『米国の「ゴールデンドーム」に続け、「台湾ドーム」の緊急整備を決めた台湾 「ヤマアラシ戦略」と呼ばれる台湾の新しい防空体制の中身とは』(10/18JBプレス 樋口 譲次)について

10/19The Gateway Pundit<China’s Mineral Power Play Will Succeed—Until It Doesn’t=中国の鉱物資源開発は成功するだろう ― 失敗するまでは>

中共は今まで西側の技術を吸収(盗みも含む)してきた恩義を忘れて、仇で返す行為。中国人は忘恩の徒。信用してはならない。

この記事は元々Real Clear Wireで公開されました。

アンドリュー・レイサム

トランプ大統領が関税引き上げを示唆したことで、関税が再び話題になっている。しかし今回は貿易戦争の舞台ではない。争点はスプレッドシートから生産能力の増強へ、玩具や繊維の価格からハードパワーの中核へと移った。中国は戦略鉱物と、それらを戦闘力へと変えるノウハウ、すなわち希土類酸化物や磁石の原料、電池用グラファイト、そしてそれらを管理する加工装置やライセンスへの締め付けを強化している。したがって、ワシントンの関税措置は歳入の問題ではなく、即応体制、つまり生産スケジュール、生産速度、そしてミサイルが飛来した際に生産を増強する能力の問題である。これは大国間の競争の時代における力の均衡、そして生き残りに関わる問題である。

この焦点の転換が重要なのは、北京が何か新しいことを明らかにしているのではなく、既存のツールキットに組み込まれている管理メカニズムを強化しているからだ。輸出許可の拡大、分離技術や磁石製造技術の遮断、そして中国製部品を含む外国産品への管轄権拡大によって、中国は市場シェアを影響力に変えている。これらは単なる官僚的な脚注ではない。精密誘導兵器AESAレーダー航空機アクチュエーター電動駆動装置、そして海底システムといった部品に使われる材料に対する的を絞った制約であり、西側諸国の産業界に「生産ペースは我々の書類処理次第だ」という露骨なメッセージを送っているのである。

経緯明らかだ。2023年、北京はガリウムとゲルマニウムの採掘許可証を発行し、天然および合成グラファイトの許可審査を開始した。同年12月下旬には、希土類元素の抽出、分離、磁石製造技術の輸出も禁止した。今秋、政府はさらに動き、リサイクルおよび磁石関連機器の許可要件を厳格化し、半導体関連の使用についてはケースバイケースの精査を追加し、外国の軍事最終用途に関連する申請は大部分が拒否されるだろうと示唆した。重要なのは、新措置が原材料だけでなく、それらを加工する技術や工具も対象としており、中国製のコンテンツや中国起源のノウハウを組み込んだ外国産磁石にも適用できる点だ(FDPRスタイルのルールセット)。鉱物資源をめぐる政略が鍵となる。つまり、ボトルネックを兵器化し、中国国外への移転を遅らせ、加工の優位性を交渉力に転換することだ。特に西側諸国の再軍備計画にかかわる部分ではそうだ。

短期的な影響は、西側諸国が最も脆弱な領域、すなわち時間に影響する。希土類元素とグラファイト資源の供給網は、価格だけでなく時間も重要だ。数日から数週間に及ぶライセンスは、重希土類酸化物とネオジム磁石に依存するプログラム(スマート兵器、AESAレーダー、駆動モーター、照準レーザー、静粛海底システムなど)の生産速度の遅れに波及する。加工ツールや技術支援に対する規制は、中国以外の工場の稼働を遅らせ、運転資金を安全在庫に閉じ込める。分離、金属製造、磁化の各段階でわずかな遅延が生じても、まさに加速が必要な時に再軍備を停滞させかねない。北京が圧迫しているのはまさにこの点だ。つまり、スケジュールリスクを課し、信頼を損ない、工場が実際に生産しない限り「回復力」は単なるレトリックに過ぎないことを皆に思い知らせるのだ。

しかし、難所を背景に構築された戦略は、同時にその解毒剤をも拡散させる。圧力は人々の意識を集中させる。ワシントンとその同盟国は、「回復力」をスローガンから実力へと転換させつつある。公的資本、長期にわたるオフテイク、そして長期にわたる量的コミットメントを伴う調達に支えられた鉱山から磁石までのエコシステムの構築だ。国防当局は酸化物回収、金属・合金生産、そして国内磁石ラインに資金を提供し、複数年にわたる調達がこれらの増強と整合し始めている。また、リサイクルによって産業廃棄物や電子廃棄物が補助的な原料へと変換されている。すべてのプロジェクトが成功を収めるわけではないが、それぞれのプロジェクトが始動するごとに、単一の輸出許可の影響力は弱まる。

関税はこの場合の促進剤として適している。

関税だけでは、磁石のような魅力は生まれない。防衛需要と実際の引き取り手と相まって、脆弱な供給ラインへの固執を抑制しつつ、北米の生産能力が拡大するための時間を稼ぐ。重要なのは防衛そのものではなく、テンポの変化だ。新たな生産能力がアンカー顧客を必要とするまさにその瞬間に、関税によって依存コストが上昇すれば、代替が加速し、交渉力もそれに応じて変化する。このように、貿易手段は限定的かつ道具的に利用され、抑止力を強化する。

北米は、鉱石から配向磁石まで、あらゆる供給網を整備し、それらを実戦に耐えうるプラットフォームに組み込むことができるため、この転換の屋台骨となっている。米国では、許可促進策、輸出金融ツール、そして国防生産法(DPA)の助成により、グラファイト、レアアース、そして磁石の生産能力が、開発段階から製造現場へと引き上げられている。カナダでは、連邦政府による重要鉱物資源、基盤インフラ整備、そして国境を越えた連携強化への真剣な取り組みにより、地質学が戦略へと転換しつつある。その論理は大陸共通である。すなわち、共有市場、補完的な資源基盤、そして競合ではなく複合的な安全保障上のインセンティブである。

Graphiteは、その戦略を縮小して示している。北京が2023年に導入した許可制度、そして今秋発表された延長措置により、バッテリーと無人システムは格好の標的となった。その答えは単純明快だ。アラスカからアノードまでのサプライチェーンを加速し、許可を迅速化し、信用支援と長期のオフテイクを組み合わせ、貿易風が変わった際に軍事需要を満たす国内のアノード生産を確保する。同じ論理が重希土類元素や磁石合金にも当てはまる。鉱石供給源を多様化し、国内での分離技術を習得し、金属と磁石の工程を国内で確立し、リサイクルを利用して需要の急増を緩和する。これらはどれも華やかなものではない。これらすべてが「サプライチェーンの安全性」を、鉄鋼、ワイヤー、火薬といった、いざという時に抑止力が信頼できるかどうかを左右するありふれた材料へと変換するのだ。

磁石はもう一つの蝶番です。国内のネオジム鉄ボロン生産能力がなければ、精密兵器、電動駆動装置、アクチュエーターなどあらゆる用途の供給源は外国の規制に頼ることになります。しかし、状況は変わりつつあります。政策支援と確約された需要が米国の磁石工場を支え、一方で国防関連契約は国家安全保障用途の永久磁石生産を拡大しています。一部のプロジェクトは遅延するでしょうが、他のプロジェクトは静かに地図を変えるでしょう。重要なのは方向性とペースです。試運転が積み重なるにつれて、連合軍の行動の自由度は高まります。

批判者たちは、関税と防衛生産を組み合わせることは短期的な痛みを伴うと警告しているが、それは間違いではない。コスト上昇、国内回帰に伴う摩擦、そして長らくアウトソーシングされてきた生産工程の再構築に伴う避けられない学習曲線などだ。その痛みは現実のものだ。それはまた、サプライチェーンが戦場の一部となっている世界において、行動の自由を取り戻すための代償でもある。戦略とは、どの痛みをいつ受け入れるかを選択することだ。信頼できるパートナーと永続的な能力を構築する条件で、早期に痛みを受け入れることは、北京で設定された危機のタイムラインに沿って後から受け入れるよりも優れている。

より深い点は、この競争における支配力は流動的なフロンティアであるということです。今日の優位性は、加工における優位性と根付いたノウハウにかかっています。明日の優位性は、各国がいかに迅速に適応し、稼働を開始し、そしてコミットするかにかかっています。米国とカナダが、関税と調達によってインセンティブを同期させながら、許可証を工場に、覚書を磁石に変え続けるならば、短期的には痛手となるかもしれませんが、長期的には脆弱性から脱却するでしょう。この変化こそが勝負です。なぜなら、交渉力はライバルのライセンスデスクから、我が国の産業の背骨へと移行するからです。

このように解釈すると、トランプ大統領の関税脅威は、騒々しい余興ではない。現代軍の活動を支える資源への締め付けを打破するための、より大規模な戦略における一つの手段に過ぎない。限定的に使用され、明確な防衛成果と結び付けられることで、代替手段が構築される間、依存を罰する。北京の鉱物資源に関する国家戦略は合理的であり、しばらくの間は効果的である。しかし、依存のコストを即時かつ目に見える形で示すことで、中国の力を弱めることになる多様化を加速させている。適応率で測られる長期戦において、勝利を収めるのは、最初に「十分な規模」に到達し、それを継続する連合軍である。北米が直面する課題は、決意を生産力に変え、レジリエンスに関するレトリックを抑止力を現実のものとする金属、磁石、陽極へと転換することである。

アンドリュー・レイサム博士は、ミネソタ州セントポールにあるマカレスター大学の終身教授です。また、オタワの平和外交研究所の上級ワシントンフェロー、そしてワシントンD.C.のシンクタンク「ディフェンス・プライオリティーズ」の非常勤研究員でもあります。

この記事はもともと RealClearDefense によって公開され、RealClearWire を通じて公開されました。

https://www.thegatewaypundit.com/2025/10/chinas-mineral-power-play-will-succeed-until-it/

10/20阿波羅新聞網<张又侠“清君侧” 习近平军权归零?=張又侠「君側を粛清」:習近平の軍権はゼロになるのか?>

奇妙なことに、この9人の将軍の粛清の衝撃的なニュースは、党のメディアである新華社通信と人民日報の一面にわずか数時間掲載された後、急に、そしてこっそり世間の目から消えていった。翌日の10/18午前7時、人民解放軍報は「軍の反腐敗運動を断固として最後まで遂行する」と題する社説を掲載した。新華社通信はこの記事を転載したものの、掲載は数時間のみで、人民日報は完全に無視した。

一方、中共の軍のウェブサイトと新聞は、関連記事を24時間体制で集中的に掲載している

党と軍のメディア間のこの明らかな不調和は、最高権力構造における深い分裂と潜在的な亀裂を浮き彫りにするだけでなく、張又侠が軍の機関紙を通じて習近平の側近の失脚に関するニュースを積極的に発信し、先んずれば制すで、四中全会前に綿密な戦略を練っていたことを示唆している。

一方、習近平は蔡奇が掌握する党のメディアシステムを活用し、自らの軍権喪失という厳しい現実を極力軽視し、隠蔽しようとしているように見え、粘り強い抵抗を示している。

四中全会が始まりましたが、人事がどうなるか?

https://www.aboluowang.com/2025/1020/2293525.html

10/20阿波羅新聞網<秦刚大变样!失踪两年多之后首亮相—传秦刚露面 安全“落地”?= 秦剛は大分変った!2年以上行方不明でやっと登場――秦剛登場の噂、無事着地した?>ソーシャルメディア上で、秦剛元中国外相が最近、公の場に姿を現し、一団と写真撮影に応じる写真が拡散した。秦剛は第28回北京国際音楽祭のイベントに出席しているようで、ダークスーツに赤いネクタイを着用し、ふっくらしたように見えた。星島日報は、この情報が事実であれば、2年以上前の「失踪」から、秦剛が初めて公の場に姿を現したことになるだろうと報じた。

ソーシャルメディア上で拡散している、北京国際音楽祭のイベントに出席した秦剛と思われる写真には、彼が数人と写真撮影に応じる様子が写っている。彼の背後にある大型スクリーンには、2025年10月17日の日付が表示されていた。

公開情報によると、今年の北京国際音楽祭は10/10から24まで北京で開催される。写真に写っている男性は秦剛とみられ、「ロマンを辿り、モダンに至る」と題されたコンサートに出席していた。コンサートには、華人系英国女性ピアニストも出演予定だった。

真ん中の人物ですが、秦剛には見えない。

https://www.aboluowang.com/2025/1020/2293417.html

何清漣 @HeQinglian 23分

「なぜ中国はレアアースカードをこれほど巧みに使いこなしているのか?」。現在の米中関税(貿易)戦争において、米国の切り札は主に最先端チップと、他国(オランダのASML社など)を動員して中国を排除する能力であり、中国の切り札はレアアースである。中国の政治に反対する人は、これは民主主義と独裁主義の闘いだと考えているが、国際社会のコンセンサスは、両国が奪い合いしているのは、実際には経済関係における主導権で、中国の現在の対抗措置は…に基づいているというものだ。

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何清漣 @HeQinglian 2h

トランプはゼレンスキーにロシアの戦争終結条件の受け入れを強く求める https://rfi.my/C6tk.X @RFI_Cnより

FT紙は日曜日、ドナルド・トランプ米大統領が金曜日のWHでの会談で、ウクライナのゼレンスキーにロシアの戦争終結条件の受け入れを強く求め、合意に至らなければロシアのプーチン大統領がウクライナを「破壊する」と警告したと報じた。

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rfi.frより

何清漣 @HeQinglian 4h

米国左派の今後の国際関係と未来社会の在り方を理解するには、NYTの記事「西洋は『より少なく』と『よりダメになる』を受け入れることを学ぶべき時だ」をお勧めする。この記事では、西洋社会における広範な「損失」がどのようにしてできたのか、内省の欠如と外への責任転嫁によってとしている。

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樋口氏の記事で、氏の言う「日本ドーム(Jドーム)」の構築を急いでやるべき。幸い、高市自民党保守政権+維新の連立、それに国民の安全第一と考える参政党や日本保守党、国民民主党が加わってこの構想を現実のものにしてほしい。

記事

米カリフォルニア州にあるバンデンバーグ宇宙軍基地から発射された大陸間弾道ミサイル「ミニットマン3」。約6800キロ離れたマーシャル諸島にある米陸軍宇宙ミサイル防衛司令部の弾道ミサイル防衛試験場に正確に着弾した(8月11日、米陸軍のサイトより)

台湾総統が「台湾ドーム」構築発表

台湾の頼清徳総統は、「台湾の盾(台湾ドーム:Tドーム)」と称される新たな防空システムを構築する方針を発表した。

中国軍の航空機等による威嚇や攻撃的行動が常態化し、極超音速ミサイルを含む長距離ミサイルや航空機・ヘリコプター、無人航空機(UAV、ドローン)など「中国の経空脅威は日を追って増している」ことを踏まえたものだ。

同発表は、台湾国防部が10月9日、最新の国防報告書を公表した翌日に行われた。

台湾の既存の防空システムは、主として早期警戒システムと地対空ミサイルから構成されている。

米国と共同開発した早期警戒システムの中心は、標高約2600メートルの台湾西側山中に設置されたフェーズドアレイ早期警戒レーダーシステム(「ペーブポーズ」)で、約5600キロ先の中国内陸奥部からの弾道ミサイルの発射や航空機の脅威を探知できる。

地対空ミサイルは、米国製ミサイルの導入と自主開発した国産ミサイルによる。

米国製ミサイルでは、地対空ミサイルシステム「パトリオット」(射程約160キロ)と個人携帯用対空ミサイル「スティンガー」(射程約5キロ)を保有している。

国産ミサイルでは、地対空弾道弾迎撃用の天弓2号(射程約150キロ)と天弓3号(射程約200キロ)を運用している。

以上に加え、Tドームは中高度防衛を強化することを目指している。

米国防総省の国防安全保障協力局(DSCA)は2024年10月末、台湾へ先進中距離地対空ミサイルシステム(NASAMS)、センチネル・レーダー (AN/MPQ-64F1)および2種類の新型防空レーダーと100発以上の射程延長型先進中距離空対空ミサイル(AMRAAM-ER)などの売却を発表している。

また今後、地上配備型の終末高高度防衛(THAAD)システムやイージスシステムの売却・導入に発展する可能性も否定できない。

国産では、「天弓」シリーズなどのミサイル生産を増強する計画である。

台湾は、防衛固守(断固たる防衛)・重層抑止(縦深防御)の軍事戦略を採用しており、そのため、非対称戦と統合強化の作戦構想を掲げる中、特に非対称戦を重視している。

非対称戦は、戦いにおいて相手より優位に立つため、相手との違いを活用する戦い方をいう。

これは、敵の強みを逃れ、弱点を利用する戦い方であり、戦力の質量で台湾をはるかに上回る中国軍に対し、全土にくまなく配備した分散型の各種兵器によって深刻な痛みを与え、断じて占領を許さない決意を示すものである。

台湾では「ヤマアラシ戦略」と呼ばれている。

そのため頼清徳総統は、「我々はTドームの構築を加速させ、多層防衛、高度な探知、効果的な迎撃を備えた厳格な防空システムを台湾に確立し、国民の生命と財産を守る安全網を(全土に)張り巡らせる」(括弧は筆者)と述べている。

ウクライナ戦争やイスラエル・ハマス戦争において民間人や重要インフラに深刻な犠牲や損害を与えている悲劇的な状況を踏まえ、大量の防空ミサイルを配備するTドームは台湾の抑止力の強化はもとより、国民に心理的な安心感を与える狙いがあると見られる。

このように、Tドームは、「非対称戦」「ヤマアラシ戦略」の一環としてイスラエルの国土防衛用ミサイル防衛システム「アイアンドーム(Iron Dome)」の台湾版を目指しているのは間違いなかろう。

アイアンドームは、イスラエル・ハマス戦争において、ハマスによる数千発の短距離ロケットや、イランによる一挙に約300発のミサイルとドローンによる飽和攻撃に対する迎撃において有効性を実証した。

台湾のTドームも、それに匹敵するものになるという。

台湾の顧立雄国防部長は英ロイター通信に対し、このシステムは「センサーから射撃まで(sensor-to-shooter)」の統合モデルに基づき、レーダーセンサーとミサイル発射システム間の連携を迅速かつ効率的に行い、迎撃精度を向上させる仕組みである」と述べた。

台湾の2025年度国防費は、前年度比7.7%増の国内総生産(GDP)比2.45%に相当する。頼清徳総統によれば、来年には3.32%へ、そして2030年までに5%に達する見通しだという。

Tドームと国防費の増額によって、台湾は自力で防衛を遂行できる体制を構築し、「防衛固守(断固たる防衛)」の決意を示そうとしている。

これに対し、中国共産党は早速、頼清徳総統の発表を批判したが、台湾の大陸委員会はこれに次のように反論、中国の軍事的威嚇を非難した。

「(中国の行動が)東シナ海、台湾海峡、南シナ海で繰り返し問題を引き起こしている」

米国が推進する「ゴールデンドーム」

米国のドナルド・トランプ米大統領は 2025年1月27日付の大統領令で、「ゴールデンドーム(Golden Dome)」への取組みを導入した。

同大統領令では、中国、ロシア、北朝鮮およびイランを念頭に「弾道ミサイル、極超音速ミサイル、巡航ミサイル、その他の先進的な航空攻撃による攻撃の脅威は、依然として米国が直面する最も壊滅的な脅威である」と述べている。

こうした脅威に対抗するため、同大統領令は「米国は、本土への外国によるあらゆる航空攻撃(aerial attack)を抑止し、自国民と重要インフラを防衛する」と規定している。

米国防総省のプレスリリース(2025年5月)によると、ゴールデンドームは、いわゆる統合防空ミサイル防衛システム(IAMD)開発の取組みである。

「米国を『あらゆる敵からの空襲』から守るための『システム・オブ・システムズ』を構築するため、様々な能力を統合する」とされている。

米国は現在、宇宙、空中、地上、海上に複数のセンシング専用能力を保有している。

これらの中には、長距離識別レーダー(LRDR)、改良型早期警戒レーダー(UEWR)、陸海軍可搬型レーダー(AN/TPY-2)、海上配備型Xバンドレーダー(SBX-1)、宇宙配備型赤外線システム(SBIRS)が含まれ、その中には宇宙領域認識(SDA)能力を備えたものもある。

迎撃手段としては、巡航ミサイル、極超音速兵器、大型ドローンといった非弾道ミサイル脅威を迎撃する能力を備えた、様々な運動エネルギー(ヒット・トゥ・キル)弾道ミサイル防衛能力を保有している。

これらの能力には、アラスカとカリフォルニアに迎撃基地を有する地上配備型中間過程防衛システム(GMD)、艦艇配備型および地上配備型のイージスシステム、地上配備型の終末高高度防衛(THAAD)システム、およびパトリオットミサイル防衛システムが含まれる。

さらに、米国は、ワシントンD.C.を含む首都圏は、有人航空機に加え、中距離および短距離の防空システムによって防衛されている。

このように、巡航ミサイルやその他の低空飛行の脅威から特定の場所や資産を防衛するポイント防衛能力も備えており、電子戦やサイバー能力などの米国の非運動能力も、現在のミサイル防衛体制に組み込まれている。

その上で、2026年度国防権限法案では、「ゴールデンドーム」に関するテーマとして以下の項目が盛り込まれているという。

  • ますます複雑化する弾道ミサイル、極超音速滑空ミサイル、巡航ミサイル、その他の高度な航空脅威(経空脅威)による外国からの攻撃から米国市民と重要インフラを防衛すること。

すなわち、本土へのあらゆる外国による航空攻撃(経空攻撃)の抑止と防衛に関すること。

  • 米国の第2撃能力の保証。
  • 同盟国およびパートナー国の住民と海外に駐留する米軍の防衛を支援するために同盟国およびパートナー国と協力すること。

他方、大統領令では、宇宙配備型迎撃ミサイルの導入など、いくつかの具体策が発表されており、今後、宇宙空間への戦力展開が強化されることになろう。

これに対し、国防総省の新設局である「ゴールデンドーム・フォー・アメリカ」の直属プログラムマネージャーに任命された宇宙軍副作戦司令官マイケル・グートライン大将は、「ゴールデンドームを実現するために必要な技術はすべて現在存在している」と述べている。

しかし、ミサイル防衛は、システムがミサイル、デブリ、デコイをどの程度区別できるか、巡航ミサイルや無人機などの低空飛行の脅威を迎撃するために十分な警告を提供できるか、そして同時に発生する多様な脅威に対処できるかなど、他の技術的課題にも直面している。

また、米国の戦略的競争相手との核抑止関係を不安定化させたり、核兵器搭載ミサイルの競争を助長したりすることで、米国の戦略的安定性に悪影響を及ぼす可能性について考慮しなければならない。

さらに、トランプ大統領は、3年間のタイムラインに沿ってゴールデンドームを建設する目標を示しており、コスト、スケジュール、調達、防衛産業基盤の整備など、ゴールデンドームの推進にはクリアーしなければならない課題の存在も指摘されている。

それにつけても、ゴールデンドームは、トランプ政権の国家安全保障戦略(NSS)、国家防衛戦略(NDS)そして国家軍事戦略(NMS)の中で、特に国土防衛上最重視されるテーマであることには疑いようがない。

日本にも「Jドーム」が必要では?

日本に対するミサイルの脅威は、米国以上に、また台湾と同様に切実かつ重大である。

日本は、米国から見た対等国のロシア、近対等国の中国およびならず者国家の北朝鮮に隣接し、これら周辺国からの「眼前の脅威」に日々曝されているからだ。

周辺国は近年、多弾頭・機動弾頭を搭載する弾道ミサイルや高速化・長射程化した巡航ミサイル、有人・無人航空機のステルス化・マルチロール化といった能力向上に加え、対艦弾道ミサイル、極超音速滑空兵器(HGV)などを装備している。

経空脅威は多様化・複雑化・強大化している。

そのため、日本は、弾道ミサイル防衛(BMD)システムを整備し、イージス艦による上層での迎撃とパトリオットミサイル「PAC-3」による下層での迎撃を、自動警戒管制システム(JADGE)により連携させて効果的に行う多層防衛を基本としている。

これは、「全般防空」と言われているようで、その防空体制の下、各自衛隊は自らの防衛行動に必要な「自隊防空」の能力を備えている。

ロシアは、ウクライナの電力網などのインフラを含めたミサイル攻撃を国土全体に及ぼし、長期にわたり過激化させており、ウクライナの防空装備・システムの不足・弱体が同国に深刻な人的・物的被害をもたらしている。

イランは、イスラエルに対し一挙に約300発のミサイルとドローンによる飽和攻撃を仕掛けたが、イスラエルはアイアンドームのおかげで、幸い被害を局限することができた。

この世界の現実を直視し、果たして日本は長期の激烈な経空攻撃に耐え得るのか、あるいは数百といった同時ミサイル・ドローンによる飽和攻撃に同時対処できるのか、国土全体に及ぶ攻撃から国民の生命と財産を守れるのか、今一度、現BMDシステムを真剣に検証することが必要である。

我が国の防空体制は、前掲の通り、全般防空と自隊防空から構成されているようであるが、政経中枢、防衛・産業基盤および自衛隊の作戦行動に必要な能力に限られていると見られている。

また、航空から宇宙空間へと作戦領域が拡大し、新たな課題となった宇宙戦への取組みは、ようやく緒に就いたばかりである。

しかし、ウクライナ戦争やイスラエル・ハマス戦争で明らかなように、経空脅威は、一般国民の生活空間や電力、交通、金融などの重要インフラにまで、国際法を無視し不法に及んでいる。

それらを守るためには、現行の我が国の防空体制では、質量ともに不足しているのは明らかで、いわば「破れ傘」の状態にあるといえよう。

日本の防空体制は、万全とは言い難いのが現実だ。

我が国では、米ソ冷戦の真っ只中の1970年代に、全身を針で覆った「ハリネズミ」のような防衛体制が必要だと論じられたことがある。

ハリネズミは、外敵に襲われると身体を丸めて体表にある「針」を広げ、大きな音を出して外敵から自分の身を守ることから準えたものである。

ミサイルやドローンが戦争の有力手段として躍り出、その脅威が国土全体に及ぶようになった現在の安全保障環境では、防空における「ハリネズミ防衛論」の必要性・有用性が再認識されたと言わざるを得ない。

世界の最強軍事大国である米国が「ゴールデンドーム」を積極推進し、また、我が国と同様に中国の脅威に曝されている台湾が「台湾ドーム」を緊急整備するという。

それらは、我が国自身にも課せられた重大問題であり、決して他人事として傍観するわけにはいかない。

真に国民の生命と財産、そして重要インフラを守り、国土防衛を全うする覚悟があるならば、米国や台湾が目指す仕組みに類似した最新の防空システムは必須の要件である。

早急に「日本ドーム(Jドーム)」の構築に着手しなければならないのではないか。

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