トランプが第二のレーガンを目指すのであれば、SDIに代わる政策を打ち出すかもしれません。レーガンの敵はソ連でしたが、今回は中国です。如何に経済的結び付きが強くとも、中国が世界覇権を目指していることがはっきりしていますので、妥協の余地はないでしょう。国益の観点から言っても、従来米国の持っていた利益が損なわれるのは必定ですから。太平洋を何故米国が二分割して中国にくれてやる必要がありますか。米国の第二次大戦の戦利品です。米兵の血で贖ったもので、中国が戦争で勝ちとった訳ではありません。中国が太平洋、南シナ海に出てこようとするなら、早晩ぶつかることは間違いありません。ぶつかるのであれば、相対的に米国の力が弱まる前の方が良いに決まっています。
「肉を切らせて骨を絶つ」精神が必要です。日経は経済紙ですので、米中戦わば、経済的混乱が起きることを恐れていますが、そもそも戦闘が始まる前に、経済制裁をお互いにしあうのでは。戦前の日本の場合は一方的に制裁されましたが。トランプはまず経済的に締めあげて、中国の軍拡を押えようとするはずです。日本も経済面で中国との取引が減りますが、戦争するより良いでしょう。経営者は中国事業を授業料として諦めることです。そもそも人口の多さに幻惑され、「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という信義誠実の原則が成り立たない国でビジネスしようとしたのが間違いですので。
日米露で準軍事同盟ができれば、日本の安全は飛躍的に高まります。勿論、ロシアはスターリンが日ソ中立条約を無視して日本を攻めましたが、所詮銀行強盗上りの共産主義者です。今のプーチンは柔道精神を大事にし、日ソ共同宣言を履行して、平和条約を結びたいと思っていると思います。ロシアにとっても国境線を接し、シベリアに中国人が増殖し、北極海航路を耽耽と狙っている中国は脅威です。如何に核大国で軍事大国のロシアと雖も、GDP比でみれば中国11,186B$:ロシア1,326B$と、ロシアは中国の1/10くらいしかありません。勿論、中国の公称のGDPが信用できないというのはありますが、継戦能力がないことは明らかです。ロシアにとって日米と準軍事同盟を結ぶことは悪い話ではないと思います。問題は、グローバリズムに染まった国際金融資本の影響を受けた米国議会が米ロの提携に難色を示すことと、北方領土に米軍基地を置かないことを米国が認めるかと言う点と思います。
藤井厳喜氏はトランプが大統領就任してすぐに経済制裁を中国に課し、「大統領令による『在米資産の凍結』だが、その前に特定個人や企業への制裁」と言っています。中国も米国の本気度に恐れをなすのでは。今の人民解放軍のレベルでは勝ち目がないのに、虚勢をはっても、コテンパンにやられるだけです。田村秀男氏は12/24ZAKZAKで「中国 止まらぬ資金流出、人民元の下落 習政権の慢心が自滅招く」という記事を書いています。先ずは中国を経済的に困らせることが大事かと。
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20161224/ecn1612241530002-n2.htm
日経記事
「偉大なる米国の復活」を掲げて次期大統領の座を手にしたドナルド・トランプ氏の外交手腕は未知数とされてきた。ツイッターの書き込みや主要閣僚人事には「素人」との批判が上がるが、「意外に戦略的」との見方も。少なくともオバマ政権とは異なる新たな秩序を築こうとしているのは間違いなく、世界はそれに身構えている。
中国を挑発する言動を連発
●トランプ氏の最近の行動や発言
トランプ次期大統領(右上)は台湾の蔡英文総統(右下)と電話会談したほか、ツイッターなどで中国を非難。中国の習近平国家主席(左)はどう対応するか(写真=左:ロイター/アフロ、上:ロイター/アフロ、下:AP/アフロ)
「米中関係が悪くなっても、米ゼネラル・モーターズ(GM)製自動車の販売に大きな影響はないと信じている。中国最大手メーカーの上海汽車集団との合弁事業だし、ディーラーは現地資本だから。しかし大統領就任後のトランプ氏の動きは気になる」
12月中旬、中国・上海でGM車などを販売する李方氏は、ドナルド・トランプ氏の次期米大統領就任について、わずかな不安を口にした。
GMは昨年、中国での新車販売台数で独フォルクスワーゲン(VW)を抑えて3年ぶりに海外メーカーとしてシェアトップに返り咲いた。GMが昨年、世界で販売した約996万台のうち、実に3分の1強を中国市場で売った。同社にとって中国は決して失うことのできない大切な市場だ。
だが、トランプ氏の最近の言動は、近年の米国と中国の安定した関係の上に築かれてきたビジネスにも影響を与えかねない。
そもそも米大統領選の直後まで、中国にはトランプ氏に対する楽観論があった。ビジネスマン出身のトランプ氏は交渉できる余地があり、人権など中国が抱える問題の根幹を突いてくる可能性の高いヒラリー・クリントン氏よりくみしやすいといった見方だ。
ツイッターで中国を批判
だが今月に入ってからトランプ氏は中国を挑発する言動を繰り返している。
12月2日、トランプ氏は台湾の蔡英文総統と電話で約10分間、会談した。米国の大統領や次期大統領と台湾の総統の会談が明らかになったのは、1979年の米国と台湾の断交以来、初めてのこと。さらにトランプ氏は12月11日、FOXニュースのインタビューで「1つの中国になぜ縛られなければならないのか」と再び台湾の問題に言及した。
中国は台湾を自国の一部とする「1つの中国」の政策を堅持しており、台湾を国家として認めていない。米国も79年の米中国交正常化後、「1つの中国」の原則を守ってきた。
96年には中台関係が悪化、中国が台湾に向けミサイルを発射し、米国が空母を派遣する事態に陥ったこともある。台湾を巡る問題は、米中関係で最もデリケートなテーマの一つだが、トランプ氏は台湾問題をも中国との取引材料に使う勢いだ。
トランプ氏の中国への挑発はさらに続く。12月4日には、ツイッターで「中国は我々に南シナ海で大規模な軍事施設を建設していいかどうか了承を求めたか。私はそうは思わない」などと中国を批判した。さらに12月15日に米海軍の無人潜水機が南シナ海の公海上で中国海軍に奪われたことを受けて、トランプ氏は17日、再びツイッターで「前代未聞の行為だ」と非難した。
「外交の素人」ゆえの振る舞い──。トランプ氏の言動はそう受け取られることが多い。しかし米国と中国、ロシアの3カ国に駐在経験のある商社関係者は「相当したたかだ」と言う。
その象徴が国務長官に親ロシア派と目される米エクソンモービルCEO(最高経営責任者)のレックス・ティラーソン氏を充てるという人事だ。「政治経験のないティラーソン氏の国務長官就任の含意は、どちらかと言えば米国よりも中国寄りのロシアとの関係を改善し、3カ国のパワーバランスを見直すつもりなのだろう」(同)と分析する。
日本企業も報復の巻き添えに?
中国へのトランプ氏の強硬な姿勢が続けば、経済にも影響が及びかねない。同氏はかねて中国製品に高関税をかけると公言しており、実行に移せば中国側も米国製品に高い関税をかけるといった報復措置に出ることが考えられる。ロイター通信は専門家の話として、中国政府が報復対象となり得る米企業のリストを作成していると報じている。
米国勢調査局によると、2015年の米中間の貿易額は約6000億ドル(約70兆円)に達する。米中関係が緊張した20年前の1995年と比べると10倍超に膨らんでいる。両国の経済関係の悪化が世界の経済に及ぼす影響は過去とは比べものにならないほど大きい。
中国に駐在する日系商社の幹部は「中国が米国に対し報復措置を取れば、日本企業も巻き込まれかねない。今後の中国ビジネスがどうなるかは予断を許さない」と話す。米国企業以外にも規制の網がかかり、日本企業の事業も落ち込みかねないとの見立てだ。
中国に対する厳しい言動から透けるのは、新たな国際秩序を築こうというトランプ氏の意志だ。大統領就任後に取る対中政策は2017年の世界経済の最大の波乱要因になる可能性がある。
欧州では2016年、各国で既存の政治に「ノー」を突きつける動きが広がった。移民、難民、経済格差など、国民の鬱積した不満が爆発。6月に英国は欧州連合(EU)からの離脱を決め、12月にイタリアでは憲法改正を否決。マッテオ・レンツィ首相(当時)が退陣した。さらに、国民の不満を巧みに拾い上げ、「打倒既存政治」を掲げる極右政党が躍進しており、トランプ氏の大統領選勝利後、勢いを増している。
「東欧からの移民には労働許可証制度を導入すべきだ」。今年11月、オランダ地元メディアの掲載した記事が、EU加盟国に波紋を広げている。発言の主は、同国のローデワイク・アッシャー副首相。社会・雇用相も兼務するアッシャー氏は、これまで移民に寛容な姿勢を示す人物として知られてきた。ところが、最近になって移民の扱いに対する考え方を転換。早急な移民管理の必要性を訴え始めた。
現実には、EU加盟国の国民に労働ビザの取得を義務付けることは難しい。EUの基本理念の一つである「人の移動の自由」に反するからだ。それでもアッシャー副首相が移民制限を主張し始めたのは、来年3月に予定されている総選挙を意識しているためだ。
同選挙で躍進が予想されているのが、「反移民」を掲げる極右政党の自由党だ。党首のヘルト・ウィルダース氏は移民に対する過激な発言で知られ、12月にはモロッコ移民への差別発言で有罪判決を受けた。
欧州では極右政党が躍進。ウィルダース氏(左)とルペン氏が注目される(写真=左:ロイター/アフロ、右:AP/アフロ)
「オランダのトランプ」躍進
にもかかわらず、移民流入に不満を抱くオランダ国民からの支持は高い。11月に実施された世論調査では、自由党の支持率は与党の自由民主党を抑えてトップに立った。トランプ氏とも親交があると言われるウィルダース党首はトランプ氏と似た主張を繰り返し、「オランダのトランプ」の異名を持つ。
アムステルダムは国際都市として、多国籍企業が欧州拠点を構えてきた。英国のEU離脱後、ロンドンに代わる都市としても注目を集めている。だが、仮に右翼勢力が台頭すれば、これまで築き上げてきた国際都市のステータスが崩れる恐れもある。
オランダ同様に極右政党の躍進に戦々恐々としているのが、2017年4月に大統領選を予定しているフランスだ。現職のフランソワ・オランド氏に代わり1月に選出される与党候補、既に出馬を表明した最大野党の共和党のフランソワ・フィヨン元首相、そして極右政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首の争いになると見られている。
なかでも「反EU」「反移民」を掲げるルペン氏のFNは、着実に支持を高めており、2015年の地方選でも注目を集めた。ルペン氏は、大統領に就任した場合、「EU離脱を問う国民投票を実施する」と明言している。
秋に予定されるドイツ連邦議会選挙も懸念が広がる。2016年12月にキリスト教民主同盟(CDU)党首に再任したアンゲラ・メルケル首相は、EUの枠組みを維持する最後のとりでと目されている。しかし難民受け入れを続ける政策へのドイツ国民の不満はくすぶり、反難民を掲げる極右政党・ドイツのための選択肢(AfD)は勢いを増している。
欧州版TPPへの影響も必至
米国との経済関係も不安要因だ。トランプ氏がTPP(環太平洋経済連携協定)から撤退を宣言すると表明したことなどから、欧州版のTPPとも言える、環大西洋貿易投資協定(TTIP)を巡る交渉も、不透明感が増している。
特にドイツにとって米国とメキシコの関係悪化は自国の製造業を考えると頭の痛い問題だ。これまでVWグループや独BMWはメキシコに生産拠点を開設、NAFTA(北米自由貿易協定)を活用して米国への輸出を増やしてきた。米国とメキシコの関係が悪化すれば、戦術を見直す可能性が出てくる。
東欧の安全保障も懸念事項だ。トランプ氏がロシアとの関係改善を進めれば、ロシアの東欧での影響力が増しかねない。シリアでは政府軍とロシア軍がアレッポを制圧するなど中東地域の力関係も変わる可能性がある。
トランプ氏は欧州が進めてきた温暖化対策の国際的な枠組みにも懐疑的な見方を示している。英国との離脱交渉開始、主要国での選挙に加え、トランプ氏にどう対峙するか。EUの苦悩は深まりつつある。
トランプ次期大統領の存在は日本の外交や経済にも影響を及ぼしつつある。
12月15、16の両日に行われた日ロ首脳会談。安倍晋三首相はウラジーミル・プーチン大統領と北方領土問題を含む日ロ間の平和条約締結に向け北方四島での共同経済活動に関する協議の開始で合意し、記者会見などで「平和条約への重要な一歩だ」と強調した。
経済協力をテコに日ロの信頼関係を深め、領土問題の解決につなげようというのが安倍首相の基本戦略。会談に合わせ日本側が提案した8項目の対ロ経済協力プランに基づき、約80件の経済協力に関する合意文書を交わした。だが北方領土の主権を巡る溝は埋まらず、領土問題の解決に直接つながる合意は得られなかった。共同経済活動の枠組みに関する協議も難航は必至だ。
安倍晋三首相とプーチン大統領の会談にも影響を与えたとみられる(写真=読売新聞/アフロ)
今年5月や9月の安倍首相との会談で領土問題の解決に前向きな姿勢をにじませていたプーチン氏だったが、その後、態度を一変させた。領土問題で弱腰を見せればプーチン氏の政権基盤が揺らぎかねないといったロシアの国内事情に加え、大きな要因と見られるのがトランプ氏の大統領選での勝利だ。
オバマ米大統領とプーチン氏の仲は険悪と言える状況だ。EUもロシアと対立を深めている。米から圧力を受けながらも安倍首相がプーチン氏との関係強化を進めたのは、欧米の包囲網に直面するロシアに接近することでプーチン氏との信頼関係を構築し、領土交渉の前進と東アジアの安全保障を脅かす中国をけん制する狙いからだった。
だが、トランプ氏は国務長官にプーチン氏と親交のあるティラーソンCEOを起用するなど、ロシアとの関係改善に取り組む姿勢を鮮明にしている。ロシア経済を揺さぶってきた原油安も減産合意で一服しており、「政治・経済両面で日本との関係打開を急ぐ必要性が急速に薄れたのだろう」と政府関係者は指摘する。
利上げ・保護主義に警戒感
中東で戦闘指揮経験があるジェームズ・マティス元中央軍司令官を国防長官に充てるなど、トランプ氏は外交面では中東を重視する姿勢も見せている。その一方で対アジア政策の方向性は不透明だ。10ページでも見たように、トランプ氏は中国に強硬姿勢をちらつかせており、今後、南シナ海などで緊張が高まる恐れがある。
安倍首相は1月にも行われるトランプ氏との首脳会談で日米の緊密な連携を確認したい考えだ。ただ外務省幹部は「韓国政治の混乱が続く中、対中、対北朝鮮外交の基軸である日米韓の連携に揺るぎがないことを早く示さないと、中国、北朝鮮に隙を与えることになりかねない」と懸念する。
トランプ氏の勝利後に一変した市場環境の先行きはどうか。トランプ氏は大規模減税やインフラ投資などに注力する意向を表明。財政拡張路線を先取りして世界のマネーが米国に回帰し、ドル高・円安、日米などでは株高、金利高が進んでいる。米経済の改善を踏まえて米連邦準備理事会(FRB)も1年ぶりの利上げに踏み切った。
トランプ政権が掲げる大型減税などがある程度実現すれば米経済の成長が加速し、米長期金利やドルの一層の上昇につながる可能性がある。円安が進めば日本の輸出企業の収益改善を後押しする一方、食料品や原材料価格の値上がりが消費を冷やす恐れも出てくる。
米経済が過熱するようだとFRBの利上げが加速し、新興国からの資金流出や通貨急落リスクが高まりかねない。米国内の雇用維持に主眼を置くトランプ氏がドル高を嫌い、FRBに政治介入する可能性もささやかれる。米議会との調整が壁となってトランプ氏の政策の実現性に疑問符がつけば、日本を含む世界の市場が揺さぶられかねない。
保護主義への傾斜も大きな懸念だ。TPP離脱やNAFTA再交渉の方針をどのように具体化していくのかは不透明だが、これらが実行されれば企業のグローバル展開の阻害要因になるだけでなく、安倍政権の成長戦略にとって大きな痛手となる。
トランプ氏が特定の貿易相手国や海外企業に批判の矛先を向けるリスクへの警戒感もじわり広がっている。政府はEUとのEPA(経済連携協定)など大型の経済連携交渉の加速を目指しているが、経済産業省幹部は「2017年は日本の経済連携戦略が正念場を迎える年になりそうだ」と漏らしている。
(上海支局 小平 和良、ロンドン支局 蛯谷 敏、編集委員 安藤 毅)
ZAKZAK記事
習近平国家主席率いる中国が、新たな軍事的挑発を仕掛けてきた。同国初の空母「遼寧」の艦隊が25日、沖縄県の宮古海峡を通過して西太平洋に進出したのだ。「対中強硬姿勢」を明確にするドナルド・トランプ次期米大統領を牽制するとともに、弱腰が指摘されるオバマ政権の間に「第1列島線」(九州-沖縄-台湾-フィリピン)を突破した既成事実を示したかったのか。経済・安全保障面で、断末魔の苦しみに直面しそうな中国が暴発する危険性とは。今後、トランプ氏が猛反発するのは確実だ。 夕刊フジは19日発行の「スクープ最前線」(ジャーナリストの加賀孝英氏執筆)で、《中国が暴走する危険がある》《南・東シナ海で決起行動に出かねない》《沖縄県・尖閣諸島も危ない》と警鐘を鳴らしたが、やはり中国は動いた。 防衛省統合幕僚監部は25日、中国初の空母「遼寧」が同日午前10時ごろ、宮古海峡を太平洋に向けて通過したと発表した。海上自衛隊の護衛艦「さみだれ」と、那覇基地所属のP3C哨戒機が確認した。 遼寧が太平洋に進出したのを海自が確認したのは初めて。領海侵犯はなかったという。 遼寧は、ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦、ジャンカイII級フリゲート艦など5隻とともに艦隊を組んでいた。海自は24日午後4時ごろに東シナ海中部の海域で初めて遼寧を発見しており、動向を追っていた。 防衛省はまた、25日午後にジャンカイII級フリゲート艦からZ9ヘリコプターが発艦し、宮古島領空の南東約10キロから30キロの空域を飛行したと発表した。航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)した。 伊藤俊幸・元海上自衛隊呉地方総監(元海将)は「中国側は『訓練の一環だ』と言うだろうが、これは訓練レベルが上がるのを意味しており、米国への挑発と言える。トランプ氏に『1つの中国』を否定されたことへの意趣返しとみられ、示威的に力を見せ、出方を見たいのだろう」とコメントした。
遼寧は、ウクライナから購入したスクラップ状態の空母「ワリヤーグ」を、遼寧省大連で改修したもので、2012年に就役した。全長305メートル、全幅73メートル、排水量6万7500トン。 米海軍横須賀基地を母港とする米原子力空母「ロナルド・レーガン」が、全長333メートル、全幅77メートル。排水量は約10万1400トンだけに、大きさは大差がないが、性能は大違いだ。 ロナルド・レーガンは原子力空母のため、長期間連続航海が可能で、航行速度も速い。遼寧には、航空機を甲板から空中へ飛ばすカタパルト(射出機)がなく、甲板前部を坂にしたスキージャンプ式の発艦しかできない。艦載戦闘機「殲(せん)15」(J15)も重いと飛び立てないため、ミサイルや爆弾などのフル装備は不可能とされる。 軍事研究家は「パイロットの訓練の精度からみても、複雑な空母の運用は困難」と見る向きが多い。だが、中国が米海軍の無人潜水機を強奪したのに続き、空母を西太平洋に進出させる「対米強硬姿勢」に出たことは見逃せない。 背景には、トランプ次期政権の「対中強硬姿勢」が考えられる。 トランプ氏は、安倍晋三首相といち早く会談し、ロシアのプーチン大統領にも好意的なメッセージを送ったが、習氏の中国には批判的だった。 選挙中から「中国は為替操作国だ」と断じ、米国の雇用を奪っていると繰り返し批判。「中国からの輸入品に45%の関税をかける」と主張した。 通商政策などをホワイトハウスに助言する「国家通商会議(NTC)」の新設を決め、委員長に「対中強硬姿勢」で知られ、中国の政策を強く批判する著書を執筆してきた、カリフォルニア大学アーバイン校のピーター・ナバロ教授を充てると発表したのだ。
安全保障面でも、国防長官にジェームズ・マティス元中央軍司令官(退役海兵隊大将)、大統領補佐官にマイケル・フリン元国家情報局長(退役陸軍中将)ら「対中強硬派」の指名を決めた。 さらに、トランプ氏は台湾の蔡英文総統との電話会談に踏み切り、FOXテレビのインタビューで、「なぜ、『一つの中国』政策に縛られる必要があるのか分からない」と発言した。中国が「核心的利益」と位置付ける台湾問題で、「一つの中国」政策を見直す考えを示したのだ。 完全に中国は追い込まれ、習氏は大恥をかかされた。 中国には「死不認錯」(=死んでも間違いを認めない)という言葉がある。自分に非があっても謝らないし、勝てない相手にも弱みを見せない。 冒頭の「スクープ最前線」でも指摘したが、事実上、「死に体」状態であるオバマ政権の間に、中国が軍事的暴発に踏み切る危険性があるのだ。 前出のナバロ氏の著書『米中もし戦わば』(文芸春秋)には、米中戦争の「引き金となるのはどこか?」という分析が各章に分けて行われている。「台湾」「北朝鮮」に続き、3番目に「尖閣諸島の危機」がある。「ベトナムの西沙諸島」「南シナ海の『九段線』」より前であり、「危険度が高い」とみているようだ。 今後、習氏はどう動き、トランプ氏はどう対抗するのか。 国際政治学者の藤井厳喜氏は「ナバロ氏が国家通商会議のトップに決まったことで、トランプ政権は『経済と安保の両面で中国を追い込む方針』だと明白になった。断末魔にある中国は、オバマ政権の間に、できる限り、既成事実を積み重ねるつもりだろう。海上民兵の尖閣上陸も十分あり得る。トランプ氏は就任前は『許し難い暴挙』などと言葉でけん制しながら、就任直後から一気に動くはずだ。伝家の宝刀は大統領令による『在米資産の凍結』だが、その前に特定個人や企業への制裁を科すのではないか。台湾との関係強化も進めるだろう」と語っている。
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