『中国が操る韓国大統領レース THAADに連座、ロッテもイジメの対象に』(12/27日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

12/28安倍首相の真珠湾での演説は素晴らしかったです。オバマ大統領はやや軽い感じがしました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161228/k10010822371000.html

日本のTV報道によれば、保守派と言われるFOXニュースが「和解するには謝罪が必要だ」と言ったというのは、米国人の驕りが透けて見えます。NHKの報道で、多分真珠湾の生き残りの米兵と思われますが、オバマ大統領・安倍首相共に彼らに話しかけましたが、安倍首相は身を低くして聞き入っていました。天皇・皇后両陛下が被災者に寄り添う姿勢と同じで、米国人は気が付かないかも知れませんが、相手に気を遣っていることが感じられ、日本人として嬉しく思いました。願わくば、何故日米開戦になったのかを、国民レベルで相互に真剣に学んで行った方が良いと思います。日米ともに、今までの通説だけでなく、新たな証拠に基づいて。和解ができた環境であればこそ可能です。

ハフィントンポストによれば、「安倍首相へオリバー・ストーン監督ら公開質問状、「日本が攻撃したのは真珠湾だけではない」と声明を発表とのこと。真面に答える必要はありません。中韓が裏で糸を引いているのは見え見えですから。ヨタ連中の為せる業です。オリバー・ストーン監督の現夫人は韓国人のチョン・ソンジョン氏とのこと。記者会見時の写真にハングルが見えています。朝鮮人は国を捨てて、世界に出ていても、反日活動に勤しみます。通貨スワップはもっての他、GSOMIAも解消しないと。次期大統領は誰がなっても(潘基文氏でも)、必ず北と一緒になるように動くでしょう。国民感情には抗えません。抗えば朴槿恵大統領のように弾劾されます。共産主義国は粛清が当たり前の国なのに、それを国民レベルで望むとは。ヒトラーを民主的手続きで選んだドイツ国民以上に愚かとしか言いようがありません。後で自分が粛清の対象になった時に気付いても、時既に遅しです。ハフィントンポストに依れば、公開質問状には高橋哲哉東大教授も名を連ねているとのこと。左翼は分かりやすい行動を取ります。朴槿恵大統領が「1000年忘れない」と言ったり、中国のように「従軍慰安婦、南京虐殺、強制徴用」で歴史を改竄・捏造、尖閣や沖縄を盗もうという国に和解を求めてもしょうがないでしょう。過去の歴史でずっと日本を強請る気でいるのですから。彼らに未来志向はありません。あるのは、ゆすりタカリの精神だけです。金を取れれば嘘でも何でもよいという民族性です。未来永劫付き合わないことです。

oliver-stone

http://www.huffingtonpost.jp/2016/12/25/story_n_13854564.html

次は韓国ではなく、相手は中国と思われますが、東芝の原発で数千億円の損失を再度計上するとのこと。東芝の株主としては、経営者の劣化に怒り心頭です。経営者が、国際環境の変化を読み間違えたのではと疑っています。米国or経産省が中国への原発技術流出を嫌い、今のタイミングでわざと情報をリークしたのでは。12/28日経web版には「消費者、株主、取引先、従業員にとって「寝耳に水」状態だっただけでなく、経営陣も混乱している様子が垣間見えた」とあり、綱川社長も情報がどこから出たのか把握してないのでは。

12/27日経<日米、中国と原発受注目指す 資金期待も技術流出懸念

日米中企業による3カ国連合がトルコで原子力発電所4基の受注を目指している。東芝傘下の米原子力大手ウエスチングハウス(WH)が中国国有の国家電力投資集団と組んで、トルコ政府と交渉中だ。日本にとって強力なライバルだった中国のマネーを活用して海外で原発を受注すれば、日本の原発輸出のあり方にも一石を投じることになる。

受注が実現すれば2兆円規模の商談になるとみられる。3カ国連合の関係者は「2017年中にはトルコ側と(原発建設に向けて)合意できると期待している」という。受注を目指しているのは第3世代と呼ばれる最新の中型炉。WHの新しい加圧水型軽水炉(PWR)「AP1000」が軸になる。

WH会長のダニー・ロデリック氏は、今回のスキームの役割分担を「中国が発電事業に資金を提供し、WHは機器を供給する」と説明する。東芝・WHは出資を避けながら、中国マネーを活用して原発を受注しようとしている。

背景には資金面での高いハードルがある。2兆円規模とされる費用を、10年単位という長期間の売電収入で回収しなければならない。自分たちだけでそのリスクを負うのは難しいとみている。特に、政情が不安で地元通貨の急変動が起きやすい新興国では困難が多い。現地で出資者を募るのも簡単ではない。

一方、中国勢は潤沢な資金を持ち、日米などの原発技術を欲しがっている。海外での受注実績をつくり、自国の原発産業を早期に育成したい考えもある。WHのロデリック氏は3カ国連合について「すべての国にとって利益となる」と述べ、中国と日米の利害が一致すると指摘する。

懸念もある。技術が中国に流出することだ。将来、中国企業が海外市場で一段と台頭する可能性が高まる。日本政府もこうした懸念を抱いている。中国と組んだことについて日本政府関係者は「事前にまったく聞いていなかった」と戸惑いを隠さない。

だが、東芝・WH関係者は「何十年も同じ技術を抱え込むのは無理。次の技術を開発すればいい」と話す。

こうした姿勢は中国をライバル視する三菱重工業とは好対照だ。三菱重工はトルコ・シノプで新型の原発、PWR「アトメア1」を建設する計画。シノプは日本の官民が中国勢と受注を競った案件だ。

三菱重工などが事業に出資し、日本政府は国際協力銀行(JBIC)の融資でファイナンスを支援する方針。だが、事業性の調査を進めるにしたがい、収益を確保する難しさが浮き彫りになっている。

原発の輸出拡大は日本の原発メーカーにとって重要な課題。国内で新規建設が見込めないなか、技術を維持し成長を果たすためには必要不可欠とみている。技術流出を覚悟して中国と手を組むのか、それともあくまで中国と真っ向勝負を貫くのか。トランプ次期米政権が中国に強硬姿勢をとるとみられることも、選択を難しくしそうだ。

(花房良祐)>以上

12/28日経ビジネスオンライン<東芝、原発事業で陥った新たな泥沼 減損額は数千億円か、始まった債務超過へのカウントダウン 小笠原 啓

「減損回避のために買収した企業が、1年後、新たな減損の火種になるとは思わなかった。まるでブーメランのようだ」。ある東芝関係者は12月27日、本誌の取材に対してこう漏らした。

東芝は同日、米国の原子力事業で数千億円規模の減損損失が発生する可能性があると発表した。米原発子会社ウエスチングハウス(WH)が2015年末に買収した企業の資産価値が、想定より下回ったのが原因だ。

会見した綱川智社長は「(損失の可能性を)12月中旬に認識した」と述べ、「経営責任を痛感している」と強調した。一方で具体的な損失額については「精査中で答えられない」として言及を避けた。年明けにも減損テストを実施し、2月中旬までに計上すべき損失額を算定する。

問題となったのは、WHが子会社化した米CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)。原発建設におけるパートナーだった米エンジニアリング会社のシカゴ・ブリッジ・アンド・アイアン(CB&I)から、2015年12月31日に「0ドル」で買収した。

買収後にWHがS&Wの経営状況を見直したところ、原発の建設プロジェクトなどでコスト超過が判明。資材や人件費などが想定よりも大幅に増えたという。その結果、S&Wの資産価値が当初の想定から大きく下がり、多額の損失計上が必要だと判断した。今後、数千億円規模の「のれん」を計上し、減損テストを経てその一部または全部を取り崩すことを検討する。

東芝は2017年3月期の連結最終損益を1450億円の黒字(前期は4600億円の赤字)と見込んでいる。数千億円の減損損失を計上すれば、最終赤字に陥る可能性が高い。

今年9月末の自己資本は3632億円。損失の規模によっては債務超過に陥る可能性すら出てきた。この点を問われた平田政善CFO(最高財務責任者)は「お答えできる状況ではない」と述べるにとどめた。

傘下に収めてわずか1年で、巨額減損の火種となったS&W。なぜ東芝とWHはこの企業を買収したのか。その理由を知るには、時計の針を1年ほど巻き戻す必要がある。

東芝の不正会計が発覚したのは2015年4月。7月に第三者委員会が2000億円以上の利益水増しを認定し、田中久雄氏ら歴代3社長が責任を取って辞任した。9月には東京証券取引所から「特設注意市場銘柄」に指定され、半導体や家電など複数の事業で厳しいリストラが始まっていた。

この間、一貫して焦点になっていたのがWHの減損問題だった。

電力会社との関係を修復する条件だったS&Wの買収

東芝は2006年に約6000億円を投じてWHを買収。買収価格とWHの純資産との差額、約3500億円の「のれん」を計上していた。買収後、リーマンショックや原発事故などで経営環境は激変したが、東芝は一貫して原子力事業は「好調」と説明し、巨額ののれん計上を正当化してきた。仮に不調を認めると減損処理を迫られ、経営危機に直面する可能性があったからだ。

一方で、原発建設の現場では「コストオーバーラン」が深刻な問題になっていた。WHは米国内で4基の原発を建設していたが、規制強化による安全対策や工事の遅延などでコストが増大し、事前の見積り額を超過するようになったのだ。

発注元の米電力会社はWHに超過分のコスト負担を求め、一部は訴訟に発展。工事を担当するCB&IとWHとの間でも、負担割合などをめぐって争いになっていた。こうした係争が深刻化して損失計上を迫られれば、WHの収益計画を見直さざるを得なくなる。すると、のれんの減損処理が現実味を帯びる。こうした事態を回避するために、東芝はS&Wを買収することで関係を整理することにした。

東芝は2015年10月28日、WHがS&Wを完全子会社化すると発表。プレスリリースには次のように記載されている。「米国のプロジェクトに関し現在訴訟となっているものも含め、全ての未解決のクレームと係争について和解する」。「価格とスケジュールを見直すことにも合意した」。

つまりS&Wを買収することが、電力会社との関係を修復する条件だったのだ。前述の東芝関係者は「S&Wを買収しなければ、WHは2015年中に減損処理に追い込まれていたかもしれない。資産査定などの時間は限られていたが決断せざるを得なかった」と振り返る。冒頭の「減損回避のための買収」とはこういう意味だ。

東芝は結局、2016年4月に原子力事業で約2500億円の減損損失を計上した。それが可能になったのは直前の3月に、東芝メディカルシステムズをキヤノンに約6655億円で売却できたからだ。

だが改めて数千億円の減損処理を迫られた場合、同じ手を使うのは難しい。過去1年でリストラを進めた結果、売れる事業が社内にほとんど残っていないからだ。資本増強の手段としてNAND型フラッシュメモリーの需要が旺盛な半導体事業の売却や、分社化して株式上場する案も考えられるが、それは東芝の「解体」と同義だ。

会見に志賀会長とWHのロデリック前社長は出席せず

東証から特設注意市場銘柄に指定されている東芝は、公募増資などの資本増強策が事実上取れない。12月19日には東証が指定期間を延長することを発表しており、2017年3月15日以降に東芝が提出する内部管理体制確認書で改善が認められなかった場合、上場廃止になる。平田CFOは会見で「銀行に状況を説明して協力を得たい」と述べ、金融支援の可能性に言及した。

日経ビジネスが繰り返し述べてきたように、WHの買収こそが東芝が粉飾決算を始めた「原点」だ。原子力での巨額買収の失敗を覆い隠すために、パソコンや社会インフラなど複数の事業部門が利益の水増しに手を染めた。S&Wの買収は、原発建設でのコスト超過に直面したWHが、それをカバーするために選んだ苦肉の策なのかもしれない。最初の失敗から負の連鎖が始まり、今なお新たな損失リスクを生みだしている。

なお、12月27日の記者会見には原子力事業を率いてきた志賀重範会長と、S&Wの買収時にWHの社長を務めていたダニエル・ロデリック氏(現エネルギーシステムソリューション社の社長)は姿を見せなかった。平田CFOによると両氏は「現地(米国)に飛んで、数字の精査をしている」という。>(以上)

IR法で菅官房長官は、パチンコや競馬競輪を含めてギャンブル依存症対策を講じるとのこと。良いことです。パチンコは脱税の温床且つ朝鮮総連経由で北に資金が流されています。入場時にはマイカードを提示させるようにし、且つ1日の上限枠を設定、且つ売上の5割は税金として国庫納付を義務付ければ10兆円(税)/20兆円(売上)で消費税増税しなくても済みます。日露戦争のための軍事費調達として課税されたビール税の小売価格に対する割合は、今の所42.2%もあります。(ビール酒造組合調べ)。それを考えれば、売上の半分を税金で取って依存症を減らすのは国民も賛成するのでは。反日民進党もきっと賛成に回るでしょう(笑)。パチンコの所管も警察ではなく、厚労省にして、規制した方が良いです。警察の天下り先で、公営でなく違法賭博なのに、取締りしてませんので。

http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000090959.html

記事

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2016年7月、抗議デモが展開される中で決定したTHAAD配備だったが、韓国「離米派」の台頭で、中国が望む「配備撤回」への動きが勢いを増している(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

韓国で次期大統領を争うレースが始まった。裏で操るのは中国だ。

観光局長までが脅し

鈴置:朝鮮日報に興味深い記事が載りました。イ・キルソン北京特派員が書いた「中国に向けてろうそくを掲げられるか」(12月21日、韓国語版)です。

韓国の有力大統領候補が米軍のTHAAD(地上配備型ミサイル防衛システム)の配備に反対の声を上げた。すると、中国政府の観光関係者までが「THAADに反対しろ」と韓国を脅し始めた――との書き出しです。要約しつつ訳します。

  • 12月15日、韓中両国政府の観光部局が北京で式典を開いた。中国の李金早・国家観光局長は祝辞で「最近、両国関係がTHAAD配備で新たな局面と課題に直面した。適切な方法を探し、観光協力強化のために条件を整えてほしい」と述べた。
  • 9月の北朝鮮の5回目の核実験後、中国の外交・国防部以外は公にTHAADを取り上げなかった。北の核に不安を増す韓国の世論を考慮したためだろう。
  • しかし「THAAD反対」を叫ぶ韓国野党の声が大統領弾劾の局面で大きくなり、文在寅(ムン・ジェイン)「共に民主党」前代表のような有力大統領候補が配備延期を主張すると、中国は観光局長までがTHAADを語り始めたのだ。

外から援護射撃

7月8日、米韓は在韓米軍へのTHAADの配備を正式に決めました。すると、それに強力に反対していた中国が韓国への嫌がらせに乗り出したのです。10月、中国政府は「韓国に行く観光客を20%減らせ」と中国の旅行会社に指示しました。

中央日報の「中国政府『韓国に行く中国人観光客20%減らせ・・・ショッピングも1日1回だけ』」(10月25日、日本語版)などが報じました。

影響が出始めています。2016年11月に韓国を訪問した中国人客は前年同月比1.8%増に留まりました。

2015年に韓国でMERS(中東呼吸器症候群)が大流行。反動で2016年8月には同70.2%増を記録するなど、訪韓中国人数は急回復していました。その伸びが一気に鈍ったのです。

聯合ニュースの「訪韓中国人客が伸び悩み 日本人は3割増=11月」(12月22日、日本語版)は「THAAD問題が響いた」との大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の分析を紹介しています。

当初、中国政府は訪韓観光の規制強化とTHAADは関係ないと説明していました。ところが朝鮮日報が書いたように、12月15日には国家観光局長がはっきりと「THAADを何とかしないと観光客をどんどん減らすぞ」と脅すに至ったのです。

韓国で文・前代表ら大物政治家が「THAAD反対」を叫び始めた時です。タイミングから見て「内側の声」に合わせ「外側からの圧力」を韓国政府にかける目的であるのは間違いありません。

韓流ドラマにも罰

韓流ドラマも同じパターンです。中国政府が映画、ドラマなど韓国製コンテンツを使うなとの「禁韓令」を放送局に指示したと11月、中国メディアは報じました。

同国政府はそれを否定していましたが12月20日になると、中国外交部の参事官が「禁韓令」に関する韓国記者の質問に答えて「まず、THAADを解決することが必要だ」と語りました。

国家観光局長と同様に韓国内で「離米派」が立ち上がった瞬間、方針を変更し、はっきりと「THAADを認めた罰だ」と言い渡したのです。

聯合ニュースが「韓流締め出しへの批判に『THAAD問題の解決必要』=中国高官」(12月21日、日本語版)で報じています。

毎日経済新聞の「中国の報復で非常燈が点いた対中事業・・・ロッテ税務調査、旅客中断、反ダンピング関税」(12月16日、韓国語版)は「THAADに対する報復」がオンライン通販、化粧品、石油化学製品、自動車関連など多様な業種に広がっていると報じています。

ゴルフ場でとばっちり

—記事の見出しに「ロッテ」が立っていますが。

鈴置:その部分を訳します。以下です。

  • 11月29日から、ロッテグループの中国内の(量販店)150余店舗が税務調査に加え、消防法や食品安全法による検査の対象となった。ロッテケミカルなど在中工場も同様だ。中国でこれほど厳しい「全方位検査」を受けるグローバル企業はなかった。
  • ロッテは中国での広告を停止した。ホームショッピング事業も売却を検討している。3兆ウォン(3000億円)をかけて瀋陽にロッテタウンを建設中だが、許認可が困難になるかもしれない。

—なぜ、ロッテがイジメに遭うのですか。

鈴置:米軍のTHAAD配備は住民の反対運動により、用地選定が難航しました。二転三転の結果、慶尚北道の星州(ソンジュ)郡にあるロッテグループのゴルフ場を軍が入手して米国に提供することになりました。

ロッテが頼んだわけではありません。とばっちりを食ったのです。でも、「泣く子と中国には勝てない」のです。

中国の威嚇で票稼ぎ

—韓国にとっても中国は「困った国」ですね。

鈴置:必ずしもそうとは言えません。「離米派」の大統領候補にすれば、中国は極めてありがたい存在です。

「離米派」は「3点セット」――THAAD配備、日本とのGSOMIA(軍事情報包括保護協定)締結、従軍慰安婦合意――の見直しを主張しています(「『キューバ革命』に突き進む韓国」参照)。

一方、中国がTHAAD配備容認に対する露骨な報復に乗り出しました。「3点セット」を見直さないと大変なことになる、との恐怖感が国民の間に広がるほど「離米派」は票をかき集められるのです。

—GSOMIAや従軍慰安婦合意も、中国と関係するのですか?

鈴置:大いに関係します。日韓GSOMIAに対し中国政府は明確に反対しています。「朝鮮半島の対立を深める」などと理屈をこねていますが、要は日米韓による中国包囲網を作らせたくないのです。

表「中韓の『慰安婦共闘』」を見れば分かる通り「慰安婦」でも両国は共闘体制を組んでいます。2014年7月の首脳会談で「慰安婦の共同研究」に中韓は合意し、共同声明の付属文書に盛り込みました。

中韓の「慰安婦共闘」

2014年7月3日
中韓首脳会談で「慰安婦の共同研究」に合意。共同声明の付属文書に盛り込む(聯合ニュース・韓国語版
2014年12月15日
韓国政府系の東北アジア歴史財団と、中国吉林省の機関、档案局(記録保管所)が慰安婦問題関連資料共同研究のための了解覚書(MOU)を締結(聯合ニュース・日本語版
2015年8月15日
中国国家公文書局が『「慰安婦」–日本軍の性奴隷』第1回文献テレフィルムを公式サイトで公表(人民網日本語版
2015年9月22日
サンフランシスコ市議会が「慰安婦碑または像の設置を支持する決議案」を全会一致で採択。運動の中心となったのは中国系団体(産経新聞)
2015年10月12日
中国外交部の華春瑩副報道局長、旧日本軍の慰安婦に関する資料について「ユネスコ世界記憶遺産への登録申請を他の被害国と共同で進める方針」(聯合ニュース・日本語版
2015年10月13日
韓国外交部の魯光鎰報道官、慰安婦資料のユネスコ世界記憶遺産に中韓が共同で登録申請することに関し「推進中の民間団体が判断すべきだ」。推進中の民間団体とは女性家族部傘下の財団法人、韓国女性人権振興院(聯合ニュース・日本語版
2015年10月28日
「中韓の慰安婦像2体」をソウル城北区に設置、除幕式。中韓の彫刻家が製作し、両国市民団体が支援(産経新聞

中国からすれば、米国の仲介による2016年12月の慰安婦合意は韓国の裏切りです。共同声明を証文に韓国に対し「慰安婦合意を破棄しろ」と圧力をかけることもできます。

米韓同盟の紐帯である「3点セット」の見直しを主張する「離米派」とは、中国の顔色をうかがう「従中派」でもあるのです。

意地を見せた韓経

—中国の報復に対し、反発は起きませんか?

鈴置:起きています。東亜日報は社説「ロッテにTHAAD報復し、北朝鮮制裁は真似だけする中国」(10月30日、日本語版)を載せました。

ただ、この記事は中国への反感を表明したうえで、中国依存度を下げようと呼び掛けただけです。私が見た限りですが、明確に中国に対抗しようと訴えたのは韓国経済新聞の社説「政府は中国の市場経済国(MES)の地位認定を撤回せよ」(12月2日、韓国語版)くらいでした。

—韓国政府は「市場経済国」と認定しているのですか?

鈴置:2005年、中国がWTOにおける「市場経済国」であるとの主張に韓国は賛成しました。今、中国の度重なるルール破りに怒った日米欧が「今後も認定しない」と言っているのと対照的です(日経「WTOの『市場経済国』、日本も中国を認定せず」参照)。

韓経は「ロッテなど我が国の企業があれだけ苛められているというのに、まだ認定すると言うのか」と韓国人に訴えたのです。ただ、韓経のように「意地」を見せたメディアは例外的です。

中国に屈する韓国紙

左派系紙はもともとTHAADなど「3点セット」に反対です。そして韓経以外の保守系紙は中国の報復に屈し始めました。

中央日報は社説「中国の偏狭なTHAAD報復・・・大国にふさわしくない」(12月3日、日本語版)を載せました。

見出しや本文では「中国の偏狭さ」を批判しています。韓国語版(12月2日)の見出しも同じです。でも、結論部分では次のように書いたのです。

  • 我々は中国が大局的な立場でTHAAD報復を撤回することを期待する。韓国政府もTHAAD導入において中国の立場を十分に配慮する措置が求められるだろう。

中国が報復を撤回するとは考えにくい以上、「中国の立場に配慮」とは「THAAD配備を拒否」を意味するのです。中央日報はもともと「拒否派」です(「『南シナ海』が加速させる『韓国の離脱』」参照)。

中国で「日本より下」に

—最大手の朝鮮日報は?

鈴置:中国に詳しい政治部のアン・ヨンヒョン次長が「中国の統一戦線戦術」(12月10日、韓国語版)を書きました。まず、中国が日本に対して以上に、韓国に冷たくなったと指摘しました。

  • 11月22日に北京で開かれたアキヒト日王(天皇)の誕生日祝賀会には、中国外交部の劉振民・副部長(次官)が壇上に上がり、中国駐在の日本大使と乾杯した。
  • 一方、10月19日に駐中韓国大使公邸で開かれた開天節(韓国の建国記念日)のパーティには中国外交部の課長が出席しただけだった。毎年、次官補級以上が参加していたというのに様変わりだ。
  • 中国は韓中共同戦線を組むことで日本を圧迫してきた。しかし、7月にTHAAD配備の発表に韓米同盟の強化を見て取ると、日本との関係改善を模索する姿勢を打ち出した。

中国が日本との関係改善に動いているとは言い切れません。ましてそれがTHAADのせいだ、というのは韓国人特有の天動説的発想と思います。

ただ、韓国人読者がこれ読めば「やはり、THAADが諸悪の根源だ」と思うでしょう。アン・ヨンヒョン次長は次のように結論付けました。

  • 中国共産党は国益のためには過去と理念にこだわらず、統一戦線戦術を繰り広げる。THAAD報復に怒るだけで、米国と北朝鮮だけを見つめる外交手法では中国のこの戦術に当たるのは難しい。

はっきりと「THAAD配備に反対する」とは書いていません。しかし「北朝鮮と米国だけを見つめる」とは「北の核ミサイルに対抗することだけを考える」ということです。

アン・ヨンヒョン次長は「それではダメだ」――つまり「THAAD配備を再検討しよう」と説いたのです。

脅せば従う韓国人

—韓国はTHAAD拒否に向かって雪崩を打っているのですね。

鈴置:ええ。7月に米韓がTHAADの配備を正式に決めた直後、人民日報の姉妹紙「環球時報」は「5つの対韓制裁」を発表しました(「『中国陣営入り』寸前で踏みとどまった韓国」参照)。

「環球時報」の英語版「Global Times」の記事「China can counter THAAD deployment」(7月9日)で読めます。

■環球時報が中国政府に建議した「5つの対韓制裁」

(1)THAAD関連企業の製品の輸入禁止 (2)配備に賛成した政治家の入国禁止と、そのファミリービジネスの中国展開の禁止 (3)THAADにミサイルの照準を合わせるなどの軍事的対応 (4)対北朝鮮制裁の再検討 (5)ロシアとの共同の反撃

注)環球時報の英語版「Global Times」では「China can Counter THAAD Deployment」(7月9日)で読める。

THAADに関し「協力した韓国企業製品の輸入禁止」だけでなく「賛成した政治家の入国禁止」も明言しています。

訪中できなければ韓国の大統領はやっていけません。大統領選挙で「THAAD賛成」を明確に訴えられる政治家はまず、いないと思います(「『習近平のシカト』に朴槿恵は耐えられるか」参照)。

ただ、これまでは1つ問題がありました。政治家として「中国の報復が怖いからTHAADに反対する」とは言えなかったことです。

韓国人の多くも本音では「不愉快でも中国の言うことを聞くしかない」と思っています。意識調査を見ても「中国が最も重要だ」と答える人が「米国」と答える人を上回っているのです。

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冒頭に引用した朝鮮日報の「中国に向けてろうそくを掲げられるか」(12月21日、韓国語版)に以下のくだりがあります。

  • 中国は我々を「強く出れば頭を下げる民族」として扱う。「歴史的に統一した中国に対し、韓国はただの一度も抗ったことがない」ということだ。
  • 「中国側に立てば10倍の褒美をやるというのに、なぜ、中国に反旗を翻し10倍の罰を受けるのか」ということでもある。

2匹目の「ドゥテルテ」

—「脅せば言うことを聞く」と、中国にすっかり見切られていますね。

鈴置:だからこそ、韓国の政治家は「中国の報復を避けるためTHAADは拒否しよう」との本音は言いにくかった。

それが朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の弾劾騒動で「THAAD反対」の言い訳ができたのです(「『キューバ革命』に突き進む韓国」参照)。

「朴のやったことはすべて悪い」との雰囲気が盛り上がる中、離米派は「あれは『朴印』の政策だから反対する」と言えばいいのです。「従中派」のレッテルを張られず「従中」できるようになったのです。

—「離米派」と中国の共闘が始まったのですね。

鈴置:その通りです。中国が報復カードをちらつかせるほどに「離米派」の票は増える。それにより「離米派」の大統領が誕生すれば、韓国は自動的に「従中」する。明快な共闘の構図です。

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中国は目を細めて韓国のドゥテルテ(Rodorigo Duterte)たち――米軍は出て行けと叫ぶフィリピンの大統領――を眺めているでしょう。

「離米」に警告したトランプ側近

—米国はどうするつもりでしょうか。

鈴置:12月20日になって、トランプ(Donald Trump)次期政権から「見解」が明かされました。国家安全保障問題担当の大統領補佐官に就任する予定のフリン(Michael Flynn)元陸軍中将が韓国の外交部と国防部の高官に以下のように語りました。

東亜日報の「フリン次期国家安保補佐官、在韓米軍とTHAAD配備は韓米同盟の正しい決定」(12月22日、日本語版)から引用します。

  • 米軍とTHAADの(韓国への)配備は、韓米同盟次元の正しい決定であり、韓米同盟の堅固さを象徴するものだ。

もちろん「在韓米軍を追い出したり、THAAD配備を拒否したら米韓同盟がなくなると思えよ」という意味です。韓国に広がる「離米ムード」に警告したのです。

—ズバリ、言いましたね。

鈴置:でも、米国とスクラムを組む政治家が出てきそうにないのも事実です。中国と共闘したがる政治家はいっぱいいるのに。

—「親米派」の国民もいるのでは?

鈴置:もちろん残っています。「親中政権ができたら移民する」という人もいます。親米クーデターを考える人も出てきました。

※2017年は1月1日付で「2017年の日韓関係を占う(仮題)」を掲載します。

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