9/30日経 中沢克二『出せなかった共同声明 米国への挑戦のツケ』について

一昨日のブログに「習近平の国連演説はガラガラだったのに、中国メデイアは人が多くて入りきれないと報道した」と書きました。韓国同様と言うか兄貴分で、息を吐くように平気で嘘がつける民族です。本記事は訪米の成果を国内向けにでっち上げて報道しているという事です。共産党の「喉と舌」の役割を果たしているのが宣伝部ですから、不都合な真実が掲載されることはありません。今回の訪米の成果は金を持ち逃げして米国に隠れていた2人を送還して貰っただけとのこと。でもアメリカも手土産を渡すことはなかったろうに。いくら法外な金を持ち逃げしたからと言って、強制送還すれば中国で死刑になる可能性は高いです。人権にうるさいアメリカがそこまでしなくとも。ましてや、中国とアメリカは「犯罪人引渡協定」は結んでないので。

「新しい形の大国関係」については2013年11月スーザン・ライス補佐官が中国に行って認めるような発言をしました。オバマが“yes”と言ったからでしょう。その後軌道修正しましたが。オバマは本当に頭が悪い。現状把握が全然できていません。アメリカに仇なす国はどこか、挑戦しようとしている国はどこか、13年の南シナ海での人工島の建設を見ていれば分かったでしょう。それでもライスにそういった発言をさせるのですから。史上最低の大統領の烙印を押されることは間違いないでしょう。

次の大統領が誰になるにしろ、中国に宥和姿勢を貫くことは難しいと思います。選挙対策だけでなく、AIIB創設により米国の基軸通貨制度に明らかな挑戦をしてきていますので。ロシアは米国のGDPの1/8しかありませんので核以外に恐れるものはありません。中国のGDPは購買力平価でみると既に米国を抜いているとも言われています。ただ、中国の数字は当てにならないし、借金大国ですから。基軸通貨国でないので外国に人民元をいくら刷って返そうとしても受取拒否されるでしょう。米国も人民元のIMFのSDR通貨入りは拒否すべきです。ルトワックの言うように軍事膨張主義の中国を封じ込めるためロシアも仲間に引き込むことを考えるべきです。戦争をしないで経済制裁をすれば良い。

記事

Chinese base on an artificial island

中国が南シナ海の南沙諸島、ファイアリクロス(中国名・永暑)礁に完成させた滑走路の衛星写真(20日撮影)=(C)CNES2015,Distribution Airbus DS/(C)2015IHS・共同

「国家主席、習近平の初の米国への『国事訪問』にもかかわらず、包括的な米中共同声明は発せられなかった。異例だ。いや、厳しい雰囲気の中、初めから発表するのをあきらめた」

 北京の政治学者が慨嘆する。中国国営メディアが、習訪米の成果を大宣伝しているのとは対照的だ。南シナ海、サイバースパイ、人権の各問題での対立はそれほど深刻だった。なんとか発表したのは、気候変動に限った共同声明だけである。この事実は今回の習訪米を象徴している。

 9月25日、首脳会談を終えた習と米大統領のオバマは共同記者会見に臨んだ。合わせて米ホワイトハウスは、国事訪問に関する「ファクトシート」を公表した。これに7時間遅れて、中国国営通信の新華社が「国事訪問に関する中国側の成果の詳細」を配信した。

■中国が一方的に成果を発表

 驚くことに双方の文書は、中身、項目建てもかなり違っている。目を引くのは、中国が第1項目の見出しで、米中の「新しい形の大国関係」をうたっている点だ。習は共同会見でも「新しい形の大国関係の構築」を訴えた。

 米側文書には、見出しどころか、「大国関係」という言葉は皆無。「新しい関係」という言い回しさえない。「共に働く」としただけである。

 中国が提起する「大国関係」は、米中二大国が世界を仕切るという印象が強い。米側がこれに言及すれば、力ずくで現状を変えようと動く中国を認めることになる。米政府が公式文書に盛り込むのを一貫して拒んでいる理由だ。

 それでも中国は、メンツにかけてこの言葉を使い続けなくてはいけない。なぜか。端緒は2013年6月の米中首脳会談にある。トップ就任後、初めて訪米した習が、カリフォルニア州パームスプリングスでオバマと会った際、鳴り物入りで提起したキーワードなのだ。

 「新しい形の大国関係」には、米国に中国の実力を明確に認めさせる意味もある。米国と肩を並べる世界大国の実現は、習が掲げる「中華民族の偉大な復興」と同義だ。習は内政上の理由からも「大国関係」を実現したい。

 13年の首脳会談で習はもう一つ、キーワードを発している。「広い太平洋には米中両国を受け入れる十分な空間がある」。これは、軍事、経済的に強大になった中国は、広い太平洋の西半分ぐらいまで勢力圏とする権利を有している、と主張したと解釈された。

 少なくても、米艦船、航空機が「我が物顔」で振る舞うのを阻み、米国の力がアジア太平洋地域の全てに及ぶ現状を変えたい、との思いだ。習は本気だった。「大国関係」と「広い太平洋」発言はセットである。新任の習は、柔らかい表現ながら、米国に挑戦状をたたきつけた形になった。

 「大国関係」については、国家安全保障担当の大統領補佐官、スーザン・ライスが13年11月に認めるかのような発言をした経緯がある。しかし、習指導部が、いきなり東シナ海に防空識別圏を設置すると、米国内で対中警戒感が一段と高まり、米側からの「大国関係」への言及は一切、なくなった。

 14年3月、オランダ・ハーグでの米中首脳会談でも習は「大国関係」の構築を強調したものの、オバマはまったく触れなかった。その後も中国が一方的に「大国関係」を宣伝しているにすぎない。

 一般の二国間関係では、首脳会談で合意できない内容は、文書に書き込まないのが常識だが、中国は違う。あえて「中国側の成果」と銘打って発表した。「新しい形の大国関係」は、最も強調した部分なのだ。

 そこには中国の内政を外交の場に直接、持ち込む強引さがある。自らが世界の中心だと考える伝統的な「中華思想」も見て取れる。

 11年、当時の国家主席、胡錦濤は米国を国事訪問し、オバマと会談した。その後、慣例にのっとって米中共同声明が発表された。先々代のトップ、江沢民も1997年の米国への国事訪問の際、共同声明を発表している。

 「この点だけを見れば、現時点で習は先代、先々代に及ばない。心配だ」

 中国人学者がつぶやく。当然、中国メディアが、共同声明を出せない事実を積極的に報じる心配はない。笑顔の習とオバマの写真を掲載し、習がいかに米国で歓待されたか、だけを報道している。

 中国は、胡錦濤時代まで、爪を隠して力を蓄える「韜光養晦(とうこうようかい)」と呼ばれる外交・安全保障政策を採ってきた。習はこれを明確に転換。向上した自らの軍事、経済力を表に見せて、米国にある種の圧力をかける姿勢に変わった。南シナ海での岩礁埋め立て、東シナ海での防空識別圏設置が典型的な例だ。

■江沢民、胡錦濤に及ばない?

 この強硬策への転換のツケが今回の訪米に現れた。米中共同声明を出せないのは、当然の結果と言える。とはいえ、習はあきらめない。国家主席としての任期は最大で23年まである。今後、メンツにかけて「ポスト・オバマ」の新大統領との間で、共同声明を出そうと動くだろう。

 そこに、なんとしても米国と肩を並べる大国となった証しとして「新しい形の大国関係」を盛り込みたい。捲土(けんど)重来である。

 成就できなければ、習はただ対米関係を険悪にしただけになる。外交面で胡錦濤、江沢民に劣るという歴史的な評価になりかねない。それでは、毛沢東、鄧小平に並ぶ偉大な指導者の仲間入りなどほど遠い。習は必死だ。(敬称略)

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