『米国は「日韓スワップ」を許すか 「通貨の戦い」を真田幸光教授と読む(1)』『またも、スワップで日中を天秤にかける韓国 「通貨の戦い」を真田幸光教授と読む(2)』(9/15・16日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

真田幸光氏は信州・真田一族の末裔です。

http://www.asahicom.jp/articles/images/AS20151206000999_comm.jpg

両氏の議論を聞いていますと「何と韓国に優しいことか」と思わざるを得ません。韓国は捏造従軍慰安婦を世界に広めた張本人です。裏に北や中国が居たとしても。やはり韓国に住んで言葉が分かるせいで、感情移入しているのが大きいのでしょうか。小生は中国に居ればいるほど嫌いになりました。まあ、言葉もそれ程できませんでしたが。

中国・朝鮮半島人に誠意を求めるのは「八百屋に魚を求める」のと同義語です。況してや朝鮮人は事大主義です。助けることによって却って朝鮮人の増長を招き(自分が力があるから日本は助けると勘違いする)、日本は侮蔑される対象になります。外交はもっと日本人の名誉を守るべく、国益をしっかり考えてなされるべきです。韓国には厳しい躾が必要でしょう。基本的態度は『非韓三原則』ですが。

もし、無条件に通貨スワップが為されたら自民党は次の選挙で手痛いしっぺ返しを受けるでしょう。保守派は「こころ」や「日本第一」に流れると思います。いくら米国が結べと言っても、条件は付けるべきでしょう。呑むか呑まないかは相手国に任せれば良いだけです。思い切りハードルを高くすべきです。「ここぞ」という場面ではないですか。前にも言いましたが、慰安婦像一体撤去で〇〇$、増やしたらその分〇〇$減額、政治家の竹島上陸をしたら〇〇$減額とか。基本は韓国経済を崩壊させ、100%外資に財閥を乗っ取らせればよいと考えています。欧米人の下で働かせれば変な自信もなくなるでしょう。中国の1000年属国だったのが、白人支配に代わるだけです。

韓進財閥だけではなく、三星もギャラクシー7のバッテリー爆発事故で屋台骨が揺らいでいます。2日で株の時価総額が2.25兆円も下がったとのこと。韓国経済は三星の一本足打法と言われていますので、韓国の断末魔の声が聞こえそうです。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-12/ODDXVU6TTDS201

日本の政治状況として、臨時国会は9/26~11/30まで開会予定です。12/15山口での安倍・プーチン会談の余勢を駆って、明年1月解散が有力との見方でしたが、どうもロシアとの話の進展はなさそうとの様です。そうであるならば、11/30の臨時国会終幕時に解散して、蓮舫の二重国籍問題を取り上げ、反日民進党を壊滅に追い込んだ方が良いのでは。野田幹事長で小沢の生活の党とかは連携しにくいでしょうし、蓮舫は共産党との共闘を継承すると言っていますが、もし共闘するのであれば野田は保守政治家でなかったことになります。まあ、反日民進党は中共や朝鮮半島に結びついている議員が多いですから。前回の衆院選は14年11月ですから、もう2年になります。安倍首相の信任を高め、3選を目指すには良い理由になるでしょう。選挙に5連勝となる訳ですから。

http://blog.goo.ne.jp/kzunoguchi/e/800f199f2651668b822293175b20b8eb

記事

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2012年、副主席だった習近平が訪米した際、国務長官だったヒラリーと会談した。ヒラリーが大統領になれば、アジア問題は「米中直接交渉」で対処する場面が増えるかもしれない(写真:AP/アフロ)

前々回から読む)

突然、日本に通貨スワップを求めてきた韓国――。真田幸光・愛知淑徳大学教授と朝鮮半島を巡る「通貨の戦い」を読んだ。

妄想外交のツケ払う韓国

鈴置:「日本に頭を下げてまで外貨を借りるつもりはない」と突っ張っていた韓国。予想外のスワップ要請に驚いた人も多いと思います。

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真田 幸光(さなだ・ゆきみつ) 愛知淑徳大学ビジネス学部・研究科教授(研究科長)/1957年東京生まれ。慶応義塾大学法学部卒。81年、東京銀行入行。韓国・延世大学留学を経てソウル、香港に勤務。97年にドレスナー銀行、98年に愛知淑徳大学に移った。97年のアジア通貨危機当時はソウルと東京で活躍。2008年の韓国の通貨危機の際には、97年危機の経験と欧米金融界に豊富な人脈を生かし「米国のスワップだけでウォン売りは止まらない」といち早く見切った。

真田:韓国はとても焦っています。米国だけではなく、頼みの綱だった中国からも距離を置かれることが確実になったからです。

日本へのスワップ要請はその象徴です。せめて金融面での孤立を回避しておかないとまずい、との判断でしょう。

鈴置さんが「『中国の通貨スワップ』を信じられなくなった韓国」で書いたように中国との関係が悪化し、いざという時にスワップを発動してもらえるか自信がなくなったのです。

鈴置:韓国の新聞を読むと、毎日のように「四面楚歌」「孤立無援」といった単語に出くわします。(「二股外交の失敗が加速する『韓国の核』」参照)。

韓国人の孤独感は日本人の想像以上のものがあります。彼らは根拠もなく「キャスティングボードを握った我が国は、米中双方からラブコールを受けている」と信じ込んでいた。

そしてある日、中国から脅され辺りを見回して、周辺国すべてから相手にされていないことにようやく気づいた。

もちろん、米中は韓国には操られません。日本や北朝鮮も韓国は無視しました。米中を手玉に取り、両大国の力を背景に日本と北朝鮮を叩く――という朴槿恵(パク・クンヘ)外交が空振りに終わったのです。韓国人は誇大妄想のツケを支払う羽目に陥りました。

トランプでもヒラリーでも

真田:朴槿恵外交の稚拙さに加え、周辺大国の変化も韓国を苦境に追い込みます。次の大統領がヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)になろうとトランプ(Donald Trump)になろうと、米国の新政権は韓国をこれまで以上に軽く扱うでしょう。

トランプはご覧の通り、韓国や朝鮮半島に関心はありません。韓国を含む同盟国に「米国に対しもっと防衛分担費を払え。それが嫌なら核を持ってもいいから、自分で自分を守れ」と言い放っています。

ヒラリーは韓国にとって、もっと「怖い」大統領になる可能性があります。トランプとは正反対に彼女は世界をよく知っている。ことに中国とは水面下で深くつながっている。

朝鮮半島で何かをなす際、韓国をつなぎとめるために甘い顔をせずとも、中国と直談判すればいいのです。ヒラリーにはそれをやれる自信がある。韓国は米国に今以上に冷たくされることになります。

鈴置:ヒラリー・クリントンは米国に対する「韓国の裏切り」をよく知っていて、公開の席で非難したこともあります。

真田:中国も韓国の「裏切り」に怒っています。THAAD(=サード、地上配備型ミサイル迎撃システム)の容認でメンツを潰されたからです。

今も「THAADに反対しろ」と韓国を脅し続けています(「『THAAD』を逆手に取る中国、韓国を金縛りに」参照)。

そして中国もまた、朝鮮半島問題はヒラリーと直接交渉すればいいと考えるでしょう。韓国を取り込んで対米カードに育てる必要性は薄れたのです。

米中が運命を決める

鈴置:中国も米国も「韓国が絶対に欲しい」わけではない。韓国人や朝鮮人に面倒を起こしてほしくないだけです。緊急の課題は5回目の核実験を実施し、核兵器の実戦配備に動く北朝鮮です。

米中は韓国を外し、何らかの妥協を探ると思います。北の核実験停止と米韓合同軍事演習の中断、あるいは米朝平和協定の締結を交換する構想が、米中の間ですでに話し合われている模様です(「韓国を無視して『パンドラの箱』を開ける米国」参照)。

米朝平和協定は北朝鮮がかねてから望んでいたものです。在韓米軍撤収や米韓同盟破棄のテコにするつもりです。韓国は当然反対するでしょうが、無視される可能性が高い。

「米中双方からのラブコールを利用し両大国を手玉に取る韓国」どころか、下手すると「国の運命を米中によって勝手に決められる韓国」になってしまいます。

真田:韓国の当局者もそれはよく分かっていると思います。この閉塞状況を打開するため、ロシアを新たな外交カードにしようと韓国は考え始めました。

燃え上がる「ロシア愛」

鈴置:韓国紙ではロシアへの期待が盛り上がっています。典型的な記事が、中央日報の李夏慶(イ・ハギョン)論説主幹が書いた「プーチンのラブコール」(8月10日、韓国語版)です。要点は以下です。

  • ロシアが手をつなぎたいのは韓国だ。巨大な人口を持つ中国はロシアにとって警戒の対象だ。日本はロシアとの間に領土問題がある。
  • 軍事的な脅威がなく、高度の技術を持つ製造業大国の韓国だけがロシアの経済的パートナーとなる。
  • 中国が飛躍的な経済成長を遂げた決定的な要因が、韓国との協力にあったこともロシアは知っている。
  • 韓国もロシアとの関係を深めることで、中国一辺倒の経済構造から脱することができる。

韓国人の異様に高い自己評価にも驚きますが、その「ロシア愛」もかなりのものです。李夏慶・論説主幹は、20日後の8月30日にも「『島国脱出』の方程式は沿海州にある」(韓国語版)を載せました。

この記事の書き出しは「20世紀初頭に大韓帝国の救助要請を無視した帝政ロシアの冷笑が、韓国への切実な求愛に変わった」でした。「ロシアこそが孤立からの脱出口」と韓国人が思いつめていることがよく分かります。

「四面」から「五面楚歌」へ

真田:韓国にとって誠に残念なことですが、ロシアは日本との関係改善に動いています。この進展により「日本カード」を使えるようになると、ロシアにとって韓国の貴重さは一気に落ちます。

つまり、韓国はこれまでほどにはロシアから大事にされなくなって「ロシアカード」も使いにくくなる可能性が大です。

鈴置:ロシアは中国ほどではありませんが、THAAD配備に反対しています。韓国は下手をすると「四面楚歌」ならぬ「五面楚歌」に陥ります。誰からも相手をしてもらえないという現実を、ますます思い知ることになるわけです。

真田:だから日本とのスワップを早くやりたいと韓国は焦っているのです。一方、日本は別段やらなくてもいい。

そこで韓国は頭を下げざるを得なかった。この辺りは鈴置さんが「『中国の通貨スワップ』を信じられなくなった韓国」で書いた通りです。

スワップ再開は米国の圧力?

鈴置:日本が「スワップの再開協議に応じた」のは米国から圧力を受けたため、と見る人もいます。

「スワップを与えると直ちに掌を返し、日本に害をなす韓国」には日本人も怒っていて、常識で考えればとても応じる雰囲気はなかったからです。

2011年10月、日韓は570億ドル相当の円ウォンスワップを新たに結びました。その途端、当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領は「慰安婦に補償しろ」と言い出しました。

翌年には竹島を訪問したうえ「日王(天皇)は謝罪しろ」と叫んだのです(「5年前、韓国は通貨スワップを『食い逃げ』した」参照)。

結局、この「食い逃げ」を契機に、日本は韓国とのスワップをやめました。韓国側も「不要だ」と言い返しました。中国とのスワップがあるから日本ごときにもう頭を下げなくていい、と考えたのです。

真田:韓国が2国間で結ぶスワップのうち、70%を占める中韓スワップです(「韓国のスワップ」参照)。

韓国の通貨スワップ(2016年9月14日現在)

相手国 規模 締結・延長日 満期日
中国 3600億元/64兆ウォン(約560億ドル) 2014年 10月11日 2017年 10月10日
UAE 200億ディルハム/5.8兆ウォン(約54億ドル) 2013年 10月13日 2016年 10月12日
マレーシア 150億リンギット/5兆ウォン(約47億ドル) 2013年 10月20日 2016年 10月19日
豪州 50億豪ドル/5兆ウォン(約45億ドル) 2014年 2月23日 2017年 2月22日
インドネシア 115兆ルピア/10.7兆ウォン(約100億ドル) 2014年 3月6日 2017年 3月5日
CMI<注> 384億ドル 2014年 7月17日  

<注>CMI(チェンマイ・イニシアティブ)は多国間スワップ。IMF融資とリンクしない場合は30%まで。 資料:ソウル新聞「韓国の経済体力は十分」(2015年2月17日)

THAAD容認で怒った中国が肝心な時に発動するか怪しくなった。そもそも国際化していない人民元を貰って、いざという時に間に合うかとの疑問もあります。

鈴置:2011年のこの因縁の日韓スワップも、米国の要請によるものだったとの見方があります。これを結ぶ直前に訪米した李明博大統領が、オバマ(Barack Obama)大統領にスワップ締結を要請しました。これが拒否されたことまでは確認されています。

米国は断ったものの「日本に頼め。話は付けておく」と言ったフシがあります(「日韓、スワップの切れ目が縁の切れ目」参照)。

軍事も金融も「従中」一直線

真田:今回のスワップ交渉開始の合意は「米国の圧力の結果」と見る人がいます。しかし、米国が2008年、2011年と同様、今度も日韓スワップを認めるかは分かりません。韓国の対中接近に不信感を強めているからです。

鈴置:朴槿恵大統領は2015年9月、北京・天安門での軍事パレードを参観しました。「西側」トップとしてほぼ唯一でした。南シナ海の問題でもオバマ大統領の要請を無視し、中国批判に加わりませんでした。

真田:金融面の対中接近も露骨です。米国が加盟するなと言ったAIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加した。その無格付けの債券も引き受けました。

韓国政府は人民元建ての国債も発行しました。いずれも人民元の国際化への援護射撃です。米国の金融関係者は「韓国の裏切り」をちゃんと覚えています(「『トランプからの請求書』は日本に回せ」参照)。

鈴置:米国は韓国の態度を見定めてから日本の対韓援助に許可を出してきました。1997年の危機の際、日銀が韓銀の要請に応えスワップを付けようとした。でも、米国はそれを止めました。

真田:米銀がとっくに逃げ出した後、邦銀は最後まで韓国にドルを供給していました。それも米国はやめさせました。

「危機に陥った韓国は国際通貨基金(IMF)の手で手術する」と米国が決めたからです。日韓スワップは「米韓」の問題でもあるのです(「『人民元圏で生きる決意』を固めた韓国」参照)。

イラン原油は人民元で決済

鈴置:1992年、当時の金泳三(キム・ヨンサム)政権は中国と国交を樹立。それだけなら良かったのですが、軍事的にも中国と急接近しました。

1995年前後には「米国や日本の軍事機密が韓国経由で中国に渡っている。『韓国には気を付けろ』と米国が日本に注意喚起してきた」との情報が永田町や市ヶ谷で流れました。

そして1997年、韓国が通貨危機に陥った際、米国は予想外のことに「韓国を助けるな。IMFに行かせろ」と日本に命じたのです。

真田:韓国の軍事的な離反を米国は決して許しません。だから今回の日韓スワップを米国がすんなり認めるか、私には疑問なのです。

鈴置:米韓関係は1997年当時の状況と似ています。

真田:ただ、世界における人民元の影響力が危険水域に入ったと米国が判断すれば、話は変わってきます。ドルの影響力を維持するため米国は「日韓」を含むドルスワップを積極的に認めるかもしれません。

イランが中国向け原油輸出で人民元を決済通貨に使う方向です。中国がイランに対し「原油を買ってやる。代わりに人民元を使え」と要求したためです。この点にも大いに注目すべきです。米国はドル支配を揺るがす国とは徹底的に戦います。

(次回に続く)=9月16日掲載予定

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スワップ再開の「日韓合意」は、前に進むのか(写真:ロイター/アフロ)

前回から読む)

通貨スワップで日本と中国を天秤にかける韓国。でも、今度はそんなに上手くいくのか――。愛知淑徳大学の真田幸光教授と検討した。

「反日条項」は効果的

真田:「5年前、韓国は通貨スワップを『食い逃げ』した」という記事を読みました。そこで鈴置さんが、日韓スワップの契約期間を短くする――韓国に頻繁にロールオーバー(乗り換え)を強いるというアイデアを語りました。

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真田 幸光(さなだ・ゆきみつ) 愛知淑徳大学ビジネス学部・研究科教授(研究科長)/1957年東京生まれ。慶応義塾大学法学部卒。81年、東京銀行入行。韓国・延世大学留学を経てソウル、香港に勤務。97年にドレスナー銀行、98年に愛知淑徳大学に移った。97年のアジア通貨危機当時はソウルと東京で活躍。2008年の韓国の通貨危機の際には、97年危機の経験と欧米金融界に豊富な人脈を生かし「米国のスワップだけでウォン売りは止まらない」といち早く見切った。

「期間を3カ月とか半年に限っておき、天皇陛下を侮辱するなど卑日・反日をしたらスワップは延長しない」というこの手法は極めて効果的だと思います。スワップの契約に「反日したら中断する」との停止条項を謳っておくのも大いに意味があります。

韓国が日本に寄ってきたのも「中国を怒らせたのでスワップが消滅する」との恐怖からです。これを見ても「短期契約」「反日条項」の効果が十二分にあることが分かります。

鈴置:日韓スワップはこれまで、自国通貨を貸し合う「円ウォンスワップ」が基本でした。しかし今回、韓国はドルを貸し合う「ドルスワップ」を結んでもらおうと必死になっているようです。なぜでしょうか。

「不平等だった」と不満

真田:韓国は今、とにかくドルが欲しい。日本円でもいいのだけれど、交換せずにそのまま使えるドルスワップの方がよりいい。

通貨危機が再燃するかもしれないのに、2国間のスワップは人民元含めローカルカレンシーばかり、という奇妙な構造だからです(「韓国のスワップ」参照)。

韓国の通貨スワップ(2016年9月15日現在)

相手国 規模 締結・延長日 満期日
中国 3600億元/64兆ウォン(約560億ドル) 2014年 10月11日 2017年 10月10日
UAE 200億ディルハム/5.8兆ウォン(約54億ドル) 2013年 10月13日 2016年 10月12日
マレーシア 150億リンギット/5兆ウォン(約47億ドル) 2013年 10月20日 2016年 10月19日
豪州 50億豪ドル/5兆ウォン(約45億ドル) 2014年 2月23日 2017年 2月22日
インドネシア 115兆ルピア/10.7兆ウォン(約100億ドル) 2014年 3月6日 2017年 3月5日
CMI<注> 384億ドル 2014年 7月17日  

<注>CMI(チェンマイ・イニシアティブ)は多国間スワップ。IMF融資とリンクしない場合は30%まで。 資料:ソウル新聞「韓国の経済体力は十分」(2015年2月17日)

そこで韓国は「対等な形の新たな通貨協定」という名分を掲げ、ドルスワップを日本に要求しだしたのです。

でも、この言い方は日本の金融関係者を不快にさせました。従来の日韓スワップこそ、日本にとって不平等なものだったからです。

日本が通貨危機に陥る可能性はまあ、ないでしょう。が、仮にそうなった際、韓国から世界で使えないウォンを貰っても何の意味もない。

従来の円ウォンスワップは、日本から韓国への一方的な恩恵でした。それを「不均衡」つまり「不平等」と言い募るとは、不愉快千万。これだけははっきり言っておきたい。

日経に反撃した?朝鮮日報

鈴置:韓国政府は「頭を下げてまで日本にスワップは頼まない」と胸を張っていた。しかし、ついに頭を下げる羽目に陥ったので、メディアの批判を何とか避けなくてはならない。

そこで「これまでの不平等を是正するためにスワップを結ぶ」との言い訳を考え出したのでしょう。

「不愉快千万」と言えば、朝鮮日報の社説「韓・日通貨スワップ再開、危機への防波堤は高く積み上げるほどよい」(8月29日、韓国語版)に不快感を覚えた日本人もいました。

「今回の合意に対し、日本国内で『韓国がメンツを捨て実利を取った』との声が出るのは望ましくない」と日本を説教したのです。

この社説は日経の記事「韓国、メンツ捨て打診」(8月28日)を意識して書かれたと思われます。「韓国がメンツを捨てた」のは事実ですから、朝鮮日報から「望ましくない」と叱られても困ってしまいます。

真田:朝鮮日報の日本語版にもその社説は載りました。金融関係者を含め多くの日本人が読んだと思います。本当にがっくりしたというか、呆れたという感じです。あれはどういう神経なのですかねえ。

鈴置:ご存知のように韓国人はメンツを失った時、頭をかくのではなく肩をそびやかします。そのノリでしょう。「俺をなめるなよ」というわけです。

ことに朝鮮日報は「日韓スワップ不要論」を主導してきました。日韓の2国間のスワップが全て終了した時の社説の見出しが「韓日通貨スワップ、恋々とせずに米・EUチャネルを開け」(2015年2月18日、韓国語版)でした。

それだけに「なあんだ。結局、日本のスワップに恋々としているじゃないか」と日本人に笑われると恐れたのでしょう。

日中を競わせる

真田:2015年3月の対談「『人民元圏で生きる決意』を固めた韓国」でも、鈴置さんは「恋々とするな」社説に触れていましたね。

鈴置:「日本は無視して米国やEUとスワップを結べばいい」というのがこの社説の主張でした。

当時の対談で真田先生は「米欧からスワップを取り付けるのは、口で言うほど簡単ではない」と指摘されました。先生の予想通り、韓国は米国やEUから相手にされなかったわけです。

もう1つ質問です。今年8月27日に日韓スワップが合意された時、韓国政府は「詳細は年末までに決める」と言いました。悠長な話です。

やはり、中韓スワップをにらんでの発言と見ていいでしょうか。これは2017年10月10日に終了します。残りの期限が1年を切りかけたので、韓国は延長交渉に入りたいのでしょうが。

真田:そうだと思います。韓国はいざという時にスワップを中国が発動してくれないうえ、延長にも応じてくれないのではないか、と気を揉んでいます。

そこで、中国に対し「スワップを延長してくれなければ、あるいは悪い条件を持ち出すなら、日本だけと結んでしまう」と言える態勢を整えたのだと思います。

でも、日本とあまり早くスワップ再開を決めると「日本カード」の効果が薄れます。ものすごくいい条件で結んでもらえるならともかく。中国から「日本にスワップを結んでもらったのなら、ウチのスワップはもう、要らないだろう」と突き放されたら、まずいからです。

一方、日本に対しても「変な条件を付けるならスワップは要らない。中国に助けてもらうから」と言うつもりでしょう。韓国は同時並行的に日本、中国とスワップ交渉を進め、両国を操る作戦と思われます。

属国に舐められたら……

鈴置:韓国人は「スワップも二股が有効だ」と信じていますからね。2008年10月、韓国は米国から300億ドルのスワップを付けてもらいました。でもウォンの急落は止まらず、日本と中国に助けを求めました。

当時、東京特派員だった朝鮮日報の鮮于鉦(ソヌ・ジョン)論説委員が「中国支配論、日本支配論」(2008年12月7日、新聞は翌8日付、韓国語版)を書いています。主張は以下です。

  • 中国が韓国を支配するのを日本人は恐れている。通貨危機にあたってもそれを利用し日中の間で賢く動けば、韓国はより多くの国益を引き出せる。

要は、日本に頭を下げなくとも「中国から人民元を借りるぞ」と脅せば、日本はスワップに応じると説いたのです。

2008年の通貨危機も2011年の危機も、日中を競わせ双方からスワップを得ることに成功した、と韓国人は自信を持っています。「2016年もまた同じ手口で」と考えているのは間違いありません。

真田:でも、中国を日本との天秤にかける韓国のこの態度こそが、中国の逆鱗に触れるのです。

鈴置:中国は韓国を明らかに朝貢国扱いするようになっています。属国から天秤にかけられたら、宗主国のメンツは丸つぶれです。この点が2011年までとは異なります。

「誠実な友」より「怖いボス」

真田:スワップに限らず、韓国は「コウモリ」外交をやり過ぎました。皆から嫌われる国になったのです。その結果「好きに1人で遊んでいろ」と無視されるようになってしまいました。

私は韓国の友人に言っています。「韓国の周りの国で、どこが一番誠実な対応をする国か考えるべきだ。それは日本ではないか」と。しかし、こうした声に耳を貸す人はまずいません。

韓国に国際金融の専門家は極めて少ない。もちろん、ごく少数の専門家は日本の重要性を理解しています。でも、彼らの意見は政権に入れられない。

鈴置:韓国人が求めているのは「誠実な友人」ではなく「力のあるボス」だと思います。怖い国だろうが自分を保護してくれればいい。核兵器も持たず経済の比較優位も衰える日本とは、いくら誠実だろうと組む気はしないのでしょうね。

韓国紙に「今回の日韓スワップにより中国を怒らせないか」との懸念を訴える記事が散見されます(「5年前、韓国は通貨スワップを『食い逃げ』した」参照)。

THAAD(=サード、地上配備型ミサイル迎撃システム)でおかしくなった中国との関係を何とか修復し、中韓スワップを恒常的な装置にすることがベスト、と考えている韓国人が多い証拠です。彼らにとって日本とのスワップは、そこへ至るまでの「つなぎ」に過ぎません。

真田:その意味でも、スワップ交渉で日本の出す条件を韓国がのむかどうかが、リトマス試験紙になります。世界のどこに位置したいのか、韓国の本音が分かります。韓国も、日本がどんな条件を出してくるか、見守っていることでしょう。

北リスクは「実戦配備」次第

鈴置:しかし韓国は「日韓スワップは年末までに決める」などと、のんきなことを言っていていいのでしょうか。先週末(9月9日)からマーケットが動揺しています。株とウォンが売られました。

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9月9日の北朝鮮の5回目の核実験。韓進海運破綻の世界的な悪影響の広がり。サムスン電子のスマホの相次ぐ発火事件……。

米利上げと対中関係の悪化というこれまでの悪材料に加え、8月末から新たな不安要因が国内外で噴出しています。

真田:まず、北朝鮮問題。韓国の企画財政部が5回目の実験直後に「国内外の金融市場および実体経済に与える影響は大きくない」との認識を示しました。

国際金融市場で、韓国への貸し渋りなどの動揺は顕在化していません。今のところは「実体経済に与える影響は限定的」と見てよいと思います。

しかし、北朝鮮は核開発の進展と同時にミサイル発射能力の向上も具現化しています。北朝鮮の潜在的な脅威が増していることを見落としてはなりません。

鈴置:これまで、北朝鮮リスクが韓国の金融市場に及ぼす影響は短期的だった。でも、北の核武装が明確になったら話は異なる――ということですね。

ロシアを北包囲網に取り込め

真田:その通りです。留意すべきは、ミサイルや潜水艦などで北朝鮮の軍事力強化を技術面で支えているロシアです。

地政学的リスクの顕在化を阻むうえからも「日米中露と韓国」が連携した「平和を求める北朝鮮包囲網の構築」が不可欠です。とりわけ「米中連携」は重要です。

その米中連携を基に「ロシアの北朝鮮に対する関与」をしっかりと牽制しないと「北朝鮮の軍事力を含めた潜在的なリスクの上昇」は食い止められません。

米中が本当の「大国の威信」を示し、覇権主義ではなく大局的な視点からの国際連携を進化させることができればいいのですが……。

鈴置:もう1つ、韓国を揺らすのが8月31日に韓国の海運最大手、韓進海運が破綻したことです。債権団の傘下で経営再建を模索していた会社が「法廷管理」を申請――つまり見捨てられた以上、再建が容易に進むとは考えにくい。

韓進海運の庸船は世界の所有者によって続々と差し押さえられています。外国の海運関連企業への借金も抱えていて、自社船だろうと世界の港に入るのが難しくなった。荷揚げもできません。

荷主から莫大な賠償金を請求される可能性がある。そのうえ、韓国の輸出入にボディーブローのように悪い影響が及ぶと見られています。

唖然とした「韓進」処理

真田:韓国政府による韓進海運の破綻処理は、国際金融市場への余波を全く考えていないものでした。ハシゴを外すような破綻処理は、とうてい理解できません。

いったい何を考えているのか、首をひねったのは私だけではないでしょう。政権と韓進グループの間で何かトラブルがあったのではないかとの穿った見方すらあります。

鈴置:この破綻が、通貨危機の伏線になりませんか。

真田:もちろん、これに端を発する韓国リスクの顕在化の可能性は否定できません。国際金融市場は政府、韓進グループ、金融界の出方をもう少し見極めてから、評価を固めるでしょう。

鈴置:ある韓国の識者から「だんだん1997年に似てきた」と不安を打ち明けられました。国際通貨基金(IMF)に救済されるに至った激しい通貨危機にまた、襲われるとの恐怖です。

真田:1997年当時と比べ、韓国の国家全体の「外貨繰り」は相対的にいい状況にあります。だから「今回は大丈夫」と安心する韓国人が多いのも事実です。

欠如する指導力

鈴置:確かに、そこが1997年や2008年とは異なります。韓国の通貨危機は経常収支や貿易収支が赤字か、黒字であってもそれが急速に減る時に起きました。でも2012年頃から、経常・貿易収支の黒字体質が定着しました。

ただ、韓国人が1997年を思い出すのも無理ありません。当時の通貨危機は「内憂外患」の結果でした。中堅財閥の相次ぐ破綻で金融システムが不安視されたところに、国際的な投機資本がウォン売りを仕掛けました。

今も、海運・造船などゾンビ企業の延命措置が限界に達した。韓進海運の破綻はその象徴です。「内憂」はそれだけではありません。家計の不良債権も膨れ上がっている。景気てこ入れのため、不動産活性化策ばかり行った結果です。

労働人口がピークアウトするなど、韓国経済はこれから少子高齢化の下り坂に差し掛かります。昔とは異なり、不動産価格をつり上げることで景気は良くならず、むしろ危機のタネをまく形になっています。

最も1997年に似ているのは政権の無責任さです。韓進海運を破綻させれば、あちこちで問題が噴出することは明らかでした。でも、朴槿恵(パク・クンヘ)政権は指導力を全く発揮せず、破局に突っ込みました。

この政権はスタート当初から、青瓦台(大統領府)と官庁の間の意思疎通が極めて悪いと批判されてきました。2018年2月の任期終了が迫るほどに、それがますますひどくなった感じです。

国際金融に疎い朴政権

真田:1997年秋も同じでした。1998年2月に退任することが決まっていた金泳三(キム・ヨンサム)政権は、東南アジアで吹き荒れる通貨危機の暴風が韓国に迫るというのに、有効な通貨防衛策をとりませんでした。

鈴置:当時を知る人によると「国が危機にある」との情報を金泳三大統領に上げる人がいなかったのだそうです。二股外交や韓進海運など各方面の相次ぐ「破綻劇」を見るに、現在も「不快な情報」が大統領に上がっているとはとても思えません。

真田:まさにご指摘の通りです。国際金融市場でのドロドロとした駆け引きをきちんと理解したうえで、厳しいアドバイスができるプロが韓国政府に必要です。

先ほど申し上げたように、韓国にも国際金融のプロが少数ですがいる。今こそこうした人材を重用し鳥瞰的、複眼的に戦略を立てるべきと思います。

しかし、彼らを大事にする雰囲気が、韓国政府中枢には薄いように思われます。これから際どい局面に突入するというのに、そんな気配もないのです。

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『「両方イヤ」の米大統領選、健康不安爆弾の衝撃 “嫌われ者”ヒラリーに最大の試練』(9/14日経ビジネスオンライン 篠原匡)、『トランプ氏をトーンダウンさせた女性』(9/15日経FT)、『米医師の71%がクロ判定。なぜ「ヒラリー重病説」は報じられないのか?』(9/11MONEY VOICE)、『ヒラリー余命1年説~匿名を条件に「専門家」が投稿した動画の中身とは』(9/15MONEY VOICE)について

9/17に柴山昌彦首相補佐官を招き、講演会を開きました。政治家になった経緯等、とても面白かったです。

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さて、ヒラリーの健康問題ですが、余命1年だとすれば、大統領選に勝利したとしても、使い物にならなくなります。直ぐに副大統領が大統領になるでしょう。その前にこんな健康の人が選ばれるかどうかですが。嘘つきヒラリーとも言われる彼女ですが、日本の反日民進党の党首も嘘つき蓮舫と呼ばれ、党首生命も長くはないとの見立てを八幡和郎氏はしています。日米ともに人物に問題のある女性が選ばれるとしたら衆愚政治の典型です。

トランプが9月26日、10月9日、同19日の討論会で遣り込めることができるかですが。健康問題と外交問題がそれぞれの弱点です。しかし、コンウエー氏の指示通り、敵を作らないようにすれば勝てると思います。

篠原記事

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ヒラリー・クリントン氏は、9月11日に開かれた同時テロ式典で途中退席。健康不安説が再燃した。(AP/アフロ)

米大統領選まで2カ月を切る中で、ワシントンを震撼させる爆弾が投下された。民主党の大統領候補、ヒラリー・クリントン氏の健康不安である。

9月11日、米同時多発テロの追悼式に参加した際に体調を崩し、途中退席した。映像を見ると、車に乗り込む際にふらついている姿が確認できる。診察した医師によれば、クリントン氏は9日に肺炎の診断を受けており、追悼式の最中に脱水症状を起こしたという。

その後、しばらくして回復していたようだが、今年69歳になるクリントン氏の健康不安説が改めてクローズアップされた格好だ。「今回の肺炎で、片隅にしかなかったクリントン氏の健康問題が大統領選の中心に移った」と、政治リスク専門のコンサルティング会社、ユーラシア・グループのジョン・リーバー米国ディレクターは指摘する。

「泣きっ面に蜂」のクリントン氏

このタイミングで健康不安説が浮上したのは、選挙戦における逆風を感じていたクリントン陣営にとっては痛恨だ。

民主党と共和党が党大会を終えた8月上旬、米兵遺族を攻撃したトランプ氏の自滅もあり、クリントン氏は8%ポイント近いリードをつけていた(米政治情報サイト、リアル・クリア・ポリティクス=RCP=の集計値)。そのまま快走を続けると思われたが、両者の差は徐々に縮小、9月12日時点で3%まで接近している。大統領選に出馬している「リバタリアン党」のゲーリー・ジョンソン氏、「緑の党」のジル・スタイン氏も含めれば、その差はさらに縮まる。

クリントン氏の有利が指摘されていた州での苦戦も目立ち始めた。

NBCテレビ、ウォールストリート・ジャーナル、世論調査機関マリスト・ポールによる最新の世論調査によれば、民主党が強いネバダ州やニューハンプシャー州でクリントン氏とトランプ氏の差は1%ポイントまで縮小した。激戦州として知られるフロリダ州も、RCPの集計値では0.1%とわずかだがトランプ氏にリードを許している。もちろん、オハイオ州やコロラド州などの重要州ではリードを保っているが、徐々に接戦傾向は強まっている。

「ヒラリー嫌い」「トランプ嫌い」ともに6割の“大接戦”

クリントン氏が勢いを落としている理由の一つは、いまだに尾を引く国務長官時代の私用メールサーバー問題だ。

米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コーミー長官が司法省に刑事訴追は勧告しないと述べたこともあり、私用メール問題ではクリントン氏の不起訴が確定している。だが、長官が会見で「極めて不適切」と指弾するなど、リーダーとしての姿勢や彼女の秘密主義に疑義を呈する向きは多い。今後、クリントン氏が削除し、FBIが復元した約1万5000通の電子メールがさらに公開される可能性もある。そうなれば一層の打撃が予想される。

また、クリントン財団を巡る寄付金疑惑もクリントン氏の選挙戦に影を落としている。

クリントン元大統領夫妻が財団を通じて外国政府や企業から巨額の資金を集めたとされる疑惑で、国務長官1年目のクリントン氏と面会した外部関係者の半数以上が財団への献金者だったと報じられている。海外の外交当局者など公務での面会が含まれていないため誇張されているという指摘もあるが、国務長官という立場を利用して献金を求めていた事実が明らかになれば、大統領選どころの騒ぎではない。

実際、クリントン氏に対する有権者の評価は落ちる一方だ。

8月下旬に実施されたワシントン・ポストとABCテレビの世論調査によれば、クリントン氏を「好き」と答えた有権者が39%だったのに対して「嫌い」は59%に達した。一方でトランプ氏は「好き」が37%で「嫌い」は60%だった。

トランプ氏の方が嫌われているが、クリントン氏もほとんど変わらない。「どちらにも投票したくない」という声が上がるように、今回の大統領選はいわば嫌われ者同氏の戦い。トランプ氏が失言や放言でミスを重ねているのにいまだ接戦というところに、クリントン氏の不人気ぶりが見て取れる。

クリントン氏の体調悪化を受けて、トランプ氏は「『イスラム国』と戦うには精神的にも体力的にもスタミナ不足」と攻撃した。クリントン陣営は健康状態について詳細を開示すると述べており、その結果次第だが、トランプ氏が指摘するように米大統領があらゆる面でタフな仕事なのは確か。大統領選の最終コーナーを目前にして浮上したクリントン氏の健康問題――。本命候補は最大の試練に直面している。

FT記事

ヒラリー・クリントン氏は11日に倒れかけた後、速やかな回復を願うメッセージをたくさん受け取った。一つは思いも寄らぬ人からだった。何カ月も前からクリントン氏のスタミナに疑問を投げかけてきた対抗馬のドナルド・トランプ氏だ。

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共和党候補のトランプ氏(中央)の選挙対策本部長を務めるコンウェー氏(左)=AP

トランプ氏はフォックス・ニュースで「すぐに良くなることを願っている」と語った。その数分後には、トランプ陣営の選挙対策本部長を務めるケリーアン・コンウェー氏(49歳)がMSNBCテレビで「具合が良くなることを願うというトランプ氏の言葉を私も繰り返したい」と述べた。

だが、コンウェー氏がトランプ氏の言葉を繰り返す以上に、トランプ氏のほうが彼女の言葉を繰り返していた。トランプ氏が最近、「ブライトバート・ニュース」の会長で扇動的なスティーブン・バノン氏を起用して選対本部を刷新したとき、多くの人はトランプ氏が世論を二分する発言を続けるつもりだと考えた。しかしながら、女性向けに政治家のメッセージを調整する世論調査専門家のコンウェー氏が強力な代弁者として頭角を現した。トランプ氏を多少おとなしくさせた唯一の人物といえる存在になっている。

■後悔の弁を言わせた手腕に評価

「彼女はある程度、トランプを制御した」。共和党の世論調査担当者、フランク・ランツ氏はこう話す。「ドナルド・トランプが自らを最大の敵にさせないようにすることは何でもプラス材料だ。それが成功の尺度であれば、彼女はA評価に値するだろう」

コンウェー氏はさまざまなレベルで成功を収めた。集会では台本から逸脱しないようトランプ氏を説得し、原稿を映し出すプロンプターを使わせた。コンウェー氏はトランプ氏に、アフリカ系米国人とヒスパニックを支援することについて語るよう促した。たとえ批判的な向きが、このことがトランプ氏の言葉遣いに嫌悪感を抱く共和党員を取り込もうとしていると見られても、である。コンウェー氏はこれまでより争点に集中し、侮辱を減らすよう働きかけた。何より驚いたことに、トランプ氏を説き伏せ、かなり物議を醸す発言の一部について、彼らしからぬ「後悔」の弁を述べさせた。

コンウェー氏を支援者の一人に数えたテッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)の元報道官、リック・タイラー氏は、コンウェー氏は「一分のすきもないプロフェッショナル」で歯にきぬ着せぬ人物だと言う。「トランプは恐らく、周囲の誰よりも彼女の意見を聞く。全体的に、トランプは以前より方針に沿っているように見える。脱線して不必要なニュースを作り出したりしない」

元弁護士で、大統領選挙で共和党選対本部を率いる初の女性であるコンウェー氏は、辛辣な選対本部長だったコリー・ルワンドウスキ氏や、庶民感覚がない前選対会長のポール・マナフォート氏と異なる影を投げかける。感じの良い態度と前任者たちほど攻撃的ではないスタイルで、トランプ氏を売り込むテレビ出演での姿が称賛を浴びてきた。

だが、世論調査の専門家としての実績はまちまちだ。これまで、ニュート・ギングリッチ元下院議長や俳優の故フレッド・トンプソン氏など、敗北した大統領候補数人のために働いた。2016年の予備選挙では、指名争いから撤退するまでクルーズ氏を支援する資金潤沢な政治団体を率いた。物議を醸した役割の一つは、ミズーリ州の上院議員候補、トッド・エイキン氏と協力したことだ。エイキン氏は、「合法的レイプ」の被害に遭った女性は、暴行の後に生殖過程が停止するために妊娠できないと主張した人物だ。

コンウェー氏は民主党を支持する家庭で育ち、シングルマザーの母親に育てられた。ロースクールを出た後、ロナルド・レーガン元大統領の世論調査責任者の下で仕事を得てキャリアをスタートさせ、1995年に「ポーリングカンパニー/ウーマントレンド」という自分の会社を立ち上げた。2005年には、民主党の世論調査担当者との共著で「女性が本当に求めているもの」と題した本を出版している。

■「余裕はあまりない」、冷静に分析

コンウェー氏は称賛されてきたが、選対本部長としては初めての試練にある。共和党の世論調査担当者、ウイット・エアーズ氏は、大統領選挙の選対本部長を務めた最後の世論調査専門家は、1992年に再選を目指して敗北したジョージ・H・W・ブッシュ元大統領の選対本部を率いたロバート・ティーター氏だと言う。

「コンウェー氏は少なくとも選挙運動の仕事をしたことがあり、その点ではすべての(トランプ)チルドレンやバノンとは異なる。だが、私は常々、人は自分が得意とすること、以前やったことがあることをやり続けるべきだと考えている」。エアーズ氏はこう話す。「彼女はテッド・クルーズのような反エスタブリッシュメント(支配階級)色が強い候補者のためにおおむね働いてきたが、それ以外は際立つ専門知識があるのかどうか分からない。ただし、トランプをうまく操る方法を見いだせたら別だ。それは独特なスキルだ」

コンウェー氏はトランプ氏の魅力を広める助けになるかもしれない一方、自分の課題に冷静だ。同氏は選対本部長の座に就いた後、当選するために必要な選挙人の票270票の獲得に向け、トランプ氏はぎりぎりの道を歩むことになると述べた。「284票(得られる勝算)はある。270票超はある」。コンウェー氏はMSNBCでこう述べた。「余裕はあまりない」

選対本部に加わる前は、もっと厳しい評価をしていた。今年3月には、クリントン氏は男性有権者(に弱い)という問題を抱えており、争う相手がトランプ氏でない限り、その問題のせいでホワイトハウスへの道を閉ざされると述べた。白人男性の間でのトランプ人気は、女性の間の不人気によって帳消しになるわけだ。

2012年のワシントン・ポスト紙への寄稿では、コンウェー氏は「女性は感じが良く、前向きな候補に引き寄せられる」と述べている。これはトランプ氏にとって重要なアドバイスだ。というのも、2012年には有権者の53%を女性が占め、最近のワシントン・ポスト紙とABCテレビの調査では、女性の間ではクリントン氏が52%対37%でリードしていることが分かったからだ。

最近、テキサス州オースティンで開かれたトランプ陣営の集会では、24年ぶりにそうした集会に参加した男性弁護士が、コンウェー氏について「すごく気に入った」と話していた。「トランプ氏の一部の行動を穏やかにする彼女の方策はいいと思う。私は(以前は)なかなか同調できなかった」

By Demetri Sevastopulo in Washington

(2016年9月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

9/11MONEY VOICE記事

ヒラリー・クリントン米大統領候補はパーキンソン病を患い、病状がかなり進行しているのではないか?という憶測が出回っています。これは眉唾物だ!噂に過ぎない!政治的陰謀だ!という声も聞こえてきます。しかし、実はこれは根も葉もない話ではありません。専門家たちの意見も交えてご紹介しましょう。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)

※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2016年9月10,11日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

「彼女は米大統領としての資格を有していない」71%の医師が回答

ヒラリー・クリントン米大統領候補に重病説

結論から言いますと、多くの医学専門家が「ヒラリー候補はパーキンソン病ではないか?」と指摘しています。

私の知人にも、パーキンソン病になって、現在は歩行困難な人がいますが、この病気は原因が不明で、治療困難な難病指定となっており、病状は悪化するばかりです。

ヒラリー候補側が、この件に関して何も反論していないのも不思議な話です。

これまでもヒラリー・クリントン候補は、多くの疑惑を指摘、糾弾されてきました。

Eメール流出問題やGSでの講演内容の公開拒否、そして外国政府要人からの寄付(これは違法行為です)などなど――クリントン財団に高額の寄付をしなければ、国務長官(当時)に面会できなかった、というような多くのリークが出ています。

しかし、中でも一番気になるのは、今回ご紹介するヒラリー候補の病気に関することです。この動画は、これまでの「病状」を上手にまとめています。事態は文章だけでは分からない、百聞は一見にしかずです。以下、動画を解説します。

側近中の側近はボディーガードではなく医療スタッフ

動画の導入は、ウィキリークス等から出てきた「ヒラリー候補のパーキンソン病」に関する内部情報等です。

そして、いろいろな状況証拠が紹介されます。階段を上ったりする場面では、必ず側近が介護・援助します。この写真でも、必ず傍には黒人男性がいます。この側近中の側近は、ボディガードではなく、医療担当スタッフのチーフだそうです。

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どの様な場面でも、彼は傍らにいます。自動車から降りて、ドアを開けたり、建物に入る場合でも、彼は傍にいます。

ヒラリーだけでなく、この男性が登場する場面では、彼の行動を注視して下さい。時には、手の中に何かを持っている場合もあります。それが薬なのか、注射なのか、何なのかまでは良く分かりませんが――。

「震える手」を必死に誤魔化す

彼女の演説の「特徴」を示す場面も出てきます。左手は必ずマイクを握り、震えを抑えます。右手は、胸に押し付けて震えを抑えます。

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手を宙に置くと震えが見えてしまうので、こうすることで誤魔化していると言われています。

異常な頭の動き

次は異常な頭の動きです。最近の動画で一番はっきりと分かるのは、記者団に囲まれて取材を受けている場面で、突然、大きく頭を前後に揺らす光景です。これは専門家曰く、典型的な発作症状の1つとのことです。また、虚ろな瞳になっています。

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大きく見開かれた目

さらに、夫の元クリントン大統領と2人で演壇に登る場面がありますが、ここでは突然発作症状が起こり、大きく目を見開いています。

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他のシーンでも出てきますが、瞳孔が開いて非常に大きな目となり、虚ろになっています。ここでも、頭が大きく揺らいでいます。

「心配しないで。問題ない。続けて」

ヒラリー候補が演壇上で、自分が何をしているのか分からなくなる場面。ここで右側から男性が駆け寄ります。繰り返しになりますが、この人物はボディガードではなく、医療チームのリーダーだそうです。

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彼はヒラリー候補に駆け寄って「心配しないで。問題ない。続けて」と囁いたのですが、正気に戻った彼女は、なんとそれと全く同じ言葉を発してしまいます。「心配しないで。問題ない。続けて」と聴衆に語りかけたのです。

止まらない咳

また、ヒラリー候補は、演説中やテレビ出演中に咳が止まらなくなることがしばしばあります。このとき放送していたTV局は、得意とする突然の遮断で中継を切ってしまいました。

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これも専門家曰く、典型的な発作で、食事後の嚥下が上手くいかず気管支に入ったのではないかと解説しています。

必死でパーキンソン病治療薬を調査するヒラリー候補の側近たち

ヒラリーの側近がパーキンソン病治療薬を調査している電子メールが、ウィキリークスで公開されています。

この写真は、最近撮影されたヒラリーの移動用車です。特別なもので、介護用補助装置が満載され、車椅子、車椅子乗降リフト完備です。パジャマを着た後姿の女性はヒラリー候補自身で、9月の献金集めパーティの際のものとのこと。病院内で着るようなパジャマ姿で、出席者を驚かせたようです。

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大手TVメディアを中心に、薬の副作用だとする解説もありますが、このような副作用が出るほど大量の薬を服用しているとすると、ヒラリー候補は一体どのような疾病問題を抱えているのだろうか?という疑問はさらに湧きあがります。

しかし、よほどのことがない限り、「ヒラリー大統領」は実現するでしょう。ウォール街のなりふり構わぬ支援があるからです。GS等は、トランプを応援した社員は首切りになるとの話です。

私は個人的には、ドナルド・トランプもヒラリー・クリントンも「金の亡者」だと考えていて、大嫌いです。どちらが米国の大統領になっても、米国社会は各層毎に分解すると思います。オバマが引き裂いてきた亀裂をさらに大きく広げ、社会は分断されるでしょう。

北朝鮮の核実験や、経済制裁にも原油価格下落にも無傷なロシアの台頭とプーチンの強気、さらに中国の太平洋制覇の野望を考えると、米国の国家としての存在は脆弱なものになっています。米国にとっては、もっとも不運で不幸な大統領選挙です。

米国内科医・外科医協会による医師250人アンケートの見解は「クロ」

これは眉唾物だ!噂に過ぎない!政治的陰謀だ!という声も聞こえてきます。しかし、これは根も葉もない話ではありません。専門家たちの意見をご紹介しましょう。

ヒラリー大統領候補の健康問題に関して、米国内科医・外科医協会(Association of American Physicians and Surgeons)がアンケート調査を実施し、その結果を発表しました。

調査結果のポイント

アンケート対象者は250人の医師。そのうち71%が、ヒラリー・クリントン候補の健康状態について「深刻で、米国の大統領としての資格を有していない」と回答した。

そして20%が「誇張されているかもしれないので、医療記録の完全公開が必要である」と回答し、わずか2.7%のみが「これは政治的攻撃であり、彼女の担当医からの書簡を信じており、心配する必要はない」と回答した。

81%以上が「彼女の脳震盪の病歴」を知っており、59%が「脳静脈洞血栓症の病歴」を知っていた。深刻な静脈血栓塞栓症の病歴を知っていたのは52%であった。

78%が「彼女の健康問題に関してメディアは充分に取り上げていない」と回答しており、それと反対に「余りにも強調されすぎている」と回答したのは2.7%だけであった。

ヒラリー候補の健康状況に関して懸念を持っているグループの3分の2近くの医師は、現状を一般大衆に知らせるべきであると回答した。

コメントを寄せた医師は88人。コメントの例としては、「大統領候補の場合、候補自身のプライバシーよりも公共の利益が常に優先されるべきだ」「候補は常に自身の健康問題に関しては、国民に正直であるべきだ」「脳震盪の病歴が問題であり、これは頭脳の思考プロセスに影響があるということに目を向ける必要がある」などがあった。

選挙人に対する別のアンケート調査

Gravis Marketing社が実施した、無作為抽出した833人の選挙人に対するアンケート調査の結果では、49%が「彼女の健康問題に関する充分に裏付けのある文書」の存在を知らなかった。また74%が、夫であるクリントン元大統領の「妻は酷い脳震盪を起こし、それを克服するのに非常に深刻な治療を6ヶ月間必要とした」という公式発言を知らなかった。

米国内科医・外科医協会(Association of American Physicians and Surgeons)のJane M. Orient会長は、「医師も選挙人も、大統領選挙では健康問題を考慮に入れるべきだと考えているものの、実際には内科医、外科医の回答者の4割以上が、彼女の脳静脈洞血栓症の病歴を知らず、選挙人の大多数は彼女の頭脳の認識能力に関して、これから起こり得る長期的なリスクを認識していない」と語った。

それでもヒラリー・クリントン氏は米大統領になるのか?

米国内科医・外科医協会(Association of American Physicians and Surgeons)のアンケート調査結果がこちらです。

なお、夫であるクリントン元大統領による「妻は酷い脳震盪を起こし、それを克服するのに非常に深刻な治療を6ヶ月間必要とした」という公式発言はこちらです。

この2014年5月付の記事では、実際に転倒事故が起きた日時がどうもハッキリしません。

転倒事故が起きたのは2012年12月上旬だったようです。そして退院したのは2013年1月2日だったのですが、このときヒラリー候補は、コンタクトレンズをやめて牛乳瓶の底のような分厚い特殊な眼鏡を掛けていました。

これは脳震盪の後遺症で必要になったとの説明がされていました。この眼鏡が消えたのは2月上旬頃とのことでした。

さて、これからの見ものは、このような状況を米国大手メディアが大きく報道するかどうか?ということですが――多分、よほどのことがない限り、それはないでしょう。

9/15MONEY VOICE記事

ヒラリー・クリントン米大統領候補はパーキンソン病か?老人性認知症か?と言われてきましたが、新たに、脳梗塞・脳疾患からくる血管性痴呆症(血管型認知症)であるとの説が出てきました。これが正しいのかどうか、数ヶ月後には分かるでしょう。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)

※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2016年9月13日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

ヒラリー候補、真の病名は?「医学部教授」がYouTubeに投稿

脳血管性痴呆症で余命1年!?

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source: “Hillary Clinton has 1 Year to Live,” says Medical School Professor – YouTube

【関連】米医師の71%がクロ判定。なぜ「ヒラリー重病説」は報じられないのか?

ヒラリー・クリントン候補「病状解説動画」の概要

私(注:動画の語り手)は医学部教授です。これまで、3つの教育機関で教鞭を取ってきました。しかし今回は匿名で動画を投稿します。その理由は、クリントンを批判した多くの人々が殺されてきたからです。

また殺されてはいないものの、破滅に追い込まれた人々の例として、Drew Pinsky(注:ドリュー・ピンスキー=テレビ・ラジオで活躍する米国で最も有名な内科医だったが、ヒラリーの病気に関する暴露で放送業界から抹殺され、多くの脅迫により身を隠す)や、David Seaman(注:デビット・シーマン=米ハフィントンポスト元記者、ヒラリーの病状を暴露して解雇)がいます。彼らは、今は隠れて暮らしています――

これまでリークされてきたヒラリーの治療記録を読んだ限りでは、彼女は脳梗塞・脳疾患からくる血管性痴呆症(血管型認知症)で余命1年程度です。

多くの映像が紹介される中で、誰も分かっていないことがあります。それは彼女の病状の重さです。時間がないのです。この病気は進行性で、発症からの余命が3年ないし5年なのです。

彼女の痰(たん)が伴わない咳(空咳、乾性咳)は、この病気の症状の1つです。脳幹が、人間の原始的な機能、行動――例えば呼吸、心拍、血圧等――を支配しています。この脳幹で虚血状態が起こると、呼吸が困難になります。大抵の人は、咳は数回で済みますが、彼女の咳は非常にしつこいのです。

彼女は、咳をアレルギーのせいだと言っていますが、治療記録を見ると、血管性痴呆症だと思えるのです。もし脳幹への血流が少なく弱ければ、急速に衰弱します。もし彼女が血管性痴呆症であれば、今後数ヶ月のうちに、もっと悪化した症状が出てくるでしょう。

また、治療記録には「複合的な部分的発作」との表現が出てきますが、この代表的症状の代表例には「頷き」「舌打ち」があります――

外部からの有害な刺激が、発作を引き起こすことがあります。彼女も報道陣の前で発作を起こしていますが、これは別に驚くことではなく、ジアゼパム誘導体の自己皮下注射器で発作を止めようとしているのが動画から分かります。これは命に関わる緊急事態を抑えるために、ジアゼパムやアドレナリンのような緊急治療用の薬を打つための器具です。

もし発作が起きれば脳内は酸素不足になり、さらに血管性痴呆症が進むからです。発作に対して、この皮下注射器は必要不可欠です――

多くの医者は、彼女の健康状態について公には発言をしていませんが、心の中で、きっと同じようなことを考えているはずです。もしあなたが神経外科医、神経科医、神経血管専門医であれば、彼女が重大な状態にあると考えているはずです。

彼女は階段を上れないし、長時間立つこともできず、サイドレールに掴まり立ちをせねばなりません。(注:これは複数の動画で確認可能)

現在のところ、スクリーンに映し出された原稿を読んで演説できているのは、まだある程度は機能が働いている証拠です。しかし今後、急速に病状は悪化するでしょう。平均余命は4年前後ですが、彼女の症状からすると、最後の1年に入っていると思えます。

2013年に、彼女は血管性痴呆症と診断されているからです。

まるで「テレビ映画」?

前掲動画の6分20秒ごろを見て下さい。テレビで報道される映像では、たくさんの聴衆が存在するかのように処理されていますが、このように、ほとんど聴衆は存在しません。いるのは多くの報道カメラマンだけです。

一般大衆が彼女の姿を見ることはできません。選ばれた人だけが見れるのです。つまり我々にとっては、ほとんど映画の世界です。我々一般人は、上手に撮影され、編集されているテレビ映画を見ているのです。

側近が握りしめる「黒い棒状の物体」の正体

以下の画像を見て下さい。

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(ア)ヒラリーの最重要側近である黒人男性。身分証明書にはメディカル・医療担当と記載されており、左手には謎の黒い棒状の物体を握りしめています。

(イ)謎の黒い物体の拡大画像です。これはジアゼパムの使い捨の自己皮下注射器であることが分かりました。

(ウ)が製造メーカーによるスペックで1回に10mgを注射します。この注射器の灰色の胴体部分にジアゼパム(Diazepam)と明記されています。大きさは全部伸ばした状態で長さ14cm、最大直径2.4cm、弾丸と呼ばれる注射針付きのアンプルの長さ4.5mmと記載されていました。

(エ)眼球運動障害の例です。

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『G20の勝者プーチン「習にアイス、安倍に刀」 精彩欠くオバマ、「南シナ海追及」抑えた王毅は出世か』(9/14日経ビジネスオンライン 福島香織)、『中ロが反米で接近、結束強化も(社説)』(9/15日経FT)について

オバマは口先だけの人間ですから、足元をすぐに見られます。別に任期切れのレームダック現象が起きているとは思えません。でなければ、プーチンのウクライナ侵攻も中国の南シナ海や東シナ海の侵略を許すはずがありません。理想を実現するには武力が必要となることをオバマは理解できていません。相手はならず者国家です。真面に付き合ったら騙されるだけです。

FT記事にありますように、中ロで同盟を結ばれたら、日本の安全保障は危殆に瀕します。プーチンは中国と日本を天秤に掛けようとするでしょう。「日ロ平和条約」はスタートラインです。何せ日ソ中立条約を反故にした前例がありますので、如何に裏切らせない平和条約にするかです。出来れば中国を意識して、日中間で戦争状態になった時に、中国を利することがないような文言を入れられれば良いでしょう。北方領土は二島返還+二島継続強で良いのかと。日本の真の敵は中国ですので。

中国も習近平の権力が定まっていません。習派と看做されていた、天津市の党トップの黄興国に代わり、江派に近い李鴻忠が選ばれました。李克強が裏で動いたとのこと。黄興国は天津市で起きた大爆発の責任を取らされた形です。でも李克強がトップを務めた遼寧省の全人代委員45人は習によって選挙無効にされたとのこと。権力闘争は益々激しくなっています。暴発が外部に向けて行われれば、戦争になる可能性もありますし、意図的に難民(=スパイ)を送り出すことも考えられます。やはり、内閣でキチンと予防策を考え、目に見える形で国民を安心させてほしい。

http://www.sankei.com/world/news/160914/wor1609140038-n1.html

なお、杭州のシェラトンホテルに残した感謝のメモの写真は次の通り。

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福島記事

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(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

遅まきながら、9月4、5日に中国浙江省の杭州で行われたG20を振り返りたい。大騒ぎしたわりには今一つ、世界経済のジリ貧を解決するための具体策は打ち出されず、サミットとしてのパッとした成果があるように見えないG20だが、やはり参加国それぞれの個別外交によって、「勝敗」の明暗はついたように思う。いったい一番の勝者は誰なのか。

中国にはケンカ売らないドゥテルテ

まずホスト国・中国。国家主席・習近平の威信をかけた今年最大の国際政治における晴れ舞台であった。全体的にみて、習近平としてはかなりうまくやったとは言える。

まず、一番の懸念であった、サミットで「南シナ海の仲裁裁判に従わないことでやり玉に挙げられる」という事態は起きなかった。G20に続くラオス・ビェンチャンのASEAN首脳会議で採択された議長声明も、南シナ海仲裁裁判に触れることはなかった。

これは外相・王毅がASEAN諸国を中心に丁寧な根回し外交を行った成果といえよう。G20前の日中韓外相会談でも、尖閣諸島海域への漁船来襲事件の圧力と微笑みをうまく使い分けて、サミットで南シナ海問題について日本が声を上げるのを抑え込んだ。南シナ海仲裁裁判後の王毅外交は目を見張るものがあり、この功労によってひょっとすると来年の党大会では国務委員に出世するかもしれない。

その一方で、中国はスカボロー礁に浚渫船を派遣して埋め立てにかかっている。年内に軍事拠点化を実現する可能性はすでに高い。

ビェンチャンでは首相の李克強とフィリピン大統領のロドリゴ・ドゥテルテが会談し、中比関係の積極的な改善姿勢を双方が打ち出した一方、米大統領オバマは、ドゥテルテから「売春婦の息子」呼ばわりされて予定されていた会談をドタキャン。これに対し、ドゥテルテはビェンチャンでの米・ASEAN首脳会談を頭痛で起きられない、という仰天の理由で欠席したが、これはおそらくは仮病だ。

オバマの顔を見るのもいやだったのか。あるいは出席すれば、浚渫船を派遣している中国に対して直接文句を言わざるをえず、これを避けたかったのではないかと邪推してしまう。彼は麻薬犯をぶち殺すことはできても、中国にケンカを売ることはできないかもしれない。

ドゥテルテの本心はまだ測りかねるところだが、中国側の理解では、フィリピン大統領特使で元大統領のラモスとの水面下交渉を経て「南シナ海問題の氷は解けた」(呉士存・中国南海研究院長、環球時報インタビュー)ということのようだ。

5日に北朝鮮がノドン3発を発射したのは明らかに中国とG20への嫌がらせで、習近平のメンツを損ねたことは確かだが、韓国が導入を決めたTHAADミサイル配備に起因した中韓の外交摩擦は、G20の場で行われた習近平・朴槿恵会談で「求同化異」(共同の利益を追求しながら異見のある部分まで共感を拡大する)の共通認識に至ったという点で、ひとまず緩和するとの見通しが出ている。予断は許さないが、この会談では、習近平は「中韓には抗日の友誼がある」と訴え、どうやら11月の日中韓首脳会談では、やはり中韓で日本に対抗する構図に戻ろうと考えているフシがある。

人民元の10月1日からのSDR(特別引出権)構成通貨入りについて、首脳宣言(コミュニケ)で「各国が支持する」と歓迎が示されたという点でも、中国は勝利者と言えるだろう。一向に通貨取引の自由化は進んでいるようには見えないが、中国の悲願・人民元の国際通貨への道の大きな一歩であり、習近平政権時代の「手柄」ということになる。人民元SDR構成通貨入りによって、人民元の信用が上がれば、事実上とん挫していたAIIB(アジアインフラ投資銀行)も、一帯一路構想も、息を吹き返すという期待が少し上がるかもしれない。

「非礼」に甘んじたオバマ

習近平・オバマ会談について言えば、やはり習近平に分があった。いや、あえて言えば、G20およびASEAN首脳会議においてのオバマには全般的に精彩がなく、もはや大統領任期ロスタイムに入ってやる気のなさが滲んでいた。G20でオバマに関する最大の話題は、専用機での杭州到着時に他の首脳に用意されているようなレッドカーペットのタラップが用意されておらず、また警備当局と随行記者や補佐官らがもめてあわや、殴り合いのけんかになるかというようなトラブルがあったということだろう。タラップは米国側が断ったと中国側は説明するが、外からみれば中国がずいぶん米国に非礼を働いたように見えた。

そういう「非礼な扱い」にもかかわらず、習近平・オバマ会談は3時間半に及び、会談後は二人で西湖のほとりを散歩しながら、人権や宗教・信仰の問題も含めて語り合ったとか。会談後の記者会見もなく、大した成果はなかったようだ。習近平は毎度のことながら「新しい大国関係」を言い、オバマはいつものようにそれを受け流していた。

会談そのものよりもG20前に、2020年以降の地球温暖化対策の国際ルール・パリ協定を米中そろって批准し、国連事務総長で来年の韓国大統領選には出馬するだろう潘基文を交えて杭州で共同発表までしてみせたのは驚きだった。中国の責任ある大国演出にオバマがここまで協力するとは。未来の韓国大統領?と米中首脳のスリーショットが中国のおぜん立てで演出されたのに、まんまと乗っていた。一部日本人の中には、日本の疎外を感じる人もいたかもしれない。

このように見ると、G20の勝ち組は中国であり、従来絶対勝者の地位を保ってきた米国はむしろレームダックを印象づけた。ただ、中国が当初息巻いて目指していたように、G7以上の国際政治パワーを持つG20であったか、というと決してそうは言えなかろう。習近平が南シナ海問題で非難の集中砲火を受けるのを嫌がって、政治問題の議題に封印してしまったのだから致し方あるまい。

今回、習近平最大の失敗といえば、G20関連会議のビジネスサミットでの演説で、スピーチライターが書いた春秋時代の古典の引用「通商寛農」(通商をよくし農政にゆとりを持たせるの意)の寛農を「寛衣」(衣服を脱ぐ)と読み間違ったことだろう。演説稿を理解せず読んでおり、古典に対する無知もさらしたのは、相当恥ずかしかったことだろう。

「ぞんざいな扱い」で存在感を示した安倍

ところで我が国、日本の存在感はどうであったか。G20が始まる前、習近平は笑顔で安倍晋三を迎え、ひょっとすると日中関係が好転するのではないか、と期待した向きもあったのではないだろうか。

日本はホスト国・中国のメンツを立て、サミットで南シナ海問題を持ち出すことはなかった。だがG20後の日中首脳会談のときの習近平は、G20が終わったのだから日本に媚びを売る必要はない、と言わんばかりに、もともと2時間と約束していた会談を後ろに押して、同時通訳を入れて35分に縮めてしまった。ずいぶんな仕打ちである。

会談で交わされる言葉も殺伐としており、南シナ海裁定問題をいう安倍に、習近平は「慎重な言動を求める」と牽制した。会談自体が目的という感じで、評価に値する中身はなかったように見えた。日本メディアは、「海空連絡メカニズム」の早期運用に向け協議加速で一致といった点などを成果として伝えているが、香港メディアなどは、両国の国旗や生花や緑を飾るわけでもないテーブルでの会談で、安倍がずいぶんぞんざいな扱いをされているというふうに報じている。

しかしながら、あからさまにぞんざいに扱われているのは、それだけ意識されていることの証とも言える。習近平には安倍を厭う理由はいくつかある。安倍はきっちり中国の嫌がる外交をしている。最近のものでは、ロシア大統領・プーチンへの急接近である。

習近平がプーチンを大好きであることは結構知られているが、プーチンも習近平にはそれなりに気配りをしている。プーチンはG20に参加するうえで、習近平に土産を携えていた。習近平の好物のロシアブランドのアイスクリーム。これはプーチンが、G20直前にウラジオストクで開催された東方経済フォーラムに参加していたある中国企業家から仕入れた情報で、この特別な土産は習近平をことのほか喜ばせたという。

日露接近が気になる習

だがこの東方経済フォーラムに合わせた日露首脳会談では、安倍がプーチンに日本の鎧甲を送り、プーチンが日本の名刀を贈るという、プレゼント交換があった。この刀はロシア所蔵で1928年の昭和天皇「即位の礼」の際に作られた12口のうちの1口で、戦後、米国、オランダを経てロシアに所蔵されていた。

習近平には溶けてなくなるアイスクリームで、安倍には昭和天皇の名刀というわけだから、中国人としてはこの差は何? と思う。しかも中国人というのは、プレゼントになにがしかの意味を考える。昭和天皇の名刀を日本の首相に「返す」ことの意味、憶測が中国のブロガーたちの間で話題になった。

もし、彼らの憶測が的中すれば、日露関係及び北東アジアのパワーバランスが劇的に変わりかねないわけで、中露蜜月を演出しようとしている習近平にしてみれば心穏やかではない。しかも12月には安倍の故郷の山口で日露首脳会談が行われることが決まっている。一応、中国メディアは、プーチンに領土取引を拒絶されて安倍は手の打ちようがない、と報じているが、それだけこの問題は中国にとっても気になって仕方がないようだ。

習近平に歓迎された様子はあまりない安倍だが、中国のネット民からの評価は悪くなかった。一つは、ホテルを去るときに、ホテルに残した「感謝」の言葉を書いたメモの写真がSNSの微博を通じて拡散されたことから、「安倍って教養あるよね。字もうまい」といった評価が出た。もう一つは、日中首脳会談後の記者会見で蘇軾の詩を引用して杭州の美しさを褒め讃えたことが、中国でも好意的に報じられた。そう考えると、日本もG20においては決して敗者ではない。勝ち組に入っているのではないだろうか。

それより、やはりプーチンの立ち居振る舞いは大したものかもしれない。杭州のG20の主役はプーチンだったと言っても過言ではない。“プーチンスキー”の習近平は、プーチンを一番良いホテルの部屋に案内した。そのお礼というわけではないが、南シナ海問題では、プーチンは「どちらの立場にもくみしない」と中立を訴えながらも、当事国同士で問題解決したいという中国の立場を支持。G20など一連の国際会議終了後、中露は南シナ海で合同軍事演習を行うことも決めている。

無法者からVIPに“変身”したプーチン

だが中国を喜ばせつつ、日本との距離感もうまくとっている。プーチンは米露関係の改善に日本の役割は大きい、と日本を立てるのを忘れなかった。

注目のオバマ・プーチン会談ではシリア問題が話し合われた。このとき停戦合意には至らなかったが、プーチンの方が押していたような印象だ。9月12日にようやくシリア停戦合意が発効されたが、これはトルコ大統領のエルドアンとの関係を修復したプーチンの外交勝利ではないか。国際社会の安定にロシアが欠かせないことをオバマは認めた。プーチンはオバマ、習近平のほか、ドイツ首相のメルケル、インド首相のモディ、英国首相のメイ、フランス大統領のオランドらおよそ10か国の首脳と会談。クリミア危機直後の2014年のブリスベンG20で冷遇されたのが嘘のようにプーチンは人気者だった。

「ボイスオブアメリカ」の表現を借りれば、この2年で「無法者扱いからVIP」に昇格。ロシアの通信社スプートニクがこのロシアの国際社会の立場の変化を「プーチンのメタモルフォーゼ」と表現したが、G20の最大の勝利者はプーチンでほぼ間違いなく、杭州G20の最大の成果は、ロシアと国際社会の関係をウクライナ危機以前に戻したということになろう。

南シナ海仲裁裁定を無視したことで孤立化しかけている習近平にすれば、さぞプーチンにあやかりたいと思ったことだろう。

FT記事

1950年代から60年代初頭にかけ、中国と当時のソ連の対立を西側が読み誤ったことは、冷戦期における情報活動の大きな失敗の一つだった。米国が中ソの敵対意識がいかに強いかに気付いていれば、足並みの乱れに乗じる方法をもっと早く見つけていたかもしれない。

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南シナ海において、フィリピンの船舶から見える中国の公船=AP

今日、米国と西側同盟国には逆の誤りを犯す危険がある。西側諸国の大半のアナリストは、ロシアと中国が同盟を結ぶ可能性を考慮に入れていない。両国それぞれの専門家の間でも、中ロは互いに歴史的・文化的不信感が強すぎ、結束を深められないだろうとの見方が多い。

だが、中ロ関係はすでに大方の予想を大きく超える速さで緊密化している。米国が支配する世界秩序への敵意で結びつく本格的な同盟関係は、まだ現実のものではないにせよ、実現する可能性があるだろう。

両国の海軍は今週12日から、過去最大規模の合同軍事演習を行っている。緊張下の南シナ海で実弾を使用する8日間の島しょ上陸訓練だ。両国は6月、中国と日本が領有権をめぐり激しく対立する東シナ海の島々の周辺で、一見、連携行動ととれるような艦船の航行を行った。

南シナ海を巡っては、中国がその大部分の歴史的領有権を主張して周辺5カ国と対立する。オランダ・ハーグの仲裁裁判所は7月、中国の主張は認められないとする判決を下した。今回の軍事演習はそれから2カ月後のことだ。判決は無効であるとして受け入れを拒否した中国に対し、ロシアのプーチン大統領は最大の後ろ盾になっている。

中国はこれまでどの国とも正式に同盟を結んでこなかった。近年において緊密な関係にあるのはパキスタンと北朝鮮だけだ。しかし、習近平国家主席は過去40年のどの中国指導者よりも積極的に外交政策を展開しており、中国が同盟にかなり前向きになっていることがうかがえる。習氏とプーチン氏は2013年初頭以降、17回会談している。実務者レベルの2国間協議も急増した。

中国とロシアは、自国の裏庭に「干渉」してくる米国への敵対心に加え、独裁的な政治体制や国家資本主義への傾斜など多くの点で共通点がある。習氏とプーチン氏は強い国の「復活」を約束し、ポピュリスト(大衆迎合主義者)の愛国主義に訴えて排外主義をあおり立て、厳格な統制下に置く国営メディアを通じて力強い指導者のイメージを入念に作り上げてきた。

■冷戦時の過ちを繰り返すな

中国との同盟は、特にロシアにとってリスクをはらむ。ロシア政府は地域内の他の潜在的な同盟国が離反するのではないかと警戒している。極東ではロシア領の広大な未開地に、人口密度の高い中国の省が隣接する。ロシア政府にとって、この人口分布上の不均衡は依然、懸念材料だ。プーチン氏は中国と同盟を結んでも、ロシアが従属的な立場になるのではないかという見方にも憤っている。

これに対し中国側は、60年代の東北部での旧ソ連との国境紛争や、ロシアが旧ソ連時代、同志である共産主義諸国に父親風を吹かせて介入・干渉したことへの恨みが今も消えていない。

しかし、双方とも相違点を受け流し、互いを結びつけるものに焦点を合わせようとしているように見える。その焦点とは、両国が衰退の末期を迎えたと思っている超大国への敵意だ。

米国とその同盟国は中ロ関係が変わらないと決めつけ、両国が同盟を結ぶリスクを過小評価すれば、冷戦期と同様の間違いを繰り返すことになる。中ロ関係を注視したからといって、米国がシリア情勢や気候変動などの問題で両国と必要な協力ができないことにはならないはずだ。

だが、そのためには当然、警戒も求められ、東欧とアジアの西側同盟国を安心させることが一層重要になる。

(2016年9月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

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『北朝鮮の核実験、カギは「最終確認した」の文言』(9/13日経ビジネスオンライン 重村智計)について

重村氏の予測は外れることで有名だった気がします。(2006年の北朝鮮水害後、「大量餓死者が出る」「冬を越せない」とテレビでコメントしていたが、結果的に外れました。また2008年に出版された『金正日の正体』(講談社現代新書)で、「金正日は既に死んでおり、影武者が職務を代行している」などと書いて大きく予想を外しました)。『外交敗北』(2006年)を読みましたが、内容を忘れましたので、書評を貼り付けておきます。毎日新聞出身なので、親共産主義なのではと思ってしまいます。日本のジャーナリスト(と言えるかどうか、単なるプロパガンダの伝道者なのでは。事実を捻じ曲げ、角度を付けて報道する朝日新聞がその典型)出身で真面なのは、青山繁晴氏や日高義樹氏くらいしかいません。この本には二元外交は駄目で外務省に一本化して交渉しろと言っているようで、当時の田中均の思い通りにやらせたら、拉致被害者も北朝鮮に帰すことになったと思います。また共産中国の外交の実権を握っているのは党・中央対外連絡部であって、国・外交部ではありません。尊大な王毅部長がいくら偉そうにしても実権を持たないのは分かっています。また重村氏は、日本の外務省は外交交渉ができると思っている所に甘さがあるのではと感じます。

http://booklog.kinokuniya.co.jp/kato/archives/2006/07/post_22.html

重村氏の情報源は朝鮮総連辺りか民潭辺りではないかと思われます。ミイラ取りがミイラになる可能性もありますし、デイスインフォメーションを仕込まれる可能性もあります。本記事も、北を救うため、日本を交渉に引き戻すためかも知れません。北への対抗として大事なのは、日本は防衛用だけでなく、先制攻撃用武器や装備を充実し、ニュークリアシエアリングを進めることです。交渉で解決する段階ではないでしょう。本記事にある通り、北は「核を放棄しない」と言っていますので。いつまで騙されれば気が済むのでしょう。左翼・リベラルの頭では、この北のような脅威(中国の方がもっと脅威です)が認識できないのでしょう。彼らの頭上にだけ爆弾を落としてほしいと思っています。でなければ危機が理解できません。国民を誤導するものです。バランスオブパワーが現実なのに、それを無視して、わざわざ敵に対する備えを怠らせ、共産主義国に隷従させようとしています。マスメデイアの罪は大きい。騙される国民も国民ですが。

北への支援を中国が止めれば問題は解決します。金王朝は崩壊するでしょう。狂った金正恩は北京にミサイルを撃ち込むかもしれませんが。中国はミサイル防衛の話はありますが、プロパガンダでしょう。防ぎようはないのでは。まあ、北京に反目する瀋陽軍が裏で北を支援している可能性もあります。

http://blog.livedoor.jp/corez18c24-mili777/archives/48129597.html

記事

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北朝鮮の核実験に抗議する韓国の市民(写真:AP/アフロ)

北朝鮮は9月9日に5回目の核実験をし「核弾頭の性能と威力を最終確認した」と発表した。この日は、同国の建国記念日であった。国連の安全保障理事会は直ちに、「(この核実験は)安保理決議違反で、平和と安全を脅かす」との非難声明を発表した。中国も同意する異例の迅速な対応であった。安保理は、「追加の制裁措置を協議する」ことも明らかにした。「石油の全面禁輸」が最も効果的だが、中国は反対してきた。

中国の責任だ

北朝鮮に対する経済制裁は効果がないとの主張がある。だが、真実はそうではない。ミサイルや核兵器関連技術への規制や、北朝鮮要人と組織の資産凍結、ドル送金禁止などは、それなりの効果があった。北朝鮮の外貨収入は激減し、石油輸入も減少した。ただし、より大きな効果を期待できる安保理制裁には合意できなかった。

中国は厳しい制裁に反対し、常に北朝鮮との対話を求めてきた。北朝鮮は「核を放棄しない」方針であるのだから、中国の行為は核開発を助けることになった。中国の責任は大きい。

北朝鮮の核開発を止めるには、何をすべきだったのか。(1)核施設を限定攻撃(2)石油の全面禁輸(3)全面金融制裁(ドル、ユーロ、元と円などの送金禁止)――を行えば、北朝鮮はたちまち干上がったことだろう。こうした厳しい措置に踏み切れなかったために、「核実験しても、国連はたいした制裁はできない」との確信を北朝鮮に与えてしまった。核施設への軍事攻撃は不可能だろうが、その決意を示すことはできたはずだ。

核開発を進めるのは、軍隊が戦争できないから

北朝鮮はなぜ、国際社会の意向に挑戦し、ミサイルを発射し、核実験を続けるのか。中国でのG20首脳会議や米国の関心を引くためとは思えない。その理由の大半は北朝鮮国内の事情である。

金正恩委員長は、「軍優先政治」をやめた(関連記事「北朝鮮、軍優先を転換する“親政クーデター”」)。これに軍部は不満だ。それを抑え、米韓に攻撃される脅威への抑止力を確信させ、指導者の権威を確立しなければならない状況に追い込まれている。30代前半の“若造”が、軍を掌握するのは並大抵の仕事ではない。

北朝鮮は、9月2日まで行われた米韓合同軍事演習の中止を強く求めた。また春の米韓合同軍事演習の前にも演習中止を強く求め、「軍事境界線での銃撃戦」や「開場工業団地への韓国人職員の出入り禁止」などの事件を起こした。たかが演習の中止に、必死の対応をしてきた。

故金日成主席は、日本財団の笹川陽平会長と90年代初めに会見した際、「米韓が米韓合同軍事演習を口実に、我が国を攻めるのではないかと、危惧している。そのため、我が国も同じ規模の演習を行うが、石油や兵器の消耗は予想以上だ。負担が余りにも大きく演習後には軍が疲弊する」と語っていた。

つまり、米韓合同軍事演習が行われると、北朝鮮軍の石油備蓄が激減し、兵器と兵員も相当に消耗する。だから、やってほしくないという。

北朝鮮はそれでも、当時、年に300万トン近い石油を輸入していた。今は、50万トンにも満たない。だから、北朝鮮軍は通常兵器では、戦争できない状態にある。ジェット戦闘機や戦車も余りに古すぎて役に立たない。このことに、将校から一般兵士までの多くが気づいている。米韓軍に攻められたら勝てないし敗北するとの恐怖がある。ただし、それを口に出すことはできない。

軍人の脱北者によると、こうした不安から軍部隊内の事件が絶えないという。軍指導者にも不満が向いており、襲撃事件が起きたという。軍内部の金正恩委員長への忠誠心は低下し、揺れているのだ。軍の忠誠心を高め、指導者としての威信を確立するには、ミサイルと核の保持が不可欠だ。

いまや韓国軍と米軍は、1年を通じで演習を行っている。1年の演習が終わる冬には、北朝鮮軍の石油は底をついている。とても戦争なんかできないから、米韓軍が攻めてくると本気で恐れている。抑止するには核兵器を保有するしかないというのが軍指導部の戦略的判断だ。

だから、北朝鮮軍は「死んでも核兵器を放棄しない」方針である。金正恩委員長は、この戦略に反対できない。もし、核開発に反対したら、追放されるか暗殺されるだろう。

つまり北朝鮮は、中国でのG20首脳会議に対決姿勢を示し、米朝対話を求めて核実験をしたわけではない。G20首脳会談に合わせてミサイル実験をすれば中国は怒る。メンツを潰されるのだから。核実験をすれば、米国も怒り対話に応じない。逆に「核実験しない」と言った方が、対話と交渉は実現できる。専門家でなくても分かる理屈だ。だから、今回は米朝交渉が最大の目的ではなかった。金正恩委員長の権威と指導体制を維持するためだった。

「最終確認した」の意味

北朝鮮の核開発やミサイル開発が進展しているのは間違いない。だが軍事専門家は、「まだ問題が多い」と指摘する。北朝鮮には、ミサイルや核兵器の重要部品を製造する技術はない、という。多くの部品は、ヤミ市場や先進国から密かに運び込むしかないからだ。

日本からも、多くの部品が密輸されている。90年代から2000年頃まで、ミサイル工場で働いた経験を持つ脱北者が「日本に向かうミサイルに搭載する電子部品や、弾頭部分の特殊金属に日本製のものが搭載されていた」と証言していると韓国の情報機関が報告していた。

北朝鮮はこれまで、核実験やテポドンなど長距離弾道弾の実験を、数年おきに行ってきた。製造までに、長い時間を必要とするからだ。これに対して今年は、20発ものミサイル発射実験を行っている。ただし「多くは在庫整理」と言われる。旧式のノドンやスカッド、中距離のムスダンが中心だからだ。潜水艦発射ミサイルは3発のうち1発しか成功していない。

今回の実験で、北朝鮮はミサイルに搭載可能な小型の核弾頭の開発に成功した、と初めて公言した。これまでは、ミサイル搭載可能な核弾頭はなかったことになる。「すでに核搭載能力がある」との情報が何度も流れたが、実は違っていたことが確認されたわけだ。

ミサイル搭載可能といっても、長距離弾道弾に搭載するには200キログラム程度に小型化しなければいけない。専門家は、それほどの技術はまだないと判断する。日本に届くノドンやムスダンなどの中距離ミサイルでも、700~1000キログラムほどに小型化する必要がある。北朝鮮の発表通りなら、700キロググラムから1000キログラムの小型化に成功したことになる。

北朝鮮は、国連や日米中韓ロの周辺大国や国際社会の反対を無視して、いつまで核実験を続けるのか。膨大な資金を核実験ではなく国民生活の向上に使わなければ、「金正恩政権はやがて崩壊する」と予想されている。中国も金正恩政権を崩壊させざる得なくなる、との指摘も聞かれる。どうするつもりなのか。

北朝鮮は今回、「(核弾頭の)性能と威力を最終確認した」と公式発表した。なぜ「最終確認」との表現を使ったのか。北朝鮮の報道や公式発表は、文言に最新の注意を払い政治的な意図を込めている。別に「最終」の言葉を使わず、単に「確認した」と表現しても問題はなかったはずだ。

「最終確認した」との言葉には、いずれ「核実験の終了宣言」をして米国に交渉を求める意図が込められている、との分析がある。核兵器を保有したい軍部が納得しなければ、核実験は止められない。核実験を続ければ、一層厳しい制裁が科され、やがて金正恩政権は崩壊する。軍部を納得させるためには、「核保有国になったから、もう核実験は必要ない」と説得するしかない。このための準備として、「最終確認した」との表現を使ったのではないか、との観測だ。

このまま核実験を続ければ、米朝交渉はもちろん、6カ国協議や日朝交渉も実現しない。それでは、金正恩委員長が約束する経済建設はできない。実は、北朝鮮の首脳部の間では数年前から「やがて核保有宣言をして、核実験終了を発表し、米朝交渉に乗り出す」との戦略が語られている。

だが、核兵器とミサイルの開発は、際限がない。軍は、兵器の技術革新と最新鋭化を常に求める。こうした単純な理屈で、北朝鮮軍部が納得するかは、なお不透明だ。

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『ベトナムの英雄姉妹はどこが卑弥呼と大違いなのか 日本の「反中」を信じきれないベトナムの胸のうち』(9/12JBプレス 川島博之)について

9/14日経夕刊には「天皇・皇后両陛下訪越」の記事が出ていました。

両陛下、ベトナム訪問へ 

フォームの終わり

宮内庁は14日、天皇、皇后両陛下が来春にベトナムを訪問される方向で調整していることを明らかにした。両陛下の海外訪問は、友好親善と戦没者慰霊のために今年1月に訪れたフィリピン以来。訪問時期は3~4月となる見通し。滞在期間は3泊4日程度で検討している。首都ハノイ以外の訪問先などは未定という。

宮内庁によると、天皇陛下はこれまでも訪日したベトナムの国家主席らと面会した際に訪問要請を受けており、両国間の親善のために訪問を希望されたとみられる。皇族では1999年に秋篠宮ご夫妻が、2009年に皇太子さまが同国に親善訪問されている。

菅義偉官房長官は同日午前の記者会見で、両陛下のベトナム訪問について「ベトナムの歴代国家主席が日本を訪問しているが、両陛下のベトナムご訪問はこれまで実現しておらず、累次にわたり招待があった」と述べた。>(以上)

国家間に永遠の友好はないにしろ、少なくとも今の中国・韓国のような敵国に両陛下が訪問されることはありません。加藤紘一官房長官(当時)は天安門事件後の西側諸国の制裁で困っていた中国の銭其琛・外相の要請を受け、宮澤内閣は愚かにも両陛下の訪中を決断し、平成4年10月23日訪中を実現しました。天皇の政治利用という意味で、大きな政治的誤りです。ですから先日早世したのでしょう。心ある日本人の怨嗟の声が届いたかどうか。

日本は、ベトナム戦争時には米軍の出発基地でした。それでも日本人を悪くは思っていないのは以前の旅行時にも感じました。反日教育で洗脳され、政府の批判が許されない中国とは大きく違います。今の中国・広東省は、昔は南越と呼び、今のベトナムの中国語での呼び名は越南です。何となく民族的には混淆を繰り返してきたのかなあと感じます。でも性格は両者で全然違いますが。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E8%B6%8A%E5%9B%BD

http://heartland.geocities.jp/zae06141/Nanetsu1.html

中原から離れれば離れるほど、動物扱いです。東夷西戎北荻南蛮とも言われます。福建省は闽ですし、魏や蜀も鬼や虫が入っています。日本も倭奴国ですから。倭は漢和辞典で調べますと「背が曲がって丈の低い小人の意。矮と同系。」とありました。奴は言わずもがなです。こんな風に見下されていましたのに、聖徳太子は煬帝に毅然とした国書を出しています。今の日本人に足りない部分でしょう。

ベトナムは中国・韓国と違い寛恕の精神を持っています。なかった話を捏造して、世界に嘘を撒き散らし、日本を強請ろうとする民族とは違います。長い間、中国と戦ってきて、中国人の本質を理解しているからでしょう。朝鮮半島がダメなのは、1000年属国と言われますように中国に戦争で勝てず、隷従してきたため、中国人以上にこすからく、逃げ足が速いという所でしょうか。下記のURLは如何に韓国がベトナムに非道を行ってきたかが書かれています。ご参考まで。

http://www.mercury.sannet.ne.jp/emadukawiemogosi/1112KankokuNoSensooHanzai.html

安倍首相も中国封じ込めには日米豪印比越+露で固いタッグを組みませんと。韓国の慰安婦合意のような中途半端をすれば信頼は失われます。期待している人達(含む外国人)の期待を裏切らないでほしい。

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写真1 祠(ほこら)に祭られている徴姉妹(ハイ・バー・チュン)像、ベトナムにて。筆者撮影(以下同)

ベトナムで語り継がれる英雄姉妹

ハイ・バー・チュン(徴姉妹)。この物語はベトナム人なら誰でも知っている。小学校の教科書に書いてあるからだ。そして、学校で習う前に親や祖父母から聞く話でもある。

それは、こんな話。紀元1世紀。当時、ベトナムは中国(後漢)の支配下にあった。代官が重い税金を課す。反抗したベトナム人を殺す。やりたい放題で、民衆を大いに苦しめていた。

そんな状況に対して、果敢に反乱を起こしたのが徴姉妹。ベトナム語で「ハイ・バー・チュン」と発音する。

反乱は成功し、一時的に独立を勝ち取ったが、その後、鎮圧のために派遣された漢軍に敗れ、姉妹は禁渓の地(現在のハノイ付近)で戦死したとベトナムの教科書には書かれている。

中国の史書によると姉妹は漢軍に捕まって斬首され、その首は塩漬けにされて首都洛陽に送られたとされるが、民衆の間では姉妹は雲の中に消えて行ったと言う話が好まれているようだ。

どの国にもある英雄譚(えいゆうたん)だが、英雄が女性、それも姉妹であるところが人気の秘密だろう。

当時、ベトナムには文字がなかった。そのために、その詳細を知るには中国の史書に頼るしかない。ただ、一方的に中国の史書が語るだけでなく、ベトナムでは民衆の伝承としてこの話が伝わっている。親から子へと語り継がれている。

冒頭の写真と次の写真2は、ハノイの中心部にあるハイ・バー・チュンを祭った廟堂(びょうどう)だ。日本仏教寺院に似ているが、その形式は中国の影響を強く受けており、写真3に示すように廟堂の屋根には龍の文様が付いていた。

また、写真4に示すように、ハイ・バー・チュンはハノイの目抜き通りの名称にもなっている。首都の大通りの名称になるぐらい、ハイ・バー・チュンはベトナム人にとって身近な存在なのだ。

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写真2 ハイ・バー・チュン像を祭る寺の外観

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写真3 寺の屋根にある龍の装飾

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写真4 主要道路の名称が「ハイ・バー・チュン」であることを示す看板

「卑弥呼」との違いが意味すること

この話を聞いて思い出したのが卑弥呼だ。ハイ・バー・チュンと共に中国の史書に記録が残っている女性である。卑弥呼は3世紀の人であり、双方とも今から約2000年前の人間である。

ただ、その伝承が異なっている。日本人は卑弥呼のことを忘れてしまったが、魏志倭人伝に記録があるために、近世になってその存在を知ることになった。ハイ・バー・チュンと卑弥呼の違いは、ベトナムと日本の中国に対する態度の違いを象徴するものにもなっている。

陸続きであったベトナムは2000年も前から中国に支配されていた。ベトナムにとって独立とは中国の支配から脱することを意味する。だから、独立に果敢に挑んだ英雄のことは忘れない。そのために、ハイ・バー・チュンは今でも廟堂に祭られ、首都の主要道路の名前になっている。

一方、海を挟んだ隣国であった日本は中国の支配下に置かれることがなかった。魏志倭人伝は邪馬台国を訪ねた使者の伝聞を記録したものである。当時の日本では戦乱が続いており、それを鎮めるためにシャーマン的な存在である卑弥呼を擁立したようだ。

それは日本民族にとって、それほどインパクトのある出来事ではなかったようだ。だから、時間が経つと忘れ去られてしまった。神話のアマテラス大御神や神功皇后が卑弥呼だと言う説もあるが、魏志倭人伝の描くアマテラス大御神や神功皇后の話は大きく異なっている。

そして、日本において中国の史書の記述に腹を立てる人がいないことも特筆すべきことだろう。卑弥呼という名称は、当時の日本人の発音を写したものと考えられるが、よく言われているように、当時の日本人は「日巫女」もしくは「日御子」という意味で「ヒミコ」と発音していたと思われる。

それを卑弥呼などと「卑」という文字を入れて文字化したところに、中国人の悪意を感じる。邪馬台国にしても、当時の日本人は国名を「ヤマト」と発音していたのだろう。それを「邪」を入れた文字で置き換えた。人を馬鹿にするのもいい加減にしろと言いたい。

ただ、ハイ・バー・チュンのような強烈な歴史的事実がなかったから、日本では「卑弥呼」や「邪馬台国」などの言葉は違和感なく受け入れられている。昨今、「嫌中」を標榜する人びとがネット上に溢れているが、寡聞にして「卑弥呼」や「邪馬台国」に対する反感を耳にしたことがない。

日本を信じきれないベトナム

直接支配された経験のない日本では、史書で少々馬鹿にされても、それに腹を立てることはない。日本の「嫌中」感情は江沢民以来の反日教育の産物であり、その歴史はせいぜい30年ぐらいである。そのために、時間が経過すればどう変わるか分からない。

現に中国からの爆買いツアーを景気底上げ要因として大いに歓迎している。40年前は、田中角栄による日中国交回復や上野動物園へのパンダ来訪によって、国中が中国ブームに沸いたこともあった。

安倍首相はベトナム、ミャンマー、インドなどを訪問し中国包囲網を作ろうとしている。日本としては尖閣諸島問題などで対立する中国に対して、一緒に戦ってくれる国が増えるのは頼もしい限りである。その方針に異を唱えるつもりはない。

ただ、最近、何度かベトナムを訪問する機会があったが、多くのベトナム人は日本が中国に対して連帯して対抗しようと言ってくれることはありがたいと思っているが、心の底では日本を疑っている。

ベトナムは2000年も中国と戦ってきた。その反中感情は筋金入りである。骨の髄から中国が嫌い。それに対して、日本の「嫌中」は、せいぜい過去30年。ネトウヨに「嫌中」が流行ったのはここ十数年のことでしかない。だから、ちょっと状況が変われば、日本はベトナムを裏切るかもしれない。ベトナム人はそう思っている。

今は「中国が尖閣諸島に攻めて来る」「自衛隊を強化すべき」などと騒いでいるが、国際情勢が変化すると、昨今の対立を忘れて「中国はアジア最大のマーケット」などとはやし立て始めて、仲直りしてしまうかもしれない。

“本当に、これからも「嫌中」でいてくれるのでしょうね。安倍さん裏切ったりしないよね?”

ベトナム人は日本の「嫌中」を案外冷静に見ている。逆に言えば、日本が本気で中国包囲網を築こうとすれば、骨の髄から中国が嫌いなベトナムほど頼りになる存在はない。この辺り、国際情勢を考える際にも、歴史を省みて冷静な判断を下したいものである。

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『いつでも自由に尖閣に近づける状態にしたい中国 米海軍大学教授、トシ・ヨシハラ氏に聞く中国の狙い』(9/10JBプレス 古森義久)について

ヨシハラ氏は「尖閣に人員を常駐させるのは避けた方が良い」とのご託宣。いろんな考えがあるから、即断はできませんが。やはり海保の船を増やして、沖縄の漁船が漁をできるようにしないと。本末転倒でしょう。尖閣を実効支配していると政府は言いますが、世界の目から見て、中国漁船が尖閣近辺で漁をする映像を見れば、中国が実効支配していると思われるでしょう。翁長知事は中共のスパイです。こんな人間を県知事に選んだ沖縄県民の問題です。県への予算ももっと削減した方が良い。政府はマスメデイアの批判を恐れ過ぎです。対中国に対してもそう。口先だけの抗議では舐められるだけです。具体的に行動し相手に分からせないと。それが交渉と言うものでしょう。政府は中国でも沖縄でも交渉していません。沖縄での極左・朝鮮人の基地移転妨害の違法行為についてもっと厳しく取り締まらなければ。県警制度がおかしいのでは。治安維持活動は国の根幹をなすものです。地方自治体管轄でなく、国家公務員として、中央の指示で動けるようにした方が良い。具体的に問題解決の案を作り、法制化していかないと。憲法改正以前にできることは沢山あります。

またヨシハラ氏の言う「水平エスカレーション」には大賛成です。南シナ海での米軍の「航行の自由」作戦に共同参加して訓練すれば良いと思います。江崎道朗氏は、自衛隊OBの話として、「米国は尖閣を守ると言っているが、共同で訓練もしていない。それでは作戦遂行は難しいのでは」との例を挙げていました。南シナ海に参加すれば、尖閣での共同作戦展開の話も進めやすくなると思います。できれば、印・豪・比・越も交えて「航行の自由」作戦ができるように裏で話を纏めるのが外交というものでしょう。日本の外務省は式典のことしか考えられない無能集団です。

蓮舫は外省人の家系と思っていましたが、台南の内省人がルーツとのこと。祖母が政商で、バナナを日本に輸出したり、中国共産党とも取引していたとのこと。でも、小生の心の中では台湾人ではなく、中国人との思いが強いですが。日本人に悪い人間がいるのと同様、台湾人にも悪い人間がいるという見本でしょう。

三立新聞網 對自己記憶錯誤道歉 蓮舫承認仍有中華民國籍

2016/09/13 10:54:00

國際中心/綜合報導

因參選日本最大在野黨民進黨黨魁,台裔參議員蓮舫遭對手質疑擁有雙重國籍;對此,蓮舫昨(12)日表示,自己已申請放棄中華民國國籍,她還強調「台灣非國家」。不過,蓮舫今天上午表示,自己與台北駐日經濟文化代表處連繫後,確認她還有中華民國籍。(自分で既に中華民国国籍を放棄する申請をした。彼女はやはり「台湾は国家でない」と強調し、本日午前に台北駐日経済文化代表処(港区白金台にある)と連絡を取り、中華民国籍が未だ残っていることを確認した)

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▲蓮舫。(圖/路透社/達志影像)

根據《日本經濟新聞》報導,蓮舫今天上午對媒體公開承認,自己還具有中華民國國籍;蓮舫指出,她昨天接到台北駐日經濟文化代表處的通知,才得知自己仍有中華民國國籍,對於自己因記憶錯誤,近日來造成的混亂,向大家道歉。(彼女は昨日台北駐日経済文化代表処から通知を受け、まだ中華民国籍を持っているのに気づいた。自分の記憶違いでこの所混乱を生じさせ、申し訳ない=中国人と同じで平気で嘘が言えるタイプです

蓮舫日前表示,她已經向駐日代表處提出放棄中華民國籍的文件,不過因確認作業程序耗時,自己還沒取得確認。>(以上)

中華民国国籍放棄手続きには時間がかかるでしょうから、二重国籍のままで、民進党の代表選に臨みます。議員辞職に値すると思っていますが、それでも中国人らしく代表選を降りないでしょう。まあ、選ぶ方も選ぶ方ですが。

https://twitter.com/ikedanob/status/775547135781539840

http://nonstyle.biz/archives/1383

記事

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ラオス・ビエンチャンで開催されたASEANとの首脳会議で各国首脳と記念撮影を行うオバマ米大統領。中国の南シナ海での行動に対し「7月の仲裁裁判所の裁定には拘束力がある」と語ったが、中国は反発している。(中央、2016年9月8日撮影、資料写真)。(c)AFP/SAUL LOEB〔AFPBB News

尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の水域、日本領海へ中国海警の艦艇や多数の民兵漁船団が頻繁な接近、侵入を繰り返している。中国には一体どのような狙いがあるのか。

米国で中国の海洋戦略を専門に研究する海軍大学教授、同大学「中国海洋研究所」研究員のトシ・ヨシハラ氏に見解を尋ねた。

ヨシハラ氏はその名の通り日系米国人で、ジョージタウン大学、ジョンズホプキンス大学院を経てタフツ大学で博士号を取得した戦略研究の学者である。アジア太平洋の安全保障、特に中国の軍事戦略、海洋戦略を専門対象とし、民間のランド研究所やアメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)でも活動してきた。少年時代は台湾に住んだことから中国語にも堪能で、中国人民解放軍の海洋戦略の研究では全米でも有数の権威とされている。

インタビューの中でヨシハラ氏は、中国側に尖閣諸島の日本の施政権を突き崩そうとする意図があることを強調した。主な質問とヨシハラ氏の回答は以下の通りである。

中国にシフトしていく東アジアのパワーバランス

――中国が最近、日本の尖閣諸島に対する攻勢を拡大し、強化しています。その現状をどうみますか。

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トシ・ヨシハラ氏

トシ・ヨシハラ氏(以下、敬称略) 中国はそうした活動によって、日本や日中関係に影響を及ぼすだけにとどまらず、東シナ海全域で徐々にパワーシフトを進めていこうとしています。私は、東シナ海の力の均衡が少しずつにせよ着実に中国側に有利にシフトしていくことを最も懸念しています。

中国は明らかに、東アジアのパワーバランスの現状を打破しようとしています。その実現のために、中国は自国が望む時に望むような形でイニシアティブをとることができます。どのような手を打つかを、中国側が自由に選べるのです。

一方、米国も日本もこれまでの国際システムを守ろうとする現状維持派です。だから中国の動きに対していつも受け身になってしまいます。

――中国の日本に対する当面の狙いはなんでしょうか。

ヨシハラ 中国はまず尖閣海域に恒常的なプレゼンスを確立して、日本側の施政権を突き崩そうとしているのだと思います。

つまり、尖閣諸島の水域に公艦を恒常的に配備し、日本側の領海や接続水域にいつでもどのようにでも入って行ける状態をつくることです。そして、そういう状態を内外に誇示していくことです。

そうなると、日本の尖閣諸島への施政権が揺らいできます。やがてはその施政権が突き崩されるおそれがあります。

――尖閣諸島に日本側の施政権があるとされるからこそ日米安保条約が適用され、尖閣が第三国の攻撃を受ければ、米国は日本と共同して反撃に出るということも誓約している。その施政権が空洞化したら、日本にとっては尖閣を失う事態にもつながりかねませんね。

ヨシハラ はい、そういうことにもなりかねません。中国は同時に、尖閣上陸に向けた軍事能力を築きながら、日本側の出方をうかがっているのだと思います。日本がどれほど強く反撃してくるのかを探っているのです。

日本も南シナ海に艦艇を

――日本側はどう出るべきだと思いますか。

ヨシハラ 日本はいま深刻なジレンマに直面したといえます。一定以上に強く出ると、中国はそれを理由にさらに強硬な行動をとりかねません。中国は日本に『挑発行動』をとらせたがっている気配があります。だから日本側は、尖閣諸島に人員を配置するなどの新たな措置は、当面はとらないことが賢明だと思います。

しかしその一方で、日本側が何も反撃をしないでいると中国はさらに侵入や威圧的な行動を強めてくるでしょう。日本が「自国領土が侵略されても何もしない」とみなされるのは重大な問題です。尖閣防衛のためには、艦艇の力や兵員の増強を進めることが欠かせないでしょう。

――それ以外に尖閣問題で何か効果的な打ち手はあるでしょうか。

ヨシハラ 中国への対抗策として日本が『水平エスカレーション』に出ることも効果的だと思います。南シナ海での中国の膨張に対し、日本がアメリカなどと協力して積極的に安全保障行動をとるという戦略です。例えば米国の空母部隊などを支援するような形で海上自衛隊の艦艇を派遣するのです。

日本が南シナ海で米国とともに安全保障行動をとれば、中国は威圧されたように感じるでしょう。そのことが、中国の尖閣諸島に対する威圧行動の抑止につながります。

自分たちが一方的な拡張政策をとれば必ず代償を払うことになる、ということを知らしめるのは、中国の膨張を抑えるのに大きな効果があるはずです。

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『「トランプ大統領」誕生を睨んだ安倍・プーチンウラジオ会談の意義』(9/10MONEY VOICE斎藤満)について

昨日の小生のブログにも書きましたが、ヒラリーが病院に緊急搬送されたというのはもう大統領選を戦えないのではという気がします。トランプが「銃規制者に行動を」と言って、ヒラリーの暗殺を教唆したと受け止められていましたが、病気で倒れる可能性を指摘した方が良かったでしょう。

http://mainichi.jp/articles/20160810/k00/00e/030/231000c

斎藤氏もヒラリーの健康問題、ベンガジ事件、それに連なるメールサーバーの私的使用問題、クリントン財団問題とスキャンダラスな問題を多く抱えているのを情報として取っていたのでしょう。次期米国大統領にトランプがなる可能性が高くなってきたとの判断です。

プーチンとトランプは相性が良いそうで、トランプの選挙参謀が親ロシア派のウクライナ政府のコンサルタントとして、金を貰っていたので辞任した事件もありました。自由主義諸国の真の敵=共産主義大国の中国を封じ込めることができるかどうかが、一番大事なことです。日米が中国を支援して怪物を作り上げたのですから、後始末はキチンとしませんと。ロシアはルトワックの言うように封じ込めの胆です。「一帯」を潰せますので。「一路」は米・印・日で防げます。斎藤氏はヒラリーが「反ロシア、反中国路線」と述べていますが、反中ではないでしょう。多額の裏献金を貰っていますので。日本としては自主防衛(含む核武装、北・中の脅威には核保有しかない)を促し、ロシアとの領土交渉(=平和条約締結)を認めるトランプの方が、日本の真の独立に繋がって良いと思います。

http://www.huffingtonpost.jp/2016/08/20/paul-manafort-resigns_n_11625034.html

日本のエネルギー問題については、メタンハイドレートの実用化を目標に据えて考えた方が良いでしょう。ロシアからのパイプライン敷設や電力網の敷設は生殺与奪の権をロシアに与えることになるので、石油やガスについては船での輸送とし、中東との競争の中で購入するようにした方が良いでしょう。

近衛文麿が終戦間近にロシアに調停を依頼しようとしたのは、大正時代(1915年)に、ロシアと同盟を結ぼうと山縣有朋が動いたことに淵源があるような気がします。ヤルタでスターリンとFDRが手を結んでいたにも拘わらずですが。

http://ktymtskz.my.coocan.jp/meiji/yamagata.htm

https://books.google.co.jp/books?id=5bTSy4BpkFAC&pg=PA111&lpg=PA111&dq=%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%81%A8%E5%90%8C%E7%9B%9F%E3%80%80%E5%B1%B1%E7%B8%A3%E6%9C%89%E6%9C%8B&source=bl&ots=qmfFKSdCyW&sig=yiO1Rx9vqqljnK3bA-5NXuRjBrc&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwiZrbmuyojPAhVFmJQKHRn2D8EQ6AEITjAI#v=onepage&q=%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%81%A8%E5%90%8C%E7%9B%9F%E3%80%80%E5%B1%B1%E7%B8%A3%E6%9C%89%E6%9C%8B&f=false

「国家間に永遠の友好はない。あるのは国益のみ」なので迂闊に相手を信じ込むのは危険です。米国と同盟を結んでいると言ったって元々は日本を監視するためですから。でなければ、日本全土にこれだけ米軍基地はないでしょう。それを分かったうえで、どう手を結んでいくかという事です。中国には「合従連衡」や「呉越同舟」と言った格言があります。国家の生存をかける訳ですから、相手が日本と同じ誠実さを持ち合わせていると思うのは間違っているでしょう。またロシアを中立条約破りの前例で危険視するのも間違っています。状況や環境の変化に併せて考えねば。ロシアと米国、インドとも日本の国益を考慮して、同盟を結び、台湾も同じく防衛同盟が結ばれれば良いと考えています。

記事

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Frederic Legrand – COMEO / Shutterstock.com

これまで日ロ外交が進みそうになると、大概、米国から横やりが入って、交渉がうまくいきませんでした。ところが今回は、米国から何ら圧力がかかっていないようです。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる) 1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2016年9月2日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。月初のご購読は得にお得です。

米国も密かに後押し?日ロ首脳会談に色濃く滲んだ「トランプ色」

日・米・露の関係に大変化

中国で4~5日にG20会合が開かれるのに先立ち、安倍総理は9月2日、ロシアのウラジオストックでプーチン大統領と会談し、大統領の12月訪日の予定を詰めると言われています。(注:12/15に決定)

その中で、日本によるロシアの原発施設への資金面も含めた協力など、経済面での相互協力の話し合いが進み、その先に日ロ平和条約、北方領土問題の進展が期待されています。

これだけオープンに日ロ外交が論じられること自体、大きな変化であり、新しい力の台頭を感じます。

これまで日ロ外交が進みそうになると、大概、米国から横やりが入って、交渉がうまくいきませんでした。

ところが、今回はラオスでの日米首脳会談が予定される直前の日ロ首脳会談であり、これに何ら圧力がかかっていないようです。

【関連】円高は本当に悪なのか?今、日本人に笑顔が戻りつつあるという皮肉=斎藤満

変わるパワーバランス

一体何が起きているのでしょうか。米国がオバマ政権の末期で、事実上すでにレイム・ダック化している面もありますが、次期大統領候補のトランブ氏を睨んだ動きとも取れなくありません。

クリントン候補がネオコン勢をバックに、反ロシア、反中国路線をとるのに対し、トランプ候補はロシアのプーチン大統領を評価し、親ロ路線を見せています。

さらにトランプ氏は、日本の防衛に関し、米国に2倍の金を払って米国に守ってもらうか、自力で守るかだと言い、日本の核武装さえ認める構えです。

日本がロシアの原発支援をし、必要ならロシアからウランやプルトニウムを購入し、日本が原爆を作成する道も開けます。核兵器の漸減を主張するオバマ政権の判断とは相容れないように思えます。

日本政府は「トランプ大統領」誕生を確信している?

ここにはいくつかの注目点があります。米国大統領選挙では、世情ではクリントン候補がリードと言われていますが、日本は「トランプ大統領」の情報を得ているのでしょうか。

そして日本の「核三原則」に対して、ロシア経由で核を入手するルートが開けると、日本自身の核保有の可能性が出てきますが、国民には何ら説明がなされていません。

そして北方領土問題に道が開けることは朗報ですが、ロシアは日本接近を探るプーチン大統領だけではないので、ロシアの対日戦略、アジア戦略にも十分な研究が必要です。

そして日本がロシアと接近することは、やはりロシアと近いイラン、シリア、トルコ、イスラエル戦略にも影響が出ます。

さらには、中国が包囲されることになり、中国の対日、対アジア戦略も変わってくる可能性があります。

何より、トランプ大統領になれば、これまでのような米軍依存というわけにはいきません。米国に代わる抑止力を、ロシア、インド、東南アジアとの連携の中から構築する必要がありますが、中国との緊張が高まる一方で、そちらの体制づくりは遅れています。

日本の外交は米国偏重のきらいがあり、一部親中国派からなる偏った体制にあります。今回のロシア外交も、米国の後押しもあるようで、日本が独自の外交力で動いているとも思えません。

世界のパワーバランスが変わろうとしているならば、日本の外交体制、戦略も機動的に修正する必要があります。

日本にとって大きなチャンス

一方、経済的には閉塞感の強まる今の日本を打開する大きなチャンスになります。核の問題は重要な問題であるだけに、国民の厳しいチェックが必要ですが、その他では新たなフロンティアが期待できます。

官邸もすかさず「ロシア経済分野協力担当大臣」を新設し、世耕経済産業相を兼務させる積極姿勢を見せています。

日本の成長に大きく寄与? 北方領土、そしてシベリアの可能性

まずエネルギー問題ですが、米国が支配してきた中東が、ロシアの影響力下に置かれた際に、日本は高価なシェール・ガスや中東のオイルに頼らなくとも、安価なロシアのガス、石油の輸入を増やすことができます。

エネルギー・コストはさらに低下し、日本の交易条件を良くします。

また、北方領土の使い方は様々ですが、拠点となる北海道や北方領土での開発投資は増えるはずです。

さらに、ロシアが望む東シベリア開発は、現地の資源が豊富で、それが日本の利用に供される道が開け、さらに従来永久凍土として使えなかった北シベリアから北極圏が暖冬で利用可能となり、北極海航路の利用も可能になります。

日本は人口が減り、国内市場はじり貧で投資の魅力がない一方で、ロシア、シベリアが日本の新たなフロンティアになる可能性があり、これが日本の成長にも大きく寄与する可能性があります。

米国の対ロ姿勢が緩んでいる時がまさにチャンスです。エネルギー分野だけでなく、ロシア、シベリア・ビジネスに関わりそうな企業をリスト・アップする必要がありそうです。

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『ヒラリーに降る「クリントン財団」の火の粉 国務長官当時の財団資金集めに絡む「利益相反」疑惑』(9/8日経ビジネスオンライン 高濱賛)について

ヒラリーの金の汚さもここに極まれりと言ったところでしょうか。強欲・嘘つき・傲慢の面目躍如です。

カリフォルニア大学バークレー校の政治学教授の「大使のポストをカネで買うなどということが他の国で罷り通るのだろうか。」という発言がありますが、中国では権銭交易でこれが当たり前です。勿論、大使以外の総ての職についてもですが。

本記事中の献金先に中国が出て来ないのはおかしいと感じました。非合法で貰っている可能性が高いのではと思い調べましたら、インドネシア華僑のリッポーグループから1000万$以上の裏献金(当然裏で中共が金を出している筈です)を貰っているそうです。この他にも中国のことですから、上手に賄賂を贈っていると思います。

http://www.huffingtonpost.jp/foresight/clinton-china_b_11670498.html

http://www.trendswatcher.net/03-2016/geoplitics/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E3%81%AE%E8%84%85%E5%A8%81%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8B%EF%BC%92%E3%81%A4%E3%81%AE%E6%98%A0%E7%94%BB-part1/

ザ・リアルインサイトが9/9に無料で公開した1時間20数分の動画の纏めを写真にしましたので貼り付けます。全部で6枚です。題は「既成支配層飽くなき膨張 ヒラリー勝利の場合」というもの。ここにもチャイナマネーに汚染されたヒラリーの話が出てきます。やはり日本にとってはトランプの方がマシな気がします。ヒラリーは9・11事件の式典中に倒れて緊急搬送されたとのこと。ヒラリー陣営は熱中症と言っていますが、嘘でしょう。ヒラリーは嘘つきで有名ですから。中国人のメンタリテイと一緒です。民主党は政策判断できない人間を大統領に据えて裏で操ろうとするのでしょうか?核ボタンを押す命令を出す人間です。米国人が選挙でどう判断するかです。健康でない人間をトップに選ぶなんて。日本の反日民進党(英文名は”Democratic Party of Japan”で of Japan以外は一緒です)の党首選でも本来その資格のない人間が出て優勢とのこと。反日民進党は外国人も代表選に投票できるそうで、外国人(中韓)がサポーターとして沢山入っているのでは。

http://torendosokuhou.com/archives/5043

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クリントン財団の会合でのスピーチするビル・クリントン元米大統領 (写真:AP/アフロ)

—ヒラリー・クリントン民主党大統領候補が本選で独走すると思っていたのですが、ここにきて、夫君ビル・クリントン元大統領と一緒に作った慈善事業団体に絡む「利益相反」(conflict of interests)疑惑が再浮上しています。疑惑は大統領選の行方に影響を与えるでしょうか。

高濱:ヒラリー氏の支持率は若干下がっています。が、「ヒラリー有利という状況に大きな変化があるとは思えない」(米大手紙政治記者)というのが専門家の大方の見方です。

クリントン財団は一族のレガシー

ご指摘のように、ここにきて、クリントン夫妻が設立した「クリントン財団」にまつわる疑惑が再燃しています。この財団は元々、ビル元大統領が「クリントン大統領記念図書館」の建設資金を集めるために設立したものでした。その後、慈善事業を行う非営利財団法人に模様替えし、現在ではスタッフ2000人を抱えるグローバルな組織になっています。

ヒラリー氏は2011年から15年まで、同財団の理事会メンバーでした。ビル氏と一人娘のチェルシーさんは今も理事をしています。会長は別にいるのですが、クリントン一族が事実上のオーナーであることに変わりはありません。

ビル大統領の下で働いたことのある元米政府高官の一人は、この財団とビル氏について筆者にこう話しています。「この財団は、ビル・クリントンとクリントン一族にとっての『リビング・レガシー」(living legacy=生きつづける遺産)だった。最初は自分の『大統領記念図書館』を作るつもりだったのが、その後、なにか<世のため、人のために活動を続けたい>と考えるようになった。これだけ世界規模でチャリティ活動をやっている米大統領経験者はほかにいない」。

「この財団をここまでの規模にしたバックにヒラリーの『内助の功』があったことは言うまでもない。その一方で、財団がいつの間にか、クリントン一族から『2人目の大統領』を送り出すためのベースキャンプ化していたことも否めない。働いている幹部たちはほとんどビル・クリントン政権やヒラリー・クリントン国務長官に仕えた側近連中ばかり。ここからヒラリー大統領選挙本部に『出向した』ものもかなりいる」

—クリントン財団疑惑が再燃した発端はなんですか。

高濱:保守系団体がとった法的措置でした。「ジュディシャル・ウォッチ」(Judicial Watch)という保守系団体が「情報公開法」に基づき、ヒラリー国務長官(当時)関連の未公開文書を開示するよう国務省に求めたのです。裁判所は国務省に開示を命じました。同団体は開示された文書を8月22日に公開しました。

その結果、ヒラリー国務長官側近とクリントン財団関係者との癒着を示す一連のメール交信が公けになったのです。 “New Abedin Emails Reveal Hillary Clinton State Department Gave Special Access to Top Clinton Foundation Donors,” Judicial Watch, 8/22/2016

トランプはFBIから独立した特別検察官を要求

トランプ氏は疑惑を解明すべく、米連邦捜査局(FBI)から独立した特別検察官を任命するよう司法省に正式要求しています。

身内である民主党の大物議員からも「クリントン夫妻はクリントン財団との関係を完全に断ち切れ」といった声が出ています。ディック・ダービン民主党上院院内幹事やベン・カーディン上院外交委員会筆頭理事らがその代表です。

「この際、米政界には『付きもの』の利益相反について、徹底的に精査すべきだ」(ニューヨークタイムズ)と主張する社説を掲げる有力紙も出ています。

果たして疑惑解明のための特別検察官が任命されるのか。「利益相反」を立証するに足る関係者証言や決定的証拠が出てくるのか。

ヒラリー氏がクリントン財団の利益のために国務長官の職権を乱用したことを立証できるのか。専門家の中には首をかしげる向きも少なくありません。「この疑惑は、法的なものというより、むしろモラル上の問題」(米主要シンクタンクの上級研究員)という指摘があります。

いずれにせよ、ヒラリー氏が何らかの手を打たない限り、9月26日から始まるクリントン、トランプ両氏の公開討論会で最大のテーマになりそうです。公開討論会の場でヒラリー氏が「クリントン財団との関係を即刻断つ」といった爆弾発言することも十分考えられます。 “Some Dems say Clinton must go much farther on foundation,” Alexander Bolton, thehill.com., 9/01/2016 “Cutting Ties to the Clinton Foundation,” The Editorial Board, New York Times, 8/30/2016

「クリントン王朝」だから起こりうる「利益相反」

—クリントン財団とヒラリー氏との関係について米国民はどう見ているのでしょう。

高濱:カリフォルニア大学バークレー校の政治学教授の一人は筆者にこう述べています。「ヒラリー氏は国務長官の時、一族の財団にこれだけこまめに国内外からカネを『誘導』していたんだから、彼女が大統領になったらどうなるのか。そんな危惧の念が米国民の間にある。

「歴代の大統領は多かれ少なかれ、大口の献金者に便宜を供与してきた。巨額の選挙資金を出した支持者を主要国の駐在大使や政府高官に任命するのは通例にすらなっている。誰も咎めたことがないが、大使のポストをカネで買うなどということが他の国で罷り通るのだろうか。

「通常、大統領職を終えた政治家はおとなしく、悠々自適な隠居生活を送る。だが、ビル氏の場合はちょっと違う。置かれた生活環境が他の大統領経験者とは違っていた。何せ、奥さんが現役バリバリの政治家で国務長官になったり、大統領になろうとしたりしていること自体、前代未聞だよ」

「だから、奥さんが公職に就けば、夫君が事実上、経営しているチャリティ団体のカネ集めを奥さんが手伝うのはむしろ当然だろう。無論、合法的な範囲内で、だ。『利益相反』疑惑が出てきても想定内の範囲だよ。ただ<ヒラリーよ、せめて大統領になったなら、そのへんのケジメだけはきちんとつけなさいよ>というのが民意だと思う」

設立以降20億ドル集める「巨大集金マシーン」

—クリントン財団は具体的にはどのような活動をしているんですか。

高濱:同財団は10の部門に分かれ、最貧国の貧者救済対策とか、地球温暖化防止とか、エイズ防止とか、で抜群の慈善活動を行ってきています。それは皆認めています。

慈善団体の活動を監視する機関「チャリティ・ウォッチ」によると、14年一年間の収入額は3億2500万ドル。そのうち88%はチャリティ活動に費やしています。スタッフ2000人の人件費は12%に抑えています。

「チャリティ・ウォッチ」はクリントン財団の活動について太鼓判を押しており、Aクラスの評価を与えています。 “Bill, Hillary & Chelsea Clinton Foundation,” Charity Watch Report, Issued April, 2016

ただ気になるのは、設立以来、これまでにざっと20億ドルを集めた「錬金術」です。なぜ、そんなにカネを集められるのか。それが「利益相反」疑惑の根っこにあるのです。

寄付・献金する外国政府は中東と西欧

—寄付や献金をする外国政府や要人はどんな人々ですか。

高濱:クリントン財団の運転資金はすべて寄付や献金で賄っているわけですから<カネを出すもの拒まず>です。寄付・献金者には外国政府はもとより世界中の富豪や大企業も含まれています。

これまでに同財団が公表したり、メディアの報道で明らかになったりした主な外国政府・企業・要人は次の通りです。

○外国政府 サウジアラビア、クウェート、カタール、オマーン、アラブ首長国連邦、アルジェリア、オーストラリア、ノルウェー、ドイツ、ドミニカ共和国、カナダ、ドイツ、オランダ、英国

○外国企業、要人 ギルバート・チャゴリー(レバノン系ナイジェリア人の富豪) ハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファ皇太子(バーレーン) ムハンマド・ユヌス(バングラデシュ、ノーベル平和賞受賞の経済学者・貧困層向け銀行創設) ロシア国有企業傘下のウラン採掘企業「ウラニウム・ワン」 民間軍事会社「ブラック・ウォーター・ワールドワイド」 張充聖・韓国繊維会社社長

—「利益相反」の疑いのあるケースはわかっているのですか。

高濱:メディアが断片的に報道しています。15年には、調査報道で有名なピーター・シュワイザー氏が著した「クリントン・キャッシュ」(Clinton Cash)がヒラリー氏および周辺の「利益相反」疑惑を仄めかしました。シュワイザー氏は著書の中で、(1)ロシア国営企業が米採掘会社を買収する際に当時国務長官だったヒラリー氏が便宜を図ったこと(後述)や、(2)献金の見返りとして、巨額のハイチ災害救済資金を米政府に出させたといった具体例を挙げています。そこに前述の「ジュディシャル・ウィッチ」の暴露があったわけです。 “Clinton Cash: The Untold Story of How and Why Foreign Governemnts and Business Helped Make Bill and Hillary Rich,” Peter Schweizer, Harper Collins Publishers, 2015 “New Book, ‘Clinton Cash,’ Questions Foreign Donations to Foundation,”Amy Choozick, New York Times, 4/19/2015

ビル元大統領に「開城スピーチ」を依頼した韓国企業

これまで明らかになった情報を基に検証すると、次のようなパターンがあります。外国国籍の富豪などからの要請は、ビル元大統領の側近でクリントン財団の役員だったダグラス・バンド氏経由で、ヒラリー氏の側近であるシェリル・ミルズ国務長官首席補佐官(当時)やヒューマ・アベディン同次席補佐官(同、現在はクリントン大統領選挙対策共同本部長)に伝達されています。

要請の内容は、ヒラリー国務長官(当時)との面談を求めるものから国務省高官への紹介依頼まで多方面にわたっています。いくつかのケースを以下記しておきます。

【例】レバノン系ナイジェリア人のチャゴリー氏の場合、クリントン財団に100万~500万ドルを寄付して、ヒラリー長官(当時)周辺に接近し、ナイジェリアに建てる米総領事館の建設地の選定をめぐって暗躍したとされています。

バンド氏はアベディン次席補佐官に「チャゴリーはレバノンでカギを握る人物だ」と伝え、「チャゴリーを重視せよ」というメッセージがジェフリー・フェルトマン駐ナイジェリア大使に伝達されています。

チャゴリー氏はその後、米連邦捜査局(FBI)によってヒズボラ・シンパと見なされて米入国を拒否されています。 “He was a billionaire who donated to the Foundation. Last year, he was denied entry into U.S.” Joseph Tanfani, Los Angeles Times, 8/28/2016

【例】ロシア国営企業「ロスアトム」はヒラリー氏が国務長官だった13年1月、米ウラン採掘会社「ウラニウム・ワン」(本社トロント)を買収した。ウランは国家安全保障上の戦略資源とされ、買収に際しては「外国企業対米投資委員会」の承認が必要だった。ヒラリー長官は同委員会のメンバー。同時期、「ウラニウム・ワン」のフランク・グストラ会長はクリントン財団に50万ドルの寄付をしています。たまたま時期が一致しただけとはどうも思えません。 “Cash Flowed to Clinton Foundation amid Russian Uranium Deal,” Jo Becker, New York Times, 4/23/2016

【例】韓国人の張氏は、北朝鮮開城工業団地に進出した自社の工場内に教会堂を建てた際、献堂式でビル元大統領にスピーチをしてくれるよう、トニー・ロドハム氏に要請しました。ロドハム氏はヒラリー氏の末弟で、クリントン財団に出入りしていました。ロドハム氏は再三にわたり、ミルズ補佐官に働きかけました。外交関係のない北朝鮮に行くには国務省の特別の許可が必要だったからです。この件は、ミルズ補佐官が拒否したため実現しませんでした。

張氏は1996年、ビル氏が大統領選で再選した時には10万ドルのご祝儀を出しています。ヒラリー氏が06年の上院選に再出馬した際には、韓国系米国人の知人を通じてヒラリー氏に10万ドルの政治資金を出しています。外国人からの政治献金は法律上許されていないためです。

これらの政治資金はビル氏やヒラリー氏に直接送られたものでクリントン財団とは関係のない話と思われるかもしれません。しかし、前述のように、ビル氏に対する「開城スピーチ」の依頼は当時、財団のスタッフだったヒラリー氏の末弟から国務省に出されていました。少なくとも張氏はビル、ヒラリー氏と財団は表裏一体と考えていたわけです。 “Clinton Foundation pushed State Dept. on Bill Clinton speech in North Korea,” Sarah Westwood, Washington Examiner, 8/16/2016

避けられないクリントン財団との完全断絶

—ヒラリー氏はこれから「利益相反」疑惑にどう対処するのでしょうか。

高濱:クリントン財団との関係についてヒラリー氏はこれまで節目節目で手を打ってきました。

国務長官に就任した際には、クリントン財団と自分との関係をはっきりさせるために国務省との間で「倫理協定」に合意しました。その際に同財団にカネを出す大口献金者のリストを公表しました。慈善団体ですので献金者リストを公表する義務はなかったのですけれども。いわば、「利益相反」に触れるようなことはしないという約束事です。もっともその協定があるにもかかわらず、今疑惑を呼んでいるわけですが…。

2回目は、15年4月12日に大統領選に立候補した際のこと。財団はオーストラリアやカナダ、ドイツ、オランダ、ノルウェー、英国以外の外国政府からの寄付・献金は受け取らない方針を発表しました。つまり人権抑圧だとか、独裁体制だと言って批判される可能性のある中東諸国とは縁を切るというわけです。

そして8月18日には、ビル元大統領が「ヒラリーが大統領に就任したのち、いかなる外国政府や企業からも寄付や献金は受け取らない」と明言しました。クリントン陣営は疑惑の火の粉が広がるのを抑えるのに躍起となっています。 “If Hillary Clinton Wins, Foundation Will Stop Accepting Foreign Donations ,”Amy Chozick. New York Times, 8/18/2016

ただ、これで押し寄せる疑惑をかわし切れるかどうか。

ワシントンポストの著名な黒人コラムニスト、ユージン・ロビンソン氏は、ずばりこう指摘しています。「ヒラリー氏は大統領になる資格などまったくない男(トランプ氏のこと)と、今大統領選を戦っている。この男を大統領にしてはならない。彼女はこの選挙に絶対に勝たねばならない。だからこそ、後ろ指をさされるようなことはしてはならないのだ」。

ヒラリー氏が、火の粉が広がる前に出来るだけ早く、クリントン財団との関係を断ち切ることができるかどうか。ここは正念場です。 “Hillary Clinton must learn from her mistakes,” Eugene Robinson, Washington Post, 8/29/2016

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『「中国のスワップ」を信じられなくなった韓国 それでも「海洋側」には戻らない』、『5年前、韓国は通貨スワップを「食い逃げ」した 日本は「偽装転向者」とどう付き合うのか』、『北朝鮮、5回目の核実験 韓国の「予防攻撃論」や「核武装論」に拍車』(9/8・9・10日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

本当に日本人は愚かになったとしか印象が残りません。自分の名誉が傷けられていても知らん振りできるのですから。何をか況やでしょう。出世を考えないサラリーマンはいないでしょうけど、もっと骨があっても良いのでは。クソみたいな韓国(=敵国)の言うことを何故聞くのか理解できません。民間でも交渉事項は社益を最大限にと丁々発止するのですが、外務省にはそれが見えません。税金泥棒でしょう。まだ小生が交渉した方がうまく行くのではと思ってしまいます。外務省は「席を立つ」事を覚えなければ。交渉テクニックの一つなのに、馬鹿の一つ覚えのように「誠実」しか知りません。相手に舐められるのがオチでしょう。

バイデンはアホの骨頂でしょう。自分が一番賢いと思っている愚かな人間です。でなければ、国際法違反である「日本国憲法を我々が作った」など言える筈もありません。驕っているとしか言えません。所詮、FDRの残党の棲む民主党ですから。韓国は通貨スワップが与えられるのが当たり前と思っていたら大間違いです。もし、認めたとしたら、自民党は次の選挙を覚悟した方が良い。「こころ」か「日本一」に保守派は流れるでしょう。安倍内閣は敵を利することしかできない内閣、米国の言いなりになるしかない内閣の烙印を押されます。

韓国の核武装の話だけでなく、日本にも核武装の議論がもっとあって然るべき。それを押える勢力があって、その意のままに動いているというのにもっと気が付かないとダメでしょう。米国・ロシア・中国は日本の核保有には反対するに決まっています。当たり前で、自国の安全が脅かされるのですから。米国はインデイアン虐殺、黒人奴隷、日系人収容所、原爆投下、ロシアは欧州と同じくポグロムやスターリン粛清、中国は大躍進時の国民餓死、文化大革命時の紅衛兵の暴虐等歴史的に見て、非道な振る舞いをして来ました。敗戦国日本に罪を擦り付けようとしてきたのが、南京虐殺や従軍慰安婦の問題です。敵国から刷り込みを受けていつまでも変わらないのは、愚の骨頂です。特に今でも朝日新聞を購読している人は日本人の名誉を傷つけるのに手を貸し、尖閣の侵略を許容するものと思わなければ。購読を止めて経営者に思い知らせないと。

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biden

米国のバイデン副大統領は日韓の“調停”に動いたが、日米に屈したと思われたくない韓国は、その労を公には認めない(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

突然、韓国が通貨スワップの締結を日本に頼んできた。中国と結んだスワップを頼りにできるのか、疑い始めたのだ。

中韓スワップは反故に?

—8月27日、日韓両国が通貨スワップ再開で合意しました。

鈴置:厳密に言えば「再開に向け協議することで合意した」のですけれどね。

—「日本のスワップなど要らない」と韓国は言っていました。態度を急に変えたのは、やはり米利上げ観測が原因ですか。

鈴置:韓国の政府もメディアもそう言います。でも、それは「誤魔化し」です。米国がいずれ利上げに動くことは前から分かっていた。韓国が日本に頭を下げてきた本当の理由は、中国との関係悪化です。

7月8日、韓国は地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD=サード)の在韓米軍への配備を正式に認めました。中国は自分を狙う兵器として、絶対に認めるなと韓国に圧力をかけていました。

THAADは習近平主席が直接、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に命じていた案件です。中国のメンツは大いに潰れました。

中国はありとあらゆる手段を動員し「報復するぞ」と韓国を脅し上げました(「習近平の『シカト』に朴槿恵は耐えられるか」参照)。

「環球時報が中国政府に建議した『5つの対韓制裁』」をご覧下さい。ここには「韓国が通貨危機に陥っても通貨スワップを発動しない」とは書いてありません。

■環球時報が中国政府に建議した「5つの対韓制裁」

(1)THAAD関連企業の製品の輸入禁止 (2)配備に賛成した政治家の入国禁止と、そのファミリービジネスの中国展開の禁止 (3)THAADにミサイルの照準を合わせるなどの軍事的対応 (4)対北朝鮮制裁の再検討 (5)ロシアとの共同の反撃

注)環球時報の英語版「Global Times」では「China can Counter THAAD Deployment」(7月9日)で読める。

でも、「こんなに露骨に報復を唱えるのなら、スワップの約束も反故にするのではないか」と、市場関係者なら誰もが考えます。それを一番懸念しているのは、韓国の通貨当局と思います。

ただ素直にそう言えば、日本に足元を見られると韓国は警戒しているのでしょう。一方、「米利上げ」を理由にすれば、これは日本にも影響のある話ですから「日韓双方のためのスワップ」と言い張れると考えたと思います。

「素っ裸」の韓国

—中韓スワップ協定には「韓国が反中的な行為をしたら発動しない」との条項が入っているのですか?

鈴置:細かな条文は発表されていないので、分かりません。でもそんな条項がなくとも、韓国が中国の怒りを解かない限り、スワップは発動されない可能性もある、と専門家は読むものです。

普通の国なら、他国に常識外れの報復をすれば自らの品位も傷つくと懸念します。でも、品位があると見られていない国は、そんな心配はしません。やりたい放題です。

9月3日、オバマ(Barack Obama)大統領が中国・杭州での20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に参加した時の話です。国家指導者が飛行機から降りる際に使うレッドカーペットの敷かれたタラップが提供されませんでした。

英ガーディアン(The Guardian)は「Barack Obama ‘deliberately snubbed’ by Chinese in chaotic arrival at G20」で、中国と南シナ海などで対立を深める米国への嫌がらせであると報じました。世界は児戯に等しいことをするとあきれました。

—確かに、中国ならスワップの約束も簡単に破りそうですね。

鈴置:実際に約束が破られなくとも「中韓スワップが怪しくなったな」と世間に見られるだけで、韓国にとっては大きなマイナスです。

「韓国の通貨スワップ」を見れば分かる通り、中国とのスワップは2国間スワップの70%弱を占めます。完全に「中国頼み」なのです。

韓国の通貨スワップ(2016年9月7日現在)

相手国 規模 締結・延長日 満期日
中国 3600億元/64兆ウォン(約560億ドル) 2014年 10月11日 2017年 10月10日
UAE 200億ディルハム/5.8兆ウォン(約54億ドル) 2013年 10月13日 2016年 10月12日
マレーシア 150億リンギット/5兆ウォン(約47億ドル) 2013年 10月20日 2016年 10月19日
豪州 50億豪ドル/5兆ウォン(約45億ドル) 2014年 2月23日 2017年 2月22日
インドネシア 115兆ルピア/10.7兆ウォン(約100億ドル) 2014年 3月6日 2017年 3月5日
CMI<注> 384億ドル 2014年 7月17日  

<注>CMI(チェンマイ・イニシアティブ)は多国間スワップ。IMF融資とリンクしない場合は30%まで。 資料:ソウル新聞「韓国の経済体力は十分」(2015年2月17日)

そして、中国とのスワップもそうですが、残りの30%もドル建てではなく、ローカルカレンシー同士のスワップに過ぎません。いざという時に非ドル建てスワップの効果があるのか、疑問視する向きも多い。

スワップという金融の防壁を失った韓国は今、資本逃避という嵐の前で「素っ裸」になりました。世界のどこかで金融不安が起きたら、韓国からドルが流れ出す可能性がぐんと高まったのです。

「瓢箪から駒」のTHAAD容認

—日本が韓国のスワップ要請に応じたのは「韓国が中国を離れ、米国や日本側に戻ってきた」との認識からでしょうか。

鈴置:それは完全に誤解なのですけれどね。韓国は海洋勢力側に戻ってはいません。THAAD配備を容認したのも「瓢箪から駒」の偶発的な出来事でした。

韓国の親中派が突然、「配備拒否」に動いた。焦った「配備派」が急きょ巻き返し、大統領の承認を無理やりに取り付けたのです(「『中国陣営入り』寸前で踏みとどまった韓国」参照)。

だから配備場所もまだ決められず、韓国の各地で反対運動に見舞われています。朴槿恵大統領自身が後戻りする可能性も出てきました。

9月5日に杭州で習近平主席と会談した際、朴槿恵大統領は以下のように語りました。聯合ニュースの「朴大統領 習主席に『北の核問題解決すればTHAAD不要』」(9月5日、日本語版)から引用します。

  • THAADは北の核とミサイルに対応する手段として配備するのであり、第三国の安全保障上の利益を侵害する理由も必要もない。北の核・ミサイル問題が解決すれば(THAADは)必要ない。

THAADも元の木阿弥か

—THAADは必要ない、ですか。

鈴置:韓国メディアはこの発言を「条件付き配備論」と呼び始めました。「対北制裁をもっと厳しくする」くらいの口約束を中国から貰えば、それを米国への言い訳にして「配備保留」の姿勢に戻る作戦、と見る人もいます。

「THAAD配備について再び曖昧な姿勢を取ることで、米国から怒られないようにしつつ、中国の報復を逃れる」のが狙いです。もちろんそうなれば、配備派や米国にとって「元の木阿弥」ですが。

実は、今回の中韓首脳会談の少し前から、THAAD問題も含め米中間では立場をはっきりさせない「曖昧戦術」に韓国政府が復帰するとの観測が高まっていました。

8月に入り、朝鮮日報の金大中(キム・デジュン)顧問や東亜日報のホ・ムンミョン論説委員ら有力記者が相次いで「曖昧戦術」に言及しています(「二股外交の失敗が加速する『韓国の核』」参照)。

バイデンは調停委員

—従軍慰安婦問題で、韓国政府は国民の反対を押し切って日本と合意しました。日本側に戻ったとは言えませんか?

鈴置:それも誤った認識です。そもそも韓国の要求が無理筋だったのです。日本は何度も謝っておカネも出している。

というのに、また日本を叩いて国民の楽しみに供そうとしたので、さすがに日本も怒りました。日本が韓国の思い通りにならないのは、当たり前なのです。

それに慰安婦合意で韓国は「日本」ではなく「米国に屈した」のです。離米従中の言い訳にまで「慰安婦」を使うので、米国も怒って韓国に圧力をかけました。

2015年2月には、当時のシャーマン(Wendy Sherman)国務次官が「政治指導者が過去の敵を非難し、安っぽい拍手を受けることは容易なことだ。しかし、そんな挑発は発展ではなく、マヒをもたらす」と演説するに至った(「『米大使襲撃』で進退極まった韓国」参照)。

もちろん韓国政府は「慰安婦合意は米国の圧力の結果だ」とは絶対に認めない。二股外交で米中を操っていると国民に宣伝してきたのに「米国に屈した」ら、虚構が崩れてしまいます。

でも最近、米国のバイデン(Joe Biden)副大統領が「自分が慰安婦問題で日韓をまとめた」と明かしました。米誌「アトランティック」(The Atlantic)電子版(2016年8月26日号)で以下のように語っています。

  • Or, you know, [Korean President] Park [Geun-hye] and [Japanese Prime Minister Shinzo] Abe. I go to see Abe and he says to me, “Will you help me with Park?” And I call her and say, “Will you do this?” And I don’t negotiate the agreement, but the end result was, because I had a personal relationship with both of them and they trusted me, I could be an interlocutor, that was more like a divorce counselor, putting a marriage back together.

「安倍に会ったら『朴との関係を助けて欲しい』と言われた」「そこで朴に『こうするつもりはないか』と電話した」「自分は結婚生活を元に戻す調停委員の役割を果たした」――というわけです。

相変わらず告げ口外交

—「結婚生活は元に戻った」のではないですか。

鈴置:バイデン副大統領がそう思っても、朴槿恵大統領はそうは思っていないようです。「米国と、その後ろにいる日本に屈した」のがよほど不快だったのでしょう。

2015年12月28日の「慰安婦合意」で日韓両国はこの問題に関し「最終的かつ不可逆的に決着する」と約束しました。

しかし、朴槿恵大統領はその後も世界に向かって「日本は反省していない」と告げ口外交を展開しているのです。

例えば、ブルームバーグ(Bloomberg)通信の2016年3月30日の書面インタビューで「日本が歴史を直視しないことが日韓の未来志向的な関係の発展を妨害している」と述べています。

Park says South Korea Must Rid of the World Nukes, Not Develop Them」という記事の最後のくだりが以下です。

  • “The issues related to history have continued to be a stumbling block to the development of a future-oriented bilateral relationship,” Park said of Japan, a nation that occupied the peninsula for 35 years until its surrender in 1945. Japan should “squarely face history and make efforts to properly educate future generations without forgetting past wrongdoings.”

今後、もし米国からの圧力が弱まって、もっと中国側に傾くことになったら韓国は「慰安婦合意」など、いとも簡単にひっくり返すでしょう。

(次回に続く)=9月9日(金)掲載予定

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2012年8月10日、李明博大統領は竹島に上陸。前年に日本のスワップ枠のお陰で通貨危機を乗り切った後の掌返しだった(写真:代表撮影/AP/アフロ)

前回から読む)

日本と韓国が通貨スワップ再開に向け協議を始める。5年前のスワップは結んだ途端、韓国が掌返し。「慰安婦」を蒸し返したうえ大統領が竹島に上陸。さらには天皇陛下に謝罪まで要求したのだが……。

日本に実利なし

—前回は中国との関係悪化に悩んだ韓国が、日本にスワップを頼んできたということでした。

鈴置:朴槿恵(パク・クンヘ)政権の二股外交が破綻、韓国は米中双方からにらまれた。そこで突然に態度を変えて、日本にすり寄って来たのです。

ウォンは弱い通貨なので、韓国からはしばしば資本が逃げ出します。韓国はいざという時に外貨を誰かから借りる仕組み――通貨スワップが必要です。

でも、関係の悪化した米国は容易には結んでくれそうにない。中国には通貨スワップを結んでもらっているけれど、発動してくれるか分からなくなった。

そこで日本にスワップ締結を頼んだのです。なお、日本が外貨不足に陥るとは当面、考えにくい。日本にとっては実利のないスワップです。

「傾中」の歯止めにならない

—韓国を海洋勢力側に引き付けておくために、日本が通貨スワップを提供する必要がある、と言う人がいます。

鈴置:確かに、そう言う人が日韓双方にいます。韓国の中央日報も「韓日通貨スワップ、話を切り出してすぐに受け入れた日本」(8月29日、日本語版)でそう主張しました。文章を整えて引用します。

  • 崇実(スンシル)大学のオン・ギウン教授(経済学)は「中国の影響力が過度に大きくなるのを牽制するために、日本も韓国との協力を強化する必要がある」と話した。

韓国が一方的に頭を下げているのではない。日本にも外交的な利益になる――との主張です。でも、韓国がこう考える以上「韓国を引き付けておく」スワップは、逆効果になる可能性が大きい。

この記事も書いている通り、韓国は「引き付けておく」意図を見透かします。すると「我が国が中国側に行くのを米国や日本は恐れている。それなら海洋勢力に対し、もっとわがままを言っても大丈夫」と強気になるからです。

THAAD騒動の発端になった、中央日報の金永煕(キム・ヨンヒ)国際問題大記者の記事を思い出して下さい。以下が肝心な部分です(「『南シナ海』が加速させる『韓国の離脱』」参照)。

・正解はTHAAD配備の放棄だ。韓米関係は若干の後退を容認するだけの余地がある。韓中関係にはそのようなマージンがない。

要は、THAADを拒否しても米国はそれほど怒らない。半面、中国は恐ろしい国だ。何をして来るか分からない。だから、中国の言うことを聞いて、米国の要請を拒否しよう――との主張でした。

「10億円」貰えるなら即、竹島へ

—韓国は「より恐ろしい国」の言うことを聞くのですね。

鈴置:その通りです。好意を見せると「弱い国」と見なされます。すると好意が踏みにじられるのです。

ソウルの日本大使館前の慰安婦像に関しても、日本は韓国に誤解を与えています。「慰安婦合意」で「韓国政府は慰安婦像の撤去に努力する」と約束していました。

だから、政府も一部メディアも韓国側は「韓国の約束不履行を理由に、日本が元慰安婦を支援するための10億円の支払いを渋るのではないか」と懸念していました。

ところが、移転するメドが一切、立たない段階で日本が10億円を支払いました。胸をなでおろした韓国側は「日本は押せば引く」と自信を持ったのです。

「『慰安婦の10億円拠出合意』直後の動き」を見て下さい。日本が10億円支払うと分かった途端、韓国の国会議員団は竹島を訪問すると発表しました。裁判所も、途端に新日鉄住金など日本企業にカネを払えと判決を下しました。

  • 「慰安婦の10億円拠出合意」直後の動き(2016年8月)
12日 日韓両外相、慰安婦合意に基づく10億円拠出で合意
15日 韓国与野党の国会議員団10人、竹島に上陸
19日 ソウル中央地裁、元徴用工裁判で新日鉄住金に1億ウォンの支払いを命令
25日 ソウル中央地裁、元徴用工裁判で三菱重工業に14人の遺族に1人当たり9000万ウォンの支払いを命令
27日 日韓財務対話で、通貨スワップ再開に向けた協議開始で合意

慰安婦像に関しても韓国政府は「食い逃げ」コースに入りました。外交部の林聖男・第1次官は9月6日、国会答弁で「政府も国民世論を把握しながら動くため、今の段階では政府が前に出てこの問題を推進する考えはない」と述べています。

もう、何をやっても「韓国のせいで慰安婦合意が壊れた」とは言われない、と考えたのでしょう。いかにも韓国らしい。

李明博の食い逃げ

—そう言えば、日本が2008年にスワップを付けた時も、韓国は「遅い」「少ない」と文句を付けてきましたね。

鈴置:それだけではありません。韓国は「食い逃げ」しました。2011年秋、欧州金融危機の再燃でウォンが急落。韓国は通貨危機に怯えました。

この時も日本に泣きつきました。30億ドルだったスワップ枠を2011年10月、一気に700億ドルに引き上げてもらいました。これは抗生物質のように劇的に効きました。ウォンも株も戻しました。

すると、当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領は直ちに掌返ししました。同年12月の日韓首脳会談で突然、「慰安婦に補償しろ」と言い出したのです。

翌2012年8月10日には竹島に上陸。さらに同月14日には「日王(天皇)が韓国に来たければ、独立運動家に謝罪せよ」とも発言しました(「韓国の主な『卑日』」参照)。

韓国の主な「卑日」

「従軍慰安婦」像設置
2011年12月14日、韓国挺身隊問題対策協議会がソウルの日本大使館前に「従軍慰安婦」像を設置。日本政府が抗議したが、ソウル市と韓国政府は無視。その後、韓国と米国の各地に相次ぎ設置された。「像」以外に「碑」も世界中で立てられている。2014年1月には仏アングレームの国際漫画祭で、韓国政府主導の慰安婦をテーマにした企画展が開催。
大統領の竹島上陸
2012年8月10日、李明博大統領が竹島に上陸。日本政府は抗議し駐韓日本大使を一時帰国させた。同月13日これに関連、李大統領は「日本の影響力も昔ほどではない」と発言。同月17日、野田佳彦首相がこの問題に関し親書を李大統領に送るが、同月23日に韓国政府は郵便で送り返した。
天皇謝罪要求
2012年8月14日、李大統領が天皇訪韓について「独立運動をした人に心から謝罪をするのならともかく(昭和天皇が使った)『痛惜の念』だとか、こんな言葉1つなら、来る必要はない」と発言。
対馬の仏像窃盗
2012年10月8日、韓国人が対馬の仏像と教典を盗んだ。2013年1月に韓国の警察が犯人の一部を逮捕、仏像2体を回収。しかし韓国・大田地裁は「韓国から盗まれた可能性がある」と日本に返さず。2015年7月18日に1体だけ日本に返還。
中国人放火犯の本国送還
2013年1月3日、ソウル高裁が靖国神社放火犯の中国人を政治犯と認定、日本に引き渡さない決定を下した。日本政府は日韓犯罪人引渡条約をたてに抗議。犯人は2011年12月26日の靖国放火の後、2012年1月8日にソウルの日本大使館に火炎瓶4本を投げ、逮捕されていた。
朴大統領の「告げ口外交」
2013年2月の就任似来、朴槿恵大統領は世界の首脳やメディアに会うたびに、安倍晋三首相の「歴史認識」など日本を批判。
産経元支局長起訴
2014年10月8日、ソウル中央地検が産経新聞の加藤達也元ソウル支局長を在宅起訴。容疑は「大統領に関し虚偽の事実を報じ、名誉を棄損した」。報道の元となった朝鮮日報の記事に関してはおとがめなし。同年8月7日からの加藤元支局長への出国禁止措置は2015年4月14日に解除。12月17日、1審で無罪判決、5日後に確定。
安倍首相の米議会演説阻止
2015年2月に聯合ニュースが「在米韓国人、演説阻止へ」と報道以降、韓国は大統領、外相、国会議長、学者らが世界の要人を対象に、同年4月の安倍首相の米議会演説を阻止する運動を展開した。阻止できないと判明後は、演説に慰安婦への謝罪を盛り込ませるよう米国に要求した。メディアも連日、阻止キャペーンを張った。韓国の国を挙げての筋違いで執拗な要求に、米政界では「韓国疲れ」という言葉が使われた。

日本から獲れるモノを獲ったら、態度をがらりと変えるのが韓国という国です。スワップを再開したら関係が良くなるとは限りません。むしろ悪化すると考えた方がいい。朴槿恵大統領の竹島訪問を後押しするかもしれません。

5年ごとの王朝交代

—でも、そんなことをしていたら韓国は信用を失います。

鈴置:韓国社会は「信用を積む」という観念に乏しいのです。企業同士の取引でも契約は平気で無視される。びっくりした日本企業が文句を言っても「状況が変わった」と言い返されるだけ。

—目先はともかくも、長期的な韓国の国益を毀損しませんか。

鈴置:損してもいいのです、政権にとっては。自分の時だけうまくやればいい。次の政権がうまくやれない方がむしろいいのです。

2018年に江原道・平昌(ピョンチャン)で冬季五輪が開かれます。問題が噴出し、韓国では日本との共催案――要は、面倒は日本に押し付けようとのアイデアまで浮かびました。でも、現政権は問題解決に本腰を入れません。

開会式は朴槿恵大統領の任期中に開かれます。しかし、2018年2月25日の閉会式は次期大統領が仕切ります。成功しても現政権の手柄にはならないのです。

神戸大学大学院の木村幹教授は「韓国の政権交代とは小さな王朝交代である」と喝破しておられます。韓国では5年ごとに王朝が替わるのです。至言と思います。

まかり通る半可通

—通貨スワップによって日本も得する、との意見を聞いたことがあります。

鈴置:半可通の意見です。「韓国に通貨スワップを付ければ、ウォン安に歯止めをかけることができる。輸出市場で製品が競合する日本はウォン安を防いだ方が得だ」という説です。

ウォンはマーケットから攻撃されやすい通貨です。経済規模に比べ、韓国には大量のホットマネーが入り込んでいる。そのうえ、外貨準備の流動性が低い。いったん外貨が流れ出だすと歯止めがかからないという弱点があります。

韓国の金融当局が通貨安に誘導している最中に、世界的な金融危機が発生すると、ウォンのパニック売りが起こりやすい。実際、この現象は2008年に発生しました。

つまり、世界経済の雲行きが怪しくなった時、韓国は通貨安に誘導したくても、おいそれとはしにくいのです。

反対に、日本とスワップを結んでもらえれば、安心して通貨安に持っていけます。これが2009年以降の状況です。スワップがあればこそ、ウォン安にできるのです。

「反日」したらスワップ破棄

—でも、1997年の通貨危機の際にはウォンが暴落しました。

鈴置:本格的な通貨危機になれば、確かにそうなります。でもその時は金融システムそのものが破壊されます。

通貨がいくら安かろうと、輸出ドライブをかけるはずの企業がバタバタと倒産してしまうのです。1998年にこの現象が起きました。

—「日本の輸出を維持するために韓国とスワップを結ぶ」という理屈はかなり怪しいのですね。

鈴置:この理屈はマーケットを知らない役人や政治家がよく唱えます。誰かに吹き込まれたか、聞きかじりでしょう。

—では、日本はどうすればいいのでしょうか。

鈴置:どうしても韓国にスワップを付けたければ「反日的な動きをしたら、スワップは破棄する」との条項を入れたうえ、公開しておく手があります。

告げ口外交など「卑日」に韓国が動いたら、マーケットは「日韓スワップは消滅する」と読みます。世界経済の状況が悪ければ、韓国から資本逃避が起きます。これへの恐怖から、韓国は「食い逃げ」しにくくなります。

あるいは、スワップの期間を半年とか3カ月に短縮する方法があります。韓国が「反日」「卑日」をしたら更新しないわけです。

1年以上に設定するから「自分の任期中はカバーされる」などと考え「食い逃げ」する大統領が出るのです。

—スワップ協定に「卑日条項」を入れるなんて、先例はあるのですか?

鈴置:ないと思います。でも「慰安婦合意」には「韓国は蒸し返せない」との条項を入れました。これも異例のことです。

韓国相手には、普通のやり方ではうまくいかないのです。約束や契約が尊重される国ではない――法治国家ではないのです。中国と同じです。

日韓スワップは中国への裏切り

—韓国は本心から海洋勢力側に戻ってはいない。偽装転向、ということですね。

鈴置:ざっくり言えば、そういうことです。今は中国とのスワップが信じられなくなって、日本にすり寄っている。でも韓国は少なくとも金融面では完全に中国ブロックに属しています。

通貨スワップも中国頼み。米国が入るなと言ったAIIB(アジアインフラ投資銀行)にも積極的に参加した。今回の日韓スワップを報じる韓国メディアに、彼らの本音が見え隠れしています。

中央日報の「韓日財務相会談…韓中関係の亀裂で韓日通貨スワップ再開か」(日本語版)をご覧下さい。関連する部分を文章を整えて引用します。

  • 「通貨同盟」たるスワップを巡る韓日中の力学関係を勘案すると、韓国としては日本とのスワップ再開が中国との関係に及ぼす影響も考慮するほかない。

「日本とスワップを結ぶと『裏切った』と中国からにらまれるのではないか」と韓国人は恐れているのです。

聯合ニュースの「米利上げ可能性が高まり…韓日通貨スワップ電撃再開」(8月27日、韓国語版)も、その懸念を吐露しています。

  • ソン・テヨン延世大教授は、韓日通貨スワップ再開により韓中関係が影響を受けるとの一部の憂慮に対し「スワップは中国の経済的な側面に危害を与えるものではない」と述べた。

気分はもう「中国圏の一員」

韓国には「中国圏の一員」との意識がしっかりと根付いています。そこで日本とスワップを結べば「裏切り」と中国に叱責されると恐れた。それに対し、ソン・テヨン延世大教授は「実害がないから中国は怒らない。大丈夫だ」と説明しているわけです。

日本に揉み手をしながら近づいてきても韓国はもう、すっかり中国側の国なのです。中国との関係が改善すれば、またスワップを発動してもらえると安心して、日本には後ろ足で砂をかけるでしょう。

韓国に好意を示せばいい関係が生まれると期待してはいけません。次にスワップを食い逃げされたら「またも騙された」と日本人が不快になるのは確実です。それが嫌なら韓国とは間合いをとって付き合う方がいいのです。

(次回に続く)

9/10記事

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北朝鮮の5回目の核実験が韓国の核武装論に火をつける(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

9月9日午前9時半ごろ、北朝鮮が5回目の核実験を実施した。韓国で高まっていた予防攻撃論や核武装論に、一気に火がつくのは確実だ。

核弾頭を思いのままに必要なだけ

9月9日午後、北朝鮮は5回目の核実験に成功したと発表した。朝鮮中央テレビは「戦略弾道ミサイルに装着するための標準化、規格化された核弾頭の構造と動作、特性、性能と威力を最終的に確認した。より打撃力の高い各種核弾頭を、思いのままに必要なだけ生産できるようになった」と誇った(朝鮮日報「速報・北の朝鮮中央TV『核実験に成功、思いのままに核弾頭生産が可能に』」=9月9日、韓国語版=参照)。

韓国の国防部関係者は同日午前「核実験によると見られる地震の規模はマグニチュード5.0。核爆弾の威力は(TNT換算)10キロトン程度と推定され、これまでで最大の規模である」と記者団に説明した。

  • 北朝鮮の核実験
回数 実施日 規模
1回目 2006年10月9日 M4.2
2回目 2009年5月25日 M4.7
3回目 2013年2月12日 M5.1
4回目 2016年1月6日 M5.1
5回目 2016年9月9日 M5.3

(注)数字は実験によって起きた地震の規模。米地質研究所の発表による。

これを伝えた聯合ニュース「北、政権樹立日に5回目の核実験…軍、10キロトンの威力と推定」(韓国語版、9月9日)によると、今年1月の4回目の核実験の威力は6キロトンだったという。

この記事は科学技術研究院のイ・チュングン研究委員の「威力は10-20キロトンと推定される。この程度の威力があれば核弾頭として十分に使える」との発言も伝えた。

運搬手段も着実に確保

北朝鮮は核弾頭の運搬手段も着々と整備している。8月24日には日本海で潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)を1発、試射した。

500キロほど飛行したため、専門家は一様に、北朝鮮がSLBMの実用化にメドを付けたと見なした(「韓国が目論む『2020年の核武装宣言』」参照)。

9月5日にも「ノドン」と見られる弾道ミサイル3発を東北東に向け発射。約1000キロ飛行し、日本の排他的経済水域(EEZ)内の北海道・奥尻島の西、約200―250キロに落ちた。

2016年1月の4回目の核実験以降、韓国では堂々と核武装が語られ始めている。最大手紙の朝鮮日報が先頭に立って「核保有を検討しよう」と訴えた(「やはり、韓国は核武装を言い出した」参照)。

8月24日のSLBM成功の後には、核武装論の声がさらに増した。THAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)などの核ミサイルを撃ち落とす兵器を導入しても、潜水艦から奇襲で核攻撃を受けたら対応できない、との判断からだ。

北は戦争を準備している

保守論壇の重鎮、朝鮮日報の金大中(キム・デジュン)顧問は8月30日に「我々はいつまで『防衛』にだけすがるのか」(韓国語版)というコラムで「我々は攻撃に転じる時だ。THAADを持ってもこの安保上の難局を突破できないのなら、核に行くしかないことを国内外に示さねばならない」と核武装宣言を呼び掛けた。

在野の保守運動指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏も9月7日、北朝鮮の核施設への「予防攻撃」を検討するようソウル市内の講演で訴えた(趙甲済ドットコム「北の核を予防攻撃で処理する時間はまだ残っている」=韓国語、動画付き=参照)。

趙甲済氏は「北朝鮮の核兵器は理論的な脅威ではなく、実際の脅威になった。米国の専門家も北の核は『見せるためのもの』程度に軽く見ていたが、本気で戦争を準備していると見なす人が出始めた」と語った。

どこまで「我慢」できるか

5回目の核実験の直後、趙甲済氏は「朴槿恵大統領は『挙国核安保体制の建設』を国民投票に付せ」(9月9日、韓国語)を発表した。国民投票で核武装の決意を世界に示せ、との主張だ。

具体的には、大韓民国憲法第72条の「大統領は必要であると認める時は、外交・国防・統一、その他の国の安危に関する重要政策を国民投票に付することができる」に照らし、核爆弾を受けないためにはどうすべきか国民に聞け、と提案した。

2013年2月の3回目の核実験以降、韓国で世論調査を実施するといずれも3分の2が核武装に賛成する。もし、国民投票で賛否を問えば「我が国も核武装すべきだ」との意見が過半数に達する可能性が高い。

韓国の核武装に賛成する国はない。国民投票を通じ韓国人の核武装に向けた決意を示すことで、世界の反対を抑え込むのが狙いだ。

共和党の大統領候補、トランプ(Donald Trump)氏が一時期「日本や韓国には核兵器を持たせ、自力で国を守らせよ」と主張したことがあるが、最近は「そんな発言をしたことはない」と否定している。

朴槿恵(パク・クンヘ)政権は核保有を否定している。核武装を進める北朝鮮への制裁にブレーキをかける恐れからだ。しかし、国際社会が非難しようと、経済制裁しようと北朝鮮の核武装は進む。予防的攻撃や韓国の核武装の主張が高まれば、どこまで「我慢」できるか、疑問である。

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『日本は中国から「アフリカの支持」を奪えるか 中国式「新植民地主義」を「善意の日本」が揺らす』(9/7日経ビジネスオンライン 福島香織)、『G20、習近平氏の挫折 対米“大国外交”は幻に』(9/7日経 中沢克二)について

中国人は世界中どこへ行っても彼らの流儀を押し通します。チャイナタウンを作り、自分達で金が回るようにし、地元にはカネが落ちない仕組みを作ります。当然雇用も中国人を使うので、現地の人達にはメリットがありません。それに賄賂文化の悪習も持込み、中国国内同様、為政者のみ潤うことになります。国内同様、自分たちがやった悪事は全部他人のせいに転嫁しますし。日本は黙っているからイジメ易いと思われ、何でも日本のせいにします。戦後の日本人のだらしなさとしか言いようがありません。悪の帝国・中国の支配を世界に広げるつもりかどうか、日本を含めた自由諸国の覚悟が問われているのだと思います。

中国が嫌がることをするのが倫理的にも道徳的にも正しい道です。中国は詭道・詐道・覇道の国ですので。その意味で安倍首相がTICADを利用し、アフリカと着実に交流を深め、信頼を勝ち得ていくことは正しいことです。中国は相当嫌がるでしょう。当然です。自分たちは大きな投資をしてリスクを負っているのに、日本は少ない投資で現地の人の信頼を得る訳ですので。民族性の違いです。利他精神と中華思想の違いです。

G20での中国の米国への取り扱いは、昨年9月の習近平訪米時の冷遇の意趣返しでしょう。ローマ法王の訪米とぶつけ、シアトルでの歓迎晩さん会でワインも安物、日本料理を出したりと。でも誰にも分かるようなやり方でリベンジするのは未熟な証拠。外交プロトコルを守らない野蛮な国のイメージが出来上がるのに。中国は歴史的に見てもそうでした。満州族政権だった大清帝国の西太后も義和団を利用して攘夷を決行しようとしたりしましたし。中華思想の為せる業です。ですから彼らは平気で人種差別することができます。

http://netgeek.biz/archives/54238

スーザン・ライスは中国の金塗れのキッシンジャーの意を受けて、2013年後半には米中G2容認の論陣を張りました。それがこのような扱いを受けて悔しかったのでは。パンダハガーがドラゴンスレイヤーに変わるかどうか。少なくとも、抱きしめようとしたのはパンダではなく、シベリアトラ(東北虎)だったのに気が付いたかどうか。何せ東北虎はパンダ以上の絶滅危惧種だそうですので。まあ、彼女もクリントン同様、中国からの鼻薬が効いていて、このくらいは許容範囲かもしれませんが。

http://www.recordchina.co.jp/a32003.html

しかし、やはり杭州でG20を開いたのは失敗だったでしょう。ライスが如何に中国の言いなりになって動いてきたかをこの係官は知らなかったのでしょうけど、お粗末の一言。

「天有天堂、地有蘇杭(天には天国があり、地上には蘇州と杭州がある)」と言われるほど杭州・西湖は蘇州と並び風景の美しい地と評価されています。小生は蘇州の方が好きだったですが。龍井茶について、朱鎔基が「中国が持つ国際的ブランドは2つしかない。龍井茶と青島ビール」と言った記憶があります。でもお茶は日本の茶道が奥ゆかしいし、宋代の抹茶がまだ日本に継承されて、定式化されているのを考えますと、中国と言う国は易姓革命の国で、前の政権の良きところを引き継がなかったことが分かります。こんな国に生まれなくて良かったとつくづく思います。

福島記事

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日本のアフリカ支援が中国を苛立たせる(写真:AP/アフロ)

中国では杭州でG20が行われているのだが、残念ながらこの原稿の締め切り前に、そのサミットの中身について知ることはできない。とりあえず、習近平は笑顔で安倍晋三と握手を交わしたそうだ。その一方で、米大統領・オバマにだけレッドカーペットを敷いたタラップを用意しなかったり、大統領側近に空港での移動が警備当局から厳しく制限されて怒声が飛び交うような押し問答があったりした。

メンツにうるさい中国のことだから、タラップを用意しなかったのは、絶対わざとの嫌がらせだと、思われている。波乱含みの開幕のG20については、サミット後の結果をみて改めて報告するとして、今回はアフリカをめぐる日中のつばぜり合いについて考えてみたい。

「日本は中国・アフリカ関係を挑発」

とにかく、中国は先のTICAD6(第6回アフリカ開発会議)で日本が2018年までに官民300億ドル規模の対アフリカ投資を表明したことについて、非常に反感というか危機感を持っている。昨年12月にヨハネスブルクで開かれた中国・アフリカ協力フォーラムで中国は3年間で総額約600億ドルの支援を表明したから、それと比べると半分にすぎない少額であるにもかかわらず、その反応の激しさに驚く。

中国外交部は定例記者会見上で次のように発言した。

「遺憾なことは、TICADにおいて、日本は自分の意志をアフリカに押し付け、私利私欲を図り、中国・アフリカ関係を挑発しようとしている」

「日本は会議議題と成果文章に安保理改革と海上安全を盛り込もうと懸命だが、それはアフリカの発展という会議の主題とかけ離れており、アフリカ諸国の代表らの強い不満を引き起こしている。アフリカの国家はTICADの政治化に強く反対しており、アジアの問題をアフリカに持ってくること、日本が自分の意志をアフリカに押し付けることに強く反対している。日本は最終的にアフリカ国家の意見を受け入れざるを得ない。海洋に関する内容、安保理改革問題は前回のTICAD横浜宣言の原則を維持しているのであって、日本の共同通信の報道は客観的な事実を反映していない。これはアフリカ国家を尊重していないことでもある」

中国メディアも日本の対アフリカ援助を一斉に批判。

新京報(8月31日)は「日本は金をばらまいてアフリカを中国との競争の第二の戦場にしている」として、「(アフリカ支援の)目標は国連安保理常任理事会入りと、中国に対するけん制」という日本の学者の意見を引用しながら、そういう皮算用では、日本とアフリカの協力関係はおそらく順調ではないだろう、と言う。

中国メディア「日本は大損する」

また、環球時報に寄稿した社会科学院西アジア・アフリカ研究所の専門家・賀文萍は、アフリカにとって中国は重量級国家、日本は中量級国家だといい、これも日本の専門家の意見を引用し、日本の300億ドル程度の投資などおそるるにたらず、といった論調だ。

「経済が停滞に陥っている日本は経済貿易協力におけるハードパワーにおいて、中国に追いつき超えることはありえないことをよく知っている。このため、人材育成や就業、食糧危機問題解決など、日本が優勢さをもつソフトパワー領域に力を発揮するという言い方をする。…しかし、ソフトパワーで中国の優勢さに対抗するなんて聡明なやり方ではない。日本は楽勝と思っているのだが、最終的に大損をするのだ」…。

さらには、日本とケニアの共同宣言の内容が、ケニア側の外務省サイトにアップされていないうえ、改めて南シナ海については中国の立場を支持する内容をアップしたことについて「共同声明は双方で合意した文章ではなく、日本側の一方的な声明発表にすぎないことは、ケニア政府がすでに表明している。ケニアの安保理改革と海洋問題に関する立場は明確で、一貫している。すなわちアフリカ連合の立場を支持し、南シナ海においては中国を支持する立場なのだ」(中国外交部報道官)と強調した。

環球時報(9月1日)は「日本は大枚をはたいたのに、アフリカから冷遇されている」と報じ、「アフリカの友人たちから聞いたところでは、今回のTICADで日本は全くメンツを失ったそうだ。54のアフリカ諸国のうち総理、首相が出席したのはわずか25か国。…昨年末の中国アフリカフォーラム・ヨハネスブルクサミットに出席したアフリカ国家元首・首脳は42か国。日本は永遠に、これほどの人気、人の縁は得られない。…日本が安保理改革やアジアの海について中国をネガティブに宣伝することには、どの国も強烈に反対し、会議では一国として日本の立場を支持する国はなかった、という。むしろ日本のTICADの政治化についてはみな内心不快であった。今回の現実は、安倍首相にとって良い勉強になっただろう。アフリカで中国に挑戦するなんて力不足なのだ。中国のようにアフリカに対し平等に対応し、効果的にウィンウィンの方針を貫くなど、日本には永遠にできないマネである…」とこき下ろしている。

実際のところ、アフリカにおける中国の影響力は圧倒的である。アフリカ諸国も、当然、中国、日本の双方を競わせて金をひっぱってきたい思惑があろう。中国には中国にとって聞こえの良いことを言い、日本には日本の喜びそうなことを言う。日本ケニアの共同声明をケニア側が否定していることは、確かに日本にとって外交メンツを失わせたことになるので、この件については日本の外務省もきちんとプロセスを説明する責任がある。

ただ、中国がかくも、余裕のない様子で、敏感に日本の対アフリカ外交に対して反感を持ち、警戒感を示しているのは、やはり何かあると考えるのが普通である。実は中国の対アフリカ戦略が、思い描いていたほどの効果を上げなくなってきたことへの焦りがあると思われている。

難しさ5点、中国の焦り

8月下旬に出された中国社会科学院の西アジア・アフリカ研究所の「アフリカ発展報告書2015-2016」では、中国がアフリカのパートナーであり続けることの難しさをかなり具体的に指摘している。

①局部戦争、テロの脅威、政権更迭リスク、行政効率の低下、法律環境が人の意のままにならず、為替管理リスクも大きく、租税レベルが高くていい加減、マンパワーコストも必ずしも低くない。

②中国企業側に投資対象国への理解が欠如し、現地企業との間に悪性競争や現地の法律を無視した状況が起きる。

③アフリカ経済にネガティブな影響を与える。商品の価格下落、アフリカ基礎インフラ建設の遅れ、アフリカ国家市場の需要下落などが、我が国のエネルギー、基礎インフラ建設、製造企業のアフリカにおける発展に不利益をもたらしている。

④西側国家企業との競争が激化し、製造の障害となっている。エネルギー鉱物資源開発の領域において中国企業の権益取得を阻止しようと動いていることが一つ。また「中国脅威論」や「新植民地主義」といった批判でもって、中国企業の発展にネガティブな影響を与えている。

⑤中国アフリカ経済貿易協力において困難が存在する。アフリカ国家政府の政策支持が不足していること、基礎インフラ建設投資の割り当てが不十分なこと、企業への融資メカニズム、プラットフォームが欠乏していること。この結果、企業開発区の発展速度や企業の投資意欲にマイナス影響を与えている。

こうしたアフリカのリスクは実は中国だけでなく、アフリカに進出しているどの国も直面するものなのだが、あの中国ですら実はアフリカ進出は苦戦しているというのは興味深い。テロ・紛争リスク、法律の不備や無視、汚職の蔓延、労働者のモチベーション不足、金融や為替のメカニズムの不備などは、中国が国内で抱える問題にもあり、中国企業も当然、耐性があると思われているのだが、アフリカはその中国企業ですら音を上げるほどの環境のようだ。

特に、西側企業との国際競争が激しくなってきたことが、中国投資の苦戦の大きな理由に浮上してきた。西側大国と新興の大国が中国をターゲットに連動して動いている、という。「アフリカを食い物にしている中国の新植民地主義」という「宣伝」は、思った以上に中国のアフリカでの経済活動を苦しめているようだ。

もっとも、この指摘は、投資を受ける現場の住民の間では、反中意識が高まっていることの証左だといえる。『進撃の華人』(講談社)の著者の一人の元北京駐在スペイン人記者、ファン・パブロ・カルデナルから直接聞いた話だが、アフリカの多くの中国企業投資の現場では、環境破壊や住民の生活破壊、労働者への賃金未払い、搾取などの問題が必ずと言っていいほど発生し、政府や汚職官僚は中国マネーを歓迎するとしても、そこに暮らす人々の間ではむしろ反中意識が芽生えているという。詳しくは同書を読めばわかるのだが、そういった現地にはびこる反中感情のものすごさは、しばしばおきるザンビアの現地労働者と中国人マネージャーとの武装衝突事件やガーナの中国人違法金鉱採掘者の大量逮捕事件などにも表れている。

課題3点、アフリカの批判

在米華人学者の何清漣がボイス・オブ・アメリカに寄稿した「中国海外鉱山投資が資源ナショナリズムに遭遇」という記事を少し参考にして述べると、アフリカの知識人やNGOは、ここ数年一貫して、次の3つの点について中国を激しく批判している。

①中国の「新植民地主義」「経済帝国主義」がアフリカのエネルギー資源をかすめ取るだけでなく、環境生態を破壊している。

②中国のアフリカ経済開発は(中国移民を増やすばかりで)アフリカ人の就業機会増に貢献していない。

③人権を無視し、独裁政府を支持している。

一部地域で中国投資の油田や鉱山が現地武装勢力に襲われるのは、中国の投資自身が現地の政治衝突に干渉しているからだ、という。根本にはアフリカの資源ナショナリズムの台頭がある。

9・11事件以降の世界の変化として、中国の中華民族の復興、中東のイスラム原理主義の台頭、アフリカ・ラテンアメリカの資源ナショナリズムの台頭がある。いずれも行き過ぎたグローバリズムの逆流としてのナショナリズムの台頭といえるが、西側の普遍的価値観は中華民族の復興とイスラム原理主義の台頭については批判で一致し、アフリカ・ラテンアメリカの資源ナショナリズムは同情と支持を表明している。

一方、中国はこの資源ナショナリズムと普遍的価値観とは対立の姿勢を示している。中国のナショナリズム、つまり中華民族の復興を実現するには、資源の対外依存度が今以上に高くなっていくということであり、アフリカの資源ナショナリズムと対立する形にならざるをえない。投資と占有開発でアフリカの資源を奪う従来のやり方を変更することは難しい。

アフリカ諸国の政府自身は、今のところ中国との外交と援助姿勢を重視しており、中国にかなりの気の使いようだが、まがりなりにも選挙で大統領を選ぶ国家では、最終的には民意がものをいう。中国のやり方を新植民地主義と感じて抵抗感をもつ知識人や市民は増えていくだろうし、中国がやり方を変えないかぎり、対アフリカ投資はますます前途多難に陥るという見立てはだいたい間違いないのだ。

「善意の日本」が中国への有効打に

この事実を中国側は十分に認識しているのだが、発言上は、中国は「西側のライバル企業が中国脅威論や新植民地主義を喧伝して、中国企業の邪魔をしている」と言う。中国にすれば、かつてアフリカをさんざん食い物にした欧米諸国には言われたくない、という思いもあるだろう。

だがアフリカに植民地を持ったこともない「善意の日本」が、アフリカの資源ナショナリズムを尊重しつつ、きめ細かい開発や投資に乗り出せば、額は少なくとも、これは確かに現地市民の対中感情を相対的にさらに悪化させることになるだろう。中国にしてみれば脅威を感じて当然だ。経済リターンを得るという点では、かなり難しいが、日本の目的は中国への牽制であり、国連におけるアフリカ諸国の支持を得ることだとすれば、それは多少なりとも効果があるはずである。少なくとも、中国がここまで警戒心をむき出すということは、日本のこの一手に効果があるとみているということである。

アフリカは中国の一帯一路(陸のシルクロードと海のシルクロードの外交・経済一体化構想)戦略の海のシルクロードの終着点という意味で、中華秩序圏拡大(中華民族の復興)戦略の鍵となる土地。日本はこの中国の思惑に対し、インド洋から太平洋にかけて海洋安全保障にアフリカを組み込むことで中国を牽制、南シナ海からインド洋にかけての開放性を守りたい。それは尖閣諸島を含む東シナ海を中国の覇権から守ることにもつながる。

日本にしては珍しく、明確な戦略と視野をもった外交ではないか。困難はあろうが、うまくいくことを願っている。

中沢記事

20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれた9月4、5日両日、そして閉幕後の6日。900万人の大人口を抱える中国の杭州市は薄曇り、にわか雨だった。

国家主席、習近平の晴れの舞台であるG20の成功を演出するため、周辺の工場は8月下旬から最大16日間もの全面操業停止を地元政府から言い渡されていた。それでも効果は限られていた。

■習・オバマの微妙な西湖散歩

そしてもう一つ。中国側が、G20の成功を演出するため目玉の一つにしたいイベントがあった。米大統領、オバマの大統領任期中の最後の訪中である。

習近平とオバマは9月3日夜、「人間の楽園」と称される杭州の名勝、西湖のほとりを2人で散歩した。特別待遇である。その途中で腰を下ろし、龍井茶で喉を潤した。とはいえ両人の表情は今ひとつさえない。

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西湖のほとりで龍井茶を飲む習近平国家主席とオバマ大統領(中国国営テレビの映像から)

それもそのはず。これに先立つ、中国での最後の米中首脳会談と習近平・オバマの夕食会は愉快なものではなかった。

習近平にとって対米関係での最大の課題は、実は南シナ海問題ではない。2013年6月の訪米時に華々しく打ち出した米国との「新しい形の大国関係」を米国に受け入れさせるメドをつけることだった。米中両国が互いに“核心的な利益”を尊重し、事実上、世界を仕切るという野心的な試みだ。

もし、これを半分でも達成できれば、南シナ海問題などは大筋、解決したも同然である。しかし、ついにオバマの時代には実現しないことがはっきりした。習近平にとっては大きな挫折だった。

中国の国営メディアの報道は、さも米中の新しい形の大国関係の構築が進んでいるかのように報じている。だが、オバマはこれに一切、触れていない。会談では、南シナ海問題について国際法に基づく解決に言及した。先の仲裁裁判所による判決の受け入れを中国に迫っていた。

この「大国関係」という課題は、中国の内政上も大きな問題をはらむ。習近平は、来年の共産党大会の最高指導部人事を主導したい。そのためには外交上の実績も重要だ。だが、米国との関係を中心にした対外戦略は思うように動かない。これでは、自ら掲げた「中国の夢」の実現も危うい。

うかうかしていると、うるさい長老らに習近平の失点として突かれる恐れさえある。習近平としては、気候変動問題以外、目立った成果もないのに、オバマとにこやかに歓談するわけにはいかなかった。

オバマも似ていた。南シナ海問題を巡っては、スカボロー礁で中国のしゅんせつ船が動き出したとの情報をフィリピン側が明らかにしていた。笑顔で習近平と会談していれば、「アジア回帰」を宣言した米国の沽券(こけん)に関わる。

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3日、中国・杭州の空港に到着後、赤じゅうたんの敷かれていない大統領専用機備え付けのタラップを下りるオバマ米大統領=AP

■杭州空港での米中のケンカ

この微妙な米中関係を象徴する事件があった。舞台は、9月3日、オバマが大統領専用機、「エアフォースワン」で到着した杭州空港である。

米側の随行職員らが中国側の警備担当者からいわれのない制止を受けた経緯が大きな話題になった。特に問題化したのは、国家安全保障担当の大統領補佐官、ライスが専用機から降りてきたオバマに近付いた際、中国の警備担当の公安要員が強く遮ったことだ。

「ここは我々の国だ! 我々の空港だ!」。さらに中国側の男性警備担当者は、ホワイトハウスの女性担当職員に声を荒らげた。大統領の外遊時、同行の記者団は、専用機のタラップの下で大統領を見守るのが慣例である。だが、中国側は記者らの移動を許さず、退去を求めた。米側担当者が強く抗議すると、中国の要員は怒鳴り返した。

今回、オバマが「エアフォースワン」で到着した際、中国側は赤じゅうたんを敷いたタラップを用意していなかった。オバマは専用機に付属するタラップを降ろし、そこから登場した。異例である。

出迎えの方式、警備を巡って米中双方が事前にやり取りしたが、その際に摩擦が起きたとされる。結果として中国側がタラップを用意しなかったため、多くの人々が「中国側の嫌がらせ」と受け止めた。中国側は、中国系紙などを使って「米側の要請だった」と反論している。

オバマ自身は4日の記者会見で、この問題について「深読みしなくてよいのではないか」「初めてではないし、中国だけでもない」と語り、受け流した。米国は他より航空機、ヘリ、車、警備員が多いためホスト国からすれば多過ぎるように思えるのだろう、という説明である。

真相はなお不明である。いずれにせよ、この後味の悪い一連の経緯は、今の米中の微妙な関係を表しているのは確かだ。

後話がある。ライスの制止問題である。「(中国側の)公安の現地担当者が、オバマ側近であるライスを知らなかったようだ。こんなつまらない話題にG20が乗っ取られてしまったのは残念だ。大きな失態だ」。中国側は頭を抱えている。

北京や上海といった国際都市なら、公安担当者ももう少し洗練されている。杭州だからこそ発生した問題だったかもしれない。

国際会議に慣れていない地域ならではの問題は、先に紹介した工場閉鎖も同じだ。「明日から工場を停止せよ」。ある工場への通告は、なんと操業停止日の前日だった。G20が終わるまで合計16日間も操業を止めろという命令なのに、何の補償措置もない。「中央の命令だから」。その一言だった。G20成功の演出には必要という判断だった。

休業による経済的損失は計り知れない。もしも、民主主義国家だったなら、政府を相手取った訴訟が起きるのは必至だ。

■閉幕に合わせた北朝鮮のミサイル発射

G20の期間中、風光明媚(めいび)な西湖のほとりはほぼ全てが封鎖され、一般人の立ち入りが禁止となった。ここは世界遺産に登録されており、その景観は中国の一般人民ばかりか、世界の人々も価値を認める共通の文化遺産である。

西湖の湖上を利用した大仕掛けのイルミネーションを一般市民は見ることができなかった=AP

しかし、西湖の湖上を利用した大仕掛けの舞台、花火も一般市民は見ることができなかった。巨額の資金を投入しているのに、である。そればかりか、市民は一週間の休みを言い渡されて、外地に行くように勧められた。

「全ては最高指導者のため。これはかつての中国皇帝の発想だ」。こんな恨み節も杭州市民から聞かれた。

強権姿勢はG20の会議の運営自体もそうだった。日本政府が現地のホテルに設置したプレスセンターでは日中首脳会談などの記者ブリーフなどが行われた。しかし、わざわざ世界各国から集まった記者らが入れない。

中国政府が警備上の理由を盾に、このホテルに入ることができる人数を一方的に制限したのだ。杭州空港での米中のトラブルと同種の問題だった。

この姿勢は、今回、習近平が、首相の安倍晋三との日中首脳会談に踏み切った理由とも重なる。安倍を真の意味で歓待はしない。だが、G20の成功の演出には、近隣の大国と2国間会談は必要だった。これが日中首脳会談で余り多くの成果がなかった理由の一つでもある。

習近平による、習近平のためのG20――。一大イベントは5日、「大成功」という自画自賛の中で閉幕した。

その日、習近平にとってもう一つ、いまいましい事件があった。関係改善を進めたはずの北朝鮮によるミサイル発射である。G20の閉幕日に合わせた中国への嫌がらせ。習近平はそう受け止めたに違いない。中国を取り巻く国際情勢はかくも厳しい。(敬称略)

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