GSOMIAを日韓間で締結しようとしていますが、韓国側が非礼にも、2012年6月末締結直前にドタキャンしたものです。日本に締結のメリットは感じられません。通貨スワップと同じです。本記事にありますように、偵察衛星を持たない韓国側にだけメリットがあるだけ。困った時だけ、泣きついてきて駄々をこねる未熟な国、ゆすりタカリのうまいヤクザ国家です。朝日新聞が慰安婦について誤報で謝罪したのを知っているにも拘わらず、世界に慰安婦像を建てて日本人の名誉を貶める活動をしています。中国上海には像が建てられましたし、ドイツでも建てる動きがありました。こういう国を支援するとしたら、日本人は馬鹿としか言えないでしょう。多くの日本人は「自分には関係ない」と思っているのでしょうが、子々孫々に悪い影響を与えることは間違いありません。敵は日本民族は道徳的に劣った民族と世界に刷り込み、日本侵略時に味方をなくそうと考えて行動しています。韓国はその手先として動いている訳です。日本は民主主義国家なので、国民が中韓の歴史の捏造に怒らなければ政府も力が入りません。衆愚政治の典型となります。果たして今の日本人にその自覚があるかどうかです。以前にもふれましたが、”Manchurian candidate”そのものでしょう。
10/28日経電子版には<対北朝鮮、韓国の背中押す 日韓軍事情報協定の交渉再開へ
【ソウル=峯岸博】韓国政府は27日、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結に向けた交渉再開を決めた。日韓は米国を介して安全保障情報をやり取りしてきた。GSOMIAで直接の情報交換が可能となれば、より広い安保情報を迅速に共有できる。現実的な脅威となりつつある北朝鮮の核・ミサイルへの危機感や米国の意向が複雑な対日感情を抱える韓国の背中を押した。
ソウル南方の米空軍烏山基地に着陸した米軍のB1戦略爆撃機=21日(聯合=共同)
「北朝鮮への対応のためにも日韓の協力は極めて重要だ。早期締結を目指し韓国側と相談のうえ交渉に入る」。菅義偉官房長官は同日の記者会見で語った。日韓GSOMIAは2012年にいったん署名直前まで準備が整っており、両政府は今年中の締結をめざす。
日米韓には北朝鮮の核・ミサイル情報に限って情報を共有する防衛当局間の取り決めがある。それでもGSOMIAのメリットは大きい。
米国が介在しない分、情報伝達のスピードが速まる。ミサイル発射の場合、日本は発射地点や軌道を素早く把握できる。韓国は日本海などの着弾地点の情報を日本から得やすくなる。発射から日本周辺に落下するまでは数分。情報の把握・分析がわずかでも遅れれば致命的だ。日韓で直接伝達できれば、日本のミサイル迎撃システムの精度を上げることができる。
GSOMIAの対象は核・ミサイル情報だけではない。韓国が人的に収集した秘密情報に加え、南北軍事境界線付近の北朝鮮の動向や特殊部隊の情報も日本には魅力だ。
韓国も自国の弱みを補える。日本の偵察衛星情報に加え、北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を開発するなかで自衛隊の哨戒機による対潜水艦の探知能力への期待がとりわけ強い。
韓国政府には、署名直前までこぎ着けながら「密室処理」などと世論の反発を受け日本に延期を伝えざるを得なかった4年前のトラウマがある。植民地支配を経験した韓国には日本との安保協力への抵抗感が強い。
昨年末の従軍慰安婦合意や地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の在韓米軍配備問題も重なり、韓国政府は再交渉の時機を慎重に探ってきた。北朝鮮が今年に入り2回の核実験と20発超の弾道ミサイル発射を強行するなど、韓国政府は対日感情に拘泥できない状況になった。危機感を強める米もGSOMIA締結を促していた。
交渉再開は「あらゆる手段を総動員し北朝鮮に圧力をかける」と繰り返す朴槿恵(パク・クネ)大統領の意向が強い。国防省は「国民の支持を基盤に透明な形で手続きを進める」と強調する。
ただ朴氏は自身に関する内部文書流出問題で窮地に立っている。日本政府内には「署名できるまで韓国の世論を楽観視できない」(防衛省幹部)との不安の声も漏れる。>(以上)
とあります。韓国のヒューミントを期待してのことと思いますが、日本には朝鮮総連ルートがあります。裏で北に流れている金で言えば、圧倒的に日本からの方が多いと思います。韓国情報何て当てになりません。韓国は自力で北の脅威に直面した方が良い。
10/26ZAKZAK記事<正恩氏、身辺不安で“毒物探知機”輸入か 「毎週酒に溺れ自制できない」証言も
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が身辺に不安を感じ、爆発物や毒物を探知する装備を輸入したと伝えられている。酒におぼれているという情報もある。今月には正恩氏の「斬首作戦」を行うとしている米韓両軍が合同演習を行ったばかり。正恩氏はいま、不安におののいているのか。 韓国の情報機関、国家情報院の国会報告で分かった。韓国紙、中央日報(電子版)によると、報告では正恩氏が「身辺の不安から最近、よく日程を変更し、爆発物・毒劇物探知装備を輸入した」といい、「斬首作戦」の具体的な内容の収集も命じたという。 報告はさらに正恩氏の健康についても言及した。「過飲・過食など無節制な食習慣で心臓病高リスク群と診断される」とし、正恩氏が毎週3、4日ほど夜通しでパーティーを開き、酒を飲むと自制できないという証言があることも紹介した。 正恩氏が不安を覚えるのも仕方がないのかもしれない。米韓両軍が10月10~15日、韓国西方の黄海などで合同軍事演習を行ったばかりだからだ。 演習には、米海軍が誇る原子力空母「ロナルド・レーガン」も参加した。その目的には、有事の際に北朝鮮指揮部を攻撃する訓練があるとされていた。指揮部の攻撃とは、正恩氏を「斬首する」という意味にほかならない。
北朝鮮情勢に詳しい関西大の李英和(リ・ヨンファ)教授は、「米韓軍の軍事演習や斬首作戦に対し、金正恩氏本人が警戒するというのもあるし、正恩氏の周囲が得点稼ぎのため過剰な警備をしていることも考えられる」と分析する。 一方、北朝鮮の国営メディアは連日、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領を非難し続けている。朝鮮中央通信によると、18日付の労働新聞はこう朴氏を批判した。 「朴槿恵一味は、民族の和合と北南関係の改善を願う各階層の熱望を踏みにじって反共和国対決策動にいっそう狂奔している。現実は、朴槿恵逆賊の群れの同族対決の腹黒い下心は絶対に変わらないということを示している」 前出の李教授はこうした北朝鮮の動きについて、来年の韓国大統領選に向けて「親北左翼政権を誕生させようとしている」と見るが、仮にそうなっても金正恩政権の未来は明るくないとして、こう指摘する。 「左翼政権ができれば、金を援助してくれるATMができてうれしいが、逆に韓国を攻撃するわけにはいかなくなる。北朝鮮にとって頼みの綱は左翼政権の誕生だが、かえって災いの元になるかもしれない」 どう事態が動いても、正恩氏の首筋が寒いことに変わりはないようだ。>(以上)
米軍の斬首作戦に怯える金正恩の姿が浮かび上がります。虚勢を張ってきましたが、米中に抗って、味方はロシアと瀋陽軍だけになりました。ロシアと瀋陽軍は米軍の攻撃があっても助けることは出来ないでしょう。まあ、北と南が争うのは「勝手にやって」という所ですが、「日本を巻き込むな」と言いたい。
記事
10月15日、北朝鮮のミサイル発射失敗を米軍が韓国より先に発表。米軍による撃墜か、と憶測を呼んだ(写真=AP/アフロ)
(前回から読む)
米国と北朝鮮が「先制攻撃するぞ」と脅し合う。米軍による北朝鮮空爆の寸前まで行った1993-1994年の核危機が再燃したのだ。
ムスダン、相次ぎ失敗
—10月15日と20日、北朝鮮が相次いでミサイルを発射しました。
鈴置:いずれも、米軍のコードネームで「ムスダン」と呼ばれる中距離弾道ミサイルと見られています。
射程は3000キロ以上で、米領グアムを攻撃できるとされています。なお、両日とも「ムスダン」は1発ずつ。ともに発射直後に爆発した模様です。
—まさか、米軍が撃ち落としたのではないでしょうね。
鈴置:そう思った人もいました。北朝鮮は核弾頭と米本土まで届くミサイルのエンジン開発に成功したと9月に発表したばかりです(「米国が北朝鮮を先制攻撃する日、韓国と日本は?」参照)。
北はかねてから「米韓を核攻撃する」とも宣言していました(「朴槿恵(パク・クンヘ)は『北爆』を決意できるのか」参照)。
もう、試射であろうと北朝鮮がミサイルを撃ったら、米軍がそれを撃ち落としても、何の不思議もないのです。
なぜか米国が先に発表
それに10月10日から15日まで、黄海など韓国周辺海域で米韓海軍が合同軍事演習「Invincible Spirit(不屈の意志)」を展開中でした。
10月10日の朝鮮労働党創建記念日に、北朝鮮が核実験やミサイル実験を実施するのを見込んで牽制するのが目的だったのです。
米艦隊にはSM3(海上配備型迎撃ミサイル)を装備したイージス艦も加わっていました。北の弾道ミサイルを撃ち落とそうと思えば落とせた可能性が高いのです。
もう1つ疑いをかき立てた理由がありました。15日の「ムスダン発射」をまず米軍が発表したからです。それも発射の約16時間後でした。
UPI通信は米軍の発表を受けて「U.S. detects failed North Korean midrange missile test」を配信しましたが、配信時刻は日本・韓国時間で16日7時27分。一方、発射は15日12時33分でした。
北のミサイルに関してはこれまで、発射して数時間以内に韓国軍が発表するのが通例でした。しかし、この時の韓国軍の発表は、米軍と比べても2時間も遅かったのです。
韓国メディアも首傾げる
—確かに変ですね。
鈴置:「米国が先に発表したのは、米軍がSM3で落としたからではないか」「発表が半日以上も経ってからだったのは、発表するかどうかを米上層部が協議していたからではないのか」と疑うコリア・ウォッチャーもいました。
聯合ニュースもこの遅れに首を傾げる記事を配信しました。「『米国の情報をすべて見てから』…軍、北のミサイル発射を1日遅れて公開し論議の的に」(10月16日、韓国語版)です。ポイントを訳します。
- 韓国の合同参謀本部関係者は「韓米が情報を共有し分析するのに時間が必要だった」としたうえで「失敗に終わったため、一刻を争って公表する状況ではなかった」と述べた。
- しかし、合同参謀本部は従来、ミサイルの種類の判別の可否や実験の成否にかかわらず、直ちに公表してきた。この説明はやや受け入れがたいところがある。
聯合ニュースはこの記事の結論部分で「韓米の情報共有がしっくりいっていないのではないか」と指摘しただけで「米国が落としたのではないか」とまでは書きませんでしたが。
北を叩くなら一気に
—では、実際にはどうだったのでしょうか。
鈴置:この問題に詳しい日本の専門家は、以下のように語りました。
- 米海軍が撃ち落としたのではなく、本当に失敗したのだろう。北朝鮮は10月15日以前に6回、ムスダンを撃って5回失敗している。韓国軍の発表が遅れたのは自力で探知できなかったためと思う。
- 今回の発射場所は中朝国境に近い黄海側の平安北道・亀城(クソン)。韓国からかなり離れた場所だ(地図参照)。しかも北朝鮮はトレーラー――移動式のミサイル発射台から撃ったので、発射場所を予め特定できなかっただろう。
- こうした状況下で、偵察衛星を持たない韓国が弾道ミサイル、ことに発射直後に爆発したミサイルを探知するのはまず無理だ。
—なるほど「米軍犯人説」はガセだったのですね。
鈴置:でも、この専門家は不気味な話もしました。以下です。
- ムスダンの試射などは「大事の前の小事」。米軍は真剣に先制攻撃を検討している。そんな時に、ミサイル1発だけを狙いはしない。
米軍が北朝鮮を叩く時は、一気に叩く――というわけです。確かに北に警告を発するために、テストで発射された北の弾道ミサイルだけを攻撃する手もあります。
しかしこの専門家は、米軍はそんな中途半端なやり方はしない。ミサイルを撃ち落とせば北が反撃して来る可能性が大。どうせやるなら核・ミサイル施設すべてを同時に破壊する、と言うのです。
金正恩は即座に死ぬ
—「大事」つまり、先制攻撃を米国が本気で考えているからこそ、小手先の策は使わない、との指摘ですね。
鈴置:実際、北朝鮮の5回目の核実験(9月9日)の後、米国の外交・安保関係者は繰り返し先制攻撃に言及するようになりました。
9月16日にはマレン(Mike Mullen)元・統合参謀本部議長が「北朝鮮が核で米国を攻撃できる能力を持ったら、先制攻撃も辞さない」と述べました(「朴槿恵は『北爆』を決意できるのか」参照)。
9月23日にはホワイトハウスのアーネスト(Josh Earnest)報道官が質問に答える形で「一般論だが、先制的な軍事行動に関しては事前に論議しないものだ」と思わせぶりな発言をしました(「米国が北朝鮮を先制攻撃する日、韓国と日本は?」参照)。
10月12日にはラッセル(Daniel Russel)国務次官補が「金正恩(キム・ジョンウン)が核攻撃を企て得る能力を持ったら、即座に死ぬことになる」と語りました。
発言の原文はAP通信によると以下です。U.S. Newsの「US reserves right to punish China firms working with NKorea」で読めます。
- Perhaps he’s got an enhanced capacity to conduct a nuclear attack and then immediately die.
その前日の10月11日にはシャーマン(Wendy Sherman)前国務次官がソウルで「北朝鮮の核兵器を完全に終わらせるためには経済制裁措置だけではなく、すべての可能なオプションを用いるべきだ」と語っています。
聯合ニュースが「シャーマン前国務次官『北核問題解決に全オプション動員を』」(10月24日、日本語版)で報じました。シャーマン氏はヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)候補が大統領就任の際は、外交関係の要職に就くと見られています。
北朝鮮側は「核で先制攻撃」
—「先制攻撃」の大合唱ですね。
鈴置:北朝鮮も負けていません。これまでも「米韓を先制核攻撃する」と威嚇してきました(「朴槿恵は『北爆』を決意できるのか」参照)。
米国で「先制攻撃論」が盛り上がると、北朝鮮もガンガン言い返しています。労働新聞は10月5日、論評で「米国の核の脅威に対抗、我々は先制攻撃方式に転換した。核はいつでも米国に使える」と宣言しました。
労働新聞は10月19日にも「先制攻撃は米国と南朝鮮の特権ではない。南全域は火の海、米本土も修羅場になる」との論評を載せました。
米朝の間で「先制攻撃するぞ」との威嚇合戦が始まったのです(「『先制攻撃』を巡る動き」参照)。ただ、北朝鮮と異なって米国は「核による先制攻撃」とまでは言っていませんが。
先制攻撃」を巡る動き(2016年) | |
9月 | |
5日 | 北朝鮮、高速道路から3発の弾道ミサイル連射、1000キロ飛び日本のEEZに落下 |
9日 | 北朝鮮が5回目の核実験を実施し「戦略ミサイルの核弾頭の生産が可能になった」 |
10日 | 稲田朋美防衛相、韓民求国防相に電話会談で、GSOMIA締結を呼び掛ける |
12日 | 韓国国防相報道官「日本とのGSOMIAは必要な雰囲気。ただ、国民の理解必要」 |
16日 | マレン元米統合参謀本部議長「北の核の能力が米国を脅かすものなら先制攻撃し得る」 |
19日 | カーター国防長官、在韓米軍のスローガン「fight tonight」を引用「その準備はできた」 |
20日 | 北朝鮮「推力重量80トンの静止衛星運搬用ロケットの新型エンジン燃焼試験に成功」 |
20日 | ハイテン米戦略軍次期司令官「北朝鮮はいずれICBMを持つ。すぐに備えるべきだ」 |
22日 | 米大統領報道官、対北攻撃を聞かれ「一般に先制的軍事行動に関し事前に論議しない」 |
24日 | ヴィクター・チャ教授、中央日報に「北朝鮮のICBMの破壊も検討」と寄稿 |
26日 | 米韓海軍、日本海で合同訓練。韓国軍「北朝鮮の核・ミサイル施設や平壌が攻撃目標」 |
10月 | |
1日 | 米韓海兵隊、白翎島で合同軍事演習 |
5日 | 労働新聞「米国の核の脅威に対抗、我々は先制攻撃方式に転換。核はいつでも米国に使える」 |
6日 | 国連軍縮委員会で北朝鮮代表「自主権が侵害されない限り先に核は使わない」(朝鮮通信、8日報道) |
10日 | 北朝鮮、労働党創建71周年記念式典を開催 |
10日 | 米韓海軍、黄海含む朝鮮半島周辺海域で「陸上精密打撃訓練」(10月15日まで) |
11日 | シャーマン前米国務次官「北の核には経済制裁に加え全ての選択肢を使うべきだ」 |
11日 | 朝鮮中央通信「来年1月の金正恩委員長の誕生日は盛大に祝う」 |
12日 | ラッセル米国務次官補、記者団に「金正恩が核攻撃する能力を持てば直ちに死ぬ」 |
15日 | 北朝鮮、中距離弾道弾を平安北道・亀城から発射。米軍は「直後に爆発」と発表 |
19日 | 労働新聞「先制攻撃は米国と南朝鮮の特権ではない。南全域は火の海、米本土も修羅場になる」 |
20日 | 北朝鮮、亀城から長距離弾道ミサイル発射。米韓は「直後に失敗」と発表 |
21日、22日 | 北朝鮮の韓成烈外務次官と米国のガルーチ元国務次官補らがクアラルンプールで接触 |
悲惨な「第2次朝鮮戦争」
—軍事衝突が起こるのでしょうか。
鈴置:予測は極めて難しい。米朝双方の今後の出方にかかっていますが、それが読めません。状況は1994年の「第1次核危機」と似てきました。
北朝鮮は1993年3月にNPT(核拡散防止条約)からの脱退を宣言するなど、露骨に核開発を進めました。これに対し国連は経済制裁を決議し圧力をかけました。それと並行し、米国も北朝鮮との対話で活路を見いだそうとしました。
しかし、北朝鮮の核武装にかける意思は固く、対話はこう着。米国では北の核施設への空爆論が公然と語られるようになったのです。ビル・クリントン(Bill Clinton)政権は「第2次朝鮮戦争」も覚悟しました。
現在、国防長官を務めるカーター(Ashton Carter)氏は1994年当時、ペリー(William Perry)国防長官の下で国防次官補を務めていました。2人は1999年に共著『Preventive Defense』を出版しましたが、以下のように回顧しています(218ページ)
- もし戦争が起きれば朝鮮半島を恐ろしいまでに破壊し尽くしただろう。ソウルは軍事境界線に近く、ダレス国際空港とワシントンDCの距離ほどもない。人口が密集したこの都市には砲弾の雨が降り注いだはずだ。数10万人の市民が殺され、100万人単位の難民が南北朝鮮で発生したに違いない。
- 韓国には3万7000人の米軍兵士が駐留しており、それ以外にも多くの政府職員や10万人を超える米国市民が住み、働いていた。彼らにもまた、被害が及んだであろう。
- 非戦闘員を非難させる計画もあった。だが砲弾の雨の下、多くの米国人もソウル市民と同じ運命をたどることが容易に想像できた。
緊張の1年間だった
—戦争の瀬戸際だったのですね。
鈴置:そう言ってよいと思います。私は当時、北朝鮮の核問題の担当デスクでした。いつ衝突が起きるか分からず、緊張の1年間強を過ごしました。ワシントン、平壌、ソウル、それにIAEA(国際原子力機関)のあるウィーンから目まぐるしくニュースが飛び込んで来るので、不眠不休の毎日でした。
多くの日本人は「瀬戸際」だったことをすっかり忘れていますが。南北対話の席で北朝鮮の代表が「ソウルは火の海になる」と発言したのもこの緊張の中での話です。1994年3月19日のことでした。
—「ソウルは火の海」。思い出しました。
鈴置:結局、1994年6月にカーター(Jimmy Carter)元大統領が訪朝し、半ば引退していた金日成(キム・イルソン)主席と会談。
両者の間で妥協が成立し、辛うじて戦争は回避されました。この妥協を基に同年10月、米朝は「枠組み合意」に至りました。北の核開発は阻止できたかに見えました。
しかし、同じ年の7月に金日成主席が死亡。後を継いだ金正日(キム・ジョンイル)総書記は密かに核開発を続けました。孫の金正恩委員長が核武装にメドを付け、米国への先制核攻撃を唱えるようになったのです。
核を失えば権力も失う
—12年前と同様に対話で一応は解決できるのでしょうか。
鈴置:解決というより、問題を先送りして悪化させただけだったのですけれどね、今から振り返れば。
「対話による解決」は12年前と比べはるかに難しくなっています。金日成主席は米国や日本と国交正常化できるのなら、核開発を放棄してもよいと本気で考えていたフシがあります。
しかし3代目の金正恩委員長が核を手放すことはまず、ないでしょう。核を放棄したら権力の座から転げ落ちる可能性が大きい。「核武装を実現した」ことだけが国民に誇れる実績だからです。
それに1994年当時、北朝鮮は核弾頭も中・長距離の弾道ミサイルも開発を始めたばかりでした。米国には腰を据えて北朝鮮と交渉する時間的な余裕がありました。
しかしもう、先送りはできません。北朝鮮はあと1、2年でミサイルに搭載可能な小型の核弾頭や、米国まで届く長距離弾道ミサイルを完成すると見られるのです。
仮に今回、米朝対話を実施したとしても、北朝鮮が時間稼ぎの素振りを見せた瞬間、米国では「時間がない。先制攻撃に踏み切ろう」との声が一気に高まるでしょう。
米朝対話、再び?
—マレーシアで米朝が会談したと報じられました。
鈴置:10月21日、22日の両日、クアラルンプールで北朝鮮の韓成烈(ハン・ソニョル)外務次官らと、米国のガルーチ(Robert Gallucci)元・国務次官補らが非公式に話し合いました。
テーマはもちろん北朝鮮の核とミサイルです。北朝鮮は自身を核保有国と認めたうえ、在韓米軍の撤収につながる米朝平和協定の締結を求めた模様です。一方、米国は朝鮮半島の非核化を要求したようです。
双方ともにこれまでの要求を繰り返しただけです。対話がすぐさま始まるとは思えません。オバマ(Barack Obama)政権の任期は2017年1月までで、新たな行動には出にくいのです。
なお、ガルーチ氏はビル・クリントン政権下で北朝鮮との交渉役を務め、1994年の米朝「枠組み合意」をまとめた人です。
東亜日報は社説「対北圧迫の中での米朝接触、北朝鮮に誤ったシグナルを与える時ではない」(10月24日、日本語版)で以下のように分析しました。
- 米国側出席者は民主党候補のヒラリー・クリントン氏が11月の大統領選で勝利する場合、次期政府の北朝鮮政策に影響力を行使する可能性が少なくない。
- 今回の接触は、クリントン氏が当選する場合を想定して、米民主党に近い韓半島専門家と北朝鮮側が互いの考えを探るためのものとみえる。
- オバマ政府が直ちに強硬な対北スタンスを変える可能性はないが、次期政権ではどのように変化するか分からないため、韓国政府は綿密な備えが必要だ。
先を読める人はいない
—韓国紙も予想が付かないのですね。
鈴置:金正恩委員長とオバマ大統領、あるいは米国の次期大統領を含め、先を読める人は世界のどこにもいないでしょう。日本も予断を持たず、あらゆる可能性を考えて準備することが肝要です。
(次回に続く)
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