス条約、重商主義、帝国主義(植民地主義)等、彼らは武力で有色人種を抑えてきました。いつも言っていますように、権威に騙されてはいけません。朝日新聞は戦前は戦争をあれだけ煽り、戦後はGHQの僕になり、今は中韓の奴隷にまで身を窶し隷従の道を進む「反戦平和教」を伝道しています。従軍慰安婦記事も特定国の思いを忖度して、意図的にデッチ上げられたのでしょう。こんなのが「クオリテイペーパー」なんて思わせられているのだから、日本国民の民度も相当低い。日本人が他国の主張に反論しなければ誰がやってくれますか?自分の頭で考え、事実に基づき反論する。それをせず、他人任せ、権威に縋って判断するのでは日本は他国の侵略を免れないでしょう。日本人全体の問題として捉えないと。今回も裏で中国か韓国が蠢いているのが分かります。報道しているのが朝鮮日報ですので。でも数字を挙げて反論すれば、白人も「sex slave」は使えなくなりました。こんなのはちょっと考えれば分かりそうなもの。如何に学者と言うのが頭が悪いかです。多分鼻薬が聞いているのでしょう。南京虐殺30万人もどうやって殺し、どうやって遺体処理したのかを考えれば荒唐無稽としか言いようがありません。彼らは何でも数字を大きく膨らませて声の大きさ、力のある人の買収で自分の正当性を主張します。こちらは事実、数字に基づいて反論していけば良い。「南京虐殺」や「従軍慰安婦」の存在に異論を述べると「極右」、「国粋主義者」、「人種差別主義者」等の悪罵を浴びせなきものにしようとします。日本人もですから。情報を自ら取り、自分の頭で考えることです。

記事

万事につけおっとり、のんびりしている日本の保守派も、さすがにここに来て度肝を抜かれ、危機感を感じ始めたようだ。5月5日に公表されたアメリカを中心とする歴史学者・日本研究者187人の対日批判声明は、その後賛同者がヨーロッパの学者の間にも増え、19日までに、その数457人に達したと朝日新聞(5月20日付け)が報道した。

 私はこれは彼等の既定の方針であり、署名者数はもっと増えて700人ぐらいまで行くのではないかと思う。それだけにとどまらない。日本の歴史学者も、外部の声に呼応して、1000人が署名した、といずれ発表するだろう。これも既定路線で、必ずそうなる。そうした内外からの圧力、日本包囲網、安倍政権への集中砲火の中で、ついに安倍さんは「侵略」への「謝罪」を70年談話に盛り込まなければならないように追い込まれる--これが、連中の作戦である。

 そう思っているうちに、その通りになった。歴史学研究会など、日本の歴史研究関連の16団体が、今月25日に東京で記者会見を行い、「旧日本軍の慰安婦問題に関する日本の歴史学会・歴史教育者団体声明」を発表する予定だ、と20日発表したのだ。彼等は、報道資料を通じ「慰安婦問題について、日本の歴史学会および歴史教育団体の意見を発表するため、半年近くにわたって準備を進めてきた」と説明した。その上で「旧日本軍が慰安婦の強制連行に深く関与したことは間違いのない事実だ」という内容を含め、歴史学や歴史教育の関係者たちの統一見解を発表する方針だという。これを報道しているのは、日本の新聞ではなく、朝鮮日報日本語版である。東京=ヤン・ジヘ特派員が書いた記事だ。話が出来すぎている。

 保守派の危機感の表れと思うのだが、夕刊フジが緊急寄稿を、と依頼してきた。その原稿が21日と22日に発売された同紙に載った。本文を以下に転載する。なお、これは編集担当者が送って来たもので、実際に掲載されたものは多少の変更が加えられていることをお含みおき下さい。

 教科書運動の同志・関野通夫さんら数人のグループが、「一番槍」と自称して、187人に英語の手紙を送った、私のこの小文も英訳してネットに投稿せよとの複数の専門家の注文もいただいたので、そうするつもりである。来月1日発売の雑誌『正論』には、私が20枚の反論を書いた。これはすでに茂木さんチームが英訳作業を進めている。出来上がったら署名者全員に送りつけるつもりだ。さらに、あの声明文を、徹底敵に批判した論文を今用意している。そして、日本の保守系学者の総力を結集して、毅然とした反撃の狼煙を上げるつもりだ。(以下、引用)

藤岡信勝氏緊急寄稿  夕刊フジ 5月21・22日発売号に掲載予定

藤岡信勝氏緊急寄稿 上

怪しい声明

反撃の覚悟

 安倍晋三首相が8月に発表する「戦後70年談話」を見据えて、欧米を中心とした日本研究者450人以上が署名した「日本の歴史家を支持する声明」が注目されている。韓国や中国の「民族主義的な暴言」を問題視する一方、日本政府に慰安婦問題など「過去の清算」を促している。当初、「比較的フェア」という見方もあったが、専門家が分析すると「怪しさ」や「狡猾な罠」も感じられるという。日本の知識人による反撃の覚悟とは。拓殖大学の藤岡信勝客員教授が緊急寄稿した。

     ◇

 欧米を中心とした各国の歴史学者・日本研究者187人の声明が発表されたのは今月5日だった。20日までに賛同者は457人に増加したと朝日新聞がうれしそうに報道している。朝日新聞、本日も反省なし。

 声明の趣旨は、戦後70年にあたり、安倍首相は日本の過去の戦争における「過ち」について、「全体的で偏見のない清算」をするように呼びかけ、慰安婦問題の解決に「大胆な行動」を期待する、というものである。明示していないが、安倍首相の「戦後70年談話」で「謝罪」せよと要求したものであると考えられる。

 それにしても、この声明は一体、何なのか。まことに怪しい。

 まず、誰にあてて出されたものか、名宛人がハッキリしない。代表者が誰なのかも分からない(=声明の署名者一覧は、名字のアルファベッド順に並んでいるだけ。取りまとめ役の1人としては、コネティカット大学のアレクシス・ダデン教授の名前が報じられている)。江戸時代、唐傘に円形に署名して首謀者を分からないようにした傘連判(かされんぱん)のようだ。連絡先の事務所も不明で、日付もない。いわば、怪文書の体裁だ。それでいて、首相官邸にも届けたというが、真偽、消息とも不明。

 タイトルは「日本の歴史家を支持する声明」である。この発想は、3月に米国の全米歴史学会の雑誌に投稿された「日本の歴史家たちと連帯する」とそっくりだ。この時は19人が署名した(後に1人が加わって20人)。テーマは米マグロウヒル社の世界史教科書に載っている、「慰安婦」というコラムの記述だった。

 昨年11月3日、産経新聞がマグロウヒル社の世界史教科書の内容を報道した。20万人の若い女性を強制連行し、天皇の贈り物であるとして部隊に下賜したというデタラメ極まりない、ひどい内容である。すると、今まで動いたことのない日本の外務省が、11月から12月にかけて、マグロウヒル社に訂正の申し入れをした。

 米国から見ると日本は属国である。「この国はどんな辱めを受けても反撃してこない特殊なところだ」と高をくくっていたら、意外にも反乱を起こした。ここは示しをつけなければならない、という雰囲気で文書は書かれていた。日本の軍慰安婦は「国営性奴隷制」であるというのが、本質規定だった。

 ところが、今回の声明には「強制連行」「性奴隷」「20万人」などの言葉がすっかり消えているのである。驚くべき変化だ。

 実は、5月の187人の署名者の中には、3月の19人の文書にも名を連ねた人物が12人もいるのである。3月の声明と5月の声明の間に、一体何があったのか。そこには、日本側の毅然とした反論があったのだ。

<別項>

 問題の声明は今月5日、「日本の歴史家を支持する声明」として発表された。ベストセラー『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の著者であるハーバード大学のエズラ・ボーゲル名誉教授ら187人が名前を連ねていたが、21日までにオランダ人ジャーナリスト、イアン・ブルマ氏ら約270人が新たに署名し、450人を超えたという。

 声明の中身だが、「戦後日本が守ってきた民主主義、自衛隊への文民統制、政治的寛容さなどは祝福に値する」としたうえで、「慰安婦問題などの歴史解釈が(祝福の)障害となっている」と指摘している。

 一方で、「韓国と中国の民族主義的な暴言にもゆがめられてきた」と明言。韓国側が「20万人以上」などと主張する慰安婦の数についても「恐らく、永久に正確な数字が確定されることはない」とした。韓国や左派勢力が使う「性奴隷」(Sex slaves)といった言葉は使われていない。

 安倍晋三首相が4月の米上下両院合同会議での演説で「人権という普遍的価値、人間の安全保障の重要性、そして他国に与えた苦しみを直視する必要性」について語ったことを称賛し、「その一つ一つに基づいて大胆に行動することを首相に期待してやみません」と訴えている。

 声明の最後には「ここに表明されている意見は、いかなる組織や機関を代表したものではなく、署名した個々の研究者の総意にすぎません」とあった。

藤岡信勝氏緊急寄稿 下

 3月の声明「日本の歴史家たちと連帯する」と、5月の「日本の歴史家を支持する声明」の間には、日本側の動きがあった。現代史家の秦郁彦氏を代表とする日本の歴史家19人が3月17日、米大手教育出版社「マグロウヒル」の教科書の誤り8カ所を指摘し、同社に訂正勧告をした。

 一例をあげよう。

 教科書は、慰安婦の総数を「20万人」としつつ、「慰安婦が毎日20人~30人の男性を相手にした」と書いている。そうすると、日本軍は毎日、400万回~600万回の性的奉仕を調達したことになる。他方、相手となるべき日本陸軍の海外兵力は、最盛期の1943年で100万人であった。そこで、教科書に従えば、彼らは全員が「毎日4回~6回」慰安所に通ったことになる。これでは戦闘準備をする時間はおろか、まともに生活する暇もなくなる。

 こうした反論は、手裏剣のように相手の論理の急所に突き刺さった。さすがに「20万」という数字は言えなくなった。この推定が当たっているとすると、日本からの訂正勧告は、今年の歴史戦の大戦果の1つになる。

 187人の署名者の中には、3月の19人の文書にも名を連ねた人物が12人もいる。それらの人々が自説を変えたのなら、まずマグロウヒル社の教科書是正をわれわれと一緒に要求すべきだ。

 187人の文書では、戦後日本の国際貢献をやたらに持ち上げている。「世界の祝福に値する」とまで言う。だが、それは1つの伏線で、その祝福を受けるにあたって障害となっているものが「歴史解釈」の問題だとして慰安婦問題を持ち出すのである。

 「20世紀に繰り広げられた数々の戦時における性的暴力と軍隊にまつわる売春のなかでも、『慰安婦』制度はその規模の大きさと、軍隊による組織的な管理が行われたという点において、そして、日本の植民地と占領地から、貧しく弱い立場にいた女性を搾取したという点において、特筆すべきものであります」

 何のことはない。「19人」は刑事部屋の鬼刑事である。被疑者を恫喝(どうかつ)してひたす自白させようとする。嘘がバレてうまくいかなくなったので、今度は「187人」は温情刑事として登場する。「お前さんはいいこともした。罪を認めて謝罪すればもっと褒められる」という。どっちも謝罪させようとする目的は同一なのだ。

 政府は怪文書(声明)を無視したらいい。民間では徹底的に論争する。反日包囲網を敷かれても真実はこちらにあるから、必ず勝利する、と私は確信している。

5/17北野伯幸メルマガ『AIIBショックで、アメリカはロシアとの和解に動く』記事について

昨日ブログのアップ時にトラブルがあり、午前中は開けませんでした。原因はファイル名かと思いましたが、ウイルスバスターを活かしたまま「サイトの公開」をしたためとのこと。今まで充分注意してきたのですが一昨日飲みすぎて頭が注意力散漫になったためです。でも次回同じことが起きても、対応策を聞きましたので一安心です。

一昨日の練習艦出国式に米国駐在武官も来ていました。マッカーサーに似た感じでしたのですぐにアメリカ人だと分かりました。軍関係者は民主党支持者であっても、オバマの優柔不断、反軍、軍事忌避、黒人逆差別の対応は嫌うでしょう。2017年1月20日までの任期ですから、それまで忍の一字なのかもしれませんが。その間に盗める物、取れる者は取ろうと中露は考えていると思います。南沙諸島の中国軍事基地造営に対し、米国防総省は「次の段階は12海里進入」と報道がありました。防空識別圏を設定した時にB52を飛ばしたように、口先だけでなくキチンとやる事が大事。宥和政策はチエンバレンの例を持ち出さなくても戦争に繋がります。抑止力行使を相手に伝えないと。

やっとアメリカも中国の意図を理解し出したという所でしょう。中国はスマートに賄賂を贈る国です。オピニオンリーダーに法外な金を贈っているという話を聞いたこともあります。でもやっとその危険性に目覚めたのでしょう。習近平様様でしょう。韜光養晦を演じていれば日本もアメリカも油断していたと思いますが、習のあからさまな野心を目の当たりにして気づき出しました。新冷戦で終わるかどうかです。戦争をさせないという意味で習の権力は剥奪される(暗殺も含め)可能性が高くなってきていると感じます。ルトワックが言うように、ロシアを味方に付ければ包囲網ができますので完璧です。

記事

中国主導でつくられた「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)。これは、やはり「歴史的大事件」だったようです。57か国が参加を表明。その中には、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、オーストラリア、イスラエル、韓国などなど、「親米諸国」も山ほどいる。しかもこれらの国々は、アメリカの「入るなよ命令」を無視して参加した。

「誰も俺のいうことを聞いてくれない・・・」(オバマ)

「覇権国家」の面目丸つぶれであります。

しかし、我が国日本だけは、アメリカを裏切りませんでした。

それで、RPEは4月13日号で、「AIIBは、安倍政権にとって第3の【神風】である!」と書きました。

(●詳細はこちら http://archive.mag2.com/0000012950/20150413000000001.html )

そして、安倍総理の、すばらしい米議会演説。

これで、アメリカにとって日本は、イギリス、イスラエル以上に緊密な国になった。

ちょっと前まで、「右翼」「軍国主義者」「歴史修正主義者」だったはずの安倍総理は、「アメリカ最大の親友」に格上げされたのです。

(●安倍演説の戦略的意義、詳細はこちら。http://diamond.jp/articles/-/71510  )

さて、「AIIB」でアメリカの面目はつぶされた。

しかし、それで素直に覇権を中国にゆずるほど、アメリカは落ちぶれていません。必ず「リベンジに動くだろう」。

私は、アメリカの「リベンジ戦略」の詳細を予想し、ダイヤモンド・オンラインに記事を書きました。

http://diamond.jp/articles/-/70786

その一つが、「アメリカはロシアと和解に動く可能性がある」でした。

一部引用してみましょう。

【転載ここから▼】

<最後に、米国が中国に勝つために「ロシアと和解する可能性」について触れておこう。

「そんなバカな!」「モスクワ在住筆者の妄想だ!」──。

恐らくそんな反応が返ってくるだろう。

しかし、歴史は、「米国は勝利するためなら敵とも組む」ことを教えている。

たとえば第2次大戦時、米国は、「資本主義打倒」「米帝打倒」を国是とするソ連と組み、ナチス・ドイツ、日本と戦った。

そして、冷戦がはじまると、米国はかつて敵だった日本、ドイツ(西ドイツ)と組んだ。

さらに、米国は70年代、ソ連に勝つために中国と和解している。

こう見ると、米国が現在の敵・ロシアと組んでも、まったくおかしくはない。

ニクソンは、ソ連に勝つために、中国と組んだ。

今度は、中国に勝つために、ロシアと組む。

実をいうと、これを主張しているのは、筆者ではない。

日本ではあまり報じられていないが、大物リアリストたち、たとえばヘンリー・キッシンジャー、ジョン・ミアシャイマー(シカゴ大学)、スティーブン・ウォルト(ハーバード大学)などが、「米国はロシアと和解すべき」と主張している

(親中派として知られたキッシンジャーやズビグニュー・ブレジンスキーは、中国の本性を知り、親中派を「卒業」したという)。

理由は簡単で、「米国とロシアが戦えば、得をするのは中国だから」だ。

そして、「AIIB事件」で明らかになったように、中国は今、世界でもっとも(正確にいえば米国に次いで)「覇権」に近いところにいる。

米ロが戦って、「中国に覇権をプレゼントするのは愚かだ」というわけだ。

さらに、米国一の「戦略家」エドワード・ルトワックは、その著書「自滅する中国」の中で、「ロシアを中国包囲網に入れる重要性」を繰り返し説いている。

また、ルトワックは、日本が独立を維持できるか、それとも中国の属国になるかどうかについて、以下のように述べている。

<もちろん日本自身の決意とアメリカからの支持が最も重要な要素になるのだが、ロシアがそこに参加してくれるのかどうかという点も極めて重要であり、むしろそれが決定的なものになる可能性がある。(188p)>

ルトワックが主張するように、ロシアを米国側に引き入れることができれば、米国の勝利は確実だろう。【転載ここまで▲】

で、実際何が起こったか?

▼ケリーがロシアにやってきた

アメリカのケリー国務長官が5月12日、ソチにやってきました。

<露訪問の米国務長官、ウクライナ停戦履行なら「制裁解除あり得る」

AFP=時事 5月13日(水)7時13分配信

【AFP=時事】米国のジョン・ケリー(John Kerry)国務長官は12日、ロシアを訪問し、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領とセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相とそれぞれ4時間、合わせて8時間に及ぶ会談を行った。

その後ケリー氏は、ウクライナの不安定な停戦合意が完全に履行されるならばその時点で、欧米がロシアに科している制裁を解除することもあり得るという見解を示した。>

引用部分は短いですが、とても重要な内容を含んでいます。

まず、ケリーさんがロシアに来るのは、「クリミア併合後」はじめてである。

日韓のことを考えればわかりますが、両国関係が悪いと、なかなか訪問になりません。

「ケリーさんがやってきた」

それだけでも、まず大事件です。

次に、ケリーさんは、プーチンと4時間会談。

ラブロフ外相と4時間会談。

テーマは、シリア、イラン、ウクライナだったとか。

それにして、プーチンと4時間。

「悪魔」「ヒトラーの生まれ変わり」と批判していた男と、何をそんなに話したのでしょうね?

これ、個人でもそうですが、仲良くしたくない相手とは、長く話さないものです。

仕事でもそうでしょう?

取引したくない相手には、あまりご馳走もせず、「すいません次の予定が入っておりますので」などといって、かえってもらうでしょう。

つまり、アメリカ側もロシア側も、「仲直りしたい」という意思がある。

3番目、ケリーさんは決定的なことをいいます。

<ケリー氏は、ウクライナの不安定な停戦合意が完全に履行されるならばその時点で、欧米がロシアに科している制裁を解除することもあり得るという見解を示した。>

「制裁解除もあり得る!!!」

「AIIB」前と後で、アメリカの対ロシア姿勢は明らかに変化しています。

つまり、「軟化」しているのです。

4番目、この記事では触れられていませんが、ロシアのニュースでいっていました。

「ケリーは、『クリミア』について一度も触れなかった」

これは、要するに、「クリミアはロシア領と認めないけど、黙認ということで『手打ち』にしたい」ということではないでしょうか?いずれにしても、「AIIB事件」でアメリカは、「主敵は中国だ!」ということを、ようやく認識したのだと思います。

アメリカはこれまで、三つの地域で問題を抱えていました。

つまり、

・中東

・ウクライナーロシア

・東シナ海、南シナ海ー中国

中東に関して、アメリカはイランとの和解に動き、イスラエルが怒っている。

そして、ウクライナを見捨ててロシアとの和解に動き始めた。

これは、三つの戦線のうち二つをしめて、「中国との戦いに集中する」という意志の現れでしょう。

これは、私たちが12年前に描いた「日本必勝スキーム」への第1歩なのでしょうか?

まだ流動的ではありますが、期待したいと思います

5/21海上自衛隊練習艦出国式参加について

昨日「防人を励ます会」の一員として表題儀式に参加しました。詳しくは下記の通りですが、朝早くから家族の方の見送りの行列ができていました。式は感動ものです。言葉では言い難い部分があります。やはり参加して初めて心が揺さぶられるのに気付くのではと思います。

なお、来賓として8ケ国の大使と4ケ国の駐在武官が参列しました。

https://youtu.be/T-sVC7CjPGg

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