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『「統計ねつ造」を認めた遼寧省、マイナス成長に それでも「政府に対する信頼度」は中国が世界一?』(1/27日経ビジネスオンライン 北村豊)、『今年の重点施策で、中国が「日本に学べ」の大号令 しかし日本企業の協力を得るには強力な施策が必要』(1/27JBプレス 瀬口清之)について

北村氏の記事でエデルマン指数と言うのが挙げられていますが、1位インド、2位インドネシア、3位中国と言うのを見て、「居住する国の政府、企業、メディア、NGOに対する信頼度」でなく、腐敗度の世界ランキングかと思いました。北朝鮮が28ケ国に入っているかどうか不明ですが、入っていればダントツの1位になるのでは。銃剣を突き付けられて政府を信任するでしょうから。中国が今まで1位だったという事は、独裁国家の方が政府への信頼が厚いという事でしょう。順位を下げた今年は調査のやり方を変えたのかどうか。日本が低いのは健全な証拠。政府を批判できる言論の自由があるからです。アパホテルについて中国政府を始めとして国を挙げて批判する体制より余程良いでしょう。所詮、グローバリストの基準に合わせた評価ですから、こんなものは論評する価値はないと思っています。

遼寧省のデータ捏造の記事で、日本でも1/27日経電子版に「改ざんに計上ミス…揺らぐ政府統計 」と言う記事が載りました。

<政府の統計が揺れている。経済産業省の繊維流通統計では改ざん、国土交通省の建築着工統計では計上ミスが相次いで発覚。政府内で統計の司令塔的な役割を担う総務省の統計委員会は27日、これらの事態を重くみて、両省が報告した原因と再発防止策を検証した。浮かび上がるのは各省で統計に基礎的な知識を持つ人材の不足と統計軽視の姿勢だ。

■「限りなく犯罪に近い」

27日に開かれた統計委員会(東京・新宿)

「はっきり言って捏造(ねつぞう)ですよ。犯罪に限りなく近い」。統計委員会の西村清彦委員長は怒りをあらわにした。出席した有識者からは「政府一丸となって統計改善に取り組む矢先の問題」「公的統計全体の信頼を揺るがす」などと危惧する声が相次いだ。「信頼性を損ないかねない、心からわびる」。経産省の糟谷敏秀製造産業局長が事態を報告して謝罪。統計法の研修、チェック機能の強化といった再発防止策を説明した。「局長が出るのは極めて異例。それだけ事態が重大ということだ」(統計委員会幹部)。会議は予定の終了時刻より30分長引いた。

事態は調査票の電子化などを請け負っていた業者が昨年11月に経産省を訪れ、集計結果と公表結果が違うと指摘して発覚した。調査対象は約730社としているが、うち315社は指定された名簿に載っていない業者を形式的に追加。実際に回答が得られたのは257社しかなかったため、担当者が過去の回答を流用して回答数を水増し。さらに6年間かけて水増しした分を徐々に減らそうとした。改ざんは12年からなされていたことが確認されたが、それ以前のデータは既に破棄され、改ざんの有無も把握できなかった。

経産省の内部の調査によると、報告書では一連の処理が課長まで了解を得た上での組織ぐるみの対応であることが明らかになった。さらに経産省は「実態に近づける目的で実施した」と理由を説明したが「調べてもいないのに実態って何なのか」といった反論を招き、報告書を再度提出することになった。経産省は16年9月分をもって同統計の廃止を発表。繊維産業が盛んだったころは景気動向の把握に役立ったが、近年は「ほとんどユーザーがいなかった」(関係者)。ニーズを考えず、惰性で調査を続けていたという現実も浮き彫りになった。

国土交通省は昨年12月、建築着工統計を13年までの過去に遡り、4カ月分修正した。国内総生産(GDP)の推計に使う部分も一部含まれており、額の大きさによってはGDPの修正につながる恐れもある。同統計は建築業者などが出す工事届の内容から都道府県が調査表をまとめ、国交省が集計する。都道府県が工事費予定額を1ケタ誤ったり、着工月から2年遅れて集計したりしていた。

■集計ミス、日銀が指摘

国交省は「外部からの指摘で判明した」と説明したが、複数の関係者によると、指摘したのは日銀だ。商業施設など大きな工事は不動産業者が投資額含め公表する場合が多い。「リリースと統計の前月からの動きを照合すれば気づけたはず」と関係者はみる。

今回の問題が発覚したのは、いずれも統計を公表している政府自身ではなく、統計作成の請負業者と金融政策における統計ユーザーという外部だった。「自浄作用が働かなかったのは非常に深刻」(西村氏)。今でこそ統計改善への関心が高まり、予算や人員の配分増を訴える声も多い。だが長年の統計軽視の姿勢は、国の統計職員数が10年間で7割減ったことからも明らかだ。「公務員の総数を増やせないなか、統計部署は各省のスクラップ源となってきた」(内閣府幹部)。ビッグデータの活用など新たな分野開拓に沸く裏で、人材育成という地道に取り組むべき課題が待ち受けている。(大島有美子)>(以上)

日本も劣化が進んでいるという事です。東芝やタカタ、三菱自動車、東洋ゴムの問題は氷山の一角で他の日本企業も隠れた問題は沢山あるのでは。役員が不正に気付いても、自分の任期中は明らかにしない姿勢で蓋をし、誤魔化しきれない時点になって発覚するようになるのでは。コンプライアンス重視なんて口先だけです。経営者が自分の利益を優先させる米国式経営管理法や不正が当たり前の中国式経営管理法にドップリ浸かった為でしょう。「朱に交われば赤くなる」です。ただ、トランプ大統領になって米国も国民への分配重視に変わる可能性があります。日本の経営者も海外で稼いだ利益を日本に還流させ、社員に厚く分配することをしなければ国内消費も伸びないでしょう。

中国のデータの改竄は本ブログで何度も言ってきていますので、遼寧省のデータ改竄について別に驚きはありません。高橋洋一氏も田村秀男氏も中国のGDPは▲3%程度と発言しています。ただ、遼寧省と言う所がミソで習近平が遼寧省書記だった李克強に対する嫌がらせでヤラしたものと思われます。日経が北村氏の記事に合わせてこの記事を載せたのは、中国に「日本でもやっている」と中国内で記事にして不正の印象を薄めるためでは。北村氏も中国の新聞を読んで本記事に引用していると思われます。日銀出身の西村清彦氏主導で会議を運営し、中国様を大事にする日経に書かせたと睨んでいます。それとJBプレスの瀬口氏も日銀出身です。何となく平仄が合うような気がします。

瀬口氏は「日本企業にもっと中国へ投資、技術支援しろ」と言いたいのでしょう。でも米中対決が囁かれる中、誰が敵国の中国に投資しますか?資産接収されるのが分かっていて。瀬口氏は自分の退職金を担保にして、中国の銀行から融資を受けて投資すれば良い。間違った方向に議論を誘導するのは止めてほしい。中国は軍拡に邁進し、尖閣はおろか沖縄、日本、西太平洋、南シナ海への領土拡張の野望は留まる所を知りません。戦争と言う手段でなく、経済と言う手段で中国を封じ込めるのが一番良いという発想に何故立てないのでしょうか?それは平和ボケだからです。日本人は権威に弱いので、多数の人は彼の意見を鵜呑みにするかも知れませんが。平和主義者が戦争を引き起こす事例となるでしょう。

「騙すのが賢く、騙されるのが馬鹿」という基本的価値観の中国で、反日を煽ってきたのをかなぐり捨てて日本に支援を求めて来た(「日本に学べ」なんてお世辞以外の何物でもない。心にもないことを言うなと言いたい)のは如何に中国の台所事情が苦しくなってきたかという事を表していると思います。真水の外貨準備も少なくなってきているようで(表面の外貨準備が2.8兆$を切ると危ないと言われています)、日本は間違っても通貨スワップ等で中国を助けないように。『非韓三原則』同様『非中三原則』が正しい姿勢です。でも、東大卒のエリートと言われる人は学力だけが高く、大局観がありません。軍事や歴史に無知だからでしょう。中国の手先になっているという自覚がありません。

北村記事

1月16日、米国のPR会社「エデルマン(Edelman)」は2017年の「エデルマン信頼度バロメーター( Edelman Trust Barometer)」(以下「信頼度指標」)を発表した。エデルマン社は、毎年年初の1~2月にスイスの保養地「ダボス(Davos)」で開催される世界経済フォーラムの年次総会「ダボス会議(World Economic Forum Annual Meeting)」に合わせて信頼度指標を発表し、ダボス会議初日の朝に行われるエデルマン社主催の朝食会で同社CEOが当該指標について報告を行うのが慣例となっている。今年のダボス会議は1月17日から20日までの4日間開催されたが、初日の17日朝にエデルマン社CEOによる信頼度指標に関する報告が行われた。

「政府に対する信頼度」中国が第1位?

2017年の信頼度指標は、2016年10月13日から11月16日までの期間に世界28か国の約3万300人を対象に各人が居住する国の政府、企業、メディア、NGOに対する信頼度について評価してもらった結果を取りまとめたものである。4項目を総合した信頼度(28か国平均:47%)は、第1位:インド(72%)、第2位:インドネシア(69%)、第3位:中国(67%)であった。中国は2016年の信頼度指標では73%で第1位であったから、2017年は信頼度が前年に比べて6%低下したことになる。<注1>

<注1>2017年信頼度指標で日本は4項目総合では28か国中の第25位(35%)であったが、後述する政府に対する信頼度では37%で第14位であった。

さて、上述の通り、中国は2017年信頼度指標の4項目総合では第3位であったが、そのうちの政府に対する信頼度(28か国平均:41%)では76%で第1位であった。中国の政府に対する信頼度指標を過去に遡って調べると、2010年:74%、2011年:88%、2012年:75%、2013年:81%、2014年:76%、2015年:82%、2016年:79%であり、基本的に第1位から第3位の間に位置していて、政府に対する信頼度は非常に高く、盤石という結果になっている。

今年のダボス会議には中国“国家主席”の“習近平”が初参加し、会議初日の1月17日に基調講演を行い、3日後に迫るトランプ次期米大統領の就任を念頭に、欧米諸国に蔓延する保守主義的傾向に懸念を表明し、経済グローバル化の重要性を強調した。エデルマン社が発表した2017年信頼度指標のうちの「政府に対する信頼度」で中国が世界28か国中の第1位であったことを習近平が知っていたかどうかは分からないが、国民の中国政府に対する信頼度の高さが習近平の発言に重みを持たせる役割を幾ばくか果たした可能性は否定できない。

ところで、多少なりとも中国の国情を知っている者なら、「政府に対する信頼度」で中国が世界28か国中の第1位(76%)であるとするエデルマン社の2017年信頼度指標に疑問を抱かざるを得ないし、上述した過去の信頼度指標の数字も到底信じられないだろう。エデルマン社の中国における信頼度調査の対象者は一体どのような基準で選定されているのか。選定されて調査対象者となった人々がいかなる圧力も受けることなく、自分の考えを素直に表明していれば、政府の対する信頼度が上述したような高い数字を示すはずはないと思うのだが、これは間違っているだろうか。

さて、話は本題に入る。2017年1月17日、遼寧省の第12期人民代表大会第8回会議が省都“瀋陽市”の“遼寧人民会堂”で人民代表571人出席の下で開幕した。開幕直後に“遼寧省党委員会副書記”兼“遼寧省長”の“陳求発”が遼寧省政府を代表して「“省政府工作報告(業務報告)”」を行い、「2016年に遼寧省は多大な困難を克服し、財政収入は前年比3.4%増の2199億元(約3兆6720億円)を実現し、予算超過で目標を達成した」と述べた。

遼寧省、データねつ造を公式に発表

2016年の財政収入は前年比3.4%増であったが、2014年の財政収入は前年比23%増であったから、両者を比較すれば財政収入の伸びは20%も減少したことになる。この点について、陳求発は「このような差異が生じたのは、過去に出現した問題による数字の食い違いを回避することができなかった」と述べた後に、2016年に“国家審計署(会計検査院)”が発行した報告書を引用して、「遼寧省の管轄下にある“市”および“県”には、2011年から2014年まで財政データのねつ造が普遍的に存在した。それは長期間にわたって継続し、関係する範囲も大きく、多種多様な手法が用いられていたなどの特色があった」と言明した。すなわち、陳求発は、2011年から2014年の4年間に“官出数字, 数字出官(役人が数字を作り、数字が役人を出世させる)”問題が存在し、経済データに“水分(水増し)”が加えられたことを遼寧省として初めて公式に確認したのだった。

今から10年以上前の2005年8月28日付でニュースサイト「人民網(ネット)」が報じた「人民日報」編集員“夏長勇”の『人民時評:“官出数字, 数字出官”はいつ終わるのか』という記事には次のような記載がある。

【1】少し前にメディアが報じたところによれば、関係部門はすでに統計法改正指導グループを組織しており、統計法の改正作業は具体的な実施段階に入っている。統計法を改正したとしても、現在統計数字の水増し現象は絶えず深刻さを増している。

【2】“政績不够, 数字来凑, 官出数字, 数字出官(政務上の業績が不足なら、数字をかき集めれば良い。役人が数字を作り、数字が役人を出世させる)”。この有名な“順口溜(早口言葉)”は何年も前に流行したものだが、悲しいことに今日でもまだ時代遅れになっておらず、役人は数字をねつ造してさらに大きな官職を盗み取る。こうした事件は常に報じられるが、古い話であっても蒸し返して十分分析することが必要である。

【3】数字の水増しは個別の現象だろうか。そうは言えまい。今年(2005年)の年初、メディアが報じたニュースには驚かされた。2004年の各省・自治区・直轄市が中央政府に報告した通年のGDP(国民総生産)<注2>を取りまとめた数字は、“国家統計局”が発表したGDPの伸び率に比べて3.9%も高かった。この差は2兆6582億元(約44兆1260億円)だった。今年はすでに半分以上を経過したが、この方面の状況は改善されたのか。私は楽観していない。それは目下、“数字出官(数字が役人を出世させる)”という奥義を熟知している人は少数ではないからである。少なからぬ地方では、役人の上から下までが数字のねつ造に狂奔しており、それが出世への通行手形となっている。これは非公開の事実であり、多くの幹部たちはそれを見慣れてしまっている。

<注2>中国では一級行政区(省・自治区・直轄市)のGRP(域内総生産)をGDP(国内総生産)と呼び、それらを取りまとめたものを国家のGDPとして発表している。

上記の記事からも分かるように、“官出数字, 数字出官”は長年にわたって培われた役人が出世するための奥義であり、非公開のものだったが、陳求発はこの事実を白日の下に晒したのだった。遼寧省の経済専門家によれば、遼寧省の一部の“県”や“区”は過去に経済データを少なくとも20~30%水増ししていた。瀋陽市周辺のある県では、2013年の財政収入は24億元(約400億円)であったが、“国家審計署”の検査後に修正した金額は11億元(約180億円)に満たなかった。また、2015年に“国家審計署”が発表した資料によれば、2013年に遼寧省“鞍山市”に属する“岫岩満族自治県”の財政収入は8.47億元(約140億円)であったが、これは大幅な水増しによるもので、実際の財政収入を127%も上回っていた。

順繰りの水増しで膨れ上がる

この点について、腐敗に取り組む国際NGO「トランスペアレンシー・インターナショナル(Transparency International)」アジア太平洋地区責任者の“寥然(Liao Ran)”は、次のように述べている。すなわち、中国大陸では、役人による統計データのねつ造は、中国共産党が政権を打ち立てた時から今日までずっと存続している。高い成長を示す経済データは政務上の業績である。要するに、役人は上部機関から与えられた目標値の達成を義務付けられ、目標値をどれだけ上回ることができるかで業績を評価され、昇進が促される仕組みになっている。

そうであれば、「馬鹿正直に正確な数字を提出するより、適当に水増しした数字を上部組織に提出して、出世コースに乗るに越したことはない」と考えるのは世の常で、水増しが露見したら露見した時のことと腹をくくり、誰もがやっているから皆で渡れば怖くないと、各地・各階級の役人が数字の水増し競争に現(うつつ)を抜かすことになる。GDPや財政収入などの業績として考慮される数字が、末端の“鎮”・“郷”から“県”、“市”を経て“省”へ報告されるまでには、順繰りに水増しされて膨れ上がり、最終的なねつ造数字が形成されるのである。

機密情報公開サイト「ウィキリークス」は、2010年に李克強にまつわる米国務省のメモを公開した。それは、まだ李克強が遼寧省のNo.1である“遼寧省党委員会書記”であった2007年3月12日に、当時北京市で開催中であった“両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)”に参加していた李克強は米国駐中国大使館の招待を受けて、同大使館内でランド大使(Clark. T. Randt, Jr.)と会食したというものであった。

「李克強指数」以外は参考まで

この会食の席上で、遼寧省の経済状況に言及した李克強は、「中国のGDPは人為的に作られたもので、信憑性が低い。遼寧省の経済状況を把握するには、〔1〕電力消費量、〔2〕鉄道運輸量、〔3〕銀行融資総額の3項目に重点を置いて分析すれば、比較的正確な経済成長速度を算定することができる」と述べた上で、笑いながら「その他の数字、とりわけGDPのような統計データは参考でしかない」と言明したという。これを受けて、2012年12月9日付の英誌「エコノミスト」は、上記の内容を報じ、李克強が提起した3項目の数字を中国経済分析のための「李克強指数(Keqiang Index)」<注3>と命名した。

<注3>李克強のローマ字表記は“Li Keqiang”。

一方、“中国共産党中央委員会”の機関紙「人民日報」は2016年12月8日付で国家統計局長の“寧吉喆”が寄稿した『法に基づき統計し、法に基づき統計を管理することを堅持し、統計データの真の正確性を確保する』と題する文章を掲載した。寧吉喆はこの文章の中で、統計データのねつ造について次のように述べている。

『“中国共産党紀律処分条例”』は、“弄虚作假(ねつ造)”行為に対しては、直接責任者と指導責任者をその情状の程度に応じて、“警告”あるいは“留党察看(党籍保留のまま謹慎)”の処分を与えると規定している。総書記の習近平、国務院総理の李克強、同じく副総理の“張高麗”は、基礎データの質を高め、統計のねつ造を厳罰に処さねばならないと、幾度も指示を出している。それにもかかわらず、現在も一部の地方では統計のねつ造が時々発生している。これは統計法規違反の行為であり、党の思想路線に背き、最低限守るべき党規約に抵触している。

中国の統計をつかさどる国家統計局の最高責任者が、地方政府による統計データねつ造の存在を公式に認めたのは前代未聞のことであり、「一部の地方」と言葉を濁しているが、実際は統計データのねつ造が全国的に蔓延している可能性を伺わせたのだった。

上述した遼寧省長の陳求発による遼寧省内の一部の県や区で過去に数字の水増しによる統計データのねつ造が行われていたとの発言は、1か月前に統計データのねつ造が存在することに言及した国家統計局長の寄稿文に誘発されたものと言えるのかもしれない。

監視下ではマイナス成長に

2016年第1四半期(1~3月)のGDPは、遼寧省が全国31省・自治区・直轄市の中で唯一マイナス成長となり、GDP成長率はマイナス1.3%となった。なお、遼寧省の2015年通年のGDP成長率は3.0%であったが、これも全国31省・自治区・直轄市の中で最低の成長率であった。実は、2014年に“中央巡視組(中央巡視チーム)”<注4>が遼寧省を巡視した際に、すでに遼寧省の経済データに虚偽があることを確認していた。遼寧省に対する中央巡視チームによる再検査は2年後の2016年2月27日から4月28日までの2か月間行われたが、経済データに水増しのねつ造が存在することを改めて確認する結果となり、過去2年間に遼寧省が水増し分を絞り出してねつ造問題の徹底的な解決を図った形跡が全くないことが判明した。

<注4>中国共産党の“中央紀律検査委員会(党の監督機関)”と“中央委員会組織部(人事の担当機関)”が連合して設立した中央政府や地方政府による党紀違反や法律違反を査察する組織。

上述した2016年第1四半期のGDPは同年5月26日までに遼寧省と黒龍江省を除く29の一級行政区が数字を公表していたが、当該第1四半期に中央巡視チームの検査を受けていた遼寧省と黒龍江省はGDP数字の発表時期を大きく後ろにずらさざるを得なかった。遼寧省は中央巡視チームが検査する中では、経済データをねつ造することができず、最終的には実際に近い数字を出したため、GDPはマイナス成長に転落したのだった。ちなみに、遼寧省のGDP成長率は、2016年上半期がマイナス1.0%、第3四半期がマイナス2.2%であった。2017年1月24日時点では2016年通年の各一級行政区のGDPは公表されておらず、遼寧省のGDP成長率がどうなったかは分からないが、恐らくマイナス成長からの脱却は不可能だろう。

遼寧省では2015年に財政収入が二桁の落ち込みを示した。遼寧省長の陳求発は、2016年1月に行った「省政府工作報告」でその原因に言及した後、「我々は面子上みっともないという圧力を受けつつ、真剣に水増し分の除去に努め、2015年の財政データを確固たるものとし、2016年以降はその他の経済データも確かなものとするよう努力する」と述べていた。

しかし、遼寧省は水増し分の除去努力を怠ったばかりか、旧態依然の“官出数字, 数字出官”の発想から脱却できなかったために、全国最下位のGDP成長率、しかもマイナスの成長率で呻吟(しんぎん)している。中国経済が下降線をたどる中、遼寧省に危機が迫っている。

瀬口記事

2015年、フランスを訪問した中国の李克強首相。右はフランスのフランソワ・オランド大統領と〔AFPBB News〕

1.本年の経済政策運営の基本方針

中国の李克強総理は2016年12月16日、中央経済工作会議において翌2017年の経済政策運営の基本方針を発表した。

昨年は成長率目標達成重視か構造改革推進重視かで政府内部の意思統一が徹底できておらず、2016年5月に共産党上層部から国務院(行政府)および全国の地方政府に対して、改革推進への注力を促す意見が人民日報に掲載されるなど、習近平政権内部の不協和音が表面化した。

それだけに、今年の経済政策運営の基本方針がどのような形で発表されるか注目されていた。発表された基本方針は構想改革推進を重視する内容となっている。

3大方針の第1は「新常態」だ。これは2014年8月に人民日報に掲載されて有名になった言葉であるが、2012年11月に習近平政権が発足した当初から現在に至るまで、同政権の経済政策運営は一貫してこの方針に基づいていると言っていい。

その中身を簡潔に表現すれば、経済成長速度の適正化と経済構造の筋肉質化である。この大方針の下で2012年以降、中国経済は雇用と物価の安定を保持し、マクロ経済政策面では良好なパフォーマンスを持続している。

一方、経済構造改革面では前政権が先送りした問題が山積している。特に重工業を中心とする過剰設備の問題と中小都市における不動産過剰在庫問題は深刻だ。

それらの削減を加速して、肥満体質の非効率な経済構造をスリムで効率的なものに改善するというのが「新常態」が目指すゴールである。

第2は「サプライサイド改革」である。これは「新常態」という大方針の中核をなす政策方針であり、構造改革により経済の質向上、効率改善、経済社会の公平化、持続的発展などの実現を目指す概念である。

第3は中国語で「穏中求進」と表現されている方針である。経済の安定を保持しながら前進を目指すという意味である。これは「新常態」の下でのマクロ経済政策運営の基本的な考え方を表現したものである。

以上の基本方針を見る限り、本年の経済政策運営方針は基本的に昨年の方針を継承する姿勢が示されたと言える。ここまでの内容に関する限り、特に目新しいサプライズはなく、昨年1年間の政策運営を踏まえた穏当な中身であると感じられた。

2.重要方針となった「日本企業に学べ」の大号令

ところが、この基本方針の次に掲げられた4つの重点施策の中にサプライズがあった。前述の3つの基本方針の下、政策運営の中身について4つの重点施策が掲げられている。

1つ目は昨年の重点施策と同じで、過剰設備の削減と不動産過剰在庫の削減を主とするリストラの推進とそれを補完する政策の推進である。2つ目は農業構造改革の推進、3つ目は実体経済の振興、4つ目は不動産市場の健全な発展促進である。

このうち、サプライズがあったのは3つ目に掲げられた実体経済振興の中身である。

その実現のためには品質向上が何よりも重要であると強調し、その実現のために「匠の精神」の発揚、ブランド構築の強化、「百年老舗」の育成、製品競争力の強化を目指すと述べている。

「匠の精神」と「百年老舗」はまさに日本企業の代名詞であり、「日本企業に学べ」を確実に想起させる表現である。

この表現について、中国政府の産業政策担当の関係者に直接尋ねてみると、この部分は日本とドイツをイメージしていると解説してくれた。確かにドイツも日本と並んで職人気質が国民の間に広く共有されており、創業100年を超える企業も約8000社と日本(約3万社)と米国(約1.2万社)に次いで多い。

しかもドイツはアンゲラ・メルケル首相が2005年11月の就任以来、9回も訪中し中国重視の姿勢を貫いており、様々な分野で国を挙げて中独経済交流を推進してきた。そうした関係から見て中国がドイツに学べという方針を掲げるのは当然とも言える。

一方、日本については、2012年9月の尖閣問題の発生により、日中関係は戦後最悪の状況に陥った。

2015年4月に行われた安倍晋三首相-習近平主席の日中首脳会談以降、徐々に改善の方向に向かい、2016年9月のAPEC閉幕後の首脳会談では双方とも融和的な姿勢を示した。

その後も10月に経済界の訪中団が張高麗副総理と会見した際に予想以上に融和的な長時間の歓迎を受けた。さらに翌11月には4年ぶりに閣僚級での日中省エネ・環境総合フォーラムを開催するなど、日中関係は一歩ずつ改善に向かっている。

とは言え、2008年に胡錦濤主席が訪日し福田首相と会談を行った頃に比べれば、両国の関係は依然不安定である。ましてや1992年10月の天皇皇后両陛下のご訪中時の蜜月関係には遠く及ばない。

それにもかかわらず、中国人の有識者が見れば誰もが日本を示していると分かる表現で「日本企業に学べ」という大号令を今年の経済政策運営の重点施策としたのは大きなサプライズである。

なぜこのタイミングで「日本企業に学べ」という方針が掲げられたのか。

それは中国政府にとって背に腹は代えられない事情が生じているからであると推察される。

昨年の中国経済を振り返ると、経済成長率は6%台後半で安定を保持したが、年初から大きな不安材料を抱えていた。それは民間設備投資の伸びが大幅に鈍化して回復の目処が立たないことである。

中国の民間設備投資の伸びは近年、緩やかな低下傾向を辿りながらも一貫して政府・国有企業・住宅などを含む固定資産投資全体の伸びを大幅に上回る高い伸びを示していた。

ところが、2015年は固定資産投資全体と同じ10%程度の伸びにとどまり、2016年は全体の伸びも8%台前半に低下したが、民間設備投資はそれを大きく下回り2%台半ばにまで下落した。

その下落の原因は、第1に輸出の伸びが毎年20%を上回る高い伸びを続けていた以前に比べて大幅に低下し、今後は高くて数%程度の伸びにとどまると見られているため、輸出関連企業の投資が伸び悩んでいること。

第2に、過剰設備削減の促進に伴い、投資削減対象企業と関連する企業の設備投資が抑制されていること。

第3に、金融機関の民間企業に対する融資姿勢が厳しくなり、資金調達難に陥っていること。

その背景には、金融自由化の進展に伴って預金金利と貸出金利の利ザヤが縮小し、金融機関の収益が伸び悩み、融資姿勢が慎重化しているという事情がある。金融機関は政府が債務を保証すると期待される国有企業向け融資を優先させ、相対的に貸し倒れリスクの高い民間企業向け融資を絞っている。

以上の3つの要因はいずれもすぐには解決できないことから、民間設備投資が回復する見通しは立っていない。

一方、大半の国有企業は経営効率が低いことから、その業績は成長率の低下とともに徐々に悪化していくと予想される。このため、民間企業の産業競争力が改善しなければ、民間設備投資が回復せず、中国経済は国有企業の業績悪化とともに停滞に向かう可能性が高い。

そうした将来リスクを緩和する1つの方法として、中国政府は2015年以降、製造業の競争力強化を目指して「中国製造2025」という方針の下に、イノベーションの促進を重視し、重点産業分野の強化を図っている。

しかし、これを中国地場企業の力だけで実現することは難しい。

1980年以降の中国の目覚ましい経済発展の原動力は「改革開放」であり、その重要な部分は外資企業の投資拡大による技術移転だった。

特に日米韓3国の果たした役割が大きかったが、最近は中国の技術水準が向上し、米国および韓国企業とは競合関係が強まっている。一方、日本およびドイツ企業とはまだ技術力の格差があり、その2国から技術を学ぶニーズは依然強い。

特に日本は従来から対中投資金額が大きく、技術移転にも協力的である。日本企業も中国地場企業に技術を移転し、協力関係を強化し、ともに発展を目指す経営方針をとる企業が多かった。こうした日本企業の経営方針は沿海部を中心に中国各地で高く評価されている。

民間設備投資伸び悩みの解決の糸口がつかめず、国有企業の業績が徐々に低下していく見通しの中、中国企業の品質向上、競争力強化を図るには「改革開放」の原点に回帰し、日本企業とともに発展を目指すことへの期待が大きくなるのは当然である。

以上のような背景から、今年の経済政策方針の重点施策として「日本企業に学べ」という大号令が掲げられたと推測される。

4.日本企業との協調発展のための条件

中国政府が「日本企業に学べ」という重点施策を本格的に実践に移すためには、日本企業の対中直接投資の回復が不可欠である。

ちょうど昨秋以降、自動車、小売関連を中心に日本企業の対中投資が数年ぶりに積極化する兆しが見られ始めている。

この日本企業の姿勢の変化に合わせて中国政府が明確かつ具体的な日本企業重視方針を打ち出せば、多くの日本企業が中国ビジネスに対する過度な慎重姿勢を見直す可能性も出てくる。

しかし、そのためにはそれにふさわしい注目を集める政策が必要である。知的財産権の保護、資金回収リスクの軽減、政府の突然の政策変更によって生じる損失に対する一定の救済措置などが従来から期待されている中国政府への要望である。

それらに加え、今後日本企業の進出が大いに期待される、自動車、ロボット・合理化機械、小売、環境、医療・介護、食品関連等の分野において、日本企業が注目する政策を打ち出すことが有効である。

昨年11月の本稿でも提案した、ハイブリッド車の環境保護車指定、環境基準の日本並みへの引き上げなどがその一例である。

日本企業は今も横並び意識が強いため、いったん中国投資積極化の流れができれば、多くの企業が再び中国に向かう可能性が十分ある。

しかし、2012年以降の対中感情の悪化を考慮すれば、かなり強力な施策が実施されなければ、大きな流れが生まれにくいのも事実である。

今年は日中国交正常化45周年にあたることから、政治面から日中関係改善によって後押しし、経済面で日中両国企業による協調発展プロジェクトを立ち上げて日本企業の対中投資を拡大させることができれば大きな成果が得られる可能性も高まる。

「日本企業に学べ」という大号令が現実のものとなり、中国経済に明るさを取り戻す土台形成に寄与することを期待したい。

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『「逮捕は恥だが痛くもない」韓国財閥の首脳たち 特赦ありきの逮捕騒動、韓国民は「有銭無罪」と嘆くしかない』(1/25日経ビジネスオンライン 田村賢司)について

「有銭無罪」より「反日無罪」の方が、外国が相手となるだけに問題でしょう。そんな事をすれば、相手から報復を受けることは必定です。それに気が付かず、反日行動を起こして得られる快感・恍惚感は言ってみれば麻薬のようなものであって、止められないのでしょう。死に至る病です。気づいている人がいても、社会がそう言った言説を許容しないので、誰も止めようとしません。このままでは、経済が突然死します。そこに至って初めて気が付くのかも。愚かな民族です。

企業倒産が相次げば、失業者は街に溢れ、治安は悪化します。日本政府は今こそノービザ訪問は止めて、ビザの厳格管理をした方が良いでしょう。仏像を盗んで返さないとか、仏像を損壊、神社を爆破・放尿とか下種とかテロリストしかできない所業です。日本ファーストで国民の安全を確保してほしいです。

渡邉哲也氏によれば、韓国は輸出で成り立っている国で、素材を世界から買い集めて、組立、輸出することで5千万の人口を喰わしているとのこと。でも中国同様、外貨準備の真水が少なく、日本か米国の$スワップがない限り、LCが発行されなくて、物が買えなくなるようです。マレーシア・リンギットとのスワップが延長されたとのニュースがありましたが、LCがウオンやリンギット建てで発行されても、買取り銀行は受け付けないでしょう。IMF管理になるのでは。

1/26ZAKZAK『韓国で止まらぬ「慰安婦」絶対視、神聖化 『帝国の慰安婦』著者無罪判決も関係なし』、1/26産経ニュース『国際条約無視の「反日」世論に迎合した判決 観音寺関係者嘆く「異邦人どころか異世界人」』

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20170126/frn1701261700007-n1.htm

http://www.sankei.com/world/news/170126/wor1701260039-n1.html

韓国の浮石寺は14世紀ごろの倭寇の話を持ち出していますが、それを言えば英国はロゼッタストーンやエルギン・マーブルをエジプトやギリシアに返さねばなりません。しかも今回の仏像の場合、倭寇による強奪ではなく、李氏朝鮮による仏教弾圧を逃れるため、島に持ち込まれたと伝わっています。一方的な主張を国民情緒により裁くのは法治国家とは言えないでしょう。福沢諭吉の悪友との謝絶というのが正解です。額賀日韓議員連盟会長は今回の判決につき「政治問題化しない」と言ったそうですが、これは国民感情から相当離れた意見です。『非韓三原則』が国民に浸透してきているのに、そんなことを言うのはハニーか金で籠絡されたとしか思えません。「民潭」や「総連」について国税庁は税逃れしていないか調べるべきですし、在日の生活保護や、医療費不正受給、朝鮮学校の補助金支給を取りやめるべきです。暴力とデマには屈しないように。

エドマンド・バークは「善悪よりもどのくらいの間、存在したかの方が大切」とのことです。竹島も韓国が実効支配していると看做されればそれが定着するという事です。国際司法裁判所に大使館前にある慰安婦像設置と一緒に提訴してみてはどうでしょうか。

http://mutsuji.jugem.jp/?eid=195

記事

朴槿恵(パク・クネ)大統領の疑惑で政治空白が続く韓国で、サムスンの実質トップの逮捕が見送られた。だが、韓国ではこれまで財閥トップが何度も逮捕されながら、特赦されるという異常な状況が続いてきた。今回もそれが表に出ただけなのか。背景には、韓国経済が抱える重篤な病がある。

朴槿恵(パク・クネ)大統領の疑惑が、大手財閥と政権の間の「密接な関係」を改めて浮き彫りにしている。

サムスングループの実質的トップでサムスン電子副会長の李在鎔(写真中央)は逮捕されなかったが…(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

朴大統領の疑惑を捜査している特別検事は1月16日、最大手財閥、サムスングループの実質的トップ、李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長に対する逮捕状を請求。通信大手のSK、食品など大手のCJ、ロッテなどの大手財閥にも捜査の手を伸ばしていたが、李副会長の逮捕状請求はソウル中央地裁に19日棄却され、追及はいったん頓挫する格好となった。

朴大統領の疑惑は、友人の崔順実(チェ・スンシル)被告の国政介入を許したことと、同被告が関与する財団に対して財閥などに資金提供を求め、見返りに便宜を図ったというもの。特別検事は、李副会長が李家のグループ支配を強化するための系列企業の合併で朴大統領側の便宜を期待し、崔被告側に430億ウォン(約42億円)相当の賄賂を贈ったり、贈ろうとしたりしたとする。

これに対し、李副会長とサムスン側は、便宜を期待して崔被告を支援したことはないと真っ向から否定した。地裁は「現時点で逮捕の必要性が高いと認めることは難しい」として逮捕状請求を棄却したが、朴大統領の捜査への影響は必至と見られる。

特赦で犯罪歴を消去される財閥オーナー達

今回は逮捕が見送られる格好となったが、韓国では財閥の創業家出身のオーナー会長が逮捕されたり、起訴されたりすることは珍しくない。

例えば、通信などを中心とした大手財閥の一角、SKの崔泰源(チェ・テウォン)会長は、2003年にグループ会社に対する背任、粉飾などで有罪判決を受け、2013年には横領で実刑判決を受けている。サムスンの李副会長の父親、李健熙(イ・ゴンヒ)会長も1997年に、盧泰愚(ノ・テウ)元大統領への贈賄事件で逮捕。2009年には背任などで有罪となっている。

極め付けは化学、金融などを柱とする大手財閥、ハンファの金升淵(キム・スンヨン)会長。2007年春、次男がソウル市内の居酒屋で従業員らと喧嘩をして殴られたことから、暴力団員を引き連れ、従業員に報復し、暴行罪で逮捕された。ところが、2012年には背任などでまた有罪判決を受けている。上位財閥で犯罪に関わった経験のないオーナーは少数であり、逮捕や起訴されるオーナーなど珍しくないのだ。

異常さはこれだけではない。こうして逮捕されたり、有罪判決を受けたりした財閥オーナーの多くがその後、特赦され、犯罪歴そのものがなくなっているのである。

先進国ではまず見られない異様な状況と言わざるを得ない。何がそこにあるのか。まず1つは、財閥をけん引役にして成長を図る韓国経済の特質である。

過去の事件では、特赦のたびに「経済発展への寄与を考慮してという理由が付けられてきた」(日本貿易振興機構=ジェトロ=アジア経済研究所の安倍誠・東アジア研究グループ長)。サムスン電子の李会長は2009年に背任などで有罪となったが、当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領はすぐに特赦している。同会長が国際オリンピック委員会に太い人脈を持っているとして、同国平昌(ピョンチャン)に冬季五輪の招致を実現するためだというのが理由である。

今回の李副会長の逮捕状請求についても、その直後に韓国経営者総協会が「李副会長の拘束はサムスングループに深刻な経営空白をもたらす」として、「慎重な判断を期待する」と声明を発表。一企業の問題に主要経済団体が援護の声を上げる“異例”の事態となった。

経済成長を財閥に頼らざるを得ない構図

財閥の多くは、戦後、政府主導による上からの経済成長策の中で事実上、優先的に育成されてきた。朴大統領の父親、朴正煕元大統領は強力にそれを進め、1960年代後半以降、漢江の奇跡と呼ばれる成長を果たした。

国内市場が小さいため、ほとんどの財閥が多角化と輸出主導による成長を図り、政府もそれを後押しし続けた。その結果、財閥とそれ以外の格差が極めて大きい二極化した経済構造になっていった。国内市場の狭隘さは変わらず、経済成長を財閥に頼る構造から脱却できなくなっていった。こうした状況で、財閥オーナーの暴走は止まらなくなっていった。

この中で政府・司法と財閥の癒着もしばしば指摘され、「財閥オーナーの犯罪に対する量刑が恣意的だという批判を受けて、数年前、脱税、横領などの事件の場合は、量刑の判断の仕方を裁判所が決めた」(アジア経済研究所の安倍・東アジア研究グループ長)と言われるほどだ。

創業家の支配を維持し続けようとする独特の統治構造も、根深い問題だ。暴行などは論外として、犯罪の中で目立つのが背任や横領、脱税。会社のカネと自分のカネの区別がつかないオーナーがいても、絶対的な存在でありすぎて、社員が止められないことがある。

さらに、子供に事業を承継させるため多額の資金を捻出しようとした事件も少なくない。会社の株式を買い取ったり、納税に充てたりするためだ。

韓国公正取引委員会によると、ほとんどの財閥で、オーナー家の中核企業に対する持ち株比率は数%程度に過ぎない。上場や成長の過程での増資で、その比率は大幅に下がっているのである。

代わりに、オーナー家の持ち株比率が高い企業が他のグループ企業の株式を持ち、その企業がさらに別のグループ企業の株式を保有するという「循環出資」でグループを支配していることが多い。これまでは、この形態を維持するために、背任や横領などに手を染めるケースもあったのである。

ただし最近は、グローバル化に伴って、支配構造が分かりにくいこの形態に、外国人投資家からの批判が高まり、政府も何度か規制を加えようとしてきた。サムスンの李副会長が、グループ企業の合併で朴大統領の便宜を期待したのではないかと言われたのも、このためだ。

サムスングループの企業のうち、サムスン物産と第一毛織は、李副会長とファミリーの持ち株比率が元々高かった。数年前までサムスン物産は中核のサムスン電子の株式を約4%保有し、第一毛織は、やはりグループのサムスン生命の株式を約20%持っていた。そのサムスン生命は、サムスン電子に7.6%出資していた。

国民は「有銭無罪」と嘆くが、事態は変わらず

そこで、サムスン物産と第一毛織を合併させればグループ支配力を高められる。しかも新生サムスン物産(新社)がグループの中核になることで、ガバナンス構造が見えやすく、外国人株主にも分かりやすい。ところが、サムスン物産と第一毛織の大株主の国民年金公団がこれに難色を示したため、政府に便宜を図って貰おうとしたのではないかと見られたのである。

有銭無罪──。韓国の一般国民は、「富裕層は罪を犯しても問われない」と、しばしば嘆く。政府も癒着を疑われながら何度か、財閥のガバナンス構造改革などを進めようとした。だが、改革は遅々として進まない。韓国経済の内患は、なお重く残ったままだ。

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『習近平主導「軍民融合」が示す軍事経済の始まり 市民のバブル待望が、戦争待望に変わる事態に備えよ』(1/25日経ビジネスオンライン 福島香織)について

Facebookで渡邉氏と繋がっています。貴重な情報です。やはり直接戦闘と言うよりも、経済戦争で決着をつけるという事です。日本としても戦闘になれば、当然同盟義務国としての責任を果たさねばなりませんから、経済戦争で決着をつけてほしいと思っています。日本も勿論、経済制裁に協力をしなければ。ただ中国が暴発しないという保証はありませんが。

米国は中国沿岸にもう既にフロート型機雷(中国艦船を自動的に識別、衛星からのコントロールなし、自動的に浮上して攻撃)を潜水艦でこっそり敷設しているかもしれません。日高義樹氏の『中国、敗れたり』(2014年)にフロート型(CAPTOR(enCAPsulated TORpedo))機雷のことが出ていました。これでアナウンスすれば、中国に出入りできる艦船はなくなります。“embargo”の完成です。石油備蓄も軍用で2週間分しかなければほぼ継戦能力が無いと言ってよいでしょう。第二次大戦で日本軍が南下政策で石油を確保したようなことは出来ません。ロシアが輸出すれば別ですが。渡邉氏の言う通り、ロシアは負けが分かっている方に付くことはないでしょう。シベリア侵略の恐怖もあるし、中国が負け分裂して、ロシアに牙を向けることが無いようにしてもらった方が有難いでしょう。積極的に中国に味方することもなければ、日米に味方することもなく、中立の態度を取るのでは。

<ビジネスジャーナル:渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」トランプ米国、海上封鎖&金融制裁で中国を叩き潰す準備完了…習近平が完全に八方塞がり

アメリカのドナルド・トランプ大統領(左)と中国の習近平国家主席(右)(写真:AP/アフロ)

1月20日に誕生したアメリカのドナルド・トランプ政権が、早くも“中国包囲網”を強めている。

23日、大統領報道官のショーン・スパイサー氏は、南シナ海について「“ひとつの国”の支配から防衛する」「公海上でのアメリカの国益を守る」と表明、それに対して中国が「南沙諸島とその他付属島嶼の主権は中国にある」「アメリカが南シナ海の平和と安定を損なわないように言行を慎むことを促す」などと反論する事態になっている。

実際、アメリカは年明けから航空母艦のカール・ビンソンを西太平洋に派遣しており、中国が勢力を拡大する第一列島線を封鎖する態勢を敷いている。もともと、横須賀基地には空母のロナルド・レーガンが配備されており、インド洋にも米軍基地があるため、現在は3方向から第一列島線を押さえ込んでいる状況だ。

拙著『米中開戦 躍進する日本 新秩序で変わる世界経済の行方』(徳間書店)に詳述しているが、トランプ政権誕生は米中の「経済戦争」の始まりである。現代において地上戦というのは現実的ではなく、あくまで経済面での戦争状態になるということだ。

たとえば、今後、中国が軍事的に暴走した場合、アメリカは現在の体制をさらに強めて海上封鎖という手段をとることができる。仮に第一列島線が封鎖されれば、中国は物流が止まり、事実上の兵糧攻めとなるわけだ。中国の石油備蓄量は36日分しかないといわれており、これは民間需要も含むため、実質的には2週間程度の蓄えしかないのが現実だ。そのため、中国は海上を封鎖されただけでゲームオーバーになる公算が強い。

米国が中国に金融制裁、共産党幹部を個人攻撃も

また、米中が衝突した場合、アメリカは金融制裁に乗り出す可能性が高い。実際にそれをやったのが、2014年のクリミア半島編入に伴うロシアへの制裁だ。ロシアの銀行がアメリカの銀行と取引することを禁止し、それによってロシアの銀行が発行したクレジットカードは海外で使用不能になった。また、ウラジーミル・プーチン大統領の関係者や資源系企業の幹部を中心に、個人に対する金融制裁(口座封鎖)も行っている。

中国に対して同様の制裁を行った場合、国有銀行が発行する人民元建て債券は価格が暴落し、コルレスという国際決済システムが使えなくなるために紙くず化するだろう。また、国有銀行が保有する国外資産については債権者が差し押さえに走るものと思われる。資源国であるロシアの場合は、制裁を受けても天然ガスや原油を売買することで日銭が入るが、中国にはそれがないため、ロシアより何十倍も弱い立場だ。

金融面を見たとき、アメリカと中国の力関係はゾウとアリぐらい違う。確かに中国の銀行は巨大化しているが、それは米ドルとの両替保証があってこそだ。たとえば、人民元は変動幅が決まっている管理変動相場制で、事実上のドルペッグ制(米ドルが裏付け)である。また、香港ドルは米ドルがなければ発行できないドル預託通貨だ。一見、強く見える中国経済だが、実際は非常に脆弱で米ドルに生殺与奪権を握られているのである。

また、アメリカは14年12月の時点で、アメリカ国内にある中国人および共産党幹部の資産を調査しており、その総額は最大3兆ドルともいわれている。つまり、アメリカは国内の中国マネーをすべて把握しているわけで、有事の際には共産党幹部の個人攻撃を始めることも可能だ。対露制裁の際、個人に対しても口座の封鎖などを行ったように、狙い撃ちのように共産党幹部の口座を封鎖することもやりかねない。

米露接近で米軍は南シナ海に全戦力を集中か

また、トランプ政権はロシアと近づきつつあるが、これには中国牽制という意味合いもある。米露が関係を改善して中東問題で手を組めば、中東での多面展開はなくなり、その分アメリカは南シナ海の問題に全戦力を集中できる。

さらにいえば、南シナ海においてロシアが日米側につけば中国は勝ち目がなくなる。ロシアとしては勝ち馬に乗ったほうが得だし、そういう計算ができる国だ。中国とは昔から仲が悪いという事情もあり、南シナ海において中国の肩を持つことは考えにくい。

アメリカとしては、自分から先に仕掛けることはないものの、中国の出方次第では、海上封鎖と金融制裁によって内側から中国を潰すことができるわけだ。現代においては武力よりも金融制裁のほうが効果的であり、それが筆者の言う「経済戦争」である。

しかしながら、中国は秋に5年に一度の共産党全国代表大会を控えているため、強硬な姿勢を崩すことができない。一歩でも引けば、習近平政権の瓦解につながる可能性もあるからだ。一方、トランプ大統領は「100日計画」を発表しているように、就任から100日以内にある程度の実績を出したいという思惑がある。そのため、就任前から中国に揺さぶりをかけているわけだ。

簡単にいえば、引くに引けない習国家主席が前に出れば出るほど、米中の対立が深まり、段階的にアメリカの制裁が強まる可能性があるという構図である。また、1月23日付記事『中国、必ずトランプに叩き潰される…米中戦争状態へ、世界が一斉に中国へ制裁的措置』でも語っているように、いずれにせよ、中国は経済的に苦しい立場に追い込まれることが確実だ。

24日には、民主党議員で上院院内総務のチャック・シューマー氏が、トランプ大統領が公約に掲げている「中国の為替操作国認定」について「本当にアメリカ第一主義を望むならば認定してほしい」と要求した。また、5~6月にはアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)が開催されるが、このままいけば、同会議で中国が非難の的になることも間違いないだろう。 (文=渡邉哲也/経済評論家)>以上

同じくFacebookからの情報ですが、トランプがキッシンジャーと会った時に、キッシンジャーは「国益のためなら、二つでなく三つの中国ならどうか」と答えたという事です。韓国・中央日報の記事で、韓国がそんなに取材力があるとも思えず、記事の信憑性については疑問符が付きますが。

http://japanese.joins.com/article/981/224981.html

習近平はダボス会議で、脱退を示唆するトランプに対抗して、「中国はパリ協定を支持する」と言ったそうですが、まず自分の頭の上の蠅、”雾霾(=スモッグ)”“細顆粒物(=PM2.5)”の問題を自ら解決してから言ってほしい。取締当局が賄賂を受け取っているから問題は永遠に解決しないでしょう。中国人は出来もしないことを平気で言います。これを「嘘つき」と日本人は言いますが、中国人にしてみれば「騙される方が悪い」となります。世界には騙される人が多いという事です。まあ、ダボス会議はグローバリストの集まりなので、ナショナリストのトランプ、プーチンが嫌いで、メデイアを使ってバッシングしています。安倍首相もその中に入れられてきました。でもトランプに続き、ルペンが仏大統領になれば、EUの崩壊は加速するのでは。英国のEU離脱と言っても、英国はEUに浅くしか関与していなかったという事で、ルペン大統領の方がショックが大きいでしょう。

記事

習近平にまた新たな肩書が増えた。中央軍民融合発展委員会主任。その狙いは?(写真:AP/アフロ)

肩書マニアと揶揄されるくらい、組織トップの肩書を自分のものにしたがる中国の国家主席・習近平に、また一つ肩書が増えた。新たに設置される中央軍民融合発展委員会の主任である。そもそも、軍民融合とは何なのか。なぜ党中央の委員会まで作って、その指揮を習近平自身がとりたがるのかを考えてみたい。

軍需産業の民営化?

1月22日に政治局会議が招集され、中央軍民融合発展委員会の設置が正式決定し、習近平が主任となった。軍民融合が統一的な党中央の指導によって進められることになる。ところで軍民融合とは何なのだろう。ここ数年、習近平は軍民融合の掛け声の下、2016年8月には、中国航天科技集団など中央軍産企業、大手金融機関など13企業による初の軍民融合産業発展基金を設立している。基金規模は302億元にのぼる。

一見すればこれは軍産企業の民営化であり、軍事技術の民生利用促進かと思うのだが、報道の詳細を読むと、そう単純なものでもないようだ。

フェニックステレビの軍事チャンネルが比較的明解に説明していたので、それをもとに考えてみる。

フェニックステレビはこう言っている。

「軍民融合とは、国家の運命の大事に影響するものである。軍民融合がうまくできなければ、軍備が落ちぶれるだけでなく、国家経済が破たんする。世界上の軍事強国は、早々に軍民融合を果たしている。例えば米国陸軍の未来の戦士システムでは、兵士一人ひとりが携帯電話端末を持たなくてはならないが、この端末はサムスン製だ。いわゆる軍内の専門工場で生産された軍用携帯電話ではない」

「日本も同じで、日本には軍産企業は表向きない。しかし、日本の軍需産業は極めて強大だ。そうりゅう型潜水艦、10式タンク、いずも型護衛艦、これらの武器をだれが作っているのか。中国人の多くは知らないだろうが、日本の大企業には、いずれも軍工部門があるのだ。三菱、富士、東芝、住友、ダイキン、リコー…。これらはすべて民営企業であり、武器を生産する、日本の特色ある軍民融合である」

「世界の軍事強国で唯一、軍民融合を行ってこなかったのは旧ソ連だ。国家が重工業を担い、採算を考えずに軍事産業を発展させたがために、軍事強国にはなったが、長期的に支えきれず、最終的に国家経済は軍事工業によって破たんさせられたのだ」

「中国の軍事産業は、ずっと旧ソ連モデルで建設されてきた。それが唯一の選択肢だった。だが、旧ソ連の解体が中国の軍事産業発展の在り方に警鐘を鳴らしている。このままでは、国民経済が支えきれないのだ」

「昨年末、珠海航空展示会と同じ時期に軍民融合展示会も開催され、政治局常務委員は全員参観した。これは対外開放されていなかったのだが、参観した軍事専門家の王雲飛(元海軍装備部門のエンジニア)によれば、展示品は非常に先進的で想像を超えていたという」

国民経済のスロットル

「軍民融合は中国国防発展の正確な選択である。ではこの軍民融合委員会設立にはどういう意味があるのか。まず、軍民融合は中央政治局、政治局常務委員会が直接責任を負うということであり、次にその指揮は習近平がとるということである。これで、軍民融合の難易度に説明がつくであろう」

「李克強首相はかつてこう言った。改革が利益を触発するが、利益の触発は、魂の触発よりも難しい。軍民融合とはつまり改革であり、それには一部の人たちを触発し、軍産企業の利益を生み出さねばならない。軍民融合の難易度は、既得権益者の妨害からくるものだ」

「軍民融合の例を挙げれば、陸軍の05式装甲車。これは中国が国内用と輸出用に開発したものだ。タジキスタンの内政部長の車列が襲撃にあったとき、部長はこの装甲車の性能によって命を助けられた。実は、この装甲車は陝西の民営企業が生産したものだった。この民営企業の会長によると、この装甲車は某大型国営企業が研究開発したのだが、この民営企業の活力、効率、品質がすでにその国営大企業を超えていたので、生産はその民営企業に任せたのだ」

「結論を言えば、未来の中国において、軍民融合は国民経済のスロットルであり、軍隊装備をパワーアップさせ、同時に国有企業改革の道を模索するものである。だからこそ、習近平主席自らが主任になったのだ」

長い引用だが、中国の現状と狙いがわかりやすく書いてある。

端的にいえば、軍民融合発展委員会というハイレベルの機構を新設した目的は、軍事建設によって国家経済を支えるという習近平政権の方針を明確にしたということではないだろうか。軍事建設と経済建設の一体化、軍事ケインズ主義、あるいは、共産党中央を独占体とした戦時国家独占資本主義経済を目指している、といってもいいかもしれない。中国の現状として、軍事・治安維持予算が、けっこう国内経済を圧迫しているようだが、それを解消するのが党中央主導の軍民融合ということだろう。

興味深いのは、旧ソ連を引き合いに出していることだ。中国が現在直面する最大のリスクの一つは経済崩壊の危機だが、習近平政権としての政策のプライオリティの一番は強軍化だ。このプライオリティを守るために、中国はどうやらトランプ政権には経済上の譲歩はする心づもりでいた。ジャック・マーがとトランプに会いに行き、米国で100万人の雇用を創出すると約束したのは、民間ビジネスマンとしての判断だけではない。

トランプの方針はまだはっきりとは見定められていないが、対中強硬姿勢を強く打ち出し、台湾問題や南シナ海をめぐって軍事的対立の先鋭化は避けられない状況となった。強軍化を最上位に掲げる中国は米国に対抗するために、軍拡競争に突入せざるを得ない。

旧ソ連の轍は踏まない

ここで習近平政権が一番懸念しているのは、おそらくかつてのレーガン政権がぶち上げたSDI構想(スターウォーズ構想)によって軍拡競争に引きずり込まれた旧ソ連が、国内経済を疲弊させ財政バランスの矛盾を表面化させてしまったことで政権の足元がゆらぎ、崩壊に追い込まれた歴史の轍を踏むことだろう。

トランプが、政権発足前から中国に対して挑発的な言動を繰り返していることの真の狙いが、中国から譲歩を引き出すことなのか、それとも中国共産党体制の崩壊をもくろんでいるのか、実のところ中国もはかりかねている。経済貿易上だけの譲歩が目的なら対応の余地はあるが、軍事上の譲歩、特に「一つの中国(一中)」原則放棄をカードに出されて、中国が譲歩するようなことがあれば、共産党の執政党としての地位自体がひっくり返りかねない。軍部の不満やウイグル、チベットの独立派の動きを誘発し、国内の分裂や動乱を招きかねない。「一中」カードを米国が本当に切るのであれば、目的は譲歩ではなく、中国共産党体制を崩壊に追い込むことではないか、という疑いが中国側に起き始めた。

つまり、トランプの挑発目的は、中国を軍拡競争、あるいは紛争に引きずり込み、軍事予算を拡大させることで、経済を破たんさせることかもしれない。そういう懸念に対して、中国は軍民融合で対応し、「中国は旧ソ連の轍を踏まない」ということを喧伝しているのだ。これは、トランプ政権に対するメッセージでもあり、中国の軍拡路線が本気であることの宣言でもあろう。

もう一つ興味深い点は、国有企業改革の処方箋として、軍民融合を説明していることだ。国有企業改革の処方箋について、実は、首相の李克強と国家主席の習近平の間には微妙な路線対立がある。

李克強路線は、国有企業のスリム化、民営化による改革で、政府の関与をできるだけ小さくする方針だ。2014年に国務院系コングロマリット・中信集団に民営資本と外資を注入して香港で上場させたやり方は、まさしく李克強路線の好例といえる。

一方、習近平の目指す国有企業改革は、中小国有企業を大手国有企業に併合していき、その超大手国有企業を党中央が直接指導していき、市場に対する党中央のコントロールを強化させていく方向にある。市場の自由化とは逆方向だ。

次のバブル分野に

この路線の対立によって中国の国有企業改革は混乱が生じており、なかなか進まないのだが、面白いのは、記事中で、李克強の軍民融合について「既得権益問題」の発言を引用しつつ、しつこいほど、なぜ軍民融合発展委員会の主任を習近平が担うかを説明している。これは李克強が当初考えていた軍民融合の方向性や、国有企業改革が、その主導権を習近平に移されることで、その本質が変わってきているということを示唆するものではないだろうか。李克強は、主に軍事技術の民生利用促進を強調していた。だが、この記事からは、優れた民営企業の技術・サービス、資産を軍事利用することで、民営企業に対する党中央の指導も強化される面が強調されている。

例えば中国で一番サービスのよい物流企業・順豊エクスプレスは、アジアで最初の民営貨物集散センターを湖北・鄂州市に建設する計画だが、これも軍民融合空港建設プロジェクトの一つだ。国防功能を備えた民営空港を建設し、順豊の物流能力を軍事利用していくということである。もちろん順豊にも利便のよい土地を与えてもらえるといったメリットはあるが、これはまるで民営企業の国防動員である。

ちなみに軍民融合企業株が、この委員会設立を受けて軒並みストップ高となった。軍民融合企業は基礎インフラ分野、科学技術・宇宙開発・電信分野、インターネット分野と多岐にわたるが、これら軍民融合関連株が、次のバブル分野、という見方もある。中国において国防動員は、人民、社会に対する強制義務であるが、株式市場で利益をもたらせば、より積極的に広く軍事費、技術、資源を調達できるようになる。国防動員法が2010年にできた当時から、こうした考え方は主張されてきた。環球時報によれば、米国は軍民融合によって毎年、軍備購入費の2割にあたる300億ドルを節約できているという。

さて、習近平主導の軍民融合は成功するのかどうか。

個人的感想をいえば、民営企業に優れた技術をもつものが多く、経営上も成功するのは、国有企業と違って党の干渉が比較的小さく、利益優先、市場原理にのっとった経済活動に専念できるからだ。多くの国有企業の経営がうまくいかない主要な原因は、党の干渉がきつく、経済活動よりも政治的要因で人事やプロジェクト、経営方針が決定されがちだからだ。

とすると、もともと優秀な技術やサービス資源をもつ民営企業を軍事産業に参与させ、あるいは国有軍産企業に融合させ、しかもその指揮を党中央、習近平直属の機関がとるとなると、むしろ民営企業本来の競争力が発揮できなくなるかもしれない。権力闘争が激しく利権派閥が複雑な共産党が指導する限り、米国式の軍産複合体が実現できるとは、私には思えない。

人民の戦争期待ムードに不安

しかし、隣国の日本にとって、より重要なのは、中国の軍民融合がうまくいくのかどうかということではなく、習近平政権が軍拡を本格化させ、軍事主導型経済を方針として掲げた、という点である。国家を挙げての軍民融合の掛け声は、来る戦時を想定した国家動員スキーム始動の合図ではないか。しかも、そこに新たなバブルを期待する人民が集まれば、それが国内の戦争期待ムードにつながるのではと、まったく不安にさせられる。

いや、不安がることはない、日本にはすでに優れた“軍民融合企業”があるじゃないか、と中国人たちはいうのだが、日本には、今のところはそれを使いこなせるだけの法整備もなければ、心構えもできていないのだ。

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『トランプ大統領の就任演説への評価は真っ二つ 自らが招いたこの「分断」を克服することはできるのか?』(1/23 日経ビジネスオンライン 高濱賛)について

トランプの発言は誤りが多いです。意図的にやっているとすれば凄いものですが。ツイッターの多用は危険です。スタッフにアカウントを任せて発信した方が良いのでは。世界のマスメデイアは反トランプで結束していますので、自分の意見を広く知らしめるのにツイッターは便利な道具ではありますが。

米国民はオバマ時代には既に2つに分断されていました。共和党支持(小さな政府)と民主党支持(大きな政府)とにです。肌の色は関係ありません。TEAパーテイもオバマになってからできました。都市部のエリート達は民主党支持者が多いようです。ジョン・グリシャムの『評決のとき』を読むと露骨に共和党支持者を侮蔑しているように感じました。“red neck”という言葉も使われていました。元々、黒人奴隷を解放したのは共和党のリンカーンなのに、いつの間にか南部の黒人は民主党支持になってしまいました。KKKも元は南軍の白人兵士が戦争に負けて落ち込む家族を励ますために作ったと言われています。ですからKKKは黒人だけでなく、共和党支持者もリンチしたりしていました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%8D%E3%83%83%E3%82%AF

http://bylines.news.yahoo.co.jp/maeshimakazuhiro/20160425-00057003/

2/25産経ニュースには<マティス米国防長官が2月上旬訪日で調整 稲田防衛相と会談へ

マティス米国防長官(ロイター)

【ワシントン=加納宏幸】マティス米国防長官が2月上旬に就任後初めて日本、韓国を訪問する方向で調整が進められていることが24日、関係筋の話で明らかになった。トランプ政権の主要閣僚としては初の訪日となる見通しだ。

訪日が実現すれば、マティス氏は稲田朋美防衛相と会談。安倍晋三首相にも表敬訪問するとみられる。

マティス氏は上院軍事委員会での公聴会で同盟重視の姿勢を明確にし、アジア太平洋地域を「優先事項であり続ける」と述べた。訪日では日米同盟の重要性を再確認し、北朝鮮の核・ミサイル開発、中国の南シナ海進出、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題を協議する意向だ。

韓国では韓民求国防相と会談し、北朝鮮問題や米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備を協議するとみられる。>(以上)

マティス国防長官の訪日は、いよいよ中国との対決姿勢をハッキリさせ、同盟国にも応分の負担と覚悟を求めるのでは。日本も尖閣防衛の為に何を為すべきかを考えて、実行に移していかなければ。石垣島・宮古島・奄美大島に陸自を配備して、装備も敵の意図を挫くものを設置した方が良いでしょう。

1/24産経ニュース<中国「米国は言行を慎め」 南シナ海めぐり米大統領報道官に反論

北京の中国外務省で記者会見する華春瑩副報道局長=2016年12月26日(共同)

【北京=西見由章】中国外務省の華春瑩報道官は24日の記者会見で、スパイサー米大統領報道官が中国による南シナ海島嶼の占拠を阻止する姿勢を示したことについて「米国は南シナ海をめぐる争いの当事者ではない。米側が事実を尊重し、言行を慎み、地域の平和と安定を損なわないよう促す」と反論した。

華氏は「中国は各国の航行の自由をしっかり守る」とする一方で、「他国にどのような変化が起きようと自らの南シナ海の領土主権と海洋権益を守る決意は変わらない」と強調した。

中国は南シナ海への関与強化を明言するトランプ新政権への対抗策を急いでいる。高虎城商務相は23日、フィリピンのドミンゲス財務相ら訪中団との間で総額37億ドル(約4200億円)規模の民生改善プロジェクトで合意したことを明らかにした。領有権をめぐる係争国との良好な関係をアピールし、米国の「介入」を牽制する構えだ。>(以上)

盗人猛々しいというのは中国のことを指すのでは。国際仲裁裁判所の判決も蔑ろにして。口先だけのオバマと違い、トランプは中国の違法活動を許さないでしょう。時間の利益を中国に与えてはなりません。2015年5月28日のZAKZAKには、<米中激突なら1週間で米軍が制圧 中国艦隊は魚雷の餌食 緊迫の南シナ海>という記事が載っています。戦闘に入る前に、中国艦船のみを標的にしたフロート型の機雷による中国沿岸の海上封鎖と経済制裁で中国経済を崩壊させるのが先のような気がします。

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150528/frn1505281140001-n1.htm

高濱記事

就任演説に臨んだトランプ大統領(写真:Abaca USA/アフロ)

—ドナルド・トランプ第45代米大統領が誕生しました。ワシントンはじめ全米各地で抗議デモが繰り広げられたり、下院議員60人が就任式をボイコットしたり、異例づくめの就任式でしたね。注目の16分間の就任演説をどうみますか。

高濱:演説に対する米市民の評価は真っ二つです。演説直後、保守的な人とリベラルな人、2人ずつに電話とインターネットでコメントを求めました。

「まさに白人の本音を代弁してくれた」

保守的な2人は電話口で声を震わせながら歓びを語りました。

その一人、テキサス州在住の白人の主婦(53歳)は次のように話してくれました。「トランプ大統領は、予備選段階から言ってきたことをそのまま貫き通しました。私たちのように、黒人大統領から8年にわたって忘れ去られていた白人のホンネをはっきりと言ってくれました」。

「トランプ大統領は、米企業が低賃金を求めて外国に逃げていった結果、職を失った白人労働者のことを考えてくれる初めての大統領だと信じています。演説を聞いて確信が持てました」

「今、何が私の身の回りに起こっているか、ですって。私の住んでいる田舎町にまで、肌の浅黒い見知らぬ外国人がどんどん入ってきて、治安が悪くなっているんですよ。トランプさんはこんな状況から私たちをきっと救い出してくれると信じています」

もう一人はテネシー州に住む、白人の零細企業従業員(62)。「新大統領は、反エスタブリッシュメント(既得権層・支配勢力)、反エリート(主流メディアや言論界)、反ワシントン(連邦政府官僚、共和党保守本流や民主党)、外国を敵に回して戦うぞ、という意気込みを熱っぽく話してくれた。胸がスーとしたよ。オバマが大統領だった閉塞の8年間からやっと解放されたって感じだね」。

「最初は俺たちみたいな、小さくて貧しく、力のない白人たちだけにしか支持されなかったトランプが、『トランプ主義』の旗を高々と掲げてワシントンに凱旋するなんて、信じられないよ。演説はまさに俺の思っていることを100%代弁してくれていた。嬉しいね」

「パクリ表現並べたてる」

一方、民主党の大統領候補としてバーニー・サンダース氏を支持した、IT関連企業で働く35歳のエンジニア(国際政治学修士号も取得している)は、正反対な意見を聞かせてくれました。「こんなお粗末な大統領就任演説を聞いたのは初めてだ。内容は中学校の生徒会長に選ばれた生徒の挨拶と同じレベルだ」。

「分かりやすいと言えば分かりやすいが、予備選や大統領選の時の自分の支持者だけに話しているわけじゃないはず。演説の中に出てくる表現はどこかで聞いたようなパクリばかり。例えば、『Make America Great Again』という表現はロナルド・レーガン(第40代大統領)が最初に使ったのをパクっただけだし、『America First』*は第二次大戦への参戦に反対した若者たちが言い出した言葉」。

「一人で鉛筆舐め舐め書いたと側近は言っているが、言っている内容は大統領上級顧問になった右翼反動のスティーブ・バノン(保守系メディア「ブライトバート・ニュース」の元会長)がサイトで論じていたことのコピーだ」

*:America Firstは、40年代、英軍を支援すべく米国が欧州戦線に軍隊を送ることに反対した東部名門校の学生たちが行なった政治活動。ジェラルド・フォード(のちに第38代大統領)やポッター・スチュワート(のちの最高裁判事)、大西洋単独無着陸飛行をしたチャールズ・リンドバーグ飛行士らが参加した。彼らは「米国の国益を第一」に考え、ナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラー総統との交渉を提案していた。

「演説前にトランプ氏の側近は『トランプ大統領が自分で起草した。具体的な政策ではなく、大統領自身の哲学を米国民と世界に示す演説になる』と言っていた。その意味では、トランプの哲学がこの程度だったのか、と改めて確認したよ」

ボストンに住む政治学専門の大学教授(59)のコメントは、さらに手厳しい。「改めて、われわれ米国民はひどい人間に核のボタンを押す権限を与えてしまったもんだと思う。米国がこれまで営々と培ってきた世界のリーダーの地位から降りる兆候をこの演説ははっきりと示した。中国とロシアはあざ笑い、世界の同盟国は頭を抱えているはずだ」。

「どこの国のリーダーも自国民の利益を最優先に考えている。しかしそれが通らないのが国際政治であり、外交であり、通商だ。そんなことも分からぬ男が大統領になっちゃうこと自体、米国は今異常だよ」

この4人のコメントを聞くにつけ、本当にこの国は「分裂国家」になってしまったと痛感します。

就任式の前日、権威ある超党派の世論調査機関ピュー・リサーチ・センターが、米国がいま置かれた状況について米国民に尋ねました。その結果、回答者のなんと86%が「米国が政治的にこれほど分裂したことはない」と答えています。バラク・オバマ第44代大統領が08年に就任した時に「分裂状態にある」と答えた人は46%でした。

「米国はいま修羅場のど真ん中にいる」

—トランプ氏が標的に挙げている米メディアの反応はどうでしょう。

高濱:これも保守とリベラルでは異なります。選挙中、一貫してトランプ氏を支持してきた保守系新聞「ワシントン・エグザミナー」(電子版)は、トランプ氏の演説を次のように絶賛しています。「トランプ大統領はワシントン(既得権を持つ支配勢力)よりも平均的米市民の利益を優先して考えるという公約を就任に際しても堅持した。(海外に流れた)仕事を取り戻し、『米国第一主義』を掲げ、『米国を再び偉大にする』という初心を引っ提げてホワイトハウス入りした」。

一方、リベラル系メディアの雄、ニューヨーク・タイムズは演説直後、トランプ新大統領に対し、就任演説の以下の下りを引用しつつ「ご自身の演説の中で何が最も注目に値する箇所か、お教え願いたい」とした質問状を電子版に載せた。

「米国のこの修羅場*(carnage)は今ここで終わらせねばならない。今直ぐにだ。我々は一緒に米国を再び強くする、再び豊かにする、再び誇りを持てるようにする、再び安全な国家にする。そうだ、我々は手を携えて米国を再び偉大にするのだ」

*:トランプ大統領が言う「修羅場」は、大都市の低所得層が居住する地域の貧困と犯罪、工場閉鎖、大学の高額授業料、麻薬と犯罪などの状況を指す。

—さて就任演説に合わせて「トランプ・ホワイトハウス」のウェブサイトに、環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉という方針が掲載されました。選挙中に主張していた西太平洋条約機構(NATO)や日韓など同盟国との防衛分担拡大の話もいよいよ出てくるわけですね。

高濱:就任演説でもこう指摘しています。「米国は長年にわたり、米産業の犠牲のもとに外国の産業を豊かにしてきた。我々の軍隊が消耗しきっているにもかかわらず、外国の軍隊を支援してきた。われわれは自分の国を守ることなく、他の国の国境を守り続けてきた。米国内のインフラが衰退し破損しているにもかかわらず、海外で何兆ドルものカネを使ってきた。米国の富と力と自信が拡散する中で、米国は他の国を豊かにしてきた」。

この批判の対象に「日米安保条約の片務性」が指摘されている日本も入っていることは間違いありません。ということは早晩、日米外交防衛担当閣僚による2プラス2でこうした問題が取り上げられる可能性が大です。

準閣僚ポストなかなか埋まらず

トランプ大統領就任演説をめぐる米国内の対立と分裂を見ると、トランプ政権が外交、安全保障問題で他国との交渉に入るにはまだまだ時間がかかる気がします。人事面でも課題があります。新政権発足と同時に約4000人の連邦職員が総入れ替えになります。しかし、準閣僚レベル、つまり次官や次官補といったポストがなかなか埋まらないようです。準閣僚レベルのうち50人近くは、オバマ政権の人間が留任するといった情報も流れています。

オバマ政権で準閣僚を務めた政府高官の一人は、筆者に話しました。「ここ当分、世界は新大統領のツィッターに一喜一憂する日が続くだろうね。けど、トランプ大統領はツイッターに無責任な『願望』を打ち込んでいるだけで、それが実際に政策として実行に移されるまでには数か月かかるんじゃないか」。

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『米軍が債権者に敗れる日 成長策、覇権維持を左右 編集委員 梶原誠』(1/23日経朝刊)、『世界鳥瞰 米孤立主義が招いた戦争の教訓』(1/23日経ビジネス)、『トランプの反中は「本物」、異常なプーチン愛は「戦略」だ』(1/23ダヤモンドオンライン 北野幸伯)について

麻生副総理兼財務大臣が安倍首相と一緒に訪米するのは、ペンス副大統領との会談だけでなく、トランプ政権が中国との本格的な対決に備え、中国の米国債売却の脅しがあれば、日本が引き受けるという事を打ち合わせるのでは。下の写真によると1兆$くらいですから、問題なく引き受けられるでしょう。中国は人民元暴落を防ぐため、$売り・人民元買いをしていますから、真水の外貨準備を減らして、貿易面で締め付けるのに手段として使われると思います。

また、小坪しんや氏のブログでは「今年安倍首相とトランプ大統領とが一緒にアーリントン墓地に献花、その後靖国に一緒に参拝する」予想を語っています。中国、北・南朝鮮が日本に仕掛けて来ている歴史戦を粉々に粉砕してくれるでしょう。

https://samurai20.jp/2017/01/donald-john-trump-4/

日経ビジネスの記事では、筆者の見方は固定観念に基づいて論理展開しています。「米国が孤立主義を取ったことで、ドイツのナチスと帝国主義に走った日本が侵略行為を激化させ、全世界を危機にさらした点だ。」なんて植民地を持って搾取していた米国を棚に上げて良く言うよと思います。少なくとも日本は欧米の「植民地主義」ではなく、「統合」(搾取するのでなく、できるだけ日本と同じ扱いか、投資についてはそれ以上)の位置づけだったという事実すら知りません。まあ、戦後の日本人の大部分も洗脳されて、そういう事実を知らないのですから、外国人がそう思い込んでいても仕方のない面もありますが。国際社会では主張しなければ相手の言い分を認めたことになりますので。

ルービニ氏はアメリカの保護主義に力点を置いて説明していますが、軍人を置く登用していることから分かる通り、オバマが弱体化させた軍の強化をするつもりです。そのための財源として同盟国にも応分の負担を求めるという事でしょう。AIIBの加入を勧めたウールジー元CIA長官が政権から遠ざけられたのも、むべなるかなです。中国はAIIBが昨年一年間融資したのが9件で単独融資が3件とプアな実績しかなくて、困っていろんなルートを使って日米に加入を勧める論調作りをしています。そういう議論を展開しているのは中国から金を貰っている手先と看做して間違いありません。

英国のメイ首相はEUの単一市場からの撤退を明言したのは、トランプ大統領と良く打ち合わせた結果なのでは。中国と強く結びついているEUの盟主のドイツに打撃を与えるためとも思われます。真田幸光氏によれば『世界の富の99%を動かす英国王室、その金庫番のユダヤ資本』としての力が働いたのでは。ユダヤ人のジョージソロスは中国ベッタリのヒラリーを応援して負け組に入りましたが、同じくユダヤ人のクシュナーが今後采配を振るって、中国に対峙していくのでは。中国は英国との一帯一路で中国の貨物が英国に着いたと喜んでいますが。

1/23宮崎正弘氏のブログによれば、習近平は軍の上層部を身内で固めたとのこと。権力基盤の安定の為だけでなく、米国との決戦に臨むために急いだ部分もあったのでは。キナ臭くなってきています。ただ実力的には横綱と幕下力士くらいの差があります。どこまで頑張れるか。

http://melma.com/backnumber_45206_6477567/

日経記事

20日、米大統領に就任したトランプ氏は昨年11月の当選以降、ロッキード・マーチンをはじめとする米軍需関連企業の株価を振り回してきた。

国防強化を掲げる同氏が選挙を制した後、株価は急騰を重ねた。だが12月、同氏が大統領専用機エアフォースワンや、最新鋭ステルス戦闘機F35の価格を「高すぎる」と批判したのをきっかけに急落に転じ、方向感を失った。

ウォール街には今、不安が渦巻いている。「財政的な制約で、国防費が増やせないのでは」と。

トランプ氏は選挙戦を通じ、米軍の駐留費の肩代わりを駐留先の日本、ドイツ、韓国に求めた。外国の紛争への関与を「米国は世界の警官ではない」と避ける姿勢も示している。

米国の台所事情は確かに厳しい。米議会予算局(CBO)によると、社会保障費などの増大で債務が2016年からの10年間で64%増え、年間の利払いは2.9倍に膨れる。国防費の24%増をはるかに上回るペースだ。

歳入に占める利払いと国防費の割合、つまり両者による予算の「奪い合い」をグラフ化すると、ウォール街の不安は真実味を増す。利払いが増える分、国防費への配分率が削られ、26年には肩を並べる。

象徴的なのが、翌27年にも予想される事態だ。利払いが国防費を上回る。大統領や議会にしてみれば、債権者の方が軍隊より支出先として大きな存在になる。

利払いと異なり、国防費は政府や議会が動かすことができる「裁量的支出」だ。債権者が「利払いのために、国防費を削減すべきだ」とワシントンに迫れば、軍事力を背景にした米国の覇権は揺らぐ。

米軍が債権者に敗れる日。こんな悪夢を7年前、米軍の最高幹部が警告していた。

「我が国の安全保障上、唯一最大の脅威は債務だ」。10年、当時の統合参謀本部議長、マイケル・マレン氏は語っている。巨額の利払いが続けば、肝心の北朝鮮にもテロにも対処できないからだ。

「状況は悪化している」。同氏は今も危機感を強めている。債務は昨年までの6年間で5割以上も増えたもようだ。「このまま債務が制御できなければ、インフラにも教育にも安全保障にも十分にお金が使えない。米国はいずれ、別の国になってしまう」

米国防費は年間約6000億ドルと、2位の中国以下10カ国の合計に匹敵する。紛争を押さえつけてきた強大な力が揺らげば世界は不安定になる。

「これまでの経験上、大きな産油国で有事となれば、原油価格が1バレル120ドルぐらいには簡単に上昇する」。日本エネルギー経済研究所の豊田正和理事長は、中東における米国の「力の空白」を前提に、油価が現在の2倍以上になるリスクシナリオを描いている。

原油の値動きは、ファンドなどの値ざやを狙う投機家が増幅してきた。主要な石油施設がテロなどに襲われるだけで価格は急騰し、日本やインドなど純輸入国の経済を傷つけるだろう。

米国にとってやっかいなのは、影響力を増す債権者の上位に中国が名を連ねることだ。米国債の約40%は外国人が保有するが、このうち40%近くを日本と中国が分け合っている。中国は日本と異なり米国の同盟国ではない。

09年、当時のクリントン国務長官が対中外交について「銀行を相手に強く出られるか?」と嘆いた――こんな逸話が翌年報じられて話題をさらった。

実際、台湾や通商などを巡って米中の緊張が高まるたびに、中国による米国債の売却が取り沙汰されてきた。米国債の価格が急落すれば、米長期金利が急騰して米経済は傷つく。

米中央情報局(CIA)は5年ほど前、米国債が中国に握られている問題を分析している。大きな脅威にはならないというのが結論だったという。

当時のCIA長官で、トランプ政権の国務長官候補にもなったデビッド・ペトレアス氏は今も自信を見せる。「中国が米国債を売却しても、大勢の国家や機関投資家が喜んで買ってくれるはずだ」

だがもっと注目すべきなのは、買ってくれる条件だ。「米経済が世界で最も強固である限り」。同氏はこうクギを刺す。

だからこそトランプ政権の成長策は、米国が超大国としての地位を保つために重い意味を持つ。税収を増やし、財政が健全であると市場に信じてもらう必要がある。そうすれば米国債が売られても新たな買い手が吸収する。金利も抑制され、利払いも軽くなり、マレン氏が危惧する様々な投資も可能になる。

「Gゼロ」という言葉が流行したように、長期的には米国1強の時代も終わるだろう。トランプ政権が、中国をはじめ今後大国の仲間入りする国々と平和的な外交関係を築けるかは、世界の安定を左右する。

だが、市場は軟着陸を許さないかもしれない。投資家が米国の成長を見限れば、米国債の買い手はいなくなり金利が跳ね上がる。利払いは一段と膨らんで国防費を侵食し、債権者が米軍を倒す日も早まる。

新政権の成長策、「トランプノミクス」がいよいよ動き出した。それは、世界の地政学リスクの変数でもある。

日経ビジネス記事

1920、30年代に米国が孤立主義を取ったことが日独の暴走を招き、第2次世界大戦をもたらした。トランプ新米大統領が再び孤立主義の方針を取れば、米国が戦後築いてきた世界秩序は崩れ去るだろう。現在の野心的新興国の台頭を許せば、世界は今以上に深刻な紛争に向かう。歴史はそれを証明している。

ノリエリ・ルービニ氏

ニューヨーク大学スターンビジネススクール教授兼、経済分析を手がけるRGEモニターの会長。米住宅バブル崩壊や金融危機到来を数年前から予測したことで知られる。   米大統領選挙でのドナルド・トランプ氏の勝利は、グローバル化へのポピュリズム的反発が高まっているという証しだけではない。「パクスアメリカーナ」の終焉の予兆とも言えるかもしれない。

パクスアメリカーナとは、第2次世界大戦後に米国が同盟諸国と築いた、自由な貿易と相互安全保障を基本とする国際体制だ。これにより戦後70年間、繁栄が維持されてきた。

具体的には、貿易の自由化や資本移動の拡大、適切な社会福祉政策など市場を重視する原則の上に成り立ち、米国が北大西洋条約機構(NATO)など様々な同盟を通じて、欧州や中東、アジアにおける安全保障を確保することで裏付けられてきた。

ところが、トランプ新大統領が進めようとしているグローバル化を敵視した、保護主義的でポピュリズム的な政策は、貿易を妨げ、労働や資本の移動を制限する可能性がある。

トランプ氏はさらに、米国の同盟国に対し、自国を防衛するための費用負担を増やすよう求めていくとしており、米国が築いてきた安全保障体制の在り方にも疑問を投げかけている。

彼が本気で「アメリカファースト(米国第一主義)」を貫く方針なら、米国は地政学的な戦略を転換させることになり、孤立主義や一国主義に傾き、米国の国益のみを推進していくことになる。

米孤立主義が独日暴走招く

米国は1920~30年代に同様の政策を展開し、結果的に第2次大戦の種をまくことになってしまった。保護主義的な政策が、貿易上の報復措置や通貨戦争を招き、大恐慌をさらに悪化させた。その始まりが、何千という品目の輸入品に高い関税をかけたスムート・ホーリー法だった。

さらに重要なのは、米国が孤立主義を取ったことで、ドイツのナチスと帝国主義に走った日本が侵略行為を激化させ、全世界を危機にさらした点だ。

米国のかつての孤立主義が真珠湾攻撃を招いた(写真=AP/アフロ)

そうした孤立主義を正当化させたのは、米国は太平洋と大西洋によって守られているという誤った考え方だった。1941年12月の日本海軍による真珠湾攻撃で、米国はようやく現実に目を向けざるを得なくなったのだ。

今回、米国が再び孤立主義に陥り、自分たちの国益のみ追求するようになれば、いずれ世界規模の争いが起きてもおかしくはない。

しかも、米国が欧州から身を引くまでもなく、既に欧州連合(EU)とユーロ圏は空中分解しつつあるようだ。英国の2016年6月のEU離脱を決めた国民投票や、イタリアの憲法改正を否決した同12月の国民投票はその表れだ。

加えて今年はフランスやイタリア、その他の欧州諸国で、極左または極右の反EU政党が政権を握る可能性がある。

米国が欧州での存在感を縮小すれば、ソ連時代の勢力の復活を狙うロシアが動き出すだろう。ロシアは既にウクライナやシリア、バルト諸国、バルカン半島諸国で、米国やEUを挑発している。

今後、EU崩壊の可能性の拡大につけ込んで旧ソ連圏諸国での影響力を拡大したり、欧州内の親ロシア勢力を支援したりするかもしれない。欧州が米国の「安全保障の傘」を次第に失うことで、誰よりも得をするのはロシアのウラジーミル・プーチン大統領である。

イスラム過激派の思うつぼに

トランプ氏の政策は、中東情勢も悪化させる可能性がある。同氏は米国をエネルギー面で完全に自給自足させると公言している。このことは中東における米国の権益を放棄し、温暖化ガスの排出を伴う米国産の化石燃料への依存を高めることになる。

しかも、トランプ氏は、好戦的なイスラム過激派だけではなく、イスラム教そのものが危険だと言い続けている。安全保障担当の大統領補佐官に指名されたマイケル・フリン氏も同じ考えだ。これでは、イスラム過激派が描く「文明の衝突」のシナリオにまんまと乗せられてしまうだろう。

一方、トランプ政権の「米国第一主義」は、サウジアラビアとイランの代理戦争となっているスンニ派とシーア派の長期にわたる戦いも激化させるだろう。米国がスンニ派の同盟国への支援を保障しなくなったら、イランやサウジ、トルコ、エジプトなど中東で力を持つ国は、自衛には核武装するしかないと考えるかもしれない。そうなれば、紛争や対立はさらに悲惨なものになる。

アジアでは、米国の経済力と軍事力のおかげで数十年間、安定が維持されてきた。だが、台頭する中国が現状を変えようとしている。バラク・オバマ前大統領の「アジア回帰」戦略は、12カ国が参加するTPP(環太平洋経済連携協定)の成立に重きを置いていたが、トランプ氏は即時離脱を確約している。

中国はアジアや太平洋地域、南米で経済関係を急速に強化しており、それを実現すべく広域経済圏構想としての「一帯一路(新シルクロード)」、アジアインフラ投資銀行(AIIB)や新開発銀行(通称BRICS銀行)の設立、そしてTPPに対抗する中国独自の域内自由貿易協定の成立を目指している。

フィリピンや韓国、台湾などアジアにおける同盟国・地域を米国が見捨てたら、そうした国々は中国にひれ伏すしかない。日本やインドなどその他の同盟国は、軍事力を増強し、公然と中国に対抗することを余儀なくされるかもしれない。つまり、アジアから米国が撤退すれば、いずれ軍事衝突が起きる可能性は高くなるということだ。

世界に組み込まれている米国

1930年代、米国の保護主義的かつ孤立主義的な政策が世界の経済成長や貿易を妨げ、その結果として、侵略的な新興勢力が世界戦争を勃発させる舞台を準備してしまった。今、同じような政策を進めれば、新たな大国が米国主導の国際秩序に対抗しようと、その弱体化をもくろむことになりかねない。

孤立主義の方針を取るトランプ政権は、ロシアや中国、イランなど覇権を拡大しようとしている国々は自分たちへの直接の脅威にはならないと考えているかもしれない。東西に横たわる大海を見渡せば、自分たちは安全であるかに思えるだろう。だが、米国は今も互いに深く結びついた世界における経済大国であり、金融大国である。

これらの国々は、歯止めが利かなくなれば、米国の国内外における権益や安全保障を根幹から揺るがすことになるかもしれない。特に、核兵器やサイバー攻撃の能力を高めれば、その脅威はさらに大きくなる。保護主義や孤立主義、米国第一主義は、経済的および軍事的な惨事を招くということだ。歴史がはっきりとそう示している。

ダイヤモンドオンライン記事

ドナルド・トランプが1月20日、米国大統領に就任した。全世界が、「彼はどんな政策を行うのだろう?」と注目している。特に、他国に影響を及ぼす「外交政策」は重要だ。今回は、トランプ新大統領がどんな外交をし、世界のパワーバランスがどう変わるのかを考えてみよう。(国際関係アナリスト 北野幸伯)

米中37年間の慣習をぶち壊した!トランプは「本物の反中」

大統領選に勝利してからのトランプの言動を見て、はっきりわかる重大事がある。トランプは、「反中」である。

彼が反中であることは、選挙戦中から知られていた。しかし当時、トランプの中国批判は、為替操作など「経済面」に限定されていた。トランプは、「ビジネスで中国と関係が深い」と言われ、「反中はフリだけ」という意見も多かった。

新政権人事を丁寧に見て行くと、トランプの反中は「フリではなく本物」、そして「プーチン愛」も異様に強いことが良くわかる。その裏には、どんな事情があるのだろうか? Photo:REX FEATURES/AFLO

ところが、大統領選で勝利した後の言動は、彼が「本物の反中」であることを示している。

トランプは昨年12月2日、台湾の蔡英文総統と電話会談し、大問題になった。なぜか? いうまでもなく、中国は台湾を主権国家と認めていない。「台湾は中国の一部である」としている。そして、米国にも「一つの中国」原則を守るよう要求し、歴代大統領は、律儀にそれを守りつづけてきた。

米国大統領と台湾総統が電話で話すのは、1979年以降、一度もなかった。つまりトランプは、米国と中国の間の37年間の慣習、合意事項を、あっさりぶち壊したのだ。

中国政府は衝撃を受け、厳重抗議した。これに対するトランプの反応はどうだったのか?彼は12月4日、ツイッターに、こう投稿した。(太線筆者、以下同じ)

「中国は彼らの通貨を切り下げること(つまり米企業の競争を困難にすること)、中国向けの米製品に重税を課すこと(米国は中国製品に課税していないのに)、南シナ海のど真ん中に巨大軍事施設を建設することなどに関して、われわれに了承を求めたか?そうは思わない!」

歴代の米大統領は、異常なほど中国に気をつかってきた。共産党の一党独裁国家・中国が、あたかも「道徳的権威」であるかのごとく。しかし、トランプは、「おまえたちにあれこれ言われる筋合いはない!」と、きっぱり態度で示したのだ。

そして、重要なポイントは、トランプが「南シナ海の巨大軍事施設建設」に言及したこと。彼の「反中」は「経済面だけではない」ことがはっきりした瞬間だった。

トランプがつくったのは「中国と対決するための政権」

人事を見ても、トランプは、「対中強硬派」に重要なポストを与えている。たとえば、新設される「国家通商会議」のトップは、超の付く反中の人物だ。

<トランプ氏、新設の「国家通商会議」トップに対中強硬派を指名   
AFP=時事 12/22(木) 20:38配信 
 【AFP=時事】ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期米大統領は21日、中国批判の急先鋒(せんぽう)として知られるピーター・ナバロ(Peter Navarro)氏を、貿易・産業政策を担う新たな組織「国家通商会議(White House National Trade Council)」のトップに指名すると発表した。>

カリフォルニア大学教授のピーター・ナヴァロには、「米中もし戦わば」という著書があり、現在日本でもベストセラーになっている。またトランプは、通商代表部(USTR)のトップに、これも反中のロバート・ライトハイザーを指名した。

この人事に、中国は慌て、共産党系メディアはトランプに「警告」した。

<中国共産党系メディア、トランプ氏に警告-次期USTR代表人事で   
Bloomberg 1/5(木) 18:39配信 中国共産党系の新聞、環球時報は5日の論説で、トランプ次期米大統領が貿易戦争を起こそうとしたり米中関係の緊張を一段と高めようとした場合、トランプ氏は「大棒」に遭遇するだろうと警告した。 中国語の大棒は太いこん棒、力や脅しを意味する。 トランプ氏が米通商代表部(USTR)の次期代表に対中強硬派のロバート・ライトハイザー氏を起用すると発表したことを受け、同紙は「中国商務省の門の周りには花が飾られているが、扉の内側には大棒も隠されていて、その両方が米国民を待っている」との文章を掲載した。>

また、新国防相に指名されたジェームス・マティスは「狂犬」と呼ばれる人物。15年1月27日、米議会で中国について、こう語っている。

「中国が南シナ海やそのほかで、いじめのような強硬路線を拡大していくなら、現在のわれわれの取り組みと並行して、中国に対抗するための政策を構築して行く必要がある」

このようにトランプは、「中国と対決するための政権をつくった」といえる。

「異常なプーチン愛」を示すトランプの目的とは?

一方、外国から見ると、まったく理解できないのが、トランプの異常なまでの「プーチン愛」だ。

彼は選挙戦中から一貫して、「プーチンとの和解、協力」を主張してきた。ヒラリー陣営は、これを利用した。彼女は、「トランプは、プーチンの傀儡だ」と主張した。

オバマ政権や、ヒラリーを支持するメディアは、1.プーチンは悪魔のような男 2.トランプは、悪魔(プーチン)の傀儡 3.だからヒラリーに投票するべきーーという論法で選挙戦を戦ってきた。それでも、トランプの言動は、変わることがなかった。

最近では、「ロシアがサイバー攻撃で米大統領選に介入した」ことが、大問題になっている。トランプは、「介入」を認めた上で、驚くべき発言をした。それでも「反ロシア派」は「バカ」だというのだ。

<【米政権交代】トランプ氏、反ロシア派は「馬鹿」 選挙介入認めるも
   BBC News 1/9(月) 13:54配信   米大統領選で共和党のドナルド・トランプ氏を有利にしようとロシア政府が民主党本部をハッキングするなど、選挙に介入しようとしたという米政府の報告書公表を受けて、トランプ氏は7日、それまでの主張を翻して介入があったことは認めたものの、ロシアとの良好な関係維持に反対するのは「馬鹿」で「愚か者」だと連続ツイートした。>

なぜトランプは、「親プーチン」「親ロシア」なのか?彼の論理は、「対ISでロシアと協力できるから」である。

トランプは、オバマのシリア政策を軽蔑している。オバマには、シリアに「アサド」「IS」という2つの敵がいた。オバマは、「ISをせん滅する!」といったが、それができない事情があった。

しばしばテロを起こすISは、一方で米国と同じく「反アサド」なのだ。つまり、オバマとISは、「反アサド」で利害が一致していた。そのため、米国と有志連合の空爆は「手抜き」で、ISは弱まることがなかった。

トランプは、オバマの優柔不断を「馬鹿げている」と考えている。では、トランプの「アサド、IS観」はどのようなものなのか?彼は、「アサドは悪だが、ISはもっと悪い」と語っている。なぜなら、「アサドが政権にとどまっていても、米国に実質被害はない。しかしISはテロを起こすので、米国の実質的脅威である」と。

極めて合理的である。この「アサド政権を容認し、ISをせん滅する」というのは、プーチンと同じ立場である。だからトランプは、プーチンと和解したいというのだ。

「プーチンの親友」が米国の国務長官に!

トランプの「親ロシア」ぶりは、人事にもあらわれている。マイケル・フリン大統領安全保障担当補佐官は、退役中将。12年~14年、オバマ政権下で国防情報局長官を務めたが、「ロシア寄り」の姿勢が問題視され、辞任に追い込まれた人物である。

そして、トランプ「親ロシアの象徴」は、国務長官に指名されたレックス・ティラーソンだろう。ティラーソンは、石油大手エクソン・モービルの前CEOである。その近年の言動を振り返ってみよう。

2006年 エクソン・モービルCEOに就任。  2012年 ロシアの国営石油会社ロスネフチと、北極海・黒海における共同開発で合意した。  2013年 ロシアから「友好勲章」を授与された。  2014年 欧米による「対ロシア制裁」に反対した。

「プーチンの親友」ともいわれる人物が、米国の国務長官を務めるのだ。これは「驚愕の事態」といえる。ちなみにトランプは、ウォール・ストリート・ジャーナル1月13日付のインタビューで、「対ロシア制裁解除の可能性」と「『一つの中国』の原則を見直す可能性」について言及した。

これらすべての事実からわかることは、トランプ政権は、「反中国、親ロシア」であるということだ。トランプ外交の基軸は、「ロシアと和解し、中国を叩く」になるだろう。

以前から予想された「米中対立」「米ロ和解」

実をいうと、新政権が「反中親ロ政権」になることは、以前から予想されていた。いつ予想できたかというと、「AIIB事件」が起こった15年3月からである。「AIIB事件」とは、英国、ドイツ、フランス、イタリア、オーストラリア、イスラエル、韓国などの親米諸国群が、米国の制止を完全に無視して、中国主導「AIIB」への参加を決めたことを指す。 「親米諸国、同盟諸国群が、米国ではなく中国の言うことを聞く!」

この衝撃は大きかった。米国支配層は、中国が既に「覇権一歩手前」まできていることを自覚した。この事件で、親中反ロだったオバマすら変わった。筆者は、15年4月28日付の記事で、「米国は中国に逆襲する」「ロシアと和解する」と書いた。  予想通り、米国政府は中国の「南シナ海埋め立て問題」を大騒ぎするようになっていった。そして、オバマは15年9月、訪米した習近平を露骨に冷遇し、世界に「米中関係悪化」が知れわたった。

一方、オバマは、ロシアとの和解に乗り出した。ケリー国務長官は15年5月、「クリミア併合」後はじめて訪ロし、「制裁解除の可能性」について言及している。米ロ関係が改善されたことで、ウクライナ問題は沈静化した。

同年7月、米国とロシアは協力し、歴史的「イラン核合意」を成立させた。さらに16年2月、米ロの努力で、シリア内戦の停戦が実現している(しかし、後に崩壊したが)。このようにオバマは、短期間でロシアと和解し、ウクライナ問題、イラン核問題を解決。シリア問題もロシアとの協力で、解決にむかっていた。

しかし、大統領選が近づくにつれ、オバマは再び「反ロシア」になっていった。既述のように、これは「ヒラリーを勝たせるため」だろう。

このように、「AIIB事件」以降、米国にとって最大の敵は中国と認識されるようになった。もしヒラリーが勝っても、米国が反中路線を歩むことは避けられなかっただろう。ただ、ヒラリーは、「中国との黒い関係」があるため、トランプほど反中にはなれなかったかもしれない。(「黒い関係」の詳細は、こちらの記事を参照)

そして、中国の脅威に立ち向かうために、米国がロシアと和解するのも、また必然的な流れである。

米国はかつて、ナチスドイツ、日本に勝つために、「資本主義打倒!」「米英打倒!」を国是とするソ連と組んだ。そして、第二次大戦で勝利すると、今度は敵だった日本、ドイツ(西ドイツ)と同盟関係になり、ソ連と対峙した。それでもソ連に対して劣勢だった1970年代初頭、米国はなんと中国と和解している。

「最大の敵に勝つために、その他の敵と和解する」

これが常に米国の戦略の根底にある。だから、米国が「中国に勝つために、ロシアと和解する」のは必然なのだ。

「米中冷戦」時代における日本のポジション

トランプは、「米中冷戦」「米中覇権争奪戦」を始める。すると、日本はどうなるのだろうか?

日米関係は、「米ソ冷戦時代」のごとく、良好になっていくことが予想される。米国にとって、「GDP世界3位の軍事同盟国」の存在は大きい。しかし、米ソ冷戦時と違い、今の米国は弱体化が著しい。トランプが以前から主張しているように、日本の負担増が求められるだろう。  日本は、米国の要求に従って、軍備を増強するべきだ。「外圧」を使って、「軍事的自立」に近づいていくのだ。

そして、トランプ時代の4年、あるいは8年は、日本にとって正念場になりそうだ。中国は、もはや高度成長時代には戻らない。「中国は、共産党の一党独裁だから世界一の経済成長を達成できる」という、中国国民を酔わせてきた「正統性」「神話」は、すでに崩壊しつつある。

それで、習近平は、新たな「正統性」を探さなければならない。もっとも「ありがち」なパターンは「外国の強敵」を設定し、「共産党だけが、敵から国民を守れる」とプロパガンダし、「正統性」を確保することだ。

そして、韓国同様、中国国民を一体化させるもっと簡単な方法は、「反日」なのだ。日本は、米国、インド、欧州、ロシア、オーストラリア、フィリピン、ベトナムなどとの関係をますます強化し、中国が尖閣侵略に動けない状態をつくりあげていく必要がある。

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