米国がずっと中国を大事にするかは米国の国益によって判断されるというのを、中国は意図的に忘れようとしているのでは。中共はアルバニア提案を裏で画策し、中華民国から安全保障理事会の常任理事国のポストを奪った後、米国はソ連との対抗で台湾を犠牲にして、中国と国交を結びました。現在の中国は、軍事的(南シナ海・東シナ海)、経済的(AIIBやBRICS銀行)に米国の世界覇権に挑戦しようとしています。「両雄並び立たず」です。米国がソ連を崩壊させたように中国を崩壊させようと思うのは極自然なのでは。台湾を支援するようになるのも自然の流れです。何せWTOや国際仲裁裁判での国際ルール破りをそのままにしたら、世界秩序は守れません。変化するのが「今でしょ」となったのでは。安倍首相は来月12日~16日まで豪越比に訪問とのこと。中国包囲網の形成でしょう。どんどん進めるべきです。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016120500579&g=pol
日中韓三賢人会議で通貨スワップ拡大を決議したようですが、中韓は賢人でしょうが、日本は愚人としか言いようがありません。尖閣を奪いに来る中国と世界に慰安婦像を建てて日本を貶めようとしている韓国を経済的に助けてどうするのですか。余りに国民感情から離れた話です。トランプ現象の分析が全然できていないという事です。こんなことを言うから日本は舐められるのです。馬鹿の頂点は福田康夫ですが、金で転んだのか、女で転んだのか、それ以外で中韓有利の政策を推し進めようとするのは本当に愚人としか言いようがありません。中韓とも経済崩壊が言われていて、崩壊させた方が戦争にならなくて済みます。何でこんな簡単なことが分からないのでしょう。彼らはエセ平和主義者です。
安倍首相のパールハーバー訪問について、以前大前研一氏が寄稿していた記事を挙げます。大前氏とは意見が合わないときが多いのですが、この時は珍しく彼の意見に納得しました。基本は米国の歴史教育の問題と思います。日高義樹氏によると、米国民はパスポートを持たない人が多いとのこと、またコミュニケートも英語で済むため外国のことをそれほど真剣に考えてる人は国民レベルでは多くないと思われます。
5/22ZAKZAK<安倍首相は真珠湾に行ってはいけない オバマ大統領の広島訪問とは別問題だ
オバマ米大統領は今月下旬の伊勢志摩サミットに出席後、27日に広島を訪れる。米国の現職大統領の広島訪問は初。米政府は「この訪問が過去の原爆投下に対する謝罪だと解釈するのは誤り」と主張している。ライス大統領補佐官(国家安全保障問題担当)もテレビのインタビューで「私たちはいかなる状況でも謝罪しない」と語っている。 日本人としては、「謝罪のひとつもあってほしい」と言いたいところだろう。しかし、オバマ氏が広島で謝らないというのは、ある意味、理解できないわけではない。 オバマ氏は「核なき世界」を提唱した2009年のプラハ演説でノーベル平和賞に輝いたものの、その後、「核の脅威」は依然として続いている。そんな状況の中、大統領在任8年間の締めくくりとして、広島で第2次世界大戦の全犠牲者への追悼と「核なき世界」への取り組みを訴える。人類の将来が関係しているから、「謝罪」がなくても、それなりに成り立つのだ。 謝罪をすると、「どちらが悪かったのか」という議論も出てくる。中国や韓国は「日本はオレたちに謝罪しないのか」と騒ぎ出すだろう。だから、ここはオバマ氏の好きなようにさせればいいのではないか。献花するだけでも、心の中に感じるものがあるだろう。 先月、広島の原爆資料館などを訪れた米国のジョン・ケリー国務長官は、「すべての人は広島を一度は訪れるべきだ。そのすべての人の中には、米国大統領も含まれる」という非常に良心的なコメントをした。謝ってはいないが、広島である種の良心の呵責も含め、何かを感じたと思う。私はこれで十分だと思う。
ただ、ホワイトハウス(たぶん、タカ派のライス補佐官)はオバマ氏の広島訪問と安倍晋三首相のハワイ・真珠湾訪問をセットにする提案をしていたという。日米開戦の舞台となった真珠湾を訪れる案は、日本政府内でも検討された。戦争の象徴的な地を日米両首脳が交互に訪問することが、日米両国の一層強固な同盟関係を国際社会にアピールできると判断したからだ。 しかし、安倍首相は絶対に真珠湾に行ってはいけない。 米国人は日本が「スニークアタック」(だまし討ち=宣戦布告なき開戦)をしたと思い込んでいる。真珠湾はその象徴だ。安倍首相が真珠湾に行って、謝らずに帰ってきたら、米国人は収まらないだろう。当時、被害に遭った傷痍軍人もまだ多数いる。真珠湾に行ったら、謝らないわけにはいかない。 ホワイトハウスはずうずうしくも、そんな案を考えていた。こんなことがセットでいいわけがない。広島と真珠湾は全然事情が違う。日本政府や自民党の中にも「真珠湾に行くべきじゃないか」と言っている人がいると聞くが、とんでもないことだ。絶対に行ってはダメだ。 真珠湾は日本人が永遠にかぶっていかなければならない汚名の象徴。真珠湾に眠る戦艦アリゾナと同様、真珠湾のことは静かに眠らせるのが一番。いわゆる「地政学」(地理的な環境が政治、国際関係に与える影響を研究する学問)というのはそういうことを即座に判断する学問なのだ。 ■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。>(以上)
外務省の御膳立てなのか、オバマの広島訪問とバーターの密約があったのか分かりません。でも、外務省主導はヒラリーとだけの面談のように失敗するのが当たり前のようになっています。今回も日本が謝罪したら、騙し討ちとして歴史的評価が確立してしまいます。パールハーバーも明らかに通知が遅れた外務省のチョンボでしょう。かつまた暗号を米国に傍受されていたというのですから無能の集団です。ただ、昨年、小生の息子の結婚式でハワイに行き、パールハーバーに行ったときの説明では、スニークアタックではなく、サプライズアタックと言っていました。それはそうでしょう。真面に歴史を見れば、西漸運動の果てに中国大陸進出を狙い、中国大陸の門戸開放を主張し、日本の日清・日露戦争の勝利をなきものにし、ABCD包囲網やフライングタイガー、ハルノートで日本を戦争に追い込んだわけです。チャーチルとFDR合作の陰謀に乗せられた日本が愚かと言えば愚かですが。米国での慰安婦訴訟も日本人に偏見を持った判事が高裁でも否決しました。ただ、慰安婦が従軍であったという事を認めた訳ではないというのが救いです。全米の歴史学会の見方に影響されているとしか思えません。
http://gahtjp.org/?page_id=171
少なくとも日本人はヘレン・ミアーズの『アメリカの鏡・日本』や、レジナルド・ジョンストンの『紫禁城の黄昏』、ラルフ・タウンゼントの『中国暗黒大陸の真実』は読んで、歴史認識を堅固に持つべきと思います。
ただ、12/6宮崎正弘氏メルマガによれば、「安倍首相の今度のパールハーバー訪問はひょっとして、トランプ次期大統領が訪日の際は、広島・長崎訪問はもはや不要となったので、残るはアメリカ大統領の靖国参拝ではないのか。その布石を打ったのではないのか」という見方をしていました。ただ、外務省にそんな能力があるとは思えず、希望を述べたものと思われます。宮崎氏もそれが、実現する確率は高いと思っていないのでは。それが実現すれば、安倍首相は戦前を含め歴代1位の首相の名誉に浴するのでは。何せ反日朝日新聞主導で、天皇の靖国参拝ができなくなったことに道を拓くのですから。まあ、小泉政権のとき、ブッシュ(息子)が靖国参拝すると言った時に外務省は止めた前科がありますから。少なくとも外務省主導であれば、靖国までは考えていないと思います。外務省の音頭に乗って昨年合意した慰安婦問題が漂流しそうになっているのと同様、米国並びに世界にどう受け止められ、どう報道されるか注目したいと思います。それにより政治家安倍晋三の真価が問われると思います。これにより、1月冒頭解散もあるとの報道がありますが、TPP、年金、酒税等難しい問題を決着させようとしている所を見ると、ないのでは。ただ、民進党+共産党の態勢が固まらない内に選挙するのが勝利の常道でしょう。それをどう読むかですが。
高濱記事
トランプ次期大統領(左)と、国防長官に指名されたマティス将軍(写真=ロイター/アフロ)
—いろいろ取りざたされていたトランプ政権の国務、国防両長官のうち、まず国防長官が決まりましたね。退役海兵隊大将のジェームズ・マティス将軍(66)が任命されました。この人事をどう見ますか。
高濱:全米が驚いています。国防長官に職業軍人が選ばれたのは1950年にジョージ・マーシャル退役陸軍元帥が任命されて以来65年ぶり。第二次大戦後の欧州復興の原動力となった「マーシャル計画」を提唱したあのマーシャル将軍です。
マーシャル将軍が国防長官になるまで、職業軍人が国防長官になることは法律で禁じられていました。それをトルーマン大統領(当時)が法改正して国務長官を務めたことのあるマーシャル将軍を国防長官にしたのです。
“反オバマ”の退役軍人と相次いで面談
トランプ氏は選挙中、「私を支持している退役将軍は90人近くいる」と何度か言っていました。これら約90人の退役将軍たちはトランプ支持を表明するとともに、公開状で「われわれは米軍という組織の在り方を見直すべき時期を失してきた」と米軍の組織改革を訴えていました。その中心的人物がマティス将軍でした。
トランプ氏の政権移行チームは米メディアに、数人の国防長官候補の名前をリークしていました。ジェフ・セッション上院議員(すでに司法長官に任命)、ステファン・ハドリー元大統領国家安全保障担当補佐官、 米下院のマイク・ロジャーズ元情報特別委員長らです。
トランプ氏は数人の退役将軍たちを自宅兼事務所のある「トランプ・タワー」に呼び寄せて「面接」してもいました。マティス将軍のほか、ジャック・キーン退役陸軍大将、ジョン・ケリー退役海兵隊大将たちです。彼らに共通しているのは、オバマ政権下のアフガニスタン、イラク戦争で第一線の最高司令官をしていたことです。しかもオバマ大統領の中東戦略に疑義を唱えていました。
そしてトランプ氏が白羽の矢を立てたのがマティス将軍でした。ビジネス経営と同じように、最後は自分一人で決めたようです。
トランプ政権の要となる国防長官人事を見て思い出すのは、トランプ氏が1987年に著した「The Art of the Deal」(商売のコツ)の中の以下の一節です。「私は複雑な計算をする機械(人間)を雇わないし、気まぐれな市場調査も信じない。私は自分で調査し、自分で結論を出す」(”I don’t hire a lot of number-crunchers, and I don’t trust fancy marketing surveys. I do my own surveys and draw my own conclusions.”)。
将兵にアラブ学を奨励してきた「狂犬・マティス」
—マティス将軍はどんな人物ですか。
高濱:同将軍は2007年以降、米統合戦力軍(USJFCOM)、米中央軍(CENTCOM)の司令官を歴任。アフガニスタン、イラク、シリアでのテロ組織掃討作戦を指揮した筋金入りの軍人です。
ニックネームは「狂犬・マティス」(Mad Dog Mattis)。トランプ氏もツィッターで同将軍のことを「狂犬」と呼んでいます。精悍な顔立ち。意見の食い違う相手と論議する時には敵意をむき出しにして相手を睨みつけるところからこのニックネームがつけられたそうです。出身である海兵隊のイメージは「勇猛果敢」。西部開拓時代の騎兵隊の流れを組む米軍組織最古の軍隊です。
独身を貫いており、これまでの半生は「読書と戦争」に費やされてきたと言われています。戦争史や軍隊に関する蔵書は7000冊超。中東での戦闘に米国が「介入」する上で、イスラム文化やアラブの風習を学ぶ必要があると決意して猛勉強。その一方で、派遣される米兵にアラブの文化・習慣を学ぶよう奨励してきたそうです。
—来年早々に動き出すトランプ政権にとって、安全保障面での最重要アジェンダは、過激派組織「イスラム国」(IS)、シリア情勢への対応、そして核実験とミサイル実験を繰り返す北朝鮮への対応だと思います。
高濱:マティス将軍は中東戦争の最前線で実際に指揮をとった経験の持ち主です。厳しい対応を取るでしょう。ただし、非常に現実的な認識を持っています。
同将軍はかってこんなことを言っています。「アフガニスタンには、ヴェールをかぶらなかったとして5年間も女性たちを殴り続けた連中がいる。女性を虐待する、男の風上にも置けない奴らを標的にするのは死ぬほど痛快だ。戦うのは楽しい。私はケンカが大好きだ」(2005年2月1日、カリフォルニア州サンディゴの討論会で)。
その一方で、中東における戦闘で米軍と共に戦うサウジアラビアやアラブ首長国連邦との同盟関係を高く評価しています。「われわれの同盟国がフリーライダーだなどと言う大統領は馬鹿者だ」と言い切っています。この点では、同盟関係の見直しを主張しているトランプ氏と一線を画しています。
マティス氏はジョン・ケリー国務長官のこれまでの中東政策を高く評価しています。
トランプ氏が批判しているイランとの核協定についても「不十分な協定だが、今さら反故にもできない。今回の合意はあくまでもイランの核開発中断が対象であって、核開発の全面停止ではない」と現実的な発言をしています。
北朝鮮との直接対話の可能性も
—日本も重大な関心を持っている対北朝鮮政策について、オバマ政権とは異なる政策を打ち出すのでしょうか。
高濱:トランプ政権の対北朝鮮政策に一定の影響力を及ぼす可能性のある超党派のシンクタンク、「北朝鮮に関する全米委員会」(National Committee on North Korea=NCNK)が、次期新政権が北朝鮮にどう取り組むべきかをまとめた文書を11月21日に公表しています。
この中で、オバマ政権が終始貫いてきた「戦略的忍耐」政策からの転換、つまり北朝鮮との直接対話を促す「提案」をしているのは、注目に値すると思います。
「中国は、北朝鮮にとって必須の暗梁となっている。北朝鮮の対外通商の9割は対中貿易だ。中国は、北朝鮮の非核化よりも、北朝鮮を不安定にする動きを避けることを最優先に考えている。つまり北朝鮮の核開発阻止よりも北朝鮮の統御に集中している」
「米議会、行政府の当局者たちの間では、北朝鮮にいつ、どのように関与(engaging)するかをめぐって様々な意見が出ている。ある者は『北朝鮮と無条件で交渉することが好ましい。北朝鮮が核開発計画をスローダウンさせる、あるいは後退させるチャンスを作ることにつながる』と考えている。また別の者は『北朝鮮が非核化を真剣に考えるようになるまで直接対話は控えるべきだ』と主張している」
トランプ氏は選挙中、金正恩・朝鮮労働党委員長(国務委員長)について以下のことを言っています。「この若者は25~6歳の時に父親が死んだあと、次々と政敵を倒して政権を守ってきた。遊んできたわけじゃない。真剣そのものだった。褒めてやる価値はある。我々はこの男を侮ってはならない」。
「いずれはどこかで会って話をすべき時がくるだろう。この若者とハンバーガーでも一緒に食べて、打ち解けて話したいもんだ」
首脳会談を行なうかどうかはともかくとして、トランプ政権が対北朝鮮政策でなんらかのブレークスルー(突破口)を目指すことは十分に考えられそうです。
遠藤記事
2日、トランプ次期大統領が台湾の蔡英文総統と電話会談した。1979年に国交断絶をして以来のことだ。「一つの中国」を踏みにじると中国は激怒。同日、キシンジャー氏と会っていた習近平国家主席は顔に泥を塗られた形だ。
「一つの中国」原則を破るのか?
アメリカ時間の12月2日、トランプ次期大統領が台湾の蔡英文総統と電話会談をした。1979年の米中国交正常化に伴い、アメリカと「中華民国」が国交を断絶して以来、初めてのことだ。国交正常化に当たり、中国が「中華人民共和国」を「唯一の中国」として認めさせ、「一つの中国」を堅持することを絶対条件として要求したからである。
それ以降、アメリカは「中華民国」を国として認めないことを誓い、「中国の一地域である”台湾″」と呼び、国家の指導者同士が接触しないことを守ってきた。
しかし、トランプ次期大統領は電話会談という手段を通してその原則を破っただけでなく、蔡英文総統を ”The President of Taiwan” と呼んだのである。
その全文には ”The President of Taiwan CALLED ME today to wish me congratulation on winning the Presidency. Thank you!” とある。
訳すまでもないとは思うが、日本語では”台湾総統は今日、私に電話をかけてきて、総統選に勝利したことを祝ってくれと言ってきた。ありがとう!”となる。ここでは”CALLED ME”(電話をかけてきた)が重要で、「自分からかけたのではない」と弁解したいわけだ。ツイッターでは、この部分だけが大文字になっている。
それでも、タブーとされていた「直接会談」を「相手を総統と認めて」受けたということは前代未聞で、中国(大陸、北京政府)にとっては転変地変の大事件だ。
おまけに両者は「経済、政治、安全保障での緊密な関係が台湾と米国の間にある」と確認し合ったという。台湾メディアおよびトランプ陣営が報じた。この中に「安全保障」という言葉があるのが、キーポイントである。
王毅外相抗議
これに対して王毅外相は3日、つぎのように抗議した。
「台湾がやった小細工だ」「これによって、アメリカが堅持してきた”一つの中国”の原則を変えることはできない」という旨の発言をした。「2016年国際形勢と中国外交政策シンポジウム」が終わった後に、香港の鳳凰(フェニックス)の記者の問いに答えたものだ。
中国外交部(外務省)のスポークスマンは「慎重、適切に台湾問題を処理し、中米関係の大局が不必要な干渉を受けないよう求めた」ことと、「トランプ陣営側に直接、抗議を申し入れた」と発表した。
また国務院台湾弁公室のスポークスマンも3日、「台湾の小細工が国際社会で普遍的に認められている「一つの中国」の大原則を変えることなどできない。台湾独立には断固反対していく」という趣旨のことを述べている。
そして中国政府の通信社である新華社(12月3日電)は、「ホワイトハウスの国家安全委員会は”一つの中国”という対中政策は不変だ。台湾地区の平和安定はアメリカの根本的な利益にかなっている」と述べたと報道した。
顔に泥を塗られた習近平――曲芸を演じた「忍者外交」の名手キシンジャー
さて、これは本当に「台湾の小細工」なのだろうか?
だとすれば、トランプ・蔡英文電話会談が行われていた、そのほぼ同時刻に、なぜあのキッシンジャー氏は人民大会堂で習近平国家主席と会っていたのだろうか?
キッシンジャーと言えば、「忍者外交」で有名だ。
当時、ベトナム戦争(1960年12月~1975年)の長期化と泥沼化に手を焼いていたアメリカは、中ソ対立が激しい中国に接近し、米ソ対立におけるアメリカの立場を有利に持って行こうというもくろみもあり、水面下で北京と接近していた。
ニクソン政権時代に大統領国家安全保障問題担当大統領補佐官および国務長官などを務めていたヘンリー・キッシンジャー氏は、1971年7月、パキスタン訪問中に体調不良と称して一日だけ姿を消し、極秘裏に北京を訪問した。ニクソン大統領以外はニクソン政権内の者も知る人が少なく、もちろん同盟国・日本の頭越しの訪中であったことから、「忍者外交」として全世界に衝撃を与えた。
このキッシンジャー氏が、又もや「曲芸」を演じたのである。
新華網(12月3日電)によれば、12月2日、93歳になるキッシンジャー氏は人民大会堂で習近平国家主席と仲良く対談していたという。互いに相手を絶賛しあい、米中関係の強化を確認していた。
これに関しては中央テレビ局CCTVだけでなく、中国共産党の機関紙の電子版「人民網」も「中国共産党新聞」で大きく取り上げ、中国では大々的に、そして「誇らしげに!」報道されていたばかりだ。
そこに飛び込んできたトランプ・蔡英文会談。中国では大きくは報道しなかった。
習近平国家主席のメンツ丸潰れで、すっかり顔に泥を塗られた形になってしまったからだ。
周到に準備されていたトランプ・蔡英文電話会談――陰にはトランプ陣営大物
キッシンジャー氏の北京訪問を「曲芸」と名付けたのには、理由がある。
実はペンタゴンにおける軍事戦略などのシンクタンクの役割も果たしているヘリテージ財団のエドウィン・フュルナー氏がトランプ当選後の10月13日、秘密裏に台北を訪れ蔡英文総統と面談していたのだ。
11月10日、台湾の三立新聞などが「台米関係は緩和か?トランプ幕僚フュルナー秘密訪台 蔡英文とは20年来の仲」というタイトルの報道をした。このページでは、まず宣伝が出てくるが、15からゼロまでカウントダウンしていき、最後に「×」印が出てくるので、この「×」をクリックして宣伝を消せば、タイトルの情報が出てくる。
フュルナー氏はヘリテージ財団の総裁を長いこと(2013年まで)務めていたが、今年8月にトランプ陣営に入った。
ヘリテージ財団というのは、1973年に設立された保守系シンクタンクで、アメリカの伝統的な価値観や国防の強化などを掲げているため、中国語では「米国伝統基金会」という訳し方をしている。
蔡英文総統とは、彼女がまだ台湾で国家安全委員会諮問委員会の仕事をしていた時期に接触があり、二人は20年来の知己であるという。
アメリカの大統領選挙中、蔡英文側はヒラリー候補と緊密な連携を持ち続けたと言われている。トランプ氏が「世界の警察にならない」と宣言し、アジア回帰を否定していたからだ。それは安全保障上、台湾に大きな不安を与え、ヒラリー・クリントン氏が当選してくれる方がいいと応援していたのだ。
トランプ当選が決まったとき、蔡英文総統は記者の問いに青ざめていたと、台湾メディアは報道している。そのため10月13日にトランプ陣営の大物、フュルナー氏が20年以上の仲である蔡英文総統に会いに行ったものと推測される。
一方、トランプ氏は当選後まもない11月17日に、キッシンジャー氏に会い、外交問題に関して話しあったと、アメリカメディアが報道した。会談後トランプ氏は「キッシンジャー氏を非常に尊敬しており、意見交換ができて、うれしい」と語ったとのこと。
両氏は「中国、ロシア、イラン、欧州などの問題について話し合った」と報道されたが、当然このときに、「一つの中国」問題や台湾問題に関しても触れたことだろう。
この報道を知ったとき筆者は、10月13日にトランプ陣営の顧問的役割をしているフュルナー氏が訪台し蔡英文総裁に再会していることを反射的に連想した。
「何かあるにちがいない」とは思ったが、それはこの、「タブーを破った、次期米国大統領と台湾総裁との電話会談」だったわけだ。
「アメリカのTPP(環太平洋パートナーシップ協定)離脱により、中国の一人勝ちにはさせないよ」という、来るべきトランプ新政権の狙いの一つだろう。しかも電話代以外はかけずに、習近平政権には衝撃的な楔(くさび)を打つ。キシンジャー・習近平会談を誇らしげに報道しただけに、北京側としてはトランプ・蔡英文電話会談をそう大々的に批判報道するわけにもいかない。習近平の歯ぎしりが聞こえる。
予測不能なトランプ外交ではあるが、みごとなものだ。今後は米台関係と米中関係を、この視点からも注視していかなければならない。
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